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特開2024-63018情報処理装置、撮像装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063018
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、撮像装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/487 20060101AFI20240501BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240501BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240501BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240501BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20240501BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240501BHJP
   G02B 7/40 20210101ALI20240501BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240501BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20240501BHJP
【FI】
G01S7/487
G01S17/89
G01C3/06 120Q
G01C3/06 110V
G01C3/06 120S
G01C3/06 130
G01C3/06 140
G01C3/06 120P
G02B7/28 N
G02B7/34
G02B7/36
G02B7/40
G03B13/36
H04N23/67
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017961
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2021565366の分割
【原出願日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2019227582
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】林 健吉
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測距対象として意図しない光沢性物体からの反射光に起因する誤測距を回避することができる情報処理装置、撮像装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、プロセッサと、プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を含み、プロセッサは、光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定し、光照射器による面照射に対応する受光期間に、受光器に含まれる特定画素が異なるタイミングで複数の信号を生成する場合、プロセッサは、複数の信号の関係に基づいて第1距離を測定する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を含み、
前記プロセッサは、光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、前記光の前記測距対象領域からの反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて前記測距対象領域内の物体までの第1距離を測定し、
前記面照射に対応する受光期間に、前記受光器に含まれる特定画素が異なるタイミングで複数の信号を生成する場合、前記プロセッサは、前記特定画素によって生成された複数の信号であって、基準閾値を上回る複数の信号の関係に基づいて前記第1距離を測定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の信号の関係とは、前記複数の信号の強度の時系列分布である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の信号に、基準閾値を上回る強度を有する信号が複数含まれている場合、前記プロセッサは、前記複数の信号のうちの前記強度が2番目に大きな信号に対応する前記反射光を前記受光器が受光した前記受光タイミングに基づき前記第1距離を測定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記複数の信号に、第1閾値以上の第1強度を有する第1信号と、前記第1閾値未満であり、かつ、前記第1閾値よりも小さな第2閾値以上の第2強度を有する第2信号とが含まれている場合、特定の処理を実行する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1閾値及び前記第2閾値は、環境光によるノイズ成分に基づいて定められている
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1閾値は、前記受光タイミングが遅くなるほど減少する値である
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定の処理は、前記第2信号に対応する前記反射光を前記特定画素が受光した前記受光タイミングに基づき前記第1距離を測定する処理である
請求項4から請求項6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定の処理は、前記複数の信号の強度に前記第1強度が含まれていることを通知する処理を含む
請求項4から請求項7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特定の処理は、前記測距対象領域が第1撮像器によって撮像されることで得られた画像に基づいて前記物体までの第2距離を測定する画像使用型測距を含む
請求項4から請求項8の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記照射タイミングと前記受光タイミングとに基づいて前記第1距離を測定する動作に並行して、前記測距対象領域が第2撮像器によって撮像されることで得られた画像に基づいて前記物体までの第2距離を測定する画像使用型測距を行い、
前記特定の処理は、前記画像使用型測距の測距結果に基づく処理を含む
請求項4から請求項8の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記画像使用型測距は、位相差画素から前記画像として得られた位相差画像に従って前記第2距離を測定する位相差画像使用測距、ステレオ撮像方式で前記画像として得られたステレオ画像に従って前記第2距離を測定するステレオ画像使用測距、及び前記画像から検出された物画像であって、大きさが既知の物を示す物画像に従って前記第2距離を測定する物画像使用測距のうちの少なくとも1つである
請求項9又は請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記特定の処理は、前記測距対象領域に含まれる被写体が第3撮像器によって撮像されることで得られた被写体画像のコントラストに基づく前記第3撮像器に対するフォーカス制御を含む
請求項4から請求項11の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記測距対象領域は、与えられた指示に従って限定された特定の実空間領域である
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記測距対象領域は、第4撮像器によって撮像されることで得られた撮像画像から前記プロセッサによって検出された対象被写体画像に対応する特定の実空間領域である
請求項1から請求項13の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記照射タイミングと前記受光タイミングとに基づいて測定した前記第1距離を用いることで第5撮像器に対してフォーカス制御を行う
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記複数の信号の強度は、前記受光タイミングに応じて調整されている
請求項1から請求項15の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記受光器は、二次元状に配置された複数の前記特定画素を有し、
前記プロセッサは、前記複数の特定画素について、前記照射タイミングと前記受光タイミングとに基づいて前記第1距離を測定する
請求項1から請求項16の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17の何れか一項に記載の情報処理装置と、
フォーカスレンズと、を含み、
前記プロセッサは、前記第1距離に従って定められた合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させるフォーカス制御を行う
撮像装置。
【請求項19】
光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射すること、
前記光の前記測距対象領域からの反射光を受光器が受光すること、
前記光照射器が前記光を前記測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、前記反射光を前記受光器が受光した受光タイミングとに基づいて前記測距対象領域内の物体までの第1距離を測定すること、及び
前記面照射に対応する受光期間に、前記受光器に含まれる特定画素が異なるタイミングで複数の信号を生成する場合、基準閾値を上回る前記複数の信号の関係に基づいて前記第1距離を測定すること、を含む
情報処理方法。
【請求項20】
コンピュータに処理を実行させるためのプログラムであって、
前記処理は、
光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射すること、
前記光の前記測距対象領域からの反射光を受光器が受光すること、
前記光照射器が前記光を前記測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、前記反射光を前記受光器が受光した受光タイミングとに基づいて前記測距対象領域内の物体までの第1距離を測定すること、及び
前記面照射に対応する受光期間に前記受光器に含まれる特定画素が異なるタイミングで複数の信号を生成する場合、基準閾値を上回る前記複数の信号の関係に基づいて前記第1距離を測定すること、を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、情報処理装置、撮像装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光発信装置と、レーザ光発信装置から発射されたレーザ光を計測対象に対して送信し、計測対象からの反射光を集光する光学系を備えたレーザ測距装置が開示されている。特許文献1に記載にレーザ測距装置は、光学系受信視野の透過位置と大きさとを視野内で任意に変更可能な視野制限機構を備え、受信視野内の視野制限機構を経た位置の計測対象内の計測目標までの距離を計測する。
【0003】
特許文献2には、車両の進行方向に向けて電磁波を出射し、電磁波の反射波に基づいて物体を検知する物体検知装置が開示されている。特許文献2に記載の物体検知装置は、電磁波を、水平方向と垂直方向に、スキャン範囲においてスキャンしつつ出射する出射手段と、電磁波の反射波を受信する受信手段と、受信手段により受信された反射波のレベルを取得する取得手段と、反射波のレベルが最大となる領域の垂直方向の位置と、スキャン範囲の垂直方向の中心の位置に基づいて第1のズレ補正量を演算する演算手段と、演算手段により演算された第1のズレ補正量に基づいて、スキャン範囲の垂直方向の中心の位置を補正するとともに、反射波により物体からの距離を計測する補正手段と、を備えている。また、特許文献2に記載の物体検知装置の出射手段は、スキャン範囲の垂直方向の中心の位置を中心とする中心領域において、水平方向のうちの所定の方向である第1の方向にスキャンし、中心領域の上の領域において、第1の方向と逆方向である第2の方向にスキャンしつつ出射する第1のスキャン処理と、中心領域において第1の方向にスキャンし、中心領域の下の領域において第2の方向にスキャンしつつ出射する第2のスキャン処理とを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-057343号公報
【特許文献2】特開2006-349694号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、測距対象として意図しない光沢性物体からの反射光に起因する誤測距を回避することができる情報処理装置、撮像装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術に係る第1の態様は、プロセッサと、プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を含み、プロセッサが、光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定し、第1距離が、光照射器による面照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミングに受光器によって生成された複数の信号のうち、複数の信号の関係と複数の信号の強度とに基づいて選択された信号に対応する受光タイミングと照射タイミングとに基づいてプロセッサによって測定される情報処理装置である。
【0007】
本開示の技術に係る第2の態様は、第1距離の測定に用いられる受光タイミングが、複数の信号のうちの強度が2番目に大きな信号に関する反射光を受光器が受光したタイミングである第1の態様に係る情報処理装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第3の態様は、プロセッサが、複数の信号の強度に、第1閾値以上の第1強度と、第1閾値未満であり、かつ、第1閾値よりも小さな第2閾値以上の第2強度とが含まれている場合に、特定の処理を実行する第1の態様又は第2の態様に係る情報処理装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第4の態様は、第1閾値及び第2閾値が、環境光によるノイズ成分に基づいて定められている第3の態様に係る情報処理装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第5の態様は、第1閾値が、受光タイミングが遅くなるほど減少する値である第3の態様又は第4の態様に係る情報処理装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第6の態様は、特定の処理が、複数の信号の強度に第1強度が含まれていることを通知する処理を含む第3の態様から第5の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第7の態様は、特定の処理が、測距対象領域が撮像されることで得られた画像に基づいて物体までの第2距離を測定する画像使用型測距を含む第3の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第8の態様は、プロセッサが、照射タイミングと受光タイミングとに基づいて第1距離を測定する動作に並行して、測距対象領域が撮像されることで得られた画像に基づいて物体までの第2距離を測定する画像使用型測距を行い、特定の処理が、画像使用型測距の測距結果に基づく処理を含む第3の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第9の態様は、画像使用型測距が、位相差画素から画像として得られた位相差画像に従って第2距離を測定する位相差画像使用測距、ステレオ撮像方式で画像として得られたステレオ画像に従って第2距離を測定するステレオ画像使用測距、及び画像から検出された物画像であって、大きさが既知の物を示す物画像に従って第2距離を測定する物画像使用測距のうちの少なくとも1つである第7の態様又は第8の態様に係る情報処理装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第10の態様は、特定の処理が、測距対象領域に含まれる被写体が撮像器によって撮像されることで得られた被写体画像のコントラストに基づく撮像器に対するフォーカス制御を含む第3の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第11の態様は、測距対象領域が、与えられた指示に従って限定された特定の実空間領域である第1の態様から第10の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第12の態様は、測距対象領域が、撮像されることで得られた撮像画像からプロセッサによって検出された対象被写体画像に対応する特定の実空間領域である第1の態様から第11の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第13の態様は、プロセッサが、照射タイミングと受光タイミングとに基づいて測定した第1距離を用いることで撮像器に対してフォーカス制御を行う第1の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第14の態様は、複数の信号の強度が、受光タイミングに応じて調整されている第1の態様から第13の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0020】
