(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063019
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】GIP受容体アゴニストペプチド化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20240501BHJP
C07K 14/46 20060101ALI20240501BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20240501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240501BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240501BHJP
C07K 14/605 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
C07K14/00
C07K14/46
A61P1/08
A61P43/00 111
A61K38/17
C07K14/605 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018271
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2021516498の分割
【原出願日】2019-09-24
(31)【優先権主張番号】62/735,548
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】井元 広士
(72)【発明者】
【氏名】安達 万里
(72)【発明者】
【氏名】兼松 陽子
(72)【発明者】
【氏名】浅見 泰司
(72)【発明者】
【氏名】新居田 歩
(72)【発明者】
【氏名】西澤 直城
(72)【発明者】
【氏名】コール,デレック,セシル
(72)【発明者】
【氏名】フリンスパッチ,マック
(72)【発明者】
【氏名】スカラー,ニック
(72)【発明者】
【氏名】バート,アビジット スレシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】GIP受容体に対して活性化作用を有するGIP受容体アゴニストペプチド化合物、ならびに糖尿病、肥満、嘔吐、または、糖尿病、肥満、もしくは嘔吐に関連症状もしくは状態の治療及び/または予防のための医薬としてのGIP受容体アゴニストペプチドの使用を提供する。
【解決手段】式(III):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-P2(配列番号6)で表される、GIP受容体アゴニストペプチド、またはその塩が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
P1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A1
2-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A2
2-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A3
2-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-P2
(配列番号4)によって表されるGIP受容体アゴニストペプチド、またはその塩であっ
て、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表すか、または
存在せず、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1は、Tyr、3,5-Dix Tyr、D-Tyr、3,5 ジ-Br-Tyr、P
he、αメチル-Phe、モノ-ハロ-Phe、ビス-ハロ-Phe、-Tyr、-D-
Phe、-D-Tyr、デス-アミノ-Phe、またはデス-アミノ-Tyrを表し、
A2は、Aib、Ala、Gly、Sar、Abu、またはD-Alaを表し、
A3は、GluまたはProを表し、
A4は、GlyまたはSerを表し、
A5は、Thr、D-Iva、Glu、Iva、またはSerを表し、
A6は、Ala、Aib、αメチル-Phe、A6C、Glu、Iva、Arg、Phe
、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、Val、Ala、Aib、α-メチル-Leu、A6C、As
p、Phe、Gly、Iva、Leu、Arg、またはSerを表し、
A8は、Ser、Ala、Aib、Asp、Phe、Gly、Leu、またはArgを表
し、
A9は、Asp、Leu、Aib、Glu、Asn、Gln、Ser、またはPheを表
し、
A10は、Aib、αメチル-Phe、A6C、Lys、またはTyrを表し、
A11は、Aib Ser、Ala、Glu、Iva、A5c、A6c、またはLeuを
表し、
A12は、Ile、Ala、Aib、Glu、αメチル-Phe、Phe、Lys、Ar
g、Ser、Trp、A6C、Cys、またはAspを表し、
A13は、Aib、Ala、Val、Iva、Gln、Leu、Tyr、D-Iva、α
メチル-Phe、A6C、またはGluを表し、
A14は、Leu、Nle、Tyr、Ala、Aib、αメチル-Leu、Lys、Le
u、Ser、Met、またはMeを表し、
A15は、Ala、Aib、Leu、Asn、Asp、Glu、Lys、Ser、または
Tyrを表し、
A16は、Arg Ala、Aib、Glu、Gly、Leu、Ser、またはLysを
表し、
A17は、Aib、Ala、Lys、Asp、Arg、Gln、Glu、またはIleを
表し、
A18は、Ala、Aib、A6C、Phe、Gly、Iva、Leu、Ser、Trp
、またはHisを表し、
A19は、Gln、Ala、Val、Aib、Ile、Arg、またはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、Arg、Glu、Gly、Ser、Val、またはGlnを
表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、Ala、Aib、Lys、Gln、または
Serを表し、
A22は、Phe、Glu、Gln、Arg、Trp、またはαMePheを表し、
A23は、Ile、Aib、Asp、Glu、Arg、Thr、またはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、Lys(Ac)、Ala、Aib、Cys
、Phe、Leu、Nle、Ser、Asp、またはGlnを表し、
A25は、Trp、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nle、Ar
g、またはValを表し、
A26は、Aib、Iva、Ala、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nl
e、Arg、Val、またはLeuを表し、
A27は、Leu、Val、Ala、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Me
t、Nle、Arg、Trp、またはIleを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、Aib、Asp、Asn、またはLys(Ac)を
表し、
A29は、Gln、Gly、Arg、Glu、Leu、またはAibを表し、
A30は、Lys、Arg、Gly、またはGluを表し、
A31は、Pro、Gly、Hyp、Gln、Phe、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、Arg、Lys、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、Pro、Lys、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、Ser、Asn、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、Ser、Asp、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、Gly、Hyp、Trp、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、Ala、Hyp、Lys、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Hyp、His、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys、Pro、Asn、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Cys、Glu、Lys、Lys-Ac、Pro、Ile、
ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、Ser、Ile、Thr、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、前記GIP受容体アゴニスト
ペプチドまたはその塩。
【請求項2】
式(II):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号5)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、前記GIP受容体アゴニスト
ペプチドまたはその塩。
【請求項3】
式(III):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号6)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、前記GIP受容体アゴニスト
ペプチドまたはその塩。
【請求項4】
式(IV):
P1-A1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A11
-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21
-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31
-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41
-P2(配列番号7)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプチド、
またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1はTyrを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、前記GIP受容体アゴニスト
ペプチドまたはその塩。
【請求項5】
式(I)中のA1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10
-A11-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20
-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29が、Ty
r-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-Tyr-Se
r-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-Aib-As
n-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln(配列番号8)
である、式(V)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプチド、また
はその塩であって、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018/0
13540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を
有するペプチドではないという条件である、前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは
その塩。
【請求項6】
式(VI):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-A41-P2(配列番号9)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニス
トペプチド、またはその塩であって、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Lys(R)、または欠失を表し、
A41は、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でLys(
R)を表し、ここで、(R)は置換基を表し、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、
PCT/JP2018/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいず
れか1つのアミノ酸配列を有するペプチドではないという条件である、前記GIP受容体
アゴニストペプチドまたはその塩。
【請求項7】
式(VII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-P
2(配列番号10)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプチド、ま
たはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)を表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す、前記GIP受容体アゴニス
トペプチドまたはその塩。
【請求項8】
式(VIII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-P2(配列番号11)で表される、請求項1に記載のGIP受容体アゴニストペプ
チド、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、ProまたはLys(R)を表し、
A37は、ProまたはLys(R)を表し、
A38は、ProまたはLys(R)を表し、
A39は、SerまたはLys(R)を表し、
A40は、ArgまたはSerを表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す、前記GIP受容体アゴニス
トペプチドまたはその塩。
【請求項9】
ψがLys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であり、前記残
基の側鎖がX-L-で置換されている、または(R)がX-L-で表され、Lが、結合も
しくは二価の置換基を表し、Xが、任意選択で置換された炭化水素基もしくはその塩を表
す、請求項1~8のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項10】
ψがX-L-で置換された側鎖を有するLys残基である、請求項1~8のいずれかに
1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項11】
Lが、(PEG3)2、Abu-、(Gly)(2-8)-、gGlu(1-3)-、
またはそれらの組み合わせを表す、請求項9及び10のいずれか1項に記載のGIP受容
体アゴニストペプチド。
【請求項12】
Lが(PEG3)2-gGlu-を表す、請求項9及び10のいずれか1項に記載のG
IP受容体アゴニストペプチド。
【請求項13】
LがAbu-gGlu-を表す、請求項11に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
。
【請求項14】
Lが、(Gly)5-gGlu-または(Gly)6-gGlu-を表す、請求項11
に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項15】
LがGGGGG-を表す、請求項9に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項16】
Lが(PEG3)2-を表す、請求項9に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項17】
Lが(PEG3)2-(Gly)5-6-を表す、請求項9に記載のGIP受容体アゴ
ニストペプチド。
【請求項18】
Lが結合または二価の置換基を表し、Xが任意選択で置換された炭化水素基またはその
塩を表す、請求項9~17のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項19】
前記二価の置換基が、アルキレン基、カルボニル基、オキシカルボニル基、イミノ基、
アルキルイミノ基、スルホニル基、オキシ基、スルフィド基、エステル結合、アミド結合
、炭酸結合、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のGIP受容体アゴニ
ストペプチド。
【請求項20】
Xが、C6~C20一酸、C6~C20二酸、またはアセチル基である、請求項9~1
9のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項21】
Xが、(Trda:C13二酸)、(Teda:C14二酸)、(Peda:C15二
酸)、(Heda:C16二酸)、(Hepda:C17二酸)、(Oda:C18二酸
)、または(Eda:C20二酸)(Ida:C__二酸)である、請求項20に記載の
GIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項22】
ψまたは(R)が、-(g-Glu)2-Oda、-(g-Glu)2-Eda、-(
g-Glu)2-Heda、-(PEG3)2-gGlu-Eda、-(PEG3)2-
gGlu-Heda、-(PEG3)2-gGlu-Oda、-(PEG3)2-gGl
u-Ida、-(PEG3)-gGlu-Eda、-(PEG3)-gGlu-Heda
、-(PEG3)-gGlu-Oda、-Abu-gGlu-Oda、-(Gly)5-
gGlu-Eda、-(Gly)5-gGlu-Heda、-(Gly)5-gGlu-
Oda、-(Gly)5-Heda、-(Gly)5-Oda、-(Gly)5-Eda
、-(PEG3)2-Heda、-(PEG3)2-Eda、-(PEG3)2-Oda
、またはそれらの組み合わせを表す、請求項9~21のいずれか1項に記載のGIP受容
体アゴニストペプチド。
【請求項23】
前記GIP受容体アゴニストペプチドが、10を超える、または100を超える、また
は1,000を超える、または100,000を超える、(GLP1R EC50/GI
PR EC50)の比として表される選択比を有する、請求項1~22のいずれか1項に
記載のGIP受容体アゴニストペプチド。
【請求項24】
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは前記GIP受容体アゴニストペプチドを含
む医薬、または前記GIP受容体アゴニストペプチドを含む医薬組成物を投与して、嘔吐
を単剤療法として治療する、請求項1~23のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニ
ストペプチド。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩
を含む医薬。
【請求項26】
GIP受容体の活性剤である、請求項25に記載の医薬。
【請求項27】
嘔吐(vomiting)または悪心のための抑制剤である、請求項26に記載の医薬
。
【請求項28】
嘔吐または悪心の抑制剤の製造のための、請求項1~23のいずれか1項に記載のGI
P受容体アゴニストペプチドまたはその塩の使用。
【請求項29】
嘔吐または悪心を抑制するのに使用するための、請求項1~23のいずれか1項に記載
のペプチドまたはその塩。
【請求項30】
対象における嘔吐(emesis)を予防または治療するための方法であって、請求項
1~23のいずれか1項に記載のペプチドまたはその塩の有効量を前記対象に投与するこ
とを含む、前記方法。
【請求項31】
前記嘔吐(emesis)が悪心及び/または嘔吐(vomiting)である、請求
項30に記載の方法。
【請求項32】
前記嘔吐(emesis)、嘔吐(vomiting)または前記悪心が、次の(1)
~(10)から選択される1つ以上の状態または原因によって引き起こされる請求項25
に記載の医薬、請求項28に記載の使用、請求項29に記載のペプチド、または請求項3
0に記載の方法:
(1)胃不全麻痺、胃腸運動低下、腹膜炎、腹部腫瘍、便秘、胃腸閉塞、慢性腸偽閉
塞、機能性消化不良、周期性嘔吐症候群、慢性原因不明の悪心及び嘔吐、急性膵炎、慢性
膵炎、肝炎、高カリウム血症、脳浮腫、頭蓋内病変、代謝障害、感染症による胃炎、術後
疾患、心筋梗塞、片頭痛、頭蓋内高血圧、及び頭蓋内低血圧(例えば、高山病)等の嘔吐
(vomiting)または悪心を伴う疾患、
(2)(i)アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、
クロランブシル、ストレプトゾシン、ダカルバジン、イホスファミド、テモゾロミド、ブ
スルファン、ベンダムスチン、及びメルファラン)、細胞毒性抗生物質(例えば、ダクチ
ノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、エピルビシン、ア
クチノマイシンD、アムルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、及びピラルビシン)
、代謝抑制剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、エノシ
タビン、及びクロファラビン)、ビンカアルカロイド(例えば、エトポシド、ビンブラス
チン、及びビンクリスチン)、シスプラチン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アザシ
チジン、イリノテカン、インターフェロンα、インターロイキン-2、オキサリプラチン
、カルボプラチン、ネダプラチン、及びミリプラチン等の他の化学療法剤、(ii)オピ
オイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ)、(iii)ドーパミン受容体D1D2アゴニスト(
例えば、アポモルヒネ)、(iv)大麻及びカンナビノイド製品(大麻過敏症症候群を含
む)等の化学療法薬によって誘発される嘔吐及び/または悪心、
(3)放射線障害またはがんの治療に使用される胸部、腹部等の放射線療法によって引き
起こされる嘔吐または悪心、
(4)有毒物質または毒素によって引き起こされる嘔吐または悪心、
(5)妊娠悪阻を含む妊娠によって引き起こされる嘔吐及び悪心、
(6)乗り物酔いやめまい等の前庭障害によって引き起こされる嘔吐及び吐き気、
(7)オピオイド離脱、
(8)妊娠悪阻を含む妊娠、
(9)乗り物酔いやめまい等の前庭障害、または
(10)局所的、全身的、急性または慢性の疼痛を引き起こす身体的損傷。
【請求項33】
前記嘔吐(emesis)が、周期性嘔吐症候群または化学療法の結果である請求項3
0に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が非2型糖尿病の対象である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記嘔吐が遅延性嘔吐または予期性嘔吐である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記対象に不安または鎮静を誘発することなく、前記対象において嘔吐を治療する、請
求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
血漿グルコースレベルが空腹時レベルを超えている場合、グルカゴン分泌の抑制を誘導
することなく、前記対象において嘔吐が治療される、請求項30~36のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項38】
前記GLP-1受容体を実質的に活性化することなく、前記対象において嘔吐が治療さ
れる、請求項30~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
GLP-1受容体アゴニストの同時投与、その後の投与、またはその前の投与なしに、
前記対象において嘔吐が治療される、請求項30~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
メタボリックシンドローム障害を制御するための医薬を服用していない対象において嘔
吐が治療される、請求項30~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
メタボリックシンドローム障害を制御するための医薬を服用している対象において嘔吐
が治療される、請求項30~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記メタボリックシンドローム障害が2型糖尿病または肥満である、請求項41に記載
の方法。
【請求項43】
前記嘔吐が周期性嘔吐症または化学療法に関連する悪心もしくは嘔吐(vomitin
g)によって引き起こされるか、または前記嘔吐が周期性嘔吐症または化学療法に関連す
る悪心もしくは嘔吐を引き起こす、請求項30~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記化学療法または化学療法薬が、(i)アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド
、カルムスチン、ロムスチン、クロランブシル、ストレプトゾシン、ダカルバジン、イホ
スファミド、テモゾロミド、ブスルファン、ベンダムスチン、及びメルファラン)、細胞
毒性抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン-C、ブレ
オマイシン、エピルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、イダルビシン、ダウノ
ルビシン、及びピラルビシン)、代謝抑制剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、
5-フルオロウラシル、エノシタビン、及びクロファラビン)、ビンカアルカロイド(例
えば、エトポシド、ビンブラスチン、及びビンクリスチン)、シスプラチン、プロカルバ
ジン、ヒドロキシ尿素、アザシチジン、イリノテカン、インターフェロンα、インターロ
イキン-2、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、及びミリプラチン等の
他の化学療法剤、(ii)オピオイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ)、(iii)ドーパミ
ン受容体D1D2アゴニスト(例えば、アポモルヒネ)、(iv)大麻及びカンナビノイ
ド製品(大麻過敏症症候群を含む)、を含む、請求項32または43に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が2型糖尿病を有する、請求項30~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは医薬が皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経
口、または吸入によって投与される、請求項30~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象に投与される前記GIP受容体アゴニストペプチドの前記有効量が、約0.0
1~0.5mg/kg/日、0.1~5mg/kg/日、5~10mg/kg/日、10
~20mg/kg/日、20~50mg/kg/日、10~100mg/kg/日、10
~120mg/kg/日、50~100mg/kg/日、100~200mg/kg/日
、200~300mg/kg/日、300~400mg/kg/日、400~500mg
/kg/日、500~600mg/kg/日、600~700mg/kg/日、700~
800mg/kg/日、800~900mg/kg/日、または900~1000mg/
kg/日である、請求項30~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象がヒトである、請求項30~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは医薬が、前記象が病状を発症する前、その
最中、またはその後に前記対象に投与される、請求項30~48のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項50】
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは医薬が、1日に1~3回、または週に1~
7回、前記対象に投与される、請求項30~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは医薬が、1~5日間、1~5週間、1~5
か月間、または1~5年間、前記対象に投与される、請求項30~50のいずれか1項に
記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年9月24日に出願された米国仮出願第62/735,548号の優
先権を主張し、その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、GIP受容体に対する活性化作用を有する新規ペプチド化合物及び医薬とし
てのペプチド化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションの記述は、本開示に関連する背景情報を提供するのみであり、先行技術
を構成しない場合がある。
【0004】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌性ポリペ
プチド(GIP)はどちらも、インクレチンと呼ばれるペプチドである。GLP-1とG
IPは、それぞれ小腸のL細胞とK細胞から分泌される。
【0005】
GLP-1はGLP-1受容体を介して作用し、グルコース依存性インスリン分泌促進
性作用と摂食抑制作用を持つことが知られている。一方、GIPはGIP受容体を介して
グルコース依存性インスリン分泌促進性作用を有することが知られているが、GIPが摂
食のみに及ぼす影響は明らかではない。
【0006】
GLP-1受容体/GIP受容体共アゴニストまたはグルカゴン受容体/GLP-1受
容体/GIP受容体トライアゴニスト活性及びそれらの修飾を有するペプチドを探し、天
然グルカゴン、GIP、またはGLP-1の構造に基づいて、これらのペプチドを抗肥満
薬、糖尿病の治療薬、または神経変性障害の治療薬として開発する試みがなされてきた。
しかしながら、嘔吐、ならびに悪心及び嘔吐等の嘔吐に関連する同様の症状を治療する際
に使用するための、本開示のGIP受容体に対して選択的活性化作用を有するペプチド化
合物及び化合物は開示されていない。
【0007】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それらの全体が参照によ
り本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、GIP受容体活性化作用を有し、糖尿病、肥満の予防/治療剤、及び
/または嘔吐もしくは吐き気が付随する疾患を予防/治療するための制吐剤として有用な
GIP受容体アゴニストペプチド化合物を提供することである。
【0009】
本開示は、上述の問題を解決するための広範な研究を提供し、優れたGIP受容体活性
化作用を有する化合物として、式(I)~(VIII)によって表される配列を含むGI
Pアゴニストペプチド化合物を見出した。さらに、本開示は、GIP受容体を選択的に活
性化し、制吐作用を有し、in vivoでの嘔吐を治療及び/または予防するために使
用されるGIPアゴニスト化合物を提供する。
【0010】
本開示は、上述の問題を解決するための広範な研究を提供し、優れたGIP受容体活性
化作用を有する新規化合物として、式(I)~(VIII)によって表される配列を含む
ペプチド化合物を見出した。さらに、本開示は、これらのGIPアゴニストペプチドがG
IP受容体を選択的に活性化し、制吐作用を有することを示すための実験的支持を提供す
る。
【0011】
より具体的には、本開示は、以下の実施形態(1)~(19)を含む。
【0012】
(1).式(I):
P1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A1
2-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A2
2-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A3
2-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-P2
(配列番号4)によって表されるGIP受容体アゴニストペプチド、またはその塩であっ
て、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表すか、または
存在せず、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1は、Tyr、3,5-Dix Tyr、D-Tyr、3,5 ジ-Br-Tyr、P
he、αメチル-Phe、モノ-ハロ-Phe、ビス-ハロ-Phe、-Tyr、-D-
Phe、-D-Tyr、デス-アミノ-Phe、またはデス-アミノ-Tyrを表し、
A2は、Aib、Ala、Gly、Sar、Abu、またはD-Alaを表し、
A3は、GluまたはProを表し、
A4は、GlyまたはSerを表し、
A5は、Thr、D-Iva、Glu、Iva、またはSerを表し、
A6は、Ala、Aib、αメチル-Phe、A6C、Glu、Iva、Arg、Phe
、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、Val、Ala、Aib、α-メチル-Leu、A6C、As
p、Phe、Gly、Iva、Leu、Arg、またはSerを表し、
A8は、Ser、Ala、Aib、Asp、Phe、Gly、Leu、またはArgを表
し、
A9は、Asp、Leu、Aib、Glu、Asn、Gln、Ser、またはPheを表
し、
A10は、Aib、αメチル-Phe、A6C、Lys、またはTyrを表し、
A11は、Aib Ser、Ala、Glu、Iva、A5c、A6c、またはLeuを
表し、
A12は、Ile、Ala、Aib、Glu、αメチル-Phe、Phe、Lys、Ar
g、Ser、Trp、A6C、Cys、またはAspを表し、
A13は、Aib、Ala、Val、Iva、Gln、Leu、Tyr、D-Iva、α
メチル-Phe、A6C、またはGluを表し、
A14は、Leu、Nle、Tyr、Ala、Aib、αメチル-Leu、Lys、Le
u、Ser、Met、またはMeを表し、
A15は、Ala、Aib、Leu、Asn、Asp、Glu、Lys、Ser、または
Tyrを表し、
A16は、Arg Ala、Aib、Glu、Gly、Leu、Ser、またはLysを
表し、
A17は、Aib、Ala、Lys、Asp、Arg、Gln、Glu、またはIleを
表し、
A18は、Ala、Aib、A6C、Phe、Gly、Iva、Leu、Ser、Trp
、またはHisを表し、
A19は、Gln、Ala、Val、Aib、Ile、Arg、またはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、Arg、Glu、Gly、Ser、Val、またはGlnを
表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、Ala、Aib、Lys、Gln、または
Serを表し、
A22は、Phe、Glu、Gln、Arg、Trp、またはαMePheを表し、
A23は、Ile、Aib、Asp、Glu、Arg、Thr、またはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、Lys(Ac)、Ala、Aib、Cys
、Phe、Leu、Nle、Ser、Asp、またはGlnを表し、
A25は、Trp、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nle、Ar
g、またはValを表し、
A26は、Aib、Iva、Ala、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nl
e、Arg、Val、またはLeuを表し、
A27は、Leu、Val、Ala、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Me
t、Nle、Arg、Trp、またはIleを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、Aib、Asp、Asn、またはLys(Ac)を
表し、
A29は、Gln、Gly、Arg、Glu、Leu、またはAibを表し、
A30は、Lys、Arg、Gly、またはGluを表し、
A31は、Pro、Gly、Hyp、Gln、Phe、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、Arg、Lys、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、Pro、Lys、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、Ser、Asn、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、Ser、Asp、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、Gly、Hyp、Trp、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、Ala、Hyp、Lys、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Hyp、His、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys、Pro、Asn、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Cys、Glu、Lys、Lys-Ac、Pro、Ile、
ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、Ser、Ile、Thr、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0013】
(2).式(II):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号5)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプ
チド、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、前記GIP受容体アゴニスト
ペプチドまたはその塩。
【0014】
(3).式(III):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号6)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプ
チド、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0015】
(4).式(IV):
P1-A1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A11
-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21
-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31
-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41
-P2(配列番号7)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチ
ド、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1はTyrを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0016】
(5).式(I)中のA1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9
-A10-A11-A12-A13- A14-A15-A16-A17-A18-A1
9-A20-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A2
9が、Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln(配
列番号8)である、
式(V)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチド、またはそ
の塩であって、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018/013
540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有す
るペプチドではないという条件である、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0017】
(6).式(VI):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-A41-P2(配列番号9)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴ
ニストペプチド、またはその塩であって、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Lys(R)、または欠失を表し、
A41は、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でLys(
R)を表し、ここで、(R)は置換基を表し、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、
PCT/JP2018/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいず
れか1つのアミノ酸配列を有するペプチドではないという条件である、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0018】
(7).式(VII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-P
2(配列番号10)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1,
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)を表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0019】
(8).式(VIII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-P2(配列番号11)によって表される、(1)に記載のGIP受容体アゴニスト
ペプチド、またはその塩であって、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2及び-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、ProまたはLys(R)を表し、
A37は、ProまたはLys(R)を表し、
A38は、ProまたはLys(R)を表し、
A39は、SerまたはLys(R)を表し、
A40は、ArgまたはSerを表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す、
前記GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩。
【0020】
(9).ψが、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖が置換されている、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
。
【0021】
(10).ψが、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基で
あり、前記残基の側鎖がX-L-によって置換されている、(9)に記載のGIP受容体
アゴニストペプチド。様々な実施形態では、Lは、結合または二価の置換基を表し、Xは
、任意選択で置換された炭化水素基、またはその塩を表す。
【0022】
(11).前記GIP受容体アゴニストペプチドが、10を超える、または100を超
える、または1,000を超える、または100,000を超える、(GLP1R EC
50/GIPR EC50)の比として表される選択比を有する、(1)に記載のGIP
