(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065384
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】撮像装置、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240508BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240508BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240508BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240508BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240508BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20240508BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240508BHJP
H04N 23/62 20230101ALI20240508BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240508BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G03B17/18 Z
G02B7/28 N
G03B15/00 Q
G03B13/36
H04N23/611
H04N23/63
H04N23/62
H04N23/67 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174222
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 聡
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 和泉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 博史
(72)【発明者】
【氏名】田代 元
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和敬
(72)【発明者】
【氏名】山崎 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 正樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 有佑
(72)【発明者】
【氏名】降矢 雄飛
【テーマコード(参考)】
2H011
2H102
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011CA00
2H102AA71
2H102AB00
2H151DD09
5C122EA42
5C122EA61
5C122FD13
5C122FH01
5C122FH02
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH22
5C122FJ04
5C122FK29
5C122FK37
5C122FK40
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】被写体を区別して撮像すること。
【解決手段】撮像装置は、被写体数を設定する設定部と、被写体を撮像して画像データを出力する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う画像処理部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体数を設定する設定部と、
被写体を撮像して画像データを出力する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う画像処理部と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記被写体の位置に関する条件は、前記撮像装置と前記被写体との間の被写体距離に基づく条件である、
撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記被写体の方向に関する条件は、前記被写体の顔が向いている方向に基づく条件である、
撮像装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、前記第2被写体が前記第1被写体よりも不鮮明になる画像処理を前記画像データに行う、
撮像装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記撮像部は、時間方向に連続する前記画像データを出力し、
前記画像処理部は、前記撮像部から出力される前記画像データごとに、前記第1被写体と前記第2被写体とで異なる画像処理を行う、
撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置であって、
前記撮像部は、第1画像データを出力し、前記第1画像データよりも時間的に後に第2画像データを出力し、
前記画像処理部は、前記第2画像データにおいて前記被写体とは異なる他の被写体が存在する場合、前記他の被写体が前記第1被写体に該当すれば、前記他の被写体と前記第2被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行い、前記他の被写体が前記第2被写体に該当すれば、前記第1被写体と前記他の被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行う、
撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、前記第2画像データにおいて、前記第1被写体が前記被写体数存在する場合、前記第1被写体と前記他の被写体とで異なる画像処理を、前記第2画像データに行う、
撮像装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、前記第2画像データにおいて、前記第1被写体が前記被写体数存在しない場合、前記他の被写体が前記条件を充足すれば、前記他の被写体と前記第2被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行い、前記他の被写体が前記条件を充足しなければ、前記第1被写体と前記他の被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行う、
撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、第1画像データにおける前記第1被写体の特徴情報と、前記第2画像データにおける前記他の被写体の特徴情報と、を取得し、前記他の被写体の特徴情報と前記第1被写体の特徴情報とが一致すれば、前記他の被写体と前記第2被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行い、前記他の被写体の特徴情報と前記第1被写体の特徴情報とが一致しなければ、前記第1被写体と前記他の被写体とで異なる画像処理を前記第2画像データに行う、
撮像装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを記録する記録部と、
前記画像データ内の前記第1被写体の数が前記被写体数になった場合、前記画像データの記録を開始するように前記記録部を制御する記録制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置であって、
前記記録制御部は、前記第1被写体の顔の検出数が前記被写体数になった場合、前記画像データの記録を開始するように前記記録部を制御する、
撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置であって、
表示画面を有する表示部を有し、
前記記録制御部は、前記第1被写体の顔の検出数が前記被写体数になっておらず、かつ、一部欠損した顔が検出された場合、前記顔の欠損に関する情報を前記表示画面に表示するように制御する、
撮像装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを表示する表示画面を有する表示部と、
前記画像データ内の前記第1被写体の数と前記被写体数とを前記表示画面に表示するように制御する表示制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像装置であって、
前記表示制御部は、前記画像データ内の前記第1被写体の数が前記被写体数になった場合、前記第1被写体の数が前記被写体数であることを示す情報を前記表示画面に表示するように制御する、
撮像装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記第1被写体に合焦するようにフォーカスレンズの位置を制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像装置であって、
前記撮像制御部は、第1画像データ内の前記第1被写体に合焦するようにフォーカスレンズの位置を制御し、前記第1画像データよりも時間的に後に前記撮像部から出力される第2画像データにおいて前記被写体とは異なる他の被写体が存在する場合、前記フォーカスレンズの位置を変更しない、
撮像装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記第1被写体が複数存在する場合、前記撮像装置と前記第1被写体との間の距離に基づいて、複数の前記第1被写体のいずれかに合焦するようにフォーカスレンズの位置を制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを表示する表示画面を有する表示部と、
前記画像データ内の特定の被写体の指定を受け付ける受付部と、を有し、
前記設定部は、前記受付部によって指定が受け付けられた前記特定の被写体に基づいて、前記被写体数および前記条件を変更する、
撮像装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記第1被写体が複数存在する場合、前記撮像装置と前記第1被写体との間の距離に基づいて、被写界深度を制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記画像データのフレームレートを制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
音源からの音声を入力する入力部と、
前記入力部によって入力された前記音源からの共通の発話に関する音声の解析結果に基づいて、前記音源の数を特定する解析部と、
前記設定部は、前記解析部によって特定された前記音源の数を前記被写体数に設定する、
撮像装置。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを表示する表示画面を有する表示部と、
前記第1被写体の数が前記被写体数に満たない場合、前記第1被写体の数の不足を前記表示画面に表示するように制御する表示制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを記録する記録部と、
前記第1被写体の数が前記被写体数に満たない場合、前記画像データの記録を禁止するように前記記録部を制御する記録制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記画像データを連続的に出力する速度を変更するように制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記画像データを連続的に出力する数を変更するように制御する撮像制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像データを記録する記録部と、
前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記画像データを記録するとともに、前記画像データよりも時間的に前に取得された画像データを記録するように制御する記録制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記第1被写体と前記第2被写体とで異なる画像処理を前記画像データに行う、
撮像装置。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記画像処理部は、前記被写体数と、しきい値と、に基づいて、前記画像データの解像度を変更する、
撮像装置。
【請求項29】
被写体数を設定する設定部と、
画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う画像処理部と、
を有する画像処理装置。
【請求項30】
プロセッサが、
被写体数を設定し、
画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う、
画像処理方法。
【請求項31】
プロセッサに、
被写体数を設定させ、
