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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064365
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】超音波発生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04R1/34 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172908
(22)【出願日】2022-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月2日、2022年度精密工学会春季大会学術講演会の予稿集として、ウェブサイト(http://2022-03spring.jspe.or.jp/proceedings/)に公開。 令和4年3月15日、2022年度精密工学会春季大会学術講演会において公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】横山 広大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼
(72)【発明者】
【氏名】笠島 崇
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019GG04
(57)【要約】
【課題】導波路の形状を工夫することで対象物に対して新規な作用を与える。
【解決手段】超音波発生装置10は、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。導波路13は、軸部20と、先端部21と、を有している。先端部21は、軸部20の伝播方向先端側に位置するとともに、導波路13の伝播方向先端を含む部分であり、伝播方向に対して直交する方向に切断した断面形状が軸部20と形状及び面積の少なくとも一方が異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記第2反射面で反射した前記超音波が平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記導波路は、前記第2反射面で反射された前記超音波が伝播する伝播方向に延びる形状をなしており、軸部と先端部とを有しており、
前記軸部は、前記超音波集束部に連なるとともに、前記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の形状及び面積が前記伝播方向に沿って一定であり、
前記先端部は、前記軸部の前記伝播方向先端側に位置するとともに、前記導波路の前記伝播方向先端を含む部分であり、前記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面形状が前記軸部と形状及び面積の少なくとも一方が異なる
超音波発生装置。
【請求項2】
前記先端部は、前記伝播方向に延びる形状をなしており、前記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が前記軸部よりも小さく形成されている
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記先端部は、前記先端部を前記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が前記伝播方向に向かうにつれて小さくなるように形成された傾斜面を有する
請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記先端部は、前記軸部の前記伝播方向先端から延設された第1延設部と、前記第1延設部から延設され且つ前記伝播方向に対して直交する平面方向において前記軸部の外周面よりも外側まで延びる第2延設部と、を有する
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
前記第1延設部は、前記超音波発生源側から前記軸部を介して伝送された前記超音波を前記第2延設部に向けて反射させる第3反射面を有する
請求項4に記載の超音波発生装置。
【請求項6】
前記先端部は、前記伝播方向に延びる形状をなしており、前記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が前記軸部より大きく形成されている
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項7】
前記先端部は、前記伝播方向先端側に向かうにつれて拡径するような円錐形状の振動板を有する
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項8】
前記先端部は、前記導波路の前記伝播方向先端に開口し、前記伝播方向に対して直交する方向に前記導波路を貫通する貫通溝を有する
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項9】
前記先端部は、前記先端部の外周面に形成され、周方向に間隔を空けて配置される複数の側面溝を有し、
前記複数の側面溝の各々は、先端側に向かうにつれて周方向の同じ方向に傾斜している
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項10】
