IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

<>
  • 特開-送信装置及び受信装置 図1
  • 特開-送信装置及び受信装置 図2
  • 特開-送信装置及び受信装置 図3
  • 特開-送信装置及び受信装置 図4
  • 特開-送信装置及び受信装置 図5
  • 特開-送信装置及び受信装置 図6
  • 特開-送信装置及び受信装置 図7
  • 特開-送信装置及び受信装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062698
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/238 20110101AFI20240501BHJP
   H04H 20/71 20080101ALI20240501BHJP
   H04N 21/222 20110101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N21/238
H04H20/71
H04N21/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170720
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恭一
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164SA11P
5C164SB21P
(57)【要約】
【課題】 放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】 送信装置は、1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製データを生成する複製部と、前記2以上の複製データの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製データの各々を時間毎に多重する再多重化部と、前記再多重化部から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製データを生成する複製部と、
前記2以上の複製データの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、
前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製データの各々を時間毎に多重する再多重化部と、
前記再多重化部から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部と、を備える、送信装置。
【請求項2】
前記2以上の複製データの各々について互いに異なる宛先が指定される、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記2以上の複製データの各々について同一の宛先が指定される、請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記2以上の複製データの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を送信する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
多重フレームを含む信号を受信し、受信された信号を復調する受信部と、
前記多重フレームを復号する復号部と、を備え、
前記多重フレームは、互いに異なる時間で出力される2以上の複製データの各々を時間毎に多重することによって生成され、
前記2以上の複製データの各々は、1以上の階層化データを複製することによって生成される、受信装置。
【請求項6】
前記2以上の複製データの各々について互いに異なる宛先が指定される、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記2以上の複製データの各々について同一の宛先が指定される、請求項5に記載の受信装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記2以上の複製データの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を受信する、請求項5に記載の受信装置。
【請求項9】
前記復号部は、前記複製データに付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、前記2以上の複製データの中の欠落データを検出し、前記2以上の複製データの中の前記欠落データ以外の補完データに基づいて前記欠落データを補完する、請求項5に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送方式として、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が知られている。さらに、地上デジタル放送の高品質化及び高機能化を目的として、ISDB-T方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)の検討が進められている。
【0003】
高度化方式では、1つのチャネルを所定数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割するとともに、1つのチャネルの一部のセグメント(例えば、9セグメント)を用いた部分受信が想定される。部分受信は、カーナビゲーションシステムなどの車載端末などの移動体を想定しているため、移動受信と称されてもよい。なお、35セグメントを用いた受信については、全部受信又は固定受信と称されてもよい。