画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行わせる、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、撮影画像を表示する表示手段と、前記撮影画像から被写体の顔を抽出する顔抽出手段と、前記顔の面積を算出する顔面積算出手段と、前記顔にモザイク処理を行うモザイク処理手段と、前記モザイク処理手段にて前記顔にモザイク処理を行わない前記被写体である主要被写体の数を設定する主要被写体数設定手段と、を有し、前記モザイク処理手段は、前記顔面積算出手段で算出された面積の最も大きい前記顔から大きい順に前記主要被写体数設定手段で設定された数の前記主要被写体の前記顔にモザイク処理を行わず、前記主要被写体以外の前記顔にモザイク処理を行う撮像装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1開示技術の撮像装置は、被写体数を設定する設定部と、被写体を撮像して画像データを出力する撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う画像処理部と、を有する。
【0005】
第2開示技術の画像処理装置は、被写体数を設定する設定部と、画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う画像処理部と、を有する。
【0006】
第3開示技術の画像処理方法は、プロセッサが、被写体数を設定し、画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行う。
【0007】
第4開示技術の画像処理プログラムは、プロセッサに、被写体数を設定させ、画像データに含まれる被写体のうち、前記被写体数以内でかつ前記被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、前記第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、前記画像データに行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、撮像装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、撮像装置による撮像例1を示す説明図である。
【
図3】
図3は、撮像装置による撮像例2を示す説明図である。
【
図4】
図4は、撮像装置による撮像例3を示す説明図である。
【
図5】
図5は、撮像装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、撮像装置による撮像処理手順例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、主要被写体の変更例1を示す説明図である。
【
図8】
図8は、主要被写体の変更例2を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<撮像装置のハードウェア構成例>
図1は、撮像装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、静止画または動画撮影可能な装置であり、具体的には、たとえば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機である。
図1では、撮像装置の一例としてデジタルカメラを例に挙げて説明する。
【0010】
撮像装置100は、プロセッサ101と、記憶デバイス102と、駆動部103と、光学系104と、撮像素子105と、AFE(Analog Front End)106と、LSI(Large Scale Integration)107と、操作デバイス108と、マイク109と、センサ110と、表示デバイス111と、通信IF(Interface)112と、スピーカ113と、光源114と、バス115と、を有する。プロセッサ101、記憶デバイス102、駆動部103、LSI107、操作デバイス108、マイク109、センサ110、表示デバイス111、通信IF112、スピーカ113および光源114は、バス115に接続される。
【0011】
プロセッサ101は、撮像装置100を制御する。記憶デバイス102は、プロセッサ101の作業エリアとなる。また、記憶デバイス102は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス102としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。記憶デバイス102は、撮像装置100に複数実装されてもよく、そのうちの少なくとも1つは、撮像装置100に対し着脱自在でもよい。
【0012】
駆動部103は、光学系104を駆動制御する。駆動部103は、駆動回路103aと駆動源103bとを有する。駆動回路103aは、プロセッサ101からの指示により駆動源103bを制御する。駆動源103bは、たとえば、モータであり、駆動回路103aの制御により、光学系104内のズーミングレンズ141bおよびフォーカシングレンズ141cを光軸方向に移動させたり、絞り142を開閉制御する。
【0013】
光学系104は、光軸方向に配列された複数のレンズ(レンズ141a、ズーミングレンズ141b、およびフォーカシングレンズ141c)と、絞り142と、を含む。光学系104は、被写体光を集光し、撮像素子105に出射する。
【0014】
撮像素子105は、光学系104からの被写体光を受光して電気信号に変換する。撮像素子105は、たとえば、XYアドレス方式の固体撮像素子(たとえば、CMOS(Complementary Metal‐Oxide Semiconductor))であってもよく、順次走査方式の固体撮像素子(たとえば、CCD(Charge Coupled Device))であってもよい。
【0015】
撮像素子105の受光面には、複数の受光素子(画素)がマトリクス状に配列されている。そして、撮像素子105の画素には、それぞれが異なる色成分の光を透過させる複数種類のカラーフィルタが所定の色配列(たとえば、ベイヤ配列)に従って配置される。そのため、撮像素子105の各画素は、カラーフィルタでの色分解によって各色成分に対応するアナログの電気信号を出力する。
【0016】
AFE106は、撮像素子105からのアナログの電気信号に対して信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。AFE106は、電気信号のゲイン調整、アナログ信号処理(相関二重サンプリング、黒レベル補正など)、A/D変換処理、デジタル信号処理(欠陥画素補正など)を順次実行してRAW画像データを生成し、LSI107に出力する。上述した駆動部103、光学系104、撮像素子105、およびAFE106は、撮像部120を構成する。
【0017】
LSI107は、AFE106からのRAW画像データについて、色補間、ホワイトバランス調整、輪郭強調、ガンマ補正、階調変換などの画像処理や符号化処理、復号処理、圧縮伸張処理、記録処理、再生処理など、特定の処理を実行する集積回路である。LSI107は、具体的には、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)によって実現してもよい。
