(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064939
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】超音波発生装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04R1/34 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029224
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022172906
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】横山 広大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼
(72)【発明者】
【氏名】笠島 崇
(72)【発明者】
【氏名】森田 剛
(72)【発明者】
【氏名】土田 大聖
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019FF03
5D019GG00
(57)【要約】
【課題】導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑える。
【解決手段】超音波発生装置10は、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。導波路13は、第1軸部21と、第2軸部22と、張出部30と、を有している。第1軸部21は、超音波集束部12から所定方向の一方側に延びている。第2軸部22は、第1軸部21よりも上記所定方向の一方側に設けられ上記所定方向に延びている。張出部30は、上記所定方向において第1軸部21と第2軸部22との間に設けられている。張出部30は、上記所定方向に対して直交する平面方向において第1軸部及び前記第2軸部の外周面よりも外側に張り出している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記第2反射面で反射した前記超音波が平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記導波路は、前記超音波集束部から所定方向の一方側に延びる第1軸部と、前記第1軸部よりも前記所定方向の前記一方側に設けられ前記所定方向に延びる第2軸部と、前記所定方向において前記第1軸部と前記第2軸部との間に設けられる張出部と、を有し、
前記張出部は、前記所定方向に対して直交する平面方向において前記第1軸部及び前記第2軸部の外周面よりも外側に張り出している
超音波発生装置。
【請求項2】
前記導波路は、前記第1軸部の外周面及び前記第2軸部の外周面のうち少なくとも一部を、隙間を介して覆う被覆部を有し、
前記被覆部は、前記張出部に保持される
請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記導波路は、前記張出部の外周面の少なくとも一部を覆う筒状の被覆部を有し、
前記被覆部は、前記張出部の外周面との間において周方向の一部が接触した状態で前記張出部の外周面に保持される
請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記張出部は、前記第1軸部及び前記第2軸部を構成する導波路本体とは別部材である取付部が、前記導波路本体の外周面に保持されてなる
請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
前記取付部は、前記導波路本体の外周面の一部を、隙間を介して覆う延出部を有する
請求項4に記載の超音波発生装置。
【請求項6】
前記取付部は、前記導波路本体の外周面の周方向における一部と接触している
請求項4に記載の超音波発生装置。
【請求項7】
前記第1軸部、前記第2軸部、及び前記張出部は、同一部材によって形成される
請求項1又は請求項2に記載の超音波発生装置。
【請求項8】
超音波を発生する超音波発生源と、
前記超音波発生源から発生した前記超音波を集束する超音波集束部と、
前記超音波集束部によって集束された前記超音波を伝送する導波路と、を備え、
前記超音波集束部は、
前記超音波発生源で発生した前記超音波を反射させる第1反射面と、
前記第1反射面で反射された前記超音波を反射させる第2反射面と、を有し、
前記第2反射面で反射した前記超音波が平面波として反射されて前記導波路に導入されるように前記第1反射面と前記第2反射面とが配置されてなる超音波発生装置であって、
前記導波路は、前記超音波集束部から所定方向の一方側に延びる軸部を有し、
前記超音波発生装置は、更に、前記軸部の外周を覆うカバーを備える
超音波発生装置。
【請求項9】
前記カバーは、前記軸部の周囲に隙間を介して配置される
請求項8に記載の超音波発生装置。
【請求項10】
前記カバーは、前記軸部の外周を覆う第1カバーと、前記第1カバーの外周を覆う第2カバーと、を備え、
前記第1カバーの音響インピーダンスは、前記軸部の音響インピーダンスと前記第2カバーの音響インピーダンスとのいずれよりも大きい値であるか、あるいはいずれよりも小さい値である
請求項8に記載の超音波発生装置。
【請求項11】
前記カバーは前記軸部に接触しており、
前記軸部の波動伝搬速度は、前記カバーの波動伝搬速度よりも遅い
請求項8に記載の超音波発生装置。
【請求項12】
前記カバーの波動伝搬速度は、前記軸部の波動伝搬速度の1.3倍~1.7倍の範囲である
請求項11に記載の超音波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、超音波照射器が開示されている。この超音波照射器は、超音波振動子と、超音波振動子からの超音波を伝搬する音響伝播体と、を含んでいる。音響伝播体は、本体と、本体の前面から前方へ延びる軸体と、を備えている。本体の前面は、超音波振動子からの超音波を反射する凹型の一次反射面として機能する。本体は、一次反射面からの超音波を反射する凹型の二次反射面を有する。二次反射面で反射された超音波は、軸体に伝播される。これにより、減衰を抑制しつつ集束された超音波が、軸体によって構成される導波路に伝播される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、導波路の外周面が外部の物体と接触した場合に、導波路を伝搬する超音波が外部の物体へと漏れることが懸念される。
