(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064977
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法、プリント配線板及び半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H05K 3/18 20060101AFI20240507BHJP
C23C 18/40 20060101ALI20240507BHJP
C23C 18/52 20060101ALI20240507BHJP
C23C 18/36 20060101ALI20240507BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20240507BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240507BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20240507BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240507BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H05K3/18 E
C23C18/40
C23C18/52 B
C23C18/36
C25D5/02 B
H05K3/18 J
H05K3/40 E
H05K3/42 610A
H05K3/42 630A
H05K1/11 H
H05K3/00 N
H05K3/00 M
H05K3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105771
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2022172457
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 智章
【テーマコード(参考)】
4K022
4K024
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
4K022AA13
4K022AA42
4K022BA08
4K022BA14
4K022CA02
4K022CA06
4K022DA01
4K022DB02
4K024AA09
4K024AB01
4K024BA09
4K024BB11
4K024DA10
4K024FA05
5E317AA24
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5E343GG06
5E343GG08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開口径15μm以下のビアホールを形成でき、配線幅/スペース(L/S)を保持し易いプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供する。
【解決手段】銅張積層板にレーザーアブレーションにてビアホール8の形成を行う工程を含むプリント配線板の製造方法は、プライマー樹脂2を、支持基板4の樹脂層3上に設置し、ビアホールの形成を行う工程の前に、下記工程1~4をこの順に実施する。工程1:銅張積層板の銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程。工程2:プライマー樹脂の表面に第一の触媒を付着させる工程。工程3:第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に少なくともニッケルを含有する第二の触媒を付着させる工程。工程4:第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させて、第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層7を形成する工程。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマー樹脂に銅箔を貼り合わせた構造を有する銅張積層板を用いてレーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記プライマー樹脂は、支持基板に接した樹脂層上に設置されており、
前記ビアホールの形成を行う工程の前に、下記工程1~4をこの順に有する、プリント配線板の製造方法。
工程1:前記銅張積層板が有する銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程2:プライマー樹脂の表面に第一の触媒を付着させる工程
工程3:前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液と接触させて、前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、少なくともニッケルを含有する第二の触媒を付着させる工程
工程4:前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させて、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層を形成する工程
【請求項2】
前記工程3において、前記無電解ニッケルめっき液のpHが7~10である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記工程3において、前記第二の触媒中のリン含有量が6質量%以下である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記工程4において、前記無電解めっき層の厚みが1.0μm以下である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂層が骨材を含有しない、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記ビアホールの形成を行う工程の後に、下記工程5~12をこの順に有する、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
工程5:デスミア処理工程
工程6:無電解めっき層をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程7:シード層形成工程
工程8:シード層の表面に、回路パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
工程9:前記シード層の表面であって、前記レジストパターンから露出している領域に、電解銅めっきによって銅層を形成する工程
工程10:前記レジストパターンを除去する工程
工程11:前記レジストパターンの除去によって露出した前記シード層を除去して回路パターンを得る工程
工程12:前記回路パターン上にソルダーレジストを形成する工程
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法によって製造されたプリント配線板。
【請求項8】
請求項7に記載のプリント配線板と、半導体素子と、を含む、半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、プリント配線板の製造方法、プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器としては、パソコン及び携帯電話等の小型化、軽量化、高性能化及び高機能化が進められている。一方、産業用機器としては、無線基地局、光通信装置、サーバ及びルータ等のネットワーク関連機器などにおいて、大型又は小型を問わずに機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、扱う信号の高周波化が年々進む傾向にあり、高速処理及び高速伝送技術の開発が進められている。例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processing)及び各種メモリ等のLSI(Large Scale Integration)の高速化及び高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)等の開発が盛んに行われている。このため、半導体チップ搭載用基板及びマザーボードも、高周波化、高密度配線化及び高機能化に対応するために、配線幅/スペース(L/S)の小さい微細配線を形成したビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになっており、それに伴い、ビアホールの小径化も求められている。2012年頃には、L/S=15μm/15μm程度の微細配線及び開口径(直径)30~50μm程度のビアホールが求められていたが、2022年以降はL/S=5μm/5μmの微細配線及び開口径20~25μm程度のビアホールが求められることになると考えられており、近い将来には、さらに、ビアホールの開口径について10~15μm程度のものが求められ始める。
【0003】
微細配線の形成には、一般的にセミアディティブ法(SAP:Semi Additive Process、以下「SAP法」ともいう)が有用とされている。セミアディティブ法の場合、まず、絶縁樹脂に、内層銅と外層銅とを接続させるためのビアホールを形成する。その後、ビアホールの底部に存在するスミアを除去するためにデスミア処理を実施する。それから、絶縁樹脂上にシード層といわれる無電解銅めっき層を設け、当該無電解銅めっき層上にドライフィルムレジスト層を設ける。そして、フォトマスクを介して露光する方法(フォトリソグラフィー)又はレーザー光で直接描写して露光する方法でレジストパターンを形成する。次いで、必要に応じてプラズマ処理を行った後に、レジストパターンが無い部分に電解銅めっきによって回路パターンを形成し、レジストパターンを除去してから、最後に不要な部分のシード層をエッチングして除去する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁樹脂にレーザー加工によってビアホールを形成する際、絶縁樹脂上に銅箔が存在していないと、ビアホールを形成した後のデスミア処理時に、絶縁樹脂の表面がデスミア液によって粗くなる。この場合、絶縁樹脂の表面に設けるシード層が粗くなった絶縁樹脂の深くまで入り込むため、シード層のエッチング処理工程において過剰なエッチング処理が必要となる。そうすると、配線もエッチングされてしまってL/Sが変化するという問題がある。そのため、絶縁樹脂にビアホールを形成する場合には、絶縁樹脂上に銅箔が存在する状況でビアホールを形成する必要があった。
