(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061009
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B41J2/01 121
B41J2/01 109
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168648
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知己
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正太郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB11
2C056EB13
2C056EB35
2C056EB46
2C056EB58
2C056EC14
2C056EC29
2C056EC40
2C056FA15
2C056FB10
2C056HA37
2C056HA38
2C056HA44
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】凹凸のある対象物に付着した液体を乾燥させるための送風の条件を、凹凸に応じて可変させる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】対象物(CB)に液体を吐出する液体吐出ヘッド(100)と、当該液体吐出ヘッド(100)を搭載するキャリッジ(10)と、キャリッジ(10)に搭載され、対象物に向けて送風をする送風部(110)と、を備え、送風部(110)は、対象物の凹凸に応じて、送風条件を可変する、液体吐出装置による。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
当該液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、
を備え、
前記送風部は、前記対象物の凹凸に応じて、送風条件を可変する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記送風部は、前記送風条件を可変するとき、前記キャリッジの移動速度に応じて前記送風に係る風量もしくは温度の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記送風部は、前記送風条件を可変するとき、前記キャリッジの移動速度に応じて前記送風の強度もしくは温度の少なくとも一方を変更する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記キャリッジは、前記対象物の凸部を通過するときは、当該凸部を回避できるように距離を変更して移動し、前記対象物の凹部を通過するときに、当該対象物との距離は前記対象物の平坦部の距離と同じ距離で移動し、
前記送風部は、前記凸部に接近及び離間する近傍における前記送風条件を変更し、また、前記凹部を通過するときに前記送風条件を変更する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記送風部は、
前記対象物の平坦部の風量よりも、前記対象物の凸部においては風量を弱め、当該対象物の凹部において風量を強める、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記送風部は、前記キャリッジの移動方向を反転させる反転位置の近傍において前記送風の風量を弱めるようにする、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記送風部は、前記キャリッジの走査方向における一方又は両方に搭載される、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記キャリッジを前記対象物に対して主走査方向へと移動可能に支持するガイドレールと、
前記ガイドレールを副走査方向に移動可能に保持するレール保持部と、
レール保持部を支持する支柱と、
前記レール保持部に対して前記キャリッジを接離可能に保持するキャリッジ保持部と、
を備え、
前記キャリッジは、前記対象物の凹凸に応じて前記レール保持部からの距離を可変させる、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドを搭載し、前記液体の吐出先となる対象物に対し当該液体吐出ヘッドを摺動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、を備る液体吐出装置において実行可能な液体吐出方法であって、
前記対象物の凹凸に応じて送風条件を可変して前記液体の吐出先に向けて送風をする、
ことを特徴とする液体吐出方法。
【請求項10】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドを搭載し、前記液体の吐出先となる対象物に対し当該液体吐出ヘッドを摺動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、を備る液体吐出装置において実行可能な制御プログラムであって、
前記キャリッジを所定の方向に移動させながら前記液体を吐出する吐出ステップと、
前記所定の方向に移動する前記キャリッジの位置に応じて前記対象物の凹凸を判定する判定ステップと、
前記凹凸の判定結果に基づいて、前記送風部における送風条件を変更するステップと、
