(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062142
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターン、構造体、表示素子、及び隔壁用パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240430BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240430BHJP
G03F 7/023 20060101ALI20240430BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/20
G03F7/004 505
G03F7/023
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G09F9/30 349B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169947
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岩井 武
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
5C094
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA09
2H148BA03
2H148BC01
2H148BD13
2H148BD25
2H148BE36
2H148BF02
2H148BG01
2H148BH15
2H225AC33
2H225AD02
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM73P
2H225AN39P
2H225AN84P
2H225AN86P
2H225AP03P
2H225BA01P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA35P
2H225CA18
2H225CB02
2H225CB07
2H225CC01
2H225CC13
2H225CC25
2H225CD05
5C094AA08
5C094AA09
5C094CA19
5C094ED03
5C094ED20
5C094FB01
5C094FB02
5C094GB10
5C094JA11
(57)【要約】
【課題】青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターン、該隔壁用パターンを備えた構造体、該構造体を備えた表示素子、及び隔壁用パターンの形成方法の提供。
【解決手段】サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンであって、透明基板と、前記透明基板上にパターニングされた、開口部を有するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクス上に設けられた隔壁と、を備え、前記隔壁の光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において30%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である隔壁用パターン。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンであって、
透明基板と、
前記透明基板上にパターニングされた、開口部を有するブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクス上に設けられた隔壁と、
を備え、
前記隔壁の光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において30%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である隔壁用パターン。
【請求項2】
前記隔壁の光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において3%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において80%以上である請求項1に記載の隔壁用パターン。
【請求項3】
前記色別発光体が量子ドット蛍光体である請求項1に記載の隔壁用パターン。
【請求項4】
前記色別発光体は、赤色発光体及び緑色発光体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の隔壁用パターン。
【請求項5】
前記隔壁は、黄色顔料を含有する請求項1に記載の隔壁用パターン。
【請求項6】
前記隔壁は、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物の熱硬化物を含有する請求項1に記載の隔壁用パターン。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の隔壁用パターンと、
前記隔壁パターンの前記ブラックマトリクスの前記開口部に設けられ、色別発光体を含有する蛍光層と、
を備える構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の構造体を備える表示素子。
【請求項9】
サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンの形成方法であって、
透明基板上にブラックレジストをパターニングしてブラックマトリクスを形成する工程(A)と、
熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物を前記ブラックマトリクスが形成された前記透明基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程(B)と、
前記レジスト膜を露光する工程(C)と、
前記露光後のレジスト膜を現像して、前記ブラックマトリクス上にレジストパターンを形成する工程(D)と、
を有し、
前記レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において20%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である隔壁用パターンの形成方法。
【請求項10】
前記レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において1%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において80%以上である請求項9に記載の隔壁用パターンの形成方法。
【請求項11】
更に前記レジストパターンを熱硬化する工程(E)を有する請求項9に記載の隔壁用パターンの形成方法。
【請求項12】
前記色別発光体が量子ドット蛍光体である請求項9に記載の隔壁用パターンの形成方法。
【請求項13】
前記色別発光体は、赤色発光体及び緑色発光体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の隔壁用パターンの形成方法。
【請求項14】
前記ポジ型レジスト組成物は、黄色顔料を含有する請求項9に記載の隔壁用パターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターン、該隔壁用パターンを備えた構造体、該構造体を備えた表示素子、及び隔壁用パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示素子は、互いに対向する2枚の基板の間に、液晶層を挟む構造となっている。そして一方の基板の内側には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の各色からなる画素(ピクセル)を有するカラーフィルタが形成されている。表示素子では通常、画像の明暗コントラストを際立たせるため、R、G、B各色の画素(サブピクセル)を区画するようブラックマトリクスが形成されている。
【0003】
一般に、カラーフィルタはリソグラフィ法により形成される。具体的にはまず、基板に黒色の感光性組成物を塗布、露光、現像し、ブラックマトリクス及び隔壁を形成する。その後、次いで、R、G、B各色の感光性組成物毎に、塗布、露光、現像を繰り返すことで各色のパターンを所定の位置に形成してカラーフィルタを製造する。
【0004】
特許文献1には、青色LEDを光源として緑色蛍光体と赤色蛍光体を画素に配置するフルカラーディスプレイについて記載されている。
特許文献2には、サブピクセル間の混色防止のために透過率の低い隔壁を採用した表示装置が記載されている。
特許文献3には、異方性構造の量子ロッドを異方的に配置することによりサブピクセル間の混色を防止と発光効率の向上を両立した表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-58586号公報
【特許文献2】特開2016-42450号公報
【特許文献3】特開2016-48602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