【0018】
操作デバイス108は、コマンドやデータを入力する。操作デバイス108としては、たとえば、レリーズボタンを含む各種ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチパネルがある。マイク109は、音声を入力し音声データを生成する。センサ110は、情報を検出するデバイスであり、たとえば、AF(Automatic Focus)センサ、AE(Automatic Exposure)センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、温度センサなどがある。AFセンサおよびAEセンサは撮像部120側に配置される場合もある。
【0019】
表示デバイス111は、画像データや設定画面を表示する。表示デバイス111には、撮像装置100の背面にある背面モニタと、電子ビューファインダと、がある。通信IF112は、ネットワークと接続し、データを送受信する。スピーカ113は、音声を出力する。光源114は、光を照射する。
【0020】
撮像部120は、光源114から照射され被写体に反射された反射光を受光する。光源114からの照射光と被写体からの反射光との位相差に基づいて、光源114から光が照射され被写体で反射されて撮像部120に到達するまでの時間(Time Of Flight)を測定することで、撮像装置100と被写体との距離(被写体距離)の計測が可能である。被写体距離の計測は、LSI107または、プログラムを実行するプロセッサ101により実行される。なお、撮像部120は、撮像素子105を使用した像面位相差による被写体距離の測定をおこなうことで、被写体距離を計測してもよい。
【0021】
なお、撮像装置100から、撮像部120を除いた構成を画像処理装置130と称す。ただし、画像処理装置130は、少なくともプロセッサ101、記憶デバイス102、LSI107を有していればよい。
【0022】
<撮像例>
撮像装置100は、画像データにおいて必要な被写体(主要被写体)と不要な被写体(不要被写体)とを区別する処理(以下、区別処理)を実行する。区別処理とは、主要被写体と不要被写体とを区分けする処理であり、たとえば、主要被写体に主要被写体であることを示すアイコンや枠線、色調整を施したり、不要被写体に不要被写体であることを示すアイコンや枠線、色調整を施したりする処理である。色調整としては、たとえば、主要被写体と比較して不要被写体を不鮮明にする画像処理があり、具体的には、ぼかし処理、モザイク処理、輝度調整、色温度調整で実現される。
【0023】
図2は、撮像装置100による撮像例1を示す説明図である。
図3は、撮像装置100による撮像例2を示す説明図である。
図4は、撮像装置100による撮像例3を示す説明図である。撮像装置100は、撮像範囲内での撮像により、時系列な画像データI0~I3を生成する。画像データIn(nは0以上の整数)は、時間軸200の時刻tnで撮像された画像データである。画像データI0~I3を区別しない場合は、画像データIと表記する。
【0024】
撮像装置100には、画像データI0の生成前に、主要被写体数と、主要被写体を決定するための条件(主要被写体条件)と、が設定されている。また、撮像装置100は、区別処理として不要被写体にぼかし処理を施すものとする。
【0025】
主要被写体とは、画像データ内の被写体のうち、動物であり、かつ、主要被写体条件を充足する被写体である。本例では、動物を人間とする。なお、主要被写体条件を充足しない人間は、不要被写体とする。また、主要被写体条件を充足しても、主要被写体数を超えた分の人間も、不要被写体となる。
【0026】
主要被写体でも不要被写体でもない領域は、背景である。撮像装置100は、画像データI0において、主要被写体に決定した数(以下、決定数)が主要被写体数に達していない場合に主要被写体条件を充足する人間を、主要被写体に決定する。撮像装置100は、決定数をカウントする。
【0027】
主要被写体数とは、主要被写体の個体数であり、1以上の整数が設定可能である。たとえば、主要被写体数が「5」に設定されている場合、主要被写体条件を充足した5人の人間が主要被写体となる。
図2の例では、主要被写体数は「3」とする。決定数の初期値は「0」であり、主要被写体が決定する都度インクリメントされる。
【0028】
主要被写体条件とは、どの人間が主要被写体であるかを決定するための条件である。たとえば、主要被写体条件は、被写体距離によって決定される。具体的には、たとえば、主要被写体条件は、被写体距離がd1以下としてもよく、被写体距離がd1以上としてもよく、被写体距離がd1以上d2(>d1)以下の範囲としてもよい。本例では、主要被写体条件を「被写体距離がd1以下」として説明する。
【0029】
図2において、撮像装置100は、画像データI0において、被写体h1~h7を、顔認識や骨格検出などの既存技術により人間(以下、人間h1~h7と表記する場合もある)と認識する。また、撮像装置100は、人間h1~h7の被写体距離を測定し、人間h1~h3の被写体距離はd1以下であり、人間h4~h7の被写体距離はd1よりも大きいと認識する。したがって、撮像装置100は、人間h1~h3を主要被写体201に決定し、人間h4~h7を不要被写体202に決定する。
【0030】
撮像装置100は、主要被写体201である人間h1~h3の各々の特徴情報f1~f3を取得する。特徴情報f1~f3は、たとえば、顔検出情報である。そして、撮像装置100は、不要被写体202に対し区別処理を実行する。区別処理が実行された不要被写体202を不要被写体220とする。
【0031】
時刻t1の画像データI1において、通行人として、あらたに被写体h8が撮像されたとする(フレームイン)。撮像装置100は、被写体h8を顔認識や骨格検出などの既存技術により人間(以下、人間h8と表記する場合もある)と認識する。撮像装置100は、人間h8の被写体距離を測定し、人間h8の被写体距離はd1以下であったとする。しかし、決定数はすでに主要被写体数に達しているため、撮像装置100は、人間h8を不要被写体202に決定する。
【0032】
ただし、決定数が主要被写体数に達していなければ、たとえば、主要被写体数が「4」であれば、撮像装置100は、人間h8を主要被写体201に決定することになる。
【0033】
時刻t2の画像データI2において、すでに通行人である人間h8が移動して撮像範囲から外れ、かつ、人間h1も移動して撮像範囲から外れたとする(フレームアウト)。主要被写体201の一人である人間h1が撮像範囲から外れたため、すなわち、撮像装置100は、特徴情報f1を検出しなくなったため、決定数を1減らす。すなわち、決定数は「2」になる。