を前記液体吐出装置において実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車体や建築物の壁などの大型の構造物の表面に加飾する際、画像を形成したシート状の大型媒体を、加飾の対象物(車体や壁など)に貼り付ける技術が知られている。また、大型媒体に画像を形成する液体吐出装置において、吐出した液体を大型媒体に定着させるために、液体や大型媒体を温めて液体を乾燥させ定着させる乾燥機構を備えるものも知られている。
【0003】
媒体の熱変形による液体吐出ヘッドと媒体の接触を回避するする目的で、媒体の表面の凹凸を検出する検出手段を備えて、媒体の凹凸によって温度を制御する構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、凹凸のある対象物に付着した液体の乾燥を良好に制御する点において課題が残る。すなわち、凹凸の度合いが大きくなると、最も大きい凸部がある範囲を超えた場合、乾燥のための温度を低くするだけで、凹部に付着した液体の乾燥を最適に制御する点において課題がある。
【0005】
本発明は、凹凸のある対象物に付着した液体を乾燥させる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、液体吐出装置に関し、対象物に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、を備え、前記送風部は、前記対象物の凹凸に応じて、前記送風に係る風量もしくは温度の少なくとも一方を可変する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、凹凸のある対象物に付着させた液体を乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る液体吐出装置の実施形態を示す全体概要図。
【
図2】上記実施形態に係る液体吐出機構の構成例を示す図。
【
図3】上記実施形態に係る液体吐出機構の構成例を示す図。
【
図4】上記実施形態に係る液体吐出機構の構成例を示す図。
【
図5】上記実施形態に係る制御部の例を示すブロック図。
【
図6】本実施形態に係るキャリッジの移動経路を例示する図。
【
図7】本実施形態に係る送風部の出力条件の制御の例を説明する図
【
図8】本実施形態に係る送風部の出力条件の制御の別例を説明する図
【
図9】本実施形態に係る送風部の出力条件の制御の別例を説明する図
【
図10】上記実施形態に係る制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】上記実施形態に係る制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート。
【
図12】本発明に係る液体吐出装置の別の実施形態を示す全体概要図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[液体吐出装置の第一実施形態]
以下、本発明に係る液体吐出装置の実施形態としてのプリンタ1について、図を参照しながら説明する。本実施形態に係るプリンタ1は、大型の車両の車体CBのように、画像形成の対象物として大型(広範囲)のものに対応可能なものとする。なお、プリンタ1において液体を吐出する対象物になり得るものは、例示した車体CBに限定されるものではなく、建築物の壁面なども画像形成の対象物に含まれる。また、プリンタ1の画像形成の対象物には、従来のように紙やフィルムなどのシート状の媒体も含まれる。
【0010】
プリンタ1に係る液体吐出先としての対象物には、平坦な面を有する物だけに限定されず、車体CBのように、表面が平坦な部分と凹凸部分の組み合わせによる波状板材(コルゲートボディとも称される)。であってもよい。また、車体CBのように、外壁に、ヒンジやレバーなど、突起状の構造物を備えるものでもよい。
【0011】
すなわち、本実施形態に係るプリンタ1は、液体を吐出する吐出先となる対象物として、車体CBのように、画像形成の対象領域に凹凸状の部分を有し、凹部の深さ分だけ液体吐出口から液体付着位置までのギャップが広く、凸部においては狭くなるものを想定する。
【0012】
また、凹部に付着した液体の乾燥を促進するには、液体が付着した画像形成の領域に対して送風する風量を強める。また、送風する位置や、移動速度によっても風量を制御するなど、凹凸の状況に応じて、液体を乾燥させるための送風の条件を制御できることが望ましい。
【0013】
そこで本実施形態に係るプリンタ1は、上記にて説明したように、画像形成の対象物(対象領域)の凹凸度合いに応じて、液体の乾燥を促進するための送風の条件(送風条件)を制御することを可能にする。以下、より詳細に説明する。
【0014】
[画像形成の対象物(対象領域)などの説明]
図1乃至3に示すように、プリンタ1は、大型の車両の車体CBのように大きな物体を媒体として、画像を形成できるインクジェット方式の画像形成装置として適用可能なものである。以下の説明は、
図2に示すように、車体CBの一つの側面壁を画像形成の対象物(対象領域)としての画像形成領域IAに、画像を形成する場合を例にする。
【0015】
言い換えると、プリンタ1は、トラックなどの大型車両の筐体や建築物の壁面といった大きいエリアに、ラッピングメディアを介さずに、直接印字する方式のものである。
【0016】
