(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062723
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】湾曲管回転装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/028 20060101AFI20240501BHJP
B23K 37/047 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
B23K9/028 M
B23K37/047 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170755
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝則
【テーマコード(参考)】
4E081
【Fターム(参考)】
4E081AA14
4E081BA21
4E081CA08
4E081CA09
4E081CA10
4E081CA11
4E081CA14
4E081EA43
4E081EA47
4E081FA06
(57)【要約】
【課題】太さが異なる複数の管に対する適合性に優れる湾曲管回転装置を提供する。
【解決手段】三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ管7の中央縦断面に対する一方側で当接する第1支持面2aと、三次元凸曲面状をなし、湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ中央縦断面に対する他方側で当接する第2支持面3aと、三次元凸曲面状をなし、湾曲部7aに対し、湾曲の外側、中央縦断面に対する一方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の一方側で当接する第3支持面4aと、三次元凸曲面状をなし、湾曲部7aに対し、湾曲の外側、中央縦断面に対する前記他方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の前記一方側で当接する第4支持面5aとを有する、湾曲管回転装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管の湾曲部に対し、湾曲の外側、且つ前記管の中央縦断面に対する一方側で当接する第1支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、且つ前記管の前記中央縦断面に対する他方側で当接する第2支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、前記管の前記中央縦断面に対する一方側、且つ前記第1支持面及び前記第2支持面に対して垂直な方向に突出する前記管の長さ方向の一方側で当接する第3支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、前記管の前記中央縦断面に対する前記他方側、且つ前記第1支持面及び前記第2支持面に対して前記管の前記長さ方向の前記一方側で当接する第4支持面と、
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を介して前記管の前記湾曲部を固定され、前記基準面に対して傾斜する回転軸線の周りに前記管を回転させる回転軸とを有する、湾曲管回転装置。
【請求項2】
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を一体に保持する保持部と、
前記保持部を前記回転軸に対し、前記管の前記中央縦断面内で前記中心軸線に平行でない方向に位置調節可能に連結する調節機構とを有する、請求項1に記載の湾曲管回転装置。
【請求項3】
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を一体に保持する保持部を有し、
前記管の前記湾曲部を前記保持部に拘束する拘束部材としてのU字ボルトの両端部を貫通させる一対の拘束部材固定部を前記保持部が有し、
各々の前記拘束部材固定部は、太さが異なる複数の管に対応する複数の寸法のU字ボルトに適合するように、複数孔又は長孔で構成される、請求項1に記載の湾曲管回転装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の湾曲管回転装置の前記回転軸に、太さが異なる複数の前記管の前記湾曲部を順次固定し、前記管の一端側部分を前記回転軸線上で回転させる、湾曲管回転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湾曲管回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エルボ管などの管の湾曲部を固定され、管を回転させる回転軸を有する湾曲管回転装置が知られている(例えば特許文献1参照)。湾曲管回転装置によれば、管の一端側部分を回転軸の回転軸線上で回転させることで、当該一端側部分に対する全周に亘る溶接又は切断などの加工を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