受容体アゴニストペプチド。
【0023】
(12).前記GIP受容体アゴニストペプチドまたは前記GIP受容体アゴニストペ
プチドを含む医薬、または前記GIP受容体アゴニストペプチドを含む医薬組成物を投与
して、嘔吐を単剤療法として治療する、(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチド
。
【0024】
(13).(1)に記載のGIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩を含む医薬。
【0025】
(14).嘔吐または悪心の抑制剤の製造のための(1)に記載のGIP受容体アゴニ
ストペプチドまたはその塩の使用。
【0026】
(15).嘔吐または悪心の抑制に使用するための(1)に記載のペプチドまたはその
塩。
【0027】
(16).対象における嘔吐を予防または治療するための方法であって、(1)のペプ
チドまたはその塩の有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0028】
(17).前記嘔吐、嘔吐または前記悪心が、次の(1)~(10)から選択される1
つ以上の状態または原因によって引き起こされる(13)に記載の医薬、(14)に記載
の使用、(15)に記載のペプチド、(16)に記載の方法:
(1)胃不全麻痺、胃腸運動低下、腹膜炎、腹部腫瘍、便秘、胃腸閉塞、慢性腸偽閉
塞、機能性消化不良、周期性嘔吐症候群、慢性原因不明の悪心及び嘔吐、急性膵炎、慢性
膵炎、肝炎、高カリウム血症、脳浮腫、頭蓋内病変、代謝障害、感染症による胃炎、術後
疾患、心筋梗塞、片頭痛、頭蓋内高血圧、及び頭蓋内低血圧(例えば、高山病)等の嘔吐
または悪心を伴う疾患、
(2)(i)アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、
クロランブシル、ストレプトゾシン、ダカルバジン、イホスファミド、テモゾロミド、ブ
スルファン、ベンダムスチン、及びメルファラン)、細胞毒性抗生物質(例えば、ダクチ
ノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、エピルビシン、ア
クチノマイシンD、アムルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、及びピラルビシン)
、代謝抑制剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、エノシ
タビン、及びクロファラビン)、ビンカアルカロイド(例えば、エトポシド、ビンブラス
チン、及びビンクリスチン)、シスプラチン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アザシ
チジン、イリノテカン、インターフェロンα、インターロイキン-2、オキサリプラチン
、カルボプラチン、ネダプラチン、及びミリプラチン等の他の化学療法剤、(ii)オピ
オイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ)、(iii)ドーパミン受容体D1D2アゴニスト(
例えば、アポモルヒネ)、GIP(iv)大麻及びカンナビノイド製品(大麻過敏症症候
群を含む)等の化学療法薬によって誘発される嘔吐及び/または悪心、
(3)放射線障害またはがんの治療に使用される胸部、腹部等の放射線療法によって引き
起こされる嘔吐または悪心、
(4)有毒物質または毒素によって引き起こされる嘔吐または悪心、
(5)妊娠悪阻を含む妊娠によって引き起こされる嘔吐及び悪心、
(6)乗り物酔いやめまい等の前庭障害によって引き起こされる嘔吐及び吐き気、
(7)オピオイド離脱、
(8)妊娠悪阻を含む妊娠、
(9)乗り物酔いやめまい等の前庭障害、
(10)局所的、全身的、急性または慢性の疼痛を引き起こす身体的損傷。
【0029】
(18).メタボリックシンドローム障害を制御するための医薬を服用していない対象
において嘔吐が治療される、実施形態(16)のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
(19).前記ペプチドが前記GIP受容体を選択的に活性化し、in vivoで抗
糖尿病、抗肥満、及び制吐作用を示す、(1)~(8)のいずれか1つに記載のGIP受
容体アゴニストペプチド。
【0031】
本開示は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコール、及び試薬等に限定されず
、それは変化し得るからであることが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は
、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、特許請求の範囲によってのみ定義さ
れる本開示の範囲を限定することを意図しない。本開示の他の特徴及び利点は、以下の発
明を実施するための形態、図面、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【
図1B】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【
図1C】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【
図1D】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【
図1E】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【
図1F】式(I)~(VIII)のいずれか1つによって表される、本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で使用される各置換基の定義について、以下に詳述する。別段の定めがない限
り、各置換基は、以下の定義を有する。
【0034】
本明細書中、「ハロゲン原子」の例としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げ
られる。
【0035】
本明細書中、「C1-6アルキル基」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチ
ルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、及び2-エチルブチルが
挙げられる。
【0036】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC1-6アルキル基」の例としては、任意
に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC1-6アルキル基が挙げられ
る。その具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル
、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、
テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル
、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオ
ロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、
ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、及び6,6,6-トリフ
ルオロヘキシルが挙げられる。
【0037】
本明細書中、「C2-6アルケニル基」の例としては、エテニル、1-プロペニル、2
-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニ
ル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4
-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、及び5
-ヘキセニルが挙げられる。
【0038】
本明細書中、「C2-6アルキニル基」の例としては、エチニル、1-プロピニル、2
-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペン
チニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキ
シニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、及び4-メチル-2-ペンチニルが挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」の例としては、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ
[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オ
クチル、及びアダマンチルが挙げられる。
【0040】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC3-10アルキル基」の例としては、任
意に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC3-10アルキル基が挙げ
られる。その具体例としては、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2
,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペン
チル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0041】
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」の例としては、シクロプロペニル、シ
クロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオ
クテニルが挙げられる。
【0042】
本明細書中、「C6-14アリール基」の例としては、フェニル、1-ナフチル、2-
ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、及び9-アントリルが挙げられる。
【0043】
本明細書中、「C7-16アラルキル基」の例としては、ベンジル、フェネチル、ナフ
チルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0044】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ
、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられる。
【0045】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC1-6アルコキシ基」の例としては、任
意に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC1-6アルコキシ基が挙げ
られる。その具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、
エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ
、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキ
シ、及びヘキシルオキシが挙げられる。
【0046】
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」の例としては、シクロプロピルオ
キシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプ
チルオキシ、及びシクロオクチルオキシが挙げられる。
【0047】
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プ
ロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチ
オ、ペンチルチオ、及びヘキシルチオが挙げられる。
【0048】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC1-6アルキルチオ基」の例としては、
任意に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC1-6アルキルチオ基が
挙げられる。その具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメ
チルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-ト
リフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、及びヘキシルチオが挙げられる。
【0049】
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」の例としては、アセチル、プロパノ
イル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2
-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、及びヘプタノイル
が挙げられる。
【0050】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC1-6アルキル-カルボニル基」の例と
しては、任意に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC1-6アルキル
-カルボニル基が挙げられる。その具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフ
ルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、及び
ヘキサノイルが挙げられる。
【0051】
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」の例としては、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシ
カルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキ
シカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、及びヘキシルオキシカルボニルが挙げられる
。
【0052】
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」の例としては、ベンゾイル、1-
ナフトイル、及び2-ナフトイルが挙げられる。
【0053】
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」の例としては、フェニルアセチ
ル及びフェニルプロピオニルが挙げられる。
【0054】
本明細書中、「5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基」の例としては、ニコ
チノイル、イソニコチノイル、テノイル、及びフロイルが挙げられる。
【0055】
本明細書中、「3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基」の例としては、モ
ルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、及びピロリジニルカルボニルが挙げら
れる。
【0056】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」の例としては、
メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイ
ル、及びN-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
【0057】
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」の例として
は、ベンジルカルバモイル及びフェネチルカルバモイルが挙げられる。
【0058】
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」の例としては、メチルスルホニル、エ
チルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、s
ec-ブチルスルホニル、及びtert-ブチルスルホニルが挙げられる。
【0059】
本明細書中、「任意選択でハロゲン化されるC1-6アルキルスルホニル基」の例とし
ては、任意に1~7個、好ましくは1~5個のハロゲン原子を有するC1-6アルキルス
ルホニル基が挙げられる。その具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルス
ルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イ
ソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル
、ペンチルスルホニル、及びヘキシルスルホニルが挙げられる。
【0060】
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」の例としては、フェニルスルホニル
、1-ナフチルスルホニル、及び2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0061】
本明細書中、「置換基」の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、任意選択
で置換される炭化水素基、任意選択で置換される複素環基、アシル基、任意選択で置換さ
れるアミノ基、任意選択で置換されるカルバモイル基、任意選択で置換されるチオカルバ
モイル基、任意選択で置換されるスルファモイル基、任意選択で置換されるヒドロキシ基
、任意選択で置換されるスルファニル(SH)基、及び任意選択で置換されるシリル基が
挙げられる。
【0062】
本明細書中、「炭化水素基」(「任意選択で置換される炭化水素基」の「炭化水素基」
を含む)の例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニ
ル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリー
ル基、及びC7-16アラルキル基が挙げられる。
【0063】
本明細書中、「任意選択で置換される炭化水素基」の例としては、任意選択で以下の置
換基Aから選択される置換基(複数可)を有する炭化水素基が挙げられる。
「置換基A」
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、
(9)5~14員の芳香族ヘテロシクリルオキシ基(例えば、ピリジルオキシ)、
(10)3~14員の非芳香族ヘテロシクリルオキシ基(例えば、モルホリニルオキシ、
ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、プロパノイルオ
キシ)、
(12)C6-14アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、1-ナフ
トイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ
、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ
)、
(14)モノ-、またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例えば、メチル
カルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチ
ルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例えば、フェニルカルバモイルオ
キシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニルオキシ基(例えば、ニコチノイル
オキシ)、
(17)3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニルオキシ基(例えば、モルホリニ
ルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メ
チルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)任意選択でC1-6基によって置換されたC6-14アリールスルホニルオキシ
基(例えば、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキルチオ基、
(21)5~14員の芳香族複素環基、
(22)3~14員の非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、
(28)3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル
、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニ
ル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル)、
(36)5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルバモイル基(例えば、ピリジルカルバモ
イル、チエニルカルバモイル)、
(37)3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルバモイル基(例えば、モルホリニルカ
ルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5~14員の芳香族ヘテロシクリルスルホニル基(例えば、ピリジルスルホニル
、チエニルスルホニル)、
(41)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、1-ナフ
チルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5~14員の芳香族ヘテロシクリルスルフィニル基(例えば、ピリジルスルフィ
ニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルア
ミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチル
アミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ)、
(47)5~14員の芳香族ヘテロシクリルアミノ基(例えば、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、プロパノイ
ルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例えば、N
-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例えば、フェニルカルボニルアミノ
、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ
、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ
、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例えば、ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルフォニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、エ
チルスルホニルアミノ)、
(56)任意選択でC1-6アルキル基によって置換されたC6-14アリールスルホニ
ルアミノ基、(例えば、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)任意選択でハロゲン化されたC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、及び
(62)C6-14アリール基。
【0064】
「任意置換炭化水素基」中の上述の置換基の数は、例えば、1~5、好ましくは1~3
である。置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていても
よい。
【0065】
本明細書中、「複素環基」(「任意選択で置換される複素環基」の「複素環基」を含む
)の例としては、各々が炭素以外の環構成原子として、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原
子から選択される1~4個のヘテロ原子を含む、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香
族複素環基、及び(iii)7~10員の架橋複素環基が挙げられる。
【0066】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5~14員の芳香族複素環基」を含む)の例とし
ては、炭素以外の環構成原子として、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子から選択される
1~4個のヘテロ原子を含む、5~14員(好ましくは、5~10員)の芳香族複素環基
が挙げられる。
【0067】
「芳香族複素環基」の好ましい例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリ
ル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピリジ
ル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3
,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、
トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル等の5員または6員の単環式芳香族複素環基
、及びベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル
、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾ
リル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピ
ラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、
イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、
ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリ
アジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソイン
ドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフ
チリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボ
リニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノ
キサジニル等の8~14員の縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が
挙げられる。
【0068】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3~14員の非芳香族複素環基」を含む)の例
としては、炭素以外の環構成原子として、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子から選択さ
れる1~4個のヘテロ原子を含む、3~14員(好ましくは、4~10員)の非芳香族複
素環基が挙げられる。
【0069】
「非芳香族複素環基」の好ましい例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニ
ル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフ
ランリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリ
ニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニ
ル、テトラヒドロイソチアゾリル、テテトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキ
サゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル
、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒ
ドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオ
モルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジ
アゾカニル等の3~8員の単環式非芳香族複素環基、及びジヒドロベンゾフラニル、ジヒ
ドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジ
ヒドロベンズイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイ
ソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリ
ニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンズアゼピニル、
テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチ
アジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナ
チリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカル
バゾリル、テトラヒドロ-βーカルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロ
フェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキニリル等の9~14
員の縮合多環式(好ましくは二環式または三環式)非芳香族複素環式基が挙げられる。
【0070】
本明細書中、「7~10員の架橋複素環基」の好ましい例としては、キヌクリジニル、
7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
【0071】
本明細書中、「含窒素複素環基」の例としては、少なくとも1つの窒素原子を環構成原
子として含む「複素環基」が挙げられる。
【0072】
本明細書中、「任意選択で置換される複素環基」の例としては、任意選択で上述の置換
基群Aから選択される置換基(複数可)を有する複素環基が挙げられる。
【0073】
「任意選択で置換される複素環基」の置換基の数は、例えば、1~3である。置換基の
数が2つ以上の場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
本明細書中、「アシル基」の例としては、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基
、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、及びホスホノ基が
挙げられ、その各々が任意選択で「各々が任意選択で、ハロゲン原子、任意選択でハロゲ
ン化されるC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、及び
カルバモイル基から選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2-
6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-
14アリール基、C7-16アラルキル基、5~14員の芳香族複素環基、及び3~14
員の非芳香族複素環基から選択される1つまたは2つの置換基」を任意選択で有する。
【0075】
「アシル基」(「Ac」とも呼ばれる)の例としてはまた、炭化水素-スルホニル基、
ヘテロシクリルスルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、及びヘテロシクリルスルフィ
ニル基も挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態において、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したス
ルホニル基を意味し、ヘテロシクリルスルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル
基を意味し、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を意
味し、ヘテロシクリルスルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を意味す
る。
【0077】
「アシル基」の好ましい例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-
カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例えば、クロトノイル)、C3-1
0シクロアルキル-カルボニル基(例えば、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカ
ルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロ
アルケニル-カルボニル基(例えば、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリ
ール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロ
シクリルカルボニル基、3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6ア
ルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例えば、フェニル
オキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボ
ニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモ
イル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-
6アルケニル-カルバモイル基(例えば、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C
3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例えば、シクロプロピルカルバモイル)、モ
ノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル)
、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5~14員の芳香族ヘテロ
シクリルカルバモイル基(例えば、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ
-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例えば、メチルチオカルバモイル
、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-
チオカルバモイル基(例えば、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-1
0シクロアルキル-チオカルバモイル基(例えば、シクロプロピルチオカルバモイル、シ
クロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモ
イル基(例えば、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル
-チオカルバモイル基(例えば、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイ
ル)、5~14員の芳香族ヘテロシクリルチオカルバモイル基(例えば、ピリジルチオカ
ルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフ
ィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14
アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例
えば、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホ
ノ)が挙げられる。
【0078】
本明細書中、「任意選択で置換されるアミノ基」の例としては、「各々が任意選択で置
換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2-6アル
ケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル
基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16
アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、3~14
員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5~1
4員の芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモ
イル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルス
ルホニル基、及びC6-14アリールスルホニル基から選択される1つまたは2つの置換
基」を任意選択で有するアミノ基が挙げられる。
【0079】
任意選択で置換されるアミノ基の好ましい例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(
任意選択で置換されるC1-6アルキル)アミノ基(例えば、メチルアミノ、トリフルオ
ロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジ
ブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例えば、ジアリルアミ
ノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例えば、シクロプロピルア
ミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例えば
、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例えば、ベンジ
ルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(任意選択でハロゲン化されるC1-
6アルキル)-カルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、
モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例えば、ベンゾイルアミノ
)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例えば、ベンジルカ
ルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5~14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例え
ば、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3~14員非芳
香族複素環カルボニルアミノ基(例えば、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-また
はジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例えば、tert-ブトキシカルボニ
ルアミノ)、5~14員芳香族複素環アミノ基(例えば、ピリジルアミノ)、カルバモイ
ルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例えば、
メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル
)アミノ基(例えば、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミ
ノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリー
ルスルホニルアミノ基(例えば、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(
C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例えば、N-アセチル-N-メチルアミノ)
、及び(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例えば、N
-ベンゾイル-N-メチルアミノ)が挙げられる。
【0080】
本明細書中、「任意選択で置換されるカルバモイル基」の例としては、「各々が任意選
択で置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2-
6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラ
ルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7
-16アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、3
~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、
5~14員の芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カ
ルバモイル基、及びモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選択さ
れる1つまたは2つの置換基」を任意選択で有するカルバモイル基が挙げられる。
【0081】
任意選択で置換されるカルバモイル基の好ましい例としては、カルバモイル基、モノ-
またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-
カルバモイル基(例えば、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロ
アルキル-カルバモイル基(例えば、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカル
バモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例えば、フェニル
カルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-また
はジ-C1-6アルキル-カルバモイル-カルバモイル基(例えば、アセチルカルバモイ
ル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-
カルバモイル基(例えば、ベンゾイルカルバモイル)、及び5~14員芳香族ヘテロシク
リルカルバモイル基(例えば、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0082】
本明細書中、「任意選択で置換されるチオカルバモイル基」の例としては、「各々が任
意選択で置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16
アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、
C7-16アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基
、3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル
基、5~14員の芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル
-カルバモイル基、及びモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選
択される1つまたは2つの置換基」を任意選択で有するチオカルバモイル基が挙げられる
。
【0083】
任意選択で置換されるチオカルバモイル基の好ましい例としては、チオカルバモイル基
、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例えば、メチルチオカルバ
モイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイ
ル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル
-チオカルバモイル基(例えば、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-
10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例えば、シクロプロピルチオカルバモイル、
シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバ
モイル基(例えば、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキ
ル-チオカルバモイル基(例えば、ベンジルチオカルバモイル、フェニルチオカルバモイ
ル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例えば、
アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-
14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例えば、ベンゾイルチオカルバモイル
)、及び5~14員芳香族ヘテロシクリルチオカルバモイル基(例えば、ピリジルチオカ
ルバモイル)が挙げられる。
【0084】
本明細書中、「任意選択で置換されるスルファモイル基」の例としては、「各々が任意
選択で置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2
-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16ア
ラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C
7-16アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、
3~14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基
、5~14員の芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-
カルバモイル基、及びモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選択
される1つまたは2つの置換基」を任意選択で有するスルファモイル基が挙げられる。
【0085】
任意選択で置換されるスルファモイル基の好ましい例としては、スルファモイル基、モ
ノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、
エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル
-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル
基(例えば、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-
スルファモイル基(例えば、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモ
イル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例えば、フェニルス
ルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例えば、
ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アル
キル-カルボニル-スルファモイル基(例えば、アセチルスルファモイル、プロピオニル
スルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル
基(例えば、ベンゾイルスルファモイル)、及び5~14員芳香族ヘテロシクリルスルフ
ァモイル基(例えば、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0086】
本明細書中、「任意選択で置換されるヒドロキシ基」の例としては、「各々が任意選択
で置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2-6
アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラル
キル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-
16アラルキル-カルボニル基、5~14員の芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、3~
14員の非芳香族ヘテロシクリルカルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5
~14員の芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カル
バモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキ
ルスルホニル基、及びC6-14 アリールスルホニル基から選択される置換基」を任意
選択で有するヒドロキシ基が挙げられる。
【0087】
任意選択で置換されたヒドロキシ基の好ましい例としては、ヒドロキシ基、C1-6ア
ルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例えば、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ
、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基
(例えば、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例えば、フェノキシ
、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ、フェネ
チルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロ
ピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-1
4アリール-カルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル
-カルボニルオキシ基(例えば、ベンジルカルボニルオキシ)、5~14員芳香族ヘテロ
シクリルカルボニルオキシ基(例えば、ニコチノイルオキシニコチノイルオキシ)、3~
14員非芳香族ヘテロシクリルカルボニルオキシ基(例えば、ピペリジニルカルボニルオ
キシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例えば、tert-ブトキシカルボ
ニルオキシ)、5~14員芳香族ヘテロシクリルオキシ基(例えば、ピリジルオキシ)、
カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカル
バモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例えば、ベンジルカ
ルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニル
オキシ、エチルスルホニルオキシ)、及びC6-14アリールスルホニルオキシ基(例え
ば、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0088】
本明細書中、「任意選択で置換されるスルファニル基」の例としては、「各々が任意選
択で、置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2
-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16ア
ラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、及
び5~14員の芳香族複素環基から選択される置換基」を任意選択で有するスルファニル
基ならびにハロゲン化スルファニル基が挙げられる。
【0089】
任意選択で置換されるスルファニル基の好ましい例としては、スルファニル(-SH)
基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例えば、アリルチオ、2-ブ
テニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチ
オ基(例えば、シクロヘキシルチオ)、C6-14アルキルチオ基(例えば、フェニルチ
オ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ、フェネチル
チオ)、C1-6アルキルカルボニルチオ基(例えば、アセチルチオ、プロピオニルチオ
、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピヴァロイルチオ)、C6-14アリール-カルボ
ニルチオ基(例えば、ベンゾイルチオ)、5~14員芳香族ヘテロシクリルチオ基(例え
ば、ピリジルチオ)、及びハロゲン化チオ基(例えば、ペンタフルオロチオ)が挙げられ
る。
【0090】
本明細書中、「任意選択で置換されるシリル基」の例としては、「各々が任意選択で、
置換基群Aから選択される1~3個の置換基を有する、C1-6アルキル基、C2-6ア
ルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、及びC7-16アラ
ルキル基から選択される1~3個の置換基」を任意選択で有するシリル基が挙げられる。
【0091】
任意選択で置換されるシリル基の例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例え
ば、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
【0092】
アミノ酸残基の記載については、以下の規則が実例となり得る。Asp=D=アスパラ
ギン酸、Ala=A=アラニン、Arg=R=アルギニン、Asn=N=アスパラギン、
Cys=C=システイン、Gly=G=グリシン、Glu=E=グルタミン酸、Gln=
Q=グルタミン、His=H=ヒスチジン、Ile=I=イソロイシン、Leu=L=ロ
イシン、Lys=K=リジン、Met=M=メチオニン、Phe=F=フェニルアラニン
、Pro=P=プロリン、Ser=S=セリン、Thr=T=トレオニン、Trp=W=
トリプトファン、Tyr=Y=チロシン、及びVal=V=バリン。
【0093】
また、便宜上、そして当業者には容易に知られているように、以下の略語または記号を
使用して、本開示で使用される部分、試薬等を表す。
【0094】
モノ-ハロPhe:モノ-ハロフェニルアラニン。
【0095】
ビス-ハロPhe:ビス-ハロフェニルアラニン。
【0096】
モノ-ハロTyr:モノ-ハロチロシン。
【0097】
ビス-ハロTyr:ビス-ハロチロシン。
【0098】
(D)-Tyr:D-チロシン。
【0099】
(D)-Ala:D-アラニン。
【0100】
デスNH2-Tyr:デスアミノチロシン。
【0101】
(D)-Phe-D:フェニルアラニン。
【0102】
デスNH2-Phe:デスアミノフェニルアラニン。
【0103】
(D)-Trp:D-トリプトファン。
【0104】
(D)3Pya:D-3-ピリジルアラニン。
【0105】
2-Cl-(D)Phe:D-2-クロロフェニルアラニン。
【0106】
3-Cl-(D)Phe:D-3-クロロフェニルアラニン。
【0107】
4-Cl-(D)Phe:D-4-クロロフェニルアラニン。
【0108】
2-F-(D)Phe:D-2-フルオロフェニルアラニン。
【0109】
3-F(D)Phe:D-3-フルオロフェニルアラニン。
【0110】
3,5-ジF-(D)Phe:D-3,5-ジフルオロフェニルアラニン。
【0111】
3,4,5-トリF-(D)Phe:D-3,4,5-トリフルオロフェニルアラニン
。
【0112】
D-Iva:D-イソバリン
【0113】
SSA:スクシンイミドイルスクシンアミド。
【0114】
PEG:ポリエチレングリコール。
【0115】
PEGm:(メトキシ)ポリエチレングリコール。
【0116】
PEGm(12,000):約12kDの分子量を有する(メトキシ)ポリエチレング
リコール。
【0117】
PEGm(20,000):約20kDの分子量を有する(メトキシ)ポリエチレング
リコール。
【0118】
PEGm(30,000):約30kDの分子量を有する(メトキシ)ポリエチレング
リコール。
【0119】
Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル。
【0120】
DMF:ジメチルホルムアミド。
【0121】
DIPEA:N,N-ジイソピルエチルアミン。
【0122】
TFA:トリフルオロ酢酸
【0123】
HOBT:N-ヒドロキシベンゾトリアゾール。
【0124】
BOP:ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-(ジメチルアミノ)ホスホニ
ウム-ヘキサフルオロホスフェート。
【0125】
HBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメ
チルウロニウム-ヘキサフルオロホスフェート。
【0126】
NMP:N-メチル-ピロリドン
【0127】
FAB-MS:高速原子衝撃質量分析。
【0128】
ES-MS:エレクトロスプレー質量分析。
【0129】
Abu:α-アミノ酪酸。
【0130】
Acc:1-アミノ-1-シクロ(C3-C9)アルキルカルボン酸。
【0131】
A3c:1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸。
【0132】
A4c:1-アミノ-1-シクロブタンカルボン酸。
【0133】
A5c:1-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸。
【0134】
A6c:1-アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸。
【0135】
Act:4-アミノ-4-カルボキシテトラヒドロピラン。
【0136】
Ado:12-アミノドデカン酸。
【0137】
Aib:α-アミノイソ酪酸。
【0138】
Aic:2-アミノインダン-2-カルボン酸。
【0139】
β-Ala:ベータ-アラニン。
【0140】
Amp:4-アミノ-フェニルアラニン。
【0141】
Apc:4-アミノ-4-カルボキシピペリジン。
【0142】
hArg:ホモアルギニン。
【0143】
Aun:11-アミノウンデカン酸。
【0144】
Ava:5-アミノ吉草酸。
【0145】
Cha:β-シクロヘキシルアラニン。
【0146】
Dhp:3,4-デヒドロプロリン。
【0147】
Dmt:5,5-ジメチルチアゾリジン-4-カルボン酸。
【0148】
Gaba:γ-アミノ酪酸。
【0149】
4Hppa:3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸。
【0150】
Hyp:ヒドロキシプロリン
【0151】
3Hyp:3-ヒドロキシプロリン
【0152】
4Hyp:4-ヒドロキシプロリン。
【0153】
hPro:ホモプロリン。
【0154】
4Ktp:4-ケトプロリン。
【0155】
Nle:ノルロイシン。
【0156】
NMe-Tyr:N-メチル-チロシン。
【0157】
1Nalまたは1-Nal:β-(1-ナフチル)アラニン。
【0158】
2Nalまたは2-Nal:β-(2-ナフチル)アラニン。
【0159】
Nva:ノルバリン。
【0160】
Orn:オルニチン。
【0161】
2Palまたは2-Pal:β-(2-ピリジニル)アラニン。
【0162】
3Palまたは3-Pal:β-(3-ピリジニル)アラニン。
【0163】
4Palまたは4-Pal:β-(4-ピリジニル)アラニン。
【0164】
Pen:ペニシラミン
【0165】
(3,4,5F)Phe:3,4,5-トリフルオロフェニルアラニン。
【0166】
(2,3,4,5,6)Phe:2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニ
ン。
【0167】
Psu:N-プロピルスクシンイミド。
【0168】
Iva:イソバリン。
【0169】
Sar:サルコシン。
【0170】
Taz:β-(4-チアゾリル)アラニン。
【0171】
3Thi:β-(3-チエニル)アラニン。
【0172】
Thz:チオプロリン。
【0173】
Tic:テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸。
【0174】
Tle:tert-ロイシン。
【0175】
Act:アセトニトリル。
【0176】
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル。
【0177】
BSA:ウシ血清アルブミン。
【0178】
DCM:ジクロロメタン。
【0179】
DTT:ジチオスリエイトール。
【0180】
ESI:エレクトロスプレーイオン化。
【0181】
Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル。
【0182】
HBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメ
チルウロニウム-ヘキサフルオロホスフェート。
【0183】
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0184】
IBMX:イソブチルメチルキサンチン。
【0185】
LC-MS:液体クロマトグラフィー質量分析。
【0186】
Mtt:メチルトリチル。
【0187】
NMP:N-メチルピロリドン。
【0188】
5K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含むこ
とができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約5,000ダルトンの重
量平均分子量を有する。
【0189】
10K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約10,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0190】
20K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約20,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0191】
30K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約30,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0192】
40K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約40,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0193】
50K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約50,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0194】
60K PEG:ポリエチレングリコール。リンカー等の他の官能基または部分を含む
ことができ、以下に定義するように直鎖状または分枝状であり、約60,000ダルトン
の重量平均分子量を有する。
【0195】
PEGは、分子内のエチレンオキシドの繰り返しサブユニット(すなわち、-OCH2
CH2-)の数に基づいて、様々な分子量で利用できる。mPEGの式の後には、通常、
平均分子量に対応する数字が続く。例えば、PEG-200は、200ダルトンの重量平
均分子量を有し、190~210ダルトンの分子量範囲を有し得る。PEG等の水溶性ポ
リマーとの関連での分子量は、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかとして表す
ことができる。特に明記しない限り、本明細書におけるmPEGの分子量への全ての言及
は、重量平均分子量を指す。数平均と重量平均の両方の分子量決定は、ゲル浸透クロマト
グラフィーまたは他の液体クロマトグラフィー技術を使用して測定することができる。数
平均分子量を決定する末端基分析や束一的性質(例えば、凝固点降下、沸点上昇、もしく
は浸透圧)の測定の使用、または重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分
離、もしくは粘度測定の使用等の、分子量値を測定する他の方法も使用できる。
【0196】
tBU:tert-プチル。
【0197】
TIS:トリイソプロピルシラン。
【0198】
Trt:トリチル。
【0199】
Z:ベンジルオキシカルボニル。
【0200】
本明細書で使用されるとき、「PEG部分」は、ポリエチレングリコール(PEG)ま
たはその誘導体、例えば(メトキシ)ポリエチレングリコール(PEGm)を指す。
【0201】
本明細書で使用されるとき、「ペグ化ペプチド」は、少なくとも1つのアミノ酸残基、
例えば、Lys、またはCysがPEG部分とコンジュゲートされているペプチドを指す
。「コンジュゲート」とは、PEG部分が前記残基に直接連結されているか、またはスペ
ーサー部分、例えば架橋剤を介して残基に連結されていることを意味する。前記コンジュ
ゲーションがリジン残基にある場合、そのリジン残基は、本明細書では「PEG化Lys
」と呼ばれる。1つのMPEG部分のみにコンジュゲートしているペプチドは「モノPE
G化」と呼ばれる。
【0202】
本明細書で使用されるとき、「Lys-PEG」及び「Lys-PEGm」は、それぞ
れ、PEGとコンジュゲートされたリジン残基を指す。「Lys(イプシロン-SSA-
PEGn)」は、適切に官能化されたSSAを使用してイプシロン-アミノ基がMPEG
と架橋されているリジン残基を指す。
【0203】
本明細書では、「ヒト天然GIPペプチド」という用語は、天然に存在するヒトGIP
ペプチドを指す。このヒト天然GIPペプチド(42アミノ酸)は、アミノ酸配列YAE
GTFISDYSIAMDKIHQ QDFVNWLLAQKGKKNDWKHNITQ
(配列番号1)を有し、米国国立バイオテクノロジー情報センター (NCBI)参照配
列:NP_004114.1;REFSEQ:アクセッションNM_004123.2(
配列番号2)に記載されている親前駆体に由来する機能的に活性な分子である。この全長
前駆体は、ヒト胃抑制ポリペプチド(GIP)mRNA、アクセッション:NM_004
123;バージョン;NM_004123.2(配列番号3)のmRNA配列からコード
されている。
【0204】
参照ポリペプチドに関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同
一性パーセントを達成するために配列をアラインメントし、必要ならギャップを導入した
後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補ポリペプチド配列中のア
ミノ酸残基の割合(%)として定義され、そして配列同一性の一部としていかなる保存的
置換も考慮しない。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメン
トは、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNA
STAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、
当該技術分野の範囲内である様々な方法で達成できる。当業者は、比較される配列の全長
にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含
む、配列をアラインメントするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0205】
本明細書で使用されるとき、「治療」という用語(及び「治療する」または「治療する
こと」等の、その変形)は、治療されている個体の自然経過を変化させることを目的とし
た臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過中に実施され得る。治療の望ま
しい効果には、状態の発生または再発の防止、症状の緩和、状態または治療の直接的また
は間接的な病理学的結果の減少、嘔吐の防止、すなわち、特定の治療に伴うことが知られ
ている状態または副作用に全体的または部分的に関連する症状の発生の防止、進行速度の
低下、悪心及び/または嘔吐等の嘔吐に関連する症状の改善または緩和、ならびに寛解ま
たは予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本
開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、嘔吐の発生を阻害または遅延させるため、す
なわち、悪心もしくは嘔吐、または嘔吐または嘔吐に関連する症状の進行を遅延させるた
め、または積極的に治療されている異なる疾患の治療に関連する嘔吐、悪心及び/または
嘔吐の発症を予防、遅延、もしくは阻害するために使用される。
【0206】
「低減する」または「阻害する」とは、20%、30%、40%、50%、60%、7
0%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の全体的な減少を生じ
る能力を意味する。いくつかの実施形態において、減少または阻害は、参照(例えば、生
物学的活性の参照レベル(例えば、処方された量の化学療法、例えば、嘔吐を引き起こす
ことが知られている化学療法剤の処方された用量の対象への投与後の悪心及び/または嘔
吐のエピソードの数)と比較した相対的な減少を指すことができる。いくつかの実施形態
において、低減または阻害は、状態または疾患の治療に関連する副作用(すなわち、悪心
及び/または嘔吐)の相対的な低減を指すことができる。
【0207】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith及びWaterma
nの局所ホモロジーアルゴリズム(参照により本明細書に組み込まれる、Adv. Ap
pl. Math. 2:482 (1981))によって、Needleman及びW
unschのホモロジーアライメントアルゴリズム(参照により本明細書に組み込まれる
、J. MoI. Biol. 48:443-53(1970))によって、Pear
son及びLipmanの類似性を検索する方法(参照により本明細書に組み込まれる、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48 (1
988))によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施によって(例えば
、Wisconsin Genetics Software Package(Gen
etics Computer Group,575 Science Dr.,Mad
ison,Wis.)内のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、
または目視検査によって、実施できる。(一般に、Ausubel et al. (e
ds.),Current Protocols in Molecular Biol
ogy,4th ed.,John Wiley and Sons,New York
(1999)を参照されたい)。
【0208】
配列同一性及び配列類似性のパーセントを決定するのに適したアルゴリズムの一例は、
Altschul et al.(参照により本明細書に組み込まれる、J. MoI.
Biol. 215:403-410 (1990))に記載される、BLASTアル
ゴリズムである。(参照により本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,N
ucleic Acid Res. 26:3986-90(1998);Altsch
ul et al.,Nucleic Acid Res. 25:3389-402(
1997)も参照されたい)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国国
立バイオテクノロジー情報センターのインターネットウェブサイトから公開されている。
このアルゴリズムでは、最初に長さの短い単語Wを識別することにより、高スコアの配列
対(HSP)を識別する。データベース配列内の同じ長さの単語と整列したときに、正の
値のしきい値スコアTに一致するかそれを満たすクエリ配列を得る。Tは、近傍単語スコ
アしきい値と呼ばれる(Altschul et al. (1990)、前出)。これ
らの最初の近隣単語ヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始
するためのシードとして機能する。次いで、単語ヒットは、累積アラインメントスコアを
増やすことができる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。各方向の単語ヒットの拡
張は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から数量Xだけ低下する場合、1つ以
上の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になる場合、
または、いずれかの配列の末端に到達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムパ
ラメーターW、T、及びXは、アライメントの感度と速度を決定する。BLASTプログ
ラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマト
リックス(参照により本明細書に組み込まれる、Henikoff and Henik
off,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-
9 (1992)を参照されたい)、50のアラインメント(B)、10の期待値(E)
、M=5、N=-4、及び両方の鎖の比較を使用する。
【0209】
配列同一性パーセントを計算することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つ
の配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、
Karlin and Altschul,Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 90:5873-77 (1993)を参照されたい)。BLASTアル
ゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小の合計確率(P(N))であり
、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸の配列間の一致が偶然に起こる確率の指標
を提供する。例えば、アミノ酸配列は、試験アミノ酸と参照アミノ酸との比較における最
小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.0
01未満である場合に、参照アミノ酸配列と類似しているとみなされる。
【0210】
バリアントはまた、当該技術分野で周知の方法を使用して単離または生成された、合成
、組換え、または化学的に修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る。
バリアントは、以下に記載されるように、保存的または非保存的アミノ酸変化を含み得る
。ポリヌクレオチドの変化は、参照配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸置
換、付加、欠失、融合、及び短縮をもたらし得る。バリアントはまた、バリアントの基礎
であるペプチド配列において通常は生じない、アミノ酸及び他の分子の挿入及び置換を含
む、アミノ酸の挿入、欠失または置換を含み得、例えば、通常、ヒトのタンパク質では発
生しないオルニチンの挿入を含み得るがこれには限定されない。ポリペプチドを記述する
ときの「保存的置換」という用語は、ポリペプチドの活性を著しく変化させない、ポリペ
プチドのアミノ酸組成の変化を指す。例えば、保存的置換とは、アミノ酸残基を、類似の
化学的性質を有する異なるアミノ酸残基で置換することを指す。保存的アミノ酸置換には
、ロイシンのイソロイシンまたはバリンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置
換、またはトレオニンのセリンへの置換が含まれる。
【0211】
本明細書で参照されるとき、「保存的アミノ酸置換」は、ロイシンをイソロイシンまた
はバリンに、アスパラギン酸をグルタミン酸に、またはトレオニンをセリンに置き換える
等、あるアミノ酸を、同様の構造的及び/または化学的特性を有する別のアミノ酸に置き
換えることから生じる。したがって、特定のアミノ酸配列の「保存的置換」は、ポリペプ
チド活性に重要ではないアミノ酸の置換、またはアミノ酸の、類似の特性(例えば、酸性
、塩基性、正または負に帯電した、極性または非極性等)を有する他のアミノ酸によるア
ミノ酸との置換であって、重要なアミノ酸の置換でさえペプチドの活性(すなわち、ペプ
チドが血液脳関門(BBB)を貫通する能力)を低下させないようにする置換を指す。機
能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当該技術分野で周知である。例え
ば、以下の6つの群は、それぞれ、互いに保存的な置換であるアミノ酸を含有する:1)
アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタ
ミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リ
ジン(K);5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(
V);及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。(参
照によりその全体が組み込まれる、Creighton,Proteins,W. H.
Freeman and Company (1984)も参照されたい)。いくつか
の実施形態において、単一のアミノ酸またはごく一部のアミノ酸を改変、不可、または欠
失する、個々の置換、欠失、または付加もまた、変更によってペプチドの活性が低下しな
い場合は、「保存的置換」とみなすことができる。挿入または欠失は、典型的には、約1
~5アミノ酸の範囲である。保存的アミノ酸の選択は、ペプチド内で置換されるアミノ酸
の位置、例えば、アミノ酸がペプチドの外側にあり、溶媒にさらされる、または内側にあ
り、溶媒にさらされないか等に基づいて選択することができる。
【0212】
代替的な実施形態において、タンパク質またはペプチドの内部のアミノ酸に適切なもの
が包含される保存的アミノ酸置換を選択することもでき、例えば、タンパク質またはペプ
チドの内部にある(すなわち、アミノ酸は溶媒にさらされない)アミノ酸の適切な保存的
置換を使用することができ、例えば、以下の保存的置換を使用することができるがこれら
には限定されない。保存的置換において、YがFで、TがAまたはSで、IがLまたはV
で、WがYで、MがLで、NがDで、GがAで、TがAまたはSで、DがNで、IがLま
たはVで、FがYまたはLで、SがAまたはTで、AとSがG、TまたはVで置換される
。いくつかの実施形態では、非保存的アミノ酸置換もまた、バリアントの用語に包含され
る。
【0213】
本明細書で使用されるとき、第2の受容体と比較した第1の受容体に対する分子の「選
択性」という用語は、第2の受容体での分子のEC50を第1の受容体での分子のEC5
0で除した比を指す。例えば、第1の受容体で1nMのEC50及び第2の受容体で10
0nMのEC50を有する分子は、第2の受容体と比較して第1の受容体に対して100
倍の選択性を有する。
【0214】
当業者によって理解されるように、本明細書における値またはパラメーターの「約」へ
の言及は、その値またはパラメーター自体に向けられた実施形態、あるいは記載された値
より10%未満、または9%未満、または8%未満、または7%未満、または6%未満、
または5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満、
または0.1%未満の範囲の値のプラスマイナスの変動を有する実施形態を含む(及び記
載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0215】
本明細書に記載される本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態の「含むこと」
、それら「からなること」、及び/またはそれら「から本質的になること」を含むことを
理解されたい。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、
別途指示されない限り、複数の対象を含む。
【0216】
A.GIP受容体アゴニストペプチド
本開示の様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドが提供される。さ
らに、糖尿病(例えば、2型糖尿病)肥満、メタボリックシンドローム、及び嘔吐の予防
及び/または治療を、それを必要とする対象において行うための方法が提供される。様々
な実施形態において、方法は、治療有効量のGIP受容体アゴニストペプチドの対象への
投与を提供する。
【0217】
本明細書で使用されるとき、本開示のGIPアゴニストペプチドは、GLP受容体等の
他の受容体と比較して、GIP受容体に優先的に結合するペプチドを指す。いくつかの実
施形態において、本開示の例示的なGIPアゴニストペプチドは、10を超える、または
100を超える、または1,000を超える、または10,000を超える、または10
0,000を超える、(EC50GLP1R/EC50GIPR)の比として定義される
選択比を有するGIPアゴニストペプチドである。好ましくは、例示的なGIP受容体ア
ゴニストペプチドは、ペプチドが10、または100、または1,000、または10,
000を超える、または約100~1,000,000、またはそれ以上の選択比(EC
50GLP1R/EC50GIPR)を有する場合のGIPアゴニストペプチドである。
【0218】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(I):
P1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A1
2-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A2
2-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A3
2-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-P2
(配列番号4)によって表されるか、またはその塩であり、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表すか、または
存在せず、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1は、Tyr、3,5-Dix Tyr、D-Tyr、3,5 ジ-Br-Tyr、P
he、αメチル-Phe、モノ-ハロ-Phe、ビス-ハロ-Phe、-Tyr、-D-
Phe、-D-Tyr、デス-アミノ-Phe、またはデス-アミノ-Tyrを表し、
A2は、Aib、Ala、Gly、Sar、Abu、またはD-Alaを表し、
A3は、GluまたはProを表し、
A4は、GlyまたはSerを表し、
A5は、Thr、D-Iva、Glu、Iva、またはSerを表し、
A6は、Ala、Aib、αメチル-Phe、A6C、Glu、Iva、Arg、Phe
、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、Val、Ala、Aib、α-メチル-Leu、A6C、As
p、Phe、Gly、Iva、Leu、Arg、またはSerを表し、
A8は、Ser、Ala、Aib、Asp、Phe、Gly、Leu、またはArgを表
し、
A9は、Asp、Leu、Aib、Glu、Asn、Gln、Ser、またはPheを表
し、
A10は、Aib、αメチル-Phe、A6C、Lys、またはTyrを表し、
A11は、Aib Ser、Ala、Glu、Iva、A5c、A6c、またはLeuを
表し、
A12は、Ile、Ala、Aib、Glu、αメチル-Phe、Phe、Lys、Ar
g、Ser、Trp、A6C、Cys、またはAspを表し、
A13は、Aib、Ala、Val、Iva、Gln、Leu、Tyr、D-Iva、α
メチル-Phe、A6C、またはGluを表し、
A14は、Leu、Nle、Tyr、Ala、Aib、αメチル-Leu、Lys、Le
u、Ser、Met、またはMeを表し、
A15は、Ala、Aib、Leu、Asn、Asp、Glu、Lys、Ser、または
Tyrを表し、
A16は、Arg Ala、Aib、Glu、Gly、Leu、Ser、またはLysを
表し、
A17は、Aib、Ala、Lys、Asp、Arg、Gln、Glu、またはIleを
表し、
A18は、Ala、Aib、A6C、Phe、Gly、Iva、Leu、Ser、Trp
、またはHisを表し、
A19は、Gln、Ala、Val、Aib、Ile、Arg、またはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、Arg、Glu、Gly、Ser、Val、またはGlnを
表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、Ala、Aib、Lys、Gln、または
Serを表し、
A22は、Phe、Glu、Gln、Arg、Trp、またはαMePheを表し、
A23は、Ile、Aib、Asp、Glu、Arg、Thr、またはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、Lys(Ac)、Ala、Aib、Cys
、Phe、Leu、Nle、Ser、Asp、またはGlnを表し、
A25は、Trp、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nle、Ar
g、またはValを表し、
A26は、Aib、Iva、Ala、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nl
e、Arg、Val、またはLeuを表し、
A27は、Leu、Val、Ala、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Me
t、Nle、Arg、Trp、またはIleを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、Aib、Asp、Asn、またはLys(Ac)を
表し、
A29は、Gln、Gly、Arg、Glu、Leu、またはAibを表し、
A30は、Lys、Arg、Gly、またはGluを表し、
A31は、Pro、Gly、Hyp、Gln、Phe、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、Arg、Lys、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、Pro、Lys、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、Ser、Asn、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、Ser、Asp、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、Gly、Hyp、Trp、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、Ala、Hyp、Lys、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Hyp、His、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys、Pro、Asn、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Cys、Glu、Lys、Lys-Ac、Pro、Ile、
ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、Ser、Ile、Thr、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件である。
【0219】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式によって表される。GIP受容体アゴニストペ
プチドは、式(II):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号5)で表されるか、またはその塩である、請求項1に記載の通りであ
り、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件である。GIP受容体アゴニストペプチド。
【0220】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(III):
P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A1