本開示の技術に係る第15の態様は、受光器は、二次元状に配置された複数の光電変換素子を有し、プロセッサは、複数の光電変換素子について、照射タイミングと受光タイミングとに基づいて第1距離を測定する第1の態様から第14の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置である。
【0021】
本開示の技術に係る第16の態様は、第1の態様から第15の態様の何れか1つの態様に係る情報処理装置と、フォーカスレンズと、を含み、プロセッサが、第1距離に従って定められた合焦位置にフォーカスレンズを移動させるフォーカス制御を行う撮像装置である。
【0022】
本開示の技術に係る第17の態様は、光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射すること、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光すること、及び光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定することを含み、第1距離が、光照射器による面照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミングに受光器によって生成された複数の信号のうち、複数の信号の関係と複数の信号の強度とに基づいて選択された信号に対応する受光タイミングと照射タイミングとに基づいて測定される情報処理方法である。
【0023】
本開示の技術に係る第18の態様は、コンピュータに処理を実行させるためのプログラムであって、処理が、光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射すること、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光すること、及び光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定することを含み、第1距離が、光照射器による面照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミングに受光器によって生成された複数の信号のうち、複数の信号の関係と複数の信号の強度とに基づいて選択された信号に対応する受光タイミングと照射タイミングとに基づいて測定されるプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係るスマートデバイスの使用態様の一例を示す概略斜視図である。
図2】第1実施形態に係るスマートデバイスの背面側の外観の一例を示す背面視斜視図である。
図3】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれる測距撮像装置によって撮像領域が撮像され、ディスプレイに可視光画像が表示されている態様の一例を示す概念図である。
図4】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれる測距撮像装置によって撮像領域に対してレーザ光を照射している態様の一例を示す概念図である。
図5】第1実施形態に係るスマートデバイスの光電変換素子に含まれる各画素の配置の一例を示す概略斜視図である。
図6図5に示す光電変換素子に含まれる第1位相差画素及び第2位相差画素に対する被写体光の入射特性の一例を示す概念図である。
図7図5に示す光電変換素子に含まれる非位相差画素の構成の一例を示す概略構成図である。
図8】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれる測距撮像装置によって撮像領域に対する第1測距が行われることで得られた測距結果に基づく距離画像がディスプレイに表示されている態様の一例を示す概念図である。
図9】第1実施形態に係るスマートデバイスの電気系ハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図10】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれるCPUの機能の一例を示すブロック図である。
図11図10に示す第1測距制御部の処理内容の一例を示す概念図である。
図12】第1実施形態に係るスマートデバイスによって第1測距が行われる場面の一例を示す概念図である。
図13】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれる第1測距系処理回路の処理内容の一例を示す概念図である。
図14】第1実施形態に係るスマートデバイスに含まれる第1測距系処理回路の時系列分布生成部によって生成された時系列分布の一例を示す概念図である。
図15図10に示す第1距離取得部、時系列分布取得部、判定部、及び実行部の処理内容の一例を示すブロック図である。
図16図15に示す判定部による判定方法の説明に用いる説明図である。
図17図15に示す実行部によって実行される第1撮像処理の内容の一例を示すブロック図である。
図18図15に示す実行部によって実行される特定の処理の内容の一例を示すブロック図である。
図19図15に示す実行部によって実行される第2測距開始処理及び第2距離取得処理の内容の一例を示すブロック図である。
図20図15に示す実行部によって実行される特定の処理の詳細の一例を示す概念図である。
図21】第1実施形態に係るスマートデバイスによってディスプレイに表示されている画像選択画面内の第1可視光画像がユーザによってタッチパネルを介して選択された場合の処理内容の一例を示す概念図である。
図22】第1実施形態に係るスマートデバイスによってディスプレイに表示されている画像選択画面内の第2可視光画像がユーザによってタッチパネルを介して選択された場合の処理内容の一例を示す概念図である。
図23】第1実施形態に係る第1測距系処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図24A】第1実施形態に係る測距撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図24B図17Aに示すフローチャートの続きである。
図24C図17Aに示すフローチャートの続きである。
図25】第2実施形態に係るスマートデバイスに含まれるCPUの機能の一例を示すブロック図である。
図26】第2実施形態に係るスマートデバイスによって行われるコントラストAF方式の撮像に関する処理内容の一例を示す概念図である。
図27】第2実施形態に係る実行部によって実行される特定の処理の詳細の一例を示す概念図である。
図28図14に示すとは異なるパターンの時系列分布の一例を示す概念図である。
図29】時系列分布に対してフィルタが適用される態様の一例を示す概念図である。
図30】フィルタが適用されることで調整された時系列分布の一例を示す概念図である。
図31】第1又は第2実施形態に係る測距撮像処理プログラムがスマートデバイスにインストールされる態様の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る撮像装置の実施形態の一例について説明する。
【0026】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0027】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。A/Dとは、“Analog/Digital”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。LTEとは、“Long Term Evolution”の略称を指す。5Gとは、“5th Generation”の略称を指す。LDとは、“Laser Diode”の略称を指す。IRとは、“Infrared”の略称を指す。APDとは、“Avalanche Photodiode”の略称を指す。TOFとは、
“Time of Flight”の略称を指す。fpsとは、“frame per second”の略称を指す。LEDとは、“Light Emitting Diode”の略称を指す。ROIとは、“Region of Interest”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。AFとは、“Auto Focus”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。
【0028】
本明細書の説明において、「水平」とは、完全な水平の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの水平を指す。本明細書の説明において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの平行を指す。本明細書の説明において、「垂直」とは、完全な垂直の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの垂直を指す。本明細書の説明において、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの一致を指す。
【0029】
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、スマートデバイス10は、画角θ1で規定された撮像領域を撮像する撮像動作(以下、単に「撮像動作」とも称する)と、測距動作とを行う。本第1実施形態において、「測距」とは、スマートデバイス10から撮像領域までの距離を測定する処理を指す。ここで、撮像領域は、本開示の技術に係る「測距対象領域」の一例である。また、スマートデバイス10は、本開示の技術に係る「情報処理装置」及び「撮像装置」の一例である。スマートデバイス10としては、例えば、撮像機能付きの電子機器であるスマートフォン又はタブレット端末等が挙げられる。
【0030】
スマートデバイス10では、測距方式が互いに異なる第1測距及び第2測距が行われる。第1測距は、スマートデバイス10がレーザ光を撮像領域に向けて照射したタイミングと、レーザ光の撮像領域からの反射光をスマートデバイス10が受光したタイミングとに基づいて撮像領域内の物体までの距離を測定する方式(以下、「アクティブ方式」とも称する)の測距である。ここで、レーザ光は、本開示の技術に係る「光」の一例である。また、ここでは、レーザ光が撮像領域に向けて面照射される。なお、面照射とは、レーザ光が撮像領域に向けてビーム径がスポット照射よりも拡がる照射を指す。面照射では、レーザ光のビーム径が、レーザ光の照射方向に沿って徐々に拡がり、ビーム径が単位時間あたりに拡がる度合いは、スポット照射よりも面照射の方が大きい。つまり、スポット照射では、撮像領域のある面に対して点状にレーザ光が照射されるのに対し、面照射では、撮像領域のある面に対して面状にレーザ光が照射される。また、レーザ光の照射は単発でもよいが、定期的に(例えば、0.1秒毎)に間欠的に行われるようにしてもよく、この場合、レーザ光の照射毎に第1測距が行われ、測距結果に基づく処理が行われるようにしてもよい。
【0031】
第2測距は、スマートデバイス10によって撮像領域が撮像されることで得られた画像に基づいて、撮像領域内の物体までの距離を測定する方式(以下、「パッシブ方式」とも称する)の測距である。なお、第2測距は、本開示の技術に係る「画像使用型測距」の一例である。
【0032】
スマートデバイス10では、アクティブ方式の測距とパッシブ方式の測距とを併用したハイブリッド方式の測距が行われる。そして、スマートデバイス10では、アクティブ方式フォーカス制御を伴う撮像と、パッシブ方式フォーカス制御を伴う撮像とが行われる。アクティブ方式フォーカス制御とは、アクティブ方式の測距が行われることによって得られた測距結果に基づくフォーカス制御を指す。パッシブ方式フォーカス制御とは、パッシブ方式の測距が行われることによって得られる測距結果に基づくフォーカス制御を指す。
【0033】
一例として図2に示すように、スマートデバイス10は、筐体12を備えている。筐体12には、測距撮像装置14が収容されている。測距撮像装置14は、光照射器16及び受光器18を備えている。光照射器16は、LD24を備えており、スマートデバイス10において、撮像動作及び測距動作は、測距撮像装置14によって行われる。
【0034】
スマートデバイス10の側面には、指示キー13が配置されている。指示キー13は、各種の指示を受け付ける。ここで言う「各種の指示」とは、例えば、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、及び選択内容の消去の指示等を指す。
【0035】
スマートデバイス10を縦置きの状態にした場合の筐体12の背面12Aの左上部(縦置きの状態のスマートデバイス10の背面視左上部)には、透光窓20及び22が設けられている。透光窓20及び22は、透光性を有する光学素子(例えば、レンズ)であり、水平方向に沿って既定の間隔(例えば、数ミリの間隔)で配置されており、背面12Aから露出している。光照射器16は、LD24から出射されたレーザ光を、透光窓20を介して撮像領域に向けて照射する。本第1実施形態では、赤外波長域のレーザ光が光照射器16によって撮像領域に向けて照射されている。なお、レーザ光の波長域は、これに限らず、他の波長域のレーザ光であってもよい。
【0036】
受光器18は、透光窓22を介してIR反射光を取り込む。IR反射光とは、光照射器16によって測距対象に照射されたレーザ光の測距対象からの反射光を指す。また、受光器18は、透光窓22を介して可視光反射光を取り込む。可視光反射光とは、撮像領域に対して照射された可視光(例えば、太陽光に含まれる可視光)の撮像領域からの反射光を指す。なお、以下では、説明の便宜上、IR反射光と可視光反射光とを区別して説明する必要がない場合、単に「反射光」と称する。
【0037】
受光器18は、本開示の技術に係る「撮像器」の一例であり、光電変換素子26を備えている。光電変換素子26は、透光窓22を介して受光器18に取り込まれた反射光を受光し、受光した反射光の光量に応じた電気信号を出力する。
【0038】
一例として図3に示すように、筐体12の前面12Bには、タッチパネル・ディスプレイ59が設けられている。タッチパネル・ディスプレイ59は、ディスプレイ46及びタッチパネル48を備えている。ディスプレイ46の一例としては、有機ELディスプレイが挙げられる。ディスプレイ46は、有機ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイなどの他種類のディスプレイであってもよい。
【0039】
ディスプレイ46は、画像(例えば、ライブビュー画像及び再生画像)及び文字情報等を表示する。タッチパネル48は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ46の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル48は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示を受け付ける。なお、ここでは、タッチパネル・ディスプレイ59の一例として、タッチパネル48がディスプレイ46の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ59として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0040】