湾曲管回転装置は、太さが異なる複数の管に対する適合性に優れることが望ましい。
【0005】
そこで本発明の目的は、太さが異なる複数の管に対する適合性に優れる湾曲管回転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
平面状の基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管の湾曲部に対し、湾曲の外側、且つ前記管の中央縦断面に対する一方側で当接する第1支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、且つ前記管の前記中央縦断面に対する他方側で当接する第2支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、前記管の前記中央縦断面に対する一方側、且つ前記第1支持面及び前記第2支持面に対して垂直な方向に突出する前記管の長さ方向の一方側で当接する第3支持面と、
前記基準面に対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、前記管の前記湾曲部に対し、前記湾曲の外側、前記管の前記中央縦断面に対する前記他方側、且つ前記第1支持面及び前記第2支持面に対して前記管の前記長さ方向の前記一方側で当接する第4支持面と、
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を介して前記管の前記湾曲部を固定され、前記基準面に対して傾斜する回転軸線の周りに前記管を回転させる回転軸とを有する、湾曲管回転装置。
【0008】
[2]
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を一体に保持する保持部と、
前記保持部を前記回転軸に対し、前記管の前記中央縦断面内で前記中心軸線に平行でない方向に位置調節可能に連結する調節機構とを有する、[1]に記載の湾曲管回転装置。
【0009】
[3]
前記第1支持面、前記第2支持面、前記第3支持面及び前記第4支持面を一体に保持する保持部を有し、
前記管の前記湾曲部を前記保持部に拘束する拘束部材としてのU字ボルトの両端部を貫通させる一対の拘束部材固定部を前記保持部が有し、
各々の前記拘束部材固定部は、太さが異なる複数の管に対応する複数の寸法のU字ボルトに適合するように、複数孔又は長孔で構成される、[1]又は[2]に記載の湾曲管回転装置。
【0010】
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の湾曲管回転装置の前記回転軸に、太さが異なる複数の前記管の前記湾曲部を順次固定し、前記管の一端側部分を前記回転軸線上で回転させる、湾曲管回転方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、太さが異なる複数の管に対する適合性に優れる湾曲管回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の湾曲管回転装置を3つ並べて太さが異なる管を固定した状態を示す外観図である。
【
図2】
図1に示す状態を3つの湾曲管回転装置の並列方向から示す外観図である。
【
図4】(a)は、
図1に示す湾曲管回転装置を用いて管の一端側部分を回転軸の回転軸線上で回転させた時の芯ブレがない状態を回転軸線に沿う方向に見て示す概念図であり、(b)は、(a)とは対照的に芯ブレがある状態を示す概念図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の湾曲管回転装置を2つ並べて太さが異なる管を固定した状態を示す外観図である。
【
図6】
図5に示す状態を2つの湾曲管回転装置の並列方向から示す外観図である。
【
図8】本発明の第3実施形態の湾曲管回転装置に管を固定した状態を示す外観図である。
【
図9】
図8に示す状態を別の方向から示す外観図である。
【
図10】本発明の第4実施形態の湾曲管回転装置を5つ並べて太さが異なる管を固定した状態を5つの湾曲管回転装置の並列方向から示す外観図である。
【
図11】
図10に示す状態から、固定する管をより短い管に取り換えて調節機構による芯合わせを行っている時の状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
図1~
図3に示すように、本発明の第1実施形態において湾曲管回転装置1は、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a、第4支持面5a及び回転軸6を有する。なお
図1は、同じ湾曲管回転装置1を3つ並べて太さが異なる管7を固定した状態を示し、
図2は、
図1に示す状態を3つの湾曲管回転装置1の並列方向から示す。
【0015】
第1支持面2aは、平面状の基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ管7の中央縦断面に対する一方側で当接する。
