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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063532
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240502BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240502BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610J
H05K5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171570
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】田村 祐二
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 総史
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 彰久
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB51
4E360BA01
4E360BD02
4E360EA03
4E360EA25
4E360EB01
4E360ED02
4E360ED14
4E360EE02
4E360GA11
4E360GA52
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC13
5G361BA06
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】車両に対して安定した固定状態に保つこと。
【解決手段】開口部24aを有するケース体と、該ケース体の開口部24aを塞ぐカバー体10とが備えられ、ケース体20には、車両に固定する2つの車両固定部50a,50bと、車両に向けて突出する2つの突起部60a,60bとが設けられ、車両固定部50a,50bは、ケース体20を車両に対して所定の隙間da,dbを設けて固定し、突起部60a,60bは、車両に対して所定の隙間da,dbより小さな隙間dsが設定され、2つの突起部60a,60bは、開口部24aの開口方向から視て2つの車両固定部50a,50bを通る仮想直線L1を隔てた両側の夫々に配設された。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケース体と、該ケース体の前記開口部を塞ぐカバー体とが備えられ、
前記ケース体には、車両に固定する2つの車両固定部と、車両に向けて突出する2つの突起部とが設けられ、
前記車両固定部は、前記ケース体を車両に対して所定の隙間を設けて固定し、
前記突起部は、車両に対して前記所定の隙間より小さな隙間が設定され、
2つの前記突起部は、前記開口部の開口方向から視て2つの前記車両固定部を通る仮想直線を隔てた両側の夫々に配設された
電気接続箱。
【請求項2】
前記突起部は、前記ケース体の端部の近傍に配設された
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ケース体の底面部は、互いに対向する2辺を2組有し、
前記開口方向から視て前記2組のうち、一方の組の各辺の近傍に前記車両固定部を備えるとともに、他方の組の各辺に前記突起部を備えた
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記突起部は、前記辺に沿って延びる辺状突起部である
請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記突起部は、前記辺状突起部と、該辺状突起部から前記仮想直線に向けて延びる補強突起部とを備えた
請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記ケース体における、前記仮想直線を隔てた両側のうち、少なくとも一方にハーネス導通部が設けられ、
前記ハーネス導通部に前記突起部が配設された
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項7】
電子部品を収容する収容空間が内部に形成された箱形状の前記ケース体は、該ケース体の側面部を形成するベースと、前記ケース体の少なくとも底面部を形成するロアカバーとが備えられ、
前記ベースと前記ロアカバーとは、互いに組付け可能に別部材で形成され、
前記車両固定部は前記ベースに設けられるとともに、前記突起部は前記ロアカバーに設けられた
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項8】
電子部品を収容する収容空間が内部に形成された箱形状の前記ケース体は、該ケース体の側面部を形成するベースと、前記ケース体の少なくとも底面部を形成するロアカバーとが備えられ、
前記ベースと前記ロアカバーとは、互いに組付け可能に別部材で形成され、
前記車両固定部と前記突起部とは、前記ロアカバーに設けられた
請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に固定する車両固定部が設けられたケース体を備えた電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車等の車両用のバッテリに組み付けられてバッテリと各種の電装品との間を接続する電気接続箱が提案されている。
このような電気接続箱は、ケース体に設けられた車両固定部を車両パネル等の車両に当接させた状態でボルト等の固定手段で固定することで車両における所定箇所に搭載される。
【0003】
