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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063719
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240502BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240502BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20240502BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240502BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240502BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02B5/30
G02B5/28
G02F1/13363
G02F1/1347
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036544
(22)【出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2022171375
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】早田 佑一
(72)【発明者】
【氏名】石黒 誠
(72)【発明者】
【氏名】一木 孝彦
【テーマコード(参考)】
2H088
2H148
2H149
2H189
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA23
2H088EA33
2H088FA29
2H088GA02
2H088GA03
2H088GA10
2H088GA13
2H088GA17
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA06
2H088JA10
2H088KA02
2H088MA01
2H148GA01
2H149BA01
2H149DA04
2H149FA27W
2H149FC08
2H189AA04
2H189AA35
2H189JA06
2H189JA10
2H189JA14
2H189MA08
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA33X
2H291FA33Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB05
2H291HA07
2H291HA15
2H291JA02
2H291LA21
2H291MA03
2H291PA85
5G435DD11
5G435DD12
5G435FF05
5G435FF13
(57)【要約】
【課題】表示画像の視認性に優れる表示装置を提供する。
【解決手段】調光ユニット、加飾層、及び、表示素子をこの順で有する、表示装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光ユニット、加飾層、及び、表示素子をこの順で有する、表示装置。
【請求項2】
前記調光ユニットと前記加飾層との間に、λ/4位相差層を更に有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記調光ユニットが電気的に駆動する方式である、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記調光ユニットが液晶分子を駆動させる方式である、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記調光ユニットが、電圧の印加によって配向方向が変化する液晶分子を含む液晶層を含み、
前記液晶層に電圧を印加したときには前記液晶分子が一方向へと水平配向し、前記液晶層に電圧を印加しないときには前記液晶分子が垂直配向している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記液晶層に電圧を印加した際に、前記一方向と平行な直線偏光を前記調光ユニットに入射した場合の直線偏光の平行線透過率が20%未満である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記液晶層に電圧を印加した際に、前記一方向と平行な直線偏光を前記調光ユニットに入射した場合の直線偏光の平行線透過率が10%未満である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記調光ユニットの厚みが10~500μmである、請求項1、2及び5~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記加飾層が、印刷層、コレステリック液晶層及び誘電体多層膜よりなる群から選択される少なくとも1種の層である、請求項1、2及び5~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記調光ユニットと前記加飾層との間の距離が10~500μmである、請求項1、2及び5~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記調光ユニットと前記加飾層との間に接着層を更に有する、請求項1、2及び5~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記接着層の厚みが3~150μmである、請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調光フィルムとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、第1の積層体と、第2の積層体と、第1の積層体及び第2の積層体により挟持された液晶層と、液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーと、を備える調光フィルムであって、第1の積層体及び第2の積層体は、透明フィルムからなる基材と、基材に形成された電極とを有し、電極による駆動により液晶層の液晶分子の配向を制御して透過光を制御し、透過状態と遮光状態とを切り替え、スペーサーは、直径1~20μmのビーズスペーサーであり、液晶層の調光可能領域における、この調光フィルムを正面視した場合の単位面積当たりのスペーサーの占有率が0.1%以上10%以下であり、スペーサーは、第1の積層体の電極の上に設けられた配向層に埋設され、移動困難に保持され、第2の積層体の電極の上に設けられた配向層には埋設されていない、調光フィルムが記載されている。
【0003】
特許文献2には、意匠層と、上記意匠層と積層された透明樹脂層と、を有し、上記意匠層の開口部に光透過部が設けられ、上記透明樹脂層の意匠層と反対側の面に凹凸が設けられている加飾シート、及び、これを用いた表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-145903号公報
【特許文献2】特開2022-090637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、表示画像の視認性に優れる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
〔1〕調光ユニット、加飾層、及び、表示素子をこの順で有する、表示装置。
〔2〕上記調光ユニットと上記加飾層との間に、λ/4位相差層を更に有する、〔1〕に記載の表示装置。
〔3〕上記調光ユニットが電気的に駆動する方式である、〔1〕又は〔2〕に記載の表示装置。
〔4〕上記調光ユニットが液晶分子を駆動させる方式である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の表示装置。
〔5〕上記調光ユニットが、電圧の印加によって配向方向が変化する液晶分子を含む液晶層を含み、上記液晶層に電圧を印加したときには上記液晶分子が一方向へと水平配向し、上記液晶層に電圧を印加しないときには上記液晶分子が垂直配向している、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の表示装置。
〔6〕上記液晶層に電圧を印加した際に、上記一方向と平行な直線偏光を上記調光ユニットに入射した場合の直線偏光の平行線透過率が20%未満である、〔5〕に記載の表示装置。
〔7〕上記液晶層に電圧を印加した際に、上記一方向と平行な直線偏光を上記調光ユニットに入射した場合の直線偏光の平行線透過率が10%未満である、〔5〕又は〔6〕に記載の表示装置。
〔8〕上記調光ユニットの厚みが10~500μmである、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の表示装置。
〔9〕上記加飾層が、印刷層、コレステリック液晶層及び誘電体多層膜よりなる群から選択される少なくとも1種の層である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の表示装置。
〔10〕上記調光ユニットと上記加飾層との間の距離が10~500μmである、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の表示装置。
〔11〕上記調光ユニットと上記加飾層との間に接着層を更に有する、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の表示装置。
〔12〕上記接着層の厚みが3~150μmである、〔11〕に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示画像の視認性に優れる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の表示装置に用いる調光ユニットの一例を示す模式図である。
図2】調光ユニットに用いる透明電極の構成の一例を示す模式図である。
図3】本発明の表示装置の一例を示す模式図である。
図4】実施例で使用するパターンを示す図である。
図5】実施例で使用するパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。本発明の実施形態について図面を参照して説明する場合、重複する構成要素及び符号については、説明を省略することがある。図面において同一の符号を用いて示す構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
【0010】
本明細書における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。
本明細書における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による露光も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0011】
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において、樹脂成分の重量平均分子量(Mw)、樹脂成分の数平均分子量(Mn)、及び樹脂成分の分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー(株)製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー(株)製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
【0012】
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶媒を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、組成物の全組成から溶媒を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
また、本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0013】
〔表示装置〕
本発明の表示装置は、調光ユニット、加飾層、及び、表示素子をこの順に有する。本発明の表示装置は、視認側から、調光ユニット、加飾層及び表示素子がこの順に配置されることが好ましい。
【0014】
本発明の表示装置の用途としては、特に制限はなく、例えば、電子デバイス(例えば、ウエアラブルデバイス及びスマートフォン)、家電製品、オーディオ製品、コンピュータ、並びに、車載製品等の表示装置に用いることができる。中でも、自動車等の車載製品の表示装置に好適に用いることができる。
【0015】
従来の表示装置では、太陽光等の外光反射により、加飾層が見えにくくなる場合があった。
本発明者らが詳細に検討した結果、上記態様とすることにより、表示素子が画像を表示している場合(表示素子の表示がONの場合)の表示画像の視認性が向上することが、わかった。すなわち、表示素子が画像を表示していない場合(表示素子の表示がOFFの場合)は、調光ユニットの透過率が高くなるように設定することで、調光ユニットの表示素子側(視認側とは反対側又は背面側とも言う)にある加飾層の意匠がはっきり視認され、表示素子が画像を表示している場合は、画像を表示していない場合よりも調光ユニットの透過率が相対的に低くなるように設定することで、表示装置に入射する外光、及び、加飾層で反射された外光のいずれも調光ユニットが吸収又は散乱し、相対的に、表示画像の視認性が向上すると推定している。
【0016】
<調光ユニット>
上記表示装置は、調光ユニットを有する。
調光ユニットは、透過する光の透過率を調節可能な部材であり、より具体的には、調光ユニットを透過する光の透過率が高い状態と、調光ユニットを透過する光の透過率が低い状態とを切り換えることができる光学部材である。
【0017】
本発明の表示装置において用いられる調光ユニットとしては、例えば、PDLC(ポリマー分散型液晶)方式、PNLC(ポリマーネットワーク分散型液晶)方式、GHLC(ゲスト(二色性色素)-ホスト液晶)方式、SPD(無機吸収顔料分散)方式、エレクトロクロミック方式、及び、エレクトロウエッティング方式等の電気的に駆動する調光方式;フォトクロミック等の光応答型の調光方式;並びに、サーモクロミック等の温度応答型の調光方式等の各方式の調光ユニットが挙げられる。
表示素子による画像表示の有無(ON/OFF)に合わせた調光ユニットの制御が容易になる観点では、調光方式が電気的に駆動する方式である調光ユニットを用いることが好ましい。また、駆動速度の観点で、PDLC(ポリマー分散型液晶)方式、PNLC(ポリマーネットワーク分散型液晶)方式及びGHLC(ゲスト(二色性色素)-ホスト液晶)方式等の、液晶分子を駆動させる方式を用いた調光ユニットがより好ましい。
【0018】
電気的に駆動する方式の調光ユニットでは、電圧の印加により、調光ユニットを透過する光の透過率を切り換えることができる。一例として、電圧を印加した場合と電圧を印加しない場合のいずれか一方の場合に光の透過率が低くなり、他方の場合に光の透過率が高くなる調光ユニットが挙げられる。他の例として、印加した電圧が低い場合と高い場合のいずれか一方の場合に光の透過率が低くなり、他方の場合に光の透過率が高くなる調光ユニットが挙げられる。
調光ユニットが電気的に駆動する方式である場合、表示素子による画像表示との同期がより容易になる観点から、電圧を印加しない場合に調光ユニットの透過率が高く、電圧を印加する場合に調光ユニットの透過率が低くなる方式が好ましい。
【0019】
調光ユニットの厚みは、広視野角で視認性を向上させる観点で、10~500μmが好ましく、15~400μmがより好ましく、20~300μmが更に好ましく、30~200μmが特に好ましい。
【0020】
調光ユニットとしては、例えば、電気、光及び熱等の外部からの入力により透過率が高い状態と低い状態とに切り換えることができる調光層と、調光層を挟むように配置されている一対の透明支持層とを備える調光ユニットが挙げられる。
調光ユニットが電気的に駆動する方式である場合、上記調光層及び一対の透明支持層に加えて、更に、調光層に電圧を印加する機能を有する一対の電極を備えることが好ましい。
【0021】
本発明の表示装置において好適に使用される調光ユニットの一例について、以下に説明する。
図1は、本発明の表示装置に用いる調光ユニットの一例を示す模式図である。図1に示す調光ユニット10は、第1透明支持層12と、第2透明支持層14と、第1透明電極16と、第2透明電極18と、第1配向膜20と、第2配向膜22と、調光層24と、を備える。
第1透明支持層12及び第2透明支持層14は、調光層24を支持する一対の透明支持層である。第1透明支持層12上には、図示しない第1端子部が接続された第1透明電極16が配置され、第2透明支持層14上には、図示しない第2端子部が接続された第2透明電極18が配置され、第1透明電極16及び第2透明電極18の間に調光層24が配置されている。それぞれの端子部は図示しない制御部に接続されている。制御部が交流電圧である駆動電圧を生成することにより、第1透明電極16及び第2透明電極18の間に配置された調光層24に電圧が印加される。
第1配向膜20は、第1透明電極16と調光層24との間に配置されており、第2配向膜22は、第2透明電極18と調光層24との間に配置されている。後述するように、第1配向膜20及び第2配向膜22は、調光層24に含まれる液晶分子を配向させる機能を有する。
【0022】
第1透明支持層12及び第2透明支持層14は、透明電極及び調光層等の部材を支持する透明な基材である。各透明支持層としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、並びに、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー及びトリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムが用いられる。
【0023】
第1透明電極16及び第2透明電極18は、導電性を有する透明な層である。各透明電極を構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含むポリマー、Ag合金薄膜を含む多層膜、及び、金属メッシュ等が挙げられる。