【0005】
本発明は、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]第1の発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、上記超音波発生源から発生した上記超音波を集束する超音波集束部と、上記超音波集束部によって集束された上記超音波を伝送する導波路と、を備えている。上記超音波集束部は、第1反射面と、第2反射面と、を有している。第1反射面は、超音波発生源で発生した上記超音波を反射させる。第2反射面は、第1反射面で反射された上記超音波を反射させる。第1反射面及び第2反射面は、第2反射面で反射された上記超音波が平面波として反射されて導波路に導入されるように配置されている。上記導波路は、第1軸部と、第2軸部と、張出部と、を有している。第1軸部は、上記超音波集束部から所定方向の一方側に延びている。第2軸部は、上記第1軸部よりも上記所定方向の上記一方側に設けられ上記所定方向に延びている。張出部は、上記所定方向において上記第1軸部と上記第2軸部との間に設けられている。上記張出部は、上記所定方向に対して直交する平面方向において上記第1軸部及び上記第2軸部の外周面よりも外側に張り出している。
【0007】
この構成によれば、超音波発生源から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路に導入させることができる。しかも、導波路は張出部を有しているため、外部の物体が張出部に接触することで、第1軸部及び第2軸部には接触しにくくなる。つまり、導波路が外部の物体に接触する領域が一部に限定される。従って、この構成によれば、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0008】
[2]上記[1]に記載の超音波発生装置において、上記導波路は、上記第1軸部の外周面及び上記第2軸部の外周面のうち少なくとも一部を、隙間を介して覆う被覆部を有しており、上記被覆部は、上記張出部に保持されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、被覆部に外部の物体が接触した場合であっても、第1軸部及び第2軸部のうち少なくとも一方と外部の物体との間には隙間が生じやすい。このため、被覆部に外部の物体が接触したとしても、第1軸部及び第2軸部を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]に記載の超音波発生装置において、上記導波路は、上記張出部の外周面の少なくとも一部を覆う筒状の被覆部を有し、上記被覆部は、上記張出部の外周面との間において周方向の一部が接触した状態で上記張出部の外周面に保持されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、張出部から被覆部への超音波の漏れを抑えることができる。このため、被覆部に外部の物体が接触したとしても、導波路を伝搬する超音波が被覆部を介して外部の物体へ漏れることを抑えることができる。
【0012】
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の超音波発生装置において、上記張出部は、上記第1軸部及び上記第2軸部を構成する導波路本体とは別部材である取付部が、上記導波路本体の外周面に保持される構成であってもよい。
【0013】
この構成によれば、張出部と導波路本体とで材質を異ならせることができる。
【0014】
[5]上記[4]に記載の超音波発生装置において、上記取付部は、上記導波路本体の外周面の一部を、隙間を介して覆う延出部を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、延出部に外部の物体が接触した場合に、外部の物体と導波路本体の外周面との間には隙間が生じる。このため、延出部に外部の物体が接触したとしても、導波路本体を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0016】
[6]上記[4]又は[5]に記載の超音波発生装置において、上記取付部は、上記導波路本体の外周面の周方向における一部と接触していてもよい。
【0017】
この構成によれば、導波路本体から取付部への超音波の漏れを抑えることができる。このため、取付部を有する張出部に外部の物体が接触したとしても、導波路本体を伝搬する超音波が張出部を介して外部の物体へ漏れることを抑えることができる。
【0018】
[7]上記[1]から[3]のいずれかに記載の超音波発生装置において、上記第1軸部、上記第2軸部、及び上記張出部は、同一部材によって形成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、導波路を構成する部品点数の増加を抑制し得る。
【0020】
[8]第2の発明の超音波発生装置は、超音波を発生する超音波発生源と、上記超音波発生源から発生した上記超音波を集束する超音波集束部と、上記超音波集束部によって集束された上記超音波を伝送する導波路と、を備えている。上記超音波集束部は、第1反射面と、第2反射面と、を有している。第1反射面は、超音波発生源で発生した上記超音波を反射させる。第2反射面は、第1反射面で反射された上記超音波を反射させる。第1反射面及び第2反射面は、第2反射面で反射された上記超音波が平面波として反射されて導波路に導入されるように配置されている。上記導波路は、上記超音波集束部から所定方向の一方側に延びる軸部を有している。上記超音波発生装置は、更に、上記軸部の外周を覆うカバーを備えている。
【0021】
