IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

<>
  • 特開-送信装置及び受信装置 図1
  • 特開-送信装置及び受信装置 図2
  • 特開-送信装置及び受信装置 図3
  • 特開-送信装置及び受信装置 図4
  • 特開-送信装置及び受信装置 図5
  • 特開-送信装置及び受信装置 図6
  • 特開-送信装置及び受信装置 図7
  • 特開-送信装置及び受信装置 図8
  • 特開-送信装置及び受信装置 図9
  • 特開-送信装置及び受信装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062695
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240501BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04L27/26 111
H04B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170716
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恭一
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060DD03
5K060FF06
5K060GG06
5K060KK04
(57)【要約】
【課題】 放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】 送信装置は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部と、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部と、前記合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部と、
前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、
前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部と、
前記合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部と、を備える、送信装置。
【請求項2】
前記遅延部は、2以上の階層の各々又は2以上のサブ階層の各々を用いて、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記遅延部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なるキャリアシンボル単位又はフレーム単位の遅延時間で出力する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を送信する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
伝送フレームを受信する受信部と、
前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、
前記遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部と、を備え、
前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成される、受信装置。
【請求項6】
前記遅延部は、2以上の階層の各々又は2以上のサブ階層の各々について、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記遅延部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なるキャリアシンボル単位又はフレーム単位の遅延時間で出力する、請求項5に記載の受信装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を受信する、請求項5に記載の受信装置。
【請求項9】
伝送フレームを受信する受信部と、
前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で復調する復調部と、
前記復調部から出力される特定パケットを復号する復号部と、を備え、
前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成され、
前記復号部は、前記特定パケットに付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、前記特定パケットの欠落を補完する、受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送方式として、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が知られている。さらに、地上デジタル放送の高品質化及び高機能化を目的として、ISDB-T方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)の検討が進められている。
【0003】
高度化方式では、1つのチャネルを所定数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割するとともに、1つのチャネルの一部のセグメント(例えば、9セグメント)を用いた部分受信が想定される。部分受信は、カーナビゲーションシステムなどの車載端末などの移動体を想定しているため、移動受信と称されてもよい。なお、35セグメントを用いた受信については、全部受信又は固定受信と称されてもよい。
【0004】
ところで、移動受信では、ビル影や高架下などのように、電界強度が大きく低下する場所において、映像・音声データを受信することができないことが想定される。このような事態を緩和するために、従来と同様の映像・音声データの伝送に加えて、高耐性な伝送パラメータを用いた補完用の音声データを伝送する手法が検討されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“地上放送高度化方式における高耐性な移動受信サービスの一検討”、映像情報メディア学会、放送技術研究会、vol.45, no.24, BCT2021-39, 2021, p.17-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電界強度が大きく低下する場所において、補完用の音声データを受信することができたとしても、映像については途切れたままである。さらに、放送波のレベルが大きく減衰するトンネル内においては、補完用の音声データについても受信することができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一態様は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部と、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部と、前記合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部と、を備える、送信装置である。