青色光源(B)と、青色光を励起光として蛍光を発する緑色光と赤色光で構成するフルカラーディスプレイにおいては、青色光の迷光は、他のサブピクセルに侵入すると他の色を発光してしまうため、色再現性に重大な劣化を引き起こすおそれがある。
【0007】
特許文献1には、緑サブピクセルと赤サブピクセルには波長変換しきれない青色光をカットするために黄色カラーフィルターを配置することが記載されている。しかしながら、特許文献1では、サブピクセル間の混色防止の手だてがとられておらず、画質低下のおそれがあった。
【0008】
特許文献2の技術では、サブピクセル間の混色を避けるためにサブピクセル同士を透過率の低い隔壁を採用している。一方、一般的にディスプレイは光の混色を避けるため、また明暗コントラストを確保するためにサブピクセル周辺にブラックマトリクスを採用する。特許文献2の技術によってほぼ黒色の隔壁を作成し、これをブラックマトリクスとしても利用する場合、隔壁の光の吸収により発光効率が低下してしまうおそれがある。また、特許文献2の技術によって散乱性の隔壁を作成する場合には、発光効率の低減は抑制しうるが、ディスプレイの明暗コントラストは低下してしまうおそれがある。
【0009】
特許文献3では、サブピクセル間の混色の抑制と発光効率の確保の両立について記載されている。しかしながら、特許文献3の技術では、異方性構造である量子ロッドを異方的に配置している。異方性構造である量子ロッドは材料の入手が困難であり、異方的な配置の困難さに問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターン、該隔壁用パターンを備えた構造体、該構造体を備えた表示素子、及び隔壁用パターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンであって、透明基板と、前記透明基板上にパターニングされた、開口部を有するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクス上に設けられた隔壁と、を備え、前記隔壁の光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において30%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である隔壁用パターンである。
【0012】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る隔壁用パターンと、前記隔壁パターンの前記ブラックマトリクスの前記開口部に設けられ、色別発光体を含有する蛍光層と、を備える構造体である。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第2の態様に係る構造体を備える表示素子である。
【0014】
本発明の第4の態様は、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンの形成方法であって、透明基板上にブラックレジストをパターニングしてブラックマトリクスを形成する工程(A)と、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物を前記ブラックマトリクスが形成された前記透明基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程(B)と、前記レジスト膜を露光する工程(C)と、前記露光後のレジスト膜を現像して、前記ブラックマトリクス上にレジストパターンを形成する工程(D)と、を有し、前記レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において20%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である隔壁用パターンの形成方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターン、該隔壁用パターンを備えた構造体、該構造体を備えた表示素子、及び隔壁用パターンの形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る隔壁用パターンの模式図である。
【
図3】隔壁用パターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートのいずれか一方又は両方を意味する。
【0018】
以下、本発明の各態様の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0019】
[隔壁用パターン]
本実施形態に係る隔壁用パターンは、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンである。
【0020】
図1は、一実施形態に係る隔壁用パターンの模式図である。
図1に示すように、隔壁用パターン100は、透明基板1と、透明基板1上にパターニングされた、開口部2bを有するブラックマトリクス2aと、ブラックマトリクス2a上に設けられた隔壁3bと、を備える。
【0021】
隔壁3bの光路長10μmにおける透過率は、波長440nm~470nmの範囲において30%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である。隔壁3bの光路長10μmにおける透過率が上記範囲内であることにより、隔壁3bは黄色を呈する。そのため、隔壁3bは、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる。
【0022】
隔壁3bの光路長10μmにおける透過率は、波長440nm~470nmの範囲において3%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において80%以上であることが好ましい。隔壁3bの光路長10μmにおける透過率が上記範囲内であることにより、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制しやすい。
【0023】
隔壁3bの光路長10μmにおける透過率は、350nm~440nmの範囲の何れかににおいて30%以上であってもよい。隔壁3bの光路長10μmにおける透過率が上記範囲内であることにより、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制しやすい。
【0024】
隔壁3bの高さは、表示素子のサイズ、透明基板1の厚み、ブラックレジストの厚み等に応じて適宜選択できるが、5μm以上が好ましい。
隔壁3bの幅は、表示素子のサイズ、透明基板1の厚み、ブラックレジストの厚み等に応じて適宜選択できるが、5μm~50μmが好ましい。
【0025】
ブラックマトリクス2aは、透明基板1aと隔壁2aとの間に配置されることにより、光の混色や画像の明暗コントラストを確保できる。
【0026】
少なくとも一部の開口部2bには、色別発光体を埋め込みうる。
色別発光体としては、化合物蛍光体、量子ドット蛍光体など、従来表示素子のカラーフィルタ等に用いられるものが挙げられる。なかでも、各色の蛍光の発光域の狭帯化や赤色(R)の純度を高める観点から、色別発光体としては、量子ドット蛍光体が好ましい。
【0027】
また、色別発光体としては、赤色発光体及び緑色発光体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。本実施形態において、赤色発光体の発光ピーク波長は600~700nmであり、緑色発光体の発光ピーク波長は510~545nmである。
【0028】
以下、本実施形態に係る隔壁用パターンの各部材の材料について説明する。
【0029】
(透明基板)
透明基板としては、光透過性を有する基板であれば特に限定されないが、通常ガラス基板が用いられる。
【0030】
(ブラックレジスト)
ブラックレジストとしては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、黒色顔料及び樹脂成分を含有する感光性樹脂組成物等が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛又は金属炭酸塩等の無機顔料等が挙げられる。これらの黒色顔料の中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックやチタンブラックを用いることがより好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等公知のカーボンブラックを用いることができる。また、黒色組成物中での分散性を向上させるために、樹脂被覆カーボンブラックを用いることがより好ましい。
樹脂成分としては、エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサンポリマ系樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素含有ポリイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ポリマレイミド樹脂等のポリイミド系樹脂が挙げられる。
【0031】