スマートデバイス10では、撮像を開始する指示がタッチパネル48によって受け付けられると、受光器18によって撮像領域が撮像される。すなわち、受光器18は、可視光反射光を受光し、受光した可視光反射光に応じた画像として、撮像領域を示す可視光画像を生成する。可視光画像は、本開示の技術に係る「画像」、「被写体画像」及び「撮像画像の一例である。
【0041】
可視光画像は、タッチパネル48によって受け付けられた指示に応じて、ライブビュー画像又は静止画像として、ディスプレイ46に表示される。図3に示す例では、撮像領域が画角θ1によって規定されている。画角θ1は、タッチパネル48によって受け付けられた指示に従って変更される。
【0042】
一例として図4に示すように、スマートデバイス10では、測距及び撮像を開始する指示(以下、「測距撮像開始指示」とも称する)がタッチパネル48によって受け付けられると、光照射器16によってレーザ光が照射される。レーザ光が照射される角度(以下、「照射角度」とも称する)は、θ2であり、照射角度θ2は、タッチパネル48によって受け付けられた指示に従って変更される。なお、図4に示す例では、可視光画像がライブビュー画像としてディスプレイ46に表示されている状態でタッチパネル48によって受け付けられた測距撮像開始指示に応じて測距が開始される形態例を挙げて説明しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、可視光画像がディスプレイ46に表示されていない状態でタッチパネル48によって測距撮像開始指示が受け付けられた場合に測距が開始されるようにしてもよい。
【0043】
スマートデバイス10では、光照射器16によってレーザ光が照射されてから、受光器18によってIR反射光が受光されるまでに要する時間と、光速とに基づいて、スマートデバイス10から測距対象までの距離が測定される。例えば、測距対象までの距離を“L”とし、光速を“c”とし、レーザ光の飛行時間、すなわち、光照射器16によってレーザ光が照射されてから受光器18よってIR反射光が受光されるまでに要する時間(以下、単に「飛行時間」とも称する)を“t”とすると、距離Lは、“L=c×t×0.5”の式に従って算出される。
【0044】
一例として図5に示すように、光電変換素子26は、マトリクス状に配置された複数のフォトダイオードを有している。複数のフォトダイオードの一例としては、“4896×3265”画素分のフォトダイオードが挙げられる。
【0045】
光電変換素子26に含まれる各フォトダイオードには、カラーフィルタが配置されている。カラーフィルタは、輝度信号を得るために最も寄与するG(緑色)波長域に対応するGフィルタ、R(赤色)波長域に対応するRフィルタ、B(青色)波長域に対応するBフィルタ、及びIR(赤外)波長域に対応するIRフィルタを含む。なお、本第1実施形態において、Gフィルタ、Rフィルタ、及びBフィルタは、赤外光をカットする赤外光カットフィルタとしての機能も有する。
【0046】
光電変換素子26は、位相差画素と、位相差画素とは異なる画素である非位相差画素Nとの2種類の感光画素によって形成されている。一般的に、非位相差画素Nは、通常画素とも称される。光電変換素子26は、非位相差画素として、R画素、G画素、B画素、及びIR画素の4種類の感光画素を有する。R画素、G画素、B画素、IR画素、及び位相差画素は、行方向(水平方向)及び列方向(垂直方向)の各々に既定の周期性で規則的に配置されている。R画素は、Rフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素であり、G画素及び位相差画素は、Gフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素であり、B画素は、Bフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素であり、IR画素は、IRフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素である。IR画素の一例としては、InGaAs APDが挙げられる。
【0047】
なお、以下では、説明の便宜上、Gフィルタ、Rフィルタ、及びBフィルタを区別して説明する必要がない場合、「可視光フィルタ」とも称する。また、以下では、説明の便宜上、R画素、G画素、及びB画素を区別して説明する必要がない場合、これらを「可視光画素」と称する。
【0048】
光電変換素子26の受光面には、複数の位相差画素ライン26Aと複数の非位相差画素ライン26Bとが配列されている。位相差画素ライン26Aは、位相差画素を含む水平ラインである。具体的には、位相差画素ライン26Aは、位相差画素と非位相差画素Nとが混在している水平ラインである。非位相差画素ライン26Bは、複数の非位相差画素Nのみを含む水平ラインである。
【0049】
光電変換素子26の受光面には、位相差画素ライン26Aと、既定ライン数分の非位相差画素ライン26Bとが列方向に沿って交互に配置されている。ここで言う「既定ライン数」とは、例えば、2ラインを指す。なお、ここでは、既定ライン数として、2ラインを例示しているが、本開示の技術はこれに限らず、既定ライン数は、3ライン以上の数ラインであってもよいし、十数ライン、数十ライン、又は数百ライン等であってもよい。
【0050】
位相差画素ライン26Aは、1行目から最終行にかけて列方向に2行飛ばしで配列されている。位相差画素ライン26Aの一部の画素が位相差画素である。具体的には、位相差画素ライン26Aは、位相差画素と非位相差画素Nとが周期的に配列された水平ラインである。位相差画素は、第1位相差画素Lと第2位相差画素Rとに大別される。位相差画素ライン26Aには、G画素として第1位相差画素Lと第2位相差画素Rとがライン方向に数画素間隔で交互に配置されている。
【0051】
第1位相差画素L及び第2位相差画素Rは、列方向で交互に現れるように配置されている。図5に示す例では、4列目において、1行目から列方向に沿って第1位相差画素L、第2位相差画素R、第1位相差画素L、及び第2位相差画素Rの順に配置されている。すなわち、第1位相差画素Lと第2位相差画素Rとが1行目から列方向に沿って交互に配置されている。また、図5に示す例では、10列目において、1行目から列方向に沿って第2位相差画素R、第1位相差画素L、第2位相差画素R、及び第1位相差画素Lの順に配置されている。すなわち、第2位相差画素Rと第1位相差画素Lとが1行目から列方向に沿って交互に配置されている。
【0052】
光電変換素子26は、3つの領域に区分される。すなわち、光電変換素子26は、可視光画像用区分領域26N1、第1測距系区分領域26N2、及び第2測距系区分領域26N3を有する。可視光画像用区分領域26N1は、複数の可視光画素による可視光画素群であり、可視光画像の生成に用いられる。第1測距系区分領域26N2は、二次元状に配置された複数のIR画素によるIR画素群であり、第1測距に用いられる。ここで、IR画素は、本開示の技術に係る「特定画素」の一例である。第2測距系区分領域26N3は、複数の位相差画素による位相差画素群であり、第2測距に用いられる。可視光画像用区分領域26N1及び第2測距系区分領域26N3は、可視反射光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する。第1測距系区分領域26N2は、IR反射光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0053】
一例として図6に示すように、第1位相差画素Lは、マイクロレンズ19、遮光部材17A、及びフォトダイオードPDを備えている。第1位相差画素Lでは、マイクロレンズ19とフォトダイオードPDの受光面との間に遮光部材17Aが配置されている。フォトダイオードPDの受光面における行方向の左半分(受光面から被写体を臨む場合の左側(換言すると、被写体から受光面を臨む場合の右側))は、遮光部材17Aによって遮光されている。
【0054】
第2位相差画素Rは、マイクロレンズ19、遮光部材17B、及びフォトダイオードPDを備えている。第2位相差画素Rでは、マイクロレンズ19とフォトダイオードPDの受光面との間に遮光部材17Bが配置されている。フォトダイオードPDの受光面における行方向の右半分(受光面から被写体を臨む場合の右側(換言すると、被写体から受光面を臨む場合の左側))は、遮光部材17Bによって遮光されている。なお、以下では、説明の便宜上、遮光部材17A及び17Bを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「遮光部材」と称する。
【0055】
撮像レンズ41の射出瞳を通過する光束は、左領域通過光300L及び右領域通過光300Rに大別される。左領域通過光300Lとは、撮像レンズ41の射出瞳を通過する光束のうち、位相差画素側から被写体側を臨む場合の左半分の光束を指し、右領域通過光300Rとは、撮像レンズ41の射出瞳を通過する光束のうち、位相差画素側から被写体側を臨む場合の右半分の光束を指す。撮像レンズ41の射出瞳を通過する光束は、瞳分割部として機能するマイクロレンズ19、遮光部材17A、及び遮光部材17Bにより左右に分割され、第1位相差画素Lが被写体光として左領域通過光300Lを受光し、第2位相差画素Rが被写体光として右領域通過光300Rを受光する。この結果、左領域通過光300Lに対応する被写体像に相当する第1位相差画像と、右領域通過光300Rに対応する被写体像に相当する第2位相差画像とが光電変換素子26によって生成される。
【0056】
スマートデバイス10では、例えば、同一の位相差画素ライン26Aにおいて、1ライン分の第1位相差画像と1ライン分の第2位相差画像とのずれ量αに基づいて撮像領域までの距離が測定される。
【0057】
一例として図7に示すように、非位相差画素Nは、位相差画素に比べ、遮光部材を有しない点が異なる。非位相差画素NのフォトダイオードPDは、被写体光として左領域通過光300L及び右領域通過光300Rを受光する。
【0058】
なお、スマートデバイス10では、第2測距系区分領域26N3(図5参照)に含まれる複数のIR画素の各々によってIR反射光が受光されることで、IR画素毎に測距が行われる。そして、スマートデバイス10では、タッチパネル48によって受け付けられた指示に従って、一例として図8に示すように、IR画素毎の測距結果が距離画像としてディスプレイ46に表示される。ここで、距離画像とは、IR画素毎に測定された測距対象までの距離を色別及び/又は濃淡で表現した画像を指す。
【0059】
また、スマートデバイス10では、タッチパネル48によって受け付けられた指示に従って、測距結果が距離画像又は距離重畳画像(図示省略)でディスプレイ46に表示される。ディスプレイ46に表示される距離重畳画像は、例えば、可視光画像(例えば、ライブビュー画像)に対して、測距結果を示す数値を重畳させた画像である。例えば、スマートデバイス10から撮像領域内のうちの代表的な複数の箇所(例えば、3箇所)の各々までの距離が可視光画像に表示された状態でディスプレイ46に表示される。代表的な複数の箇所の一例としては、撮像領域内の特定の被写体(例えば、画面中央領域に含まれる被写体、及び/又は、人間等)のうち、互いのコントラストの差が既定値以上の複数の箇所が挙げられる。
【0060】
一例として図9に示すように、スマートデバイス10は、光照射器16及び受光器18の他に、コントローラ15、入出力インタフェース40、画像メモリ42、UI系デバイス44、外部I/F52、及び通信I/F54を備えている。
【0061】
コントローラ15は、CPU15A、ストレージ15B、及びメモリ15Cを備えている。CPU15A、ストレージ15B、及びメモリ15Cは、バス50を介して接続されており、バス50は、入出力インタフェース40に接続されている。なお、図9に示す例では、図示の都合上、バス50として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス50は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0062】
ストレージ15Bは、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。ストレージ15Bは、不揮発性の記憶装置である。ここでは、ストレージ15Bの一例として、フラッシュメモリが採用されている。フラッシュメモリはあくまでも一例に過ぎず、ストレージ15Bとしては、例えば、フラッシュメモリに代えて、又は、フラッシュメモリと併せて、磁気抵抗メモリ及び/又は強誘電体メモリなどの各種の不揮発性メモリが挙げられる。また、不揮発性の記憶装置は、EEPROM、HDD、及び/又はSSD等であってもよい。また、メモリ15Cは、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。メモリ15Cの一例としては、RAMが挙げられるが、これに限らず、他の種類の記憶装置であってもよい。
【0063】
ストレージ15Bには、各種プログラムが記憶されている。CPU15Aは、ストレージ15Bから必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ15C上で実行する。CPU15Aは、メモリ15C上で実行するプログラムに従ってスマートデバイス10の全体を制御する。なお、ストレージ15B及びメモリ15Cは、本開示の技術に係る「メモリ」の一例である。
【0064】
入出力インタフェース40には、複数のデバイスが接続されており、入出力インタフェース40は、複数のデバイス間での各種情報の授受を司る。図9に示す例では、入出力インタフェース40に接続されている複数のデバイスとして、コントローラ15、光照射器16、受光器18、画像メモリ42、UI系デバイス44、外部I/F52、及び通信I/F54が示されている。
【0065】
外部I/F52は、スマートデバイス10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F52の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。USBインタフェースには、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接または間接的に接続可能である。
【0066】
通信I/F54は、LTE、5G、無線LAN、及び/又はBluetooth(登録商標)等の通信機能を有しており、外部装置とCPU15Aとの間での各種情報の授受を司る。例えば、通信I/F54は、基地局(図示省略)を介してネットワーク56(例えば、インターネット)に通信可能に接続されており、ネットワーク56上の外部装置とCPU15Aとの間での各種情報の授受を司る。
【0067】
UI系デバイス44は、ディスプレイ46を備えており、CPU15Aは、ディスプレイ46に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス44は、受付デバイス47を備えている。受付デバイス47は、タッチパネル48及びハードキー部53を備えている。ハードキー部53は、指示キー13(図2参照)を含む少なくとも1つのハードキーである。CPU15Aは、タッチパネル48によって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、ハードキー部53がUI系デバイス44に含まれているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、ハードキー部53は、外部I/F52に接続されていてもよい。
【0068】
光照射器16は、透光窓20、ビームエクスパンダ21、コリメートレンズ23、LD24、及びLDドライバ25を備えており、光軸L1に沿って、撮像領域側(物体側)からLD24にかけて、透光窓20、ビームエクスパンダ21、及びコリメートレンズ23が順に配置されている。LDドライバ25は、LD24及び入出力インタフェース40に接続されており、CPU15Aの指示に従ってLD24を駆動させてLD24からレーザ光を出射させる。
【0069】
LD24から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ23によって平行光に変換されてからビームエクスパンダ21によってビーム径が拡げられ、透光窓20から測距対象に向けて照射される。