なお、本実施形態に係る画像形成領域IAは、車体CBの側面壁のように、鉛直方向に立設している二次元の領域であって、凹凸を有するものを想定している。しかし、プリンタ1を適用可能な画像形成領域IAは、本実施形態の例示に限定されるものではない。例えば、プリンタ1と同様の構成を用いて、画像形成領域IAを水平方向において二次元的なものであって、凹凸を有するものも画像形成の対象物として含めることができる。例えば、道路や床なども本実施形態に係るプリンタ1において画像を形成しうる対象物に含める事ができる。この場合、液体の吐出方向や、液体吐出ヘッド100の走査方向を床に対向するように支持するように構成すればよい。
【0017】
[プリンタ1の構成]
図1及び
図3に示すように、プリンタ1は、画像形成領域IAに向けて液体インクを吐出するための液体吐出ヘッド100と、画像形成領域IAに付着した液体インクを乾燥させるための送風部としての温風ヒーター110と、画像形成領域IAの表面性状を検出するための領域状態検出機構120と、これらを搭載したキャリッジ10を備える。
【0018】
また、プリンタ1は、キャリッジ10を水平方向の摺動を可能に支持するガイドレール40と、ガイドレール40を支持し、キャリッジ10と画像形成領域IAとの距離を可変させるためにキャリッジ保持部としてのレール移動部30と、レール移動部30を支持し、キャリッジ10の摺動方向(水平方向)と直交する方向(鉛直方向)に移動させる移動機構を備える支柱20と、を備える。すなわち、レール移動部30を介してキャリッジ10を移動させる方向は、キャリッジ10に搭載される液体吐出ヘッド100や温風ヒーター110が、画像形成領域に接近・離間をする「接離方向」に相当する。
【0019】
なお、上記にて例示した、ガイドレール40、レール移動部30、支柱20を組み合わせて構成されるキャリッジ10の支持可動構造は、キャリッジ10を画像形成領域IAの二次元的広がりの方向に摺動させて画像形成が可能であれば、これらに限定するものではない。また、同じく、キャリッジ10に搭載された液体吐出ヘッド100及び温風ヒーター110と、画像形成領域IAとの距離を可変させて接離可能であれば、これに限定するものではない。
【0020】
以下、
図1の例示している構造を例にして各構成の説明をする。支柱20は、画像形成の媒体としての車体CBの近傍に立設可能な一対の柱状部材である。一対として構成される第一支柱21aと第二支柱21bは、車体CBの長さ方向(前後方向)において所定の間隔を持って設置される。この設置間隔は、画像形成領域IAの幅寸法よりも広い間隔である。支柱20は、その側面の一部において、媒体としての車体CBの方にガイドレール40を懸架するためのレール移動部30を備える。支柱20は、制御部150によってレール移動部30が高さ方向(支柱20の長手方向)に移動可能とするレール保持部移動機構21を備える。
【0021】
レール移動部30は、第一支柱21aに保持される第一レール保持部31aと、第二支柱21bに保持される第二レール保持部31bと、を有する。第一レール保持部31aと第二レール保持部31bの間に、ガイドレール40は懸架されている。
【0022】
レール移動部30は、ガイドレール40を支柱20に対して所定の距離で保持するための部材である。詳しくは、レール移動部30は、後述する制御部150の制御によって、支柱20にて支持される高さを変更可能にするレール保持部移動機構21を介して支柱20に支持されている。そして、レール移動部30は、支柱に所定の高さで支持された状態で、ガイドレール40を、支柱20に対して近づく方向、または離れる方向に移動させる。このガイドレール40の移動(支柱20に対する移動)により、キャリッジ10を画像形成領域IAに対して接近又は離間させる。すなわち、レール移動部30は、キャリッジ接離手段に相当する。キャリッジ10が画像形成領域IAに接近又は離間することで、液体吐出ヘッド100や温風ヒーター110が画像形成領域IAに接近又は離間する。すなわち、レール移動部30は、温風ヒーター110が液体インクの付着位置に対する距離を可変させることで、温風ヒーター110からの温風が画像形成領域IAに当たる風量や温度を可変できる。
【0023】
ガイドレール40は、レール移動部30に支持されていて、キャリッジ10が画像形成領域IAの主走査方向への摺動を可能にする主走査方向移動手段に相当する。
【0024】
ここで、本実施形態に係る主走査方向と副走査方向について説明する。画像形成を行うとき、キャリッジ10が画像形成領域IAからの距離を所定の条件で保ちながら、画像形成領域IAに対向して二次元的に移動する。この移動と共に所定のタイミングで、画像形成領域IAに対して、液体吐出ヘッド100から液体を吐出することで画像を形成する。
図2に示すように、キャリッジ10がガイドレール40に沿って摺動する方向は、支柱20の設置間隔の方向である。この方向の軸をX軸とし、X方向を主走査方向とする。したがって、キャリッジ10がガイドレール40に沿って主走査方向の位置を変えながら、液体吐出ヘッド100が所定のタイミングで液体を画像形成領域IAに向けて吐出する。
【0025】
また、レール移動部30は、支柱20の長手方向に移動可能な機構を介して、支柱に保持されているので、ガイドレール40の移動方向も支柱20の長手方向となる。この方向の軸をY軸とし、Y方向を副走査方向とする。レール移動部30が移動することでガイドレール40が副走査方向において位置を変える。その副走査方向の位置において、キャリッジ10はガイドレール40に沿って主走査を行う。したがって、ガイドレール40の移動によって主走査方向に直交する方向へキャリッジ10が移動をし、その移動先で液体吐出ヘッド100が主走査方向に移動しながら液体を吐出する。以上のように、液体吐出ヘッド100が画像形成領域IAに対して二次元的に移動しながら液体を吐出して画像を形成することができる。
