(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062157
(43)【公開日】2024-05-09
(54)【発明の名称】スケジュール作成システム、スケジュール作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240430BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169985
(22)【出願日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100126859
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 寿樹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA13
5L049AA13
(57)【要約】
【課題】利用者の属性、特に利用者を含む関係者間の相性を考慮したスケジュールを作成可能であり、また併せて効率的にスケジュールを作成可能なスケジュール作成システムを提供する。
【解決手段】事業者装置2と、利用者装置3と、ネットワーク経由で事業者装置2と利用者装置3とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置1と、を備えたスケジュール作成システムであって、事業者装置2は、スタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者と利用者の属性情報を含む利用者情報とをサービス運営者装置1へ送信し、利用者装置3は、利用者の利用日をサービス運営者装置1へ送信し、サービス運営者装置1は、事業者装置2と利用者装置2とから取得した情報に基づきスケジュールを作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えたスケジュール作成システムであって、
前記事業者装置は、スタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者と利用者の属性情報を含む利用者情報とを前記サービス運営者装置へ送信し、
前記利用者装置は、利用者の利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、
サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成する、スケジュール作成システム。
【請求項2】
ネットワーク経由で事業者装置からスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者の属性情報とを取得し、
ネットワーク経由で利用者装置から利用者の利用日を取得し、
前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置。
【請求項3】
スタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者の属性情報とをネットワークを通じて情報出力する事業者装置。
【請求項4】
事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎スケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えた送迎スケジュール作成システムであって、
前記事業者装置は、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、を前記サービス運営者装置へ送信し、
前記利用者装置は、利用者が送迎を利用する利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、
前記サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎車の送迎スケジュールを作成する、送迎スケジュール作成システム。
【請求項5】
サービス運営者装置は、
各利用者の乗車位置情報から、利用者の組合せごとの送迎経路候補を演算して作成する送迎経路候補演算部と、
スタッフ情報と利用者の属性情報と利用者の利用日とに基づきスタッフと利用者の組合せ候補を演算して作成する送迎組合せ演算部と、を備え
前記組合せ候補演算部で演算した組合せ候補と、当該組合せ候補に含まれる利用者の組合せに合致する送迎経路候補の中から、送迎日のスタッフと利用者の組合せと送迎車の送迎経路を確定する、
請求項4に記載の送迎スケジュール作成システム。
【請求項6】
前記利用者の属性情報は、前記スタッフと前記利用者との相性を示す情報を含む、請求項4に記載の送迎スケジュール作成システム。
【請求項7】
ネットワーク経由で事業者装置から、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報を取得し、