【0070】
受光器18は、透光窓22、対物レンズ30A、フォーカスレンズ30B、絞り30C、光電変換素子26、光電変換素子ドライバ32、及び信号処理回路34を備えている。
なお、CPU15A及び信号処理回路34は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0071】
受光器18では、光軸L2に沿って、撮像領域側(物体側)から光電変換素子26にかけて、透光窓22、対物レンズ30A、フォーカスレンズ30B、及び絞り30Cが順に配置されている。光電変換素子ドライバ32は、光電変換素子26及び入出力インタフェース40に接続されており、CPU15Aの指示に従って光電変換素子26を駆動させる。例えば、光電変換素子ドライバ32は、CPU15Aの制御下で、光電変換素子26によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を光電変換素子26に供給する。光電変換素子26は、光電変換素子ドライバ32から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0072】
受光器18は、合焦制御機構31を備えている。合焦制御機構31は、フォーカスレンズ30B、移動機構60、モータ62、及びモータドライバ64を備えている。フォーカスレンズ30Bは、移動機構60によって光軸L2に沿ってスライド可能に支持されている。モータ62は、移動機構60及びモータドライバ64に接続されている。モータドライバ64は、入出力インタフェース40に接続されており、CPU15Aからの指示に従ってモータ62を駆動させる。移動機構60は、モータ62の駆動軸(図示省略)に接続されており、モータ62から動力を受けることで、フォーカスレンズ30Bを光軸L2に沿って物体側と像側とに選択的に移動させる。すなわち、CPU15Aは、モータドライバ64を介してモータ62の駆動を制御することで合焦位置を調整する。ここで、「合焦位置」とは、ピントが合っている状態(例えば、可視光画像のコントラストを最大値にした状態、又は、既定の被写体深度を実現した状態)でのフォーカスレンズ30Bの光軸L2上での位置を指す。なお、本第1実施形態では、フォーカスレンズ30Bを合焦位置に合わせる制御を「フォーカス制御」と称している。
【0073】
絞り30Cは、開口が変化しない固定絞りである。固定絞りの場合、露出調節は光電変換素子26の電子シャッタで行われる。絞り30Cは、固定絞りでなく、可変絞りであってもよい。なお、受光器18に含まれる対物レンズ30A、フォーカスレンズ30B、及び絞り30Cはあくまでも一例であり、レンズの構成及び/又は絞り30Cの位置が変わっても本開示の技術は成立する。
【0074】
受光器18には、透光窓22から反射光が入射される。透光窓22に入射された反射光は、対物レンズ30A、フォーカスレンズ30B、及び絞り30Cを介して光電変換素子26に結像される。
【0075】
光電変換素子26は、信号処理回路34に接続されており、可視光画素及びIR画素の各画素について、画素値を示す画素データを信号処理回路34に出力する。信号処理回路34は、光電変換素子26から入力された画素データに対してA/D変換を行うことで画素データをデジタル化し、デジタル化した画素データに対して各種の信号処理を施す。
【0076】
信号処理回路34は、可視光画素データ処理回路34A、第1測距系処理回路34B、及び第2測距系処理回路34Cを備えている。可視光画素データ処理回路34Aは、可視光画素についての画素データである可視光画素データに対して、ホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、色空間変換処理、及び色差補正などの公知の信号処理を施すことで可視光画像を生成する。そして、可視光画素データ処理回路34Aは、可視光画像を画像メモリ42に格納する。なお、画像メモリ42には、1フレーム分の可視光画像が上書き保存されることで、画像メモリ42内の可視光画像が更新される。
【0077】
測距撮像装置14は、TOFカメラ27を備えている。TOFカメラ27は、光照射器16、光電変換素子26の第1測距系区分領域26N2(図5参照)、及び第1測距系処理回路34Bを備えている。第1測距系処理回路34Bは、光照射器16がレーザ光を撮像領域に向けて照射した照射タイミング(以下、単に「照射タイミング」とも称する)を示す照射タイミング信号をCPU15Aから取得する。
【0078】
第1測距系処理回路34Bは、照射タイミング信号により示される照射タイミングと、各IR画素によってIR反射光が受光されたタイミング(以下、「受光タイミング」とも称する)とに基づいて、各IR画素について、スマートデバイス10から撮像領域内の物体までの距離を測定する。ここでは、受光タイミングとして、後述の基準閾値(図14参照)を上回る出力値を有するIR画素データが第1測距系処理回路34Bによって受信されたタイミングが採用されている。なお、ノイズ成分の一例としては、IR反射光とは無関係に生じるノイズ成分(例えば、環境光に含まれるIR光)が挙げられる。
【0079】
第1測距系処理回路34Bは、IR画素毎に、照射タイミングと受光タイミングとに基づいてスマートデバイス10から撮像領域内の物体までの距離を測定する。また、第1測距系処理回路34Bは、IR画素毎の測定結果に基づいて距離画像を生成し、生成した距離画像を画像メモリ42に格納する。なお、画像メモリ42には、1フレーム分の距離画像が上書き保存されることで、画像メモリ42内の距離画像が更新される。
【0080】
第2測距系処理回路34Cは、光電変換素子26ののうちのユーザ等が指定した領域(いわゆるROI)に含まれる第2測距系区分領域26N3(図5参照)の複数の位相差画素の各々から、位相差画素の画素値を示す位相差画素データを取得する。第2測距系処理回路34Cは、位相差画素データから第1位相差画像及び第2位相差画像(図5参照)を生成し、生成した第1位相差画像と第2位相差画像とのずれ量α(図5参照)を算出する。そして、第2測距系処理回路34Cは、算出したずれ量αに基づいて、スマートデバイス10から撮像領域までの距離を算出する。具体的に説明すると、第2測距系処理回路34Cは、ずれ量αを独立変数とし、距離を従属変数とした演算式を用いることで、スマートデバイス10から撮像領域内の物体までの距離を算出する。
【0081】
なお、ここでは、演算式を例示したが、本開示の技術はこれに限らず、第2測距系処理回路34Cは、ずれ量αと距離とが対応付けられたテーブルを用いることで、スマートデバイス10から撮像領域までの距離を導出するようにしてもよい。
【0082】
CPU15Aは、第1測距系処理回路34Bによって測定された距離(以下、「第1距離」と称する)を第1測距系処理回路34Bから取得し、第2測距系処理回路34Cによって測定された距離(以下、「第2距離」と称する)を第2測距系処理回路34Cから取得する。
【0083】
一例として図10に示すように、ストレージ15Bには、測距撮像処理プログラム70が記憶されている。CPU15Aは、ストレージ15Bから測距撮像処理プログラム70を読み出し、読み出した測距撮像処理プログラム70を実行することで第1測距制御部15A1、第1距離取得部15A2、時系列分布取得部15A3、判定部15A4、及び実行部15A5として動作する。
【0084】
ここで、図11を参照して、対象被写体(図11に示す例では、人物)98と、姿見鏡100の全体を含む撮像領域(以下、「鏡包含撮像領域」とも称する)に対してスマートデバイス10によって第1測距が行われる場合について説明する。鏡包含撮像領域を照射角度θ2に収めた状態でタッチパネル48によって測距撮像開始指示が受け付けられると、第1測距制御部15A1は、第1測距開始信号を光照射器38B及び受光器18に出力する。光照射器38Bは、第1測距制御部15A1から第1測距開始信号が入力されると、レーザ光を照射する。受光器18では、第1測距制御部15A1から第1測距開始信号が入力されると、第1測距系処理回路34Bが、CPU15Aから取得した照射タイミング信号により示される照射タイミングと受光タイミングとに基づいて第1距離を算出する。
【0085】
なお、ここでは、照射タイミングとして、第1測距制御部15A1から受光器18に第1測距開始信号が入力されたタイミングから既定時間経過した時点でのタイミングを採用している。ここで、既定時間とは、例えば、第1測距開始信号を出力した時点から光照射器38Bからレーザ光が照射されるまでに要する時間として実機による試験及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された時間が採用されている。
【0086】
ところで、鏡包含撮像領域に対して光照射器38Bからレーザ光が照射されると、一例として図12に示すように、対象被写体98からのIR反射光(以下、「対象被写体IR反射光」とも称する)と、姿見鏡100からのIR反射光(以下、「鏡面IR反射光」とも称する)とが受光器18の第1測距系区分領域26N2によって受光される。対象被写体IR反射光は、第1測距系区分領域26N2内の一部のIR画素(以下、「特定IR画素」とも称する)によって受光される。対象被写体IR反射光のみが特定IR画素によって受光されるのであれば、第1測距系処理回路34Bは、特定IR画素によって対象被写体IR反射光が受光されたタイミングを上述した受光タイミングとして用いることで、スマートデバイス10から対象被写体98までの距離を第1距離として算出することができる。
【0087】
しかし、姿見鏡100の設置条件、すなわち、姿見鏡100が設置されている位置及、姿見鏡100の鏡面100Aの形状、及び鏡面100Aの角度等によっては、鏡面100Aに対するレーザ光の全反射光も鏡面IR反射光として特定IR画素によって受光される。光照射器16から照射されるレーザ光の強度を“100”とした場合、対象被写体IR反射光の強度は10~20程度であるのに対し、鏡面100Aに対するレーザ光の全反射光の強度は40~50程度である。
【0088】
ここで、仮に、光照射器16によるレーザ光の照射に対応してIR反射光を受光する期間として予め定められた受光期間(以下、単に「受光期間」とも称する)内に特定IR画素によって異なるタイミングで受光された複数のIR反射光のうち、最大の強度のIR反射光が特定IR画素によって受光されたタイミングに基づいて測距が行われる場合、鏡面IR反射光が特定IR画素によって受光されたタイミングに基づいて測距が行われてしまうことが考えられる。これは、ユーザが測距対象として意図している物体が対象被写体である場合、ユーザが意図していない測距、すなわち、誤測距が行われることを意味する。つまり、スマートデバイス10から対象被写体98までの距離ではなく、スマートデバイス10から測距対象の物体としてユーザが意図していない物体(図12に示す例では、鏡面100A)までの距離が測定されてしまう、ということである。
【0089】
そこで、このような誤測距を回避するために、一例として図13に示すように、第1測距系処理回路34Bは、IR画素データ取得部34B1、時系列分布生成部34B2、受光タイミング決定部34B3、及び第1距離測定部34B4を備えている。なお、IR画素データ取得部34B1、時系列分布生成部34B2、受光タイミング決定部34B3、及び第1距離測定部34B4は、IR画素毎に設けられている。以下では、説明の便宜上、第1測距について、特定IR画素(図12図14参照)に着目して説明する。
【0090】
第1測距制御部15A1は、IR画素データ取得部34B1、時系列分布生成部34B2、及び第1距離測定部34B4に照射タイミング信号を出力する。また、第1測距制御部15A1は、IR画素データ取得部34B1に対して光電変換素子26からIR画素データを取得させるタイミングを規定する取得タイミング信号をIR画素データ取得部34B1に出力する。取得タイミング信号は、例えば、一定の時間間隔(例えば、受光期間の数十分の1又は数百分の1程度の時間間隔)でIR画素データ取得部34B1に出力される。
【0091】
IR画素データ取得部34B1は、第1測距制御部15A1から照射タイミング信号が入力され、かつ、取得タイミング信号が入力されると、光電変換素子26からIR画素データを取得する。時系列分布生成部34B2は、第1測距制御部15A1から照射タイミングが入力されると、第1測距制御部15A1から照射タイミングが入力された時点からの受光期間内にIR画素データ取得部34B1によって取得された複数のIR画素データにより示されるIR反射光の強度が時系列で規定された時系列分布を生成する。時系列分布において、横軸は時間を示しており、縦軸は強度を示している。なお、ここで、複数のIR画素データは、本開示の技術に係る「複数の信号」の一例である。時系列分布の詳細については後述する。
【0092】
IR反射光の強度とIR画素データの信号レベル(強度)とは1対1の関係にあり、IR反射光の強度は、IR画素データの信号レベルから特定される。従って、IR反射光の強度が時系列で規定された時系列分布は、IR画素データの信号レベルの時系列分布と同等である。また、本第1実施形態では、IR反射光の強度は、IR反射光の絶対値量で特定されるが、本開示の技術はこれに限らず、IR反射光の強度は、環境光によるノイズ成分(例えば、環境光に含まれるIR光)の強度の分だけオフセットされるようにしてもよい。この場合、例えば、時系列分布の全体が、環境光によるノイズ成分の強度の分だけオフセットされるようにすればよい。
【0093】
時系列分布生成部34B2によって生成された時系列分布では、特定IR画素から得られたIR画素データにより示されるIR反射光の強度が時系列で表現されている。受光タイミング決定部34B3は、時系列分布生成部34B2によって生成された時系列分布に基づいて、第1測距に用いる受光タイミング(以下、「第1測距用受光タイミング」とも称する)を決定する。受光タイミング決定部34B3では、時系列分布に対して基準閾値が適用されている。基準閾値は、標準的な被写体(例えば、鏡面及び光沢面以外の特定の被写体)からのIR反射光の強度の下限値として、実機及び/又はコンピュータ・シミュ―レーション等によって予め導き出された値である。基準閾値は、受光タイミングが遅くなるほど減少する値である。図13に示す例では、基準閾値は、時間の経過に伴って漸次的(例えば、指数関数的)に減少している。受光タイミング決定部34B3は、時系列分布において基準閾値を上回る強度のIR反射光が1つのみ存在していれば、基準閾値を上回る強度のIR反射光の受光タイミングを第1測距用受光タイミングとして決定する。
【0094】
また、受光タイミング決定部34B3は、時系列分布において基準閾値を上回る強度のIR反射光が複数存在している場合、受光期間内にIR画素データ取得部34B1によって取得された複数のIR画素データのうち、複数のIR画素データの関係と複数のIR画素データにより示される複数のIR反射光の強度とに基づいて選択されたIR画素データに対応する受光タイミングを第1測距用受光タイミングとして決定する。複数のIR画素データの関係及び複数のIR反射光の強度は、時系列分布生成部34B2によって生成された時系列分布から受光タイミング決定部34B3によって特定される。なお、時系列分布において基準閾値を上回る強度のIR反射光が複数存在している場合の第1測距用受光タイミングの決定方法の詳細については後述する。
【0095】
第1距離測定部34B4は、第1測距制御部15A1から入力された照射タイミング信号により示される照射タイミングと、受光タイミング決定部34B3によって決定された第1測距用受光タイミングとに基づいて第1距離を測定する。第1距離は、光速とレーザ光の飛行時間との積の2分の1である。レーザ光の飛行時間は、照射タイミングから第1測距用受光タイミングまでの時間である。
【0096】
図14に示す例では、時系列分布に、鏡面IR反射光、対象被写体IR反射光、及びノイズ光(例えば、環境光に含まれるIR光等のノイズ成分)の各強度が含まれており、受光期間の時間軸上において、特定IR画素によって、1番目に鏡面IR反射光が受光され、2番目にノイズ光が受光され、3番目に対象被写体IR反射光が受光されている。そして、鏡面IR反射光の強度及び対象被写体IR反射光が基準閾値を上回っている。
【0097】
この場合、受光タイミング決定部34B3は、時系列分布において強度が2番目に大きなIR反射光が特定IR画素によって受光されたタイミングを第1測距用受光タイミングとして決定する。すなわち、図14に示す例では、時系列分布において強度が2番目に大きなIR反射光は対象被写体IR反射光であるので、対象被写体IR反射光の受光タイミングが第1測距用受光タイミングとして決定される。これにより、鏡面IR反射光の受光タイミングに基づいて第1測距が行われること、及びノイズ光に基づいて第1測距が行われることが回避される。
