IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧

特開2024-64491低引張弾性率を有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064491
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】低引張弾性率を有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着体
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240507BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173111
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(72)【発明者】
【氏名】倉持 知佳
(72)【発明者】
【氏名】小宮 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 晃一
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EF181
4J040EF281
4J040HD05
4J040JB01
4J040JB04
4J040KA16
(57)【要約】
【課題】低引張弾性率を有する、耐衝撃性を備えた湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着体を提供する。
【解決手段】反応性ホットメルト接着剤組成物は、ポリブタジエンポリオールを含むポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を有する重合鎖を含み、重合鎖の末端基としてイソシアネート基を有する、ウレタンプレポリマーと、加硫促進剤とを含有する。加硫促進剤の含有量は、ポリブタジエンポリオールの配合量を100質量部として、1質量以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブタジエンポリオールを含有するポリオール成分と、イソシアネートと反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、加硫促進剤と、を含む湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記加硫促進剤の含有量が、前記ポリブタジエンポリオールの総量100質量部に対して1質量部以上である、請求項1に記載の湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
第1の被着体と、
第2の被着体と、
前記第1の被着体及び前記第2の被着体を互いに接着する接着剤層と、
を備え、
前記接着剤層が、請求項1又は2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化物を含有する、接着体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させ、第1の被着体に塗布して接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層上に第2の被着体を配置し、前記第2の被着体を圧着することによって仮接着体を得る工程と、
前記仮接着体の前記接着剤層を硬化させる工程と、
を備える、
接着体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性ホットメルト接着剤組成物に関し、特に低引張弾性率有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物及びその湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物を使用する接着体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、無溶剤型の接着剤であるため、環境及び人体への負荷が少なく、短時間接着が可能であるため、生産性向上に適した接着剤である。ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とするもの及び反応性樹脂を主成分とするものの2つに大別できる。反応性樹脂としては、主にイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーが利用されている。
【0003】
ウレタンプレポリマーを主成分とする反応性ホットメルト接着剤は、塗布後、接着剤自体の冷却固化により、短時間のうちにある程度の接着強度を発現する。その後、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基が湿気(空気中又は被着体表面の水分)と反応することにより高分子量化し、架橋を生じることにより耐熱性を発現する。このような接着剤は「湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤」とも呼ばれる。ウレタンプレポリマーを主成分とする反応性ホットメルト接着剤は、加熱時でも良好な接着強さを示す。また、耐衝撃性を向上させるために、ポリオール成分としてポリブタジエンポリオールを含有する接着剤組成物や、引張弾性率が40MPa以下、破断伸びが1,000%以上の特性を有する接着剤組成物も知られている(例えば、特許文献1~2参照)。
【0004】
耐熱性を向上させるために、反応性ホットメルト接着剤に、ジエン系ブロック共重合体もしくはイソプレン-イソブチレン共重合体の一種もしくは混合物と、加硫促進剤とを含有する接着剤組成物も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/187968号
【特許文献2】特開2017-222776号公報
【特許文献3】特開昭59-078281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低引張弾性率を有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を達成するための具体的な手段は、以下の[1]~[4]の実施形態を含むものである。
