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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061388
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】振動ユニット及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240425BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169303
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジメルカ
(72)【発明者】
【氏名】竹井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】長坂 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 良典
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA08
5E555BB02
5E555BB04
5E555BB08
5E555BC04
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】振動板を局所的に変形させることが可能な振動ユニット及び駆動方法を提供する。
【解決手段】振動ユニット1は、通電により変形する変形型アクチュエータと、複数の変形型アクチュエータ11が取り付けられ、変形型アクチュエータ11の変形に応じて変形する振動板10とを備える。振動板10が備える複数の変形型アクチュエータ11は、振動板10の一方の面に沿ってアレイ配置されており、振動板10は、アレイ配置されているそれぞれの変形型アクチュエータ11の変形に応じて局所的に変形可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により変形する薄膜状の変形型アクチュエータと、
複数の前記変形型アクチュエータが取り付けられ、前記変形型アクチュエータの変形に応じて変形する可撓性の振動板と
を備え、
複数の前記変形型アクチュエータは、前記振動板の一方の面の面方向に沿ってアレイ配置されており、
前記振動板は、アレイ配置されているそれぞれの前記変形型アクチュエータの変形に応じて局所的に変形可能である
ことを特徴とする振動ユニット。
【請求項2】
複数の前記変形型アクチュエータを、個別に駆動可能な駆動部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の振動ユニット。
【請求項3】
通電により変形する複数の薄膜状の変形型アクチュエータと、
可撓性を有する板状をなし、複数の前記変形型アクチュエータが一方の面の面方向に沿ってアレイ配置され、アレイ配置されているそれぞれの前記変形型アクチュエータの変形に応じて局所的に変形する振動板と、
複数の前記変形型アクチュエータを駆動可能な駆動部と
を備える振動ユニットを用い、
前記駆動部は、
複数の前記変形型アクチュエータを個別に駆動する
ことを特徴とする駆動方法。
【請求項4】
前記駆動部は、
複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを駆動し、
複数の前記変形型アクチュエータのうちの前記第1の変形型アクチュエータの近傍に配置された第2の変形型アクチュエータを、前記第1の変形型アクチュエータと異なる変形をするように駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動方法。
【請求項5】
前記駆動部は、
前記振動板を局所的に第1の方向へ変形させるように、複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを駆動し、
前記振動板を局所的に、第1の方向の反対方向である第2の方向へ変形させるように、前記第1の変形型アクチュエータの近傍に配置された第2の変形型アクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動方法。
【請求項6】
前記駆動部は、
複数の前記変形型アクチュエータのうちで、前記振動板の第1の部分を変形させる第1の変形型アクチュエータ及び前記振動板の第2の部分を変形させる第2の変形型アクチュエータに対し、
前記振動板の第1の部分から第2の部分までの範囲のうちの任意の位置の変形が最大となるように、前記第1の変形型アクチュエータ及び前記第2の変形型アクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動方法。
【請求項7】
前記駆動部は、
複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを第1の振動周波数で駆動し、
複数の前記変形型アクチュエータのうちの第2の変形型アクチュエータを第1の振動周波数と異なる第2の振動周波数で駆動し、