ところが、一般的に厚みが1.5μm以上である銅箔に向けてレーザー加工(絶縁樹脂上の銅箔へ向けたレーザー加工は、「ダイレクトレーザー加工」ともいう。)する場合、例えば汎用されているCO2レーザーを使用するときは、レーザー光が銅に吸収され難く、さらに銅表面からの反射も大きいため、絶縁樹脂及びその下層に存在し得るプリプレグ等へ吸収され難い。このため、本発明者の検討によると、開口径30μm未満の良好なビアホールを形成することが非常に困難であることが判明した。次に、本発明者は、CO2レーザーよりも波長の短いUV-YAGレーザーによって、ダイレクトレーザー加工してみたところ、UV-YAGレーザー光が銅に吸収され易いために内層銅もレーザー加工されてしまってビアホールの底部に内層銅の凹みが生じるために、ビアホールの開口径が小さいほど、ビアホールのアスペクト比が大きくなり易く、その結果、電解銅めっき時のビアフィリング性(銅めっきの埋め込み性)が低下するため、ビアホール間の接続信頼性が低下し易いという問題が発生した。一方、UV-YAGレーザーの出力を下げてダイレクトレーザー加工してみたところ、絶縁樹脂及びその下層に存在し得るプリプレグ等へのレーザー光の吸収が減衰し、ビアホールの底部に樹脂が残存してビアホール間の接続信頼性が低下し易いという問題が生じた。
【0006】
そこで、本発明者は、前記レーザー加工の前に、銅表面に酸化銅を形成する、いわゆる「黒化処理」を検討してみた。つまり、絶縁樹脂上の厚み3.0μmの銅箔を黒化処理してからレーザー加工によってビアホールの形成を試みたところ、この場合も、開口径30μm未満の良好なビアホールを形成することが非常に困難であったが、開口径30μm以上のビアホールの形成自体は可能であった。なお、一般的に、絶縁樹脂上に銅箔が存在する場合は、ビアホールを形成した後のデスミア処理後に銅箔をエッチング処理する工程が必要であり、その後、絶縁樹脂上にシード層といわれる無電解銅めっき層を設ける。ところが、厚み3.0μmの黒化処理された銅箔をエッチング処理した際に内層銅までエッチングされてしまい、ビアホールの底部の脇で、内層銅とプリプレグ等との間に溝が生じ、ビアホールの開口径が小さいほどシード層形成時に無電解めっきがその溝へ入り込むことが困難となり、電解銅めっき時にビアフィリング性(銅めっきの埋め込み性)が低下するため、ビアホール間の接続信頼性が低下し易くなった。
その結果を受けて銅箔の厚みを薄くすることを検討し、絶縁樹脂上の厚み1.5μmの銅箔を黒化処理してからレーザー加工によってビアホールを形成してみたところ、黒化処理によって銅箔にピンホールが発生してしまい、絶縁樹脂の表面粗さRaが大きくなることがあった。それによって、シード層が絶縁樹脂層の深い部位まで入り込み、シード層を十分にエッチングするのに時間を要するため、配線もエッチングされてしまってL/Sが変化し易いという問題が生じた。
以上より、開口径30μm未満のビアホールを形成しながらもビアホール間の接続信頼性を高めることが容易ではなく、さらに、それらを満足しながら配線幅/スペース(L/S)を保持することは非常に困難であった。
【0007】
そこで、本発明者は、プライマー樹脂に銅箔を貼り合わせた構造を有する銅張積層板を用いてレーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程を含むプリント配線板の製造方法であって、前記ビアホールの形成を行う工程の前に、下記工程1~4をこの順に有するプリント配線板の製造方法、によって前記問題を解決し、既に特許出願を行った(特願2022-059592号参照)。
工程1:前記銅張積層板が有する銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程2:プライマー樹脂の表面に第一の触媒を付着させる工程
工程3:前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液と接触させて、前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、少なくともニッケルを含有する第二の触媒を付着させる工程
工程4:前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させて、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層を形成する工程
【0008】
ところが、本発明者がさらなる検討を行っていたところ、開口径15μm以下のビアホールを形成する場合にはレーザー出力を小さくする必要があり、この場合、レーザーがガラスクロスに吸収され難くなり、ビアホール内にガラスクロスが残存してしまう等の問題が生じた。
【0009】
そこで、本開示は、開口径15μm以下のビアホールを形成でき、ビアホール間の電気的接続信頼性が高く、配線幅/スペース(L/S)を保持し得るプリント配線板の製造方法及び該製造方法で得られるプリント配線板を提供すること、並びに該プリント配線板と、半導体素子と、を含む、半導体パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本開示によって、上記課題を解決できることを見出した。
本開示は、下記[1]~[8]の実施形態を含む。
[1]プライマー樹脂に銅箔を貼り合わせた構造を有する銅張積層板を用いてレーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記プライマー樹脂は、支持基板に接した樹脂層上に設置されており、
前記ビアホールの形成を行う工程の前に、下記工程1~4をこの順に有する、プリント配線板の製造方法。
工程1:前記銅張積層板が有する銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程2:プライマー樹脂の表面に第一の触媒を付着させる工程
工程3:前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液と接触させて、前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、少なくともニッケルを含有する第二の触媒を付着させる工程
工程4:前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させて、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層を形成する工程
[2]前記工程3において、前記無電解ニッケルめっき液のpHが7~10である、上記[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3]前記工程3において、前記第二の触媒中のリン含有量が6質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4]前記工程4において、前記無電解めっき層の厚みが1.0μm以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[5]前記樹脂層が骨材を含有しない、上記[1]~[4]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[6]前記ビアホールの形成を行う工程の後に、下記工程5~12をこの順に有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
工程5:デスミア処理工程
工程6:無電解めっき層をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程7:シード層形成工程
工程8:シード層の表面に、回路パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
工程9:前記シード層の表面であって、前記レジストパターンから露出している領域に、電解銅めっきによって銅層を形成する工程
工程10:前記レジストパターンを除去する工程
工程11:前記レジストパターンの除去によって露出した前記シード層を除去して回路パターンを得る工程
工程12:前記回路パターン上にソルダーレジストを形成する工程
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法によって製造されたプリント配線板。
[8]上記[7]に記載のプリント配線板と、半導体素子と、を含む、半導体パッケージ。
【発明の効果】
【0011】
本開示によって、開口径15μm以下のビアホールを形成でき、ビアホール間の電気的接続信頼性が高く、配線幅/スペース(L/S)を保持し得るプリント配線板の製造方法及び該製造方法で得られるプリント配線板を提供すること、並びに該プリント配線板と、半導体素子と、を含む、半導体パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の製造方法で使用する銅張積層板を示す断面模式図である。
【
図2】本実施形態の製造方法で使用し得るプライマー層を含む樹脂付き銅箔を示す断面模式図である。
【
図3】本実施形態の製造方法で使用する支持基板を示す断面模式図である。
【
図4】本実施形態の製造方法における工程1で得られる積層体の断面模式図である。
【
図5】本実施形態の製造方法における工程2で得られる積層体の断面模式図である。
【
図6】本実施形態の製造方法における工程3で得られる積層体の断面模式図である。
【
図7】本実施形態の製造方法における工程4で得られる積層体の断面模式図である。
【
図8】本実施形態の製造方法において、ビアホールを形成して得られる積層体の断面模式図である。
【
図9】本実施形態の製造方法における工程5で得られる積層体の断面模式図である。
【
