(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006107
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】シリコンウェーハ及びシリコン単結晶のインゴットの育成方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20240110BHJP
C30B 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C30B29/06 502H
C30B15/00 Z
C30B29/06 502G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106686
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】梶原 薫
(72)【発明者】
【氏名】朝長 恒成
(72)【発明者】
【氏名】黒川 篤史
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077AB06
4G077BA04
4G077CF10
4G077EB01
4G077EJ02
4G077GA01
4G077GA05
4G077HA12
4G077PA04
(57)【要約】
【課題】高抵抗かつ極低酸素濃度のシリコンウェーハを提供すること及び当該ウェーハを製造するための、低酸素かつ結晶成長方向に抵抗率のばらつきが少ないシリコン単結晶のインゴットの育成方法を提供する。
【解決手段】シリコンウェーハは、ドーパント元素としてリンとアンチモンを含有し、酸素濃度が5×1017atoms/cm3以下で、抵抗率が30Ωcm以上1000Ωcm以下である。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパント元素としてリンとアンチモンを含有し、
酸素濃度が5×1017atoms/cm3以下で、
抵抗率が30Ωcm以上1000Ωcm以下であるシリコンウェーハ。
【請求項2】
リン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下、
アンチモン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下である、請求項1に記載のシリコンウェーハ。
【請求項3】
アンチモン濃度がリン濃度の50%以上200%以下である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ。
【請求項4】
リン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低く、
アンチモン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低い、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ。
【請求項5】
ウェーハの外周部のリン濃度とウェーハの中心部のリン濃度との比が0.93以上1.00以下、且つ、
ウェーハの外周部のアンチモン濃度とウェーハの中心部のアンチモン濃度との比が0.90以上0.97以下である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ。
【請求項6】
リン及びアンチモンが添加されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引き上げるシリコン単結晶インゴットの育成方法であって、
前記シリコン融液に磁場を印加するとともに、
前記シリコン単結晶インゴットの引上げ量の増大に伴って前記シリコン単結晶インゴット中のアンチモン濃度を低下させる、シリコン単結晶インゴットの育成方法。
【請求項7】
前記シリコン融液が収容された炉内にアルゴンガスを通流させ、
前記炉内の圧力は60Torr以下とし、
前記アルゴンガスの流量は、100L/min以上とする、請求項6に記載のシリコン単結晶インゴットの育成方法。
【請求項8】
ポリシリコン原料とリンとを溶解した溶解液にアンチモンを添加して前記シリコン融液を調製する請求項6又は7に記載のシリコン単結晶のインゴットの育成方法。
【請求項9】
