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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065281
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】発光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0233 20210101AFI20240508BHJP
   H01S 5/02335 20210101ALI20240508BHJP
   H01S 5/0234 20210101ALI20240508BHJP
   H01S 5/02355 20210101ALI20240508BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01S5/0233
H01S5/02335
H01S5/0234
H01S5/02355
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174053
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭宏
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC01
5F173MD58
5F173MD62
5F173MD63
5F173MD64
5F173MD65
5F173MD84
5F173ME44
5F173ME47
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な発光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置は、複数の導電部材が設けられた主面を有する支持基板と、支持基板の主面に支持された第1の面発光型レーザ素子と、フレキシブルプリント基板とを有する。第1の面発光型レーザ素子は、支持基板側の第1下面および第1下面と反対側の第1上面を有し、第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、第1上面に設けられた複数の第1電極を有する。フレキシブルプリント基板は、第1の面発光型レーザ素子の第1上面および支持基板の主面に接続され、第1電極と導電部材とを電気的に接続する配線層を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電部材が設けられた主面を有する支持基板と、
前記支持基板の前記主面に支持された第1の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子と、
前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面および前記支持基板の前記主面に接続され、前記第1電極と前記導電部材とを電気的に接続する配線層を有するフレキシブルプリント基板と
を有する、発光装置。
【請求項2】
前記第1の面発光型レーザ素子の活性層は、前記第1下面よりも前記第1上面に近く配置されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1下面は、接合層を介して前記支持基板の前記主面に接合されている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記主面の法線方向からみた平面視において、前記第1出射領域を露出する開口部を有する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面における前記第1出射領域以外の領域を少なくとも部分的に覆っている、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面の上に配置される第1部分と、前記第1部分以外の第2部分とを有し、
前記支持基板の前記主面の法線方向からみた平面視において、前記第2部分の面積は前記第1部分の面積よりも大きい、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1上面は、複数の前記第1出射領域を含み、
前記複数の第1電極のそれぞれは、前記複数の第1出射領域のいずれかから前記第1の光を出射させるように設けられており、
前記複数の第1電極のそれぞれは、前記複数の導電部材のうちの対応する導電部材と電気的に接続される、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項8】
前記支持基板の前記主面に支持された第2の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第2下面および前記第2下面と反対側の第2上面を有し、前記第2上面は第2の光を出射する第2出射領域を含み、前記第2下面に設けられた複数の第2電極を有する、第2の面発光型レーザ素子をさらに有する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第2の面発光型レーザ素子の活性層は、前記第2上面よりも前記第2下面に近く配置されている、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2電極は、前記支持基板の前記主面に設けられた複数の他の導電部材と電気的に接合されている、請求項8に記載の発光装置。
【請求項11】
前記支持基板の前記主面に支持された第3の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第3下面および前記第3下面と反対側の第3上面を有し、前記第3上面は第3の光を出射する第3出射領域を含み、前記第3下面に設けられた第3電極を有する、第3の面発光型レーザ素子をさらに有する、請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1の光は、赤色の光であり、
前記第2の光は、青色または緑色の一方の光であり、
前記第3の光は、青色または緑色の他方の光である、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子を用意する工程と、
主面を有する支持基板を用意する工程と、
配線層を有するフレキシブルプリント基板を用意する工程と、
前記第1電極が前記配線層に電気的に接続されるように、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程と、
前記第1上面に前記フレキシブルプリント基板が接合された前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1下面を、接合層を介して前記支持基板の前記主面に接合する工程と、
前記第1電極と前記支持基板の前記主面に設けられた複数の導電部材とが前記配線層を介して電気的に接続されるように、前記フレキシブルプリント基板と前記支持基板の前記主面とを接合する工程と
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記フレキシブルプリント基板は、開口部を有し、
前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程において、前記第1出射領域が前記開口部によって露出されるように、前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する、請求項13に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程において、前記第1上面と前記配線層とが対向するように、前記第1の面発光型レーザ素子よりも鉛直方向下方に配置した前記フレキシブルプリント基板に、前記第1上面を接合する、請求項13または14に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1下面を前記支持基板の前記主面に接合する工程において、前記第1下面と前記主面とが対向するように、前記第1の面発光型レーザ素子よりも鉛直方向下方に配置した前記支持基板に、前記第1下面を接合する、請求項13または14に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;以下、「VCSEL」と称する。)素子を備える発光装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-146979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
VCSEL素子のような面発光型レーザ素子を備える発光装置の小型化が求められている。
【0005】
