(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062691
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】肛門用発熱体及びいぼ痔治療用発熱体
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20240501BHJP
A61F 7/03 20060101ALI20240501BHJP
A61F 7/08 20060101ALI20240501BHJP
A61F 13/14 20060101ALI20240501BHJP
A61F 13/00 20240101ALI20240501BHJP
【FI】
A61F7/00 320Z
A61F7/08 330
A61F7/08 361D
A61F7/08 361K
A61F13/14 G
A61F13/00 355J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170707
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野原 葵
(72)【発明者】
【氏名】中林 孝太
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲也
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA17
4C099GA07
4C099JA04
4C099JA11
4C099LA07
4C099NA05
(57)【要約】
【課題】肛門にフィットさせることができ、肛門を効果的に温めることができること。
【解決手段】肛門用発熱体10は、表側シート部31と裏側シート部32とで袋状に形成された袋体3と、袋体3に封入された発熱材料4と、を備える。裏側シート部32には、表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線K1の両側に、互いに接着される第1粘着部51が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側シート部と裏側シート部とで袋状に形成された袋体と、
前記袋体に封入された発熱材料と、
を備え、
前記裏側シート部には、前記表側シート部が凸でかつ前記裏側シート部が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線の両側に、互いに接着される第1粘着部が設けられている、
肛門用発熱体。
【請求項2】
前記裏側シート部には、前記折曲仮想線に直交する方向において、前記第1粘着部よりも外側に、下着に対して粘着可能な第2粘着部が設けられている、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項3】
前記裏側シート部において、前記折曲仮想線に沿う一定の幅の領域は非粘着領域である、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項4】
前記第1粘着部は、前記裏側シート部の前記折曲仮想線に沿う方向において、中央から偏った位置に設けられている、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項5】
前記第1粘着部は、前記裏側シート部の前記折曲仮想線に沿う方向において、前記裏側シート部の縁から離れた位置に設けられている、
請求項4に記載の肛門用発熱体。
【請求項6】
前記第1粘着部は、前記折曲仮想線に直交する方向において、外側に行くほど窄まるように形成されている、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項7】
前記裏側シート部には、粘着層と、前記粘着層に重なった剥離シートと、が設けられ、
前記剥離シートは、
前記折曲仮想線に沿う第1剥離部と、
前記第1剥離部の両側に隣接する一対の非剥離部と、
を有し、
前記各非剥離部は、前記折曲仮想線に直交する方向において、外側に行くほど窄まるように形成された切欠部を有し、
前記第1剥離部は、前記切欠部を覆う突出部を有し、
前記第1剥離部を剥がすことで前記粘着層の一部が露出し、前記第1粘着部が形成されるように構成されている、
請求項6に記載の肛門用発熱体。
【請求項8】
前記折曲仮想線に直交する方向の一方側の前記第1粘着部の最も外側の部分と、他方側の前記第1粘着部の最も外側の部分との間の距離が、40mm以上60mm以下である、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項9】
前記表側シート部は複数の通気孔を有し、
前記複数の通気孔は、前記折曲仮想線から離れた位置に形成されている、
請求項1に記載の肛門用発熱体。
【請求項10】
いぼ痔を治療することに用いられるいぼ痔治療用発熱体であって、
表側シート部と裏側シート部との外周部同士を全周にわたって接合することで袋状に形成された袋体と、
前記袋体に封入された発熱材料と、
を備え、
