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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065662
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報生成方法、および情報生成装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174649
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】開 俊啓
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】製品に関する情報管理を好適に行うこと。
【解決手段】化学タグが付されたプラスチックを含む製品を製造する製造工程と、製品に係る第1情報を入力する第1情報入力工程と、製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルに、第1情報を関連付けたタグ第1情報を生成するタグ第1情報生成工程と、製品に係るとともに、第1情報とは異なる第2情報を入力する第2情報入力工程と、製品に付された物理タグに、第2情報を関連付けたタグ第2情報を生成するタグ第2情報生成工程と、タグ第1情報およびタグ第2情報を登録する登録工程と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学タグが付されたプラスチックを含む製品を製造する製造工程と、
前記製品に係る第1情報を入力する第1情報入力工程と、
前記製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルに、前記第1情報を関連付けたタグ第1情報を生成するタグ第1情報生成工程と、
前記製品に係るとともに、前記第1情報とは異なる第2情報を入力する第2情報入力工程と、
前記製品に付された物理タグに、前記第2情報を関連付けたタグ第2情報を生成するタグ第2情報生成工程と、
前記タグ第1情報および前記タグ第2情報を登録する登録工程と、
を含む情報生成方法。
【請求項2】
前記物理タグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、2次元コード、または1次元コードである請求項1に記載の情報生成方法。
【請求項3】
前記第1情報は、前記プラスチックを構成する材料に関する材料関連情報であり、前記第2情報は、前記製品のトレーサビリティ情報である請求項1または請求項2に記載の情報生成方法。
【請求項4】
前記材料関連情報は、前記プラスチックの構成、前記プラスチックの組成、前記プラスチックの用途、前記製品の用途、前記製品のリサイクル方法、前記プラスチックの銘柄、前記プラスチックに対する品質クレーム、および前記プラスチックの原料に含まれる規制物質の有無を示す情報のうちの少なくとも1つの情報を含む請求項3に記載の情報生成方法。
【請求項5】
前記トレーサビリティ情報は、前記製品のロット番号、および前記製品に加工を施した会社のうちの少なくとも1つの情報を含む請求項3に記載の情報生成方法。
【請求項6】
前記製造工程は、最終製品に至るまでの一または複数の工程を含み、
前記タグ第1情報生成工程では、前記製造工程における各工程が行われるごとに、前記波長スペクトルプロファイルに新たな前記第1情報を関連付けた前記タグ第1情報を生成する、
請求項1に記載の情報生成方法。
【請求項7】
前記製造工程では、原料の段階で付された化学タグと同一の化学タグが付された前記最終製品を製造する、
請求項6に記載の情報生成方法。
【請求項8】
前記製造工程では、原料の段階で付された化学タグとは異なる化学タグが付された前記最終製品を製造する、
請求項6に記載の情報生成方法。
【請求項9】
前記製造工程は、前記最終製品に至るまでの一または複数の工程を含み、一の工程において二種類以上の化学タグを付すことが可能である、
請求項6~8のいずれか1項に記載の情報生成方法。
【請求項10】
前記化学タグは、マイクロタグシリカである請求項1または請求項2に記載の情報生成方法。
【請求項11】
化学タグが付されたプラスチックを含む製品に係る第1情報を入力する第1情報入力部と、
前記製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルに、前記第1情報を関連付けたタグ第1情報を生成するタグ第1情報生成部と、
前記製品に係るとともに、前記第1情報とは異なる第2情報を入力する第2情報入力部と、
前記製品に付された物理タグに、前記第2情報を関連付けたタグ第2情報を生成するタグ第2情報生成部と、
前記タグ第1情報および前記タグ第2情報を登録する登録部と、
を含む情報生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報生成方法、および情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチックは、埋め立て、海洋投棄、焼却等の各種方法によって処分されていた。各種方法は、いずれも問題がある。埋め立ては、埋め立て場所の確保が難しいという問題がある。海洋投棄は、プラスチックが分解しないことから、環境面の観点で問題がある。焼却は、炭酸ガスの排出により、地球温暖化に繋がるという問題がある。
【0003】
そこで、廃プラスチックのリサイクル(再利用)の必要性が高まっている。廃プラスチックフィルムをリサイクルするにあたっては、回収したプラスチックフィルムを素材ごとに分ける必要がある。特に、高精度に素材を分別することにより、リサイクル製品の品質の安定化を図ることができる。
