(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064621
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】積層造形システム及び積層造形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240507BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240507BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240507BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240507BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240507BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y10/00
B28B1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173356
(22)【出願日】2022-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 開催日(公開日) 令和3年10月29日(日本時間) 集会名、開催場所 SCF2021 ACM Symposium on Computational Fabrication(会期:令和3年10月28日~29日/東部標準時) SCF2021のウェブサイトURL:https://scf.acm.org/2021/schedule.html <資 料> SCF2021 開催概要 <資 料> SCF2021 プログラム(スケジュール) <資 料> Demoの研究要約
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、総括実施型研究ERATO「川原万有情報網プロジェクト」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】川原 圭博
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽斗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】吉清 秦生
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
【Fターム(参考)】
4F213AA42
4F213AP06
4F213AP11
4F213AQ01
4F213AR12
4F213AR14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL92
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】加工材料を直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる積層造形システム及び積層造形方法を提供すること。
【解決手段】積層造形システムは、加工材料を造形対象物の上に積層して造形する積層造形システムであって、造形対象物を撮像するカメラモジュールと、造形ヘッドと、カメラモジュールによって撮像された造形対象物の画像に基づいて、造形ヘッドのノズルから造形対象物の上面に吐出する加工材料の流量を導出する流量導出部とを備え、造形ヘッドは、流量導出部が導出した加工材料の流量に基づいて加工材料を前記ノズルから吐出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工材料を造形対象物の上に積層して造形する積層造形システムであって、
造形対象物を撮像するカメラモジュールと、
造形ヘッドと、
前記カメラモジュールによって撮像された前記造形対象物の画像に基づいて、前記造形ヘッドのノズルから前記造形対象物の上面に吐出する加工材料の流量を導出する流量導出部と
を備え、
前記造形ヘッドは、前記流量導出部が導出した前記加工材料の前記流量に基づいて前記加工材料を前記ノズルから吐出する、積層造形システム。
【請求項2】
前記造形対象物の前記画像に基づいて進行方向に移動した前記造形ヘッドの前記ノズルと前記造形対象物の上面との間の距離を導出する距離導出部
をさらに備え、
前記流量導出部は、前記距離導出部によって導出された前記距離に基づいて前記造形ヘッドの前記ノズルから吐出する加工材料の流量を導出する、請求項1に記載の積層造形システム。
【請求項3】
前記距離導出部は、前記造形対象物の前記画像に基づいて、前記造形ヘッドの前記ノズルの第1位置の座標であるノズル座標を導出し、導出した前記ノズル座標と前記造形ヘッドの直後の進行方向とに基づいて、前記ノズル座標から前記進行方向へ所定の距離離れた第2位置と、前記第2位置から前記造形対象物の下部へ下した垂線が前記造形対象物の上部と交差する第3位置との間の距離を導出する、請求項2に記載の積層造形システム。
【請求項4】
前記造形ヘッドの高さを上下方向に動かすリニアモジュール
をさらに備え、
前記距離導出部は、前記距離に基づいて、前記造形ヘッドの前記ノズルの高さを導出し、
前記リニアモジュールは、前記距離導出部が導出した前記ノズルの前記高さに基づいて、前記造形ヘッドの高さを調整する、請求項2又は請求項3に記載の積層造形システム。
【請求項5】
前記流量導出部は、前記距離導出部が導出した前記ノズルの前記高さに基づいて前記造形ヘッドの前記ノズルから吐出する加工材料の流量を導出する、請求項4に記載の積層造形システム。
【請求項6】
加工材料を造形対象物の上に積層して造形する積層造形システムが実行する積層造形方法であって、
前記積層造形システムは、