図10】本実施形態の製造方法における工程6で得られる積層体の断面模式図である。
【
図11】本実施形態の製造方法における工程7で得られる積層体の断面模式図である。
【
図12】本実施形態の製造方法における工程8で得られる積層体の断面模式図である。
【
図13】本実施形態の製造方法における工程9で得られる積層体の断面模式図である。
【
図14】本実施形態の製造方法における工程10で得られる積層体の断面模式図である。
【
図15】本実施形態の製造方法における工程11で得られる積層体の断面模式図である。
【
図16】本実施形態の製造方法における工程12で得られる積層体の断面模式図である。
【
図17】実施例及び比較例において、ビアホール間の電気的接続信頼性の評価用に作製したビアチェーン試験基板の断面模式図である。
【
図18】実施例1において、開口径10μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像である。
【
図19】実施例1において、開口径15μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像である。
【
図20】比較例1において、開口径10μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像である。
【
図21】実施例1において、L/Sの保持性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像である。
【
図22】比較例1において、L/Sの保持性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値及び上限値と任意に組み合わせられる。
本明細書において、例えば、「10以上」という記載は、10及び10を超える数値を意味し、数値が異なる場合もこれに準ずる。また、例えば、「10以下」という記載は、10及び10未満の数値を意味し、数値が異なる場合もこれに準ずる。
本明細書において、「工程X~Zをこの順に有する」とは、順番が守られていればよく、間に他の工程を有していてもよい。つまり、工程X、工程Y、工程Zの順が守られていればよく、工程X、工程A、工程Y、工程Zの順となっていてもよい。
また、本明細書に例示する各成分及び材料等は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本明細書に記載されている作用機序は推測であって、本実施形態に係る樹脂組成物の効果を奏する機序を限定するものではない。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本実施形態に含まれる。
【0014】
なお、本明細書において「層」とは、一部が欠けているもの、及び、ビアホール又は回路パターンが形成されているものも含む。
また、本明細書において、ビアホールの開口径は、ダイレクトレーザー加工直後の表面を走査イオン顕微鏡(SIM)で観察して測定した、ビアホールトップの直径である。
【0015】
[プリント配線板の製造方法及びプリント配線板]
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、プライマー樹脂に銅箔を貼り合わせた構造を有する銅張積層板を用いてレーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記プライマー樹脂は、支持基板に接した樹脂層上に設置されており、
前記ビアホールの形成を行う工程の前に、下記工程1~4をこの順に有する、プリント配線板の製造方法である。
工程1:前記銅張積層板が有する銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程2:プライマー樹脂の表面に第一の触媒を付着させる工程
工程3:前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液と接触させて、前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、少なくともニッケルを含有する第二の触媒を付着させる工程
工程4:前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させて、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層を形成する工程
また、本実施形態のプリント配線板は、本実施形態のプリント配線板の製造方法によって製造されたプリント配線板である。
なお、本明細書において、「プリント配線板」とは「多層プリント配線板」も含む概念である。
【0016】
本実施形態を簡略化して説明すると、支持基板に接した樹脂層上に設置されたプライマー樹脂に銅箔を貼り合わせた構造を有する銅張積層板について、ビアホールの形成を行う前に、一旦、銅箔をエッチング除去してから、特定の方法によって無電解めっき層を形成する。その後、当該無電解めっき層に向けてレーザー加工(ダイレクトレーザー加工)を行うことで、ビアホールの形成を行う。当該方法を採用することによって、開口径15μm以下のビアホールを形成することが可能となり、ビアホールの底部において内層銅の凹みが生じることを抑制でき、また、内層銅と樹脂層等との間に溝が生じることを抑制でき、ビアホールの底部に樹脂が残存することも抑制でき、配線がエッチングされてL/Sが変化することも抑制できる。
このような結果が得られたのは、(1)無電解めっき層は銅箔よりも厚みを薄くすることができるため、レーザーがプライマー樹脂及びさらに下層の樹脂層へ吸収され易くなったこと、(2)それでいて、内層銅はレーザー加工されないように調整し易くなったこと、(3)無電解めっき層は銅箔と比較してエッチング量が少なくて済むこと、(4)プライマー樹脂の表面粗さが大きくなるのを抑制できるためにシード層がプライマー樹脂へ深く入り込むことを抑制できて、その結果、シード層のエッチング量も低減されることの他、(5)前記樹脂層が骨材を実質的に含有しないこと等が影響しているものと推察する。
さらに、本実施形態の工程2~4の方法で無電解めっき層を形成することで、ビアホールをデスミア処理する際に、無電解めっき層の下層に位置するプライマー層の表面(無電解めっき層側の表面)が部分的に侵食されることを効果的に抑制することもできる。これによって、プライマー層の表面粗さが大きくなることを抑制でき、プライマー層上にシード層を形成する際に無電解銅めっきがプライマー層へ深く入り込むことを抑制することができ、その結果、シード層のエッチング量も低減されるためにL/Sの精度を高めることができる。なお、他の方法で無電解めっき層を形成する場合には、無電解めっき層の下層に位置するプライマー層の表面(無電解めっき層側の表面)が部分的に侵食されるおそれがある。
【0017】
以下、各工程について、適宜、図面を参照しながら本実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
本実施形態の製造方法で使用する銅張積層板100は、
図1に示すように、プライマー層2は、支持基板4に接した樹脂層3上に形成(設置)されており、つまり、「支持基板/樹脂層/プライマー層/銅箔」の構成を有している。ここで、本明細書において、プライマー層とは、プライマー樹脂で形成された層のことをいう。なお、
図3に示すように支持基板4は、銅層4’を有していてもよいし、パターン形成された銅層(回路パターン4’’)を有していてもよいし、また、パッド(図示せず)を有していてもよい。なお、銅層4’及びパターン形成された銅層(回路パターン4’’)は、銅張積層板の内層銅に相当し得るものである。
前記プライマー樹脂としては、特に制限されるものではなく、プリント配線板に使用される公知の絶縁材料を用いることができる。前記絶縁材料としては、樹脂又は少なくとも樹脂を含む組成物であることが好ましく、硬化性を有する樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
また、前記樹脂層は、前記絶縁材料をフィルム状に成形したもの(一般的に、樹脂フィルム、接着フィルム又はビルドアップ材等と称されることもある)である。前記樹脂層は、開口径15μm以下のビアホールを形成する観点から、ガラスクロス等の骨材を含有しない。ここで、本開示において、「骨材を含有しない」とは、骨材を実質的に含有しないということであり、本実施形態による効果を損なわない程度に骨材を含有することを否定するものではない。前記「骨材を実質的に含有しない」とは、骨材の含有量が0質量部であるか、又は含まれていても10質量部以下であることを言い、骨材の含有量は、好ましくは、0質量部であるか、又は含まれていても5質量部以下、より好ましくは、0質量部であるか、又は含まれていても1質量部以下、さらに好ましくは、0質量部であるか、又は含まれていても0.1質量部以下であり、0質量部であることが最も好ましい。骨材については後述する。
前記絶縁材料は、PETフィルム、銅箔等の支持体に塗布されたものを用いてもよい。プライマー層が含有する絶縁材料と樹脂層が含有する絶縁材料は、異なっていることが好ましく、絶縁材料が含有する樹脂のうちの少なくとも1種が異なっていることがより好ましい。
【0019】
前記樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はそれらの混合樹脂を含有してなる材料等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シアネート化合物、ビスマレイミド化合物、ビスマレイミド化合物とモノアミン化合物及びジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種との反応物、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラート含有樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、三量化芳香族ジシアナミド樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。