[1]ポリブタジエンポリオールを含有するポリオール成分とイソシアネートと反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、加硫促進剤と、を含む湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物。
[2]上記加硫促進剤の含有量が、ポリブタジエンポリオールの総量100質量部に対して1質量部以上である、[1]項に記載の湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物。
[3]第1の被着体と、
第2の被着体と、
上記第1の被着体及び上記第2の被着体を互いに接着する接着剤層と、
を備え、
上記接着剤層が、[1]項又は[2]項に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化物を含有する、接着体。
[4][1]項又は[2]項に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させ、第1の被着体に塗布して接着剤層を形成する工程と、
上記接着剤層上に第2の被着体を配置し、上記第2の被着体を圧着することによって仮接着体を得る工程と、
上記仮接着体の上記接着剤層を硬化させる工程と、
を備える、接着体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低引張弾性率を有する反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「ポリオール」は、分子内に水酸基を2個以上有する化合物を意味する。
本明細書において、「ポリイソシアネート」は、分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物を意味する。
【0010】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
【0011】
[反応性ホットメルト接着剤組成物]
本実施形態の湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物(以下、「接着剤組成物」と
略す場合もある。)は、ポリブタジエンポリオールを含有するポリオール成分とイソシアネート成分との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、加硫促進剤とを含むことを特徴としている。なお、一般的に、湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物とは、空気中の水分又は被着体表面の水分と反応することにより高分子量化し、接着性等を発現するものである。
【0012】
本実施形態に係る接着剤組成物は、硬化物が低引張弾性率であることから優れた耐衝撃性を有している。また、本実施形態に係る接着剤組成物は、無溶剤型の接着剤であることから、環境及び人体への負荷が少なく、短時間接着が可能である。さらに、本実施形態に係る接着剤組成物は、一液型の接着剤であることから、取り扱いが容易である。
【0013】
(イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー)
本実施形態に係るイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(以下、「反応性ウレタンプレポリマー」という場合もある。)は、ポリブタジエンポリオールを必須とするポリオール成分を、イソシアネート成分と反応させてなり、ウレタンプレポリマーの末端にイソシアネート基を有している。これにより、湿気硬化後に優れた接着性と優れた耐衝撃性を発揮させることができる。
【0014】
反応性ウレタンプレポリマーはポリブタジエンポリオールを含有するポリオール成分に由来する構造単位と、イソシアネート成分に由来する構造単位とを有している。
【0015】
ポリブタジエンポリオールに由来する構造単位を含むことで、接着剤組成物の湿気硬化後の耐衝撃性及び接着性を向上することができる。ポリブタジエンポリオールは、分子末端に水酸基を有する液状ブタジエン共重合体であってもよい。ポリブタジエンポリオールの数平均分子量(Mn)は1000~5000が好ましく、1000~4000がより好ましく、1200~3000が更に好ましい。ポリブタジエンポリオールの数平均分子量が1000以上であると、耐衝撃性をより向上し易くなり、5000以下であると、接着性が低下し難くなる。
【0016】
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算した値である。GPCの測定は、以下の条件で行うことができる。
カラム:「Gelpack GLA130-S」、「Gelpack GLA150-S」及び「Gelpack GLA160-S」(昭和電工マテリアルズ株式会社製、HPLC用充填カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出器:RI
【0017】
ポリブタジエンポリオールの含有量は、引張弾性率を低下させる観点から、含有するポリオール成分の総量100質量部に対して、5質量部以上有することが好ましく、7質量部以上有することがより好ましく、10質量部以上有することが更に好ましい。含有量の上限値は、例えば、100質量部以下であってもよい。
【0018】
市販のポリブタジエンポリオールとしては、例えば、日本曹達株式会社製の商品名「G-1000」(水酸基数:2、数平均分子量:1400)、出光興産株式会社製の商品名「Poly bd R-45HT」(水酸基数:2、数平均分子量:2800)が挙げられる。ポリブタジエンポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ポリオール成分は、ポリブタジエンポリオール以外のポリオールを含有してもよい。
ポリブタジエンポリオール以外のポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ロジン変性ポリオール、ポリエチレンブチレンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0020】
イソシアネート成分としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートが挙げられる。イソシアネート成分は、反応性及び接着性の観点から、芳香族ジイソシアネートを含有することが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートを含有することより好ましい。イソシアネート成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