ところで、電気接続箱は、ケース体の製造公差や車両へ取り付けた際の取付け公差等を考慮して例えば、車両固定部以外の箇所については車両との間に隙間を確保して配置される場合がある。
【0004】
しかし、車両固定部以外の箇所について車両との間に隙間を確保して配置された電気接続箱に対して意に反する外力が入力された場合、電気接続箱は、車両固定部を支点として大きく傾くことで、ケース体の車両に対する固定が不安定になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-186614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、車両に対して安定した固定状態に保つことができる電気接続箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、開口部を有するケース体と、該ケース体の前記開口部を塞ぐカバー体とが備えられ、前記ケース体には、車両に固定する2つの車両固定部と、車両に向けて突出する2つの突起部とが設けられ、前記車両固定部は、前記ケース体を車両に対して所定の隙間を設けて固定し、前記突起部は、車両に対して前記所定の隙間より小さな隙間が設定され、2つの前記突起部は、前記開口部の開口方向から視て2つの前記車両固定部を通る仮想直線を隔てた両側の夫々に配設された電気接続箱であることを特徴とする。
【0008】
この発明により、車両に対して安定した固定状態に保つことができる。
以下、本発明の作用効果について詳述するが、以下の説明において前記開口方向から視て、2つの前記車両固定部を通る仮想直線を第1仮想直線とも称するとともに、2つの前記突起部を通る仮想直線を第2仮想直線とも称する。
上述した発明により、第1仮想直線を隔てた両側の夫々に配設された2つの前記突起部を互いに離間して配設することができる。
これにより、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線とは、前記開口方向から視て互いに交差することとなる。
【0009】
よって、手押し等により意に反する外力が前記ケース体に作用し、前記ケース体が前記第1仮想直線を隔てた両側のうち何れか一方側へ傾いた場合においても、該一方側に配設された前記突起部が車両に当接して、それ以上の前記ケース体の傾きを抑制することができる。
【0010】
従って、前記車両固定部に作用する曲げ応力等の負荷を低減できるため、例えば、前記車両固定部において車両に固定される固定手段が外れたり前記車両固定部が破損したりすることがなく、前記ケース体を車両に対して安定した固定した状態に保つことができる。
【0011】
また前記突起部は、前記ケース体から車両に向けて突出するが、車両に対して前記所定の隙間より小さな隙間が設定されているため、前記ケース体に、製造公差や、車両に対する設置公差が蓄積した場合においても、2つの前記車両固定部において車両に固定された前記ケース体に外力が作用していない状態において、前記突起部が車両に対して不用意に当接することがない。
【0012】
従って、前記突起部が支障することがなく、前記車両固定部を車両にしっかりと当接させた状態で強固に固定することができる。さらに上述したように、前記ケース体に外力が作用していない状態においては前記突起部が車両に対して不用意に当接することがないため、車両走行時の車両振動に伴って前記突起部の先端が車両に繰り返し当接することにより異音が発生することを未然に防止できる。
【0013】
ここで、前記突起部は、例えば、柱状すなわちボス状、或いは、直線、曲線又はこれらを組み合わせたリブ形状等様々な形態で形成してもよい。
また、この発明における前記車両は例えば、車両パネル、車両フレーム、車両ピラー等、車両における、前記ケース体を固定する箇所の周辺に備えた、車両の構成部材を示している。
よって、本発明は、前記車両固定部が、例えば、車両パネル、車両フレーム、車両ピラー等のいずれに固定された構成をも含むとともに、前記突起部が、例えば、車両パネル、車両フレーム、車両ピラー等のいずれに向けて突出された構成をも含むものとする。
【0014】
この発明の態様として、前記突起部は、前記ケース体の端部の近傍に配設されてもよい。
この発明により、2つの前記突起部は、前記ケース体における、2つの前記車両固定部を通る前記仮想直線、すなわち前記第1仮想直線を隔てた両側の夫々において互いに十分に離間した位置に設けることができる。これにより、前記第1仮想直線を隔てた両側のうち何れか一方側へ前記ケース体が不用意に傾いた場合においても、前記ケース体の外面ではなく、前記突起部を車両に確実に当接させることができ、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記ケース体の底面部は、互いに対向する2辺を2組有し、前記開口方向から視て前記2組のうち、一方の組の各辺の近傍に前記車両固定部を備えるとともに、他方の組の各辺に前記突起部を備えてもよい。
【0016】
この発明により、前記車両固定部と前記突起部とが異なる組の辺の近傍に配設されるため、同じ辺の近傍に配設される場合と比較して第1仮想直線と第2仮想直線との交差角度を90度に近付けて設定し易くなる。
【0017】
例えば、上述した2つの仮想直線の交差角度が小さい場合において、前記ケース体が前記第1仮想直線を隔てて何れか一方側へ前記ケース体が不用意に傾くと、突起部が車両に当接する前に、前記第1仮想直線から離れたケース体の外面部位が車両に当接するおそれが高くなる。
【0018】
これに対して、上述した2つの仮想直線の交差角度を90度に近付くように大きく設定することで、前記ケース体の外面ではなく、前記突起部を車両に確実に当接させることができるため、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記突起部は、前記辺に沿って延びる辺状突起部としてもよい。
