(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061896
(43)【公開日】2024-05-08
(54)【発明の名称】内服用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/12 20060101AFI20240426BHJP
A61K 31/4166 20060101ALI20240426BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20240426BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240426BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K31/12
A61K31/4166
A61K33/06
A61P29/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043392
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2019238435の分割
【原出願日】2019-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 貴裕
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ナブメトンの鎮痛作用を増強させた内服用医薬組成物を提供することである。
【解決手段】内服用医薬組成物において、ナブメトンと共に、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及び/又はケイヒエキスを組み合わせて使用すると、ナブメトンの鎮痛作用が飛躍的に増強し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ナブメトン、及び(B)アルジオキサを含有する、内服用医薬組成物。
【請求項2】
前記(A)成分100重量部当たり、前記(B)成分を総量で0.1~6000重量部含む、請求項1に記載の内服用医薬組成物。
【請求項3】
鎮痛用途に使用される、請求項1又は2に記載の内服用医薬組成物。
【請求項4】
ナブメトンの鎮痛作用を増強する方法であって、
内服用医薬組成物に、ナブメトンと共に、アルジオキサを配合する、鎮痛作用増強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナブメトンを含む内服用医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、ナブメトンの鎮痛作用が増強している内服用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナブメトン、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム等の非ステロイド性抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症剤で見られるような重篤な副作用の懸念が少なく、使用量や使用期間等の制約も少ないため、鎮痛、解熱、消炎等を目的とした内服用医薬組成物において汎用されている。非ステロイド性抗炎症剤の内、ナブメトンは、肝臓で代謝されて活性体である6-メトキシ-2-ナフチル酢酸に変換され、当該活性化体がシクロオキシゲナーゼ1よりもシクロオキシゲナーゼ2に対する阻害作用が高い非ステロイド性抗炎症剤である。非ステロイド性抗炎症剤の中でも、ナブメトンは、服用回数が少なく、更に副作用が比較的少ないことが知られている。
【0003】
従来、ステロイド性抗炎症剤の鎮痛作用を増強した製剤処方について種々検討が行われている。例えば、特許文献1には、ナブメトン、ジクロフェナク等のフェニル酢酸誘導体又は塩と、メントール類を併用することによって、消炎鎮痛作用が増強することが開示されている。また、特許文献2には、イブプロフェン等のプロピオン酸系鎮痛剤と2種以上のビタミンB類を併用することによって、鎮痛作用が増強することが開示されているが、ナブメトンを含む製剤については具体的に検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-286161号公報
【特許文献1】特開2008-247822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、医薬分野において薬効の増強に対する要望が高まっており、新たな製剤技術により、ナブメトンの鎮痛作用を増強させる技術の開発が求められている。そこで、本発明は、ナブメトンの鎮痛作用を増強させた内服用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、内服用医薬組成物において、ナブメトンと共に、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及び/又はケイヒエキスを組み合わせて使用すると、ナブメトンの鎮痛作用が飛躍的に増強し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ナブメトン、並びに(B)合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及びケイヒエキスよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、内服用医薬組成物。