絶縁材料は、樹脂の他にも、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、有機充填材、難燃剤、増粘剤、紫外線吸収剤、密着性付与剤及び着色剤等からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなるものであってもよい。また、前記した成分以外の成分を含有していてもよい。
【0020】
プライマー層を構成する絶縁材料は、骨材を含有しないことが好ましい。当該「骨材を含有しない」とは、前述の説明の通りである。前記骨材としては、紙、コットンリンターのような天然繊維;ガラス繊維及びアスベスト等の無機物繊維;アラミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、テトラフルオロエチレン及びアクリル等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。
絶縁材料は、前記した各種の材料を2種以上組み合わせて用いてもよい。
プライマー層の厚みは、例えば、1~100μmであってもよく、1~40μmであってもよく、薄膜化の観点から、好ましくは2~20μmである。
【0021】
なお、前記支持基板としては、例えば、シリコン板、ガラス板、SUS板、ガラスクロスを含む配線基板、半導体素子入り封止樹脂等が挙げられる。支持基板の厚みは特に限定されないが、例えば、0.2~2.0mmである。
前記樹脂層の厚みは特に限定されないが、好ましく5~60μm、好ましくは10~30μmである。
【0022】
図2に示されるプライマー層を含む樹脂付き銅箔は、市販品を使用することができる。銅張積層板100の製造方法に特に制限はないが、
図2に示されるプライマー層を含む樹脂付き銅箔を、
図3に示される支持基板4等と共に、170~250℃、1.5~4.0MPaの条件でプレス成型することで貼り合わせることによって銅張積層板100を製造することができる。
プリント配線板の製造において、前記銅張積層板に対して、各層を導通するためのビアホールを形成することがあるが、本実施形態では、レーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程の「前」に、前記工程1~4をこの順に実施することで、開口径15μm以下のビアホールを形成でき、ビアホール間の電気的接続信頼性が高く、配線幅/スペース(L/S)を保持し得るプリント配線板の製造方法になっている。
【0023】
<工程1:銅箔のエッチング処理工程>
工程1は、前記銅張積層板が有する銅箔をエッチング処理によって除去するエッチング工程である。銅箔のエッチング処理方法に特に制限はなく、銅箔をエッチング処理する公知の方法でエッチング処理すればよい。例えば、エッチング液として、硫酸-過酸化水素水エッチング液、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液等を用いて、好ましくは10~50℃でエッチング処理することができる。本工程1によって、
図4に示すような、銅箔をエッチング処理した後の積層体が得られる。
【0024】
<工程2:第一の触媒の付着>
工程2は、
図5に示すように、プライマー樹脂(プライマー層)の表面に第一の触媒5を付着させる工程である。
プライマー層の表面粗さ(Ra)は、シード層とレジストパターンとの十分な密着性を得るという観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上である。なお、プライマー層の表面粗さ(Ra)が小さいと、シード層の表面粗さ(Ra)も小さくなり、後述するレジスト層を露光する際にシード層における正反射光の割合が高くなる傾向がある。一方、プライマー層の表面粗さ(Ra)は、不要部のシード層のエッチング除去を容易にするという観点から、好ましくは0.35μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.25μm以下である。
なお、本実施形態において、表面粗さとは算術平均粗さRaであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ(L)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式(1)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。但し、本実施形態のRaは、基準長さ(L)=0.8mmとする。具体的には、JIS B0601(1994年)に準拠して測定することができる。
【0025】
【0026】
第一の触媒は、後述する工程3における無電解ニッケルめっきを促進するための触媒である。
なお、第一の触媒は、後述する第二の触媒の付着を促進できる形態であれば如何なる形態で存在していてもよく、例えば、プライマー層2の表面に点在していてもよいし、層状に存在していてもよい。
【0027】
第一の触媒としては、パラジウム触媒が好ましく用いられるが、後述する工程3における無電解ニッケルめっきを促進するための触媒であれば特に限定されるものではない。以下の説明においては、主に、第一の触媒としてパラジウム触媒を使用する態様について説明する。
第一の触媒は、例えば、無電解めっき用触媒(第一の触媒)によってプライマー層を処理する工程によって、プライマー層上に付着させることができる。具体的には、プライマー層に対して、クリーナー処理工程、中和処理工程、無電解めっき用触媒(第一の触媒)による処理工程、還元処理工程等の工程をこの順に施して付着させることが好ましい。
前記クリーナー処理工程は、例えば、アルカリ性のクリーナー処理液を用いて、好ましくは40~70℃で、好ましくは1~10分間処理を施した後、湯洗、水洗して実施することができる。
前記中和処理工程は、例えば、硫酸水溶液等を用いて、好ましくは20~30℃で、好ましくは0.5~1分間処理を施し、水洗して実施することができる。
前記無電解めっき用触媒(第一の触媒)による処理工程には、例えば、パラジウム塩を含むめっき触媒液等を用いることができる。なお、無電解めっき用触媒付与の前処理として、プリディップ処理液を用いて、好ましくは20~40℃で、好ましくは0.5~2分間処理を施し、さらに、アルカリ性パラジウム付与液を用いて、好ましくは30~50℃で、好ましくは3~7分間処理を施し、水洗する操作を行ってもよい。
前記還元処理工程は、例えば、パラジウム還元処理液を用いて、好ましくは20~35℃で、好ましくは3~7分間処理を施し、水洗して実施することができる。
【0028】
工程2における第一の触媒の付着量は、工程3における第二の触媒の付着を適度に進行させるという観点から、好ましくは0.5~50mg/m2、より好ましくは1~30mg/m2、さらに好ましくは5~20mg/m2である。
【0029】
<工程3:第二の触媒の付着>
工程3は、第一の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液と接触させることによって、
図6に示すように、前記第一の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、少なくともニッケルを含有する第二の触媒6を付着させる工程である。
【0030】
なお、第二の触媒は、後述する無電解めっき層の形成を促進できる形態であれば如何なる形態で存在していてもよく、例えば、プライマー層の表面に第一の触媒と共に点在していてもよいし、層状に存在していてもよい。
【0031】
第二の触媒は、主にニッケルを含むものであるが、還元剤由来のリンを含んでいてもよい。その場合、本工程は無電解ニッケルリンめっきを実施しているとも言える。但し、本明細書中、第二の触媒を付着させる工程を便宜上「無電解ニッケルめっき」と称する場合がある。
【0032】
第二の触媒は、リン含有量が少ないほどエッチングされ易くなり、無電解めっき層をエッチング除去する際に第二の触媒が残存することを抑制することができる。そのため、第二の触媒中のリン含有量は少ないほど好ましく、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。一方、製造容易性の観点から、第二の触媒中のリン含有量は1質量%以上であってもよい。
【0033】
無電解ニッケルめっき液は、硫酸ニッケル等のニッケル供給源、還元剤である次亜リン酸塩の他、水酸化ナトリウム等のpH調整剤;有機酸塩等の錯化剤;有機酸、無機酸等のpH緩衝剤;硫化物等の促進剤;安定剤;界面活性剤などを含有していてもよい。
無電解ニッケルめっき液中のニッケル濃度は、例えば、0.01~1.0g/Lである。
還元剤である次亜リン酸塩としては、次亜リン酸ナトリウムが好ましい。無電解ニッケルめっき液中の次亜リン酸塩濃度は、例えば、0.1~0.5mol/Lである。
錯化剤である有機酸塩としては、クエン酸塩が好ましい。無電解ニッケルめっき液中の錯化剤の濃度は、例えば、0.01~0.1mol/Lである。
pH緩衝剤である有機酸としては、ほう酸が好ましい。無電解ニッケルめっき液中のpH緩衝剤の濃度は、例えば、0.1~1.0mol/Lである。
次亜リン酸塩を還元剤とする無電解ニッケルめっき液としては、市販のめっき液を使用することもできる。
【0034】
プライマー層を無電解ニッケルめっき液と接触させる温度としては、好ましくは20~50℃、より好ましくは25~45℃、さらに好ましくは30~40℃である。前記接触させる温度が前記範囲であると、プライマー層に付着する第二の触媒はリンの含有量が低いものとなり、エッチング処理によって除去し易いものとなる。
プライマー層を無電解ニッケルめっき液と接触させる時間は、例えば、5~20分間であってもよく、10~15分間であってもよい。
【0035】
無電解ニッケルめっき液のpHは、好ましくは7~10、より好ましくは7.5~9.5、さらに好ましくは8~9である。無電解ニッケルめっき液のpHが前記範囲であると、プライマー層に付着する第二の触媒はリンの含有量が低いものとなり、エッチング処理によって除去し易いものとなる。
【0036】
工程3における第二の触媒の付着量は、工程4における無電解めっき層の厚みを適度に調整するという観点から、好ましくは10~300mg/m2、より好ましくは20~200mg/m2、さらに好ましくは50~150mg/m2である。
【0037】
<工程4:無電解めっき層の形成>
