(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064938
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】超音波発生装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04R1/34 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029211
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022172901
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諭
(72)【発明者】
【氏名】横山 広大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】笠島 崇
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭平
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019FF03
5D019GG00
(57)【要約】
【課題】用途に応じて最適な導波路を用いやすい超音波発生装置を提供する。
【解決手段】超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備え、超音波集束部12は、超音波発生源11と対向して配置された第一反射面16と、第一反射面16と対向して配置された第二反射面17とを有し、第一反射面16は、超音波発生源11から発生した超音波を第二反射面17に向かって反射させ、第二反射面17は、第一反射面16にて反射された超音波を導波路13に向かって反射して導波路の内部に導入する超音波発生装置10であって、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部22にて超音波集束部12に接合され、接合部22は、超音波発生源11の外周縁11Bを、対向方向に延長した領域Rよりも内周側の領域に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、前記超音波発生源と対向して配置された第一反射面と、前記第一反射面と対向して配置された第二反射面とを有し、 前記第一反射面は、前記超音波発生源とは反対側に凸な湾曲面であり、前記超音波発生源から発生した超音波を前記第二反射面に向かって反射させ、前記第二反射面は、前記第一反射面にて反射された超音波を前記導波路に向かって反射して前記導波路の内部に導入する超音波発生装置であって、
前記導波路は、前記超音波集束部と別の部材であって、接合部にて前記超音波集束部に接合され、
前記接合部は、前記超音波発生源の外周縁を、前記超音波発生源と前記第一反射面との対向方向に延長した領域よりも内周側の領域に配置されている、超音波発生装置。
【請求項2】
前記第二反射面は、前記第一反射面とは反対側に凸な湾曲面であり、
前記超音波発生源は、前記対向方向に直交する径方向における前記第二反射面の周囲を囲う形状をなし、
前記接合部は、前記超音波発生源の内周縁を、前記対向方向に延長した第一領域よりも内周側の領域に配置されている、請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記導波路は、導入部を有し、
前記接合部は、前記第一反射面から前記第二反射面側へ凹んだ凹部を有し、
前記第一領域と前記第一反射面とが交差する線を第一仮想線とし、前記第一仮想線から前記第一反射面の焦点へと延びる領域を第二領域としたとき、前記凹部は前記第二領域よりも内周側の領域に配置されており、
前記導入部は、前記凹部に差し込まれている、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記導入部の外周面及び前記凹部の内周面は、螺旋状の溝を有し、
前記導入部は、締め付けによって前記凹部に固定されている、請求項3に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
前記超音波集束部は、前記第一反射面から前記第二反射面とは反対側へ突出する突出部を有し、
前記導波路は、前記突出部の突出端に接合されている、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項6】
前記導波路は、導入部を有し、
前記導波路と前記突出部の突出端とを突き合せた状態において、前記導入部の外周面から前記突出部の外周面まで延びる筒状の保持部材を備えている、請求項5に記載の超音波発生装置。
【請求項7】
前記導波路は、外周縁から前記第一反射面側に突出した筒状部を有し、
前記筒状部は、前記突出部の外周側に嵌まっている、請求項5に記載の超音波発生装置。
【請求項8】
前記導波路は、前記第一反射面に接合されている、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項9】
前記超音波集束部は、前記導波路と接合する接合面を有し、
前記導波路と前記接合面との間は、超音波を伝搬する媒質で満たされている、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項10】
前記導波路と前記超音波集束部とは、それぞれ導入面と接合面とが対向して接合されており、
前記導入面及び前記接合面は、平坦面である、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項11】
前記導波路を固定する固定部材を備えている、請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、診断や治療などの様々な用途で用いられる超音波発生装置が知られている。例えば下記特許文献1には、超音波を発生する超音波発生源と、超音波発生源で発生した超音波を集束する超音波集束部と、超音波集束部によって集束された超音波を伝送する導波路と、を備えた超音波発生装置が記載されている。