この構成によれば、超音波発生源から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路に導入させることができる。しかも、上記超音波発生装置は、軸部の外周を覆うカバーを備えている。このため、軸部が直接外部の物体と接触することを防ぐことができ、軸部から超音波が漏出することを抑制する。従って、この構成によれば、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0022】
[9]上記[8]に記載の超音波発生装置において、前記カバーは、前記軸部の周囲に隙間を介して配置される。この構成によれば、外部の物体がカバーに接触しても、軸部を伝搬する超音波は外部の物体に漏れにくい。従って、この構成によれば、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
[10]上記[8]又は[9]に記載の超音波発生装置において、前記カバーは、上記軸部の外周を覆う第1カバーと、上記第1カバーの外周を覆う第2カバーと、を備えている。上記第1カバーの音響インピーダンスは、上記軸部の音響インピーダンスと上記第2カバーの音響インピーダンスとのいずれよりも大きい値であるか、あるいはいずれよりも小さい値である。
【0023】
この構成によれば、超音波発生源から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路に導入させることができる。しかも、導波路の軸部と第2カバーとの間に第1カバーが配置されることで、軸部と第2カバーとの間で超音波が伝播しにくくなっている。このため、第2カバーに外部の物体が接触しても、軸部を伝搬する超音波が第2カバーを介して外部の物体に漏れることを抑えることができる。従って、この構成によれば、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0024】
[11]上記[8]に記載の超音波発生装置において、前記カバーは前記軸部に接触しており、前記軸部の波動伝搬速度は、前記カバーの波動伝搬速度よりも遅いものである。
【0025】
この構成によれば、超音波の伝搬を軸部に集中させることができるから、導波路側面からのエネルギー漏洩を抑制できる。したがって、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0026】
[12]上記[11]に記載の超音波発生装置において、前記カバーの波動伝搬速度は、前記軸部の波動伝搬速度の1.3倍~1.7倍の範囲であるとよい。
【0027】
この構成によれば、超音波の伝搬を軸部により集中させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、導波路を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、第1実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態における導波路の正面図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図11】
図11は、第6実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【
図13】
図13は、第1の他の実施形態における導波路の側断面図である。
【
図15】
図15は、第3の他の実施形態における導波路の側断面図である。
【
図20】
図20は、第7実施形態における超音波発生装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.第1実施形態
1-1.超音波発生装置10の構成
超音波発生装置10は、
図1に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路13と、を備えている。超音波発生源11は、超音波を発生する。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生した超音波を集束する。導波路13は、超音波集束部12によって集束された超音波を伝送する。超音波発生装置10は、後端側から超音波発生源11、超音波集束部12、導波路13の順に配置されて構成されている。
【0031】
超音波発生源11は、例えば、圧電セラミックスからなる圧電素子である。超音波発生源11は、前後方向に厚さを有する板状をなしている。超音波発生源11は、環状、具体的には円環状をなしている。
【0032】
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると超音波を発生する。超音波発生源11は、超音波を発生する放射面15を有している。放射面15は、超音波発生源11の前面に形成されており、前方を向いた状態で配置される。放射面15は、平坦な面であり、超音波発生装置10の前後方向に対して直交する方向に広がっている。超音波発生源11から発生した超音波は、前方に向けて直進する平面波である。超音波発生源11は、例えば、30kHz以上で且つ3MHz以下の周波数で超音波を発生させる。
【0033】
超音波集束部12は、金属(例えばジェラルミン)によって形成されている。超音波集束部12は、前後方向から見た形状が円形である。超音波集束部12は、超音波発生源11から発生された超音波が入射する平坦面12Aを有している。平坦面12Aは、超音波集束部12の後面に形成され、後方を向いた状態で配置されている。平坦面12Aは、環状、より具体的には円環状をなしている。平坦面12Aは、超音波発生源11の放射面15に接合されている。
【0034】
超音波集束部12は、第1反射面16及び第2反射面17を有している。第1反射面16は、超音波発生源11の放射面15と対向して配置されている。第1反射面16と超音波発生源11の放射面15との対向方向は、前後方向と平行である。第1反射面16は、超音波集束部12の外部から見ると、前方側(超音波発生源11とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第1反射面16は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第1反射面16は、環状をなしている。第1反射面16の内周縁は、第1反射面16の外周縁よりも前方に位置している。第1反射面16は、超音波発生源11の中心を通り前後方向に延びる軸線を回転軸として構成される回転湾曲面、具体的には回転放物面である。