【0016】
三次元凸曲面状とは、基準面Pに垂直な第1断面においても、基準面Pと第1断面との両方に垂直な第2断面においても凸曲面状をなすことを意味する。第1支持面2aは、三次元凸曲面状として、基準面Pに垂直な軸線を中心とする回転面状をなす。なお第1支持面2aは回転面状をなす構成に限らない。
【0017】
管7は、湾曲部7aが直角に曲がるエルボ管であり、湾曲円筒状をなす。なお管7はエルボ管に限らず、湾曲部7aが鋭角又は鈍角に曲がる構成であってもよい。また管7は湾曲円筒状に限らず、例えば、湾曲楕円筒状、湾曲角筒状などをなす構成であってもよい。
【0018】
管7の中央縦断面とは、管7の長さ方向に湾曲して延びる管7の中心軸線を含む平面状の断面を意味する。
図2は、管7の中央縦断面に垂直な方向に見た時の外観を示す。
【0019】
第2支持面3aは、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ管7の中央縦断面に対する他方側で当接する。第2支持面3aは、三次元凸曲面状として、基準面Pに垂直な軸線を中心とする回転面状をなす。なお第2支持面3aは回転面状をなす構成に限らない。
【0020】
第3支持面4aは、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、管7の中央縦断面に対する一方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の一方側で当接する。第3支持面4aは、三次元凸曲面状として、基準面Pに垂直な軸線を中心とする回転面状をなす。なお第3支持面4aは回転面状をなす構成に限らない。
【0021】
第4支持面5aは、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、管7の中央縦断面に対する前記他方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の前記一方側で当接する。第4支持面5aは、三次元凸曲面状として、基準面Pに垂直な軸線を中心とする回転面状をなす。なお第4支持面5aは回転面状をなす構成に限らない。
【0022】
第1支持面2aと第2支持面3aは、管7の中央縦断面に垂直な共通の軸線(第1共通軸線X1)上に位置するように設けられる。より具体的には、第1支持面2aと第2支持面3aは、管7の中央縦断面に垂直な方向に整列するように設けられる。なお第1支持面2aと第2支持面3aの配置はこれに限らず、例えば、管7の中央縦断面に垂直な方向に整列はしないが第1共通軸線X1上に配置される構成としてもよいし、第1共通軸線X1上に配置されない構成としてもよい。
【0023】
第3支持面4aと第4支持面5aは、管7の中央縦断面に垂直な共通の軸線(第2共通軸線X2)上に位置するように設けられる。より具体的には、第3支持面4aと第4支持面5aは、管7の中央縦断面に垂直な方向に整列するように設けられる。なお第3支持面4aと第4支持面5aの配置はこれに限らず、例えば、管7の中央縦断面に垂直な方向に整列はしないが第2共通軸線X2上に配置される構成としてもよいし、第2共通軸線X2上に配置されない構成としてもよい。
【0024】
第1支持面2aと第3支持面4aは、管7の中央縦断面に平行な共通の軸線(第3共通軸線X3)上に位置するように設けられる。より具体的には、第1支持面2aと第3支持面4aは、管7の中央縦断面に平行な方向に整列するように設けられる。なお第1支持面2aと第3支持面4aの配置はこれに限らず、例えば、管7の中央縦断面に平行な方向に整列はしないが第3共通軸線X3上に配置される構成としてもよいし、第3共通軸線X3上に配置されない構成としてもよい。
【0025】
第2支持面3aと第4支持面5aは、管7の中央縦断面に平行な共通の軸線(第4共通軸線X4)上に位置するように設けられる。より具体的には、第2支持面3aと第4支持面5aは、管7の中央縦断面に平行な方向に整列するように設けられる。なお第2支持面3aと第4支持面5aの配置はこれに限らず、例えば、管7の中央縦断面に平行な方向に整列はしないが第4共通軸線X4上に配置される構成としてもよいし、第4共通軸線X4上に配置されない構成としてもよい。
【0026】
第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aは、基準面Pに平行な共通の平面(共通平面)上に位置するように設けられる。より具体的には、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aは、基準面Pからの高さが揃うように設けられる。なお第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aの配置はこれに限らず、例えば、基準面Pからの高さが揃ってはいないが共通平面上に配置される構成としてもよいし、共通平面上に配置されない構成としてもよい。
【0027】