1-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A2
1-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A3
1-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A4
1-P2(配列番号6)によって表されるか、またはその塩であり、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、ArgまたはGlyを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている。
【0221】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(IV):
P1-A1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-A11
-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21
-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31
-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41
-P2(配列番号7)によって表されるか、またはその塩であり、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1はTyrを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている。
【0222】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、
式(I)中のA1-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9-A10-
A11-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-
A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29が、Tyr
-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-Tyr-Ser
-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-Aib-Asn
-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln(配列番号8)で
ある、式(V)によって表されるか、またはその塩であり、PCT/JP2018/01
3540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有
するペプチドではないという条件である。
【0223】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(VI):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-A41-P2(配列番号9)によって表されるか、またはその塩であり、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Lys(R)、または欠失を表し、
A41は、Gly、Lys(R)、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でLys(
R)を表し、ここで、(R)は置換基を表し、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、
PCT/JP2018/013540GIPに開示されている配列番号4~569のうち
のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチドではないという条件である。
【0224】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(VII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-P
2(配列番号10)によって表されるか、またはその塩であり、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A37は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A38は、Pro、Gly、Lys(R)を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys(R)を表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す。
【0225】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。GIP受容体アゴニストペプチドは、式(VIII):
P1-Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Ile-Ser-Asp-T
yr-Ser-Ile-Ala-Leu-Asp-Arg-Aib-His-Gln-A
ib-Asn-Phe-Val-Asn-Trp-Iva-Leu-Ala-Gln-A
30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A
40-P2(配列番号11)によって表されるか、またはその塩であり、式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A30はArgを表し、
A31は、Pro、Gly、またはLys(R)を表し、
A32は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A33は、Ser、Gly、またはLys(R)を表し、
A34は、GlyまたはLys(R)を表し、
A35は、Ala、Ser、またはLys(R)を表し、
A36は、ProまたはLys(R)を表し、
A37は、ProまたはLys(R)を表し、
A38は、ProまたはLys(R)を表し、
A39は、SerまたはLys(R)を表し、
A40は、ArgまたはSerを表し、
ここで、A31~A39から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択で
Lys(R)を表し、(R)は、置換基またはその塩を表す。
【0226】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。式(I):
P1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A1
2-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A2
2-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A3
2-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-P2
(配列番号4)によって表されるGIP受容体アゴニストペプチド、またはその塩であっ
て、
式中、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表すか、または
存在せず、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A1は、Tyr、3,5-Dix Tyr、D-Tyr、3,5 ジ-Br-Tyr、P
he、αメチル-Phe、モノ-ハロ-Phe、ビス-ハロ-Phe、-Tyr、-D-
Phe、-D-Tyr、デス-アミノ-Phe、またはデス-アミノ-Tyrを表し、
A2は、Aib、Ala、Gly、Sar、Abu、またはD-Alaを表し、
A3は、GluまたはProを表し、
A4は、GlyまたはSerを表し、
A5は、Thr、D-Iva、Glu、Iva、またはSerを表し、
A6は、Ala、Aib、αメチル-Phe、A6C、Glu、Iva、Arg、Phe
、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、Val、Ala、Aib、α-メチル-Leu、A6C、As
p、Phe、Gly、Iva、Leu、Arg、またはSerを表し、
A8は、Ser、Ala、Aib、Asp、Phe、Gly、Leu、またはArgを表
し、
A9は、Asp、Leu、Aib、Glu、Asn、Gln、Ser、またはPheを表
し、
A10は、Aib、αメチル-Phe、A6C、Lys、またはTyrを表し、
A11は、Aib Ser、Ala、Glu、Iva、A5c、A6c、またはLeuを
表し、
A12は、Ile、Ala、Aib、Glu、αメチル-Phe、Phe、Lys、Ar
g、Ser、Trp、A6C、Cys、またはAspを表し、
A13は、Aib、Ala、Val、Iva、Gln、Leu、Tyr、D-Iva、α
メチル-Phe、A6C、またはGluを表し、
A14は、Leu、Nle、Tyr、Ala、Aib、αメチル-Leu、Lys、Le
u、Ser、Met、またはMeを表し、
A15は、Ala、Aib、Leu、Asn、Asp、Glu、Lys、Ser、または
Tyrを表し、
A16は、Arg Ala、Aib、Glu、Gly、Leu、Ser、またはLysを
表し、
A17は、Aib、Ala、Lys、Asp、Arg、Gln、Glu、またはIleを
表し、
A18は、Ala、Aib、A6C、Phe、Gly、Iva、Leu、Ser、Trp
、またはHisを表し、
A19は、Gln、Ala、Val、Aib、Ile、Arg、またはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、Arg、Glu、Gly、Ser、Val、またはGlnを
表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、Ala、Aib、Lys、Gln、または
Serを表し、
A22は、Phe、Glu、Gln、Arg、Trp、またはαMePheを表し、
A23は、Ile、Aib、Asp、Glu、Arg、Thr、またはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、Lys(Ac)、Ala、Aib、Cys
、Phe、Leu、Nle、Ser、Asp、またはGlnを表し、
A25は、Trp、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nle、Ar
g、またはValを表し、
A26は、Aib、Iva、Ala、αメチル-Leu、A6C、Ile、Asn、Nl
e、Arg、Val、またはLeuを表し、
A27は、Leu、Val、Ala、Aib、αメチル-Leu、A6C、Ile、Me
t、Nle、Arg、Trp、またはIleを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、Aib、Asp、Asn、またはLys(Ac)を
表し、
A29は、Gln、Gly、Arg、Glu、Leu、またはAibを表し、
A30は、Lys、Arg、Gly、またはGluを表し、
A31は、Pro、Gly、Hyp、Gln、Phe、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、Arg、Lys、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、Pro、Lys、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、Ser、Asn、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、Ser、Asp、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、Gly、Hyp、Trp、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、Ala、Hyp、Lys、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、Hyp、His、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、Lys、Pro、Asn、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、Cys、Glu、Lys、Lys-Ac、Pro、Ile、
ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、Ser、Ile、Thr、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、GIP受容体アゴニストペプ
チドまたはその塩。
【0227】
いくつかの実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドまたはその塩が提供される
。式(II):P1-Tyr-A2-Glu-Gly-Thr-A6-A7-A8-A9
-A10-A11-A12-A13-A14-A15- A16-A17-A18-A1
9-A20-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A2
9-A30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A3
9-A40- A41-P2(配列番号5)によって表される、(1)に記載のGIP受
容体アゴニストペプチド、またはその塩であって、
P1は、
-RA1、
-CO-RA1、
-CO-ORA1、
-CO-CORA1、
-SO-RA1、
-SO2-RA1、
-SO2-ORA1、
-CO-NRA2RA3、
-SO2-NRA2RA3、または
-C(=NRA1)-NRA2RA3
の式で表される基を表し、
RA1、RA2、及びRA3は、それぞれ、独立して、水素原子、任意選択で置換された
炭化水素基、または任意選択で置換された複素環式基を表し、
P2は、-NH2または-OHを表し、
A2は、AibまたはD-Alaを表し、
A6は、Iva、Phe、またはValを表し、
A7は、Ile、Lys、またはValを表し、
A8はSerを表し、
A9は、Asp、Leu、またはPheを表し、
A10はTyrを表し、
A11は、AibまたはSerを表し、
A12はIleを表し、
A13は、Aib、Ala、Gln、Leu、Tyr、またはD-Ivaを表し、
A14はLeuを表し、
A15は、Asp、Glu、Lys、Ser、またはTyrを表し、
A16は、ArgまたはLysを表し、
A17は、Aib、Gln、またはIleを表し、
A18は、AlaまたはHisを表し、
A19は、GlnまたはSerを表し、
A20は、Aib、Ala、またはGlnを表し、
A21は、Asn、Asp、Glu、Leu、またはSerを表し、
A22は、PheまたはαMePheを表し、
A23は、IleまたはValを表し、
A24は、Arg、Asn、Asp、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A25はTrpを表し、
A26は、Aib、Iva、またはLeuを表し、
A27はLeuを表し、
A28は、Ala、Arg、Lys、またはLys(Ac)を表し、
A29は、GlnまたはGlyを表し、
A30は、Arg、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A32は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A33は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A34は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A35は、Ala、Ser、ψ、または欠失を表し、
A36は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A37は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A38は、Pro、Gly、ψ、または欠失を表し、
A39は、Ser、Gly、ψ、または欠失を表し、
A40は、Arg、Ser、ψ、または欠失を表し、
A41は、Gly、ψ、または欠失を表し、
A31~A41から選択される任意の1つまたは2つのアミノ酸は、任意選択でψを表し
、ここで、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選択される残基であ
り、前記残基の側鎖は、前記GIP受容体アゴニストペプチドが、PCT/JP2018
/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれか1つのアミノ酸配
列を有するペプチドではないという条件で置換されている、GIP受容体アゴニストペプ
チドまたはその塩。
【0228】
様々な実施形態において、本明細書に例示される方法、組成物、及び医薬で使用するた
めの例示的なGIP受容体アゴニストペプチドは、式(I)、(II)、(III)、(
IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)によって定義される任意のG
IP受容体アゴニストペプチドに対して少なくとも80%、または少なくとも85%、ま
たは少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少な
くとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または100%の配
列同一性を有する。
【0229】
様々な実施形態において、本明細書に例示される方法、組成物、及び医薬で使用するた
めの例示的なGIP受容体アゴニストペプチドは、式(I)、(II)、(III)、(
IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)によって定義される任意のG
IP受容体アゴニストペプチドに対して100%の配列同一性を有する。
【0230】
様々な実施形態において、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(V
I)、(VII)、及び(VIII)によって定義されるGIP受容体アゴニストペプチ
ドは、P2がメチル(Me)基によって定義されている。
【0231】
式(I)、(II)、及び(III)によって定義される上述のGIP受容体アゴニス
トペプチドを参照すると、様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドは
、アミノ酸の側鎖に共有結合している、二価置換基を有する少なくとも1つの1、2、ま
たは3個のアミノ酸を有する。例えば、いくつかの実施形態において、GIP受容体アゴ
ニストペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸、または修飾アミノ酸、例えば、置換基(
R)に共有結合しているGIP受容体アゴニストペプチドの、Cys、ホモシステイン、
Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニン残基の側鎖を有
するアミノ酸配列を有する。様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチド
の「ψ」として例示された後の本明細書におけるCys、ホモシステイン、Lys、Or
n、Dab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニン残基は、置換基(R)に共有
結合され得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、ψは、Lys、Arg、Orn、及びCysから独立して選
択され、置換された側鎖を有する残基である。例えば、選択的GIP受容体アゴニストで
あるペプチドは、(R)基によって置換されたψ残基を有し得る。様々な実施形態におい
て、(R)基はX-L-を表し、ここで、Lは二価リンカーを表す。いくつかの実施形態
において、二価リンカーは、PEG、Abu-、(Gly)(2-8)-、gGlu(1
-3)-、1から10個のアミノ酸、例えば、2~10個、2~6個、または5~6個の
連結されたグリシンのグリシン残基を有するグリシンリンカー、または前述のリンカーの
組み合わせを含み得る。これらの実施形態では、Xは置換基を表す。
【0233】
様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドは、1つまたは2つのψ残
基、例えば、以下の例、X-L-置換基を有する、Cys、ホモシステイン、Lys、O
rn、Dab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニンからの1つまたは2つの残
基を含み得る。いくつかの実施形態において、ψは、Lys残基及び/またはCys残基
であり、それぞれが独立して、X-L-で置換された側鎖を有する。様々な実施形態にお
いて、GIP受容体アゴニストペプチドは、1つまたは2つのψ残基、例えば、以下の例
、X-L-置換基を有する、Cys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap
、またはp-アミン-フェニルアラニンからの1つまたは2つの残基を含み得、Lは、(
PEG3)2-、Abu-、(Gly)(2-8)-、gGlu(1-3)-、またはそ
れらの組み合わせ、例えば(PEG3)2-gGlu-、Abu-gGlu-、(Gly
)5-gGlu-、または(Gly)6-gGlu-、GGGGG-、(PEG3)2-
、PEG3)2-(Gly)5-6-、またはそれらの組み合わせを表す。
【0234】
いくつかの実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドは、Lys、Arg、
Orn、及びCysから独立して選択される1つ、1つ、2つ、または3つのψ残基を有
し、各ψ残基は、独立して置換側鎖を有する。例えば、選択的GIPアゴニストペプチド
は、X-L-で置換されたψ残基を有し得、Lは、本明細書で論じられるように、二価リ
ンカーを表し、例えば、Lは、結合または二価の置換基を表し得、Xは、任意選択で置換
された。炭化水素基、またはその塩を表す。いくつかの実施形態において、二価の置換基
は、アルキレン基、カルボニル基、オキシカルボニル基、イミノ基、アルキルイミノ基、
スルホニル基、オキシ基、スルフィド基、エステル結合、アミド結合、炭酸結合、または
それらの組み合わせを含む。
【0235】
様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドは、1つまたは2つまたは
3つのψ残基、例えば、以下の例、Cys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、
Dap、またはp-アミン-フェニルアラニンからの1つまたは2つの残基を含み得、各
ψ残基は、X-L-置換基として定義される(R)基によって置換され得る。いくつかの
実施形態において、ψは、Lys残基及び/またはCys残基であり、それぞれが独立し
て、X-L-で置換された側鎖を有する。関連する実施形態において、GIP受容体アゴ
ニストペプチドX部分は、任意選択で置換された炭化水素であり得る。いくつかの実施形
態では、X-L-置換基のX部分は、C6-C20一酸、C6-C20二酸、アセチル基
、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0236】
いくつかの例示的なX部分としては、(Trda:C13二酸)、(Teda:C14
二酸)、(Peda:C15二酸)、(Heda:C16二酸)、(Hepda:C17
二酸)、(Oda:C18二酸)、または(Eda:C20二酸) (Ida:C__二
酸)を挙げることができる。
【0237】
様々な実施形態において、式(IV)~(VIII)のGIP受容体アゴニストペプチ
ドは、それぞれが(R)基で置換された1つ、2つ、または3つのLysアミノ酸を有し
得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのLysアミノ酸、例えば、GIP
受容体アゴニストペプチドのアミノ酸残基30~41及び46からの1つのLys、2つ
のLys、または3つのLys残基は、(R)基で置換され得、「Lys(R)」として
示される。様々な実施形態において、(R)基はまた、式(I)~(III)のGIP受
容体アゴニストペプチドに関連する上述のψ残基に関して上で論じられるように、X-L
-として定義される。いくつかの実施形態では、X-L-基のL部分は、二価リンカーを
含むことができる。いくつかの例では、二価リンカーは、PEG、Abu-、(Gly)
(2-8)-、gGlu(1-3)-、1~10個のアミノ酸、またはそれらの組み合わ
せを含み得る。X-Lのこれらの例では、Xは置換基を表し得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、(R)はX-L-を表し、Lは(PEG3)2-、Abu-
、(Gly)(2-8)-、gGlu(1-3)-、またはそれらの組み合わせを表す。
いくつかの実施形態において、Lは、(PEG3)2-gGlu-、Abu-gGlu-
、(Gly)5-gGlu、(Gly)6-gGlu-、GGGGG-、GGGGGG-
、(PEG3)2-、または(PEG3)2-(Gly)5-6-を表す。
【0239】
いくつかの関連する実施形態では、Lは、結合または二価の置換基を表し、Xは、任意
選択で置換された炭化水素基、またはその塩を表す。例えば、例示的なGIP受容体アゴ
ニストペプチドは、(R)基を有し、Xは、アルキレン基、カルボニル基、オキシカルボ
ニル基、イミノ基、アルキルイミノ基、スルホニル基、オキシ基、スルフィド基、エステ
ル結合、アミド結合、炭酸結合、またはそれらの組み合わせを含む二価の置換基である。
【0240】
いくつかの実施形態において、例示的なLys(R)は、X-L-基として定義される
(R)基を含み得、二価の置換基Xは、C6-C20一酸、C6-C20二酸、またはア
セチル基である。いくつかの例示的なX部分は以下を含み得る:(Trda:C13二酸
)、(Teda:C14二酸)、(Peda:C15二酸)、(Heda:C16二酸)
、(Hepda:C17二酸)、(Oda:C18二酸)、または(Eda:C20二酸
) (Ida:C__二酸)。
【0241】
いくつかの実施形態において、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、
(VI)、(VII)、及び(VIII)の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドは
、ψ残基またはLys(R)残基がX-L-によって定義される置換側鎖を有する、A3
1~A41から選択される1つ、2つ、または3つのアミノ酸を有するペプチドを含むこ
とができる。例示的な実施形態では、ψ残基またはLys(R)残基のX-L-基は:-
(g-Glu)2-Oda、-(g-Glu)2-Eda、-(g-Glu)2-Hed
a、-(PEG3)2-gGlu-Eda、-(PEG3)2-gGlu-Heda、-
(PEG3)2-gGlu-Oda、-(PEG3)2-gGlu-Ida、-(PEG
3)-gGlu-Eda、-(PEG3)-gGlu-Heda、-(PEG3)-gG
lu-Oda、-Abu-gGlu-Oda、-(Gly)5-gGlu-Eda、-(
Gly)5-gGlu-Heda、-(Gly)5-gGlu-Oda、-(Gly)5
-Heda、-(Gly)5-Oda、-(Gly)5-Eda、-(PEG3)2-H
eda、-(PEG3)2-Eda、-(PEG3)2-Oda、またはそれらの組み合
わせを含むことができる。
【0242】
様々な実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドのCys、ホモシステイン
、Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニン残基は、置換
基、例えば二価の置換基に共有結合され得る。いくつかの実施形態において、GIP受容
体アゴニストペプチドのCys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap、ま
たはp-アミン-フェニルアラニン残基は、(R)基に共有結合され得る。いくつかの例
示的な例において、(R)基は、Lysアミノ酸の側鎖に共有結合し得る。いくつかの例
では、例示的な(R)基はX-L-を表し、LはPEG及び/または2つ以上のアミノ酸
を含む二価リンカーを表し、Xは置換基またはその塩を表す。
【0243】
様々な実施形態において、式(I)~(VIII)のGIP受容体アゴニストペプチド
またはその塩は、1つまたは2つのLys(R)、A31~A41の間の位置に位置する
残基を有し、(R)は置換基を表すが、ただし、GIP受容体アゴニストペプチドは、P
CT/JP2018/013540に開示されている配列番号4~569のうちのいずれ
か1つのアミノ酸配列を有するペプチドではないという条件である。
【0244】
より好ましくは、RはX-L-を表し、ここで、Lは、1つまたは2つから9つ連結し
たグリシン(複数可)または単結合を含むグリシンリンカーから選択される1つまたは1
つを超えるものの組み合わせであり、Xは、C6-C20一酸または二酸、またはアセチ
ル基を表す。
【0245】
いくつかの実施形態において、RはX-L-を表し、ここで、X-L-は、好ましくは
、Trda-GGGG-(Trda:C13二酸)、Trda-GGGGG-、Trda
-GGGGGG-、Teda-GGGG-(Teda:C14二酸)、Teda-GGG
GG-、Teda-GGGGGG-、Peda-GGGG-(Peda:C15二酸)、
Peda-GGGGG-、Peda-GGGGGG-、Heda-GGGG-(Heda
:C16二酸)、Heda-GGGGG-、Heda-GGGGGG-、Hepda-G
GGG-(Hepda:C17二酸)、Hepda-GGGGG-、Hepda-GGG
GGG-、Oda-GGGG-(Oda:C18二酸)、Oda-GGGGG-、Oda
-GGGGGG-、Eda-GGGG-(Eda:C20二酸)、Eda-GGGGG-
、Eda-GGGGGG-、Eda-GGGGGGGGG-を表す。
【0246】
代替的に、いくつかの実施形態では、(R)はX-L-を表し、Lは4つ、5つ、また
は6つの連結したグリシンを含むグリシンリンカーを表し、XはC16-C20直鎖状飽
和ジカルボン酸を表す。
【0247】
様々な実施形態において、式(I)~(VIII)のGIP受容体アゴニストペプチド
の各例において、A31からA41の間、またはA30からA40の間、またはA30か
らA39の間の少なくとも1つのアミノ酸はLys(R)であり、(R)はX-L-を表
し、Lは二価リンカーLを表し、Lは(PEG3)2-、Abu-、(Gly)(2-1
0)-、gGlu(1-3)-、またはそれらの組み合わせを表す。いくつかの実施形態
では、Lは(PEG3)2-gGlu-を表す。いくつかの例では、LはAbu-gGl
u-を表す。他の例では、Lは(Gly)5-gGlu-、または(Gly)6-gGl
u-を表す。いくつかの実施形態では、Lは、約2~約10個のグリシンが連結されてい
る、または約2~約7個のグリシンが連結されているグリシンペプチドを表す。いくつか
の例では、Lは、(Gly)5-6-を表し、または(Gly)5-、GGGGG-、ま
たはGGGGG-gGlu-を表す。いくつかの実施形態では、Lは(PEG3)2-を
表す。いくつかの実施形態では、Lは、(Gly)2-10-、-例えば、(Gly)(
5-6)を表す。いくつかのさらなる実施形態では、Lは、1つ以上のPEG分子がグリ
シンペプチドGly2-10に連結されたような基の組み合わせを表し、例えば、Lは、
(PEG3)2-(Gly)5-6-、または(PEG3)2-(Gly)5-であり得
る。いくつかの関連する実施形態では、(R)はX-L-を表し、Lは、結合または二価
の置換基を表し、Xは、任意選択で置換された炭化水素基、またはその塩を表す。様々な
L部分の例示に関連する様々な実施形態において、(R)はX-Lを表し、Lは上で論じ
られ、XはC6-C20一酸、C6-C20二酸、またはアセチル基である。例えば、い
くつかの実施形態では、Xは、(Trda:C13二酸)、(Teda:C14二酸)、
(Peda:C15二酸)、(Heda:C16二酸)、(Hepda:C17二酸)、
(Oda:C18二酸)、(Eda:C20二酸)、または(Ida:C__二酸)であ
る。
【0248】
いくつかの実施形態において、(R)はX-L-を表し、Lは、PEG及び/またはア
ミノ酸を含むか、あるいはPEG及び/または1つ以上のアミノ酸からなる二価リンカー
、例えば、Gly2-10-リンカーを表し、Xは置換基を表す。Lysを置換基に連結
することができる限り、既知のPEGリンカー、アミノ酸リンカー、またはそれらの組み
合わせを二価リンカーの例示的な例として使用することができる。代替的に、いくつかの
実施形態では、(R)はX-L-を表し、Lは、結合または二価の置換基を表し、Xは、
任意選択で置換された炭化水素基、またはその塩を表す。既知の二価置換基としては、ア
ルキレン基、カルボニル基、オキシカルボニル基、イミノ基、アルキルイミノ基、スルホ
ニル基、オキシ基、スルフィド基、エステル結合、アミド結合、炭酸結合を挙げることが
できるがそれらに限定されず、またはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0249】
いくつかの実施形態において、Lは、(PEG3)2-、Abu-、(Gly)(2-
10)-、gGlu(1-3)-、またはそれらの組み合わせを表す。いくつかの実施形
態では、Lは(PEG3)2-gGlu-を表す。いくつかの例では、LはAbu-gG
lu-を表す。他の例では、Lは(Gly)5-gGlu-、または(Gly)6-gG
lu-を表す。いくつかの実施形態では、Lは、約2~約10個のグリシンが連結されて
いる、または約2~約7個のグリシンが連結されているグリシンペプチドを表す。いくつ
かの例では、Lは、(Gly)5-6-を表し、または(Gly)5-、GGGGG-、
またはGGGGG-gGlu-を表す。
【0250】
いくつかの実施形態では、Lは(PEG3)2-を表す。いくつかの実施形態では、L
は、(Gly)2-10-、-例えば、(Gly)(5-6)を表す。いくつかのさらな
る実施形態では、Lは、グリシンペプチドGly2-10に連結された1つ以上のPEG
分子等の基の組み合わせを表し、例えば、Lは、(PEG3)2-(Gly)5-6-、
または(PEG3)2-(Gly)5-であり得る。
【0251】
いくつかの実施形態において、アミノ酸、例えば、Cys、ホモシステイン、Lys、
Orn、Dab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニン残基に結合した(R)基
は、X-L-を表し、ここで、Lは、PEG及び/または1つまたは複数のアミノ酸を含
むか、あるいはPEG及び/または1つ以上のアミノ酸からなる二価リンカーを表し、X
は置換基を表す。既知のPEGリンカー、アミノ酸リンカー、またはそれらの組み合わせ
は、Cys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-アミン-フ
ェニルアラニン残基を置換基に連結することができる限り、二価リンカーとして使用され
得る。代替的に、好ましくは、(R)はX-L-を表し、Lは、結合または二価の置換基
を表し、Xは、任意選択で置換された炭化水素基、またはその塩を表す。アルキレン基、
カルボニル基、オキシカルボニル基、イミノ基、アルキルイミノ基、スルホニル基、オキ
シ基、スルフィド基、エステル結合、アミド結合、炭酸結合、またはそれらの組み合わせ
を含むがそれらに限定されない既知の二価置換基を使用することができる。より好ましく
は、(R)はX-L-を表し、Lは、
【化1】
1個または2個から9個の連結したグリシン(複数可)を含むグリシンリンカーまたは単
結合から選択される1つ、または複数の組み合わせであり、Xは、C
6-C
20一酸もし
くは二酸、またはアセチル基を表す。いくつかの実施形態において、リンカーLは、少な
くとも1つのアミノ酸、または修飾アミノ酸、例えば、置換基(R)に共有結合している
GIP受容体アゴニストペプチドの、Cys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab
、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニン残基の側鎖に共有結合できるか、共有結
合できる。一実施形態では、選択的GIP受容体アゴニストペプチドは、(R)基に共有
結合し、(R)基は、A16からC末端までの任意のアミノ酸位置における親水性ポリマ
ーである。一実施形態では、選択的GIP受容体アゴニストペプチドは、アミノ酸位置A
31~A41において親水性ポリマーに共有結合している。例えば、親水性ポリマーは、
選択的GIP受容体アゴニストペプチドのCys、ホモシステイン、Lys、Orn、D
ab、Dap、またはp-アミン-フェニルアラニンの側鎖に結合され得る。一実施形態
では、親水性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)である。例えば、PEGは、
約1,000ダルトン~約40,000ダルトン、例えば、約5,000ダルトン~約4
0,000ダルトン、好ましくは約1,000ダルトン、または5,000ダルトン、ま
たは10,000ダルトン、または12,000ダルトン、または14,000ダルトン
~約20,000ダルトンの分子量を有する。
いくつかの実施形態では、リンカーLは、PEG分子、例えば、約5~30kDaの重量
平均分子量を有するPEG3(n)、PEG(2)(n)、またはmPEGである。いく
つかの実施形態では、Lは、PEG3(n)、PEG(2)(n)、gGlu(n)、D
-gGlu(n)、AMBZ(n)、GABA(n)、G(x)、NpipAc(n)、
Tra(n)、eLya(n)の任意の組み合わせであってよく、ここでn=1~5及び
x=1~10である。例示的なPEGリンカーは、置換されたψ残基、例えば、A30~
A41、例えば、A30~A40、またはA30~A39のうちの1つ以上に位置する、
例えば、Cys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-アミン
-フェニルアラニン残基(R)基の一部として使用することができ、MEPGリンカーは
、以下の追加のMPEGリンカーのうちの1つ以上を含むことができる:
【化2】
いくつかの実施形態において、置換基XをCysアミノ酸にカップリングするために使用
され得る例示的なMPEGリンカーは、約5~30kDaの重量平均分子量を有するMP
EG分子を含み得る。いくつかの実施形態において、Cys側鎖に結合するための例示的
なPEGリンカーは、以下を含むことができる:
【化3】
【0252】
様々な例において、RはX-L-を表し、ここで、X-L-は、好ましくは、Trda
-GGGG-(Trda:C13二酸)、Trda-GGGGG-、Trda-GGGG
GG-、Teda-GGGG-(Teda:C14二酸)、Teda-GGGGG-、T
eda-GGGGGG-、Peda-GGGG-(Peda:C15二酸)、Peda-
GGGGG-、Peda-GGGGGG-、Heda-GGGG-(Heda:C16二
酸)、Heda-GGGGG-、Heda-GGGGGG-、Hepda-GGGG-(
Hepda:C17二酸)、Hepda-GGGGG-、Hepda-GGGGGG-、
Oda-GGGG-(Oda:C18二酸)、Oda-GGGGG-、Oda-GGGG
GG-、Eda-GGGG-(Eda:C20二酸)、Eda-GGGGG-、Eda-
GGGGGG-、Eda-GGGGGGGGG-を表す。
【0253】
代替的に、特に好ましくは、(R)基はX-L-を表し、Lは5つ、または6つの連結
したグリシンを含むグリシンリンカーを表し、XはC16-C20直鎖状飽和ジカルボン
酸を表す。
【0254】
代替的に、特に好ましくは、(R)基はX-L-を表し、Lは結合または二価の置換基
を表し、XはC12-C20脂肪酸、またはC12-C20アシル化脂肪酸またはその塩
を表す。いくつかの実施形態において、Xは、パルミトイル基を、GIP受容体アゴニス
トペプチドのCys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-ア
ミン-フェニルアラニン残基、例えば、Lys残基のイプシロンアミン側基に付加するた
めに使用されるパルミチン脂肪酸を表す。
【0255】
他の実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドは、1つまたは2つまたは3つの
修飾リジン残基、すなわちLys(R)を有し、(R)基はX-L-を表し、Lは3つ、
4つ、5つ、または6つの連結したグリシンを含むグリシンリンカーを表し、Xは、C6
-C20直鎖状飽和ジカルボン酸を表す。一実施形態では、アシル基は、C6~C20の
脂肪アシル基、例えば、パルミトイルまたはミリストイル脂肪アシル基である。
【0256】
一実施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドは、(R)基に共有結合し、(R)
基は、A30からC末端までの任意のアミノ酸位置における親水性ポリマーである。一実
施形態では、GIP受容体アゴニストペプチドは、アミノ酸位置、A31、A32、A3
0、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、また
はそれらの組み合わせ、例えば、位置A31~A41またはA31~A39において、親
水性ポリマーに共有結合している。例えば、親水性ポリマーは、GIP受容体アゴニスト
ペプチドのCys、ホモシステイン、Lys、Orn、Dab、Dap、またはp-アミ
ン-フェニルアラニンの側鎖に結合され得る。一実施形態では、親水性ポリマーはポリエ
チレングリコール(mPEG)である。mPEGポリマーはまた、グリシンリンカー、す
なわち(Gly)(2-8)-、または1つ以上のgGlu-残基、例えば、gGlu(
1-3)-にさらにコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、mPEGは、約
1,000ダルトン~約60,000ダルトン、例えば、約5,000ダルトン~約40
,000ダルトン、好ましくは約1,000ダルトン、または5,000ダルトン、また
は10,000ダルトン、または12,000ダルトン、または14,000ダルトン~
約20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0257】
いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコール(mPEG)ポリマーを反応性
アミンまたはスルフヒドリル基にコンジュゲートさせるための方法は、当該技術分野で周
知である。例えば、mPEGは、アミン反応性のペグ化架橋剤を使用して、リジンアミン
側鎖にコンジュゲートさせることができる。ビス(スクシンイミジル)ペンタ(エチレン
グリコール)スペーサーアームを、mPEGスペーサーアームの両端にN-ヒドロキシス
クシンイミド(NHS)エステルを含む、ホモ二官能性のアミンからアミンへの架橋剤と
して使用できる。PEGスペーサーアームを含むアミン反応性架橋剤。ビス-スクシンイ
ミドエステル活性化mPEG化合物が、本開示のGIP受容体アゴニストペプチド中の第
一級アミン(-NH2)間の架橋のために使用され得る。mPEGスペーサーのいずれか
の末端のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)基は、pH7~9でリジン及
びN末端アミノ基と特異的かつ効率的に反応して、安定したアミド結合を形成する。PE
Gスペーサーのいずれかの末端にマレイミド基を含む他のホモ二官能性のスルフヒドリル
反応性架橋剤を使用して、PEGをGIP受容体アゴニストペプチドのCysアミノ酸に
結合させることができる。2つの異なる反応性基、例えばアミン基及びスルフヒドリル基
が結合基として使用される場合、異官能性架橋スペーサーアームも使用され得る。PEG
スペーサーアームを含むスルフヒドリル反応性架橋剤を使用して、PEGポリマーをGI
P受容体アゴニストペプチドに結合させることができる。いくつかの実施形態において、
ビスマレイミド活性化PEG化合物が、タンパク質中のスルフヒドリル(-SH)基と他
のチオール分子との間の架橋のために使用され得る。PEGスペーサーのいずれかの末端
のマレイミド基は、pH6.5~7.5で還元型スルフヒドリルと特異的かつ効率的に反
応して、安定したチオエーテル結合を形成することができる。他の実施形態において、P
EG分子のGIP受容体アゴニストペプチドへの直接結合は、当該技術分野における既知
の方法を使用して達成され得る。それは例えば、ペプチドが、一端に反応性または標的化
可能な官能基を含むPEG化合物を必要とするPEG基で共有結合的に修飾され得るよく
知られた技術である。表面の第一級アミンが豊富なペプチドをPEG化する最も簡単な方
法は、一端にNHSエステル基、例えばメチル-(PEG)n-NHSエステルを含むP
EG化合物を使用することである。同様の方法で、メチル-(PEG)n-マレイミド(
ここで、nは20~300であることができる)を使用して、PEG分子を本開示のCy
s含有ペプチドに結合させることができる。1,000ダルトン~20,000ダルトン
の範囲またはそれ以上の様々な長さのポリエチレングリコールポリマーのコンジュゲーシ
ョンのための当該技術分野で知られている方法が、1.Hermanson,G.T.