造形対象物を撮像するカメラモジュールと、造形ヘッドとを備え、
前記積層造形方法は、
前記カメラモジュールによって撮像された前記造形対象物の画像に基づいて、前記造形ヘッドのノズルから前記造形対象物の上面に吐出する加工材料の流量を導出するステップと、
前記加工材料の前記流量に基づいて前記加工材料を前記ノズルから吐出するステップと
を有する、積層造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、積層造形システム及び積層造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工材料を加工対象物の上に積層して造形物を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、積層造形装置は、加工材料を溶融し、凝固した加工材料を加工対象物の上に付加する付加加工を繰り返して造形物を形成する。積層造形装置は、加工位置に形成済みの造形物の高さを計測する高さ計測部と、高さ計測部の計測結果に基づいて、加工位置に加工材料を付加するための加工条件を制御する制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の凹凸面に加工材料を直接積層造形することによって一体化した造形物を作成する際に、足場が悪いため、造形ヘッドと造形物とが衝突してしまうおそれがある。
仮に、3Dプリンタのベースを5軸で回転させてプリントする場合には機械コストが大きく、機構の大型化が難しい。
前述した技術では、積層毎に造形物の頂点高さをセンシングした後に、造形を行うので造形に時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、加工材料を直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる積層造形システム及び積層造形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、加工材料を造形対象物の上に積層して造形する積層造形システムであって、造形対象物を撮像するカメラモジュールと、造形ヘッドと、前記カメラモジュールによって撮像された前記造形対象物の画像に基づいて、前記造形ヘッドのノズルから前記造形対象物の上面に吐出する加工材料の流量を導出する流量導出部とを備え、前記造形ヘッドは、前記流量導出部が導出した前記加工材料の前記流量に基づいて前記加工材料を前記ノズルから吐出する、積層造形システムである。
本発明の一実施形態は、前述の積層造形システムにおいて、前記造形対象物の前記画像に基づいて進行方向に移動した前記造形ヘッドの前記ノズルと前記造形対象物の上面との間の距離を導出する距離導出部をさらに備え、前記流量導出部は、前記距離導出部によって導出された前記距離に基づいて前記造形ヘッドの前記ノズルから吐出する加工材料の流量を導出する。
本発明の一実施形態は、前述の積層造形システムにおいて、前記距離導出部は、前記造形対象物の前記画像に基づいて、前記造形ヘッドの前記ノズルの第1位置の座標であるノズル座標を導出し、導出した前記ノズル座標と前記造形ヘッドの直後の進行方向とに基づいて、前記ノズル座標から前記進行方向へ所定の距離離れた第2位置と、前記第2位置から前記造形対象物の下部へ下した垂線が前記造形対象物の上部と交差する第3位置との間の距離を導出する。
本発明の一実施形態は、前述の積層造形システムにおいて、前記造形ヘッドの高さを上下方向に動かすリニアモジュールをさらに備え、前記距離導出部は、前記距離に基づいて、前記造形ヘッドの前記ノズルの高さを導出し、前記リニアモジュールは、前記距離導出部が導出した前記ノズルの前記高さに基づいて、前記造形ヘッドの高さを調整する。
本発明の一実施形態は、前述の積層造形システムにおいて、前記流量導出部は、前記距離導出部が導出した前記ノズルの前記高さに基づいて前記造形ヘッドの前記ノズルから吐出する加工材料の流量を導出する。
【0007】
本発明の一実施形態は、加工材料を造形対象物の上に積層して造形する積層造形システムが実行する積層造形方法であって、前記積層造形システムは、造形対象物を撮像するカメラモジュールと、造形ヘッドとを備え、前記積層造形方法は、前記カメラモジュールによって撮像された前記造形対象物の画像に基づいて、前記造形ヘッドのノズルから前記造形対象物の上面に吐出する加工材料の流量を導出するステップと、前記加工材料の前記流量に基づいて前記加工材料を前記ノズルから吐出するステップとを有する、積層造形方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、加工材料を直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる積層造形システム及び積層造形方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る積層造形システム1の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る制御装置170の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る積層造形システム1の動作の一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る積層造形システム1の動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aの一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例1に係る制御装置170aの一例を示す図である。
【
図7】実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aの動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態に係る積層造形システム及び積層造形方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
