(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061349
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】顔料分散剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 23/18 20220101AFI20240425BHJP
C08F 8/44 20060101ALI20240425BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240425BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240425BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C09K23/18
C08F8/44
G03F7/004 504
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C09B67/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169245
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100137017
【弁理士】
【氏名又は名称】眞島 竜一郎
(72)【発明者】
【氏名】大竹 健太
(72)【発明者】
【氏名】青木 優介
(72)【発明者】
【氏名】西村 真之介
(72)【発明者】
【氏名】木下 健宏
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H148BC02
2H148BC06
2H148BC12
2H148BE03
2H148BE13
2H148BE23
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG06
2H148BH05
2H148BH18
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AD06
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225BA16P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4J100HA31
4J100HC05
4J100HE14
4J100HG01
4J100JA32
(57)【要約】
【課題】優れた現像性、色特性を有する感光性着色組成物に適用可能な顔料分散剤の製造方法を提供することができる。
【解決手段】本発明の顔料分散剤の製造方法は、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の一部又は全部を、モノブロモ化合物(a-1)と反応させて4級アンモニウムカチオン化する工程を有する。前記工程の温度条件が、35~75℃であり、前記モノブロモ化合物(a-1)がエチレン性不飽和基を有さないことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の一部又は全部を、モノブロモ化合物(a-1)と反応させて4級アンモニウムカチオン化する工程を有し、
前記工程の温度条件が、35~75℃であり、
前記モノブロモ化合物(a-1)がエチレン性不飽和基を有さないことを特徴とする顔料分散剤の製造方法。
【請求項2】
前記工程の反応時間が、30分~5時間である、請求項1に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項3】
前記モノブロモ化合物(a-1)が、炭素数2~20のアルキルブロマイド、炭素数2~20のヒドロキシアルキルブロマイド、臭素化芳香族化合物、及び臭素化カルボン酸からなる群から選択される一種以上である、請求項1に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項4】
前記モノブロモ化合物(a-1)が、炭素数2~20のアルキルブロマイドである、請求項3に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項5】
前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が、3級アミノ基のみを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項6】
前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基のモル数に対する、前記モノブロモ化合物(a-1)の付加率が、70~99%である、請求項5に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項7】
前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が、アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーと他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとのブロック共重合体であり、片末端領域にアミノ基が偏在している、請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料分散剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を混合する分散処理工程を有する、顔料分散組成物の製造方法。
【請求項9】
前記顔料分散剤(A)が、エチレン性不飽和基を含まない、請求項8に記載の顔料分散組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の製造方法で得られた顔料分散組成物と、バインダー樹脂(C-2)と、反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)とを混合する混合工程を有する感光性着色組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法で得られた感光性着色組成物を塗布して塗膜を作製する塗膜工程、
加熱して前記塗膜から溶剤を揮発させる乾燥工程、
フォトマスクを介して前記塗膜に光を照射する露光工程、
アルカリ現像液で現像してパターンを形成する現像工程、
を有する、カラーフィルターの製造方法。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料分散剤の製造方法で得られた顔料分散剤。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を有する、顔料分散組成物。
【請求項14】
前記顔料分散剤(A)が、エチレン性不飽和基を含まない、請求項13に記載の顔料分散組成物。
【請求項15】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C)と、溶剤(D)と、反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)と必要に応じてその他の任意成分と、を有する感光性着色組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の感光性着色組成物の硬化物を含む、カラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤の製造方法に関する。また、該顔料分散剤を用いた顔料分散組成物の製造方法、該顔料分散組成物を用いた感光性着色組成物の製造方法、該感光性着色組成物を用いたカラーフィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶や有機EL等のディスプレイには高画質化、高精細化が求められており、赤、緑及び青の画素に用いられるカラーフィルターに対しても高輝度化、および色再現範囲の拡大を達成する設計が求められている。カラーフィルターに用いる着色剤として染料のみを用いる例も見られるが、染料は顔料に比べ耐熱性や耐溶剤性が劣り、使用割合や種類が限定されるため、多くの場合は色材に顔料を含有している。顔料を用いてカラーフィルターを形成する場合、高輝度化や色再現範囲の拡大を実現するため、顔料の均一な微細化が不可欠である。顔料を微細化することにより、カラーフィルターを透過する光の顔料粒子による散乱が低減され、透過率への寄与が高く、高輝度化が達成される。
しかし、微細化された顔料粒子は凝集しやすく、顔料の分散性や顔料分散組成物の保存安定性が低下しやすい問題があった。顔料分散組成物において微細化された顔料の分散性を向上する方法として、顔料と分散剤を併用することが有効である。
【0003】
顔料分散組成物には、顔料、分散剤の他に、バインダー樹脂、溶剤等が含まれており、カラーフィルター作製の際には、さらに反応性希釈剤や光重合開始剤を加えた感光性着色組成物として使用する。感光性着色組成物には、顔料分散性や保存安定性、色特性、現像性等の各種レジスト特性を発現することが求められている。中でも、近年のパネルの大型化に伴い、より一層現像性能を向上させた感光性着色組成物が求められている。
【0004】
一般的に分散剤は、顔料に吸着する部位と、溶剤や他の樹脂組成物と親和性の高い部位とを持ち合わせている。顔料に吸着する部位は、顔料の表面状態に合わせて最適構造が変化する。例えば、酸性に偏った表面を有する顔料には、塩基性の吸着部位を有する分散剤が用いられ、多くの場合、特許文献1のように塩基性の吸着部位にはアミノ基が用いられる。
また、近年では、特許文献1~3のように、分散剤のアミノ基の一部を、アンモニウムカチオン化し、現像性等の各種性能を向上させた分散剤が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第13/175978号公報
【特許文献2】国際公開第14/010687号公報
【特許文献3】国際公開第13/062011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1~3に開示される分散剤を使用した場合、アンモニウムカチオン化反応の反応性の低さにより、導入できる化合物種類が限定される課題があった。また、アンモニウムカチオン化反応を効率よく進行させるためには高い反応温度が必要となり、これにより分散剤のアミン部位が黄変してしまい、顔料分散組成物の色特性に影響を与えてしまう課題があった。そこで、現像性と色特性をさらに両立した分散剤が求められていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、優れた現像性、色特性を有する感光性着色組成物に適用可能な顔料分散剤の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は優れた現像性、色特性を有する感光性着色組成物に適用可能な顔料分散組成物の製造方法、該顔料分散組成物を用いた感光性着色組成物の製造方法、該感光性着色組成物を用いたカラーフィルターの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を含む。
[1] アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の一部又は全部を、モノブロモ化合物(a-1)と反応させて4級アンモニウムカチオン化する工程を有し、
前記工程の温度条件が、35~75℃であり、