【0026】
ガイドレール40は、キャリッジ10を移動可能に支持する柱状部材の一種であって、中空の柱状部材である。ガイドレール40は、レール移動部30において車体CBに対する距離を可変可能に支持されている。このキャリッジ10が車体CBに対する距離を可変する方向をZ方向とする。
【0027】
また、プリンタ1は、
図1に示すように、例えば、支柱20の近傍に制御部150を備える制御装置15と、制御装置15の操作をするための操作端末16と、を設置し、これらによって、画像形成処理を制御するように構成される。制御部150によって、副走査方向におけるレール移動部30の移動と、主走査方向におけるキャリッジ10の移動が制御される。また、これらの移動とタイミングを合わせて、液体吐出ヘッド100の吐出動作が制御される。
【0028】
なお、制御部150は、画像形成領域IAの凹凸の状況を示す情報に基づいて、温風ヒーター110の動作を制御するための送風条件を制御する。ここで、「凹凸の状況を示す情報」とは、液体を吐出する画像形成処理を行う前に、キャリッジ10を画像形成領域IAに接近させて、領域状態検出機構120を車体CBに対して、主走査方向と副走査方向に移動させながら、車体CBの表面の凹凸を取得した情報である。この情報を、凹凸情報、画像形成面性状情報とする。
【0029】
なお、領域状態検出機構120は、車体CBに接触しながら移動することで凹凸情報を取得するものでもよいし、非接触の状態で移動することで凹凸情報を取得するものでもよい。領域状態検出機構120によって取得された凹凸情報は、制御部150が備える記憶領域に格納される。後述するように、温風ヒーター110の送風条件は、領域状態検出機構120が取得した凹凸情報に応じて制御される。なお、凹凸情報を、利用者が予め車体CBの表面の凹凸の寸法を計測することで取得してもよい。制御部150の詳細については後述する。
【0030】
[キャリッジ10の詳細]
キャリッジ10は、
図3に示すように、レール移動部30に保持されているガイドレール40に支持されて、車体CBの所定の位置において液体を吐出する。レール移動部30に対してガイドレール40は画像形成領域IAとの距離を変更できる機構を備えている。すなわち、Z軸方向にキャリッジ10を移動可能に保持している。この機構によって、画像形成領域IAが凹凸を有するものであっても、液体の吐出距離を調整して、好適な画像形成環境を得ることができる。
【0031】
したがって、キャリッジ10は、画像形成領域IAに対して二次元的に自由に移動可能であって、レール移動部30に保持されているガイドレール40が画像形成領域IAとの距離を変更することで、液体の飛翔距離を調整でき、好適な吐出特性を維持できるように構成されている。
【0032】
図4は、キャリッジ10をY方向から見た平面図である。キャリッジ10には、液体を吐出する液体吐出ヘッド100が搭載されている。また、車体CBの表面性状を取得するための領域状態検出機構120も搭載されている。そして、キャリッジ10には、送風機構としての温風ヒーター110が搭載されている。温風ヒーター110は、キャリッジ10の主走査方向の移動に伴って移動して、液体の吐出方向に温風を送風するように構成されている。そして、温風ヒーター110は、キャリッジが凹凸情報に応じて接離方向に移動することで、車体CBに当たる風の風量や温度を変更できる。
【0033】
温風ヒーター110は、例えば、キャリッジ10において、液体吐出ヘッド100を挟んで主走査方向の両側に配置されている。なお、温風ヒーター110はキャリッジ10の一方にのみ搭載されていてもよい。
【0034】
キャリッジ10がX軸の矢印方向(
図4に正対した場合の左から右)に移動中と想定する。温風ヒーター110がキャリッジ10の両側に搭載されている場合、一方、温風ヒーター110bから画像形成領域IAに送風される高温の温風によって、画像形成領域IAが温められて、その温められた領域に液体吐出ヘッド100が液体を吐出する。その後、他方の温風ヒーター110aが液体の吐出された領域に高温の温風を送風する。以上のように、キャリッジ10の移動に合わせて、液体インクがこれから着弾する画像形成領域IAの温度を上げて液体インクの付着性を向上させる。そして、液体インクが着弾した後の画像形成領域IAに対しては高温の温風を吹き付けて、液体インクの表面などを素早く乾燥させて、画像形成領域IAの鉛直方向へ垂れることを防止する。以上のように、液体インクの着弾前後で素早く温度を上げて着弾性と乾燥性を向上できる。
【0035】
[制御装置15の構成]
ここで、制御装置15の構成例について
図5を用いながら説明する。
図5に示すように、制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)151、RAM(Random Access Memory)152、ROM(Read Only Memory)153、HDD(Hard Disk Drive)154、及びI/F155が共通バス159を介して接続されている制御部150を備える。
【0036】