(2013). 3rd Edition. Bioconjugate Techni
ques,Academic Press,Veronese,F. and Harr
is,J.M. Eds. (2002). Peptide and protein
PEGylation. Advanced Drug Delivery Revi
ew 54(4),453-609,Zalipsky,S.,et al.,“Use
of Functionalized Poly(Ethylene Glycols
) for Modification of Polypeptides” in P
olyethylene Glycol Chemistry: Biotechnic
al and Biomedical Applications,J. M. Har
ris,Plenus Press,New York (1992)、及びZalip
sky (1995) Advanced Drug Reviews 16:157-
182に提供され、これらの参考文献の全ての開示は、参照によりその全体が本明細書に
組み込まれる。
【0258】
様々な実施形態において、例えば、医薬、組成物の調製において使用される、または状
態または障害の予防及び/または治療において使用するための、またはGIP受容体アゴ
ニストペプチドによって表される本明細書に開示される予防及び/または治療の方法にお
いて使用するための、本明細書に開示されるGIP受容体アゴニストペプチドは、式(I
)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII
)のいずれか1つの式で提供されるアミノ酸配列を有し、ただし、式(I)、(II)、
(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)のいずれか1
つのアミノ酸配列を有するGIP受容体アゴニストペプチドは、2018年3月30日に
出願された国際PCT出願番号PCT/JP2018/013540に開示される配列番
号4~569のアミノ酸配列を有するいずれかのペプチドに開示されるようなアミノ酸配
列を有さないという条件である。
【0259】
様々な実施形態において、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(V
I)、(VII)、及び(VIII)のいずれか1つで定義される構造を有する例示的な
GIP受容体アゴニストペプチドが
図1に示されている。
【0260】
B. 合成GIPアゴニストペプチド
GIP受容体アゴニストペプチドは、組換え的に合成され得るか、または当該技術分野
で知られているペプチド合成方法に従って生成され得る。ペプチド合成法は、例えば、固
相合成法及び液相合成法のいずれかであり得る。すなわち、目的のGIP受容体アゴニス
トペプチドは、GIP受容体アゴニストペプチドを構成することができる部分ペプチドま
たはアミノ酸と、目的の配列による残りの部分(2つ以上のアミノ酸によって構成され得
る)との縮合を繰り返すことによって生成することができる。所望の配列を有する生成物
が保護基を有する場合、目的のGIP受容体アゴニストペプチドは、保護基を脱離するこ
とによって生成することができる。既知の保護基の縮合法及び脱離法の例としては、以下
(1)~(5)に記載の方法が挙げられる。
(1)M. Bodanszky and M.A. Ondetti: Peptid
e synthesis,Interscience Publishers,New
York (1966)
(2)Schroeder and Luebke: The Peptide,Aca
demic Press,New York (1965)
(3)Nobuo Izumiya,et al.: Peptide Gosei-n
o-Kiso to Jikken (Basics and experiments
of peptide synthesis),published by Maru
zen Co. (1975)
(4)Haruaki Yajima and Shunpei Sakakibara
: Seikagaku Jikken Koza (Biochemical Exp
eriment) 1,Tanpakushitsu no Kagaku (Chem
istry of Proteins) IV,205 (1977)
(5)Haruaki Yajima,ed.: Zoku Iyakuhin no
Kaihatsu (A sequel to Development of Pha
rmaceuticals),Vol. 14,peptide synthesis,
published by Hirokawa Shoten。
【0261】
反応後、GIP受容体アゴニストペプチドは、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフ
ィー、液体クロマトグラフィー、再結晶等の従来の精製方法を組み合わせて使用して精製
及び単離することができる。上述の方法で得られたペプチドが遊離型である場合、既知の
方法で適切な塩に変換することができる。逆に、ペプチドが塩の形態で得られる場合、塩
は、既知の方法によって遊離形態または他の塩に変換することができる。
【0262】
出発化合物はまた、塩であり得る。そのような塩の例としては、以下に述べる例示的な
選択的GIPアゴニストの塩として例示されるものが挙げられる。
【0263】
保護されたアミノ酸またはペプチドの縮合のために、様々な活性化試薬がペプチド合成
に使用することができる。活性化試薬は、特に好ましくはトリスホスホニウム塩、テトラ
メチルウロニウム塩、カルボジイミド等である。トリスホスホニウム塩の例には、ベンゾ
トリアゾール-1-イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフ
ェート(PyBOP)、ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフ
ェート(PyBroP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ピロリ
ジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)が含まれ、テトラメチル
ウロニウム塩の例には、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3
-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(7-アザベ
ンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオ
ロホスフェート(HATU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,
3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2-(5-ノル
ボルナン-2,3-ジカルボキシイミド)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテ
トラフルオロボレート(TNTU)、O-(N-スクシミジル)-1,1,3,3-テト
ラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)が含まれ、カルボジイミドの例
には、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピ
ルカルボジイミド(DIPCDI)、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル
)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)等が含まれる。これらを使用した縮合の場
合、ラセミ化阻害剤[例えば、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン
酸イミド(HONB)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキ
シ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4
-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)、2-シアノ-2-(ヒドロキ
シイミノ)アセテートエチル(Oxyma)等]が好ましい。縮合に使用する溶媒は、ペ
プチド縮合反応に使用できることがわかっている溶媒の中から適切に選択することができ
る。例えば、無水または含水N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトア
ミド、N-メチルピロリドン等の酸性アミド、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン
化炭化水素、トリフルオロエタノール、フェノール等のアルコール、ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド、ピリジン等の第三級アミン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の
エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル等
のエステル、これら等の適切な混合物を使用することができる。反応温度は、ペプチド結
合反応に使用できることが知られている範囲から適切に選択され、通常、約-20℃~9
0℃の範囲から選択される。活性化アミノ酸誘導体は通常1.5~6倍過剰で使用される
。固相合成では、ニンヒドリン反応を用いた試験で縮合が不十分であることが判明した場
合、保護基を脱離せずに縮合反応を繰り返すことで十分な縮合を行うことができる。反応
を繰り返しても縮合が不十分な場合は、未反応のアミノ酸を無水酢酸、アセチルイミダゾ
ール等でアシル化することにより、その後の反応への影響を回避することができる。
【0264】
出発アミノ酸のアミノ基の保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル(Z)、t
ert-ブトキシカルボニル(Boc)、tert-ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジル
オキシカルボニル(Cl-Z)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(Br-Z)、ア
ダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2-ニト
ロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、9-フルオレニルメチルオキ
シカルボニル(Fmoc)、トリチル等が挙げられる。
【0265】
出発アミノ酸のカルボキシル保護基の例としては、上述のC1-6アルキル基、C3-
10シクロアルキル基、C7-14アラルキル基に加えて、アリール、2-アダマンチル
、4-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、フェナシル、及び
ベンジルオキシカルボニルヒドラジド、tert-ブトキシカルボニルヒドラジド、トリ
チルヒドラジド等が含まれる。
【0266】
セリンまたはトレオニンのヒドロキシル基は、例えば、エステル化またはエーテル化に
よって保護することができる。エステル化に適した基の例としては、アセチル基等の低級
(C2~4)アルカノイル基、ベンゾイル基等のアロイル基等、及び有機酸由来の基等が
挙げられる。また、エーテル化に適した基の例としては、ベンジル、テトラヒドロピラニ
ル、tert-ブチル(But)、トリチル(Trt)等が挙げられる。
【0267】
チロシンのフェノール性ヒドロキシル基の保護基の例としては、Bzl、2,6-ジク
ロロベンジル、2-ニトロベンジル、Br-Z、tert-ブチル等が挙げられる。
【0268】
ヒスチジンのイミダゾールの保護基の例としては、p-トルエンスルホニル(Tos)
、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、ジニトロフェ
ニル(DNP)、ベンジルオキシメチル(Bom)、tert-ブトキシメチル(Bum
)、Boc、Trt、Fmoc等が挙げられる。
【0269】
アルギニンのグアニジノ基の保護基の例としては、Tos、Z、4-メトキシ-2,3
,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、p-メトキシベンゼンスルホニル(M
BS)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(PMC)、メシ
チレン-2-スルホニル(MTS)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾ
フラン-5-スルホニル(Pbf)、Boc、Z、NO2等が挙げられる。
【0270】
リジンの側鎖アミノ基の保護基の例としては、Z、Cl-Z、トリフルオロアセチル、
Boc、Fmoc、Trt、Mtr、4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシ
リデネイル(Dde)等が挙げられる。
【0271】
トリプトファンのインドリルの保護基の例としては、ホルミル(For)、Z、Boc
、Mts、Mtr等が挙げられる。
【0272】
アスパラギン及びグルタミンの保護基の例としては、Trt、キサンチル(Xan)、
4,4’-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、2,4,6-トリメトキシベンジル(
Tmob)等が挙げられる。
【0273】
出発物質中の活性化カルボキシル基の例としては、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル[アルコールとのエステル(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリ
クロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt))]等が挙げ
られる。出発物質中の活性化アミノ基の例としては、対応するリンアミドが挙げられる。
【0274】
保護基を除去(脱離)する方法の例としては、Pd-ブラックまたはPd-カーボン等
の触媒の存在下での水素流の接触還元;無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、臭化トリメチルシリル(TMSBr
)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロホウ酸、トリス(
トリフルオロ)ホウ酸、三臭化ホウ素、またはそれらの混合溶液を使用する酸処理;ジイ
ソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン等を使用する塩基
処理;液体アンモニア中のナトリウムによる還元等が挙げられる。上述の酸処理による脱
離反応は、一般に、-20℃~40℃の温度で行われる。酸処理は、アニソール、フェノ
ール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール等のカチオンスカベンジャー;
ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオール、トリイソ
プロピルシラン等を添加することによって効率的に行われる。また、ヒスチジンのイミダ
ゾールの保護基として使用される2,4-ジニトロフェニル基は、チオフェノール処理に
よって除去される。トリプトファンのインドールの保護基として使用されるホルミル基は
、1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール等の存在下での酸処理による脱
保護、ならびに希水酸化ナトリウム、希アンモニア等によるアルカリ処理によって除去さ
れる。
【0275】
出発物質と保護基の反応に関与してはならない官能基の保護、保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化等は、既知の保護基及び既知の手段から適切に選択することができ
る。
【0276】
ペプチドのアミドを調製する方法において、それは、アミド合成のための樹脂を使用す
る固相合成によって形成されるか、またはカルボキシ末端アミノ酸のα-カルボキシル基
がアミド化され、ペプチド鎖がアミノ基側に向けて所望の鎖長に伸長される。その後、ペ
プチド鎖のN末端α-アミノ基の保護基のみが除去されたペプチド、及びペプチド鎖のC
末端カルボキシル基の保護基のみが除去されたペプチドが調製され、両方のペプチドが上
述の混合溶媒中で縮合される。縮合反応の詳細については、上述と同じである。縮合によ
り得られた保護ペプチドを精製した後、上述の方法により全ての保護基を除去して、所望
の粗ポリペプチドを得ることができる。様々な公知の精製手段を使用してこの粗ペプチド
を精製し、主要画分を凍結乾燥することにより、ペプチドの所望のアミドを調製すること
ができる。
【0277】
GIP受容体アゴニストペプチドが、エナンチオマー、ジアステレオマー等の立体配置
異性体、配座異性体等として存在する場合、それらはまた、GIP受容体アゴニストペプ
チドの記載に包含され、それぞれは、それ自体が知られている手段によって、または必要
に応じて上述の分離及び精製方法によって単離することができる。さらに、GIP受容体
アゴニストペプチドがラセミ体の形態である場合、従来の光学分解能によってS型とR型
に分離することができる。
【0278】
GIP受容体アゴニストペプチドが立体異性体を含む場合、異性体のみと各異性体の混
合物の両方もまた、GIP受容体アゴニストペプチドの意味の範囲内に包含される。GI
P受容体アゴニストペプチドは、それ自体が知られている方法に従って、置換基及びポリ
エチレングリコールを使用して化学的に修飾することができる。例えば、化学的に修飾さ
れたGIP受容体アゴニストペプチドは、GIP受容体アゴニストペプチドのCys残基
、Asp残基、Glu残基、Lys残基等に置換基及び/または共役結合ポリエチレング
リコールを導入することによって生成することができる。さらに、GIP受容体アゴニス
トペプチドのアミノ酸と置換基及びポリエチレングリコールとの間にリンカー構造が存在
してもよい。
【0279】
置換基及び/またはポリエチレングリコール(PEG)によって修飾されたGIP受容
体アゴニストペプチドは、例えば、治療上及び診断上重要なペプチドの、生物活性の促進
、血液循環時間の延長、免疫原性の低下、溶解性の増強、及び代謝に対する耐性の増強に
関連する1つまたは複数の効果を生み出す。
【0280】
PEGの分子量は特に限定されず、通常、約1K~約1000Kダルトン、好ましくは
約10K~約100Kダルトン、より好ましくは約20K~約60Kダルトンである。
【0281】
(R)置換基を付加することによる本開示の選択的GIPアゴニストの改変は、既知の
酸化反応及び還元反応に基づいて(R)置換基を導入することによって実施することがで
きる。
【0282】
当該技術分野で周知の方法を、PEGによってGIP受容体アゴニストペプチドを修飾
するための方法として使用することができ、例えば、上述の例示的な方法に加えて、以下
に記載の方法を使用することができる。
(1)活性エステルを有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT MEGC-3
0TS(商品名)、NOF Corp.)が、GIP受容体アゴニストペプチドのアミノ
基に結合される。
(2)アルデヒドを有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT ME-300A
L(商品名)、NOF Corp.)が、GIP受容体アゴニストペプチドのアミノ基に
結合される。
(3)二価架橋試薬(例えば、GMBS(Dojindo Laboratories)
、EMCS(Dojindo Laboratories)、KMUS(Dojindo
Laboratories)、SMCC(Pierce))が、GIP受容体アゴニス
トペプチドのアミノ酸(例えば、Lys及び/またはCys)に結合され、これにチオー
ル基を有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT ME-300-SH(商品名
)、NOF Corp.)が次いで結合される。
(4)SH導入剤(例えば、D-システイン残基、L-システイン残基、トラウト試薬)
を介してGIP受容体アゴニストペプチドにチオール基を導入し、このチオール基をマレ
イミド基を有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT ME-300MA(商品
名)、NOF Corp.)と反応させる。
(5)SH導入剤(例えば、D-システイン残基、L-システイン残基、トラウト試薬)
を介してGIP受容体アゴニストペプチドにチオール基を導入し、このチオール基をイオ
ドアセトアミド基を有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT ME-300I
A(商品名)、NOF Corp.)と反応させる。
(6)GIP受容体アゴニストペプチドのN末端アミノ基へのリンカーとして、ω-アミ
ノカルボン酸、α-アミノ酸等を導入し、このリンカーに由来するアミノ基を活性エステ
ルを有するPEG化試薬例えば、SUNBRIGHT MEGC-30TS(商品名)、
NOFCorp.)と反応させる(。
(7)GIP受容体アゴニストペプチドのN末端アミノ基へのリンカーとして、ω-アミ
ノカルボン酸、α-アミノ酸等を導入し、このリンカーに由来するアミノ基をアルデヒド
基を有するPEG化試薬(例えば、SUNBRIGHT ME-300AL(商品名)、
NOFCorp.)と反応させる。
【0283】
さらに、GIP受容体アゴニストペプチドは、溶媒和物(例えば、水和物)または非溶
媒和物(例えば、非水和物)であり得る。
【0284】
GIP受容体アゴニストペプチドは、同位元素(例えば、3H、14C、35S、12
5I)等で標識されていてもよい。
【0285】
さらに、GIP受容体アゴニストペプチドは、1Hが2H(D)に変換される重水素変
換体であってもよい。
【0286】
いくつかの実施形態では、同位体で標識または置換されたGIP受容体アゴニストペプ
チドは、例えば、陽電子放射断層撮影(PET)に使用されるトレーサー(PETトレー
サー)として使用することができ、医療診断等の分野において有用である。
【0287】
本明細書で言及されるGIP受容体アゴニストペプチドの場合、従来のペプチドマーキ
ングに従って、左端はN末端(アミノ末端)であり、右端はC末端(カルボキシル末端)
である。ペプチドのC末端は、アミド(-CONH2)、カルボキシル基(-COOH)
、カルボキシレート(-COO-)、アルキルアミド(-CONHRa)、エステル(-
COORa)のうちのいずれかであってよい。特に、アミド(-CONH2)が好ましい
。
【0288】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、塩の形態であり得る。そのような塩の例
としては、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩
基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
【0289】
金属塩の好ましい例としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等
、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等、及びア
ンモニウム塩等が挙げられる。
【0290】
有機塩基との塩の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチ
レンジアミン等との塩が挙げられる。
【0291】
無機酸との塩の好ましい例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸等と
の塩が挙げられる。
【0292】
有機酸との塩の好ましい例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマ
ル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
【0293】
塩基性アミノ酸との塩の好ましい例としては、アルギニン、リジン、及びオルニチン等
との塩が挙げられる。酸性アミノ酸との塩の好ましい例としては、アスパラギン酸及びグ
ルタミン酸等との塩が挙げられる。
【0294】
上記の塩のうち、薬学的に許容される塩が好ましい。例えば、化合物が酸性官能基を有
する場合、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属
塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウム
塩等が、化合物が塩基性官能基を有する場合、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、
リン酸等の無機酸との塩が、または塩酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マ
レイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸
との塩が好ましい。
【0295】
いくつかの実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチドは、本開示の疾患、例
えば、糖尿病、肥満及び/または嘔吐を治療または予防するために、プロドラッグ形態で
合成及び/または使用され得る。プロドラッグとは、生体内の生理的条件下で酵素、胃酸
等による反応によりGIP受容体アゴニストペプチドに変換される化合物、すなわち、酸
化、還元、加水分解等により、酵素によりGIP受容体アゴニストペプチドに変換される
化合物、胃酸等による加水分解等によりGIP受容体アゴニストペプチドに変換されるポ
リペプチドを意味する。
【0296】
GIP受容体アゴニストペプチドのプロドラッグの例としては、GIP受容体アゴニス
トペプチドのアミノ基がアシル化、アルキル化、またはリン酸化された化合物(例えば、
GIP受容体アゴニストペプチドのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチル
アミノカルボニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メ
トキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシ
メチル化、またはtert-ブチル化等された化合物);GIP受容体アゴニストペプチ
ドのヒドロキシ基がアシル化、アルキル化、リン酸化、またはホウ化された化合物(例え
ば、GIP受容体アゴニストペプチドのヒドロキシ基がアセチル化、パルミトイル化、プ
ロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、またはジメチル
アミノメチルカルボニル化された化合物);GIP受容体アゴニストペプチドのカルボキ
シ基がエステル化またはアミド化された化合物(例えば、GIP受容体アゴニストペプチ
ドのカルボキシ基がC1-6アルキルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチ
ルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、
エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2
-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシ
カルボニルエチルエステル化、またはメチルアミド化された化合物)等が挙げられ得る。
とりわけ、GIP受容体アゴニストペプチドのカルボキシ基が、メチル、エチル、ter
t-ブチル等のC1-6アルキルでエステル化されている化合物が好ましく使用される。
これらの化合物、ペプチド、及びポリペプチドは、それ自体が知られている方法によって
、GIP受容体アゴニストペプチドから生成することができる。
【0297】
GIP受容体アゴニストペプチドのプロドラッグはまた、IYAKUHIN no K
AIHATSU (Development of Pharmaceuticals)
,Vol. 7,Design of Molecules,p. 163-198,P
ublished by HIROKAWA SHOTEN (1990)に記載の通り
、生理的条件下でGIP受容体アゴニストペプチドに変換されるものであってもよい。
【0298】
本明細書では、プロドラッグは塩を形成し得る。そのような塩の例としては、GIP受
容体アゴニストペプチドの塩として例示されるものが挙げられる。
【0299】
いくつかの実施形態において、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、結晶とし
て合成及び/または使用され得る。単一の結晶形または複数の結晶形の混合物を有する結
晶もまた、GIP受容体アゴニストペプチドの例に包含される。結晶は、それ自体既知の
結晶化法に従ってGIP受容体アゴニストペプチドを結晶化することによって製造するこ
とができる。
【0300】
さらに、GIP受容体アゴニストペプチドは、薬学的に許容される共結晶または共結晶
塩であり得る。ここで、共結晶またはその塩とは、各々が異なる物性(例えば、構造、融
点、融解熱、吸湿性、及び安定性等)を有する、室温で固体である2種以上の特定の物質
からなる結晶性物質を意味する。共結晶及び共結晶塩は、それ自体が知られている共結晶
化によって生成することができる。
【0301】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドの結晶は、物理化学的特性(例えば、融点、
溶解性、安定性)及び生物学的特性(例えば、薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)、有
効性発現)において優れており、したがって、医薬として非常に有用である。
【0302】
いくつかの実施形態において、GIP受容体アゴニストペプチド及び/またはそのプロ
ドラッグ(以下、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと略されることがある)は、
GIP受容体活性化作用を有し、GLP1R等の他の受容体よりも、GIP受容体のアゴ
ニストとしての選択性を有し得る。本開示の化合物は、in vivoで高いGIP受容
体選択的活性化作用を有する。
【0303】
C.GIPを介した状態、疾患、及び障害の予防及び治療の方法
GIPはインクレチンと呼ばれる胃腸ホルモンであり、膵臓からのインスリン分泌を促
進する作用を有する。インクレチンはグルコース代謝と密接に関連しているため、GIP
受容体活性化作用を持つ化合物は、糖尿病や肥満等の異常なグルコース代謝に関連する症
状の予防と治療に有用である。さらに、本開示の化合物は、GIP受容体選択的活性化作
用を有し、最後野のGABA作動性ニューロンを活性化することによって嘔吐を抑制する
。
【0304】
より具体的には、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、血糖降下作用、制吐作
用等を有する。
【0305】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、高い化学的安定性及びin vivoで
の効果の優れた持続性を有する。
【0306】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、GIP受容体活性剤として使用され得る
。
【0307】
本開示において、GIP受容体活性剤(GIP受容体アゴニスト)は、GIP受容体活
性化作用を有する薬剤を意味する。さらに、GIP受容体選択的活性剤(GIP受容体ペ
プチドアゴニスト)は、具体的には、GLP-1受容体に対するEC50の、1/10倍
以下、または1/100倍以下、または1/1000倍以下、好ましくは1/10000
倍以下のGIP受容体に対するEC50を有する薬剤を意味する。
【0308】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、その毒性(例えば、急性毒性、慢性毒性
、遺伝毒性、生殖毒性、心臓毒性、発がん性)が低く、少ない副作用を示し、下記等の様
々な疾患の予防または治療のための薬剤として哺乳動物(例えば、例えば、ヒト、ウシ、
ウマ、イヌ、ネコ、サル、マウス、ラット)に安全に投与することができる。
【0309】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、GIP受容体に対する上述の活性化作用
のために、糖尿病及び肥満を含む様々な疾患の治療または予防のための薬剤として使用す
ることができる。本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、例えば、症候性肥満、単
純肥満に基づく肥満、肥満に関連する病状または疾患、摂食障害、糖尿病(例えば、1糖
尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、肥満糖尿病)、高脂血症(例えば、高トリグリセリド血
症、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症