前記モノブロモ化合物(a-1)がエチレン性不飽和基を有さないことを特徴とする顔料分散剤の製造方法。
[2] 前記工程の反応時間が、30分~5時間である、[1]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[3] 前記モノブロモ化合物(a-1)が、炭素数2~20のアルキルブロマイド、炭素数2~20のヒドロキシアルキルブロマイド、臭素化芳香族化合物、及び臭素化カルボン酸からなる群から選択される一種以上である、[1]又は[2]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[4] 前記モノブロモ化合物(a-1)が、炭素数2~20のアルキルブロマイドである、[3]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[5] 前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が、3級アミノ基のみを有する、[1]~[4]のいずれかに記載の顔料分散剤の製造方法。
[6] 前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基のモル数に対する、前記モノブロモ化合物(a-1)の付加率が、70~99%である、[5]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[7] 前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が、アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーと他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとのブロック共重合体であり、片末端領域にアミノ基が偏在している、[1]~[6]のいずれかに記載の顔料分散剤の製造方法。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を混合する分散処理工程を有する、顔料分散組成物の製造方法。
[9] 前記顔料分散剤(A)が、エチレン性不飽和基を含まない、請求項8に記載の顔料分散組成物の製造方法。
[10] 請求項8又は9に記載の製造方法で得られた顔料分散組成物と、バインダー樹脂(C-2)と反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)とを混合する混合工程を有する感光性着色組成物の製造方法。
[11] 請求項10に記載の製造方法で得られた感光性着色組成物を塗布して塗膜を作製する塗膜工程、
加熱して前記塗膜から溶剤を揮発させる乾燥工程、
フォトマスクを介して前記塗膜に光を照射する露光工程、
アルカリ現像液で現像してパターンを形成する現像工程、
を有する、カラーフィルターの製造方法。
[12] [1]~[7]のいずれかに記載の顔料分散剤の製造方法で得られた顔料分散剤。
[13] [1]~[7]のいずれかに記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を有する、顔料分散組成物。
[14] 前記顔料分散剤(A)が、エチレン性不飽和基を含まない、[13]に記載の顔料分散組成物。
[15] [1]~[7]のいずれかに記載の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C)と、溶剤(D)と、反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)と必要に応じてその他の任意成分と、を有する感光性着色組成物。
[16] [15]に記載の感光性着色組成物の硬化物を含む、カラーフィルター。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた現像性、色特性を有する感光性着色組成物に適用可能な顔料分散剤の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、メタクリロイルオキシ基およびアクリロイルオキシ基から選択される一種以上を表す。「(メタ)アクリル酸」も同様である。
【0012】
(顔料分散剤の製造方法)
本発明の一実施形態の顔料分散剤の製造方法(本実施形態の顔料分散剤の製造方法ということがある)は、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の一部又は全部を、モノブロモ化合物(a-1)と反応させて4級アンモニウムカチオン化する工程を含む。前記工程の温度条件が、35~75℃である。前記モノブロモ化合物(a-1)はエチレン性不飽和基を有さない化合物である。前記モノブロモ化合物(a-1)を用いることにより、比較的低温、短時間のマイルドな条件でも、前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基を4級アンモニウムカチオン化することができる。従って、顔料分散剤製造時の熱履歴を低減することができ、顔料分散剤の黄変を抑制することができる。その結果、この製造方法により得られた顔料分散剤(A)を用いた感光性着色組成物は、カラーフィルター等に用いた場合の色特性が良好なものとなる。また、エチレン性不飽和基を有さないモノブロモ化合物(a-1)を用いることにより、感光性着色組成物として露光、現像工程を経た場合に、現像性に与える影響を最小限にとどめ、良好な現像性能が得られる。
【0013】
一方、フルオロ化合物、クロロ化合物等、他のハロゲン化合物を用いてアミノ基を4級アンモニウムカチオン化した場合には、反応が進行する化合物種が限られる上、反応性が低いためにアミノ基へのハロゲン化合物の導入率(付加率)を上げることができない、反応温度をさらに上げる必要がある、反応時間をさらに伸ばす必要があるなどの問題が生じる。反応温度を上げたり、反応時間を延ばした場合には、顔料分散剤への熱履歴が増大し、顔料分散剤自体が黄変するなどの不具合が生じる。
硫酸ジアルキル等の化合物を用いてアミノ基を4級アンモニウムカチオン化した場合には、やはり付加率を上げるために、反応温度を上げたり、反応時間を延ばしたりする必要があり、顔料分散剤への熱履歴が増大し、顔料分散剤自体が黄変を引き起こす。
【0014】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の4級アンモニウムカチオン化の工程における反応温度は、35~75℃であり、40~70℃が好ましい。反応温度が35℃以上であれば、4級アンモニウムカチオン化の反応が良好に進行する。反応温度が75℃以下であれば、本工程における熱履歴を十分に抑えることができ、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基に起因する黄変を十分に抑えることができる。結果として、感光性着色組成物としての色特性が良好なものとなる。
【0015】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の4級アンモニウムカチオン化の工程における反応時間は、30分~5時間が好ましく、30分~4時間がより好ましく、1~3時間がさらに好ましい。反応時間が30分以上であれば、未反応のモノブロモ化合物(a-1)の量を十分に低減することができる。反応時間が5時間以下であれば、本工程における熱履歴を十分に抑えることができ、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基に起因する黄変を十分に抑えることができる。結果として、感光性着色組成物としての色特性が良好なものとなる。
【0016】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の4級アンモニウムカチオン化の工程では、溶剤を使用しても良い。
【0017】
溶剤を使用する場合には、アミノ基含有高分子化合物(a-0)及びモノブロモ化合物(a-1)100質量部に対して、50~400質量部が好ましく、100~300質量部がより好ましく、150~250質量部さらに好ましい。50質量部以上であると、反応中の攪拌や取り扱いが簡便である。400質量部以下であると、反応するのに十分な濃度である。
【0018】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の4級アンモニウムカチオン化の工程では、アミノ基含有高分子化合物(а-0)、溶剤を計量し、窒素ガス雰囲気化で攪拌し、なじませた後、モノブロモ化合物(a-1)を加え、昇温していくことが好ましい。上記のような工程にすることで、ブロモ化合物の自己重合などの副反応を抑え、付加率を向上させることができる。
【0019】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基が3級アミノ基である場合、4級アンモニウムカチオン化の工程では、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基のモル数に対し、モノブロモ化合物(a-1)の添加量を10~100モル%とすることが好ましく、50~100モル%とすることがより好ましく、60~99モル%とすることがさらに好ましく、70~99モル%とすることがよりさらに好ましく、75~96モル%とすることが特に好ましい。モノブロモ化合物(a-1)の添加量が10モル%以上であれば、感光性着色組成物とした際の現像性が良好である。
【0020】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基が3級アミノ基である場合、アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の総量に対する、モノブロモ化合物(a-1)の付加率は、20~100%であることが好ましく、50~100%であることがより好ましく、60~99%であることがさらに好ましく、70~99%であることがよりさらに好ましく、75~96%であることが特に好ましい。付加率が20%以上であると、顔料分散剤としての親水性が十分に向上し、感光性着色組成物としての現像性が良好である。現像性を上げる観点からは、付加率は高いに越したことはないが、顔料分散組成物としての分散性や保存安定性とのバランスをとる観点から、上記数値範囲で付加率を落としても良い。
【0021】
本実施形態においては、上記付加率は、後述の実施例で記載した通り、NMR測定により算出してもよい。また、他の算出方法として、原料の仕込み量から算出、メルク社のエムクァント(登録商標)第4級アンモニウム塩テストを用いた4級アンモニウム塩の定量から付加率を算出してもよい。
【0022】
[アミノ基含有高分子化合物(a-0)]
アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有していても良いアミノ基としては、1級、2級、3級のアミノ基が挙げられる。それぞれ、1級アミノ基は窒素原子に1つの炭素原子が結合している基、2級アミノ基は窒素原子に2つの炭素原子が結合している基、3級アミノ基は窒素原子に3つの炭素原子が結合している基を指す。中でも、アミノ基含有高分子化合物(a-0)を用いて得られる本実施形態に係る顔料分散剤(A)の分散性をより向上させる観点から、少なくとも3級アミノ基を有することが好ましく、3級アミノ基のみを有することが好ましい。