【0024】
第1透明電極16に接続する第1端子部、及び、第2透明電極18に接続する第2端子部は、例えば、金属テープ、導電性フィルム及び導電性ペースト等の導電性接着層;FPC等の配線基板;並びに、リード線等から構成される。
【0025】
調光層24は、第1透明電極16及び第2透明電極18から印加される電圧により、透過率が高い状態と低い状態とに切り換えることができる部材である。
調光層24としては、例えば、PDLC層、PNLC層、GHLC層、SPD層、エレクトロクロミック層、及び、エレクトロウエッティング層が挙げられる。中でも、PDLC層、PNLC層及びGHLC層等の、印加した電圧により配向する方向が変化する液晶分子を含む液晶層が好ましい。
【0026】
中でも、調光層は、空隙を区画する樹脂組成物と、空隙に充填された液晶組成物を含むことが好ましい。
液晶組成物の主成分は、液晶分子であって、例えば、ネマチック-等方相転移温度が110℃以上140℃以下である液晶分子が挙げられる。上記液晶分子としては、具体的には、フェニル-シクロヘキシル系、ビフェニルシクロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、ピリダジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、ジシアノベンゼン系、ナフタレン系、及び、ジオキサン系からなる群から選択される1種が挙げられる。
【0027】
液晶組成物は、単一の種類の液晶分子のみを含んでいてもよいし、複数の種類の液晶分子を含んでいてもよい。液晶組成物は、液晶分子以外の成分を含んでいてもよい。液晶分子以外の成分は、例えば、粘度低下剤、二色性色素、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤である。なお、複数の液晶分子から液晶組成物を構成することにより、ネマチック-等方相転移温度を調整することが可能である。
【0028】
調光層における液晶分子の含有量は、特に制限されないが、調光層の全質量に対して50~80質量%が好ましい。液晶分子の含有量が調光層の全質量に対して50質量%以上であると、調光ユニットの透過率が高い状態と低い状態との透過率の差であるコントラストがより向上するためである。また、液晶分子の含有量が調光層の全質量に対して80質量%以下であると、調光層の強度がより向上するためである。
【0029】
調光層に含まれる空隙を区画する樹脂組成物としては、アクリレートの重合体等を用いることができる。アクリレートは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシルからなる群から選択することができる。
【0030】
調光層は、二色性色素を含んでいてもよい。調光ユニットがGHLC方式である場合、調光層に含まれる二色性色素は、液晶分子をホストとしたゲストホスト型式によって駆動されて有色を呈する。二色性色素としては、例えば、ポリヨウ素、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、アゾメチン化合物、テトラジン化合物、キノフタロン化合物、メロシアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。二色性色素は、1種の色素であってもよく、2種以上の色素の組み合わせであってもよい。
【0031】
耐光性を高めること、及び二色比を高めることを要する場合、二色性色素は、アゾ化合物、及びアントラキノン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、より好ましくはアゾ化合物である。
【0032】
調光層の厚みは特に制限されないが、絶縁破壊の抑制及び効率的な光散乱を行う観点から1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましい。また、調光層の厚みは、駆動電圧を抑える観点から50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
【0033】
図1に示す調光ユニット10は、第1配向膜20及び第2配向膜22を備える。第1配向膜20及び第2配向膜22は、両者の間に配置されている調光層24に含まれる液晶分子を配向させる機能を有する。調光層に含まれる液晶分子を各配向膜により所定の方向に配向させることで、例えば、電圧を印加しない場合に調光層の透過率が高く、電圧を印加する場合に透過率が低くなる方式の調光ユニットにおける調光層の透過率の制御がより容易になる。
調光ユニットとしては、調光層の一方のみに配向膜が配置されている調光ユニットであってもよく、配向膜を備えていない調光ユニットであってもよい。例えば、電圧を印加しない場合、調光層に含まれる液晶分子が配向されていないために透過率が低く、電圧を印加する場合、印加した電界の方向に応じた方向に沿って液晶分子が配向し、透過率が高くなる方式の調光ユニットであってもよい。
【0034】
第1配向膜20及び第2配向膜22は、垂直配向膜であることが好ましい。第1配向膜20及び第2配向膜22が垂直配向膜である場合において、第1透明電極16と第2透明電極18とが等電位であるときは、調光層24に含まれる液晶分子の長軸方向が配向膜に沿って広がる面の法線方向に沿うように、液晶分子が配向される。一方、第1透明電極16と第2透明電極18との間に電位差が生じているときは、調光層に含まれる液晶分子の長軸方向が上記法線方向以外の方向を向くように液晶分子の配向方向を変更することも可能である。
【0035】
各配向膜を構成する材料としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレートが挙げられる。
配向膜を垂直配向膜として機能させる処理は、例えば、ラビング処理、偏光照射処理、微細加工処理である。
また、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド及びオクタデシルエトキシシラン等の配向処理剤を用いて気相吸着、浸漬、スピンコート等の方法を適用することにより垂直配向膜を形成することもできる。
【0036】
例えば、図1に示す調光ユニット10において、第1配向膜20及び第2配向膜22が垂直配向膜であり、電界の方向に対して垂直な方向に長軸方向が配向される液晶分子が調光層24に含まれる場合、第1透明電極16及び第2透明電極18を用いて調光層24に電圧を印加しないときは、液晶分子が積層方向に沿って配向するため透過率が高くなり、調光層24に電圧を印加したときは、液晶分子が面内方向に沿って配向するため透過率が低くなる。
【0037】
本発明の表示装置に用いる調光ユニットは図1に示す態様に制限されない。例えば、図1に示す調光ユニット10は、調光層24に電圧を印加する一対の第1透明電極16及び第2透明電極18を用いているが、調光ユニットは、調光層の一方の表面側のみに配置された透明電極を用いて、透明電極及び調光層に平行な成分を有する電界を調光層に印加することにより、調光層に含まれる液晶分子の配向を制御する、横電界駆動方式の調光ユニットであってもよい。
上記の横電界駆動方式の調光ユニットに使用可能な透明電極について、図面を参照しながらより詳しく説明する。
【0038】
図2に、調光ユニットに使用可能な透明電極の構成の一例を概略的に示す。図2(a)は、表面の法線方向から観察した際の透明電極50の概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)の破線で囲まれた領域の拡大図である。
図2に示す透明電極50は、陽極52と、陰極54と、面内方向において陽極52及び陰極54の間の絶縁領域56とを有する。陽極52、陰極54及び絶縁領域56は、図示しない基材上に配置されている。
【0039】
図示するように、陽極52は、紙面の左端から右端に沿って延在する導電性細線を複数有し、陰極54は、紙面の右端から左端に沿って延在する導電性細線を複数有する。陽極52の導電性細線と陰極54の導電性細線とは、絶縁領域56により離間しており、かつ、紙面の上下方向に互い違いに並んで配置されている。陽極52の左端及び陰極54の右端は、それぞれ、図示しない端子部に接続されており、各端子部は図示しない制御部に接続されている。
透明電極50の一方の表面上に液晶分子を含む調光層を配置した上で、透明電極50の陽極52及び陰極54に電位差を生じさせると、陽極52の導電性細線及び陰極54の導電性細線が並んでいる方向、即ち、紙面の上下方向に沿った電界が調光層に生じ、調光層に含まれる液晶分子が電界に応じた方向に配向される。これにより、透明電極50によって調光層に対して印加する電圧の有無により、調光層に含まれる液晶分子の配向方向を切り換えることができる。
例えば、図1に示す調光ユニット10において、第1透明電極16の代わりに図2に示す透明電極50を用い、第2透明電極18を用いず、第1配向膜20及び第2配向膜22が垂直配向膜であり、かつ、電界の方向に沿って長軸方向が配向される液晶分子を含む調光層24を用いる場合、透明電極50により電圧を印加しないときは、液晶分子が積層方向に沿って配向するため透過率が高くなり、調光層50により電圧を印加したときは、液晶分子が面内の一方向に沿って配向するため透過率が低くなる調光ユニットが得られる。
【0040】
図2に示すように、櫛型形状の陽極及び陰極を構成する複数の導電性細線が同一の面内において互い違いに配列している透明電極を用いる場合、隣接する2つの導電性細線間の距離(スペース)は、電界曲線の形状の観点からは1μm以上が好ましく、また、駆動電圧を低く抑える観点からは50μm以下が好ましい。中でも、上記スペースは、2~30μmがより好ましく、3~10μmが更に好ましい。
櫛型形状の陽極及び陰極を構成する導電性細線の線幅は、0.5~50μmが好ましく、1~30μmがより好ましい。
陽極及び陰極を合わせた複数の導電性細線により構成される櫛型形状において、スペースに対する線幅の比率(ライン/スペース比)は、1/10~10/1が好ましく、1/5~5/1がより好ましい。
【0041】
調光層に対して面内に平行な電界を印加する機能を有する透明電極は、図2に示す透明電極50のみに制限されない。
例えば、横電界駆動方式の調光ユニットは、面内の一方向に延在する導電性細線を複数有する一対の透明電極と、一対の透明電極の間に配置された液晶分子を含む調光層とを有し、互いの導電性細線の延在する方向が平行であり、且つ、表面の法線方向から観察した際に一方の透明電極の導電性細線と、他方の透明電極の導電性細線が重ならないように配置されている調光ユニットであってもよい。この構成の場合、図2に示すような調光層の一方の表面に両電極が配置されている場合に比較して、透明電極間の駆動電圧は大きくなるが、その一方、透明電極の微細なパターニングが容易になり、歩留まりが高まるメリットがある。
【0042】
上記の一対の櫛型形状の透明電極により調光層に面内に平行な電界を印加する調光ユニットにおいて、一方の透明電極における隣接する2つの導電性細線間の距離(スペース)は、電界曲線の形状の観点から3μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、駆動電圧を低く抑える観点からは、上記スペースは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
また、上記透明電極において陽極又は陰極を構成する導電性細線の線幅は、0.5~50μmが好ましく、1~30μmがより好ましい。
更に、上記透明電極において陽極又は陰極を構成する櫛型形状におけるスペースに対する線幅の比率(ライン/スペース比)は、1/20~20/1が好ましく、1/10~10/1がより好ましい。
【0043】
調光ユニットが、透過率が高い「透過モード」である場合における調光ユニットの透過率は、後述する透過率が低い「遮光モード」の場合における透過率に比較して高ければ特に制限されないが、40~95%が好ましく、50~92%がより好ましく、60~90%が更に好ましく、70~88%が特に好ましい。
なお、特に言及しない場合、単なる「透過率」との表記は、全光線透過率を意味する。
【0044】
調光ユニットの透過率が低い遮光モードの場合における調光ユニットの透過率は、透過モードの場合における透過率に比較して低ければ特に制限されないが、10~80%が好ましく、20~75%がより好ましく、25~70%が更に好ましく、30~70%が特に好ましい。
【0045】
調光ユニットが透過モードの場合と、調光ユニットが遮光モードの場合との透過率の差異は、1~50%が好ましく、2~40%がより好ましく、3~30%が更に好ましい。上記範囲にて、表示素子が画像を表示している場合の表示画像の視認性の向上と、外光反射による加飾の視認の抑制とを両立させることができる。
【0046】
上記の調光ユニットの透過率(全光線透過率)及び平行線透過率は、分光光度計(例えば、日本分光株式会社製「UV3100PC」、日本電色工業株式会社製「SH7000」等)を用いて公知の方法で測定できる。
【0047】
調光ユニットの好ましい態様としては、電圧の印加によって配向方向が変化する液晶分子を含む液晶層を含み、液晶層に電圧を印加したときには液晶分子が一方向へと水平配向し、液晶層に電圧を印加しないときには液晶分子が垂直配向する調光ユニットが挙げられる。上記の調光ユニットは、例えば、液晶分子を含む調光層と、調光層の少なくとも一方の表面に配置され、液晶分子を調光層の表面の法線方向に配向させる機能を有する垂直配向膜と、調光層の少なくとも一方の表面上に配置され、面内に平行な成分を有する電界を調光層に印加する機能を有する透明電極とを少なくとも有する。
【0048】
上記の好ましい態様の調光ユニットにおいて、電圧を印加しない透過モードの場合の透過率、及び、電圧を印加する遮光モードの場合の透過率の好ましい範囲については、既に述べた通りである。
上記の好ましい態様の調光ユニットにおいて、液晶層に電圧を印加した際に、液晶分子が配向する上記一方向と平行な直線偏光を調光ユニットに入射した場合の上記直線偏光の平行線透過率は、20%未満が好ましく、10%未満がより好ましい。下限値は特に制限されず、0%であってよい。
また、上記の好ましい態様の調光ユニットにおいて、液晶層に電圧を印加した際に、液晶分子が配向する上記一方向に垂直な直線偏光を調光ユニットに入射した場合の上記直線偏光の平行線透過率は、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。上限値は特に制限されず、100%であってよい。
【0049】
<加飾層>
上記表示装置は、加飾層を有する。
加飾層としては、反射層、及び、印刷層が挙げられる。
反射層としては、液晶層、及び、誘電体多層膜等が挙げられる。
液晶層としては、コレステリック液晶層が好ましく挙げられる。
誘電体多層膜としては、有機多層膜、及び、無機多層膜が挙げられる。
中でも、意匠性の観点から、印刷層、コレステリック液晶層、及び、誘電体多層膜よりなる群から選択される少なくとも1種の層が好ましく、コレステリック液晶層がより好ましい。
【0050】
-印刷層-
印刷層とは、画像を印刷してなる層である。印刷層を行使する画像は、面内において色調が均一な画像(いわゆる「ベタ膜」)であってもよく、面内の一部に形成されるパターン状の画像であってもよく、面内において色調が変化するグラデーション状の画像であってもよい。
印刷層は、公知の印刷方法により形成される。印刷方法としては、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等が挙げられる。印刷層の形成方法の一例としては、UVインクジェットプリンター、例えば富士フイルム株式会社製Acuity(登録商標)1600等を用いて印刷することができる。
上記印刷層の厚みは、特に制限はないが、0.1~50μmが好ましい。
【0051】
-反射層-
反射層は、入射した光の少なくとも一部を反射する機能を有する層である。反射層としては、波長380~780nmの範囲の少なくとも一部の光を選択的に反射する層が好ましい。
反射層としては、特に制限はないが、例えば、有機多層膜及び無機多層膜等の誘電体多層膜、並びに、コレステリック液晶層等の液晶層が挙げられる。中でも、無機多層膜、又は、コレステリック液晶層が好ましく、コレステリック液晶層がより好ましい。
【0052】
反射層における最大積分反射率を示すピークの半値幅を好ましい範囲に拡大する方法としては、反射層として、コレステリック液晶層の数及び膜厚が異なることによりコレステリック液晶構造の螺旋ピッチの異なる反射膜を複数積層する方法、反射層の層厚方向において、コレステリック液晶構造の螺旋ピッチが変化、好ましくはグラデーション状に変化している反射層とする方法が挙げられる。
中でも、反射層の層厚方向において、コレステリック液晶構造の螺旋ピッチが変化、好ましくはグラデーション状に変化している反射層とする方法がより好ましく挙げられる。
【0053】
また、上記反射層は、表示画像の視認性の観点から、コレステリック液晶層を含むことが好ましい。
更に、上記反射層は、表示画像の視認性、加飾の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、厚さ方向において、コレステリック液晶構造の螺旋ピッチが変化している部分を有することがより好ましい。
コレステリック液晶構造の螺旋ピッチの変化、好ましくはグラデーション変化を起こす手段としては、低温での露光を行い感光性カイラル剤の拡散を防ぐ手段、光重合開始剤の活性化を制御し、コレステリック液晶層がグラデーション状に配向する時間を適切に保つ手段等が好ましく挙げられる。
【0054】
<<誘電体多層膜>>
誘電体多層膜としては、有機多層膜、及び、無機多層膜が挙げられ、無機多層膜が好ましい。
【0055】
--有機多層膜--
有機多層膜としては、屈折率の高い樹脂層(層A)と屈折率の低い樹脂層(層B)とを積層した構造を有する多層膜が好適に挙げられる。
淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、上記層Bは、上記層Aよりも、屈折率が0.1以上低い層が好ましく、屈折率が0.15以上低い層がより好ましく、屈折率が0.2以上低い層が更に好ましく、屈折率が0.25以上低い層が特に好ましく、屈折率が0.25以上0.60以下低い層が最も好ましい。
上記層Aの屈折率は、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、1.5以上が好ましく、1.6以上がより好ましく、1.65以上が更に好ましく、1.7以上が特に好ましい。また、上限は、2.3以下が好ましく、1.9以下がより好ましい。