超音波発生源で発生した超音波は、導波路の先端まで伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/028249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような超音波発生装置は、用途に応じて、導波路の長さ寸法、導波路の先端形状、及び導波路の材質等を最適なものにしたいという要望がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、用途に応じて最適な導波路を用いやすい超音波発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、前記超音波発生源から発生した超音波を集束する超音波集束部と、前記超音波集束部によって集束された超音波を伝送する導波路と、を備え、前記超音波集束部は、前記超音波発生源と対向して配置された第一反射面と、前記第一反射面と対向して配置された第二反射面とを有し、前記第一反射面は、前記超音波発生源とは反対側に凸な湾曲面であり、前記超音波発生源から発生した超音波を前記第二反射面に向かって反射させ、前記第二反射面は、前記第一反射面にて反射された超音波を前記導波路に向かって反射して前記導波路の内部に導入する超音波発生装置であって、前記導波路は、前記超音波集束部と別の部材であって、接合部にて前記超音波集束部に接合され、前記接合部は、前記超音波発生源の外周縁を、前記超音波発生源と前記第一反射面との対向方向に延長した領域よりも内周側の領域に配置されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導波路は、超音波集束部と別の部材であるから、超音波発生源及び超音波集束部を共通化しつつ、用途に応じて導波路を変えることができる。したがって、用途に応じて最適な導波路を用いやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】超音波発生装置の基本構成を説明する図であって、超音波発生源から発生した超音波が第一反射面に向かって直進するイメージを示す図
【
図2】超音波発生装置の基本構成を説明する図であって、第一反射面にて反射された超音波が焦点に向かって集束するイメージを示す図
【
図3】実施例1における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図5】実施例2における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図6】実施例3における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図7】実施例4における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図8】実施例5における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図9】実施例6における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図10】実施例7における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図11】実施例8における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図12】他の実施例(1)における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図13】他の実施例(2)における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図14】他の実施例(3)における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図15】他の実施例(4)における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図16】他の実施例(5)における超音波発生装置を示す概略断面図
【
図17】他の実施例(6)における超音波発生装置を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
【0010】
(1)本発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、前記超音波発生源から発生した超音波を集束する超音波集束部と、前記超音波集束部によって集束された超音波を伝送する導波路と、を備え、前記超音波集束部は、前記超音波発生源と対向して配置された第一反射面と、前記第一反射面と対向して配置された第二反射面とを有し、前記第一反射面は、前記超音波発生源とは反対側に凸な湾曲面であり、前記超音波発生源から発生した超音波を前記第二反射面に向かって反射させ、前記第二反射面は、前記第一反射面にて反射された超音波を前記導波路に向かって反射して前記導波路の内部に導入する超音波発生装置であって、前記導波路は、前記超音波集束部と別の部材であって、接合部にて前記超音波集束部に接合され、前記接合部は、前記超音波発生源の外周縁を、前記超音波発生源と前記第一反射面との対向方向に延長した領域よりも内周側の領域に配置されているものである。このような構成によれば、導波路は、超音波集束部と別の部材であるから、超音波発生源及び超音波集束部を共通化しつつ、用途に応じて導波路を変えることができる。したがって、用途に応じて最適な導波路を用いやすくできる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の超音波発生装置において、前記第二反射面は、前記第一反射面とは反対側に凸な湾曲面であり、前記超音波発生源は、前記対向方向に直交する径方向における前記第二反射面の周囲を囲う形状をなし、前記接合部は、前記超音波発生源の内周縁を、前記対向方向に延長した第一領域よりも内周側の領域に配置されていてもよい。このような構成によれば、導波路と超音波集束部との接合部は、第一領域よりも内周側の領域に配置されているから、超音波発生源から発生して第一反射面へ向かう超音波の伝播領域に重ならない。したがって、接合部は、超音波発生源から発生する超音波の伝播を妨げない。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載の超音波発生装置において、前記導波路は、導入部を有し、前記接合部は、前記第一反射面から前記第二反射面側へ凹んだ凹部を有し、前記第一領域と前記第一反射面とが交差する線を第一仮想線とし、前記第一仮想線から前記第一反射面の焦点へと延びる領域を第二領域としたとき、前記凹部は前記第二領域よりも内周側の領域に配置されており、前記導入部は、前記凹部に差し込まれているものとしてもよい。このような構成によれば、締結部品等を用いることなく、導波路と超音波集束部とを接合できる。したがって、締結部品等を用いる場合と比べて部品点数を少なくできる。凹部は、第二領域よりも内周側に配置されているから、第一反射面から焦点に集束する超音波の伝播領域に重ならない。したがって、凹部は、第一反射面から焦点に集束する超音波の伝搬を妨げない。
【0013】
(4)上記(3)に記載の超音波発生装置において、前記導入部の外周面及び前記凹部の内周面は、螺旋状の溝を有し、前記導入部は、締め付けによって前記凹部に固定されているものとしてもよい。このような構成によれば、抵抗溶接や接着剤などを用いることなく、導波路と超音波集束部とを接合できる。
【0014】