ブラックレジストは、ポジ型感光性組成物であっても、ネガ型感光性組成物であってもよい。
ブラックレジストがポジ型である場合、ブラックレジストはアルカリ可溶性樹脂、感光剤及び黒色顔料を含有することが好ましい。
ブラックレジストがネガ型感光性樹脂組成物である場合、ブラックレジストは光重合性化合物、光重合開始剤及び黒色顔料を含有することが好ましい。
【0032】
ブラックレジストは、(Br-A)基材成分と、(Br-B1)カーボンブラックと、(Br-C1)加熱により所定の構造のイミダゾール化合物を発生させる化合物(以下、(Br-C1)熱イミダゾール発生剤とも記す。)とを含む黒色組成物から形成されてもよい。
黒色組成物に含まれる(Br-B)カーボンブラックは、ポリアミック酸を分散剤として用いて分散処理されたものであってもよい。
【0033】
(Br-A1)基材成分としては、例えば、特開2016-27089号公報の段落[0014]~[0155]に記載された材料が例示できる。
(Br-B1)カーボンブラックとしては、例えば、特開2016-27089号公報の段落[0156]~[0201]に記載された材料が例示できる。
(Br-C1)熱イミダゾール発生剤としては、例えば、特開2016-27089号公報の段落[0202]~[0230]に記載された材料が例示できる。
【0034】
(隔壁)
隔壁を形成するための材料は、隔壁の光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において30%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上となるものであれば特に制限されない。例えば、隔壁は、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物を熱硬化して形成してもよい。
【0035】
(熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物)
熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)とを含有するポジ型レジスト組成物が挙げられる。
【0036】
[アルカリ可溶性樹脂(A)]
アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリに対する溶解性を有するアルカリ可溶性基を有する任意の樹脂を採用できる。
該アルカリ可溶性樹脂(A)(以下、「共重合体(A)」と記載することがある。)としては、例えば、アクリル系樹脂が好適に用いられる。
アクリル系樹脂としては、一般式(a-1)で表される構成単位(A1)又は脂環式エポキシ基含有単位(A3)を含有することが好ましい。
【0037】
〔構成単位(A1)〕
構成単位(A1)は、下記一般式(a-1)で表される。
【0038】
【化1】
[前記一般式中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、Ra
01は水素原子又は水酸基を有する有機基を表す。]
【0039】
一般式(a-1)中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。炭素数1~5のアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
一般式(a-1)中、Ra01は水素原子又は水酸基を有する有機基である。
ここで、有機基とは、例えば、分岐状、直鎖状、又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキル基を挙げることができ、Ra01は、その構造中に少なくとも一つの水酸基を有する。前記有機基の炭素数は1~20であることが好ましく、6~12であることが更に好ましい。炭素数が大きいと保存安定性の面で好ましく、炭素数が小さいと解像性に優れる。
【0040】
なお、構成単位(A1)として、Ra01が水素原子の場合、即ち、メタクリル酸やアクリル酸等を選択することも共重合体のアルカリ現像性を高める上で有効であるが、保存安定性の面から、構成単位(A1)として、上記の水酸基を有する有機基を採用することが好ましい。
【0041】
構成単位(A1)として好ましい例として、下記一般式(a-1-1)で表される構成単位を挙げることができる。
【0042】
【化2】
[前記一般式中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、Ya
01は単結合又は炭素数1~5のアルキレン基を表し、Ra
001は炭素数1~5のアルキル基を表し、aは1~5の整数を表し、bは0又は1~4の整数を表し、a+bは5以下である。なお、Ra
001が2以上存在する場合、これらのRa
001は相互に異なっていてもよいし同じでもよい。]
【0043】
一般式(a-1-1)において、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、前記と同様である。一般式(a-1-1)中、Rはメチル基であることが好ましい。
また、Ya01は単結合又は炭素数1~5の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。中でも、単結合、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。
Ya01は、アルカリ可溶性を向上させることができることと、更に層間絶縁膜としたときの耐熱性が向上することから、単結合であることが好ましい。
【0044】
ここで、aは1~5の整数を表すが、製造が容易であるという点から、aが1であることが好ましい。また、ベンゼン環における水酸基の結合位置は、Ya01と結合している炭素原子を基準(1位)としたとき、4位に結合していることが好ましい。
【0045】
また、Ra001は炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも製造が容易であるという点から、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
ここで、bは0又は1~4の整数を表すが、製造が容易であるという点から、bは0であることが好ましい。
【0046】
構成単位(A1)として、更に具体的には、o-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、p-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、o-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、m-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、p-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、o-ヒドロキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m-ヒドロキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p-ヒドロキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、p-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートまたはp-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、特に、p-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
共重合体における前記構成単位(A1)の含有比率は、10~70モル%であることが好ましい。更に、15~60モル%であることが好ましく、20~50モル%であることが最も好ましい。
【0048】
〔脂環式エポキシ基含有単位(A3)〕
また、脂環式エポキシ基含有単位(A3)としては、脂環式エポキシ基を構造中に有し、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であれば、特に限定されない。脂環式エポキシ基の脂環式基の炭素数は、5~10程度が好ましい。
【0049】
具体的な脂環式エポキシ基含有単位(A3)として、例えば、以下の一般式(1)~(31)で示される脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物から誘導されるものが挙げられる。
【0050】
【0051】
【0052】
式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は炭素数1~8の2価の炭化水素基を示し、R6は炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R4、R5及びR6は同一又は異なってもよく、wは0~10の整数を示す。
【0053】
これらの中でも、一般式(1)~(6)、(14)、(16)、(18)、(21)、(23)~(25)、(30)で表されるものが望ましい。更に好ましくは、一般式(1)~(6)である。
【0054】
共重合体における前記脂環式エポキシ基含有単位(A3)の含有比率は、5~40モル%であることが好ましい。更に、10~30モル%であることが好ましく、15~25モル%であることが最も好ましい。