【0009】
開示の一態様は、伝送フレームを受信する受信部と、前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部と、を備え、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成される、受信装置である。
【0010】
開示の一態様は、伝送フレームを受信する受信部と、前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で復調する復調部と、前記復調部から出力される特定パケットを復号する復号部と、を備え、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成され、前記復号部は、前記特定パケットに付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、前記特定パケットの欠落を補完する、受信装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
図7図7は、変更例1に係る送信装置10を示すブロック図である。
図8図8は、変更例1に係る送信装置10を示すブロック図である。
図9図9は、変更例1に係る受信装置20を示すブロック図である。
図10図10は、変更例3に係る受信装置20を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
[開示の概要]
開示の概要に係る送信装置は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部と、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部と、前記合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部と、を備える。
【0016】
開示の概要に係る受信装置は、伝送フレームを受信する受信部と、前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部と、を備え、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成される。
【0017】
開示の概要によれば、送信装置は、キャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成し、異なる時間で出力される2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成することによって生成される伝送フレームを送信する。このような構成によれば、1以上の階層化データ(同一の内容を有す複製キャリア変調信号)が異なる時間で反復して送信されるため、放送波のレベルが一時的に大きく減衰するケースを想定した場合であっても、時間方向の冗長性が得られるため、1以上の階層化データを適切に受信することができる。
【0018】
1以上の階層化データは、ヘッダ及びペイロードを含むパケットであってもよい。1以上の階層化データは、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)に準拠するパケットで出力されてもよい。
【0019】
[実施形態]
(デジタル無線伝送システム)
以下において、実施形態に係るデジタル無線伝送システムについて説明する。図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1(以下、伝送システム1)を示す図である。図1に示すように、伝送システム1は、送信装置10及び受信装置20を備える。
【0020】
実施形態において、伝送システム1では、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)が採用される。高度化方式では、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、ISDB-Tよりも多い数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割される。高度化方式においても、部分受信(例えば、9セグメント)を想定した方式、非部分受信(26セグメント)を想定した方式が採用されている。
【0021】
伝送システム1では、SISO(Single-Input Single-Output)が用いられてもよく、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が用いられてもよい。伝送システム1では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0022】
送信装置10は、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(以下、OFDMフレーム)を送信してもよい。送信装置10は、送信局と称されてもよく、送信システム10と称されてもよい。
【0023】
受信装置20は、1以上の階層化データを含むOFDMフレームを送信装置10から受信する装置である。受信装置20は、受信局と称されてもよい。
【0024】
階層化データは、A階層データ、B階層データ、C階層データを含んでもよい。A階層データは、A0階層データ、A1階層データ及びA2階層データを含んでもよい。
【0025】
(送信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、送信装置10は、送出装置110と、再多重化装置120と、変調装置130と、送信機140と、を有する。
【0027】
送出装置110は、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。コンテンツは、1以上の階層化データの一例である。送出装置110は、1以上の階層化データをパケット形式で出力してもよい。送出装置110は、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)に準拠するパケットであってもよい。
【0028】
再多重化装置120は、1以上の階層化データの多重(再多重)を実行する。具体的には、再多重化装置120は、MMTPに基づいて、1以上の階層化データの多重(再多重)を実行してもよい(ISO/IEC 23008-1及びARIB STD-B60を参照)。再多重化装置120は、送出装置110から出力される1以上の階層化データ(パケット)を多重することによって多重フレームを構成する。MMTPにおいて、MMTPパケットは可変長であるため、再多重化装置120は、MMTPパケット及びNULLパケットを多重することによって固定長若しくは可変長の多重フレームを構成してもよい。例えば、再多重化装置120から出力される多重フレームが、XMI; eXtensible Modulator Interface)形式の固定長のIPパケットを構成する場合には、再多重化装置120は、一定のレートで多重フレームを変調装置130に出力することができる。
【0029】
変調装置130は、誤り訂正符号、キャリア変調、インタリーブなどの処理を実行することによってOFDMフレームを構成する。誤り訂正符号、キャリア変調、インタリーブなどの処理は、階層(例えば、A階層、B階層、C階層)毎に実行されてもよい。