(5)上記(1)又は(2)に記載の超音波発生装置において、前記超音波集束部は、前記第一反射面から前記第二反射面とは反対側へ突出する突出部を有し、前記導波路は、前記突出部の突出端に接合されているものとしてもよい。このような構成によれば、超音波集束部において導波路と接合する面を平らに成形しやすいから、超音波特性を良くできる。
【0015】
(6)上記(5)に記載の超音波発生装置において、前記導波路は、導入部を有し、前記導波路と前記突出部の突出端とを突き合せた状態において、前記導入部の外周面から前記突出部の外周面まで延びる筒状の保持部材を備えているものとしてもよい。このような構成によれば、保持部材によって、突出部と導入部との結合が保持される。したがって、導波路と超音波集束部との結合強度を向上できる。
【0016】
(7)上記(5)に記載の超音波発生装置において、前記導波路は、外周縁から前記第一反射面側に突出した筒状部を有し、前記筒状部は、前記突出部の外周側に嵌まっているものとしてもよい。このような構成によれば、筒状部を突出部の外周側に嵌めることによって、突出部と導波路との結合が保持される。したがって、他の部品を用いることなく、導波路と超音波集束部との結合強度を向上できる。
【0017】
(8)上記(1)又は(2)に記載の超音波発生装置において、前記導波路は、前記第一反射面に接合されているものとしてもよい。このような構成によれば、超音波集束部に凹部や突出部などを成形することなく、導波路と超音波集束部とを接合できる。
【0018】
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載の超音波発生装置において、前記超音波集束部は、前記導波路と接合する接合面を有し、前記導波路と前記接合面との間は、超音波を伝搬する媒質で満たされているものとしてもよい。このような構成によれば、導波路と接合面との間に隙間が形成されにくいから、導波路と接合面との間の隙間によって超音波が変化することを抑制できる。
【0019】
(10)上記(1)から(9)のいずれかに記載の超音波発生装置において、前記導波路と前記超音波集束部とは、それぞれ導入面と接合面とが対向して接合されており、前記導入面及び前記接合面は、平坦面であるものとしてもよい。このような構成によれば、超音波特性を良くできる。
【0020】
(11)上記(1)から(10)のいずれかに記載の超音波発生装置において、前記導波路を固定する固定部材を備えているものとしてもよい。このような構成によれば、固定部材によって、導波路と超音波集束部との結合を保持できる。したがって、導波路と超音波集束部との結合強度を向上できる。
【0021】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について、
図1~
図4を参照しつつ詳細に説明する。本実施例における超音波発生装置10は、超音波診断装置、超音波治療装置、キャビテーション発生装置、などに用いられる。
【0022】
まず、超音波発生装置10の基本構成について説明する。超音波発生装置10は、
図1に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。導波路13によって伝送された超音波は、対象物に照射される。対象物は特に限定されず、例えば生体内であってもよい。対象物に照射された超音波は、対象物で反射し、対象物の画像情報を乗せた超音波として導波路13内に戻る。対象物の画像情報を乗せた超音波は、導波路13及び超音波集束部12を介して超音波発生源11に戻る。画像情報を乗せた超音波に応じた電気信号は、信号送受信回路によって受信され、受信された信号に含まれる画像情報は、信号表示装置に表示される。なお、画像情報を含む超音波に基づいて画像表示を行う技術は、超音波診断装置などに用いられる公知技術を採用し得る。
【0023】
超音波発生源11は、例えば、圧電素子である。超音波発生源11は、所定の厚さ寸法を有する板状に形成されている。超音波発生源11は、第一主面14と、第一主面14とは反対側の第二主面15とを有している。第一主面14及び第二主面15には、図示しない電極が配置されている。第一主面14は、図示しない接着剤によって超音波集束部12に接着されている。第一主面14は、上下方向において、第二反射面17の外周縁17Bと同じ位置に配置されている。
【0024】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると超音波を発生する。超音波発生源11から発生した超音波は、
図1に示すように、矢印A2方向に直進する平面波である。矢印A2は、超音波発生源11から発生した超音波の進行方向を示す。矢印A2は、軸A1と平行である。超音波発生源11は、例えば、30kHz以上の周波数で超音波を発生させる。以下、各構成部材において、
図1の矢印A2が指し示す方向を上方、その反対方向を下方として説明する。
【0025】
超音波集束部12は、第一反射面16及び第二反射面17を備えている。第一反射面16は、超音波発生源11と対向して配置されている。第一反射面16と超音波発生源11との対向方向は、軸A1の延び方向と平行である。第一反射面16は、超音波集束部12の外部から見ると、上側(超音波発生源11とは反対側)に凸な放物面である。第一反射面16は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第一反射面16の中心部は、第一反射面16の外周縁16Bよりも上方に位置している。第一反射面16は、軸A1を回転軸として構成される回転放物面である。
【0026】
第二反射面17は、第一反射面16と対向して配置されている。第二反射面17は、超音波集束部12の外部から見ると、下側(第一反射面16とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第二反射面17は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第二反射面17の中心部は、第二反射面17の外周縁17Bよりも下方に位置している。第二反射面17は、軸A1を回転軸として構成される回転放物面である。
【0027】
超音波発生源11から発生した超音波は、
図2に示すように、第一反射面16で反射し、第一反射面16の焦点Fsに向かって集束する。焦点Fsを通過した超音波は、第二反射面17で反射し、第二反射面17の焦点Fsに向かって集束する。第二反射面17の焦点Fsは、第一反射面16の焦点Fsと一致している。第二反射面17で反射し、焦点Fsを通過した超音波は、平面波として導波路13の内部に導入される。焦点Fsは、軸A1上に位置している。
【0028】
次に、超音波発生装置10の詳細を説明する。超音波発生源11は、
図3及び
図4に示すように、第二反射面17の周囲を囲っている。超音波発生源11は、軸A1を中心とする円環状である。超音波発生源11の内周縁11Aは、第二反射面17の外周縁17Bから、軸A1と直交する径方向の外側に離間している。超音波発生源11の外周縁11Bは、第一反射面16の外周縁16Bから軸A1と直交する径方向の内側に離間している。第一反射面16の外周縁16B及び第二反射面17の外周縁17Bは、下側から見ると、軸A1を中心とする同心の円形状である。超音波発生源11の内周縁11A及び外周縁11Bは、
