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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006293
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/779 20230101AFI20240110BHJP
【FI】
H04N5/376 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107045
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有井 卓
(72)【発明者】
【氏名】平田 友希
(72)【発明者】
【氏名】米持 元
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX47
5C024GX07
5C024GY31
5C024HX03
5C024HX15
5C024HX23
5C024JX45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広ダイナミックレンジ撮影を行うことが可能な撮像素子及び撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子の処理回路部において、処理ブロックの露光制御部10は、画素の制御のタイミングの基準となる信号を生成する信号生成部(レジスタ300)と、基準となる信号を遅延させて、タイミングの信号として出力する遅延回路306と、を含む。遅延回路は、周波数の異なる複数のクロックのうち、遅延の量に基づいた周波数のクロックを用いて信号を遅延させる。信号生成部は、互いにタイミングが異なる複数の基準の信号のうちの1つの信号を遅延回路に出力する。遅延回路は、1つの信号を遅延させて、1つの信号によるタイミングと他の信号によるタイミングとの間のタイミングの信号を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素の制御のタイミングの基準となる信号を生成する信号生成部と、
前記基準となる信号を遅延させて、前記タイミングの信号として出力する遅延回路と
を含む撮像素子。
【請求項2】
前記遅延回路は、周波数の異なる複数のクロックのうち、遅延の量に基づいた周波数のクロックを用いて信号を遅延させる請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記信号生成部は、互いにタイミングが異なる複数の基準の信号のうちの1つの信号を前記遅延回路に出力し、
前記遅延回路は、前記1つの信号を遅延させて、前記1つの信号によるタイミングと他の信号によるタイミングとの間のタイミングの信号を出力する請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記遅延回路は、他の回路と共用するクロックに基づいて信号を遅延させる請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記他の回路は、前記画素からの画素信号をデジタル信号に変換する変換回路である請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記タイミングは、前記画素の露光開始および露光終了のいずれか一方である請求項1に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記遅延回路は、複数の前記画素のうちの第1画素を制御する信号を出力する第1遅延回路、複数の前記画素のうちの第2画素を制御する信号を出力する第2遅延回路とを含み、
前記第1遅延回路と前記第2遅延回路とは異なる量でそれぞれの信号を遅延させる請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
請求項1に記載の撮像素子を備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単位画素が行列状に2次元配置された固体撮像素子が知られている(例えば、特許文献1)。従来よりダイナミックレンジの拡大が求められている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2011-244309号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、撮像素子であって、画素の制御のタイミングの基準となる信号を生成する信号生成部と、基準となる信号を遅延させて、タイミングの信号として出力する遅延回路とを含む。
【0004】
本発明の第2の態様においては、撮像装置であって、上記撮像素子を含む。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。
図2】画素部110の具体的な構成の一例を示す。
図3】画素112の回路構成の一例を示す。
図4】処理回路部210のより具体的な構成の一例を示す。