【0004】
近年では、組成物を識別する手法として、プラスチックXRF特定マーカーを含む透明ポリマーによって透明製品のマーキングおよび認証を行う方法が提案されている。具体的には、XRF特定マーカーにX線またはガンマ線を照射すると、予め定められた特定可能なパターンを読み取るようにすることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。また、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連のプロセスにおいて、バーコードや無線タグを用いて、各プロセスにおける所在や証拠を管理することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2019-520572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術背景において、同じ組成物で製造された異なる製品は、上記XRF特定マーカーによるパターンが同じとなる。そのため、同じ組成物で製造された製品であるが、例えば製造メーカー等が異なるなどして異なる製品となった場合には、XRF特定マーカーによるパターンだけでは区別できないため、トレーサビリティなど、製品に関する情報管理という観点からは不十分なものであった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、製品に関する情報管理を好適に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である情報生成方法は、化学タグが付されたプラスチックを含む製品を製造する製造工程と、前記製品に係る第1情報を入力する第1情報入力工程と、前記製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルに、前記第1情報を関連付けたタグ第1情報を生成するタグ第1情報生成工程と、前記製品に係るとともに、前記第1情報とは異なる第2情報を入力する第2情報入力工程と、前記製品に付された物理タグに、前記第2情報を関連付けたタグ第2情報を生成するタグ第2情報生成工程と、前記タグ第1情報および前記タグ第2情報を登録する登録工程と、を含む情報生成方法である。
【0009】
また、本発明の他の態様である情報生成装置は、化学タグが付されたプラスチックを含む製品に係る第1情報を入力する第1情報入力部と、前記製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルに、前記第1情報を関連付けたタグ第1情報を生成するタグ第1情報生成部と、前記製品に係るとともに、前記第1情報とは異なる第2情報を入力する第2情報入力部と、前記製品に付された物理タグに、前記第2情報を関連付けたタグ第2情報を生成するタグ第2情報生成部と、前記タグ第1情報および前記タグ第2情報を登録する登録部と、を含む情報生成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品に関する情報管理を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るリサイクルシステム1の各工程の一例を示す説明図である。
図2】ブロックチェーンのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図3】工場端末装置130~132のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】リサイクルシステム1で行われる各工程の一例フローチャートである。
図5】最終製品に至るまでの化学タグ、RFタグの変遷の一例を示す説明図である。
図6】最終製品に至るまでの化学タグ、RFタグの変遷の一例を示す説明図である。
図7】最終製品に至るまでの化学タグ、RFタグの変遷の一例を示す説明図である。
図8A】タグ第1情報DBの一例を示す説明図である。
図8B】タグ第2情報DBの一例を示す説明図である。
図9】製造工程で用いられる工場端末装置130(130a、130b)、131(131a~131c)の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図10】分別工程17で用いられる工場端末装置132の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図11】素材メーカー151の原料工程11において工場端末装置130(130a、130b)が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図12】工場端末装置131(131a、131b、131c)が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図13】工場端末装置131(131a、131b、131c)が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図14】製造工程において各工場端末装置130が二酸化炭素の削減量に係る算出処理の一例を示すフローチャートである。
図15】分別会社154に配置される工場端末装置132が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図16A】ユーザに付与された権限等を含むユーザDB示す図である。
図16B】タグ第1情報権限DBを示す図である。
