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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062613
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】液滴形成装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240501BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240501BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240501BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B05C11/10
C12M1/00 A
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170575
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】野々山 裕介
【テーマコード(参考)】
4B029
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4B029DG10
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA12
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA34
4F041BA38
4F042AA02
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CA06
4F042CB03
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】沈降性粒子を含む分散液の液滴を安定して形成し、吐出することが可能な液滴形成装置を提供する。
【解決手段】沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、電気信号を供給し吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、吐出ヘッドは、液体を保持する液保持部と、液滴を吐出する吐出口を有し、液保持部と共に液体を保持する液室を形成する膜状部材と、電気信号に基づいて膜状部材を振動させる加振手段と、を有し、電気信号は、膜状部材を振動させ液滴を形成する吐出信号と、信号波形の駆動電圧が吐出信号よりも小さく、液滴を形成しない範囲で膜状部材を振動させる撹拌信号と、駆動電圧が撹拌信号よりも小さい微振動信号と、を含み、制御部は、加振手段に、吐出信号、撹拌信号及び微振動信号のいずれか1つを選択的に供給する液滴形成装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、
電気信号を供給し前記吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、
前記吐出ヘッドは、前記液体を保持する液保持部と、
前記液滴を吐出する吐出口を有し、前記液保持部と共に前記液体を保持する液室を形成する膜状部材と、
前記電気信号に基づいて前記膜状部材を振動させる加振手段と、を有し、
前記電気信号は、前記膜状部材を振動させ前記液滴を形成する吐出信号と、
信号波形の駆動電圧が前記吐出信号よりも小さく、前記液滴を形成しない範囲で前記膜状部材を振動させる撹拌信号と、
前記駆動電圧が前記撹拌信号よりも小さい微振動信号と、を含み、
前記制御部は、前記加振手段に、前記吐出信号、前記撹拌信号及び前記微振動信号のいずれか1つを選択的に供給する液滴形成装置。
【請求項2】
沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、
電気信号を供給し前記吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、
前記吐出ヘッドは、前記液体を保持する液保持部と、
前記液滴を吐出する吐出口を有し、前記液保持部と共に前記液体を保持する液室を形成する膜状部材と、
前記電気信号に基づいて前記膜状部材を振動させる加振手段と、
前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する撹拌手段と、を有し、
前記電気信号は、前記膜状部材を振動させ前記液滴を形成する吐出信号と、
信号波形の駆動電圧が前記吐出信号よりも小さく、前記液滴を形成しない範囲で前記膜状部材を振動させる微振動信号と、
前記撹拌手段の動作を制御する制御信号と、を含み、
前記制御部は、前記加振手段に、前記吐出信号及び前記微振動信号のいずれか1つを選択的に供給するとともに、前記撹拌手段に前記制御信号を付与する液滴形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、吐出される前記液滴の吐出状態を検出する検出手段を有し、
前記吐出状態に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する請求項1又は2に記載の液滴形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吐出状態として、前記吐出信号に対応する前記液滴の吐出が無いことを検出し、