図3に示すように、第一主面14の外周縁及び内周縁である。超音波発生源11の外周縁11Bは、超音波発生源11と超音波集束部12との接触面の外周縁を構成する。
【0029】
超音波集束部12は、中実の金属(例えばジェラルミン)によって形成されている。超音波集束部12は、超音波発生源11との接着面18を有している。接着面18は、第二反射面17の外周縁17Bから第一反射面16の外周縁16Bまで軸A1に直交する径方向外側に広がっている。接着面18は、軸A1に直交する平坦面である。接着面18は、軸A1を中心として第二反射面17の周囲を囲う円環状である。
【0030】
導波路13は、
図3に示すように、超音波集束部12と別の部材である。導波路13は、中実の柱状である。導波路13は、第一反射面16の中心部から軸A1に沿って上方に延びている。導波路13の下端面は、導入面19である。超音波は、導入面19から導波路13の内部に導入される。導入面19は、軸A1と直交する平坦面である。
【0031】
導入面19は、
図4に示すように、軸A1を中心とする円形状である。導入面19の軸A1に直交する径寸法B1は、第二反射面17の軸A1に直交する径寸法B2よりも小さい。導入面19の外周縁19Bは、軸A1と直交する方向において第二反射面17の外周縁17Bよりも内側に位置している。
【0032】
導波路13は、
図3に示すように、接合部22にて超音波集束部12に接合されている。接合部22は、超音波発生源11の外周縁11Bを、超音波発生源11と第一反射面16との対向方向に延長した領域Rよりも内周側の領域に配置されている。領域Rは、超音波発生源11の外周縁11Bを通って軸A1と平行をなす全ての直線によって構成されている。領域Rは、軸A1を中心とした円筒形状をなしている。
【0033】
接合部22は、第一反射面16から下側(第二反射面17側)へ凹んだ凹部23を有している。凹部23は、接合面24と内周面25とを有している。接合面24は、凹部23の底面である。接合面24は、軸A1と直交する平坦面である。
【0034】
接合面24は、
図4に示すように、軸A1を中心とする円形状である。接合面24の軸A1に直交する径寸法B3は、導入面19の径寸法B1及び第二反射面17の径寸法B2よりも大きい。内周面25は、軸A1を中心とした円筒状である。内周面25の軸A1に直交する径寸法B4は、第一領域27の軸A1に直交する径寸法B6よりも小さい。内周面25の径寸法B4は、接合面24の径寸法B3と等しい。内周面25の径寸法B4は、上下方向に一定である。
【0035】
導波路13の下端部は、
図3に示すように、導入部21である。導入部21は、導入面19を含んでいる。導入部21は、凹部23に差し込まれている。導入部21と凹部23とは、接着剤22Aによって固定されている。接着剤22Aは、熱によって軟化したり、融解したりしにくい材料を用いている。接合部22において導入面19と接合面24とは対向する。導入面19と接合面24との間は、超音波を伝搬する媒質26で満たされている。これによって、導入面19と接合面24との間に空隙が形成されることを防止できる。超音波を伝搬する媒質26は、接着剤22Aの一部であってもよい。
【0036】
次に、接合部22の配置について説明する。接合部22は、
図3に示すように、超音波の伝播領域に重ならないように配置されている。具体的には、接合部22は、超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域と、第一反射面16から焦点Fsに集束する超音波の伝播領域と、に重ならない。
【0037】
超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域は、第一領域27よりも外周側の領域である。第一領域27は、超音波発生源11の内周縁11Aを、超音波発生源11と第一反射面16との対向方向に延長した領域である。第一領域27は、超音波発生源11の内周縁11Aを通って軸A1と平行をなす全ての直線によって構成されている。第一領域27は、軸A1を中心とした円筒形状をなしている。
【0038】
接合部22は、第一領域27よりも内周側に配置されている。接合部22の全体は、第一領域27から内側に離間している。
【0039】
第一反射面16から焦点Fsに集束する超音波の伝播領域は、第二領域29よりも外周側の領域である。第二領域29は、第一仮想線28から第一反射面16の焦点Fsへと延びる領域である。第二領域29は、第一仮想線28上の全ての点と焦点Fsとを通る線分によって構成されている。第一仮想線28は、第一領域27と第一反射面16とが交差する線である。第一仮想線28は、超音波発生源11の内周縁11Aを、第一反射面16上に軸A1と平行に投影した線である。第一仮想線28は、軸A1を中心とした円形状をなしている。第二領域29は、軸A1を中心とした直円錐の側面形状をなしている。第二領域29の軸A1に直交する径寸法B5は、下側から上側へ向かって次第に大きくなっている。
【0040】
凹部23は、第二領域29よりも内周側の領域の上部に配置されている。凹部23の全体は、第二領域29から離間している。凹部23の内周面25の径寸法B4は、少なくとも接合面24より上側の第二領域29の径寸法B5よりも小さい。
【0041】
上記のように構成された実施例1によれば、以下の効果を奏する。実施例1の超音波発生装置10は、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。超音波集束部12は、放物面状の第一反射面16と、放物面状の第二反射面17とを有している。第一反射面16は、超音波発生源11と対向して配置されている。第二反射面17は、第一反射面16と対向して配置されている。第一反射面16は、超音波発生源11から発生した超音波を第二反射面17に向かって反射する。第二反射面17は、第一反射面16にて反射された超音波を導波路13に向かって反射して導波路13の内部に導入する。超音波発生源11は、超音波発生源11と第一反射面16との対向方向に直交する径方向における第二反射面17の周囲を囲う。導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部22にて超音波集束部12に接合されている。接合部22は、超音波発生源11の内周縁11Aを、対向方向に延長した第一領域27よりも内周側の領域に配置されている。
【0042】