この発明により、前記ケース体が上述したように傾いた場合においても、上述したように、前記ケース体の外面ではなく、前記辺状突起部を車両に確実に当接させることができる。さらにその際に、前記辺に沿って延びる前記辺状突起部が車両に当接するため、前記突起部は、車両から作用する負荷を前記辺に沿ってしっかりと受け止めることができる。従って、前記辺状突起部は、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
前記辺状突起部は、例えば、前記辺に沿って延びる直線状すなわちリブ形状、或いは、柱状すなわちボス状の突起部を前記辺に沿って複数設けた形態であってもよい。
【0020】
またこの発明の態様として、前記突起部は、前記辺状突起部と、該辺状突起部から前記仮想直線、すなわち前記第1仮想直線に向けて延びる補強突起部とを備えてもよい。
この発明により、前記辺状突起部を前記補強突起部で補強することで、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
【0021】
詳しくは、前記辺状突起部は、前記ケース体が上述したように傾いた場合において、車両に当接した際に、車両から過大な負荷が集中しても前記補強突起部によって負荷を分散できるため、前記突起部は、車両に対して広い範囲でしっかりと当接することができる。これにより、前記突起部は、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
ここで、前記突起部は、前記辺状突起部と前記補強突起部とを組み合わせることで例えば、コ字状、T字状、Π字状、L字状等様々な形態で形成してもよい。
【0022】
またこの発明の態様として、前記ケース体における、前記仮想直線、すなわち前記第1仮想直線を隔てた両側のうち、少なくとも一方にハーネス導通部が設けられ、前記ハーネス導通部に前記突起部が配設されてもよい。
【0023】
この発明により、前記ハーネス導通部から導通されるワイヤハーネスに外力が作用すると、その外力は、前記ワイヤハーネスを介して前記ハーネス導通部に作用し、前記ケース体が上述したように傾く場合がある。そのような場合においても、前記ハーネス導通部に配設された前記突起部が車両に当接することによってケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、電子部品を収容する収容空間が内部に形成された箱形状の前記ケース体は、該ケース体の側面部を形成するベースと、前記ケース体の少なくとも底面部を形成するロアカバーとが備えられ、前記ベースと前記ロアカバーとは、互いに組付け可能に別部材で形成され、前記車両固定部は前記ベースに設けられるとともに、前記突起部は前記ロアカバーに設けられてもよい。
この発明により、前記ロアカバーよりも前記ケース体の重心に近い前記ベースに、2つの前記車両固定部を設けることで前記ケース体を車両に対して安定して固定することができる。
【0025】
さらに、前記ロアカバーは前記ケース体に組付け時に、その組付け公差や前記ロアカバー自体の製造公差が蓄積するおそれがあるが、前記ケース体が上述したように傾いた場合においても公差が蓄積した前記ロアカバーが車両に当接することなく、前記ロアカバーに設けられた前記突起部が車両に確実に突き当たることで、前記ケース体の傾きを効果的に抑制することができる。
ここで前記電子部品は、例えば、コネクタ、リレー、ヒューズ、ワイヤハーネスのコネクタ、端子、バスバ等の部品を含む。
【0026】
またこの発明の態様として、電子部品を収容する収容空間が内部に形成された箱形状の前記ケース体は、該ケース体の側面部を形成するベースと、前記ケース体の少なくとも底面部を形成するロアカバーとが備えられ、前記ベースと前記ロアカバーとは、互いに組付け可能に別部材で形成され、前記車両固定部と前記突起部とは、前記ロアカバーに設けられてもよい。
【0027】
この発明により、前記突起部は、前記車両固定部が備えられた前記ロアカバーとは異なる前記ベースに設ける場合よりも前記車両固定部の近傍に設けることができる。このため前記突起部は、前記ケース体が上述したように傾いた場合においても前記車両固定部の近傍において車両に当接して前記ケース体の傾きを抑制できるため、前記車両固定部に作用する負荷を効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
この発明により、車両に対して安定した固定状態に保つことができる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態の電気接続箱を下方、長手方向の一方かつ短手方向の一方の側から視た外観斜視図
図2】本実施形態の電気接続箱を下方、長手方向の他方かつ短手方向の他方の側から視た外観斜視図
図3】本実施形態の電気接続箱の分解斜視図
図4】本実施形態の電気接続箱の底面図
図5】本実施形態の電気接続箱を短手方向の一方側から他方側を視た側面図
図6】(a)は本実施形態の電気接続箱を車両に搭載した状態における図5の領域Z1の拡大図、(b)は(a)の状態に対して外力が作用した場合の作用説明図
図7】(a)は本実施形態の電気接続箱を車両に搭載した状態における図5の領域Z2の拡大図、(b)は(a)の状態に対して外力が作用した場合の作用説明図
図8】変形例に係る電気接続箱の要部を下方、長手方向の一方かつ短手方向の一方の側から視た分解斜視図
図9】変形例に係る電気接続箱の要部を下方、長手方向の他方かつ短手方向の他方の側から視た分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の電気接続箱の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の電気接続箱1は、自動車等の車両における例えば、エンジンルームに設置され、バッテリと車両内に搭載される各種電子部品との間に接続されている。本実施形態の電気接続箱1は図1図2に示すように、略直方体形状に形成され、内部に図示省略するがリレー、ヒューズ、コネクタ等の電子部品が集約して収容されている。