反応性ウレタンプレポリマーを合成する場合、イソシアネート成分とポリオール成分との混合割合は、イソシアネート成分のイソシアネート基(NCO)当量/ポリオール成分の水酸基(OH)当量の比であるNCO/OHが1.5~3.0であることが好ましく、1.8~2.5であることがより好ましい。NCO/OHの比が1.5以上であると、得られる反応性ウレタンプレポリマーの粘度が高くなることを抑え、作業性を向上し易くすることができる。NCO/OHの比が3.0以下であると、接着剤組成物の湿気硬化反応の際に発泡が生じ難くなり、接着性の低下を抑制できる傾向にある。
【0022】
(加硫促進剤)
本実施形態に係る接着剤組成物は、上記反応性ウレタンプレポリマーに加硫促進剤を含むことにより、湿気硬化後に引張弾性率を低下させることができ、優れた耐衝撃性を発揮することができる。
【0023】
加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系、チオウレア系、チウラム系、ジチオカルバミン酸系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ポリスルフィド型シランカップリング剤が挙げられる。具体的には、チウラム系加硫促進剤としては、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(川口化学工業株式会社製、商品名「ACCEL TRA」)、テトラメチレンチウラムジスルフィド(川口化学工業株式会社製、商品名「ACCEL TMT」が挙げられる。ポリスルフィド型シランカップリング剤としては、ビス-3-トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(Evonik Industries AG製、商品名「Si-69」)が挙げられる。その中でも、反応性ウレタンプレポリマーとの反応性の観点から、ポリスルフィド型シランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0024】
接着剤組成物中の加硫促進剤の含有量は、ポリブタジエンポリオール100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、4質量部以上であることが更に好ましい。加硫促進剤の含有量が1質量部以上であると、接着剤組成物を湿気硬化した後に引張弾性率を低下させることができ、耐衝撃性に優れる傾向にある。
【0025】
接着剤組成物は、ウレタンプレポリマーの硬化を促進し、より高い接着強度を発現させる観点から、触媒をさらに含有してもよい。触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオンオクテート、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。
【0026】
接着剤組成物は、形成される接着剤層の弾性率を低くし、耐衝撃性をより向上させる観点から、熱可塑性ポリマーをさらに含有していてもよい。熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリウレタン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル共重合体、スチレン-共役ジエンブロック共重合体等が挙げられる。
【0027】
接着剤組成物は、形成される接着剤層により強固な接着性を付与する観点から、粘着付与樹脂をさらに含有していてもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
接着剤組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、充填剤等を適量含有していてもよい。
【0028】
接着剤組成物は、接着剤組成物に含有されるウレタンプレポリマーのイソシアネート基が空気中の水分又は基材表面の水分と反応し、高分子量化して硬化する。接着剤組成物は、例えば、温度23℃、湿度50%(相対湿度)で24時間以上養生することによって硬化させることができる。このような条件で硬化させることによって、接着剤組成物の硬化物を形成することができる。
【0029】
接着剤組成物の製造方法は、ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを得る工程を含んでいてもよい。ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネートとの反応温度は、例えば、85~120℃であってもよい。なお、混合するときは、減圧脱泡を行ってもよい。
【0030】
接着剤組成物の120℃における溶融粘度は、回転粘度計を用いて測定するとき、塗布性を向上させる観点から、15Pa・s以下であってよく、10Pa・s以下、5Pa・s以下であってもよい。120℃における溶融粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、1Pa・s以上であってよい。なお、本明細書において、接着剤組成物の120℃における溶融粘度は、実施例に記載の方法によって測定される値を意味する。
【0031】
本実施形態の接着剤組成物によれば、低引張弾性率を有するものとなる。また、本実施形態の接着剤組成物は、無溶剤型の接着剤であることから、環境及び人体への負荷が少なく、短時間で接着することが可能である。さらに、本実施形態の接着剤組成物は、一液型の接着剤であることから、取り扱いが容易である。
【0032】
本実施形態の接着剤組成物は、当該接着剤組成物の硬化物を含有する接着剤層を介して、各種被着体を接着させることができる。被着体としては、例えば、SUS、アルミニウム等の金属基材、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ガラス等の非金属基材などが挙げられる。
【0033】
[接着体及びその製造方法]
本発明の一実施形態の接着体は、第1の被着体と、第2の被着体と、第1の被着体及び第2の被着体を互いに接着する接着剤層と、を備える。接着剤層は、上記の反応性ホットメルト接着剤組成物の硬化物を含有する。本実施形態の被着体としては、例えば、半導体装置、無縫製衣類、電子機器等が挙げられる。