CPU151は演算手段であり、プリンタ1の全体の動作を制御する。RAM152は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU151が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM153は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD154は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0037】
制御装置15は、ROM153に格納された制御プログラム、HDD154などの記憶媒体からRAM152にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU151が備える演算機能によって処理する。その処理によって、制御装置15の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、制御装置15に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、制御装置15の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU151、RAM152、ROM153、及びHDD154は、制御装置15及びプリンタ1の動作を制御するコントローラとしての制御部150を構成する。
【0038】
I/F155は、液体吐出ヘッド100、キャリッジ10、レール保持部移動機構21、温風ヒーター110、操作端末16を、領域状態検出機構120を、共通バス159に接続するインタフェースである。
【0039】
制御部150は、I/F155を通じて、液体吐出ヘッド100、キャリッジ10、レール保持部移動機構21、温風ヒーター110、領域状態検出機構120を動作させる。
【0040】
また、制御部150は、I/F155を通じて領域状態検出機構120が取得した凹凸情報をHDD154に格納し、画像形成処理を行うときのキャリッジ10の接離方向における移動を制御する。
【0041】
なお、制御部150は、操作端末16からの入力を取得し、入力された設定値や、画像形成データに基づいて上記の各構成の動作を制御する。また、制御内容などの情報を操作端末16から出力させるように制御する。
【0042】
[液体吐出方法の第一実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出方法の第一実施形態について説明する。
図6は、画像形成領域IAに対する画像形成処理において、キャリッジ10が液体吐出ヘッド100を移動させたときの軌跡(移動経路1010)を例示する図である。キャリッジ10は、画像形成処理の開始を制御部150が発するときにキャリッジ10が待機している移動開始位置1011から、+X方向に移動する。液体吐出ヘッド100は移動しながら、画像情報に基づいた印字動作(液体吐出動作)を行う。本実施形態に係る画像形成動作では、画像形成領域IAが垂直面なので、液体吐出ヘッド100から吐出して画像形成領域IAに付着した液体インクが垂れないように、素早く乾燥させる必要がある。そのため、液体吐出ヘッド100を挟んで両側に設置された温風ヒーター110によって、画像形成領域IAに付着した(着弾した)液体インクを素早く乾燥させて定着させながら、画像形成動作を行う。
【0043】
また、キャリッジ10が描画領域(画像形成領域IA)から外れる位置にまで移動したとき、反転位置1012で一旦停止する。この停止時に、画像形成処理が終了か否かの判定を制御部150が行い、終了でなければ(描画データがあれば)、キャリッジ10を反転位置1012において-Y方向に所定量だけ移動させてから-X方向に移動させる。液体吐出ヘッド100は、-X方向に移動するときも、画像情報に基づいた印字動作(液体吐出動作)を行う。
【0044】
そして、X方向における移動開始位置1011に相当する位置に至ったキャリッジ10は、再度、一旦停止する。続いて、画像形成処理が終了か否かの判定を制御部150において行い、終了でなければ(描画データがあれば)、キャリッジ10を停止位置から-YY方向に所定量だけ移動させてから、再度+X方向に移動させる。この動作を描画データがなくなるまで継続することで、画像形成領域IAに画像を形成できる。
【0045】
次に、本発明に係る液体吐出方法の特徴的な処理について
図7を用いて説明する。なお、従来技術との比較を行うために、
図7(a)には、従来技術に係る液体吐出方法を例示している。そして、
図7(b)が、本実施形態に係る液体吐出方法を例示している。なお、
図7は、画像形成領域IAに、平坦部101よりも凹んでいる凹部102が存在する場合のキャリッジ10の軌道と、温風ヒーター110における出力の変化を示している。温風ヒーター110の出力は、制御部150が制御する送風条件に基づいて変化するものとする。
【0046】
画像形成領域IAにおいて、平坦部101に形成されている凹凸形状のうちの凹部102では、キャリッジ10からの距離が遠くなる。
図7(a)に例示するように、キャリッジ10が凹凸形状に追従しない場合、軌跡(移動経路1010)は、平坦部101に対して一定の距離を維持したままとなる。したがって、温風ヒーター110における出力が凹凸形状に応じて可変せず、一定となる従来例では、凹部102は平坦部101よりも温風ヒーター110から離れるので、届く温風の風量が少なくなり、温度も低くなるので、液体インクの乾燥が不十分になることが懸念される。
【0047】
一方、