【0034】
図3では、時刻t3の画像データI3aにおいて、時刻t2の画像データI2において撮像範囲から外れた人間h1が撮像範囲内に戻ってきたとする。撮像装置100は、被写体h1を顔認識や骨格検出などの既存技術により人間と認識する。撮像装置100は、人間h1の被写体距離を測定し、人間h1の被写体距離はd1以下であったとする。この場合、撮像装置100は、新たにフレームインしてきた人間h1の特徴情報f1を取得する。
【0035】
撮像装置100は、取得した特徴情報f1に一致する特徴情報が、画像データI0で取得した特徴情報f1~f3に存在するか否か判断する。この場合、特徴情報f1が一致するため、撮像装置100は、決定数を1増加して「3」にし、人間h1を再び主要被写体201に決定する。
【0036】
図4では、時刻t3の画像データI3bにおいて、被写体h9が撮像範囲内に入ってきたとする。撮像装置100は、被写体h9を顔認識や骨格検出などの既存技術により人間(以下、人間h9と表記する場合もある)と認識する。撮像装置100は、人間h9の被写体距離を測定し、人間h9の被写体距離はd1以下であったとする。この場合、撮像装置100は、人間h9の特徴情報f9を取得する。
【0037】
撮像装置100は、取得した特徴情報f9に一致する特徴情報が、画像データI0で取得した特徴情報f1~f3に存在するか否か判断する。この場合、特徴情報f9は特徴情報f1~f3に存在しないため、撮像装置100は、決定数の「2」を維持して、人間h9を不要被写体202に決定する。そして、撮像装置100は、不要被写体202(人間h4~h7、h9)に対し区別処理を実行し、不要被写体220とする。
【0038】
このようにして、撮像装置100は、撮影中に主要被写体201と不要被写体202とを区別して撮影を行うことができる。
【0039】
なお、
図2~
図4では、主要被写体条件を被写体距離としたが、主要被写体条件は、たとえば、顔検出に必要な顔の部位に欠落がないという条件を含んでもよい。したがって、顔が上下左右または後ろに向いている被写体については、撮像装置100は、時刻t0において不要被写体202と判定してもよい。
【0040】
また、撮像装置100は、時刻t0よりも前に、主要被写体201の決定の開始入力を受け付けた場合に、時刻t0の画像データI0において被写体h1~h3が主要被写体201に該当し、被写体h4~h7が不要被写体202に該当すると判定してもよい。
【0041】
<撮像装置100の機能的構成例>
図5は、撮像装置100の機能的構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、撮像部120と、撮像制御部501と、入力部502と、解析部503と、設定部504と、受付部505と、表示部506と、表示制御部507と、記録部508と、記録制御部509と、画像処理部510と、を有する。
【0042】
撮像制御部501は、撮像部120を制御する。具体的には、たとえば、撮像制御部501は、被写体に合焦するようにフォーカシングレンズ141cを光軸方向に移動するよう駆動回路103aを制御する。たとえば、撮像制御部501は、時刻t0において、被写体h1~h3に合焦するようにフォーカシングレンズ141cを光軸方向に移動するよう駆動回路103aを制御する。
【0043】
また、撮像制御部501は、被写体h1~h3のように複数の被写体が存在する場合には、被写体h1~h3の各々の被写体距離に基づいて、被写体h1~h3のいずれかに合焦するようにフォーカシングレンズ141cを光軸方向に移動するよう駆動回路103aを制御する。具体的には、たとえば、撮像制御部501は、被写体h1~h3のうち最短被写体距離の被写体に合焦するよう制御してもよく、最長被写体距離の被写体に合焦するよう制御してもよく、最短でも最長でもない被写体距離の被写体に合焦するよう制御してもよい。
【0044】
このあと、被写体h1~h3以外の被写体が撮像範囲にフレームインしたとしても、撮像制御部501は、被写体h1~h3以外の被写体(たとえば、被写体h8、h9)に合焦するよう制御しない。すなわち、撮像制御部501は、フォーカシングレンズ141cの位置を、被写体h1~h3の合焦位置に固定する。被写体h4~h7のいずれかが一旦フレームアウトした後再度フレームインした場合も同様である。
【0045】
また、撮像制御部501は、被写体が複数存在する場合、各々の被写体距離に基づいて、被写界深度を制御してもよい。具体的には、たとえば、被写体h1~h3を被写界深度内に収めるため、光学系104の絞り値や焦点距離を調整する。
【0046】
また、撮像制御部501は、主要被写体数に基づいて、撮像素子105のフレームレートを変更してもよい。たとえば、設定された主要被写体数がしきい値以上であれば、撮像制御部501は、現在のフレームレートが所定のフレームレート以上になるように変更する。
【0047】
また、決定数がしきい値以上になれば、撮像制御部501は、現在のフレームレートが所定のフレームレート以上になるように変更し、決定数がしきい値未満になれば、撮像制御部501は、現在のフレームレートが所定のフレームレート未満になるように変更してもよい。すなわち、主要被写体201の数が増加するほど主要被写体201の動きも増加するため、速いフレームレートに設定することで、滑らかな動画像を得ることができる。
【0048】
入力部502は、たとえば、マイク109であり、音源からの音声を入力し、音声データを出力する。音源は、たとえば、音声を発する被写体である。
【0049】
解析部503は、入力部502によって入力された音源からの共通の発話に関する音声の解析結果に基づいて、音源の数を特定する。共通の発話とは、掛け声などの複数人が発話する同一フレーズである。具体的には、たとえば、解析部503は、既存の音源分離により、被写体h1~h3からの共通の発話に関する音声を分離することで、被写体h1~h3の数が「3」であると特定する。
【0050】
設定部504は、主要被写体数を設定する。具体的には、たとえば、ユーザが操作デバイス108を操作して、主要被写体数を入力することで、主要被写体数を設定する。また、設定部504は、解析部503によって特定された音源の数を主要被写体数に設定してもよい。
【0051】
また、設定部504は、ユーザが操作デバイス108を操作して、主要被写体数の設定解除を入力することで、主要被写体数の設定を解除してもよい。また、設定部504は、動画撮影の終了ボタンの押下または静止画撮影ボタンの押下を検出すると、主要被写体数の設定を解除してもよい。これにより、ユーザは、主要被写体数の設定解除の入力が不要になる。
【0052】
また、設定部504は、決定数に関するしきい値を主要被写体数に基づいて自動設定してもよい。決定数に関するしきい値とは、後述する区別処理部513が区別処理を実行するか否かを決定するためのしきい値であり、主要被写体数よりも小さい値となる。たとえば、設定部504は、主要被写体数の半分の値(主要被写体数が奇数である場合は、切り捨てまたは四捨五入のいずれかを実行)を、決定数に関するしきい値に設定してもよい。