【0055】
〔構成単位(A2)〕
また、上記共重合体は一般式(a-2)で表される構成単位(A2)を有することが好ましい。
【0056】
【化5】
[Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、Rbは炭化水素基である。]
【0057】
前記一般式(a-2)中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、前記と同様である。
Rbの炭化水素基としては、例えば、分岐状、直鎖状、若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を挙げることができる。前記炭化水素基の炭素数は1~20であることが好ましい。更に、分岐状、直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~12が好ましく、1~6が最も好ましい。環状のアルキル基としては、炭素数6~20が好ましく、6~12が最も好ましい。置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基としては、炭素数6~20が好ましく、6~12が最も好ましい。
【0058】
構成単位(A2)として具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t-オクチルアクリレート等の直鎖あるいは分岐鎖アルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2-メチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート等の脂環式アルキルアクリレート;ベンジルアクリレート、アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレート)等から誘導されるものが挙げられる。
【0059】
あるいは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖又は分岐鎖アルキルメタクリレート;シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2-メチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等の脂環式アルキルメタクリレート;ベンジルメタクリレート、アリールメタクリレート(例えばフェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート等)等から誘導されるものが挙げられる。
【0060】
上記構成単位(A2)を共重合体に導入することにより、共重合体の溶解スピードを調整することができる。構成単位(A2)としては、特に脂環式の基を有する単量体から誘導されるものが好ましい。
【0061】
共重合体(A)における構成単位(A2)の含有比率は、5~50モル%であることが好ましい。
【0062】
〔構成単位(A4)〕
また、上記共重合体(A)には、本発明の目的に反しない範囲で構成単位(A1)~(A3)以外の構成単位(A4)を含有していてもよい。この構成単位は、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であれば、特に限定されない。このような構成単位としては、例えば、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びスチレン類等から選ばれる構成単位が挙げられる。
【0063】
アクリルアミド類としては、具体的には、アクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる)、N-アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等)、N,N-ジアルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1~10が好ましい)、N,N-アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基がある)、N-メチル-N-フェニルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチルアクリルアミド、N-2-アセトアミドエチル-N-アセチルアクリルアミドが挙げられる。
【0064】
メタクリルアミド類としては、具体的には、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、炭素数1~10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、t-ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる)、N-アリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基等がある。)、N,N-ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基等がある)、N,N-ジアリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基等がある)、N-ヒドロキシエチル-N-メチルメタクリルアミド、N-メチル-N-フェニルメタクリルアミド、N-エチル-N-フェニルメタクリルアミドが挙げられる。
【0065】
アリル化合物としては、具体的には、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
【0066】
ビニルエーテル類としては、具体的には、アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等)、ビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等)が挙げられる。
【0067】
ビニルエステル類としては、具体的には、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニルが挙げられる。
【0068】
スチレン類としては、具体的には、スチレン、アルキルスチレン(例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等)、ハロゲンスチレン(例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロム-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等)が挙げられる。また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等も挙げられる。
【0069】
本実施形態において、共重合体(A)は、前記構成単位(A1)、(A2)及び(A3)からなることが好ましい。
上記共重合体(A)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、2000~50000であることが好ましく、5000~30000であることがより好ましい。分子量を2000以上とすることにより、容易に膜状に形成することが可能となる。また、分子量50000以下とすることによって、適度なアルカリ溶解性を得ることが可能となる。
【0070】
上記共重合体は、公知のラジカル重合により、製造することができる。即ち、前記構成単位(A1)~(A3)等を誘導する重合性単量体、及び公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0071】
更に、アルカリ可溶性樹脂(A)は、上記構成単位(A1)~(A3)を含有する共重合体以外に、1種以上の他の共重合体を含んでいてもよい。この共重合体は、上記共重合体(A)100質量部に対して、0~50質量部であることが好ましく、0~30質量部であることがより好ましい。この共重合体の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、2000~50000であることが好ましく、5000~30000であることがより好ましい。
【0072】
[感光剤(B)]
本実施形態における感光剤(B)としては、感光成分として使用できる化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましい例としてキノンジアジド基含有化合物が挙げられる。
【0073】
キノンジアジド基含有化合物としては、具体的には、フェノール化合物(フェノール性水酸基含有化合物ともいう)と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物と、の完全エステル化物や部分エステル化物が挙げられる。
【0074】
上記フェノール化合物としては、具体的には、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;トリス(4-ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、4,4‘-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)等のトリスフェノール型化合物;