ネットワーク経由で利用者装置から、利用者が送迎を利用する利用日を取得し、
前記事業者装置と前記利用者装置から取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置であって、
各利用者の乗車位置情報から、利用者の組合せごとに送迎経路候補を演算して作成する送迎経路候補演算部と、
スタッフ情報と利用者の属性情報と利用者の利用日とに基づきスタッフと利用者の組合せ候補を演算して作成する送迎組合せ演算部と、を備え
前記組合せ候補演算部で演算した組合せ候補と、当該組合せ候補に含まれる利用者の組合せに合致する送迎経路候補の中から、送迎日のスタッフと利用者の組合せと送迎車の送迎経路を確定する、
サービス運営者装置。
【請求項8】
スタッフと利用者の組合せ候補を演算して作成する送迎組合せ演算部は、演算の過程で、前記送迎経路候補演算部で作成した利用者の組合せごとの送迎経路候補を参照し、所定の基準より送迎コストが大きいスタッフと利用者の組み合せについては、スタッフと利用者の組合せ候補から除外する、請求項7に記載のサービス運営者装置。
【請求項9】
事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えたスケジュール作成システムにおけるスケジュール作成方法であって、
前記事業者装置は、スタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者と利用者の属性情報を含む利用者情報とを前記サービス運営者装置へ送信し、
前記利用者装置は、利用者の利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、
サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成する、スケジュール作成方法。
【請求項10】
ネットワーク経由で事業者装置からスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者の属性情報とを取得し、
ネットワーク経由で利用者装置から利用者の利用日を取得し、
前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するスケジュール作成方法。
【請求項11】
事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎スケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えた送迎スケジュール作成システムにおける送迎スケジュール作成方法であって、
前記事業者装置は、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、を前記サービス運営者装置へ送信し、
前記利用者装置は、利用者が送迎を利用する利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、
前記サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎車の送迎スケジュールを作成する、送迎スケジュール作成方法。
【請求項12】
ネットワーク経由で事業者装置からスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者の属性情報とを取得し、
ネットワーク経由で利用者装置から利用者の利用日を取得し、
前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するスケジュール作成プログラム。
【請求項13】
ネットワーク経由で事業者装置から、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報を取得し、
ネットワーク経由で利用者装置から、利用者が送迎を利用する利用日を取得し、
各利用者の乗車位置情報から、利用者の組合せごとに送迎経路候補を演算して作成し、
スタッフ情報と利用者の属性情報と利用者の利用日とに基づきスタッフと利用者の組合せ候補を演算して作成し、
前記スタッフと利用者の組合せ候補と、当該組合せ候補に含まれる利用者の組合せに合致する送迎経路候補の中から、送迎日のスタッフと利用者の組合せと送迎車の送迎経路を確定する、送迎スケジュール作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュール作成システム、スケジュール作成方法に関し、特に送迎スケジュールの作成システム、作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の利用者を送迎するためのスケジュール作成システムが知られている。
例えば、特許文献1には、予約された施設と連動した送迎サービスである送迎管理装置が開示されている。