【0035】
第2反射面17は、第1反射面16と対向して配置されている。第2反射面17は、超音波集束部12の外部から見ると、後方側(第1反射面16とは反対側)に凸な湾曲面(例えば放物面)である。第2反射面17は、超音波集束部12の内部から見ると凹型である。第2反射面17は、後方に突出している。第2反射面17は、平坦面12Aよりも後方に突出している。第2反射面17の前端の前後方向の位置は、平坦面12Aの前後方向の位置と同じである。第2反射面17は、環状をなす超音波発生源11の内側空間に配置されている。
【0036】
第1反射面16は、超音波発生源11で発生した超音波を、第2反射面17に向けて反射させる。第2反射面17は、第1反射面16で反射された超音波を、導波路13の後端部に向けて反射させる。第1反射面16及び第2反射面17は、第2反射面17で反射された超音波が平面波として反射されて導波路13に導入されるように配置されている。
【0037】
導波路13は、超音波集束部12の前端から前方に向かって延びる形状をなしている。つまり、導波路13は、超音波発生源11から超音波が放射される方向に延びている。導波路13は、本実施形態では超音波集束部12と別部材として説明するが、超音波集束部12と同一部材であってもよい。
【0038】
導波路13は、第1軸部21と、第2軸部22と、張出部30と、を有している。
【0039】
第1軸部21は、超音波集束部12から所定方向の一方側に延びている。「所定方向」は、本実施形態では「前後方向」であり、「所定方向の一方側」は、本実施形態では「前方側」である。つまり、第1軸部21は、超音波集束部12から前方に延びている。第1軸部21は、柱状、より具体的には、円柱状をなしている。第1軸部21は、前後方向と直交する方向に切断した断面(以下、単に「断面」ともいう)の形状及び面積が前後方向に沿って一定である。第1軸部21の断面の形状は、円形である。
【0040】
第2軸部22は、第1軸部21よりも前方側に設けられ、前方に延びている。第2軸部22は、柱状、より具体的には、円柱状をなしている。第2軸部22は、前後方向と直交する方向に切断した断面(以下、単に「断面」ともいう)の形状及び面積が前後方向に沿って一定である。第2軸部22の断面の形状は、第1軸部21の断面の形状と同じであり、円形である。第2軸部22の断面の面積は、第1軸部21の断面の面積と同じである。
【0041】
第1軸部21及び第2軸部22は、導波路本体20を構成している。導波路本体20は、超音波集束部12から前方に延びる形状をなしている。導波路本体20は、柱状、より具体的には、円柱状をなしている。導波路本体20は、前後方向と直交する方向に切断した断面(以下、単に「断面」ともいう)の形状及び面積が前後方向に沿って一定である。導波路本体20の断面の形状は、円形である。導波路本体20は、超音波伝搬性の高い材料によって形成されることが好ましく、例えば、アルミ合金、金属ガラスなどで形成されることが好ましい。また、導波路本体20は、例えばチタンとニッケルの合金からなる形状記憶合金で形成される構成であってもよい。導波路本体20は、弾性変形し得る。
【0042】
前後方向において第1軸部21及び第2軸部22との間には、第3軸部23が設けられている。第3軸部23は、第1軸部21及び第2軸部22とともに、導波路本体20を構成している。第3軸部23は、柱状、より具体的には、円柱状をなしている。第3軸部23は、前後方向と直交する方向に切断した断面(以下、単に「断面」ともいう)の形状及び面積が前後方向に沿って一定である。第3軸部23の断面の形状は、第1軸部21及び第2軸部22の断面の形状と同じであり、円形である。第3軸部23の断面の面積は、第1軸部21及び第2軸部22の断面の面積と同じである。
【0043】
張出部30は、
図1及び
図2に示すように、導波路本体20とは別部材によって構成されており、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周を全周にわたって覆っている。張出部30は、前後方向において第1軸部21と第2軸部22との間に設けられている。張出部30は、環状、より具体的には、円環状をなしている。張出部30は、前後方向に対して直交する平面方向において第1軸部21の外周面及び第2軸部22の外周面のいずれよりも外側に張り出している。張出部30は、導波路13において第1軸部21及び第2軸部22よりも外径が大きい太径部を構成している。張出部30は、前後方向と直交する方向から見た形状が、矩形状である。張出部30は、導波路本体20と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。張出部30は、例えばプラスチックなどの樹脂によって形成される。
【0044】
張出部30は、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面に保持される取付部31を有している。取付部31は、例えば、接着剤によって導波路本体20に固定される。取付部31は、導波路本体20の外周面に対し全周にわたって接触している。
【0045】
1-2.超音波発生装置10の作用及び効果の例
超音波発生源11は、図示しない信号送受信回路から電気信号を与えられると、放射面15から前方に向けて超音波を発生する。放射面15から放射された超音波は、第1反射面16で反射され、第1反射面16の焦点に向かって集束する。第1反射面16の焦点は、第2反射面17の焦点と同じとなっている。このため、第1反射面16の焦点を通過した超音波は、第2反射面17で反射され、平面波として導波路13の内部に導入される。導波路13の内部に導入された超音波は、導波路13(より具体的には、導波路本体20)の内部を伝送され、導波路13の前端から放射される。
【0046】
この構成によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路13に導入させることができる。しかも、導波路13は張出部30を有しているため、外部の物体が張出部30に接触することで、第1軸部21及び第2軸部22には接触しにくくなる。つまり、導波路13が外部の物体に接触する領域が一部に限定される。従って、この構成によれば、導波路13を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0047】