(実施形態)
(積層造形システム)
以下、本発明の実施形態に係る積層造形システムを、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る積層造形システム1の一例を示す図である。
本実施形態に係る積層造形システム1は、加工材料PMを造形対象物MOの上に積層して造形物を形成する。
図1において、水平面をX軸とY軸とによって表し、水平面に垂直な方向をZ軸とする。
図1において、矢印の方向がプラス方向である。
積層造形システム1は、加工材料PM-1の上(Z軸のプラス方向)に、加工材料PM-2を積層することによって造形物を形成する。積層造形システム1は、造形システム100と、制御システム200とを備える。
【0012】
造形システム100は、3DプリンタやCNC(Computer Numerical Control)を動かすための造形データを作成し、作成した造形データを制御装置170に出力する。造形システム100の一例は、3Dプリンティングシステムである。造形データの一例は、GCODEである。GCODEで制御装置170に指令することで、NC工作機械の工具などの軸移動や座標設定、回転、対象加工物の加工方法などを細かく設定することが可能である。
【0013】
制御システム200は、造形ヘッド110と、本体120と、送出装置130と、カメラモジュール140と、材料供給装置150と、制御装置170とを備える。造形ヘッド110には、その先端部にノズルNOが取り付けられている。制御システム200は、造形対象物MOの画像に表された造形対象MOの上面の凹凸に基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した加工材料PMの流量で加工材料PMをノズルNOから吐出する。
【0014】
造形ヘッド110は、ノズルNOの先端部から加工材料PMを吐出させる。加工材料PMの一例は、ウレタン、コンクリート、セメントなどである。造形ヘッド110の一例は、制御装置170と有線又は無線によって接続され、制御装置170が送信した制御情報を受信し、受信した制御情報に含まれる流量調整値に基づいてノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を制御する。
本体120は、加工材料PMを造形対象物MOの上に積層するための装置である。本体120には、造形ヘッド110が取り付けられている。本体120には、造形ヘッド110へ加工材料PMを送出するための送出装置130が取り付けられており、送出装置130には材料供給装置150が連絡している。材料供給装置150の一例は、サーボモーターである。加工材料PMは、チューブTUによって、本体120に供給される。
【0015】
カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮像する。カメラモジュール140の一例は、赤外線カメラである。カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮影した画像データを、制御装置170へ出力する。
制御装置170は、造形システム100、造形ヘッド110及びカメラモジュール140と接続されている。制御装置170は、造形システム100が出力した造形データに基づいて、造形対象物MOに加工材料PMを一層ずつ積層することによって造形する。制御装置170は、加工材料PMを積層する際に、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像に表された造形対象物MOの上面の凹凸に基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した加工材料PMの流量で、加工材料PMを積層する。
このように構成することによって、従来は、造形システム100が出力した造形データに基づいて造形対象物MOに加工材料PMを積層する際に、積層された加工材料PMが垂れてしまうことがあった。積層された加工材料が垂れてしまうと、その後、加工材料PMを積層できなくなる。本実施形態において、制御装置170は、造形対象物MOの上面の凹凸に基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を変更できるため、積層された加工材料PMが垂れてしまうことを低減できる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る制御装置170の一例を示す図である。ただし、
図2には、制御装置170に加え、造形ヘッド110及びカメラモジュール140が描かれている。制御装置170は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。制御装置170は、例えば、入力部171と、距離導出部172と、流量導出部173と、作成部174と、出力部175と、記憶部178とを備える。
【0017】
入力部171は、情報を入力する。一例として、入力部171は、キーボードおよびマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部171は、ユーザによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部171は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。入力部171には、画像データが入力される。画像データの一例は、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像である。造形対象物MOの画像には、造形ヘッド110に取り付けられているノズルNOの画像が含まれている。本実施形態では、一例として画像データが造形対象物MOの画像データである場合について説明を続ける。さらに、入力部には、造形システム100が出力した造形データが入力される。