前記磁場をカスプ磁場方式で印加する、請求項6又は7に記載のシリコン単結晶のインゴットの育成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ及びシリコン単結晶のインゴットの育成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)用シリコンウェーハを提供するための単結晶シリコンインゴットの製造方法として、ドーパントとしてリンを添加した高抵抗且つ低酸素の単結晶シリコンインゴットを育成することが行われている。しかし、リンの偏析係数は小さく、すなわち、リンは偏析しやすいため、インゴットの引上げが進むにつれてシリコン融液中のリン濃度が高くなり、結晶中に取り込まれるリン濃度も高くなり、抵抗率は低くなってしまう。そのため、結晶長さ方向の抵抗率分布において、所望とする抵抗率範囲を満たすインゴット部分の収率が低いという問題がある。そこで、リンよりも蒸発速度の速いn型ドーパント(アンチモンあるいはヒ素)を使用し、インゴットの引上げ量の増大に伴うシリコン融液からのドーパントの蒸発量を制御することにより、所望とする抵抗率を満たす結晶領域の歩留まりを向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、n型不純物であるリンに対して、例えば逆極性のp型不純物のアルミニウムなどをカウンタードープすることで歩留まりを向上させ、結晶引き上げ後半にシリコン融液中で濃縮されるアルミニウムによる抵抗率変動を、リンよりも偏析係数の小さいアンチモンドープで改善しようとするものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、単一のドープ剤を使用する場合よりも少量のドープ剤で、抵抗率が低く、転位の少ない半導体ウェーハを製造するために、2つのn型ドーパント同士を添加することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-31023号公報
【特許文献2】特開2013-87008号公報
【特許文献3】特開2005-220013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IGBT用途では、極低酸素(例えば、5×1017atoms/cm3以下)のシリコンウェーハの提供が求められる。そのため、極低酸素のシリコンウェーハを製造するための単結晶シリコンインゴット(以下、インゴットと記載する場合がある)及びその製造方法においては、製品歩留まり向上の観点から、インゴットの結晶長さ方向において、できるだけ極低酸素の濃度を満たす結晶領域を多く成長させることが肝要となる。
【0005】
チョクラルスキー法におけるインゴットの育成後半では、結晶成長による消費により坩堝(例えば、石英坩堝)内のシリコン融液が少なくなる。これにより、シリコン融液の温度を維持すべく坩堝の加熱を強化する必要が生じる。そのため坩堝温度が高くなり、坩堝からシリコン融液に酸素が拡散して結晶中の酸素濃度が高くなる傾向ある。したがって、シリコン融液の酸素濃度を低下させるべく、シリコン融液からの酸素蒸発を促進させる必要が生じる。そのため、単結晶育成の後半においては、炉内を低圧力としたり、炉内に通流させるアルゴンガスの流量を増加させたりする場合がある。
【0006】
しかしながら、アンチモンは蒸発しやすい元素である。そのため、従来技術(例えば、特許文献1から3参照)のごとく、ドーパントとしてアンチモンを添加した単結晶育成を行う場合、酸素蒸発を促進させるべく炉内を低圧力としたり、炉内に通流させるアルゴンガスの流量を増加させたりすると、酸素のみならずアンチモンもシリコン融液から蒸発してしまう。これにより、インゴットの育成後半においてアンチモンの蒸発が過多となる場合がある。その結果、インゴットにおける結晶中のドーパント濃度が低くなり、所望の抵抗値よりも高い抵抗率になってしまい、製品歩留まりが低下するという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載されるような、リンに対するアルミニウムカウンタードープとアンチモン添加とを組み合わせたインゴットの育成方法は、各ドーパントの濃度管理が複雑となり、結局、インゴットにおける結晶成長方向に沿った抵抗率の制御が困難となる場合がある。また、例えば極低酸素化したい場合などでは、酸素蒸発とともにアンチモンの蒸発量が高まり、アンチモン濃度がインゴットにおける結晶成長方向に徐々に低下する育成条件となる場合も想定されるが、特許文献2に記載された育成方法ではこのような場合は想定されていない。また、特許文献3に記載されるような半導体ウェハでは、比抵抗が低いものに限られてしまう。
【0008】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、高抵抗かつ極低酸素濃度のシリコンウェーハを提供すること、及び当該ウェーハを製造するための、低酸素かつ結晶成長方向に抵抗率のばらつきが少ないシリコン単結晶のインゴットの育成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは鋭意研究し、偏析係数や蒸発のしやすさに起因する結晶成長過程における融液中のドーパントの濃度変化に伴う結晶の抵抗率変化の制御と極低酸素化とを両立すべく、リン(P)とアンチモン(Sb)とのダブルドープを想起した。本発明の要旨構成は以下のとおりである。
【0010】
(1)ドーパント元素としてリンとアンチモンを含有し、