項2. 前記(A)成分100重量部当たり、前記(B)成分を総量(但し、(B)成分がケイヒ、及びケイヒエキスの場合は原生薬換算量)で0.1~6000重量部含む、項1に記載の内服用医薬組成物。
項3. 前記(B)成分が、合成ヒドロタルサイトである、項1又は2に記載の内服用医薬組成物。
項4. 鎮痛用途に使用される、項1~3のいずれかに記載の内服用医薬組成物。
項5. ナブメトンの鎮痛作用を増強する方法であって、
内服用医薬組成物に、ナブメトンと共に、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及びケイヒエキスよりなる群から選択される少なくとも1種を配合する、鎮痛作用増強方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内服用医薬組成物によれば、ナブメトンと、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及び/又はケイヒエキスとを併用することによって、ナブメトンの鎮痛作用を飛躍的に増強させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】試験例1において、酢酸ライジング法にて鎮痛作用を評価した結果を示す図である。
【
図2】参考試験例1において、酢酸ライジング法にて鎮痛作用を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.内服用医薬組成物
本発明の内服用医薬組成物は、ナブメトン(以下、「(A)成分」と表記することもある)と、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及びケイヒエキスよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(B)成分」と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の内服用医薬組成物について詳述する。
【0011】
[(A)成分]
本発明の内服用医薬組成物は、鎮痛成分として、ナブメトンを含有する。ナブメトンとは、4-(6-メトキシナフタレン-2-イル)-2-ブタノンとも称される公知の非ステロイド性抗炎症剤である。
【0012】
本発明の内服用医薬組成物における(A)成分の含有量については、剤型、投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~90重量%、好ましくは5~80重量%が挙げられる。
【0013】
[(B)成分]
本発明の内服用医薬組成物は、ナブメトンの鎮痛作用を増強させる成分として、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及びケイヒエキスよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。これらの(B)成分をナブメトンと併用することによって、ナブメトンの鎮痛作用を飛躍的に増強させることができる。
【0014】
(B)成分の内、合成ヒドロタルサイト及び炭酸マグネシウムは、医薬分野において、制酸剤等として使用されている公知の無機化合物である。
【0015】
(B)成分の内、アルジオキサは、医薬分野において、胃粘膜保護薬等として使用されている公知の無機化合物である。
【0016】
(B)成分の内、ケイヒは、クスノキ科トンキンニッケイやその他同属植物の樹皮を乾燥したものであり、生薬として使用されている公知の成分である。本発明に使用されるケイヒは、粉砕物、細切物、粉末物、及びこれらの乾燥物のいずれであってもよいが、好ましくは粉末物(ケイヒ末)が挙げられる。
【0017】
(B)成分の内、ケイヒエキスは、ケイヒを抽出原料として抽出処理することにより得られる抽出物であり、公知の手法で抽出処理することにより得ることができる。ケイヒエキスの抽出処理に使用される抽出溶媒としては、例えば、水(熱水含む);エタノール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;これらの混合液等の極性溶媒が挙げられ、好ましくは水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混合溶媒である。ケイヒエキスの製造において採用される抽出方法については、特に制限されず、生薬エキスの製造に使用される一般的な抽出手法であればよい。例えば抽出溶媒中に原生薬を冷浸、温浸等によって浸漬し、必要に応じて撹拌する方法;パーコレーション法;水蒸気蒸留法等を挙げることができる。得られた抽出液を、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去することにより、生薬エキスを回収できる。ケイヒエキスは、上記抽出処理により得られた液状のエキスをそのまま使用してもよいが、必要に応じて、一部又は全ての溶媒を除去して濃縮液(軟エキス)若しくは乾燥物(乾燥エキス)として使用してもよい。また、これらの濃縮液(軟エキス)若しくは乾燥物(乾燥エキス)を更に精製処理に供してもよく、更にこれらを適当な溶剤に溶解若しくは懸濁して用いることもできる。
【0018】