【0004】
ところで、移動受信では、ビル影や高架下などのように、電界強度が大きく低下する場所において、映像・音声データを受信することができないことが想定される。このような事態を緩和するために、従来と同様の映像・音声データの伝送に加えて、高耐性な伝送パラメータを用いた補完用の音声データを伝送する手法が検討されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“地上放送高度化方式における高耐性な移動受信サービスの一検討”、映像情報メディア学会、放送技術研究会、vol.45, no.24, BCT2021-39, 2021, p.17-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電界強度が大きく低下する場所において、補完用の音声データを受信することができたとしても、映像については途切れたままである。さらに、放送波のレベルが大きく減衰するトンネル内においては、補完用の音声データについても受信することができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一態様は、1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製データを生成する複製部と、前記2以上の複製データの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製データの各々を時間毎に多重する再多重化部と、前記再多重化部から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部と、を備える、送信装置である。
【0009】
開示の一態様は、多重フレームを含む信号を受信し、受信された信号を復調する受信部と、前記多重フレームを復号する復号部と、を備え、前記多重フレームは、互いに異なる時間で出力される2以上の複製データの各々を時間毎に多重することによって生成され、前記2以上の複製データの各々は、1以上の階層化データを複製することによって生成される、受信装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放送波のレベルが大きく減衰するケースを想定した場合であっても、放送波を適切に受信することを可能とする送信装置及び受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るMMTPパケットを含むIPパケットを説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0013】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[開示の概要]
開示の概要に係る送信装置は、1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製データを生成する複製部と、前記2以上の複製データの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製データの各々を時間毎に多重する再多重化部と、前記再多重化部から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部と、を備える。
【0015】
開示の概要に係る受信装置は、多重フレームを含む信号を受信し、受信された信号を復調する受信部と、前記多重フレームを復号する復号部と、を備え、前記多重フレームは、互いに異なる時間で出力される2以上の複製データの各々を時間毎に多重することによって生成され、前記2以上の複製データの各々は、1以上の階層化データを複製することによって生成される。
【0016】
開示の概要によれば、送信装置は、互いに異なる時間で出力される2以上の複製データの各々を時間毎に多重することによって生成される多重フレームを含む信号を送信する。このような構成によれば、1以上の階層化データ(同一の内容を有する複製データ)が異なる時間で反復して送信されるため、放送波のレベルが一時的に大きく減衰するケースを想定した場合であっても、時間方向の冗長性が得られるため、1以上の階層化データを適切に受信することができる。
【0017】
1以上の階層化データは、ヘッダ及びペイロードを含むパケットであってもよい。同様に、複製データは、1以上の階層化データに相当するパケットであってもよい。1以上の階層化データ及び複製データは、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)に準拠するパケットで出力されてもよい。多重フレームは、同一の時間で出力される1以上の複製データを多重することによって生成されるパケットであると考えてもよい。1以上の複製データの多重は再多重と称されてもよい。
【0018】
[実施形態]
(デジタル無線伝送システム)
以下において、実施形態に係るデジタル無線伝送システムについて説明する。図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム1(以下、伝送システム1)を示す図である。図1に示すように、伝送システム1は、送信装置10及び受信装置20を備える。
【0019】
実施形態において、伝送システム1では、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)が採用される。高度化方式では、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、ISDB-Tよりも多い数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割される。高度化方式においても、部分受信(例えば、9セグメント)を想定した方式、非部分受信(26セグメント)を想定した方式が採用されている。