検出結果に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する請求項3に記載の液滴形成装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記吐出口に対向し、前記吐出口との相対位置を変更可能とするターゲット部と、
前記ターゲット部に着滴した前記液滴を撮像する撮像手段と、を有し、
前記制御部は、前記ターゲット部に着滴した前記液滴の位置と、前記吐出口と前記ターゲット部との相対位置に基づいて想定される前記液滴の想定着滴位置と、に基づいて、前記吐出状態を検出し、
検出結果に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する請求項3に記載の液滴形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された時間の経過に基づいて、前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する請求項1又は2に記載の液滴形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記吐出ヘッドの駆動条件を入力する入力手段を有する請求項1又は2に記載の液滴形成装置。
【請求項8】
前記駆動条件として、前記電気信号の駆動電圧、前記信号波形の周波数、及び前記電気信号の印加間隔からなる群から選ばれる少なくとも1つを入力可能である請求項7に記載の液滴形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記液体の種類と前記駆動条件との対応関係を複数記憶する記憶部を有し、
前記入力手段は、前記液滴の種類を入力する請求項7に記載の液滴形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクなどの液状体(液)を所望の位置に吐出する技術として、インクジェット方式の液滴形成装置が知られている。
【0003】
近年では、液滴形成装置において、従来の二次元印刷の際に用いたインクに変わる種々の液を吐出することが求められる。例えば、吐出の対象となる液は、溶液のほか分散液も挙げられる。分散液に含まれる分散質(粒子)としては、樹脂材料のような有機材料、金属粒子や酸化物粒子のような無機材料、細胞や遺伝子のような生体由来材料を挙げることができる。
【0004】
液滴吐出装置において上述のような分散液を吐出する場合、液室で分散質が沈降することがある。以下の説明においては、分散液において沈降する分散質のことを「沈降性粒子」と称することがある。沈降性粒子が沈降すると、吐出する液滴量が一定であったとしても、吐出する液体に含まれる沈降性粒子の濃度が変化し、所望の量の分散質を安定して吐出することが困難となる。
【0005】
このような従来の課題に対し、沈降性粒子を含む分散液を貯留する液滴形成装置において、分散液を適宜加振し、対流させて撹拌する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、液滴形成装置において液滴を形成する際に用いる膜状部材を、液滴を形成しない範囲で加振することで、液体を撹拌している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構成では、装置の個体差や貯留されている液量により、膜状部材に同じ振動を加えても撹拌が不十分である場合や、液体の撹拌に留まらず液滴を吐出してしまう場合があった。そのため、安定的に一定品質の液滴を形成しにくく、改善が求められていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、沈降性粒子を含む分散液の液滴を安定して形成し、吐出することが可能な液滴形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、電気信号を供給し前記吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、前記吐出ヘッドは、前記液体を保持する液保持部と、前記液滴を吐出する吐出口を有し、前記液保持部と共に前記液体を保持する液室を形成する膜状部材と、前記電気信号に基づいて前記膜状部材を振動させる加振手段と、を有し、前記電気信号は、前記膜状部材を振動させ前記液滴を形成する吐出信号と、信号波形の駆動電圧が前記吐出信号よりも小さく、前記液滴を形成しない範囲で前記膜状部材を振動させる撹拌信号と、前記駆動電圧が前記撹拌信号よりも小さい微振動信号と、を含み、前記制御部は、前記加振手段に、前記吐出信号、前記撹拌信号及び前記微振動信号のいずれか1つを選択的に供給する液滴形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、沈降性粒子を含む分散液の液滴を安定して形成し、吐出することが可能な液滴形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の液滴形成装置1の概略図である。
図2図2は、吐出ヘッド110の概略図である。
図3図3は、吐出ヘッド110の概略図である。
図4図4は、吐出ヘッド110の概略図である。
図5図5は、制御部50Aを説明するブロック図である。
図6図6は、第2実施形態の液滴形成装置2の概略図である。
図7図7は、吐出ヘッド110の周辺構造を示す概略図である。
