(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064337
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】カルボナーラ風ソース
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20240507BHJP
【FI】
A23L23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172847
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】志村 朋子
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LF03
4B036LG04
4B036LH29
4B036LH33
4B036LP07
(57)【要約】
【課題】鶏卵、チーズを使用せずに、これを使用したカルボナーラソースに似た風味のカルボナーラ風ソースを提供すること。
【解決手段】ソース全量に対して、0.5質量%以上3質量%以下の昆布エキス及び0.3質量%以上1.0質量%以下のオニオンパウダーを含むカルボナーラ風ソースである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース全量に対して、0.5質量%以上3質量%以下の昆布エキス及び0.3質量%以上1.0質量%以下のオニオンパウダーを含むカルボナーラ風ソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボナーラ風ソースに関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー体質やその他の理由により特定の原料を使用せずに目的とする食品の外観、風味、食感等を、その食品に似せた食品を製造することが行われている。
例えば、チーズそのものを用いなくても加工食品にチーズ風味を付与できる有効成分として蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が含有されているチーズ風味付与材が添加され加熱処理が施されてなるチーズ風味を有することを特徴とする加工食品が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、乳原料以外の原料を使用して、乳原料を使用した場合と同等の「乳感」が付与された流動状食品を供することを目的とする、もち種澱粉と、アミロース含有量が10質量%以下のコーンの粉砕物とを含んでなる流動状食品であって、前記もち種澱粉及びコーンの粉砕物によって乳感が付与されたことを特徴とする流動状食品が知られている(例えば特許文献2参照)。
また、乳原料以外の原料を使用して、乳原料特有の風味を付与した加熱済食品を供することを目的とする、スクラロース、核酸系調味料及び還元糖を含有することを特徴とする加熱済食品が知られている(例えば特許文献3参照)。
また、小麦粉を使用しないにも係わらず、小麦粉を使用したソースと同等の粘性、外観及び風味を有するソースを作ることができる即席調理食品を提供することを目的とする、小麦粉を用いずに、米粉、コーンスターチ、リン酸架橋澱粉及びジャガイモ粉砕物を用いたことを特徴とする即席調理食品が知られている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-314296号公報
【特許文献2】特開2011-142824号公報
【特許文献3】特開2011-223903号公報
【特許文献4】特開2016-7142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カルボナーラソースとは、チーズ、鶏卵、及び必要に応じて胡椒、生クリーム、ベーコン等を使用したソースをいい、チーズや鶏卵を使用することで特有の風味があるが、本発明の目的は、鶏卵、チーズを使用せずに、これらを使用したカルボナーラソースに似た風味のカルボナーラ風ソースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ソースの原料として昆布エキス及びオニオンパウダーを特定割合で使用することにより、鶏卵、チーズを使用せずにカルボナーラソースに似た風味のカルボナーラ風ソースが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、ソース全量に対して、0.5質量%以上3質量%以下の昆布エキス及び0.3質量%以上1.0質量%以下のオニオンパウダーを含むカルボナーラ風ソースである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカルボナーラ風ソースは鶏卵、チーズを使用していないにも拘わらず、これらを使用したカルボナーラソースに似た風味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカルボナーラ風ソースは、従来のカルボナーラソースに使用されている鶏卵、チーズを使用せず、昆布エキス及びオニオンパウダーを使用することを特徴とするが、これ以外は、従来のカルボナーラソースに使用されている原料が使用できる。