【0020】
伝送システム1では、SISO(Single-Input Single-Output)が用いられてもよく、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が用いられてもよい。伝送システム1では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0021】
送信装置10は、1以上の階層化データを含む伝送フレーム(以下、OFDMフレーム)を送信してもよい。送信装置10は、送信局と称されてもよく、送信システム10と称されてもよい。
【0022】
受信装置20は、1以上の階層化データを含むOFDMフレームを送信装置10から受信する装置である。受信装置20は、受信局と称されてもよい。
【0023】
階層化データは、A階層データ、B階層データ、C階層データを含んでもよい。A階層データは、A0階層データ、A1階層データ及びA2階層データを含んでもよい。
【0024】
(送信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。図2は、実施形態に係る送信装置10を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、送信装置10は、送出装置110と、再多重化装置120と、変調装置130と、送信機140と、を有する。
【0026】
送出装置110は、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。コンテンツは、1以上の階層化データの一例である。送出装置110は、1以上の階層化データをパケット形式で出力してもよい。送出装置110は、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)に準拠するパケットであってもよい。
【0027】
再多重化装置120は、1以上の階層化データの多重(再多重)を実行する。具体的には、再多重化装置120は、MMTPに基づいて、1以上の階層化データの多重(再多重)を実行してもよい(ISO/IEC 23008-1及びARIB STD-B60を参照)。再多重化装置120は、送出装置110から出力される1以上の階層化データ(パケット)を多重することによって多重フレームを構成する。MMTPにおいて、MMTPパケットは可変長であるため、再多重化装置120は、MMTPパケット及びNULLパケットを多重することによって固定長若しくは可変長の多重フレームを構成してもよい。例えば、再多重化装置120から出力される多重フレームが、XMI; eXtensible Modulator Interface)形式の固定長のIPパケットを構成する場合には、再多重化装置120は、一定のレートで多重フレームを変調装置130に出力することができる。
【0028】
変調装置130は、誤り訂正符号、キャリア変調、インタリーブなどの処理を実行することによってOFDMフレームを構成する。誤り訂正符号、キャリア変調、インタリーブなどの処理は、階層(例えば、A階層、B階層、C階層)毎に実行されてもよい。
【0029】
送信機140は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換などの処理を実行する。送信機140は、OFDMフレームを送信する。
【0030】
このような背景下において、送信装置10は、図3及び図4に示すように、送出装置110と再多重化装置120との間に処理部111を有してもよい。処理部111は、複製部113と、遅延部115と、を有する。
【0031】
複製部113は、送出装置110から出力される1以上の階層化データを複製することによって複製データを生成する。1以上の階層化データは、パケット形式で出力されてもよいため、複製データは、複製パケットと称されてもよい。複製パケットは、MMTPパケットであると考えてもよく、MMTPパケットを含むIPパケットであると考えてもよい。複製部113は、複製パケットを遅延部115に出力する。特に限定されるものではないが、複製部113は、10系統の複製パケットを出力してもよい。
【0032】
遅延部115は、複製部113から出力される2以上の複製パケットの各々を出力する時間を調整する。すなわち、遅延部115は、2以上の複製パケットの各々を異なる時間で出力する。遅延部115からパケットを出力する基準時刻とt=0とした場合に、t=0、t=5、・・・t=45のタイミングで、2以上の複製パケットの各々を出力する。
【0033】
従って、t=0のタイミングで処理部111から出力された複製パケットは、t=0+αのタイミングで再多重化装置120において多重される。同様に、t=5のタイミングで処理部111から出力された複製パケットは、t=5+αのタイミングで再多重化装置120において多重され、・・・、t=45のタイミングで処理部111から出力された複製パケットは、t=45+αのタイミングで再多重化装置120において多重される。なお、αは、再多重化装置120における処理遅延である。
【0034】
さらに、t=0+αのタイミングで再多重化装置120において構成される多重フレームは、t=0+α+βのタイミングで変調装置130において処理された上で送信機140から出力される。同様に、t=5+αのタイミングで再多重化装置120において構成される多重フレームは、t=5+α+βのタイミングで変調装置130において処理された上で送信機140から出力され、・・・、t=45+αのタイミングで再多重化装置120において構成される多重フレームは、t=45+α+βのタイミングで変調装置130において処理された上で送信機140から出力される。なお、βは、変調装置130及び送信機140における処理遅延である。