本開示は、小型化が可能な発光装置およびそのような発光装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発光装置は、例示的な実施形態において、複数の導電部材が設けられた主面を有する支持基板と、前記支持基板の前記主面に支持された第1の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子と、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面および前記支持基板の前記主面に接続され、前記第1電極と前記導電部材とを電気的に接続する配線層を有するフレキシブルプリント基板とを有する。
【0007】
本開示の発光装置の製造方法は、例示的な実施形態において、第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子を用意する工程と、主面を有する支持基板を用意する工程と、配線層を有するフレキシブルプリント基板を用意する工程と、前記第1電極が前記配線層に電気的に接続されるように、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程と、前記第1上面に前記フレキシブルプリント基板が接合された前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1下面を、接合層を介して前記支持基板の前記主面に接合する工程と、前記第1電極と前記支持基板の前記主面に設けられた複数の導電部材とが前記配線層を介して電気的に接続されるように、前記フレキシブルプリント基板と前記支持基板の前記主面とを接合する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態によれば、小型化が可能な発光装置およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による発光装置の構成例を模式的に示す上面図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による発光装置の構成例を模式的に示す断面図である。
図3A図3Aは、本開示の例示的な実施形態による発光装置が有する第1の面発光型レーザ素子の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3B図3Bは、本開示の例示的な実施形態による発光装置が有する第1、第2および第3の面発光型レーザ素子を+Z方向から見たときの模式的な平面図である。
図3C図3Cは、本開示の例示的な実施形態による発光装置が有する第1、第2および第3の面発光型レーザ素子を-Z方向から見たときの模式的な平面図である。
図3D図3Dは、本開示の例示的な実施形態による発光装置が有する第1の面発光型レーザ素子を+Z方向から見たときの模式的な平面図である。
図4図4は、図1に示す発光装置から第2および第3の面発光型レーザ素子を除いて示す、+Z方向から見たときの模式的な平面図である。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態による発光装置が有する支持基板を-Z方向から見た模式的な平面図である。
図6A図6Aは、フレキシブルプリント基板の構成例を模式的に示す斜視図である。
図6B図6Bは、フレキシブルプリント基板の構成例を模式的に示す平面図である。
図6C図6Cは、フレキシブルプリント基板の構成例を模式的に示す断面図である。
図6D図6Dは、フレキシブルプリント基板の構成例を模式的に示す斜視図であり、図6Aに示す構成に第1の面発光型レーザ素子を加えて示す斜視図である。
図7A図7Aは、本開示の例示的な実施形態による発光装置の製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。
図7B図7Bは、本開示の例示的な実施形態による発光装置の製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。
図7C図7Cは、本開示の例示的な実施形態による発光装置の製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。
図8図8は、本開示の例示的な実施形態による発光装置の変形例を模式的に示す断面図である。
図9図9は、第1の面発光型レーザ素子の一部の構成例を模式的に示す断面図である。
図10図10は、第2の面発光型レーザ素子の一部の構成例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態による発光装置を説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を示す。
【0011】
以下は、本発明の技術思想を具体化するために例示しているのであって、本発明を以下に限定しない。また、構成要素のサイズ、材質、形状、その相対的配置などの記載は、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさや位置関係などは、理解を容易にするなどのために誇張している場合がある。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当する構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。
【0013】
[発光装置100A]
図1および図2を参照して、本開示の例示的な実施形態による発光装置の構成例を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態による発光装置100Aの構成例を模式的に示す上面図である。図2は、発光装置100Aの模式的な断面図であり、図1のA-A線に沿った断面図である。図面では、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。X軸の矢印の方向を+X方向と称し、その反対の方向を-X方向と称する。±X方向を区別しない場合、単にX方向と称する。±Y方向および±Z方向についても同様である。
【0015】
図1および図2に例示する発光装置100Aは、主面10s1を有する支持基板10と、支持基板10の主面10s1に支持された複数の面発光型レーザ素子20a、20b、および20cとを有する。以下、面発光型レーザ素子20a、20b、および20cを総称して、「面発光型レーザ素子20」ということがある。また、それぞれを区別するため、「第1の面発光型レーザ素子20a」、「第2の面発光型レーザ素子20b」、および「第3の面発光型レーザ素子20c」ということがある。なお、第2の面発光型レーザ素子20bおよび第3の面発光型レーザ素子20cは、必須ではなく、いずれか一方または両方が省略されてもよい。
【0016】
本実施形態において、支持基板10に対する第1の面発光型レーザ素子20aの実装の向きは、支持基板10に対する第2の面発光型レーザ素子20bおよび第3の面発光型レーザ素子20cの実装の向きとは反対である。のちに詳しく説明するように、第1の面発光型レーザ素子20aの実装の向きは、「フェイスアップ」と呼ばれる。これに対して、第2の面発光型レーザ素子20bおよび第3の面発光型レーザ素子20cの実装の向きは、「フェイスダウン」と呼ばれる。本実施形態においては、後述する図9および図10に示すように、第1の面発光型レーザ素子20aの複数の第1電極22a、第2の面発光型レーザ素子20bの複数の第2電極22bおよび第3の面発光型レーザ素子20cの複数の第3電極22cが、半導体基板201(図9図10参照)側ではなく、半導体基板201とは反対側に配置されている。本実施形態においては、第1の面発光型レーザ素子20aの複数の第1電極22aは、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1に設けられており、第2の面発光型レーザ素子20bの複数の第2電極22bは、第2の面発光型レーザ素子20bの第2下面20bs2に設けられており、第3の面発光型レーザ素子20cの複数の第3電極22cは、第3の面発光型レーザ素子20cの第3下面20cs2に設けられている。
【0017】
支持基板10の主面10s1には、第1の面発光型レーザ素子20aに電気的に接続される複数の導電部材18aと、第2の面発光型レーザ素子20bに電気的に接続される複数の導電部材18bと、第3の面発光型レーザ素子20cに電気的に接続される複数の導電部材18cとが設けられている。複数の導電部材18a、18bおよび18cを総称して、「複数の導電部材18」ということがある。
【0018】
発光装置100Aは、第1の面発光型レーザ素子20aを複数の導電部材18aに電気的に接続するフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:FPC)50をさらに有している。フレキシブルプリント基板50の構成例の詳細については、後述する。