酸素濃度が5×1017atoms/cm3以下で、
抵抗率が30Ωcm以上1000Ωcm以下であるシリコンウェーハ。
【0011】
(2)リン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下、
アンチモン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下である、上記(1)に記載のシリコンウェーハ。
【0012】
(3)アンチモン濃度がリン濃度の50%以上200%以下である、上記(1)又は(2)に記載のシリコンウェーハ。
【0013】
(4)リン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低く、
アンチモン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低い、上記(1)から(3)の何れか一つに記載のシリコンウェーハ。
【0014】
(5)ウェーハの外周部のリン濃度とウェーハの中心部のリン濃度との比が0.93以上1.00以下、且つ、
ウェーハの外周部のアンチモン濃度とウェーハの中心部のアンチモン濃度との比が0.90以上0.97以下である、上記(1)から(4)の何れか一つに記載のシリコンウェーハ。
【0015】
(6)リン及びアンチモンが添加されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引き上げるシリコン単結晶インゴットの育成方法であって、
前記シリコン融液に磁場を印加するとともに、
前記シリコン単結晶インゴットの引上げ量の増大に伴って前記シリコン単結晶インゴット中のアンチモン濃度を低下させる、シリコン単結晶インゴットの育成方法。
【0016】
(7)前記シリコン融液が収容された炉内にアルゴンガスを通流させ、
前記炉内の圧力は60Torr以下とし、
前記アルゴンガスの流量は、100L/min以上とする、上記(6)に記載のシリコン単結晶インゴットの育成方法。
【0017】
(8)ポリシリコン原料とリンとを溶解した溶解液にアンチモンを添加して前記シリコン融液を調製する、上記(6)又は(7)に記載のシリコン単結晶のインゴットの育成方法。
【0018】
(9)前記磁場をカスプ磁場方式で印加する、上記(6)から(8)の何れか一つに記載のシリコン単結晶のインゴットの育成方法。
【発明の効果】
【0019】
高抵抗かつ極低酸素濃度のシリコンウェーハを提供すること及び当該ウェーハを製造するための、低酸素かつ結晶成長方向に抵抗率のばらつきが少ないシリコン単結晶のインゴットの育成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係るシリコン単結晶のインゴットの育成方法を実現する育成装置の概略構成の説明図である。
【
図3】固化率と抵抗率比との関係を示すグラフである。
【
図4】抵抗率規格と歩留比率との関係を示すグラフである。
【
図5】固化率とSb/P濃度比との関係を示すグラフである。
【
図6】ウェーハの面内位置とドーパント濃度比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るシリコンウェーハ及びシリコン単結晶のインゴットの育成方法について説明する。
【0022】
本実施形態に係るシリコンウェーハは、ドーパント元素としてリン(P)とアンチモン(Sb)を含有している。シリコンウェーハにおける酸素濃度は5×1017atoms/cm3以下である。シリコンウェーハの抵抗率が30Ωcm以上1000Ωcm以下である。シリコンウェーハにおける酸素濃度は、更に好ましくは4×1017atoms/cm3以下である。シリコンウェーハの酸素濃度の下限を1×1017atoms/cm3以上とすることが望ましい。
【0023】
本実施形態において、抵抗率は、四探針法により測定した値と規定する。また、本実施形態において、シリコンウェーハの酸素濃度は、ASTM F121-1979に準拠した測定方法で求めた値と規定する。
【0024】
本実施形態に係るシリコンウェーハは、リン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下、アンチモン濃度が1.0×1012atoms/cm3以上1.1×1014atoms/cm3以下とされることが好ましい。リン濃度及びアンチモン濃度をこれら範囲で調整することで、シリコンウェーハの抵抗率を30Ωcm以上1000Ωcm以下の所定の抵抗率に調整することができる。
【0025】
本実施形態において、シリコンウェーハのリン濃度は、シリコンウェーハを研磨加工により薄膜化し、シリコンウェーハ厚み中心におけるリン濃度を二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて測定した値である。シリコンウェーハの最表面はノイズ成分が多いため正確なリン濃度の測定が困難である。そこで、最表面を除くようにウェーハ表面から深さ1μm以上の深さ位置で測定すれば正確なリン濃度の測定が可能となる。本実施形態ではより正確な値とするため、シリコンウェーハ厚み方向における中心を測定した値を、シリコンウェーハのリン濃度と規定する。