前記先端部における外周面及び端面のうち少なくとも一方は、前記軸部の外周面よりも粗い粗面を有する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の超音波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、超音波照射器が開示されている。この超音波照射器は、超音波振動子と、超音波振動子からの超音波を伝搬する音響伝播体と、を含んでいる。音響伝播体は、本体と、本体の前面から前方へ延びる軸体と、を備えている。本体の前面は、超音波振動子からの超音波を反射する凹型の一次反射面として機能する。本体は、一次反射面からの超音波を反射する凹型の二次反射面を有する。二次反射面で反射された超音波は、軸体に伝播される。これにより、減衰を抑制しつつ集束された超音波が、軸体によって構成される導波路に伝播される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6774697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、導波路の形状についての工夫が十分でなく、この点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、導波路の形状を工夫することで対象物に対して新規な作用を与えることが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、上記超音波発生源から発生した上記超音波を集束する超音波集束部と、上記超音波集束部によって集束された上記超音波を伝送する導波路と、を備えている。上記超音波集束部は、第1反射面と、第2反射面と、を有している。第1反射面は、超音波発生源で発生した上記超音波を反射させる。第2反射面は、第1反射面で反射された上記超音波を反射させる。第1反射面及び第2反射面は、第2反射面で反射された上記超音波が平面波として反射されて導波路に導入されるように配置されている。上記導波路は、上記第2反射面で反射された上記超音波が伝播する伝播方向に延びる形状をなしている。上記導波路は、軸部と、先端部と、を有している。上記軸部は、上記超音波集束部に連なるとともに、上記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の形状及び面積が上記伝播方向に沿って一定である。上記先端部は、上記軸部の上記伝播方向先端側に位置するとともに、上記導波路の上記伝播方向先端を含む部分であり、上記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面形状が上記軸部と形状及び面積の少なくとも一方が異なる。
【0007】
この構成によれば、超音波発生源から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路に導入させることができる。そして、導波路に導入された超音波を、軸部によって減衰を抑制しつつ先端部側へ伝播させ、先端部の形状に応じた作用を対象物に与えることができる。
【0008】
[2]上記先端部は、上記伝播方向に延びる形状をなしており、上記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が上記軸部よりも小さく形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、より狭い領域に絞って対象物に超音波を与えやすい。
【0010】
[3]上記先端部は、傾斜面を有していてもよい。上記傾斜面は、上記先端部を上記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が上記伝播方向に向かうにつれて小さくなるように形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、先端部の外径が段差状に小さくなる構成と比較して、超音波の減衰を抑制することができる。
【0012】
[4]上記先端部は、上記軸部の上記伝播方向先端から延設された第1延設部を有していてもよい。上記先端部は、上記第1延設部から延設され且つ上記伝播方向に対して直交する平面方向において上記軸部の外周面よりも外側まで延びる第2延設部を有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、上記伝播方向に対して直交する平面方向において軸部の外周面よりも外側に配置される対象物に対して、第2延設部から超音波又は超音波による振動を与えやすい。
【0014】
[5]上記第1延設部は、上記超音波発生源側から上記軸部を介して伝送された上記超音波を上記第2延設部に向けて反射させる第3反射面を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、軸部を介して伝播された超音波が、第3反射面で反射され、平面波として第2延設部の延設端まで伝播されやすい。
【0016】
[6]上記先端部は、上記伝播方向に延びる形状をなしており、上記伝播方向に対して直交する方向に切断した断面の面積が上記軸部より大きく形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、先端部を対象物に接触させた場合に、対象物に対してより広い領域に超音波を与えやすい。
【0018】
[7]上記先端部は、上記伝播方向先端側に向かうにつれて拡径するような円錐形状の振動板を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、先端部に伝達された超音波によって振動板が振動することで、超音波を非接触で対象物に与えることができる。
【0020】
[8]上記先端部は、上記導波路の上記伝播方向先端に開口し、上記伝播方向に対して直交する方向に上記導波路を貫通する貫通溝を有していてもよい。
【0021】
この構成によれば、先端部が上記伝播方向に対して直交する方向に振動しやすくなる。
