(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060951
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240425BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20240425BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240425BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J25/20
G03G21/00 370
B65H43/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168553
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 克希
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AS02
2C061JJ01
2C061KK26
2C061KK35
2H270LA19
2H270LC07
2H270LC16
2H270MB25
2H270NB14
2H270NE07
2H270PA67
2H270PB13
2H270PB14
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA08
3F048BB02
3F048CC02
(57)【要約】
【課題】画像形成装置の線速に依らず、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部と、前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1画像生成部と、印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2画像生成部と、前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する画像検査部と、を備え、前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部と、
前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1画像生成部と、
印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2画像生成部と、
前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する画像検査部と、
を備え、
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記管理部は、前記印刷情報に基づいて前記パターンを前記シート状の被搬送物に印刷可能か判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンの変更及び変更予定のパターンを前記シート状の被搬送物に印刷可能か判定し、印刷可能なシート状の被搬送物から変更したパターンを印刷する、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記パターンは、所定の色の単色で塗りつぶされており、
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンと異なる色で塗りつぶしたパターンに変更する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記パターンは、所定の形状が規則的に繰り返されており、
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンと異なる形状を規則的に繰り返したパターンに変更する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する度に、使用していないパターンを印刷する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記シート状の被搬送物に対する前記パターンの印刷を開始又は、停止する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像検査部が検知した欠陥情報を表示可能な操作部と接続される、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記管理部は、前記画像検査部から前記欠陥情報を受信し、全ての前記シート状の被搬送物の印刷完了後に当該欠陥情報を印刷する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記管理部は、前記印刷情報に基づいて、前記シート状の被搬送物の束の厚さが、前記パターンの印刷が可能な厚さか判定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部を備え、
前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1工程と、
印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2工程と、
前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する第3工程と、
を含み、
前記管理部は、前記第3工程により前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更する、