【0031】
ここで、図中、矢印Xは電気接続箱1の長手方向、矢印Yは電気接続箱1の短手方向、矢印Zは電気接続箱1の上下方向を、夫々示し、以下の説明において長手方向をX方向、短手方向をY方向、上下方向をZ方向と記載する。さらに、矢印XaはX方向の一方側、矢印XbはX方向の他方側、矢印YaはY方向の一方側、矢印YbはY方向の他方側、矢印Zaは上方向、矢印Zbは下方向を、夫々示す。なお、電気接続箱1のY方向は、電気接続箱1の底面視でX方向に直交する方向であり、電気接続箱1のZ方向は、X方向およびY方向に直交する方向である。上述した各矢印は、電気接続箱1を車両に固定した状態の姿勢を基準としている。
【0032】
本実施形態の電気接続箱1は、図1図5に示すように、ケース体20と、カバー体10と、図3に示すようなブロック15とが備えられている。
カバー体10は、アッパーカバーとも称し、ケース体20の上方向Zaへ開口する開口部24aを閉塞可能に絶縁性の合成樹脂で成形されている。
【0033】
ケース体20は、収容空間sを内部に有する箱形状に形成され、収容空間sの上部には前記開口部24aを有している。ケース体20の収容空間sには上述のブロック15が設置されている。ブロック15に搭載された電子部品は図示省略するが、電子部品は、収容空間sにおいてブロック15の上面に配置された状態で保持されている。
【0034】
ケース体20は、図4に示すように、底面視で略矩形状に形成された底面部21と、図1図2に示すように、底面部21の外周に位置する辺縁部23から立ち上がる4つの側面部22(22La,22Lb,22Sa,22Sb)とを備えている。
【0035】
図4に示すように、底面部21の外周に位置する辺縁部23は、互いに対向する2つの辺縁部23S,23Lを2組有している。具体的に、底面部21は、X方向において互いに対向する2つの短辺縁部23Sa,23Sbと、Y方向において互いに対向する2つの長辺縁部23La,23Lbを有している。
【0036】
また図1図3に示すように、4つの側面部22は、X方向において収容空間sを隔てて互いに対向する2つの短辺側面部22Sa,22Sbと、Y方向において収容空間sを隔てて互いに対向する2つの長辺側面部22La,22Lbとを有している。底面部21の長辺縁部23La,23Lbは長辺側面部22La,22Lbの下端に沿って形成されるとともに、底面部21の短辺縁部23Sa,23Sbは短辺側面部22Sa,22Sbの下端に沿って形成されている。
【0037】
図1図3図5に示すように、このように箱形状に形成されたケース体20は、ベース30とロアカバー40とが備えられている。ベース30とロアカバー40は、何れも絶縁性の合成樹脂で成形されている。
【0038】
ベース30は、センターカバーとも称し、Z方向の直交断面が略矩形をした角筒状に形成され、4つの側面部32(32La,32Lb,32Sa,32Sb)を有している。ベース30はZ方向の各側に開口し、これら開口部のうち、上方向Zaに開口する開口部24aがケース体20の前記開口部24aである。
【0039】
ロアカバー40は、底面部21と、底面部21の外周に位置する辺縁部23から立ち上がる側面部42(42La,42Lb,42Sa,42Sb)とを有するトレイ形状に形成されている。
【0040】
図1図5に示すように、ケース体20は、図6(a)、図7(a)に示すような車両パネル100に固定する車両固定部50と、車両パネル100に向けて突出する突起部60と、不図示のワイヤハーネスを導通状態に保持するハーネス導通部70が設けられている。
【0041】
図1図5に示すように、車両固定部50は、一方側車両固定部50aと他方側車両固定部50bを備えている。
図1図5に示すように、一方側車両固定部50aは、Y方向の一方側Yaの長辺側面部22Laの上部、すなわちベース30の側面部32Laにおける、Z方向の一方側Zaの部位からケース体20の下端まで下方向Zbへ延びる脚部51aと、脚部51aの下端からY方向の一方側Yaへ突出し、ボルト挿通穴53aが貫通形成されたフランジ部52aとで一体に形成されている。
【0042】
図2図3に示すように、他方側車両固定部50bは、Y方向の他方側Ybの長辺側面部22Lbの上部、すなわちベース30の側面部32Lbにおける、Z方向の他方側Zbの部位からケース体20の下端まで下方向Zbへ延びる脚部51bと、脚部51bの下端からY方向の他方側Ybへ突出し、ボルト挿通穴53bが貫通形成されたフランジ部52bとで一体に形成されている。
【0043】
図1図5図6(a)、図7(a)に示すように、突起部60は、一方側突起部60aと他方側突起部60bを備え、何れもケース体20の底面部21から下方向Zbに突出して形成されている。
【0044】
図1図2図4図5に示すように、ハーネス導通部70は、一方側ハーネス導通部70aと他方側ハーネス導通部70bを備えている。
一方側ハーネス導通部70aは、ケース体20の下部における、底面視で後述する第1仮想直線L1を隔てた両側のうち一方側、すなわちX方向の一方側Xaに設けられるとともに、他方側ハーネス導通部70bは同じく他方側、すなわちX方向の他方側Xbに設けられている。
【0045】
具体的に、一方側ハーネス導通部70aは、ケース体20の下部における、X方向の一方側Xaの端部側において、Y方向の一方側Yaと他方側Ybとにおいて一対が備えられ、夫々Y方向の各側Ya,Ybへ円筒状に突設されている。また、他方側ハーネス導通部70bは、ケース体20の下部における、X方向の他方側Xbの端部側から該他方側Xb、Y方向の一方側Yaかつ下方向Zbの側へ円筒状に突設されている。
【0046】