【0098】
一例として図15に示すように、第1距離取得部15A2は、第1距離測定部34B4によって測定された第1距離を取得する。また、時系列分布取得部15A3は、時系列分布生成部34B2から時系列分布を取得する。時系列分布取得部15A3によって取得される時系列分布は、第1距離取得部15A2によって取得された第1距離の測定に用いられた第1測距用受光タイミングの決定で使用された時系列分布である。
【0099】
判定部15A4は、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布が特定の時系列分布か否かを判定する。この判定方法の詳細については後述する。
【0100】
実行部15A5は、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布が特定の時系列分布でないと判定部15A4によって判定された場合、第1距離取得部15A2によって取得された第1距離に基づくフォーカス制御を伴う撮像(以下、「第1撮像処理」とも称する)を実行する。また、実行部15A5は、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布が特定の時系列分布であると判定された場合、特定の処理を実行する。なお、第1撮像処理及び特定の処理の詳細については後述する。
【0101】
ここで、判定部15A4による判定方法について説明する。一例として図16に示すように、判定部15A4は、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布に対して、第1閾値及び第2閾値を適用する。第1閾値は、光沢面(例えば、平均的な鏡面として予め定められた鏡面)に対して照射されたレーザ光が光沢面で全反射された場合のIR反射光の強度の下限値として、実機及び/又はコンピュータ・シミュ―レーション等によって予め導き出された値である。第1閾値は、上述した基準閾値と同様に、時間の経過に伴って漸次的(例えば、指数関数的)に減少している。また、第1閾値は、上述した基準閾値と同様に、受光タイミングが遅くなるほど減少する値である。第2閾値は、上述した基準閾値(図13及び図14参照)と同一の値である。また、受光期間の時間軸上の同一時刻において、第2閾値は、第1閾値よりも小さな値である。
【0102】
判定部15A4は、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布に、第1閾値以上の強度と、第1閾値未満であり、かつ、第2閾値以上の強度とが含まれているか否かを判定することで、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布が特定の時系列分布か否かを判定する。図16に示す例では、鏡面IR反射光の強度が第1閾値以上であり、対象被写体IR反射光の強度が第1閾値未満かつ第2閾値以上であるため、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布が特定の時系列分布であると判定部15A4によって判定される。なお、図16に示す例において、鏡面IR反射光の強度は、鏡面IR反射光の受光によって生成されるIR画素データ(信号)の強度と対応する。鏡面IR反射光の受光によって生成されるIR画素データ(信号)の強度は、本開示の技術に係る「第1強度」の一例である。同様に、対象被写体IR反射光の強度は、対象被写体IR反射光の受光によって生成されるIR画素データ(信号)の強度と対応する。象被写体IR反射光の受光によって生成されるIR画素データ(信号)の強度は、本開示の技術に係る「第2強度」の一例である。
【0103】
一例として図17に示すように、ストレージ15Bには、合焦位置導出テーブル72が記憶されている。合焦位置導出テーブル72は、スマートデバイス10から撮像領域までの距離と合焦位置とが対応付けられている。第1撮像処理では、先ず、実行部15A5が、第1距離を用いることで受光器18に対してフォーカス制御(アクティブ方式フォーカス制御)を行う。すなわち、実行部15A5によって、第1距離に対応する合焦位置が合焦位置導出テーブル72から導出され、導出された合焦位置にフォーカスレンズ30Bを移動させるように受光器18のモータ62が制御される。そして、実行部15A5によって受光器18の可視光画像用区分領域26N1が制御されることで、可視光画像用区分領域26N1によって撮像領域が撮像され、撮像されることで得られた可視光画像データが可視光画像用区分領域26N1から可視光画素データ処理回路34Aに出力される。可視光画素データ処理回路34Aは、可視光画像用区分領域26N1から入力された可視光画像データに基づいて、撮像領域を示す第1可視光画像を生成し、生成した第1可視光画像を画像メモリ42に出力する。画像メモリ42には、第1可視光画像が記憶される。
【0104】
ここで、実行部15A5によって実行される特定の処理について、図18を参照しながら説明する。一例として図18に示すように、特定の処理は、例えば、第2測距開始処理、第2距離取得処理、第2撮像処理、及び画像選択画面表示処理を含む処理である。なお、特定の処理は、これらに限らず、第1閾値未満であり、かつ、第2閾値以上の強度の反射光(対象被写体IR反射光)をIR画素が受光した受光タイミングに基づき第1距離を測定する処理であってもよい。
【0105】
一例として図19に示すように、第2測距開始処理では、タッチパネル48によって測距撮像開始指示が受け付けられると、実行部15A5は、第2測距開始信号を受光器18に出力する。なお、図19に示す例では、鏡包含撮像領域が画角θ1に収められた状態が示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、鏡包含撮像領域以外の撮像領域であってもよい。
【0106】
第2測距系区分領域26N3は、実行部15A5から受光器18に第2測距開始信号が入力されると、鏡包含撮像領域を撮像し、鏡包含撮像領域に応じた位相差画素データを第2測距系処理回路34Cに出力する。第2測距系処理回路34Cは、第2測距系区分領域26N3から入力された位相差画素データに基づいて第1位相差画像及び第2位相差画像(図6参照)を生成し、生成した第1位相差画像及び第2位相差画像に基づいてずれ量α(図6参照)を算出する。第2測距系処理回路34Cは、算出したずれ量αから第2距離を算出する。第2距離取得処理では、実行部15A5は、第2測距系処理回路34Cから第2距離を取得する。
【0107】
一例として図20に示すように、第2撮像処理とは、第2距離に基づくフォーカス制御を伴う撮像を指す。第2撮像処理でも、第1撮像処理と同様に、実行部15A5によって合焦位置導出テーブル72から第2距離に対応する合焦位置が導出され、導出された合焦位置にフォーカスレンズ30Bを移動させるように受光器18のモータ62が制御される。そして、第1撮像処理と同様に、可視光画像用区分領域26N1によって撮像領域が撮像され、撮像されることで得られた可視光画素データが可視光画像用区分領域26N1から可視光画素データ処理回路34Aに出力される。可視光画素データ処理回路34Aは、可視光画像用区分領域26N1から入力された可視光画素データに基づいて、撮像領域を示す第2可視光画像を生成し、生成した第2可視光画像を画像メモリ42に出力する。画像メモリ42には、第2可視光画像が記憶される。
【0108】
画像選択画面表示処理では、実行部15A5が画像メモリ42から第1可視光画像及び第2可視光画像が取得する。そして、実行部15A5は、第1可視光画像と、第2可視光画像と、第1距離取得部15A2によって取得された第1距離(図15参照)と、第2距離取得処理において実行部15A5によって取得された第2距離(図19参照)と、各種メッセージとに基づいて画像選択画面を生成し、生成した画像選択画面をディスプレイ46に対して表示させる。画像選択画面には、第1可視光画像と第2可視光画像とが並べて表示されている。また、第1可視光画像の下には「アクティブ方式」というメッセージが表示されている。「アクティブ方式」というメッセージは、第1可視光画像がアクティブ方式の測距(第1測距)による測距結果に基づくフォーカス制御を伴う撮像によって得られた画像であることを示すメッセージである。また、第2可視光画像の下には「パッシブ方式」というメッセージが表示されている。「パッシブ方式」というメッセージは、第2可視光画像がパッシブ方式の測距(第2測距)による測距結果に基づくフォーカス制御を伴う撮像によって得られた画像であることを示すメッセージである。
【0109】
なお、本第1実施形態では、特定の処理に含まれる処理として、第1撮像処理、第2撮像処理、及び画像選択画面表示処理を例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、第1撮像処理、第2撮像処理、及び画像選択画面表示処理のうちの1つの処理又は2つの処理であってもよい。また、本第1実施形態では、「アクティブ方式」と「パッシブ方式」という表示例を示しているが、必ずしも「アクティブ方式」と「パッシブ方式」という表示でなくてもよく、ユーザが測距方式の違いを理解できればどのような表示であっても良い。例えば、レーザ測距と位相差測距を行う場合、「レーザ」という表示と「位相差」という表示でもよいし、測距方式を表すアイコン等を表示してもよい。また、測距方式の表示に代えて、ピント位置を表示してもよい。例えば、「ピント位置:手前」と「ピント位置:奥」でもよいし、「ピント位置:物体」と「ピント位置:物体に映った像」等と表示してもよい。あるいは、測距方式を示す文字及びアイコン並びにピント位置の2つ以上を組み合わせて表示してもよい。
【0110】
また、第1可視光画像には、第1測距による測距結果である「1.8m」という数値が対応付けられて表示されており、第2可視光画像には、第2測距による測距結果である「1.9m」という数値が対応付けられて表示されている。また、画像選択画面には、ユーザに対して、第1可視光画像及び第2可視光画像の何れか1つの選択をユーザに促すメッセージとして、「何れか1つの画像を選択して下さい」というメッセージが表示されている。
【0111】
更に、画像選択画面には、強反射光通知メッセージが表示されている。強反射光通知メッセージとは、時系列分布取得部15A3(図15参照)によって取得された時系列分布が特定の時系列分布であると判定部15A4(図15参照)によって判定された場合(例えば、図16に示すように、時系列分布に第1閾値以上の強度が含まれている場合)に、時系列分布取得部15A3によって取得された時系列分布に第1閾値以上の強度が含まれていることをユーザに対して通知するメッセージを指す。図20に示す例では、強反射光通知メッセージとして、「強反射光を検出しましたが、強反射光以外の反射光を用いて測距を行いました。」というメッセージが示されている。ここで、強反射光とは、第1閾値以上の強度のIR反射光を意味する。強反射光の一例としては、鏡面IR反射光(図12図14及び図16参照)が挙げられる。この他にも、鏡面100A以外の光沢面からのIR反射光であっても、第1閾値以上の強度のIR反射光であれば、画像選択画面に強反射光通知メッセージが表示される。なお、画像選択画面表示処理は、本開示の技術に係る「複数の信号の強度に第1強度が含まれていることを通知する処理」の一例である。
【0112】
画像選択画面に表示される各種メッセージは上述したメッセージに限定されず、例えば、第1測距による測距結果(第1距離)と第2測距による測距結果(第2距離)とが異なっている場合に、その旨をユーザに通知するメッセージ(例えば、「測距結果が異なっています」)というメッセージも表示されるようにしてもよい。
【0113】
また、ここでは、各種メッセージが可視表示される形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、可視表示と並行して各種メッセージが音声で出力されるようにしてもよい。画像選択画面がディスプレイ46に表示されると、ユーザは、タッチパネル48を介して第1可視光画像又は第2可視光画像を選択する。図20に示す例では、ユーザの指によってタッチパネル48を介して第1可視光画像が選択されている態様が示されている。
【0114】
一例として図21に示すように、ディスプレイ46に画像選択画面が表示されている状態でユーザの指によってタッチパネル48を介して第1可視光画像が選択された場合、第1測距制御部15A1は、測距撮像装置14を制御することで、第1測距系処理回路34Bに対して第1測距を行わせる。また、実行部15A5は、第1撮像処理及び第1可視光画像表示処理を実行する。ここで、実行部15A5は、第1測距が行われることによって得られた新たな第1距離を用いて第1撮像処理を実行する。第1可視光画像表示処理は、第1撮像処理が実行されることで得られた最新の第1可視光画像をディスプレイ46に対して表示させる処理である。
【0115】
なお、ここでは、第1可視光画像が選択されたことを条件に、改めて第1測距及び第1撮像処理が行われ、第1撮像処理が行われることによって得られた最新の第1可視光画像がディスプレイ46に表示される形態例を挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、第1可視光画像が選択されたことを条件に、選択された第1可視光画像をストレージ15B及び/又はメモリカード等の記憶媒体に記憶させてもよい。また、選択された測距方式で測定された距離に基づくフォーカス制御を伴う撮像と、選択された画像(例えば、第1可視光画像又は第2可視光画像)の保存とが、受付デバイス47によって受け付けられた指示(ユーザから与えられた指示)に従って選択されるようにしてもよい。
【0116】
第1可視光画像表示処理が実行部15A5によって実行されると、画像選択画面内のうち、第2可視光画像、「1.9m」という数値、「パッシブ方式」というメッセージ、「何れか1つの画像を選択して下さい」というメッセージ、及び強反射光通知メッセージは画面内から非表示される。そして、最新の第1測距が行われることによって得られた最新の測距結果である第1距離(図21に示す例では、「1.8m」という数値)がディスプレイ46に表示され、第1撮像処理が実行されることで得られた第1可視光画像がディスプレイ46に表示され、かつ、「アクティブ方式」というメッセージも第1可視光画像の下に表示される。また、第1距離、第1可視光画像、及び「アクティブ方式」というメッセージの表示領域は、画像選択画面内の第1距離、第1可視光画像、及び「アクティブ方式」というメッセージの表示領域よりも拡大されている。なお、この場合も、第1測距が行われることで、時系列分布取得部15A3(図15参照)によって取得された時系列分布が特定の時系列分布であると判定部15A4(図15参照)によって判定された場合に、強反射光通知メッセージがディスプレイ46に表示されるようにしてもよい。
【0117】
一例として図22に示すように、ディスプレイ46に画像選択画面が表示されている状態でユーザの指によってタッチパネル48を介して第2可視光画像が選択された場合、実行部15A5は、第2測距開始処理、第2距離取得処理、及び第2撮像処理を実行することで、第2測距系処理回路34Cに対して第2測距を行わせる。また、実行部15A5は、第2撮像処理及び第2可視光画像表示処理を実行する。ここで、実行部15A5は、第2測距が行われることによって得られた新たな第2距離を用いて第2撮像処理を実行する。第2可視光画像表示処理は、第2撮像処理が実行されることで得られた最新の第2可視光画像をディスプレイ46に対して表示させる処理である。
【0118】
第2可視光画像表示処理が実行部15A5によって実行されると、画像選択画面内のうち、第1可視光画像、「1.8m」という数値、「アクティブ方式」というメッセージ、「測距結果が異なっています」というメッセージ、及び「何れか1つの画像を選択して下さい」というメッセージは画面内から非表示される。そして、最新の第2測距が行われることによって得られた最新の測距結果である第2距離(図22に示す例では、「1.9m」という数値)がディスプレイ46に表示され、第2撮像処理が実行されることで得られた第2可視光画像がディスプレイ46に表示され、かつ、「パッシブ方式」というメッセージも第2可視光画像の下に表示される。また、第2距離、第2可視光画像、及び「パッシブ方式」というメッセージの表示領域は、画像選択画面内の第2距離、第2可視光画像、及び「パッシブ方式」というメッセージの表示領域よりも拡大されている。
【0119】
次に、スマートデバイス10の本開示の技術に係る部分の作用について説明する。