図16C】タグ第2情報権限DBを示す図である。
図17】権限を用いた場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本実施形態の情報生成方法、および情報生成装置を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
【0013】
まず、本実施形態に用いるプラスチックと、化学タグについて説明する。
(プラスチック)
本実施形態で用いるプラスチック製品に含まれるプラスチック物品、および再生プラスチック製品に含まれる再生プラスチック物品の原料となる樹脂の種類を以下に例示する。 ポリエステル、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂(アラミド系樹脂を含む)、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、および、フッ素系樹脂等。
これらの樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
これらのうち、後述する化学タグとの相性が良好な点から、ポリエステルを含むことが好ましい。また、ポリエステルの種類は、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合した種類である。
【0015】
ジカルボン酸成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、アジピン酸、ダイマー酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、およびコハク酸等である。
ジカルボン酸成分には、トリメリット酸およびトリメシン酸等のトリカルボン酸、並びにピロメリット酸等のテトラカルボン酸を用いることができる。
さらに、ジカルボン酸成分には、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えば、無水フタル酸および無水トリメリット酸等の酸無水物、並びにトリメリット酸モノカリウム等のカルボン酸塩等も用いることができる。
【0016】
ジオール成分は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、スピログリコール、イソソルバイド、およびジメチロールプロピオン酸、並びにジメチロールプロピオン酸カリウム等である。ジオール成分には、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールを用いることもできる。
前記化合物の中から、それぞれ適宜1種以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステルを合成すればよい。
【0017】
また、ポリエステルは、植物由来の原料から得られたバイオマスポリエステル、例えばバイオマス由来のエチレングリコールを、ジオール成分として用いたポリエステルを含んでもよい。
なお、本実施形態において、ジカルボン酸成分を100モル%としたときに、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸を50%以上含有するポリエステルを使用することが好ましい。
【0018】
ポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルの場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。中でも、芳香族ジカルボン酸には、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸がより好ましく、脂肪族グリコールには、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ルがより好ましい。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を例示することができ、汎用性の観点からはPETがより好ましい。
【0019】
一方、ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分となる化合物、および、ジオール成分の主成分となる化合物以外の第3成分を共重合成分として含む。例えば、第3成分とは、PETでは、テレフタル酸およびエチレングリコール以外の成分である。主成分および第3成分であるジカルボン酸およびジオールの具体例は上述したとおりである。
【0020】
プラスチック物品および再生プラスチック物品は、例えば、フィルムやボトルである。例えば、プラスチック物品の形態をボトル、再生プラスチック物品の形態をフィルムとした、すなわち、ボトル トゥ フィルムのような異なる形態へのリサイクル(再生)であってもよい。プラスチック物品および再生プラスチック物品は、例えば、フィルムであり、本実施形態ではポリエステルフィルムとする。
なお、原料となる樹脂からフィルムなど所定の形へ成形する加工方法については、一般的な方法を用いればよい。
【0021】
(化学タグ)
化学タグは、プラスチック物品および再生プラスチック物品の原料となる樹脂自体にタグ付けが行われるものである。このため、当該物品を含む製品と化学タグとが切り離されることがない。例えば、化学タグが導入されているプラスチックフィルムをロール状やシート状などいずれの状態にしたとしても、製品に関する情報を取得することが可能になる。
【0022】