ハーネス導通部70の内部は、突出方向の先端に向けて開口するとともにケース体20の内部において収容空間sと連通する。そして図示省略するが、ハーネス導通部70から収容空間sに導入されたワイヤハーネスの複数の電線は、収容空間sに収容された電子部品と電気的に接続されている。
【0047】
図1図3に示すようにY方向の一方側Yaと他方側Ybとの夫々に備えた一方側ハーネス導通部70aと、他方側ハーネス導通部70bは、何れもZ方向の各側Za,Zbに分割して構成され、上側部分71aがベース30に備えられるとともに、下側部分71bがロアカバー40に備えられている。
【0048】
上述したロアカバー40は、上述したベース30に対して下方向Zbの側から組付けられ、ベース30における、下方向Zbに開口する開口部を閉塞する。
上述したロアカバー40の側面部32(32La,32Lb,32Sa,32Sb)と上述したベース30の側面部42(42La,42Lb,42Sa,42Sb)とによってケース体20の側面部22(22La,22Lb,22Sa,22Sb)が形成されるとともに、ロアカバー40の底面部21によってケース体20の底面部21が形成される。
【0049】
また、一方側ハーネス導通部70aは、ベース30とロアカバー40とを組み付け時にベース30側の上側部分71aとロアカバー40側の下側部分71bとが一体に組付けられ、上述した円筒状に突出した形状に形成される。
【0050】
また、ベース30とロアカバー40とを組み付けた状態において図1図4図5に示すように、ベース30側に設けられた一方側車両固定部50aは、ロアカバー40に向けて延設され、フランジ部52aが底面視で底面部21のY方向の一方側Yaの長辺縁部23Laにおける、X方向の一方側Xaの部位の近傍に配設されている。
【0051】
さらにまた、ベース30とロアカバー40とを組み付けた状態において図2図4に示すように、ベース30側に設けられた他方側車両固定部50bは、ロアカバー40に向けて延設され、フランジ部52bが底面視で底面部21のY方向の他方側Ybの長辺縁部23Lbにおける、X方向の他方側Xbの部位の近傍に配設されている。
【0052】
また、図示省略するが電気接続箱1は、一方側車両固定部50aと他方側車両固定部50bとの各フランジ部52a,52bが、図6(a)、図7(a)に示すような車両パネル100に当接した状態で、車両パネル100に対してボルトおよびナット等の固定部材で固定される。これにより、電気接続箱1は、一方側車両固定部50aと他方側車両固定部50bとの2箇所において車両パネル100に固定される。
【0053】
その際、電気接続箱1は、車両固定部50における車両パネル100に対する固定部分以外の部分については車両に対して、すなわち周辺に存在する車両パネル100や車両に搭載された車載部品に対して当接せずに所定の隙間を設けて配置されている。
【0054】
例えば、ケース体20の底面部21は、図6(a)、図7(a)に示すように、該底面部21と対向する車両パネル100に設置されていない。
詳しくは、図6(a)に示すように、底面部21における、後述する一方側突起部60aの周辺において最も車両パネル100に近接する平坦部位27については車両パネル100に対して所定の隙間daが設けられている。一方、図7(a)に示すように、底面部21における、後述する他方側突起部60bの周辺において最も車両パネル100に近接する突状部位28についても車両パネル100に対して所定の隙間dbが設けられている。なお、突状部位28は、ケース体20の底面部21から下方向Zbへ突出するが、突起部60よりも短い突き出し量で形成され、ケース体20の本体部分の一部を成す部位である。
【0055】
図6(a)、図7(a)に示すように、突起部60は、電気接続箱1が車両パネル100に固定された状態において、上述したように下方向Zbに突出して形成されている。一方側突起部60aと他方側突起部60bとは共に、突出方向の先端、すなわち下端が、対向する車両パネル100に到達するまで突出しておらず、車両パネル100に対して上述した所定の隙間da,dbより小さな隙間dsが設定されている。
【0056】
詳しくは、突起部60と車両パネル100との隙間dsは、車両の通常走行時の振動によっても車両パネル100に当接しない大きさに設定されている。
具体的には、通常走行時の振動が入力されると車両固定部50で車両パネル100に固定された電気接続箱1は振動するが、当該振動によって変位する突起部60が車両パネル100と当接しない大きさに前記隙間dsを設定している。つまり、車両の通常走行時における突起部60の最大変位よりも前記隙間dsを大きく設定している。従って、前記隙間dsは車両固定部50に対する突起部60の位置、電気接続箱1の質量、入力される振動など様々な要因によって前記隙間dsの大きさを設定することとなる。
さらに突起部60と車両パネル100との隙間dsは、電気接続箱1が、手押し等により意に反する外力が作用することで2つの車両固定部50を支点として傾いても、ケース体20の底面部21や側面部22が車両パネル100に当接するよりも先に当接する大きさに設定されている。
【0057】
なお、本実施形態において、図6(a)に示す平坦部位27と図7(a)に示す突状部位28は、何れも車両パネル100に対して5mm程度の隙間da,dbである。これに対して、一方側突起部60aと車両パネル100とは、上述した所定の隙間da,dbの4分の1~2分の1の範囲内となる2mm程度の隙間dsに設定されているが、この大きさに限定しない。また、本実施形態においては構成を簡素化するために、一方側突起部60aと他方側突起部60bは共に、車両パネル100に対する隙間dsが同じ大きさに設定しているが、異なる大きさに設定してもよい。
【0058】