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷元の画像を印刷するための画像データと、印刷済の用紙を読取装置で読み取ることで取得する読取画像と、を比較することで、印刷済の用紙の中から印刷に関する欠陥を検知して当該欠陥が発生している用紙を特定する画像形成装置が広く知られている。
【0003】
印刷済の用紙の中から印刷に関する欠陥を検知するだけでは、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定することは困難である。そのため、印刷に関する欠陥の発生を検知した後に、何かしらの処理を行う必要がある。
【0004】
特許文献1には、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定し、後から該当用紙の側面にマークを印刷することで該当用紙の特定を容易にする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いる場合では、画像形成装置の印刷工程自体には不必要な工程を設けなければならない。そのため、個別に機構を用意しなければならないという問題がある。
【0006】
この問題を解決する方法としては、画像形成装置本来の作像プロセスを使用して印刷に関する欠陥の発生を検知した際に、当該欠陥が発生している用紙にマークを印刷する方法が考えられる。しかし、この方法では、例えば画像形成装置の線速が高速の場合、印刷に関する欠陥を検知したタイミングでは該当用紙は既に排紙されており、該当用紙に対して直接処理を行うことは困難である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の線速に依らず、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部と、前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1画像生成部と、印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2画像生成部と、前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する画像検査部と、を備え、前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置の線速に依らず、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置及び画像検査装置における機能を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るエンジンコントローラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る画像形成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る画像形成方法の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図4とは異なる本実施形態に係る画像形成方法の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、変形例の画像形成方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0012】
(実施の形態)
本実施形態では、ソフトウェア制御部と、ハードウェアと、の組み合わせによって画像形成装置及び画像検査装置の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置及び画像検査装置における機能を示す機能ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム100は、画像形成装置1と、DFE(Digital Front End)2と、画像検査装置3と、を備える。
【0014】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも二つの機能を有する複合機である。画像形成装置1は、エンジンコントローラ11と、プリントエンジン12と、を有する。
【0015】
図2は、本実施形態に係るエンジンコントローラ11のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、
図2では、一例としてエンジンコントローラ11のハードウェア構成を示すが、プリントエンジン12及び画像検査装置3についても同様の構成である。
【0016】
図2に示すように、エンジンコントローラ11は、CPU(Central Processing Unit)400と、ROM(Read Only Memory)401と、RAM(Random Access Memory)402と、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)403と、I/F(インターフェース)404と、を備える。
【0017】
CPU400は、ROM401に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置である。ROM401は、CPU400で実行されるプログラム等が記憶された読み出し専用の不揮発性記憶媒体である。
【0018】
RAM402は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU400が情報を処理する際の作業領域として機能する。HDD/SSD403は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納されている。