化学タグは、波長スペクトルプロファイルを有する。波長スペクトルプロファイルは、所定の読取装置によって読み取られることで得られる波形に対応する識別情報である。波長スペクトルプロファイルは、後述する製品情報と関連付けられる。波長スペクトルプロファイルは、いずれかの分光装置を介して識別可能な、波長ごとに異なる値の集合である。また、化学タグは、重ね合わせることが可能である。化学タグを重ね合わせると、重ね合わせた波長スペクトルプロファイルを得ることもできる。
【0023】
化学タグは、波長スペクトルプロファイルによって、プラスチック製品や、当該プラスチック製品が廃材となった廃プラスチック製品についての情報の取得を可能にする。また、化学タグは、廃プラスチック製品に含まれる廃プラスチック物品から再生された再生プラスチック物品に含まれる場合も、当該再生プラスチック物品を含む再生プラスチック製品についての情報の取得を可能にする。
このように、化学タグは、プラスチック製品、廃プラスチック製品、再生プラスチック製品、さらにその再生プラスチック製品が廃材となった廃再生プラスチック製品など、いずれについても、製品についての情報の取得を可能にする。
【0024】
なお、化学タグを添加する方法としては、化学タグとプラスチック物品の原料となる樹脂(例えばポリエステル)とを予めマスターバッチ化してもよいし、プラスチック物品の製造工程における原料投入段階で直接化学タグを添加してもよい。また、最終製品までの各工程においてそれぞれ化学タグを添加することが可能である。
【0025】
ここで、化学タグについて、マイクロタグシリカや、蛍光X線(XRF:X‐ray Fluorescence)特定可能マーカーを適用することができる。まず、マイクロタグシリカについて詳述する。
【0026】
(マイクロタグシリカ)
マイクロタグシリカは、例えば、直径がナノメートル単位の細孔を有する多孔質シリカ粒子を含む。プラスチック物品のうち、例えばプラスチックフィルム、特にポリエステルフィルム分野では、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、シリカ粒子を含有させている。このため、直径がナノメートル単位の細孔を有する多孔質シリカ粒子は、フィルムの基本特性に対して影響を及ぼすことが少ない。このため、当該多孔質シリカ粒子を含むプラスチックフィルムは、実用上では問題なく使用することができる。
【0027】
多孔質シリカ粒子は、高純度のシリカ粒子の表面に、直径がナノメートル単位の細孔が形成された無数に形成されたものである。例えば、多孔質シリカ粒子は、ミクロ孔、メソ孔またはマクロ孔が無数に形成されたものであり、ナノ多孔性構造を有するシリカ粒子である。
【0028】
光を波長ごとに分光して撮影するハイパースペクトルカメラ等の光学式分光リーダーを使用すると、多孔質シリカ粒子の細孔に基づく特定の反射パターン(例えば反射スペクトル、反射ピーク、反射振幅等)を得ることができる。多孔質シリカ粒子の細孔に基づく特定の反射パターンは、スペクトル(光学的)標識となる。この反射パターンは、ナノメートル単位の細孔の構造(形状)によって異なることから、波長スペクトルプロファイル(識別情報)として利用することができる。
【0029】
(XRF特定可能マーカー)
また、化学タグには、複数の元素の組み合わせによるXRF特定可能マーカーを適用することができる。XRF特定可能マーカーは、蛍光X線により存在を確認できる化合物や元素を一種または複数種含む。X線を照射可能な読取装置(蛍光X線リーダー)が、その存在を読み取ることによって波長スペクトルプロファイルが得られる。波長スペクトルプロファイルは、化合物や特定の元素がどのような組み合わせで存在するかを示す。XRF特定可能マーカーは、この組み合わせに識別符号が割り当てられた化学タグである。
【0030】
ここでXRF特定可能マーカーとして利用できる元素は、例えば、Na、Si、P、S、Cl、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Cd、In、Sn、Sb,Te、I、Cs、Ba、LaおよびCeのうち、1種または2種以上の原子を含む。
【0031】
XRF特定可能マーカーの化合物には、上記の元素のうち、金属元素の水酸化化合物、塩化化合物、臭化化合物、ヨウ化化合物、酸化物、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、酸化物、硫化物などを用いることができる。
【0032】
X線を試料に照射した時に発生する蛍光X線のエネルギーや強度を検出する蛍光X線リーダーを使用することにより、物質の成分元素や構成比率を示す反射パターン(例えば反射スペクトル、反射ピーク、反射振幅等)を得ることができる。このような特定の反射パターンは、スペクトル(光学的)標識となる。この反射パターンは、XRF特定可能マーカーごとに異なることから、波長スペクトルプロファイル(識別情報)として利用することができる。
【0033】
なお、化学タグは、多孔質シリカ粒子と、XRF特定可能マーカーとの両方を含んでいてもよい。さらに、化学タグは、多孔質シリカ粒子やXRF特定可能マーカーとは異なるものとすることも可能である。
【0034】
(物理タグ)
物理タグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、1次元コード(バーコード)、2次元コードなど、付された製品を一意に特定可能な情報が取得可能なものであればよい。そして、物理タグは製品に付されることから、ひとたび製品から物理タグが切り離されたり破損したりした場合には、タグから情報を得ることができない。本実施形態では、物理タグとしてRFタグを用いて説明する。RFタグには、このRFタグが付された製品を一意に特定可能な情報(以下、「ID」という)が記憶される。