ここで図4に示すように、底面視で一方側車両固定部50aと他方側車両固定部50bとを通る仮想直線を第1仮想直線L1とすると、一方側突起部60aは、ケース体20の底面部21における、第1仮想直線L1を隔てた両側のうち一方の側、すなわち、X方向の一方側Xaに配設されるとともに、他方側突起部60bは、同じく第1仮想直線L1を隔てた両側のうち他方の側、すなわち、X方向の他方側Xbに配設されている。
【0059】
これにより、一方側突起部60aと他方側突起部60bとは図4に示すように、底面視で一方側突起部60aと他方側突起部60bとを通る仮想直線を第2仮想直線L2とすると、第2仮想直線L2と上述した第1仮想直線L1とが底面視で極力直交するように、すなわち90度に近い交差角度αで交差するように配設されている。
【0060】
さらに図4に示すように、一方側突起部60aと他方側突起部60bは共に、ケース体20の底面部21における辺縁部23の近傍に配設されているため、第1仮想直線L1を隔てた両側の夫々に配設した状態において互いに極力離間する位置に配設されている。
【0061】
本実施形態において、図1図4に示すように、一方側突起部60aは、底面部21のX方向の一方側Xaの短辺縁部23Saの近傍に配設されとともに、他方側突起部60bは、底面部21のX方向の他方側Xbの短辺縁部23Sbの近傍に配設されており、何れもロアカバー40の側に設けられている。
【0062】
また図1図2図4に示すように、一方側突起部60aは、底面部21のX方向の一方側Xaの短辺縁部23Saに沿って直線状に連続して延びる辺状突起部61aと、辺状突起部61aを補強する補強突起部62aを備えている。図4に示すように、補強突起部62aは、辺状突起部61aのY方向に沿って延びる長手方向の両端部61at,61atから第1仮想直線L1に向けて、詳しくはXb方向と一致する方向へ直線状に連続して互いに平行に延びる一対を備えている。
これにより、一方側突起部60aは、底面視でX方向の他方側Xbに向けて開放するとともに辺状突起部61aのY方向の両端部61at,61atに角部を有するU字形状に形成されている。
【0063】
同図に示すように、他方側突起部60bは、X方向の他方側Xbの短辺縁部23Sbに沿って直線状に連続して延びる辺状突起部61bと、辺状突起部61bを補強する補強突起部62aを備えている。図4に示すように、補強突起部62bは、辺状突起部61bのY方向に沿って延びる長手方向の両端部61bt,61btから第1仮想直線L1に向けて、詳しくはXb方向と一致する方向へ直線状に連続して互いに平行に延びる一対を備えている。
これにより、他方側突起部60bは図4に示すように、底面視でX方向の一方側Xaに向けて開放するとともに辺状突起部61bのY方向の両端部61bt,61btに角部を有するU字形状に形成されている。
【0064】
本実施形態において、一方側突起部60aは、底面視で他方側突起部60bよりも第1仮想直線L1に対して離間する部位に配設され、他方側突起部60bよりも大きく形成されている。具体的に一方側突起部60aは、辺状突起部61aと補強突起部62aとの夫々が、他方側突起部60bにおける辺状突起部61bと補強突起部62bの夫々よりも長く形成されている。
【0065】
図1図2図5図7(a)に示すように、他方側突起部60bの補強突起部62aの下端部かつX方向の一方側Xaの端部のコーナー部63は、側面視で弧状に形成されている。
また図4に示すように、上述した他方側突起部60bは、辺状突起部61aが上述した他方側ハーネス導通部70bの突出方向の基端部に配設されている。
【0066】
上述した本実施形態の電気接続箱1は、図1図2図4図5図6(a)、図7(a)に示すように、ケース体20に、底面部21から図6(a)、図7(a)に示す車両パネル100に向けて突出する一方側突起部60aと他方側突起部60bとが設けられている。さらに、図6(a)、図7(a)に示すように、一方側突起部60aと他方側突起部60bとは、車両に対して所定の隙間da,dbより小さな隙間dsが設定され、図4に示すように、底面視で第1仮想直線L1を隔てた両側の夫々に配設されている。このため電気接続箱1は、車両パネル100に固定された状態において意に反する外力が入力された場合においても車両に対して強固に固定した状態に保つことができる。
【0067】
詳しくは、2つの突起部60は、底面視で2つの車両固定部50を通る第1仮想直線L1を隔てた両側の夫々に配設されることでX方向において互いに離間して配設することができる。
これにより、2つの突起部60を通る第2仮想直線L2は、底面視で第1仮想直線L1に対して交差することとなる。
【0068】
このため、例えば、2つの車両固定部50において車両パネル100に固定されている電気接続箱1に対して手押し等により意に反する外力が第1仮想直線L1に対してX方向の一方側Xaから下方向Zbへ入力された場合、図6(b)に示すように、一方側突起部60aを備えていない従来の電気接続箱200においては、2つの車両固定部50を支点として、すなわち第1仮想直線L1を中心軸としてX方向の一方側Xaが下方向Zbへ大きく傾き(図6(b)中の太矢印参照)、図6(b)中の仮想線に示すように、ケース体20’の底面部や側面部が車両パネル100に当接した姿勢となる。
【0069】
これに対して本実施形態の電気接続箱1は、2つの車両固定部50を支点としてX方向の一方側Xaが下方向Zbへ傾こうとするが、図6(b)に示すように、一方側突起部60aが車両パネル100に当接し、それ以上の電気接続箱1の傾きを抑制することができる。
【0070】
また、意に反する外力が第1仮想直線L1に対してX方向の他方側Xbから下方向Zbへ入力された場合、図7(b)に示すように、他方側突起部60bを備えていない従来の電気接続箱200においては、第1仮想直線L1を中心軸としてX方向の他方側Xbが下方向Zbへ大きく傾き(図7(b)中の太矢印参照)、ケース体20’の底面部や側面部が車両パネル100に当接した姿勢となる。