前記裏側シート部には、前記表側シート部が凸でかつ前記裏側シート部が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線の両側に、互いに粘着される第1粘着部が設けられている、
いぼ痔治療用発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肛門用発熱体及びいぼ痔治療用発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、いぼ痔等の肛門の疾患に対して、熱を加えることで痛みを緩和することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、生理用ナプキンに対して使い捨てカイロが取り付けられ、この生理用ナプキンを下着に取り付けることで、肛門に熱を加えようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の使い捨てカイロは、扁平な形状をしているため、発熱面が肛門から離れてしまい、肛門を十分に温めることができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、肛門にフィットさせることが可能な肛門用発熱体及びいぼ痔治療用発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の肛門用発熱体は、表側シート部と裏側シート部とで袋状に形成された袋体と、前記袋体に封入された発熱材料と、を備える。前記裏側シート部には、前記表側シート部が凸でかつ前記裏側シート部が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線の両側に、互いに接着される第1粘着部が設けられている。
【0007】
本発明に係る一態様のいぼ痔治療用発熱体は、いぼ痔を治療することに用いられるいぼ痔治療用発熱体である。いぼ痔治療用発熱体は、表側シート部と裏側シート部との外周部同士を全周にわたって接合することで袋状に形成された袋体と、前記袋体に封入された発熱材料と、を備える。前記裏側シート部には、前記表側シート部が凸でかつ前記裏側シート部が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線の両側に、互いに粘着される第1粘着部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る上記態様の肛門用発熱体及びいぼ痔治療用発熱体は、肛門にフィットさせることができるという利点があり、この結果、肛門を効果的に温めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る肛門用発熱体を折曲仮想線で折り曲げた状態の斜視図である。
【
図2】実施形態に係る肛門用発熱体の底面図(下面図)である。
【
図4】
図2の肛門用発熱体において、剥離シートを剥離する過程を示した底面図である。
【
図5】実施形態に係る肛門用発熱体の平面図(上面図)である。
【
図6】
図2の肛門用発熱体において、剥離シートを剥離した状態の底面図である。
【
図7】肛門用発熱体を折曲仮想線で折り曲げた状態において、折り曲げた部分のクッション性を説明するための斜視図である。
【
図8】(A)~(E)は、変形例に係る肛門用発熱体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本実施形態に係る肛門用発熱体10及びいぼ痔治療用発熱体100について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
肛門用発熱体10は、
図1に示すように、肛門にフィット可能な形状に変形させたうえで、維持させることができる発熱体である。ここで、肛門は、臀部の割れ目(臀裂)の奥に位置している。痔は、肛門又は肛門周辺に生じるため、平坦な発熱体では、発熱体と患部とが離れて効果的に温めることができない。これに対し、本実施形態に係る肛門用発熱体10では、
図1に示すように、折り曲げた状態に保つことができるため、折り曲げた部分を臀裂に添わせることで、肛門用発熱体10の発熱面の一部を肛門にフィットさせることができる。この結果、肛門を効果的に温めることができる。
【0012】
痔には、いぼ痔(外痔核又は内痔核)、きれ痔(裂肛)、痔ろう等があるが、熱を加えることで痛み等の症状を緩和できるのは、いぼ痔及びきれ痔である。本実施形態に係る肛門用発熱体10は、主に、いぼ痔及びきれ痔が発生した肛門を温める際に用いられる。以下では、説明の便宜上、いぼ痔用の発熱体(いぼ痔治療用発熱体100)を一例として挙げて説明する。
【0013】
肛門用発熱体10は、
図2,3に示すように、発熱体本体2と、発熱体本体2の一面に形成された粘着層5と、粘着層5に貼り付けられた剥離シート6と、を備える。肛門用発熱体10を使用する際、
図4に示すように、着用時に曲げるときの仮想線(折曲仮想線K1)に沿う剥離シート6を剥がし、折曲仮想線K1の両側の粘着層5を露出させる(この部分を「第1粘着部51」とする)。そして、発熱体本体2のおもて面が凸で、うら面が凹となるように、折曲仮想線K1に沿って折り曲げ、第1粘着部51同士を互いに接着することで、
