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特開2024-63144プラズマ処理チャンバ構成要素のための表面コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063144
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】プラズマ処理チャンバ構成要素のための表面コーティング
(51)【国際特許分類】
   C25D 11/18 20060101AFI20240501BHJP
   C25D 11/26 20060101ALI20240501BHJP
   C25D 11/30 20060101ALI20240501BHJP
   C25D 11/16 20060101ALN20240501BHJP
【FI】
C25D11/18 308
C25D11/18 301C
C25D11/26 302
C25D11/30
C25D11/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030875
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2021504307の分割
【原出願日】2019-07-19
(31)【優先権主張番号】62/703,698
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミトロビック・スロボダン
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ジェレミー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】カウシャル・トニー シャリーン
(72)【発明者】
【氏名】ペイプ・エリック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法を提供する。
【解決手段】電解酸化コーティングが、構成要素の表面の上に形成され、電解酸化コーティングは複数のポアを有し、電解酸化コーティングは厚さを有し、複数のポアの内の少なくとも一部は、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びている。原子層蒸着物が、電解酸化コーティング上に蒸着される。原子層蒸着は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、第1反応物質を流し込み、第1反応物質は、電解酸化コーティングのポア内に第1反応層を形成し、第1反応層は、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びており、第1反応物質の流し込みを停止し、第2反応物質を流し込み、第2反応物質は、第1反応層と反応し、第2反応物質の流し込みを停止することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法であって、
前記構成要素の表面の上に電解酸化コーティングを形成し、前記電解酸化コーティングは複数のポアを有し、前記電解酸化コーティングは厚さを有し、前記複数のポアの内の少なくとも一部は、前記電解酸化コーティングの前記厚さを通して伸びており、
原子層蒸着処理を用いて、前記電解酸化コーティング上に原子層蒸着物を蒸着させ、前記原子層蒸着処理は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、
第1反応物質を流し込み、前記第1反応物質は、前記電解酸化コーティングの前記ポア内に第1反応層を形成し、前記第1反応層は、前記電解酸化コーティングの前記厚さを通して伸びており、
前記第1反応物質の前記流し込みを停止し、
第2反応物質を流し込み、前記第2反応物質は、前記第1反応層と反応し、
前記第2反応物質の前記流し込みを停止することを含むこと、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電解酸化コーティングは、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記構成要素は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記電解酸化コーティングは、25μmよりも厚い、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記電解酸化コーティングの有孔率が、2%より大きい、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記原子層蒸着物は、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、または、ヨウ化イットリウム、の内の1つを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記原子層蒸着物は、アルミナを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記第1反応物質は、トリメチルアルミニウムであり、前記第2反応物質は、水蒸気またはオゾンを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記電解酸化コーティング上に原子層蒸着物を蒸着させることは、プラズマを利用しない処理である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記電解酸化コーティングを形成した後で、前記原子層蒸着物を蒸着させる前に、表面処理を施すことを備える、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記表面処理を施すことは、前記電解酸化コーティングをオゾンの流れに暴露させること、または、熱および不活性ガスでパージすることを備える、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記原子層蒸着物は、アルミナ、イットリア、セリア、ジルコニア、または、酸化ランタン、の内の少なくとも2つの交互層を含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記原子層蒸着処理の各サイクルは、単層を蒸着させる、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記第1反応物質は、金属リガンドを備えた有機分子を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記第2反応物質は、水蒸気またはオゾンを含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記構成要素は、静電チャックを含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記原子層蒸着物を研磨することを備える、方法。