【0018】
距離導出部172は、入力部171から画像データを取得する。距離導出部172は、取得した画像データに基づいて、造形ヘッド110を進行方向へ進行させた場合の造形ヘッド110のノズルNOの先端部と、造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出する。
図3は、本実施形態に係る積層造形システム1の動作の一例を説明するための図である。
図3は、積層造形システム1の造形ヘッド110の部分を含む領域の拡大図を示す。
図3において、実線は現在の造形ヘッド110の位置を示し、破線は進行方向へ進行させた後の造形ヘッドの位置を示す。
【0019】
距離導出部172は、画像データを処理することによって、造形ヘッド110のノズルNOの先端部の第1位置P1の座標(以下「ノズル座標」という)を導出する。ノズル座標の一例は、カメラ座標系で表されている。距離導出部172は、カメラ座標系で表されているノズル座標をワールド座標系へ変換する。カメラ座標系とは、カメラの光学中心を原点とし、座標軸の方向及び単位が予め定められた座標系である。距離導出部172には、カメラ座標系からワールド座標系への変換パラメータが予め設定されている。ただし、距離導出部172が、ワールド座標系で表されるノズル座標を導出する場合にはこの処理は省略される。以下、一例として、カメラ座標系で表されているノズル座標をワールド座標系へ変換する処理が行われる場合について説明を続ける。
【0020】
距離導出部172は、ノズル座標をワールド座標系へ変換した結果と、造形ヘッド110の直後の進行方向とに基づいて、ノズル座標をワールド座標系へ変換した結果から進行方向へ所定の距離L離れた第2位置P2の座標を導出する。ここで、進行方向の一例は、X軸とY軸とで表される平面上での進行方向である。所定の距離Lの一例は、5[mm]から100[mm]である。
距離導出部172は、第2位置から造形対象物MOの下部(マイナスZ方向)へ下した垂線が造形対象物MOの上部と交差する第3位置との間の距離Dを導出する。つまり、距離導出部172は、造形ヘッド110を進行方向へ所定の距離L移動させた場合のノズルNOの先端部と造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出する。
図2に戻り説明を続ける。
【0021】
流量導出部173は、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像に表された造形対象MOの上面の凹凸に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOから造形対象物MOの上面に吐出する加工材料PMの流量を導出する。例えば、流量導出部173は、距離導出部172から、距離Dを特定する情報を取得する。流量導出部173は、取得した距離Dを特定する情報に基づいて、造形ヘッド110に取り付けられているノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した流量に調整するための流量調整値を導出する。
具体的には、流量導出部173は、距離Dが長くなるにしたがって流量が大きくなるように、距離Dが短くなるにしたがって流量が小さくなるように流量調整値を導出する。このように構成することによって、積層された加工材料PMが薄い場合には次の層を厚くすることかでき、積層された加工材料PMが厚い場合には次の層を薄くすることができる。
【0022】
作成部174は、流量導出部173から流量調整値を取得する。作成部174は、取得した流量調整値を含む、造形ヘッド110にノズルから吐出させる加工材料PMの流量を調整させるための制御情報を作成する。
出力部175は、作成部174から制御情報を取得し、取得した制御情報を造形ヘッド110へ出力する。
造形ヘッド110は、制御装置170が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる流量調整値に基づいて、ノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量を制御する。
【0023】
記憶部178は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部178には、積層造形プログラム(アプリケーション)などのプログラムが記憶される。
【0024】
入力部171と、距離導出部172と、流量導出部173と、作成部174と、出力部175との全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部178に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、入力部171と、距離導出部172と、流量導出部173と、作成部174と、出力部175との全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0025】
(積層造形システムの動作)
図4は、本実施形態に係る積層造形システム1の動作の一例を示すフロー図である。
図4を参照して、積層造形システム1において、造形ヘッド110がノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量を制御する処理について説明する。
(ステップS1-1)
カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮像する。
(ステップS2-1)
カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮影した画像データを、制御装置170へ出力する。