、食後高脂血症)、高血圧、心不全、糖尿病性合併症[例えば、神経障害、腎症、網膜症
、糖尿病性心筋症、白内障、大血管障害、肥満症、高浸透圧性糖尿病性昏睡、感染症(例
えば、呼吸器感染症、尿路感染症、胃腸感染症、皮膚軟組織感染症、下肢感染症)、糖尿
病性神経節、口腔乾燥症、低血糖症、脳血管障害、末梢血循環障害]、代謝症候群(高ト
リグリセリド血症(TG)、低HDLコレステロール(HDL-C)血症、高血圧、腹部
肥満、及び耐糖能障害から選択される3つ以上を有する病状)、サルコペニア等の予防ま
たは治療のための薬剤として使用することができる。
【0310】
症候性肥満の例としては、内分泌性肥満(例えば、クッシング症候群、甲状腺機能低下
症、インスリン腫、肥満II型糖尿病、偽性副甲状腺機能低下症、性腺機能低下症)、中
枢性肥満(例えば、視床下部肥満、前頭葉症候群、クライン-レビン症候群)、遺伝性肥
満(例えば、プラダーウィリ症候群、ローレンス・ムーン・ビードル症候群)、薬物誘発
性肥満(例えば、ステロイド、フェノチアジン、インスリン、スルホニル尿素(SU)剤
、β-ブロッカー誘発性肥満)等が挙げられる。
【0311】
肥満に関連する病状または疾患の例としては、耐糖能障害、糖尿病(特に2型糖尿病(
T2DM)、肥満糖尿病)、脂質代謝異常(上述の高脂血症と同義)、高血圧、心不全、
高尿酸血症、脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、冠動脈心疾患(心筋梗塞、狭
心症)、脳梗塞(脳血栓症、一過性脳虚血性発作)、骨/関節疾患(膝骨関節炎、股関節
骨関節炎、変形性脊椎炎、腰痛)、睡眠性無呼吸症候群/ピックウィック症候群、月経異
常(異常月経周期、月経血と周期の異常、無月経、異常な月経症状)、メタボリックシン
ドローム等が挙げられる。
【0312】
糖尿病の診断基準については、1999年に日本糖尿病学会から新しい診断基準が報告
された。
【0313】
この報告によると、糖尿病とは、126mg/dl以上の空腹時血糖値(静脈血漿中の
グルコース濃度)、75g経口グルコース負荷試験(75gOGTT)での200mg/
dl以上の2時間値(静脈血漿中のグルコース濃度)、200mg/dl以上の随時血糖
値(静脈血漿中のグルコース濃度)のいずれかを満たす状態を指す。また、上述の糖尿病
に該当せず、「110mg/dl未満の空腹時血糖値(静脈血漿中グルコース濃度)、ま
たは75g経口グルコース負荷試験(75gOGTT)での140mg/dl未満の2時
間値(静脈血漿中のグルコース濃度)」(正常型)を示す状態ではない状態を「境界型」
と呼ぶ。
【0314】
さらに、糖尿病の診断基準について、1997年に米国糖尿病学会(ADA)によって
、1998年に世界保健機関(WHO)によって新しい診断基準が報告された。
【0315】
これらの報告によると、糖尿病とは、126mg/dl以上の空腹時血糖値(静脈血漿
中のグルコース濃度)、及び75g経口グルコース負荷試験での200mg/dl以上の
2時間値(静脈血漿中のグルコース濃度)を満たす状態を指す。
【0316】
上述の報告によると、耐糖能障害とは、126mg/dl未満の空腹時血糖値(静脈血
漿中のグルコース濃度)、及び75g経口グルコース負荷試験での140mg/dl以上
200mg/dl未満の2時間値(静脈血漿中のグルコース濃度)を満たす状態を指す。
ADAの報告によると、空腹時血糖値(静脈血漿中のグルコース濃度)が110mg/d
l以上126mg/dl未満の状態を示す状態を、IFG(空腹時血糖異常)と呼ぶ。一
方、WHOの報告によると、75g経口グルコース負荷試験での140mg/dl未満の
2時間値(静脈血漿中のブドウ糖濃度)を示すIFG(空腹時血糖異常)の状態を、IF
G(空腹時高血糖)と呼ぶ。
【0317】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドはまた、上述の新しい診断基準、境界型糖尿
病、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖異常)、及びIFG(空腹時高血糖)に従って決定
された糖尿病の予防または治療のための薬剤として使用され得る。さらに、本開示のGI
P受容体アゴニストペプチドは、境界型、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖障害)または
IFG(空腹時高血糖)の糖尿病への進行を防ぐことができる。
【0318】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドはまた、メタボリックシンドロームの予防ま
たは治療のための薬剤として有用である。循環器疾患の発生率は、単一の生活習慣病の患
者と比較して、メタボリックシンドロームの患者で有意に高い。したがって、メタボリッ
クシンドロームの予防または治療は、循環器疾患を予防するために非常に重要である。
【0319】
メタボリックシンドロームの診断基準は、1999年にWHOによって、2001年に
NCEPによって発表された。WHOの診断基準によれば、要件として高インスリン血症
または異常な耐糖能を有し、内臓肥満、脂質異常症(高TGまたは低HDL)及び高血圧
症のうちの2つ以上を有する個人はメタボリックシンドロームを有すると診断される(W
orld Health Organization: Definition,Dia
gnosis and Classification of Diabetes Me
llitus and Its Complications. Part I: Di
agnosis and Classification of Diabetes M
ellitus,World Health Organization,Geneva
,1999)。米国の国立コレステロール教育プログラム(虚血性心疾患のガイドライン
)の成人治療パネルIIIの診断基準によると、内臓肥満、高トリグリセリド血症、低H
DLコレステロール血症、高血圧、異常な耐糖能のうちの3つ以上を有する個人はメタボ
リックシンドロームを有すると診断される(National Cholesterol
Education Program: Executive Summary of
the Third Report of National Cholestero
l Education Program (NCEP) Expert Panel
on Detection,Evaluation,and Treatment of
High Blood Cholesterol in Adults (Adult
s Treatment Panel III) The Journal of th
e American Medical Association,Vol. 285,
2486-2497,2001)。
【0320】
より具体的には、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、制吐作用を有し、本明
細書に開示される様々な刺激に関連する場合、周期性嘔吐症候群を患っている、または化
学療法薬、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン等のプラチナ
ベースの化学療法薬等、ならびに癌の治療に使用されるイリノテカン及び他のトポイソメ
ラーゼ阻害剤等の、嘔吐を催させる可能性がある化学療法薬が投与されている場合、悪心
及び/または嘔吐の発生の数及び重症度を阻害または低減し得る。本開示のGIP受容体
アゴニストペプチドは、高い化学的安定性及びin vivoでの効果の優れた持続性を
有する。
【0321】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、GIP受容体活性剤として使用され得る
。本開示において、GIP受容体活性剤(GIP受容体アゴニスト)は、GIP受容体活
性化作用を有する薬剤を意味する。さらに、GIP受容体の選択的活性剤(すなわち、本
明細書中で使用されるとき、GIP受容体アゴニスト)は、具体的には、GLP-1受容
体に対するEC50の、1/1000倍以下、好ましくは1/10000倍以下のGIP
受容体に対するEC50を有する薬剤を意味し、換言すると、EC50GLP1R/EC
50GIPRの比は、10を超える、または100を超える、または1,000を超える
、または10,000を超える、または約100~1,000,000、またはそれ以上
である。
【0322】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、低い毒性(例えば、急性毒性、慢性毒性
、遺伝毒性、生殖毒性、心臓毒性、発がん性)を有し、少ない副作用を示し、嘔吐の予防
または治療のための薬剤として哺乳動物(例えば、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネ
コ、サル、マウス、ラット)に安全に投与することができる。
【0323】
本明細書に開示されるGIP受容体アゴニストペプチドの少なくとも1つを投与するこ
とによる嘔吐の治療の文脈における「治療」は、予防的治療と対象が嘔吐を経験した後の
嘔吐の治療の両方を含む。予防的治療には、対象が悪心を経験するとき等、対象が嘔吐を
経験する前のGIP受容体アゴニストペプチドの投与、ならびに対象が物質、薬剤、また
は事象に曝露される前の、または対象が嘔吐を経験するか、またはその可能性が高い状態
を発症する前のGIP受容体アゴニストペプチドの投与が含まれる。本明細書で使用され
るとき、「治療有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分なGIP受容体アゴ
ニストペプチドの量を指す。本開示において、所望の生物学的応答は、対象、例えば、糖
尿病及び肥満を含むそれを必要とする対象における異常なグルコース代謝の治療及び/ま
たは予防、あるいはそれを必要としている対象における嘔吐の予防及び/または治療であ
る。
【0324】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、糖尿病及び/または肥満、糖尿病及び/
または肥満に関連する病態生理学的状態、例えば、対象が悪心及び/または嘔吐等の嘔吐
を経験するかまたは経験しようとしているときに、嘔吐を治療または予防するために使用
することができる。様々な実施形態において、対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、
非ヒト霊長類、類人猿、サル、実験用哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ギニ
アピッグ、フェレット、伴侶哺乳動物等の飼育動物、例えば、イヌ、ネコ、及びウマ、な
らびに家畜哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、及びヤギを、純粋に例として、しか
し網羅的なリストであることを意図するものではなく、本開示のGIP受容体アゴニスト
ペプチドで治療することができる。これらの場合のそれぞれにおいて、本開示の方法は、
それを必要とする対象における糖尿病、肥満、または嘔吐を治療または予防し、糖尿病、
肥満、または嘔吐を軽減または阻害し、糖尿病、肥満、または嘔吐に関連する症状を軽減
または阻害するために、あるいは糖尿病、肥満、または嘔吐に関連する病的状態または症
状、例えば、悪心及び/または嘔吐を軽減または阻害するために提供される。
【0325】
嘔吐を予防または治療するために、医薬組成物中の有効量の本発明の化合物の1つ以上
が、それを必要とする対象/患者(本明細書で交換可能に使用される)に投与される。対
象は、対象による嘔吐の観察を通じて、または対象の嘔吐の自己報告(ヒト対象の場合)
のいずれかを通じて、本発明のGIP受容体アゴニストペプチドによる治療を必要として
いると決定される。患者は、別の病状のため、またはウイルスもしくは細菌による感染、
または化学薬品もしくは放射線等、嘔吐に関連することが知られている薬剤への曝露のた
めに嘔吐を経験するリスクがあると評価することにより、予防的療法が必要であると判断
される。
【0326】
本発明のGIP受容体アゴニストペプチドは、化学療法、放射線、毒素、ウイルスまた
は細菌感染、妊娠、前庭障害(例えば、乗り物酔い、めまい、めまい、及びメニエール病
)、手術、疼痛、オピオイドの使用と離脱、片頭痛、及び頭蓋内圧の変動によって誘発さ
れる嘔吐を含む、急性、遅延または予測性嘔吐の治療に有益である。本発明の使用は、例
えば、がんまたは放射線病の治療中に、放射線によって誘発される嘔吐の治療法において
、ならびに術後の悪心及び嘔吐の治療において特に有益である。最も特に、本発明の使用
は、がん化学療法で日常的に使用されるものを含む抗腫瘍性(細胞毒性)剤によって誘発
される嘔吐、または他の薬剤、例えば、ヨヒンビン、MK-912及びMK-467等の
アルファ-2アドレナリン受容体アンタゴニスト、ならびにRS14203、CT-24
50、及びロリプラム等のIV型環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE4)阻
害剤によって誘発される嘔吐の治療法において有益である。
【0327】
化学療法剤の特定の例としては、例えば、D. J. Stewart in Nau
sea and Vomiting: Recent Research and Cl
inical Advances,ed. J. Kucharczyk et al.
,CRC Press Inc.,Boca Raton,Fla.,USA,1991
、177-203ページ(特にページ188)によって説明されている。一般的に使用さ
れる化学療法剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、シクロホ
スファミド、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(窒素マス
タード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、イリノ
テカン、及びその他のトポイソメラーゼ阻害剤、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシ
ン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビ
ン、エトポシド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリ
スチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、及びクロランブシルが挙げられる(R. J
. Gralle et al. in Cancer Treatment Repo
rts,1984,68,163-172)。毒素であるソマンまたはサリン等の他の化
学物質による嘔吐、またはオピオイド薬物の使用及び/または離脱、例えばモルヒネ、ヘ
ロイン、オキシコドン等も予防及び/または治療することができる。
【0328】
本発明の化合物は、患者の嘔吐に関連する症状及び/または根底にある病因を治療また
は予防するのに十分な量で患者に投与される。好ましい実施形態において、GIP受容体
アゴニストペプチドは、上述の1つ以上の化学療法剤等の嘔吐を引き起こす可能性が高い
薬剤の投与の前に投与される。本発明のGIP受容体アゴニストペプチドはまた、物理的
組み合わせ、または本発明の化合物及び薬剤を連続して(任意の順序で)投与することに
よる併用療法のいずれかで、そのような薬剤と組み合わせて投与することができる。本発
明は、嘔吐に苦しむ任意の哺乳動物において有用であるが、好ましい対象はヒトである。
【0329】
いくつかの実施形態において、本開示の選択的GIPアゴニストは、対象が糖尿病及び
/または肥満のために同時に治療されているときに嘔吐を治療するために投与され得る。
いくつかの既知の抗糖尿病医薬、例えば、メトホルミン(グルコファージ、グルメツァ等
)、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、SGLT
2阻害剤、及びGLP-1受容体アゴニストが嘔吐を引き起こすことが知られている。い
くつかの実施形態において、対象において嘔吐を治療するための方法、例えばそれを必要
とする対象における治療するための方法は、2型糖尿病を有さない対象、または嘔吐を経
験している間、2型糖尿病を治療するための薬を服用していない対象に有効量のGIP受
容体アゴニストペプチドを投与することを含み得る。
【0330】
悪心は、喉や胃の奥にある主観的な不快感で、嘔吐を引き起こす可能性がある。悪心を
説明する言葉はたくさんあるが、これには、胃のむかつき、吐き気(queasy)、胃
の不調等が含まれるが、これらに限定されない。悪心は、唾液の増加(唾液)、めまい、
立ちくらみ、嚥下困難、皮膚の温度変化、心拍数の上昇等、同時に起こる他の症状を引き
起こす可能性がある。嘔吐は「吐き出す」とも言われる。嘔吐すると、胃の筋肉が収縮(
圧迫)し、胃の中身を口から押し出す。悪心を感じるかもしれないし、感じないかもしれ
ない。吐き気(retching)とは、胃から何も運び出さずに嘔吐しようとすること
である。吐き気を説明するために使用される他の単語は、吐き気(gagging)また
はドライヒーブ(dry heave)である。悪心と嘔吐はしばしば同時に起こるが、
それらは相互に排他的または相互に関連している可能性がある2つの異なる状態であり得
る。一部の化学療法薬は、他の薬よりも悪心や嘔吐を引き起こす可能性が高くなる。医師
は、化学療法薬を催吐性(薬物が悪心または嘔吐を引き起こす可能性がどれくらいか)に
応じて、高リスク、中リスク、低リスク、または最小リスクに分類する。
【0331】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、例えば、以下の(1)から(10)に記
載される臨床的病状または原因によって引き起こされる嘔吐及び/または悪心の予防/治
療薬として使用することができる。さらに、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは
、慢性の原因不明の悪心及び嘔吐の予防/治療薬として使用することができる。嘔吐また
は悪心には、不快感や吐き気等、胃の内容物を口から排出したいという差し迫った不快感
も含まれ、また、顔面蒼白、冷たい汗、唾液分泌、頻脈、及び下痢等の自律神経症状を伴
うこともあり得る。嘔吐には、急性嘔吐、長期嘔吐、及び予期性嘔吐も含まれる。
(1)胃不全麻痺、胃腸運動低下、腹膜炎、腹部腫瘍、便秘、胃腸閉塞、慢性腸偽閉塞、
機能性消化不良、周期性嘔吐症候群、慢性原因不明の悪心及び嘔吐、急性膵炎、慢性膵炎
、肝炎、高カリウム血症、脳浮腫、頭蓋内病変、代謝障害、感染症による胃炎、術後疾患
、心筋梗塞、片頭痛、頭蓋内高血圧、及び頭蓋内低血圧(例えば、高山病)等の嘔吐また
は悪心を伴う疾患、
(2)(i)アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、
クロランブシル、ストレプトゾシン、ダカルバジン、イホスファミド、テモゾロミド、ブ
スルファン、ベンダムスチン、及びメルファラン)、細胞毒性抗生物質(例えば、ダクチ
ノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、エピルビシン、ア
クチノマイシンD、アムルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、及びピラルビシン)
、代謝抑制剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、エノシ
タビン、及びクロファラビン)、ビンカアルカロイド(例えば、エトポシド、ビンブラス
チン、及びビンクリスチン)、シスプラチン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アザシ
チジン、イリノテカン、インターフェロンα、インターロイキン-2、オキサリプラチン
、カルボプラチン、ネダプラチン、及びミリプラチン等の他の化学療法剤、(ii)オピ
オイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ)、(iii)ドーパミン受容体D1D2アゴニスト(
例えば、アポモルヒネ)、(iv)大麻過敏症症候群を含む大麻及びカンナビノイド製品
等の化学療法薬によって誘発される嘔吐及び/または悪心、
(3)放射線障害またはがんの治療に使用される胸部、腹部等の放射線療法によって引き
起こされる嘔吐または悪心、
(4)有毒物質または毒素によって引き起こされる嘔吐または悪心、
(5)妊娠悪阻を含む妊娠によって引き起こされる嘔吐及び悪心、
(6)乗り物酔いやめまい等の前庭障害によって引き起こされる嘔吐及び吐き気、
(7)オピオイド離脱、
(8)妊娠悪阻を含む妊娠、
(9)乗り物酔いやめまい等の前庭障害、
(10)局所的、全身的、急性または慢性の疼痛を引き起こす身体的損傷。
【0332】
これらの嘔吐、または悪心、または嘔吐の原因は、網羅的であることを意図するもので
はない。他の状態、活動、副作用は、例えば、悪心及び/または嘔吐等の嘔吐を引き起こ
す可能性がある。悪心は、視覚的アナログ尺度(VAS)の使用等、当該技術分野で知ら
れている方法で測定することができる。
【0333】
本発明の化合物はまた、上述の様々な疾患(例えば、心筋梗塞等の心血管イベント)の
進行の二次予防または抑制に使用することができる。また、本発明の化合物は、摂食抑制
剤及び減量剤としても有用である。本発明の化合物はまた、食事療法(例えば、糖尿病の
食事療法)、及び運動療法と組み合わせて使用することができる。
【0334】
D.製剤
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドを含む医薬は、毒性が低く、本開示の化合物
を単独で、または医薬品の調製方法として一般的に使用される、それ自体が知られている
方法(例えば、日本薬局方で記載されている方法)に従って薬理学的に許容される担体と
混合して使用して得られ、医薬製剤、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、
舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、粉末、顆粒、カプセル(ソフトカプセル、マイクロカプ
セルを含む)、液体、トローチ、シロップ、エマルション、懸濁液、注射(例えば、皮下
注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射等)、外部製剤(例えば、経鼻製剤、皮膚製
剤、軟膏)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻製剤、肺製剤(吸入剤
)、輸血等として安全に経口または非経口(例えば、局所、直腸、静脈内投与)で投与さ
れる。
【0335】
これらの調製物は、急速放出製剤、持続放出製剤等の制御放出製剤(例えば、持続放出
マイクロカプセル)であり得る。医薬製剤中の本開示の化合物の含有量は、製剤全体の約
0.01~約100重量%である。
【0336】
上述の薬学的に許容される担体は、調製材料として従来から使用されている様々な有機
または無機担体材料、例えば、固体調製物用の賦形剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤、ま
たは、液体製剤用の溶媒、可溶化剤、懸濁剤、等張剤、緩衝剤、無痛化剤等によって例示
され得る。また、必要に応じて、保存剤、酸化防止剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤
等の一般的な添加剤も適切な量で適切に使用することができる。
【0337】
賦形剤の例としては、ラクトース、スクロース、D-マンニトール、デンプン、コーン
スターチ、結晶性セルロース、軽無水ケイ酸等が挙げられる。
【0338】
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイド
状タルク等が挙げられる。
【0339】
結合剤の例としては、結晶性セルロース、スクロース、D-マンニトール、デキストリ
ン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン、デンプン、スクロース、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム等が挙げられる。
【0340】
崩壊剤の例としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセル
ロース等が挙げられる。
【0341】
溶媒の例としては、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴ
マ油、コーン油、オリーブ油等が挙げられる。
【0342】
可溶化剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニ
トール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエ
タノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0343】
懸濁剤の例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラ
ウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モ
ノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性ポリマ
ー等が挙げられる。
【0344】
等張剤の例としては、グルコース、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、
D-マンニトール等が挙げられる。
【0345】
緩衝剤の例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液が挙げられる
。
【0346】
無痛化剤の例としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0347】
保存剤の例としては、パラヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ベンジル
アルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0348】
抗酸化剤の例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられ
る。
【0349】
着色剤の例としては、水溶性食品コールタール染料(例えば、食用赤色2号及び3号、
食品黄色4号及び5号、食品青色1号及び2号等の食品色素)、水不溶性の染料レーキ(
例えば、前述の水溶性食品コールタール染料のアルミニウム塩)、天然染料(例えば、β
-カロテン、クロロフィル、酸化第二鉄赤)等が挙げられる。
【0350】
甘味剤の例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパル
テーム、ステビア等が挙げられる。
【0351】
吸着剤の例としては、多孔質澱粉、ケイ酸カルシウム(商品名:Florite RE
)、アルミノメタケイ酸マグネシウム(商品名:Neusilin)、及び軽無水ケイ酸
(商品名:Sylysia)が挙げられる。
【0352】
湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエ
ート、ジエチレングリコールモノラウレート、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル
が挙げられる。
【0353】
経口製剤の製造中、味のマスキング、腸の特性、または耐久性の目的で、必要に応じて
コーティングを施すことができる。
【0354】
コーティングに使用されるコーティングベースの例としては、糖衣ベース、水性フィル
ムコーティングベース、腸溶性フィルムコーティングベース、及び持続放出フィルムコー
ティングベースが挙げられる。
【0355】
糖衣ベースにはスクロースが使用される。さらに、タルク、沈殿炭酸カルシウム、ゼラ
チン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ等から選択される1種以上を組み合わせ
て使用することができる。
【0356】
水性フィルムコーティングベースの例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチ
ルセルロース等のセルロースポリマー;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート
、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE[Eudragit E(商品名)]、ポ
リビニルピロリドン等の合成ポリマー;プルラン等の多糖類が挙げられる。
【0357】
腸溶性フィルムコーティングベースの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキ
シメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等のセルロースポリマー;
メタクリル酸共重合体L[Eudragit L(商品名)]、メタクリル酸共重合体L
D[Eudragit L-30D55(商品名)]、メタクリル酸共重合体S[Eud
ragit S(商品名)]等のアクリル系ポリマー;シェラック等の天然物質が挙げら
れる。
【0358】
持続放出フィルムコーティングベースの例としては、エチルセルロース等のセルロース
ポリマー;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS [Eudragit RS(
商品名)]、エチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー懸濁液[Eudra
git NE(商品名)]等のアクリルポリマーが挙げられる。
【0359】
上述のコーティングベースは、2種類以上のコーティングベースを適切な比率で混合し
て使用することができる。例えば、コーティングには、酸化チタン、酸化第二鉄等の遮光
剤を使用することができる。
【0360】
E.投与
対象に投与されるGIP受容体アゴニストペプチドを含む組成物または医薬の治療有効
量または用量は、患者の年齢、性別、及び体重、ならびに患者の現在の病状に依存するで
あろう。当業者は、これらの要因及び他の要因に応じて適切な投与量を決定して、所望の
生物学的応答を達成することができるであろう。
【0361】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドの投与量は、投与の対象、症状、投与方法等
に応じて適切に決定される。例えば、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドが、嘔吐
を引き起こす可能性の高い行為に従事する前に、またはヒト対象(体重約60kg)にお
いて嘔吐の発症後に、対象に経口投与される場合、本開示の化合物の1日量は、約0.0
1から100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から20
mgである。本開示の化合物が、肥満または糖尿病患者または胃不全麻痺(体重60kg
)に非経口的に投与される場合、本開示の化合物の1日量は、約0.001から30mg
、好ましくは約0.01から20mg、より好ましくは約0.1から10mgである。こ
れらの量は、1日に約1~数回に分けて投与することができる。いくつかの実施形態にお
いて、嘔吐を予防及び/または治療することを、それを必要とする対象において行うため
のGIP受容体アゴニストペプチドの治療有効量は、約0.01~0.5mg/kg/日
、0.1~5mg/kg/日、5~10mg/kg/日、10~20mg/kg/日、2
0~50mg/kg/日、10~100mg/kg/日、10~120mg/kg/日、
50~100mg/kg/日、100~200mg/kg/日、200~300mg/k
g/日、300~400mg/kg/日、400~500mg/kg/日、500~60
0mg/kg/日、600~700mg/kg/日、700~800mg/kg/日、8
00~900mg/kg/日、または900~1000mg/kg/日の範囲であり得る
。
【0362】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、例えば、2日ごと、3日ごと、4日ごと
、5日ごと、6日ごと、毎週、週に2回、隔週、3週間ごと、毎月、2か月ごと、3か月
ごと、4か月ごと、5か月ごと、または6か月ごとに投与することができる。いくつかの
実施形態において、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、対象に、1日に1~3
回または週に1~7回、1~5日間、1~5週間、1~5か月間、または1~5年間、投
与することができる。
【0363】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、例えば、本開示のGIP受容体アゴニス
トペプチドの作用(鎮痛作用)を促進する、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドの
用量を低減する等の目的で、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドに悪影響を及ぼさ
ない別の薬物と組み合わせて使用することができる。
【0364】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと組み合わせて使用することができる薬物(