上記層Bの屈折率は、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、1.5以下が好ましく、1.5未満がより好ましく、1.4以下が更に好ましく、1.35以下が特に好ましく、1.32以下が最も好ましい。また、下限は、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.28以上が特に好ましい。
【0056】
上記層A及び層B等の各層に用いられる樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
有機多層膜における積層数は、2層以上であれば特に制限はないが、2~20層が好ましく、4~16層がより好ましく、6~14層が更に好ましい。
上記層A及び上記層Bの厚さはそれぞれ独立に、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、50~1,000nmが好ましく、80~800nmがより好ましく、100~500nmが更に好ましく、100~300nmが特に好ましい。
【0057】
--無機多層膜--
無機多層膜としては、2種の無機化合物をそれぞれ交互に積層した構造を有する多層膜が好適に挙げられる。
また、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、2種の無機化合物は、互いに屈折率の異なる化合物であることが好ましい。
無機化合物としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化タングステン、酸化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ネオジム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化ガドリニウム、炭酸カルシウム、臭化カリウム、一酸化チタン、二酸化チタン、五酸化ニオブ、酸化クロム、酸化セリウム、シリコン、ガリウム砒素等が挙げられる。
中でも、2種の無機化合物としては、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、無機酸化物の組み合わせが好ましく、五酸化ニオブ(Nb)又は二酸化チタン(TiO)と、二酸化ケイ素(SiO)又は酸化アルミニウム(Al)との組み合わせがより好ましく、五酸化ニオブと、二酸化ケイ素との組み合わせが更に好ましい。
【0058】
無機多層膜における積層数は、2層以上であれば特に制限はないが、2~20層が好ましく、4~16層がより好ましく、6~14層が更に好ましい。
無機多層膜における各層の厚さはそれぞれ独立に、淡い色調の視認性、及び、視認角度による色味変化抑制の観点から、50~1,000nmが好ましく、80~800nmがより好ましく、100~500nmが更に好ましく、100~300nmが特に好ましい。
【0059】
<<液晶層>>
液晶層は、液晶化合物を含む層であり、例えば、コレステリック液晶層が挙げられる。
反射層は、コレステリック液晶層であることが好ましい。コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を含む層である。コレステリック液晶相は、公知の手段(例えば、偏光顕微鏡及び走査型電子顕微鏡)によって確認される。
【0060】
コレステリック液晶相は、複数の液晶化合物が螺旋状に旋回して積み重ねられることによって形成される螺旋構造を有することが知られている。コレステリック液晶相における液晶化合物の配向状態は、右円偏光のみ又は左円偏光のみを反射する配向状態であってもよく、右円偏光及び左円偏光の両方を反射する配向状態であってもよい。コレステリック液晶相における液晶化合物の配向状態は、固定化されていてもよい。液晶化合物の配向状態は、例えば、液晶化合物の重合又は架橋によって固定化される。配向状態が固定化された液晶化合物の一部又は全部において、液晶化合物の液晶性は失われてもよい。
【0061】
コレステリック液晶層は、加飾層の意匠に寄与する。例えば、加飾層の色及び観察角度に応じた加飾層の色の変化の度合いは、コレステリック液晶層における螺旋ピッチの厚さ方向の長さ、コレステリック液晶層の屈折率及びコレステリック液晶層の厚さによって調整される。螺旋ピッチは、カイラル剤の添加量によって調整されてもよい。螺旋構造とカイラル剤との関係は、例えば、「富士フイルム研究報告、No.50(2005年)、p.60-63」に記載されている。また、螺旋ピッチは、コレステリック液晶相を固定する際の温度、照度及び照射時間といった条件によって調整されてもよい。
【0062】
加飾層は、2つ以上のコレステリック液晶層を含んでもよい、2つ以上のコレステリック液晶層の組成は、同じであっても互いに異なっていてもよい。
【0063】
反射率の観点から、コレステリック液晶層の厚さは、0.3~15μmが好ましく、0.5~9μmがより好ましく、0.6~7μmが更に好ましい。加飾層が2つ以上のコレステリック液晶層を含む場合、2つ以上のコレステリック液晶層の厚さは、それぞれ独立に、既述した範囲内であることが好ましい。
【0064】
コレステリック液晶層の成分は、例えば、目的とするコレステリック液晶層の特性に応じて、公知のコレステリック液晶層の成分から選択される。コレステリック液晶層の成分としては、例えば、後述する液晶組成物の成分が挙げられる。ただし、コレステリック液晶層が液晶組成物の硬化を経て形成される場合、液晶組成物における重合性化合物の一部又は全部は、コレステリック液晶層において重合体(オリゴマーを含む。)を形成してもよい。重合性化合物としては、例えば、重合性基を有する化合物が挙げられる。
【0065】
コレステリック液晶層は、液晶化合物を含む組成物(以下、「液晶組成物」という場合がある。)を硬化してなる層であることが好ましい。以下、液晶組成物の態様を具体的に説明する。
【0066】
--液晶化合物--
液晶組成物は、液晶化合物を含む。液晶化合物の種類は、例えば、目的とするコレステリック液晶層の特性に応じて、コレステリック液晶性を有する公知の化合物(すなわち、コレステリック液晶化合物)から選択されてもよい。液晶化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基及び環状エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を有する液晶化合物が挙げられる。成型性の向上の観点から、液晶化合物は、エチレン性不飽和基を1つ有するか又は環状エーテル基を1つ有するコレステリック液晶化合物(以下、「特定液晶化合物」という場合がある。)を含むことが好ましい。
【0067】
特定液晶化合物におけるエチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルエステル基及びビニルエーテル基が挙げられる。反応性の観点から、エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基又はビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基が更に好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
【0068】
特定液晶化合物における環状エーテル基としては、例えば、エポキシ基及びオキセタニル基が挙げられる。反応性の観点から、環状エーテル基は、エポキシ基又はオキセタニル基が好ましく、オキセタニル基がより好ましい。
【0069】
反応性の向上の観点から、液晶化合物は、1つのエチレン性不飽和基を有する液晶化合物を含むことが好ましい。更に、液晶組成物の固形分の総量に対する1つのエチレン性不飽和基を有する液晶化合物の総量の割合は、25質量%以上が好ましい。
【0070】
分子内に含まれるエチレン性不飽和基の数が1つである場合、特定液晶化合物は、エチレン性不飽和基以外の官能基(例えば、重合性基)を有してもよい。例えば、1つのエチレン性不飽和基を有する液晶化合物は、1つ以上の環状エーテル基を有してもよい。
【0071】
分子内に含まれる環状エーテル基の数が1つである場合、特定液晶化合物は、環状エーテル基以外の官能基(例えば、重合性基)を有してもよい。例えば、1つの環状エーテル基を有する液晶化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有してもよい。
【0072】
液晶化合物は、1つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、1つの環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、又は、1つのエチレン性不飽和基と1つの環状エーテル基とを有する液晶化合物を含むことが好ましい。更に、液晶化合物は、1つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物を含むことが好ましい。
【0073】
特定液晶化合物は、棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物であってもよい。コレステリック液晶相における螺旋ピッチの調整容易性の観点から、棒状液晶化合物が好ましい。
【0074】
好ましい棒状液晶化合物としては、例えば、アゾメチン系化合物、アゾキシ系化合物、シアノビフェニル系化合物、シアノフェニルエステル、安息香酸エステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン系化合物、シアノ置換フェニルピリミジン系化合物、アルコキシ置換フェニルピリミジン系化合物、フェニルジオキサン系化合物、トラン系化合物及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル系化合物が挙げられる。棒状液晶化合物は、低分子化合物に限られず、高分子化合物であってもよい。
【0075】
棒状液晶化合物は、例えば、「Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)」、「Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)」、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/022586号、国際公開第95/024455号、国際公開第97/000600号、国際公開第98/023580号、国際公開第98/052905号、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-080081号公報及び特開2001-328973号公報に記載された、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物及び1つの環状エーテル基を有する化合物から選択されてもよい。好ましい棒状液晶化合物は、例えば、特表平11-513019号公報及び特開2007-279688号公報に記載された、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物及び1つの環状エーテル基を有する化合物から選択されてもよい。
【0076】
円盤状液晶化合物は、例えば、特開2007-108732号公報及び特開2010-244038号公報に記載された、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物及び1つの環状エーテル基を有する化合物から選択されてもよい。
【0077】
特定液晶化合物の具体例を以下に示す。ただし、特定液晶化合物の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
【0078】
【化1】
【0079】
【化2】
【0080】
【化3】
【0081】
【化4】
【0082】
【化5】
【0083】
【化6】
【0084】
【化7】
【0085】
【化8】
【0086】
【化9】
【0087】
液晶組成物は、1種又は2種以上のコレステリック液晶化合物を含んでもよい。
【0088】
熱耐久性の向上の観点から、液晶組成物の固形分の総量に対する特定液晶化合物の総量の割合は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。更に、液晶組成物の固形分の総量に対する特定液晶化合物の総量の割合は、60~99質量%が好ましく、80~98質量%がより好ましい。
【0089】
液晶組成物は、他の液晶化合物を含んでもよい。他の液晶化合物とは、特定液晶化合物以外の液晶化合物を意味する。他の液晶化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基及び環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、並びに、2つ以上のエチレン性不飽和基及び2つ以上の環状エーテル基を有する液晶化合物が挙げられる。
【0090】
他の液晶化合物は、エチレン性不飽和基及び環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、並びに、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。他の液晶化合物は、エチレン性不飽和基及び環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、並びに、2つの環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。他の液晶化合物は、エチレン性不飽和基及び環状エーテル基を有しない液晶化合物、並びに、2つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
【0091】
他の液晶化合物における棒状液晶化合物は、例えば、「Makromol. Chem.,190巻、2255頁(1989年)」、「Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)」、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/022586号、国際公開第95/024455号、国際公開第97/000600号、国際公開第98/023580号、国際公開第98/052905号、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-80081号公報及び特開2001-328973号公報に記載された化合物から選択されてもよい。他の液晶化合物における好ましい棒状液晶化合物は、例えば、特表平11-513019号公報及び特開2007-279688号公報に記載された化合物から選択されてもよい。
【0092】
他の液晶化合物における好ましい円盤状液晶化合物は、例えば、特開2007-108732号公報又は特開2010-244038号公報に記載された化合物から選択されてもよい。
【0093】
他の液晶化合物の具体例を以下に示す。ただし、他の液晶化合物の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
【0094】
【化10】
【0095】
【化11】
【0096】
【化12】
【0097】
【化13】
【0098】
【化14】
【0099】
液晶組成物は、1種又は2種以上の他の液晶化合物を含んでもよい。
【0100】
液晶組成物の固形分の総量に対する他の液晶化合物の総量の割合は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。なお、上記した割合の下限は、0質量%である。
【0101】
液晶組成物は、1種又は2種以上の液晶化合物を含んでもよい。液晶組成物は、特定液用化合物と、他の液晶化合物と、を含んでもよい。
【0102】
液晶組成物の固形分の総量に対する液晶化合物の総量の割合は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。液晶組成物の固形分の総量に対する液晶化合物の総量の割合は、60~99質量%が特に好ましく、80~98質量%が最も好ましい。
【0103】
--カイラル剤--
コレステリック液晶層形成の容易性及び螺旋ピッチの調整容易性の観点から、液晶組成物は、カイラル剤(すなわち、光学活性化合物)を含むことが好ましい。
【0104】
カイラル剤の種類は、例えば、液晶化合物の種類及び目的の螺旋構造(例えば、螺旋のよじれ方法及び螺旋ピッチ)に応じて決定されてもよい。カイラル剤としては、例えば、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載された化合物)、イソソルビド誘導体及びイソマンニド誘導体が挙げられる。
【0105】
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物及び面性不斉化合物をカイラル剤として用いることもできる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル化合物、ヘリセン化合物又はパラシクロファン化合物が好ましく挙げられる。
【0106】
熱耐久性の向上の観点から、液晶組成物は、重合性基を有するカイラル剤を含んでもよい。反応性及び熱耐久性の向上の観点から、重合性基は、エチレン性不飽和基又は環状エーテル基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。カイラル剤におけるエチレン性不飽和基の好ましい態様は、既述した特定液晶化合物におけるエチレン性不飽和基の好ましい態様と同じである。カイラル剤における環状エーテル基の好ましい態様は、既述した特定液晶化合物における環状エーテル基の好ましい態様と同じである。
【0107】
カイラル剤が重合性基を有する場合、反応性及び熱耐久性の向上の観点から、カイラル剤における重合性基の種類は、特定液晶化合物における重合性基の種類と同じであることが好ましい。更に、カイラル剤における重合性基は、特定液晶化合物における重合性基と同じであることが好ましい。
【0108】