図8図8は、第3実施形態の液滴形成装置3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、図1図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る液滴形成装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0012】
図1は、本実施形態の液滴形成装置1の概略図である。図1に示すように液滴形成装置1は、吐出部10と、付着部30と、載置部40と、制御部50Aと、を有する。
【0013】
以下の説明においては、xyz直交座標系を設定し、このxyz直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。ここでは、水平面内の所定方向をx軸方向、水平面内においてx軸方向と直交する方向をy軸方向、x軸方向及びy軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をz軸方向とする。
【0014】
また、鉛直方向上方を+z方向とし、鉛直方向下方を-z方向とする。以下の説明において、「上方」「上面」の「上」、「下方」「下面」の「下」も同じ意味とする。
【0015】
さらに、以下の説明において「平面視」とは、対象物を上方から視ることを指し、「平面形状」とは、対象物を上方から視た形状を指すものとする。
【0016】
《吐出部》
図1に示すように、吐出部10は、吐出ヘッド110と、第1移動部102と、第2移動部103とを有する。
【0017】
<吐出ヘッド>
吐出ヘッド110は、沈降性粒子を含む液体の液滴L1を吐出する。吐出部10は、吐出ヘッド110を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。図に示す吐出部10は、3つの吐出ヘッド110a,110b,110cを有する。3つの吐出ヘッド110a,110b,110cをまとめて吐出ユニット101Aと称する。
【0018】
吐出ヘッド110a,110b,110cは、それぞれ同じ構成であってもよく、互いに異なる構成であってもよい。
【0019】
3つの吐出ヘッド110a,110b,110cは、吐出ヘッド110から吐出される液の吐出方向(図では、-z方向)と交差する方向(図ではx方向)に配列している。
【0020】
図2は、吐出ヘッド110の概略図である。吐出ヘッド110は、液保持部111と、ノズルプレート(膜状部材)112と、加振手段113とを有する。
【0021】
液保持部111、ノズルプレート112及び加振手段113で囲まれた空間は、吐出ヘッド110の液室110Aである。液室110Aには、沈降性粒子を含む液体(液L)が保持される。
【0022】
液室110Aに保持される液Lの量としては、特に限定はされない。例えば、液室110Aに保持される液Lの量として、1μlから1ml程度を挙げることができる。液滴形成装置1から細胞懸濁液のように高価な液を吐出する際には、液室110Aに保持される液Lの量を、1μlから200μl程度とするとよい。
【0023】
液滴形成装置1で吐出する液Lは、沈降性粒子である分散質(粒子P)と、粒子Pが分散した分散媒DMとを有する。
【0024】
粒子Pとしては、ポリマー粒子のような有機材料、金属微粒子、無機酸化物粒子のような無機材料を挙げることができる。金属微粒子としては、銀粒子、銅粒子等を挙げることができる。無機微粒子としては、酸化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を挙げることができる。
【0025】
また、粒子Pとして、細胞を用いることもできる。細胞としては、植物細胞や動物細胞を適用できる。動物細胞としては、特にヒト由来の細胞を挙げることができる。
【0026】
分散媒DMとしては、水、アルコールなどを挙げることができる。分散媒DMには、蒸発を抑えるための湿潤剤や、表面張力を下げるための界面活性剤が含まれていてもよい。
【0027】
本実施形態においては、液滴形成装置1で吐出する液Lが、分散媒DMに粒子Pとして細胞を分散させた分散液であることとして説明する。この場合、分散媒DMとしては、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline)やHank's Balanced Salt Solutionなどの公知の緩衝液、各種細胞用の培地を用いることができる。
【0028】
吐出ヘッド110a,110b,110cは、それぞれ同じ液Lを保持してもよく、互いに異なる液Lを保持してもよい。
【0029】
(液保持部)
液保持部111は、z軸方向の両端部が開口した筒状の部材である。液保持部111の材料としては、例えば、金属、シリコン、セラミックス、高分子材料などが挙げられる。
【0030】
液保持部111の下方端部は、ノズルプレート112と加振手段113とで塞がれている。粒子Pとして細胞を用いる場合、液保持部111の上方端部は開口しているとよい。液保持部111の上方が開口していると、液滴の吐出時に液保持部111に保持されている液Lが加圧されにくく、細胞の破損を抑制することができる。
【0031】
(ノズルプレート(膜状部材))
ノズルプレート112は、吐出口112xを有する環状の部材である。ノズルプレート112は、液保持部111の下方端部を塞ぎ、液保持部111と共に液Lを保持する液室110Aを形成する。吐出口112xは、液保持部111と連通している。
【0032】