図7(b)に示すように本実施形態に係る液体吐出方法では、領域状態検出機構120によって、画像形成領域IAの凹凸情報を予め取得してあるので、平坦部101と凹部102の位置を制御部150が記憶している。
【0048】
そのため、
図7(b)に示すように、キャリッジ10の軌跡(移動経路1010)は、従来例と同様であっても、温風ヒーター110の出力を、凹部102に近づくにしたがって高くなるように制御できる。そして、凹部102から離れるにしたがって出力を通常の平坦部101における出力に戻すように制御できる。これによって、キャリッジ10から離れる位置にある凹部102に付着した液体インクの乾燥に必要十分な温風を当てることができ、凹部102のインク乾燥不良を防止することができる。
【0049】
なお、「温風ヒーター110の出力を高くする」とは、「風量を増加させる」、若しくは、「温風の温度を高くする」の、少なくともいずれか一方を指し、これら両方を行うものでもよい。
【0050】
キャリッジ10の移動速度(キャリッジ速度)が800mm/sとする。そして、画像形成領域IAの平坦部101と温風ヒーター110とのギャップが100mmの場合、温風ヒーター110が温風を出力するためのヒーター温度を200℃、風量を500L/mimとする。この場合、平坦部101に付着した水溶性の液体インクの乾燥不良を防止することができる。
【0051】
そして、凹部102の付近でヒーター温度を、平坦部101に場合よりも上昇させる、風量を増加させることで、凹部102の乾燥不良も防止することができる。すなわち、本実施形態に係るプリンタ1によれば、画像形成領域IAにおける凹凸に応じて、液体の乾燥を促進するための送風条件を可変することができ、凹凸に応じて適切な乾燥品質を得ることができる。
【0052】
[液体吐出方法の第二実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出方法の第二実施形態について説明する。
図8は、画像形成領域IAに凸部103が存在する場合のキャリッジ10の軌跡(移動経路1010a)と、温風ヒーター110における出力の変化を示している。なお、温風ヒーター110の出力は、制御部150が制御する送風条件に基づいて変化するものとする。
【0053】
図8に示すように、本実施形態に係るキャリッジ10の軌跡(移動経路1010a)は、画像形成領域IAにおいて平坦部101よりも突出している凸部103を回避するように移動する。具体的には、キャリッジ10を支持しているガイドレール40をレール移動部30に沿って画像形成領域IAから離間する方向に移動させる。その結果、キャリッジ10を画像形成領域IAから遠ざけて凸部103への衝突を回避する。
【0054】
そして、キャリッジ10が凸部103を通過したときに、キャリッジ10を支持しているガイドレール40をレール移動部30に沿って画像形成領域IAに接近する方向に移動させる。その結果、キャリッジ10を画像形成領域IAに接近させて、温風ヒーター110からの温風が画像形成面に付着した液体インクの乾燥を促進する状態にする。
【0055】
また、キャリッジ10の移動速度(キャリッジ速度)を維持しながら、キャリッジ10を接離方向に移動させるように制御するので、キャリッジ10が凸部103へ接近して衝突することになる位置の手前にて、画像形成領域IAから離間する方向への移動を始める。そして、キャリッジ10が凸部103を通過するタイミングで、画像形成領域IAへ接近する方向への移動を始めるようにする。
【0056】
そうすると、軌跡(移動経路1010a)のようにキャリッジ10が離間方向への移動をしている凸部103の周辺位置において、画像形成領域IAと温風ヒーター110との距離が遠くなるので、この位置に当たる温風が弱くなる(風量が少なく温度も低くなる)。そこで、キャリッジ10が凸部103を避ける退避動作を行って、乾燥ギャップが広がるときには、制御部150は送風条件を変更して、温風ヒーター110のヒーター温度を上昇させ、風量も増加させるように制御を行う。これによって、凸部103に隣接した平坦部101における液体インクの乾燥不良を防止することができる。
【0057】
すなわち、本実施形態に係るプリンタ1によれば、画像形成領域IAにおける凹凸に応じて、特に凸部及び凸部近傍における液体吐出動作において、キャリッジ10が凸部を回避するように移動経路1010aを変更するように制御する。また、移動経路1010aに応じて、温風ヒーター110の温度、風量を変更することで、特に大きなギャップとなる領域における適切な乾燥品質を得ることができる。
【0058】
[液体吐出方法の第三実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出方法の第三実施形態について説明する。
図9は、画像形成領域IAに対するキャリッジ10の軌跡(移動経路1010b)と、キャリッジ10の位置に応じて変化するキャリッジ速度及び、温風ヒーター110の送風条件を可変させる制御例である。
【0059】
図6に例示した軌跡(移動経路1010b)の場合において、キャリッジ10が留まる時間が長くなる移動開始位置1011と反転位置1012の近傍において、温風ヒーター110の送風条件を変更する。
【0060】
例えば、キャリッジ10が画像形成領域IAのよりも外側の移動開始位置1011に停止しており、ここから+X方向に加速しながら移動する加速区間と、画像形成領域の外側に当たる反転位置1012に近づくにしたがって、キャリッジ10は停止のために減速をする減速区間ではキャリッジ速度が異なる(
図9(b))。
【0061】