更に、張出部30は、第1軸部21及び第2軸部22を構成する導波路本体20とは別部材である取付部31が、導波路本体20の外周面に保持されてなる。この構成によれば、張出部30と導波路本体20とで材質を異ならせることができる。
【0048】
2.第2実施形態
第2実施形態では、張出部の外周面に被覆部が設けられる構成について説明する。
なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の超音波発生装置210は、
図3に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路213と、を備えている。
【0050】
導波路213は、第1軸部21と、第2軸部22と、第3軸部23と、を有している。第1軸部21、第2軸部22、及び第3軸部23は、導波路本体20を構成している。
【0051】
導波路213は、
図3及び
図4に示すように、張出部30と、被覆部40と、を有している。被覆部40は、環状、より具体的には円環状をなしている。被覆部40は、張出部30とは別部材であり、張出部30の外周を全周にわたって覆っている。被覆部40は、張出部30に保持されている。被覆部40は、接着剤によって張出部30に固定されている。被覆部40の厚さは、張出部30の厚さよりも薄い。被覆部40の前後方向の長さは、張出部30の前後方向の長さよりも長い。
【0052】
被覆部40は、張出部30の後端よりも後方側に配置される後側被覆部41を有している。後側被覆部41は、環状、より具体的には円環状をなしている。後側被覆部41の内周面と、第1軸部21の外周面との間には、
図5に示すように、全周にわたって隙間が形成されている。被覆部40は、張出部30の前端よりも前方側に配置される前側被覆部42を有している。前側被覆部42は、環状、より具体的には円環状をなしている。前側被覆部42の内周面と、第2軸部22の外周面との間には、
図5に示す隙間と同様に、全周にわたって隙間が形成されている。
【0053】
この構成によれば、後側被覆部41の外周面に外部の物体が接触した場合であっても、第1軸部21と外部の物体との間には隙間が生じる。このため、第1軸部21を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。また、この構成によれば、前側被覆部42の外周面に外部の物体が接触した場合であっても、第2軸部22と外部の物体との間には隙間が生じる。このため、第2軸部22を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0054】
3.第3実施形態
第3実施形態では、張出部が延出部を有する構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
第3実施形態の超音波発生装置310は、
図6に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路313と、を備えている。
【0056】
導波路313は、第1軸部21と、第2軸部22と、第3軸部23と、を有している。第1軸部21、第2軸部22、及び第3軸部23は、導波路本体20を構成している。
【0057】
導波路313は、
図6及び
図7に示すように、張出部330を有している。張出部330は、導波路本体20とは別部材によって構成されており、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周を全周にわたって覆っている。張出部330は、導波路本体20と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。張出部330は、例えばプラスチックなどの樹脂によって形成される。
【0058】
張出部330は、前後方向において第1軸部21と第2軸部22との間に設けられている。張出部330は、環状をなしている。張出部330は、前後方向に対して直交する平面方向において第1軸部21の外周面及び第2軸部22の外周面のいずれよりも外側に張り出している。
【0059】
張出部330は、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面に保持される取付部331を有している。取付部331は、例えば、接着剤によって導波路本体20に固定される。取付部331は、接触部332と、延出部333と、を有している。
【0060】
接触部332は、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面に接触する部位である。接触部332は、環状をなしている。接触部332の内周面は、導波路本体20の外周面に接触している。
【0061】
延出部333は、接触部332から前後方向に延出し、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面の一部を、隙間を介して覆っている。延出部333は、環状をなしており、導波路本体20の外周面を全周にわたって覆っている。延出部333は、接触部332から後方に延出し、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面の一部を、隙間を介して覆う後側延出部334を有している。後側延出部334は、環状をなしており、導波路本体20の外周面を全周にわたって覆っている。延出部333は、接触部332から前方に延出し、導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面の一部を、隙間を介して覆う前側延出部335を有している。前側延出部335は、環状をなしており、導波路本体20の外周面を全周にわたって覆っている。
【0062】