【請求項18】
半導体処理チャンバでの利用に適合されている構成要素であって、
構成要素本体と、
前記構成要素本体の表面上の電解酸化コーティングと、前記電解酸化コーティングは複数のポアを有し、前記電解酸化コーティングは厚さを有し、前記複数のポアの内の少なくとも一部は、前記電解酸化コーティングの前記厚さを通して伸びており、
前記電解酸化コーティングの前記複数のポアを充填する原子層蒸着物と、
を備える、構成要素。
【請求項19】
請求項18に記載の構成要素であって、前記電解酸化コーティングは、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む、構成要素。
【請求項20】
請求項18に記載の構成要素であって、前記構成要素本体は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、構成要素。
【請求項21】
請求項18に記載の構成要素であって、前記電解酸化コーティングは、25μmよりも厚い、構成要素。
【請求項22】
請求項18に記載の構成要素であって、前記電解酸化コーティングの有孔率が、2%より大きい、構成要素。
【請求項23】
請求項18に記載の構成要素であって、前記原子層蒸着物は、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、または、ヨウ化イットリウム、の内の1つを含む、構成要素。
【請求項24】
プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法であって、
前記構成要素の表面の上にセラミックコーティングを形成し、前記セラミックコーティングは複数のポアを有し、前記セラミックコーティングは厚さを有し、前記複数のポアの内の少なくとも一部は、前記セラミックコーティングの前記厚さを通して伸びており、
原子層蒸着処理を用いて、前記セラミックコーティング上に原子層蒸着物を蒸着させ、前記原子層蒸着処理は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、
第1反応ガスを流し込み、前記第1反応ガスは、前記セラミックコーティングの前記ポア内に第1反応層を形成し、前記第1反応層は、前記セラミックコーティングの前記厚さを通して伸びており、
前記第1反応ガスの前記流し込みを停止し、
第2反応ガスを流し込み、前記第2反応ガスは、前記第1反応層と反応し、
前記第2反応ガスの前記流し込みを停止することを含み、
前記原子層蒸着物の一部を研磨除去すること、
を備える、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記セラミックは、イットリア、セリア、ジルコニア、フッ素化イットリア、窒化アルミニウム、アルミナ、または、酸化ランタン、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記構成要素は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、前記セラミックコーティングは、25μmよりも厚い、方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、前記セラミックコーティングの有孔率が、2%より大きい、方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって、前記原子層蒸着物は、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、または、ヨウ化イットリウム、の内の1つの蒸着物を形成する、方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法であって、前記セラミックコーティングを蒸着させることは、プラズマ電解酸化、陽極酸化、または、セラミック溶射、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項31】
半導体処理チャンバでの利用に適合された構成要素であって、
構成要素本体と、
前記構成要素本体の表面上のセラミックコーティングと、前記セラミックコーティングは複数のポアを有し、前記セラミックコーティングは厚さを有し、前記複数のポアの内の少なくとも一部は、前記セラミックコーティングの前記厚さを通して伸びており、
前記セラミックコーティングの前記複数のポアを充填する原子層蒸着物と、
前記原子層蒸着物の研磨表面と、
を備える、構成要素。
【請求項32】
請求項31に記載の構成要素であって、前記セラミックは、イットリア、セリア、ジルコニア、フッ素化イットリア、窒化アルミニウム、アルミナ、または、酸化ランタン、の内の少なくとも1つを含む、構成要素。
【請求項33】
請求項31に記載の構成要素であって、前記構成要素本体は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、構成要素。
【請求項34】
請求項31に記載の構成要素であって、前記セラミックコーティングは、25μmよりも厚い、構成要素。
【請求項35】
請求項31に記載の構成要素であって、前記セラミックコーティングの有孔率が、2%より大きい、構成要素。
【請求項36】
請求項31に記載の構成要素であって、前記原子層蒸着物は、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、または、ヨウ化イットリウム、の内の1つを含む、構成要素。
【請求項37】
プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法であって、
前記構成要素の表面の上に電解酸化コーティングを形成し、
前記電解酸化コーティングの上に溶射コーティングを蒸着させること、
を備える、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記電解酸化コーティングは、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む、方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法であって、前記構成要素は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法であって、前記溶射コーティングは、イットリア、セリア、ジルコニア、フッ素化イットリア、窒化アルミニウム、アルミナ、または、酸化ランタン、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項41】
半導体処理チャンバでの利用に適合された構成要素であって、
構成要素本体と、
前記構成要素本体の表面上の電解酸化コーティングと、
前記電解酸化コーティング上の溶射コーティングと、
を備える、構成要素。
【請求項42】
請求項41に記載の構成要素であって、前記電解酸化コーティングは、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む、構成要素。
【請求項43】
請求項41に記載の構成要素であって、前記構成要素本体は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、または、セラミック、の内の少なくとも1つを含む、構成要素。
【請求項44】
請求項41に記載の構成要素であって、前記溶射コーティングは、イットリア、セリア、ジルコニア、フッ素化イットリア、窒化アルミニウム、アルミナ、または、酸化ランタン、の内の少なくとも1つを含む、構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年7月26日出願の米国特許出願第62/703,698号に基づく優先権の利益を主張し、その出願は、参照によってすべての目的に対して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体デバイスの製造に関し、特に、半導体デバイスの製造で用いられるプラズマチャンバ構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハ処理中、プラズマ処理チャンバが、半導体デバイスを処理するために用いられる。プラズマ処理チャンバの構成要素は、プラズマおよびアーク放電に曝される。プラズマおよびアーク放電は、構成要素を劣化させうる。
【発明の概要】
【0004】
上記を達成するために、本開示の目的に従って、プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法が提供されている。構成要素の表面の上に電解酸化コーティングが形成され、電解酸化コーティングは複数のポア(細孔)を有し、電解酸化コーティングは厚さを有し、複数のポアの内の少なくとも一部は、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びている。原子層蒸着処理を用いて、原子層蒸着物が電解酸化コーティング上に蒸着される。原子層蒸着処理は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、第1反応物質を流し込み、第1反応物質は、電解酸化コーティングのポア内に第1反応層を形成し、第1反応層は、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びており、第1反応物質の流し込みを停止し、第2反応物質を流し込み、第2反応物質は、第1反応層と反応し、第2反応物質の流し込みを停止することを含む。
【0005】
別の態様において、半導体処理チャンバでの利用に適合された構成要素が提供されている。電解酸化コーティングが、構成要素本体の表面上にあり、電解酸化コーティングは複数のポアを有し、電解酸化コーティングは厚さを有し、複数のポアの内の少なくとも一部は、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びている。原子層蒸着物が、電解酸化コーティングの複数のポアを充填する。
【0006】
別の態様において、プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法が提供されている。構成要素の表面の上にセラミックコーティングが形成され、セラミックコーティングは複数のポアを有し、セラミックコーティングは厚さを有し、複数のポアの内の少なくとも一部は、セラミックコーティングの厚さを通して伸びている。原子層蒸着処理を用いて、原子層蒸着物がセラミックコーティング上に蒸着され、原子層蒸着処理は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、第1反応ガスを流し込み、第1反応ガスは、セラミックコーティングのポア内に第1反応層を形成し、第1反応層は、セラミックコーティングの厚さを通して伸びており、第1反応ガスの流し込みを停止し、第2反応ガスを流し込み、第2反応ガスは、第1反応層と反応し、第2反応ガスの流し込みを停止することを含み。原子層蒸着物の一部が、研磨除去される。
【0007】
別の態様において、半導体処理チャンバでの利用に適合された構成要素が提供されている。セラミックコーティングが、構成要素本体の表面の上にあり、セラミックコーティングは複数のポアを有し、セラミックコーティングは厚さを有し、複数のポアの内の少なくとも一部は、セラミックコーティングの厚さを通して伸びている。原子層蒸着物が、セラミックコーティングの複数のポアを充填する。原子層蒸着物の表面が研磨されている。
【0008】
別の態様において、プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法が提供されている。電解酸化コーティングが、構成要素の表面の上に形成される。溶射コーティングが、電解酸化コーティングの上に蒸着される。