(ステップS3-1)
制御装置170において、入力部171に、画像データが入力される。距離導出部172は、入力部171から画像データを取得する。距離導出部172は、取得した画像データに基づいて、造形ヘッド110を進行方向へ所定の距離L進行させた場合の造形ヘッド110のノズルNOの先端部と、造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出する。
【0026】
(ステップS4-1)
制御装置170において、流量導出部173は、距離導出部172から、距離Dを特定する情報を取得する。流量導出部173は、取得した距離Dを特定する情報に基づいて、造形ヘッド110に取り付けられているノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した流量に調整するための流量調整値を導出する。
(ステップS5-1)
制御装置170において、作成部174は、流量導出部173から流量調整値を取得する。作成部174は、取得した流量調整値を含む、造形ヘッド110にノズルNOの先端部から吐出させる加工材料PMの流量を調整させるための制御情報を作成する。
(ステップS6-1)
制御装置170において、出力部175は、作成部174から制御情報を取得し、取得した制御情報を造形ヘッド110へ出力する。
(ステップS7-1)
造形ヘッド110は、制御装置170が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる流量調整値に基づいて、ノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量を制御する。
【0027】
前述した実施形態では、積層造形システム1が、一例として一台のカメラモジュール140を備える場合について説明したがこの例に限られない。例えば、積層造形システム1が複数のカメラモジュールを備えるようにしてもよい。
このように構成することによって、例えば、一台のカメラモジュール140だけではその視界にノズルNOの先端部が入ることによって捉えられないおそれがある造形対象物MOの上部を捉えることが可能になるため、距離Dの導出精度を向上できる。距離Dの導出精度を向上できることによって、加工材料PMの流量を精度よく調整できるため、造形対象物MOの加工精度を向上できる。
前述した実施形態において、積層造形システム1が、造形ヘッド110を進行方向へ所定の距離L進行させた場合の造形ヘッド110のノズルNOの先端部と、造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出するタイミングは、任意のタイミング(例えば、周期的なタイミング)であってもよいし、連続したタイミングであってもよい。
距離Dを導出するタイミングを任意のタイミングとすることによって造形対象物MOの上面の任意の位置に対して加工材料PMの流量を調整でき、距離Dを導出するタイミングを連続したタイミングとすることによって造形対象物MOの上面の連続した位置に対して加工材料PMの流量を調整できる。
前述した実施形態において、本体120が、ロボットアームであってもよい。この場合、ロボットアームは、その先端部に造形ヘッド110を備えるように構成される。また、ロボットアームが複数(例えば3カ所、4カ所等)の関節を備えることにより、三次元で材料の施工を行うことができる。
なお、関節数(自由度)や、アームの長さは、造形対象となる造形物の形状や大きさ、造形場所の環境等に応じて、適宜変更することができる。本実施形態では、ロボットアームは、関節を有しないアームも含まれる。この場合、ロボットアームを所望の位置に移動させることにより、加工材料PMを造形対象物MOの上に積層できる。
【0028】
本実施形態に係る積層造形システム1によれば、積層造形システム1は、加工材料PMを造形対象物MOの上に積層して造形する。積層造形システム1は、造形対象物MOを撮像するカメラモジュール140と、造形ヘッド110と、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOから造形対象物MOの上面に吐出する加工材料PMの流量を導出する流量導出部173とを備える。造形ヘッド110は、流量導出部173が導出した加工材料PMの流量に基づいて加工材料PMをノズルNOから吐出する。
このように構成することによって、積層造形システム1は、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像、例えば、造形対象物MOの画像に含まれる造形対象物MOの上部(上面)の凹凸に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOから造形対象物MOの上面に吐出する加工材料PMの流量を導出できるため、加工材料PMを直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる。
【0029】
積層造形システム1において、積層造形システム1は、造形対象物MOの画像に基づいて進行方向に移動した造形ヘッド110のノズルNOと造形対象物MOの上面との間の距離Dを導出する距離導出部172をさらに備える。流量導出部173は、距離導出部172によって導出された距離Dに基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出する。
このように構成することによって、積層造形システム1は、造形対象物MOの画像に基づいて進行方向に移動した造形ヘッド110のノズルNOと造形対象物MOの上面との間の距離Dを導出し、導出した距離Dに基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出できる。積層造形システム1は、距離Dに追随して加工材料PMの流量を導出できるため、加工材料PMを直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる。