以下、併用薬物と略されることがある)の例としては、抗肥満剤、糖尿病の治療薬、糖尿
病合併症の治療薬、高脂血症の治療薬、抗高血圧薬、利尿薬、化学療法薬、免疫療法薬、
抗炎症薬、抗血栓薬、骨粗鬆症の治療薬、ビタミン、抗痴呆薬、勃起不全薬、尿の頻度ま
たは尿失禁の治療薬、排尿障害の治療薬、中枢内D2受容体アンタゴニスト、運動促進剤
、抗ヒスタミン、ムスカリン受容体アンタゴニスト、セロトニン5HT3受容体アンタゴ
ニスト、ソマトスタチン類似体、コルチコステロイド、ベンゾジアゼピン不安緩解薬、N
K-1受容体アンタゴニスト、高カルシウム血症治療薬等が挙げられる。併用薬の具体例
としては、以下のものが挙げられる。
【0365】
抗肥満剤の例としては、モノアミン取り込み阻害剤(例えば、フェンテルミン、シブト
ラミン、マジンドール、フルオキセチン、テソフェンシン)、セロトニン2C受容体アゴ
ニスト(例えば、ロルカセリン)、セロトニン6受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3
受容体モジュレーター、GABAモジュレーター(例えば、トピラメート)、ニューロペ
プチドYアンタゴニスト(例えば、ベルネペリット)、カンナビノイド受容体アンタゴニ
スト(例えば、リモナバント、タラナバント)、グレリンアンタゴニスト、グレリン受容
体アンタゴニスト、グレリナシル化酵素阻害剤、オピオイド受容体アンタゴニスト(例え
ば、GSK-1521498)、オレキシン受容体アンタゴニスト、メラノコルチン4受
容体アゴニスト、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、AZ
D-4017)、膵臓リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット、セチリスタット)、β
3アゴニスト(例えば、N-5984)、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラー
ゼ1(DGAT1)阻害剤、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、ステア
ロイル-CoA不飽和酵素阻害剤、ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質阻害剤(
例えば、R-256918)、Na-グルコース共輸送体阻害剤(例えば、JNJ-28
431754、レモグリフロジン)、NFκ阻害剤(例えば、HE-3286)、PPA
Rアゴニスト(例えば、GFT-505、DRF-11605)、ホスホチロシンホスフ
ァターゼ阻害剤(例えば、バナジン酸ナトリウム、トロダスケミン)、GPR119アゴ
ニスト(例えば、PSN-821、MBX-2982、APD597)、グルコキナーゼ
活性剤(例えば、AZD-1656)、レプチン、レプチン誘導体(例えば、メトレレプ
チン)、CNTF(繊毛神経栄養因子)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、コレシスト
キニンアゴニスト、アミリン製剤(例えば、プラムリンチド、AC-2307)、ニュー
ロペプチドYアゴニスト(例えば、PYY3-36、PYY3-36の誘導体、オビネプ
チド、TM-30339、TM-30335)、オキシントモジュリン製剤:FGF21
製剤(例えば、ウシまたはブタの膵臓から抽出された動物FGF21製剤;Escher
ichia coliまたは酵母を使用して遺伝子合成されたヒトFGF21製剤;FG
F21のフラグメントまたは誘導体)、食欲抑制剤(例えば、P-57)、GLP-1受
容体アゴニスト、GLP-1受容体/GIP受容体共アゴニスト、グルカゴン受容体/G
LP-1受容体/GIP受容体トライアゴニスト等が挙げられる。
【0366】
ここで、糖尿病の治療薬としては、例えば、インスリン製剤(例えば、ウシまたはブタ
の膵臓から抽出された動物インスリン製剤、Escherichia coliまたは酵
母を使用して遺伝子合成されたヒトインスリン製剤;亜鉛インスリン;プロタミン亜鉛イ
ンスリン;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例えば、INS-1)、経口インス
リン製剤)、インスリン感作物質(例えば、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩
酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、メタグリダセン、A
MG-131、バラグリタゾン、MBX-2044、リボグリタゾン、アレグリタザル、
チグリタザール、ロベグリタゾン、PLX-204、PN-2034、GFT-505、
THR-0921、WO007/013694、WO2007/018314、WO20
08/093639またはWO2008/099794に記載されている化合物)、α-
グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリ
テート)、ビグアニド(例えば、メトホルミン、ブホルミン、またはその塩(例えば、塩
酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進物質(例えば、スルホニル尿素
(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザ
ミド、アセトヘキサミド、グリコピラミド、グリメピリド、グリピジド、グリブゾール)
、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)、ジペプ
チジルペプチダーゼIV阻害剤(例えば、アログリプチンまたはその塩(好ましくは安息
香酸)、ビルダグリプチン、シタグリプチン、サクサグリプチン、BI1356、GRC
8200、MP-513、PF-00734200、PHX1149、SK-0403、
ALS2-0426、TA-6666、TS-021、KRP-104、トレラグリプチ
ンまたはその塩(好ましくはコハク酸))、β3アゴニスト(例えば、N-5984)、
GPR40アゴニスト(例えば、ファシグリファムまたはその水和物、WO2004/0
41266、WO2004/106276、WO2005/063729、WO2005
/063725、WO2005/087710、WO2005/095338、WO20
07/013689、またはWO2008/001931に記載されている化合物)、S
GLT2(ナトリウム-グルコース共輸送体2)阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、A
VE2268、TS-033、YM543、TA-7284、レモグリフロジン、ASP
1941)、SGLT1阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤
(例えば、BVT-3498、INCB-13739)、アディポネクチンまたはそのア
ゴニスト、IKK阻害剤(例えば、AS-2868)、レプチン耐性改善薬、ソマトスタ
チン受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化因子(例えば、ピラグリアチン、AZD1
656、AZD6370、TTP-355、WO006/112549、WO007/0
28135、WO008/047821、WO008/050821、WO008/13
6428、またはWO008/156757に記載されている化合物)、GPR119ア
ゴニスト(例えば、PSN821、MBX-2982、APD597)、FGF21、F
GF類似体、ACC2阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、GLP-1受容体/GIP
受容体コアゴニスト、グルカゴン受容体/GLP-1受容体/GIP受容体トライアゴニ
スト等が挙げられ得る。
【0367】
糖尿病性合併症の治療薬としては、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、トレスタ
ット、エパルスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット、CT-112、ラニレス
タット(AS-3201)、リドレスタット)、神経栄養因子及びその増加剤(例えば、
NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372に記載されている神経栄養産生/分
泌促進剤(例えば、4-(4-クロロフェニル)-2-(2-メチル-1-イミダゾリル
)-5-[3-(2-メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール)、WO2004/0
39365に記載されている化合物)、PKC阻害剤(例えば、メシル酸ルボキシスタウ
リン)、AGE阻害剤(例えば、ALT946、臭化N-フェナシルチアゾリウム(AL
T766)、EXO-226、ピリドリン、ピリドキサミン)、GABA受容体アゴニス
ト(例えば、ガバペンチン、プレガバリン)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込
み阻害剤(例えば、デュロキセチン)、ナトリウムチャネル阻害剤(例えば、ラコサミド
)、活性酸素スカベンジャー(例えば、チオクト酸)、脳血管拡張薬(例えば、チアプリ
ド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体アゴニスト(例えば、BIM23190)、
アポトーシスシグナル調節キナーゼ-1(ASK-1)阻害剤、GLP-1受容体アゴニ
スト、GLP-1受容体/GIP受容体共アゴニスト、グルカゴン受容体/GLP-1受
容体/GIP受容体トライアゴニスト等が挙げられ得る。
【0368】
高脂血症の治療薬としては、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタ
チン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタ
チン、ピタバスタチンまたはその塩(例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクア
レンシンターゼ阻害剤(例えば、WO97/10224に記載されている化合物、例えば
、N-[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-
クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒ
ドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸)、フ
ィブレート化合物(例えば、ベザフィブレート、クロフィブレート、シンフィブレート、
クリノフィブレート)、陰イオン交換樹脂(例えば、コレスチラミン)、プロブコール、
ニコチン酸薬(例えば、ニコモール、ニセリトロール、ニアスパン)、イソペン酸エチル
、フィトステロール(例えば、ソイステロール、ガンマオリザノール(γ-オリザノール
))、コレステロール吸収阻害剤(例えば、ゼキア)、CETP阻害剤(例えば、ダルセ
トラピブ、アナセトラピブ)、ω-3脂肪酸製剤(例えば、ω-3-脂肪酸エチルエステ
ル90(ω-3-酸エチルエステル90))等が挙げられ得る。
【0369】
降圧剤の例としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナ
ラプリル、デラプリル等)、アアンジオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、カンデサ
ルタンシレキセチル、カンデサルタン、ロサルタン、ロサルタンカリウム、エプロサルタ
ン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタン、
オルメサルタンメドキソミル、アジルサルタン、アジルサルタンメドキソミル等)、カル
シウムアンタゴニスト(例えば、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エフォニジ
ピン、ニカルジピン、シルニジピン等)、βブロッカー(例えば、メトプロロール、アテ
ノロール、プロプラノロール、カルベジル、ピンドロール等)、クロニジン等が挙げられ
る。
【0370】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例えば、サリチル酸テオブロミンナトリ
ウム、サリチル酸テオブロミンカルシウム等)、チアジド製剤(例えば、エチアジド、シ
クロペンチアジド、トリクロロメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジ
ド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチアジド、ポリ5チアジド、メチルクロチ
アジド等)、抗アルドステロン製剤(例えば、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、
炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミド等)、クロロベンゼンスルホンアミド剤(
例えば、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、
エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられ得る。
【0371】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミ
ド)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル)、抗がん抗生物
質(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来の抗がん剤(例えば、ビン
クリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド等
が挙げられる。とりわけ、5-フルオロウラシル誘導体フルツロンまたはNネオフルツロ
ン等が好ましい。また、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドを含む組成物は、以下
の抗がん剤の投与の前、その後、またはその最中に投与することができる:シスプラチン
、カルボプラチンオキサリプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、
ダクチノマイシン、メクロレタミン(窒素マスタード)、ストレプトゾシン、シクロホス
ファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アド
リアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エト
ポシド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、
ブレオマイシン、パクリタキセル、及びクロランブシル。
【0372】
免疫療法の例としては、微生物または細菌成分(例えば、ムラミルジペプチド誘導体、
ピシバニール)、免疫増強活性を有する多糖類(例えば、レンチナン、シゾフィラン、ク
レスティン)、遺伝子工学的アプローチによって得られるサイトカイン(例えば、インタ
ーフェロン、インターロイキン(IL))、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー
刺激因子、エリスロポエチン)等が挙げられる。とりわけ、IL-1、IL-2、IL-
12等のインターロイキンが好ましい。
【0373】
抗炎症薬の例としては、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン等の非ステ
ロイド性抗炎症薬が含まれる。
【0374】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシ
ウム、エノキサパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム)、ワルファリン(例えば、
ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例えば、アラガトロバン、ダビガトラン)、
FXa阻害剤(例えば、リバロキサバン、アピクサバン、エドキサバン、YM150、W
O02/06234、WO2004/048363、WO2005/030740、WO
2005/058823、またはWO2005/113504に記載の化合物)、血栓溶
解剤(例えば、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプ
ラーゼ、パミテプラーゼ)、血小板凝集阻害剤(例えば、塩酸チクロピジン、クロピドグ
レル、プラスグレル、E5555、SHC530348、シロスタゾール、イソペン酸エ
チル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレレート)等が挙げられ得る。
【0375】
骨粗鬆症の治療薬の例としては、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカト
ニン、カルシトニンサーモン、エストリオール、イプリフラボン、パミドロネート二ナト
リウム、アレンドロネートナトリウム水和物、インカドロネート二ナトリウム、リセドロ
ネート二ナトリウム等が挙げられる。
【0376】
ビタミンの例としては、ビタミンB1、ビタミンB12等が挙げられる。
【0377】
抗痴呆薬の例としては、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン等が挙
げられる。
【0378】
勃起不全薬の例としては、アポモルヒネ、クエン酸シルデナフィル等が挙げられる。
【0379】
頻尿または尿失禁の治療薬としては、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸
プロピベリン等が挙げられる。
【0380】
排尿障害の治療薬の例としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ジスチ
グミン)等が挙げられる。
【0381】
中枢性D2受容体アンタゴニストの例としては、典型的な向精神薬(プロクロルペラジ
ン、ハロペリドール、クロルプロマジン等)、セロトニンドーパミンアンタゴニスト(ペ
ロスピロン、リスペリドン等)、及び多作用受容体標的化抗精神病薬(オランザピン等)
が挙げられる。
【0382】
運動促進剤の例としては、末梢D2受容体アンタゴニスト(メトクロプラミド、ドンペ
リドン等)及び5HT4受容体アゴニスト(モサプリド等)が挙げられる。
【0383】
抗ヒスタミン薬の例としては、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、及びクロルフェ
ニラミンが挙げられる。
【0384】
ムスカリン受容体アンタゴニストの例としては、中枢ムスカリン受容体アンタゴニスト
(スコポラミン等)及び末梢ムスカリン受容体アンタゴニスト(ブチルスコポラミン等)
が挙げられる。
【0385】
セロトニン5HT3受容体アンタゴニストの例としては、グラニセトロン、オンダンセ
トロン、アザセトロン、インジセトロン、パロノセトロン、及びラモセトロンが挙げられ
る。
【0386】
ソマトスタチン類似体の例としては、オクトレオチドが挙げられる。
【0387】
コルチコステロイドの例としては、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びメチルプレド
ニゾロンが挙げられる。
【0388】
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の例としてはロラゼパムとアルプラゾラムが挙げられ、N
K-1受容体アンタゴニストの例としてはアプレピタントとホスアプレピタントが挙げら
れ、高カルシウム血症治療薬の例としてはビスホスホネートが挙げられる。
【0389】
さらに、動物モデルまたは臨床的のいずれかで悪液質改善作用を有することが確認され
た薬物、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、インドメタシン)、プロゲス
テロン誘導体(例えば、酢酸メゲストロール)、グルココルチコイド(例えば、デキサメ
タゾン)、メトクロプラミド薬物、テトラヒドロカンナビノール薬、脂肪代謝を改善する
ための薬剤(例えば、エイコサペンタエン酸)、成長ホルモン、IGF-1、または悪液
質誘導因子TNF-α、LIF、IL-6またはオンコスタチンM等に対する抗体もまた
、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0390】
あるいは、糖化阻害剤(例えば、ALT-711)、神経再生促進薬(例えば、Y-1
28、VX853、プロサプチド)、抗うつ薬(例えば、デシプラミン、アミトリプチリ
ン、イミプラミン)、抗てんかん薬(例えば、ラモトリジン、トリレプタル、ケプラ、ゾ
ーングラン、プレガバリン、ハルコセリド、カルバマゼピン)、抗不整脈薬(例えば、メ
キシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例えば、ABT-594)、エンドセリ
ン受容体アンタゴニスト(例えば、ABT-627)、モノアミン取り込み阻害剤(例え
ば、トラマドール)、麻薬性鎮痛薬(例えば、モルヒネ)、GABA受容体アゴニスト(
例えば、ガバペンチン、ガバペンチンのMR製剤)、α2受容体アゴニスト(例えば、ク
ロニジン)、局所鎮痛薬(例えば、カプサイシン)、抗不安薬(例えば、ベンゾチアゼピ
ン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィル)、ドーパミン受容体アゴ
ニスト(例えば、アポモルヒネ)、ミダゾラム、ケトコナゾール等を、本開示の化合物と
組み合わせて使用することができる。
【0391】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドの投与時間及び併用薬の投与時間は限定され
ず、それらは、同時にまたは時間をずらして投与対象に投与することができる。
【0392】
このような投与方法の例には、次のものがある。
(1)本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬を同時処理することにより得ら
れる単一製剤の投与、(2)別々に製造された、本開示のGIP受容体アゴニストペプチ
ドと併用薬の2種類の製剤の、同じ投与経路による同時投与、(3)別々に製造された、
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬の2種類の製剤の同じ投与経路による
時間をずらした投与、(4)別々に製造された、本開示のGIP受容体アゴニストペプチ
ドと併用薬の2種類の製剤の異なる投与経路による同時投与、(5)別々に製造された、
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬の2種類の製剤の異なる投与経路によ
る時間をずらした投与(例えば、本開示のGIP受容体アゴニストペプチド及び併用薬の
順序での投与、またはその逆の順序での投与)等。
【0393】
併用薬の用量は、臨床状況で使用される投与量に基づいて適切に決定することができる
。本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬との混合比は、投与対象、症状、投
与方法、標的疾患、組み合わせ等に応じて適切に決定することができる。例えば、投与の
対象がヒトである場合、併用薬は、本開示のGIP受容体アゴニストペプチド1重量部に
対して、0.01~100重量部で使用できる。
【0394】
本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬とを組み合わせることにより、(1
)本開示のGIP受容体アゴニストペプチドまたは併用薬の用量を、本開示のGIP受容
体アゴニストペプチドまたは併用薬の単回投与と比較して減らすことができ、
(2)本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと組み合わせて使用される薬剤は、患者
の状態(軽度、重度等)に応じて選択することができ、
(3)本開示のGIP受容体アゴニストペプチドとは異なる作用及び機構を有する併用薬
を選択することにより、治療期間をより長く設定することができ、
(4)持続的治療効果を、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドとは異なる作用及び
機構を有する併用薬を選択することによって設計することができ、
(5)本開示のGIP受容体アゴニストペプチドと併用薬等を併用することにより、相乗
効果を得ることを達成できる。
【実施例0395】
F.実施例
本明細書で使用されている略語は、以下を意味する(表1)。本明細書に記載のα-M
ePhe等のハイフンは省略してもよいし、省略した場合も同様の意味である。
【0396】
本明細書で使用されるアミノ酸配列において、左末端はN末端を表し、右末端はC末端
を表す。
【0397】
【表1】
【化4】
Cysに使用されるPEGリンカー。PEG=5~30kDa PEG
【化5】
【0398】
塩基、アミノ酸等がコードで示されている本明細書では、それらは、IUPAC-IU
B生化学命名委員会に従った従来のコードまたは当該技術分野の一般的なコードに基づい
ており、その例を以下に示す。光学異性体を有する可能性のあるアミノ酸については、特
に明記しない限り、L型が示されている(例えば、「Ala」はAlaのL型である)。
また、「D-」はD型を意味し(例えば、「D-Ala」はAlaのD型である)、「D
L-」は、D型とL型のラセミ体を意味する(例えば、「DL-Ala」はAlaのDL
ラセミ体である)。
【0399】
以下、本開示を参照例、実施例、試験例、及び製剤例を参照して詳細に説明するが、こ
れらは単なる実施形態であり、限定であると解釈されるべきではない。さらに、本開示は
、本発明の範囲から逸脱することなく修正することができる。
【0400】
以下の実施例中、「室温」は概して、約10℃~約35℃の範囲を意味する。「%」に
ついては、収率はモル/モル%であり、クロマトグラフィーに使用される溶媒は体積%で
あり、他の「%」は重量%である。
NMP:メチルピロリドン
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
WSC:1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
DCC:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIPCDI:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物
オキシマ:2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル
【0401】
実施例1.合成スキーム
GIP受容体アゴニストペプチドを合成するための例示的な方法は、例えば、2018
年3月30日に出願された出願人の国際PCT出願番号PCT/JP2018/0135
40の162~213ページの範囲に開示されており、その開示は、参照によりその全体
が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0402】
本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドの合成
実施例2.本開示の例示的な選択的GIP受容体アゴニストペプチドの例示的な合成の
合成。化合物No.7、配列番号18
ステップ1
Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)
-Val-Val-Ser(tBu)-Leu-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-
Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(boc)-Gln(Trt)-
Ala-Gln(Trt)-Aib-Glu(OtBu)-Phe-Val-Lys(B
oc)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Lys(Boc)-Gly-Gly-Pr
o-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-
Ser(tBu)-Lys-Sieberアミド樹脂(化合物7-中間体)の合成
Sieberアミド樹脂(0.71meq/g、140.8mg、0.1mmol)を
反応管に加え、自動マイクロ波ペプチドシンセサイザー(CEM Liberty bl
ue)に装填し、Fmoc基を脱保護するための20%ピペリジン/DMP(90℃で1
分間反応)及びFmoc-アミノ酸を縮合するための5当量のFmoc-アミノ酸/DI
PCDI/オキシマ[90℃で2分間反応]を使用したプロトコールに従ってアミノ酸を
順次伸長した。12位のIle、9位のLeu、6位のVal、及び5位のThr(tB
u)での縮合は、二重カップリング法によって実施された。縮合終了後、樹脂をMeOH
で洗浄し、減圧乾燥して、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-G
ly-Thr(tBu)-Val-Val-Ser(tBu)-Leu-Tyr(tBu
)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(boc
)-Gln(Trt)-Ala-Gln(Trt)-Aib-Glu(OtBu)-Ph
e-Val-Lys(Boc)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Lys(Boc)
-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-P
ro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(Alloc)-Sieberアミド
樹脂を得た。乾燥した樹脂に、4.0mLのトルエン:AcOH:4-メチルモルホリン
(37:2:1)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(288
.9mg、0.25mmol)を加えた。混合物を室温にてAr下で16時間(一晩)振
とうした。反応溶液を濾別した。次いで、樹脂をトルエン、0.5重量%のN、N-ジエ
チルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物/NMP、DIEA/NMP、NMP、及び
MeOHで洗浄し、減圧乾燥した。その結果、470.1mg(0.213meq/g)
の目的の保護ペプチド樹脂が得られた。
【0403】
ステップ2
Tyr-Aib-Glu-Gly-Thr-Val-Val-Ser-Leu-Tyr
-Ser-Ile-Aib-Leu-Asp-Lys-Gln-Ala-Gln-Aib
-Glu-Phe-Val-Lys-Trp-Leu-Leu-Lys-Gly-Gly
-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys
(Heda-Gly-Gly-Gly-Gly-)(配列番号18)(化合物7)の合成
ステップ1で合成したBoc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gl
y-Thr(tBu)-Val-Val-Ser(tBu)-Leu-Tyr(tBu)
-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys(boc)
-Gln(Trt)-Ala-Gln(Trt)-Aib-Glu(OtBu)-Phe
-Val-Lys(Boc)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Lys(Boc)-
Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pr
o-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys-Sieberアミド樹脂(配列番号X
XX)(40.6mg、0.01mmol)を反応管に量り入れ、NMPで膨潤させた。
濾過によりNMPを除去した後、Fmoc-Gly-OH(14.9mg)、NMP中の
0.5Mのオキシマ(100μL)及びジイソプロピルカルボジイミド(8.0μL)を
連続的に樹脂に加え、次いで混合物を一晩振とうした。反応液を濾別した後、樹脂をNM
Pで10回洗浄した。次いで、Fmoc-Gly-OH(14.9mg)、NMP中の0
.5Mのオキシマ(100μL)及びジイソプロピルカルボジイミド(8.0μL)を再
度添加し、混合物を4.5時間振とうした。
【0404】
ニンヒドリン試験で陰性を確認した後、20%ピペリジンのNMP溶液をそこに加え、
混合物を1分間振とうした。溶液を濾別し、次いで20%ピペリジンのNMP溶液を再び
それに加え、混合物を20分間振とうした。溶液を濾別した後、樹脂をNMPで10回洗
浄した。このFmocアミノ酸縮合(ダブルカップリング)-Fmoc脱保護サイクルを
繰り返して、Gly、Gly、Gly*、及びHeda(OtBu)**を連続的に縮合
させた(*:一晩のシングルカップリング、**:10当量のHeda(OtBu)/D
IPCDI/オキシマ)。樹脂をMeOHで洗浄し、減圧乾燥して、それにより、41.