【0053】
受付部505は、画像データIの記録開始や記録終了、記録の一時停止を受け付ける。受付部505は、たとえば、操作デバイス108であり、たとえば、押下により、動画の記録開始入力、記録終了入力、記録の一時停止入力、静止画の撮影入力を受け付ける。
【0054】
表示部506は、たとえば、表示デバイス111であり、画像データIやグラフィカルユーザインタフェースを表示する。
【0055】
表示制御部507は、表示部506を制御して、表示部506の表示画面に画像データIやグラフィカルユーザインタフェースを表示する。
【0056】
また、表示制御部507は、主要被写体条件を充足する被写体の顔の検出数が主要被写体数になっておらず、かつ、一部欠損した顔が検出された場合、顔の欠損に関する情報を表示部506の表示画面に表示するように制御する。顔検出において、両目、鼻、口などの顔のパーツのうち一部が欠損している場合、その被写体について、顔の欠損に関する情報が表示される。
【0057】
たとえば、当該被写体と撮像装置100との間に物体が存在したため、当該物体により、顔のパーツのうち一部が欠損したり、被写体が撮像装置100に対して正面を向いていない場合、顔のパーツのうち一部が欠損したりする。表示制御部507は、顔の欠損に関する情報として、そのような被写体の顔を囲む矩形、顔の色変化、一部欠損した顔であることを示し当該顔に関連付けたアイコンまたは文字列を、表示部506の表示画面に表示する。
【0058】
また、表示制御部507は、主要被写体数と決定数とを表示部506の表示画面に表示してもよい。また、表示制御部507は、決定数が主要被写体数に到達した場合、その旨を示す情報(たとえば、アイコンや文字情報)を表示部506の表示画面に表示してもよい。また、表示制御部507は、決定数が主要被写体数に到達していない場合、その旨を示す情報(たとえば、アイコンや文字情報)を表示部506の表示画面に表示してもよい。
【0059】
記録部508は、画像データIを記録する。記録部508は、たとえば、記憶デバイス102である。
【0060】
記録制御部509は、記録部508に画像データIを記録するよう制御する。具体的には、たとえば、記録制御部509は、受付部505によって記録開始が受け付けられた場合、画像データIの記録部508への記録を開始するように制御する、
【0061】
また、記録制御部509は、ライブビューで得られた画像データIにおいて、主要被写体条件を充足する被写体の数が主要被写体数に到達した場合、画像データIの記録を開始するように記録部508を制御する。
【0062】
また、記録制御部509は、ライブビューで得られた画像データIにおいて、主要被写体条件を充足する被写体の顔の検出数が主要被写体数に到達した場合、画像データIの記録を開始するように記録部508を制御してもよい。
【0063】
また、記録制御部509は、決定数が主要被写体数に満たない場合、画像データIの記録を禁止するように制御してもよい。すなわち、画像データIの記録の開始前であれば、記録制御部509は、決定数が主要被写体数に満たない場合、画像データIの記録を開始しない。
【0064】
また、画像データIの記録の開始後であれば、記録制御部509は、決定数が主要被写体数に満たない場合、画像データIの記録を停止する。そして、再度決定数が主要被写体数に到達した場合、画像データIの記録を再開する。これにより、決定数が主要被写体数に満たない画像データIの記録を抑制することができる。
【0065】
また、記録制御部509は、静止画撮影において、主要被写体数に基づいて、撮影ボタンの押下の時刻tnの画像データInと、当該画像データInに先行する時刻t(n-1)の画像データI(n-1)を記録してもよい。すなわち、記録制御部509は、画像データIのプリキャプチャを行う。
【0066】
プリキャプチャでは、たとえば、記録制御部509は、操作デバイス108の撮影ボタンが半押しされた状態のときに、連続的に画像データIをバッファメモリに仮保存し、撮影ボタンが全押しされた場合に、全押し時の画像データIを本記録用のメモリに記録するとともに、仮保存した画像データIを、本記録用のメモリに転送する処理である。
【0067】
具体的には、たとえば、設定された主要被写体数がしきい値以上であれば、記録制御部509は、プリキャプチャを実行する。また、決定数がしきい値以上になれば、記録制御部509は、プリキャプチャを実行してもよい。これにより、ユーザは、プリキャプチャの設定をしなくても、撮影ボタンの全押し前の画像データIを取得することができる。
【0068】
画像処理部510は、撮像部120によって撮像された被写体のうち、設定部504によって設定された主要被写体数以内でかつ被写体の位置または方向に関する条件を充足する第1被写体と、第1被写体に該当しなかった第2被写体と、で異なる画像処理を、画像データに行う。
【0069】
具体的には、たとえば、画像処理部510は、撮像部120によって撮像された被写体の位置または方向に関する情報と、設定部504によって設定された主要被写体数と、に基づいて、撮像部120によって撮像された第1被写体と第2被写体とで異なる画像処理を行う。
【0070】
画像処理部510は、判定部511と、生成部512と、区別処理部513と、を有する。画像処理部510で画像処理された画像データIは、表示制御部507および記録制御部509に出力される。
【0071】
判定部511は、撮像部120によって撮像された被写体の数と、被写体が充足すべき位置または方向に関する主要被写体条件と、に基づいて、被写体が、被写体条件を充足する主要被写体数の主要被写体に該当するか否かを判定する。具体的には、たとえば、判定部511は、被写体の位置または方向に関する情報と、設定部504によって設定された主要被写体数と、に基づいて、被写体が主要被写体に該当するか否かを判定する。
【0072】
被写体の位置または方向に関する情報とは、たとえば、被写体距離に基づく位置情報である。被写体距離に基づく位置情報とは、撮像装置100と被写体との間の被写体距離で決まる被写体の位置である。被写体距離が決まる被写体については、たとえば、TOFによりその被写体距離が測定されているため、撮像範囲内に存在する被写体となる。具体的には、たとえば、被写体距離に基づく位置情報が、主要被写体条件を充足していれば、その被写体は、主要被写体の候補となる。決定数が主要被写体数に到達していなければ、主要被写体の候補は、主要被写体となる。
【0073】
また、被写体の方向に関する情報とは、被写体の顔の向き、または視線方向を示す情報である。具体的には、たとえば、判定部511は、被写体の顔が正面を向いていれば、両眼、鼻、口などの顔のパーツに基づき顔検出された場合、当該被写体は、主要被写体の候補となる。また、たとえば、一部の顔のパーツが欠損している場合、判定部511は、当該被写体を主要被写体ではないと判定する。