【0022】
[9]上記先端部は、上記先端部の外周面に形成され、周方向に間隔を空けて配置される複数の側面溝を有していてもよい。上記複数の側面溝の各々は、先端側に向かうにつれて周方向の同じ方向に傾斜していてもよい。
【0023】
この構成によれば、上記軸部から伝播された超音波が上記側面溝で反射されて螺旋状になり、その結果、先端部で周方向のねじり振動が生じやすくなる。
【0024】
[10]上記先端部における外周面及び端面のうち少なくとも一方は、上記軸部の外周面よりも粗い粗面を有していてもよい。
【0025】
この構成によれば、粗面特有の作用を対象物に与えることができる。例えば、粗面の凸部のみを対象物に当てることで、点在する位置に超音波を当てることができる。また、別の例として、超音波溶着の際、粗面を対象物に押し付けることで、位置ずれを抑制しつつ対象物に超音波を与えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、導波路の形状を工夫することで対象物に対して新規な作用を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第1実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
図2図2は、第1実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図3図3は、第1実施形態における導波路の正面図である。
図4図4は、第2実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図5図5は、第2実施形態における導波路の正面図である。
図6図6は、第3実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図7図7は、第4実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図8図8は、第4実施形態における導波路の正面図である。
図9図9は、第5実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側断面図である。
図10図10は、第6実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図11図11は、第7実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図12図12は、第7実施形態における導波路の正面図である。
図13図13は、第1の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図14図14は、第2の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図15図15は、第3の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図16図16は、第3の他の実施形態における導波路の正面図である。
図17図17は、第4の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図18図18は、第5の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図19図19は、第6の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した斜視図である。
図20図20は、第7の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
図21図21は、第8の他の実施形態における超音波発生装置の先端部周辺を拡大した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.第1実施形態
1-1.超音波発生装置10の構成
超音波発生装置10は、図1に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。超音波発生装置10は、後端側から超音波発生源11、超音波集束部12、導波路13の順に配置されて構成されている。
【0029】
超音波発生源11は、例えば、圧電セラミックスからなる圧電素子である。超音波発生源11は、前後方向に厚さを有する板状をなしている。超音波発生源11は、環状、具体的には円環状をなしている。
【0030】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると超音波を発生する。超音波発生源11は、超音波を発生する放射面15を有している。放射面15は、超音波発生源11の前端側に設けられ、前方を向いた状態で配置される。放射面15は、平坦な面であり、超音波発生装置10の前後方向に対して直交する方向に広がっている。超音波発生源11から発生した超音波は、前方に向けて直進する平面波である。超音波発生源11は、例えば、30kHz以上で且つ10MHz以下の周波数で超音波を発生させる。
【0031】
超音波集束部12は、金属(例えばジェラルミン)によって形成されている。超音波集束部12は、前後方向から見た形状が円形である。超音波集束部12は、接合面12Aを有している。接合面12Aは、超音波集束部12の後面に形成され、後方を向いた状態で配置されている。接合面12Aは、平坦な面である。接合面12Aは、環状、より具体的には円環状をなしている。接合面12Aは、超音波発生源11の放射面15に接合されている。
【0032】