【0019】
第1の面発光型レーザ素子20aは、支持基板10側の第1下面20as2と、第1下面20as2と反対側の第1上面20as1とを有する。面発光型レーザ素子20aは、第1上面20as1に設けられた複数の第1電極22aを有する。フレキシブルプリント基板50は、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1と支持基板10の主面10s1とに接続され、複数の第1電極22aと複数の導電部材18aとを電気的に接続する配線層を有する。複数の導電部材18aは、支持基板10が有する複数の配線を介して、発光装置の外部の給電装置に電気的に接続され得る。給電用の複数の導電部材18aが、フレキシブルプリント基板50を介して、面発光型レーザ素子20aの複数の第1電極22aと電気的に接続されることによって、面発光型レーザ素子20aを給電できる。フレキシブルプリント基板50は、後述するように、配線層を支持するフレキシブル基材を有しており、配線層に含まれる複数の配線のピッチは50μm以下であり得る。
【0020】
本明細書において、支持基板10の主面10s1(「上面10s1」ということがある。)の法線方向を「上方」と称し、主面10s1の法線方向から見ることを「上面視」と称することがある。本明細書において、「平行」とは、厳密に平行である場合だけでなく、-5°以上5°以下の角度のずれがある場合も含む。
【0021】
発光装置100Aは、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1に設けられた複数の第1電極22aと、複数の導電部材18aとの電気的接続を、フレキシブルプリント基板50を用いて行うので、複数のワイヤを用いる場合に比べて小型化することが可能である。これらの電気的接続を、フレキシブルプリント基板50に代えて複数のワイヤを用いて行う場合、隣接するワイヤ間の距離(ピッチ)を例えば80μm程度以上にする必要がある。
【0022】
特に、複数の出射領域(マルチエミッタ)を有する面発光型レーザ素子20aを用いた場合、フレキシブルプリント基板50を用いることによって、例えば複数のワイヤを用いる場合に比べて、複数の出射領域を狭ピッチで配置することができる。出射領域の数が増えると、それに伴って面発光型レーザ素子20aが有する第1電極22aの数も増加するので、ワイヤを用いた場合、接続のための広いスペースが必要になり、発光装置の十分な小型化が難しい。これに対して、発光装置100Aでは、フレキシブルプリント基板50を用いることによって、狭ピッチで配列された多数の第1電極22aを支持基板10上の導電部材18aに接続することができる。その結果、面発光型レーザ素子20aの出射領域の個数増加、出射領域の集積(すなわち狭ピッチ化)を実現することが可能になる。
【0023】
第1の面発光型レーザ素子20aから出射される第1レーザ光、第2の面発光型レーザ素子20bから出射される第2レーザ光、および、第3の面発光型レーザ素子20cから出射される第3レーザ光の波長は、互いに異なり得る。例えば、第1レーザ光は赤色の光であり、第2レーザ光は緑色または青色の一方の光であり、第3レーザ光は緑色または青色の他方の光である。
【0024】
発光装置100Aは、図8に示す例のように、支持基板10に固定されたキャップ60をさらに有してもよい。図8は、発光装置100Aの他の構成例を模式的に示す断面図である。キャップ60は、1または複数の面発光型レーザ素子20を囲む側壁部62と、側壁部62に支持された蓋部64とを有する。図示される例における側壁部62は、面発光型レーザ素子20a、20bおよび20cを囲む。支持基板10およびキャップ60によって、面発光型レーザ素子20が気密に封止されていることが発光装置100Aの信頼性の観点から好ましい。このような気密封止の利点は、面発光型レーザ素子20から出射されるレーザ光の波長が短くなるほど高くなる。レーザ光の波長が短くなると、当該レーザ光を出射する部分に集塵が生じやすくなり、その結果レーザ光の出力が低下するからである。
【0025】
キャップ60は、例えば、側壁部62および/または蓋部64に、1または複数の面発光型レーザ素子20から出射されるレーザ光を透過させる透光性領域を有する。図示される例では、蓋部64が、面発光型レーザ素子20aから出射される第1レーザ光、面発光型レーザ素子20bから出射される第2レーザ光、および、面発光型レーザ素子20cから出射される第3レーザ光を透過させる透光性領域を有する。透光性領域は、少なくとも蓋部64に設けられていることが好ましい。側壁部62および蓋部64の全てが透光性材料から形成されていてもよい。
【0026】
以下、各構成要素の詳細を説明する。なお、以下で説明する面発光型レーザ素子20の数、各面発光型レーザ素子20の発振波長、各面発光型レーザ素子20が有する出射領域(エミッタ)の数および配置、各面発光型レーザ素子20が有する発光領域の数および配置、各面発光型レーザ素子20が有する電極の数、配置、および形状、支持基板10が有する配線の数、配置、および形状、等はすべて例示である。面発光型レーザ素子20の数は1または複数であり得る。面発光型レーザ素子20の数が複数である場合、複数の面発光型レーザ素子20の発振波長は互いに異なっていてもよいし、すべて同じであってもよい。あるいは、複数の面発光型レーザ素子20のうちのいくつかの発振波長が同じであってもよい。各面発光型レーザ素子20における出射領域の数は1または複数であり得る。出射領域の数が複数である場合、複数の出射領域は支持基板10の上面10s1に沿って1次元的または2次元的に配置され得る。電極および配線における正極および負極の関係は逆であってもよい。
【0027】
[面発光型レーザ素子20a]
図1図2図3A図3Bおよび図3Dを参照して面発光型レーザ素子20aの構成例を説明する。図3Aは、発光装置100Aが有する面発光型レーザ素子20aの構成例を模式的に示す斜視図である。図3Bは、発光装置100Aが有する面発光型レーザ素子20a、20bおよび20cを上方から(すなわち+Z方向から)見たときの模式的な平面図である。図3Dは、発光装置100Aが有する面発光型レーザ素子20aをより詳細に示す、上方から(すなわち+Z方向から)見たときの模式的な平面図である。
【0028】
面発光型レーザ素子20aは、上面発光が可能な面発光型レーザ素子であり、例えばVCSEL素子である。面発光型レーザ素子20aは、VCSEL素子の他に、例えばフォトニック結晶面発光レーザ素子であってもよい。面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1は、第1の光(第1レーザ光)を出射する複数の第1出射領域21aRを含む。面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1の第1出射領域21aRから上方に向けて第1レーザ光が出射される。面発光型レーザ素子20aは、複数のエミッタを有するマルチエミッタである。図示される例では、面発光型レーザ素子20aは、6個の第1出射領域21aRを有するが、面発光型レーザ素子20aが有する出射領域(エミッタ)の数は、5個以下であってもよく、7個以上であってもよい。なお、面発光型レーザ素子20aは、1のエミッタを有するシングルエミッタであってもよい。第1レーザ光は、例えば、発振波長が605nm以上750nm以下の赤色の光である。
【0029】
第1の面発光型レーザ素子20aの活性層は、第1下面20as2よりも第1上面20as1に近く配置されている。面発光型レーザ素子20aは、半導体基板201(後述する図9参照)が下側になるように、いわゆるフェイスアップの状態で支持基板10の主面10s1に実装されている。すなわち、第1の面発光型レーザ素子20aは、フェイスアップ実装されている。
【0030】
図3A図3Bおよび図3Dに示すように、第1の面発光型レーザ素子20aは、第1上面20as1に、第1正電極22apおよび第1負電極22anを備える。第1正電極22apおよび第1負電極22anを総称して「第1電極22a」ということがある。第1正電極22apおよび第1負電極22anのそれぞれは、1または複数設けられ得る。図示される例では、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1は、6個の第1出射領域21aRを有する。6個の第1出射領域21aRのそれぞれから第1レーザ光を出射させるための、6個の第1出射領域21aRにそれぞれ対応する6個の第1正電極22apと、2個の第1負電極22anとが、第1上面20as1に設けられている。図3Dに示すように、第1負電極22anは、上面視で、複数の第1出射領域21aRをそれぞれ囲む複数のC字状(切れ目を有する略リング形状)の部分と、当該複数のC字状の部分から延びる直線部分とを有する。第1正電極22apおよび第1負電極22anのそれぞれは、対応する導電部材18aと電気的に接続されている。なお、図3A図3Bおよび図3Dは、第1電極22aの一例を示しているに過ぎず、第1の面発光型レーザ素子20aが有する第1正電極22apおよび第1負電極22anの数、形状、配置等は、図示される例に限定されない。また、本開示の実施形態では、第1の面発光型レーザ素子20aが有する第1正電極22apおよび第1負電極22anはすべて第1上面20as1に設けられているが、一部が第1下面20as2に設けられていてもよい。複数の第1電極22aは、複数の正電極のみを含んでいてもよいし、複数の負電極のみを含んでいてもよい。複数の第1出射領域21aRのそれぞれと電気的に接続される共通の第1正電極を備える面発光型レーザ素子を用いることもできる。すなわち、面発光型レーザ素子20aが有する正電極の数は1個であってもよい。また同様に負電極の数が1個であってもよい。