【0030】
積層造形システム1において、距離導出部172は、造形対象物MOの画像に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの第1位置の座標であるノズル座標を導出し、導出したノズル座標と造形ヘッド110の直後の進行方向とに基づいて、ノズル座標から進行方向へ所定の距離L離れた第2位置と、第2位置から造形対象物MOの下部へ下した垂線が造形対象物MOの上部と交差する第3位置との間の距離Dを導出する。
このように構成することによって、積層造形システム1は、造形ヘッド110のノズルNOの例えば先端部の第1位置のノズル座標から進行方向へ所定の距離L離れた第2位置と、第2位置から造形対象物MOの下部へ下した垂線が造形対象物MOの上部と交差する第3位置との間の距離Dを導出できるため、導出した距離Dに基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出できる。このため、加工材料PMを直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる。
【0031】
(実施形態の変形例1)
(積層造形システム)
図5は、実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aの一例を示す図である。
実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aは、加工材料PMを造形対象物MOの上に積層して造形物を形成する。
図5において、水平面をX軸とY軸とによって表し、水平面に垂直な方向をZ軸とする。
図5において、矢印の方向がプラス方向である。
積層造形システム1aは、加工材料PM-1の上(Z軸のプラス方向)に、加工材料PM-2を積層することによって造形物を形成する。積層造形システム1aは、造形システム100と、制御システム200aとを備える。
【0032】
制御システム200aは、造形ヘッド110と、本体120と、送出装置130と、カメラモジュール140と、材料供給装置150と、リニアモジュール160と、制御装置170aとを備える。造形ヘッド110には、その先端部にノズルNOが取り付けられている。制御システム200aは、造形対象物MOの画像に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの先端部の第1位置のノズル座標を導出し、導出したノズル座標と造形ヘッド110の直後の進行方向とに基づいて、ノズル座標から進行方向へ所定の距離L離れた第2位置と、第2位置から造形対象物MOの下部へ下した垂線が造形対象物MOの上部と交差する第3位置との間の距離Dを導出する。
制御システム200aは、導出した距離Dに基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの先端部の高さを導出し、導出したノズルNOの先端部の高さに基づいて、造形ヘッド110の高さを調整する。
制御システム200aは、ノズルNOの先端部の高さに基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した加工材料PMの流量で加工材料PMをノズルから吐出させる。
【0033】
制御装置170aは、カメラモジュール140によって撮像された造形対象物MOの画像に表された造形対象物MOの上部(上面)の画像に基づいて、ノズル座標から進行方向へ所定の距離L離れた第2位置と、第2位置から造形対象物MOへ下した垂線が造形対象物MOの上部と交差する第3位置との間の距離Dを導出する。制御装置170aは、導出した距離Dに基づいて、造形対象物MOの上部からの造形ヘッド110のノズルNOの先端部の高さを導出する。制御装置170aは、造形対象物MOの上部からの造形ヘッド110のノズルNOの先端部の高さの導出結果に基づいて、造形ヘッド110の高さを変更する。
さらに、制御装置170aは、造形対象物MOの上部からの造形ヘッド110のノズルNOの高さの導出結果に基づいて、造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出する。制御装置170aは、造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量の導出結果に基づいて造形ヘッド110のノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を変更する。
【0034】
リニアモジュール160は、制御装置170aに結合している。リニアモジュール160は、制御装置170aと有線又は無線によって接続される。リニアモジュール160は、制御装置170aが出力した第1制御情報を取得し、取得した第1制御情報に含まれる造形ヘッド高さ調整値に基づいて、造形ヘッド110の高さ(Z軸方向)を調整(制御)する。例えば、リニアモジュール160が造形ヘッド高さ調整値に基づいてZ軸のプラス方向に移動することによって制御装置170a及び造形ヘッド110がZ軸のプラス方向に移動することによって造形ヘッド110の高さがZ軸のプラス方向に調整される。リニアモジュール160が造形ヘッド高さ調整値に基づいてZ軸のマイナス方向に移動することによって制御装置170a及び造形ヘッド110がZ軸のマイナス方向に移動することによって造形ヘッド110の高さがZ軸のマイナス方向に調整される。
【0035】
図6は、実施形態の変形例1に係る制御装置170aの一例を示す図である。ただし、
図6には、制御装置170aに加え、造形ヘッド110及びカメラモジュール140が描かれている。制御装置170aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。制御装置170aは、例えば、入力部171と、距離導出部172aと、流量導出部173aと、作成部174aと、出力部175と、記憶部178とを備える。