【0075】
2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-ヒドロキシフェノール、2,6-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5-ジメチル-3-(4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5-ジメチル-3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル]メタン、ビス[3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-エチルフェニル]メタン、ビス[3-(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル]メタン、ビス[3-(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-エチルフェニル]メタン、ビス[2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル]メタン、ビス[2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル]メタン、ビス[4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル]メタン、ビス[2,5-ジメチル-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;2,4-ビス[2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルベンジル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルベンジル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,6-ビス[2,5-ジメチル-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシベンジル]-4-メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
【0076】
ビス(2,3,-トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4-トリヒドロキシフェニル-4′-ヒドロキシフェニルメタン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2′,3′,4′-トリヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2′,4′-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4′-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-(3′-フルオロ-4′-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(4′-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(4′-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;1-[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1-[1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、等の多核枝分かれ型化合物;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の縮合型フェノール化合物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0077】
また、上記ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としては、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸又はナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸等を挙げることができる。
【0078】
また、他のキノンジアジド基含有化合物、例えばオルトベンゾキノンジアジド、オルトナフトキノンジアジド、オルトアントラキノンジアジド又はオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類等のこれらの核置換誘導体が挙げられる。更には、オルトキノンジアジドスルホニルクロリドと、水酸基又はアミノ基をもつ化合物(例えばフェノール、p-メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエテール、ピロガロール-1,3-ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残してエステル化又はエ-テル化された没食子酸、アニリン、p-アミノジフェニルアミン等)と、の反応生成物等も用いることができる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
これらのキノンジアジド基含有化合物は、例えばトリスフェノール型化合物と、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリド又はナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホニルクロリドとをジオキサン等の適当な溶剤中において、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリの存在下で縮合させ、完全エステル化又は部分エステル化することにより製造することができる。
【0080】
また、上記(B)成分としては、非ベンゾフェノン系のキノンジアジド基含有化合物を用いることが好ましく、多核枝分かれ型化合物を用いることが好ましい。また、このフェノール性水酸基含有化合物は、350nmの波長におけるグラム吸光係数が1以下であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物において、より高い感度が得られる。
【0081】
このような(B)成分としては、キノンジアジド基含有化合物が好ましく、特にナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物が好ましい。なかでも、4,4‘-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、1-[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物を好適に用いることができる。
【0082】
(B)成分の含有量は、全固形成分に対し、10~40質量%が好ましく、更に好ましくは15~30質量%である。(B)成分の含有量を10質量%以上とすることによって、解像度を向上させることが可能となる。また、パターンを形成した後の、パターンの膜減り量を低減させることが可能となる。また、(B)成分の含有量を40質量%以下とすることによって、適度な感度や透過率を付与することが可能となる。
【0083】
[有機溶剤(S)]
本実施形態に係るポジ型レジスト組成物は、塗布性を改善したり、粘度を調整したりするために、有機溶剤(S)を含有することが好ましい。
【0084】
(S)成分としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3-メトキシブチルアセテート(MA)、3-メトキシブタノール(BM)、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル又はこれらの混合物等が挙げられる。中でもPGME、PGMEA、MAや、PGMEとPGMEAの混合溶剤、MAとBMの混合溶剤等を用いることが好ましい。
【0085】
有機溶剤(S)の使用量は特に限定されないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。具体的には、感光性樹脂組成物の固形分濃度が10~50質量%、特に15~35質量%の範囲内となるように用いることが好ましい。
【0086】
(黄色顔料)
本実施形態において、ポジ型レジスト組成物は、青色(B)の他のサブピクセルへの混入による色純度の低下を防止するために、黄色顔料を含んでいてもよい。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185等が挙げられる。
黄色顔料を用いる場合、黄色顔料の含有量は、不揮発成分に対し0.5%~10%が好ましく、0.7%~5%がより好ましく、0.9%~2.5%が更に好ましい。
黄色顔料の含有量が上記範囲内であることにより、青色(B)の他のサブピクセルへの混入による色純度の低下を十分防止することができる。