図1に示すような形状に保つことができる。折曲仮想線K1で折り曲げることで隆起した部分を「隆起部R1」という場合がある。
【0014】
本明細書でいう「折曲仮想線K1」とは、使用前には曲げられていないが、使用時に折り曲げるように設計された仮想の折り線を意味する。本実施形態では、折曲仮想線K1は、肛門用発熱体10において表示されていないが、例えば、直線、破断線、一点鎖線等と共に、「ここを折る」「曲げる」「谷折り」「山折り」等の表記を併記し、折り曲げる位置を示してもよい。
【0015】
以下の説明では、説明の便宜上、
図2に示すように、肛門用発熱体10の底面視(又は平面視)において、折曲仮想線K1に沿う方向を「前後方向」とし、折曲仮想線K1に直交する方向を「左右方向」として定義する。また、前後方向及び左右方向に直交する方向を「厚さ方向」として定義する。また、肛門用発熱体10において、肛門に対向する面を「おもて面」とし、その反対側の面を「うら面」とする。
【0016】
(発熱体本体2)
発熱体本体2は、それ自体で発熱体としての機能を発揮する。発熱体本体2は、
図3に示すように、扁平な形状をしている。発熱体本体2は、少なくともおもて面が発熱面であればよいが、おもて面だけでなくうら面も発熱面であってよい。
【0017】
発熱体本体2は、変形する前の状態では、
図2に示すように、前後方向に延びた一対の辺21と、左右方向に延びた一対の辺22と、ラウンド状の4つの角部23とで構成された矩形状に形成されている。ただし、発熱体本体2の形状としては、矩形状に限らず、例えば、三角形状、五角形以上の多角形状、略長円形状(楕円形状を含む)、略D形状等であってもよい。発熱体本体2は、
図3に示すように、袋体3と、発熱材料4と、を備える。
【0018】
(発熱材料4)
発熱材料4は、発熱し得る材料である。本実施形態に係る発熱材料4は、空気と接触することで、酸化反応を起こし、発熱する。発熱材料4は、粉状の材料であり、袋体3に封入されている。
【0019】
発熱材料4は、例えば、被酸化性金属、活性炭、カーボンブラック、保水剤、金属塩(例えば、食塩)及び水を含む。被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末又は繊維が挙げられ、この中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の観点から、鉄粉が用いられることが好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。保水剤としては、例えば、木粉、バーミキュライト、けい藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂等が挙げられる。発熱材料4としては、従来の使い捨てカイロに用いられている組成物をそのまま用いてもよく、本発明では特に制限はない。
【0020】
発熱材料4としては、空気との接触により発熱する材料以外を用いてもよい。例えば、電子レンジ等でマイクロ波の照射を受けることで発熱する材料(例えば、フェライト等のセラミック粉末、小豆等)や、凝固熱を利用して発熱する薬液を用いてもよい。
【0021】
(袋体3)
袋体3は、袋状に形成されており、内部に、発熱材料4を収める収納空間が形成されている。袋体3は、おもて面を含む表側シート部31と、うら面を含む裏側シート部32と、を備える。袋体3は、表側シート部31と裏側シート部32とを重ね、外周部を接合部33で接合することで形成されている。
【0022】
袋体3としては、柔軟性、強度及び発熱材料4からの発熱に対する耐久性の観点から、樹脂フィルムが用いられることが好ましい。樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。袋体3が柔軟性を有することで、肛門用発熱体10は、折り曲げることができる上に、着用時に、肛門の表面に追従して柔軟に変形することができる。
【0023】
袋体3において収納空間に面する層には、多孔質フィルムを用いないことが好ましい。収納空間内の発熱材料4は、肛門に対するクッション性を高めるために、流動性があることが好ましいが、多孔質フィルムを用いると、発熱材料4が収納空間内で流動性が阻害される可能性が高くなるからである。
【0024】
また、肌触りを良好にする観点から、表側シート部31は、樹脂フィルムの外側に織布又は不織布が設けられることが好ましい。織布又は不織布の繊維素材としては、例えば、コットン、麻、絹、紙等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート等の合成繊維、これら繊維の混合繊維等が挙げられる。繊維素材としては、この中でも、肌触りを良好とする観点から、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等が好ましい。これらの繊維素材は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。織布又は不織布の目付は、発熱材料4の袋体3の外側への漏出を防止できる程度であれば特に制限されないが、一例として、20g/m2以上70g/m2以下が例示される。