この構成によれば、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であるから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。したがって、用途に応じて最適な導波路13を用いやすくできる。導波路13と超音波集束部12との接合部22は、第一領域27よりも内周側の領域に配置されているから、超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域に重ならない。したがって、接合部22は、超音波発生源11から発生する超音波の伝播を妨げない。
【0043】
また、導波路13は、導入部21を有している。接合部22は、第一反射面16から第二反射面17側へ凹んだ凹部23を有している。第一領域27と第一反射面16とが交差する線を第一仮想線28とし、第一仮想線28から第一反射面16の焦点Fsへと延びる領域を第二領域29としたとき、凹部23は第二領域29よりも内周側の領域に配置されている。導入部21は、凹部23に差し込まれている。この構成によれば、締結部品等を用いることなく、導波路13と超音波集束部12とを接合できる。したがって、締結部品等を用いる場合と比べて部品点数を少なくできる。凹部23は、第二領域29よりも内周側の領域に配置されているから、第一反射面16から焦点Fsに集束する超音波の伝播領域に重ならない。したがって、凹部23は、第一反射面16から焦点Fsに集束する超音波の伝搬を妨げない。
【0044】
また、超音波集束部12は、導波路13と接合する接合面24を有している。導波路13と接合面24との間は、超音波を伝搬する媒質26で満たされている。この構成によれば、導波路13と接合面24との間に隙間が形成されにくいから、導波路13と接合面24との間の隙間によって超音波が変化することを抑制することができる。
【0045】
また、導波路13と超音波集束部12とは、それぞれ導入面19と接合面24とが対向して接合されている。導入面19及び接合面24は、平坦面である。このような構成によれば、超音波特性を良くできる。
【0046】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2に係る超音波発生装置40を
図5によって説明する。本実施例の超音波発生装置40は、接合部41に筒状部42を設けた点で、実施例1とは相違する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
本実施例に係る超音波発生装置40は、実施例1と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例1と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部41にて超音波集束部12に接合されている。
【0048】
接合部41は、実施例1と同様、第一反射面16から下側へ凹んだ凹部23を有し、導入部21は、凹部23に差し込まれている。筒状部42は、凹部23の上端から上側に突出している。筒状部42は、軸A1を中心とする円筒状である。筒状部42は、導波路13の外周側に嵌っている。筒状部42の軸A1に直交する外径寸法B10は、上下方向に一定である。
【0049】
接合部41は、実施例1と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。筒状部42の外径寸法B10は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。接合部41の全体は、第一領域27から内側に離間している。
【0050】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部41にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。また、実施例1と同様、導波路13と超音波集束部12との接合部41は、超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域に重ならない。したがって、接合部41が超音波発生源11から発生する超音波の伝播を妨げることを防止できる。
【0051】
加えて、凹部23は、凹部23の上端縁から上側に突出した筒状部42を有し、筒状部42は、導波路13の外周側に嵌まっている。この構成によれば、筒状部42を導波路13の外周側に嵌めることによって、凹部23と導入部21との結合が保持される。したがって、他の部品を用いることなく、導波路13と超音波集束部12との結合強度を向上できる。
【0052】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3に係る超音波発生装置50を
図6によって説明する。本実施例の超音波発生装置50は、接合部51に螺合構造52を設けた点で、実施例1とは相違する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
本実施例に係る超音波発生装置50は、実施例1と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例1と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部51にて超音波集束部12に接合されている。
【0054】
接合部51は、実施例1と同様、第一反射面16から下側へ凹んだ凹部23を有し、導入部21は、凹部23に差し込まれている。導入部21の外周面及び凹部23の内周面25は、螺旋状の溝を有している。導入部21は雄ネジ、凹部23は雌ネジである。導入部21は、螺合構造52によって凹部23に固定されている。導入部21と凹部23との間には、超音波を伝搬する媒質53が充填されている。超音波を伝搬する媒質53は、液状、ゲル状、固体状等、各種材料を用いることができる。接合部51は、実施例1と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。
【0055】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部51にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。また、実施例1と同様、導波路13と超音波集束部12との接合部51は、超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域に重ならない。したがって、接合部51が超音波発生源11から発生する超音波の伝播を妨げることを防止できる。
【0056】
加えて、導入部21の外周面及び凹部23の内周面25は、螺旋状の溝を有し、導入部21は、締め付けによって凹部23に固定されている。この構成によれば、抵抗溶接や接着剤などを用いることなく、導波路13と超音波集束部12とを接合できる。
【0057】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4に係る超音波発生装置60を
図7によって説明する。本実施例の超音波発生装置60は、接合部61に突出部62を設けた点で、実施例1とは相違する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