【0009】
別の態様において、半導体処理チャンバでの利用に適合された構成要素が提供されている。電解酸化コーティングが、構成要素本体の表面の上にある。溶射コーティングが、電解酸化コーティングの上にある。
【0010】
添付の図面を参照しつつ行う詳細な説明において、本開示の上述の特徴およびその他の特徴を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面では、限定ではなく例示を目的として本開示を図示する。なお、これらの添付図面においては、同様の構成要素には同様の符号が付されている。
【0012】
図1】一実施形態のハイレベルフローチャート。
【0013】
図2A】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
図2B】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
図2C】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
【0014】
図3】一実施形態で利用できるエッチングリアクタを示す概略図。
【0015】
図4】別の実施形態のハイレベルフローチャート。
【0016】
図5A】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
図5B】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
図5C】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
【0017】
図6】別の実施形態のハイレベルフローチャート。
【0018】
図7A】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
図7B】一実施形態に従って処理されている構成要素を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付図面に例示されたいくつかの実施形態を参照しつつ、本開示の詳細な説明を行う。以下の説明では、本開示の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本開示は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本開示が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造については、詳細な説明を省略した。
【0020】
理解を促すために、図1は、一実施形態で利用される処理のハイレベルフローチャートを示す。一実施形態例において、電解酸化コーティングが、構成要素の表面上に形成される(工程104)。電解酸化は、プラズマ電解酸化(PEO)および電解プラズマ酸化(EPO)もしくはマイクロアーク酸化(MAO)としても知られている。電解酸化は、金属上に酸化物コーティングを生成する方法である。電解酸化は、陽極酸化よりも高い電位のAC電圧を用いて、放電を引き起こし、PEO/EPOの場合には、電解酸化コーティングの厚さを通して伸びる相互接続および表面接続されたポアを有する結晶金属酸化物層の電解酸化コーティングを提供するプラズマ放電を引き起こす。
【0021】
図2Aは、電解酸化コーティング208を備える構成要素本体204を示す概略断面図である。電解酸化コーティング208は、複数のポア212を有し、ここで、ポア212の一部は、開口部を形成している。開口部は、電解酸化コーティング208の厚さを通して構成要素本体204の表面まで伸びている。ポア212は、本実施形態の働きをより良く説明するために、縮尺通りに描かれておらず、幅を拡大して図示されている。さらに、ポア212は、さらに不規則で曲がりくねっている場合もある。概略図は、本実施形態の働きのより良い理解を促すためのものである。本実施形態において、構成要素本体204は、アルミニウムで形成されている。別の実施形態において、構成要素本体204は、陽極酸化アルミニウムまたはセラミック体で形成される。この実施形態において、電解酸化コーティング208は、アルミナを含む。別の実施形態において、電解酸化コーティング208は、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む。
【0022】
構成要素本体204が、セラミックである、および/または、単に金属ではない場合、金属層が、構成要素本体204の表面上に蒸着されてよい。金属層は、物理蒸着、金属イオンを含む溶液からの電気化学蒸着、または、構成要素本体204の表面上へ直接的に金属の3Dプリントすることによって蒸着されてよい。電解酸化は、蒸着された金属層に対して実行される。
【0023】
アルミニウム構成要素本体204のためのプラズマ電解処理において、少なくとも200ボルトの高電圧が印加される。高電圧は、アルミニウム酸化物膜の絶縁破壊電位を超えて、放電および局所プラズマを引き起こす。高バイアス、放電、および、プラズマは、局所的な高温を引き起こす。これらの条件は、結果として得られる金属酸化物の焼結、融解、および、高密度化をもたらしうる。一実施形態において、電解酸化コーティング208の厚さは、25μmより大きい。
【0024】
表面処理が、電解酸化コーティング208に施される(工程106)。この例では、表面処理は、150℃~320℃の範囲の温度のオゾン流に電解酸化コーティング208を暴露させることによって施される。この表面処理は、或る程度の洗浄を提供し、次のALD処理に向けて表面を準備する。炭化水素、水、または、その他の汚染物質が表面にないこと、そして、表面が、金属前駆体との反応物質を吸収するために活性酸素ラジカルを有することが重要である。代替実施形態において、表面処理では、炭化水素を焼き切ると共に表面からに水を排除するために、不活性ガスの複数回のパージサイクルを高温で提供する。
【0025】
次いで、原子層蒸着(ALD)処理が提供される(工程108)。原子層蒸着処理(工程108)は、複数回のサイクルを含む。この例において、各サイクルは、第1反応物質を供給する工程(工程112)と、第1反応物質をパージする工程(工程114)と、第2反応物質を供給する工程(工程116)と、第2反応物質をパージする工程(工程118)と、を備える。この実施形態において、構成要素本体204は、電解酸化コーティング208内のポア212の表面を被覆するための酸化アルミニウム(Al)ALD膜の蒸着に向けて約150℃~320℃の間の温度に維持される。