【0031】
第1の面発光型レーザ素子20aが有する複数の第1出射領域21aRは、上面視において、2次元に配列されていてもよい。複数の第1出射領域21aRは、上面視において、行および列を有するマトリクス状に配列され得る。図示される例では、6個の第1出射領域21aRが、2行3列に配列されている。複数の第1出射領域21aRは、上面視において、1次元に(すなわち直線状に)配列されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
【0032】
面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2は、接合層32を介して支持基板10の主面10s1に接合されている。第1の面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2は、支持基板10の主面10s1に、例えば、はんだ付け、焼結、またはろう付けが可能な接合材で接合され得る。はんだ付けでは、はんだを昇温によって溶融し、降温によって固化させることにより、部材同士が接合される。焼結では、金属の粒子を含む金属ペースト、または金属の粉末を、当該金属の融点よりも低い温度で加熱して焼き固めることにより、部材同士が接合される。はんだ付けが可能な接合材は、例えばAuSn、SnCu、SnAg、およびSnAgCuからなる群から選択される少なくとも1つの合金であり得る。焼結が可能な接合材は、例えばAg粒子、Cu粒子、およびAu粒子からなる群から選択される少なくとも1種類の粒子を含む金属ペーストであり得る。ろう付けが可能な接合材は、例えば、金ろう材、錫ろう材、および銀ろう材からなる群から選択される少なくとも1つのろう材であり得る。また、接着剤やACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)などを用いてもよい。
【0033】
[面発光型レーザ素子20bおよび20c]
次に、図3Cをさらに参照して面発光型レーザ素子20bおよび20cの構成例を説明する。図3Cは、発光装置100Aが有する面発光型レーザ素子20a、20bおよび20cを下方から(すなわち-Z方向から)見たときの模式的な平面図である。
【0034】
面発光型レーザ素子20bおよび面発光型レーザ素子20cは、上面発光が可能な面発光型レーザ素子であり、例えばVCSEL素子である。面発光型レーザ素子20bおよび面発光型レーザ素子20cの一方または両方は、VCSEL素子に限定されず、例えばフォトニック結晶面発光レーザ素子であってもよい。図3Bに示すように、面発光型レーザ素子20bの第2上面20bs1の複数の第2出射領域21bRから上方に向けて第2レーザ光が出射され、面発光型レーザ素子20cの第3上面20cs1の複数の第3出射領域21cRから上方に向けて第3レーザ光が出射される。面発光型レーザ素子20bおよび20cは、2つ以上のエミッタ(出射領域)を有するマルチエミッタであるが、1のエミッタを有するシングルエミッタであってもよい。図示される例では、面発光型レーザ素子20cは、面発光型レーザ素子20bと同様の構造を有し、面発光型レーザ素子20bと同様の半導体材料から形成され得る。特に断らない限り、面発光型レーザ素子20bについての説明は、面発光型レーザ素子20cについてもあてはまる。
【0035】
面発光型レーザ素子20bは、支持基板10側の第2下面20bs2および第2下面20bs2と反対側の第2上面20bs1を有し、第2上面20bs1は第2の光(第2レーザ光)を出射する複数の第2出射領域21bRを含む。第2レーザ光は、例えば、発振波長が495nm以上570nm以下の緑色の光である。
【0036】
面発光型レーザ素子20bの活性層は、第2上面20bs1よりも第2下面20bs2に近く配置されており、半導体基板201(後述する図10参照)が上側になるように、いわゆるフェイスダウンの状態で支持基板10の主面10s1に実装されている。すなわち、面発光型レーザ素子20bはフェイスダウン実装されている。面発光型レーザ素子20bの第2下面20bs2には、正電極および負電極(第2電極22bと総称することがある。)が設けられている。第2電極22bのそれぞれは、支持基板10の主面10s1に設けられた複数の導電部材18のうちの対応する導電部材18bと電気的に接合されている。
【0037】
本開示の実施形態では、面発光型レーザ素子20cは、面発光型レーザ素子20bと同様の構造を有する。面発光型レーザ素子20cは、支持基板10側の第3下面20cs2および第3下面20cs2と反対側の第3上面20cs1を有し、第3上面20cs1は第3の光(第3レーザ光)を出射する複数の第3出射領域21cRを含む。第3レーザ光は、例えば、発振波長が420nm以上494nm以下の青色の光である。面発光型レーザ素子20cの活性層は、第3上面20cs1よりも第3下面20cs2に近く配置されており、いわゆるフェイスダウンの状態で支持基板10の主面10s1に実装されている。すなわち、面発光型レーザ素子20cは、フェイスダウン実装されている。面発光型レーザ素子20cの第3下面20cs2には、正電極および負電極(第3電極22cと総称することがある。)が設けられている。第3電極22cのそれぞれは、支持基板10の主面10s1に設けられた複数の導電部材18のうちの対応する導電部材18cと電気的に接合されている。
【0038】
なお、面発光型レーザ素子20bおよび/または面発光型レーザ素子20cは、図示される例に限られず、例えば、面発光型レーザ素子20aと同様に半導体基板201(後述する図10参照)が下側になるように、フェイスアップ実装されていてもよい。
【0039】
[支持基板10]
図4および図5を参照して支持基板10の構成例を説明する。図4は、発光装置100Aを上方から(すなわち+Z方向から)みた模式的な平面図であり、図1に示す構成から、発光装置100Aが有する第2の面発光型レーザ素子20bおよび第3の面発光型レーザ素子20cを除いたときの上面図である。図5は、支持基板10の下面10s2を下方から(すなわち-Z方向から)見た模式的な平面図である。
【0040】
支持基板10は、全体として、例えば矩形、円形、または楕円形の平板形状を有し得る。支持基板10は、主面10s1(上面10s1)と、主面10s1と反対側の主面10s2(下面10s2と)を有する。
【0041】
支持基板10は、上面10s1に、上述したように、各面発光型レーザ素子20に給電するための、互いに電気的に独立な複数の導電部材18を有する。支持基板10は、図4に示すように、上面10s1に、面発光型レーザ素子20bに給電するための複数の電極16bと、面発光型レーザ素子20cに給電するための複数の電極16cとを有する。複数の電極16bのそれぞれは、第2の面発光型レーザ素子20bの第2下面20bs2に設けられた複数の第2電極22bのいずれかに電気的に接続され、複数の電極16cのそれぞれは、第3の面発光型レーザ素子20cの第3下面20cs2に設けられた複数の第3電極22cのいずれかに電気的に接続される。図示される例では、8個の第2電極22bに対応して8個の電極16bが設けられ、8個の第3電極22cに対応して8個の電極16cが設けられている。複数の電極16bのそれぞれは、支持基板10の上面10s1に設けられた対応する配線14bを介して、複数の導電部材18bのいずれかと電気的に接続され、複数の電極16cのそれぞれは、支持基板10の上面10s1に設けられた対応する配線14cを介して、複数の導電部材18cのいずれかと電気的に接続される。複数の電極16bのそれぞれは、対応する配線14bと一体として、支持基板10の上面10s1に形成されていてもよく、複数の電極16cのそれぞれは、対応する配線14cと一体として、支持基板10の上面10s1に形成されていてもよい。
【0042】