本実施例に係る超音波発生装置60は、実施例1と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例1と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部61にて超音波集束部12に接合されている。
【0059】
接合部61は、第一反射面16から上側(第二反射面17とは反対側)へ突出する突出部62を有している。突出部62は、接合面63と外周面64とを有している。接合面63は、突出部62の突出端面である。接合面63は、軸A1と直交する平坦面である。接合面63は、軸A1を中心とする円形状である。接合面63の軸A1に直交する径寸法B20は、導入面19の径寸法B1及び第二反射面17の径寸法B2よりも大きい。外周面64は、軸A1を中心とした円筒状である。外周面64の軸A1に直交する径寸法は、接合面63の径寸法B20と等しく、上下方向に一定である。突出部62の径寸法、すなわち外周面64の径寸法は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。
【0060】
導入部21は、突出部62の突出端に接合されている。導入部21と突出部62とは、図示しない接着剤によって固定されている。接合部61において導入面19と接合面63とは対向している。導入面19と接合面63との間には、超音波を伝搬する媒質(図示せず)が配置されている。これによって、導入面19と接合面63との間に空隙が形成されることを防止できる。接合部61は、実施例1と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。
【0061】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部61にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。また、実施例1と同様、導波路13と超音波集束部12との接合部61は、超音波発生源11から発生して第一反射面16へ向かう超音波の伝播領域に重ならない。したがって、接合部61が超音波発生源11から発生する超音波の伝播を妨げることを防止できる。
【0062】
加えて、超音波集束部12は、第一反射面16から上側(第二反射面17とは反対側)へ突出する突出部62を有し、導波路13は、突出部62の突出端に接合されている。この構成によれば、超音波集束部12において導波路13と接合する接合面63を平らに成形しやすいから、超音波特性を良くできる。
【0063】
<実施例5>
次に、本発明を具体化した実施例5に係る超音波発生装置70を
図8によって説明する。本実施例の超音波発生装置70は、導入部21に筒状部72を設けた点で、実施例4とは相違する。なお、実施例4と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0064】
本実施例に係る超音波発生装置70は、実施例4と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例4と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部71にて超音波集束部12に接合されている。
【0065】
接合部71は、実施例4と同様、第一反射面16から上側へ突出する突出部62を有し、導入部21は、突出部62の突出端に接合されている。突出部62は、実施例4と同様、接合面63と外周面64とを有している。接合面63の軸A1に直交する径寸法B30-2は、導入面19の径寸法B1及び第二反射面17の径寸法B2よりも大きい。外周面64の軸A1に直交する径寸法は、接合面63の径寸法B30-2と等しく、上下方向に一定である。突出部62の径寸法、すなわち外周面64の径寸法は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。
【0066】
筒状部72は、導入面19の外周縁19Bから下側(第一反射面16側)に突出している。筒状部72は、導波路13自身に一体に設けられている。筒状部72は、軸A1を中心とする円筒状である。筒状部72の軸A1に直交する外径寸法B30-1は、上下方向に一定である。筒状部72は、突出部62の外周側に嵌っている。筒状部72の外径寸法B30-1は、接合面63の径寸法B30-2よりも大きい。接合部71は、実施例4と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。筒状部72の外径寸法B30-1は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。
【0067】
以上のように本実施例においては、実施例4と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部71にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。また、実施例4と同様、超音波集束部12は、第一反射面16から第二反射面17とは反対側へ突出する突出部62を有し、導波路13は、突出部62の突出端に接合されている。この構成によれば、導波路13と接合する接合面63を平らに成形しやすいから、超音波特性を良くできる。
【0068】
加えて、導入部21は、第一反射面16側に突出した筒状部72を有し、筒状部72は、突出部62の外周側に嵌まっている。この構成によれば、筒状部72を突出部62の外周側に嵌めることによって、突出部62と導入部21との結合が保持される。したがって、他の部品を用いることなく、導波路13と超音波集束部12との結合強度を向上できる。
【0069】
<実施例6>
次に、本発明を具体化した実施例6に係る超音波発生装置80を
図9によって説明する。本実施例の超音波発生装置80は、突出部62に筒状部82を設けた点で、実施例4とは相違する。なお、実施例4と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
本実施例に係る超音波発生装置80は、実施例4と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例4と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部81にて超音波集束部12に接合されている。
【0071】
接合部81は、実施例4と同様、第一反射面16から上側へ突出する突出部62を有し、導入部21は、突出部62の突出端に接合されている。筒状部82は、突出部62の外周縁から上側に突出している。筒状部82は、突出部62自身に一体に設けられている。筒状部82は、軸A1を中心とする円筒状である。筒状部82の軸A1に直交する外径寸法B40は、上下方向に一定である。筒状部82は、導入部21の外周側に嵌っている。接合部81は、実施例4と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。筒状部82の外径寸法B40は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。