【0025】
ただし、本発明では、袋体3は、樹脂フィルムと、織布又は不織布との積層体でなくてもよく、単独の樹脂フィルムで構成されてもよいし、単独の織布又は不織布で構成されてもよい。
【0026】
また、袋体3は通気性を有する。樹脂フィルムが、多孔質フィルム、又は複数の通気孔311が形成された樹脂フィルムであることで、袋体3は、複数の通気孔311を有し、複数の通気孔311を通して通気することができる。複数の通気孔311は、表側シート部31に設けられることが好ましい。裏側シート部32は、着用時に互いに向き合うように折り曲げられるため、裏側シート部32に通気孔311が設けられても、通気性が損なわれる可能性がある。
【0027】
本実施形態に係る肛門用発熱体10では、上述したように、発熱材料4の流動性を確保する観点から多孔質フィルムを用いないことが好ましいため、表側シート部31に、複数の通気孔311が、部分的に形成されることが好ましい。その際において、
図5に示すように、複数の通気孔311は、折曲仮想線K1から離れた位置に形成されることが好ましい。通気孔311が形成された部分は、良好な通気性により局所的に高温になりやすいため、肛門及び肛門周辺に対して、接触又は近接対向する部分である折曲仮想線K1近傍には、通気孔311がないことが好ましい。折曲仮想線K1と通気孔311との間の最小距離L1は、例えば、7mm以上が好ましく、より好ましくは、10mm以上であり、更に好ましくは、10.5mm以上である。折曲仮想線K1と通気孔311との間の最小距離L1が、7mm以上であれば、着用時に肛門近傍が高温になるのを抑制することができる。
【0028】
複数の通気孔311による透気度としては、12.7秒以上16.7秒以下であることが好ましく、より好ましくは、13秒以上16秒以下であり、更に好ましくは、14秒以上15秒以下である。複数の通気孔311による透気度が、12.7秒以上16.7秒以下であると、肛門近傍での低温やけどを防ぎつつ、適度な発熱温度を得ることができる。ここでいう「透気度」は、ガーレー試験機法 JIS P 8117:2009に準拠して測定される。
【0029】
複数の通気孔311は、
図5に示すように、前後方向に直線上に並び、かつ左右方向に複数列(ここでは2列)並ぶように形成される(これを通気孔列312という)。通気孔列312は、折曲仮想線K1を中心にして対称に配置される。隣り合う通気孔列312の間の最小距離L2は、例えば、14mm以上が好ましく、より好ましくは、20mm以上であり、更に好ましくは、21mm以上である。また、各通気孔列312における隣り合う通気孔311の間の最小距離L3は、2mm以上であることが好ましく、より好ましくは3mm以上である。また、各通気孔311は、例えば、2mm以上3mm以下の長さのスリットであることが好ましい。
【0030】
本実施形態では通気孔列312は、2列に並んだ複数の通気孔311で構成されているが、3列に並んだ複数の通気孔311で構成されてもよいし、4列以上に並んだ複数の通気孔311で構成されてもよいし、1列に並んだ複数の通気孔311で構成されてもよい。また、各通気孔311は、スリットでなくてもよく、点状の貫通孔であってもよい。
【0031】
表側シート部31と裏側シート422とを接合する接合部33は、例えば、溶着(ヒートシール)によって実現されている。ただし、本発明では、接合部33は、溶着でなくてもよく、例えば、接着、縫合、圧着等で実現されてもよいし、これらの組み合わせで実現されてもよい。
【0032】
(粘着層5)
粘着層5は、発熱体本体2に積層された粘着剤による層である。粘着層5は、
図4に示すように、一対の第1粘着部51と、一対の第2粘着部52と、を備える。一対の第1粘着部51と一対の第2粘着部52との間(言い換えると、一対の第1粘着部51及び一対の第2粘着部52以外の部分)には、非粘着領域が存在している。本実施形態に係る粘着層5では、第1粘着部51と第2粘着部52とが同じ粘着剤で形成されているが、異なる粘着剤で形成されてもよい。
【0033】
粘着剤としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系粘着剤、ビニル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、スチレンゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、テルペン樹脂又は水溶性ロジン等の粘着剤が挙げられ、強過ぎずかつ弱過ぎない適切な強度の粘着力を確保する観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
【0034】
(第1粘着部51)