【0035】
なお、MMTPパケットを含むIPパケットは、図5に示す構成を有していてもよい。図5に示すように、IPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ及びMMTPパケットを含む。IPヘッダは、宛先IPアドレスを含む。UDPヘッダは、宛先ポート番号を含む。MMTPパケットは、MMTPパケットの先頭バイトが送出装置110から送信される時刻を示す時刻情報(timestamp)を含んでもよい。MMTPパケットは、MMTPパケットの順序を示すシーケンス番号(packet_sequence_number)を含んでもよい。宛先IPアドレス及び宛先ポート番号は、物理層(階層)の割り当てに用いる情報であってもよい。
【0036】
ここで、処理部111の処理としては、以下に示すオプションが考えられる。
【0037】
オプション1では、2以上の複製パケットの各々について互いに異なる宛先が指定されてもよい。宛先は、宛先IPアドレスを含んでもよく、宛先ポート番号を含んでもよい。
【0038】
具体的には、図3に示すように、複製部113は、送出装置110から出力される複製パケットのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスを書き換えてもよい。複製部113は、送出装置110から出力される複製パケットのUDPヘッダに含まれる宛先ポート番号を書き換えてもよい。
【0039】
このようなケースでは、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(階層)が異なるため、処理部111は、異なる内容を有する複製パケットを同一のタイミングで出力してもよい。例えば、処理部111は、t=0のタイミングにおいて、t=-45、・・・、t=-5及びt=0のタイミングで入力される10系統の複製パケットを再多重化装置120に出力してもよい。例えば、送出装置110から出力される複製パケットが48kbpsのレートである場合に、処理部111と再多重化装置120との間のレートは480kbpsであってもよい。
【0040】
オプション2では、2以上の複製パケットの各々について同一の宛先が指定されてもよい。宛先は、宛先IPアドレスを含んでもよく、宛先ポート番号を含んでもよい。
【0041】
具体的には、図4に示すように、複製部113は、送出装置110から出力される複製パケットのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスを書き換えずに、そのままパケットを出力してもよい。複製部113は、送出装置110から出力される複製パケットのUDPヘッダに含まれる宛先ポート番号を書き換えずに、そのまま複製パケットを出力してもよい。
【0042】
このようなケースでは、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(階層)が同一であるため、処理部111は、異なる内容を有する複製パケットを同一のタイミングで出力しなくてもよい。例えば、送出装置110から出力される複製パケットが48kbpsのレートである場合に、処理部111と再多重化装置120との間のレートは48kbpsであってもよい。
【0043】
実施形態では、複製部113は、1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製パケットを生成する複製部を構成する。遅延部115は、2以上の複製パケットの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部を構成する。再多重化装置120は、遅延部115から異なる時間で出力される2以上の複製パケットの各々を時間毎に多重する再多重化部を構成する。変調装置130及び送信機140は、再多重化装置120から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部を構成する。
【0044】
(受信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。図6は、実施形態に係る受信装置20を示すブロック図である。
【0045】
図6に示すように、受信装置20は、受信装置210と、復調装置220と、復号装置230と、を有する。
【0046】
受信装置210は、OFDMフレームを受信する。受信装置210は、希望信号を受信するためのバンドパス処理、RF信号をIF信号に変換する周波数変換、IF信号のA/D(Analog/Digital)変換などの処理を実行する。
【0047】
復調装置220は、デインタリーブ、キャリア復調、誤り訂正復号などの処理を実行することによって、1以上の階層化データを出力する。デインタリーブ、キャリア復調、誤り訂正復号などの処理は、階層(例えば、A階層、B階層、C階層)毎に実行されてもよい。
【0048】
復号装置230は、復調装置220から入力される1以上の階層化データ(IPパケット)を復号することによって、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。
【0049】
このような背景下において、復号装置230は、再構成部231と、デコード部233と、を有する。
【0050】