【0035】
(製品情報)
次に、製品情報について説明する。製品情報は、その製品に加工を施した会社、加工方法、用途、ロット、リサイクル方法など、プラスチック製品および再生プラスチック製品の最終製品に至る各工程において付される情報である。具体的には、製品情報は、例えば、プラスチック製品の製造国、製造会社、製造工場などの製造者情報を含む。特に、後述する製造会社ごとの二酸化炭素排出削減量を算出できるようにするため、製造者情報として製造会社を含む。
【0036】
また、製品情報は、プラスチック製品の構成・組成・用途といった情報を含む。例えば、用途は、プラスチック製品の製造会社において製造段階や出荷段階で想定される光学用、包装用といった用途である。
製品情報に、プラスチック製品の構成・組成・用途の情報を含ませることにより、回収した廃プラスチック製品の素性である元のプラスチック製品に関する情報が、より詳細に分かるようになる。これにより、その製品情報に応じて廃材を分解・分別することができるため、再生プラスチック製品を効率よく製造できるようになる。したがって、再生プラスチック製品(リサイクル製品)の品質を安定化させることができる。
本実施形態では、上述した製品情報を2つの情報(第1情報、第2情報)として分類する。第1情報は、製品に係る情報で、プラスチックを構成する材料に関する材料関連情報である。第2情報は、第1情報とは異なる情報で、トレーサビリティ情報である。
【0037】
(タグ製品情報)
次に、タグ製品情報について説明する。タグ製品情報には、タグ第1情報とタグ第2情報とが含まれる。タグ第1情報は、波長スペクトルプロファイルに、第1情報を関連付けた情報である。タグ第2情報は、物理タグに、第2情報を関連付けた情報である。
【0038】
本実施形態では、タグ製品情報は、ブロックチェーンを用いたシステムで管理される。タグ製品情報をシステム上で管理することにより、製造から廃材までの各工程において、化学タグの波長スペクトルプロファイルや物理タグのRFIDを読み取ることで、読み取った波長スペクトルプロファイルやRFIDに関連付けられている製品情報を得ることができる。すなわち、プラスチック製品の工程にかかわらず、各工程において作業スタッフは、製品情報を把握することができる。
【0039】
(本実施形態に係るリサイクルシステム1の各工程)
図1は、本実施形態に係るリサイクルシステム1の各工程の一例を示す説明図である。図1において、原料工程11は、新しい原料を加工して素材を製造する工程である。成形工程12は、原料工程11で製造された素材を用いて、成形体、例えばフィルム状に成形する工程である。成形工程12は、成形中に機能層を設ける工程(1次加工工程)も含む。なお、成形工程12において、素材を組み合わせることも可能である。部材工程13は、成形体を部材へと加工する工程である。部材は、例えば、あるフィルムと他のフィルムとを重ね合わせて製造される。部材工程13は、一旦製造した成形体に、さらに機能層を設ける工程(2次加工工程)も含む。最終製品工程14は、部材を用いて最終消費者に提供される製品を製造する工程である。例えば、最終製品工程14では、部材工程13において製造された部材が最終製品に取り付けられたり組み込まれたりする。
【0040】
消費工程15は、最終製品が消費者によって消費される工程である。ゴミ回収工程16は、消費された最終製品がゴミとして回収される工程である。分別工程17は、回収した最終製品を分解して得られたプラスチック物品を分別する工程である。リサイクル原料工程18は、分別工程17において分別されたプラスチック物品をリサイクル原料に加工して、廃プラスチック物品を原料として製造する工程である。リサイクル原料工程18を終えると、成形工程12に移り、以降、リサイクルシステム1では、成形工程12~リサイクル原料工程18を繰り返すことが可能である。なお、原料工程11およびリサイクル原料工程18では、新しい原料(バージン原料)とリサイクル原料との両方を用いて、素材を製造することも可能である。
【0041】
(ブロックチェーンのシステム構成)
図2は、ブロックチェーンのシステム構成の一例を示すブロック図である。図2において、ブロックチェーン100は、ネットワーク110と、ノードサーバ120(120a~120d)と、工場端末装置130~132(130a、130b、131a、131b、131c、132)と、ネットワーク140とを備える。ネットワーク110は、複数のコンピュータ間で通信をおこなうP2P(Peer to Peer)ネットワークである。なお、図示においてノードサーバ120は、図示では便宜上4台であるが、実際にはこれよりも多くの台数である。
【0042】
ネットワーク110は、例えば、Peerとよばれる端末(ノードサーバ120)によって構成される。このブロックチェーン100では、クライアント・サーバ型でいうサーバに相当する存在がないため、特定のPeerが切断しても、サービスの提供は止まらない。このように、ブロックチェーン100は、参加者それぞれが平等な立場であることから、「非中央集権的な」システムであるといえる。
【0043】
ノードサーバ120は、ブロックチェーン100のコンセンサスアルゴリズムで、取引について検証・合意の形成をおこなうことができる。ブロックチェーン100では、ネットワーク110内で発生した一定の時間、一定の量の取引データ(トランザクション)をブロックに格納する。そして、生成したブロックを、その時点で存在する最も新しいブロックの後ろにつなげて蓄積していく。その結果、ブロック同士が時系列順にチェーン(鎖)のように連結していく。