【0030】
送信機140は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換などの処理を実行する。送信機140は、OFDMフレームを送信する。
【0031】
実施形態では、1つの階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成し、1つの階層を構成する2以上のサブ階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を送信するケースについて説明する。ここでは、A階層がA1階層、A2階層及びA3階層の3つのサブ階層を有するケースについて例示する。言い換えると、A1階層データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つ複製キャリア変調信号をA1階層、A2階層及びA3階層を用いて送信するケースについて説明する。以下においては、実施形態(サブ階層毎の複製キャリア変調信号)に関連する変調装置130について主として説明する。
【0032】
図3及び図4に示すように、変調装置130は、エネルギー拡散部131と、誤り訂正符号化部132と、キャリア変調部133と、系統分離部134と、複製部135Xと、複製部135Yと、遅延部136Xと、遅延部136Yと、階層合成部137Xと、階層合成部137Yと、帯域分割部161Xと、帯域分割部161Yと、時間IL(Interleave)部162Xと、時間IL部162Yと、周波数IL部163Xと、周波数IL部163Yと、帯域合成部164Xと、帯域合成部164Yと、フレーム構成部165Xと、フレーム構成部165Yと、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部166Xと、IFFT部166Yと、GI(Guard Interval)付加部167Xと、GI付加部167Yと、MISO(Multiple-Input Single-Output)符号化部168と、を有する。
【0033】
エネルギー拡散部131は、所定の生成多項式を用いて生成されたPN(Pseudo Number)系列を用いて、再多重化装置120から出力されるA1階層データのビット列をランダム化する。
【0034】
誤り訂正符号化部132は、エネルギー拡散部131から出力されるビット列の誤り訂正符号化を実行する。誤り訂正符号化の方式は、BCH符号化方式を含んでもよく、LDPC(Low-Density Parity-check Code)符号化方式を含んでもよい。
【0035】
キャリア変調部133は、誤り訂正符号化部132から出力されるビット列のキャリア変調を実行する。変調方式は、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAMなどであってもよい。
【0036】
系統分離部134は、キャリア変調部133から出力されるキャリア変調信号を送信アンテナに対応する系統(ここでは、2系統)に分離する。一方の系統をX系統(又はTx1)と称し、他方の系統をY系統(又はTx2)と称してもよい。
【0037】
複製部135Xは、系統分離部134から出力されるX系統のキャリア変調信号(A1階層に相当するキャリア変調信号)を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する。ここでは、複製部135Xは、3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つの複製キャリア変調信号を出力する。
【0038】
複製部135Yは、系統分離部134から出力されるY系統のキャリア変調信号(A1階層に相当するキャリア変調信号)を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する。ここでは、複製部135Yは、3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つの複製キャリア変調信号を出力する。
【0039】
遅延部136Xは、X系統の3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部136Xは、1つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1(ここでは、0)だけ遅延させた上で、1つ目の複製キャリア変調信号をA1階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部136Xは、2つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1よりも長い遅延時間TDelayA2だけ遅延させた上で、2つ目の複製キャリア変調信号をA2階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部136Xは、3つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA2よりも長い遅延時間TDelayA3だけ遅延させた上で、3つ目の複製キャリア変調信号をA3階層に相当するキャリア変調信号として出力する。
【0040】
ここで、遅延部136Xは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部136Xは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0041】
遅延部136Yは、Y系統の3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部136Yは、1つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1(ここでは、0)だけ遅延させた上で、1つ目の複製キャリア変調信号をA1階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部136Xは、2つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1よりも長い遅延時間TDelayA2だけ遅延させた上で、2つ目の複製キャリア変調信号をA2階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部136Xは、3つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA2よりも長い遅延時間TDelayA3だけ遅延させた上で、3つ目の複製キャリア変調信号をA3階層に相当するキャリア変調信号として出力する。
【0042】
ここで、遅延部136Yは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部136Yは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0043】
階層合成部137Xは、A1階層、A2階層及びA3階層に相当するX系統の複製キャリア変調信号を合成する。
【0044】
階層合成部137Yは、A1階層、A2階層及びA3階層に相当するY系統の複製キャリア変調信号を合成する。
【0045】