ノズルプレート112の平面形状、平面視したときの大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
ノズルプレート112の外縁の平面形状としては、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形などが挙げられる。例えば、ノズルプレート112の外縁の形状が円形である場合、ノズルプレート112は円環状の部材となる。
【0034】
ノズルプレート112は、吐出口112x側の端部が支持されておらず、上下に振動可能である。ノズルプレート112は、吐出口112x側の端部が振動することにより、吐出口112x近傍の液Lに対して下方に力を加え、吐出口112xから液滴L1として吐出する。
【0035】
ノズルプレート112の材料としては、柔らかすぎるとノズルプレート112が簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さを有する材料を用いることが好ましい。
【0036】
また、吐出する液Lが細胞の分散液である場合、ノズルプレート112の材料は、細胞が付着し難い材料が好ましい。このような材料としては、親水性が高い材料が好ましい。
【0037】
このような材料としては、例えば、金属、セラミックス、高分子材料などが挙げられる。高分子材料としては、フッ素樹脂を用いることが可能である。
【0038】
ノズルプレート112の材料として、より具体的には、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。さらに、上記材料とは異なる材料で形成したノズルプレート112の表面を、前述の金属、セラミックス又は細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば日油株式会社製、Lipidure)でコーティングした複合材料を用いることができる。
【0039】
吐出口112xの開口形状としては、目的に応じて適宜選択することができる。吐出口112xの開口形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。なかでも、吐出口112xの開口形状としては、円形が好ましい。
【0040】
吐出口112xの平均開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。吐出する液Lが分散液である場合には、液L中に分散する細胞などの分散質が吐出口112xに詰まることを避けるため、吐出口112xの開口形状は、分散質の最大径の2倍以上とすることが好ましい。
【0041】
(加振手段)
加振手段113は、入力される電気信号に基づいてノズルプレート112を振動させ、吐出口112xから液滴L1を吐出させる。
【0042】
加振手段113は、ノズルプレート112の下面に設置されている。
【0043】
加振手段113の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
加振手段113の形状や配置は、発明の効果を阻害しないならば特に制限はなく、ノズルプレート112の形状に合わせて適宜設計することができる。例えば、ノズルプレート112の平面形状が円環状である場合には、吐出口112xの周囲に、同心状に加振手段113を設けることが好ましい。
【0045】
加振手段113としては、圧電素子が好適に用いられる。圧電素子としては、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造とすることができる。
この場合、制御部50Aから圧電素子の上下電極間に電圧を印加することによって膜の面横方向に圧縮応力が加わり、ノズルプレート112を膜の面上下方向に振動させることができる。
【0046】
圧電材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、又はこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)が好ましい。
【0047】
<第1移動部>
第1移動部102は、支持部材102aと、直動部102bとを有する。第1移動部102は、第2移動部103の+x側の端部と-x側の端部とに設けられた一対の部材である。
【0048】
支持部材102aは、+y方向から見た視野において矩形の部材であり、第2移動部103を支持する。
【0049】
直動部102bは、z軸方向に伸びた長尺の部材である。直動部102bは、支持部材102aをz軸方向に上下移動させる。直動部102bは、例えば、駆動源としてステッピングモータを備えた公知のリニアアクチュエータを採用することができる。
【0050】
第1移動部102は、支持部材102aをz軸方向に移動させることにより、第2移動部103が支持する吐出ユニット101Aをz軸方向に移動させる。
【0051】
<第2移動部>
第2移動部103は、支持部材103aと、直動部103bとを有する。
【0052】
支持部材103aは、+y方向から見た視野において矩形の部材であり、吐出ユニット101Aを支持する。
【0053】
直動部103bは、x軸方向に伸びた長尺の部材である。直動部103bは、支持部材103aをx軸方向に水平移動させる。直動部103bの両端は、それぞれ第1移動部102の支持部材102aに支持されている。
【0054】
直動部103bは、例えば、駆動源としてステッピングモータを備えた公知のリニアアクチュエータを採用することができる。
【0055】