【0019】
I/F404は、各種ハードウェアやネットワーク等と接続して制御する部品である。本実施形態では、I/F404は、LCD(Liquid Crystal Display)405と、操作部406と、専用デバイス407と、に接続されている。
【0020】
LCD405は、ユーザーがエンジンコントローラ11の状態を確認するための視覚的ユーザインターフェイスである。操作部406は、例えば、キーボードやマウス等のユーザーがエンジンコントローラ11に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0021】
専用デバイス407は、エンジンコントローラ11、プリントエンジン12及び画像検査装置3において、専用の機能を実現するためのハードウェアである。例えば、エンジンコントローラ11及び画像検査装置3における専用デバイス407は、高速に画像処理を行うための演算装置である。このような演算装置は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。
【0022】
一方で、プリントエンジン12における専用デバイス407は、用紙上に画像形成出力を実行するプロッタ装置や用紙上に出力された画像を読み取る読取装置である。
【0023】
エンジンコントローラ11のハードウェア構成において、ROM401、HDD/SSD403もしくは、光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM402に読み出され、CPU400が記憶媒体に格納されたプログラムに従って演算を行うことによりソフトウェア制御部が構成される。
【0024】
図1に示すように、エンジンコントローラ11は、ジョブ情報管理部111と、パターン管理部112と、原稿画像生成部113と、印刷画像生成部114と、を有する。なお、ジョブ情報管理部111は、管理部の一例である。
【0025】
ジョブ情報管理部111は、印刷予定の用紙の印刷情報を取得、管理及び表示する。印刷情報とは、例えば、用紙の種類、用紙の枚数、用紙のサイズ及びジョブ数等である。ジョブ情報管理部111は、操作部406を通じてユーザーにジョブ一覧及び印刷条件指定画面を表示し、ユーザーが印刷情報を決定することにより当該印刷情報を認識する。そして、ジョブ情報管理部111は、ユーザーにより決定された印刷情報に基づいて、DFE2に当該印刷指定情報に該当する画像を要求する。
【0026】
なお、用紙とは、紙で形成されたシート状の被搬送物である。本実施形態では、被搬送物の記録媒体として用紙を使用しているが、これに限らない。例えば、被搬送物は、フィルム又はプラスチック製のシート状の材料のような画像形成出力の対象となる物であれば適宜変更しても良い。
【0027】
また、ジョブ情報管理部111は、印刷情報に基づいて各ジョブの印刷完了後に排紙される用紙束の厚さを判定し、パターン管理部112に、プリントエンジン12で印刷する印字パターンを指定する。一方で、判定される用紙束の厚さが印字パターンに適さない場合は、パターン管理部112に出力しない指示を出す。
【0028】
印字パターンとは、ユーザーが用紙に発生した欠陥を発見しやすくするためのパターンであり、印刷する用紙の端部である用紙端に印刷される。なお、本実施形態における欠陥とは、例えば、用紙の破れ、折れ、印刷画像の滲み、擦れ等の印刷に関する欠陥全般のことである。
【0029】
パターン管理部112には、予め印刷情報に対応した種類の印字パターンの情報が保存及び管理されている。パターン管理部112は、ジョブ情報管理部111からの要求を反映させた印字パターンの情報を当該ジョブ情報管理部111に転送する。さらに、パターン管理部112は、印刷画像生成部114に、原稿画像に重畳して印刷するためのパターン画像を転送する。
【0030】
DFE2は、ジョブ情報管理部111からの要求に基づいて原稿画像生成部113に画像データを転送する。この時、DFE2は、ジョブ情報管理部111に画像データ転送の進捗情報を都度通知する。
【0031】
原稿画像生成部113は、DFE2から受信した画像データの管理及び転送を行う。原稿画像生成部113は、DFE2から受信した画像を原稿画像として生成して印刷画像生成部114に転送するとともに、画像検査装置3にも原稿画像を転送する。なお、原稿画像とは、印刷条件に基づいた画像を用紙に印刷するための画像データである。
【0032】
画像検査装置3は、原稿画像管理部31と、画像検査部32と、スキャン画像生成部33と、を有する。そして、原稿画像管理部31は、マスター画像生成部311と、マスク領域管理部312と、を有する。なお、マスター画像生成部311は、第1画像生成部の一例であり、スキャン画像生成部33は、第2画像生成部の一例である。
【0033】
マスター画像生成部311は、原稿画像生成部113から受信した原稿画像を変換して欠陥検知用のマスター画像を生成し、画像検査部32に転送する。なお、マスター画像は、第1画像データの一例である。
【0034】
マスク領域管理部312は、ジョブ情報管理部111から受信した印字パターンの情報を、マスク情報として画像検査部32に転送する。なお、マスク情報とは、画像検査の対象から印字パターンが印刷された領域を除外するための情報である。
【0035】
印刷画像生成部114は、原稿画像生成部113から受信した原稿画像と、パターン管理部112から受信したパターン画像を合成して印刷画像を生成する。生成された印刷画像は、印刷画像生成部114によってプリントエンジン12に転送される。
【0036】