この構成によれば、延出部333の外周面に外部の物体が接触した場合に、外部の物体と導波路本体20(より具体的には、第3軸部23)の外周面との間には隙間が生じる。このため、延出部333の外周面に外部の物体が接触したとしても、導波路本体20を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0063】
4.第4実施形態
第1実施形態から第3実施形態では、張出部によって導波路本体の外周面を覆う構成であった。これに対し、第4実施形態では、導波路とは別部材のカバーによって導波路の外周面を覆う構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0064】
第4実施形態の超音波発生装置410は、
図8に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部412と、導波路413と、カバー50と、を備えている。
【0065】
超音波集束部412は、カバー50が取り付けられる凹部412Aが形成されている点で第1実施形態の超音波集束部12とは異なり、その他の点で共通する。凹部412Aは、超音波集束部412の前面に形成されており、前方に開口している。凹部412Aは、環状、より具体的には、円環状をなしている。凹部412Aは、導波路413の外周を囲んでいる。
【0066】
導波路413は、超音波集束部412から所定方向の一方側に延びる軸部420を有している。「所定方向」は、本実施形態では「前後方向」であり、「所定方向の一方側」は、本実施形態では「前方側」である。つまり、軸部420は、超音波集束部412から前方に延びている。軸部420は、第1実施形態で説明した導波路本体20と同じ構成である。
【0067】
カバー50は、本実施形態では超音波集束部412と別部材とするが、同一部材であってもよい。カバー50は、
図8及び
図9に示すように、筒状、より具体的には円筒状をなしている。カバー50は、例えば合成樹脂製である。カバー50は、超音波集束部412の凹部412Aに嵌め込まれた状態で固定される。カバー50は、例えば接着剤によって凹部412Aに接着される。カバー50は、超音波集束部412から前方に延びている。カバー50の内径は、軸部420の直径よりも大きい。カバー50は、導波路413(より具体的には、軸部420)の周囲に隙間を介して配置されている。カバー50の前端は、導波路413の前端よりも後方側に配置されている。
【0068】
第4実施形態の超音波発生装置410によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路413に導入させることができる。しかも、超音波発生装置410は、軸部420の周囲に隙間を介して配置されるカバー50を備えている。このため、軸部420に外部の物体が接触することを防ぐことができる。また、カバー50に外部の物体が接触しても、軸部420を伝搬する超音波が外部の物体に漏れにくい。従って、超音波発生装置410によれば、導波路413を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0069】
5.第5実施形態
第5実施形態では、第4実施形態で説明したカバーが、超音波集束部ではなく、ケースに固定される構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0070】
第5実施形態の超音波発生装置510は、
図10に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路513と、を備えている。
【0071】
導波路513は、超音波集束部12から所定方向の一方側に延びる軸部520を有している。「所定方向」は、本実施形態では「前後方向」であり、「所定方向の一方側」は、本実施形態では「前方側」である。つまり、軸部520は、超音波集束部12から前方に延びている。軸部520は、第1実施形態で説明した導波路本体20と同じ構成である。
【0072】
超音波発生装置510は、
図10に示すように、ベース部60と、支持部61と、カバー62と、を備えている。ベース部60は、超音波発生源11よりも後方側に配置されている。ベース部60の前面は、超音波発生源11の後面に接合される。なお、「接合」には、直接接合される構成だけでなく、別部材を介して接合される構成も含まれる。
【0073】
支持部61は、超音波発生源11及び超音波集束部12を覆う箱状をなしている。支持部61は、ベース部60に固定される。支持部61は、超音波集束部12よりも前方側で、且つ軸部520の前端よりも後方側に配置される前壁部63を有している。前壁部63は、前後方向に貫通する貫通孔64を有している。貫通孔64には、導波路513が挿通される。前壁部63には、カバー62が固定される。
【0074】
カバー62は、筒状、より具体的には円筒状をなしている。カバー62は、例えば合成樹脂製である。カバー62は、支持部61の前壁部63に固定される。カバー62は、例えば接着剤によって前壁部63に接着される。カバー62は、支持部61(より具体的には、前壁部63)から前方に延びている。カバー62の内径は、軸部520の直径よりも大きい。カバー62は、導波路513(より具体的には、軸部520)の周囲に隙間を介して配置されている。カバー62の前端は、導波路513の前端よりも後方側に配置されている。
【0075】
第5実施形態の超音波発生装置510によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路513に導入させることができる。しかも、超音波発生装置510は、軸部520の周囲に隙間を介して配置されるカバー62を備えている。このため、軸部520に外部の物体が接触することを防ぐことができる。また、カバー62に外部の物体が接触しても、軸部520を伝搬する超音波が外部の物体に漏れにくい。従って、超音波発生装置510によれば、導波路513を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0076】
6.第6実施形態
第6実施形態では、導波路の外周を第1カバー及び第2カバーで覆う構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0077】
第6実施形態の超音波発生装置610は、
図11及び