【0074】
また、判定部511は、既存技術により、被写体の顔画像、特に両眼の黒目の位置および面積から被写体の視線方向を検出する。判定部511は、被写体の視線方向と、その被写体と撮像装置100とを結ぶ線と、のずれが所定範囲内であれば、被写体が撮像装置100を見ていると判定する。撮像装置100を見ていると判定された被写体は、主要被写体の候補となる。決定数が主要被写体数に到達していなければ、主要被写体の候補は、主要被写体となる。
【0075】
また、判定部511は、撮像部120から出力される時系列な画像データIごとに、被写体が主要被写体に該当するか否かを判定する。たとえば、判定部511は、
図2~
図4に示した画像データI0~I3の各々について、人間h1~h9が主要被写体であるか否かを判定する。
【0076】
また、判定部511は、
図2の被写体h8、
図3の被写体h1、および
図4の被写体h9のように、撮像範囲内にフレームインしてきた被写体が主要被写体に該当するか否かを判定する。
図2の被写体h8の場合、決定数が主要被写体数に到達しているため、判定部511は、被写体h8を不要被写体に該当すると判定する。
【0077】
図3の被写体h1の場合、時刻t3で撮像範囲内にフレームインしてきた被写体h1の特徴情報f1がすでに取得済みの特徴情報f1と一致するため、判定部511は、被写体h1を主要被写体に該当すると判定する。
図4の被写体h9の場合、特徴情報f9がいずれの特徴情報f1~f3にも一致しないため、判定部511は、被写体h9を不要被写体に該当すると判定する。
【0078】
判定部511は、上述した判定後に決定数を更新する。具体的には、たとえば、判定部511は、設定部504で設定した主要被写体数も「3」であれば、
図2の時刻t0の画像データI0については、主要被写体条件を充足する主要被写体数が「3」であるため、決定数を「3」に設定する。
【0079】
また、判定部511は、
図2の時刻t1の画像データI1については、被写体h8がフレームインして特徴情報f8が検出されたが、特徴情報f8は特徴情報f1~f3のいずれにも一致せずに被写体h8が不要被写体と判定されたため、決定数「3」を維持する。
【0080】
また、判定部511は、
図2の時刻t2の画像データI2については、主要被写体である被写体h1がフレームアウトして特徴情報f1が検出されなくなったため、決定数を「3」から「2」に更新する。
【0081】
また、判定部511は、
図3の時刻t3の画像データI3aについては、主要被写体である被写体h1がフレームインして、特徴情報f1が検出されたため、決定数を「2」から「3」に更新する。
【0082】
また、判定部511は、
図4の時刻t3の画像データI3bについては、被写体h9がフレームインして特徴情報f9が検出されたが、特徴情報f9は特徴情報f1~f3のいずれにも一致せずに被写体h9が不要被写体と判定されたため、決定数「2」を維持する。
【0083】
生成部512は、画像データIにおいて被写体に関する特徴情報を生成する。具体的には、たとえば、生成部512は、上述した特徴情報f1~f3を生成する。
【0084】
区別処理部513は、主要被写体と不要被写体とを区別する画像処理を実行する。具体的には、たとえば、区別処理部513は、不要被写体に上述した区別処理を実行する。区別処理は、不要被写体が主要被写体よりも相対的に不鮮明になる画像処理である。
【0085】
なお、区別処理部513は、決定数が、上述した決定数に関するしきい値以上になった場合に、不要被写体に区別処理を実行してもよい。
【0086】
また、区別処理部513は、主要被写体数に基づいて、画像データIの解像度を変更してもよい。具体的には、たとえば、区別処理部513は、設定部504によって設定された主要被写体数がしきい値以上であれば、設定部504によって設定された主要被写体数がしきい値未満の場合よりも、画像データIの解像度を高くする。これにより、しきい値以上の主要被写体数については高解像度の画像データIを生成することができる。
【0087】
また、区別処理部513は、決定数に基づいて、画像データIの解像度を変更してもよい。具体的には、たとえば、区別処理部513は、決定数が決定数に関するしきい値以上であれば、決定数が決定数に関するしきい値未満の場合よりも、画像データIの解像度を高くする。これにより、しきい値以上の決定数になると動的に高解像度の画像データIを生成することができる。
【0088】
<撮像処理手順>
図6は、撮像装置100による撮像処理手順例を示すフローチャートである。撮像装置100は、入力部502、解析部503、設定部504および受付部505により、各種情報を取得する(ステップS601)。
【0089】
撮像装置100は、撮像制御部501による撮像制御にしたがって、撮像部120で被写体を撮像し、画像データIを生成する(ステップS602)。撮像装置100は、生成部512により、画像データIから特徴情報を生成する(ステップS603)。
【0090】
撮像装置100は、判定部511により、被写体が主要被写体に該当するか否かを判定し(ステップS604)、判定結果に基づいて決定数を更新する(ステップS605)。
【0091】
撮像装置100は、区別処理部513により、画像データIにおいて主要被写体と不要被写体とを区別する画像処理を実行する(ステップS606)。
【0092】
撮像装置100は、表示制御部507の表示制御により、表示部506に区別処理後の画像データIを表示し、記録制御部509の記録制御により、記録部508に区別処理後の画像データIを記録する(ステップS607)。
【0093】
撮像装置100は、ユーザ操作、または、あらかじめ設定した撮像終了時刻の経過により、撮像部120による撮像が終了したか否かを判断する(ステップS608)。撮像終了でない場合(ステップS608:No)、ステップS602に戻る。撮像終了である場合(ステップS608:Yes)、撮像装置100は、一連の処理を終了する。
【0094】
このように、本実施例によれば、撮像装置100は、撮影中に特定の個人を主要被写体にするといった処理をすることなく、被写体を、主要被写体条件および主要被写体数を充足する主要被写体201と主要被写体には該当しない不要被写体202とに分離して、主要被写体201と不要被写体202とで異なる画像処理を実行する。これにより、主要被写体201と不要被写体202とを区別した画像データを生成することができる。
【0095】