【0026】
本実施形態において、シリコンウェーハのアンチモン濃度は、シリコンウェーハを研磨加工により薄膜化し、シリコンウェーハ厚み中心におけるアンチモン濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定した値である。シリコンウェーハの最表面はノイズ成分が多いため正確なアンチモン濃度の測定が困難である。そこで、最表面を除くようにウェーハ表面から深さ1μm以上の深さ位置で測定すれば正確なアンチモン濃度の測定が可能となる。本実施形態ではより正確な値とするため、シリコンウェーハ厚み方向における中心を測定した値を、シリコンウェーハのアンチモン濃度と規定する。
【0027】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、アンチモン濃度がリン濃度の50%以上200%以下であることが好ましい。更に好ましくは、アンチモン濃度がリン濃度の80%以上150%以下である。このようなアンチモンとリンとの濃度バランスとすることで、所望とする抵抗率規格を満たすシリコンウェーハの製造歩留を向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、リン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低く、アンチモン濃度は、ウェーハの中心部よりも外周部において低い、ことが好ましい。このようにすることで、所望とする抵抗率規格を満たすシリコンウェーハの製造歩留を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、ウェーハの外周部のリン濃度とウェーハの中心部のリン濃度との比が0.93以上1.00以下であることが好ましい。また、ウェーハの外周部のアンチモン濃度とウェーハの中心部のアンチモン濃度との比が0.90以上0.97以下であることが好ましい。このようなアンチモンとリンとの濃度バランスとすることで、シリコンウェーハの面内抵抗分布ばらつき(径方向抵抗率分布、RRG:Radial Resistivity Gradient)を5%以下とすることができる。
【0030】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、ウェーハの中心部のリン濃度からウェーハの外周部のリン濃度を差し引いた差分値が、ウェーハの中心部のアンチモン濃度からウェーハの外周部のアンチモン濃度を差し引いた差分値よりも小さいことが好ましい。このようにすることで、シリコンウェーハの面内抵抗分布ばらつき(RRG)を5%以下とすることができる。
【0031】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、面内抵抗分布ばらつき(RRG)が5%以内であることが好ましい。
【0032】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、窒素濃度が1×1013atoms/cm3以上5×1015atoms/cm3以下であることが好ましい。窒素を添加することにより、無欠陥結晶を育成可能な引き上げ速度マージンを広げて無欠陥結晶の歩留まりを高めることができる。窒素濃度が下限値未満では無欠陥結晶を育成可能な引き上げ速度マージンを拡大させることが困難となり、上限値を超えるとシリコン中の窒素が固溶限界に近づいてしまい、無転位で単結晶を育成することが困難となる。シリコン単結晶中の窒素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るシリコンウェーハは、COPが存在せず、かつ、転位クラスタが存在しないことが好ましい。なお、COPが存在しないとは、例えば赤外トモグラフでCOPは観察されないことを意味する。また、セコエッチングを行って転位クラスタが観察されないことを意味する。
【0034】
本実施形態において、シリコンウェーハの窒素濃度は、シリコンウェーハを研磨加工により薄膜化し、シリコンウェーハ厚み中心における窒素濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定した値である。シリコンウェーハの最表面はノイズ成分が多く、正確な窒素濃度の測定が困難である。そこで、最表面を除くようにウェーハ表面から深さ1μm以上の深さ位置で測定すれば正確な窒素濃度の測定が可能となる。本実施形態ではより正確な値とするため、シリコンウェーハ厚み方向における中心を測定した値を、シリコンウェーハの窒素濃度と規定する。
【0035】