支持基板10は、それぞれが、上面10s1から下面10s2までZ方向に延びる複数の内部配線11(図5参照)を有する。図5に示すように、複数の内部配線11のそれぞれの下面10s2において露出された部分は、対応する引出部13を介して、複数の端子電極15のいずれかと電気的に接続される。複数の端子電極15は、発光装置の外部の給電装置と電気的に接続され得る。複数の端子電極15のそれぞれは対応する引出部13と一体として、支持基板10の下面10s2に形成されていてもよい。複数の内部配線11のそれぞれの上面10s1において露出された部分が、対応する導電部材18と電気的に接続(例えばバンプ接続)される。導電部材18は、Auのような金属材料を含む接合部材によって形成され得る。
【0043】
内部配線11、引出部13、端子電極15、配線14b、14c、電極16b、16cは、例えば、Ag、Cu、W、Au、Ni、Pt、Pdからなる群から選択される少なくとも1つの金属から形成され得る。支持基板10のうち、上記の配線や電極以外の部分は、例えば、AlN、SiC、SiNおよびアルミナからなる群から選択される少なくとも1つを含むセラミック、またはAg、Cu、W、Au、Ni、Pt、Pdからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属またはその合金および絶縁層から形成され得る。セラミックから形成される場合、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramic:低温同時焼成セラミック)を用いてもよい。支持基板10のX方向およびY方向のそれぞれにおける寸法は、例えば2mm以上100mm以下であり、Z方向における寸法は、例えば0.3mm以上3.0mm以下であり得る。
【0044】
[フレキシブルプリント基板(FPC)50]
図6A図6B図6Cおよび図6Dを参照して、フレキシブルプリント基板50を説明する。これらの図におけるフレキシブルプリント基板50の形状は、図1および図2の発光装置100からフレキシブルプリント基板50を抜き出した状態の形状に対応しているが、フレキシブルプリント基板50は、それ自体では柔軟性を有しているため、重力その他の外力に応じて変形され得る。また、図では、フレキシブルプリント基板50が急峻に折れ曲がった屈曲部を有するように記載されているが、フレキシブルプリント基板50は緩やかに湾曲し得る。図6A図6B図6Cおよび図6Dには、フレキシブルプリント基板50とともに、第1電極22aおよび導電部材18aが記載されている。また、図6Dには、図6Aの構成に加えて、フレキシブルプリント基板50に接続された第1の面発光型レーザ素子20aも記載されている。簡単のため、図6Aおよび図6Dでは、フレキシブルプリント基板50の有する配線層52の図示を省略する。
【0045】
フレキシブルプリント基板50は、プラスチックから形成されたフレキシブル基材51と、フレキシブル基材51に支持された配線層52とを有する。配線層52は、図6Bに示されるように、複数の配線52wを含む。配線層52は、例えば銅箔のような薄い導電層から形成され得る。配線52wは、フレキシブル基材51上の導電層をパターニングすることによって任意の配線形状を有するように形成され得る。
【0046】
フレキシブル基材51の厚さは、例えば10μmから50μmまでの範囲にある。配線層52の厚さ(配線52wの厚さに等しい)は、例えば、フレキシブル基材51の厚さと同程度である。フレキシブルプリント基板50は、加工性に優れるため、種々の形状に加工され得る。配線層52に含まれる複数の配線52wによって、面発光型レーザ素子20aの複数の第1電極22aのそれぞれは、複数の導電部材18のうちの対応する導電部材18と電気的に接続される。フレキシブルプリント基板50は柔軟性を有し、軽量である。図6Bに示されるフレキシブルプリント基板50では、面発光型レーザ素子20aに接続される領域における配線52wのピッチ(P0)は、支持基板10の導電部材18に接続される領域における配線52wのピッチ(P1)よりも小さい。ピッチP0は、面発光型レーザ素子20aの第1電極22aとの接続に適した大きさに設定され得る。ピッチP0は、例えば50μm以下であり、10μm以上30μm以下の範囲内にあり得る。これに対して、ピッチP1は、支持基板10上の導電部材18との接続に適した大きさに設定され得る。ピッチP1は、例えば50μmを超え、例えば100μm以上であってもよい。このように、フレキシブルプリント基板50を用いることにより、ピッチP0をピッチP1に拡大(変換)する機能が実現する。また、支持基板10の主面10s1に設けられた導電部材18と、面発光型レーザ素子20aの第1電極22aとの間には、支持基板10の主面10s1からの高さに数100μmの差異が存在するが、フレキシブルプリント基板50であれば、この差異の大きさに応じて柔軟に変形するため、面発光型レーザ素子20aのサイズによらず、信頼性の高い実装が可能になる。
【0047】
なお、配線層52は、フレキシブル基材51の両面に設けられ得る。フレキシブルプリント基板50が多層配線構造を有している場合、配線52wのレイアウトの自由度が向上するため、面発光型レーザ素子20aの第1電極22aの個数の増加に対応しやすい。フレキシブルプリント基板50と面発光型レーザ素子20および支持基板10との接続は、導電性を有する材料を用いて、公知の方法によって接続することができる。
【0048】
フレキシブルプリント基板50は、図1に示す例では、支持基板10の主面10s1の法線方向からみた平面視において、第1出射領域21aRを露出する開口部50hを有する。すなわち、フレキシブルプリント基板50は、支持基板10の主面10s1の法線方向からみた平面視において、第1出射領域21aRと重ならない。フレキシブルプリント基板50は、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1における第1出射領域21aR以外の領域を少なくとも部分的に覆っている。フレキシブルプリント基板50が、第1出射領域21aRを露出する開口部50hを有する場合、第1出射領域21aRから出射される第1レーザ光の形状(ビーム形状)の乱れる可能性が低減される。また、フレキシブルプリント基板50が、第1上面20as1における第1出射領域21aR以外の領域を少なくとも部分的に覆っていることにより、フレキシブルプリント基板50(フレキシブル基材)が迷光を吸収し、迷光の発生を低減することができる。
【0049】
フレキシブルプリント基板50のうち、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1の上に配置される部分を第1部分50aとし、第1部分50a以外の部分を第2部分50bとしたとき、支持基板10の主面10s1の法線方向からみた平面視において、第2部分50bの面積は、第1部分50aの面積よりも大きい(図6B)。フレキシブルプリント基板50は、支持基板10の主面10s1の法線方向からみた平面視において、ピッチP1(例えば100μm以上)を、ピッチP0(例えば10μm以上30μm以下)よりも大きくすることができる形状を有している。ピッチP1は、ピッチP0の、例えば3倍以上30倍以下である。また、配線52wの幅は、第1部分50aおよび第2部分50bにおいて略同じ幅であってもよいし、第1部分50a側から第2部分50b側に向けて広がるようなテーパ形状を有してもよい。第1部分50aは、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1と実質的に平行であり得る。図示される例では、開口部50hが、フレキシブルプリント基板50の第1部分50aに設けられているが、開口部50hは省略されてもよい。すなわち、第1部分50aは、上面視において、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1を覆うように設けられていてもよい。
【0050】
また、図示される例では、第2部分50bは、面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1と実質的に平行な平行部分50b2と、平行部分50b2と第1部分50aとをつなぐ連結部分50b1とを有する。第2部分50b(または平行部分50b2)は、上面視において、複数の導電部材18のうち、面発光型レーザ素子20aの第1電極22aと接続される導電部材18aを覆うように形成される。第2部分50bは、上面視において、複数の導電部材18のうち、面発光型レーザ素子20bの第2電極22bと接続される導電部材18bおよび面発光型レーザ素子20cの第3電極22cと接続される導電部材18cを露出するように形成される。
【0051】
[キャップ60]