また、特許文献2には、利用者が利用予約を変更した場合にも送迎のスケジュールを簡単に修正できるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-74181号公報
【特許文献2】特開2019-40157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスケジュール作成システム、特許文献1に記載の送迎管理装置では、利用者による施設の予約内容に基づいて送迎スケジュールを作成できる。また特許文献2に記載のスケジュール作成システムでは、直前の予約取り消しにも簡単に対応することが可能である。しかしながら、従来のスケジュール作成システムは、利用者の属性を考慮に入れたスケジュールを作成するものではなく、特に利用者を含む関係者との相性を考慮した送迎スケジュールを作成するものではなかった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、利用者の属性、特に利用者を含む関係者との相性を考慮し、また併せて効率的にスケジュールを作成可能なスケジュール作成システム、作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明のスケジュール作成システムは、事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えたスケジュール作成システムであって、前記事業者装置は、スタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、利用者と利用者の属性情報を含む利用者情報とを前記サービス運営者装置へ送信し、前記利用者装置は、利用者の利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づきスケジュールを作成する、スケジュール作成システムである。
【0007】
更に、本発明の送迎車の送迎スケジュールを作成する送迎スケジュール作成システムは、事業者装置と、利用者装置と、ネットワーク経由で前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎スケジュールを作成するサービス運営者装置と、を備えた送迎スケジュール作成システムであって、前記事業者装置は、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、を前記サービス運営者装置へ送信し、前記利用者装置は、利用者が送迎を利用する利用日を前記サービス運営者装置へ送信し、前記サービス運営者装置は、前記事業者装置と前記利用者装置とから取得した情報に基づき送迎車の送迎スケジュールを作成する、送迎スケジュール作成システムである。
【0008】
特に、本発明のサービス運営者装置は、ネットワーク経由で事業者装置から、利用者と利用者の乗車位置情報と利用者の属性情報と、送迎を担当するスタッフとスタッフの勤務日を含むスタッフ情報と、ネットワーク経由で利用者装置から、利用者が送迎を利用する利用日を取得し、前記事業者装置と前記利用者装置から取得した情報に基づきスケジュールを作成するサービス運営者装置であって、各利用者の乗車位置情報から、利用者の組合せごとに送迎経路候補を演算して作成する送迎経路候補演算部と、スタッフ情報と利用者の属性情報と利用者の利用日とに基づきスタッフと利用者の組合せ候補を演算して作成する送迎組合せ演算部と、を備え前記組合せ候補演算部で演算した組合せ候補と、当該組合せ候補に含まれる利用者の組合せに合致する送迎経路候補の中から、送迎日のスタッフと利用者の組合せと送迎車の送迎経路を確定する、サービス運営者装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の属性、特に利用者を含む関係者との相性を考慮したスケジュールを作成可能であり、また併せて効率的にスケジュールを作成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態におけるスケジュール作成システムの全体図
【
図2】スケジュール作成方法を説明するフローチャート
【
図3】スケジュール作成システム、特に事業者装置を詳細に説明した構成図
【
図4】スケジュール作成システム、特にサービス運営者装置を詳細に説明した構成図
【
図5】スケジュール作成システム、特に利用者装置を詳細に説明した構成図
【
図6】送迎スケジュール作成方法を説明するフローチャート
【
図7】事業者装置における送迎車、スタッフ、利用者に関するデータ、利用者の自宅位置、属性情報に関するデータの入力画面を示す図
【
図8】サービス運営者装置における、ある日の属性情報テーブルを示す図
【
図9】サービス運営者装置で、送迎者までの送迎コストを示す図、および送迎者の組合せ・送迎経路ごとの送迎コストを記憶したテーブルを示す図
【
図10】事業者装置で、ある日に使用可能な車、スタッフの入力画面を示す図
【
図11】利用者装置で、ある日に利用予約を行う入力画面を示す図