【0023】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)としては、例えば、アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーを単独重合又は他のエチレン性不飽和基を有するモノマーと共重合させたポリアミンが挙げられる。このような高分子化合物としては、例えば、ビニルアミンの重合体もしくはアリルアミンの重合体であるポリアミン;またはビニルアミンもしくはアリルアミンと、他のエチレン性不飽和基を有するモノマーと共重合させたポリアミン;1-置換アジリジン類や2-オキサゾリン等を開環重合させたポリマー;エチレンジアミンやヘキサメチレンジアミン等の多官能アミン化合物とハロアルカン等を重縮合させたポリアルキレンイミン等が挙げられる。前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)は、アミノ基の他にも、効果を損なわない範囲でアミド、イミド、ウレア、ウレタン結合等が含まれていても良く、これらに前記モノブロモ化合物(a-1)が付加することを妨げない。上述したように、顔料分散性に大きく寄与するのはアミン構造であるため、アミド、イミド、ウレア、ウレタン結合は実質的に含まない方が好ましい。中でもアミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーと他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとをブロック重合させたポリアミンが好ましく、3級アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーと他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとをブロック重合させたポリアミンがより好ましい。前記ブロック重合させたポリアミンは、A-B型のブロック共重合体であることが好ましい。アミノ基含有高分子化合物(a-0)としてA-B型のブロック共重合体ポリアミンを用いることで、片末端領域にアミノ基が偏在し、アミノ基含有高分子化合物(a-0)を用いて得られる顔料分散剤(A)と、顔料(B)との親和性が向上する。また、もう一方の片末端領域は、他の顔料分散組成物、具体的にはバインダー樹脂(C-1)や後述する溶剤(D-1)との親和性が高まることで、顔料分散性や顔料分散組成物の保存安定性を飛躍的に向上することができる。
【0024】
アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。これらのモノマーは単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。中でも、顔料分散組成物の分散性向上や保存安定性向上に大きく寄与することから、3級アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、3級アミノ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーを使用して、3級アミノ基を有するアミノ基含有高分子化合物(a-0)とし、3級アミノ基の一部へ前記モノブロモ化合物(a-1)を反応させて4級アンモニウムカチオン基とすれば、親水性が向上し、感光性着色組成物としての現像性が向上する。
【0025】
他のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、一例として、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、(ポリ)オキシアルキレン骨格等を有する(メタ)アクリレートが挙げられるが、他の顔料分散組成物と親和性を損なうものでなければ特に制限は無い。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、スチレン又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。これらのモノマーは単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0026】
アミノ基含有高分子化合物(a-0)は、市販品としてのアミノ基含有顔料分散剤を用いても良いし、自ら準備しても良い。市販品を利用する場合、好適なアミノ基含有高分子化合物(a-0)の一例として、ビックケミー社製のDISPERBYKシリーズ、ルーブリゾール社製のソルスパーズシリーズ、BASF社製のEFKA-PXシリーズ等が挙げられる。自ら準備する場合は、公知の重合体製造方法を利用する。これらのアミノ基含有高分子化合物(a-0)は、必要に応じて、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
[モノブロモ化合物(a-1)]
モノブロモ化合物(a-1)としては、エチレン性不飽和基を有さないモノブロモ化合物であれば、特に限定されない。エチレン性不飽和基を有するブロモ化合物を用いて、アミノ基含有高分子化合物(a-0)を4級アンモニウムカチオン化した場合には、4級アンモニウムカチオン部位にエチレン性不飽和基が導入されて、感光性着色組成物としての硬化性向上に寄与する一方で、現像性は阻害される方向に働くので、好ましくない。
【0028】
モノブロモ化合物(a-1)は、官能基を有しても良い。例えば、ブロックイソシアナト基、アルキルエステル基、エポキシ基、オキセタニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、およびカルボキシ基からなる群から選択される1種以上を有する化合物の臭素化物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。中でも、感光性着色組成物としての現像性を向上させる観点から、ヒドロキシ基、カルボキシ基が好ましい。モノブロモ化合物(a-1)が官能基を有する場合には、これらの官能基の対となる(反応性を有する)官能基を有するバインダー樹脂を用いることにより、感光性着色組成物としての熱硬化性の向上や低温硬化性を付与することができる。
【0029】
モノブロモ化合物(a-1)として具体的には、炭素数2~20のアルキルブロマイド、炭素数2~20のヒドロキシアルキルブロマイド、臭素化芳香族化合物、及び臭素化カルボン酸等が挙げられる。顔料分散組成物の分散性の観点から、炭素数2~20のアルキルブロマイドを有することが好ましく、炭素数2~20のアルキル基の末端に臭素が結合したアルキルブロマイドがより好ましい。
【0030】
炭素数2~20のアルキルブロマイドとしては、ブロモプロパン、ブロモヘキサン等の鎖状アルキルブロマイド;ブロモシクロヘキサン、ブロモメチルシクロヘキサン等の環状アルキルブロマイド等が挙げられる。アミノ基含有高分子化合物(a-0)との反応性の観点からは、炭素数2~20の鎖状アルキルブロマイドが好ましく、炭素数2~10の鎖状アルキルブロマイドがより好ましく、炭素数2~6の鎖状アルキルブロマイドがさらに好ましい。より耐熱性を向上させる観点からは、炭素数6~20の環状アルキルブロマイドが好ましく、炭素数6~12の環状アルキルブロマイドがより好ましい。
【0031】
炭素数2~20のヒドロキシアルキルブロマイドとしては、ブロモエタノール、ブロモブタノール、ブロモヘキサノール等が挙げられる。中でも、分散安定性、原料調達の観点からは、炭素数2~10のヒドロキシアルキルブロマイドが好ましく、炭素数2~6のヒドロキシアルキルブロマイドがより好ましい。
【0032】
臭素化芳香族化合物としては、ベンジルブロマイド、4-メチルベンジルブロマイド、4-メトキシベンジルブロマイド等が挙げられる。臭素化芳香族化合物を用いることにより、顔料分散性をさらに向上させることができる。
【0033】
臭素化カルボン酸としては、ブロモ酢酸、3-ブロモプロピオン酸、4-ブロモ酢酸等が挙げられる。臭素化カルボン酸を用いることにより、感光性着色組成物としての現像性をさらに向上させることができる。
【0034】
[溶剤]
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の4級アンモニウムカチオン化の工程では、溶剤を使用しても良い。溶剤は、アミノ基含有高分子化合物(a-0)及びモノブロモ化合物(a-1)と反応せず、両成分を溶解、又は分散可能な溶剤であれば特に限定されない。溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも、カラーフィルターを製造する際に好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤が好ましい。
【0035】
[顔料分散剤(A)]
本実施形態に係る顔料分散剤(A)は、上記本実施形態の顔料分散剤の製造方法により得られるものであり、4級アンモニウムカチオン基を有する。これにより、感光性着色組成物とした際の現像性、色特性が良好である。
また、本実施形態の顔料分散剤の製造方法により得られた顔料分散剤(A)は、4級アンモニウムカチオン化する工程にいて、従来の方法より、特定な低温条件を用いたため、従来の高温条件で得られた顔料分散剤と異なる。しかし、出願時において、既存の分析手段からその構造と成分上の違いを検出することは、「不可能・非実際的事情」があるため、できなかった。
本明細書において、4級アンモニウムカチオン基とは、窒素原子に4つの炭素原子が結合している基を指し、アミド結合やウレア結合は含まれない。顔料分散組成物中の顔料の分散性をさらに向上させる観点からは、顔料分散剤(A)は、アミノ基をさらに有しても良く、3級アミノ基をさらに有しても良い。
【0036】
また、感光性着色組成物を露光、現像した際の現像性を向上させる観点からは、顔料分散剤(A)は、エチレン性不飽和基を含まないことが好ましい。
【0037】
顔料分散剤(A)に対するモノブロモ化合物(a-1)の含有量(導入量)としては、50~5000μmol/gであることが好ましく、200~3000μmol/gであることがより好ましく、500~1000μmol/gであることがさらに好ましい。モノブロモ化合物(a-1)の含有量が、50μmol/g以上であると、感光性着色組成物としての現像性が良好である。
また、モノブロモ化合物(a-1)がヒドロキシ基やカルボキシ基を有する場合には、さらに現像性が向上する。モノブロモ化合物(a-1)がブロックイソシアナト基、アルキルエステル基、エポキシ基、オキセタニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、およびカルボキシル基等の官能基を有する場合には、対となる(反応相手となる)官能基をバインダー樹脂や反応性希釈剤に導入して、感光性着色組成物としての低温硬化性や耐溶剤性の向上を図ることが可能である。モノブロモ化合物(a-1)の含有量が、5000μmol/g以下であると顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性が得られる。
【0038】
モノブロモ化合物(a-1)が官能基を有する場合の対となる(反応相手となる)官能基の組み合わせとしては、以下の組み合わせ(1)~(4)が挙げられる。
組み合わせ(1):モノブロモ化合物(a-1)が有する官能基としてヒドロキシ基及びメルカプト基から選択される一種以上、対となる官能基としてブロックイソシアナト基及びアルキルエステルを有する基から選択される一種以上の組み合わせ。
組み合わせ(2):モノブロモ化合物(a-1)が有する官能基としてカルボキシ基、対となる官能基としてエポキシ基及びオキセタニル基から選択される一種以上の組み合わせ。
組み合わせ(3):モノブロモ化合物(a-1)が有する官能基としてブロックイソシアナト基及びアルキルエステルを有する基から選択される一種以上、対となる官能基としてヒドロキシ基及びメルカプト基から選択される一種以上の組み合わせ。