また、主要被写体を撮影前に決めたい場合であっても主要被写体数を設定しておくことで、主要被写体を自動設定可能な撮影を開始することができる。特に、事前に主要被写体の顔画像を登録しておく必要がないため、撮影開始前に手間がかからず使い勝手の良い撮像装置100を提供することができる。また、どの被写体を主要被写体にしたいか固定されていない場合であっても、主要被写体条件を満たす主要被写体数以内の被写体であれば主要被写体となるため、撮影対象に応じて自由に主要被写体を変更することができる。
【0096】
また、撮影中に被写体がフレームイン、フレームアウトする場合であっても、一度主要被写体と判定されれば、その後フレームアウトしても、他の被写体がフレームアウトした主要被写体に代わり主要被写体になることはない。また、主要被写体がフレームアウト後にフレームインした場合でも、主要被写体として認識される。したがって、撮影中にフレームインやフレームアウトが発生しても撮影を中断する必要がなく、主要被写体および不要被写体を区別する画像処理を実行することができるため、撮影の円滑化を図ることができる。
【0097】
また、主要被写体201よりも不要被写体202を不鮮明になるように画像処理することで、たとえば、観光地等で家族または家族以外の同行メンバが鮮明に、他人が鮮明にならないように撮像することができ、撮像した画像データIを当該他人のプライバシーに配慮しつつ、インターネット上に即座にアップロードすることが可能になる。また、たとえば、街頭インタビューの収録を次々に行う場合や、学校行事等で自分の子供および友達と、それ以外と、をと撮り分けたい場合や、撮像装置100を貸し借りして撮影する場合にも有用である。
【0098】
なお、上述した実施例において、受付部505は、画像データIの記録開始や記録終了、記録の一時停止を受け付けたが、受付部505は、ユーザの指定により表示デバイス111上で主要被写体の変更を受け付けてもよい。
【0099】
図7は、主要被写体の変更例1を示す説明図である。表示デバイス111の表示画面700には、画像データIxが表示されている。説明の便宜上、画像データIxは、
図2に示した画像データI0と同じ内容とする。
【0100】
受付部505は、ユーザ操作により、不要被写体である被写体h4~h7を指定する矩形701を生成したとする。この場合、設定部504は、主要被写体条件および主要被写体数を、矩形701内の被写体h4~h7(不要被写体220)が主要被写体201になるように変更する。そして、判定部511は、矩形701内の被写体h4~h7を主要被写体201に該当すると判定し、区別処理部513は、画像データIyにおいて、矩形701内の被写体h4~h7を、主要被写体201として画像処理する。
【0101】
この場合、矩形701内の被写体h4~h7の数である「4」が検出されるため、設定部504は、主要被写体数を「3」から「7」に変更する。また、設定部504は、主要被写体条件を、被写体h1~h7が充足する内容に変更する。たとえば、変更前の主要被写体条件が被写体距離d1であり、被写体h1~h3が被写体距離dxで、被写体h4~h7の被写体距離が被写体距離d1よりも大きいdyであったとする。この場合、設定部504は、主要被写体条件を、d1からd1以上dy以下に変更する。そして、判定部511は、被写体h1~h7の特徴情報f1~f7を主要被写体の特徴情報として保持する。
【0102】
図8は、主要被写体の変更例2を示す説明図である。
図7と異なり、
図8では、矩形701を指定すると、設定部504は、主要被写体条件および主要被写体数を、矩形701内の被写体h4~h7(不要被写体220)のみが主要被写体201になるように変更する。
【0103】
そして、判定部511は、矩形701内の被写体h4~h7を主要被写体201に該当すると判定し、矩形701外の被写体h1~h3を不要被写体に該当すると判定し、区別処理部513は、画像データIzにおいて、矩形701内の被写体h4~h7を主要被写体201として、矩形701外の被写体h1~h3を不要被写体として画像処理する。
【0104】
この場合、矩形701内の被写体h4~h7の数である「4」が検出されるため、設定部504は、主要被写体数を「3」から「4」に変更する。また、設定部504は、主要被写体条件を、被写体h4~h7が充足する内容に変更する。たとえば、変更前の主要被写体条件が被写体距離d1であり、被写体h1~h3が被写体距離dxで、被写体h4~h7の被写体距離が被写体距離d1よりも大きいdyであったとする。この場合、設定部504は、主要被写体条件を、d1からd1より大きくdy以下に変更する。そして、判定部511は、被写体h4~h7の特徴情報f4~f7を主要被写体の特徴情報として保持する。
【0105】
なお、
図8では、設定部504は、主要被写体数および主要被写体条件を変更したが、たとえば、矩形701内の被写体がh5~h7であったとすると、矩形701内の被写体数は「3」であるため、主要被写体数は変更されないが、主要被写体条件は変更される。
【0106】
また、
図8では、設定部504は、主要被写体数を増加させたが、たとえば、矩形701内の被写体がh6、h7であったとすると、矩形701内の被写体数は「2」であるため、主要被写体数も変更される。そして、判定部511は、被写体h6、h7の特徴情報f6,f7を主要被写体の特徴情報として保持する。
【0107】
また、
図7および
図8においては、矩形701内の被写体を被写体h4~h7のように、被写体h1~h3とは主要被写体条件が異なるように指定されたが、被写体h3、h4のように、主要被写体条件が一部一致するような指定でもよい。たとえば、矩形701内の被写体が被写体h3、h4であったとすると、設定部504は、主要被写体数を「2」に変更し、主要被写体条件を、d1からd1以上dy以下に変更する。そして、判定部511は、被写体h3、h4の特徴情報f3、f4を主要被写体の特徴情報として保持する。
【0108】
このような直観的な操作により、主要被写体数および主要被写体条件を変更することができる。なお、
図7および
図8のいずれの変更処理を適用するかについては、ユーザが撮像装置100に対して事前に設定しておくことになる。
【0109】
また、上述した実施例では、主要被写体を人間としたが、人間以外の動物、例えば、犬や猫でもよい。たとえば、犬に設定された場合、生成部512は犬の特徴情報を生成し、判定部511は、犬の特徴情報に基づいて、被写体が主要被写体であるか否かを判定することになる。
【0110】
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであっても良い。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
100 撮像装置、201 主要被写体、202 不要被写体、220 不要被写体、501 撮像制御部、502 入力部、503 解析部、504 設定部、505 受付部、506 表示部、507 表示制御部、508 記録部、509 記録制御部、510 画像処理部、511 判定部、512 生成部、513 区別処理部、700 表示画面