【
図12】送迎経路候補、利用者の属性情報からある日のスケジュール作成方法を示すフローチャート
【
図13】複数の送迎スケジュール候補から送迎スケジュールを決定する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下の実施の形態には限定されない。
【0012】
(実施の形態)
本実施の形態では、利用者の属性、特に利用者を含む関係者との相性を考慮してスケジュールを作成するスケジュール作成システムについて説明する。
【0013】
上述の内容について、以下、図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態におけるスケジュール作成システムの全体図である。スケジュール作成システムは、サービス運営者が運営するサービス運営者装置1、施設等の事業者(以下、事業者と省略)の使用する端末である事業者装置2、事業者のサービスを利用する利用者が使用する端末である利用者装置3から構成される。
サービス運営者はスケジュール作成システムを運営している事業者であり、サービス運営者装置1はクラウド上に構築されている。
事業者は、スケジュール作成システムを使用して利用者にサービスを提供する事業者であり、事業者装置2は施設内のパーソナルコンピュータであり、インターネット等のネットワークに接続可能である。
利用者は、施設等の事業者のサービスを利用する者であり、スケジュール作成システムを使用して、サービスを利用したい日の利用予約を行う。利用者装置3はスマートフォンであり、インターネット等のネットワークに接続可能である。
【0014】
このように構成されたスケジュール作成システムの動作について
図2を参照しながら説明する。
【0015】
(ステップ201)<初期設定>
事業者は事業者装置2で、事業者の全スタッフに関するデータである、スタッフ名、スタッフの役割等のスタッフに関する情報を入力する。また事業者のサービスの全利用者に関するデータである利用者名、利用者の住所等を入力する。さらに、各利用者と各スタッフとの相性を示す属性情報を入力する。
入力したデータはすべて、ネットワークから、サービス運営者装置1に送信する。
【0016】
(ステップ202)<サービス利用日のデータ入力と送信>
事業者は事業者装置2で、サービス提供日毎のスタッフの勤務情報を入力する。入力したデータは、ネットワークから、サービス運営者装置1に送信する。
利用者は利用者装置3で、事業者の提供するサービスを利用する日を入力する。
入力したデータは、ネットワークから、サービス運営者装置1に送信する。
【0017】
(ステップ203)<属性情報を考慮したスケジュールの作成>
サービス運営者装置1は、ステップ201で入手した各利用者と各スタッフとの相性を示す属性情報と、ステップ202で入手したサービス提供日毎の勤務情報、サービス利用者の利用日から最適なスケジュールを作成する。
サービス運営者装置1は、作成したスケジュールに基づき、事業者装置2に、サービス提供日に各スタッフが担当する利用者が書かれたスケジュール表を送信する。事業者はこのスケジュール表をもとに各スタッフに勤務日の業務スケジュール(スタッフが担当する利用者)を連絡する。
また、サービス運営者装置1からは利用者装置3へ利用者装置3に利用日の利用が確定した旨、また利用日の担当のスタッフ名も併せて送信連絡する。
【0018】
以上のように、本実施の形態では利用者の属性、特に利用者を含む関係者(スタッフ)との相性を考慮したスケジュールを作成可能となる。
【0019】
本実施の形態では、サービス運営者装置1はクラウド上に構築されるとしたが、これに限定されるものではない。サービス運営者装置1はオンプレミスのサーバーでも良く、ネットワークに接続可能なコンピューターシステムであればよい。
また事業者装置2はパーソナルコンピュータとしたが、スマートフォンや専用の端末装置でもよく、ネットワークに接続可能なコンピューターシステムであればよい。
また利用者装置3はスマートフォンとしたが、パーソナルコンピュータや専用の端末装置でもよく、ネットワークに接続可能なコンピューターシステムであればよい。
また、事業者は、1つの事業者のみでもよく、複数の事業者でもよい。複数の事業者の場合、各事業者は、それぞれの事業者装置A、事業者装置B、・・事業者装置Cからサービス運営者装置1へ接続可能である。また各利用者は複数の事業者の提供するサービスの利用予約をすることも可能であり、その場合利用者装置3で、事業者をまず選択した上で、利用予約すればよい。
【0020】
以上本発明の基本的な実施の形態について説明したが、以下で具体的な適用事例を実施例として説明する。本発明は、以下で説明する実施例のみに適用範囲を限定されるものではない。
【0021】
(実施例)
本実施例では、上述の実施の形態で説明した発明の適用事例を説明する。