図12に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部612と、導波路613と、第1カバー71と、第2カバー72と、を備えている。
【0078】
超音波集束部612は、導波路613と、第1カバー71と、第2カバー72と、が固定される凹部612Aが形成されている点で第1実施形態の超音波集束部12とは異なり、その他の点で共通する。
【0079】
導波路613は、超音波集束部612から所定方向の一方側に延びる軸部620を有している。「所定方向」は、本実施形態では「前後方向」であり、「所定方向の一方側」は、本実施形態では「前方側」である。つまり、軸部620は、超音波集束部612から前方に延びている。軸部620は、第1実施形態で説明した導波路本体20と同じ構成である。
【0080】
導波路613は、更に、軸部620の外周を覆うカバー70を備えている。カバー70は、第1カバー71及び第2カバー72によって構成されている。第1カバー71は、筒状、より具体的には、円筒状をなしている。第1カバー71は、軸部620の外周面に接触した状態で、軸部620の外周を覆っている。第1カバー71は、軸部620の外周面に保持されている。第1カバー71は、例えば接着剤によって軸部620の外周面に接着される。第1カバー71の前端は、軸部620の前端よりも後方側に配置されている。
【0081】
第2カバー72は、筒状、より具体的には、円筒状をなしている。第2カバー72は、第1カバー71の外周面に接触した状態で、軸部620の外周を覆っている。第2カバー72は、第1カバー71の外周面に保持されている。第2カバー72は、例えば接着剤によって接着される。第2カバー72の前端は、軸部620の前端よりも後方側に配置されている。
【0082】
第1カバー71、及び第2カバー72は、超音波集束部612の凹部612Aに嵌め込まれた状態で固定される。固定方法は、例えば接着剤による接着である。
【0083】
第1カバー71の音響インピーダンスは、軸部620の音響インピーダンスと第2カバー72の音響インピーダンスとのいずれよりも大きい値であるか、あるいはいずれよりも小さい値である。本実施形態では、軸部620と第2カバー72が、互いに同じ材質であり、互いに同じ音響インピーダンスとなっている。これに対し、第1カバー71は、軸部620及び第2カバー72とは異なる材質であり、軸部620及び第2カバー72とは異なる音響インピーダンスとなっている。軸部620及び第2カバー72は、例えばアルミ合金からなり、第1カバー71は、例えば合成樹脂からなる。
【0084】
この構成によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路613に導入させることができる。しかも、導波路613の軸部620と第2カバー72との間に第1カバー71が配置されることで、軸部620と第2カバー72との間で超音波が伝播しにくくなっている。このため、第2カバー72に外部の物体が接触しても、軸部620を伝搬する超音波が第2カバー72を介して外部の物体に漏れることを抑えることができる。従って、この構成によれば、導波路613を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0085】
7.第7実施形態
第7実施形態では、軸部711及びカバー712を有する導波路713の構成について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0086】
第7実施形態の超音波発生装置710は、
図20に示すように、超音波発生源11と、超音波集束部12と、導波路713と、を備えている。
【0087】
導波路713は、超音波集束部12から所定方向の一方側に延びる軸部711及びカバー712を有している。「所定方向」は、本実施形態では「前後方向」であり、「所定方向の一方側」は、本実施形態では「前方側」である。つまり、軸部711及びカバー712は、超音波集束部12から前方に延びている。
【0088】
軸部711及びカバー712は、導波路本体20を構成している。軸部711及びカバー712は、異なる材料によって形成されている。軸部711の波動伝搬速度は、カバー712の波動伝搬速度よりも遅い。これによって、超音波は、伝搬速度が遅い軸部711に集中した状態で導波路713内を伝搬する。
【0089】
カバー712の波動伝搬速度は、軸部711の波動伝搬速度の1.3倍~1.7倍の範囲であると良い。カバー712の波動伝搬速度は、軸部711の波動伝搬速度の1.5倍程度であるとさらに良い。この場合、超音波はより軸部711に集中しやすい。
【0090】
軸部711は、導波路713の中心軸を含んで前後方向に延びた円柱状をなしている。軸部711の径寸法φXは、1mm~2mmであると良い。軸部711は、振動減衰の少ない素材を用いて形成すると良い。
【0091】
カバー712は、軸部711の外周面に接触し、一体となった状態で被覆している。カバー712は、軸部711と同軸の円筒状をなしている。カバー712を含む導波路713の径寸法φYは、5mm程度であると良い。
【0092】
導波路713の前端において、軸部711は外部に露出していてもよいし、カバー712を形成する材料と同じ材料によって覆われていてもよい。また、導波路713とは別体の部材を導波路713の前端に取り付けて、導波路713の前端面を覆ってもよい。
【0093】
導波路713の軸部711は、波動伝搬速度が遅い材料で形成され、カバー712は、波動伝搬速度が速い材料で形成されている。軸部711及びカバー712の材料の具体的な組み合わせ例を説明する。
【0094】
第一の例として、軸部711の材料に金属ガラスを用いることができる。金属ガラスは、例えばOrbray株式会社製の金属ガラス(Zr55Cu30Al10Ni5)を用いて良い。この場合、カバー712の材料は、アルミニウムやチタンを用いると良い。軸部711の材料に金属ガラスを用い、カバー712の材料にアルミニウムを用いた場合、カバー712の波動伝搬速度は、軸部711の波動伝搬速度の1.5倍程度である。これによって、超音波を導波路713の内部に効果的に閉じ込め、導波路713から外部への超音波の漏れを抑えることができる。