【0036】
距離導出部172aは、入力部171から画像データを取得する。距離導出部172aは、取得した画像データに基づいて、造形ヘッド110を進行方向へ進行させた場合の造形ヘッド110のノズルNOの先端部と、造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出する。距離導出部172aが、距離Dを導出する処理は、実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
距離導出部172aは、導出した距離Dに基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの先端部の高さを調整するための造形ヘッド高さ調整値を導出する。例えば、距離導出部172aは、距離Dが予め設定される長さ(以下「ノズル造形対象物長」という)となるように、造形ヘッド110の高さの調整値を導出する。ノズル造形対象物長の一例は、10[mm]から40[mm]の間の固定値である。ノズル造形対象物長の一例は、20[mm]から30[mm]の間の固定値であってもよい。
【0037】
流量導出部173aは、距離導出部172から、造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を取得する。流量導出部173aは、取得した造形ヘッド高さ調整値を特定する情報に基づいて、造形ヘッド110に取り付けられているノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した流量に調整するための流量調整値を導出する。
例えば、流量導出部173aは、造形ヘッド高さ調整値によって造形ヘッド110が造形対象物MOの上面から離れるように制御されるにしたがって流量が小さくなるように流量調整値を導出する。このように構成することによって、積層された加工材料PMが厚い場合に、造形ヘッド110が造形対象物MOの上面から離れるように制御できるとともに、造形ヘッド110のノズルNOの先端から吐出される流量を小さくできるため、次の層を薄くすることができる。
例えば、流量導出部173aは、造形ヘッド高さ調整値によって造形ヘッド110が造形対象物MOの上面へ近づくように制御されるにしたがって流量が大きくなるように流量調整値を導出する。このように構成することによって、積層された加工材料PMが薄い場合に、造形ヘッド110が造形対象物MOの上面へ近づくように制御できるとともに、造形ヘッド110のノズルNOの先端から吐出される流量を大きくできるため、次の層を厚くすることができる。
【0038】
作成部174aは、距離導出部172aから造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を取得する。作成部174aは、取得した造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を含む、リニアモジュール160の高さを調整させるための第1制御情報を作成する。
作成部174aは、流量導出部173aから流量調整値を取得する。作成部174aは、取得した流量調整値を含む、造形ヘッド110にノズルから吐出させる加工材料PMの流量を調整させるための第2制御情報を作成する。
出力部175は、作成部174aから第1制御情報及び第2制御情報を取得する。出力部175は、取得した第1制御情報をリニアモジュール160へ出力し、第2制御情報を造形ヘッド110へ出力する。
【0039】
リニアモジュール160は、制御装置170aが出力した第1制御情報を取得し、取得した第1制御情報に含まれる造形ヘッド高さ調整値に基づいて、造形ヘッド110の高さ(Z軸方向)を調整(制御)する。
造形ヘッド110は、制御装置170aが出力した第2制御情報を取得し、取得した第2制御情報に含まれる流量調整値に基づいて、ノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量を制御する。
距離導出部172aと、流量導出部173aと、作成部174aとの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部178に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、距離導出部172aと、流量導出部173aと、作成部174aとの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0040】
(積層造形システムの動作)
図7は、実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aの動作の一例を示すフロー図である。
図7を参照して、積層造形システム1aが、造形ヘッド110の高さと、造形ヘッド110に取り付けられたノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量とを制御する処理について説明する。
(ステップS1-2)
カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮像する。
(ステップS2-2)
カメラモジュール140は、造形対象物MOを撮影した画像データを、制御装置170aへ出力する。
(ステップS3-2)
制御装置170aにおいて、入力部171に、画像データが入力される。距離導出部172aは、入力部171から画像データを取得する。距離導出部172aは、取得した画像データに基づいて、造形ヘッド110を進行方向へ所定の距離L進行させた場合の造形ヘッド110のノズルNOの先端部と、造形対象物MOの上部との間の距離Dを導出する。
【0041】
(ステップS4-2)