組み合わせ(4):モノブロモ化合物(a-1)が有する官能基としてとしてエポキシ基及びオキセタニル基から選択される一種以上、対となる官能基としてカルボキシ基の組み合わせ。
【0039】
本実施形態に係る顔料分散剤(A)がアミノ基を有する場合のアミン含有量(1級アミン、2級アミン、3級アミンの合計量である。)は、アミン価(JIS K7237等に示す規格に沿って測定された値)を測定することにより、その量を定量的に判断することができる。本実施形態の顔料分散剤のアミン含有量は特に限定されないが、好ましくは1mgKOH/g~300mgKOH/g、より好ましくは5mgKOH/g~100mgKOH/gである。アミン価が1mgKOH/g以上であると、顔料分散組成物の十分な分散性や保存安定性が得られる。
【0040】
本実施形態の顔料分散剤(A)の重量平均分子量は、好ましくは1000~40000、より好ましくは1000~30000である。さらに、顔料分散剤の分子量分布(ポリスチレン換算の重量平均分子量を数平均分子量で除した値)は、好ましくは1.0~3.0、より好ましくは1.0~2.0の範囲内である。顔料分散剤の分子量や分子量分布が上記範囲内にあると、顔料分散組成物の粘度を適切な範囲に制御することができ、十分な顔料分散性や顔料分散組成物の保存安定性が得られると共に、優れた耐熱性、耐溶剤性、パターン密着性、現像性等を確保することができる。
【0041】
(顔料分散組成物の製造方法)
本発明の一実施形態の顔料分散組成物の製造方法(本実施形態の顔料分散組成物の製造方法という)は、上記本実施形態の顔料分散剤の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を混合する分散処理工程を有する。本実施形態の顔料分散組成物の製造方法としては、例えば、顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分とを所定量秤量し、公知の分散処理工程を用いて顔料(B)を微細化し分散する方法が挙げられる。この分散処理工程において、ペイントシェイカー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー、プラネタリミキサー、自転公転ミキサー等の装置が多用される。また、この分散処理工程において、直径0.01~10mmのビーズを用いると、顔料(B)の均一な微細化を効率良く行うことができる。ビーズの材質に制限は無いが、硬さや顔料分散組成物へのコンタミ等を踏まえると、ガラスビーズやジルコニアビーズの使用が好ましい。分散処理の好適な時間、温度、ビーズの直径、使用量に関しては、顔料分散組成物の組成や装置の大きさ等により適正な条件が異なるため、適宜調整すればよい。
最後に、顔料分散組成物に微細なゴミ、ならびに顔料(B)の粗粒や凝集物を除去する目的で、顔料分散組成物をガラスフィルター等でろ過処理することが好ましい。
【0042】
[顔料分散組成物の配合比]
顔料分散剤(A)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、10~80質量部であることが好ましく、15~50質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることがさらに好ましい。顔料分散剤(A)の含有量が10質量部以上であると、顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性が得られる。顔料分散剤(A)の含有量が80質量部以下であると、十分な現像性が得られる。
【0043】
バインダー樹脂(C-1)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、10~80質量部であることが好ましく、15~50質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることがさらに好ましい。バインダー樹脂(C-1)の含有量が10質量部以上であると、十分な現像性が得られる。バインダー樹脂(C-1)の含有量が80質量部以下であると、顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性を得られる。
【0044】
溶剤(D-1)の配合量は、溶剤(D-1)を除く顔料分散組成物の成分の総和を100質量部としたときに、好ましくは100~900部、より好ましくは120~600部、さらに好ましくは150~400部である。溶剤(D-1)の含有量が上記範囲内であれば、適切な粘度を有する顔料分散組成物となる。
【0045】
[顔料分散剤(A)]
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いる顔料分散剤(A)としては、上記の本実施形態に係る製造方法で得られた顔料分散剤(A)を使用する。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記製造方法で得られる以外の他の顔料分散剤を併用しても良い。
【0046】
[顔料(B)]
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いる顔料(B)は、他の組成物と均一に分散しカラーフィルターの画素を形成することができれば、特に限定されない。赤、緑、青といった光の三原色の顔料をはじめ、補色として利用できる黄、橙、紫等の顔料、及びブラックマトリックスで利用される黒、茶等の顔料等、各色の顔料を使用することができる。また、顔料(B)の化学構造としては、イソインドリノン、イソインドリン、アゾメチン、アントラキノン、アントロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、インジゴイド、ジオキサジン、インジゴイド、フタロシアニン、アントシアニン、アゾ系等のあらゆる有機顔料や、カーボンブラックやチタンブラック、二酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
【0047】
中でも、本実施形態における顔料(B)は、下記式(1)で示されるハロゲン化フタロシアニン骨格を有する顔料を含むことが好ましい。
【0048】
【0049】
式(1)中、Mは2価または4価の金属原子を表す。色再現性の観点から亜鉛又は銅が好ましく、特に亜鉛が好ましい。Xは水素原子、塩素原子、臭素原子のいずれか1種を表し、塩素原子又は臭素原子を少なくとも1以上含む。輝度や色再現性に応じて塩素原子と臭素原子の付加割合が変わり、塩素原子が多く臭素原子が少ないほど高輝度となり、反対に臭素原子が多く塩素原子が少ないほど色再現性が良い傾向がある。塩素原子は1以上10以下が好ましく、1.5以上8以下がより好ましい。臭素原子は5以上15以下が好ましく、7以上14以下がより好ましい。
【0050】
ハロゲン化フタロシアニン骨格を有する顔料と前記顔料分散剤(A)を用いることで、十分な顔料分散性や顔料分散組成物の保存安定性が得られ、高輝度かつ色再現範囲の広いカラーフィルターを提供することができると共に、着色パターンの耐熱性、耐溶剤性、パターン密着性を付与することができる。中でも、前記顔料分散剤(A)による顔料分散性や顔料分散組成物の保存安定性の観点から、緑色顔料が好ましい。
【0051】
ハロゲン化フタロシアニン顔料としては、市販品を用いても良いし、自ら準備しても良い。市販品の一例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59等が挙げられ、中でも高輝度化や色再現性の高さからC.I.ピグメントグリーン58、59の使用が好ましい。
自ら準備する場合は、公知の製造方法を利用する。例えば、芳香環の水素原子の一部又は全てがハロゲン原子に置換されたフタロ酸やフタロニトリル等を出発原料とし、モリブデン酸アンモニウム等の触媒下フタロシアニン骨格を形成する方法や、フタロシアニンを塩素ガスや臭素ガスでハロゲン化する方法が挙げられる。これらの方法で得られた粗顔料をボールミル、振動ミル等の粉砕機内で乾式摩砕し、公知のソルベントソルトミリング法等で処理することで、所望の顔料を得ることができる。
【0052】
本実施形態における顔料(B)について、ハロゲン化フタロシアニン骨格を有する顔料は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、ハロゲン化フタロシアニン骨格を有する顔料ではない他の顔料を併用しても良い。
他の顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等の橙色顔料;C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等の紫色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、25等の茶色顔料;C.I.ピグメントブラック1、7、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄等の黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、目的とする画素の色に応じて、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態における顔料(B)について、顔料だけではなく染料を併用しても良い。染料を併用する場合、顔料を用いる場合と比べ高輝度化、色再現範囲の拡大、良好な現像性の発現が期待できる。一方、顔料を併用する場合、染料と比べ耐熱性に優れ、着色パターン形成後の色変化が少ない。求められる性能や目的とする画素の色に応じて、染料と顔料を併用してもよい。
【0054】
染料としては、溶剤(D-1)やアルカリ現像液に対する溶解性、樹脂組成物中の他の成分との相互作用、耐熱性等の観点から、カルボキシ基等の酸性基を有する酸性染料、酸性染料の窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体等を用いることが好ましい。このような染料の具体例としては、acid alizarin violet N;acid black1、2、24、48;acid blue1、7、9、25、29、40、45、62、70、74、80、83、90、92、112、113、120、129、147;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green1、3、5、25、27、50;acid orange6、7、8、10、12、50、51、52、56、63、74、95;acid red1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、69、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、183、198、211、215、216、217、249、252、257、260、266、274;acid violet 6B、7、9、17、19;acid yellow1、3、9、11、17、23、25、29、34、36、42、54、72、73、76、79、98、99、111、112、114、116; food yellow 3及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、アゾ系、キサンテン系、アントラキノン系又はフタロシアニン系の酸性染料が好ましい。これらの染料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。染料を用いる場合、顔料(B)100質量部に対して20~80質量部が好ましい。