前記振動板に、第1の振動周波数及び第2の振動周波数の差となるうなりが発生するように駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形型アクチュエータを備える振動ユニット、及びそのような振動ユニットを用いた駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置に触れた使用者に対し、接触面の振動、凹凸等の触覚にて情報を伝えるゲーム用コントローラ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、タッチパッド等の様々な電子機器が実用化されている。例えば、特許文献1には、タッチパネルの端部に振動を発生させる偏芯モータを配置し、タッチパネル全体を略均一な振動量で振動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-137971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているような偏芯モータ、その他電磁アクチュエータ等のアクチュエータを用いた振動素子では、サイズ、重さ等の観点から局所的な振動の発生が困難という問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、局所的な振動の発生が容易な振動ユニットの提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、そのような振動ユニットの駆動方法の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願開示の振動ユニットは、通電により変形する薄膜状の変形型アクチュエータと、複数の前記変形型アクチュエータが取り付けられ、前記変形型アクチュエータの変形に応じて変形する可撓性の振動板とを備え、複数の前記変形型アクチュエータは、前記振動板の一方の面の面方向に沿ってアレイ配置されており、前記振動板は、アレイ配置されているそれぞれの前記変形型アクチュエータの変形に応じて局所的に変形可能であることを特徴とする。
【0008】
また、前記振動ユニットにおいて、複数の前記変形型アクチュエータを、個別に駆動可能な駆動部を備えることを特徴とする。
【0009】
更に、本願開示の駆動方法は、通電により変形する複数の薄膜状の変形型アクチュエータと、可撓性を有する板状をなし、複数の前記変形型アクチュエータが一方の面の面方向に沿ってアレイ配置され、アレイ配置されているそれぞれの前記変形型アクチュエータの変形に応じて局所的に変形する振動板と、複数の前記変形型アクチュエータを駆動可能な駆動部とを備える振動ユニットを用い、前記駆動部は、複数の前記変形型アクチュエータを個別に駆動することを特徴とする。
【0010】
また、前記駆動方法において、前記駆動部は、複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを駆動し、複数の前記変形型アクチュエータのうちの前記第1の変形型アクチュエータの近傍に配置された第2の変形型アクチュエータを、前記第1の変形型アクチュエータと異なる変形をするように駆動することを特徴とする。
【0011】
また、前記駆動方法において、前記駆動部は、前記振動板を局所的に第1の方向へ変形させるように、複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを駆動し、前記振動板を局所的に、第1の方向の反対方向である第2の方向へ変形させるように、前記第1の変形型アクチュエータの近傍に配置された第2の変形型アクチュエータを駆動することを特徴とする。
【0012】
また、前記駆動方法において、前記駆動部は、複数の前記変形型アクチュエータのうちで、前記振動板の第1の部分を変形させる第1の変形型アクチュエータ及び前記振動板の第2の部分を変形させる第2の変形型アクチュエータに対し、前記振動板の第1の部分から第2の部分までの範囲のうちの任意の位置の変形が最大となるように、前記第1の変形型アクチュエータ及び前記第2の変形型アクチュエータを駆動することを特徴とする。
【0013】
また、前記駆動方法において、前記駆動部は、複数の前記変形型アクチュエータのうちの第1の変形型アクチュエータを第1の振動周波数で駆動し、複数の前記変形型アクチュエータのうちの第2の変形型アクチュエータを第1の振動周波数と異なる第2の振動周波数で駆動し、前記振動板に、第1の振動周波数及び第2の振動周波数の差となるうなりが発生するように駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願開示の振動ユニット等は、薄膜状の複数の変形型アクチュエータを、振動板の一方の面の面方向に沿ってアレイ配置することにより、振動板を局所的に変形可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願開示の振動ユニットの一例を概念的に示す概略断面図である。
図2】本願開示の振動ユニットの一例を概念的に示す概略分解図である。
図3】本願開示の振動ユニットの一例を概念的に示す概略断面図である。
図4】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
図5A】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
図5B】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
図6A】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
図6B】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
図7】本願開示の振動ユニットの駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<適用例>
本願開示の振動ユニットは、例えば、触覚呈示ディスプレイに適用される。触覚呈示ディスプレイは、ディスプレイ面が振動、一部の突出等の変形をすることにより、使用者に触覚で情報を呈示する。具体例として、本願開示の振動ユニットは、ゲーム用コントローラ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、タッチパッド等の電子機器に適用される。このような電子機器は、エンターテインメント、ヘルスケア、医療分野等の様々な技術分野で注目されている。以下では、このような振動ユニット1について、様々な実施形態を例示して説明する。
【0017】
<振動ユニットの構成>