本事例は、施設等の事業者がサービスを提供するにあたり利用者の送迎車を運行するためのスケジュールを作成するための送迎スケジュール作成システムの事例、とくに施設の利用者が発達障害者である場合の課題を解決した事例である。
施設の利用者である発達障害者を施設に預かり送迎車で送り迎えする場合、発達障害者の特性から周りの人たちと相性が良くない場合、送迎車内でパニックになる等の問題を起こす場合がある。例えば、送迎車の運転手との相性や、場合により利用者同士の相性により、パニック症状となることがある。このような事態を防ぐため、利用者の属性(関係者との相性等)を最大限に考慮しつつ、可能な限り運行上の効率も確保できる送迎経路、利用者の送迎車への割り当て(どの送迎車にどの利用者を乗せるか)等の送迎のスケジュールを作成することが求められる。
【0022】
以下、本発明の送迎スケジュール作成システムについて、図面を用いて説明する。
送迎スケジュール作成システムの全体図およびその全体の概念的なフローチャートは、実施の形態で説明した
図1および
図2と同様である。以下では、本事例に適用した場合の、システムを構成する個々の装置およびその動作について具体的に説明する。
図3はスケジュール作成システムであって、特に事業者装置2を詳細に説明した構成図である。
図3において、事業者装置2は、事業者制御部20、事業者記憶部21、送受信部22、
入力部23、表示部24、出力部25を備えている。事業者制御部20は、事業者記憶部21、送受信部22、入力部23、表示部24、出力部25を制御するために用いられる。事業者記憶部21は、データを記憶するためのメモリーである。送受信部22は、サービス運営者装置1とネットワーク経由でデータの送受信を行うものである。入力部23は、データを入力するためのキーボード等である。表示部24は、表示画面であり画面上で内容を確認しながら入力部23からデータ入力を行う等が可能である。出力部25はデータをプリンター等に出力するためのものである。
図4はスケジュール作成システムであって、特にサービス運営者装置1を詳細に説明した構成図である。
図4において、サービス運営者装置1は、サービス運営者制御部10、サービス運営者記憶部11、送受信部12、入力部13、表示部14、出力部15を備えている。サービス運営者制御部10は、サービス運営者記憶部11、送受信部12、入力部13、表示部14、出力部15を制御するために用いられ、また内部には送迎経路候補演算部16、送迎組合せ演算部17を備えている。
サービス運営者記憶部11は、データを記憶するためのメモリーである。送受信部12は、事業者装置2および利用者装置3とネットワーク経由でデータの送受信を行うものである。入力部13はデータを入力するためのキーボード等である。表示部14は、表示画面であり画面上で内容を確認しながら入力部13からデータ入力を行う等が可能である。出力部15はデータをプリンター等に出力するためのものである。
図5はスケジュール作成システムであって、特に利用者装置3を詳細に説明した構成図である。
図5において、利用者装置3は、利用者制御部30、利用者記憶部31、送受信部32、入力部33、表示部34、出力部35を備えている。利用者制御部30は、利用者記憶部31、送受信部32、入力部33、表示部34、出力部35を制御するために用いられる。
利用者記憶部31は、データを記憶するためのメモリーである。送受信部32は、サービス運営者装置1とネットワーク経由でデータの送受信を行うものである。入力部33は、データを入力するためのタッチパネル等である。表示部34は、表示画面であり画面上で内容を確認しながら入力部33からデータ入力を行う等が可能である。出力部35はデータをプリンター等に出力するためのものである。
【0023】
以下本送迎スケジュール作成システムの動作について、図面を参照しながら説明する。
図6は本送迎スケジュール作成システムの動作を説明するフローチャートである。
ステップ601<事業者装置2:基礎データの入力と送信>
ステップ601では、事業者装置2で送迎スケジュールを作成するのに必要な基礎データを入力するとともに入力したデータをサービス運営者装置1に送信する。
ここで
図7は事業者装置2の表示部24の表示画面であり、送迎スケジュールを作成するのに必要な基礎データを入力部23から入力した内容とその一例を示している。
図7(a)は、事業者が送迎に使用可能な車、運転手、同乗者のデータを入力した例である。なおここで同乗者とは送迎車に同乗し主に利用者の世話を行う施設の担当者であり、運転手と同乗者はともに事業者のスタッフである。
図7(a)は、車番号、スタッフの氏名(従業員番号等の識別可能な符号でも良い)を入力する。この入力画面では、利用可能な送迎車は3台(1号、2号、3号)、スタッフは運転者が3名(X、Y、Z)、同乗者が3名(P、Q、R)であることを示している。
図7(b)は、利用者名、利用者の自宅位置、属性情報を入力した例である。