工程4は、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂を、次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液と接触させることによって、
図7に示すように、前記第二の触媒を付着させたプライマー樹脂の表面に、無電解めっき層7を形成する工程である。
【0038】
無電解銅めっき液は、硫酸銅等の銅供給源、還元剤である次亜リン酸塩の他、水酸化ナトリウム等のpH調整剤;有機酸塩等の錯化剤;有機酸、無機酸等のpH緩衝剤;金属塩、硫化物等の促進剤;安定剤;界面活性剤などを含有していてもよい。
無電解銅めっき液中の銅濃度は、例えば、0.5~0.7g/Lである。
還元剤である次亜リン酸塩としては、次亜リン酸ナトリウムが好ましい。
無電解銅めっき液中の次亜リン酸塩濃度は、例えば、0.1~0.5mol/Lである。
錯化剤である有機酸塩としては、クエン酸塩が好ましい。無電解銅めっき液中の錯化剤の濃度は、例えば、0.01~0.1mol/Lである。
pH緩衝剤である有機酸としては、ほう酸が好ましい。無電解銅めっき液中のpH緩衝剤の濃度は、例えば、0.1~1.0mol/Lである。
促進剤である金属塩としては、例えば、硫酸ニッケルが挙げられる。
次亜リン酸塩を還元剤とする無電解銅めっき液としては、市販のめっき液を使用することもできる。
【0039】
プライマー層を無電解銅めっき液と接触させる温度は、例えば、30~80℃であってもよく、60~70℃であってもよい。
プライマー層を無電解銅めっき液と接触させる時間は、例えば、5~20分間であってもよく、10~15分間であってもよい。
無電解銅めっき液のpHは、好ましくは7~10、より好ましくは7.5~9.5、さらに好ましくは8~9である。
【0040】
本工程で形成する無電解めっき層の厚みは、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、よりさらに好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.35μm以下、最も好ましくは0.3μm以下であり、0.25μm以下であってもよいし、0.2μm以下であってもよいし、0.15μm以下であってもよい。無電解めっき層の厚みが1.0μm以下であると、当該無電解めっき層に向けてダイレクトレーザー加工を行うことで、ビアホールの形成を行い、その後、無電解めっき層をエッチング処理する際に、ビアホールの底部両側の内層銅と樹脂層との間の溝を抑制できる傾向がある。
また、無電解めっき層の厚みは、0.1μm以上であってもよく、0.12μm以上であってもよい。無電解めっき層の厚みが0.1μm以上であると、ビアホールをデスミア処理する際に、無電解めっき層の下層に位置するプライマー層の表面(無電解めっき層側の表面)の侵食を抑制できる傾向がある。
なお、本明細書中、無電解めっき層の厚みとは、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)によってシード層の断面を形成し、該断面を走査イオン顕微鏡(SIM)でイオン照射角度45度にて観察して測定された無電解めっき層の厚みの平均値(n=10)である。
【0041】
無電解めっき層を形成した後、余分なめっき液を除去するため、必要に応じて、水又は有機溶剤による洗浄、加熱乾燥等を実施してもよい。加熱乾燥の温度は、例えば、80~180℃であってもよく、120~175℃であってもよく、150~175℃であってもよい。加熱乾燥の時間は、例えば、15~120分間であってもよく、10~60分間であってもよい。
【0042】
(ビアホールの形成)
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、前記工程1~4の後、レーザーアブレーションによってビアホールの形成を行う工程を有する。
図8は、プライマー層及び無電解めっき層にビアホール8が形成された積層体を示している。
前記ビアホールは、プライマー層及び無電解めっき層をその厚み方向に貫通するように形成されており、底面(銅層の表面)と側面(プライマー層又は樹脂層)を含む構成をしている。
前記ビアホールは、微細な開口部を形成するために、レーザーアブレーションを使用して形成する。レーザーアブレーションに用いるレーザーとしては、CO
2レーザー、UV-YAGレーザー、エキシマレーザー、フェトム秒レーザー等が挙げられる。これらの中でも、小径化の観点から、UV-YAGレーザー、フェトム秒レーザーが好ましく、開口径15μm以下とする観点からは、フェトム秒レーザーが好ましい。
レーザー加工条件は、特に制限されるものではなく、ダイレクトレーザー加工に採用される通常の加工条件を採用又は応用できるが、開口径15μm以下とする観点からは、出力を小さくすることが好ましい。
例えば、フェトム秒レーザーを用いる場合の加工条件としては、ビアホールの開口径(直径10μm、直径15μm)に対して、加工法がPunch、Circle、又はPunchとCircleの組合せで、出力0.1~2.0w、の条件の範囲内において、適宜調整することが好ましい。レーザーの出力としては、開口径15μm以下のビアホールを形成する観点から、好ましくは0.1~1.5w、より好ましくは0.1~1.2w、さらに好ましくは0.1~0.5w、特に好ましくは0.1~0.3wである。
【0043】
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、前記ビアホールの形成を行う工程の「後」に、下記工程5~12をこの順に有していてもよい。
工程5:デスミア処理工程
工程6:無電解めっき層をエッチング処理によって除去するエッチング処理工程
工程7:シード層形成工程
工程8:シード層の表面に、回路パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
工程9:前記シード層の表面であって、前記レジストパターンから露出している領域に、電解銅めっきによって銅層を形成する工程
工程10:前記レジストパターンを除去する工程
工程11:前記レジストパターンの除去によって露出した前記シード層を除去して回路パターンを得る工程
工程12:前記回路パターン上にソルダーレジストを形成する工程
以下、工程5~12について順に説明する。
【0044】
<工程5:デスミア処理工程>
工程5は、ビアホールの形成によって生じたスミアを除去する工程であり、デスミア処理工程と称する。
図9は、デスミア処理工程を経て得られた積層体の様子を示す。
デスミア処理工程では、形成したビアホールに対して、膨潤処理工程でスミア等の樹脂成分を膨潤させ、次いで、樹脂エッチング処理工程でスミア等の樹脂成分を除去し、次いで、中和処理工程でビアホール内に残っている樹脂エッチング液を中和して除去することが好ましい。
前記膨潤処理工程は、例えば、アルカリ性の膨潤処理液を用いて、好ましくは50~80℃で、好ましくは1~10分間処理を施した後、湯洗、水洗して実施することができる。
前記樹脂エッチング処理工程において、樹脂エッチング処理に使用する溶液としては、酸化剤等が挙げられる。前記酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、硫酸-過酸化水素水、硝酸等が挙げられる。これらの中でも、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましい。前記樹脂エッチング処理工程は、好ましくはアルカリ性の過マンガン酸水溶液を用いて、好ましくは60~90℃で、好ましくは1~20分間処理を施した後、湯洗、水洗して実施することができる。
前記中和処理工程は、例えば、酸性の中和処理液等を用いて、好ましくは30~60℃で、好ましくは1~10分間処理を施し、水洗して実施することができる。
【0045】
<工程6:エッチング処理工程>
工程6は、前記工程5で得た積層体について、前記工程4で作製した無電解めっき層をエッチング処理によって除去する工程である。
図10は、エッチング処理工程を経た後の積層体の様子を示す。
無電解めっき層のエッチング処理に使用するエッチング液としては、硫酸-過酸化水素水エッチング液、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液が挙げられる。さらに、無電解めっき層中の第一の触媒及び第二の触媒を除去するための除去液として、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液を用いることができる。無電解めっき層並びに無電解めっき層中の第一の触媒及び第二の触媒は、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液を用いて、同時に除去することも可能である。
【0046】
<工程7:シード層形成工程>
工程7は、
図11に示すように、前記工程6のエッチング処理によって現れたプライマー層の表面に、シード層9を形成する工程である。当該シード層の形成は、前記工程2~4を踏襲して無電解銅めっきを行うことで実施することもできるし、前記工程2及び4によって無電解銅めっきを行うことで実施することもできる。但し、前記工程2及び4によって無電解銅めっきを行う場合には、ホルマリンを還元剤とする無電解銅めっきを使用することが好ましい。なお、シード層の形成は、前記工程2~4を踏襲して無電解銅めっきを行うことで実施することが好ましい。
シード層の厚みは、微細配線性及び絶縁信頼性に優れる回路パターンを形成するという観点から、好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.35μm以下、最も好ましくは0.3μm以下であり、0.25μm以下であってもよいし、0.2μm以下であってもよいし、0.15μm以下であってもよい。また、シード層の厚みは、シード層としての機能を十分に発揮させるという観点から、0.1μm以上であってもよく、0.12μm以上であってもよい。
なお、本明細書中、シード層の厚みとは、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)によってシード層の断面を形成し、該断面を走査イオン顕微鏡(SIM)でイオン照射角度45度にて観察して測定されたシード層の厚みの平均値(n=10)である。
【0047】
<工程8:レジストパターン形成工程>