図1は、本願開示の振動ユニット1の一例を概念的に示す概略断面図である。図2は、本願開示の振動ユニット1の一例を概念的に示す概略分解図である。本願開示の振動ユニット1は、例えば、触覚呈示ディスプレイに適用され、使用者に触覚で情報を提示する機能を有している。振動ユニット1は、使用者が触れる振動板10を備えている。振動板10は、使用者に触覚で情報を提示するために局所的に変形する(図4等参照)。振動板10の変形とは、振動板10の表面の凹凸の変化、例えば、表面の一部が突出することを示す。突出の状況は、突出した状態を維持する場合であっても、突出の高さが経時的に変化する振動であってもよい。
【0018】
振動ユニット1は、前述の振動板10、振動板10を変形させる複数の変形型アクチュエータ11、変形型アクチュエータ11を封止する封止部12、変形型アクチュエータ11を駆動する駆動部13等の部材を備えている。振動板10は、裏面(一方の面)に変形型アクチュエータ11が複数取り付けられており、表面が、使用者が触れる接触面となっている。振動板10は、裏面に取り付けられた変形型アクチュエータ11の変形に応じて変形する。
【0019】
変形型アクチュエータ11を封止する封止部12は、ラミネート加工による封止構造で振動板10の裏面に変形型アクチュエータ11を封止している。封止部12は、すべての変形型アクチュエータ11を纏めて封止する封止構造、幾つかの変形型アクチュエータ11をグループ化した封止構造、個々の変形型アクチュエータ11をそれぞれ個別に封止する封止構造等、様々な構造で封止している。このような封止構造は、振動板10の面積、変形型アクチュエータ11の面積、素子数、特性等の仕様に応じて適宜設計される。
【0020】
変形型アクチュエータ11は、通電により自らが変形することで振動板10を変形させるアクチュエータであり、圧電式、静電式等の様々な素子を用いることが可能である。本願では、駆動電圧、駆動力等の観点から通電による圧電効果にて変形する圧電材料から形成されたピエゾ素子(圧電素子)を用いた圧電式の圧電アクチュエータを、変形型アクチュエータ11として用いる形態を例示して説明する。変形型アクチュエータ11に用いられる圧電材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の無機材料、PVDF(ポリ弗化ビニリデン)等の有機材料等の様々な材料が用いられる。
【0021】
変形型アクチュエータ11は、略正方形の薄膜状に形成されており、振動板10の裏面の面方向に沿って、複数の変形型アクチュエータ11が縦横に並ぶマトリクス状にアレイ配置されている。複数の変形型アクチュエータ11が、マトリクス状にアレイ配置されているため、それぞれの変形型アクチュエータ11の変形を制御することにより、振動板10は、局所的に変形する。振動板10が局所的に変形することにより、触覚呈示ディスプレイは、触覚により使用者に対して情報を呈示することが可能になる。従って、変形型アクチュエータ11のサイズ、配置ピッチ等の仕様は、振動板10の振動特性も含めて、触覚呈示ディスプレイに対する要求品質に応じて適宜設計される。
【0022】
駆動部13は、変形型アクチュエータ11を駆動する回路であり、図示しないCPU等の制御部からの駆動信号に基づき通電することにより、それぞれの変形型アクチュエータ11の変形を制御する。
【0023】
図3は、本願開示の振動ユニット1の一例を概念的に示す概略断面図である。図3は、振動ユニット1が備える複数の変形型アクチュエータ11に対し、それぞれ駆動する駆動部13を設けた形態である。個々の変形型アクチュエータ11は、それぞれ対応する駆動部13により駆動される。このように、振動ユニット1が備える駆動部13は、複数の変形型アクチュエータ11を個別に駆動することが可能であれば、個々の変形型アクチュエータ11毎に駆動部13を設けてもよく、また複数の変形型アクチュエータ11を駆動する駆動部13を設けてもよい。
【0024】
駆動部13による変形型アクチュエータ11の駆動は、直流又は交流により変形型アクチュエータ11を変形することにより行われる。交流による変形型アクチュエータ11の駆動において、振動周波数は、人間の振動の知覚周波数に合わせて、1~500Hz程度が好ましい。ただし、振動板10自体の共振周波数と一致すると、再現すべき振動が再現できない状況も想定されるため、振動周波数は、振動板10の構造に起因する共振周波数とは異なる周波数とすることが好ましい。また、駆動部13から変形型アクチュエータ11への通電により印可する電圧は、50V以下とすることが好ましい。
【0025】
<振動ユニットの駆動>
次に振動ユニット1を駆動する駆動方法の形態について例示する。図4は、本願開示の振動ユニット1の駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。図4は、振動ユニット1が備える変形型アクチュエータ11が通電された状態を示している。変形型アクチュエータ11は、駆動部13からの通電により変形する。変形型アクチュエータ11の変形により、振動板10は、変形した変形型アクチュエータ11が配置されている箇所が局所的に変形する。図4では、振動板10が局所的に凸状となるように、変形型アクチュエータ11を駆動する状態を示している。使用者は、振動板10に、指が触れることにより、変形型アクチュエータ11の変形に起因する振動板10の局所的な変形による振動を感得することができる。
【0026】