図5】撮像素子400の配線方法の一例を説明するための模式的な断面図である。
図6】露光および読み出しのタイミングチャートを模式的に示す。
図7】露光制御部10の特に信号DLY_HITを生成する回路ブロックを示す。
図8】信号DLY_HITを生成するタイミングチャートを示す。
図9】信号DLY_HITを生成するタイミングチャートの他の例を示す。
図10】他の露光制御部12の特に信号DLY_HITを生成する回路ブロックを示す。
図11】露光制御部12で信号DLY_HITを生成するタイミングチャートを示す。
図12】実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
本明細書において、X軸とY軸とは互いに直交し、Z軸はXY平面に直交する。XYZ軸は右手系を構成する。Z軸と平行な方向を撮像素子400の積層方向と称する場合がある。本明細書において、「上」及び「下」の用語は、重力方向における上下方向に限定されない。これらの用語は、Z軸方向における相対的な方向を指すに過ぎない。なお、本明細書では、X軸方向の配列を「行」とし、Y軸方向の配列を「列」として説明するが、行列方向はこれに限定されない。また、Z軸方向が被写体からの光が入射する光軸方向となっている。
【0009】
図1は、本実施形態に係る撮像素子400の概要を示す図である。撮像素子400は、被写体を撮像する。撮像素子400は、撮像された被写体の画像データを生成する。撮像素子400は、第1基板100および第2基板200を備える。図1に示すように、第1基板100は、第2基板200に積層されている。
【0010】
第1基板100は、画素部110を有する。画素部110は、入射された光に基づく画素信号を出力する。なお、第1基板100を画素チップと呼ぶことがある。
【0011】
第2基板200は、処理回路部210および周辺回路部230を有する。なお、第2基板200を信号処理チップと呼ぶことがある。
【0012】
処理回路部210は、第1基板100から出力された画素信号が入力される。処理回路部210は、入力された画素信号を処理する。例えば、処理回路部210は、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理を行う。具体的には、処理回路部210は、入力された画素信号をデジタル信号に変換する処理を行う。処理回路部210は他の信号処理を行ってもよい。
【0013】
本例の処理回路部210は、第2基板200において、画素部110と対向する位置に配置されている。すなわち、処理回路部210は光軸方向について少なくとも部分的に画素部110と重なるように配される。処理回路部210は、画素部110の駆動を制御するための制御信号を画素部110に出力してもよい。
【0014】
周辺回路部230は、処理回路部210の駆動を制御する。周辺回路部230は、第2基板200において、処理回路部210の周辺に配置されている。また、周辺回路部230は、第1基板100と電気的に接続され、画素部110の駆動を制御してもよい。
【0015】
撮像素子400は、第1基板100および第2基板200に加えて、第2基板200に積層された第3基板を有してもよい。例えば、第3基板はメモリチップであって、第2基板200が出力した信号に応じた画像処理を行う。また、撮像素子400の構造は、裏面照射型であっても、表面照射型であってもよい。以下、裏面照射型の例で説明する。
【0016】
図2は、画素部110の具体的な構成の一例を示す。本例では、画素部110と、画素部110に設けられた画素ブロック120の拡大図を示している。
【0017】
画素部110は、行方向および列方向に沿って並んで配置された複数の画素ブロック120を有する。本例の画素部110は、M×N個(M,Nは、自然数)の画素ブロック120を有する。本例では、MがNと等しい場合を図示しているが、MとNは異なっていてもよい。
【0018】
画素ブロック120は、少なくとも1つの画素112を有する。本例の画素ブロック120は、m×n個(m,nは、自然数)の画素112を有する。例えば、画素ブロック120は、16×16個の画素112を有する。画素ブロック120に対応する画素112の個数はこれに限定されない。本例では、mがnと等しい場合を図示しているが、mはnと異なっていてもよい。画素ブロック120は、行方向において共通の制御線に接続された複数の画素112を有する。例えば、画素ブロック120のそれぞれの画素112は、同一の露光時間に設定されるように共通の制御線に接続されている。一例において、行方向に並ぶn個の画素112が共通の制御線によって接続される。
【0019】
一方、複数の画素ブロック120同士では、それぞれ異なる露光時間に設定されてよい。即ち、画素ブロック120のそれぞれの画素112は同一の露光時間であるが、他の画素ブロック120では異なる露光時間に設定されてよい。例えば、画素ブロック120の画素112が行方向に共通の制御線で接続されている場合に、他の画素ブロック120の画素112が異なる制御線で共通に接続される。
【0020】