【0055】
[バインダー樹脂(C-1)]
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いるバインダー樹脂(C-1)の種類としては、アミノ基や4級アンモニウム構造を有さず、ネガ型レジストに一般的に用いられるバインダー樹脂であれば特に限定されない。例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。中でも、感光性着色組成物として優れた現像性を有する点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体であれば、特に限定されない。
【0057】
本実施形態に係る顔料分散剤(A)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ブロックイソシアナト基、エポキシ基、オキセタニル基、アルキルエステル基、メルカプト基等の官能基を有する場合、すなわち原料であるモノブロモ化合物(a-1)として、前記官能基を有するブロモ化合物を用いた場合には、これらの官能基の対となる(反応性を有する)官能基を有するバインダー樹脂を用いることが好ましい。対となる官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ブロックイソシアナト基、エポキシ基、オキセタニル基、アルキルエステル基(好ましくは、炭素数1~3のアルキルエステル基)、メルカプト基等が挙げられる。これらの中でも、高い反応性を有し、顔料分散組成物に使用した際の安定性の観点から、ヒドロキシ基、ブロックイソシアナト基が好ましい。これらの対となる官能基は、一種を単独で含んでいても、2種以上を含んでいても良い。
【0058】
(メタ)アクリル樹脂に上記対となる官能基を導入する場合、対となる官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物と、(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体が好ましい。対となる官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物は、対となる官能基とエチレン性不飽和基とを有する化合物である。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0059】
ヒドロキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
【0060】
カルボキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の不飽和一塩基酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の不飽和二塩基酸モノエステル、もしくは、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
【0061】
ブロックイソシアナト基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等のイソシアネート化合物におけるイソシアナト基をブロック剤でブロック化した化合物、等のブロックイソシアナト基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
【0062】
エポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートおよびそのラクトン付加物、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物、並びにジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
オキセタニル基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-[3-(3-エチルオキセタン-3-イルメトキシ)プロポキシ]スチレン、4-[6-(3-エチルオキセタン-3-イルメトキシ)ヘキシルオキシ]スチレン、4-[5-(3-エチルオキセタン-3-イルメトキシ)ペンチルオキシ]スチレン、2-ビニル-2-メチルオキセタン等のオキセタニル基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
【0063】
アルキルエステル基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル、等の炭素数1~3のアルキルエステル基を有するエチレン性不飽和基含有化合物が挙げられる。
メルカプト基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2-スルファニルエチル(メタ)アクリレート、3-スルファニルプロピル(メタ)アクリレート、または4-スルファニルブチル(メタ)アクリレート、2-ビニルベンゼンチオール、11-ブロモ-1-ウンデカンチオール等のメルカプト基を有するエチレン性不飽和基含有化合物等が挙げられる。
【0064】
上記イソシアネート化合物をブロック化する前記ブロック剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系; メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系; フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、オキシ安息香酸エステル、チモール、p-ナフトール、p-ニトロフェノール、p-クロロフェノール等のフェノール系; マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系; ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン系; アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系; コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系; イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系; 尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素系; N-フェニルカルバミン酸フェニル、2-オキサゾリドン等のカルバミド酸塩系: エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系; ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系; 重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩系などが挙げられる。これらの中でも、感光性着色組成物としての低温硬化性が良好である観点から、前記ブロック剤が、マロン酸ジエチル、 3,5-ジメチルピラゾール及びメチルエチルケトオキシムが好ましく、3,5-ジメチルピラゾール及びメチルエチルケトオキシムがより好ましい。
【0065】
中でも、合成容易性の観点から、ヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物、ブロックイソシアナト基を有するエチレン性不飽和基含有化合物、エポキシ基を有するエチレン性不飽和基含有化合物、が好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、がより好ましく、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートがさらに好ましい。これらの化合物は一種を単独で使用しても、2種以上を使用しても良い。
【0066】
バインダー樹脂(C-1)を与える他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、前記対となる官能基を有さず、前記対となる官能基とを有するエチレン性不飽和基含有化合物と共重合可能な(メタ)アクリレートモノマーであれば特に限定されない。前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、芳香族含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、tert-ブチル(メタ)アクリルレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記脂環式アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記芳香族含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、ナフタレン(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、顔料分散組成物に使用した際の分散安定性の観点から、炭素数6以上のアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの化合物は一種を単独で使用しても、2種以上を使用しても良い。
【0067】
バインダー樹脂(C-1)が(メタ)アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリレートモノマーに加えて、他のエチレン性不飽和基含有モノマーを共重合させても良い。他のエチレン性不飽和基含有モノマーとしては、スチレン、スチレンのα-、o-、m-、p-アルキル誘導体等のスチレン類、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-9-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-4-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ-4-エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ-3-エン、酢酸ビニル、ビニルトルエン等のビニル化合物が挙げられる。
【0068】
バインダー樹脂(C-1)は、感光性着色組成物を露光、現像する際の優れた現像性や、樹脂硬化膜の基材への密着性向上の観点から、変性反応により、さらにカルボキシ基やエチレン性不飽和基が導入されていてもよい。例えば、ヒドロキシ基を有するバインダー樹脂(C-1)に1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の多塩基酸無水物を付加させることにより、カルボキシ基を導入すればよい。
また、カルボキシ基を有するバインダー樹脂(C-1)に対して、エポキシ基及びオキセタニル基から選択される一種以上と、エチレン性不飽和基を有する化合物を付加させたり、エポキシ基及びオキセタニル基から選択される一種以上を有するバインダー樹脂(C-1)に対して、カルボキシ基と、エチレン性不飽和基を有する化合物を付加させたり、ブロックイソシアナト基及びアルキルエステルを有する基から選択される一種以上を有するバインダー樹脂(C-1)に対して、ヒドロキシ基及びメルカプト基から選択される一種以上と、エチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることにより、バインダー樹脂(C-1)にエチレン性不飽和基が導入することができる。