第2移動部103は、支持部材103aをx軸方向に移動させることにより、支持部材103aが支持する吐出ユニット101Aをx軸方向に移動させる。
【0056】
《付着部》
付着部30は、吐出部10から吐出される液滴L1の吐出方向に配置され、液滴L1が付着する。付着部30は、液の吐出目的に応じた種々の材質及び形状を有する構造物を選択することができる。
【0057】
《載置部》
載置部40は、付着部30を載置する。載置部40は、xステージ41と、yステージ42と、基台43を有する。
【0058】
xステージ41は、付着部30を支持し固定する。また、xステージ41は、付着部30をx軸方向に水平移動させる。
【0059】
yステージ42は、xステージ41をy軸方向に水平移動させる。
基台43は、yステージ42を支持する。
【0060】
載置部40は、xyステージとして公知の構成を採用することができる。
【0061】
《制御部》
制御部50Aは、液滴形成装置1の各部を動作させる電気信号を作成し、各部に供給して制御する。制御部50Aは、例えば、吐出部10、載置部40に供給する駆動信号を作成し、各部に供給して各部の動作を制御する。
【0062】
より詳細には、制御部50Aは、吐出ヘッド11の加振手段113に対し、以下の3種の電気信号のうちいずれか1つを選択的に供給する。これにより、吐出ヘッド11は次のように動作する。
(i)ノズルプレート112を振動させ液滴L1を形成する吐出信号S1
(ii)液滴L1を形成しない範囲でノズルプレート112を振動させる撹拌信号S2
(iii)撹拌信号S2により生じる振動よりも弱くノズルプレート112を振動させる微振動信号S3
【0063】
まず、図2に示すように、制御部50Aから加振手段113に対し電気信号が供給されると、加振手段113が振動しノズルプレート112を振動させる。このとき、加振手段113に吐出信号S1が供給されると、ノズルプレート112の吐出口112x近傍には、振動V1が生じる。この振動V1により、液室110Aに貯留される液Lは液滴L1として吐出される。
【0064】
次いで、図3に示すように、制御部50Aから加振手段113に撹拌信号S2が供給されると、ノズルプレート112の吐出口112x近傍には、振動V1よりも小さい振幅の振動V2が生じる。振動V2により、液室110Aに貯留される液Lには対流Cが生じる。これにより、液Lが撹拌され、液Lにおいて粒子Pが均一に分散する。
【0065】
このような撹拌信号S2は、例えば、信号波形の駆動電圧を吐出信号S1よりも小さくすることにより作成できる。その他、液滴L1を形成しない範囲でノズルプレート112を振動させることができれば、撹拌信号S2は、電気信号の駆動電圧、信号波形の周波数及び電気信号の印加間隔からなる群から選ばれる少なくとも1つを制御して作成してもよい。
【0066】
さらに、図4に示すように、制御部50Aから加振手段113に微振動信号S3が供給されると、ノズルプレート112の吐出口112x近傍には、振動V2よりも小さい振幅の振動V3が生じる。振動V3により、吐出口112x近傍の液Lは振動し、粒子Pが巻き上げられる。これにより、粒子Pは液室110Aの底部(ノズルプレート112の上面)に堆積しにくくなる。
【0067】
すなわち、微振動信号S3は、ノズルプレート112を撹拌信号S2により生じる振動よりも弱く振動させる。また、微振動信号S3は、液室110Aに貯留される液Lの量が使用上の最小量である場合にも、液滴L1を形成しない範囲でノズルプレート112を振動させる。
【0068】
このような微振動信号S3は、例えば、信号波形の駆動電圧を撹拌信号S2よりも小さくすることにより作成できる。その他、振動V2よりも弱くノズルプレート112を振動させることができれば、微振動信号S3は、電気信号の駆動電圧、信号波形の周波数及び電気信号の印加間隔からなる群から選ばれる少なくとも1つを制御して作成してもよい。
【0069】
微振動信号S3による振動V3は、液Lを均一に撹拌する振動V2ほどの強さを必要とせず、吐出口112x近傍の液Lを振動させることができれば足りる。そのため、振動V3は、液室110Aに貯留される液Lの量が変化しても、目的とする振動を液Lに加え、吐出口112x近傍の粒子Pを巻き上げることができる。
【0070】
また、微振動信号S3による振動V3は、液室110Aに貯留される液Lが減少したとしても、誤って液滴L1を形成することがない。これにより、吐出不良を抑制し、沈降性の粒子Pを含む液滴を安定的に吐出させることができる。
【0071】
制御部50Aは、吐出ヘッド11から液滴L1を断続的に吐出させる際、次のように各電気信号を供給するとよい。
【0072】
まず、制御部50Aは、微振動信号S3を、液滴L1の吐出から次の液滴L1の吐出までの待機時間において継続的に供給するとよい。これにより、吐出ヘッド11では、待機時間においても粒子Pが液室110Aの底部に堆積しにくく、吐出不良が生じにくい。
【0073】
また、制御部50Aは、吐出不良が生じる前に、撹拌信号S2を加振手段113に供給し、液室110A内の液Lを撹拌するとよい。これにより、吐出ヘッド11では、液室110Aの底部に粒子Pが堆積していたとしても、液Lにおいて再度粒子Pを分散させ、好適に吐出することができる。
【0074】
例えば、制御部50Aは、予め設定された時間の経過に基づいて加振手段113に撹拌信号S2を供給し、液保持部に保持される液Lを撹拌することとしてもよい。撹拌信号S2を供給する時間は、用いる液Lの種類に応じて、粒子Pが堆積するまでの時間を求め、求めた時間に応じて設定するとよい。制御部50Aが上述のように求めた時間で撹拌信号S2を供給することにより、吐出ヘッド11は、粒子Pが堆積し吐出不良が生じるおそれが高くなる前に液Lを撹拌し、好適に吐出することができる。