【0044】
具体的に説明すると、ブロックチェーン100の各ブロックには、取引データのほかに、ハッシュ値と、ナンス値とが含まれている。ハッシュ値は、一方向にしか変換できない不規則な文字列であり、ハッシュ関数を用いたアルゴリズムによって元のデータから求められる。ある取引データからは同じハッシュ値のみが得られる。そして、新しいブロックには必ず前のブロックの取引データがハッシュ値として記録されていく。ナンス値は一度だけ使われる数字である。ナンス値は、後続するブロックで使用されるハッシュ値を変化させる。
【0045】
このため、仮に、過去のある時点に生成したブロック内の取引データを改ざんしたとすると、そのブロックから求められるハッシュ値が正規のものとは異なることになる。改ざんを行うには、後続する全ブロックのハッシュ値を変更しなければならない。このようなハッシュ値の変更を行うことは、事実上不可能に近い。このため、ブロックチェーン100は、改ざんの耐性に優れた構造を有する。
【0046】
各ノードサーバ120は、それぞれタグ製品情報を記憶するタグ製品情報DB(データベース)121を記憶する。いずれかのノードサーバ120(図2においては、ノードサーバ120c)の下には、インターネットなどのネットワーク140を介して、工場端末装置130~132が、ぶら下がる形で接続されている。
【0047】
工場端末装置130~132は、各工程において作業スタッフが操作する情報処理装置である。工場端末装置130~132は、所定のアプリケーション(情報生成プログラムやリサイクルプログラム)がインストールされている。工場端末装置130~132は、所定のアプリケーションを用いて、作業スタッフに製品情報の登録操作を受け付ける。工場端末装置130~132は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末装置など、ネットワーク140に有線または無線で接続可能な情報処理装置である。なお、以下において、アプリケーションを「アプリ」という場合がある。
【0048】
工場端末装置130aは、素材メーカー151における原料工程11が行われる製造現場に配置される。工場端末装置130bは、素材メーカー151におけるリサイクル原料工程18が行われる製造現場に配置される。工場端末装置131aは、素材メーカー151における成形工程12が行われる製造現場に配置される。工場端末装置131bは、部材メーカー152における部材工程13が行われる製造現場に配置される。工場端末装置131cは、最終製品メーカー153における最終製品工程14が行われる製造現場に配置される。工場端末装置132は、分別会社154における分別工程17が行われる作業現場に配置される。
【0049】
(工場端末装置130~132のハードウェア構成)
図3は、工場端末装置130~132のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3において、工場端末装置130~132は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、入力デバイス303と、化学タグリーダー304と、通信I/F(インタフェース)305と、記憶媒体I/F306と、ディスプレイ307と、RFリーダライタ308とを備える。また、各構成部301~308は、バス320によってそれぞれ接続される。
【0050】
CPU301は、工場端末装置130~132の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶する。各種プログラムは、本実施形態に係る情報生成プログラムやリサイクルプログラムを含む。RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0051】
入力デバイス303は、タッチパネル、キーボード、マウス、マイクなどを含む。
化学タグリーダー304は、上述した光学式分光リーダーと蛍光X線リーダーとを含む。RFリーダライタ308は、RFタグにIDを書き込んだり、IDを読み出す。
通信I/F305は、通信回線を通じて、インターネットなどのネットワーク140に接続され、ネットワーク140を介して他の装置に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク140と自装置内部とのインタフェースを司り、他の装置(例えば、ノードサーバ120や、他の工場端末装置130~132など)からのデータの入出力を制御する。通信I/F305には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0052】
記憶媒体I/F306は、CPU301の制御にしたがって、磁気ディスク、光ディスクなど不図示の記憶媒体に対するデータのリード、ライトを制御する。
ディスプレイ307は、画像を表示する出力デバイスである。なお、ディスプレイ307のほかにも出力デバイスとして、工場端末装置130~132は、マイクやプリンタを備えてもよい。
【0053】
(リサイクルシステム1で行われる各工程の一例)
図4は、リサイクルシステム1で行われる各工程の一例フローチャートである。図4に示すように、まず、化学タグが付されたプラスチック物品を含む製品を製造する製造工程が行われる(ステップS401)。製造工程における原料は、バージン原料とリサイクル原料とを含む。また、製造工程は、原料工程11と、成形工程12と、部材工程13と、最終製品工程14と、リサイクル原料工程18とを含む。
【0054】