これらの(B)成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
また、本発明の内服用医薬組成物において、(A)成分と(B)成分の比率としては、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分の総量が0.1~6000重量部が挙げられる。なお、前記比率は、(B)成分がケイヒ及び/又はケイヒエキスである場合は、ケイヒ及び/又はケイヒエキスの原生薬換算量に基づいて算出される値である。「原生薬換算量」とは、その成分量を得るために必要な生薬の重量(乾燥重量)である。ケイヒ自体の場合であれば配合するケイヒの重量が原生薬換算量になり、ケイヒエキスの場合であれば、配合されるケイヒエキスの量を得るために必要なケイヒの乾燥重量が原生薬換算量になる。
【0020】
ナブメトンの鎮痛作用をより一層増強させるという観点から、(B)成分の種類毎の好適な(A)成分と(B)成分の比率は、以下の通りである。
(B)成分が合成ヒドロタルサイトである場合:ナブメトン100重量部当たり、合成ヒドロタルサイトが、好ましくは0.1~6000重量部、より好ましくは1~3000重量部、更に好ましくは10~1000重量部。
(B)成分が炭酸マグネシウムである場合:ナブメトン100重量部当たり、炭酸マグネシウムが、好ましくは0.1~3000重量部、より好ましくは1~1000重量部、更に好ましくは10~500重量部。
(B)成分がアルジオキサである場合:ナブメトン100重量部当たり、アルジオキサが、好ましくは0.1~1000重量部、より好ましくは1~500重量部、更に好ましくは1~100重量部。
(B)成分がケイヒ及び/又はケイヒエキスである場合:ナブメトン100重量部当たり、ケイヒ及び/又はケイヒエキスが、原生薬換算量で、好ましくは0.1~6000重量部、より好ましくは1~3000重量部、更に好ましくは30~1000重量部。
【0021】
本発明の内服用医薬組成物における(B)成分の含有量については、前述する(A)成分と(B)成分の比率に応じた範囲内で、使用する(B)成分の種類、剤型、投与量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~95重量%が挙げられる。
【0022】
(B)成分の種類毎の好適な(A)成分と(B)成分の含有量は、以下の通りである。
(B)成分が合成ヒドロタルサイトである場合:(A)成分が5~99重量%且つ合成ヒドロタルサイトが1~95重量%、好ましくは(A)成分が10~50重量%且つ合成ヒドロタルサイトが50~90重量%、より好ましくは(A)成分が15~30重量%且つ合成ヒドロタルサイトが70~85重量%。
(B)成分が炭酸マグネシウムである場合:(A)成分が5~99重量%且つ炭酸マグネシウムが1~95重量%、好ましくは(A)成分が20~70重量%且つ炭酸マグネシウムが30~80重量%、より好ましくは(A)成分が25~35重量%且つ炭酸マグネシウムが65~75重量%。
(B)成分がアルジオキサである場合:(A)成分が5~99重量%且つアルジオキサが1~95重量%、好ましくは(A)成分が50~95重量%且つアルジオキサが5~50重量%、より好ましくは(A)成分が60~70重量%且つアルジオキサが30~40重量%。
(B)成分がケイヒ及び/又はケイヒエキスである場合:(A)成分が5~95重量%且つケイヒ及び/又はケイヒエキスが原生薬換算量で5~95重量%、好ましくは(A)成分が13~65重量%且つケイヒ及び/又はケイヒエキスが原生薬換算量で35~87重量%、より好ましくは(A)成分が10~20重量%且つケイヒ及び/又はケイヒエキスが原生薬換算量で80~90重量%。
【0023】
[その他の含有成分]
本発明の内服用医薬組成物には、前述する成分以外に、必要に応じて、他の薬理成分を含んでいてもよい。このような薬理成分の種類については、特に制限されないが、例えば、ビタミン類、ナブメトン以外の消炎鎮痛剤、腸管運動改善剤、消化剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、収れん剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、プロトンポンプ阻害薬、生薬、生薬エキス、カフェイン類、メントール類、ポリフェノール等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの薬理成分の含有量については、使用する薬理成分の種類や内服用医薬組成物の剤型等に応じて適宜設定すればよい。
【0024】
本発明の医薬組成物には、所望の剤型に調製するために、必要に応じて、薬学的に許容される基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの基剤や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する添加成分の種類や内服用医薬組成物の剤型等に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
[剤型]
本発明の内服用医薬組成物の剤型については、特に制限されず、固体状製剤、半固体状製剤、又は液体状製剤のいずれであってもよい。
【0026】