【0026】
この実施形態において、第1反応物質を供給する工程(工程112)は、500~200sccmのトリメチルアルミニウム(Al(CH)を供給する工程を含む。トリメチルアルミニウムの量は、リアクタのサイズと、リアクタ内に同時に配置される構成要素204の数とによって変化する。第1反応物質は、ポア212の表面を含む電解酸化コーティング208の表面上に、第1反応層すなわちアルミニウム含有層を形成する。第1反応物質の流れは、10~30秒後に停止される。10~30秒は、通常、構成要素本体204の表面上に吸収アルミニウム(Al)およびメチルラジカル(CH)の単層を形成するのに十分である。
【0027】
第1反応物質をパージする工程(工程114)は、窒素を流し込む工程を含む。窒素の流れは、リアクタ内に残った第1反応物質と置き換わる。
【0028】
この実施形態において、第2反応物質を供給する工程(工程116)は、水蒸気の流れを供給する工程を含む。水蒸気は、第1反応層内のアルミニウムを加水分解することによって第1反応層と反応する。第2反応物質の流れは、10~30秒後に停止される。
【0029】
第2反応物質をパージする工程(工程118)は、窒素を流し込む工程を含む。窒素の流れは、リアクタ内に残った第2反応物質と置き換わる。
【0030】
第1および第2反応物質の各々は、ハーフサイクルとして定義されるサイクルで構成要素本体204の表面上に吸収されて反応する。吸収は、1つの原子層に限定される。これら2つの反応物質は、約1Åの厚さのALD膜(例えば、Al)の薄層を形成する。処理は、所望の膜厚が達成されるまで繰り返される。図2Bは、原子層蒸着処理(工程108)の複数回のサイクル後に構成要素本体204の表面上に電解酸化コーティング208を備えた構成要素本体204を示す概略断面図である。原子層蒸着物216が蒸着されている。この例において、複数回のサイクル後、ALD216は、それらの幅により、2つのポア212a、212bを部分的にしか満たすことができない。第3ポア212cは、より細いため、ALD216によって完全に充填されている。ALD216は、電解酸化コーティング208の厚さを通して構成要素本体204まで伸びている。ALD216は、構成要素本体204の表面が露出されないように、構成要素本体204の露出部分を被覆する。ALD処理は、ポア212すべてが完全に充填されるまで継続および反復される(工程108)。図2Cは、ポア212がALD216によって完全に充填された後の電解酸化コーティング208を備えた構成要素本体204を示す概略断面図である。
【0031】
構成要素本体204は、プラズマ処理チャンバ内に取り付けられる(工程120)。プラズマ処理チャンバは、基板を処理するために用いられる(工程124)。プラズマが、基板を処理するためにチャンバ内で生成される。かかる処理は、基板をエッチングする処理であってよい。基板を処理する工程(工程124)は、構成要素本体204をプラズマに暴露させる。
【0032】
図3は、取り付けられた構成要素本体204を備えるプラズマ処理チャンバ300を示す概略図である。プラズマ処理チャンバ300は、閉じ込めリング302と、上側電極304と、下側電極308と、ガス源310と、ライナ362と、排気ポンプ320と、を備える。この例において、構成要素本体204は、ライナ362である。プラズマ処理チャンバ300内で、ウエハ366が、下側電極308の上に配置されている。エッジリング312が、ウエハ366を取り囲んでいる。下側電極308は、ウエハ366を保持するのに適切な基板チャック機構(例えば、静電チャック、機械的クランプなど)を備える。リアクタ上部328には、下側電極308のちょうど反対側に配置された上側電極304が組み込まれている。上側電極304、下側電極308、および、閉じ込めリング302は、閉じ込めプラズマ空間340を規定する。
【0033】
ガスが、ガス源310によってガス流入口343を通して閉じ込めプラズマ空間340へ供給される。ガスは、排気ポンプ320によって閉じ込めプラズマ空間340から閉じ込めリング302および排気ポートを通して排気される。高周波(RF)電源348が、下側電極308へ電気接続されている。
【0034】
チャンバ壁352が、構成要素本体204、閉じ込めリング302、上側電極304、および、下側電極308を取り囲んでいる。構成要素本体204は、閉じ込めリング302を通るガスまたはプラズマがチャンバ壁352と接触するのを防ぐのに役立つ。コントローラ335が、RF電源348、排気ポンプ320、および、ガス源310へ制御可能に接続されている。プラズマ処理チャンバ300は、CCP(容量結合プラズマ)リアクタまたはICP(誘導結合プラズマ)リアクタであってよい。表面波、マイクロ波、または、電子サイクロトロン共鳴(ECR)のような他のプラズマ源が用いられてもよい。
【0035】
次世代の誘電体メモリツールは、以前のツールよりも高いRF電力で動作する。かかる次世代誘電体メモリツールは、下側電極308に用いられる静電チャック(ESC)ベースプレートと、チャンバ上の様々なエッジハードウェア(エッジリング312、接地リング、および、結合リングなど)との間でアーク障害を示した。アーク障害は、次世代ツールのすべての障害の50%超の原因になっている。かかる障害を防ぐために、ベースプレートまたはその他の部品のスタンドオフ電圧を上げなければならない。
【0036】
理論に縛られることなく、プラズマ処理中に、電解酸化コーティング208のポア212内の化学吸着物質が導電経路を提供すると考えられる。導電経路は、アーク放電を促進しうる。ポア212を原子層蒸着物216で充填することが、かかるアーク放電を防ぎ、絶縁破壊性能の向上につながる。ALD材料は、高抵抗で非導電性であることが好ましい。さらに、ポア212を原子層蒸着物216で充填することは、透過を防ぐようにポア212を閉じるため、プラズマのラジカルが構成要素本体204に到達するのを防ぐ。
【0037】