【0069】
バインダー樹脂(C-1)の固形分酸価は、感光性着色組成物を露光、現像する際の現像性を向上させる観点から、10~300mgKOH/gであることが好ましく、20~200mgKOH/gであることがより好ましく、30~150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が10以上であると、感光性着色組成物の現像性向上効果が十分に発揮される。酸価が300以下であると、顔料分散組成物としての安定性が良好である。
【0070】
なお、バインダー樹脂(C-1)の酸価は、JIS K6901 5.3に従ってブロモチモールブルーとフェノールレッドとの混合指示薬を用いて測定された値である。バインダー樹脂(C-1)の酸価とは、バインダー樹脂(C-1)1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を意味する。
【0071】
バインダー樹脂(C-1)の重量平均分子量としては、1000~50000が好ましく、3000~30000がより好ましく、5000~20000がさらに好ましい。重量平均分子量が5000以上、20000以下であると、顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性が得られる。
【0072】
バインダー樹脂(C-1)が顔料分散剤の官能基と対となる官能基を有する場合、固形1g中に含まれる官能基の量は、100~3000μmol/gであることが好ましく、300~2500μmol/gであることがより好ましく、500~2000μmol/gであることがさらに好ましい。官能基(X)の量が、100μmol/g以上であると、塗膜にした際に良好な耐溶剤性を持つ顔料分散組成物を作製することができる。官能基の量が、3000μmol/g以下であると顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性が得られる。
【0073】
〔バインダー樹脂(C-1)の構成比〕
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いるバインダー樹脂(C-1)が官能基を有する(メタ)アクリル樹脂である場合、官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物の含有量は、共重合モノマーを100モル%として、10~75モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましく、30~70モル%がさらに好ましい。含有量が10モル%以上であると、顔料分散剤(A)が有する、官能基との架橋量を十分に確保することができ、低温硬化性が良好な感光性着色組成物が得られる。含有量が75モル%以下であると、顔料分散組成物の保存安定性が良好である。
【0074】
また、バインダー樹脂(C-1)に変性反応によりエチレン性不飽和基を導入する場合には、その付加率は、バインダー樹脂(C-1)の前駆体が有する官能基の総モル数に対し、10~80モル%であることが好ましく、20~70モル%であることがより好ましい。付加率が10モル%以上であると顔料分散組成物を塗膜にした際に耐溶剤性が向上し、付加率が80モル%以下であると顔料分散組成物にした際に良好な分散安定性が得られる。
【0075】
官能基を有さない(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、共重合モノマーを100モル%として、25~90モル%が好ましく、30~70モル%が好ましく、35~60モル%が好ましい。
【0076】
〔バインダー樹脂(C-1)の製造方法〕
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いるバインダー樹脂(C-1)が(メタ)アクリル樹脂である場合、例えば、以下に示す製造方法を用いて製造できる。すなわち、官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物と、(メタ)アクリレートモノマーと、必要に応じて用いる他のエチレン性不飽和基含有モノマーとからなる原料モノマーと、重合用溶剤と、重合開始剤とを混合し、窒素雰囲気下、通常70℃~130℃の条件下でラジカル重合して、バインダー樹脂(C-1)である(メタ)アクリル樹脂が得られる。重合用溶剤としては、原料モノマーの共重合反応に不活性な溶剤であればよく、特に限定されない。後述する溶剤(D-1)に含まれる溶剤と一部または全部が異なるものであってもよい。重合用溶剤が、顔料分散組成物の含有している溶剤(D-1)に含まれる溶剤と一部または全部が同じである場合、共重合反応終了後の反応液から重合用溶媒を分離、除去することなく、溶剤(D-1)の一部として用いることができ、好ましい。
【0077】
重合用溶剤としては、後述する溶剤(D-1)が含有してもよい溶剤として例示するものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、取り扱いの観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
【0078】
重合用溶剤の使用量は、特に限定されないが、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは30質量部~1000質量部であり、より好ましくは50質量部~800質量部である。重合用溶剤の使用量が30質量部以上であると、原料モノマーの共重合反応を安定して行うことができ、バインダー樹脂(C-1)の着色およびゲル化を防止できる。重合用溶剤の使用量が1000質量部以下であると、連鎖移動作用によるバインダー樹脂(C-1)の分子量の低下を抑制できるとともに、反応溶液の粘度を適切な範囲に制御できる。
【0079】
〔重合開始剤〕
上記バインダー樹脂(C-1)の製造方法において、原料モノマーの共重合反応に用いることが可能な重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~20質量部であり、より好ましくは0.5質量部~16質量部である。
【0080】
バインダー樹脂(C-1)にエチレン性不飽和基を導入する場合には、必要に応じて重合禁止剤や触媒を追加し、官能基(Y)及びエチレン性不飽和基を有する化合物を添加し、50~150℃の条件下で、1~10時間反応させればよい。
【0081】
[溶剤(D-1)]
本実施形態に係る顔料分散組成物の製造方法に用いる溶剤(D-1)は、本実施形態の顔料分散組成物、または感光性着色組成物に含まれる各成分と反応せず、かつこれらを溶解または分散可能な溶剤であれば特に限定されない。溶剤(D-1)としては、バインダー樹脂(C-1)或いは顔料分散剤(A)を製造する際に用いた溶剤と同じものを用いることができ、反応後に含まれている溶剤をそのまま用いることもでき、更に加えることもできる。また、その他の成分を加える際に、そこに共存しているものでもよい。溶剤(D-1)の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも、カラーフィルターを製造する際に好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤が好ましい。
【0082】
[顔料分散組成物]
本実施形態の顔料分散組成物は、上記本実施形態の、顔料分散剤の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C-1)と、溶剤(D-1)と、必要に応じてその他の任意成分と、を有する。本実施形態の顔料分散組成物は、上記本実施形態の、顔料分散組成物の製造方法で得られた顔料分散組成物であってもよく、また、その以外の方法で得られた顔料分散組成物であってもよい。
本実施形態の顔料分散組成物に用いる顔料(B)、バインダー樹脂(C-1)、及び溶剤(D-1)としては、それぞれ、上記の本実施形態の、顔料分散組成物の製造方法に用いる顔料(B)、バインダー樹脂(C-1)、及び溶剤(D-1)が挙げられる。
本実施形態の顔料分散組成物の配合比は、上記本実施形態の、顔料分散組成物の製造方法において記載した顔料分散組成物の配合比と同じであっても良い。
【0083】
(感光性着色組成物の製造方法)
本発明の一実施形態の、感光性着色組成物の製造方法(本実施形態の感光性着色組成物の製造方法ということがある)は、上記本実施形態の顔料分散組成物の製造方法で得られた顔料分散組成物と、バインダー樹脂(C-2)と、必要に応じて溶剤(D-2)と、反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)とを混合する混合工程を有する。
本実施形態にかかる感光性着色組成物の製造方法としては、公知の混合装置を用い、上記の各成分を混合することによって製造する方法が挙げられる。例えば、先に顔料分散組成物を調整した後、バインダー樹脂(C-2)、反応性希釈剤(E)、光重合開始剤(F)等を順番に混合することで製造することができる。また、必要に応じて、顔料分散組成物に含まれている溶剤(D-1)以外に、溶剤(D-2)を添加してもよい。その場合、感光性着色組成物に含まれている溶剤(D)が、溶剤(D-1)と溶剤(D-2)とを含む。
【0084】
本実施形態にかかる感光性着色組成物の製造方法で得られる感光性着色組成物は、顔料分散性や顔料分散組成物の保存安定性が十分で、高輝度化の達成が可能で、かつ分散剤や着色剤のブリードアウトを抑制し優れた耐熱性、耐溶剤性、パターン密着性、現像性等の各種レジスト特性を発現することができ、信頼性に優れた着色パターンを形成することができる。すなわち、前記感光性着色組成物を用いることにより、信頼性に優れたカラーフィルターを提供することができる。
【0085】
[溶剤(D-2)]
必要に応じて、本実施形態の感光性着色組成物の製造方法に用いる溶剤(D-2)は、上記本実施形態の顔料分散組成物の製造方法に用いる溶剤(D-1)と共通のものを使用してもよく、異なるものでもよい。
【0086】
[バインダー樹脂(C-2)]
本実施形態の感光性着色組成物の製造方法に用いるバインダー樹脂(C-2)は、感光性着色組成物として用いることができる従来公知の樹脂を特に制限なく使用することができ、上記顔料分散組成物に含まれているバインダー樹脂(C-1)と共通のものを使用してもよく、異なるものでも良い。また、バインダー樹脂(C-2)として新たに追加せず、バインダー樹脂(C-1)を(C-2)として利用しても良い。
【0087】
前記バインダー樹脂(C-1)と(C-2)との合計バインダー樹脂(C)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、50~280質量部であることが好ましく、75~230質量部であることがより好ましく、100~200質量部であることがさらに好ましい。
【0088】
[反応性希釈剤(E)]
本実施形態の感光性着色組成物の製造方法に用いる反応性希釈剤(E)は、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和二重結合を含む低分子化合物であれば特に限定されない。反応性希釈剤(C)の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基を3個以上有する化合物がより好ましい。
【0089】
反応性希釈剤(E)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、40~200質量部であることが好ましく、60~180質量部であることがより好ましく、80~160質量部であることがさらに好ましい。