画素ブロック120は、後述する処理ブロック220に対応して配置される。本実施形態では、1つの処理ブロック220に対して、1つの画素ブロック120が配置されている。
【0021】
画素112は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。画素112は、光電変換された電荷を蓄積する。m個の画素112は、列方向に沿って並んで配置され、共通の信号線122に接続されている。そして、m個の画素112は、画素ブロック120において、行方向にn列並んで配列されている。
【0022】
換言すれば、画素ブロック120は、共通の制御線および/または信号線で接続された複数の画素112のあつまりである。また、画素ブロック120は、同一の露光時間が設定される複数の画素112の回路の最小単位であるともいえる。
【0023】
図3は、画素112の回路構成の一例を示す。画素112は、光電変換部104と、転送部123と、排出部124と、リセット部126と、画素出力部127とを備える。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。本例では、転送部123、排出部124、リセット部126、増幅部128および選択部129は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0024】
光電変換部104は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部104は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部104は、例えば、フォトダイオードである。
【0025】
転送部123は、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。転送部123は、光電変換部104の電荷を転送するトランスファーゲートの一例である。換言すれば、転送部123をゲートとし、光電変換部104をソースとし、蓄積部125をドレインとして、これらがいわゆる転送トランジスタを構成している。
【0026】
排出部124は、光電変換部104に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。なお、本例では、排出部124は、光電変換部104の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0027】
蓄積部125は、転送部123により光電変換部104からの電荷が転送される。蓄積部125は、フローティングディフュージョン(FD)の一例である。
【0028】
リセット部126は、蓄積部125の電荷を所定の電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。
【0029】
画素出力部127は、蓄積部125の電位に基づく信号を信号線122に出力する。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。増幅部128は、ゲート端子が蓄積部125に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部129のドレイン端子に接続される。
【0030】
選択部129は、画素112と信号線122の間の電気的な接続を制御する。選択部129により画素112と信号線122が電気的に接続されると、画素112から信号線122に画素信号が出力される。選択部129のソース端子は負荷電流源121に接続されている。
【0031】
負荷電流源121は、信号線122に電流を供給する。負荷電流源121は、第1基板100に設けられてもよいし、第2基板200に設けられてもよい。
【0032】
以降、光電変換部104に蓄積された電荷、蓄積部125に転送された電荷および蓄積部125の電位に基づく信号のいずれか、または、これらを総称して、画素信号と称する場合がある。
【0033】
付言すれば、画素112は少なくとも1つの光電変換部104と、当該少なくとも1つの光電変換部104からの画像信号を信号線122に読み出す読出部としての画素出力部127等と、を備えている。画素112は、画像を構成する画素信号を信号線122に出力する回路の最小単位であるともいえる。
【0034】
図4は、処理回路部210のより具体的な構成の一例を示す。本例では、処理回路部210と、処理回路部210に設けられた処理ブロック220の拡大図を示している。
【0035】
処理回路部210は、行方向および列方向に沿って並んで配置された処理ブロック220を有する。本例の処理回路部210は、M×N個の処理ブロック220を有する。
【0036】
本実施形態において、処理ブロック220と画素ブロック120は光軸方向から見て重なった位置に配される。この場合に、処理ブロック220と画素ブロック120の面積は隣接するブロック間のマージンを含めて略同一であってよい。
【0037】