制御装置170aにおいて、距離導出部172aは、導出した距離Dに基づいて、造形ヘッド110のノズルNOの高さを調整するための造形ヘッド高さ調整値を導出する。
(ステップS5-2)
制御装置170aにおいて、流量導出部173aは、距離導出部172aから、造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を取得する。流量導出部173aは、取得した造形ヘッド高さ調整値を特定する情報に基づいて、造形ヘッド110に取り付けられているノズルNOの先端部から吐出する加工材料PMの流量を導出し、導出した流量に調整するための流量調整値を導出する。
(ステップS6-2)
制御装置170aにおいて、作成部174aは、距離導出部172aから造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を取得する。作成部174aは、取得した造形ヘッド高さ調整値を特定する情報を含む、リニアモジュール160に高さを調整させるための第1制御情報を作成する。
(ステップS7-2)
制御装置170aにおいて、出力部175は、作成部174aから第1制御情報を取得する。出力部175は、取得した第1制御情報をリニアモジュール160へ出力する。
(ステップS8-2)
【0042】
リニアモジュール160は、制御装置170aが出力した第1制御情報を取得し、取得した第1制御情報に含まれる造形ヘッド高さ調整値に基づいて、造形ヘッド110の高さを調整する。
(ステップS9-2)
制御装置170aにおいて、作成部174aは、流量導出部173aから流量調整値を特定する情報を取得する。作成部174aは、取得した流量調整値を特定する情報を含む、第2制御情報を作成する。
(ステップS10-2)
制御装置170aにおいて、出力部175は、作成部174aから第2制御情報を取得する。出力部175は、取得した第2制御情報を造形ヘッド110へ出力する。
(ステップS11-2)
造形ヘッド110は、制御装置170aが出力した第2制御情報を取得し、取得した第2制御情報に含まれる流量調整値に基づいて、ノズルNOに吐出させる加工材料PMの流量を調整(制御)する。
【0043】
実施形態の変形例1に係る積層造形システム1aによれば、積層造形システム1aは、積層造形システム1において、造形ヘッド110の高さを上下方向(Z軸方向)に動かすリニアモジュール160をさらに備える。距離導出部172aは、距離Dに基づいて、造形対象物MOの上部からの造形ヘッド110のノズルNOの高さを導出する。リニアモジュール160は、距離導出部172aが導出した造形対象物MOの上部からのノズルNOの高さに基づいて、造形ヘッド110の高さを調整する。
このように構成することによって、積層造形システム1aは、距離Dに基づいて、造形対象物MOの上部からの造形ヘッド110のノズルNOの高さを導出できる。リニアモジュール160によって造形対象物MOの上部からのノズルNOの高さに基づいて造形ヘッド110の高さを調整できるため、積層された加工材料PMなどが垂れることなどによる要因で積層高さが変わってしまう場合でも、造形対象物MOの上部と造形ヘッド110のノズルNOの先端との間の距離を一定として、加工材料PMを吐出することによって、加工材料PMを直接積層造形できる。
さらに、造形ヘッド110において、上下方向(Z軸方向)の調整を行うことによって、上下方向の調整を行わない場合と比較して、精度の高い造形を行うことができる。つまり、積層造形において、造形ができなくなる理由はX軸方向及びY軸方向の積層よりも、Z軸方向の積層によることが大きい。Z軸方向のばらつきを低減できれば、精度の高い積層ができる。
【0044】
積層造形システム1aにおいて、流量導出部173aは、距離導出部172aが導出したノズルNOの高さに基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出する。
このように構成することによって、積層造形システム1aは、ノズルNOの高さに基づいて造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を導出できるため、加工材料PMを直接積層造形する場合に、造形の凹凸を低減できる。
造形データは、加工材料PMが発泡剤を有する材料である場合に、例えば20[mm]の厚さで積層され、発泡することで30[mm]から50[mm]の厚さへ変化する場合に、その変化を見込んで作成されている。しかし、環境などの要因によって、発泡後の厚さがずれてしまう場合がある。積層造形システム1aは、そのようなずれが生じた場合であっても、造形ヘッド110の上下方向(Z軸方向)の調整を行うとともに、造形ヘッド110のノズルNOから吐出する加工材料PMの流量を調整できるため、上下方向の調整と流量の調整とを行わない場合と比較して、精度の高い造形を行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。これら実施形態及びその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、実施形態と実施形態の変形例2とが組み合わされてもよい。
なお、前述の制御装置170、制御装置170a及び制御装置170bは内部にコンピュータを有している。そして、前述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1b…積層造形システム、 100…造形システム、 110…造形ヘッド、 115…切削部、 120…本体、 130…送出装置、 140…カメラモジュール、 150…材料供給装置、 170、170a、170b…制御装置、 171…入力部、 172、172a…距離導出部、 173、173a…流量導出部、 174、174a、174b…作成部、 175…出力部、 176b…切削制御部、 200、200a、200b…制御システム