超音波集束部12は、第1反射面16及び第2反射面17を有している。第1反射面16は、超音波発生源11の放射面15と対向して配置されている。第1反射面16と超音波発生源11の放射面15との対向方向は、前後方向と平行である。第1反射面16は、超音波集束部12の外部から見ると、前方側(超音波発生源11とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第1反射面16は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第1反射面16は、環状をなしている。第1反射面16の内周縁は、第1反射面16の外周縁よりも前方に位置している。第1反射面16は、超音波発生源11の中心を通り前後方向に延びる軸線を回転軸として構成される回転湾曲面、具体的には回転放物面である。
【0033】
第2反射面17は、第1反射面16と対向して配置されている。第2反射面17は、超音波集束部12の外部から見ると、後方側(第1反射面16とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第2反射面17は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第2反射面17は、後方に突出している。つまり、第2反射面17の突出方向は後方である。第2反射面17は、接合面12Aよりも後方に突出している。第2反射面17の前端の前後方向の位置は、接合面12Aの前後方向の位置と同じである。第2反射面17は、環状をなす超音波発生源11の内側空間に配置されている。
【0034】
第1反射面16は、超音波発生源11で発生した超音波を、第2反射面17に向けて反射させる。第2反射面17は、第1反射面16で反射された超音波を、導波路13の後端部に向けて反射させる。第1反射面16及び第2反射面17は、第2反射面17で反射された超音波が平面波として反射されて導波路13に導入されるように配置されている。
【0035】
第2反射面17で反射された超音波は、前方に伝播される。つまり、本実施形態では、「伝播方向」は前方である。また、「伝播方向先端」は、前端である。
【0036】
導波路13は、超音波集束部12の前端から前方に向かって延びる形状をなしている。つまり、導波路13は、超音波発生源11から超音波が放射される方向に延びている。導波路13は、本実施形態では超音波集束部12と別部材として説明するが、超音波集束部12と同一部材であってもよい。導波路13は、超音波伝搬性の高い材料によって形成されることが好ましく、例えば、アルミ合金、金属ガラスなどで形成されることが好ましい。また、導波路13は、例えばチタンとニッケルの合金からなる形状記憶合金で形成される構成であってもよい。導波路13は、弾性変形し得る。
【0037】
導波路13は、図2及び図3に示すように、軸部20と、先端部21と、を有している。軸部20は、前後方向に延びる形状をなしている。軸部20は、柱状、より具体的には、円柱状をなしている。軸部20の後端部は、超音波集束部12の前端部に連なっている。つまり、軸部20は、超音波集束部12の前端部から前方に延びている。軸部20は、前後方向と直交する方向に切断した断面(以下、単に「断面」ともいう)の形状及び面積が前後方向に沿って一定である。
【0038】
先端部21は、軸部20の前方に位置している。先端部21は、導波路13の前端を含む。先端部21は、断面の面積が前方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。先端部21は、傾斜面22と、先端面23と、を有している。傾斜面22は、先端部21の外周面に形成されている。傾斜面22は、先端部21の全周に形成されている。傾斜面22は、前端側が導波路13の径方向内側に傾くように傾斜している。先端面23は、傾斜面22の先端に連なっている。先端面23は、円形をなしている。先端面23の面積は、軸部20の断面積よりも小さい。先端面23の直径は、傾斜面22の前後方向の長さよりも小さい。先端部21は、軸部20と同一部材によって一体に形成されている。
【0039】
1-2.超音波発生装置10の作用及び効果の例
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると、放射面15から前方に向けて超音波を発生する。放射面15から放射された超音波は、第1反射面16で反射され、第1反射面16の焦点に向かって集束する。第1反射面16の焦点は、第2反射面17の焦点と同じとなっている。このため、第1反射面16の焦点を通過した超音波は、第2反射面17で反射され、平面波として導波路13の内部に導入される。導波路13の内部に導入された超音波は、導波路13の内部を伝送され、導波路13の前端から放射される。この構成によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路13に導入させることができる。そして、この構成によれば、導波路13に導入された超音波を、減衰を抑制しつつ、導波路13の先端側に伝播させることができる。
【0040】
更に、導波路13の先端面23は、軸部20の断面積よりも小さい。この構成によれば、より狭い領域に絞って対象物に超音波を与えやすい。
【0041】
更に、先端部21は、断面積が前方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。この構成によれば、先端部21の外径が段差状に小さくなる構成と比較して、超音波の減衰を抑制することができる。
【0042】
2.第2実施形態
先端部の形状は、第1実施形態の構成に限らない。第2実施形態では、第1実施形態とは先端部の形状が異なる例を説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0043】