側壁部62は、例えば上面視で矩形、円形、または楕円形であり得る。図示される例では、側壁部62は、上面視で略矩形であり、側壁部62の外周面62oは、例えば、Z方向に平行な平面である。側壁部62の内周面62iは、Z方向に平行な平面であってもよいし、図示される例のように、XZ平面に対して平行な断面において、X軸方向に対する傾斜角度θaが例えば45°以上90°以下であってもよい。言い換えると、Z方向に垂直な平面から、Y軸方向を中心に例えば45°以上90°以下回転させた平面であってもよい。側壁部62の形状は、支持基板10の形状に応じて設計されてもよい。側壁部62は、例えば樹脂、Si、セラミック、ガラス、金属、およびSPC(Steel Plate Colod)材からなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。支持基板10と側壁部62とが一体成型される場合、側壁部62は、支持基板10と同じ材料から形成される。側壁部62のX方向およびY方向における寸法は、例えば、支持基板10のX方向およびY方向における寸法にそれぞれ等しい。側壁部62のZ方向における寸法は、例えば0.5mm以上2mm以下であり得る。
【0052】
支持基板10と側壁部62とは、例えば、上述した、支持基板10の上面10s1と第1の面発光型レーザ素子20aとを接合するときと同様の方法および材料を用いて接合され得る。
【0053】
蓋部64は、例えば上面視で矩形、円形、または楕円形であり得る。蓋部64の形状は、側壁部62の形状に応じて設計されてもよい。蓋部64は、例えば、ガラス、石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックからなる群から選択される少なくとも1つから形成される、透光性材料から形成され得る。蓋部64全体が透光性を有していてもよい。あるいは、蓋部64のうち、面発光型レーザ素子20から出射されるレーザ光が通過する部分が透光性を有し、残りの部分は透光性を有していなくてもよい。蓋部64のうち透光性を有する部分(透光性領域)の光透過率は、例えば、第1レーザ光、第2レーザ光および第3レーザ光に対して60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり得る。蓋部64のX方向およびY方向における寸法は、例えば、側壁部62のX方向およびY方向における寸法にそれぞれ等しい。蓋部64のZ方向における寸法は、例えば0.3mm以上2.0mm以下であり得る。側壁部62と蓋部64とは、例えば、上述した、支持基板10の上面10s1と第1の面発光型レーザ素子20aとを接合するときと同様の方法および材料を用いて接合され得る。また、蓋部64のうち、透光性を有する部分の光入射側もしくは光出射側またはその両方には反射防止膜や反射防止構造が設けられていてもよい。
【0054】
[発光装置100Aの製造方法]
図7A図7Bおよび図7Cを参照しながら、発光装置100Aの製造方法の一例を説明する。図7A図7Bおよび図7Cは、発光装置100Aの製造方法の一例を説明するための模式的な断面図である。
【0055】
まず、第1の面発光型レーザ素子20a、支持基板10およびフレキシブルプリント基板50をそれぞれ用意する。
【0056】
続いて、図7Aに示すように、第1の面発光型レーザ素子20aが、フレキシブルプリント基板50の配線層に電気的に接続されるように、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1をフレキシブルプリント基板50に接合する。フレキシブルプリント基板50の配線層が、第1の面発光型レーザ素子20a側に配置された状態で、接合される。このとき、例えば図示するように、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1とフレキシブルプリント基板50の配線層とが対向するように、第1の面発光型レーザ素子20aよりも鉛直方向下方に配置したフレキシブルプリント基板50に、第1上面20as1を接合してもよい。すなわち、第1の面発光型レーザ素子20aが上下逆の状態で、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1をフレキシブルプリント基板50に接合する工程が行われ得る。フレキシブルプリント基板50が開口部50hを有する場合は、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1をフレキシブルプリント基板50に接合する工程において、第1上面20as1の第1出射領域21aRが開口部50hによって露出されるように、第1上面20as1をフレキシブルプリント基板50に接合する。
【0057】
次に、図7Bに示すように、第1上面20as1にフレキシブルプリント基板50が接合された第1の面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2を、接合層32を介して支持基板10の主面10s1に接合する。このとき、例えば図示するように、第1の面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2と支持基板10の主面10s1とが対向するように、第1の面発光型レーザ素子20aよりも鉛直方向下方に配置した支持基板10に、第1下面20as2を接合してもよい。
【0058】
続いて、図7Cに示すように、複数の第1電極22aと支持基板10の主面10s1に設けられた複数の導電部材18aとが配線層を介して電気的に接続されるように、フレキシブルプリント基板50と支持基板10の主面10s1とを接合する。フレキシブルプリント基板50と支持基板10の主面10s1とを接合する工程において、フレキシブルプリント基板50が柔軟に変形し、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1と支持基板10の主面10s1とに接合される。図7Cでは、フレキシブルプリント基板50が折れ曲がっているように記載されているが、フレキシブルプリント基板50は、緩やかに曲がっていてもよいし、波状部分または弛みを一部に形成してよい。
【0059】
第2の面発光型レーザ素子20bの第2下面20bs2に設けられた第2電極22bが、支持基板10の主面10s1に設けられた導電部材18bと電気的に接合されるように、第2下面20bs2を主面10s1に接合する工程、および/または、第3の面発光型レーザ素子20cの第3下面20cs2に設けられた第3電極22cが、支持基板10の主面10s1に設けられた導電部材18cと電気的に接合されるように、第3下面20cs2を主面10s1に接合する工程が、例えば、上述した、フレキシブルプリント基板50と支持基板10の主面10s1とを接合する工程の後、または、フレキシブルプリント基板50と支持基板10の主面10s1とを接合する工程と同時に、行われ得る。これらが同時に行われる場合、例えば、先に、第2電極22bおよび第3電極22cを導電部材18bおよび18cにそれぞれ仮圧着し、その後、フレキシブルプリント基板50と支持基板10の主面10s1とを接合する加熱工程において、第2電極22bおよび第3電極22cを導電部材18bおよび18cとそれぞれ接合する。
【0060】
[面発光型レーザ素子20aの構成例]
図9を参照して、第1の面発光型レーザ素子20aの構成例を説明する。図9は、第1の面発光型レーザ素子20aの構成例の一部を模式的に示す、YZ平面に対して平行な断面図であり、図3Dに示した上面図を示した第1の面発光型レーザ素子20aの一部の断面を示す断面図である。
【0061】
図9に示すように、第1の面発光型レーザ素子20aは、半導体基板201と、n側反射膜202と、n側半導体層203と、活性層204と、p側半導体層205と、p側反射膜206とをこの順に積層した積層構造を備える。例えば、n側半導体層203およびp側半導体層205のいずれか一方は、n型半導体を含み、他方はp型半導体を含むが、これに限られない。半導体基板201は省略され得る。n側半導体層203は平板部およびそこから+Z方向に突出する凸部を有する。n側半導体層203の凸部の上面には活性層204が設けられている。活性層204の上面にはp側半導体層205が設けられており、p側半導体層205の上面のうち、周縁領域以外の領域にはp側反射膜206が設けられている。
【0062】
第1の面発光型レーザ素子20aは、n側半導体層203のうち、平板部の上面および凸部の側面、活性層204の側面、ならびにp側半導体層205の側面および上面の周縁領域を覆う絶縁層207を備える。第1の面発光型レーザ素子20aは、p側半導体層205に電気的に接続される第1正電極22apと、n側半導体層203に電気的に接続される第1負電極22anとを備える。第1負電極22anは、絶縁層207に設けられる開口部207оを介して、n側半導体層203に電気的に接続されている。第1の面発光型レーザ素子20aの最上面は、p側反射膜206のうち、p側半導体層205に接触する面とは反対側の面である。第1の面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2は、図示される例では、半導体基板201の下面である。