【0120】
先ず、第1測距系処理回路34Bによって実行される第1測距系処理について図23を参照しながら説明する。なお、図23は、第1測距制御部15A1から第1測距系処理回路34Bに照射タイミング信号が入力された場合に第1測距系処理回路34Bによって実行される第1測距系処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0121】
図23に示す第1測距系処理では、先ず、ステップST100で、IR画素データ取得部34B1は、第1測距制御部15A1から取得タイミング信号が入力されたか否かを判定する。ステップST100において、第1測距制御部15A1から取得タイミング信号が入力されていない場合は、判定が否定されて、ステップST100の判定が再び行われる。ステップST100において、第1測距制御部15A1から取得タイミング信号が入力された場合は、判定が肯定されて、第1測距系処理はステップST102へ移行する。
【0122】
ステップST102で、IR画素データ取得部34B1は、光電変換素子26からIR画素データを取得し、その後、第1測距系処理はステップST104へ移行する。
【0123】
ところで、仮に、光照射器16によるレーザ光の照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミング(例えば、図14に示す「時間間隔」)に第1測距系区分領域26N2によって生成された複数のIR画素データのうち、最も信号レベルの高いIR画素データにより示されるIR反射光をIR画素が受光した受光タイミングと照射タイミングとに基づいて距離が測定される場合、測距対象として意図しない光沢性物体(図12に示す例では、鏡面100A)からのIR反射光をIR画素が受光したタイミングと照射タイミングとに基づく距離が測定されてしまう虞がある。
【0124】
そこで、第1測距系処理では、ステップST104~ステップST110の処理が実行される。先ず、ステップST104で、時系列分布生成部34B2は、第1測距系処理が開始されてから受光期間が経過したか否かを判定する。ステップST104において、第1測距系処理が開始されてから受光期間が経過していない場合、判定が否定されて、第1測距系処理はステップST100へ移行する。ステップST104において、第1測距系処理が開始されてから受光期間が経過した場合、判定が肯定されて、第1測距系処理はステップST106へ移行する。
【0125】
ステップST106で、時系列分布生成部34B2は、ステップST100~ステップST104の処理が実行されることでIR画素データ取得部によって取得されたIR画素データに基づいて時系列分布(図14参照)を生成する。ステップST106が実行された後、第1測距系処理はステップST108へ移行する。
【0126】
ステップST108で、受光タイミング決定部34B3は、ステップST106で生成された時系列分布に基づいて第1測距用受光タイミングを決定する。本ステップST108において、受光タイミング決定部34B3は、時系列分布において基準閾値を上回る強度のIR反射光が1つのみ存在していれば、基準閾値を上回る強度のIR反射光の受光タイミングを第1測距用受光タイミングとして決定する。また、受光タイミング決定部34B3は、時系列分布において基準閾値を上回る強度のIR反射光が複数存在している場合、時系列分布において強度が2番目に大きなIR反射光が特定IR画素によって受光されたタイミングを第1測距用受光タイミングとして決定する。ステップST108の処理が実行された後、第1測距系処理はステップST110へ移行する。
【0127】
ステップST110で、第1距離測定部34B4は、第1測距制御部15A1から入力された照射タイミング信号により示される照射タイミングと、ステップST108で決定された第1測距用受光タイミングとに基づいて第1距離を測定する。ステップST110の処理が実行された後、第1測距系処理が終了する。
【0128】
次に、CPU15Aによって実行される測距撮像処理について図24A図24Cを参照しながら説明する。なお、図24A図24Cは、CPU15Aによって測距撮像処理プログラム70に従って実行される測距撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0129】
図24Aに示す測距撮像処理では、先ず、ステップST200で、時系列分布取得部15A3は、時系列分布生成部34B2によって時系列分布が生成されたか否かを判定する。ステップST200において、時系列分布生成部34B2によって時系列分布が生成されていない場合は、判定が否定されて、ステップST200の判定が再び行われる。ステップST200において、時系列分布生成部34B2によって時系列分布が生成された場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理はステップST202へ移行する。
【0130】
ステップST202で、時系列分布取得部15A3は、時系列分布生成部34B2から時系列分布を取得し、その後、測距撮像処理はステップST204へ移行する。
【0131】
ステップST204で、判定部15A4は、ステップST202で取得された時系列分布が特定の時系列分布であるか否かを判定する。ステップST204において、ステップST202で取得された時系列分布が特定の時系列分布でない場合は、判定が否定されて、測距撮像処理は、図24Bに示すステップST218へ移行する。ステップST204において、ステップST202で取得された時系列分布が特定の時系列分布である場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理はステップST205へ移行する。
【0132】
ステップST205で、第1距離取得部15A2は、図23に示すステップST110によって測定された第1距離を取得する。ステップST205の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST206へ移行する。
【0133】
ステップST206で、実行部15A5は、ステップST205で取得された第1距離に基づくフォーカス制御(アクティブ方式フォーカス制御)を伴う撮像、すなわち、第1撮像処理を実行し、その後、測距撮像処理はステップST208へ移行する。
【0134】
ステップST208~ステップST212の処理は、上述した特定の処理である。ステップST208で、実行部15A5は、第2測距開始処理及び第2距離取得処理を実行することで、第2測距系処理回路34Cに対して第2測距を行わせ、第2測距による測距結果である第2距離を取得する。ステップST208の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST210へ移行する。
【0135】
ステップST210で、実行部15A5は、ステップST208で取得した第2距離に基づくフォーカス制御(パッシブ方式フォーカス制御)を伴う撮像、すなわち、第2撮像処理を実行する。ステップST210の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST212へ移行する。
【0136】
ステップST212で、実行部15A5は、画像選択画面表示処理を実行する。これにより、ステップST205で取得された第1距離、ステップST206の第1撮像処理が実行されることで得られた第1可視光画像、ステップST208で取得した第2距離、ステップST210の第2撮像処理が実行されることで得られた第2可視光画像、及び上述した各種メッセージに基づいて画像選択画面(図20参照)が生成され、ディスプレイ46に画像選択画面が表示される。ステップST212の処理が実行された後、測距撮像処理はステップT214へ移行する。
【0137】
画像選択画面には、ステップST206の第1撮像処理が実行されることで得られた第1可視光画像とステップST210の第2撮像処理が実行されることで得られた第2可視光画像とが表示されている。そこで、ステップST214で、実行部15A5は、画像選択画面内に表示されている第1可視光画像及び第2可視光画像のうちの何れかがユーザによってタッチパネル48を介して選択された否かを判定する。ステップST214において、画像選択画面内に表示されている第1可視光画像及び第2可視光画像のうちの何れかがユーザによってタッチパネル48を介して選択されていない場合は、判定が否定されて、ステップST214の判定が再び行われる。ステップST214において、画像選択画面内に表示されている第1可視光画像及び第2可視光画像のうちの何れかがユーザによってタッチパネル48を介して選択された場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理はステップST216へ移行する。
【0138】
ステップST216で、実行部15A5は、画像選択画面内から選択された画像が第1可視光画像か否かを判定する。ステップST216において、画像選択画面内から選択された画像が第2可視光画像の場合は、判定が否定されて、測距撮像処理は図24Cに示すステップ226へ移行する。ステップST216において、画像選択画面内から選択された画像が第1可視光画像の場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理は、図24Bに示すステップST216へ移行する。
【0139】
図24Bに示すステップST218で、実行部15A5は、撮像開始タイミングが到来したか否かを判定する。撮像開始タイミングとは、例えば、ライブビュー画像用のフレームレートによって規定される1フレーム分の撮像を開始するタイミングを指す。例えば、ライブビュー画像用のフレームレートが60fpsであれば、撮像開始タイミングは、60分の1秒毎のタイミングである。なお、ここでは、ライブビュー画像用のフレームレートによって規定される1フレーム分の撮像を開始するタイミングを撮像開始タイミングとして例示しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、撮像開始タイミングは、記録動画像用のフレームレートによって規定される1フレーム分の撮像を開始するタイミングであってもよいし、静止画像用の撮像を開始する指示が受付デバイス47によって受け付けられたタイミングであってもよい。
【0140】
ステップST218において、撮像開始タイミングが到来していない場合は、判定が否定されて、測距撮像処理はステップST222へ移行する。ステップST218において、撮像開始タイミングが到来した場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理はステップST220へ移行する。
【0141】
ステップST220で、実行部15A5は、最新の第1距離を用いて第1撮像処理を実行する。また、実行部15A5は、第1撮像処理を実行することで得た最新の第1可視光画像を用いて第1可視光画像表示処理を実行する。なお、ここで、最新の第1距離とは、ステップST110の処理が実行されることで測定された第1距離、及び後述のステップST224の処理が実行されることで測定された第1距離のうちの最新の第1距離を指す。
【0142】
ステップST222で、実行部15A5は、測距撮像処理を終了する条件(以下、「終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。終了条件の一例としては、測距撮像処理を終了する指示が受付デバイス47によって受け付けられた、との条件が挙げられる。ステップST222において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、測距撮像処理はステップST224へ移行する。ステップST222において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理が終了する。
【0143】
ステップST224で、実行部15A5は、第1測距系処理回路34Bに対して第1測距を行わせる。ここで、第1測距とは、例えば、ステップST100~ステップST110の処理と同一の処理を指す。ステップST224の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST218へ移行する。
【0144】
図24Cに示すステップST226で、実行部15A5は、撮像開始タイミングが到来したか否かを判定する。ステップST226において、撮像開始タイミングが到来していない場合は、判定が否定されて、測距撮像処理はステップST232へ移行する。ステップST226において、撮像開始タイミングが到来した場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理はステップST228へ移行する。
【0145】
ステップST228で、実行部15A5は、第2測距開始処理及び第2距離取得処理を実行することで、第2測距系処理回路34Cに対して第2測距を行わせ、第2測距による測距結果である第2距離を取得する。ステップST228の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST230へ移行する。
【0146】
ステップST230で、実行部15A5は、ステップST228の第2測距が行われることによって得られた第2距離を用いて第2撮像処理を実行する。また、実行部15A5は、第2撮像処理を実行することで得た最新の第2可視光画像を用いて第2可視光画像表示処理を実行する。ステップST230の処理が実行された後、測距撮像処理はステップST232へ移行する。
【0147】
ステップST232で、実行部15A5は、終了条件を満足したか否かを判定する。ステップST232において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、測距撮像処理はステップST226へ移行する。ステップST232において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、測距撮像処理が終了する。
【0148】
以上説明したように、スマートデバイス10では、第1測距系処理(図23参照)及び測距撮像処理(図24A図24C参照)が実行される。すなわち、光照射器16によるレーザ光の照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミング(例えば、図14に示す「時間間隔」)に第1測距系区分領域26N2によって生成された複数のIR画素データのうち、複数のIR画素データの関係と複数のIR画素データにより示される複数のIR反射光の強度とに基づいて選択されたIR画素データにより示されるIR反射光をIR画素が受光したタイミング(第1測距用受光タイミング)と照射タイミングとに基づいて第1距離が測定される。従って、本構成によれば、測距対象として意図しない光沢性物体(図12に示す例では、鏡面100A)からの反射光に起因する誤測距を回避することができる。
【0149】
また、スマートデバイス10では、第1測距用受光タイミングとして、複数のIR画素データのうちの信号レベルが2番目に大きなIR画素データに関するIR反射光の受光タイミングが採用されている。従って、本構成によれば、複数のIR画素データのうちの信号レベルが2番目に大きなIR画素データに関するIR反射光の受光タイミングが第1測距用受光タイミングとして採用される場合に比べ、測距対象として意図しない光沢性物体からの反射光に起因する誤測距を精度良く回避することができる。
【0150】
また、スマートデバイス10では、時系列分布に、第1閾値以上の強度と、第1閾値未満であり、かつ、第2閾値以上の強度とが含まれている場合に、実行部15A5によって特定の処理が実行される。従って、本構成によれば、ユーザが測距対象として意図しない光沢性物体からのIR反射光に基づく測距結果とユーザが測距対象として意図する物体(図12に示す例では、対象被写体98)からのIR反射光に基づく測距結果とが得られた場合の諸問題(例えば、ユーザが測距対象として意図しない光沢性物体からのIR反射光に基づく測距結果が優先的に採用されてしまうという問題)の解決に寄与することができる。
【0151】
また、スマートデバイス10では、第1閾値として、受光タイミングが遅くなるほど減少する値が採用されている。従って、本構成によれば、第1閾値が受光タイミングに関わらず固定されている場合に比べ、光沢性物体からの反射光に基づく測距結果を精度良く特定することができる。
【0152】
また、スマートデバイス10では、ユーザに対して提示される画像選択画面に強反射光通知メッセージが表示されている。従って、本構成によれば、ユーザが測距対象として意図しない光沢性物体からのIR反射光を受光したことをユーザに知覚させることができる。