帯域分割部161Xは、階層合成部137Xによって合成されたA1階層、A2階層及びA3階層に相当する複製キャリア変調信号を含むX系統の全ての階層(A階層、B階層及びC階層)のキャリア変調信号を部分受信帯域と非部分受信帯域とに分割する。
【0046】
帯域分割部161Yは、階層合成部137Yによって合成されるA1階層、A2階層及びA3階層に相当する複製キャリア変調信号を含むY系統の全ての階層(A階層、B階層及びC階層)のキャリア変調信号を部分受信帯域と非部分受信帯域とに分割する。
【0047】
時間IL部162Xは、時間方向において、帯域分割部161Xから出力されるX系統の複製キャリア変調信号のインタリーブを実行する。
【0048】
時間IL部162Yは、時間方向において、帯域分割部161Yから出力されるY系統の複製キャリア変調信号のインタリーブを実行する。
【0049】
周波数IL部163Xは、周波数方向において、時間IL部162Xから出力されるX系統の複製キャリア変調信号のインタリーブを実行する。
【0050】
周波数IL部163Yは、周波数方向において、時間IL部162Yから出力されるY系統の複製キャリア変調信号のインタリーブを実行する。
【0051】
帯域合成部164Xは、周波数IL部163Xから出力されるA階層に相当するX系統の複製キャリア変調信号と、B階層に相当するX系統のキャリア変調信号と、C階層に相当するX系統のキャリア変調信号と、を合成する。
【0052】
帯域合成部164Yは、周波数IL部163Yから出力されるA階層に相当するY系統の複製キャリア変調信号と、B階層に相当するY系統のキャリア変調信号と、C階層に相当するY系統のキャリア変調信号と、を合成する。
【0053】
フレーム構成部165Xは、帯域合成部164Xから出力される信号、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号、SP(Scattered Pilot)信号、LLch(Low Latency channel)信号に基づいて、X系統の伝送フレームを構成する。伝送フレームは、OFDMフレームと称されてもよい。
【0054】
フレーム構成部165Yは、帯域合成部164Yから出力される信号、TMCC(Transmission and Modulation Configuration Control)信号、SP(Scattered Pilot)信号、LLch(Low Latency channel)信号に基づいて、Y系統の伝送フレームを構成する。伝送フレームは、OFDMフレームと称されてもよい。
【0055】
IFFT部166Xは、フレーム構成部165Xから出力されたX系統のOFDMフレームにIFFTを適用する。
【0056】
IFFT部166Yは、フレーム構成部165Yから出力されたY系統のOFDMフレームにIFFTを適用する。
【0057】
GI付加部167Xは、IFFT部166Xから出力されたX系統のOFDMフレームにGIを付加する。
【0058】
GI付加部167Yは、IFFT部166Yから出力されたY系統のOFDMフレームにGIを付加する。
【0059】
MISO符号化部168は、MISO伝送で用いられる構成であって、GI付加部167Xから出力されるX系統のOFDMフレームにMISO符号化を適用する。MISO符号化は、STBC(Space Time Block Coding)であってもよく、SFBC(Space Frequency Block Coding)であってもよい。
【0060】
実施形態では、複製部135X, 135Yは、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部を構成する。遅延部136X, 136Yは、2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部を構成する。帯域分割部161X, 161Yは、遅延部から異なる時間で出力される2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部を構成する。送信機140は、合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部を構成する。
【0061】
(受信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。図5は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【0062】
図5に示すように、受信装置20は、受信装置210と、復調装置220と、復号装置230と、を有する。
【0063】
受信装置210は、OFDMフレームを受信する。受信装置210は、希望信号を受信するためのバンドパス処理、RF信号をIF信号に変換する周波数変換、IF信号のA/D(Analog/Digital)変換などの処理を実行する。
【0064】
復調装置220は、デインタリーブ、キャリア復調、誤り訂正復号などの処理を実行することによって、1以上の階層化データを出力する。デインタリーブ、キャリア復調、誤り訂正復号などの処理は、階層(例えば、A階層、B階層、C階層)毎に実行されてもよい。
【0065】
復号装置230は、復調装置220から入力される1以上の階層化データ(IPパケット)を復号することによって、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。
【0066】
実施形態では、2以上のサブ階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を受信するケースについて説明する。ここでは、A階層がA1階層、A2階層及びA3階層の3つのサブ階層を有するケースについて例示する。以下においては、実施形態(サブ階層毎の複製キャリア変調信号)に関連する復調装置220について主として説明する。
【0067】
図6に示すように、復調装置220は、同期部221と、FFT(Fast Fourier Transform)部222と、伝搬路推定部223と、階層分離部224と、周波数DIL(Deinterleave)部225と、時間DIL部226と、サブ階層分離部261と、遅延部262と、合成部263と、誤り訂正復号部264と、エネルギー逆拡散部265と、を有する。
【0068】
同期部221は、受信装置210から出力されるOFDMフレームからGIを除去し、OFDMフレームの同期補正処理を実行する。
【0069】
FFT部222は、同期部221から出力されるOFDMフレームにFFTを適用する。
【0070】
伝搬路推定部223は、OFDMフレームから抽出されるSP信号に基づいて、伝搬路推定を実行する。
【0071】
階層分離部224は、FFT部222から出力されたOFDMフレームを各階層のキャリア変調信号に分離し、伝搬路推定の結果に基づいて各階層のキャリア変調信号の等化処理を実行する。
【0072】
周波数DIL部225は、周波数IL部163X, 163Yと逆の手順で、周波数方向において、A階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。A階層に相当するキャリア変調信号は、A1階層、A2階層及びA3階層に相当する複製キャリア変調信号を含む。
【0073】