第2実施形態の導波路213は、図4及び図5に示すように、軸部20と、先端部221と、を有している。先端部221は、第1延設部231と、第2延設部232と、を有している。
【0044】
第1延設部231は、軸部20の前端から前方に延設されている。第1延設部231は、柱状、より具体的には円柱状をなしている。第1延設部231の断面の形状及び面積は、前後方向に一定である。第1延設部231の断面の形状は、軸部20の断面の形状と同じである。第1延設部231の断面積は、軸部20の断面積と同じである。
【0045】
第2延設部232は、第1延設部231の外周部から延設されている。第2延設部232は、前後方向に対して交差(より具体的には直交)する方向に延びている。第2延設部232は、前後方向に対して直交する平面方向において軸部20の外周面よりも外側まで延びている。第2延設部232は、柱状、より具体的には円柱状をなしている。第2延設部232の延設端面232Aは、平坦な面であり、円形である。
【0046】
この構成によれば、前後方向に対して直交する平面方向において軸部20の外周面よりも外側に配置される対象物に対して、第2延設部232から超音波又は超音波による振動を与えやすい。例えば、導波路13に導入された超音波は、前方に向けて伝播されるため、第2延設部232は、前後方向に振動しやすい。したがって、この構成によれば、第2延設部232の延設端面232Aに接触した対象物に対して、前後方向の振動を与えやすい。
【0047】
3.第3実施形態
第3実施形態では、第2実施形態で説明した第2延設部の延設端まで超音波が伝播されやすい構成について説明する。なお、以下の説明では、第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0048】
第3実施形態の導波路313は、図6に示すように、軸部20と、先端部321と、を有している。先端部321は、第1延設部331と、第2延設部232と、を有している。
【0049】
第1延設部331は、第3反射面331Aを有する点で第2実施形態の第1延設部231とは異なり、その他の点で共通する。第3反射面331Aは、第2反射面17(図1参照)と前後方向に対向している。第3反射面331Aは、第2延設部232の延設端面232Aと対向している。第3反射面331Aと延設端面232Aとの対向方向は、前後方向と交差(より具体的には直交)する方向と平行である。第3反射面331Aは、第2反射面17で反射された超音波を延設端面232Aに向けて反射させる。この構成によれば、軸部20を介して伝播された超音波が、第3反射面331Aで反射され、第2延設部232の延設端面232Aまで伝播されやすい。このため、延設端面232Aから超音波を平面波として放射しやすい。
【0050】
4.第4実施形態
第4実施形態では、先端部の断面積が軸部の断面積よりも大きい構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
第4実施形態の導波路413は、図7及び図8に示すように、軸部20と、先端部421と、を有している。先端部421は、軸部20の前端から前方に延びている。先端部421は、拡径部431と、定径部432と、を有している。
【0052】
拡径部431は、軸部20の前端から前方に延びている。拡径部431の断面積は、前方に向けて大きくなっている。つまり、拡径部431は、前方に向けて拡径している。拡径部431の後端の断面の形状は、軸部20の断面の形状と同じであり、円形である。拡径部431の後端の断面積は、軸部20の断面積と同じである。
【0053】
定径部432は、拡径部431の前端から前方に延びている。定径部432の断面の形状及び面積は、前後方向に一定である。定径部432の後端の断面の形状は、拡径部431の前端の断面の形状と同じであり、円形である。定径部432の後端の断面積は、拡径部431の前端の断面積と同じである。定径部432の前端面は、先端部421の前端面を構成する。定径部432の前端面は、円形である。定径部432の前端面の面積は、軸部20の断面積よりも大きい。
【0054】
この構成によれば、定径部432の前端面を対象物に接触させた場合に、対象物に対してより広い領域に超音波を与えやすい。
【0055】
5.第5実施形態
第5実施形態では、超音波を環状に放射する構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0056】
第5実施形態の導波路513は、図9に示すように、軸部20と、先端部521と、を有している。先端部521は、超音波集束部12の原理を利用して、軸部20から伝播された超音波を環状に発散させる。先端部521は、第1対向面531と、第2対向面532と、第3対向面533と、を有している。
【0057】
第1対向面531は、第2反射面17(図1参照)と前後方向に対向している。第1対向面531は、第2対向面532とも対向している。第2対向面532は、第3対向面533と対向している。第3対向面533は、環状、より具体的には円環状をなしている。第3対向面533は、平坦な面である。第3対向面533は、第1対向面531の前端よりも前方の位置に配置されている。
【0058】
第1対向面531は、第2反射面17で反射された超音波を、第2対向面532に向けて反射させる。第2対向面532は、第1対向面531で反射された超音波を、第3対向面533に向けて反射させる。第2対向面532で反射された超音波は、第3対向面533から前方に放射される。この構成によれば、超音波を環状に放射させることができる。
【0059】
6.第6実施形態
第6実施形態では、対象物に対して超音波を非接触で与えることが可能な構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0060】