再構成部231は、復調装置から出力される1以上の階層化データ(多重フレーム)を再構成する。上述したように、2以上の複製パケット(例えば、MMTPパケットを含むIPパケット)の各々が互いに異なる時間で送信されるため、同一の内容を有するMMTPパケットが異なる時間で受信される。従って、再構成部231は、MMTPパケットの順序を示すシーケンス番号(packet_sequence_number)の連続性に基づいてMMTPパケットのロスを検出し、MMTPパケットのロスが検出された場合に、異なる時間で受信するMMTPパケットによって、ロスが検出されたMMTPパケットを補完する。
【0051】
言い換えると、復号装置230(再構成部231)は、複製パケット(例えば、MMTPパケット)に付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、2以上の複製パケットの中の欠落データ(欠落パケット)を検出し、2以上の複製パケットの中の欠落データ以外の補完データ(補完パケット)に基づいて欠落データを補完する。
【0052】
デコード部233は、再構成部231によって再構成された多重フレーム(固定長のIPパケット)を復号することによって、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。
【0053】
ここで、復調装置220及び復号装置230の処理としては、以下に示すオプションが考えられる。
【0054】
オプション1では、2以上の複製パケットの各々について互いに異なる宛先が指定されてもよい。宛先は、宛先IPアドレスを含んでもよく、宛先ポート番号を含んでもよい。
【0055】
具体的には、図7に示すように、再構成部231は、復調装置220から異なるタイミングで出力される複製パケットをバッファに格納するとともに、複製パケットによって構成される多重フレーム(固定長のIPパケット)を再構成する。デコード部233は、多重フレーム(固定長のIPパケット)を復号することによって、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。
【0056】
このようなケースでは、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(階層)が異なるため、復調装置220は、異なる内容を有する複製パケットを同一のタイミングで出力してもよい。例えば、処理部111は、t=0のタイミングにおいて、t=-45、・・・、t=-5及びt=0のタイミングで入力される10系統の複製パケットを復号装置230に出力してもよい。例えば、1つの複製パケットのレートが48kbpsである場合に、復調装置220と復号装置230との間のレートは480kbpsであってもよい。
【0057】
オプション2では、2以上の複製パケットの各々について同一の宛先が指定されてもよい。宛先は、宛先IPアドレスを含んでもよく、宛先ポート番号を含んでもよい。
【0058】
具体的には、図8に示すように、再構成部231は、復調装置220から異なるタイミングで出力される複製パケットをバッファに格納するとともに、複製パケットによって構成される多重フレーム(固定長のIPパケット)を再構成する。デコード部233は、多重フレーム(固定長のIPパケット)を復号することによって、映像、音声及び文字の中から選択された1以上の要素が多重されたコンテンツを出力する。
【0059】
このようなケースでは、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(階層)が同一であるため、復調装置220は、異なる内容を有する複製パケットを同一のタイミングで出力しなくてもよい。例えば、1つの複製パケットのレートが48kbpsである場合に、復調装置220と復号装置230との間のレートは48kbpsであってもよい。
【0060】
実施形態では、受信装置210及び復調装置220は、多重フレームを含む信号を受信し、受信された信号を復調する受信部を構成する。復号装置230は、多重フレームを復号する復号部を構成する。
【0061】
(作用及び効果)
実施形態では、送信装置10は、互いに異なる時間で出力される2以上の複製パケットの各々を時間毎に多重することによって生成される多重フレームを含む信号を送信する。このような構成によれば、1以上の階層化データ(同一の内容を有する複製パケット)が異なる時間で反復して送信されるため、放送波のレベルが一時的に大きく減衰するケースを想定した場合であっても、時間方向の冗長性が得られるため、1以上の階層化データを適切に受信することができる。
【0062】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0063】
変更例1では、送信装置10は、2以上の複製パケットの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を送信してもよい。受信装置20は、2以上の複製パケットの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を受信してもよい。
【0064】
ここで、2以上の複製パケットの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報は、特定情報と称されてもよい。特定情報は、MMTPパケットのヘッダに格納されてもよい。特定情報は、(a)同一の内容を有する複製パケットが異なる時間で送信されるか否かを示すフラグ、(b)同一の内容を有する複製パケットが異なる時間で送信される回数、(c)同一の内容を有する複製パケットが異なる時間で送信される間隔、(d)同一の内容を有する複製パケットについて最初の複製パケットから最後の複製パケットまでの時間の中から選択された1以上の情報を含んでもよい。
【0065】
ここで、受信装置20(再構成部231)は、異なる時間で送信される複製パケットを一時的に格納するバッファのサイズを特定情報に基づいて決定してもよい。受信装置20(再構成部231)は、特定情報を参照しながら欠落パケットを補完してもよい。