処理ブロック220は、電気的に接続された画素ブロック120の駆動を制御する。処理ブロック220と画素ブロック120とが電気的に接続されていることを、対応する、と呼ぶ場合がある。本実施形態では、互いに重なった位置に配された処理ブロック220と画素ブロック120とが接続されている。しかしながら、重なった位置に配された処理ブロック220と画素ブロック120とが接続されることに代えて、互いに重ならない位置に配された処理ブロック220と画素ブロック120とが接続されてもよい。
【0038】
例えば、処理ブロック220は、対応する画素ブロック120の露光時間を制御する。また、処理ブロック220は、ADコンバータ42等の処理回路を有し、対応する画素ブロック120が出力した信号を処理する。一例において、処理ブロック220は、対応する画素ブロック120から出力されたアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。本例の処理ブロック220は、露光制御部10と、画素駆動部20と、接合部30と、信号変換部40と、信号出力部50とを備える。
【0039】
露光制御部10は、複数の画素112の露光を制御する。露光制御部10は、画素112の露光時間を制御するための信号を生成する。一例において、露光制御部10は、露光の開始タイミングまたは終了タイミングの少なくとも1つを調整して、画素ブロック120毎の露光時間を制御する。
【0040】
画素駆動部20は、複数の画素112と電気的に接続される。画素駆動部20は、露光制御部10からの信号に基づき、複数の画素112から、任意の画素112を選択して駆動する。撮像素子400は、入射光の強度に応じて、画素ブロック120毎に露光時間の設定が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0041】
接合部30は、第1基板100と第2基板200とを接合する。接合部30は、第1基板100から入力された画素信号を信号変換部40に入力する。接合部30は、行方向に配置されたn個の画素112に対応して設けられ、信号変換部40に画素信号を列毎に入力する。
【0042】
信号変換部40は、画素部110が出力したアナログ信号をデジタル変換する。本例の信号変換部40は、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。信号変換部40は、列方向に配列されたm個の画素112からのアナログ信号を順次デジタル変換する。信号変換部40は、行方向に並んだn個のADコンバータ42を有する。ADコンバータ42のそれぞれは、対応する画素ブロック120の対応する列の画素112からのアナログ信号を並列にデジタル変換する。これは、一つの画素ブロック120に対していわゆるカラムADC方式であるともいえる。
【0043】
信号出力部50は、信号変換部40からデジタル信号を受信する。一例において、信号出力部50は、デジタル信号を一時的に記憶する。信号出力部50は、デジタル信号を記憶するためのラッチ回路を有してよい。
【0044】
なお、1つの画素ブロック120に対して1つの処理ブロック220を設けることに代えて、N個(Nは2以上の自然数)の画素ブロック120に対して1つの処理ブロック220を設けてもよい。1つの処理ブロックに対応したN個の画素ブロック120を画素ブロック群と称することがある。例えば、列方向に沿って並んで配置された2つの画素ブロック120を1つの画素ブロック群として、1つの処理ブロック220を設けてもよい。この場合、処理ブロック220は、画素ブロック120毎に露光時間を制御してもよい。
【0045】
付言すれば、処理ブロック220は、少なくとも1つの画素ブロック120に電気的に接続され、当該少なくとも1つの画素ブロック120の画素信号を処理する回路の最小単位であるともいえる。また、処理回路部210は、処理ブロック220の群で構成されているともいえる。
【0046】
図5は、撮像素子400の配線方法の一例を説明するための模式的な断面図である。図5において、複数の信号線(例えばビット数に対応する互いに並行する信号線)を1本の信号線で代表して示している場合がある。
【0047】
周辺回路部230は、処理ブロック220のそれぞれを個別に制御するための信号を供給するブロック制御部240と、処理回路部210に共通した制御の信号を供給する共通制御部250とを有する。ブロック制御部240は信号線242によりそれぞれの処理ブロック220の露光制御部10に接続される。共通制御部250は信号線252によりそれぞれの処理ブロック220の露光制御部10に接続されるとともに、信号線254により信号変換部40に接続される。
【0048】
画素駆動部20は、信号線141でリセット部126のゲート端子に接続される。信号線142は転送部123のゲート端子に接続される。信号線143は排出部124のゲート端子に接続される。信号線144は選択部129のゲート端子に接続される。
【0049】
接合部30からの信号線130は電源電圧を供給しており、信号線132はグランドである。信号線122には上記の通り画素信号が読み出される。
【0050】