本実施形態に係るシリコンウェーハは、一例として、リン及びアンチモンが添加されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引き上げるシリコン単結晶インゴットの育成方法であって、シリコン融液に磁場を印加するとともに、シリコン単結晶インゴットの引上げ量の増大に伴ってシリコン単結晶インゴット中のアンチモン濃度を低下させるシリコン単結晶インゴットの育成方法により育成されたシリコン単結晶インゴットを切り出して製造することができる。
【0036】
本実施形態におけるシリコン単結晶インゴットの育成方法としては、チョクラルスキー(Czochralski,Cz)法を用いることができる。チョクラルスキー法は、坩堝内で溶融させたシリコン融液を温度勾配下で上方に引き上げることによってシリコン単結晶インゴットを育成する方法である。
【0037】
図1には、本実施形態に係るシリコン単結晶インゴット(以下、単にインゴットと記載する場合がある)の育成方法を実現するインゴットの育成装置の一例を示している。
図1に示す育成装置100は、チョクラルスキー法により本実施形態に係るインゴットの育成方法を実現することができる。
【0038】
育成装置100は、チャンバ11(炉の一例)と、インゴット16の原料(例えば、ポリシリコン)を収容する石英坩堝12(以下、単に坩堝12と記載する)と、坩堝12内の原料を加熱して原料融液13(シリコン融液の一例)とするヒーター14と、坩堝12を円周方向に回転させる坩堝回転機構15と、インゴット16を育成するための種結晶17を保持する種結晶保持器18と、種結晶保持器18が先端に取り付けられているワイヤーロープ19と、ワイヤーロープ19を回転させながらインゴット16、種結晶17及び種結晶保持器18を回転させつつ引き上げる巻取り機構20と、原料融液13に所定の磁場を印加する磁石21と、を備えている。
【0039】
坩堝12、ヒーター14、坩堝回転機構15、ワイヤーロープ19及び巻取り機構20は、チャンバ11内に収容されている。坩堝回転機構15は、坩堝12の下部に設けられている。磁石21は、チャンバ11の下部外側に配置されている。チャンバ11には、チャンバ11内にアルゴンガスを供給される供給口11aと、チャンバ11内からアルゴンガス及び原料融液13からの気化物を排出する排気口11bとを有する。
【0040】
育成装置100では、以下のようにインゴット16を育成する。まず、坩堝12中に所定量のポリシリコンとリンとを収容する。そして、チャンバ11にアルゴンガスを通流しつつ、ヒーター14で坩堝12を加熱し、ポリシリコンとリンとの溶解液を調製する。次に、ヒーター14での加熱とアルゴンガスの通流とを継続しつつ、アンチモンをこの溶解液に添加して、リン及びアンチモンが添加されたシリコン融液としての原料融液13を調製する。溶解液及び原料融液13には磁石21で所定の磁場を印加する。
【0041】
リンについては、上記のごとくポリシリコンと共に溶解させることでリンの溶け残りを防止することができる。これにより所望の濃度のドーパントを含む原料融液13の調製が可能となる。
【0042】
また、アンチモンは蒸発しやすい特性を有するが、上記のごとくポリシリコンとリンとの溶解液を調製してから更にアンチモンを添加して原料融液13を調製することで、原料溶解中におけるアンチモンの蒸発によるアンチモン濃度の低下を回避することができる。これにより所望の濃度のドーパントを含む原料融液13の調製が可能となる。なお、アンチモンの蒸発をより防止する観点からはアンチモンの添加のタイミングを遅らせることが望ましく、アンチモンの溶解液への添加は、種結晶17を原料融液13に接触させる直前、あるいは接触直後に行うことが望ましい。
【0043】
また、リンおよびアンチモンの添加はそれぞれの元素からなる固体ドーパント(粒状)で添加してもよく、高抵抗のシリコン単結晶を育成するには、極少量のドーパント添加が求められることから、ドーパント元素をシリコンに溶解させたシリコン塊を破砕してドーパント濃度を希釈させたシリコン片の状態で添加するようにしてもよい(粒状ドーパント又は希釈ドーパントの添加)。
【0044】
次に、原料融液13に対して磁場を印加した状態で、また、チャンバ11にアルゴンガスを通流させた状態で、種結晶保持器18に保持された種結晶17を原料融液13に接触させる。そして、坩堝回転機構15により坩堝12を所定の回転速度で回転させるとともに、種結晶17(すなわちインゴット16)を所定の回転速度で回転させながら巻き取り機構20で巻き取って、種結晶17及び種結晶17下に成長させたインゴット16を引き上げる。このようにして、
図2に示すような、所定の直径を有するインゴット16を製造することができる。なお、
図2では、インゴット16の上端側の部分を上端部(ショルダー部)16a、下端側の部分を下端部(テール部)16bとして示している。
【0045】