【0087】
(無機粒子)
本実施形態において、ポジ型レジスト組成物は、隔壁に光散乱性を付与するために、無機粒子を含んでいてもよい。
無機粒子としては、例えば、ガラス、セラミックス(コーディライト等)、金属等を用いることができる。具体的には、PbO-SiO2系、PbO-B2O3-SiO2系、ZnO-SiO2系、ZnO-B2O3-SiO2系、BiO-SiO2系、BiO-B2O3-SiO2系のホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸亜鉛ガラス、ホウ珪酸ビスマスガラス等のガラス粉末や、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガン、酸化ネオジウム、酸化バナジウム、酸化セリウムチペークイエロー、酸化カドミウム、酸化ルテニウム、シリカ、マグネシア、スピネルなどNa、K、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Al等の各酸化物、ZnO:Zn、Zn3(PO4)2:Mn、Y2SiO5:Ce、CaWO4:Pb、BaMgAl14O23:Eu、ZnS:(Ag,Cd)、Y2O3:Eu、Y2SiO5:Eu、Y3A15O12:Eu、YBO3:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、GdBO3:Eu、ScBO3:Eu、LuBO3:Eu、Zn2SiO4:Mn、BaAl12O19:Mn、SrAl13O19:Mn、CaAl12O19:Mn、YBO3:Tb、BaMgAl14O23:Mn、LuBO3:Tb、GdBO:Tb、ScBO3:Tb、Sr6 Si3O3Cl4:Eu、ZnS:(Cu,Al)、ZnS:Ag、Y2O2S:Eu、ZnS:Zn、(Y,Cd)BO3:Eu、BaMgAl12O23:Eu等の蛍光体粉末、鉄、ニッケル、パラジウム、タングステン、銅、アルミニウム、銀、金、白金等の金属粉末等が挙げられる。
なかでも、シリカ、チタニア(TiO2)が好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、0.1μm~1μmが好ましく、0.2~0.5μmがより好ましい。無機粒子の平均粒子径が上記範囲内であると、隔壁に十分な光散乱性を付与することができる。
無機粒子を用いる場合、無機粒子の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対し2~20%が好ましく、5~10%がより好ましい。
無機粒子の含有量が上記範囲内であると、リソグラフィ性能を維持しながら、隔壁に十分な光散乱性を付与することができる。
【0088】
[ウレタンオリゴマー(U)]
本実施形態において、ポジ型レジスト組成物は、2つ以上の重合性官能基を有するウレタンオリゴマー(U)を含んでいてもよい。
ウレタンオリゴマー(U)としては、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、官能基数が3以上であるウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
官能基数が3以上であるウレタン(メタ)アクリレートとは、分子中に、ウレタン結合(-NH-CO-O-)と、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基と、を有するものをいう。ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数は、3以上が好ましく、より好ましくは3~10、さらに好ましくは3~5、特に好ましくは3又は4、最も好ましくは3(すなわち、官能基数が3であるウレタン(メタ)アクリレート)である。
ウレタンオリゴマー(U)を用いる場合、ウレタンオリゴマー(U)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量%に対し、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは20~50質量%である。
[(F)成分]
本実施形態においては、レジスト膜に撥水性を付与するため、ポジ型レジスト組成物がフッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有していてもよい。
レジスト膜が撥水性を有すると、インクジェット方式でカラーフィルタを形成する場合において、インクジェットが他のサブピクセルに混入することを防止できる。
(F)成分としては、例えば、特開2010-002870号公報、特開2010-032994号公報、特開2010-277043号公報、特開2011-13569号公報、特開2011-128226号公報、に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
【0089】
また、本実施形態におけるポジ型レジスト組成物の他の任意成分としては、例えば、反応促進剤、シランカップリング剤、界面活性剤、熱酸発生剤、架橋剤、増感剤、消泡剤等の各種添加剤が挙げられる。
【0090】
本実施形態において、上記ポジ型レジスト組成物を用いて隔壁を形成することにより、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート等の有機溶媒に対する溶解耐性を有する隔壁が得られる。また、上記ポジ型レジスト組成物を用いて隔壁を形成することにより、撥油性を有する隔壁が得られる。そのため、当該隔壁は、隔壁用パターンの開口部に色別発光体を埋め込む際に、ダメージを受けにくい。
【0091】
[構造体]
本実施形態に係る構造体は、前記実施形態に係る隔壁用パターンと、前記隔壁パターンの前記ブラックマトリクスの前記開口部に設けられ、色別発光体を含有する蛍光層と、を備える。
【0092】
図2は、一実施形態に係る構造体の模式図である。構造体200は、前記隔壁用パターン100の開口部2bに色別発光体を含有する蛍光層4が設けられた構成となっている。
【0093】
構造体200における透明基板1、ブラックレジスト2a及び隔壁3bの構成及び材料は、前記実施形態に係る隔壁用パターン100における透明基板1、ブラックレジスト2a及び隔壁3bと同様である。
【0094】
蛍光層4を構成する蛍光体材料は、有機蛍光体材料、無機蛍光体材料、ナノ蛍光体材料等の各種蛍光体材料の中から、当該蛍光体32・33の厚さ(膜厚)、蛍光体材料を励起する青色光の吸収率、蛍光体32・33から出射される赤色光または緑色光の透過率等の各種条件を考慮して適宜選択すればよい。蛍光体材料は、青色光を受光すると励起して、励起光である赤色光または緑色光を発生して透明基板31側に出射する。有機蛍光体材料としては、例えば、ローダミン6G等のローダミン系色素等の赤色蛍光色素、クマリン6等のクマリン系色素等の緑色蛍光色素が挙げられる。無機蛍光体材料としては、例えば、CdSe、ZnS等が挙げられる。ナノ蛍光体材料としては、例えば、CdSeやZnS等からなるナノ粒子を、例えばシリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の実質的に透明樹脂からなるバインダ内に均一に拡散してなる材料が挙げられる。
【0095】
蛍光層4を構成する蛍光体材料は、量子ドットであってもよい。量子ドットについて、量子ドットとしての機能を奏する微粒子である限りにおいて、その構造やその構成成分は特に限定されない。量子ドットは、量子力学に従う独特の光学特性(後述の量子閉じ込め効果)を有するナノスケールの材料であり、一般的に半導体ナノ粒子のことである。本明細書において、量子ドットは、半導体ナノ粒子表面にさらに発光量子収率を向上させるために被覆されている量子ドット(後述のシェル構造を有する量子ドット)や、安定化のために表面修飾されている量子ドットも含む。
【0096】
量子ドットとしては、例えば、特開2022-97376号公報の段落[0027]~[0047]に記載された材料等が挙げられる。
【0097】
本実施形態に係る構造体は、前記隔壁用パターンを備えているため、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる。
【0098】
[表示素子]
本実施形態に係る表示素子は、前記構造体を備えていれば特に限定されず、公知の表示素子の構成を採用できる。例えば、表示素子は、緑色サブピクセルと赤色サブピクセルとを備える構成としてもよい。緑色サブピクセルには510~545nmの光を透過し、440nm~470nmの光を遮断するカラーフィルター(A)が設置され、赤色サブピクセルには620~700nmの光を透過し、440nm~470nmの光を遮断するカラーフィルター(B)が設置してもよい。カラーフィルター(A)とカラーフィルター(B)とは、同一でも異なってもよい。
【0099】
本実施形態に係る表示素子は、前記構造体を備えているため、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる。
【0100】
[隔壁用パターンの形成方法]