例えば、昆布エキス及びオニオンパウダー以外の原料として、澱粉、穀粉、豆乳、香辛料、調味料(昆布エキス及びオニオンパウダーを除く)、増粘剤、乳化剤、糖類、色素等を挙げることができる。
カルボナーラ風ソースの製造方法や使用方法も従来のカルボナーラソースと同様でよい。
製造方法として、例えば、具材等を含む原料を加熱しクリーム状に調製することでソースを得ることができる。
使用方法としては、パスタソースやグラタン、ドリア、スープ等に使用するホワイトソース等を挙げることができる。
風味以外にも色調や食感を従来のカルボナーラソースに近づけたい場合には、必要に応じて、増粘剤、乳化剤、色素などを適宜使用することができる。
【0008】
本発明で使用する昆布エキスとは、昆布、塩及び水を撹拌加熱し、Brix37.0~41.0%、塩分16.0~20.0質量%に調整した液状のエキスをいい、市販品も使用することができる。
乾燥して粉末状にした昆布エキスもあるが、本発明では、粉末状昆布エキスが使用時に液状になった状態で、ソース中の昆布エキス由来の成分が前記液状の昆布エキスを使用した場合と同じになった場合における昆布エキスも含まれる。
本発明で使用する昆布エキスは、ソース中、0.5質量%以上3.0質量%以下である。
昆布エキスの使用量が、0.5質量%未満では、オニオンパウダーの使用量が0.3質量%以上1.0質量%以下であっても、鶏卵、チーズを使用したカルボナーラソースの風味は得られず、玉ねぎの風味が強く感じられて不適である。
また、昆布エキスの使用量が3.0質量%を超えると、昆布の風味が強く感じられ不適である。
【0009】
本発明で使用するオニオンパウダーは、玉ねぎを洗浄後カットし、水分10.0質量%以下になるまで加熱し乾燥後、粉砕したものをいい、市販品も使用することができる。
本発明では、オニオンパウダーの使用量は、水分8質量%に換算した値とする。
本発明で使用するオニオンパウダーは、ソース中、0.3質量%以上1.0質量%以下である。
オニオンパウダーの使用量が、0.3質量%未満では、昆布エキスの使用量が0.5質量%以上3.0質量%以下であっても、鶏卵、チーズを使用したカルボナーラソースの風味は得られず、昆布の風味が強く感じられて不適である。
また、オニオンパウダーの使用量が1.0質量%を超えると、オニオンパウダーの風味が強く感じられ不適である。
【0010】
本発明では、ソース中、0.5質量%以上3質量%以下の昆布エキス及び0.3質量%以上1.0質量%以下のオニオンパウダーを含む場合にのみ、鶏卵、チーズを使用したカルボナーラソースの風味に似たカルボナーラ風ソースを得ることができる。
【実施例0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
豆乳20質量部、粉末アーモンド10質量部、サラダ油3質量部、昆布エキス1質量部、オニオンパウダー(水分8質量%)0.5質量部、食塩1.5質量部、砂糖1.5質量部、小麦粉1質量部、アセチル化アジピン酸架橋デンプン1質量部、黒コショウ0.1質量部、水60.4質量部をニーダーで加熱攪拌を行い、85°C達温後10分間攪拌しながら保温してカルボナーラ風ソースを得た。
[比較例1]
実施例1において、昆布エキスに代えて椎茸エキスを用いた以外は、実施例1と同様にしてカルボナーラ風ソースを得た。
[比較例2]
実施例1において、オニオンパウダーに代えてセロリパウダーを用いた以外は、実施例1と同様にしてカルボナーラ風ソースを得た。
得られたカルボナーラ風ソースを以下の評価基準により評価を行った。
評価の平均点が、3.0点以上であるものを合格とした。
<風味>
5点 カルボナーラソースと同等の風味があり非常に良い
4点 カルボナーラソースとほぼ同等の風味があり良い
3点 カルボナーラソースの風味があまり感じられないが許容範囲
2点 カルボナーラソースの風味が感じられず悪い。
1点 カルボナーラソースの風味が全く感じられず非常に悪い
【0012】
実施例1の評価結果は、5点が5人、4点が5人、3点が0人、2点が0人、1点が0人となり平均点4.5点で良好な結果であった。
比較例1の評価結果は、5点が0人、4点が0人、3点が8人、2点が2人、1点が0人となり平均点2.8点で満足できない結果となった。
比較例2の評価結果は、5点が0人、4点が0人、3点が3人、2点が7人、1点が0人となり平均点2.3点で満足できない結果となった。
【0013】
[実施例~10、比較例3~6]
実施例1において、昆布エキス、オニオンパウダー及び水の使用量を表1~表2に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
表1~表2中、使用量の単位は質量部である。
得られた評価結果を表1~表2に示す。
【0014】
【0015】
【0016】
ソース中、0.5質量%以上3質量%以下の昆布エキス及び0.3質量%以上1.0質量%以下のオニオンパウダーを含む場合に良好な結果が得られた。