最終製品まで完成すると、商品が流通し、消費工程15が行われる(ステップS402)。そして、製品がユーザに使用されて使用済みになると、ゴミ回収工程16が行われる(ステップS403)。回収された製品は廃プラスチック物品に分解され、分別可能な分別工程17が行われる(ステップS404)。そして、分別された廃プラスチック物品は、再度ステップS401の製造工程に用いられる。このように、リサイクルシステム1は、ステップS401~S404の各工程を繰り返すことが可能である。
上述の例では、再生プラスチック物品の製造工程について説明したが、これに限られず、バイオマスプラスチック物品についても、同様の製造工程を取ることができる。この場合、製造工程における原料は、バイオマス原料を含む。
前記製造工程において、バイオマス及び/又は再生プラスチック物品を製造する場合、エコ素材やリサイクル素材を使用した物品に化学タグを付すこととなり、エコ素材やリサイクル素材を使用した物品を認証することができるため、エコ素材やリサイクル素材の使用証明に繋がり、循環リサイクルや二酸化炭素排出量削減の貢献にも繋がる。
【0055】
(最終製品に至るまでの化学タグ、RFタグの変遷の一例)
図5図7は、最終製品に至るまでの化学タグ、RFタグの変遷の一例を示す説明図である。
本実施形態に係るリサイクルシステム1では、原料の段階で付された化学タグと同一の化学タグが付された最終製品を製造することが可能である。一方、RFタグは、加工等で製品が変化するたびに異なるRFタグが付される。
図5では、原料工程において導入された一の化学タグのまま最終製品に至る場合について説明する。図5に示すように、原料工程11において製品に化学タグTg1が導入される。化学タグリーダー304によって製品の化学タグTg1が読み取られると、波長スペクトル500が得られる。
【0056】
成形工程12において、フィルムに製膜され、さらに、コートフィルムに成形(1次加工)される。フィルムに製膜されると、RFTg1が付される。コートフィルムに成形された製品にはRFTg2が付される。
【0057】
成形工程12において、他の化学タグの導入はない。そして、部材メーカー152の部材工程13において塗工(2次加工)されたり偏光板に加工されたりする。塗工されると、RFTg3が付される。偏光板に加工されるとRFTg4が付される。部材工程13において、化学タグの導入はない。そして、最終製品メーカーの最終製品工程14においてパネルや電子部品に加工され、最終製品中に組み込まれる。最終製品工程14において、他の化学タグの導入はない。最終製品には、RFTg5が付される。
【0058】
なお、成形工程12、部材工程13および最終製品工程14のいずれの工程においても、製品情報が入力されることにより、製品情報は書き換えられる。
【0059】
図5に示した例では、最終製品までの各工程において他の化学タグの導入がない。このため、各工程において化学タグリーダー304によって化学タグTg1読み取られると、いずれの工程においても同じ波長スペクトル500が得られることになる。
【0060】
また、本実施形態に係るリサイクルシステム1では、原料の段階で付された化学タグとは異なる化学タグが付された最終製品を製造することが可能である。
図6では、途中の工程で他の化学タグが導入される場合について説明する。なお、RFタグについては、図6の場合も図5の場合と同様であるので、RFタグについての説明は省略する。図6に示すように、原料工程11において製品に化学タグTg1が導入される。化学タグリーダー304によって製品の化学タグTg1が読み取られると、波長スペクトル500(図4参照)が得られる。
【0061】
成形工程12において、フィルムに製膜され、さらに、コートフィルムに成形される。コートフィルムの成形において、コート層に他の化学タグTg2が導入されたとする。コートフィルムが化学タグリーダー304によって読み取られると、化学タグTg1の波長スペクトルと化学タグTg2とを重ね合わせた波長スペクトル600が得られる。なお、図6では、便宜上、波長スペクトル600は、化学タグTg1の波長スペクトルと、化学タグTg2の波長スペクトルとを別々に表しているが、実際には、化学タグTg1と化学タグTg2との和で表される場合もある。
【0062】
この後、部材工程13や最終製品工程14において、その他の化学タグの導入はないものとする。図6に示した例では、最終製品までの工程において他の化学タグTg2が導入されるため、原料工程11で得られる波長スペクトル500と、その後の工程で得られる波長スペクトル600とが異なることになる。なお、部材工程13や最終製品工程14において、その他の化学タグを導入することも可能である。この場合、その他の化学タグが導入されるたびに、波長スペクトルが変わることになる。
【0063】
また、本実施形態に係るリサイクルシステム1において、最終製品は、原料の段階で一種類または二種類以上の化学タグが付されたプラスチック物品を含む。また、リサイクルシステム1では、一の工程において、複数の化学タグを導入することも可能である。
図7では、原料工程において複数(二種類)の化学タグを導入し、そのまま最終製品に至る場合について説明する。なお、原料工程11に限らず、他の工程においても、一の工程で複数の化学タグを導入することが可能である。
【0064】
図7に示すように、原料工程11において製品に化学タグTg1、Tg2が導入される。化学タグリーダー304によって製品が読み取られると、波長スペクトル600が得られる。この後、成形工程12、部材工程13、最終製品工程14において、他の化学タグの導入はないものとする。このため、各工程において化学タグリーダー304によって製品が読み取られると、波長スペクトル600が得られることになる。