第1粘着部51は、折曲仮想線K1の両側に設けられる粘着層5の一部分であり、折曲仮想線K1に沿って折り曲げると、互いに接着される。これによって、肛門用発熱体10は、表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折曲仮想線K1で折り曲げられた状態に保たれる。本実施形態に係る第1粘着部51は、折曲仮想線K1が対称軸となるように、線対称に2箇所設けられている。2つの第1粘着部51は、本実施形態では、互いに離れているが、後述の変形例で説明するように、折曲仮想線K1に対する一方側の領域と他方側の領域とがつながって、1つの領域で形成されてもよい。すなわち、本明細書において、「折曲仮想線K1の両側」とは、折曲仮想線K1に隣接した領域であってもよいし、折曲仮想線K1から離れた領域であってもよい。
【0035】
第1粘着部51は、前後方向において、裏側シート部32の中央から偏った位置に設けられていることが好ましい。ここでいう「中央から偏った位置」とは、第1粘着部51の重心G1が、裏側シート部32の前後方向の中央C1と重ならないことを意味する。すなわち、第1粘着部51の重心G1以外の部分が裏側シート部32の前後方向の中央C1と重なった場合でも、「中央から偏った位置」の範疇である。
【0036】
第1粘着部51の重心G1は、裏側シート部32の前後方向の中央C1よりも後側に位置していることが好ましい。ここで、「後側」は、ユーザが着用した際の前後方向の背中側を意味し、「前側」は腹側を意味する。肛門用発熱体10を折曲仮想線K1で折り曲げた状態では、隆起部R1は、第1粘着部51に対応する部分が最も高い位置となり、前側にいくに従って徐々に低くなる。これにより、ユーザが椅子等の座面に座った際に、隆起部R1が臀裂の深さにフィットしやすく、肛門に適切な圧力で接触しやすくなる。
【0037】
図6に示すように、第1粘着部51の重心G1と、裏側シート部32の前後方向の中央C1との間の距離d1は、肛門用発熱体10の前後方向の最大長さd2の10%以上であることが好ましく、より好ましくは、12%以上であり、より好ましくは、20%以上である。なお、
図6において符号C1は、肛門用発熱体10の前後方向の中央を通るセンターラインを示している。
【0038】
また、第1粘着部51は、裏側シート部32の前後方向において、裏側シート部32の縁から離れた位置に設けられることが好ましい。裏側シート部32の縁と第1粘着部51との間に非粘着領域があると、
図7に示すように、隆起部R1において対向する縁同士が拘束されないため、隆起部R1にクッション性をもたすことができる。
【0039】
前後方向における第1粘着部51と裏側シート部32の縁との間の最小距離d3は、10mm以上が好ましく、より好ましくは12mm以上であり、更に好ましくは、15mm以上である。一方、前後方向における第1粘着部51と裏側シート部32の縁との間の最小距離d3の上限値は、特に制限はないが、50mm以下が例示される。なお、ここでいう「前後方向における第1粘着部51と裏側シート部32の縁との間の距離d3」は、第1粘着部51と裏側シート部32の前側の縁との間の距離と、第1粘着部51と裏側シート部32の後側の縁との間の距離とのうちの短いほうの距離を意味する。
【0040】
第1粘着部51の前後方向の長さd4は、裏側シート部32の前後方向の長さの20%以上であることが好ましく、より好ましくは23%以上であり、更に好ましくは、25%以上である。ただし、第1粘着部51は、裏側シート部32の前後方向の全長にわたって形成されてもよい。
【0041】
第1粘着部51の形状としては、特に制限はないが、例えば、矩形状、三角形状、五角形状、円形状、半円形状、楕円形状等が挙げられる。このなかでも、第1粘着部51は、左右方向において、外側に行くほど窄まるように形成されることが好ましい。第1粘着部51において窄まるように形成された部分をなす各辺は、本実施形態では、いずれも直線で構成されているが、例えば、曲線で構成されてもよいし、曲線と直線とで構成されてもよい。また、2つの辺のうちの1つが曲線で、他方が直線であってもよい。これにより、
図4に示すように、剥離シート6(第1剥離部61)を剥がす際に、剥離シート6における第1粘着部51に対応する部分が破れることを抑制でき、剥離シート6を発熱体本体2からスムーズに剥がすことができる。
【0042】
また、
図6に示すように、左右方向の一方側の第1粘着部51における最も外側の部分と、他方側の第1粘着部51における最も外側の部分との間の距離d5は、30mm以上60mm以下であることが好ましく、より好ましくは、40mm以上58mm以下であり、更に好ましくは、45mm以上55mm以下である。距離d5が30mm以上60mm以下に設定されることで、
図1に示すように、隆起部R1の最大高さH1を、座面に座った際に、適切な圧力で肛門に接触可能な高さに設定することが可能である。高さH1は、15mm以上30mm以下が好ましく、より好ましくは、20mm以上27mm以下であり、最も好ましくは、25mmである。
【0043】
(第2粘着部52)
第2粘着部52は、下着の内面に対して粘着可能な粘着層5の一部分である。第2粘着部52は、第1粘着部51よりも左右方向において外側に位置している。第2粘着部52は、左右方向に離れて2箇所に設けられており、それぞれ、裏側シート部32の左右方向の縁に沿って設けられている。
【0044】