時間DIL部226は、時間IL部162X, 162Yと逆の手順で、時間方向において、A階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。A階層に相当するキャリア変調信号は、A1階層、A2階層及びA3階層に相当する複製キャリア変調信号を含む。
【0074】
サブ階層分離部261は、時間DIL部226から出力されるA階層に相当するキャリア変調信号をA1階層、A2階層及びA3階層に相当する複製キャリア変調信号に分離する。
【0075】
遅延部262は、遅延部136X, 136Yと逆の遅延時間を適用することによって、3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部262は、A1階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA1(TDelayA3 = {(TDelayA1 + T+DelayA3) - TDelayA1})だけ遅延させた上で、A1階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。遅延部262は、A2階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA1よりも短い遅延時間RDelayA2((TDelayA1 + T+DelayA3)- TDelayA2)だけ遅延させた上で、A2階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。遅延部262は、A3階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA2よりも短い遅延時間RDelayA3(TDelayA1 = {(TDelayA1 + T+DelayA3)- TDelayA3})だけ遅延させた上で、A3階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。
【0076】
ここで、遅延部262は、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部262は、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0077】
合成部263は、遅延部262から出力される3つの複製キャリア変調信号をA1階層に相当するキャリア変調信号として合成する。3つの複製キャリア変調信号は同一の内容であるため、合成部263は、最大比合成によってLLR(Log-likelihood ratio)を算出する。
【0078】
誤り訂正復号部264は、合成部263から出力されるA階層に相当するビット列(LLR)の誤り訂正復号を実行する。誤り訂正復号の方式は、BCH復号方式を含んでもよく、LDPC復号方式を含んでもよい。
【0079】
エネルギー逆拡散部265は、誤り訂正復号部264から出力されるビット列について、エネルギー拡散部131とは逆の手順でエネルギー逆拡散を実行する。
【0080】
実施形態では、受信装置210は、伝送フレームを受信する受信部を構成する。遅延部262は、伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部を構成する。合成部263は、遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部を構成する。
【0081】
(作用及び効果)
実施形態では、送信装置10は、キャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成し、異なる時間で出力される2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成することによって生成される伝送フレームを送信する。このような構成によれば、1以上の階層化データ(同一の内容を有す複製キャリア変調信号)が異なる時間で反復して送信されるため、放送波のレベルが一時的に大きく減衰するケースを想定した場合であっても、時間方向の冗長性が得られるため、1以上の階層化データを適切に受信することができる。
【0082】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0083】
実施形態では、1つの階層を構成する2以上のサブ階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を送信及び受信するケースについて説明した。これに対して、変更例1では、2以上の階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を送信及び受信するケースについて説明する。変更例1では、A階層、B階層及びC階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を送信及び受信するケースについて例示する。言い換えると、A階層データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つ複製キャリア変調信号をA階層、B階層及びC階層を用いて送信するケースについて説明する。
【0084】
(送信装置)
変更例1実施形態では、1つの階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成し、1つの階層を構成する2以上の階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を送信するケースについて説明する。ここでは、A階層データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つ複製キャリア変調信号をA階層、B階層及びC階層を用いて送信するケースについて説明する。以下においては、変更例1(階層毎の複製キャリア変調信号)に関連する変調装置130について主として説明する。
【0085】
変調装置130は、図7及び図8に示すように、エネルギー拡散部131と、誤り訂正符号化部132と、キャリア変調部133と、系統分離部134と、時間IL部162Xと、時間IL部162Yと、周波数IL部163Xと、周波数IL部163Yと、複製部171Xと、複製部171Yと、遅延部172Xと、遅延部172Yと、帯域合成部164Xと、帯域合成部164Yと、フレーム構成部165Xと、フレーム構成部165Yと、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部166Xと、IFFT部166Yと、GI付加部167Xと、GI付加部167Yと、MISO符号化部168と、を有する。
【0086】
図7及び図8では、図3及び図4に示す構成(複製部135X、複製部135Y、遅延部136X、遅延部136Y、階層合成部137X、階層合成部137Y、帯域分割部161X、帯域分割部161Y)に代えて、複製部171X、複製部171Y、遅延部172X、遅延部172Yを有する点で図3及び図4と相違する。図7及び図8では、図3及び図4と同様の構成について同様の符号を付しており、図3及び図4と同様の構成の説明については省略する。
【0087】
複製部171Xは、周波数IL部163Xから出力されるX系統のキャリア変調信号(A階層に相当するキャリア変調信号)を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する。ここでは、複製部171Xは、3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つの複製キャリア変調信号を出力する。