4mgの目的の保護ペプチド樹脂、Boc-Tyr(tBu)-Aib-Glu(OtB
u)-Gly-Thr(tBu)-Val-Val-Ser(tBu)-Leu-Tyr
(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Aib-Leu-Asp(OtBu)-Lys
(Boc)-Gln(Trt)-Ala-Gln(Trt)-Aib-Glu(OtBu
)-Phe-Val-Lys(Boc)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Lys(
Boc)-Gly-Gly-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-A
la-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(Heda(OtBu)-G
ly-Gly-Gly-Gly-)-Sieberアミド樹脂を得た。得られた樹脂の合
計量に対して、0.5mLのTFA:m-クレゾール:チオアニソール:エタンジチオー
ル:H2O:トリイソプロピルシラン(80:5:5:5:2.5:2.5)を添加し、
得られた混合物を1.5時間攪拌した。反応溶液にジエチルエーテルを加えて沈殿物を得
、遠心分離後、上清を除去した。ジエチルエーテルを沈殿物に加え、遠心分離後、上清を
除去した。この操作を2回繰り返した。残渣を50%酢酸水溶液で抽出し、濾過により樹
脂を除去した後、Phenomenex Kinetex XB-C18 100A(2
50×21.1mm I.D.)を用いた分取HPLCにより、溶液A:0.1%TFA
-水及び溶液B:0.1%TFA含有アセトニトリルのA/B:63/37~53/47
の8mL/分の流速での直線濃度勾配溶出(60分)で精製を行い、目的の生成物を含有
する画分を収集し、凍結乾燥して、1.0mgの白色の粉末を得た。
【0405】
質量分析の結果:(M+H)+ 4727.46(計算値4727.57)
HPLC溶出時間:15.23分
溶出条件:
カラム:Kinetex XB-C18 100A(4.6×100mm I.D.)
溶出液:溶液A:0.1%TFA-水、溶液B:0.1%TFA含有アセトニトリルを
使用、A/B:80/20~30/70。線形濃度勾配溶出(25分)。
流速:1.0mL/分
温度:室温
【0406】
実施例2本開示の例示的なGIP受容体アゴニストペプチドの例示的な合成の合成。化
合物60の合成;配列番号71
ステップ1
Boc-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tB
u)-Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-S
er(tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu)-Arg(Pbf)-A
ib-His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn(Trt)-Phe-Va
l-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-Ala-Gln(Trt)
-Arg(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-
Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys-Sieberアミド樹脂の合成(
化合物7-中間体)
Sieberアミド樹脂(0.71meq/g、70.4mg、0.05mmol)を
反応管に加え、ペプチドシンセサイザーに装填し、Fmoc基を脱保護するための20%
ピペリジン/NMP(50℃で5分間反応)及びFmoc-アミノ酸を縮合するための5
当量のFmoc-アミノ酸/DIPCDI/オキシマ[50℃で15分間反応]を使用し
たプロトコールに従ってアミノ酸を順次伸長した。この場合、1位のBoc-MeTyr
(tBu)、5位のThr(tBu)、12位のIle、16位のArg(Pbf)、1
9位のGln(Trt)、25位のTrp(Boc)、27位のLeu、及び40位のL
ys(ivDde)の縮合反応を50℃で30分間実施した。
【0407】
得られたBoc-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Th
r(tBu)-Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tB
u)-Ser(tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu)-Arg(Pb
f)-Aib-His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn(Trt)-Ph
e-Val-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-Ala-Gln(
Trt)-Arg(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-
Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(ivDde)-Sieb
erアミド樹脂を2%ヒドラジン/NMP溶液に懸濁し、得られた懸濁液を50℃で10
分間撹拌し、次いで溶液を濾過により除去した。
【0408】
この手順を4回繰り返して、40位のLysのivDde基を脱保護した。
【0409】
得られた樹脂をMeOHで洗浄し、減圧乾燥し、それによって、373.4mgのBo
c-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tBu)-
Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-Ser(
tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu)-Arg(Pbf)-Aib-
His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn(Trt)-Phe-Val-A
sn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-Ala-Gln(Trt)-Ar
g(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-Pro
-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys-Sieberアミド樹脂を得た。
【0410】
ステップ2
Boc-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)-Gly-Thr(tB
u)-Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu)-Tyr(tBu)-S
er(tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu)-Arg(Pbf)-A
ib-His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn(Trt)-Phe-Va
l-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-Ala-Gln(Trt)
-Arg(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(tBu)-Gly-Ala-
Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(Oda-GlyGlyGlyGl
yGly)の合成(配列番号71)(化合物60)。
ステップ1で合成された、Boc-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu
)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu
)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu
)-Arg(Pbf)-Aib-His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn
(Trt)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-
Ala-Gln(Trt)-Arg(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(t
Bu)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys-Sie
berアミド樹脂(74mg、0.01mmol)を反応管に量り入れ、ペプチドシンセ
サイザーに装填し、Fmoc基を脱保護するための20%ピペリジン/NMP[50°C
で5分間反応]、及びFmoc-アミノ酸を縮合するための5当量のFmoc-アミノ酸
/DIPCDI/オキシマ[50℃で15分間反応]を使用したプロトコールに従ってア
ミノ酸を順次伸長した。Fmoc-GlyGlyGly-OH、Fmoc-GlyGly
-OH、Fmoc-Gly-OtBuの導入のために、カップリング反応を2回繰り返し
た。Odaについて、反応は30分間実施した。
【0411】
得られた樹脂をMeOHで洗浄し、減圧乾燥し、それによって、79.4mgの目的の
保護ペプチド樹脂である、Boc-MeTyr(tBu)-Aib-Glu(OtBu)
-Gly-Thr(tBu)-Phe-Ile-Ser(tBu)-Asp(OtBu)
-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Ile-Ala-Leu-Asp(OtBu)
-Arg(Pbf)-Aib-His(Trt)-Gln(Trt)-Aib-Asn(
Trt)-Phe-Val-Asn(Trt)-Trp(Boc)-Iva-Leu-A
la-Gln(Trt)-Arg(Pbf)-Pro-Ser(tBu)-Ser(tB
u)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(tBu)-Lys(Oda-
GlyGlyGlyGlyGly)-Sieberアミド樹脂を得た。
【0412】
得られた樹脂の合計量に対して、0.8mLのTFA:m-クレゾール:チオアニソー
ル:エタンジチオール:H2O:トリイソプロピルシラン(80:5:5:5:2.5:
2.5)を添加し、得られた混合物を1.5時間攪拌した。反応溶液にジエチルエーテル
を加えて沈殿物を得、遠心分離後、上清を除去した。ジエチルエーテルを沈殿物に加え、
遠心分離後、上清を除去した。この操作を2回繰り返した。残渣を90%酢酸水溶液で抽
出し、濾過により樹脂を除去した後、YMC-Actus Triart C8(250
×20mm I.D.)を用いた分取HPLCにより、溶液A:0.1%TFA-水及び
溶液B:0.1% TFA含有アセトニトリルのA/B:59/41から49/51の、
8mL/分の流速での直線濃度勾配溶出(60分)で精製を行い、目的の生成物を含有す
る画分を収集し、凍結乾燥して、8.2mgの白色の粉末を得た。
質量分析の結果:(M+H)+ 5127.07(計算値5126.64)
HPLC溶出時間:5.62分
溶出条件:
カラム:Kinetex1.7μmC8100A(100×2.1mm I.D.)
溶出液:溶液A: 0.1%TFA-水、溶液B: 0.1%TFA含有アセトニトリ
ルを使用、A/B: 80/20~30/70。線形濃度勾配溶出(10分)。
流速:0.5mL/分
温度:40度
【0413】
続いて、得られた粉末の全量を50%アセトニトリル-水に溶解し、イオン交換樹脂[
AG 1×8樹脂(アセテート形態)、1.2meq/mL、20μL]を溶液に加え、
得られた混合物を1時間振とうした。濾過により樹脂を除去した後、濾液を凍結乾燥し、
それにより、6.9mgの目的の生成物のアセテートを得た。
質量分析結果:(M+H)+5128.06(計算値5126.64)
HPLC溶出時間:5.58分間
溶出条件:
カラム:Kinetex1.7μmC8100A(100×2.1mm I.D.)
溶出液:溶液A: 0.1%TFA-水、溶液B: 0.1%TFA含有アセトニトリ
ルを使用、A/B: 80/20~30/70。線形濃度勾配溶出(10分)。
流速:0.5mL/分
温度:40℃
【0414】
【0415】
実施例3.追加のペプチド合成方法:
ペプチドは、標準的なFmoc化学を使用して合成された。
(1)1-クロロ-2-[クロロ(ジフェニル)メチル]ベンゼン(0.1mmol、
1.0当量)に、DCM(5mL)中の、FMOC-SER(TBU)-OH(115m
g、300umol、3.0当量)とDIEA(77.5mg、600umol、104
uL、6.0当量)を加えた。混合物をN2と共に20℃で2時間撹拌し、次いでMeO
H(0.2mL)を加え、そしてN2と共にさらに30分間撹拌した。排液してからDM
Fで30秒間3回洗浄する。
(2)20%ピペリジン/DMFを加え、30分間混合する。
(3)排液してから、DMFで30秒間5回洗浄する。
(4)Fmoc-アミノ酸溶液を加え、30秒間混合し、次いで活性化緩衝液を加え、
約1時間、N2通気する。20%ピペリジン/DMFを加え、30分で反応させる。
(5)次のアミノ酸カップリングについて、ステップ2から5を繰り返す。
【0416】
【0417】
DMF中の20%ピペリジンをFmoc脱保護に30分間使用した。DMF中の3%N
H2NH2をDde脱保護に20分間、2回使用した。カップリング反応をニンヒドリン
試験でモニターし、樹脂をDMFで5回洗浄した。
【0418】
ペプチドの切断と精製:
(1)側鎖保護ペプチドを含有するフラスコに、切断緩衝液(90%TFA/2.5%
EDT/2.5%TIS/2.5%H2O/2.5%メチルスルファニルベンゼン)を加
え、3時間攪拌する。
(2)濾過して濾液を回収する。ペプチドを冷tert-ブチルメチルエーテルで沈殿
させ、遠心分離する(3000rpmで3分間)。
(3)tert-ブチルメチルエーテルはさらに2回洗浄する。
(4)粗ペプチドを2時間真空乾燥する。
(5)分取HPLC(A:H2O中0.075%TFA、B:ACN)、次に分取HP
LC(HOAc条件;A:H2O中0.5%HOAc、B:ACN)によって粗ペプチド
を精製し、最終生成物(17mg、3.37umol、3.3%収率、99.2%純度、
HOAC)を得る。
【0419】
【0420】
生物学的実施例
GIP及びGLP受容体結合アッセイ、薬物または化学療法誘発性嘔吐を含む様々な刺
激によって引き起こされる嘔吐、嘔吐及び悪心の阻害のためのアッセイを実施するための
方法は、出願人の2018年3月30日に出願された国際PCT出願番号PCT/JP2
018/013540の213ページから255ページの範囲に具体的に記載され、参照
によりその全体が具体的に本明細書に組み込まれる。
【0421】
実施例1.細胞内cAMP濃度の増加を指標とする、ヒトGIPR及びヒトGLP-1
Rに対するアゴニスト活性の評価
A)細胞内cAMP濃度の増加を指標とする、ヒトGIPR及びヒトGLP-1Rに対
するアゴニスト活性の評価
(1)ヒトGIPR遺伝子の発現プラスミドの構築。Genebankアクセッション
番号U39231と同一の配列を有するヒトGIPR遺伝子をpMSRα-neoベクタ
ーにクローン化して、hGIPR/pMSRα-neoを調製した。
【0422】
(2)上流にcAMP応答配列を有するレポータープラスミド発現細胞ルシフェラーゼ
レポーター遺伝子の構築をCHO-K1細胞に導入してCRE-LUC/CHO-K1細
胞を構築した。
【0423】
(3)レポータープラスミドの構築
cAMP応答配列とゼオシン耐性遺伝子の4つのコピーをpGL3(R2.2)-Ba
sicベクター(Promega)に移して、Cre-luc(Zeo)レポータープラ
スミドを構築した。
【0424】
(4)ヒトGIPR遺伝子のCRE-LUC/CHO-K1細胞への導入と発現細胞の
取得
(1)で得られたプラスミドhGIPR/pMSRα-neoをCRELUCに移した
。
【0425】
形質転換体を得るために(2)で得られたCHO-K1細胞。続いて、得られた形質転
換体から、GIPを添加することにより、ルシフェラーゼ発現を誘導する細胞株、hGI
PR/CRE-LUC/CHO-K1細胞を選択した。
【0426】
(5)ヒトGLP-1R遺伝子の発現プラスミドの構築
Genebankアクセッション番号NM_002062と同一の配列を有するヒトG
LP-1R遺伝子をpIRESneo3ベクターにクローニングして、hGLP-1/p
IRESneo3を調製した。
【0427】
(6)ヒトGLP-1R遺伝子とレポータープラスミドをCHO-K1細胞に導入し、
発現細胞を取得
(3)で得られたCre-luc(Zeo)と(5)で得られたプラスミドhGLP-
1/pIRESneo3をCHO-K1細胞に導入し、形質転換体を得た。続いて、得ら
れた形質転換体から、GLP-1を添加することにより、ルシフェラーゼ発現を誘導する
細胞株、hGLP-1R/CRE-luc/CHO-K1細胞を選択した。
【0428】
(7)レポーターアッセイ
各25μLのhGIPR/CRE-LUC/CHO-K1細胞を384ウェルホワイト
プレート(Corning)に5×103細胞/ウェルを提供するように播種し、10%
ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを
含むHamF12培地で、CO2インキュベーター内にて37℃で一晩培養した。試験化
合物を含む5μLの培地を細胞に添加し、37℃のCO2インキュベーター内で示された
濃度で4時間インキュベートした。Steady-Glo(Promega)を30μL
の量で加え、遮光下で振とうした。20分後、プレートリーダーEnvision(Pe
rkinElmer)を使用してルシフェラーゼ活性を測定した。GIPRアゴニスト活
性は、10nMのGIPの存在下でのルシフェラーゼ活性が100%であり、試験化合物
の代わりにDMSOを添加した場合のルシフェラーゼ活性が0%である場合の指標として
の細胞内cAMP濃度の増加を用いて計算された。
【0429】
GLP-1Rアゴニスト活性を、上述と同じ方法で、hGLP-1R/CRE-luc
/CHO-K1細胞を用いてアッセイした。GLP-1Rアゴニスト活性は、細胞内cA
MP濃度の増加を試料として計算し、10nMのGLP-1の存在下でのルシフェラーゼ
活性が100%であり、試験化合物の代わりにDMSOを添加した場合のルシフェラーゼ
活性が0%であるとした。
【0430】
表8に示されるように、本開示のGIP受容体アゴニストペプチドは、優れたGIP受
容体選択的活性化作用を有する。
【0431】
【0432】
実施例4-細胞内cAMP蓄積を測定することによるヒトGIPR及びヒトGLP1R
に対するペプチドアゴニスト活性の評価(HDBプロトコール)
GIPRアッセイ
N末端FLAGタグが付いたGenBankアクセッション番号NM_000164と
同一の配列を持つ全長ヒトGIPRを過剰発現するHEK-293T細胞を、Multi
span,Inc(Hayward,CA)から購入する。細胞は、製造元のプロトコー
ルに従って、10%ウシ胎仔血清と1μg/mLピューロマイシンを含むDMEMで培養
され、アッセイの準備のできた細胞として使用するために凍結アリコートで保存される。
アッセイの日に、細胞を凍結保存から取り出し、1×クレブスリンガー緩衝液(Zenb
io,Research Triangle Park,NC)で2回洗浄し、1×クレ
ブスリンガー緩衝液中4×105細胞/mLの濃度に再懸濁する。3×10-10~5.
08×10-15Mの最終濃度範囲にわたる100%DMSO中の50nLの試験化合物
を、白色384ウェルポリプロピレンプレート(Corning,Tewksbury,
MA)に少量で音響的に分注し、10μLの総容量でウェル当たり4×103細胞を加え
る。細胞を試験化合物とともに暗所にて室温で1時間インキュベートし、cAMP蓄積を
、製造元のプロトコールに従ってCisbio HiRange cAMPアッセイキッ
ト(Bedford,MA)を使用して測定する。溶解/検出緩衝液で希釈した抗cAM
P抗体及びd2-cAMPトレーサー試薬を暗所で1時間インキュベートし、結果をEn
visionプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)で
測定する。データは、1nM GIPを100%活性として使用し、DMSOのみを0%
活性として使用して正規化される。
【0433】
実施例5-GLP1Rアッセイ
N末端FLAGタグが付いたGenBankアクセッション番号NM_002062と
同一の配列を持つ全長ヒトGLP-1Rを過剰発現するHEK-293T細胞は、Mul
tispan,Inc(Hayward,CA)から購入できる。細胞は、製造元のプロ
トコールに従って、10%ウシ胎仔血清と1μg/mLピューロマイシンを含むDMEM
で培養され、アッセイの準備のできた細胞として使用するために凍結アリコートで保存さ
れる。アッセイの日に、細胞を凍結保存から取り出し、1×クレブスリンガー緩衝液(Z
enbio,Research Triangle Park,NC)で2回洗浄し、1
×クレブスリンガー緩衝液中4×105細胞/mLの濃度に再懸濁する。1×10-6~
1.69×10-11Mの最終濃度範囲にわたる100%DMSO中の50nLの試験化
合物を、白色384ウェルポリプロピレンプレート(Corning,Tewksbur
y,MA)に少量で音響的に分注し、10μLの総容量でウェル当たり4×103細胞を
加える。細胞を試験化合物とともに暗所にて室温で1時間インキュベートし、cAMP蓄
積を、製造元のプロトコールに従ってCisbio HiRange cAMPアッセイ
キット(Bedford,MA)を使用して測定する。溶解/検出緩衝液で希釈した抗c
AMP抗体及びd2-cAMPトレーサー試薬を暗所で1時間インキュベートし、結果を
Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA
)で測定する。データは、1nM GLP-1を100%活性として使用し、DMSOの
みを0%活性として使用して正規化される。
【0434】
【0435】
実施例6.[125I]-GIPを使用するヒトGIPRに対する結合活性の評価
(1)ヒトGIPR遺伝子の発現プラスミドの構築
Genebankアクセッション番号U39231と同一の配列を有するヒトGIPR
遺伝子をpcDNA3.3ベクターにクローン化して、hGIPR/pcDNA3.3を
調製する。
【0436】
実施例7-Expi293F細胞を使用するヒトGIPR_ウイルス様粒子(VLP)
の調製
トランスフェクションの前日に、1.8×106細胞/mlの濃度のExpi293F
細胞の850mLを、3-Lフラスコ中(Corning Incorporated)
に播種し、37℃、8%CO2、85RPMの条件下で24時間培養する。トランスフェ
クションは、Expi293発現システムキット(Thermo Fisher Sci
entific)を使用して実施される。より具体的には、VLP調製用の0.67mg
のpcDNA3.3/hGIPR及び0.33mgのpcDNA3.3/GAGプラスミ
ドを50mLのopti-MEM(Thermo Fisher Scientific
)に添加して、DNA混合物を調製する。続いて、2.7mLのExpifectami
neを50mLのopti-MEMに添加し、5分間静置した後、DNA混合物をその中
に混合し、得られた混合物を20分間静置し、次いでさらに培地に添加する。トランスフ
ェクションの20時間後、5mLのエンハンサー1と50mLのエンハンサー2をそこに
添加する。トランスフェクションの96時間後、培地を850×gで15分間遠心分離し
、それによって上清を得る。得られた上清を54000×gで1時間超遠心分離し、それ
によりGIPR-VLP画分を得る。沈殿物をPBSで1回洗浄した後、少量のPBSに
懸濁してGIPR-VLPを得る。得られたGIPR-VLPは使用するまで-80℃で
保存する。タンパク質の定量は、標準としてBSA使用するGelCode Blue
Safe Protein Stain(Thermo Fisher Scienti
fic)を使用して実施される。
【0437】
実施例8-ヒトGIPRに対する試験化合物の結合活性の測定。
GIPRに対する結合活性の測定のために、100pMの最終濃度の[125I]GI
P(PerkinElmer,Inc.)と指定濃度の試験化合物を、アッセイ緩衝液(
50mMHEPES(pH7.4、WAKO 342-01375)、5mM EGTA
(WAKO 346-01312)、5mM MgCl2(WAKO 136-0399
5)、0.1%BSA(Merckmillipore 81-066-04)、及び0
.005%Tween 20(BioRad 170-6531))中のGIPR-VL
Pに混合し、室温で2時間反応させる。[125I]GIPが結合しているVLPを、セ
ルハーベスターを使用してGF/Cグラスファイバーフィルター96ウェルプレート(P
erkinElmer 6005274)に捕捉し、アッセイ緩衝液で洗浄する。VLP
が捕捉されたGF/Cグラスファイバーフィルター96ウェルプレートを42℃で一晩乾
燥させる。その後、MicroScint-O(PerkinElmer 601361
1)を、バックシールを使用して密封されたGF/Cグラスファイバーフィルター96ウ
ェルプレートに添加し、プレートを、トップシールを使用して密封する。各ウェルの放射
能は最終的にTopcount(PerkinElmer)を使用して測定され、GIP
Rに対する試験化合物の結合活性は、最終濃度1μmのGIPの存在下での[125I]
GIP結合活性が100%であり、DMSOを添加したウェルの[125I]GIP結合
活性を0%として計算される。
【0438】
実施例9-細胞内cAMP蓄積を測定することによるヒトGIPR及びヒトGLP1R
に対するペプチドアゴニスト活性の評価
GIPRアッセイ
N末端FLAGタグが付いたGenBankアクセッション番号NM_000164と
同一の配列を持つ全長ヒトGIPRを過剰発現するHEK-293T細胞を、Multi
span,Inc(Hayward,CA)から購入する。細胞は、製造元のプロトコー
ルに従って、10%ウシ胎仔血清と1μg/mLピューロマイシンを含むDMEMで培養
され、アッセイの準備のできた細胞として使用するために凍結アリコートで保存される。
アッセイの日に、細胞を凍結保存から取り出し、1×クレブスリンガー緩衝液(Zenb
io,Research Triangle Park,NC)で2回洗浄し、1×クレ
ブスリンガー緩衝液中4×105細胞/mLの濃度に再懸濁する。3×10-10~5.
08×10-15Mの最終濃度範囲にわたる100%DMSO中の50nLの試験化合物
を、白色384ウェルポリプロピレンプレート(Corning,Tewksbury,
MA)に少量で音響的に分注し、10μLの総容量でウェル当たり4×103細胞を加え
る。細胞を試験化合物とともに暗所にて室温で1時間インキュベートし、cAMP蓄積を
、製造元のプロトコールに従ってCisbio HiRange cAMPアッセイキッ
ト(Bedford,MA)を使用して測定する。溶解/検出緩衝液で希釈した抗cAM
P抗体及びd2-cAMPトレーサー試薬を暗所で1時間インキュベートし、結果をEn
visionプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)で
測定する。データは、1nM GIPを100%活性として使用し、DMSOのみを0%
活性として使用して正規化される。
【0439】
実施例10 生きているオスのフェレットのモルヒネ誘発性嘔吐モデルにおける嘔吐に
対するGIP受容体アゴニストペプチドのin vivo効果
モルヒネ誘発急性嘔吐モデルにおける皮下投与されたGIP受容体アゴニストペプチド
の効果。
制吐効果を評価するために、天然ヒトGIP以外のGIP受容体アゴニストペプチドを
、モルヒネ投与の30分前にオスのフェレットに皮下投与する。本開示のGIP受容体ア
ゴニストペプチド化合物を、30nmol/kgの用量で投与し、フェレットにおけるモ
ルヒネ(0.6mg/kg、s.c.)誘発性嘔吐を完全に弱める。モルヒネ投与後60
分まで、フェレットの状態をモニターして、腹部の収縮運動、嘔吐行動、舌をなめる行動
、及び落ち着きのない行動の頻度と時点を記録する。
【0440】
モルヒネ誘発急性催吐モデルにおける皮下投与された選択的GIPアゴニストペプチド
の効果
30nmol/kgのGIP受容体アゴニストペプチドをビヒクル(0.09w/v%
tween 80/10%DMSO/生理食塩水)でそれぞれ溶解して、試験溶液を調製
する。0.5mg/kgの試験溶液とビヒクルをそれぞれフェレット(各群4匹)に皮下
投与する。投与後4時間ごとに0.6mg/kgのモルヒネを皮下投与する。モルヒネ投
与後60分まで、フェレットの状態をモニターして、嘔吐しなかった動物の数、催吐エピ
ソードの数、催吐エピソードを観察するための分単位の潜伏期間、もしある場合、観察さ
れた嘔吐の期間を記録する。
【0441】
製剤実施例1
(1)化合物10 10.0mg
(2)ラクトース 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶性澱粉 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0442】
化合物10(10.0mg)及びステアリン酸マグネシウム(3.0mg)を可溶性デ
ンプン水溶液(0.07mL)(可溶性デンプンとして7.0mg)で造粒し、乾燥させ
、ラクトース(70.0mg)及びコーンスターチ(50.0mg)と混合する。混合物
を圧縮して錠剤を得る。
【0443】
製剤実施例2
(1)化合物5 5.0mg
(2)塩化ナトリウム 20.0mg
(3)総量2mLまでの蒸留水
【0444】
化合物5(5.0mg)及び塩化ナトリウム(20.0mg)を蒸留水に溶解し、水を
加えて総量を2.0mlにする。溶液を濾過し、無菌状態で2mlのアンプルに充填する
。アンプルは滅菌され、しっかりと密封されて注射用の溶液になる。
Xが、(Trda:C13二酸)、(Teda:C14二酸)、(Peda:C15二酸)、(Heda:C16二酸)、(Hepda:C17二酸)、(Oda:C18二酸)、または(Eda:C20二酸)である、請求項1~6のいずれか1項に記載のGIP受容体アゴニストペプチド。