【0063】
第1の面発光型レーザ素子20aにおいては、以下で説明するように、n側反射膜202とp側反射膜206とによって垂直共振器が形成されている。すなわち、n側反射膜202とp側反射膜206との間で垂直方向(Z軸方向)にレーザ光を共振させ、+Z方向に出射させる。n側反射膜202およびp側反射膜206はそれぞれ、例えばDBR(Distributed Bragg Reflector)から形成され得る。DBRは、複数の高屈折率層と複数の低屈折率層とが交互に積層された構造を有する。DBRは、ストップバンドと呼ばれる高反射率の波長域を有する。ストップバンドの中心波長および波長幅は、高屈折率層の屈折率および厚さならびに低屈折率層の屈折率および厚さによって決まる。DBRのストップバンドにおける反射率は、高屈折率層および低屈折率層の屈折率差ならびに積層数とともに増加する。
【0064】
図9に示す例において、n側反射膜202とp側反射膜206との間では定在波が形成される。定在波の空気中の波長はn側反射膜202およびp側反射膜206のストップバンド内にあり、当該波長が第1レーザ光の第1発振波長である。第1発振波長の半分の整数倍は、n側反射膜202とp側反射膜206とが互いに対向する反射面の間の光学的距離に等しい。光学的距離とは、光が実際にある媒質を伝搬する距離に当該媒質の屈折率を乗算して得られる距離である。第1正電極22apと第1負電極22anとの間に順電圧を印加することにより、活性層204に電流注入することができる。電流注入によって活性層204では反転分布が生じ、第1発振波長で誘導放出による光の増幅が生じ、レーザ発振が生じる。
【0065】
第1の面発光型レーザ素子20aにおいて、n側反射膜202のストップバンド内での反射率はほぼ100%であり、p側反射膜206のストップバンド内での反射率はn側反射膜202の反射率よりも少し低く、例えば98%である。その結果、両者のストップバンド内に第1発振波長を有する第1レーザ光は、p側反射膜206を通過して+Z方向に向けて出射される。このようにして、第1の面発光型レーザ素子20aの第1上面20as1が有する複数の第1出射領域21aR(図3Aおよび図3B)から、第1レーザ光が出射される。複数の第1出射領域21aR(図3Aおよび図3B)は、ここでは、p側反射膜206と対応する領域であり、典型的には、上面視において、p側反射膜206を有する領域と一致する。
【0066】
ここで、活性層204のうち、上面視において、n側反射膜202およびp側反射膜206と重なる領域を第1発光領域20aRということにする。第1の面発光型レーザ素子20aは、この例では、上面視において互いに離隔して配置された複数の第1発光領域20aRを活性層204に有する。支持基板10の主面10s1の法線方向からみた平面視において(すなわち、上面視において)、複数の第1出射領域21aRのそれぞれは、対応する第1発光領域20aRと少なくとも部分的に重複し、複数の第1出射領域21aRのそれぞれは、対応する第1発光領域20aRと同一の領域であってもよい。第1の面発光型レーザ素子20aが単一の第1発光領域を活性層204に有する場合は、第1上面20as1に、対応する単一の第1発光領域が含まれる。第1の面発光型レーザ素子20aが有する活性層204の第1発光領域20aRは、第1レーザ光の強度がそのピーク強度の1/e以上である領域を含む。eは自然対数の底である。図9に示す太線によって囲まれた領域は、第1発光領域20aRを表す。第1発光領域20aRは、第1の面発光型レーザ素子20aの第1下面20as2よりも最上面の近くに位置する。
【0067】
赤色の第1レーザ光を出射する第1の面発光型レーザ素子20aは、例えば、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、およびAlGaAs系の半導体材料からなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。ある態様による第1の面発光型レーザ素子20aにおいて、半導体基板201は例えばn型GaAsから形成されている。n側反射膜202(p側反射膜206)の積層構造は、組成比が異なるn型(p型)AlGaAsから形成されている。n側半導体層203およびp側半導体層205は、それぞれ、例えば、n型GaNおよびp型GaNの少なくとも一方から形成されている。例えば、n側半導体層203およびp側半導体層205の一方はn型AlGaInPを含み、他方がp型AlGaInPを含んでもよい。活性層204は例えばGaInPから形成されている。
【0068】
[面発光型レーザ素子20bの構成例]
図10は、第2の面発光型レーザ素子20bの構成例の一部を模式的に示す、YZ平面に対して平行な断面図である。図10に示す第2の面発光型レーザ素子20bと、図9に示す第1の面発光型レーザ素子20aとの相違点は、第2の面発光型レーザ素子20bが、第1の面発光型レーザ素子20aと比較して、上下が反転した構成を備えることである。半導体基板201を省略してもよいし、半導体基板201の上に反射防止膜を設けてもよい。また、第2の面発光型レーザ素子20bは、p側半導体層205と第2正電極22bpとの間に設けられ、p側半導体層205および第2正電極22bpと電気的に接続された、透明電極22bptをさらに有する。透明電極22bptと第2正電極22bpとで、第2の面発光型レーザ素子20bの正電極として機能する。透明電極22bptは、例えばITO等の透明導電材料から形成されている。p側半導体層205が、例えばp型GaN系の半導体材料等、抵抗率の高い半導体材料から形成されている場合、透明電極22bptが設けられていることが好ましい。p側半導体層205の材料やによっては、透明電極22bptは省略可能である。
【0069】
図10に示す第2正電極22bpは、図9に示す第1正電極22apと同じ構成を有する。第2の面発光型レーザ素子20bにおいても、第1の面発光型レーザ素子20aと同様に、n側反射膜202とp側反射膜206とによって垂直共振器が形成されている。すなわち、n側反射膜202とp側反射膜206との間で垂直方向(Z軸方向)にレーザ光を共振させ、+Z方向に出射させる。図10に示す例においても、n側反射膜202とp側反射膜206との間で定在波が形成され、第2正電極22bpと第2負電極22bnとの間に順電圧を印加することによってレーザ発振が生じることは、図9を参照して説明した通りである。第2の面発光型レーザ素子20bにおいて、p側反射膜206のストップバンド内での反射率はほぼ100%であり、n側反射膜202のストップバンド内での反射率はp側反射膜206の反射率よりも少し低く、例えば98%である。その結果、両者のストップバンド内に第2発振波長を有する第2レーザ光は、n側反射膜202および半導体基板201をこの順に透過して+Z方向に向けて出射される。このようにして、第2の面発光型レーザ素子20bの第2上面20bs1が有する複数の第2出射領域21bR(図3B)から第2レーザ光が出射される。複数の第2出射領域21bR(図3B)は、ここでは、p側反射膜206と対応する領域であり、典型的には、上面視において、p側反射膜206を有する領域と一致する。
【0070】
第2の面発光型レーザ素子20bについても、第1の面発光型レーザ素子20aと同様に、活性層204のうち、上面視において、n側反射膜202およびp側反射膜206と重なる領域を第2発光領域20bRということにする。第2の面発光型レーザ素子20bは、この例では、上面視において、互いに離隔して配置された複数の第2発光領域20bRを有する。第2上面20bs1の複数の第2出射領域21bRは、第2の面発光型レーザ素子20bの活性層204が有する複数の第2発光領域20bRに対応する領域である。第2出射領域21bRと第2発光領域20bRとの関係についても、第1の面発光型レーザ素子20aと同様のことがいえる。第2の面発光型レーザ素子20bにおける第2発光領域20bRは、第2レーザ光の強度がそのピーク強度の1/eである領域を含む。図10に示す太線によって囲まれた領域は、第2発光領域20bRを表す。第3の面発光型レーザ素子20cにおける第3発光領域についても同様である。第2発光領域は、第2の面発光型レーザ素子20bの上面よりも最下面の近くに位置する。
【0071】
第2の面発光型レーザ素子20bの第2上面20bs1は、半導体基板201のうち、n側反射膜202に接触する面の反対側の面である。第2の面発光型レーザ素子20bの最下面は、p側反射膜206のうち、p側半導体層205に接触する面とは反対側の面である。第3の面発光型レーザ素子20cの第3上面20cs1および第3下面20cs2についても同様である。
【0072】