すでに説明したとおり、キャリッジ10は、移動開始位置1011を起点として反転位置1012まで移動して停止し、その後、移動開始位置1011に向かう移動を繰り返す。この間、加減速区間におけるキャリッジ速度は、定常速度区間よりも遅くなる。すなわち、移動開始位置1011と反転位置1012の近傍においては、画像形成領域IAを有する車体CBに温風ヒーター110からの温風が当たる時間が長くなるので、結果として、この領域の加熱時間が長くなる。その結果、温度上昇が他の部分よりも高くなることで熱変形を生じさせる懸念が生ずる。
【0062】
そこで、本実施形態では、
図9(c)に示すように、キャリッジ10の速度が、平坦部101における定常速度に至るまでの加速の期間と停止までの減速の期間に相当する位置では、温風ヒーター110の送風条件を変更して、温度を低くし、また風量の少なくする。すなわち、キャリッジ10の移動速度が定常速度以下のときには、その速度に応じて温風ヒーター110からの風量を少なくし、ヒーター温度を低下させる。これによって、例えばキャリッジ10の反転位置1012近傍における、画像形成領域IAへの熱ダメージを防止することができる。
【0063】
すなわち、本実施形態に係るプリンタ1によれば、画像形成領域IAに対するキャリッジ10の移動において、移動方向を反転させる位置近傍おける画像形成領域IAの熱変形を防止できる。そして、画像形成の対象物におけるか過度な温度情報を抑制し、画像の質を向上できる。
【0064】
[制御プログラムの実施形態]
次に、本発明に係る制御プログラムの実施形態について、
図10のフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートは、本発明に係る制御プログラムの実施形態を制御部150において実行したときの、制御処理の流れの例である。
【0065】
まず、プリンタ1は、制御処理を開始すると、画像形成領域IAの凹凸情報を取得するための処理を実行する(S1001)。なお、凹凸情報が既に取得されているときには、S1001の処理は実行されなくてもよい。S1001によって、画像形成領域IAの凹凸情報を制御部150に記憶する。この凹凸情報は、キャリッジ10を移動させるときに、画像形成領域IAに存在する凹部102や凸部103に応じて、温風ヒーター110の送風条件を制御するときの情報として用いられる。
【0066】
次に、描画データが入力されるまで処理をループする(S1002/NO)。描画データが入力されたら(S1002/YES)、液体吐出処理を実行する(S1003)。液体吐出処理の詳細は、
図11に示す。
【0067】
[液体吐出処理の実施形態]
次に、本発明に係る制御プログラムの実施形態としての液体吐出処理(S1003)の詳細について、
図11のフローチャートを用いて説明する。入力された描画データに基づいて、キャリッジ10を移動開始位置1011から+X方向への移動を開始する(S1101)。そして、液体吐出動作を開始する(S1102)。
【0068】
液体吐出動作に続いて、記憶されている凹凸情報を参照する(S1103)。参照した凹凸情報に基づいて、送風条件の変更の要否を判定する(S1104)。送風条件の変更が必要のとき(S1104:YES)、当該位置に応じた送風条件になるように設定を変更し(S1105)、送風動作を行う(S1106)。
【0069】
描画データが終了するまで(S1107:YES)、S1102からの処理を繰り返す。描画データが終了したら(S1107:NO)、液体吐出処理を終了する。
【0070】
上記の液体吐出動作(S1106)において、キャリッジ10の位置に対応し、またはキャリッジ10の移動速度に対応して、
図9を用いて説明した加速や減速をする区間にあるときの送風条件の変更を並行して行ってもよい。
【0071】
[液体吐出装置の第二実施形態]
また、本発明は、
図1等を用いて説明した第一実施形態に限定されるものではなく、例えば、
図12に示す変形例としての第二実施形態も含むものである。すなわち、本発明は、
図20に示す第二実施形態のように、対象物200の車体を塗装する塗装ロボット8000への適用も可能である。
【0072】
第二実施形態に係る塗装ロボット8000は、複数の関節によって人間の腕のように自由な動きを可能としたロボットアーム810を備え、ロボットアーム810の先端に液体を吐出するヘッドを含む液体吐出ユニット820を備えている。
【0073】
また、ロボットアーム810は液体吐出ユニット820の近傍に3Dセンサ830を備えている。
【0074】
第二実施形態に係るロボットアーム810は、第一実施形態に係る支柱20、レール移動部30、及びガイドレール40に相当する機能を有する構成である。すなわち、第二実施形態に係る液体吐出ユニット820が、第一実施形態に係るキャリッジ10に相当する。
【0075】
塗装ロボット8000としては、5軸、6軸、7軸など適宜の軸数を備えた多関節ロボットを用いることができる。塗装ロボット8000は、3Dセンサ830によって対象物200に対する液体吐出ユニット820の位置を検知し、その検知結果に基づきロボットアーム810を動かして対象物200を塗装する。
【0076】
塗装ロボット8000が備える液体吐出ユニット820には、第一実施形態に係る温風ヒーター110と同様の構成を備える。したがって、塗装ロボット8000は、3Dセンサ830の検知結果に基づきロボットアーム810を動かして対象物200に付着した液体インクを乾燥させる。
【0077】