結果として得られる電解酸化コーティング208は、化学的劣化およびアーク放電に耐性がある。いくつかの実施形態において、ALD処理(工程108)は、電解酸化コーティング208がアーク放電に耐える能力を単位厚さ当たり最大200%まで向上させる。実験データによると、50μmの厚さまでPEOを用いて蒸着された電解酸化コーティング208が、ALD216なしで約1.7kV(キロボルト)のスタンドオフ電圧を有することがわかった。同じ電解酸化コーティング208が、ALD216の追加後には、約3.0~4.0kVのスタンドオフ電圧を有する。したがって、ALD216の追加は、絶縁耐力を約2倍に高める。結果として、かかる構成要素204を備えたプラズマ処理チャンバ300には欠陥が少なくなる。さらに、かかるシステムの故障率は低下するため、構成要素本体204の交換の間隔が長くなる。
【0038】
様々な実施形態において、ALD処理(工程108)は、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア(Y)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化アルミニウム(Al)、または、ヨウ化イットリウム(Y)などの金属含有材料の誘電体原子層蒸着物216を形成するために用いられてよい。いくつかの実施形態において、これらの膜組成の組み合わせが用いられてもよく、例えば、プラズマ処理チャンバ300内での電解酸化コーティング208のフッ素腐食耐性を強化するために、Yが、Alと共に挿入されてよい。Yは、水蒸気と共にイットリウム前駆体(例えば、イットリウムシクロメタペンタジエン3)を用いて生成される。 様々な実施形態において、金属含有材料の誘電体層は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、または、金属ヨウ化物である。別の実施形態において、上記の材料のフッ素化物(AlF、AlOF、フッ化イットリウム(YF)、または、酸化フッ素イットリウム(YOF)など)が形成されてもよい。いくつかの実施形態において、第1反応物質はトリメチルアルミニウムであってよく、第2反応物質は水蒸気である。様々な実施形態において、ALD処理(工程108)は、異なる材料の交互層を提供してもよい。例えば、アルミナおよびイットリアの交互層が、一実施形態において提供されてよい。様々な実施形態において、第1パージ(工程114)および/または第2パージ(工程118)は、用いられなくてもよい。
【0039】
電解酸化コーティング208は、98%より小さい密度を有してよく、その結果、ポア212は、体積で電解酸化コーティング208の2%より多くを占め、2%を超える有孔率を提供する。好ましくは、電解酸化コーティング208は、25μm以上500μm未満の厚さを有する。別の例示的実施形態において、厚さは、50μm~400μmの間である。別の例示的実施形態において、電解酸化コーティング208は、200μm以上の厚さを有する。別の例示的実施形態において、電解酸化コーティング208は、300μm以上の厚さを有する。PEOによって形成される電解酸化コーティング208について、有孔率は20%より大きい場合がある。
【0040】
様々な実施形態において、構成要素本体204は、閉じ込めリング、エッジリング312、静電チャック、接地リング、チャンバライナ、ドアライナ、または、その他の構成要素204など、プラズマ処理チャンバの他の部品であってもよい。プラズマ処理チャンバ300は、誘電体処理チャンバまたは導電体処理チャンバであってよい。いくつかの実施形態において、1または複数の全部ではない表面がコーティングされる。様々な実施形態が、平面、丸みのある角(cornered radii)、高アスペクト比のホール、および、ヘリウムチャネルを可能にする電解酸化コーティング208を提供する。いくつかの実施形態において、構成要素本体204は、アルミニウムで形成された部品であってよい。他の実施形態において、構成要素本体204は、表面コーティングを有するアルミニウム部品であってもよい。表面コーティングは、アルミニウムと電解酸化コーティング208との間の温度の不整合を低減しうる。
【0041】
構成要素本体204が、プラズマ処理チャンバ300内に取り付けられる(工程120)前、または、プラズマ処理チャンバ300内で利用される(工程124)前に、さらなる処理が構成要素本体204に対して実行されてもよい。例えば、第2コーティングが、電解酸化コーティング208上に噴霧されてよい。第2コーティングは、ポアを有しうる。しかしながら、第2コーティングと構成要素本体204との間の電解酸化コーティング208が、ALD216で充填されたポア212を有するので、アーク放電および化学的劣化が防止される。
【0042】
一実施形態において、構成要素本体204は、アルミニウムであり、電解酸化コーティング208は、0.0005インチ(0.00127mm)~0.005インチ(0.0127mm)の厚さの電解酸化コーティング208を提供することによって形成される。別の実施形態において、電解酸化コーティング208は、0.001インチ(0.0254mm)~0.040インチ(1.016mm)の厚さを有する。様々な実施形態において、ポア212は、1ミクロン未満の幅を有する。いくつかの実施形態において、原子層蒸着のためのアルミニウム含有反応物質を用いて、1000:1より大きいガス透過が、300℃より高い温度で提供される。これは、ガスがポア212を通して移動できる距離とポア212の幅との比が1000:1より大きいことを意味する。
【0043】
様々な実施形態において、第1反応物質は、一方の末端で金属リガンドに結合している有機分子であってよく、第2反応物質は、酸化剤(水蒸気またはオゾンなど)であってよい。有機分子は、構成要素本体204を形成する材料の融点未満の温度で反応性がある。例えば、有機分子は、50℃未満の温度で分解し、または、吸収される。
【0044】