プリントエンジン12では、用紙が印刷されるとともに、印刷した用紙の画像を読み取り、読み取った画像データをスキャン画像生成部33に転送する。スキャン画像生成部33は、プリントエンジン12から画像データを取得し、取得した画像データをスキャン画像として生成し、画像検査部32に転送する。なお、スキャン画像は、第2画像データの一例である。
【0037】
画像検査部32は、マスク領域管理部312から受信したマスク情報に基づいて画像検査の対象から印字パターンが印刷された領域を除外するとともに、マスター画像生成部311から受信したマスター画像とスキャン画像生成部33から受信したスキャン画像の差分である差分画像を取得する。
【0038】
画像検査部32は、差分画像から予め設定された欠陥判定の閾値を超える差分があった場合に、欠陥と判断するとともに、ジョブ情報管理部111に判定した欠陥情報と、欠陥が検知された用紙のページ番号を通知する。なお、ここでの閾値とは、マスター画像とスキャン画像を比較した際の一致率等である。
【0039】
ジョブ情報管理部111では、画像検査部32から欠陥情報を受信した場合、当該欠陥が検知されたページ及びDFE2から受信する画像データ転送の進捗情報に基づいて、現時点で印刷済みの用紙の用紙端へ印刷する印字パターンが変更可能か判断する。
【0040】
現時点での印字パターンが変更可能と判断した場合、ジョブ情報管理部111は、変更予定の印字パターンが印刷済みの用紙の用紙端に印刷可能か判定する。変更予定の印字パターンを印刷可能と判断した場合、ジョブ情報管理部111は、パターン管理部112に印字パターンの変更を指示する。
【0041】
ジョブ情報管理部111は、改めてパターン管理部112から変更情報を受信し、画像検査装置3のマスク領域管理部312に印字パターンの変更が発生した旨を通知する。マスク領域管理部312は、ジョブ情報管理部111から受信した変更予定の印字パターンの情報を、マスク情報として画像検査部32に転送する。
【0042】
画像検査部32は、マスク領域管理部312から受信した変更予定の印字パターンの情報を反映したマスク情報に基づいて画像検査の対象から印字パターンが印刷された領域を除外するとともに、マスター画像生成部311から受信したマスター画像とスキャン画像生成部33から受信したスキャン画像の差分である差分画像を再度取得する。
【0043】
パターン管理部112は、変更後の印字パターンを反映可能な原稿画像から印字パターンを変更して印刷画像生成部114に転送していく。一方で、現時点での印字パターンの変更不可能と判断した場合、ジョブ情報管理部111は、印字パターンの変更が可能になるまでパターン管理部112に印字パターンの変更を指示せずに処理を続行する。
【0044】
印刷が完了して全ての用紙が排紙された後、ジョブ情報管理部111は、ジョブ完了通知及び欠陥発生の有無を操作部406に表示する。用紙に欠陥が発生していた場合、ジョブ情報管理部111は、さらに、印字パターンの表示及び印字パターンの情報に基づいた欠陥発生ページの位置を定性的かつ定量的に操作部406に表示する。操作部406は、画像検査部32が検知した欠陥情報を表示することで、欠陥が発生した用紙を特定するための補助的情報をユーザーに提供することが可能である。
【0045】
その後、ジョブ情報管理部111は、画像検査部32から発生した欠陥情報を受信し、パターン管理部112を通じて印刷画像生成部114に当該欠陥情報が記載された用紙を印刷するように指示を出す。
【0046】
これにより、例えば、操作部406と、用紙の排紙トレイと、が離れている場合において、ユーザーは排紙トレイ側でも欠陥情報を確認することができる。そのため、欠陥が発生した用紙の特定に要する時間が削減される。
【0047】
なお、本実施形態では、画像形成装置1と、画像検査装置3と、は、それぞれ別々に設けられていたが、これに限らない。例えば、画像形成装置1が画像検査装置3を備えている構成でも良い。
【0048】
図3は、本実施形態に係る画像形成方法の一例を示すフローチャートである。
図4は、本実施形態に係る画像形成方法の一例を説明するための図である。以下、
図3、4を参照しながら、画像形成方法の一例を述べる。なお、前提条件として、欠陥発生ページがm枚目、印字パターンの変更を1枚目以降に実施するケースを想定する。
【0049】
図3に示すように、ユーザーは、操作部406に表示された複数のジョブ一覧及び印刷条件の中から用紙51の種類、枚数、サイズ及びジョブ数等を決定する(ステップ1)。そして、ジョブ情報管理部111は、ユーザーによって決定された条件を印刷情報として認識する。
【0050】
DFE2、原稿画像生成部113、印刷画像生成部114、プリントエンジン12、マスター画像生成部311、及びスキャン画像生成部33は、原稿画像及びマスター画像等の画像データを転送する。各種画像データの転送が完了次第、画像形成システム100は、印刷を開始する(ステップ2)。
【0051】
ジョブ情報管理部111は、各ジョブの印刷完了後に排紙される用紙束5の厚さを判定し、用紙51に対して印字パターンの印刷が可能か判定する(ステップ3)。ジョブ情報管理部111は、印字パターンの印刷が可能と判断した場合、パターン管理部112に、プリントエンジン12で印刷する印字パターンを指定して反映させる指示を出す(ステップ3のYes、ステップ4)。
【0052】
図4に示すように、本実施形態では、画像形成装置1は、印刷開始と同時に印字パターンとして印刷中の用紙51の用紙端511に青色のベタ塗りを印刷する。これにより、印刷完了後の用紙束5は、側面が青色になる。なお、
図4では、視認しやすいようにベタ塗りではなく、パターン塗りとしている。
【0053】
印刷中において画像検査部32は、印刷済の用紙51に欠陥が発生していないか検査する(ステップ5)。この時、画像検査部32は、予め設定された欠陥判定の閾値に基づいて欠陥が発生しているかを判定する(ステップ6)。