重合性基を有するカイラル剤は、1つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しないカイラル剤、1つの環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しないカイラル剤、又は、1つのエチレン性不飽和基と1つの環状エーテル基とを有するカイラル剤を含むことが好ましい。更に、重合性基を有するカイラル剤は、1つのエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しないカイラル剤を含むことが好ましい。
【0109】
カイラル剤は、液晶化合物であってもよい。
【0110】
--感光性カイラル剤--
コレステリック液晶層又は反射層は、感光性カイラル剤を含むことが好ましい。
光照射により螺旋誘起力が変化する感光性カイラル剤について詳述する。
なお、カイラル剤の螺旋誘起力(HTP)は、下記式(A)で表される螺旋配向能力を示すファクターである。
式(A) HTP=1/(螺旋ピッチの長さ(単位:μm)×液晶化合物に対するカイラル剤の濃度(質量%))[μm-1
螺旋ピッチの長さとは、コレステリック液晶相の螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)の長さをいい、液晶便覧(丸善株式会社出版)の196ページに記載の方法で測定できる。
【0111】
光照射により螺旋誘起力が変化する感光性カイラル剤は、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。感光性カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含む場合が多い。なお、感光性カイラル剤は、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物であってもよい。
【0112】
感光性カイラル剤は、光照射によって螺旋誘起力が増加するカイラル剤であってもよいし、減少するカイラル剤であってもよい。中でも、光照射により螺旋誘起力が減少するカイラル剤であることが好ましい。
なお、本明細書において「螺旋誘起力の増加及び減少」とは、感光性カイラル剤の初期(光照射前)の螺旋方向を「正」としたときの増減を表す。したがって、光照射により螺旋誘起力が減少し続け、0を超えて螺旋方向が「負」となった場合(つまり、初期(光照射前)の螺旋方向とは逆の螺旋方向の螺旋を誘起する場合)にも、「螺旋誘起力が減少するカイラル剤」に該当する。
【0113】
感光性カイラル剤としては、いわゆる光反応型カイラル剤が挙げられる。光反応型カイラル剤とは、カイラル部位と光照射によって構造変化する光反応部位を有し、例えば、照射量に応じて液晶化合物の捩れ力を大きく変化させる化合物である。
光照射によって構造変化する光反応部位の例としては、フォトクロミック化合物(内田欣吾、入江正浩、化学工業、vol.64、640p,1999、内田欣吾、入江正浩、ファインケミカル、vol.28(9)、15p,1999)等が挙げられる。また、上記構造変化とは、光反応部位への光照射により生ずる、分解、付加反応、異性化、ラセミ化、[2+2]光環化及び2量化反応等を意味し、上記構造変化は不可逆的であってもよい。また、カイラル部位としては、例えば、野平博之、化学総説、No.22液晶の化学、73p:1994に記載の不斉炭素等が相当する。
【0114】
感光性カイラル剤としては、例えば、特開2001-159709号公報の段落0044~0047に記載の光反応型カイラル剤、特開2002-179669号公報の段落0019~0043に記載の光学活性化合物、特開2002-179633号公報の段落0020~0044に記載の光学活性化合物、特開2002-179670号公報の段落0016~0040に記載の光学活性化合物、特開2002-179668号公報の段落0017~0050に記載の光学活性化合物、特開2002-180051号公報の段落0018~0044に記載の光学活性化合物、特開2002-338575号公報の段落0016~0055に記載の光学活性イソソルビド誘導体、特開2002-080478号公報の段落0023~0032に記載の光反応型光学活性化合物、特開2002-080851号公報の段落0019~0029に記載の光反応型カイラル剤、特開2002-179681号公報の段落0022~0049に記載の光学活性化合物、特開2002-302487号公報の段落0015~0044に記載の光学活性化合物、特開2002-338668号公報の段落0015~0050に記載の光学活性ポリエステル、特開2003-055315号公報の段落0019~0041に記載のビナフトール誘導体、特開2003-073381号公報の段落0008~0043に記載の光学活性フルギド化合物、特開2003-306490号公報の段落0015~0057に記載の光学活性イソソルビド誘導体、特開2003-306491号公報の段落0015~0041に記載の光学活性イソソルビド誘導体、特開2003-313187号公報の段落0015~0049に記載の光学活性イソソルビド誘導体、特開2003-313188号公報の段落0015~0057に記載の光学活性イソマンニド誘導体、特開2003-313189号公報の段落0015~0049に記載の光学活性イソソルビド誘導体、特開2003-313292号公報の段落0015~0052に記載の光学活性ポリエステル/アミド、国際公開第2018/194157号の段落0012~0053に記載の光学活性化合物、及び、特開2002-179682号公報の段落0020~0049に記載の光学活性化合物等が挙げられる。
【0115】
感光性カイラル剤としては、中でも、光異性化部位を少なくとも有する化合物が好ましく、光異性化部位は光異性化可能な二重結合を有することがより好ましい。上記光異性化可能な二重結合を有する光異性化部位としては、光異性化が起こりやすく、かつ、光照射前後の螺旋誘起力差が大きいという点で、シンナモイル部位、カルコン部位、アゾベンゼン部位又はスチルベン部位が好ましく、更に可視光の吸収が小さいという点で、シンナモイル部位、カルコン部位又はスチルベン部位がより好ましい。なお、光異性化部位は、上述した光照射によって構造変化する光反応部位に該当する。
【0116】
また、感光性カイラル剤は、初期(光照射前)の螺旋誘起力が高く、かつ、光照射による螺旋誘起力の変化量がより優れる点で、トランス型の光異性化可能な二重結合を有していることが好ましい。
また、感光性カイラル剤は、初期(光照射前)の螺旋誘起力が低く、かつ、光照射による螺旋誘起力の変化量がより優れる点で、シス型の光異性化可能な二重結合を有していることが好ましい。
【0117】
感光性カイラル剤は、ビナフチル部分構造、イソソルビド部分構造(イソソルビドに由来する部分構造)、及び、イソマンニド部分構造(イソマンニドに由来する部分構造)よりなる群から選ばれるいずれかの部分構造を有していることが好ましい。なお、ビナフチル部分構造、イソソルビド部分構造、及び、イソマンニド部分構造とは、各々以下の構造を意図する。
ビナフチル部分構造中の実線と破線が平行している部分は、一重結合又は二重結合を表す。なお、以下に示す構造において、*は、結合位置を表す。
【0118】
【化15】
【0119】
感光性カイラル剤は、重合性基を有していてもよい。重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基又は環重合性基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、又は、アリル基が更に好ましい。
【0120】
感光性カイラル剤としては、式(C)で表される化合物が好ましい。
式(C) R-L-R
Rは、それぞれ独立に、シンナモイル部位、カルコン部位、アゾベンゼン部位、及び、スチルベン部位からなる群から選択される少なくとも1つの部位を有する基を表す。
Lは、式(D)で表される構造から2個の水素原子を除いた形成される2価の連結基(上記ビナフチル部分構造から2個の水素原子を除いて形成される2価の連結基)、式(E)で表される2価の連結基(上記イソソルビド部分構造からなる2価の連結基)、又は、式(F)で表される2価の連結基(上記イソマンニド部分構造からなる2価の連結基)を表す。
式(E)及び式(F)中、*は結合位置を表す。
【0121】
【化16】
【0122】
反射層の形成は、感光性カイラル剤を1種単独で用いる態様であっても、2種以上用いる態様であってもよい。
【0123】
感光性カイラル剤のモル吸光係数は、特に制限されないが、後述する捩れ変化工程で照射される光の波長(例えば、365nm)におけるモル吸光係数は100~100,000L/(mol・cm)が好ましく、500~50,000L/(mol・cm)がより好ましい。
【0124】
--重合性カイラル剤--
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定する観点から、カイラル剤として、重合性カイラル剤を含んでよい。重合性カイラル剤は、重合性基を有するカイラル剤を意味する。ここでいう重合性カイラル剤は、光照射により螺旋誘起力が変化しないものとし、感光性カイラル剤とは区別される。
【0125】
重合性カイラル剤が有する重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が挙げられる。重合性基は、エチレン性不飽和基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、エチレン性不飽和基であることがより好ましい。
【0126】
重合性カイラル剤は、不斉炭素原子を含む化合物であることが好ましいが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物であってもよい。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が含まれる。
【0127】
コレステリック液晶層が重合性基を有するコレステリック液晶化合物を含む場合、重合性カイラル剤は、コレステリック液晶化合物が有する重合性基と同種の重合性基を含むことが好ましい。例えば、コレステリック液晶化合物がラジカル重合性基を有する場合、重合性カイラル剤もラジカル重合性基を含むことが好ましい。これにより、重合性基を有するコレステリック液晶化合物と重合性カイラル剤とが重合したポリマーが形成され、コレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定することができる。
【0128】
重合性カイラル剤は、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、又はビナフチル誘導体であることが好ましい。イソソルビド誘導体の市販品としては、例えば、BASF社製の「パリオカラー LC756」が挙げられる。
【0129】
重合性カイラル剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0130】
液晶組成物は、1種又は2種以上のカイラル剤を含んでもよい。
【0131】
カイラル剤の含有量は、例えば、液晶化合物の構造及び目的とする螺旋ピッチに応じて決定されてもよい。コレステリック液晶層形成の容易性及び螺旋ピッチの調整容易性の観点から、液晶組成物の固形分の総量に対するカイラル剤の総量の割合は、1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%が更に好ましい。
【0132】
コレステリック液晶相における螺旋ピッチ及び反射層の選択反射波長は、液晶化合物の種類だけでなく、カイラル剤の含有量によっても容易に調整される。例えば、液晶組成物におけるカイラル剤の含有量が2倍になると、螺旋ピッチは1/2となり、選択反射波長の中心値も1/2となる場合がある。
【0133】
液晶組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、液晶組成物の硬化反応を促進する。
【0134】
液晶組成物が露光により硬化される場合、液晶組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0135】
光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(例えば、米国特許第2367661号明細書及び米国特許第2367670号明細書)、アシロインエーテル化合物(例えば、米国特許第2448828号明細書)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許第2722512号明細書)、多核キノン化合物(例えば、米国特許第3046127号明細書及び米国特許第2951758号明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許第3549367号明細書)、オキサジアゾール化合物(例えば、米国特許第4212970号明細書)、アクリジン化合物及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60-105667号公報及び米国特許第4239850号明細書)が挙げられる。
【0136】
好ましい光ラジカル重合開始剤としては、例えば、α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物及びアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
【0137】
好ましい光カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩化合物及びスルホニウム塩化合物が挙げられる。
【0138】
液晶組成物は、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤を含むことが好ましく、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤を含むことがより好ましい。
【0139】
熱耐久性の向上の観点から、1つのエチレン性不飽和基を有する液晶化合物を含む液晶組成物は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、光ラジカル重合開始剤を含むことがより好ましい。
【0140】
熱耐久性の向上の観点から、1つの環状エーテル基を有する液晶化合物を含む液晶組成物は、カチオン重合開始剤を含むことが好ましく、光カチオン重合開始剤を含むことがより好ましい。
【0141】
液晶組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでもよい。
【0142】
重合開始剤の含有量は、例えば、特定液晶化合物の構造及び目的とする螺旋ピッチに応じて決定されてもよい。コレステリック液晶層形成の容易性、螺旋ピッチの調整容易性、重合速度及びコレステリック液晶層の強度の観点から、液晶組成物の固形分の総量に対する重合開始剤の総量の割合は、0.05~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましく、0.1~2質量%が更に好ましく、0.2~1質量%が特に好ましい。
【0143】
硬化後のコレステリック液晶層の強度向上及び耐久性向上の観点から、液晶組成物は、架橋剤を含んでもよい。好ましい架橋剤としては、例えば、紫外線、熱及び湿気といった外的要因により硬化する化合物が挙げられる。
【0144】
架橋剤としては、例えば、以下に示される化合物が挙げられる。
(1)多官能アクリレート化合物(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)
(2)エポキシ化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート及びエチレングリコールジグリシジルエーテル)
(3)アジリジン化合物(例えば、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]及び4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)
(4)イソシアネート化合物(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びビウレット型イソシアネート)
(5)オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物
(6)アルコキシシラン化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン)
【0145】
液晶組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含んでもよい。
【0146】
コレステリック液晶層の強度及び耐久性の観点から、液晶組成物の固形分の総量に対する架橋剤の総量の割合は、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
【0147】
液晶組成物は、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を含んでもよい。架橋剤及び触媒の併用は、コレステリック液晶層の強度及び耐久性の向上に加えて、生産性を向上できる。
【0148】
液晶組成物は、多官能重合性化合物を含んでもよい。多官能重合性化合物とは、2つ以上の重合性基を有する化合物を意味する。多官能重合性化合物に含まれる2つ以上の重合性基の種類は、同じであることが好ましい。
【0149】
多官能重合性化合物としては、例えば、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、2つ以上のエチレン性不飽和基と2つ以上の環状エーテル基とを有する液晶化合物、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤、及び、2つ以上の重合性基を有する架橋剤が挙げられる。多官能重合性化合物は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ、環状エーテル基を有しない液晶化合物、2つ以上の環状エーテル基を有し、かつ、エチレン性不飽和基を有しない液晶化合物、及び、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、2つ以上の重合性基を有するカイラル剤を含むことがより好ましい。
【0150】
液晶組成物は、1種又は2種以上の多官能重合性化合物を含んでもよい。
【0151】