【0095】
第二の例として、カバー712に石英管を用いることができる。この場合、軸部711は金属材で形成してもよい。第三の例として、軸部711の材料は三酸化二ホウ素(B2O3)を用い、カバー712の材料は二酸化ケイ素(SiO2)を用いてもよい。
【0096】
導波路713の製造方法の一例を説明する。第一の例として、軸部711を成形した後、カバー712を成形する方法がある。具体的には、例えば成形された軸部711に対してカバー712を溶射やメッキによって形成する。第二の例として、カバー712を成形した後、軸部711を成形する方法がある。具体的には、例えば成形された筒状のカバー712の内部空間に、軸部711を流し込んで形成する。導波路713の製造方法はこれらに限らず、軸部711及びカバー712の素材にあわせて適宜選択して良い。
【0097】
第7実施形態の超音波発生装置710によれば、超音波発生源11から発生した超音波を、減衰を抑制しつつ集束させ、平面波として導波路713に導入させることができる。しかも、超音波の伝搬を軸部711に集中させることができるから、導波路713の側面からのエネルギー漏洩を抑制できる。また、カバー712の波動伝搬速度を、軸部711の波動伝搬速度の1.3倍~1.7倍の範囲とすることによって、超音波を軸部711により集中させることができる。したがって、超音波発生装置710によれば、導波路713を伝搬する超音波の外部への漏れを抑えることができる。
【0098】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
(1)上記第1実施形態から第3実施形態では、第1軸部、第2軸部、第3軸部、及び導波路本体の断面の形状が円形であったが、円形でなくてもよい。例えば、第1軸部、第2軸部、第3軸部、及び導波路本体の断面の形状は、楕円形であってもよいし、矩形状であってもよい。
(2)上記第1実施形態から第3実施形態では、第1軸部、第2軸部、及び第3軸部の断面の形状が互いに同じであったが、同じでなくてもよい。例えば、第1軸部の断面の形状は、第2軸部の断面の形状と異なっていてもよい。第3軸部の断面の形状は、第1軸部の断面の形状と異なっていてもよいし、第2軸部の断面の形状と異なっていてもよい。
(3)上記第4実施形態から第6実施形態では、軸部の断面の形状が円形であったが、円形でなくてもよい。例えば、軸部の断面の形状は、楕円形であってもよいし、矩形状であってもよい。
(4)上記第1実施形態では、前後方向と直交する方向から見た張出部の形状が矩形状であったが、
図13に示す張出部730のように、別の形状(例えば楕円形)であってもよい。
(5)上記第1実施形態から第3実施形態では、張出部が導波路本体の外周面と全周にわたって接触する構成であったが、周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。例えば、
図14に示すように、張出部830が、導波路本体20の外周面と周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。この構成によれば、導波路本体20から取付部831への超音波の漏れを抑えることができる。このため、取付部831を有する張出部830に外部の物体が接触したとしても、導波路本体20を伝搬する超音波が張出部830を介して外部の物体へ漏れることを抑えることができる。
(6)上記第1実施形態から第3実施形態では、張出部が導波路本体とは別部材であったが、同一部材であってもよい。例えば、
図15に示すように、張出部930が導波路本体20と同一部材であってもよい。
(7)上記第2実施形態では、被覆部が張出部の外周面に対し全周にわたって接触する構成であったが、周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。例えば、
図16に示すように、被覆部40Aが張出部30Aの外周面に対し周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。また、
図17に示すように、被覆部40Bが張出部30Bの外周面に対し周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。また、
図18に示すように、被覆部40Cが張出部30Cの外周面に対し周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。また、
図19に示すように、被覆部40Dが張出部30Dの外周面に対し周方向の一部でのみ接触する構成であってもよい。
(8)上記第5実施形態では、ベース部60の前面は、超音波発生源11の後面に接合される構成であったが、超音波集束部12の外周に鍔を設ける構成とし、支持部61に対して固定する構成であってもよい。
(9)上記第6実施形態では、第1カバー及び第2カバーが超音波集束部に固定される構成であったが、第1カバー及び第2カバーが超音波集束部に固定されない構成であってもよい。例えば、第1カバー及び第2カバーは、導波路にのみ保持される構成であってもよい。
【0099】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
10…超音波発生装置
11…超音波発生源
12…超音波集束部
13…導波路
16…第1反射面
17…第2反射面
20…導波路本体
21…第1軸部
22…第2軸部
30…張出部
30A…張出部
30B…張出部
30C…張出部
30D…張出部
31…取付部
40…被覆部
40A…被覆部
40B…被覆部
40C…被覆部
40D…被覆部
50…カバー
62…カバー
70…カバー
71…第1カバー
72…第2カバー
210…超音波発生装置
213…導波路
310…超音波発生装置
313…導波路
330…張出部
331…取付部
333…延出部
410…超音波発生装置
412…超音波集束部
412A…凹部
413…導波路
420…軸部
510…超音波発生装置
513…導波路
520…軸部
610…超音波発生装置
612…超音波集束部
613…導波路
620…軸部
710…超音波発生装置
711…軸部
712…カバー
713…導波路
730…張出部
830…張出部
831…取付部
930…張出部