固体状製剤としては、具体的には、錠剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、散剤、顆粒剤(ドライシロップを含む)等が挙げられる。半固体状製剤としては、具体的には、ゼリー剤等が挙げられる。液体状製剤としては、具体的には、液剤、懸濁剤、シロップ剤等が挙げられる。
【0027】
これらの剤型の中でも、好ましくは固体状製剤が挙げられる。
【0028】
本発明の内服用医薬組成物を前記剤型に調製するには、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて添加される他の薬理成分、基剤、及び添加剤を用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製剤化すればよい。
【0029】
[用法・用量]
本発明の内服用医薬組成物は、鎮痛作用が増強しており、優れた鎮痛効果を奏し得るので、例えば、頭痛、月経痛(生理痛)・歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、腰痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、肩こり痛、耳痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛等の鎮痛;悪寒・発熱時の解熱;感冒症状の緩和等の目的で使用することができる。
【0030】
本発明の内服用医薬組成物の服用量については、症状の程度、服用者の年齢等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1日当たりのナブメトン服用量が200~1600mg程度、好ましくは400~1000mg程度となる量で、1日当たり1回服用すればよく、年齢、症状によっては複数回に分けて服用してもよい。
【0031】
2.鎮痛作用の増強方法
本発明は、更に、ナブメトンの鎮痛作用を増強する方法であって、内服用医薬組成物に、ナブメトンと共に、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、ケイヒ、及びケイヒエキスよりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする鎮痛作用増強方法を提供する。
【0032】
当該鎮痛作用増強方法において、使用される成分の種類、配合量、内服用医薬組成物の剤型等については、前記「1.内服用医薬組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
試験例1:鎮痛作用の評価試験
6週齢の雄性マウス(Slc:ddy、日本エスエルシー株式会社)をコントロール群及び試験群(実施例1~4及び比較例1)の6群(1群当たり7~11匹)に分けた。各群のマウスを1週間飼育して馴化させた後に以下の条件で試験を行った。
【0035】
・コントロール群
約16時間絶食させた後に、0.1重量%のカルボキシメチルセルロースを含有する水溶液(コントロール液)を10ml/kg(マウス体重)となるように経口投与した。コントロール液の投与から50分後に、0.6重量%酢酸水溶液を20ml/kg(マウス体重)となるように腹腔内投与した。酢酸水溶液投与の10分経過後からの10分間のマウスのライジング行動(後肢を伸ばす運動)の回数を計測した。
【0036】
・試験群
約16時間絶食させた後に、表1に示す成分を所定の投与量となるように前記コントロール液に添加した試験液を10ml/kg(マウス体重)となるように経口投与した。試験液の投与から50分後に、0.6重量%酢酸水溶液を20ml/kg(マウス体重)となるように腹腔内投与した。酢酸水溶液投与の10分経過後からの10分間のマウスのライジング行動(後肢を伸ばす運動)の回数を計測した。
【0037】
【0038】
結果を
図1に示す。この結果、ナブメトンと、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、合成ヒドロタルサイト、又はケイヒ末とを併用した場合(実施例1~4)では、ナブメトン単独の場合(比較例1)に比べて、ライジング行動の回数が有意に減っており、ナブメトンの鎮痛作用が顕著に増強していることが確認された。
【0039】
参考試験例1:鎮痛作用の評価試験
試験群として、表2に示す成分を所定の投与量となるように投与したこと以外は、前記試験例1と同様の方法で試験を行い、ライジング行動の回数を求めた。ジクロフェナクナトリウムは、ナブメトンと同じフェニル酢酸系非ステロイド抗炎症剤である。
【0040】
【0041】
結果を
図2に示す。この結果、ジクロフェナクナトリウムと、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、合成ヒドロタルサイト、又はケイヒ末を併用した場合(参考例2~5)では、ジクロフェナクナトリウム単独の場合(参考例1)に比べて、ライジング行動の回数が同等又は多くなる傾向が認められた。即ち、本試験結果から、ジクロフェナクナトリウムと、炭酸マグネシウム、アルジオキサ、合成ヒドロタルサイト、又はケイヒ末を使用することによる鎮痛作用の増強は、非ステロイド性抗炎症剤としてナブメトンを選択した場合に認められる特有の効果であることが確認された。
【0042】
製剤例
表3~5に示す組成の錠剤を調製した。表3~5において各含有成分の含有量の単位は、1日当たりの服用量(mg)である。これらの錠剤は、ナブメトンの鎮痛作用の飛躍的な向上が期待できる。
【0043】
【0044】
【0045】