【0054】
欠陥判定の閾値を超える差分が検知されない限り、画像検査部32は、用紙51に対して欠陥の判定をし続ける(ステップ6のNо)。
【0055】
欠陥判定の閾値を超える差分が検知された場合、画像検査部32は、欠陥と判断するとともに、ジョブ情報管理部111に判定した欠陥の情報と、欠陥が検知された用紙51のページ番号を通知する(ステップ6のYes)。そして、ジョブ情報管理部111は、画像検査部32から通知された欠陥情報と、欠陥が検知された用紙51のページ情報と、を取得して保存する(ステップ7)。
【0056】
例えば、画像検査部32が用紙51のm枚目に欠陥が発生したことを検知した場合、ジョブ情報管理部111は、現時点で欠陥が発生したm枚目の用紙51の印字パターンを変更可能か判断する(ステップ8)。
【0057】
ジョブ情報管理部111が、現時点で印字パターンの変更が可能と判断した場合、ジョブ情報管理部111は、変更予定の印字パターンがm枚目の用紙51に印刷可能か判定する。変更予定の印字パターンを印刷可能と判断した場合、ジョブ情報管理部111は、パターン管理部112に印字パターンの変更を指示する(ステップ8のYes)。
【0058】
本実施形態では、ジョブ情報管理部111は、現時点で印字パターンの変更が可能な用紙51に対して、印字パターンを青色のベタ塗りから赤色のベタ塗りに変更する(ステップ9)。なお、
図4では、視認しやすいようにベタ塗りではなく、パターン塗りとしている。
【0059】
本実施形態では、m枚目の用紙51は、印刷開始と同時に画像形成装置1によってベタ塗されている。そのため、ジョブ情報管理部111は、m枚目の用紙51に対して印字パターンを変更することはできない。
【0060】
一方で、欠陥が発生したm枚目の用紙51より後に排紙された用紙51は、用紙端511が赤色のベタ塗りになっている。そのため、欠陥が発生したm枚目の用紙51は、排紙された用紙束5において、印字パターン変更後の用紙端511が赤色のベタ塗りの用紙51より下方に存在する。言い換えると、欠陥が発生したm枚目の用紙51は、印字パターン変更後の境界から下方の用紙束5の中に存在する。
【0061】
例えば、用紙厚が0.1mmであり、印字パターンの変更がm+10枚の時点で反映された場合、欠陥が発生したm枚目の用紙51は、印字パターンの変更前後の境界から0.1×10=1mm下方の付近に存在する可能性が高い。
【0062】
これにより、ユーザーは、印字パターン変更後の境界から下方の用紙束5を検査することで、欠陥が発生した用紙51を発見することができる。
【0063】
次に、ジョブ情報管理部111は、画像検査を実施した用紙51が用紙束5の最終ページかを判定する(ステップ10)。画像検査を実施した用紙51が用紙束5の最終ページである場合、ジョブ情報管理部111は、保存していた欠陥情報を印刷画像生成部114に印刷するように指示を出し、処理を終了する(ステップ10のYes、ステップ15)。
【0064】
画像検査を実施した用紙51が最終ページでない場合、画像形成システム100は、引き続き印刷中の用紙51に対してステップ3~ステップ10までと同様の処理を行う(ステップ10のNо)。
【0065】
一方で、現時点で印字パターンの変更が不可能と判断した場合、印刷予定の用紙51の残枚数が少量な可能性が高い(ステップ8のNo)。この場合、印刷完了後の用紙束5の上部を目視で検査する又は、画像検査部32から通知された欠陥発生ページの情報に基づいて、欠陥が発生した用紙51を発見することができる。
【0066】
次に、判定される用紙束5の厚さが印字パターンに適さない場合、ジョブ情報管理部111は、パターン管理部112に、印字パターンを指定して反映させる指示を出さない(ステップ3のNo)。その後、ジョブ情報管理部111は、画像形成システム100は、上記ステップ8~ステップ9を除いたステップ5~ステップ10、15と同様の処理であるステップ11~ステップ15の処理を行う。
【0067】
用紙束5の厚さが印字パターンに適さないと判定された場合、印刷される用紙51の枚数が少量な可能性が高い。そのため、用紙端511に印字パターンを印刷しなくとも、ユーザーは印刷された用紙束5を目視で検査する又は、画像検査部32から通知された欠陥発生ページの情報に基づいて、欠陥が発生した用紙51を発見することができる。従って、印刷する用紙枚数が少量の場合に、印字パターンを印刷する必要がなくなる。
【0068】
本実施形態では、画像検査部32が欠陥を検知する回数が一度のみの場合を例として説明したが、ジョブ情報管理部111は、画像検査部32が印刷済みの用紙の欠陥を検知する度にパターン管理部112に印字パターンの変更を指示する。この時、変更する印字パターンは、画像検査部32が該当欠陥を検知した時点で使用されていない印字パターンとする。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、線速に依らず、印刷に関する欠陥が発生している用紙を特定可能である。
【0070】
また、本実施形態では、印字パターンの変更前後において、用紙端511に青色のベタ塗りと赤色のベタ塗りを印刷したが、これに限らない。例えば、画像形成装置1は、印字パターン変更前後で異なる色又は塗り方を印刷しても良い。
【0071】
図5は、
図4とは異なる本実施形態に係る画像形成方法の一例を説明するための図である。
図5に示すように、印字パターンは、ベタ塗ではなく規則性のあるパターン塗りにするとともに、符号等をさらに印刷しても良い。また、ジョブ情報管理部111は、印字パターンの変更を行わず、操作部406に補助的な情報を表示する方法でも良い。
【0072】
上記画像形成方法によっても、