回転軸6は、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aを介して管7の湾曲部7aを固定され、基準面Pに対して45°の角度で傾斜する回転軸線Oの周りに管7を回転させる。なお、回転軸線Oは基準面Pに対して45°以外の角度で傾斜する構成としてもよい。
【0028】
回転軸6は、図示しない駆動装置によって回転軸線Oの周りに回転される。駆動装置の構成は特に限定されない。
【0029】
湾曲管回転装置1は、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aを一体に保持する保持部8を有する。保持部8は、基準面Pに平行な平板状をなす保持板部9と、保持板部9から突出する第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5とを有する。第1支持面2aは第1支持部2の先端面によって構成され、第2支持面3aは第2支持部3の先端面によって構成され、第3支持面4aは第3支持部4の先端面によって構成され、第4支持面5aは第4支持部5の先端面によって構成される。なお、保持部8は、基準面Pに平行な平板状をなす保持板部9を有する構成に限らない。
【0030】
第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5はそれぞれ、三次元凸曲面状の端壁部と、端壁部によって一端が閉塞された周壁部とを有し、周壁部の他端は保持板部9に一体に連なる。このような中空構造の採用により、軽量化を図ることができる。しかし、第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5の構成はこれに限らず、例えば中実構造を採用してもよい。
【0031】
第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5はそれぞれ、鋼鉄(好ましくは塗装が必要ないステンレス)などの金属製である。第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5を金属製とすることで、その高い剛性により、管7の精密で安定した固定を実現できる。しかし、第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4及び第4支持部5はそれぞれ、金属製に限らない。
【0032】
保持部8は、管7の湾曲部7aを保持部8に拘束する拘束部材としてのU字ボルト10の両端部を挿入される一対の拘束部材固定部11を有し、各々の拘束部材固定部11は、太さが異なる複数の管7に対応する複数の寸法のU字ボルト10に適合するように、複数孔で構成される。各々の拘束部材固定部11を構成する孔の数は、本実施形態では3つであるがこれに限らず、用いるU字ボルト10の異なる寸法の数に応じて適宜設定できる。各々の拘束部材固定部11は複数孔に限らず、例えば、
図5~
図7に示す第2実施形態のように長孔で構成してもよい。
【0033】
U字ボルト10は、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aによって支持された管7の湾曲部7aにおける湾曲の内側に掛けられ、両端部が一対の拘束部材固定部11に挿入された状態で、両端部にナット12を締結されることにより、管7の湾曲部7aを保持部8に固定する。
【0034】
一対の拘束部材固定部11は、管7の長さ方向において、第1支持面2a及び第2支持面3aと第3支持面4a及び第4支持面5aとの間に設けられる。より具体的には、一対の拘束部材固定部11は、管7の中央縦断面に垂直な共通の軸線(第5共通軸線X5)上に位置するように設けられ、第5共通軸線X5は、管7の長さ方向において、第1共通軸線X1と第2共通軸線X2の間に位置する。より具体的には、第5共通軸線X5は、管7の長さ方向において、第1共通軸線X1と第2共通軸線X2の中間に位置し、一対の拘束部材固定部11は、管7の中央縦断面に垂直な方向に整列するように設けられる。
【0035】
なお一対の拘束部材固定部11の配置はこれに限らず、例えば、第5共通軸線X5が管7の長さ方向において第1共通軸線X1と第2共通軸線X2の中間以外に配置される構成としてもよいし、一対の拘束部材固定部11が第5共通軸線X5上に位置するが、一対の拘束部材固定部11が管7の中央縦断面に垂直な方向に整列しない構成としてもよいし、一対の拘束部材固定部11が第5共通軸線X5上に位置しない構成としてもよい。
【0036】
管7の湾曲部7aを保持部8に拘束する拘束部材としてU字ボルト10以外の例えばバンドなどの部材を使用する構成としてもよい。この場合、拘束部材固定部11の構成は拘束部材の構成に応じて適宜設定できる。拘束部材固定部11を保持部8以外の部分に設ける構成としてもよい。
【0037】
湾曲管回転装置1によれば、回転軸6に、太さが異なる複数の管7の湾曲部7aを順次固定し、管7の一端側部分7b(すなわち、湾曲部7aに対し管7の長さ方向の前記一方側に位置する部分)を回転軸線O上で回転させる(すなわち、本発明の実施形態の湾曲管回転方法を行う)ことができる。また、湾曲管回転装置1は、三次元凸曲面状の第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aを有するため、太さが異なる複数の管7の湾曲部7aに対し、管7の一端側部分7bと回転軸線Oの間の芯ブレが少なくなるように適合することができる。したがって、湾曲管回転装置1によれば、管7の一端側部分7bに対する全周に亘る溶接又は切断などの加工を容易に行うことができる。