【0088】
複製部171Yは、系統分離部134から出力されるY系統のキャリア変調信号(A階層に相当するキャリア変調信号)を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する。ここでは、複製部171Yは、3つの複製キャリア変調信号を生成し、3つの複製キャリア変調信号を出力する。
【0089】
遅延部172Xは、X系統の3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部172Xは、1つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1(ここでは、0)だけ遅延させた上で、1つ目の複製キャリア変調信号をA階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部172Xは、2つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1よりも長い遅延時間TDelayA2だけ遅延させた上で、2つ目の複製キャリア変調信号をB階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部172Xは、3つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA2よりも長い遅延時間TDelayA3だけ遅延させた上で、3つ目の複製キャリア変調信号をC階層に相当するキャリア変調信号として出力する。
【0090】
ここで、遅延部172Xは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部172Xは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0091】
遅延部172Yは、Y系統の3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部172Yは、1つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1(ここでは、0)だけ遅延させた上で、1つ目の複製キャリア変調信号をA階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部172Xは、2つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA1よりも長い遅延時間TDelayA2だけ遅延させた上で、2つ目の複製キャリア変調信号をB階層に相当するキャリア変調信号として出力する。遅延部172Xは、3つ目の複製キャリア変調信号を遅延時間TDelayA2よりも長い遅延時間TDelayA3だけ遅延させた上で、3つ目の複製キャリア変調信号をC階層に相当するキャリア変調信号として出力する。
【0092】
ここで、遅延部172Yは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部172Yは、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0093】
変更例1では、複製部171X, 171Yは、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部を構成する。遅延部172X, 172Yは、2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部を構成する。帯域分割部161X, 161Yは、遅延部から異なる時間で出力される2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部を構成する。送信機140は、合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部を構成する。
【0094】
(受信装置)
変更例1では、2以上の階層の各々を用いて、複製キャリア変調信号を受信するケースについて説明する。ここでは、3つ複製キャリア変調信号をA階層、B階層及びC階層を用いて送信するケースについて説明する。以下においては、変更例1(階層毎の複製キャリア変調信号)に関連する復調装置220について主として説明する。
【0095】
図9に示すように、復調装置220は、同期部221と、FFT部222と、伝搬路推定部223と、階層分離部224と、遅延部271と、合成部272と、周波数DIL部225と、時間DIL部226と、誤り訂正復号部264と、エネルギー逆拡散部265と、を有する。
【0096】
図9では、図6に示す構成(サブ階層分離部261、遅延部262、合成部263)に代えて、遅延部271、合成部272を有する点で図6と相違する。図9では、図6と同様の構成について同様の符号を付しており、図6と同様の構成の説明については省略する。
【0097】
遅延部271は、遅延部172X, 172Yと逆の遅延時間を適用することによって、3つの複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する。具体的には、遅延部271は、A階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA1(TDelayA3 = {(TDelayA1 + T+DelayA3) - TDelayA1})だけ遅延させた上で、A階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。遅延部271は、B階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA1よりも短い遅延時間RDelayA2((TDelayA1 + T+DelayA3)- TDelayA2)だけ遅延させた上で、B階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。遅延部271は、C階層に相当する複製キャリア変調信号を遅延時間RDelayA2よりも短い遅延時間RDelayA3(TDelayA1 = {(TDelayA1 + T+DelayA3)- TDelayA3})だけ遅延させた上で、C階層に相当する複製キャリア変調信号を出力する。
【0098】
ここで、遅延部271は、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるキャリアシンボル単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つのキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよく、2以上のキャリアシンボルに相当する遅延時間であってもよい。或いは、遅延部271は、3つの複製キャリア変調信号の各々を異なるフレーム単位の遅延時間で出力してもよい。遅延時間は、1つの多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよく、フレーム単位は、2以上の多重フレーム又はOFDMフレームに相当する遅延時間であってもよい。