複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200が互いに接合する接合面に設けられる。第1基板100のバンプ152は、第2基板200のバンプ152と位置合わせされている。対向する複数のバンプ152は、第1基板100および第2基板200の加圧処理等により接合されて、電気的に接続される。
【0051】
図6は、露光および読み出しのタイミングチャートを模式的に示す。図6においてはフレーム(n)に関する信号以外の信号は省略している。
【0052】
図6の例において、1フレームの時間は固定されており、例えば1msである。図6ではフレームの区切りの説明のためFRMのタイミングも図示した。フレーム(n)の開始時刻をT0とする。
【0053】
露光時間は排出制御信号φTX2で制御される。まず時刻T1において排出制御信号φTX2を生成するタイミングを示す信号DLY_HITが生成される。信号DLY_HITの生成については後述する。
【0054】
信号DLY_HITがオンになってからカウンタRST_CNTに基づいて画素ブロック120内のn行の排出制御信号φTX2<n>が順次オンになる。その後にオフになる立下り時から露光が開始する(<0>行の画素について時刻T2)。
【0055】
次にカウンタRST_CNTに基づいて、転送制御信号φTX1が順次オンになる。その後にオフになる立下り時で露光が終了する(<0>行の画素について時刻T4)。これにより、光電変換部104に蓄積された電荷が蓄積部125に転送されて、画素信号として信号線122に読み出される。
【0056】
付言すれば、<0>行の画素については時刻T2からT4が露光時間となる。なお、1フレームよりも長い露光時間の場合には、転送制御信号φTX1および選択制御信号φSEL<n>をスキップする。また、図6の例においては、リセット制御信号φRSTが排出制御信号φTX2とが同じタイミングになっているが、必ずしも同じタイミングでなくてもよい。同様に、図6の例においては、選択制御信号φSEL<n>が転送制御信号φTX1とが同じタイミングになっているが、必ずしも同じタイミングでなくてもよい。
【0057】
図6の例によれば、信号DLY_HITを処理ブロック220毎に生成することで、処理ブロック220に対応する画素ブロック120毎に露光開始の時間を制御することができる。一方、転送および読み出しのタイミングは処理回路部210で共通となっている。
【0058】
図7は、露光制御部10の特に信号DLY_HITを生成する回路ブロックを示す。露光制御部10は、レジスタ300、トリガ選択回路302、クロック選択回路304、遅延回路306、カウンタ308を有する。
【0059】
図8は、信号DLY_HITを生成するタイミングチャートを示す。図8においてはフレーム(n)に関する信号以外の信号は省略している。
【0060】
レジスタ300は、フレーム(n)が開始する前、すなわちフレーム(n-1)の時間内に、ブロック制御部240からクロックREG_CLKに同期してこの処理ブロック220の露光に関するデータREG_DATを供給される。データREG_DATには、信号DLY_HITを発生させる時刻T1の情報が含まれる。
【0061】
トリガ選択回路302には、共通制御部250から信号TRG_SIGが入力される。信号TRG_SIGは、1/1フレーム、1/2フレーム、1/4フレームなど、フレーム開始時刻T0から、予め定められた互いに異なるタイミングで発生する信号である。トリガ選択回路302には、例えば1/(2n)フレーム(nは1から8の自然数)の、8種類の信号TRG_SIG#1から#8が入力される。
【0062】
クロック選択回路304には、共通制御部250からクロックGLB_CLKが入力される。本例において、クロックGLB_CLKは複数のブロック制御部240に対して共通である。さらに、本例においてクロックGLB_CLKは他の回路の一例としてのADコンバータ42と共用される。ADコンバータ42は例えばシングルスロープ方式であってよい。クロック選択回路304には、ADコンバータ42のビット数に対応した種類のクロックGLB_CLK#1から#12が入力される。クロックGLB_CLK#1から#12は、上記の各信号TRG_SIG間の時間に比べて、十分に周波数が高い。ここで、下位ビットに対応するクロックGLB_CLKの方が周波数が高く、例えば2倍になっている。
【0063】
レジスタ300は、データREG_DATに基づいて、時刻T1に信号DLY_HITを発生させるために用いる信号TRG_SIGの種類、クロックGLB_CLKの種類およびクロック数を決定する。例えば、レジスタ300はまず時刻T1より前であって最も近い信号TRG_SIGを選択する(図8の例では信号TRG_SIG#2)。次に、時刻T1と信号TRG_SIGの時刻TAとの差に基づいて、クロックGLB_CLKの種類およびクロック数を決定する。ここで、遅延量をより低い周波数のクロックGLB_CLKでカウントするように、すなわちカウントするクロックの数がより少なくなるようにクロックGLB_CLKの種類を選ぶことが好ましい(図8の例ではクロックGLB_CLK#1)。選択する信号TRG_SIGの種類とその遅延に用いるクロックGLB_CLKの種類とが予め対応付けられていてもよい。その上でクロック数を決定する(図8の例では7クロック)。