【0072】
以上のように本実施例においては、実施例4と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部81にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。
【0073】
加えて、突出部62は、上側に突出した筒状部82を有し、筒状部82は、導入部21の外周側に嵌まっている。この構成によれば、筒状部82を導入部21の外周側に嵌めることによって、突出部62と導入部21との結合が保持される。したがって、他の部品を用いることなく、導波路13と超音波集束部12との結合強度を向上できる。
【0074】
<実施例7>
次に、本発明を具体化した実施例7に係る超音波発生装置90を
図10によって説明する。本実施例の超音波発生装置90は、接合部91に保持部材92を設けた点で、実施例4とは相違する。なお、実施例4と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0075】
本実施例に係る超音波発生装置90は、実施例4と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。導波路13は、実施例4と同様に、超音波集束部12と別の部材であって、接合部91にて超音波集束部12に接合されている。
【0076】
接合部91は、実施例4と同様、第一反射面16から上側へ突出する突出部62を有し、導入部21は、突出部62の突出端に接合されている。
【0077】
保持部材92は、超音波集束部12及び導波路13とは別体の部材である。保持部材92は、突出部62及び導入部21の外周側に嵌っている。保持部材92は、円筒状である。保持部材92は、導入部21の外周側及び突出部62の外周側に嵌っている。保持部材92が導入部21及び突出部62に嵌った状態において、導入面19及び接合面63は、保持部材92の軸方向の中間に配置される。保持部材92は、導入面19と接合面63とを突き合せた状態において、導入部21の外周面から突出部62の外周面64まで延びている。保持部材92は、第一反射面16から上方に離間している。接合部91は、実施例4と同様、第一領域27の内周側の領域に配置されている。接合部91に固定された状態において保持部材92の軸A1に直交する外径寸法B50は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。
【0078】
以上のように本実施例においては、実施例4と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部91にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。また、実施例4と同様、超音波集束部12は、第一反射面16から第二反射面17とは反対側へ突出する突出部62を有し、導波路13は、突出部62の突出端に接合されている。この構成によれば、導波路13と接合する接合面63を平らに成形しやすいから、超音波特性を良くできる。
【0079】
加えて、超音波発生装置90は、導波路13と突出部62の突出端とを突き合せた状態において、導入部21の外周面から突出部62の外周面64まで延びる筒状の保持部材92を備えている。この構成によれば、保持部材92によって、突出部62と導入部21との結合が保持される。したがって、導波路13と超音波集束部12との結合強度を向上できる。
【0080】
<実施例8>
次に、本発明を具体化した実施例8に係る超音波発生装置100を
図11によって説明する。本実施例の超音波発生装置100は、主に、導波路13を固定する固定部材101を設けた点で、実施例1とは相違する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0081】
本実施例に係る超音波発生装置100は、実施例1と同様に、超音波を発生する超音波発生源11と、超音波発生源11から発生した超音波を集束する超音波集束部12と、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する導波路13と、を備えている。
【0082】
超音波発生源11は、円形の板状をなしている。超音波発生源11は、超音波集束部12に形成された貫通孔104の下方を塞いでいる。貫通孔104は、導波路13の内部空間と連通している。第二反射面17は、貫通孔104を形成する内周面に連なっている。第二反射面17は、接着面18よりも上側に形成されている。第二反射面17の内周縁は、第二反射面17の外周縁よりも上方に位置している。第二反射面17は、下方に向けて拡開する曲面形状をなしている。
【0083】
超音波集束部12は、鍔部12Tを有している。鍔部12Tは、超音波集束部12の下端から外周側に張り出している。超音波発生源11及び超音波集束部12は、ベース部103に連結されている。
【0084】
導波路13は、実施例1と同様、超音波集束部12と別の部材であって、接合部105にて超音波集束部12に接合されている。接合部105は、実施例1と同様、超音波発生源11の外周縁11Bを、超音波発生源11と第一反射面16との対向方向に延長した領域Rよりも内周側の領域に配置されている。
【0085】
導波路13は、上下方向に延びた筒状をなしている。導波路13はフランジ部106を有している。フランジ部106は、導波路13の下端部に設けられ、導波路13の全周から張り出した円環状をなしている。フランジ部106は、第一反射面16の上面に沿って配置されている。
【0086】
固定部材101は、超音波発生源11、超音波集束部12及び導波路13とは別体の部材である。固定部材101は、押さえ部材108、リング部材107、スペーサ部材109及び締結部材102を有している。押さえ部材108は、円形の板状である。押さえ部材108には、導波路13を上下方向に貫通させる開口部108Hが形成されている。
【0087】
リング部材107は、弾性を有する部材によって形成されている。リング部材107は、例えばニトリルゴム(NBR)によって形成してもよい。リング部材107は、押さえ部材108の下面に装着されている。リング部材107は、開口部108Hを囲っている。リング部材107は、押さえ部材108とフランジ部106との間に挟まれている。リング部材107は、押さえ部材108及びフランジ部106に密着している。
【0088】