工程8は、前記シード層の表面に、回路パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程である。工程8によって、
図12に示すように、レジストパターン10が形成された積層体が得られる。
工程8におけるレジストパターンは、下記工程8-1及び工程8-2を含む方法で形成することが好ましい。
工程8-1:支持体付き感光性樹脂フィルムの感光性樹脂フィルムを、前記シード層に積層して、レジスト層を形成する工程
工程8-2:前記支持体付き感光性樹脂フィルムの支持体を介して、直描露光方式により前記レジスト層の少なくとも一部を露光した後、現像する工程
【0048】
(工程8-1)
工程8-1は、支持体付き感光性樹脂フィルムの感光性樹脂フィルムを、前記シード層に積層して、レジスト層を形成する工程である。
支持体付き感光性樹脂フィルムは、支持体の表面に感光性樹脂組成物から形成されてなるフィルムであり、SAP法のドライフィルムレジストとして用いられる市販品を用いることができる。
支持体付き感光性樹脂フィルムが有する支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;などの各種プラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、PETが好ましい。
【0049】
支持体付き感光性樹脂フィルムによって形成されるレジスト層の厚みは、形成する回路パターンの厚み及び形状に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは5~100μm、より好ましくは7~50μm、さらに好ましくは10~30μmである。
【0050】
支持体付き感光性樹脂フィルムは、例えば、感光性樹脂フィルムがシード層側になるように配置してから、ロールラミネーター等のラミネーターを用いて熱ラミネートすることにより、シード層に積層することができる。
【0051】
(工程8-2)
工程8-2は、支持体付き感光性樹脂フィルムの支持体を介して、直描露光方式により前記レジスト層の少なくとも一部を露光した後、現像して、レジストパターンを形成する工程である。
【0052】
レジスト層の露光は、直描露光方式で行うことが好ましく、支持体付き感光性樹脂フィルムの支持体を介して、好ましくは5~2,000mJ/cm2、より好ましくは10~500mJ/cm2、さらに好ましくは20~100mJ/cm2の露光量で光照射する。
露光に使用する光の波長としては、半導体レーザー、メタルハライド、水銀灯、エキシマレーザー、極端紫外線(EUV)、電子線等が挙げられ、好ましくは水銀の発光スペクトル(G線:波長436nm、H線:波長405nm、I線:波長365nm)であり、その中でも、H線(波長405nm)がより好ましい。また、光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、LEDランプ等を使用することができる。
【0053】
その後、未露光部を希アルカリ水溶液で溶解除去(現像)し、さらに必要に応じて、酸素プラズマ灰化処理によって残渣を除去してレジストパターンを形成する。
【0054】
<工程9:銅層の形成>
工程9は、前記シード層の表面であって、前記レジストパターンから露出している領域に、電解銅めっきによって銅層を形成する工程である。工程9によって、
図13に示すように、銅層11が形成された積層体が得られる。
電解銅めっき処理に用いる電解銅めっき液としては、硫酸および硫酸銅を含む電解銅めっき液を用いることができ、電解銅めっき液は市販の光沢材、抑制剤等を含有していることが好ましい。
【0055】
<工程10:レジストパターンの除去>
工程10は前記レジストパターンを除去する工程である。
図14には、レジストパターンが除去された後の基板が示されている。レジストパターンはレジスト剥離液を用いて除去することができる。前記レジスト剥離液としては、無機アルカリ、有機アルカリ、有機溶剤等の薬液を用いることができ、市販のレジスト剥離液を用いてもよい。また、レジストパターンを形成するために使用した感光性樹脂組成物に対応する専用の剥離液があれば、それを用いてもよい。
レジストパターンを除去する方法としては、例えば、薬液に浸漬することでレジストを膨潤、破壊又は溶解させた後、これを除去する方法が挙げられる。薬液をレジストに十分含浸させるために、超音波、加熱、撹拌等の手法を併用してもよい。また、レジストパターンの剥離を促進するために、シャワー(スプレー)、噴流等で薬液を当てることもできる。また、絶縁材料の耐熱が十分に高い場合には、高温で焼成することによってレジストを炭化させて除去してもよいし、レーザーを照射して焼き飛ばす方法を利用してもよい。
【0056】
<工程11:シード層及び触媒の除去並びに回路形成>
工程11は、前記レジストパターンの除去によって露出した前記シード層を除去して回路パターンを得る工程である。工程11によって、
図15に示すように、回路パターン11’が形成された積層体が得られる。また、工程11において、シード層と絶縁材料との間の第一の触媒又は第一の触媒及び第二の触媒も除去することが好ましい。
シード層を除去するための除去液としては、例えば、硫酸-過酸化水素水エッチング液、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液を用いることができる。
第一の触媒及び第二の触媒を除去するための除去液としては、例えば、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液を用いることができる。その他では、第一の触媒及び第二の触媒を除去することができれば、市販のエッチング液を用いることができる。
シード層、第一の触媒及び第二の触媒は、硝酸-過酸化水素水エッチング液、塩化第二鉄-塩酸エッチング液等の酸性のエッチング液を用いて、同時に除去することも可能である。
【0057】
<工程12:ソルダーレジストの形成>
工程12は、前記回路パターン上にソルダーレジストを形成する工程である。工程12によって、
図16に示すように、ソルダーレジスト12が形成された積層体が得られる。
ソルダーレジストの形成前に、適宜、ソルダーレジスト形成の前処理を行ってもよい。ソルダーレジスト形成の前処理は、エッチングによってパターン上に凹凸を形成する処理であって、当該前処理によって、前記回路パターンとソルダーレジストとの密着性を向上させることができる。また、エッチングせずに密着が十分に得られることができるのであればエッチングは特に必須ではなく、例えば、エッチングレスの前処理液を用いることもできる。
前記前処理におけるエッチング量は、アンカー効果によって回路パターンとソルダーレジストの密着性を向上させるという観点から、好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.4μm以上、最も好ましくは0.5μm以上であり、0.7μm以上であってもよいし、1.0μm以上であってもよい。また、エッチング量は、前記回路パターンのL/Sを保持するという観点から、1.5μm以下であってもよく、1.2μm以下であってもよい。ここで、前記エッチング量とは、エッチング前後の配線幅の差(単位:μm)を金属顕微鏡で観察及び測定したものであり、任意の5ヵ所の配線幅の差の平均値である。
ソルダーレジスト形成の前処理液としては、例えば、硫酸-過酸化水素水エッチング液を用いることができるが、前記回路パターンとソルダーレジストの密着が十分に得られることができれば特に制限されるものではなく、市販の前処理液を用いることができる。
【0058】
ソルダーレジストは、例えば、支持体の表面に感光性樹脂組成物から形成されてなるフィルムであり、絶縁層形成用の感光性樹脂フィルムとして公知のものを使用することができる。このような感光性樹脂フィルムとしては、例えば、太陽インキ製造株式会社製のソルダーレジストPSR-800 AUS SR-1等が商業的に入手可能である。
【0059】
ソルダーレジストは、前記回路パターン上に配置してから、例えば、真空ラミネーター等のラミネーターを用いて熱ラミネートすることによって形成することができる。
ソルダーレジストの厚みは、形成する回路パターンの厚み及び形状に応じて適宜決定すればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは7~50μm、さらに好ましくは10~30μmである。
【0060】
本実施形態の製造方法は、上記の方法で作製した回路パターンの上に、工程1で説明した絶縁材料層を形成して、上記各工程を繰り返すことで多層化してもよい。これによって、多層プリント配線板を製造することができる。
本実施形態は、以上の様にして製造されたプリント配線板についても提供する。
【0061】
[半導体パッケージ]
本実施形態は、本実施形態のプリント配線板と、半導体素子と、を有する半導体パッケージも提供する。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
【実施例0062】
次に、下記の実施例により本実施形態をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本実施形態を制限するものではない。
なお、各例において、下記方法に従って各評価及び各測定を行った。
【0063】
(1.銅めっきの埋め込み性)
各例における工程9の銅層の形成後、銅めっきが樹脂層と内層銅との間の溝へどの程度入り込んだかについて評価するために、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)によって積層体の断面を形成し、該断面を走査イオン顕微鏡(SIM)でイオン照射角度45度にて観察して、積層体中のボイドの有無を確認し、下記評価基準に従って評価した。
A:樹脂層と内層銅との間にボイドが存在しなかった。または、樹脂層と内層銅との間にそもそも溝が存在せず、ボイドが存在する余地がなかった。
B:樹脂層と内層銅との間にボイドが少々存在した。
C:樹脂層と内層銅との間にボイドが多く存在した。
D:ビアホール内に銅めっきが析出しない。
【0064】
(2.ビアホール充填性)