【0090】
[光重合開始剤(F)]
本実施形態の感光性着色組成物の製造方法に用いる光重合開始剤(F)は光ラジカル発生剤が好ましく、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1;アシルホスフィンオキサイド類;及びキサントン類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
光重合開始剤(F)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、1~9質量部であることがより好ましく、2~8質量部であることがさらに好ましい。
【0092】
[その他の成分]
本実施形態の感光性着色組成物の製造方法において、本実施形態にかかる感光性着色組成物は、上記の成分に加えて、所定の特性を付与するために光酸発生剤、光塩基発生剤、カップリング剤、レベリング剤等の公知の添加剤、フィラー等を配合してもよい。これらの成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
【0093】
[感光性着色組成物]
本実施形態の感光性着色組成物は、前記本実施形態の顔料分散剤の製造方法で得られた顔料分散剤(A)と、顔料(B)と、バインダー樹脂(C)と、溶剤(D)と、反応性希釈剤(E)と、光重合開始剤(F)と必要に応じてその他の任意成分と含む。本実施形態の感光性着色組成物は、前記本実施形態の、感光性着色組成物の製造方法で得られた感光性着色組成物であってもよく、また、その以外の方法で得られた物であってもよい。
本実施形態の感光性着色組成物において、顔料分散剤(A)の含有量は、顔料(B)100質量部に対して、10~80質量部であることが好ましく、15~50質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることがさらに好ましい。顔料分散剤(A)の含有量が10質量部以上であると、ミルベースにした際に良好な分散安定性が得られる。顔料分散剤(A)の含有量が80質量部以下であると、十分な現像性が得られる。
【0094】
本実施形態の感光性着色組成物において、顔料(B)100質量部に対して、前記バインダー樹脂(C)を50~280質量部、前記顔料分散剤(A)を10~80質量部、前記反応性希釈剤(E)を40~200質量部、前記光重合開始剤(F)を0.1~10質量部含有することが好ましい。
【0095】
本実施形態の感光性着色組成物に用いる顔料(B)、反応性希釈剤(E)、及び光重合開始剤(F)としては、それぞれ、上記本実施形態の、感光性着色組成物の製造方法に用いる顔料(B)、反応性希釈剤(E)、及び光重合開始剤(F)が挙げられる。
【0096】
本実施形態の感光性着色組成物に用いるバインダー樹脂(C)は、例えば、上記バインダー樹脂(C-1)と上記バインダー樹脂(C-2)の合計であってもよい。上記バインダー樹脂(C-1)は、上記本実施形態の、顔料分散組成物の製造方法に用いるものであり、上記バインダー樹脂(C-2)は、上記本実施形態の、感光性着色組成物の製造方法に用いるものである。
【0097】
本実施形態の感光性着色組成物に用いる溶剤(D)は、上記溶剤(D-1)と共通のものを使用してもよく、異なるものを追添しても良い。例えば、上記溶剤(D-1)に上記溶剤(D-2)を追添したものであっても良い。上記溶剤(D-1)は、本実施形態の、顔料分散組成物の製造方法に用いるものであり、上記溶剤(D-2)は、本実施形態の、感光性着色組成物の製造方法に用いるものである。
【0098】
[感光性着色組成物の樹脂硬化膜]
本実施形態に係る感光性着色組成物の硬化物を用いて、例えば、以下の方法で感光性着色組成物の樹脂硬化膜を作製することができる。
本実施形態に係る感光性着色組成物を、ガラスなどの基板上に、目的に応じて最終の硬化塗膜の平均厚さが所定の値となるように塗膜した後、例えば、50~150℃で1~50分間加熱し溶剤を揮発させる。次に塗膜の全面を露光(例えば、ランプとして、ウシオ電機株式会社製USH-250BYを使用、露光量40mJ/cm2)させ、さらに、例えば、50~200℃で10~180分間ベーキングすることで硬化塗膜が得られる。また、フォトマスクを介して塗膜を露光し、アルカリ現像液で現像すれば所定の着色パターンを有する硬化塗膜が得られる。
【0099】
(カラーフィルターの製造方法)
本発明の一実施形態であるカラーフィルターの製造方法(本実施形態のカラーフィルターの製造方法ということがある)は、上記本実施形態に係る感光性着色組成物を塗布して塗膜を作製する塗膜工程と、加熱して前記塗膜から溶剤を揮発させる乾燥工程と、フォトマスクを介して前記塗膜に光を照射する露光工程と、アルカリ現像液で現像してパターンを形成する現像工程と、を有する。
【0100】
[カラーフィルター]
本実施形態のカラーフィルターの製造方法で得られる本発明のカラーフィルターは、上記の感光性着色組成物を用いて形成される着色パターンを有する。カラーフィルターは、通常、基板と、その上に形成されるRGBの画素、それぞれの画素の境界に形成されるブラックマトリックス及び画素とブラックマトリックスの上に形成される保護膜とから構成される。この構成において、画素及びブラックマトリックス(着色パターン)が上記の感光性着色組成物を用いて形成されることを除けば、その他の構成は公知のものを採用することができる。
【0101】
以下、本実施形態のカラーフィルターの製造方法を詳細に説明する。まず、基板上に着色パターンを形成する。具体的には、基板上に、ブラックマトリックス及びRGBの画素を順次形成する。基板の材質は、特に限定されるものではなく、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、アルミニウム基板、プリント配線基板、アレイ基板などを適宜用いることができる。
【0102】
着色パターンは、フォトリソグラフィ法により形成することができる。具体的には、上記の感光性着色組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成した後、所定のパターンのフォトマスクを介して塗布膜を露光して露光部分を光硬化させる。そして、未露光部分をアルカリ水溶液で現像した後、ベーキングすることにより、所定の着色パターンを形成することができる。
【0103】
感光性着色組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、スクリーン印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、スピンコート法などを用いることができる。また、感光性着色組成物の塗布後、必要に応じて、循環式オーブン、赤外線ヒーター、ホットプレートなどの加熱手段を用いて加熱することにより溶剤(D)を揮発させてもよい。加熱条件は、特に限定されず、使用する感光性着色組成物の種類に応じて適宜設定すればよい。一般には、50℃~120℃の温度で30秒~30分加熱すればよい。
【0104】
次いで、形成された塗膜にネガ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性着色組成物の組成に応じて適宜選択すればよく、例えば、30~2000mJ/cm2であることが好ましい。露光に用いられる光源としては、特に限定されないが、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
【0105】
現像に用いられるアルカリ水溶液としては、特に限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液;エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジメチルエタノールアミノ基などのアミノ基系化合物の水溶液;テトラメチルアンモニウム、3-メチル-4-アミノ-N,N-ジエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-ヒドロキシエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩などのp-フェニレンジアミノ基系化合物の水溶液などを用いることができる。なお、これらの水溶液には、必要に応じて消泡剤や界面活性剤を添加してもよい。また、上記のアルカリ水溶液による現像の後、水洗して乾燥させることが好ましい。
【0106】
また、ベーキングの条件は、特に限定されず、使用する感光性着色組成物の種類に応じて加熱処理を行えばよい。一般には、80~250℃で10~60分間加熱すればよい。
【0107】
上記のような塗布、露光、現像及びベーキングを、ブラックマトリックス用の感光性着色組成物、及び赤色、緑色、青色の画素用感光性着色組成物を用いて順次繰り返すことにより、所望の着色パターンを形成することができる。その後、着色パターン(RGBの各画素及びブラックマトリックス)上に保護膜を形成するが、保護膜としては、特に限定されず、公知のものを用いて形成すればよい。
【0108】
このようにして製造されるカラーフィルターは、顔料の均一な微細化を実現することで顔料分散性が優れ、高輝度化を達成し、優れた耐熱性、耐溶剤性、密着性を有し、分散剤や着色剤のブリードアウトの抑制が期待できる。
【0109】
[カラーフィルターの応用]
本実施形態に係るカラーフィルターを用いて、カラーフィルターを備えた画像表示素子を製造することができる。画像表示素子の具体例として、液晶表示素子、有機EL表示素子、CCD素子やCMOS素子などの固体撮像素子などが挙げられる。本実施形態の画像表示素子の製造は、上記のカラーフィルターを使用すること以外、常法に従って行えばよい。例えば、液晶表示素子を製造する場合には、基板上に、上記カラーフィルターを形成し、次いで、電極、スペーサー等を順次形成する。そして、もう一枚の基板上に電極等を形成し、両者を張り合わせて所定量の液晶を注入、封止すればよい。
【実施例0110】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0111】
(評価方法)
[アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有するアミノ基の総量に対する、モノブロモ化合物(a-1)または他の4級化剤(b)の付加率]
試料を重DMSOに溶解させ、1H-NMRにより、アミノ基含有高分子化合物(a-0)へのモノブロモ化合物(a-1)の付加率を評価した。
【0112】
[1H-NMRの測定条件]
測定装置:ブルカ社製「AVANCE III」400MHz
1H-NMR(シングルパルス)、パルス角45°、パルス繰り返し時間3秒、積算回数16回。
観測核:1H
温度:25℃
溶媒:重DMSO
【0113】
[顔料分散剤(A)の構造解析]
得られた顔料分散剤(A)のモノブロモ化合物(a-1)、すなわち、4級化率を上記の条件で測定して以下のように解析した。
アミノ基含有高分子化合物(a-0)の窒素原子付近のプロトンピーク積分値を反応前後で比較する。具体的には、3級アミンのジメチル部位の計6プロトンが、反応後に4級化されることでピークシフトし、積分値が減少するの確認する。ジメチル部位のプロトン積分値の減少度合い、モノブロモ化合物(a-1)のプロトンピークの減少度合いから付加率を算出した。
【0114】
[顔料分散剤に対するモノブロモ化合物(a-1)または他の4級化剤(b)の含有量(導入量)]
上記付加率と同様に、1H-NMRにより含有量を測定した。
【0115】
[重量平均分子量、数平均分子量の測定法]