【0075】
また、制御部50Aは、実際に吐出不良が生じたことを検出した場合に、撹拌信号S2を供給し液Lを撹拌することとしてもよい。このような検出を行うため、制御部50Aは、吐出される液滴L1の吐出状態を検出する検出手段58を有していてもよい。
【0076】
検出手段58は、吐出ヘッド11の吐出口112xの近傍に設けられ、吐出口112xから吐出される液滴L1を検出する。検出手段58としては、液滴L1を撮像する撮像装置や、飛翔する液滴L1を検出する光センサを採用することができる。撮像装置及び光センサは、公知の構成を採用することができる。
【0077】
図5は、制御部50Aを説明するブロック図である。図5に示すように、制御部50Aは、検出部511と、指示部512とを有する制御装置51を備える。さらに制御部50Aは、入力部(入力手段)55と、検出手段58とを有してもよい。
【0078】
制御装置51としては、公知の情報処理端末を用いることができる。
【0079】
入力部55は、制御装置51に吐出ヘッド11の駆動条件を入力するインターフェースである。入力部55としては、キーボード及びマウス等が挙げられる。
【0080】
制御部50Aにおいて、検出部511は、検出手段58による検出結果に基づいて、吐出不良の有無、詳しくは吐出ヘッド11に供給した吐出信号S1に対応する液滴L1の吐出の有無を検出する。
【0081】
指示部512は、検出部511において吐出不良と判定された場合には、撹拌信号S2を吐出ヘッド11(加振手段113)に供給する。これにより、制御部50Aは、実際に吐出不良が生じたことを検出した場合に、検出結果に基づいて加振手段113に撹拌信号S2を供給し、液保持部に保持される液Lを撹拌することができる。
【0082】
その他、指示部512は、入力部55から入力される指示に基づいて、撹拌信号S2を吐出ヘッド11に供給してもよい。
【0083】
さらに、制御部50A(制御装置51)は、記憶部513を備えていてもよい。記憶部513は、吐出する液Lの種類と駆動条件との対応関係、及び入力部55から入力される指示に対する詳細な駆動条件を記憶する。
【0084】
液Lの種類は、液Lに含まれる粒子P及び分散媒の種類によって分類される。液滴形成装置1においては、種々の液Lに対する適切な駆動条件を予め予備実験で求めておき、求められた駆動条件を記憶部513に記憶しておくとよい。
【0085】
記憶部513は、液Lの種類と駆動条件との対応関係を、関係式や参照テーブルの形で記憶しておいてもよい。また、「入力部55から入力される指示」について、予め複数条件をまとめたうえで、「モード1」「モード2」等の総称を用いてもよい。
【0086】
このような制御部50Aでは、入力部55を用いて液Lの種類を入力することにより、記憶部513から液Lの種類に応じた駆動条件を指示部512に呼び出し、適切な電気信号を吐出ヘッド11に供給することができる。
【0087】
なお、制御部50Aにおいては、入力部55を用い、駆動条件として、加振手段113に供給する電気信号の駆動電圧、信号波形の周波数、及び電気信号の印加間隔からなる群から選ばれる少なくとも1つを入力可能であると好ましい。これにより、例えば、記憶部513に記憶されていない種類の液Lを吐出する際、適切な駆動条件を自由に入力可能となる。
【0088】
これらの操作により、液室110Aで保持する液Lでは、粒子Pが好適に分散した状態となる。さらに液Lでは、粒子Pの沈降及び粒子Pの液室110Aの底部への堆積が抑制される。そのため、以上のような構成の液滴形成装置1によれば、分散液を安定して吐出することが可能となる。
【0089】
[第2実施形態]
図6,7は、本発明の第2実施形態に係る液滴形成装置2の説明図である。本実施形態の液滴形成装置2の構成は、第1実施形態の液滴形成装置1と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0090】
図6は、本実施形態の液滴形成装置2の概略図であり、図1に対応する図である。図7は、吐出ヘッド11の周辺構造を示す概略図であり、図2に対応する図である。
【0091】
図6,7に示すように、液滴形成装置2は、吐出部10と、載置部40と、制御部50Bとを有する。制御部50Bは、上述の制御部50Aが有する検出手段58の代わりに検出手段59を有する。
【0092】
検出手段59は、ターゲット部591と、撮像手段592とを有する。
【0093】
ターゲット部591は、吐出ヘッド11の吐出口112xに対向し、例えば載置部40に載置されることで吐出口112xとの相対位置を変更可能に構成されている。ターゲット部591は、吐出ヘッド11から液滴L1を試し打ちするために用いる。ターゲット部591には、吐出口112xから理想的な吐出状態で吐出された液滴L1が着滴する位置に、基準となる印(基準点)が付されているとよい。
【0094】
撮像手段592は、ターゲット部591に着滴した液滴L1を撮像する。撮像手段592は、下方を撮像可能な姿勢で支持部材103aに設けられている。図6では、撮像手段592は、複数の吐出ヘッド11に対して1つ設けることとしたが、例えば複数の吐出ヘッド11毎に撮像手段を設けることとしてもよい。その場合、撮像手段592は、吐出ヘッド11の吐出口112xの近傍に設けられているとよい。
【0095】