【0038】
例えば、
図4に示すような溶接の場合、芯ブレが大きいと
図4(b)に示すように加工ツール13を大きく上下動させる必要があり、加工が困難になるのに対し、
図4(a)に示すように芯ブレがなければ加工ツール13を上下動させる必要がなく加工が容易である。
【0039】
なお、湾曲管回転装置1を使用できる溶接は特に限定されず、例えば、TIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はプラズマアーク溶接等のGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接や、MAG(Metal Active Gas)、MIG(Metal Inert Gas)又はCO2溶接等のGMA(Gas Metal Arc)溶接と呼ばれる消耗電極式の溶接などが含まれる。
【0040】
湾曲管回転装置1を適合させる管7の太さは特に限定されないが、例えば、外径がφ114.3mm、φ139.8mm、φ165.2mm、φ216.3mm、φ267.4mm、φ318.5mm、φ355.6mmなどの管7のうちの2つ以上に適合できるように湾曲管回転装置1を構成することができる。
【0041】
湾曲管回転装置1は、
図5~
図7に示す第2実施形態のように、細い管7に適合するために、管7の湾曲部7aとの干渉を避けるための穴14(例えば貫通穴)が保持部8に設けられる構成としてもよい。
【0042】
湾曲管回転装置1は、例えば、
図8~
図9に示す第3実施形態や
図10~
図11に示す第4実施形態のように、保持部8を回転軸6に対し、管7の中央縦断面内で中心軸線に平行でない方向に位置調節可能に連結する調節機構16を有する構成としてもよい。このような構成によれば、太さが異なる複数の管7に対して個別に必要に応じて調節機構16を使用し、芯ブレを低減させることができる。
【0043】
第3実施形態では、調節機構16は、保持部8を回転軸6に対し、管7の中央縦断面内で中心軸線に対して傾斜する方向に位置調節可能に連結する。より具体的には、保持部8は基準面Pに平行な平板状をなし、調節機構16により、管7の中央縦断面内で基準面Pに沿う方向に位置調節される。調節機構16は保持部8を位置調節のためにスライドさせるスライド機構16aを含む。
【0044】
第4実施形態では、調節機構16は、保持部8を回転軸6に対し、管7の中央縦断面内で中心軸線に垂直な方向に位置調節可能に連結する。より具体的には、保持部8は、保持板部9に一体に連なる連結部15を有し、連結部15が調節機構16により、管7の中央縦断面内で中心軸線に垂直な方向に位置調節される。調節機構16は連結部15を位置調節のためにスライドさせるスライド機構16aを含む。
【0045】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0046】
したがって、前述した実施形態の湾曲管回転装置1は、平面状の基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ管7の中央縦断面に対する一方側で当接する第1支持面2aと、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、且つ管7の中央縦断面に対する他方側で当接する第2支持面3aと、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、管7の中央縦断面に対する一方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の一方側で当接する第3支持面4aと、基準面Pに対して垂直な方向に突出する三次元凸曲面状をなし、管7の湾曲部7aに対し、湾曲の外側、管7の中央縦断面に対する前記他方側、且つ第1支持面2a及び第2支持面3aに対して管7の長さ方向の前記一方側で当接する第4支持面5aと、第1支持面2a、第2支持面3a、第3支持面4a及び第4支持面5aを介して管7の湾曲部7aを固定され、基準面Pに対して傾斜する回転軸線Oの周りに管7を回転させる回転軸6とを有する、湾曲管回転装置1である限り変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 湾曲管回転装置
2 第1支持部
2a 第1支持面
3 第2支持部
3a 第2支持面
4 第3支持部
4a 第3支持面
5 第4支持部
5a 第4支持面
6 回転軸
7 管
7a 湾曲部
7b 一端側部分
8 保持部
9 保持板部
10 U字ボルト
11 拘束部材固定部
12 ナット
13 加工ツール
14 穴
15 連結部
16 調節機構
16a スライド機構
O 回転軸線
P 基準面
X1 第1共通軸線
X2 第2共通軸線
X3 第3共通軸線
X4 第4共通軸線
X5 第5共通軸線