第二実施形態に係る塗装ロボット8000によれば、画像形成領域IAに相当する対象物200に対し液体吐出口及び温風ヒーター110を立体的に移動させて、凹凸のある対象物200に付着させた液体インクを乾燥させることができる。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、凹凸を有する画像形成領域IAに対して吐出した液体を、最適な乾燥条件で乾燥させることができる。これによって、大型の対象物に対して形成される画像の質を向上でき、また、対象物に対する過度の加熱を抑制できる。
【0079】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0080】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1> 対象物に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
当該液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、
を備え、
前記送風部は、前記対象物の凹凸に応じて、送風条件を可変する、
ことを特徴とする液体吐出装置である。
<2> 前記送風部は、前記送風条件を可変するとき、前記キャリッジの移動速度に応じて前記送風に係る風量もしくは温度の少なくとも一方を変更する、
前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3> 前記送風部は、前記送風条件を可変するとき、前記キャリッジの移動速度に応じて前記送風の強度もしくは温度の少なくとも一方を変更する、
前記<1>又は前記<2>に記載の液体吐出装置である。
<4> 前記キャリッジは、前記対象物の凸部を通過するときは、当該凸部を回避できるように距離を変更して移動し、前記対象物の凹部を通過するときに、当該対象物との距離は前記対象物の平坦部の距離と同じ距離で移動し、
前記送風部は、前記凸部に接近及び離間する近傍における前記送風条件を変更し、また、前記凹部を通過するときに前記送風条件を変更する、
前記<1>乃至前記<3>のいずれかに記載の液体吐出装置である。
<5> 前記送風部は、
前記対象物の平坦部の風量よりも、前記対象物の凸部においては風量を弱め、当該対象物の凹部において風量を強める、
前記<1>乃至前記<4>のいずれかに記載の液体吐出装置である。
<6> 前記送風部は、前記キャリッジの移動方向を反転させる反転位置の近傍において前記送風の風量を弱めるようにする、
前記<1>乃至前記<5>のいずれかに記載の液体吐出装置である。
<7> 前記送風部は、前記キャリッジの走査方向における一方又は両方に搭載される、
前記<1>乃至前記<6>のいずれかに記載の液体吐出装置である。
<8> 前記キャリッジを前記対象物に対して主走査方向へと移動可能に支持するガイドレールと、
前記ガイドレールを副走査方向に移動可能に保持するレール保持部と、
レール保持部を支持する支柱と、
前記レール保持部に対して前記キャリッジを接離可能に保持するキャリッジ保持部と、
を備え、
前記キャリッジは、前記対象物の凹凸に応じて前記レール保持部からの距離を可変させる、
前記<1>乃至前記<7>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<9> 液体を吐出する液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドを搭載し、前記液体の吐出先となる対象物に対し当該液体吐出ヘッドを摺動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、を備る液体吐出装置において実行可能な液体吐出方法であって、
前記対象物の凹凸に応じて送風条件を可変して前記液体の吐出先に向けて送風をする、
ことを特徴とする液体吐出方法である。
<10> 液体を吐出する液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドを搭載し、前記液体の吐出先となる対象物に対し当該液体吐出ヘッドを摺動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記対象物に向けて送風をする送風部と、を備る液体吐出装置において実行可能な制御プログラムであって、
前記キャリッジを所定の方向に移動させながら前記液体を吐出する吐出ステップと、
前記所定の方向に移動する前記キャリッジの位置に応じて前記対象物の凹凸を判定する判定ステップと、
前記凹凸の判定結果に基づいて、前記送風部における送風条件を変更するステップと、
を前記液体吐出装置において実行させる制御プログラムである。
【符号の説明】
【0081】
1 :プリンタ
10 :キャリッジ
15 :制御装置
20 :支柱
21 :レール保持部移動機構
30 :レール移動部
40 :ガイドレール
100 :液体吐出ヘッド
101 :平坦部
102 :凹部
103 :凸部
110 :温風ヒーター
120 :領域状態検出機構
150 :制御部
200 :対象物
810 :ロボットアーム
820 :液体吐出ユニット
830 :3Dセンサ
1010 :移動経路
1010a :移動経路
1010b :移動経路
1011 :移動開始位置
1012 :反転位置
8000 :塗装ロボット
CB :車体
IA :画像形成領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】