【0153】
また、スマートデバイス10では、特定の処理として第2測距が行われる(図24AのステップST208参照)。従って、本構成によれば、時系列分布生成部34B2によって生成された時系列分布が特定の時系列分布であるにも関わらず第1測距が行われる場合に比べ、ユーザが意図する測距対象(図12に示す例では、対象被写体98)までの距離を精度良く測定することができる。
【0154】
また、スマートデバイス10では、第1測距によって得られた第1距離に基づくアクティブ方式フォーカス制御が行われる。従って、本構成によれば、パッシブ方式フォーカス制御よりもアクティブ方式フォーカス制御を好むユーザの要求に応えることができる。
【0155】
また、スマートデバイス10では、第1測距系区分領域26N2に含まれる複数のIR画素の各々について、照射タイミングと第1測距用受光タイミングとに基づいて第1距離の測定が行われる。従って、本構成によれば、単一のIR画素のみについて照射タイミングと第1測距用受光タイミングとに基づいて第1距離の測定が行われる場合に比べ、広範囲に対して第1距離の測定を行うことができる。また、距離画像も生成することができる。
【0156】
また、スマートデバイス10では、第1距離に基づくフォーカス制御下で撮像が行われることによって得られた第1可視光画像と、第2距離に基づくフォーカス制御下で撮像が行われることによって得られた第2可視光画像とを含む画像選択画面がディスプレイ46に表示される。そして、画像選択画面には、第1可視光画像又は第2可視光画像の選択をユーザに促すメッセージが表示されている。従って、本構成によれば、第1可視光画像及び第2可視光画像を選択する余地がない場合に比べ、ユーザビリティの向上に寄与することができる。
【0157】
なお、上記第1実施形態では、実行部15A5が画像選択画面を通して第1可視光画像又は第2可視光画像の選択をユーザに促すようにしているが、本開示の技術はこれに限定されず、第1可視光画像及び第2可視光画像の双方が選択されるようにしてもよい。この場合、例えば、第1撮像処理と第2撮像処理とが交互に行われ、各撮像処理が行われることによって得られた第1可視光画像及び第2可視光画像の各々がライブビュー画像又は静止画像等としてディスプレイ46に表示されるようにしてもよい。
【0158】
また、上記第1実施形態では、画像選択画面から第1可視光画像又は第2可視光画像がユーザによってタッチパネル48を介して選択される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1距離と第2距離とが異なる場合に、アクティブ方式の測距、すなわち、第1測距による測距結果に基づくフォーカス制御を伴う撮像、及びパッシブ方式の測距、すなわち、第2測距による測距結果に基づくフォーカス制御を伴う撮像のうちの何れかを優先するかをユーザによって事前に選択させておくようにしてもよい。
【0159】
また、上記第1実施形態では、光照射器16が測距用の光としてレーザ光を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、測距用の光は、スーパールミネッセント光等の指向性を有する光であってもよいし、キセノンフラッシュ光源から発せられる光であってもよいし、LEDから発せられる光であってもよい。
【0160】
また、上記第1実施形態では、可視光画像用区分領域26N1、第1測距系区分領域26N2、及び第2測距系区分領域26N3が光電変換素子26によって1チップ化されているが、本開示の技術はこれに限定されず、複数の可視光画素が1チップ化され、複数の位相差画素が1チップ化され、複数のIR画素が1チップ化されていてもよい。また、複数の可視光画素と複数の位相差画素とが1チップ化され、複数のIR画素が1チップ化されていてもよい。このように、異なる種類の感光画素が種類毎にチップ化されてスマートデバイス10に搭載される場合、各チップについて被写体側(物体側)に対物レンズ、フォーカスレンズ、及び絞り等の光学系が設けられるようにすればよい。
【0161】
また、上記第1実施形態では、測距撮像装置14がスマートデバイス10に内蔵されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、一般的なスマートデバイス、すなわち、測距撮像装置14が内蔵されていないスマートデバイスに対して測距撮像装置14が外付けされていてもよい。
【0162】
また、上記第1実施形態では、UI系デバイス44がスマートデバイス10に組み込まれている形態例を挙げて説明したが、UI系デバイス44に含まれる複数の構成要素のうちの少なくとも一部がスマートデバイス10に対して外付けされていてもよい。また、UI系デバイス44に含まれる複数の構成要素のうちの少なくとも一部が別体として外部I/F52に接続されることによって使用されるようにしてもよい。
【0163】
また、図1に示す例では、スマートデバイス10を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。すなわち、測距撮像装置14が内蔵された各種の電子機器(例えば、レンズ交換式カメラ、レンズ固定式カメラ、パーソナル・コンピュータ、及び/又はウェアラブル端末装置等)に対しても本開示の技術は適用可能であり、これらの電子機器であっても、スマートデバイス10と同様の作用及び効果が得られる。
【0164】
また、上記第1実施形態では、ディスプレイ46を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、スマートデバイス10に対して外付けされたディスプレイをディスプレイ46と併用してもよい。
【0165】
また、上記第1実施形態では、光電変換素子26と信号処理回路34とが別体とされているが、光電変換素子26と信号処理回路34とが1チップ化された積層型撮像素子を用いても良い。また、信号処理回路34の少なくとも一部を無くし、信号処理回路34の機能をCPU15Aに担わせるようにしてもよい。
【0166】
また、上記第1実施形態では、光電変換素子ドライバ32から光電変換素子26に撮像タイミング信号が供給される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、光電変換素子ドライバ32は無くてもよく、この場合、光電変換素子ドライバ32の機能をCPU15Aに担わせるようにすればよい。
【0167】
また、上記第1実施形態では、本開示の技術に係る「画像使用型測距」の一例として第2測距、すなわち、位相差画素から得られた位相差画像に従って距離を測定する位相差画像使用測距を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、位相差画素を用いた測距に代えて、ステレオカメラを用いた測距、すなわち、ステレオ画像に従って距離を測定するステレオ画像使用測距が行われるようにしてもよいし、顔検出を用いた測距、すなわち、大きさが既知の物を示す物画像に従って距離を測定する物画像使用測距が行われるようにしてもよい。ステレオカメラを用いた測距では、ステレオカメラから得られた一対の画像(ステレオ撮像方式で撮像されることで得られたステレオ画像)の視差を用いることで被写体までの距離が測定される。また、顔検出を用いた測距では、1フレーム分の画像の大きさに対する、検出された顔画像の大きさの割合等を用いることで被写体までの距離が測定される。ここでは、顔画像の大きさを例示しているが、本開示の技術はこれに限らず、大きさが既知の物(例えば、特定の自動車)を示す物画像であればよい。このようにステレオ画像使用測距及び/又は物画像使用測距を用いた場合であっても、位相差画像使用測距を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0168】
また、上記第1実施形態では、Gフィルタ、Rフィルタ、及びBフィルタが、赤外光をカットする赤外光カットフィルタとしての機能も有する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限らず、R画素、G画素、及びB画素の各々に対応する各カラーフィルタを、赤外光も透過させるカラーフィルタとし、1つのカラーフィルタにつき、可視光画素用のフォトダイオードとIR画素用のフォトダイオート(例えば、InGaAs APD)による一対のフォトダイオードが配置されるようにしてもよい。
【0169】
また、上記第1実施形態では、可視光画像用区分領域26N1と第2測距系区分領域26N3とを併用する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、可視光画像用区分領域26N1及び第2測距系区分領域26N3に代えて、可視光画素データと位相差画素データとが選択的に生成されて読み出されるエリアセンサとしてもよい。この場合、エリアセンサには、複数の感光画素が2次元状に配列されている。エリアセンサに含まれる感光画素には、例えば、遮光部材を有しない独立した一対のフォトダイオードが用いられる。可視光画素データが生成されて読み出される場合、感光画素の全領域(一対のフォトダイオード)によって光電変換が行われ、位相差画素データが生成されて読み出される場合(例えば、パッシブ方式の測距を行う場合)、一対のフォトダイオードのうちの一方のフォトダイオードによって光電変換が行われる。ここで、一対のフォトダイオードのうちの一方のフォトダイオードは、上記第1実施形態で説明した第1位相差画素Lに対応するフォトダイオードであり、一対のフォトダイオードのうちの一方のフォトダイオードは、上記第1実施形態で説明した第2位相差画素Rに対応するフォトダイオードである。なお、エリアセンサに含まれる全ての感光画素によって可視光画素データと位相差画素データとが選択的に生成されて読み出されるようにしてもよいが、これに限らず、エリアセンサに含まれる一部の感光画素によって可視光画素データと位相差画素データとが選択的に生成されて読み出されるようにしてもよい。
【0170】
また、上記第1実施形態では、時系列分布において強度が2番目に大きなIR反射光が特定IR画素によって受光されたタイミングが第1測距用受光タイミングとして採用される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、強度が第1閾値を超えたIR反射光(図16に示す例では、鏡面IR反射光)、及び第2閾値未満のノイズ光の受光タイミングは、第1測距用受光タイミングとして採用されず、第1閾値未満であり、かつ、第2閾値以上の強度のIR反射光(図16に示す例では、対象被写体IR反射光)が第1測距用受光タイミングとして採用されるようにしてもよい。この場合、上記第1実施形態と同様に、鏡面IR反射光の受光タイミングに基づいて第1測距が行われること、及び、ノイズ光に基づいて第1測距が行われることが回避される。
【0171】
また、上記第1実施形態では、図23に示すように第1測距が行われてから、図24AのステップST208の第2測距が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、CPU15Aが、第1測距と第2測距とを並行して行い、特定の処理として、第2測距の測距結果に基づく処理を含む処理が行われるようにしてもよい。ここで、第2測距の測距結果に基づく処理としては、例えば、第2測距が行われることによって得られた第2距離に基づくフォーカス制御を伴う撮像、及び/又は第2距離をディスプレイ46に対して表示させる処理等が挙げられる。このように、第1測距と第2測距とを並行して行い、特定の処理として、第2測距の測距結果に基づく処理を含む処理が行われることで、第1測距が行われた後に第2測距が行われる場合に比べ、第2測距の測距結果、すなわち、第2距離に基づく処理を早く行うことができる。
【0172】
また、上記第1実施形態では、第1閾値及び第2閾値は環境光によるノイズ成分を考慮して定められていないが、本開示の技術はこれに限らず、第1閾値及び第2閾値は環境光によるノイズ成分に基づいて定められていてもよい。この場合、例えば、環境光に含まれるIR光の強度の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値よりも高い値になるように第1閾値及び第2閾値が定められるようにすればよい。従って、本構成によれば、第1閾値及び第2閾値が環境光によるノイズ成分が考慮されることなく定められている場合に比べ、環境光によるノイズ成分が対象被写体IR反射光として誤検出されることを回避することができる。
【0173】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、第2測距、すなわち、画像使用型測距の測距結果に基づく第2撮像処理が実行される形態例を挙げて説明したが、本第2実施形態では、第2撮像処理に代えて、コントラストAFを伴う撮像が行われる場合について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0174】
一例として図25に示すように、本第2実施形態に係るスマートデバイス500では、ストレージ15Bに、測距撮像処理プログラム570が記憶されている。CPU15Aは、ストレージ15Bから測距撮像処理プログラム570を読み出す。そして、CPU15Aは、ストレージ15Bから読み出した測距撮像処理プログラム570を実行することで、第1測距制御部15A1、第1距離取得部15A2、時系列分布取得部15A3、判定部15A4、実行部15A5、合焦位置算出部15A6、及びコントラストAF方式撮像制御部15A7として動作する。
【0175】
一例として図26に示すように、コントラストAF方式撮像制御部15A7は、受光器18に対してコントラストAF方式での撮像を行わせる場合、受光器18及び合焦位置算出部15A6に対して撮像開始信号を出力する。コントラストAF方式撮像制御部15A7は、受光器18に対して撮像開始信号を出力することで、可視光画像用区分領域26N1(図5参照)に対して既定のフレームレート(例えば、60fps)で撮像を行わせ、可視光画素データ処理回路34Aに対して、撮像領域を示す第3可視光画像を生成させる。可視光画素データ処理回路34Aは、第3可視光画像を画像メモリ42に出力する。画像メモリ42には、第3可視光画像が記憶され、可視光画素データ処理回路34Aから第3可視光画像が入力される毎に画像メモリ42内の第3可視光画像が更新される。なお、第3可視光画像は、本開示の技術に係る「被写体画像」の一例である。
【0176】
また、コントラストAF方式撮像制御部15A7は、撮像開始信号の出力と並行して、受光器18及び合焦位置算出部15A6に対してモータ制御信号を出力する。モータ制御信号は、フォーカスレンズ30Bを光軸L2に沿って往復動作(ウォブリング)させるための信号であり、受光器18のモータドライバ64に入力される。モータドライバ64は、入力されたモータ制御信号に従ってモータ62を駆動させることでフォーカスレンズ30Bをウォブリングさせる(図8参照)。一方、合焦位置算出部15A6は、コントラストAF方式撮像制御部15A7から撮像開始信号が入力されてから現時点までに入力されたモータ制御信号を用いてフォーカスレンズ30Bの光軸L2上での現在位置を算出する。
【0177】
コントラストAF方式撮像制御部15A7は、画像メモリ42内の第3可視光画像が更新される毎に、画像メモリ42から第3可視光画像を取得し、取得した第3可視光画像のコントラスト値を算出する。そして、コントラストAF方式撮像制御部15A7は、第3可視光画像のコントラストの最大値を探索し、最大値が探察された時点で、合焦位置算出部15A6に対して最大値到達信号を出力する。最大値到達信号は、第3可視光画像のコントラストが最大値に到達したことを示す信号である。
【0178】
合焦位置算出部15A6は、最大値到達信号が入力されると、撮像開始信号が入力されてから現時点までに入力されたモータ制御信号を用いて、フォーカスレンズ30Bの光軸L2上での現在位置を合焦位置として算出する。合焦位置とは、撮像領域に含まれる被写体(図26に示す例では、対象被写体98)に合焦する合焦位置を指す。ここでは、合焦位置算出部15A6は、モータ制御信号を独立変数とし、合焦位置を従属変数とした演算式を用いて合焦位置を算出している。なお、本開示の技術はこれに限定されず、合焦位置算出部15A6は、モータ制御信号の時系列データと光軸L2上でのフォーカスレンズ30Bの位置とが対応付けられたテーブルを用いて合焦位置を導出するようにしてもよい。
【0179】