様々な実施形態が、滑らかな表面を提供する。結果として得られた表面は、機械加工されてもよい。ALD処理は、非常に遅い処理であるが、高品質の層を提供する。様々な実施形態で、純粋なALD処理のみによって形成されたコーティングよりも多孔質すなわち低品質の電解酸化コーティング208を形成する高速な方法を用いることにより、純粋なALD処理のみを用いるよりも高速に層を提供できる。ALD処理を用いて、ポア212は充填され、品質が改善される(工程108)。結果として、純粋なALD処理のみを用いて形成される層に近い有孔率を持つ層が、純粋なALD処理のみを用いるよりも高速に蒸着される。電解酸化コーティング208と類似した特性または同じ特性を持つ材料でポア212が充填されるので、電解酸化コーティング208と、ALD処理(工程108)によって蒸着されるポア212の充填材料との間に、熱膨張の不整合がない。電解酸化コーティング208およびALD216は、ポリマを持たない保護層を形成する。ポリマは、プラズマ内で比較的容易に劣化する。結果として得られる層は、より腐食耐性が高い。様々な実施形態において、ポア212がALD216で充填されると、ALD216は電解酸化コーティング208の厚さを通して伸び、その結果、構成要素本体204は露出されない。様々な実施形態において、ALD216は、構成要素本体204が露出されないように、ポア212の上部を覆う(キャップする)。
【0045】
例示的実施形態において、ALD216は、最小限のポケットでポア212を充填する。かかる実施形態において、構成要素本体204は露出されない。他の実施形態において、ALD216は、ポケットを有しうる。かかる実施形態において、ALD216は、構成要素本体204まで伸びて構成要素本体204を被覆し、その結果、構成要素本体204は露出されない。
【0046】
上記の例および他の実施形態において、ALD処理(工程108)は、プラズマを利用しない処理である。他の実施形態において、ALD処理(工程108)は、水蒸気の代わりにオゾンを用いる。様々な実施形態が、表面処理工程(工程106)なしで実行されてよい。
【0047】
理解を促すために、図4は、別の実施形態で利用される処理のハイレベルフローチャートを示す。一実施形態例において、セラミックコーティングが、構成要素の表面上に形成される(工程404)。この例において、セラミックコーティングは、プラズマ溶射を用いて蒸着される(工程404)。図5Aは、セラミックコーティング508を備える構成要素本体504を示す概略断面図である。セラミックコーティング508は、構成要素本体504の表面上にプラズマ溶射されている。セラミックコーティング508は、複数のポア512を有し、ここで、ポア512の一部は、開口部を形成している。開口部は、セラミックコーティング508の厚さを通して構成要素本体504の表面まで伸びている。ポア512は、本実施形態の働きをより良く説明するために、縮尺通りに描かれておらず、幅を拡大して図示されている。さらに、ポア512は、さらに不規則で曲がりくねっている場合もある。概略図は、本実施形態の働きのより良い理解を促すためのものである。本実施形態において、構成要素本体504は、陽極酸化アルミニウムで形成されている。別の実施形態において、構成要素本体504は、アルミニウムまたはセラミック体で形成されている。本実施形態において、セラミックコーティング508は、アルミナを含む。他の実施形態において、セラミックコーティング508は、アルミナ、酸化イットリウム(イットリア)、炭化アルミニウム、ヨウ化イットリウムセリア、ジルコニア、フッ素化イットリア、窒化アルミニウム、または、酸化ランタン、の内の少なくとも1つを含む。様々な実施形態において、セラミックコーティング508は、プラズマ電解酸化(PEO)、陽極酸化、または、セラミック溶射、の内の1または複数によって塗布される。
【0048】
プラズマ溶射は、溶射の一種である。プラズマ溶射のために、トーチが、2つの電極の間に電位を印加することによって形成され、加速されたガス(プラズマ)の電離を引き起こす。このタイプのトーチは、数千℃の温度まですぐに到達して、セラミックなどの高融点材料を融解させることができる。所望の材料の粒子がジェット内に投入される。粒子は融解されて、融解または可塑化された材料が構成要素本体504の表面をコーティングするように基板に向かって加速される。材料は冷えて、中実で共形のセラミックコーティング508を形成する。プラズマ溶射処理は、蒸着処理とは異なる。蒸着処理は、プラズマ溶射処理によって用いられる融解した材料を噴霧する代わりに、蒸発した材料を用いる。
【0049】
この実施形態において、セラミックコーティング508の厚さは、25μmより大きい。セラミックコーティング508をプラズマ溶射するためのレシピの一例において、搬送ガスが、アーチ空洞を通してノズルから押し出される。空洞内で、カソードおよびアノードが、アーク空洞の一部を含む。カソードおよびアノードは、搬送ガスが電離し始めてプラズマを形成するまで、大きい直流(DC)バイアス電圧に維持される。次いで、熱い電離ガスは、ノズルから押し出されて、トーチを形成する。チャンバ内へ、ノズルの近くに、数十マイクロメートルのサイズの流動セラミック粒子が注入される。これらの粒子はセラミックの融点を超える温度まで、プラズマトーチ内の熱い電離ガスによって加熱される。次いで、プラズマおよび融解セラミックのジェットは、構成要素本体504に向けられる。粒子は、構成要素本体504に衝突し、平らになって冷えることで、セラミックコーティング508を形成する。
【0050】
表面処理が、セラミックコーティング508に施される(工程406)。この例では、表面処理は、150℃~320℃の範囲の温度のオゾン流にセラミックコーティング508を暴露させることによって施される。この表面処理は、或る程度の洗浄を提供し、次のALD処理に向けて表面を準備する。炭化水素またはその他の汚染物質が表面にないこと、そして、表面が、金属前駆体との第1反応物質を吸収するために活性酸素ラジカルを有することが重要である。
【0051】
次いで、原子層蒸着(ALD)処理が提供される(工程408)。原子層蒸着処理(工程408)は、複数回のサイクルを含む。この例において、各サイクルは、第1反応物質を供給する工程(工程412)と、第1反応物質をパージする工程(工程414)と、第2反応物質を供給する工程(工程416)と、第2反応物質をパージする工程(工程418)と、を備える。この実施形態において、構成要素本体504は、セラミックコーティング508内のポア512の表面を被覆するための酸化アルミニウム(Al)ALD膜の蒸着に向けて約150℃~320℃の間の温度に維持される。この実施形態において、第1反応物質を供給する工程(工程412)は、500~200sccmのトリメチルアルミニウム(Al(CH)を供給する工程を含む。トリメチルアルミニウムの量は、リアクタのサイズと、リアクタ内に同時に配置される構成要素本体504の数とによって変化する。第1反応物質は、ポア512の表面を含むセラミックコーティング508の表面上に、第1反応層すなわちアルミニウム含有層を形成する。第1反応物質の流れは、10~30秒後に停止される。10~30秒は、通常、構成要素本体504の表面上に吸収アルミニウム(Al)およびメチルラジカル(CH)の単層を形成するのに十分である。