各例におけるビアホールの形成に際して、ビアホール充填性を評価するために、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)によって積層体の断面を形成し、該断面を走査イオン顕微鏡(SIM)でイオン照射角度45度にて観察して、積層体中のボイドの有無を確認し、下記評価基準に従って評価した。
A:ビアホール中に樹脂残りが存在していない。
B:ビアホール中に樹脂残りが存在していないが、ビアホール内に銅めっきが完全に充填されない(ボイド有り)。
C:ビアホールの底部に樹脂残りが存在して、ビアホール内に銅めっきが完全に充填されない(ボイド有り)。
D:ビアホール内に銅めっきが析出しない。
【0065】
(3.めっき付き回り性)
各例における工程6の、無電解銅めっきのエッチング処理によってプライマー層の表面が現れた状態で、走査イオン顕微鏡(SIM)によって表面観察を行い、下記評価基準に従って評価した。
A:プライマー層表面に、デスミア処理による浸食が観察されず、めっき付き回り性が良好に保持されると考えられる。
C:プライマー層表面に、デスミア処理による浸食が観察され、めっき付き回り性が低下すると考えられる。
【0066】
(4.めっきピール強度)
各例において、工程7のシード層を形成した後、工程8を経ずに、工程9で厚さ20μmの銅層を形成した。
次に、幅10mmで作製した回路パターンを測定サンプルとして、オートグラフAC-100C(株式会社島津製作所製、品番)を用いて、引き剥がし速度50mm/minの条件で、めっきピール強度を測定し、下記評価基準に従って評価した。
A:0.5kN/m以上のめっきピール強度を保持できている。
B:0.4kN/m以上且つ0.5kN/m未満のめっきピール強度を保持できている。
C:0.4kN/m以上のめっきピール強度を保持できていない。
【0067】
(5.ビアホール間の電気的接続信頼性)
まず、各例におけるプリント配線板の製造方法の工程12までを踏襲して、ビアホールの開口径が10μm、15μmの2通りについて、ビアホール間を286穴分導通して接続した試験片(サイズ:24.5mm×24.5mm)を作製した。
それから、当該試験片を110℃の熱板に設置した後、
図17(但し、
図17は簡略化しているため、ビアホールの数は正確には描かれておらず、実際には横に286個有する。)に示すように、全ビアホール上に被さるように7mm×7mmサイズのシリコンダイ13を試験片に載せ、試験片とシリコンダイとの間にアンダーフィル材14「CEL-C-3730Sシリーズ」(株式会社レゾナック製)を注入した後、10分間放置した。その後、130℃で4時間乾燥することによって試験片とシリコンダイとの間を封止し、ビアチェーン試験基板を作製した。
作製したビアチェーン試験基板について、左端の1つ目のビアホールと右端の286番目の最後のビアホールとの間の抵抗値を測定することによって、断線の有無を確認し、電気的接続可否について評価した。
また、下記のリフロー試験を実施後、さらに下記のホットオイル試験を実施してから、前記同様の測定を行い、断線の有無を確認することで、電気的接続信頼性について評価した。
断線が無かった場合を「A」、断線した場合を「C」、配線形成ができずに試験基板の作製自体が不可の場合は「D」と評価した。
<リフロー試験>
リフロー試験機「TAR30」(株式会社タムラ製作所製)を用いて、IPC/JEDEC J-STD-020Bに準じた条件で最高温度260℃のリフロー試験を窒素雰囲気下で3回実施した。
<ホットオイル試験>
リフロー試験後のビアチェーン試験基板について、「260℃のオイルバスに5秒間浸漬してから取り出し、20℃で20秒間放置する」ことを1サイクルとして、続けて合計100サイクル実施した。
【0068】
(6.配線幅/スペース(L/S)の保持性)
各例において作製したプリント配線板において、工程12におけるソルダーレジスト形成の前処理後に、下記評価基準に従ってL/Sの保持性を評価した。
A:L/S=5μm/5μmを保持し、且つL=5±0.5μmを保持できている。
B:評価Aには該当しないが、L/S=5μm/5μmを保持し、且つL=5±1.0μmを保持できている。
C:L=5±1.0μmを保持できていないため、L/Sも保持できていない。
D:配線が剥がれることにより、プリント配線板を作製できない。
【0069】
[実施例1](プライマー層を含む樹脂付き銅箔使用、工程1~4あり、フェトム秒レーザー、工程7;シード層0.15μm)
(銅張積層板の準備)
まず、多層用銅張積層板「MCL-E-705G」(株式会社レゾナック製、板厚0.4mm)の片面をサブトラクティブ法で回路パターンを形成した。次いで、積層前処理として、メルプレートHIST-7300(メルテックス株式会社製、商品名)に23℃、スプレー圧力0.14MPaの条件で120秒間処理し、支持基板を作製した。
当該支持基板の両面に、プライマー層を含む樹脂付き銅箔[株式会社レゾナック製、商品名「MCF770P」、構成:銅箔(厚み:1.5μm)/プライマー層(厚み:2.0μm)/樹脂層(厚み:25.0μm)]における樹脂層の面を積層プレス機によって230℃及び3MPaの条件で前記支持基板に貼り合わせることによって、前記支持基板の表面に樹脂層及びプライマー層を有する銅張積層板を作製した。
【0070】
(工程1:銅箔のエッチング処理工程)
前記方法によって作製した銅張積層板について、最外層の銅箔を下記方法に従ってエッチング除去して積層体を得た。
なお、銅箔のエッチング処理方法としては、10体積%硫酸-過酸化水素60ml/L-DLリンゴ酸100g/L浴に40℃で5分間浸漬した後、2分間水洗する方法を採用した。
【0071】
(工程2:第一の触媒の付着)
前記工程1で得た積層体に対して次の処理を行った。
クリーナー処理工程として、積層体を「クリーナーセキュリガント902」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に60℃で5分間浸漬した後、1分間湯洗し、さらに3分間水洗した。次に、中和処理工程として、積層体を5%硫酸溶液に30℃で0.5分間浸漬した後、1分間水洗した。続いて、無電解めっき用触媒による処理工程として、積層体を「プリディップネオガントB」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)20ml/L、98%硫酸1ml/Lの混合液に30℃で1分間浸漬し、さらに、「アクチベーターネオガント834」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)40ml/L、ほう酸水溶液5g/L、水酸化ナトリウム水溶液4g/Lの混合液に40℃で5分間浸漬した後、1分間水洗した。その後、還元処理工程で、「リデュサーネオガントWA」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)5ml/L、ほう酸5g/Lの混合液に30℃で5分間浸漬した後、0.5分間水洗することによって、第一の触媒が付着した積層体を得た。
なお、工程1における第一の触媒の付着量は、10mg/m2であった。
【0072】
(工程3:第二の触媒の付着)
還元剤を次亜リン酸ナトリウムとする無電解ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル・6水和物0.2g/L、次亜リン酸ナトリウム・1水和物30.0g/L、クエン酸三ナトリウム25g/L、ほう酸30g/Lの水溶液を準備した。当該無電解ニッケルめっき液は、水酸化ナトリウムを用いてpHを9に調整した。
こうして得られた無電解ニッケルめっき液に、前記工程2で得た積層体を35℃で10分間浸漬することによって、第一の触媒及び第二の触媒が付着した積層体を得た。
なお、工程2における第二の触媒の付着量は、100mg/m2であった。
【0073】
(工程4:無電解めっき層の形成)
還元剤を次亜リン酸ナトリウムとする無電解銅めっき液として、硫酸銅・5水和物2.4g/L、次亜リン酸ナトリウム・1水和物30.0g/L、クエン酸三ナトリウム25g/L、ほう酸30g/Lの水溶液を準備した。当該無電解銅めっき液のpHは、水酸化ナトリウムで9に調整した。
こうして得られた無電解銅めっき液に、工程3で得た積層体を65℃で浸漬させ、厚み0.3μmの無電解めっき層が得られるまで、無電解銅めっきを行った。
その後、水洗及び乾燥を行って、無電解めっき層を有する積層体を得た。
【0074】
次に、前記方法によって得られた無電解めっき層を有する積層体に対して、以下に示す方法によってビアホールを形成した後、回路パターンを形成した。
【0075】
(ビアホールの形成)
前記方法によって得られた無電解めっき層を有する積層体に対して、レーザー加工機として、フェトム秒レーザー加工機「LodeStone」(イー・エス・アイ・ジャパン株式会社製)を使用して、加工法「Punch」、出力1.0wの条件にて開口径10μmのビアホールを形成した。
また、加工法「Circle」、出力0.2wの条件にて開口径15μmのビアホールを形成した。
【0076】
(工程5:デスミア処理)
前記方法によってビアホールを形成した後、膨潤液であるスウェリングディップセキュリガントP(アトテックジャパン株式会社製、製品名)に75℃で5分浸漬した後、40℃で30秒間湯洗し、3分間水洗した。その後、アルカリ性の過マンガン酸カリウム液であるコンセントレートコンパクトCP(アトテックジャパン株式会社製、製品名)に80℃で15分浸漬した後、40℃で1分間湯洗し、3分間水洗した。次いで、還元液であるリダクションソリューションセキュリガントP500(アトテックジャパン株式会社製、製品名)に40℃で5分浸漬した後、3分間水洗することによってデスミア処理を行った。
【0077】
(工程6:無電解めっき層をエッチング処理によって除去するエッチング処理)
次に、10体積%硫酸-過酸化水素60ml/L-DLリンゴ酸100g/L浴に40℃で1分間浸漬した後、2分間水洗によって無電解めっき層のエッチング処理を行った。
【0078】
(工程7:シード層の形成)
前記工程6の後、積層体の表面に現れたプライマー層上及びビアホール側面上に、下記方法に従ってシード層を形成した。