【0099】
合成部272は、遅延部271から出力される3つの複製キャリア変調信号をA階層に相当するキャリア変調信号として合成する。3つの複製キャリア変調信号は同一の内容であるため、合成部272は、最大比合成によってLLR(Log-likelihood ratio)を算出する。
【0100】
変更例1では、受信装置210は、伝送フレームを受信する受信部を構成する。遅延部271は、伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部を構成する。合成部272は、遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部を構成する。
【0101】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0102】
変更例2では、送信装置10は、2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を送信してもよい。受信装置20は、2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を受信してもよい。
【0103】
ここで、2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報は、特定情報と称されてもよい。特定情報は、TMCC情報に含まれてもよい。特定情報は、(a)同一の内容を有する複製キャリア変調信号が異なる時間で送信されるか否かを示すフラグ、(b)同一の内容を有する複製キャリア変調信号が異なる時間で送信されるサブ階層の数又は階層の数、(c)遅延部(遅延部136X/遅延部136Y、又は、遅延部172X/遅延部172Y)の遅延時間、(d)キャリア変調信号の複製方法(サブ階層/階層)の中から選択された1以上の情報を含んでもよい。
【0104】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態及び変更例1に対する相違点について主として説明する。
【0105】
実施形態及び変更例1では、受信装置20は、2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部(遅延部262、遅延部271)、遅延部から異なる時間で出力される2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部(合成部263、合成部272)を有する。
【0106】
これに対して、変更例3では、受信装置20は、遅延部及び合成部を有していなくてもよい。但し、変更例3において、送信装置10は、実施形態又は変更例1に示す構成を有するものとする。
【0107】
具体的には、変更例3では、図10に示すように、復調装置220は、遅延部及び合成部を有していなくてもよい。図10では、図6及び図9と同様の構成について同様の符号を付しており、図6と同様の構成の説明については省略する。
【0108】
周波数DIL部225Aは、周波数方向において、A階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。周波数DIL部225Bは、周波数方向において、B階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。周波数DIL部225Cは、周波数方向において、C階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。
【0109】
時間DIL部226Aは、時間方向において、A階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。時間DIL部226Bは、時間方向において、B階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。時間DIL部226Cは、時間方向において、C階層に相当するキャリア変調信号のデインタリーブを実行する。
【0110】
A1階層処理部281A1は、A1階層に相当するキャリア変調信号について、LLR算出、誤り訂正復号、エネルギー逆拡散などの処理を実行する。A2階層処理部281A2は、A2階層に相当するキャリア変調信号について、LLR算出、誤り訂正復号、エネルギー逆拡散などの処理を実行する。A3階層処理部281A3は、A3階層に相当するキャリア変調信号について、LLR算出、誤り訂正復号、エネルギー逆拡散などの処理を実行する。B階層処理部281Bは、B階層に相当するキャリア変調信号について、LLR算出、誤り訂正復号、エネルギー逆拡散などの処理を実行する。C階層処理部281Cは、C階層に相当するキャリア変調信号について、LLR算出、誤り訂正復号、エネルギー逆拡散などの処理を実行する。
【0111】
このように、復調装置220が遅延部及び合成部を有していない前提において、実施形態又は変更例1で説明したように、受信装置20は、2以上の複製キャリア変調信号の各々は、異なる階層又はサブ階層で、かつ、異なる時間で受信する。
【0112】
このような前提下において、復号装置230は、復調装置220から出力される1以上の階層化データ(多重フレーム)を再構成する。各階層の階層化データは、1以上の特定パケット(MMTPパケット)を含む。復号装置230は、MMTPパケットの順序を示すシーケンス番号(packet_sequence_number)の連続性に基づいてMMTPパケットのロスを検出し、MMTPパケットのロスが検出された場合に、異なる時間かつ異なる階層で受信する複製キャリア変調信号を含むMMTPパケットによって、ロスが検出されたMMTPパケットを補完する。
【0113】
変更例3では、復調装置220は、伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で復調する復調部を構成する。復号装置230は、復調部から出力される特定パケットを復号する復号部を構成する。
【0114】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0115】
上述した開示において、A1階層に相当する複製キャリア変調信号、A2階層に相当する複製キャリア変調信号、A3階層に相当する複製キャリア変調信号は、異なる帯域で送信されてもよい。同様に、A階層に相当する複製キャリア変調信号、B階層に相当する複製キャリア変調信号、C階層に相当する複製キャリア変調信号は、異なる帯域で送信されてもよい。
【0116】
このようなケースにおいて、異なる帯域は、部分帯域及び非部分帯域を含んでもよい。部分帯域の電力は、非部分帯域の電力よりも大きくてもよい。例えば、A1階層及びA2階層に複製キャリア変調信号が部分帯域で送信され、A3階層に相当する複製キャリア変調信号が非部分帯域で送信される場合には、A1階層及びA2階層に複製キャリア変調信号の耐性は、A3階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高い。同様に、A階層に複製キャリア変調信号が部分帯域で送信され、B階層及びC階層に相当する複製キャリア変調信号が非部分帯域で送信される場合には、A階層に複製キャリア変調信号の耐性は、B階層及びC階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高い。