本実施形態に係る隔壁用パターンの形成方法は、サブピクセルの少なくとも一部に色別発光体が埋め込まれた表示素子の隔壁用パターンの形成方法であって、透明基板上にブラックレジストをパターニングしてブラックマトリクスを形成する工程(A)と、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物を前記ブラックマトリクスが形成された前記透明基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程(B)と、前記レジスト膜を露光する工程(C)と、前記露光後のレジスト膜を現像して、前記ブラックマトリクス上にレジストパターンを形成する工程(D)と、を含む。
【0101】
色別発光体としては、化合物蛍光体、量子ドット蛍光体など、従来表示素子のカラーフィルタ等に用いられるものが挙げられる。なかでも、各色の蛍光の発光域の狭帯化や赤色(R)の純度を高める観点から、色別発光体としては、量子ドット蛍光体が好ましい。
【0102】
また、色別発光体としては、赤色発光体及び緑色発光体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。本実施形態において、赤色発光体の発光ピーク波長は600~700nmであり、緑色発光体の発光ピーク波長は510~545nmである。
【0103】
本実施形態に係る隔壁用パターンの形成方法において、前記レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が、波長440nm~470nmの範囲において20%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において50%以上である。レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が上記範囲内であることにより、レジストパターンは黄色を呈する。そのため、レジストパターンは、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制できる。
【0104】
本実施形態に係る隔壁用パターンの形成方法において、前記レジストパターンの光路長10μmにおける透過率は、波長440nm~470nmの範囲において3%以下であり、波長520nm~700nmの範囲において80%以上であることが好ましい。レジストパターンの光路長10μmにおける透過率が上記範囲内であることにより、青色光の迷光によるサブピクセル間の混色を抑制しやすい。
【0105】
本実施形態に係る隔壁用パターンの形成方法において、前記レジストパターンの構成及び材料は、前記実施形態に係る隔壁用パターンにおける隔壁と同様である。
【0106】
図3は、隔壁用パターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。以下、各工程について
図3に参照して説明する。
【0107】
<工程(A)>
工程(A)では、透明基板1上にブラックレジストをパターニングする(
図3(a)~(c))。
ブラックレジストをパターニングする方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ブラックレジストを透明基板上にロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。
次いで、塗布されたブラックレジストを、乾燥させて塗膜2を形成する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80℃から120℃、好ましくは90℃から100℃の温度にて60秒間から120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間から数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分から数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれの方法を用いてもよい。
次いで、この塗膜2に、マスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、ブラックレジストの組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm
2から2000mJ/cm
2程度が好ましい。
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
次いで、現像後のパターンを200~250℃程度でポストベークを行う。
以上により、透明基板上にブラックレジストを所定の形状でパターニングすることができる。
透明基板上にパターニングされたブラックレジスト(ブラックマトリクス2a)の厚みは通常0.5μm~5μmの範囲内で設定することができ、1μm~3μmであることが好ましく、1μm~2μmであることが更に好ましい。
特に、ブラックマトリクスパターンの解像性向上の観点から、ブラックマトリクスの厚みは3μm以下であることが好ましい。
【0108】
工程(A)における透明基板及びブラックレジストの構成及び材料は、前記実施形態に係る隔壁用パターンにおける透明基板及びブラックレジストと同様である。
【0109】
<工程(B)>
工程(B)では、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物を前記ブラックレジストがパターニングされた前記透明基板上に塗布してレジスト膜3を形成する(
図3(d))。
例えば、熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物をスピンナー、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、スリットコーター等を用いて塗布し、乾燥させて、レジスト膜を形成する。
上記乾燥の方法としては、例えば、ホットプレートにて80~120℃の温度にて120~500秒間乾燥する方法が挙げられる。
上記レジスト膜3の膜厚は、特に限定されるものではないが、6μm~50μmであることが好ましく、6μm~20μmであることがより好ましく、6μm~10μmであることがさらに好ましい。
【0110】
工程(B)における熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物は、前記実施形態に係る隔壁用パターンにおける熱硬化能を有するポジ型レジスト組成物と同様である。
【0111】
<工程(C)>
工程(C)では、前記レジスト膜3を露光する(
図3(e))。
露光は、例えばレジスト膜3に対し、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を透明基板1側から照射することにより行う。
この活性エネルギー線の光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、エキシマレーザー発生装置、YAGの3倍、半導体レーザーの2倍波などのUVレーザー等が挙げられる。
照射するエネルギー線量は、ポジ型レジスト組成物の組成によっても異なるが、例えば30~2000mJ/cm
2であればよい。
【0112】
工程(C)では、前記レジスト膜3を前記透明基板1側から露光してもよい。透明基板1側から露光することにより、ブラックマトリクス2aがマスクとして機能し、レジスト膜3と透明基板1との間にブラックマトリクス2aが形成されていない領域のみ露光しやすく、アルカリ可溶性領域3aを形成しやすい。
【0113】
<工程(D)>
工程(D)では、前記露光後のレジスト膜3を現像してレジストパターンを形成する。現像により、アルカリ可溶性領域3aが除去され、ブラックマトリクス2a上にレジストパターン3b(隔壁パターン3b)が形成される。
アルカリ現像に用いられる現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のような有機アルカリ水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機アルカリ水溶液が挙げられる。
【0114】
<任意工程>
<工程(E)>
本実施形態にかかる隔壁用パターンの形成方法は、更に前記レジストパターン3bを熱硬化する工程(E)を有していてもよい。
前記レジストパターンの加熱は、例えば300℃以下の温度条件で行われ、好ましくは90~250℃で行われる。本実施形態においては、より低い温度条件で容易に硬化することができ、好ましくは220℃以下で容易に硬化することができる。
レジストパターンの垂直性を保つ観点から、工程(E)の熱硬化は2ステップ以上行うことが好ましい。熱硬化を2ステップ以上行う場合、ステップ毎に熱硬化温度を上げていくことが好ましい。例えば、90~150℃で20~40分加熱した後に、180~300℃で50~70分加熱することができる。
【0115】
<工程(C1)>
本実施形態にかかる隔壁用パターンの形成方法は、必要に応じて、工程(C)と工程(D)との間に、加熱処理(露光後加熱処理)を行う工程(C1)を有していてもよい。
【実施例0116】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0117】
(調製例1:基材成分BR-1の調製)