第1の被着体及び第2の被着体は、上述の被着体で例示したものと同じものを例示することができる。
【0034】
本実施形態の接着体は、上記の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させ、第1の被着体に塗布して接着剤層を形成する工程と、該接着剤層上に第2の被着体を配置し、第2の被着体を圧着することによって仮接着体を得る工程と、上記仮接着体の接着剤層を硬化させる工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
尚、本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
【0035】
接着剤組成物を溶融させる温度は、例えば、80~180℃であってよい。接着剤組成物を第1の被着体に塗布する方法は、特に制限されず、公知方法を適宜適用することができる。
第2の被着体を圧着する方法としては、例えば、加圧ロール等を用いて圧着する方法が挙げられる。
仮接着体の接着剤層を硬化させる条件は、上記の接着剤組成物の硬化条件と同様であってよい。
【実施例0036】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
(ポリオール成分)
ポリエステルポリオールとして、ポリエステルポリオールa(アジピン酸及び1,6-ヘキサンジオールを主成分として得られた結晶性ポリエステルポリオール、水酸基数:2、数平均分子量:5000)、ポリエステルポリオールb(アジピン酸及びエチレングリコールを主成分として得られた結晶性ポリエステルポリオール、水酸基数:2、数平均分子量:2000)、ポリエステルポリオールc(イソフタル酸及びネオペンチルグリコールを主成分として得られた非晶性ポリエステルポリオール、水酸基数:2、数平均分子量:2000)、及び、ポリエステルポリオールd(アゼライン酸及びエチレングリコールを主成分として得られた非晶性ポリエステルポリオール、水酸基数:2、数平均分子量:8000)を準備した。ポリエーテルポリオールとして、ポリプロピレングリコール(水酸基数:2、数平均分子量:2000)を準備した。ポリカーボネートポリオールとして、ポリカーボネートジオール(水酸基数:2、数平均分子量:2000、旭化成株式会社製、商品名「DURANOL T6002」)を準備した。ポリブタジエンポリオールとして、ポリブタジエンジオール(水酸基数:2、数平均分子量:1400、日本曹達株式会社製、商品名「G-1000」)を準備した。
【0038】
(イソシアネート成分)
イソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネート(イソシアネート基数
:2)を準備した。
【0039】
(加硫促進剤)
加硫促進剤として、加硫促進剤a(ビス-3-トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、Evonik Industries AG製、商品名「Si-69」)、加硫促進剤b(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、川口化学工業株式会社製、商品名「ACCEL TRA」)を準備した。
【0040】
(実施例1)
予め真空乾燥機により脱水処理した、ポリエステルポリオールa10部、ポリエステル
ポリオールb40部、ポリエステルポリオールc7部、ポリエステルポリオールd3部、
ポリエーテルポリオール20部及びポリブタジエンポリオール20部を加えて混合した後、ジフェニルメタンジイソシアネート25部を更に加えて混合した。次いで、得られた混合物を110℃で1時間反応させ、加硫促進剤aを加えてに混合し、更に110℃で1時間減圧脱泡攪拌し、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む接着剤組成物を得た。なお、表1における配合量の単位は、質量部である。
【0041】
(実施例2~3)
ポリオール成分として、ポリカーボネートポリオール80部、ポリエーテルポリオール10部及びポリブタジエンポリオール10部を用い、ジフェニルメタンジイソシアネート25部を加えて混合し、その他は実施例1と同様にして、接着剤組成物を得た。
【0042】
(実施例4~5、比較例3)
実施例2~3の加硫促進剤を加硫促進剤bに変更し、その他は実施例2~3と同様にして、接着剤組成物を得た。
【0043】
(比較例1)
加硫促進剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を得た。
【0044】
(比較例2)
加硫促進剤を配合しなかった以外は実施例2~5と同様にして、接着剤組成物を得た。
【0045】
実施例1~5及び比較例1~3の接着剤組成物の各特性を以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0046】
[接着剤組成物の評価]
<粘度>
BH-HH型少量回転粘度計(東機産業株式会社製)を用いて下記条件にて接着剤組成
物の溶融粘度を測定した。
ローター :4号ローター
試料量 :15g
ローター回転数:50min-1
温度 :120℃
【0047】
<機械的特性>
接着剤組成物を100℃に溶融し、縦15mm×横40mm×厚さ100μmの膜状に成形した試験片を作製し、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に7日間放置した。その後、オートグラフAGS-X(株式会社島津製作所製)を用いて、接着剤組成物の引張弾性率(MPa)、破断強度(MPa)、破断伸び(%)をJIS K-7127 1999に準拠して測定した。
【0048】
【表1】
【0049】
ポリオール及びイソシアネートが同じ配合量である、実施例1及び比較例1について、加硫促進剤を配合した実施例1の引張弾性率を低くすることができた。また、破断強度及び破断伸びは同等の結果が得られた。
同様に、ポリオール及びイソシアネートが同じ配合量である、実施例2~5及び比較例2~3について、ポリブタジエンポリオールの配合量を100質量部として、加硫促進剤を1質量部以上含む実施例2~5の張弾性率を低くすることができた。また、破断強度及び破断伸びは同等の結果が得られた。
以上の結果より、実施例1~5で得られた湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤組成物は、粘度、破断強度、及び破断伸びの特性を大きく変化させることなく、引張弾性率を低く抑えられることが確認できた。