【0052】
第1反応物質をパージする工程(工程414)は、窒素を流し込む工程を含む。この実施形態において、第2反応物質を供給する工程(工程416)は、水蒸気の流れを供給する工程を含む。水蒸気は、第1反応層内のアルミニウムを加水分解することによって第1反応層と反応する。第2反応物質の流れは、10~30秒後に停止される。第2反応物質をパージする工程(工程418)は、窒素を流し込む工程を含む。これらの反応物質の各々は、ハーフサイクルとして定義されるサイクルで構成要素本体504の表面上に吸収されて反応する。吸収は、1つの原子層に限定される。これら2つの反応物質は、ALD膜の薄層(例えば、Alでは、約1Åの厚さ)を形成する。ALD処理は、ポア512すべてが完全に充填されるまで継続される(工程408)。図5Bは、ポア512がALD516によって完全に充填された後のセラミックコーティング508を備えた構成要素本体504を示す概略断面図である。
【0053】
次いで、表面は研磨される(工程420)。この例において、研磨処理は、ポア512を充填していないALD516の部分を除去し、さらに、滑らかな研磨ALD表面を提供するために、構成要素本体504の表面を研磨してもよい。
【0054】
構成要素本体504は、プラズマ処理チャンバ内に取り付けられる(工程424)。プラズマ処理チャンバは、基板を処理するために用いられる(工程428)。プラズマが、ウエハ366を処理するためにチャンバ内で生成される。かかる処理は、ウエハ366上のスタックをエッチングする処理であってよい。ウエハ366の処理(工程428)は、構成要素本体504をプラズマに暴露させる。
【0055】
この実施形態において、ALD516および構成要素本体504の研磨は、滑らかな仕上げ面を提供する。実験によると、プラズマ溶射では、ALD516なしのコーティングが、約20ボルト/ミクロンの絶縁耐力を有することがわかった。同じコーティングが、ALD516の追加後には、約40ボルト/ミクロン以上の絶縁耐力を有する。したがって、ALD516の追加は、絶縁耐力を約4倍に高める。
【0056】
図6は、別の実施形態で利用される処理のハイレベルフローチャートを示す。一実施形態例において、電解酸化コーティングが、構成要素の表面上に形成される(工程604)。図7Aは、電解酸化コーティング708を備える構成要素本体704を示す概略断面図である。電解酸化コーティング708は、複数のポア712を有し、ここで、ポア712の一部は、開口部を形成している。開口部は、電解酸化コーティング708の厚さを通して構成要素本体704の表面まで伸びている。ポア712は、本実施形態の働きをより良く説明するために、縮尺通りに描かれておらず、幅を拡大して図示されている。さらに、ポア712は、さらに不規則で曲がりくねっている場合もある。概略図は、本実施形態の働きのより良い理解を促すためのものである。本実施形態において、構成要素本体704は、アルミニウムで形成されている。この実施形態において、電解酸化コーティング708は、アルミニウム、チタン、または、マグネシウム、の内の少なくとも1つの酸化物またはフッ素化酸化物を含む。
【0057】
溶射コートが、電解酸化コーティング708の上に蒸着される(工程612)。図7Bは、溶射コーティング716が電解酸化コーティング708上に蒸着された後の電解酸化コーティング708を備えた構成要素本体704を示す概略断面図である。溶射コーティング716は、電解酸化コーティング708内のポア712を部分的に充填しうる。溶射コーティング716は、電解酸化コーティング708内のポア712を被覆する。溶射コーティング716は、ポア720を有する。一般に、溶射コーティング716のポア720は、電解酸化コーティング708のポア712と整列していない。しかしながら、溶射コーティング716のポア720の一部は、電解酸化コーティング708のポア712の一部と整列しうる。プラズマ溶射コーティングは、基板を保護するために密度が高く、高い絶縁破壊電圧を得るために厚くなければならない。かかる組みあわせは、温度サイクリング中に亀裂を生じやすい。その代わりに、プラズマ溶射コーティングがPEO上に塗布された場合、PEOは温度サイクリング中にはるかに安定であるため、その上に比較的低密度の溶射コートを塗布することで、より高い累積破壊電圧を達成することができる。結果として得られるコーティングには、亀裂が入りにくくなる。
【0058】
以上、いくつかの実施形態を参照しつつ本開示について説明したが、本開示の範囲内で、様々な代替物、置換物、変形物、および、等価物が存在する。また、本開示の方法および装置を実施する他の態様が数多く存在することにも注意されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれる代替物、置換物、および等価物の全てを網羅するものとして解釈される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバの構成要素をコーティングするための方法であって、
前記構成要素の表面の上に電解酸化コーティングを形成し、前記電解酸化コーティングは複数のポアを有し、前記電解酸化コーティングは厚さを有し、前記複数のポアの内の少なくとも一部は、前記電解酸化コーティングの前記厚さを通して伸びており、
原子層蒸着処理を用いて、前記電解酸化コーティング上に原子層蒸着物を蒸着させ、前記原子層蒸着処理は複数回のサイクルを備え、各サイクルは、
第1反応物質を流し込み、前記第1反応物質は、前記電解酸化コーティングの前記ポア内に第1反応層を形成し、前記第1反応層は、前記電解酸化コーティングの前記厚さを通して伸びており、
前記第1反応物質の前記流し込みを停止し、
第2反応物質を流し込み、前記第2反応物質は、前記第1反応層と反応し、
前記第2反応物質の前記流し込みを停止することを含むこと、
を備える、方法。
【外国語明細書】