顔料分散剤(A)の重量平均分子量、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量、数平均分子量を意味する。
カラム:ショウデックス(登録商標) LF-804+LF-804(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
試料:測定対象物の0.2%テトラヒドロフラン溶液
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショウデックス RI-71S)(昭和電工株式会社製)
流速:1mL/min
【0116】
顔料分散剤(A)の製造例を以下に示す。
(合成例1)
「顔料分散剤(A)の製造」
アミノ基含有高分子化合物(a-0)として3級アミン分散剤EFKA-PX4300(BASF社製、固形分30%、アミン価57mgKOH/g、重量平均分子量25000)を100g(溶剤を除く固形分換算)、モノブロモ化合物(a-1)として1-ブロモプロパンを12g(アミノ基含有高分子化合物(a-0)の3級アミノ基の総量に対して100モル%)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを仕込み量から計算した不揮発分が30質量%となるよう加え、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら攪拌し、室温から反応温度(50℃)まで昇温し、2時間反応させた。1H-NMRスペクトルによりブロモプロパンのピークシフトを確認するまで攪拌した後、室温まで降温し、顔料分散剤(PD1)を得た。
【0117】
(合成例2~8)
表1-1に記載のモノブロモ化合物(a-1)を使用し、表1-1に記載の反応温度と反応時間に設定、使用するブロモ化合物の量以外は合成例1と同様にして、顔料分散剤(PD2)~(PD8)を得た。なお、上記モノブロモ化合物(a-1)の仕込み量は、アミノ基含有高分子化合物(a-0)の3級アミノ基の総量に対して100モル%となるように計算し、使用した。
【0118】
(比較合成例1~8)
表1-2に記載のモノブロモ化合物(a-1)以外の4級アンモニウム化剤(b)を使用し、表1-2に記載の反応温度と反応時間に設定する以外は合成例1と同様にして、顔料分散剤(cPD-1)~(cPD-8)を得た。なお、上記4級化剤(b)の仕込み量は、アミノ基含有高分子化合物(a-0)の3級アミノ基の総量に対して100モル%となるように計算し使用した。
【0119】
【0120】
【0121】
バインダー樹脂(C-1)の製造例を以下に示す。
(合成例a1)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、73.7gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを入れた後、窒素ガスで置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。次に、27.5gのトリシクロデカニルメタクリレート、66.0gのベンジルメタクリレート及び45.0gのアクリル酸、からなるモノマー混合物に、重合開始剤として15.5gのt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートを添加したものを滴下ロートから前記フラスコ中に滴下した。滴下終了後、120℃で2時間攪拌して共重合反応を行った。
次に、前記フラスコ内をドライエアーに置換した後、26.6gのグリシジルメタクリレート、触媒として0.5gのトリフェニルホスフィン及び重合禁止剤として0.4gのハイドロキノンモノメチルエーテルを加え、120℃で5時間反応を行った後、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート132gを加え固形分が40%となるように調製し、バインダー樹脂No.BP1を得た。
【0122】
顔料分散組成物の製造例を以下に示す。
【0123】
(実施例a1~a8)
直径0.1mmのジルコニアビーズ(ニッカトー製YTZボール)200gを充填したSUS容器(内径50mm×高さ100mm)に、顔料(B)としてC.I.ピグメントグリーン58(DIC製Fastogen Green A110)を7.5g(100質量部)、顔料分散剤(A)として合成例1~8で得られた顔料分散剤No.PD1~PD8のいずれか、バインダー樹脂(C-1)として合成例a1で得られた試料No.BP1を表2に示す組成で混合し、溶剤(D-1)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、ジルコニアビーズを除いた固形分が24質量%となるように調製し、ペイントシェイカー(Red Devil Equipment製Red Devil 5400)で室温下、2時間混合して分散させた後、内容物をガラスフィルターで吸引ろ過することにより、顔料分散組成物MB1~MB8を得た。
【0124】
(比較例a1~a9)
顔料分散剤として比較合成例1、3、5~8で得られた顔料分散剤No.cPD1、cPD3、cPD5~cPD8のいずれかを用いた以外は、実施例a1と同様に顔料分散組成物cMB1、MB3、MB5~cMB9を得た。比較合成例2と4で得られた顔料分散剤cPD2、cPD4について、付加率が0であったため、比較例a2,a4において、顔料分散組成物を作製しなかった。
【0125】
(顔料分散性の評価)
調製した直後の顔料分散組成物の粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製RE-80L、コーンサイズ4.8cm、回転数20rpm、測定温度25℃)で測定することで評価した。また、粘度の測定結果より、顔料分散性を下記基準により1~5の5段階で評価し、3以上を合格とした。評価結果を前記表2に示した。
「5」:6.0mPa・s未満
「4」:6.0mPa・s以上8.0mPa・s未満
「3」:8.0mPa・s以上10.0mPa・s未満
「2」:10.0mPa・s以上
「1」:流動性無し
【0126】
(顔料分散組成物の保存安定性の評価)
調製した顔料分散組成物を室温で1カ月保管した後の顔料分散組成物の粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製RE-80L、測定温度25℃)で測定することで評価した。室温で1カ月保管した後の顔料分散組成物の粘度の上昇率「(保管後粘度-調整後粘度)×100/調整後粘度」が、調製した直後と比較し、下記基準により1~5の5段階で評価した。評価結果を前記表2に示した。
「5」:5%未満
「4」:5%以上10%未満
「3」:10%以上20%未満
「2」:20%以上40%未満
「1」:14日以内に流動性を失う
【0127】
【0128】
感光性着色組成物(CR)の製造例を以下に示す。
【0129】
(実施例b1~b8、比較例b1~b9)
前記実施例a1~a8で得られた顔料分散組成物MB1~MB8、及び比較例a1、a3、a5~a9で得られた顔料分散組成物cMB1、MB3、MB5~cMB9の固形分(溶剤以外の成分の総量)を100質量部としたときに、バインダー樹脂(C-2)として上記樹脂(C-1)を用い、上記樹脂(C-1)を固形分として80質量部、反応性希釈剤(E)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを80質量部、光重合開始剤(F)として1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル-]-,-1-(O-アセチルオキシム)を4質量部混合し、溶剤(D-2)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え全体の固形分が30%となるように混合することで、感光性着色組成物CR1~8及びcCR1、cCR3、cCR5~cCR9を調製した。なお、顔料(B)100質量部に対する各成分配合量としては、バインダー樹脂(C-2)が128質量部、反応性希釈剤(E)が128質量部、光重合開始剤(F)が6.4質量部である。表3に各種材料の使用部数を示す。
【0130】
(現像性試験用緑色レジスト(1)の作製)
得られた感光性着色組成物CR1~8及びcCR1、cCR3、cCR5~cCR9を、5cm角ガラス基板(無アルカリガラス基板)上に、最終の硬化塗膜の平均厚さが1.5μmとなるようにスピンコートした後、100℃で3分間加熱し溶剤を揮発させた。次に塗膜をフォトマスクを介して露光(ランプとして、ウシオ電機株式会社製USH-250BYを使用、露光量40mJ/cm2)させた後、緑色レジスト(1)を得た。
【0131】
(現像性試験)
現像性試験は、現像速度を評価した。現像速度については、上記緑色カラーレジスト(1)の現像工程において、0.2質量%の水酸化カリウム水溶液での現像中、パターンが見え終わるまでに掛かる時間を測定し、下記基準により1~5の5段階で評価し、3以上を合格とした。評価結果を前記表3に示した。
「5」:40秒未満
「4」:40秒以上50秒未満
「3」:50秒以上60秒未満
「2」:60秒以上70秒未満
「1」:70秒以上
【0132】
(色特性試験用緑色レジスト(2)の作製)
感光性着色組成物を、5cm角ガラス基板(無アルカリガラス基板)上に、最終の硬化塗膜の色座標が、(株)島津製作所製 分光光度計UV-1650PCを用いてx=0.26±0.005、y=0.45±0.005となるように平均厚さを調整し、塗膜を全面露光、その後100℃で30分ベーキングしたこと以外は、緑色レジスト(1)の作製方法と同様にして、硬化塗膜である緑色カラーレジスト(2)を得た。
【0133】
(着色力試験)
上記緑色カラーレジスト(2)の膜厚を段差計(株式会社小坂研究所製ET4000M)で測定した。膜厚を下記基準により「3」、「2」、「1」の3段階で評価した。
3:膜厚1.9μm未満
2:膜厚1.9~2.1μm
1:膜厚2.1μm以上
【0134】
(透過率試験)
上記緑色カラーレジスト(2)の525nmにおける透過率を、(株)島津製作所製 分光光度計UV-1650PCを用いて測定した。透過率95.0%以上を「2」、93.0%以上~94.9%以下を「1」、93.0%以下を「0」とし、着色力試験と透過率試験の評価の合計を色特性評価の点数として表3に記載した。
【0135】
【0136】
(考察)
表3の結果をみると実施例では、前記モノブロモ化合物(a-1)を用いることにより、比較的低温、短時間のマイルドな条件で、前記アミノ基含有高分子化合物(a-0)が有する3級アミノ基を4級アンモニウムカチオン化することができる。従って、顔料分散剤製造時の熱履歴を低減することができ、顔料分散剤の黄変を抑制することができる。その結果、この製造方法により得られた顔料分散剤を用いた感光性着色組成物は、カラーフィルター等に用いた場合の色特性が良好なものとなる。
【0137】
一方、フルオロ化合物、クロロ化合物等、他のハロゲン化合物を用いてアミノ基を4級アンモニウムカチオン化した場合には、反応が進行する化合物種が限られる上、反応性が低いためにアミノ基へのハロゲン化合物の導入率(付加率)を上げることができない、反応温度をさらに上げる必要がある、反応時間をさらに伸ばす必要があるなどの問題が生じる。反応温度を上げたり、反応時間を延ばした場合には、顔料分散剤への熱履歴が増大し、顔料分散剤自体が黄変するなどの不具合が生じる。
硫酸ジアルキル等の化合物を用いてアミノ基を4級アンモニウムカチオン化した場合には、やはり付加率を上げるために、反応温度を上げたり、反応時間を延ばしたりする必要があり、顔料分散剤への熱履歴が増大し、顔料分散剤自体が黄変を引き起こす。