重合後の配向構造変化の抑制の観点から、液晶組成物の固形分の総量に対する多官能重合性化合物の総量の割合は、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましく、1.5~30質量%が更に好ましく、2~20質量%が特に好ましい。多官能重合性化合物の中でも、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、2つ以上の環状エーテル基を有する化合物、及び、1つ以上のエチレン性不飽和基と1つ以上の環状エーテル基とを有する化合物の含有量が規制されることが好ましい。すなわち、液晶組成物の固形分の総量に対する「2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、2つ以上の環状エーテル基を有する化合物、及び、1つ以上のエチレン性不飽和基と1つ以上の環状エーテル基とを有する化合物の総量」の割合は、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましく、1.5~30質量%が更に好ましく、2~20質量%が特に好ましい。
【0152】
液晶組成物は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、着色剤及び金属酸化物粒子が挙げられる。液晶組成物は、1種又は2種以上の他の添加剤を含んでもよい。
【0153】
液晶組成物は、溶剤を含んでもよい。溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン)、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類並びにエーテル類が挙げられる。環境への負荷を考慮した場合、ケトン類が好ましい。
【0154】
液晶組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
【0155】
溶剤の含有量は、例えば、液晶組成物の塗布性に応じて決定されてもよい。
【0156】
液晶組成物の総量に対する液晶組成物の固形分の総量の割合は、1~90質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましく、10~80質量%が更に好ましい。
【0157】
コレステリック液晶層の形成過程で液晶組成物が硬化される場合、液晶組成物の硬化時における液晶組成物の固形分の総量に対する溶剤の総量の割合は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0158】
コレステリック液晶層の総量に対するコレステリック液晶層における溶剤の総量の割合は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0159】
液晶組成物の製造方法は、制限されない。液晶組成物は、例えば、液晶化合物と、液晶化合物以外の成分との混合によって製造される。混合方法は、公知の混合方法から選択されてもよい。
【0160】
液晶組成物の硬化は、例えば、露光により実施される。露光は、例えば、液晶組成物に光を照射することによって実施される。好ましい光源としては、例えば、365nm及び405nmからなる群より選択される少なくとも1種を含む光を照射できる光源が挙げられる。具体的な光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の放電ランプが挙げられる。露光量は、5~2,000mJ/cmが好ましく、10~1,000mJ/cmがより好ましい。露光方法として、例えば、特開2006-023696号公報の段落0035~0051に記載された方法が適用されてもよい。
【0161】
液晶化合物の配列を容易にするため、液晶組成物を加熱しながら露光することが好ましい。加熱温度は、例えば、液晶組成物の組成に応じて決定される。加熱温度は、例えば、60~120℃である。加熱手段としては、例えば、ヒーター、オーブン、ホットプレート、赤外線ランプ及び赤外線レーザーが挙げられる。
【0162】
液晶組成物の硬化は、例えば、加熱により実施されてもよい。加熱温度は、60~200℃が好ましい。加熱時間は、5分間~2時間が好ましい。加熱手段としては、例えば、既述した加熱手段が挙げられる。
【0163】
液晶組成物は、硬化前に、公知の方法によって乾燥されてもよい。液晶組成物は、放置又は風乾によって乾燥されてもよい。液晶組成物は、加熱によって乾燥されてもよい。
【0164】
また、反射層の厚さは、特に制限されないが、より適切な反射率を得る観点から、0.1~10μmが好ましく、0.3~8μmがより好ましく、0.5~6μmが更に好ましい。
【0165】
-反射層の形成方法-
反射層の形成方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いてもよいし、公知の方法を応用して作製してもよい。例えば、反射層がコレステリック液晶層である場合には、基材と、コレステリック螺旋状に配向した液晶化合物、及び、感光性カイラル剤を含む液晶層とを有する液晶材料を準備する工程(以下、「液晶材料準備工程」ともいう。)、上記液晶層に、第1光を照射して、上記液晶層の表面から厚さ方向の内部に向けて上記感光性カイラル剤の一部を失活させる工程(以下、「第1露光工程」ともいう。)、及び、第2光を照射して上記未硬化部を硬化させる工程(以下、「第2露光工程」ともいう。)を含むことが好ましい例として挙げられる。上記方法であると、厚さ方向において、コレステリック液晶構造の螺旋ピッチが徐々に(グラデーション状に)変化している部分を有する反射層を容易に作製することができる。
以下、上記の例について、詳細に説明する。
【0166】
また、上記した反射層の形成方法の例においては、上記液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程(以下、「第1加熱工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
【0167】
<<液晶材料準備工程>>
液晶材料準備工程は、基材と、コレステリック螺旋状に配向した液晶化合物(コレステリック液晶化合物)、及び、感光性カイラル剤を含む液晶層とを有する液晶材料を準備する工程である。
【0168】
-基材-
基材は、上述したものを用いることができる。
【0169】
-液晶層-
液晶層は、コレステリック螺旋状に配向可能なコレステリック液晶化合物、及び、感光性カイラル剤を含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を含んでよい。
【0170】
液晶組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば、コレステリック液晶化合物、カイラル剤等の各成分を混合する方法により液晶組成物を調製してよい。
各成分としては、上述したものを好適に用いることができる。
【0171】
液晶組成物を基材に付与する方法は、特に制限されず、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、及び凹版印刷法が挙げられる。
【0172】
液晶組成物が溶剤を含む場合、液晶組成物を基材に付与した後に乾燥してよい。乾燥方法として、例えば、加熱乾燥、及び減圧乾燥が挙げられる。加熱乾燥する場合、加熱温度及び加熱時間は、溶剤の種類に応じて適宜調節してよい。また、加熱乾燥は、下記の第1加熱工程の一部として行ってもよい。
【0173】
<<第1加熱工程>>
第1加熱工程は、上記液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程である。コレステリック液晶化合物を加熱すると、加熱温度が高くなるにつれて、コレステリック液晶化合物は、結晶状態から配向状態となり、更に、配向状態から等方状態となる。第1加熱工程では、コレステリック液晶化合物を含む液晶層を加熱することにより、コレステリック液晶化合物を配向状態として、液晶層をコレステリック液晶化合物が配向したコレステリック液晶相とする。
【0174】
コレステリック液晶化合物の上記状態の変化との加熱温度との関係は、コレステリック液晶化合物の種類により異なる。そのため、第1加熱工程における加熱温度は、コレステリック液晶化合物が配向状態となるように、コレステリック液晶化合物の種類に応じて、適宜調節してよい。第1加熱工程における加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調節してよい。また、加熱手段は、特に制限されず、オーブン、ホットプレート等を用いてよい。
【0175】
<<第1露光工程>>
第1露光工程は、上記液晶層に、第1光を照射して、上記液晶層の表面から厚さ方向の内部に向けて上記感光性カイラル剤の一部を失活させる工程である。
第1露光工程では、例えば、第1光を基材側、もしくは、表層側のいずれかから照射し、液晶層に含まれる感光性カイラル剤によって光を吸収させることで、光源に近い側での上記感光性カイラル剤の失活量を、光源に遠い側での上記感光性カイラル剤の失活量より大きくする、好ましくは層厚方向において、第1光の照射側の液晶層表面からグラデーション状に活性な上記感光性カイラル剤の量が多くなる態様とすることができる。
第1光の照射側の液晶層表面からグラデーション状に活性な上記感光性カイラル剤の量が多くなる態様であると、第2露光工程での液晶層の硬化までに、上記感光性カイラル剤の量に応じたコレステリック液晶構造の螺旋の巻き直しが生じ、螺旋ピッチがグラデーション状に変化した液晶層が得られる。
また、第1露光工程において、第1光の照射を1回のみ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、各露光において、露光条件(例えば、露光手段、露光波長、露光量、露光雰囲気等)を適宜調整してもよい。
【0176】
第1光の種類は、特に制限されないが、液晶層に含まれる成分の反応性を考慮すると、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の放電ランプ;発光ダイオード(LED;Light Emission Diode)等の半導体光源が挙げられる。
【0177】
第1光の波長範囲は、特に制限されないが、第1光が紫外線である場合、400nm以下が好ましく、360nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。300nm以下の光を用いる場合、コレステリック液晶化合物の光吸収により、厚み方向における光硬化の制御がより容易となる。波長範囲は、例えば、光学フィルタを用いる方法、2種以上の光学フィルタを用いる方法、又は特定波長の光源を用いる方法により調整することができる。
【0178】
第1光の露光量は、特に制限されず、第1光が紫外線である場合、例えば、0.1~2,000mJ/cmが好ましい。面内方向における光硬化の制御の観点から、紫外線の平行度は20°以下が好ましく、10°以下がより好ましい。
【0179】
第1露光工程は、基材の液晶層を有する側と反対側から露光する場合には、低酸素雰囲気(酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行ってよく、酸素を含む雰囲気下(大気又は1000ppm以上21%未満の酸素を含む雰囲気下)で行われることがより好ましい。酸素によってラジカル重合が阻害されるため、厚み方向における光硬化の制御がより容易となる。
【0180】
第1露光工程は、液晶層の硬化を促進させる観点から、低酸素雰囲気下(好ましくは、酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行われることが好ましく、窒素雰囲気下で行われることがより好ましい。
【0181】
第1露光工程は、液晶層の螺旋ピッチの変化を維持させる観点から、50℃以下で行うことが好ましく、40℃以下で行うことがより好ましく、0℃以上35℃以下で行うことが特に好ましい。
【0182】
第1露光工程において、第1光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第1パターニングマスクを介して第1光を照射してよい。これにより、液晶層の複数の領域を異なる露光量で露光することができるため、上記領域の厚さが互いに異なる複数の領域を単一層内に面内方向に形成し、面内方向の反射率を一括して制御することができる。
また、第1露光工程において、波長に応じ透過率が異なるフィルタを介して第1光を照射してよい。更に、上記フィルタとしては、第1光の露光量を調整するフィルタであってもよい。
例えば、使用する光重合開始剤から重合開始種を生じさせないように、光重合開始剤が吸収する波長の透過率を下げた(例えば、0%とした)マスクが挙げられる。
【0183】
第1パターニングマスクとしては、例えば、金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスク、及び各種印刷方法(例えば、レーザープリンタ又はインクジェットプリンターによる印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)を用いてパターン印刷されたフォトマスクが挙げられる。金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスクは、例えば、石英基板上に金属クロム膜をスパッタで形成した後、フォトレジストを用いてパターニングすることにより得られる。
上記フィルタとしては、ガラス等の透明基板上に、誘電体多層膜を蒸着したもの等が好適に挙げられる。また、上記フィルタとしては、例えば、公知のバンドパスフィルタを用いることができる。
【0184】
第1パターニングマスク又はフィルタを用いて第1光を照射する場合、第1パターニングマスク又はフィルタは、基材の液晶層を有する側とは反対側に配置してよく、基材の液晶層を有する側に配置してよい。
【0185】
第1パターニングマスク又はフィルタを基材の液晶層を有する側に配置する場合、液晶層に第1パターニングマスク又はフィルタを接触させて第1光を照射してよく、液晶層と第1パターニングマスクとの間に間隙を設けて第1光を照射してもよい。
【0186】
第1パターニングマスク又はフィルタを基材の液晶層を有する側とは反対側に配置する場合、基材を介して第1光で液晶層を露光するため、透光性の基材を用いることが好ましい。
基材の透光性について、第1光の透過率は、特に制限されないが、液晶層をより容易に硬化させる観点から、高い程好ましい。
【0187】
第1パターニングマスク又はフィルタを用いて第1光を照射する場合、第1パターニングマスク又はフィルタは、1種のみ用いてよく、2種以上用いてもよい。
また、第1パターニングマスクとフィルタとを併用してもよい。
【0188】
<<第2露光工程>>
第2露光工程は、第2光を照射して上記液晶層を硬化させる工程である。
第1露光工程において変化した液晶層の螺旋ピッチを、第2光の照射により硬化し、固定することができる。
【0189】
第2露光工程において、未硬化部だけでなく、液晶層全体を露光してよい。例えば、基材の液晶層を有する側から、第2光を照射してよい。
【0190】
第2光の種類は、特に制限されないが、液晶化合物に含まれ得る成分の反応性を考慮すると、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の放電ランプ;発光ダイオード(LED)等の半導体光源が挙げられる。
【0191】
第2光の波長範囲は、特に制限されず、例えば、250~400nmの波長範囲の光を用いることができる。波長範囲は、例えば、光学フィルタを用いる方法、2種以上の光学フィルタを用いる方法、又は特定波長の光源を用いる方法により調整することができる。
【0192】
第2光の露光量は、特に制限されず、第2光が紫外線である場合、例えば、5~2,000mJ/cmが好ましい。
【0193】
第2露光工程は、硬化を促進させる観点から、低酸素雰囲気下(好ましくは、酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行われることが好ましく、窒素雰囲気下で行われることがより好ましい。
【0194】
第2露光工程は、液晶層の螺旋ピッチの変化を硬化まで維持させる観点から、50℃以下で行うことが好ましく、40℃以下で行うことがより好ましく、0℃以上35℃以下で行うことが特に好ましい。
【0195】
<<その他の工程>>
反射層の形成方法は、必要に応じて、上記工程以外の他工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、基材を含む態様で製造した積層体から基材を剥離する工程が挙げられ、基材を含まない態様の積層体を製造することができる。
また、その他の工程としては、配向層形成工程等が挙げられる。配向層の詳細及び形成方法は後述する。
【0196】
-配向層-
加飾層は、配向層を有してよい。配向層は、積層体の形成の際、反射層中のコレステリック液晶化合物の分子をより容易に配向させるために用いられる。
【0197】
配向層は、例えば、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等によって設けられる。配向層としては、電場の付与、磁場の付与、又は光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。
【0198】
配向層の厚さは、特に制限されないが、0.01~10μmが好ましい。
【0199】
基材及び反射層に隣接する下地層を構成する材料の種類によっては、配向層を別途設けることなく、基材又は下地層を配向層とすることができる。
例えば、基材を直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることができる。直接配向処理可能な基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる層が挙げられ、後述の要領でラビング処理を施してよい。また、粘着剤を含む層に対して直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることもできる。
【0200】
以下、好ましい例として、ラビング処理配向層及び光配向層について説明する。
【0201】
<<ラビング処理配向層>>
ラビング処理配向層は、例えば、液晶組成物が塗布される下地の表面に対して、ラビング処理を行うことにより形成される。ラビング処理は、例えば、ポリマーを主成分とする膜の表面を、紙又は布で一定方向に擦ることにより行うことができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