【0066】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0067】
上述した開示では、処理部111は、送出装置110と別体で設けられるケースについて説明したが、上述した開示はこれに限定されるものではない。処理部111は、送出装置110に設けられてもよく、再多重化装置120に設けられてもよい。
【0068】
上述した開示では特に触れていないが、2以上の複製パケットの各々が互いに異なる時間で出力される方法は、同一の内容を有する複製パケットの反復送信又は同一の内容を有する複製パケットの反復受信と称されてもよい。
【0069】
上述した開示では特に触れていないが、反復送信又は反復受信の対象とされる1以上の階層化データは、部分受信に対応する階層化データであってもよい。例えば、反復送信又は反復受信の対象とされる1以上の階層化データは、A階層データであってもよく、A階層データの少なくとも一部であってもよい。言い換えると、部分受信以外の非部分受信に対応する階層化データについては、反復送信又は反復受信が適用されなくてもよい。
【0070】
上述した開示では特に触れていないが、1以上の階層化データを構成するパケット(MMTPパケット又はMMTPパケットを含むIPパケット)の複製は、パケットを一時的にバッファに格納した上で、異なる時間でバッファからパケットを出力する態様を含んでもよい。
【0071】
上述した開示では特に触れていないが、多重フレーム(固定長のIPパケット)のサイズは、OFDMフレームのサイズよりも小さくてもよい。このようなケースであっても、同一の内容を有する複製パケットは、異なるOFDMフレームによって異なる時間で送信され得る。
【0072】
上述した開示では特に触れていないが、2以上の複製パケットの各々が互いに異なる時間で出力される方法は、トランスポート層における動作であると考えてもよい。
【0073】
上述した開示では、MMTPについて主として説明したが、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、MMTP以外のプロトコルに準拠して、1以上の階層化データがパケット形式で扱われてもよい。1以上の階層化データは、パケット形式で扱われなくてもよい。
【0074】
上述した開示では特に触れていないが、パケットは、ユニットと称されることがあってもよい。
【0075】
上述した開示では特に触れていないが、送信装置10及び受信装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0076】
或いは、送信装置10及び受信装置20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0077】
[付記]
上述した開示は、以下に示すように表現されてもよい。
【0078】
第1の特徴は、1以上の階層化データを複製することによって2以上の複製データを生成する複製部と、前記2以上の複製データの各々を互いに異なる時間で出力する遅延部と、前記遅延部から異なる時間で出力される前記2以上の複製データの各々を時間毎に多重する再多重化部と、前記再多重化部から出力される多重フレームを含む信号を変調し、変調された信号を送信する送信部と、を備える、送信装置である。
【0079】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記2以上の複製データの各々について互いに異なる宛先が指定される、送信装置である。
【0080】
第3の特徴は、第1の特徴において、前記2以上の複製データの各々について同一の宛先が指定される、送信装置である。
【0081】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記送信部は、前記2以上の複製データの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を送信する、送信装置である。
【0082】
第5の特徴は、多重フレームを含む信号を受信し、受信された信号を復調する受信部と、前記多重フレームを復号する復号部と、を備え、前記多重フレームは、互いに異なる時間で出力される2以上の複製データの各々を時間毎に多重することによって生成され、前記2以上の複製データの各々は、1以上の階層化データを複製することによって生成される、受信装置である。
【0083】
第6の特徴は、第5の特徴において、前記2以上の複製データの各々について互いに異なる宛先が指定される、受信装置である。
【0084】
第7の特徴は、第5の特徴において、前記2以上の複製データの各々について同一の宛先が指定される、受信装置である。
【0085】
第8の特徴は、第5の特徴乃至第7の特徴のいずれか1つにおいて、前記受信部は、前記2以上の複製データの各々が互いに異なる時間で出力される方法に関する情報を受信する、受信装置である。
【0086】
第9の特徴は、第5の特徴乃至第8の特徴のいずれか1つにおいて、前記復号部は、前記複製データに付加されるシーケンス番号の連続性に基づいて、前記2以上の複製データの中の欠落データを検出し、前記2以上の複製データの中の前記欠落データ以外の補完データに基づいて前記欠落データを補完する、受信装置である。
【符号の説明】
【0087】
1:デジタル無線伝送システム、10:送信装置、20:受信装置、110:送出装置、111:処理部、113:複製部、115:遅延部、120:再多重化装置、130:変調装置、140:送信機、210:受信装置、220:復調装置、230:復号装置、231:再構成部、233:デコード部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8