この入力画面では、利用者が4名(A、B、C、D)、各利用者の自宅位置を示す情報として自宅の緯度、経度の情報を入力している。また利用者の属性情報として、利用者とスタッフ間の相性、利用者間の相性を入力している。Xは相性が悪く同じ送迎車に乗るのは不適切なことを示しており、〇は相性が悪くなく同じ送迎車の利用が可能なことを示している。
【0024】
なお、本例では、利用者の自宅位置を特定する情報として(緯度、経度)の組合せを入力しているが、利用者の自宅位置を特定可能であれば他のデータでも良い。また自宅位置に変えて、利用者が送迎で乗降する場所の位置でも良い。また利用者の属性情報として、スタッフや他の利用者との“相性”を使用しているが、属性情報として他の適切と思われる情報があればその情報を使用しても良い。
図7(a)、
図7(b)で入力した内容は画面上の保存ボタンで保存して事業者記憶部21に記憶しておく。また送受信部22からサービス運営者装置1へ施設名、施設の位置、利用者名、利用者の自宅位置、属性情報をネットワーク経由で送信する。なお、施設名と施設の位置は事前にサービス運営者装置1に送っておいても良い。
【0025】
ステップ602<サービス運営者装置1:送迎経路候補の作成>
ステップ602では、サービス運営者装置1において、事業者装置2から送信されてきた施設名、施設の位置、利用者名、利用者の自宅位置、属性情報、に基づき送迎経路候補を作成する。
施設名、施設の位置、利用者名、利用者の自宅位置、属性情報はサービス運営者記憶部11に記憶しておく。
図8は、サービス運営者記憶部11に記憶した属性情報の一例である。
送迎経路候補演算部16では、施設の位置と各利用者の自宅位置に基づき、考えられる全ての利用者の組み合わせでの送迎経路とその送迎コストを演算する。なお本例では、送迎コストは走行距離に基づき算出する。すべての利用者を送り届けるまでの走行距離とし、その後に送迎車が施設まで戻る走行距離は考慮していないが、送迎車が施設まで戻る走行距離を考慮しても良い。また、走行距離以外に走行時間や道路の状態等のデータを考慮して送迎コストを算出しても良い。
図9(a)は施設と各利用者の自宅までの走行距離を示す図であり、例えば施設から利用者Aまでは10、利用者Aから利用者Cまでの走行距離は30であることを示している。
図9(b)は、
図9(a)で示した全ての利用者間での走行距離データから、全ての利用者の組み合せに対応した送迎経路候補ごとの送迎コストテーブルの一例を示す図であり、利用者数、利用者の組み合せに対応した送迎経路候補、送迎コストの組合せがテーブルとしてサービス運営者記憶部11に記憶されている。
例えば、利用者数2名の例として、送迎経路A→B、B→A、A→C、C→Aの場合、送迎コストはそれぞれ25、30、40、50となっている。
【0026】
上記で説明した送迎コストテーブル作成のための演算方法の一例を紹介する。
いわゆる巡回セールスマン問題(traveling salesman problem、TSP)と言われる、都市の集合と各2都市間の移動コスト(たとえば距離)が与えられたとき、全ての都市をちょうど一度ずつ巡り出発地に戻る巡回路のうちで総移動コストが最小のものを求める問題が知られており、移動コストを効率的に演算する手法が種々提案されている。このような手法を利用すれば送迎コストを比較的短時間で演算することが可能となる。なお、送迎コストテーブル作成のための演算方法は他の方法を用いても良い。
【0027】
ステップ603<サービス運営者装置1と利用者装置3:利用日当日の情報の入力と送信>
ステップ603では、事業者装置2で送迎日のスタッフの勤務情報、利用可能な送迎車の情報を入力する。
図10は事業者装置2での入力画面の一例である。
図10の入力画面では、送迎日として2022年9月30日を選択し、利用可能な送迎車は2台(1号、3号)、スタッフは運転者が2名(X、Y)、同乗者が3名(P、Q、R)を入力している。このように入力されたデータは、ネットワーク経由でサービス運営者装置1へ送信される。
また利用者装置3からは、利用者が事業者の提供する送迎の利用日を入力し、利用日をサービス運営者装置1に送信する。
図11は利用者装置3での入力画面の一例であり、
図11(a)では送迎の利用日として2022年9月30日を選択し、“MM学園”から“自宅”までの送迎を選択する。「日程を追加」ボタンを押すと、
図11(b)のように「日程を追加」ボタンがスライドし、追加する利用日程が確定する。確定した利用日程はネットワーク経由で、サービス運営者装置1へ送信される。サービス運営者装置1では送信されてきた利用者の利用日程をサービス運営者記憶部11に記憶しておく。
【0028】
ステップ604<サービス運営者装置:送迎スケジュールの作成>
ステップ604では、送迎組合せ演算部17において、送迎経路候補データと、サービス提供日のスタッフの勤務情報、利用者の送迎の利用日に基づき、最適なスケジュールを演算しスケジュール表を作成する。
以下、ステップ604での詳細な動作について、
図12のフローチャートを参照しながら説明する。
図12のステップ1201において、