第6実施形態の導波路613は、図10に示すように、軸部20と、先端部621と、を有している。先端部621は、振動板631を有している。振動板631の後端は、軸部20の前端に連なっている。振動板631は、前方に向かうにつれて拡径するような円錐形状をなしている。この構成によれば、先端部621に伝達された超音波によって振動板631が振動することで、超音波を非接触で対象物に与えることができる。
【0061】
7.第7実施形態
第7実施形態では、先端部の前端面に軸部の外周面よりも粗い粗面を有する構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
第7実施形態の導波路713は、図11及び図12に示すように、軸部20と、先端部721と、を有している。先端部721は、基部731と、基部731の前面に形成される粗面732と、を有している。基部731は、軸部20の前端に設けられている。基部731の断面の形状は、円形である。基部731の断面積は、軸部20の断面積よりも大きい。粗面732は、複数の凸部733を有している。複数の凸部733は、基部731の前面に設けられ、前方に突出している。この構成によれば、粗面732を対象物に当てることで、点在する位置に超音波を当てることができる。また、粗面732から放射される超音波によって超音波溶着を行う際、粗面732を対象物に押し付けることで、位置ずれを抑制しつつ対象物に超音波を与えることができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
(1)上記各実施形態では、先端部が軸部と同一部材で一体に形成される構成であったが、別体で形成される構成であってもよい。先端部は、軸部と別体で構成される場合、軸部に対して着脱可能であってもよい。
(2)上記各実施形態では、軸部の形状が円柱状であったが、円柱状でなくてもよい。例えば、軸部の形状は、角柱状であってもよい。
(3)上記第1実施形態では、先端部の前後方向の全体の断面積が、軸部の断面積よりも小さい。しかし、図13に示すように、先端部821の断面積が、部分的に軸部20の断面積よりも大きくてもよい。
(4)先端部の形状は、図14に示す先端部921のように、円板状であってもよい。
(5)先端部の形状は、図15及び図16に示す先端部1021のように、ナイフ形状であってもよい。
(6)先端部の形状は、図17に示す先端部1121のように、ドリル形状であってもよい。
(7)先端部の形状は、図18に示す先端部1221のように、球形状であってもよい。
(8)先端部は、図19に示す先端部1321のように、導波路1313の前端に開口し、前後方向に対して直交する方向に導波路1313を貫通する貫通溝1340を有する構成であってもよい。この構成によれば、先端部1321が前後方向に対して直交する方向に振動しやすくなる。
(9)先端部は、図20に示す先端部1421のように、先端部1421の外周面に形成され、周方向に間隔を空けて配置される複数の側面溝1440を有していてもよい。複数の側面溝1440は、周方向に等間隔で配置されていてもよい。複数の側面溝1440の各々は、先端側に向かうにつれて周方向の同じ方向に傾斜していてもよい。この構成によれば、軸部20から伝播された超音波が側面溝1440で反射されて螺旋状になり、その結果、先端部1421で周方向のねじり振動が生じやすくなる。側面溝1440は、導波路1413の前端に開口していてもよい。周方向に隣り合う側面溝1440は、前後方向から見て互いに重なる位置に配置されていてもよい。この構成によれば、超音波がもれなく側面溝1440に当たりやすい。側面溝1440のうち後方から伝播された超音波を斜め前方へ反射させる傾斜反射面1441は、前後方向に対する傾斜角度θが5°以上で、且つ40°以下であることが好ましい。この構成によれば、超音波が螺旋状になりやすく、先端部1421で周方向のねじり振動がより一層生じやすくなる。
(10)先端部は、図21に示す先端部1521のように、導波路1513の先端に凹部1540を有する構成であってもよい。凹部1540の形状は、特に限定されない。
(11)上記第7実施形態では、粗面が先端部の前端面に形成されていたが、先端部の外周面に形成されていてもよい。
(12)先端部の形状は、図7に示す先端部421において、定径部432を有していない形状であってもよい。
(13)先端部の形状は、図7に示す先端部421において、定径部432の内側(例えば前端面)に凹部(例えば図21に示す凹部1540)を有する形状であってもよい。
【0064】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10…超音波発生装置
11…超音波発生源
12…超音波集束部
12A…接合面
13…導波路
15…放射面
16…第1反射面
17…第2反射面
20…軸部
21…先端部
22…傾斜面
23…先端面
213…導波路
221…先端部
231…第1延設部
232…第2延設部
232A…延設端面
313…導波路
321…先端部
331…第1延設部
331A…第3反射面
413…導波路
421…先端部
513…導波路
521…先端部
613…導波路
621…先端部
631…振動板
713…導波路
721…先端部
731…基部
732…粗面
821…先端部
921…先端部
1021…先端部
1121…先端部
1221…先端部
1313…導波路
1321…先端部
1340…貫通溝
1413…導波路
1421…先端部
1440…側面溝
1513…導波路
1521…先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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