図5A及び図5Bは、本願開示の振動ユニット1の駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。図5Aは、変形型アクチュエータ11の変形により、振動板10が局所的に凸となった状態を示している。図5Bは、変形した変形型アクチュエータ11(第1の変形型アクチュエータ11)の近傍に配置された他の変形型アクチュエータ11(第2の変形型アクチュエータ11)が異なる変形、具体的には反対方向への変形をするように駆動する状態を示している。図5Bにおいて、振動ユニット1の駆動部13は、振動板10上で、凸状に変形させる箇所に対応する変形型アクチュエータ11を変形させると共に、近傍に配置された他の変形型アクチュエータ11を反対方向、即ち凹状に変形させるように駆動する。このような駆動方法を実施することにより、例えば、図5Aに例示した駆動方法と比べ、図5Bに例示した駆動方法は、凸状の変形が急峻となるため、使用者に対し、強い触覚を感得させることが可能となる。なお、凸状に変形する変形型アクチュエータ11に対し、近傍に配置され凹状に変形する他の変形型アクチュエータ11が隣接して配置されている場合は、急峻な凸状の変形となる。本願において、近傍の変形型アクチュエータ11とは、隣接して配置された変形型アクチュエータ11に限るものではなく、影響を及ぼし合う程度の範囲に配置された変形型アクチュエータ11を指す。従って、緩やかな凸状を形成するために、凹状に変形する他の変形型アクチュエータ11は、近傍であっても、隣接ではなく、例えば、一つ間をおいた変形型アクチュエータ11とするように駆動することも可能である。
【0027】
図6A及び図6Bは、本願開示の振動ユニット1の駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。図6A及び図6Bは、複数の変形型アクチュエータ11を変形させることにより、変形型アクチュエータ11の変形のピークとなる位置を制御する形態である。図6Aは、変形前の振動ユニット1において、隣接する2つの変形型アクチュエータ11を個別に変形させた場合の振動板10の変形を破線で概念的に示している。図6Bは、隣接する2つの変形型アクチュエータ11を同時に変形させた場合の状態を概念的に示している。振動ユニット1の駆動部13は、複数の変形型アクチュエータ11を同時に駆動することにより、変形型アクチュエータ11が直下に配置されていない位置が変形のピークとなるように駆動することが可能である。また、図6Bは、隣接する変形型アクチュエータ11の略中間位置をピークとする形態を例示しているが、振動ユニット1の駆動部13は、複数の変形型アクチュエータ11の変形量を適宜制御することにより、振動板10の任意の位置をピークとすることが可能である。ピーク、即ち、変形が最大となる位置は、第1の変形型アクチュエータ11が配置された位置に対応する振動板10の第1の部分から、第2の変形型アクチュエータ11が配置された位置に対応する振動板10の第2の部分の位置までの任意の位置である。なお、図6Bでは、隣接して配置されている変形型アクチュエータ11を変形させる形態を例示しているが、本願開示の振動ユニット1は、振動板10の変形範囲が互いに影響を受ける変形型アクチュエータ11であれば、隣接していない複数の変形型アクチュエータ11を変形してピークを制御する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0028】
図7は、本願開示の振動ユニット1の駆動方法の一例を概念的に示す概略断面図である。図7は、図6Bに例示した隣接する複数の変形型アクチュエータ11で、振動板10の変形のピークを形成する形態において、変形型アクチュエータ11の振動周波数をそれぞれ異なる振動周波数とする形態である。具体的には、振動ユニット1の駆動部13は、第1の変形型アクチュエータ11が第1の振動周波数f1で振動するように駆動し、第2の変形型アクチュエータ11が第2の振動周波数f2で振動するように駆動する。第1の振動周波数f1と第2の振動周波数f2とが異なる振動周波数である場合、振動板10の振動には、f2-f1の振動周波数のうなりが発生する。このようなうなりにより、振動板10に触れる使用者は、より強い振動を感得することができる。
【0029】
以上のように本願開示の振動ユニット1は、薄膜状の複数の変形型アクチュエータ11を、振動板10の一方の面の面方向に沿ってアレイ配置する。これにより、振動ユニット1は、振動板10を局所的に変形することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0030】
また、本願開示の振動ユニット1は、複数の変形型アクチュエータ11を個別に駆動可能な駆動部13を備える。これにより、振動ユニット1は、振動板10の変形の精度を向上させることが可能である等、優れた効果を奏する。
【0031】
また、本願開示の振動ユニット1は、第1の変形型アクチュエータ11を、例えば凸状に変形し、第1の変形型アクチュエータ11の近傍に配置された第2の変形型アクチュエータ11を反対方向の変形、例えば凹状に変形する。これにより、振動ユニット1は、振動板10のピークが急峻になるので、使用者に対し、強い触覚を感得させるように駆動することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0032】
また、本願開示の振動ユニット1は、複数の変形型アクチュエータ11を変形させることにより、振動板10の変形が最大となる位置を制御することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0033】
また、本願開示の振動ユニット1は、複数の変形型アクチュエータ11を異なる振動周波数で駆動することにより、駆動した振動に加えてうなりが発生するので、より強い触覚を使用者に感得させることが可能である等、優れた効果を奏する。
【0034】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術範囲は、請求の範囲によって説明するものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の技術範囲内のものである。
【符号の説明】
【0035】
1 振動ユニット
10 振動板
11 変形型アクチュエータ
12 封止部
13 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7