撮像手段592としては、CCDカメラやCMOSカメラなどの公知の撮像装置を用いることができる。
【0096】
図7に示すように、液滴形成装置2においては、吐出ヘッド11の吐出状態を確認する際、まず吐出ヘッド11に対向させたターゲット部591に液滴L1を吐出する。次いで、ターゲット部591を撮像手段592に対向する位置に移動させ、ターゲット部591における液滴L1の着滴位置を撮像する。
【0097】
制御部50Bにおいて、検出部511は、ターゲット部591に着滴した液滴L1の位置P1と、吐出口112xとターゲット部591との相対位置に基づいて想定される液滴L1の想定着滴位置P2とに基づいて、位置P1と想定着滴位置P2とのずれ量Wを検出し、吐出状態を検出する。吐出口112xから理想的な吐出状態で吐出された液滴L1が吐出された場合、想定着滴位置P2はターゲット部591が有する基準点と一致し、位置P1は基準点と重なると考えられる。
【0098】
検出部511では、実際に着滴した位置P1と想定着滴位置P2とが一致する、またはずれ量Wが予め定めた基準範囲内に収まれば、吐出不良は無いと判断する。一方で、検出されたずれ量Wが基準範囲から外れていれば、吐出不良が生じていると判断する。
【0099】
記憶部513は、ずれ量Wの基準範囲について記憶しておくとよい。なお、ずれ量Wの基準範囲は、用いる装置の吐出ヘッドの構成、液Lの種類等により異なる。そのため、ずれ量Wの基準範囲については、予備実験を行い適宜設定するとよい。
【0100】
指示部512は、検出部511において吐出不良と判定された場合には、撹拌信号S2を吐出ヘッド11(加振手段113)に供給する。これにより、制御部50Bは、実際に吐出不良が生じたことを検出した場合に、検出結果に基づいて加振手段113に撹拌信号S2を供給し、液保持部に保持される液Lを撹拌することができる。
【0101】
以上のような構成の液滴形成装置2であっても、分散液を安定して吐出することが可能となる。
【0102】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の液滴形成装置3の説明図であり、液滴形成装置3が有する吐出ヘッドの説明図である。
【0103】
吐出ヘッド115は、液保持部111と、ノズルプレート112と、加振手段113と、撹拌手段130とを有する。
【0104】
<撹拌手段>
撹拌手段130は、液室110Aへの液Lの供給と、液室110Aからの液Lの除去とを行う。撹拌手段130は、第1貯留部131、第1流路132、第1ポンプ133、第2貯留部136、第2流路137及び第2ポンプ138を有する。
【0105】
第1貯留部131及び第2貯留部136は、それぞれ液Lを貯留する。
【0106】
第1流路132は、一端が第1貯留部131に接続され、他端が液保持部111に設けられた貫通孔111aに接続されている。これにより、第1流路132は、第1貯留部131と液室110Aとを接続する。貫通孔111aは、液室110A内の液Lの液面LSより下方に位置する。
【0107】
第2流路137は、一端が第2貯留部136に接続され、他端が液保持部111に設けられた貫通孔111bに接続されている。これにより、第2流路137は、第2貯留部136と液室110Aとを接続する。貫通孔111bは、液室110A内の液Lの液面LSより下方に位置する。
【0108】
第1流路132及び第2流路137は、軟質の樹脂材料を形成材料とする管である。軟質の樹脂材料としては、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0109】
第1ポンプ133は、第1流路132の経路内に設けられている。第1ポンプ133は、第1流路132を介して、第1貯留部131から液室110Aに液Lを供給し、又は液室110Aから液Lを除去する。
【0110】
第2ポンプ138は、第2流路137の経路内に設けられている。第2ポンプ138は、第2流路137を介して、第2貯留部136から液室110Aに液Lを供給し、又は液室110Aから液Lを除去する。
【0111】
第1ポンプ133及び第2ポンプ138は、定量液量を吸引、保持、排出可能なポンプである。第1ポンプ133及び第2ポンプ138として、例えば、シリンジポンプやダイヤフラムポンプを用いることができる。
【0112】
《制御部》
制御部50Aは、液滴形成装置3の各部を動作させる電気信号を作成し、各部に供給して制御する。制御部50Aは、上述した各信号の他、撹拌手段130の動作を制御する制御信号を作成して供給する。
【0113】
本実施形態において、制御部50Aは、吐出ヘッド11の加振手段113に対し、以下の2種の電気信号のいずれか1つを選択的に供給する。
(i)ノズルプレート112を振動させ液滴L1を形成する吐出信号S1
(ii)液滴L1を形成しない範囲でノズルプレート112を振動させる微振動信号S3
【0114】
加振手段113に微振動信号S3が供給されると、ノズルプレート112の吐出口112x近傍には、液滴L1を形成しない振幅の振動V3が生じる。振動V3により、吐出口112x近傍の液Lは振動し、粒子Pが巻き上げられる。これにより、粒子Pは液室110Aの底部(ノズルプレート112の上面)に堆積しにくくなる。
【0115】
制御部50Aにおいて、検出部511(図5参照)は、検出手段58による検出結果に基づいて、吐出不良の有無、詳しくは吐出ヘッド11に供給した吐出信号S1に対応する液滴L1の吐出の有無を検出する。
【0116】