図4に示す画像形成方法と同様の効果が得られる。さらに、このような構成によれば、印字パターン以外にも視覚的な情報量が増加する。これにより、ユーザーは、さらに容易に欠陥が発生した用紙を発見することができる。
【0073】
(変形例)
上記実施形態の画像形成システム100では、印刷済みの用紙に欠陥が発生した場合に画像形成装置1のジョブ情報管理部111が用紙端に印刷する印字パターンを変更する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限らない。
【0074】
図6は、変形例の画像形成方法の一例を説明するための図である。
図6に示すように、例えば、印刷済みの用紙の欠陥を検知した場合に、ジョブ情報管理部111は印刷パターンそのものを変更するのではなく、印字パターンの位置の変更を指示する構成、印刷済みの用紙の欠陥検知後から印字パターンの印刷の停止を指示する構成及び通常時は印字パターンを印刷せず、印刷済みの用紙の欠陥検知後からを印字パターンの印刷の開始を指示する構成でも良い。このような構成によっても、前記実施形態と同様の構成に基づく効果が得られる。
【0075】
以上のように、本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部と、前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1画像生成部と、印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2画像生成部と、前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する画像検査部と、を備え、前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更することを特徴とする画像形成装置である。
<2> 前記管理部は、前記印刷情報に基づいて前記パターンを前記シート状の被搬送物に印刷可能か判定する前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンの変更及び変更予定のパターンを前記シート状の被搬送物に印刷可能か判定し、印刷可能なシート状の被搬送物から変更したパターンを印刷する前記<1>又は<2>に記載の画像形成装置である。
<4> 前記パターンは、所定の色の単色で塗りつぶされており、前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンと異なる色で塗りつぶしたパターンに変更する前記<1>から<3>のうちいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 前記パターンは、所定の形状が規則的に繰り返されており、前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記パターンと異なる形状を規則的に繰り返したパターンに変更する前記<1>から<3>のうちいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する度に、使用していないパターンを印刷する前記<1>から<5>のうちいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 前記管理部は、前記画像検査部が前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記シート状の被搬送物に対する前記パターンの印刷を開始又は、停止する前記<1>又は<2>に記載の画像形成装置である。
<8> 前記画像検査部が検知した欠陥情報を表示可能な操作部と接続される前記<1>から<7>のうちいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> 前記管理部は、前記画像検査部から前記欠陥情報を受信し、全ての前記シート状の被搬送物の印刷完了後に当該欠陥情報を印刷する前記<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 前記管理部は、前記印刷情報に基づいて、前記シート状の被搬送物の束の厚さが、前記パターンの印刷が可能な厚さか判定する前記<1>から<9>のうちいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 画像形成装置で実行される画像形成方法であって、シート状の被搬送物の枚数及びサイズを少なくとも含む印刷情報を取得する管理部を備え、前記印刷情報に基づいて生成される印刷用の画像データから、第1画像データを生成する第1工程と、印刷済の前記シート状の被搬送物を読み取り、第2画像データを生成する第2工程と、前記第1画像データと前記第2画像データとに基づいて、前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知する第3工程と、を含み、前記管理部は、前記第3工程により前記印刷済のシート状の被搬送物の欠陥を検知した場合には、前記欠陥の検知の前後において、前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンを変更する、又は前記シート状の被搬送物の端部に印刷するパターンの有無を変更することを特徴とする画像形成方法である。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
111 ジョブ情報管理部(管理部)
311 マスター画像生成部(第1画像生成部)
32 画像検査部
33 スキャン画像生成部(第2画像生成部)
406 操作部
51 用紙(シート状の被搬送物)
511 用紙端(端部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】