【0064】
レジスタ300は、選択した信号TRG_SIGの種類を信号TRG_SELとしてトリガ選択回路302に出力する。トリガ選択回路302は、信号TRG_SELで特定された信号TRG_SIGがオンになったときに、それを基準となる信号ORG_HITとして遅延回路306に入力する。
【0065】
さらに、レジスタ300は、選択したクロックGLB_CLKの種類を信号CLK_SELとしてクロック選択回路304に出力する。クロック選択回路304は、信号CLK_SELで特定されたクロックを遅延用のクロックDLY_CLKとして遅延回路306に入力する。
【0066】
さらに、レジスタ300は、決定したクロック数を信号DLY_CNTとして遅延回路306に入力する。遅延回路306は、信号ORG_HITがオンになってから、信号DLY_CNTで特定されるカウント数分だけクロックDLY_CLKをカウントして信号ORG_HITを遅延させた信号DLY_HITを生成する。遅延回路306は生成した信号DLY_HITをカウンタ308に入力する。
【0067】
カウンタ308は信号DLY_HITが入力されたら、クロックCOL_CLKに基づいて行を順にカウントしたカウンタRST_CNTを画素駆動部20に出力する。画素駆動部20はカウンタRST_CNTで示される行nの画素112のリセット制御信号φRSTおよび排出制御信号φTX2<n>をオンにする。
【0068】
上記の通り、基準となる信号ORG_HITを、共通制御部250から入力されたクロックGLB_CLKを用いて遅延させることにより、画素112を制御するタイミングの信号DLY_HITを生成する。これにより、基準となる信号ORG_HITの元となる信号TRG_SIGとは異なるタイミングの信号を生成することができる。例えば、信号TRG_SIG#1と信号TRG_SIG#2との間のタイミングの信号を生成することができる。この場合に、他の回路とクロックGLB_CLKを共用することにより、回路規模を抑えつつ、露光時間を細かく制御、すなわち露出段数を多くすることができる。
【0069】
図9は、信号DLY_HITを生成するタイミングチャートの他の例を示す。図9において図8と同じ構成および動作について説明を省略する。
【0070】
図9の例において、基準となる信号ORG_HITとして信号TRG_SIG#3が選択されている。さらに、信号ORG_HITを遅延させる遅延用のクロックDLY_CLKとしてクロックGLB_CLK#2が選択されている。信号ORG_HITの時刻TBから、クロックGLB_CLK#2で7クロック分遅延させることにより、時刻T5のタイミングの信号DLY_HITが生成される。
【0071】
図9図8と比較すると、遅延させるクロックの数は同じであるが、遅延用のクロックの周波数が異なるので、遅延量は異なっている。より具体的にはクロックGLB_CLK#2の方がクロックGLB_CLK#1よりも周波数が低いので、遅延量は多くなっている。ここで、図9の場合にも、高い周波数であるクロックGLB_CLK#1を用いて遅延させることもできるが、低い周波数のクロックGLB_CLK#2を用いることによりカウントするクロック数を減らすことができる。カウントするクロック数を抑えることで、遅延回路306の回路規模を抑えることができる。
【0072】
なお、図7から図9の例では信号ORG_HITを遅延させている。これに代えて、共通制御部250からの信号TRG_SIGを遅延回路306で遅延させて、それらのいずれかをトリガ選択回路302で選択してタイミング信号DLY_HITとしてもよい。
【0073】
図10は、他の露光制御部12の特に信号DLY_HITを生成する回路ブロックを示す。図11は、露光制御部12で信号DLY_HITを生成するタイミングチャートを示す。
【0074】
露光制御部12において、図7の露光制御部10と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。露光制御部12は、露光制御部10のトリガ選択回路302を用いない点が主に異なる。
【0075】
露光制御部12において、信号DLY_HITはクロック選択回路304で選択されたクロックGLB_CLKを遅延回路312でカウント数DLY_CNTだけカウントすることで、生成される。これは、フレームの開始信号FRMを基準として、それを遅延させることにより時刻T6の信号DLY_HITを生成しているともいえる。さらには、クロックGLB_CLKから信号DLY_HITを生成しているともいえる。
【0076】
以上、図10および図11に示す例において複数の基準となる信号TRG_SIGを用意することなく、露光時間を制御することができる。さらに、他の回路とクロックGLB_CLKを共用することにより、回路規模を抑えつつ、露光時間を細かく制御、すなわち露出段数を多くすることができる。
【0077】