スペーサ部材109は、4つ設けられている。4つのスペーサ部材109は、押さえ部材108の外周縁部に周方向に等間隔で配置されている。各スペーサ部材109は、鍔部12Tと押さえ部材108との間に配置されている。各スペーサ部材109は、上下方向に延びた筒状をなしている。各スペーサ部材109の下端は鍔部12Tの上面に載置されている。各スペーサ部材109の上端は、押さえ部材108によって押さえられている。
【0089】
締結部材102は、例えばボルトである。締結部材102は、押さえ部材108の外周縁部及び各スペーサ部材109の内部空間に形成された挿通孔108Sを通って、ベース部103に締結されている。これによって、導波路13のフランジ部106は、第一反射面16側に押さえられている。
【0090】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、導波路13は、超音波集束部12と別の部材であって、接合部105にて超音波集束部12に接合されているから、超音波発生源11及び超音波集束部12を共通化しつつ、用途に応じて導波路13を変えることができる。
【0091】
加えて、超音波発生装置100は、導波路13を固定する固定部材101を備えている。この構成によれば、固定部材101によって、導波路13と超音波集束部12との結合を保持できる。したがって、導波路13と超音波集束部12との結合強度を向上できる。
【0092】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、第一反射面16に凹部23もしくは突出部62を設けている。これに限らず、
図12に示すように、導波路13を第一反射面16に接合してもよい。導波路13は、第一反射面16の中央部に接合されている。第一反射面16の中央部は、放物面の一部であってもよい。導波路13の導入面19は、第一反射面16に直接接合されてもよい。この構成によれば、超音波集束部12に凹部や突出部などを成形することなく、導波路13と超音波集束部12とを接合できる。
(2)上記実施例において導波路13の下端の角部は直角である。これに限らず、
図13に示すように、導波路13の下端の角部に、面取り部(テーパ、湾曲面、フィレット等)99を形成しても良い。面取り部99は、平面波の伝搬を乱さないように、導波路13の軸A1に直交する径寸法B7の1割以下程度にすることが望ましい。
(3)上記実施例において導波路13の下端の角部は直角である。これに限らず、
図14に示すように、導波路13の下端部を導入面19に向かって外周側に張り出した形状にしてもよい。これによって、導入面19の軸A1に直交する径寸法B8を導波路13の他の部分の軸A1に直交する径寸法B9よりも大きくできる。
(4)上記実施例において導入面19及び接合面24は平坦面である。これに限らず、
図15に示すように、導入面19及び接合面24を曲面で形成してもよい。この場合、導入面19及び接合面24の湾曲形状は同一である方が望ましい。また、導入面19及び接合面24の曲率は小さく、曲がり具合は緩やかであるほど望ましい。
(5)上記実施例7において接合部91は保持部材92を備えている。これに加えて、
図16に示すように、保持部材92に螺合構造95を設けても良い。螺旋状の溝は、導入部21の外周面、突出部62の外周面64及び保持部材92の内周面96に形成されている。導入部21及び突出部62の溝は、連続している。螺旋状の溝は、導入部21及び突出部62のいずれか一方のみに形成してもよい。また、保持部材92の軸A1に直交する外径寸法B60は、第一領域27の径寸法B6より大きくても良い。
(6)上記実施例1~7において第二反射面17は接着面18よりも下側に突出し、超音波発生源11は第二反射面17の周囲を囲う形状をなしている。これに限らず、第二反射面17は、
図17に示すように、接着面18から上側に凹んでいてもよい。この場合、第二反射面17の中心部は、第二反射面17の外周縁17Bよりも上方に位置している。この場合であっても、超音波発生源11から発生した超音波は、
図17の点線矢印にて示すように、第一反射面16及び第二反射面17で反射し、平面波として導波路13の内部に導入される。
(7)上記実施例において第一反射面16及び第二反射面17は放物面である。これに限らず、第一反射面及び第二反射面の両方もしくは一方は、厳密な放物面でなくともよく、近似的に放物面とみなせる形状であればよい。言い換えると、第一反射面及び第二反射面の両方もしくは一方は、超音波発生源から発生した超音波が第一反射面および第二反射面を経由して導波路へと到達するように湾曲した面であればよい。第一反射面及び第二反射面は、多数の微小な平面で構成されていてもよい。
(8)上記実施例において超音波発生源11は圧電セラミック材料からなる圧電素子である。これに限らず、超音波発生源は、他の圧電材料を用いることができる。超音波発生源は、例えば圧電セラミック材料の積層体などであってもよい。
(9)上記実施例において導入面19を第二反射面17に平行投影すると、導入面19の全体は第二反射面17内に収まっている。これに限らず、導入面の一部は第二反射面の外側にはみ出してもよい。
(10)上記実施例において凹部23の内周面25の径寸法B4及び突出部62の外周面64の径寸法B20は、上下方向に一定である。これに限らず、凹部の内周面及び突出部の外周面の径寸法は、上下方向に増減してもよい。
(11)上記実施例において接合面24及び導入面19は円形状である。これに限らず、接合面及び導入面は、略楕円形や略方形等であってもよい。
(12)上記実施例において導波路13と超音波集束部12とは圧入など、加圧によって固定されてもよい。
(13)上記実施例では、導波路13および超音波集束部12はそれぞれ中実であるが、導波路及び超音波集束部は中実に限られず、例えば、内部に貫通孔や閉鎖空間が形成されていてもよい。
(14)上記実施例5において筒状部72の外径寸法B30-1は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。これに限らず、筒状部の外径寸法の上限に関して特に制約はなく、第一領域の径寸法より大きくても良い。
(15)上記実施例7において保持部材92の外径寸法B50は、第一領域27の径寸法B6よりも小さい。これに限らず、保持部材の外径寸法の上限に関して特に制約はなく、第一領域の径寸法より大きくても良い。
(16)上記実施例8においてスペーサ部材は4つ設けられている。これに限らず、スペーサ部材の数は適宜変更してよい。またスペーサ部材は、1つの円環状をなす部材あってもよい。
【符号の説明】
【0093】
Fs…焦点
R…領域
10,40,50,60,70,80,90,100…超音波発生装置
11…超音波発生源
11A…超音波発生源の内周縁
11B…超音波発生源の外周縁
12…超音波集束部
13…導波路
16…第一反射面
17…第二反射面
21…導入部
22,41,51,61,71,81,91…接合部
23…凹部
24…接合面
25…凹部の内周面
26…超音波を伝搬する媒質
27…第一領域
28…第一仮想線
29…第二領域
62…突出部
72…筒状部
92…保持部材
101…固定部材