第2粘着部52は、袋体3において、収納空間よりも外側に位置した部分に設けられている。すなわち、第2粘着部52は、袋体3の接合部33のうら面に設けられている。ここで、袋体3は、接合部33では、裏側シート部32と表側シート部31とがヒートシールにより一体に形成されており、他の部分よりも剛性が高い。このため、第2粘着部52が設けられた接合部33は、収納空間を有する部分に対して、
図1で示すように境界B1で屈曲しやすい。
【0045】
したがって、
図1に示すように、肛門用発熱体10が折曲仮想線K1に沿って折り曲げられた状態でも、袋体3の第2粘着部52に対応する部分は、境界B1で屈曲しやすい。これにより、第2粘着部52を有する接合部33に追従して隆起部R1が動くことが抑制されるため、下着に対して第2粘着部52が接着された場合、下着が動いても、患部への刺激が抑制される。
【0046】
また、第2粘着部52は、袋体3において、収納空間よりも外側に位置した部分に設けられており、第2粘着部52と収納空間に収納された発熱材料4とが平面視において重ならない。このようにすることで、例えば、肛門用発熱体10を下着に装着した状態で、座面に座った場合に、臀部と下着の間に発熱材料4が位置することが抑制され、違和感のない装着感が得られる。
【0047】
(非粘着領域)
非粘着領域は、裏側シート部32において、粘着力を有さない部分である。非粘着領域によって、第1粘着部51及び第2粘着部52が形作られる。本実施形態では、非粘着領域は、
図4に示すように、粘着層5が設けられないことで粘着力を有さない第1非粘着部53と、粘着層5は存在するが剥離シート6を重ねたままにする第2非粘着部54と、を備える。
【0048】
(第1非粘着部53)
第1非粘着部53は、裏側シート部32において、一定の幅で折曲仮想線K1に沿う領域である。第1非粘着部53の幅方向の中央には、折曲仮想線K1が位置する。第1非粘着部53の幅は、10mm以上30mm以下が好ましく、より好ましくは、15mm以上25mm以下であり、更に好ましくは、18mm以上22mm以下であり、最も好ましくは20mmである。第1非粘着部53が折曲仮想線K1に沿って、裏側シート部32の前後方向の全長にわたって存在することにより、隆起部R1にクッション性をもたすことができ、肛門に対して隆起部R1を適切な圧力で接触させることができる。
【0049】
(第2非粘着部54)
第2非粘着部54は、第1非粘着部53の左右方向の両側に隣接している。第2非粘着部54は、第1粘着部51における外側に行くほど窄まる部分をなす縁に隣接する領域である。第2非粘着部54は、上述したように、粘着層5に対して剥離シート6を重ねたまま維持することで、粘着力を有さない。
【0050】
すなわち、粘着層5としては、裏側シート部32の第1非粘着部53の左右方向の両側に隣接する位置において、前後方向の全長にわたって設けられている。これに対し、剥離シート6(後述の非剥離部62)が粘着層5を覆うことで、第2非粘着部54を形成する。第2非粘着部54が存在することによって、隆起部R1を、臀裂において肛門よりも前側の深さにもフィットさせることができる。
【0051】
このように、剥離シート6(非剥離部62)で粘着層5を覆うことで非粘着領域を形成し、第1粘着部51を形成したため、第1粘着部51の形状に合わせて粘着層5を設けるよりも、製造が容易である。
【0052】
(剥離シート6)
剥離シート6は、粘着層5に重なることで粘着層5の粘着力を発揮させないように構成されたシートである。剥離シート6を剥がすことで、粘着層5を露出させて、粘着部51,52による粘着力を発揮させることができる。剥離シート6は、
図4に示すように、使用時に剥がす第1剥離部61及び第2剥離部63と、使用時にも剥がさない非剥離部62と、を備える。剥離シート6としては、例えば、紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0053】
第1剥離部61は、第1非粘着部53及び第1粘着部51に重なる部分である。第1剥離部61は、隣接する非剥離部62に対して、部分的に接続されることで、裏側シート部32に対して保持される。第1剥離部61と非剥離部62との間にはスリットが介在しており、第1剥離部61は、非剥離部62に対して、分離可能に形成されている。
【0054】
非剥離部62は、第2非粘着部54を形成する剥離シート6である。一対の非剥離部62は、第1剥離部61の左右方向の両側に隣接する。非剥離部62は、第1粘着部51の形状を形成する略V字状の切欠部621を有する。非剥離部62は、着用時にも剥離しないまま、裏側シート部32に積層される。このため、ユーザに対して、使用時に剥離しないことを認識させるために、例えば、非剥離部62に「はがさない」等の表記を表示することが好ましい。
【0055】
第1剥離部61は、非剥離部62の切欠部621を覆う一対の突出部611を有する。第1剥離部61を剥がすことで、突出部611が覆っていた切欠部621内の粘着層5が露出し、第1粘着部51が現われる。
【0056】
第2剥離部63は、第2粘着部52に重なる部分である。第2剥離部63は、粘着層5によって、裏側シート部32に保持されているため、隣接する非剥離部62に対して、部分的に接続されなくてもよいし、部分的に接続されてもよい。非剥離部62と第2剥離部63との間にはスリットが介在しており、第2剥離部63は、非剥離部62に対して、分離可能に形成されている。