図8のサービス運営者記憶部11に記憶した属性情報テーブルと
図9(b)の送迎経路候補テーブルから、利用日当日のスケジュールを作成する。2022年9月30日は、3名(A,B,C)の送迎利用(施設から各自宅への帰宅)があるとして説明する。
図8の属性情報テーブルに基づき可能な組合せは、
図13(a)の2つの送迎候補であることがわかる。送迎候補1は(運転者、利用者)が、(X、B)と(Y、A、C)の組合せ、送迎候補2は(運転者、利用者)が、(X、B、C)と(Y、A)の組合せで、いずれも2台の送迎車を利用する。送迎コストを考えずに属性情報のみから送迎スケジュールを選択する場合は、この2つの送迎候補のいずれを選択しても良い。
送迎コストを併せて考慮する場合は以下のステップ1202に移行する。
ステップ1202では、ステップ1201で求めた2つの送迎候補から送迎コストが最小となる組合せを選択する。具体的には、
図9(b)の利用者と経路毎の送迎コストを示すテーブルから対応する経路での送迎コストを抽出し、送迎候補毎の総送迎コストを算出する。
図13(b)は送迎候補1と送迎候補2のそれぞれの送迎者と送迎コストを示す図であり、送迎候補1は、(運転者、利用者)の組合せで(X、B)の送迎コストが15、(Y、A、C)の送迎コストが40となり合計した送迎コストは55である。送迎候補2は、(運転者、利用者)の組合せで、(X、B、C)の送迎コストが27、(Y、A)の送迎コストが10となり合計した送迎コストは37となる。送迎コスト的に送迎候補2が有利であるので、送迎候補2を最終的に選択する。なお、本実施例では最適な送迎スケジュールの指標として、「総送迎コストが最小」という指標を用いたが、他の指標を用いても良い。例えば、使用する送迎車の送迎コストがなるべく均一になり、送迎車が戻ってくる時間のばらつきが少なくなる等の指標を用いても良い。
ステップ1203で、最終的に選択した送迎候補2の送迎スケジュール((運転者、利用者)が、(X、B、C)と(Y、A)の組合せ)を事業者装置2にネットワーク経由で送信する。事業者装置2では、各運転手に対し送迎スケジュールとして連絡、印刷して渡す等を行う。
【0029】
なお、利用者数が少ない場合は、すべての送迎候補を演算することが容易に可能であるが、利用者数が多くなると送迎候補を演算するための演算量、演算時間が飛躍的に増大する可能性がある。その場合の対策として、すべての組合せの送迎候補を演算するのではなく、送迎コストを考慮してから、送迎候補の組合せ数を減らしてから演算する、あるいは送迎コストと送迎候補の組合せを併せて考慮しながら演算することが考えられる。
組合せを減らす手法は種々知られているが、ZDD (Zero-suppressed binary Decision Diagram)を利用する手法は、特に取り得る組合せを減らせる割合が高いものである。これは組合せデータを経路集合としてZDDで表現し、多くの組合せに共通して現れる部分的な組合せをまとめて表現する、あるいは冗長な節点を削除する等により、圧縮を行う手法である。例えば、利用者と運転手の取り得る組合せを演算する際、
図9(b)で算出しておいた組合せ毎の送迎コストテーブルから、送迎コスト的に等価な組合せはまとめて表現する、送迎コスト的にある閾値以上の組合せは組合せの対象から除外する等を行うことにより、演算量、演算時間を減少させることが可能となる。
【0030】
なお、本実施例では、利用者の送迎の利用日のみを考慮し、利用者の送迎の希望時間を考慮していないが、送迎の希望時間を考慮するようにしても良い。また「送迎の最初を希望」、「送迎の最後を希望」等の送迎の順番の希望を考慮しても良い。この場合、上述の送迎スケジュールの作成にあたっては、利用者装置3で送迎の希望時間等を入力できるようにし、利用者の希望する送迎時間、送迎の順番を考慮した送迎スケジュールを作成すれば良い。
また、本実施例では、スタッフとして運転手の例を用いて説明したが、スタッフとしての同乗者と利用者との相性を考慮した送迎スケジュールを作成しても勿論良い。
以上説明したように本実施例では、利用者の属性、特に利用者を含む関係者との相性を考慮したスケジュールを作成可能であり、また併せて効率的にスケジュールを作成可能である。
【0031】
なお、本発明に係る実施の形態のスケジュール作成システム、スケジュール作成方法、また、本発明を特に送迎スケジュールに適用した実施例である送迎スケジュール作成システム、作成方法について縷々説明したが、本発明はこれらの実施の形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 サービス運営者装置
2 事業者装置
3 利用者装置
10 サービス運営者制御部
11 サービス運営者記憶部
16 送迎経路候補演算部
17 送迎組合せ演算部
20 事業者制御部
21 事業者記憶部
30 利用者制御部
31 利用者記憶部
12、22、32 送受信部
13、23、33 入力部
14、24、34 表示部
15、25、35 出力部