【0202】
上記のようなポリマーを主成分とする膜を形成する配向層用ポリマーとしては、例えば、特開平8-338913号公報の段落0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、及びポリカーボネートが挙げられる。また、配向層用ポリマーは、シランカップリング剤であってもよい。配向層用ポリマーは、水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが更に好ましい。
【0203】
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm;revolutions per minute)、vはステージ移動速度(秒速)である。
【0204】
ラビング密度を高くする方法としては、ラビング回数を増やす方法、ラビングローラーの接触長を長くする方法、ローラーの半径を大きくする方法、ローラーの回転数を大きくする方法、及びステージ移動速度を遅くする方法が挙げられる。一方、ラビング密度を低くする方法としては、ラビング回数を減らす方法、ラビングローラーの接触長を短くする方法、ローラーの半径を小さくする方法、ローラーの回転数を小さくする方法、及びステージ移動速度を速くする方法が挙げられる。また、ラビング処理の際の条件としては、特許第4052558号公報の記載を参照することもできる。
【0205】
<<光配向層>>
光照射により形成される光配向層に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-076839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報、及び特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物;特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物;特開2002-265541号公報、及び特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物;特許第4205195号及び特許第4205198号公報に記載の光架橋性シラン誘導体;並びに、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、及び特許第4162850号公報に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又は、エステルが挙げられる。中でも、光配向材料は、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルであることが好ましい。
【0206】
光配向材料から形成した層に、直線偏光照射又は非偏光照射を施すことにより、光配向層を製造することができる。
【0207】
本明細書において、「直線偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じさせるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に制限されるものではない。光照射に用いる光は、ピーク波長が200~700nmの光であることが好ましく、ピーク波長が400nm以下の紫外線であることがより好ましい。
【0208】
光照射に用いる光源としては、公知の光源、例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例えば、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、又はYAGレーザー)、発光ダイオード、及び陰極線管が挙げられる。
【0209】
直線偏光を得る方法としては、偏光板(例えば、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、又はワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例えば、グラントムソンプリズム)又はブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、及び偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が挙げられる。また、フィルター又は波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
【0210】
照射する光が直線偏光の場合、配向層の上面若しくは裏面から、配向層表面に対して垂直方向、又は斜め方向に光を照射する方法が挙げられる。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、配向層に対して、0~90°(垂直)が好ましく、40~90°がより好ましい。
【0211】
非偏光を利用する場合には、配向層の上面若しくは裏面から、斜め方向に非偏光を照射する。入射角度は、10~80°が好ましく、20~60°がより好ましく、30~50°が更に好ましい。照射時間は、1~60分が好ましく、1~10分がより好ましい。
【0212】
<表示素子>
本発明の表示装置は、表示素子を有する。
表示素子としては、特に制限はなく、例えば、液晶表示素子、有機EL(Electro Luminescence)表示素子、プラズマ表示素子、マイクロLED表示素子、及び、タッチパネル表示素子等が挙げられる。
表示素子の大きさ等の形状は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択することができる。
【0213】
<接着層>
本発明の表示装置は、接着層を更に有していてもよく、上記調光ユニットと上記加飾層との間に、接着層を更に有することが好ましい。接着層を設けることにより、基材及び各層間の密着性を向上できる。
接着層は、接着剤を含むことが好ましく、また、接着剤以外の成分を更に含んでいてもよい。
【0214】
接着剤の種類は、特に制限されない。接着剤は、永久的な接着に用いられる公知の接着剤であってもよい。接着剤は、一時的な接着に用いられる公知の接着剤であってもよい。
【0215】
接着剤としては、例えば、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル接着剤、アクリル樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリアミド接着剤及びシリコーン接着剤が挙げられる。接着強度が高いという観点から、ウレタン樹脂接着剤又はシリコーン接着剤が好ましい。接着剤は、熱硬化性の接着剤であってもよい。接着剤は、紫外線硬化性の接着剤であってもよい。
【0216】
接着剤の他の具体例としては、粘着剤が挙げられる。つまり、接着層は、接着剤として粘着剤を含んでいてもよい。本明細書においては、特に言及しない限り、粘着剤の少なくとも1種を含む粘着剤層も「接着層」に含まれるものとする。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びシリコーン系粘着剤が挙げられる。粘着剤としては、例えば、「剥離紙・剥離フィルム及び粘着テープの特性評価とその制御技術、情報機構、2004年、第2章」に記載されたアクリル系粘着剤、紫外線(UV)硬化型粘着剤及びシリコーン粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤とは、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含む粘着剤をいう。接着剤含有層は、粘着剤に加えて粘着付与剤を含んでいてもよい。接着剤としては、例えば、UVX-6282(東亞合成株式会社製)、NCF-D692(リンテック株式会社製)、UF-3007(共栄社化学株式会社製)が挙げられる。
【0217】
接着層の厚さは、接着層は、広視野角で視認性を向上させる観点で、接着性、及び、ハンドリング性の観点から、3~150μmが好ましく、4~120μmがより好ましく、5~100μmが特に好ましい。
【0218】
接着層の形成方法は、制限されない。接着層の形成方法としては、例えば、接着層を有するフィルムと貼り合わせる方法、単独の接着層と貼り合わせる方法及び接着剤を含む組成物を塗布する方法が挙げられる。
【0219】
本発明の表示装置は加飾層と表示素子との間に、接着層を有していてもよい。接着層としては、上述した接着層が好適に挙げられる。
表示装置において、放熱性等の観点から、加飾層と上記表示素子との間に空間を有していてもよい。その場合、表示装置は、加飾層を固定する支持部材等を有することが好ましい。
【0220】
<λ/4位相差板>
本発明の表示装置は、更に、λ/4位相差板(λ/4位相差層)を有することが好ましい。
「λ/4位相差板」とは、λ/4機能(面内方向においてλ/4の位相差を付与する機能)を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する層である。
表示装置がλ/4位相差板を有する場合、λ/4位相差板は、上述の反射層等の加飾層に対し、表示素子側又は調光ユニット側に配置されることが好ましい。即ち、λ/4位相差板は、加飾層と表示素子との間、及び、調光ユニットと加飾層との間の少なくとも一方に配置されていることが好ましい。中でも、調光ユニットと加飾層との間にλ/4位相差板を更に有することがより好ましい。
【0221】
例えば、液晶表示素子の表面をλ/4位相差板と加飾層とで装飾した場合、表示素子の消灯時に加飾層が視認でき、白表示の場合は加飾層が透明で存在感の無い独特な意匠性をもった装飾が可能である。すなわち、加飾層とλ/4位相差板とを有する複合膜を表面(画像表示面)に備える液晶表示装置によれば、表示装置の消灯時に加飾層が視認され、白表示の場合は加飾層が透明で存在感の無い独特な意匠性をもった液晶表示装置を実現できる。
また、λ/4位相差板と加飾層と組み合わせることで、反射型液晶表示素子及び半透過型液晶表示素子等の反射板として活用することもできる。
【0222】
表示装置の好ましい態様としては、調光ユニット、λ/4位相差板、加飾層及び表示素子をこの順に有し、かつ、調光ユニットが、電圧の印加によって配向方向が変化する液晶分子を含む液晶層を含み、液晶層に電圧を印加したときには液晶分子が一方向へと水平配向し、液晶層に電圧を印加しないときには液晶分子が垂直配向する、上記の好ましい態様である場合が挙げられる。上記の調光ユニットの好ましい態様については、既に述べた通りである。
電圧を印加したときに液晶分子が一方向に水平配向し、電圧を印加しないときに液晶分子が垂直配向する調光ユニットと、λ/4位相差板とを組み合わせて用いることにより、表示素子が画像を表示し、かつ、調光ユニットにおいて調光層に電圧を印加する際、調光層において一方向に配向した液晶分子により外光のうち一方の直線偏光成分を散乱させることで、表示素子が画像を表示している際の加飾層の視認性を抑制し、表示画像の視認性をより向上させることができる。
上記の表示画像の視認性が向上する観点からは、上記調光ユニットとλ/4位相差板とを組み合わせて用いる際、調光ユニットの表面の法線方向から見て、調光ユニットの調光層において電圧を印加した際に液晶分子が配向する方向と、λ/4位相差板の遅相軸(又は進相軸)の方向とのなす角が45°となるように、上記調光ユニット及びλ/4位相差板を配置することが好ましい。
【0223】
中でも、上記表示装置の好ましい態様において、加飾層が、所定の右円偏光又は左円偏光のみを反射するコレステリック液晶層である表示装置がより好ましい。この態様の場合、表示素子が画像を表示し、かつ、調光ユニットにおいて調光層に電圧を印加した際、調光ユニットから入射した外光のうち一方の直線偏光成分については、調光層に含まれる液晶分子によって散乱する量がより多くなる。外光が入射した際に液晶分子により散乱されずに調光層を通過した直線偏光成分が、λ/4位相差板により右円偏光又は左円偏光に変換された後、その右円偏光又は左円偏光のみを反射するコレステリック液晶層により反射され、λ/4位相差板により直線偏光に変換される結果、再度、調光層に含まれる液晶分子によって散乱されるためである。また、上記外光のうち他方の直線偏光成分については、調光ユニットを通過し、λ/4位相差板により変換された、左円偏光又は右円偏光はコレステリック液晶層を通過することになる。その結果、表示素子が画像を表示している際、加飾層の反射はより一層抑制されるため、表示素子により表示される画像の輝度を減衰させることなく、表示画像の視認性を更に向上させることができる。
【0224】
本発明の表示装置は、加飾層の独特な意匠性を生かし、自動車車内用内装として利用することができる。また、本発明の表示装置が、更に、λ/4位相差板を有する場合には、この用途に限らず、加飾に適用した物品が反射体に映り込むのを防止する目的で多様に活用が可能である。
【0225】
λ/4位相差板としては、例えば米国特許出願公開2015/0277006号等に記載のλ/4位相差板が挙げられる。
例えば、λ/4位相差板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルム等が挙げられ、また、λ/4位相差板が多層構造である態様としては、具体的には、λ/4位相差板とλ/2位相差板とを積層してなる広帯域λ/4位相差板が挙げられる。λ/4位相差板は、例えば、液晶化合物を含む液晶組成物を塗布することにより形成できる。λ/4位相差板は、ネマチック液晶層又はスメクチック液晶層を発現する液晶モノマーを重合して形成した液晶化合物(円盤状液晶、棒状液晶化合物等)の少なくともひとつを含む1層以上の位相差フィルムであることがより好ましい。
また、光学性能に優れたλ/4位相差板として、逆波長分散性の液晶化合物を用いることも更に好ましい。具体的には、国際公開第2017/043438号に記載の一般式(II)の液晶化合物が好ましく用いられる。逆波長分散性の液晶化合物を用いたλ/4位相差板の作製方法についても、国際公開第2017/043438号の実施例1~10や特開2016-091022号公報の実施例1の記載を参考にできる。
【0226】
λ/4位相差板の厚さは、特に制限はないが、0.1~100μmが好ましく、0.5~5μmがより好ましい。
【0227】
<円偏光板>
本発明の表示装置は円偏光板を有していてもよい。円偏光板は、反射層に対し、表示素子側に配置されることが好ましい。
円偏光板を有することで、加飾層がハーフミラーのように機能する。つまり、視認側が明るい場合は加飾材料として視認されて裏側が透けて見えず、裏側が明るい場合は透明なフィルムとして視認される特長があり、独特な意匠性を持たせることが可能である。
円偏光板としては、直線偏光板と、λ/4位相差板とを積層したものが挙げられる。円偏光板中の構成としては、反射層側から、λ/4位相差板及び直線偏光板がこの順に配置される。直線偏光板とλ/4位相差板は、例えば、直線偏光板側から入射した光がλ/4位相差板で左円偏光又は右円偏光に変換されるように、λ/4位相差板の遅相軸及び直線偏光板の透過軸を合わせて配置される。より具体的には、通常、λ/4位相差板の遅相軸と直線偏光板の透過軸とのなす角が45°となるように、直線偏光板とλ/4位相差板とが配置されることが好ましい。
表示装置が円偏光板を有する場合、円偏光板と反射層との間には、上述の粘着剤層が配置されていてもよい。
なお、表示装置において、表示素子が視認側に直線偏光板を有する場合、円偏光板に代えてλ/4位相差板のみを反射層に対して表示素子側に配置し、表示素子が有する直線偏光板及びλ/4位相差板の組み合わせを上記の円偏光板として機能させてもよい。その場合のλ/4位相差板としては、既に説明したλ/4位相差板が使用可能である。
【0228】
円偏光板の厚さは、特に制限はないが、1~150μmが好ましく、2~100μmがより好ましく、5~60μmが更に好ましい。
【0229】
<基材>
本発明の表示装置は、基材を有していてもよい。表示装置が基材を有することにより、表示装置又は表示装置の一部を構成する積層体の強度を高めることができるため、取り扱いがより容易となる。また、表示装置が基材を有する場合、上記積層体を成型してなる成型体を構成する部材として基材を用いることができる。
【0230】
上記積層体が基材を含む態様において、加飾層は、基材上に直接設けられていてよく、他の層を介して設けられていてもよい。
また、加飾層と調光ユニットとの間に、基材を有する態様も好ましく挙げられる。
【0231】
基材の形状及び材質は、特に制限されず、所望に応じ適宜選択すればよい。基材としては、例えば、樹脂を主成分として含む樹脂基材が挙げられる。
【0232】
樹脂基材の材質として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、アクリル-ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、環状オレフィン-コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ウレタン樹脂、及びウレタン-アクリル樹脂が挙げられる。加飾層の強度の観点、また、加飾層を成型する場合の成型加工性の観点から、基材の材質は、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル-ポリカーボネート樹脂及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。基材は、材質が異なる複数の樹脂層の積層体であってよい。
【0233】
樹脂基材は、必要に応じ、添加剤を含有していてよい。添加剤としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーン等の潤滑剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤;ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤等の有機難燃剤;金属粉、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、木粉等の有機又は無機の充填剤;酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤、及び主成分の樹脂以外の樹脂が挙げられる。