【0071】
これに対して本実施形態の電気接続箱1は、意に反する外力により2つの車両固定部50を支点としてX方向の他方側Xbが下方向Zbへ傾こうとするが、図7(b)に示すように、他方側突起部60bが車両パネル100に当接し、それ以上の電気接続箱1の傾きを抑制することができる。
【0072】
このように、本実施形態の電気接続箱1は、2つの車両固定部50を支点としてX方向の何れの側が降下するように傾いても一方側突起部60aまたは他方側突起部60bが車両に当接して、それ以上の傾きを抑制することができる。
【0073】
従って、本実施形態の電気接続箱1は、意に反する外力が第1仮想直線L1に対してX方向の何れの側へ傾こうとしても、第1仮想直線L1に沿った軸回りの曲げ応力等の負荷が車両固定部50に作用することを低減できるため、例えば、車両固定部50において、車両に固定される固定部材が外れたり車両固定部50が破損したりすることがなく、ケース体20を車両パネル100に対して強固に固定した状態に保つことができる。
【0074】
また、図1図2図4に示すように、一方側突起部60aと他方側突起部60bとは共に、ケース体20の底面部21の辺縁部23の近傍に配設されたため、底面部21における、第1仮想直線L1を隔てた両側の夫々において互いに極力離間した位置に設けることができる。これにより、第1仮想直線L1を隔てた両側、すなわち、X方向の両側Xa,Xbのうち何れか一方側が降下するようにケース体20が不用意に傾いた場合においても、ケース体20の外面ではなく、一方側突起部60aまたは他方側突起部60bを車両パネル100に確実に当接させることができ、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、同図に示すように、ケース体20の底面部21は、互いに対向する2つの辺縁部23S,23Lを2組有し、底面視で2組のうち、Y方向において対向する各長辺縁部23La,23Lbの近傍に車両固定部50を備えるとともに、X方向において対向する各短辺縁部23Sa,23Sbの近傍に突起部60を備えることにより、車両固定部50と突起部60とが底面視で互いに対向する辺縁部23の近傍に配設されないため、例えば、同じ辺縁部23の近傍に配設される場合と比較して図4に示すように、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2との交差角度αを90度に近付くように大きく設定することができる。
【0076】
これにより、底面視で第1仮想直線L1を隔てて何れか一方側へケース体20が不用意に傾いた場合においても、ケース体20の外面ではなく、突起部60を車両に確実に当接させることができ、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0077】
また、図1図2図4に示すように、一方側突起部60aの辺状突起部61aは、一方側短辺縁部23Saに沿って延びるとともに、他方側突起部60bの辺状突起部61bは、他方側短辺縁部23Sbに沿って延びるため、ケース体20が上述したように傾いた場合においても、辺状突起部61a又は辺状突起部61bを車両パネル100にしっかりと当接させて車両パネル100から作用する負荷をしっかりと受け止めることができる。従って、突起部60は、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0078】
また、図4に示すように、一方側突起部60aは、辺状突起部61aと、辺状突起部61aを補強する補強突起部62aとを備え、補強突起部62aは、辺状突起部61aから第1仮想直線L1の側へ延びる。また、他方側突起部60bは、辺状突起部61bと、辺状突起部61bを補強する補強突起部62bとを備え、補強突起部62bは、辺状突起部61bから第1仮想直線L1の側へ延びる。これらにより、辺状突起部61a,61bを補強突起部62a,62bで補強することができ、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0079】
詳しくは、辺状突起部61a,61bは、意に反する外力によりケース体20が上述したように傾いた場合において、側面視で突出方向が車両パネル100に対して直交する方向と一致する姿勢で当接せず、突出方向の先端が基端側よりも第1仮想直線L1の側へ位置するように傾く姿勢で当接する。このため、辺状突起部61a,61bは、車両パネル100に当接した際に、突出方向の先端が第1仮想直線L1の側へ傾く方向の応力が作用するが、補強突起部62a,62bで補強することで、車両パネル100に対してしっかりと当接することができる。これにより、突起部60は、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0080】
また、図1図2図4図7(a)に示すように、ケース体20の下部におけるX方向の他方側Xbには、他方側ハーネス導通部70bが設けられ、該他方側ハーネス導通部70bには他方側突起部60bが配設されたため、他方側ハーネス導通部70bに外力が作用してケース体20のX方向の他方側XbがZb方向へ変位するように傾いても、その傾きを他方側突起部60bによって効果的に抑制することができる。
【0081】
詳しくは、他方側ハーネス導通部70bに導通されるワイヤハーネスに外力が作用すると、その外力は、ワイヤハーネスを介して他方側ハーネス導通部70bに作用し、ケース体20は上述したように、X方向の他方側XbがZb方向へ変位するように傾く場合がある。そのような場合においても、他方側ハーネス導通部70bに配設された他方側突起部60bが車両パネル100に当接することによってケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0082】