インゴット16の引上げ中は、チャンバ11内(炉内)の圧力は60Torr以下とすることが好ましい。チャンバ11内の圧力は更に好ましくは20以上40以下である。また、チャンバ11を通流させるアルゴンガスの流量は、100L/min以上(例えば、チャンバ11内の空間容量が4m3以下の場合)とすることが好ましい。チャンバ11を通流させるアルゴンガスの流量は、更に好ましくは120L/min以上200L/min以下である。原料融液13からは、リン単体、アンチモン単体、リン化合物(PxOyなど)又はアンチモン化合物(SbxOyなど)が気化(蒸発)してガスとなる。排気口11bから排気されるアルゴンガス中における、これらガスの濃度を計測し、チャンバ11を通流させるアルゴンガスの流量を変化させてもよい。なお、CZ法(育成装置100)で育成可能なシリコン単結晶インゴット(インゴット16)の酸素濃度は、例えば1×1017atoms/cm3程度まで下げることができる。
【0046】
原料融液13に印可する磁場は、カスプ磁場であることが好ましい。
図1では、磁石21が、カスプ磁場を印加する一対のコイル22を有する場合を例示して図示している。一対のコイル22は、原料融液13に対してシリコン融液に対して鉛直方向の磁場を印加するコイル22aと、コイル22aよりも下方に配置され、コイル22aとは逆向きの鉛直方向の磁場を印加するコイル22bとを含む。原料融液13に磁場が印可されることにより、原料融液13内での融液の対流を抑制することができる。
【実施例0047】
以下では実施例を説明する。
【0048】
(実施例1)
図1に示した育成装置100を用い、チョクラルスキー法によって直径200mm、直胴長1500mmであるシリコン単結晶インゴットを育成した。まず坩堝12に原料となるポリシリコン塊とn型のドーパントとしてリン(P)を投入し、アルゴン雰囲気中でポリシリコンおよびリンを溶解した。次に、溶解させたシリコン融液中にn型のドーパントとしてアンチモン(Sb)を添加してアンチモンを溶解させた原料融液13を生成した。なお、本実施例では、リン(P)とアンチモン(Sb)以外のドーパントは添加していない。
【0049】
シリコン融液へのドーパントの添加量は、インゴット16の直胴開始位置での比抵抗が50Ωcmとなると予測されるドーパント量に調整した。原料融液13調製時におけるリン濃度は3.49×1013atoms/cm3とした。原料融液13調製時におけるアンチモン濃度は、4.42×1013atoms/cm3とした。なおインゴット16の結晶の狙いの比抵抗(すなわち、ウェーハの比抵抗の目標値)は、インゴット16の結晶成長方向(長手方向)において60Ωcmとした。
【0050】
更に、原料融液13に種結晶17を接触させて、原料融液13にカスプ磁場を印加しつつ、種結晶17及び坩堝12を回転させながら種結晶17を徐々に引き上げて、種結晶17下に無転位のシリコン単結晶(すなわち、インゴット16)を成長させた。この時、シリコン単結晶の成長速度をV、シリコン結晶と原料融液13との境界線である固液界面での融点から1350℃までの温度勾配G(℃/分)としたときの比であるV/Gを適宜制御して、COPフリー且つ転位クラスタフリーの単結晶(インゴット16)を引き上げた。
【0051】
チャンバ11を通流させるアルゴンガスの流量は、150L/minとし、チャンバ11の内圧(炉内圧)は、30Torrとした。
【0052】
(比較例1)
n型のドーパントとしてアンチモンのみを用い、原料融液13調製時におけるアンチモン濃度を5.41×1013atoms/cm3とした以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るシリコン単結晶インゴットを育成した。
【0053】
(比較例2)
n型のドーパントとしてリンのみを用い、原料融液13調製時におけるリン濃度を5.34×1013atoms/cm3とした以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るシリコン単結晶インゴットを育成した。
【0054】
実施例1及び比較例1,2で育成したシリコン単結晶インゴットは、公知の加工処理(切断、研削、研磨、エッチング、洗浄などの処理)を施して、シリコンウェーハ(以下、単にウェーハと記載する場合がある)とした。そして、これらウェーハ中の酸素ドナーを完全に消滅させるために1100℃の温度で90分保持する熱処理を施した。
【0055】
<結晶の比抵抗の測定結果>
実施例1及び比較例1,2の各ウェーハについて、四探針法により、各ウェーハの径方向における中心(中心部の一例)の抵抗率を測定した。
【0056】
得られた抵抗率の測定結果を、シリコン単結晶インゴットの直胴部の長さである結晶長L(インゴットの長さ、
図2参照)に対する比率である固化率(結晶長Lを100とした場合の、直胴0mmの位置(
図2のA部参照)からの比率)で整理したグラフを
図3に示す。
【0057】
図3に示すグラフでは、抵抗率について、実施例1及び比較例1,2における、それぞれの固化率10%の位置における各抵抗率を1として規格化した抵抗率比(各固化率の抵抗率を、各固化率10%時の抵抗率で除した値)で示している。なお、実施例1、比較例1及び比較例2における、それぞれの固化率10%の位置における各抵抗率は、この順に62Ωcm、79Ωcm、及び80Ωcmである。