【0234】
樹脂基材は、市販品であってよい。市販品としては、例えば、テクノロイ(登録商標)シリーズ(アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、又はアクリル樹脂/ポリカーボネート樹脂積層フィルム、住友化学株式会社製)、ABSフィルム(オカモト株式会社製)、ABSシート(積水成型工業株式会社製)、テフレックス(登録商標)シリーズ(PETフィルム、帝人フィルムソリューション社製)、ルミラー(登録商標)易成型タイプ(PETフィルム、東レ株式会社製)、及びピュアサーモ(ポリプロピレンフィルム、出光ユニテック株式会社製)が挙げられる。
【0235】
基材の厚さは、特に制限されないが、上記積層体の強度の観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、同様の観点から、基材の厚さは、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましい。
【0236】
<着色層>
本発明の表示装置は、着色層を含んでよい。これにより、所望の意匠を得ることがより容易となる。着色層は、着色剤を含む層である。着色層は、1層であってよく、2層以上であってもよい。
【0237】
表示装置における着色層の位置は、特に制限されず、所望の位置に設けてよい。例えば、着色層は、反射層上に設けられてもよい。また、表示装置が基材を含む場合、基材の反射層が形成されている側とは反対側に設けられてよい。
【0238】
着色層の色は、特に制限されず、用途等に応じて適宜選択することができる。着色層の色としては、例えば、黒、灰、白、赤、橙、黄、緑、青、紫、茶等が挙げられる。また、着色層の色は、金属調の色であってもよい。
【0239】
-着色剤-
着色剤は、顔料であってよく、染料であってもよい。耐久性の観点から、着色剤は、顔料であることが好ましい。着色層を金属調とするために、着色剤として、金属粒子、パール顔料等を用いてもよい。
【0240】
顔料は、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。
【0241】
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の白色顔料;カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、黒鉛等の黒色顔料;酸化鉄、バリウムイエロー、カドミウムレッド、及びクロムイエローが挙げられる。
【0242】
無機顔料としては、特開2005-007765号公報の段落0015及び段落0114に記載の無機顔料も挙げられる。
【0243】
有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料;アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジ等のアゾ系顔料;キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタ等のキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料;カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、及びジケトピロロピロールが挙げられる。
【0244】
有機顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 177、179、224、242、254、255、264等の赤色顔料、C.I.Pigment Yellow 138、139、150、180、185等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、71等の橙色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料;C.I.Pigment Blue 15:6等の青色顔料;及び、C.I.Pigment Violet 23等の紫色顔料が挙げられる。
【0245】
有機顔料としては、特開2009-256572号公報の段落0093に記載の有機顔料も挙げられる。
【0246】
顔料は、光透過性及び光反射性を有する顔料(いわゆる、光輝性顔料)であってもよい。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム、及びこれらの合金の金属製光輝性顔料、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、並びに、ガラスフレーク顔料が挙げられる。光輝性顔料は、無着色のものであってよく、着色されたものであってもよい。
【0247】
着色剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の着色剤を用いる場合、無機顔料と有機顔料とを組み合わせてもよい。
【0248】
着色剤の含有量は、目的とする色発現の観点から、着色層の全量に対して、1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が特に好ましい。
【0249】
-バインダー樹脂-
着色層は、強度、耐傷性、及び成型加工適正の観点から、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂の種類は、特に制限されない。バインダー樹脂は、所望の色を得る観点から、透明な樹脂であることが好ましく、具体的には、全光線透過率が80%以上の樹脂であることが好ましい。全光線透過率は、分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製の分光光度計「UV-2100」)により測定することができる。
【0250】
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリオレフィンが挙げられる。バインダー樹脂は、単独重合体であってよく、共重合体であってもよい。
【0251】
バインダー樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0252】
バインダー樹脂の含有量は、着色層の全量に対して、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~60質量%が特に好ましい。
【0253】
-分散剤-
着色層に含まれる着色剤、特に顔料の分散性を向上する観点から、着色層は、分散剤を含有してよい。分散剤が含まれると、着色層における着色剤の分散性が向上する。そのため、得られる加飾層の色をより容易に均一にすることができる。
【0254】
分散剤は、着色剤の種類、形状等に応じて適宜選択することができ、高分子分散剤であることが好ましい。
【0255】
高分子分散剤としては、例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマー、及びポリエステルポリマーが挙げられる。例えば、加飾層に耐熱性を付与したい場合には、分散剤は、グラフト型シリコーンポリマー等のシリコーンポリマーであることが好ましい。
【0256】
分散剤の重量平均分子量は、1,000~5,000,000が好ましく、2,000~3,000,000がより好ましく、2,500~3,000,000が更に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、着色剤の分散性がより向上する。
【0257】
分散剤は、市販品であってよい。分散剤の市販品としては、BASFジャパン社製のEFKA 4300(アクリル系高分子分散剤);花王株式会社製のホモゲノールL-18、ホモゲノールL-95、及びホモゲノールL-100;日本ルーブリゾール社製の、ソルスパース20000、及びソルスパース24000;並びにビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-110、DISPERBYK-164、DISPERBYK-180、及びDISPERBYK-182が挙げられる。なお、「ホモゲノール」、「ソルスパース」、及び「DISPERBYK」はいずれも登録商標である。
【0258】
分散剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0259】
分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1~30質量部が好ましい。
【0260】
-添加剤-
着色層は、上記の成分以外に、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、特に制限されず、例えば、特許第4502784号公報の段落0017、及び特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤;特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう。フェノチアジンが好ましく挙げられる。);並びに、特開2000-310706号公報の段落0058~0071に記載の添加剤が挙げられる。
【0261】
-厚さ-
着色層の厚さは、特に制限されないが、視認性の観点から、0.5μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、3~50μmが更に好ましく、3~20μmが特に好ましい。
着色層が2層以上である場合、各着色層がそれぞれ独立に、上記厚さの範囲であることが好ましい。
【0262】
-着色層の形成方法-
着色層の形成方法としては、例えば、着色層形成用組成物を用いる方法、着色されたフィルムを貼り合せる方法等が挙げられる。中でも、着色層の形成方法は、着色層形成用組成物を用いる方法が好ましい。
【0263】
着色層形成用組成物を用いて着色層を形成する方法としては、着色層形成用組成物を塗布して着色層を形成する方法、例えば、着色層形成用組成物を印刷して着色層を形成する方法が挙げられる。印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、及びオフセット印刷が挙げられる。
【0264】
着色層形成用組成物は、着色剤と、必要に応じて、バインダー樹脂、分散剤及び添加剤の少なくとも1つとを含むものであってよい。各成分の種類は、着色層について上述したものであってよい。
着色剤の含有量は、着色層形成用組成物の全固形分量に対して、1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、着色層形成用組成物の全固形分量に対して、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1~30質量部が好ましい。
【0265】
着色層は、着色層形成用組成物を硬化してなる層であってもよく、例えば、重合性化合物及び重合開始剤を含む着色層形成用組成物を硬化してなる層であってもよい。重合性化合物及び重合開始剤は、特に制限されず、公知の重合性化合物及び公知の重合開始剤を用いてよい。重合性化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0266】
着色層形成用組成物は、塗布をより容易にする観点から、有機溶剤を含んでよい。有機溶剤は、特に制限されず、公知の有機溶剤を適用することができる。有機溶剤としては、例えば、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、及び芳香族炭化水素が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0267】
有機溶剤の含有量は、着色層形成用組成物の全量に対して、5~90質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
【0268】
着色層形成用組成物として、例えば、naxレアルシリーズ、naxアドミラシリーズ、及びnaxマルチシリーズ(日本ペイント株式会社製);レタンPGシリーズ(関西ペイント株式会社製)等の市販の塗料を用いてよい。
【0269】
着色層形成用組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば、着色剤等の各成分を混合することにより着色層形成用組成物を調製してよい。また、着色層形成用組成物が着色剤として顔料を含む場合、顔料の均一分散性及び分散安定性をより高める観点から、顔料と分散剤とを含む顔料分散液を予め調製し、顔料分散液に他の成分を混合することにより、着色層形成用組成物を調製することが好ましい。
【0270】
<その他の層>
本発明の表示装置は、調光ユニット、加飾層、表示素子、接着層、λ/4位相差板、円偏光板、基材及び着色層以外のその他の層を有していてもよい。
【0271】
その他の層としては、例えば、加飾層を有する表示装置に用いられる層として公知の層である、保護層、易接着層、紫外線吸収層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層等が挙げられる。
【0272】
その他の層は公知の方法により形成することができる。例えば、これらの層に含まれる成分を含む組成物(層形成用組成物)を層状に付与し、乾燥する方法が挙げられる。
【0273】
<各層の配置>
本発明の表示装置の各層の配置は制限されない。図3に、本発明の表示装置の構成の一例を概略的に示す。
図3に示す表示装置30は、調光ユニット32、接着層34、加飾層36、接着層38、及び、表示素子40をこの順に有する。
【0274】
本発明の表示装置の各層の配置は、図3に示す配置に制限されず、次のように配置されてもよい。「/」は、層の境界を示す(ただし、「λ/4位相差板」内の「/」を除く。)。また、左側が視認側であるものとする。なお、表示素子が視認側に直線偏光子を有する場合、表示素子に隣接して配置される円偏光板に代えてλ/4位相差板を用いてもよい。
(1)調光ユニット/加飾層/表示素子
(2)調光ユニット/基材/加飾層/表示素子
(3)調光ユニット/基材/接着層/加飾層/表示素子
(4)調光ユニット/加飾層/接着層/表示素子
(5)調光ユニット/基材/加飾層/接着層/表示素子
(6)調光ユニット/基材/接着層1/加飾層/接着層2/表示素子
(7)調光ユニット/接着層1/基材/接着層2/加飾層/接着層3/表示素子
(8)調光ユニット/加飾層/円偏光板/表示素子
(9)調光ユニット/(λ/4位相差板)/加飾層/表示素子
(10)調光ユニット/(λ/4位相差板)/加飾層/円偏光板/表示素子
(11)調光ユニット/接着層1/(λ/4位相差板)/接着層2/基材/接着層3/加飾層/接着層4/表示素子
(12)調光ユニット/接着層1/基材/接着層2/加飾層/接着層3/円偏光板/接着層4/表示素子
(13)調光ユニット/接着層1/(λ/4位相差板)/接着層2/基材/接着層3/加飾層/接着層4/円偏光板/接着層5/表示素子
【実施例0275】
以下に実施例を挙げて本発明の表示装置を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0276】
<実施例1>
〔基材の準備〕
片面に易接着層を有する厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4160、東洋紡(株)製)からなる透明支持体1を用意し、基材として使用した。
【0277】
〔下塗り層(粘着剤層)の形成〕
透明支持体1の易接着層の無い面上に、下記に記載の組成を有する下塗り層塗布液1を#4のワイヤーバーコーターで塗布した。その後80℃で120秒乾燥し、25℃にてメタルハライドランプ(MAL625NAL、(株)GSユアサ製)を用いた紫外線照射装置により、180mJ/cmの紫外線を照射して、下塗り層付き支持体1を作製した。
【0278】
-下塗り層塗布液1の組成-
トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製):75質量部
KAYARAD PET30(日本化薬(株)製):25質量部
IRGACURE 907(チバガイギー社製):3質量部
光重合開始剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製):1質量部
下記に示す構造を有する界面活性剤1:0.01質量部
有機溶剤1(メチルエチルケトン):136質量部
有機溶剤2(シクロヘキサノン):156質量部
【0279】
界面活性剤1:下記化合物
【0280】
【化17】
【0281】
〔加飾層1の形成〕
下記に記載の組成を有する液晶組成物1を調製した。
【0282】
-液晶組成物1の組成-
下記に示す構造を有する棒状液晶化合物1:100質量部
カイラル剤1(感光性カイラル剤、下記に示す構造を有する化合物):8.5質量部
光重合開始剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製):0.5質量部
界面活性剤1(上記に示す構造を有する化合物):0.054質量部
界面活性剤2(下記に示す構造を有する化合物):0.134質量部
有機溶剤1(メチルエチルケトン):165質量部
有機溶剤2(シクロヘキサノン):10質量部
【0283】
棒状液晶化合物1:下記化合物
【0284】
【化18】
【0285】
カイラル剤1:下記化合物
【0286】
【化19】
【0287】
界面活性剤2:下記化合物
【0288】
【化20】
【0289】
下塗り層付き支持体1における下塗り層1の表面に、液晶組成物1を#5のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、液晶組成物1の塗布膜を80℃で120秒間乾燥し、次いで、液晶組成物1の塗布膜に対して、酸素濃度5%以下かつ25℃の条件下、メタルハライドランプ(MAL625NAL、(株)GSユアサ製)を有する紫外線照射装置を用いて、340nmより短波長の光を遮蔽する層を蒸着した石英ガラスフィルター(以下短波長カットフィルター1という)を介して130mJ/cmの紫外線を照射した。更に、短波長カットフィルター1を介さずに同様の露光を低酸素濃度下(1,000ppm以下)で行うことで、液晶層を完全に硬化させ、厚さ2.4μmのコレステリック液晶層からなる加飾層1を形成した。
【0290】