はじめに、クリーナー処理工程として、「クリーナーセキュリガント902」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)に60℃で5分間浸漬した後、1分間湯洗し、さらに3分間水洗した。次に、中和処理工程として、5%硫酸溶液に30℃で0.5分間浸漬した後、1分間水洗した。続いて、無電解めっき用触媒による処理工程として、「プリディップネオガントB」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)20ml/L、98%硫酸1ml/Lの混合液に30℃で1分間浸漬し、さらに、「アクチベーターネオガント834」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)40ml/L、ほう酸水溶液5g/L、水酸化ナトリウム水溶液4g/Lの混合液に40℃で5分間浸漬した後、1分間水洗した。その後、還元処理工程で、「リデュサーネオガントWA」(アトテックジャパン株式会社製、商品名)5ml/L、ほう酸5g/Lの混合液に30℃で5分間浸漬した後、0.5分間水洗することによって、第一の触媒が付着した積層体を得た。なお、第一の触媒の付着量は、10mg/m2であった。
次に、還元剤を次亜リン酸ナトリウムとする無電解ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル・6水和物0.2g/L、次亜リン酸ナトリウム・1水和物30.0g/L、クエン酸三ナトリウム25g/L、ほう酸30g/Lの水溶液を準備した。当該無電解ニッケルめっき液は、水酸化ナトリウムを用いてpHを9に調整した。
こうして得られた無電解ニッケルめっき液に、前記第一の触媒が付着した積層体を35℃で10分間浸漬することによって、第一の触媒及び第二の触媒が付着した積層体を得た。なお、工程2における第二の触媒の付着量は、100mg/m2であった。
次に、還元剤を次亜リン酸ナトリウムとする無電解銅めっき液として、硫酸銅・5水和物2.4g/L、次亜リン酸ナトリウム・1水和物30.0g/L、クエン酸三ナトリウム25g/L、ほう酸30g/Lの水溶液を準備した。当該無電解銅めっき液のpHは、水酸化ナトリウムで9に調整した。
こうして得られた無電解銅めっき液に、第一の触媒及び第二の触媒が付着した積層体を65℃で浸漬させ、厚み0.15μmの無電解めっき層が得られるまで、無電解銅めっきを行った。
その後、水洗及び乾燥を行って、シード層を有する積層体を得た。
【0079】
(工程8:レジストパターンの形成)
前記工程7でシード層を形成した積層体を5%硫酸水溶液に0.5分間浸漬し、1分間水洗した。その後、80℃で20分間乾燥した。
乾燥後、直ちに、支持体付き感光性樹脂フィルムであるドライフィルムレジスト「RD-1619」(株式会社レゾナック製、品番)を常圧ラミネートによって、ロール圧力0.4MPa、処理温度120℃、搬送速度1.0m/sの条件でラミネートし、ドライフィルムレジスト層を形成した。
次に、ドライフィルムレジスト層を、直描露光機「DE-1UH」(ビアメカニクス株式会社製、品番)を用いて55mJ/cm2の条件で、所定のパターンで露光した。その1分後に、70℃で1分間、PEB(Post Exposure Bake)処理を行い、続いて、濃度1%の炭酸ナトリウムの現像液を用いて、スプレー圧0.17MPa、30℃で70秒間処理を行い、さらに酸素プラズマ灰化処理によって残渣を除去することによって、レジストパターンを形成した。
【0080】
(工程9:銅層の形成)
前記工程8でレジストパターンを形成した積層体を、5%硫酸溶液に30℃で10秒間浸漬させた。次いで、電解銅めっき液(硫酸銅五水和物200g/L、98%硫酸50g/L、塩化物イオン40mg/L、「Cu-Brite VF-IIA」(株式会社JCU製、商品名)20ml/L、「Cu-Brite VF-IIB」(株式会社JCU製、商品名)1ml/L)を用いて、23℃、1.0A/dm2で、電解銅めっき処理を行い、銅層を形成した。
【0081】
(工程10:レジストパターンの除去)
次に、前記工程9で銅層を形成した積層体に対して、「R-100S」(菱江化学株式会社製、商品名)100ml/L及び「R-101」(菱江化学株式会社製、商品名)100ml/Lの混合液を用いて、スプレー圧力0.15MPa、45℃で4分間処理を行い、レジストパターンを剥離した。その後、3分間水洗してから、180℃で60分間乾燥した。
【0082】
(工程11:シード層(Cu)の除去)
さらに、前記工程10でレジストパターンを除去した積層体に対して、硫酸-過酸化水素水エッチング液(98%硫酸100ml/L、DL-りんご酸100g/L、過酸化水素水10ml/L、1,2,3-ベンゾトリアゾール1g/L)を用いて、30℃、スプレー圧力0.14MPaの条件で、エッチング処理を行い、シード層(Cu)を除去した。
次に、硝酸-過酸化水素水エッチング液(硝酸100ml/L、DL-りんご酸100g/L、過酸化水素水10ml/L、1,2,3-ベンゾトリアゾール1g/L)を用いて、30℃、スプレー圧力0.14MPaの条件で、第一の触媒及び第二の触媒を除去した。このようにしてL/S=6/4μm(高さ8.5μm)の回路パターン及びビアチェーンパターンを形成した。
【0083】
(工程12:ソルダーレジストの形成)
前記工程11でL/S=6/4μm(高さ8.5μm)の回路パターン及びビアチェーンパターンを形成した積層体を、ソルダーレジスト形成の前処理として、メルプレートHIST-7300(メルテックス株式会社製、商品名)に23℃、スプレー圧力0.14MPaの条件で40秒間処理し、0.5μmエッチング処理して、L/S=5/5μm(高さ8.0μm)の回路パターンを形成した。
次いで、前記回路パターン上に、ソルダーレジストPSR-800 AUS SR-1(太陽インキ製造株式会社製、商品名)を、真空ラミネートMVLPシリーズ(株式会社日本製鋼所製、商品名)で、真空度3hPa、サイクル時間30秒後に、100℃、0.5MPa、サイクル時間30秒の条件でラミネートを行い、その後、80℃、0.8MPa、サイクル時間60秒の条件でプレス処理を行った。
次いで、露光機EV-800(株式会社アドテックエンジニアリング社製、商品名)で、開口パターンが描かれたガラスマスクを介して、500mJ/cm
2の条件で露光処理を行い、その後、1質量%炭酸ナトリウム溶液で、30℃、スプレー圧力0.15MPa、60秒の条件で現像処理、25℃、スプレー圧力0.10MPa、60秒の条件で水洗を行った。
次いで、高圧水銀灯1,000mJ/cm
2の条件でポストUVを行い、150℃、60分の条件でポストキュアを行い、ソルダーレジストを形成した。
以上のようにして、プリント配線板を作製した。各評価及び各測定の結果を表1に示す。なお、開口径10μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像を
図18に示し、開口径15μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像を
図19に示す。また、L/Sの保持性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像を
図21に示す。
【0084】
[比較例1](ビルドアップ材使用、工程1~4なし、フェトム秒レーザー、工程7;シード層の厚み0.7μm)
実施例1の銅張積層板の準備において、前記支持基板の両面に、ビルドアップフィルム(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名「ABF-GX-92」、樹脂層の厚み:25.0μm)を真空ラミネーターによって、1st ラバープレスで真空引き30秒後に、100℃及び0.5MPa、30秒の条件で、2nd SUSプレスで100℃及び0.6MPa/cm
2、60秒の条件で前記支持基板に貼り合わせることによって、前記支持基板の表面に樹脂層を有する銅張積層板を作製した。
次いで、工程1~4を経ずにビアホールの形成をし、且つ、工程7のシード層の厚みを0.7μmへ調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行うことによって、プリント配線板を作製した。但し、比較例1では、工程6は、内層銅表面のソフトエッチングとして機能することとなる。各評価及び各測定の結果を表1に示す。
なお、開口径10μmのビアホールにおける銅めっきの埋め込み性の評価及びビアホール充填性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像を
図20に示す。また、L/Sの保持性の評価で観察した走査イオン顕微鏡(SIM)画像を
図22に示す。
【0085】
[比較例2](ビルドアップ材使用、工程1~4なし、フェトム秒レーザー、工程7;シード層0.15μm)
比較例1の工程7のシード層形成において、厚み0.15μmの無電解めっき層を形成したこと以外は比較例1と同様の操作を行うことによって、プリント配線板を作製した。各評価及び各測定の結果を表1に示す。
【0086】
[参考例1](プリプレグ使用、工程1~4あり、フェトム秒レーザー、工程7;シード層0.15μm)
実施例1の銅張積層板の準備において、前記支持基板の両面に、プリプレグ(株式会社レゾナック製、商品名「GEA-770G」)及びプライマー(絶縁材料)付き銅箔(銅箔の厚み:1.5μm)のプライマー面を積層プレス機によって230℃及び3MPaの条件で前記プリプレグに貼り合わせることによって、前記支持基板の表面にプリプレグ及びプライマー層を有する銅張積層板を作製したこと以外は実施例1と同様の操作を行うことによって、プリント配線板を作製した。各評価及び各測定の結果を表1に示す。
【0087】
【0088】
実施例1では、開口径10μm及び15μmのビアホールも形成でき、銅めっきの埋め込み性、ビアホール充填性及びめっきピール強度に優れ、ビアホール間の電気的接続信頼性が高く、配線幅/スペース(L/S)を保持できた。
一方、工程1~工程4を経ずにビアホールの形成を行った比較例1では、L/Sの保持性が大幅に悪化した。
また、同じく工程1~工程4を経ずにビアホールの形成を行った比較例2では、銅めっきの埋め込み性、ビアホール充填性、めっきピール強度が大幅に悪化し、配線形成が不可能となった。
なお、実施例1において樹脂層をプリプレグへ変更した参考例1では、ビアホールの開口径を15μm以下にすると、銅めっきの埋め込み性、ビアホール充填性、めっきピール強度が大幅に悪化し、配線形成が不可能となることが分かった。