【0117】
或いは、異なる帯域は、A1階層に相当する帯域、A2階層に相当する帯域、A3階層に相当する帯域を含んでもよい。A1階層に相当する帯域の電力は、A2階層に相当する帯域の電力よりも大きく、A2階層に相当する帯域の電力は、A3階層に相当する帯域の電力よりも大きくてもよい。A1階層に複製キャリア変調信号の耐性は、A2階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高く、A2階層に複製キャリア変調信号の耐性は、A3階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高い。同様に、A階層に相当する帯域、B階層に相当する帯域、C階層に相当する帯域を含んでもよい。A階層に相当する帯域の電力は、B階層に相当する帯域の電力よりも大きく、B階層に相当する帯域の電力は、C階層に相当する帯域の電力よりも大きくてもよい。A階層に複製キャリア変調信号の耐性は、B階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高く、B階層に複製キャリア変調信号の耐性は、C階層に相当する複製キャリア変調信号の耐性よりも高い。
【0118】
上述した開示では、日本の地上デジタル放送(ISDB-T)のように周波数分割多重にて階層を多重する手法について例示したが、上述した開示は、時分割多重にて階層を多重する手法についても適用することができる。
【0119】
上述した開示では特に触れていないが、キャリア変調信号は、データシンボル又はデータキャリアシンボルと読み替えられてもよい。
【0120】
上述した開示では、MMTPについて主として説明したが、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、MMTP以外のプロトコルに準拠して、1以上の階層化データがパケット形式で扱われてもよい。1以上の階層化データは、パケット形式で扱われなくてもよい。
【0121】
上述した開示では特に触れていないが、パケットは、ユニットと称されることがあってもよい。
【0122】
上述した開示では特に触れていないが、送信装置10及び受信装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0123】
或いは、送信装置10及び受信装置20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0124】
[付記]
上述した開示は、以下に示すように表現されてもよい。
【0125】
第1の特徴は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって2以上の複製キャリア変調信号を生成する複製部と、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を時間毎に合成する合成部と、前記合成部から出力される信号を含む伝送フレームを送信する送信部と、を備える、送信装置である。
【0126】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記遅延部は、2以上の階層の各々又は2以上のサブ階層の各々を用いて、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する、送信装置である。
【0127】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記遅延部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なるキャリアシンボル単位又はフレーム単位の遅延時間で出力する、送信装置である。
【0128】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記送信部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を送信する、送信装置である。
【0129】
第5の特徴は、伝送フレームを受信する受信部と、前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から出力される2以上の複製キャリア変調信号を合成する合成部と、を備え、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成される、受信装置である。
【0130】
第6の特徴は、第5の特徴において、前記遅延部は、2以上の階層の各々又は2以上のサブ階層の各々について、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で出力する、受信装置である。
【0131】
第7の特徴は、第5の特徴又は第6の特徴において、前記遅延部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なるキャリアシンボル単位又はフレーム単位の遅延時間で出力する、受信装置である。
【0132】
第8の特徴は、第5の特徴乃至第7の特徴のいずれか1つにおいて、前記受信部は、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々が互いに異なる時間で出力されることを示す情報を受信する、受信装置である。
【0133】
第9の特徴は、伝送フレームを受信する受信部と、前記伝送フレームに含まれる2以上の複製キャリア変調信号の各々を互いに異なる時間で復調する復調部と、前記復調部から出力される特定パケットを復号する復号部と、を備え、前記2以上の複製キャリア変調信号の各々は、1以上の階層化データに基づいて生成されたキャリア変調信号を複製することによって生成され、前記復号部は、前記特定パケットに付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、前記特定パケットの欠落を補完する、受信装置である。
【符号の説明】
【0134】
1:デジタル無線伝送システム、10:送信装置、20:受信装置、110:送出装置、120:再多重化装置、130:変調装置、131:エネルギー拡散部、132:誤り訂正符号化部、133:キャリア変調部、134:系統分離部、135X,135Y:複製部、136X,136Y:遅延部、137X,137Y:階層合成部、161X,161Y:帯域分割部、162X,162Y:時間IL部、163X,163Y:周波数IL部、164X,164Y:帯域合成部、165X,165Y:フレーム構成部、166X,166Y:IFFT部、167X,167Y:GI付加部、168:MISO符号化部、171X,171Y:複製部、172X,172Y:遅延部、140:送信機、210:受信装置、220:復調装置、221:同期部、222:FFT部、223:伝搬路推定部、224:階層分離部、225,225A,225B,225C:周波数DIL部、226:時間DIL部、261:サブ階層分離部、262:遅延部、263:合成部、264:誤り訂正復号部、265:エネルギー逆拡散部、271:遅延部、272:合成部、281A1:A1階層処理部、281A2:A2階層処理部、281A3:A3階層処理部、281B:B階層処理部、281C:C階層処理部、230:復号装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10