緑色の第2レーザ光を出射する第2の面発光型レーザ素子20bは、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNからなる群から選択される少なくとも1つの半導体材料から形成され得る。ある態様による第2の面発光型レーザ素子20bにおいて、半導体基板201は例えばn型GaNから形成されている。n側反射膜202の積層構造はAlInNおよびGaNから形成されている。p側反射膜206の積層構造はSiOおよびNbなどの誘電体膜から形成されている。n側半導体層203およびp側半導体層205は、それぞれ、例えば、n型GaNおよびp型GaNの少なくとも一方から形成されている。例えば、n側半導体層203およびp側半導体層205の一方はn型AlGaInPを含み、他方がp型AlGaInPを含んでもよい。活性層204はInGaNなどから形成されている。
【0073】
図10に示す第2の面発光型レーザ素子20bの第2下面20bs2と、前述した図1に示す支持基板10の上面10s1との隙間を熱伝導率の高い材料で埋めることにより、活性層204で発せられる熱を支持基板10に効率的に伝えることができる。放熱性を考慮しないのであれば、第2の面発光型レーザ素子20bは第1の面発光型レーザ素子20aと同様の構成を有していてもよい。逆に、第1の面発光型レーザ素子20aが第2の面発光型レーザ素子20bと同様の構成を有していてもよい。ただし、その場合、長波長のレーザ光が半導体基板201に吸収されて減衰する可能性がある。
【0074】
なお、図9に示す第1の面発光型レーザ素子20aおよび図10に示す第2の面発光型レーザ素子20bの構成は例示である。各面発光型レーザ素子20に含まれる構成要素は公知の材料から形成され得る。各面発光型レーザ素子20に含まれる構成要素の一部の形状を変更してもよい。各面発光型レーザ素子20は他の構成要素をさらに備えていてもよい。例えば、第2の面発光型レーザ素子20bおよび/または第3の面発光型レーザ素子20cとして、特開2020-123605号公報に開示されているVCSEL素子を用いてもよい。参考のために、特開2020-123605号公報の開示内容のすべてを参照によって本明細書に援用する。
【0075】
本開示は、以下の項目に記載の発光装置および発光装置の製造方法を含む。
【0076】
[項目1]
複数の導電部材が設けられた主面を有する支持基板と、
前記支持基板の前記主面に支持された第1の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子と、
前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面および前記支持基板の前記主面に接続され、前記第1電極と前記導電部材とを電気的に接続する配線層を有するフレキシブルプリント基板と
を有する、発光装置。
【0077】
[項目2]
前記第1の面発光型レーザ素子の活性層は、前記第1下面よりも前記第1上面に近く配置されている、項目1に記載の発光装置。
【0078】
[項目3]
前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1下面は、接合層を介して前記支持基板の前記主面に接合されている、項目1または2に記載の発光装置。
【0079】
[項目4]
前記フレキシブルプリント基板は、前記主面の法線方向からみた平面視において、前記第1出射領域を露出する開口部を有する、項目1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【0080】
[項目5]
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面における前記第1出射領域以外の領域を少なくとも部分的に覆っている、項目4に記載の発光装置。
【0081】
[項目6]
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面の上に配置される第1部分と、前記第1部分以外の第2部分とを有し、
前記支持基板の前記主面の法線方向からみた平面視において、前記第2部分の面積は前記第1部分の面積よりも大きい、項目1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【0082】
[項目7]
前記第1上面は、複数の前記第1出射領域を含み、
前記複数の第1電極のそれぞれは、前記複数の第1出射領域のいずれかから前記第1の光を出射させるように設けられており、
前記複数の第1電極のそれぞれは、前記複数の導電部材のうちの対応する導電部材と電気的に接続される、項目1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【0083】
[項目8]
前記支持基板の前記主面に支持された第2の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第2下面および前記第2下面と反対側の第2上面を有し、前記第2上面は第2の光を出射する第2出射領域を含み、前記第2下面に設けられた複数の第2電極を有する、第2の面発光型レーザ素子をさらに有する、項目1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【0084】
[項目9]
前記第2の面発光型レーザ素子の活性層は、前記第2上面よりも前記第2下面に近く配置されている、項目8に記載の発光装置。
【0085】
[項目10]
前記第2電極は、前記支持基板の前記主面に設けられた複数の他の導電部材と電気的に接合されている、項目8または9に記載の発光装置。
【0086】
[項目11]
前記支持基板の前記主面に支持された第3の面発光型レーザ素子であって、前記支持基板側の第3下面および前記第3下面と反対側の第3上面を有し、前記第3上面は第3の光を出射する第3出射領域を含み、前記第3下面に設けられた第3電極を有する、第3の面発光型レーザ素子をさらに有する、項目8から10のいずれか1項に記載の発光装置。
【0087】
[項目12]
前記第1の光は、赤色の光であり、
前記第2の光は、青色または緑色の一方の光であり、
前記第3の光は、青色または緑色の他方の光である、項目11に記載の発光装置。
【0088】
[項目13]
第1下面および前記第1下面と反対側の第1上面を有し、前記第1上面は第1の光を出射する第1出射領域を含み、前記第1上面に設けられた複数の第1電極を有する、第1の面発光型レーザ素子を用意する工程と、
主面を有する支持基板を用意する工程と、
配線層を有するフレキシブルプリント基板を用意する工程と、
前記第1電極が前記配線層に電気的に接続されるように、前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程と、
前記第1上面に前記フレキシブルプリント基板が接合された前記第1の面発光型レーザ素子の前記第1下面を、接合層を介して前記支持基板の前記主面に接合する工程と、
前記第1電極と前記支持基板の前記主面に設けられた複数の導電部材とが前記配線層を介して電気的に接続されるように、前記フレキシブルプリント基板と前記支持基板の前記主面とを接合する工程と
を含む、発光装置の製造方法。
【0089】
[項目14]
前記フレキシブルプリント基板は、開口部を有し、
前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程において、前記第1出射領域が前記開口部によって露出されるように、前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する、項目13に記載の発光装置の製造方法。
【0090】
[項目15]
前記第1上面を前記フレキシブルプリント基板に接合する工程において、前記第1上面と前記配線層とが対向するように、前記第1の面発光型レーザ素子よりも鉛直方向下方に配置した前記フレキシブルプリント基板に、前記第1上面を接合する、項目13または14に記載の発光装置の製造方法。
【0091】
[項目16]
前記第1下面を前記支持基板の前記主面に接合する工程において、前記第1下面と前記主面とが対向するように、前記第1の面発光型レーザ素子よりも鉛直方向下方に配置した前記支持基板に、前記第1下面を接合する、項目13から15のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示の発光装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、ディスプレイ、および照明器具などの装置に利用され得る。
【符号の説明】
【0093】
10:支持基板、10s1:主面(上面)、10s2:主面(下面)、18、18a、18b、18c:導電部材、20:面発光型レーザ素子、20a:第1の面発光型レーザ素子、20b:第2の面発光型レーザ素子、20c:第3の面発光型レーザ素子、50:フレキシブルプリント基板、100A:発光装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10