また、図1図5に示すように、ケース体20は、互いに組付け可能に別部材で形成されたベース30とロアカバー40とが備えられ、車両固定部50はベース30に設けられるとともに、突起部60はロアカバー40に設けられたため、ロアカバー40よりもケース体20の重心に近いベース30に、2つの車両固定部50を設けることでケース体20を車両パネル100に対して安定して固定することができる。
【0083】
さらに、ロアカバー40はベース30に組付け時に、その組付け公差やロアカバー40自体の製造公差が蓄積するおそれがあるが、ケース体20が上述したように傾いた場合においても公差が蓄積したロアカバー40が車両に当接することなく、ロアカバー40に突起部60を設けられた突起部60が車両に確実に突き当たることで、ケース体20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0084】
さらに、突起部60は、ベース30よりも車両パネル100に近いロアカバー40に設けられたため、車両パネル100へ向けて突出する長さを短くできるとともに、車両パネル100へ当接することにより作用する負荷に対して強度を高めることができる。
【0085】
その他にも、箱形状のケース体20は、単一の部品から成るように樹脂成形により一体に形成するよりも、上述したように、ベース30とロアカバー40との構成部品ごとに樹脂成形により個別に形成することで成形性を高めることができる。
【0086】
また本実施形態においては、図3に示したように、一方側ハーネス導通部70aがZ方向の各側Za,Zbに分割して構成され、上側部分71aがベース30に備えられるとともに、下側部分71bがロアカバー40に備えられた構成としたため、ロアカバー40とベース30とを互いに組付け時にハーネス導通部70の上側部分71aと下側部分71bとの間にワイヤハーネスを挟み込むようにして組み付けることで、不図示のワイヤハーネスを例えば、円筒状に一体に形成された一部品から成る一方側ハーネス導通部70aのハーネス導入口へ挿入するよりも容易に導通させることができる。
【0087】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、本発明のケース体は、上述したケース体20のように、別部材で形成したベース30とロアカバー40とを備えた構成に限らず、単一の部材により一体に形成された構成も排除しない。
【0088】
また本発明は、上述したように、車両固定部50がベース30に設けられた構成に限らず、図8図9に示すように、車両固定部50’がロアカバー40に設けられた構成としてもよい。この構成により、ケース体20の底面部21を車両パネル100に対向した姿勢で配置する場合、車両固定部50をベース30側からロアカバー40の側へ延設する必要がなく、コンパクトに形成することができる。
【0089】
その他にも、本発明の車両固定部は、上述した車両固定部50のように底面視で長辺縁部23La,23Lbの近傍に設けるに限らず、短辺縁部23Sa,23Sbの近傍に配設してもよい。また、本発明の突起部は、上述した突起部60のように、底面視で短辺縁部23Sa,23Sbの近傍に設けるに限らず、長辺縁部23La,23Lbの近傍に配設してもよい。さらにまた、車両固定部50と突起部60とのうち、少なくとも一方は、ケース体20の底面部21に配設するに限らず、ケース体20の側面部22に設けてもよい。
【0090】
本発明の突起部は、辺状突起部61aと補強突起部62aとを組み合わせることで上述したU字形状に形成するに限らず、例えば、底面視でT字状、Π字状、L字状等様々な形態で形成してもよい。
【0091】
また、本発明の突起部は、ケース体20が上述したように傾いた場合において、車両パネル100に当接し、それ以上のケース体20の傾きを抑制可能であれば、本実施形態の突起部60のように、辺状突起部61aと補強突起部62aとのうち、辺状突起部61aのみが車両に当接することに限らず、少なくとも一方が車両パネル100に当接してもよい。
【0092】
また、車両固定部50において電気接続箱1と車両パネル100に固定する固定部材は、上述したように、ボルトおよびナットに限らず、クリップであってもよい。また、ボルトは、車両パネル100の取付け箇所に植設されたスタッドボルトを含む。さらにまた、電気接続箱1を固定する車両は、車両パネル100に限らず、車体フレーム等であってもよい。
【0093】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、「開口部の開口方向から視て」は、「底面視で」に対応し、同様に
「2つの車両固定部を通る仮想直線」は、第1仮想直線L1に対応し、
「ケース体の端部」は、「底面部21の短辺縁部23Sa,23Sb」に対応し、
「対向する2辺」、又は「一方の組の各辺」は、「対向する2つの短辺縁部23Sa,23Sb」に対応し、
「対向する2辺、又は他方の組の各辺」は、「対向する2つの長辺縁部23La,23Lb」に対応し、
「ハーネス導通部に配設された突起部」は、他方側突起部60bに対応し、
車両は車両パネル100に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0094】
1…電気接続箱
10…カバー体
20…ケース体
21…前記ケース体の底面部
23Sa,23Sb…短辺縁部
23Sa,23Sb…長辺縁部
24a…開口部
30…ベース
32…ケース体の側面部
40…ロアカバー
50,50’…車両固定部
60…突起部
60a…一方側突起部
60b…他方側突起部
61a,61b…辺状突起部
62a,62b…補強突起部
70…ハーネス導通部
100…車両パネル
s…収容空間
da,db…所定の隙間
ds…小さな隙間
L1…第1仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9