更に、特許第6744415号に記載の実施例31のλ/4位相差板と同様の方法で、λ/4位相差板1を別途作製し、加飾層1とλ/4位相差板1とを粘着剤(綜研化学株式会社製、SK2057)を用いて貼合した。更に、加飾層1のλ/4位相差板1とは反対側の面に粘着剤(綜研化学株式会社製、SK2057)を付着させ、形成された粘着剤層上に、シリコーン系剥離フィルム(LT-H、リンテック社)を貼合することで、剥離フィルム、粘着剤層、加飾層1及びλ/4位相差板1をこの順に有する積層加飾シート1を作製した。
なお、粘着剤からなる層(粘着剤層)の厚さが25μmとなるように、粘着剤の付着量を調節した。
【0291】
〔調光ユニット1の作製〕
第1垂直配向膜、第1透明電極及び第1透明支持層をこの順に備える第1積層体と、第2垂直配向膜、第2透明電極及び第2透明支持層をこの順に備える第2積層体とをそれぞれ準備した。第1垂直配向膜と第2垂直配向膜が互いに対向するように、第1積層体及び第2積層体を離間して配置し、第1積層体の第1垂直配向膜と第2積層体の第2垂直配向膜との間に、光重合性化合物を含む液晶組成物LCを充填し、液晶層を形成した。液晶層に光を照射し、液晶層内の光重合性化合物を重合させることによって、調光ユニット1を得た。得られた調光ユニット1は、図1に示す層構成を有していた。得られた調光ユニット1の厚みは120μmであった。
【0292】
実施例及び比較例において調光ユニットの作製に用いた部材の構成材料を以下に示す。
・第1透明電極:酸化インジウムスズ
・第2透明電極:酸化インジウムスズ
・第1透明支持層:ポリエチレンテレフタレートフィルム
・第2透明支持層:ポリエチレンテレフタレートフィルム
・第1垂直配向膜:セチルトリメチルアンモニウムブロマイド
・第2垂直配向膜:セチルトリメチルアンモニウムブロマイド
また、液晶組成物LCの組成を以下に示す。
・液晶分子LCM:シアノビフェニル化合物 100質量部
・紫外線重合性化合物1:イソボニルアクリレート 5質量部
・紫外線重合性化合物2:ペンタエリスリトールトリアクリレート 5質量部
・紫外線重合性化合物3:ウレタンアクリレート 8質量部
・重合開始剤:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5質量部
・二色性色素:アントラキノン化合物の青M1(製品名M-412:三井化学ファイン株式会社製) 0.5質量部
・スペーサーSP:PMMA製の真球状粒子(10μm) 1質量部
【0293】
製造された調光ユニット1は、調光層(液晶層)に含まれる液晶分子を電気的に駆動させる方式の調光ユニットであった。具体的には、調光ユニット1では、調光層に電圧を印加しないた場合(OFFの場合)、液晶分子LCMは概ね垂直方向(調光層の厚さ方向)に沿って配向し、液晶層に電圧を印加した場合(ONの場合)、液晶分子LCMは概ね水平方向(液晶層の面内方向)に沿ってランダムに配向した。
【0294】
〔表示装置1の作製〕
マイクロソフト社製のタッチパネル付き液晶タブレットSurfacePro7を表示素子として準備した。表示素子の表面に、粘着剤(綜研化学(株)製、SKダイン2057、粘着剤層の厚さ25μm)を用いて、λ/4位相差板1側の表面が表示素子と対向するように、積層加飾シート1を貼合した。積層加飾シート1を貼合する際、表示素子の表示がより明るく見える状態になるように、λ/4位相差板1の遅相軸と表示素子の視認側に配置されている偏光子の吸収軸との軸関係を設定した。
その後、積層加飾シート1から剥離シートを剥離し、剥離シートの剥離面に上記調光ユニット1を貼合して、調光ユニット1、加飾層1、λ/4位相差板1及び表示素子をこの順に備える実施例1の表示装置1を作製した。調光ユニット1を貼合する際、積層加飾シート1の奥側の背景がより見える状態になるように、表示素子が有する偏光子の吸収軸と、調光ユニット1が有する偏光子の吸収軸との軸関係を設定した。
表示装置1において、調光ユニット1と加飾層1との間の距離は25μmであった。
【0295】
〔調光ユニットの透過率の測定〕
調光ユニット1のON状態及びOFF状態のそれぞれにおける透過率(全光線透過率)を、分光光度計(日本電色工業株式会社製「SH7000」)を用いて、380~780nmの範囲で測定した。
【0296】
〔表示画像の視認性評価〕
表示素子がONのときの表示画像の視認性を以下の方法で評価した。
製造された表示装置1を、表示素子の画像表示面が上方を向くように水平に設置した後、表示装置1の鉛直上方であって、調光ユニット1側の表面から3m離れた位置に、光が下向きに照射されるようにLED光源(LDL 40S、三菱電機(株)製)を設置した。表示素子及び調光ユニット1の両者をONにして、12ポイントのサイズの文字を表示素子に表示した。次いで、表示装置1の鉛直上方であって、調光ユニット1側の表面から1m離れた位置から、表示装置1を観察した。表示素子により表示される上記の文字の観察結果から、下記の評価基準に基づいて、表示素子がONのときの表示画像の視認性を評価した。評価結果としては、S~Cを満たすことが好ましく、S、A又はBがより好ましく、S又はAが更に好ましく、Sが特に好ましい。
【0297】
(表示画像の視認性の評価基準)
S:文字が非常に鮮明に認識され、加飾層は視認されなかった。
A:文字が鮮明に認識され、加飾層は視認されなかった。
B:文字が鮮明に認識されたが、加飾層が僅かに視認された。
C:ややぼやけているが、文字が認識された。同時に加飾層も視認された。
D:ぼやけており、文字の認識が困難であった。同時に加飾層も強く視認された。
【0298】
〔加飾層の視認性評価〕
表示素子及び調光ユニット1の両者をOFFにしたこと以外は、表示素子がONのときの表示画像の視認性評価方法と同様に表示装置1を観察した。表示装置1の加飾層1により表示される加飾層の観察結果から、下記の評価基準に基づいて、表示素子がOFFのときの加飾層の視認性を評価した。評価結果としては、S、A又はBが好ましく、S又はAがより好ましく、Sが更に好ましい。
【0299】
(加飾層の視認性の評価基準)
S:加飾層が非常にクリアに視認された。
A:加飾層がクリアに視認された。
B:加飾層の視認性は低いが、加飾が認識できるレベルであった。
C:加飾層の視認性が低く、加飾が認識できない領域が存在した。
【0300】
実施例1につき、調光ユニット1の透過率の測定値、並びに、表示画像及び加飾層の視認性の評価結果を、後述する表1に示す。
【0301】
<実施例2~7>
下記に示す方法により作製した加飾層2~7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~7の表示装置をそれぞれ作製した。
実施例2~7の表示装置について、実施例1と同様に、表示素子がONのときの表示画像の視認性、及び、表示素子がOFFのときの加飾層の視認性を評価した。評価結果を、まとめて表1に示す。
【0302】
〔加飾層2の作製〕
片面に易接着層を有する厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4160、東洋紡(株)製)を準備した。準備したPETフィルムの易接着面に、図4に示すグラデーションパターンを湿式電子写真印刷機(Indigo20000、175lPi、黒単色モード)を用いて印刷し、マスクフィルム2を作製した。
液晶組成物1の塗布膜に対して紫外線を照射する際、バンドパスフィルタ1とマスクフィルム2を重ね合わせたものを介して130mJ/cmの紫外線を照射する以外は、実施例1と同様にして、コレステリック液晶層からなる加飾層2を作製した。
【0303】
〔加飾層3の作製〕
PETフィルムの易接着面に印刷する絵柄を図5に示すストライプパターンに変更してマスクフィルム3を作製したこと、及び、マスクフィルム2に代えてマスクフィルム3を用いたこと以外は、加飾層2の作製方法と同様にして、加飾層3を作製した。
マスクフィルム3の作製に用いたストライプパターンの線幅及びスペースは、それぞれ、200μm及び300μmであった。
【0304】
〔加飾層4の作製〕
片面に易接着層を有する厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4160、東洋紡(株)製)の易接着面に、湿式電子写真印刷機(Indigo20000、175lPi)を用いて、印刷層の色相が青色(a*=-11、b*=-25)になるように、均一な青色のベタ膜からなる印刷層を有するシート状の印刷物を作製した。その後、得られた印刷物に、Co2レーザーマーカー(MD-X2000A、株式会社キーエンス製)を用いて、直径50μm円状のドット空孔を形成し、加飾層4を形成した。これにより、加飾層4には、印刷物シートの各辺に対して平行又は垂直な方向に沿って、隣り合うドットの中心間の距離が200μmになるように配置された複数のドットが形成されていた。
【0305】
〔加飾層5の作製〕
PETフィルムに印刷する印刷層の絵柄を均一な青色のベタ膜から、図4に示すグラデーションを有する絵柄に変更する以外は、加飾層4の作製方法と同様にして、加飾層5を作製した。
【0306】
〔加飾層6の作製〕
市販されている誘電体多層膜(ピカサスGB41、青色ベタ反射膜、東レ株式会社製、A4サイズ)を加飾層6として用いた。加飾層6は、有機多層膜に相当する。
【0307】
〔加飾層7の作製〕
片面に易接着層を有する厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4160、東洋紡(株)製)の易接着面に、真空スパッタ装置(VEP-1000、株式会社アルバック製)を用いて、二酸化ケイ素及び五酸化ニオブを交互に計6層積層し、中心波長が520nmになるように各層の厚みを調整して、加飾層7を作製した。加飾層7は、誘電体多層膜のうち無機多層膜に相当する。
【0308】
<実施例8~11>
表示素子がON時又はOFF時のそれぞれにおける調光ユニットの透過率が表1に記載の透過率になるように、調光ユニットの調光層(液晶層)に含まれる二色性色素の濃度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、調光ユニット2~5をそれぞれ作製した。作製された調光ユニット2~5を用いて実施例8~11の表示装置をそれぞれ作製した。なお、調光ユニット2~5の厚みはいずれも調光ユニット1の厚みと同じであり、各表示装置における調光ユニットと加飾層との間の距離も実施例1の表示装置1と同じであった。
実施例8~11の表示装置について、実施例1と同様に、表示素子がONのときの表示画像の視認性、及び、表示素子がOFFのときの加飾層の視認性を評価した。各評価結果をまとめて表1に示す。
【0309】
<比較例1~4>
調光ユニット1を設けなかったこと以外は、実施例1、実施例4、実施例6又は実施例7と同様にして、比較例1~4の表示装置をそれぞれ作製した。
比較例1~4の表示装置について、実施例1と同様に、表示素子がONのときの表示画像の視認性、及び、表示素子がOFFのときの加飾層の視認性を評価した。各評価結果をまとめて表2に示す。
【0310】
<実施例12>
〔調光ユニット6の作製〕
ポリエチレンテレフタラート透明基板上に、蒸着により、厚み200nmのインジウム錫酸化物(ITO)膜を形成した。形成されたITO膜の表面にフォトレジスト膜を形成し、形成したフォトレジスト膜をパターン露光及び現像した。その後、露出したITO膜に対してエッチング処理を行うことによりITO膜をパターニングし、透明基板の全域にわたる櫛型の電極を作製した。作製された櫛型の電極は、図2に示すように、面内の一方向の一端から他端に向かって延在する複数の導電性細線を有する陽極と、上記一方向の他端から一端に向かって延在する複数の導電性細線を有する陰極とを有し、互い違いに配置された陽極及び陰極の導電性配線により形成されるL/Sパターンのライン幅/スペース幅は5μm/5μmであった。
その後、透明電極上に、配向処理剤としてポリイミド系垂直配向膜VPC2001(株式会社イーエッチシー製)をスピンコートで塗布し、60~70℃で1分間の仮焼成を行った後、120℃で30分間の本焼成を行った。これにより、厚み1μmの垂直配向膜を形成し、透明基板、ITOパターン電極及び垂直配向膜をこの順に備える第3積層体を作製した。
また、透明基板上に直接形成すること以外は上記と同じ手順で垂直配向膜を形成し、透明基板及び垂直配向膜を備える第4積層体を作製した。
第1透明電極を有する第1積層体に代えて上記ITOパターン電極を有する第3積層体を用いること、及び、第2透明電極を有する第2積層体に代えて上記第4積層体を用いること以外は、実施例1における調光ユニット1の作製と同様にして、調光ユニット6を作製した。調光ユニット6は、調光層に平行な電界を印加することにより、調光層に含まれる液晶分子を、面内方向であってITOパターン電極の陽極又は陰極の導電性細線が延在する方向に垂直な方向に配向させる、横電界駆動方式の調光ユニットであった。調光ユニット6の厚みは300μmであった。
【0311】
〔表示装置12の作製〕
λ/4位相差板1を作製した方法と同様に、λ/4位相差板2を作製した。
調光ユニット6のITOパターン電極側に粘着剤(綜研化学株式会社製、SK2057)を貼合し、調光ユニット6とλ/4位相差板2とを貼合した。調光ユニット6とλ/4位相差板2とを貼合する際、積層方向から見て、調光ユニット6のITOパターン電極において陽極又は陰極の導電性細線が延在する方向に垂直な方向と、λ/4位相差板2の遅相軸とのなす角が45°となるように、調光ユニット6及びλ/4位相差板2の配置を調整した。
次いで、調光ユニット1に代えて上記のλ/4位相差板付き調光ユニット6を用いて、λ/4位相差板2が剥離シートの剥離面に対向するようにλ/4位相差板付き調光ユニット6を貼合すること以外は、実施例1の表示装置1の作製方法と同様にして、調光ユニット6、λ/4位相差板2、加飾層1、λ/4位相差板1及び表示素子をこの順に備える表示装置12を作製した。
表示装置12において、調光ユニット6と加飾層1との間の距離は100μmであった。
【0312】
<実施例13>
陽極及び陰極の導電性配線により形成されるL/Sパターンのライン幅/スペース幅が5μm/20μmであるITOパターン電極を作製したこと以外は、実施例12の調光ユニット6の作製と同様にして、調光ユニット7を作製した。
作製された調光ユニット7を調光ユニット6に代えて用いたこと以外は、実施例12と同様にして、調光ユニット7、λ/4位相差板2、加飾層1、λ/4位相差板1及び表示素子をこの順に備える表示装置13を作製した。
なお、調光ユニット7の厚みは60μmであり、表示装置13における調光ユニット7と加飾層1との間の距離は実施例12の表示装置12における調光ユニット6と加飾層1との間の距離と同じであった。
【0313】
<実施例14>
陽極及び陰極の導電性配線により形成されるL/Sパターンのライン幅/スペース幅が20μm/5μmであるITOパターン電極を作製したこと以外は、実施例12の調光ユニット6の作製と同様にして、調光ユニット8を作製した。
作製された調光ユニット8を調光ユニット6に代えて用いたこと以外は、実施例12と同様にして、調光ユニット8、λ/4位相差板2、加飾層1、λ/4位相差板1及び表示素子をこの順に備える表示装置14を作製した。
なお、調光ユニット8の厚みは調光ユニット6の厚みと同じであり、表示装置14における調光ユニット8と加飾層1との間の距離も実施例12の表示装置12における調光ユニット6と加飾層1との間の距離と同じであった。
【0314】
〔調光ユニットの透過率の測定〕
実施例12~14で作製された調光ユニット6~8について、実施例1と同様に、ON状態又はOFF状態における透過率(全光線透過率)をそれぞれ測定した。
また、各調光ユニットのON状態又はOFF状態における平行線透過率を、分光光度計(日本電色工業株式会社製「SH7000」)を用いて、380~780nmの範囲でそれぞれ測定した。ここで平行線透過率は、全光線透過率から拡散透過率を差し引いた透過率を指す。
更に、各調光ユニットをON状態にして、各ITOパターン電極の陽極又は陰極の導電性細線が延在する方向に対して垂直又は平行な直線偏光を調光ユニットに照射した際の平行線透過率を、上記分光光度計を用いて380~780nmの範囲でそれぞれ測定した。吸収軸を所定の方向に向けて設置した吸収型直線偏光フィルタに照射光を通すことにより、測定用の各直線偏光を得た。上記導電性細線が延在する方向に対して垂直な直線偏光が、液晶層に含まれる液晶分子が配向した方向と平行な直線偏光に相当し、上記導電性細線が延在する方向に対して平行な直線偏光が、液晶層に含まれる液晶分子が配向した方向と垂直な直線偏光に相当する。
各調光ユニットの各種透過率の測定結果を、まとめて表3に示す。
【0315】
実施例12~14の表示装置について、実施例1と同様に、表示素子がONのときの表示画像の視認性、及び、表示素子がOFFのときの加飾層の視認性を評価した。評価結果を、まとめて表3に示す。
【0316】
下記表中、「調光ユニット」の「透過率」の「ON時」欄及び「OFF時」欄は、それぞれ、各調光ユニットのON状態及びOFF状態における380~780nmの範囲の全光線透過率を示す。
表3中、「調光ユニット」の「平行線透過率」の「ON時」欄及び「OFF時」欄は、それぞれ、各調光ユニットのON状態及びOFF状態における380~780nmの範囲の平行線透過率を示す。
表3中、「平行偏光に対する平行線透過率(ON時)」欄は、調光層に電圧を印加した際に、調光層に含まれる液晶分子が配向した方向と平行な直線偏光を入射した場合の380~780nmの範囲における直線偏光の平行線透過率を示し、「垂直偏光に対する平行線透過率(ON時)」欄は、調光層に電圧を印加した際に、調光層に含まれる液晶分子が配向した方向と垂直な直線偏光を入射した場合の380~780nmの範囲における直線偏光の平行線透過率を示す。
【0317】
【表1】
【0318】
【表2】
【0319】
【表3】
【0320】
表1~表3に示すように、実施例の表示装置は、比較例の表示装置と比べ、表示画像の視認性に優れるものであった。
さらに実施例の表示装置について広視野角での表示画像の視認性を確認したところ、実施例の表示装置はいずれも、広視野角での表示画像の視認性も優れていた。これは、各実施例の表示装置が有する調光ユニットの厚みが、上記の好適な範囲内であったためと推測される。
【符号の説明】
【0321】
10,32 調光ユニット
12 第1透明支持層
14 第2透明支持層
16 第1透明電極
18 第2透明電極
20 第1配向膜
22 第2配向膜
24 調光層
30 表示装置
34 接着層
36 加飾層
38 接着層
40 表示素子
50 透明電極
52 陽極
54 陰極
56 絶縁領域
図1
図2
図3
図4
図5