【0058】
図3に示すグラフより、以下のことがわかる。すなわち、実施例1に係るインゴットでは、固化率(結晶長)の増加に対して抵抗率比の変動量が小さく、抵抗率比は1前後で推移している。すなわち、実施例1に係るインゴットでは、結晶成長方向(インゴットの長手方向)に沿った抵抗率が一様である。
【0059】
これに対し、比較例1では、固化率(結晶長)の増加に対し、抵抗率比は概ね単調減少しており、例えば固化率50%以降では、抵抗率比が1よりも小さい側に大きく乖離してしまっている。すなわち、比較例1では、インゴットの育成過程において、インゴットの引上げ量の増大に伴って、インゴット中のアンチモン濃度が低下していると考えられる。
【0060】
また、比較例2では、固化率(結晶長)の増加に対し、抵抗率比は概ね単調増加しており、例えば固化率40%以降では、抵抗率比が1よりも大きい側に大きく乖離してしまっている。すなわち、比較例2では、比較例1の場合とは逆に、インゴットの育成過程において、インゴットの引上げ量の増大に伴って、インゴット中のリン濃度が上昇していると考えられる。
【0061】
なお、比較例2における、固化率と抵抗率比との関係を考慮すると、実施例1の場合でも、インゴットの育成過程において、インゴットの引上げ量の増大に伴って、インゴット中のアンチモン濃度が低下していると考えられる。
【0062】
<結晶歩留まり>
所定の抵抗率規格内となる結晶歩留まりを求めた。結晶歩留まりは、所定の抵抗範囲内のブロック長[mm]を全ブロック長(結晶長L、
図2参照)[mm]で割った値と定義する。抵抗率規格は、各ウェーハにおいて測定された抵抗率が、目標とした抵抗値50Ω・cmに対して、前後10%の範囲内、前後8%の範囲内及び前後5%の範囲内となる場合を良品とした場合について求めた。そして、抵抗率規格を50Ω・cmに対して前後10%の範囲内となる場合を良品とした場合における比較例2の歩留まりを1とし、実施例1及び比較例1,2の各抵抗率規格における歩留まりの値を規格化した歩留比率について整理したグラフを
図4に示す。
【0063】
図4に示すグラフより、実施例1に係るインゴットでは、比較例1,2のインゴットに比べて、歩留比率が約2倍(すなわち、歩留が2倍)となっており、極めて良好である。すなわち、実施例1に係るインゴットは、抵抗率でみた場合の収率(抵抗率収率)が高い。
【0064】
<酸素濃度測定>
なお、実施例1及び比較例1,2の各ウェーハ(切り出した全てのウェーハ)について、ASTM F121-1979に準拠して酸素濃度を測定したところ、いずれも、4×1017atoms/cm3以下の極低酸素のウェーハであった。
【0065】
以上の結果から、本実施形態に係るシリコン単結晶のインゴットの育成方法では、極低酸素のシリコンウェーハを製造可能であることが示された。また、この育成方法では、結晶成長方向に沿った抵抗率が一様で抵抗率収率が高いインゴットを製造可能であることが示された
【0066】
以下では、更に、実施例1に係るインゴット及びウェーハのその他の評価結果を説明する。
【0067】
<アンチモン/リン濃度比>
実施例1の各ウェーハについて、その径方向における中心のアンチモン濃度とリン濃度とを二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定し、アンチモン濃度とリン濃度との比率(アンチモン濃度をリン濃度で除した値、以下、Sb/P濃度比と称する)を求めた。Sb/P濃度比を固化率で整理したグラフを
図5に示す。なお、実施例1の各ウェーハは、いずれも、リン濃度は1.0×10
12atoms/cm
3以上1.1×10
14atoms/cm
3以下、であり、アンチモン濃度は1.0×10
12atoms/cm
3以上1.1×10
14atoms/cm
3以下であった。
【0068】
図5に示すグラフより、実施例1の各ウェーハは、固化率が大きくなるほど、Sb/P濃度比が小さくなる傾向にあることがわかる。すなわち、実施例1では、インゴットの育成過程において、インゴットの引上げ量の増大に伴って、インゴット中のアンチモン濃度が、リンに対して相対的に低下している。固化率が10%以上70%以下の範囲のウェーハでは、Sb/P濃度比が0.5以上2以下、すなわち、アンチモン濃度がリン濃度の50%以上200%以下である。
【0069】
<面内におけるアンチモン及びリン濃度の分布>
また、実施例1の各ウェーハ(ただし、抵抗値50Ω・cmに対して前後10%の範囲内である抵抗率規格内のウェーハ)について、ウェーハ外周から内側5mmを除いた面内領域において、ウェーハの中心から径方向に沿って5mmピッチでアンチモン濃度とリン濃度とを測定した。アンチモン濃度とリン濃度とをウェーハの中心からの径方向に沿った距離(ウェーハの面内位置)で整理したグラフを