一例として図27に示すように、特定の処理は、上記第1実施形態に比べ、第2撮像処理に代えて第3撮像処理を含む点が異なる。第3撮像処理とは、合焦位置に対するフォーカス制御を伴う撮像(コントラストAFを伴う撮像)を行う処理を指す。具体的には、第3撮像処理において、実行部15A5は、コントラストAF方式撮像制御部15A7に対してコントラストAFを伴う撮像を指示し、コントラストAF方式撮像制御部15A7が、実行部15A5からの指示に従って受光器18に対してコントラストAFを伴う撮像を行わせる。
【0180】
また、特定の処理に含まれる画像選択画面表示処理が実行部15A5によって実行されることで生成されてディスプレイ46に表示される画像選択画面は、上記第1実施形態に比べ、一部の表示内容が異なる。すなわち、画像選択画面には、第2距離に代えて、合焦位置算出部15A6によって算出された合焦位置(図27に示す例では、基準位置からフォーカスレンズ30Bまでの距離を示す「Xmm」という数値)が表示されている。基準位置とは、例えば、光電変換素子26の撮像面の位置、又は、無限遠にピントを合わせた状態でのフォーカスレンズ30Bの位置を指す。
【0181】
また、図27に示す例において、画像選択画面には、第2可視光画像に代えて第3可視光画像が表示されている。また、画像選択画面には、「アクティブ方式」というメッセージに代えて、「アクティブAF方式」というメッセージが表示されている。更に、画像選択画面には、「パッシブ方式」というメッセージ代えて、「コントラストAF方式」というメッセージが表示されている。なお、図27に示す例では、第1可視光画像に対して「1.8m」という第1距離が対応付けられて表示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、第1距離に代えて又は第1距離と共に、第1距離に基づいて導出された合焦位置、すなわち、基準位置からフォーカスレンズ30Bまでの距離が表示されるようにしてもよい。
【0182】
なお、本第2実施形態では、「アクティブAF方式」と「コントラストAF方式」という表示例を示しているが、必ずしも「アクティブAF方式」と「パッシブAF方式」という表示でなくてもよく、ユーザがAF方式の違いを理解できればどのような表示であっても良い。例えば、レーザ測距を用いたAFとコントラストAFを行う場合、「レーザ測距を用いたAF」という表示と「コントラストを用いたAF」という表示でもよいし、AF方式を表すアイコン等を表示してもよい。また、AF方式の表示に代えて、ピント位置を表示してもよい。例えば、「ピント位置:手前」と「ピント位置:奥」でもよいし、「ピント位置:物体」と「ピント位置:物体に映った像」等と表示してもよい。あるいは、AF方式を示す文字及びアイコン並びにピント位置の2つ以上を組み合わせて表示してもよい。
【0183】
以上説明したように、スマートデバイス500では、特定の処理として、コントラストAFを伴う撮像(第3撮像処理)が実行部15A5によって実行される。従って、本構成によれば、時系列分布生成部34B2によって生成された時系列分布が特定の時系列分布の場合にコントラストAFを伴う撮像が行われるので、アクティブAF方式よりもコントラストAF方式を好むユーザの要求に応えることができる。
【0184】
なお、上記各実施形態では、画角θ1に収まる撮像領域が測距対象とされているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、測距対象とされる撮像領域は、ユーザによって受付デバイス47を介して与えられた指示に従って限定された特定の実空間領域であってもよい。これにより、ユーザが意図する実空間領域に対して測距を行うことができる。なお、ここでは、ユーザによって受付デバイス47を介して与えられた指示に従って撮像領域が限定される形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、スマートデバイス10と通信可能な外部装置(図示省略)から与えられた指示に従って撮像領域が限定されるようにしてもよい。
【0185】
また、ユーザ又は外部装置から与えられた指示に従って、第1測距が行われる測距対象領域と、第2測距が行われる測距対象領域とがCPU15Aによって選択的に限定されるようにしてもよい。第1測距が行われる測距対象領域を限定する方法としては、照射角度θ2を調節する方法、及び/又は、第1測距系区分領域26N2内で使用するIR画素の範囲を限定する方法が挙げられる。また、第2測距が行われる測距対象領域を限定する方法としては、画角θ1を調節する方法、及び/又は、第2測距系区分領域26N3内で使用する位相差画素の範囲を限定する方法が挙げられる。
【0186】
また、測距対象とされる撮像領域は、可視光画像からCPU15Aによって検出された対象被写体画像(例えば、対象被写体98を示す画像)に対応する特定の実空間領域であってもよい。この場合、例えば、機械学習(例えば、ディープラーニング)を用いた画像認識処理が行われることによって検出された対象被写体画像に対応する実空間領域に対して第1測距及び/又は第2測距が行われるようにしてもよい。また、対象被写体画像は、特定の人物の顔を示す画像であってもよいし、自動車又は航空機等の乗り物を示す画像であってもよく、物体を示す画像であればよい。
【0187】
このように、可視光画像からCPU15Aによって検出された対象被写体画像に対応する特定の実空間領域に対して測距が行われるようにすることで、ユーザが肉眼で対象被写体を探して対象被写体に対する測距を行う場合に比べ、対象被写体に対する測距を容易に行うことができる。
【0188】
また、上記各実施形態では、一例として図14に示す時系列分布では、鏡面IR反射光の受光タイミングが対象被写体IR反射光の受光タイミングよりも早いが、これに限らず、例えば、図28に示すように、対象被写体IR反射光の受光タイミングが鏡面IR反射光の受光タイミングよりも早い場合であっても本開示の技術は成立する。この場合であっても、時系列分布において強度が2番目に大きなIR反射光の受光タイミングが第1測距用受光タイミングとして採用される。
【0189】
また、上記各実施形態では、第1閾値及び第2閾値(図16参照)を用いることによって時系列分布が特定の時系列分布であるか否かの判定が行われるようにしたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、時系列分布の強度は、受光タイミングに応じて調整されていてもよい。この場合、一例として図29に示すように、時系列分布に対してフィルタ(図29に示す例では、受光タイミングが遅くなるほど強度を漸次的に高めるように構成されたフィルタ)が適用されることによって、一例として図30に示すように、時系列分布が調整される。これにより、時系列分布が受光タイミングの影響を受けている場合に比べ、時系列分布から、測距対象とされた物体の材質に起因する測距結果を精度良く特定することができる。
【0190】
なお、このように時系列分布がフィルタリングされる場合、フィルタリング後の時系列分布に対して適用される第1閾値及び第2閾値は、フィルタに応じて変更される。そして、これに伴って、時系列分布が上述した特定の時系列分布に該当するか否かの判定方法も変更される。例えば、上記第1実施形態で説明した第1閾値と第2閾値との大小関係は、“第1閾値<第2閾値”となり、これらの第1閾値及び第2閾値を図30に示す時系列分布に適用すると、時系列分布に、第2閾値よりも大きな強度(図30に示す例では、対象被写体IR反射光)が含まれ、第2閾値未満であり、かつ、第1閾値以上の強度(図30に示す例では、鏡面IR反射光)が含まれている場合に、判定部15A4によって、フィルタリング後の時系列分布が特定の時系列分布であると判定される。
【0191】
また、受光タイミングの影響を除去する度合いがフィルタ(図29参照)及び第1閾値とで分散されるようにしてもよい。例えば、フィルタによって、受光タイミングの影響が半分除去され、第1閾値によって、受光タイミングの影響が半分除去されるようにしてもよい。
【0192】
また、上記第1実施形態では、ストレージ15Bに測距撮像処理プログラム70が記憶されており、上記第2実施形態では、ストレージ15Bに測距撮像処理プログラム570が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図31に示すように、測距撮像処理プログラム70又は570(以下、測距撮像処理プログラム70及び570を区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「測距撮像処理プログラム」と称する)が記憶媒体900に記憶されていてもよい。記憶媒体900の一例としては、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
【0193】
記憶媒体900に記憶されている測距撮像処理プログラムは、コントローラ15にインストールされる。CPU15Aは、測距撮像処理プログラムに従って測距撮像処理を実行する。
【0194】
また、通信網(図示省略)を介してコントローラ15に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に測距撮像処理プログラムを記憶させておき、上述のスマートデバイス10の要求に応じて測距撮像処理プログラムがダウンロードされ、コントローラ15にインストールされるようにしてもよい。
【0195】
なお、コントローラ15に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部、又はストレージ15Bに測距撮像処理プログラムの全てを記憶させておく必要はなく、測距撮像処理プログラムの一部を記憶させておいてもよい。
【0196】
図31に示す例では、スマートデバイス10にコントローラ15が内蔵されている態様例が示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、コントローラ15がスマートデバイス10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0197】
図31に示す例では、CPU15Aは、単数のCPUであるが、複数のCPUであってもよい。また、CPU15Aに代えてGPUを適用してもよい。
【0198】
図31に示す例では、コントローラ15が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コントローラ15に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コントローラ15に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0199】
上記各実施形態で説明した測距撮像処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、測距撮像処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで測距撮像処理を実行する。
【0200】
測距撮像処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、測距撮像処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0201】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、測距撮像処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、測距撮像処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、測距撮像処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0202】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の測距撮像処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0203】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0204】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0205】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0206】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0207】
(付記1)
プロセッサと、
プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を含み、
プロセッサは、
光照射器による光の面照射に対応する受光期間内において既定の時間間隔毎に受光器によって受光された反射光の強度が時系列で規定された時系列分布において反射光が受光器によって受光された回数が1回の場合に、照射タイミングと受光タイミングとに基づいて測定した第1距離を用いることで撮像装置に対してフォーカス制御を行い、時系列分布において反射光が受光器によって受光された回数が複数の場合に、測距対象領域が撮像されることで得られた画像に基づいて測定した第2距離を用いることで撮像装置に対してフォーカス制御を行う
情報処理装置。
【0208】
(付記2)
プロセッサと、
光を測距対象領域に向けて面照射する光照射器と、
光の測距対象領域からの反射光を受光する受光器と、を含み、
プロセッサは、
光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定し、
第1距離は、光照射器による面照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミングに受光器によって生成された複数の信号のうち、複数の信号の関係と複数の信号の強度とに基づいて選択された信号に対応する受光タイミングと照射タイミングとに基づいてプロセッサによって測定される
測距装置。
【0209】
(付記3)
プロセッサと、
プロセッサに接続又は内蔵されたメモリと、を含み、
プロセッサは、
光照射器が光を測距対象領域に向けて面照射した照射タイミングと、光の測距対象領域からの反射光を受光器が受光した受光タイミングとに基づいて測距対象領域内の物体までの第1距離を測定し、
第1距離は、光照射器による面照射に対応する受光期間内の複数の受光タイミングに受光器によって生成された複数の信号のうち、複数の信号の関係と複数の信号の強度とに基づいて選択された信号に対応する受光タイミングと照射タイミングとに基づいてプロセッサによって測定される
情報処理装置。
【符号の説明】
【0210】
10,500 スマートデバイス
12 筐体
12A 背面
12B 前面
13 指示キー
14 測距撮像装置
15 コントローラ
15A CPU
15A1 第1測距制御部
15A2 第1距離取得部
15A3 時系列分布生成部
15A4 判定部
15A5 実行部
15A6 第1合焦位置算出部
15A7 コントラストAF方式撮像制御部
15A8 合焦位置算出部
15B ストレージ
15C メモリ
16 光照射器
17A,17B 遮光部材
18 受光器
19 マイクロレンズ
20,22,352 透光窓
21 ビームエクスパンダ
23 コリメートレンズ
24 LD
25 LDドライバ
26,354 光電変換素子
26N1 可視光画像用区分領域
26N2 第1測距系区分領域
26N3 第2測距系区分領域
27 TOFカメラ
30A 対物レンズ
30B フォーカスレンズ
30C 絞り
31 合焦制御機構
32 光電変換素子ドライバ
34 信号処理回路
34A 可視光画素データ処理回路
34B 第1測距系処理回路
34B1 IR画素データ取得部
34B2 時系列分布生成部
34B3 受光タイミング決定部
34B4 第1距離測定部
34C 第2測距系処理回路
40 入出力インタフェース
41 撮像レンズ
42 画像メモリ
44 UI系デバイス
46 ディスプレイ
47 受付デバイス
48 タッチパネル
50 バス
52 外部I/F
53 ハードキー部
54 通信I/F
56 ネットワーク
59 タッチパネル・ディスプレイ
60 移動機構
62 モータ
64 モータドライバ
70,570 測距撮像処理プログラム
72 合焦位置導出テーブル
100 鏡
100A 鏡面
300L 左領域通過光
300R 右領域通過光
350 広角用受光器
900 記憶媒体
L 第1位相差画素
L1,L2 光軸
N 非位相差画素
PD フォトダイオード
R 第2位相差画素
α ずれ量
θ1 画角
θ2 照射角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31