以上、いずれの例においても、転送制御信号φTX1および選択制御信号φSELが画素部110で共通して制御される一方で、リセット制御信号φRSTおよび排出制御信号φTX2が画素ブロック120毎に信号DLY_HITで個別に制御される。しかしながらこれに代えて、リセット制御信号φRSTおよび排出制御信号φTX2が画素部110で共通して制御される一方で、転送制御信号φTX1および選択制御信号φSELが画素ブロック120毎に信号DLY_HITで個別に制御されてもよい。これにより露光終了の時間を画素ブロック120毎に制御できる。
【0078】
また、上記の例において、ADコンバータ42のクロックGLB_CLKを信号DLY_HITの遅延に用いている。これに代えて他の回路、例えば信号出力部50においてデータ転送に用いられるクロックを信号DLY_HITの遅延に用いていてもよい。
【0079】
なお、上記いずれの実施形態においても、画素112の排出部124を省略してもよい。さらに、転送部123も省略してもよいが、その場合には蓄積部125はフローティングディフュージョンとしての機能を有しなくなる。また、蓄積部125、画素出力部127を他の画素と共有してもよい。また、画素112は複数の光電変換部104および転送部123で構成してもよい。
【0080】
図12は、実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮像素子400と、システム制御部501と、駆動部502と、測光部503と、ワークメモリ504と、記録部505と、表示部506と、駆動部514と、撮影レンズ520とを備える。撮像素子400を備える例で説明するが、これに代えて撮像素子900を備えてもよい。
【0081】
撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子400へと導く。撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであってもよい。なお、図12では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
【0082】
駆動部514は、撮影レンズ520を駆動する。一例において、駆動部514は、撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更する。また、駆動部514は、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子400に入射する被写体光束の光量を制御してよい。
【0083】
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子400のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路を有する。また、操作部508は、レリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
【0084】
撮像素子400は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施した画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
【0085】
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。
【0086】
演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子400で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子400に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子400に搭載されてもよい。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0089】
10、12 露光制御部、20 画素駆動部、30 接合部、40 信号変換部、42ADC、50 信号出力部、100 第1基板、104 光電変換部、110 画素部、112 画素、120 画素ブロック、121 負荷電流源、122、130、132、141、142、143、144、242、252、254 信号線、123 転送部、124 排出部、125 蓄積部、126 リセット部、127 画素出力部、128 増幅部、129 選択部、152 バンプ、200 第2基板、210 処理回路部、220 処理ブロック、230 周辺回路部、240 ブロック制御部、250 共通制御部、300 レジスタ、302 トリガ選択回路、304 クロック選択回路、306 遅延回路、308 カウンタ、400 撮像素子、500 撮像装置、501 システム制御部、502 駆動部、503 測光部、504 ワークメモリ、505 記録部、506 表示部、508 操作部、511 画像処理部、512 演算部、514 駆動部、520 撮影レンズ
図1
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図12