【0057】
(使用方法)
本実施形態に係る肛門用発熱体10は、例えば次のようにして使用される。
【0058】
ユーザは、
図4に示すように、第1剥離部61を発熱体本体2から剥離し、第1粘着部51を露出させる。この状態で、ユーザは、表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折曲仮想線K1で折り曲げる。すると、第1粘着部51が互いに接着されるため、肛門用発熱体10は、折曲仮想線K1で折り曲げられた状態に保たれる。
【0059】
次いで、ユーザは、第2剥離部63を発熱体本体2から剥離すると共に、下着の内面における臀裂に対向する部分に第2粘着部52を接着し、下着に肛門用発熱体10を装着する。この状態で、ユーザは、隆起部R1を臀裂に添わせるようにして下着を着ける。この後、時間の経過とともに肛門用発熱体10は発熱し、ユーザの肛門の患部を温める。
【0060】
このとき、隆起部R1は、クッション性を有するため、ユーザの肛門に対して適切な圧力で接触する。このため、本実施形態に係る肛門用発熱体10によれば、発熱面を肛門にフィットさせることができて、患部を効果的に温めることができるし、さらに、患部を刺激することを抑制できる。
【0061】
また、通気孔311が折曲仮想線K1から離れた位置に形成されているため、肛門又は肛門周辺に接触する隆起部R1が高温になるのを抑制できる。このため、肛門又は肛門周辺に低温やけどが起こるのを防ぐことができる。
【0062】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0063】
上記実施形態では、第2非粘着部54は、粘着層5を部分的に非剥離部62で覆うことで形成されたが、
図8(A)に示すように、第1粘着部51及び第2粘着部52以外の部分に対して、粘着剤を設けないことで、第1粘着部51及び第2粘着部52を形成してもよい。
【0064】
上記実施形態では、一対の第1粘着部51は、左右方向に離れていたが、
図8(B)に示すように、両者はつながって1つの第1粘着部51を形成してもよい。
【0065】
上記実施形態では、第1粘着部51において左右方向の外側に行くほど窄まる部分は、直線の辺で構成されたが、
図8(C)に示すように、曲線の辺で構成されてもよい。また、第1粘着部51は、1つの楕円形で構成されてもよい。また、特に図示しないが、第1粘着部51において左右方向の外側に行くほど窄まる部分は、台形状に形成されてもよい。
【0066】
上記実施形態では、折曲仮想線K1に沿って第1非粘着部53が設けられたが、
図8(B)(C)(D)に示すように、第1非粘着部53はなくてもよい。また、
図8(D)に示すように、第1粘着部51は、左右方向の外側に行くほど窄まる部分を有さなくてもよい。
【0067】
上記実施形態では、第1粘着部51は、前後方向において、部分的に設けられたが、折曲仮想線K1の両側にあればよく、
図8(E)に示すように、前後方向の全長にわたって形成されてもよい。
【0068】
上記実施形態では、折曲仮想線K1は、肛門用発熱体10の左右方向の中央を通るが、例えば、対角線に沿って延びてもよいし、隣り合う2つの辺に交差するように延びてもよい。また、折曲仮想線K1は、左右方向の中央を通らなくてもよく、当該中央から左右方向のいずれかにずれていてもよい。
【0069】
上記実施形態に係る袋体3は、表側シート部31と裏側シート部32とを接合部33で接合することで袋状に形成されたが、袋体3は、1つのシート体を2つ折りにして、3つの縁に沿って接合してもよい。
【0070】
本明細書において、ある対象の「両側にある」とは、ある対象に隣接する場合と、ある対象に対して間隔をおいて位置する場合との両方を含む。
【0071】
本明細書において「治療」とは、患部が軽快するように処置を施すことを意味し、実際に患部が治癒するかどうかは問わないこととする。
【0072】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0073】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0074】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係る肛門用発熱体10は、表側シート部31と裏側シート部32とで袋状に形成された袋体3と、袋体3に封入された発熱材料4と、を備える。裏側シート部32には、表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線K1の両側に、互いに接着される第1粘着部51が設けられている。
【0075】
この態様によれば、肛門用発熱体10を表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折曲仮想線K1で折り曲げ、第1粘着部51同士で接着することで、この形状に保つことができる。これにより、肛門用発熱体10の発熱面を、ユーザの肛門にフィットさせることができ、肛門を効果的に温めることができる。