窒素導入管、撹拌機、及び冷却器を備えた容量5Lのセパラブルフラスコに、ピロメリット酸二無水物654.4gと、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル672.8gと、NMP2518gとを投入した。窒素ガス導入管よりフラスコ内に窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、フラスコの内容物を撹拌しながら、50℃で20時間、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させて、溶媒を留去しポリアミック酸(BR-1)を得た。
【0118】
(調製例2:カーボンブラックCB-Aの調製)
カーボンブラックCB(Regal 250R、Cabot社製)550g、スルファニル酸31.5g、及びイオン交換水1000gを、ジャケット温度60℃に設定された、ジャケットと撹拌装置とを備える反応容器に加えた。亜硝酸ナトリウム12.6gを脱イオン水100gに溶解させた溶液をブラウミキサー内に加えた後、ミキサー内の混合物60℃、50回転/分の条件で2時間撹拌し、ジアゾカップリング反応を行った。撹拌後、ミキサーの内容物を室温まで冷却した。次いで、ミキサーの内容物に含まれるカーボンブラックを、脱イオン水を用いてダイアフィルトレーション法で精製した。洗浄水からは、スルファニル酸に由来するベンゼンスルホン酸類は検出されず、ジアゾカップリング反応によりカーボンブラックにベンゼンスルホン酸基が導入されたことが分かった。精製されたカーボンブラックを、75℃で一晩乾燥させた後に粉砕して、ベンゼンスルホン酸基が導入されたカーボンブラック(CB-A)を得た。
【0119】
(調製例3:カーボンブラック分散液(1)の調製)
カーボンブラック(CB-A)10gと、分散剤として上記調製例1で得られたポリアミック酸(BR-1)3gとに対して、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア(TMU)をカーボンブラック分散液の総量が100gとなるように加えた。得られた混合液を撹拌して、カーボンブラック(CB-A)を分散させて、カーボンブラック分散液(1)を得た。
【0120】
(調製例4:黒色組成物(1)の調製)
ポリアミック酸(BR-1)5.9gと、カーボンブラック分散液(1)27.5gと、下記式(IZ-1)で表される化合物(IZ)0.3gと、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)66.3gとを均一に混合して、黒色組成物(1)を得た。
【0121】
【0122】
(実施例1:隔壁用パターン(1)の形成)
無色透明なガラス基板(100mm×100mm)上に、スピンコーターを用いて調製例4の黒色組成物(1)を塗布した後、100℃で120秒間塗布膜を加熱して、膜厚1.0μmの塗布膜を形成した。
ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME-150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光ギャップ50μmにて、線幅5μmのラインパターンが形成されたネガマスクを介して、形成された塗布膜に紫外線を照射した。露光量は20mJ/cm2であった。露光された塗布膜を、25℃の濃度0.4質量%のKOH水溶液を用いて30秒間現像した。
現像後230℃にて30分間ベークを行い、ライン部分がブラックレジストで構成でされている、ライン幅20μm、スペース幅80μm、膜厚1.0μmのブラックレジストパターンを形成した。
得られたブラックレジストパターン上に、ネガ型レジスト(製品名:TMMR S-2000、東京応化工業株式会社製)を塗布した後、100℃で60秒間塗布膜を加熱して、膜厚10μmの塗布膜を形成した。
ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME-150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、露光ギャップ50μmにて、線幅5μmのラインパターンが形成されたネガマスクを介して、ブラックレジストパターンのライン部分が露光されるようにアラインメントを合わせて、形成された塗布膜に紫外線を照射した。露光量は200mJ/cm2であった。
次いで、100℃で90秒間の露光後加熱処理(PEB)を行った。
その後、露光された塗布膜を、23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で120秒間現像し、23℃のPGMEAで20秒間リンスし、ブラックレジストパターンのライン部分上に膜厚10μmの隔壁が設けられた隔壁用パターン(1)を形成した。
【0123】
(実施例2:隔壁用パターン(2)の形成)
ネガ型レジスト(製品名:TMMR S-2000、東京応化工業株式会社製)にオイルイエロー105(オリエント化学工業株式会社製)を固形分濃度1%添加した以外は、実施例1と同様にして隔壁用パターン(2)を形成した。
【0124】
(実施例3:隔壁用パターン(3)の形成)
ネガ型レジスト(製品名:TMMR S-2000、東京応化工業株式会社製)にオイルイエロー105(オリエント化学工業株式会社製)を固形分濃度2%添加した以外は、実施例1と同様にして隔壁用パターン(3)を形成した。
【0125】
(比較例1:隔壁用パターン(4)の形成)
ネガ型レジスト(製品名:TMMR S-2000、東京応化工業株式会社製)に替えて、下記組成のレジストRを使用した以外は実施例1と同様にして隔壁用パターン(4)を形成した。
[レジストRの組成]
アクリル系ポリマー(メタクリル酸メチル40重量部、ヒドロキシエチルメタクリラート 20重量部、ベンジルメタクリラート 20重量部、メタクリル酸 20重量部) 65重量部
アロニックスM309(東亜合成化学株式会社製) 33重量部
IRGACURE 369(BASF社製) 2重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート 250重量部
【0126】
(比較例2:隔壁用パターン(5)の形成)
ネガ型レジスト(製品名:TMMR S-2000、東京応化工業株式会社製)に替えて、TMMR S-2000にカーボンブラック分散液(1)を、TMMR S-2000:カーボンブラック分散液(1)=9:1の割合で混合したものを使用した以外は実施例1と同様にして隔壁用パターン(5)を形成した。
【0127】
(比較例3:隔壁用パターン(6)の形成)
ブラックマトリクスを形成しない以外は実施例1と同様にして隔壁用パターン(6)を形成した。
【0128】
(実施例4~6、比較例4~6:構造体(1)~(6)の形成)
実施例1~3、比較例1~3で形成した隔壁用パターン(1)~(6)のそれぞれにおいて、1つおきのスペース部分に下記組成を有する光重合型感光材を下記リソグラフィー条件にて充填し、さらに前記光重合型感光材に重畳するようにブラックレジストをパターニングして構造体(1)~(6)を得た。
【0129】
[光重合型感光材の組成]
アクリル系ポリマー(メタクリル酸メチル40重量部、ヒドロキシエチルメタクリラート 20重量部、ベンジルメタクリラート 20重量部、メタクリル酸 20重量部) 65重量部
アロニックスM309(東亜合成化学株式会社製) 33重量部
IRGACURE 369(BASF社製) 2重量部
ローダミン6G 2重量部
エタノール 50重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート 200重量部
【0130】
[光重合型感光材を充填する際のリソグラフィー条件]
プリベーク:100℃、60秒
マスク:ブラックレジストト透過/遮光ノ反転パターン
露光:200mJ/cm2
現像:0.5% 炭酸ナトリウム水溶液、室温、100秒
リンス:純水、室温、20秒
【0131】
<隔壁の透過率の評価>
構造体(1)~(6)のそれぞれについて、光路長10μmにおける隔壁の波長365nm、450nm及び600nmの透過率(%)を紫外可視分光高度計UV3600(島津製作所)で測定した。結果を表1に示す。
【0132】
<光の純度の評価>
構造体(1)~(6)のそれぞれについて、側面に青色LEDを備えた導光板に載置し、ガラス基材表面(パターンがある側)から青色LEDの光を導入し、ガラス裏面(パターンが無い側)から得られた光のLab値を彩色輝度計(トプコン社製)にて測定した。結果を表1に示す。
なお、参考例1は、構造体(1)~(6)を未載置の導光板の発光面のLab値を彩色輝度計(トプコン社製)にて測定した値である。
【0133】
<明暗コントラストの評価>
明暗コントラストは比較例のコントラストを基準とし、目視で同等のものを「良好」、著しく劣るものを「不良」とした。結果を表1に示す。
【0134】
【0135】
表1に示す結果から、無色透明な隔壁を有する比較例1の構造体(4)と比べ、黄色隔壁を有する実施例1~3の構造体(1)~(3)は、a*の絶対値が小さく青色の色純度が高いことがわかる。
黒色の隔壁を有する比較例2の構造体(5)と比べ、黄色隔壁を有する実施例1~3の構造体(1)~(3)は、L*及びb*の値が大きく輝度が高いことがわかる。
ブラックマトリクスを有しない実施例4の構造体(6)と比べ、ブラックマトリクスを有する実施例1~3の構造体(1)~(3)は、明暗コントラストが高いことがわかる。