図6に示す。なお、
図6では、アンチモン及びリンのそれぞれのドーパントの濃度について、ウェーハの中心におけるそれぞれのドーパントの濃度の値を1として規格化したドーパント濃度比として示している。また、
図6では、実施例1の各ウェーハの平均値を示している。
【0070】
図6に示すグラフより、実施例1の各ウェーハの平均値では、リン濃度が、ウェーハの中心部(ウェーハ中心)よりも外周部(ウェーハ外周から内側5mmの位置)において低いことがわかる。ウェーハの外周部のリン濃度とウェーハの中心のリン濃度とに着目すると、各ウェーハではそれぞれ、このドーパント濃度比は0.93以上1.00以下となっていた。
【0071】
また、
図6に示すグラフより、実施例1の各ウェーハの平均値では、アンチモン濃度は、ウェーハの中心部(ウェーハ中心よりも外周部(ウェーハ外周から内側5mmの位置)において低いことがわかる。ウェーハの外周部のアンチモン濃度とウェーハの中心部のアンチモン濃度とに着目すると、各ウェーハではそれぞれ、このドーパント濃度比は0.90以上0.97以下となっていた。
【0072】
<窒素濃度>
実施例1の各ウェーハについては、更に、上記の二次イオン質量分析法(SIMS)により径方向におけるウェーハの中心の窒素濃度を測定した。各ウェーハの窒素濃度は、1×1013atoms/cm3以上1×1015atoms/cm3以下であった。
【0073】
<その他の不可避不純物の濃度>
上述のリン、アンチモン及び窒素の濃度測定時において、その他の不可避不純物(例えば、アルミニウム)であって、1×1013atoms/cm3以上検出されたものはなかった。
【0074】
<径方向抵抗率分布>
更に、実施例1の各ウェーハについて、ウェーハ外周から内側5mmを除いた面内領域において、ウェーハの中心から径方向に沿って2mmピッチで抵抗率を測定した。抵抗率は、四探針法により測定した。そして、抵抗率の測定結果から、抵抗率の面内ばらつきを示すRRG(径方向抵抗率分布)を求めた。抵抗率の最大値をρMax、最小値をρMinとした場合、RRGは次式(1)により求めた。
【0075】
RRG(%)={(ρMax-ρMin)/ρMin}×100・・・(1)
【0076】
実施例1の各ウェーハは、いずれも、RRGが4%以内であった。
【0077】
<COP及び転位クラスタ>
実施例1の各ウェーハについて、COPと転位クラスタの評価を行った。COPの評価は、シリコンウェーハに対して、SC-1洗浄(即ち、アンモニア水と過酸化水素水と超純水とを1:1:15で混合した混合液による洗浄)を行い、洗浄後のシリコンウェーハ表面を、表面欠陥検査装置としてKLA-Tencor社製、Surfscan SP-1を用いて観察評価し、表面ピットと推定される輝点欠陥(LPD:Light Point Defect)を特定する。その際、観察モードはObliqueモード(斜め入射モード)とし、表面ピットの推定は、Wide/Narrowチャンネルの検出サイズ比に基づいて行う。こうして特定されたLPDに対し、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いてCOPか否かを評価した。転位クラスタの評価は、セコエッチング後のシリコンウェーハ表面の目視検査により確認した。セコエッチングを行う処理液はHF=100cm3、K2Cr2O7=50g(0.15mol/L)のものとした。その結果、実施例1の各ウェーハにはCOP及び転位クラスタは観察されなかった。
【0078】
以上のようにして、シリコンウェーハ及びシリコン単結晶のインゴットの育成方法を提供することができる。
【0079】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、原料融液13に印可する磁場は、カプス磁場であることが好ましく、
図1では、磁石21が、カスプ磁場を印加する一対のコイル22を有する場合を例示して説明した。しかし、原料融液13に印可する磁場は、カプス磁場に限られず、横磁場であってもよい。
【0080】
(2)上記実施形態では、実施例として直径200mmのシリコン単結晶インゴットを育成する場合を例示して説明した。しかし、インゴットの直径は200mmに限られず、直径150mmや直径300mmなど、用途に応じて変更してよい。
【0081】
(3)上記実施形態では、実施例としてウェーハの抵抗率(の目標値)が60Ωcmである場合を例示して説明した。しかし、この抵抗率は、60Ωcmである場合に限られない。ウェーハの抵抗率は、ウェーハ中のリン濃度とアンチモン濃度を、それぞれ、1.0×1012以上1.1×1014atoms/cm3以下及び1.0×1012以上1.1×1014atoms/cm3以下となる範囲で変更することで、30Ωcm以上1000Ωcm以下の所定の抵抗率に調整することができる。
【0082】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。