指示部512(図5参照)は、検出部511において吐出不良と判定された場合には、撹拌手段130の動作を制御する制御信号を撹拌手段130に供給する。これにより、制御部50Aは、実際に吐出不良が生じたことを検出した場合に、検出結果に基づいて撹拌手段130を動作させ、液保持部に保持される液Lを撹拌することができる。
【0117】
以上のような構成の液滴形成装置3であっても、分散液を安定して吐出することが可能となる。
【0118】
なお、本実施形態においては、検出手段58を備えた制御部50Aを用いることとしたが、第2実施形態に示す制御部50Bを用いてもよい。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0120】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
【0121】
[1]沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、電気信号を供給し前記吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、前記吐出ヘッドは、前記液体を保持する液保持部と、前記液滴を吐出する吐出口を有し、前記液保持部と共に前記液体を保持する液室を形成する膜状部材と、前記電気信号に基づいて前記膜状部材を振動させる加振手段と、を有し、前記電気信号は、前記膜状部材を振動させ前記液滴を形成する吐出信号と、信号波形の駆動電圧が前記吐出信号よりも小さく、前記液滴を形成しない範囲で前記膜状部材を振動させる撹拌信号と、前記駆動電圧が前記撹拌信号よりも小さい微振動信号と、を含み、前記制御部は、前記加振手段に、前記吐出信号、前記撹拌信号及び前記微振動信号のいずれか1つを選択的に供給する液滴形成装置。
【0122】
[2]沈降性粒子を含む液体の液滴を吐出する吐出ヘッドと、電気信号を供給し前記吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を備え、前記吐出ヘッドは、前記液体を保持する液保持部と、前記液滴を吐出する吐出口を有し、前記液保持部と共に前記液体を保持する液室を形成する膜状部材と、前記電気信号に基づいて前記膜状部材を振動させる加振手段と、前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する撹拌手段と、を有し、前記電気信号は、前記膜状部材を振動させ前記液滴を形成する吐出信号と、信号波形の駆動電圧が前記吐出信号よりも小さく、前記液滴を形成しない範囲で前記膜状部材を振動させる微振動信号と、前記撹拌手段の動作を制御する制御信号と、を含み、前記制御部は、前記加振手段に、前記吐出信号及び前記微振動信号のいずれか1つを選択的に供給するとともに、前記撹拌手段に前記制御信号を付与する液滴形成装置。
【0123】
[3]前記制御部は、吐出される前記液滴の吐出状態を検出する検出手段を有し、前記吐出状態に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する[1]又は[2]に記載の液滴形成装置。
【0124】
[4]前記制御部は、前記吐出状態として、前記吐出信号に対応する前記液滴の吐出が無いことを検出し、検出結果に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する[3]に記載の液滴形成装置。
【0125】
[5]前記検出手段は、前記吐出口に対向し、前記吐出口との相対位置を変更可能とするターゲット部と、前記ターゲット部に着滴した前記液滴を撮像する撮像手段と、を有し、前記制御部は、前記ターゲット部に着滴した前記液滴の位置と、前記吐出口と前記ターゲット部との相対位置に基づいて想定される前記液滴の想定着滴位置と、に基づいて、前記吐出状態を検出し、検出結果に基づいて前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する[3]又は[4]に記載の液滴形成装置。
【0126】
[6]前記制御部は、予め設定された時間の経過に基づいて、前記液保持部に保持される前記液体を撹拌する[1]から[5]のいずれか1項に記載の液滴形成装置。
【0127】
[7]前記制御部は、前記吐出ヘッドの駆動条件を入力する入力手段を有する[1]から[6]のいずれか1項に記載の液滴形成装置。
【0128】
[8]前記駆動条件として、前記電気信号の駆動電圧、前記信号波形の周波数、及び前記電気信号の印加間隔からなる群から選ばれる少なくとも1つを入力可能である[7]に記載の液滴形成装置。
【0129】
[9]前記制御部は、前記液体の種類と前記駆動条件との対応関係を複数記憶する記憶部を有し、前記入力手段は、前記液滴の種類を入力する[7]又は[8]に記載の液滴形成装置。
【符号の説明】
【0130】
1,2,3…液滴形成装置、110,110a,115…吐出ヘッド、50A,50B…制御部、55…入力部(入力手段)、58,59…検出手段、110A…液室、111…液保持部、112…ノズルプレート(膜状部材)、112x…吐出口、113…加振手段、130…撹拌手段、513…記憶部、591…ターゲット部、592…撮像手段、L…液、L1…液滴、P…粒子、P1…位置、P2…想定着滴位置、S1…吐出信号、S2…撹拌信号、S3…微振動信号、V1,V2,V3…振動
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特許第6627394号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8