【0076】
第2の態様に係る肛門用発熱体10では、第1の態様において、裏側シート部32には、折曲仮想線K1に直交する方向における第1粘着部51よりも外側に、下着に対して粘着可能な第2粘着部52が設けられている。この態様によれば、肛門用発熱体10の発熱面を、ユーザの肛門にフィットさせた状態で下着に固定することができるため、効果的に肛門を温めることができる。
【0077】
第3の態様に係る肛門用発熱体10では、第1又は第2の態様において、裏側シート部32において、折曲仮想線K1に沿う一定の幅の領域は非粘着領域である。この態様によれば、折曲仮想線K1で折り曲げた部分に、クッション性をもたすことができるため、肛門に対して、発熱面を適切な圧力で接触させることができ、フィット感を向上させることができる。
【0078】
第4の態様に係る肛門用発熱体10では、第1~3のいずれか1つの態様において、第1粘着部51は、裏側シート部32の折曲仮想線K1に沿う方向において、中央から偏った位置に設けられている。この態様によれば、折曲仮想線K1で折り曲げた状態において、最も高さを有する部分を後側に位置させることで、平坦な座面に座った際にも、肛門及び肛門の周辺にフィットさせることができる。
【0079】
第5の態様に係る肛門用発熱体10では、第4の態様において、第1粘着部51は、裏側シート部32の折曲仮想線K1に沿う方向において、裏側シート部32の縁から離れた位置に設けられている。この態様によれば、折曲仮想線K1で折り曲げた部分に、クッション性をもたすことができるため、肛門に対して、発熱面を適切な圧力で接触させることができ、フィット感を向上させることができる。
【0080】
第6の態様に係る肛門用発熱体10では、第1~5のいずれか1つの態様において、第1粘着部51は、折曲仮想線K1に直交する方向において、外側に行くほど窄まるように形成されている。この態様によれば、剥離シート6を剥離する際に、剥離シート6が破れるのを抑制でき、スムーズに剥離シート6を剥離することができる。
【0081】
第7の態様に係る肛門用発熱体10では、第6の態様において、裏側シート部32には、粘着層5と、粘着層5に重なった剥離シート6と、が設けられる。剥離シート6は、折曲仮想線K1に沿う第1剥離部61と、第1剥離部61の両側に隣接する一対の非剥離部62と、を有する。各非剥離部62は、折曲仮想線K1に直交する方向において、外側に行くほど窄まるように形成された切欠部621を有する。第1剥離部61は、切欠部621を覆う突出部611を有する。第1剥離部61を剥がすことで粘着層5の一部が露出し、第1粘着部51が形成されるように構成されている。この態様によれば、剥離シート6で粘着層5を覆うことで非粘着領域を形成し、露出した部分で第1粘着部51を形成することができるため、第1粘着部51の形状に合わせて粘着層5を設けるよりも、製造が容易である。
【0082】
第8の態様に係る肛門用発熱体10では、第1~7のいずれか1つの態様において、折曲仮想線K1に直交する方向の一方側の第1粘着部51の最も外側の部分と、他方側の第1粘着部51の最も外側の部分との間の距離d5が、40mm以上60mm以下である。この態様によれば、肛門用発熱体10を折曲仮想線K1で折り曲げた状態において、当該折り曲げた部分の高さを、臀裂の深さに合う高さに設定することができ、より一層、ユーザの肛門にフィットさせることができる。
【0083】
第9の態様に係る肛門用発熱体10では、第1~8のいずれか1つの態様において、表側シート部31は複数の通気孔311を有し、複数の通気孔311は、折曲仮想線K1から離れた位置に形成されている。この態様によれば、肛門用発熱体10において、肛門に接触する部分が高温になるのを抑制することができる。
【0084】
第10の態様に係るいぼ痔治療用発熱体100は、いぼ痔を治療することに用いられるいぼ痔治療用発熱体100である。表側シート部31と裏側シート部32との外周部同士を全周にわたって接合することで袋状に形成された袋体3と、袋体3に封入された発熱材料4と、を備える。裏側シート部32には、表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折り曲げられる折曲仮想線K1の両側に、互いに粘着される第1粘着部51が設けられている。
【0085】
この態様によれば、いぼ痔治療用発熱体100を表側シート部31が凸でかつ裏側シート部32が凹となるように折曲仮想線K1で折り曲げ、第1粘着部51同士で接着することで、この形状に保つことができる。これにより、いぼ痔治療用発熱体100の発熱面を、ユーザの肛門にフィットさせることができ、肛門を効果的に温めることができる。この結果、いぼ痔近傍の血行を促進でき、いぼ痔を軽快にすることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 肛門用発熱体
100 いぼ痔治療用発熱体
3 袋体
31 表側シート部
311 通気孔
32 裏側シート部
4 発熱材料
5 粘着層
51 第1粘着部
52 第2粘着部
6 剥離シート
61 第1剥離部
611 突出部
62 非剥離部
621 切欠部
K1 折曲仮想線