【0065】
なお、成形工程12、部材工程13、および最終製品工程14の各工程においても、一の工程で複数の化学タグを導入することも可能である。この場合、複数の化学タグが導入されるたびに、波長スペクトルが変わることになる。
【0066】
(ノードサーバ120に記憶されるタグ製品情報DB121の一例)
図8A図8Bは、タグ製品情報DB121であるタグ第1情報DBとタグ第2情報DBの一例を示す説明図である。図8Aに示すように、タグ第1情報DBは、「加工後の波長スペクトルプロファイル」と、「タグ第1情報」とを含む。「加工後の波長スペクトルプロファイル」は、各製造工程における加工後に読み取られた波長スペクトルプロファイルを示す。「タグ第1情報」は、各製造工程において加工後に入力された情報と、その前の工程までに入力された情報とを含む。なお、図8Aでは、ある一の製品について、原料工程11から部材工程13まで進んだ際のタグ第1情報の遷移について説明する。
【0067】
「タグ第1情報」は、「工程」、「ID」、「化学タグの導入の有無」、「組成物」、「用途」、「リサイクル方法」、「二酸化炭素の排出削減量」、「加工前の波長スペクトルプロファイル」、「クレーム」、「銘柄」、「規制物質」などを含む。
「工程」は、最終製品に至るまでの工程のうち、いずれかの製造工程を示す。
「ID」は、製品に付されたRFタグのIDを示す。
「化学タグの導入の有無」は、化学タグの導入を行ったことを示す「有」と、化学タグの導入が行われていないことを示す「無」とのうちのいずれかを示す。
「組成物」は、製品の組成物を示す。
「用途」は、次の工程以降における製品の用途を示す。
「リサイクル方法」は、当該製造工程において加工した製品について、回収後に分離が可能であるか否かを示す。
「二酸化炭素の排出削減量」は、リサイクル製品の製造時に、新品(非リサイクル製品)の製造時と比較して、当該工程において削減した二酸化炭素の排出量を示す。
「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、当該工程における加工前の波長スペクトルプロファイルであり、例えば、製品を納入した段階で作業スタッフの読取操作によって得られる。
「クレーム」は、製品に対するクレームを示す。
「銘柄」は、製品の銘柄を示す。
「規制物質」は、製品に含まれる規制物質を示す。
【0068】
図8Aにおいて、タグ第1製品情報800aは、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「α」であり、組成物「PEs1」が導入されたことを示している。RFタグのIDは、「0001」であることが示されている。タグ第1製品情報800aにおいて、リサイクル方法は「分離不可」であり、すなわち、「PEs1」としてリサイクル可能であることを示している。また、製造段階の最初の工程である原料工程11であることから、タグ第1製品情報800aにおいて、「加工前の波長スペクトルプロファイル」についての情報は記録されていない。なお、「PEs」は、ポリエステルを意味する。タグ第1製品情報800aにおいて、製品に対するクレームが「dddd」であることを示している。なお、「dddd」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。製品の銘柄は、「A」であることが示されている。なお、「A」は説明のための便宜的なもので、銘柄を示す文字列が記憶される。また、製品に含まれる規制物質は「a」であることが示されている。なお、「a」は説明のための便宜的なもので、物質を示す文字列が記憶される。
【0069】
次に、タグ第1製品情報800bについて説明する。タグ第1製品情報800bは、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「β」であり、化学タグとして組成物「PEs2」が導入されたことを示している。RFタグのIDは、「0002」であることが示されている。タグ第1製品情報800bにおいて、リサイクル方法は「分離可」を示しており、すなわち、「PEs1」と「PEs2」とに分離してリサイクル可能であることを示している。
【0070】
また、タグ第1製品情報800bにおいて、「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、「α」を示している。このため、タグ第1製品情報800bから、波長スペクトルプロファイル「α」に関連付けられる製品情報(タグ第1製品情報800a)を得ることが可能になっている。タグ第1製品情報800bにおいて、製品に対するクレームが「eeee」であることを示している。なお、「eeee」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。製品の銘柄は、「B」であることが示されている。なお、「B」は説明のための便宜的なもので、銘柄を示す文字列が記憶される。また、製品に含まれる規制物質は「a,b」であることが示されている。この場合、aとbの2つの物質が含まれることが示されている。なお、「b」は説明のための便宜的なもので、物質を示す文字列が記憶される。
【0071】
次に、タグ第1製品情報800cについて説明する。タグ第1製品情報800cは、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「γ」であり、化学タグとして組成物「PEs3」が導入されたことを示している。RFタグのIDは、「0003」であることが示されている。タグ第1製品情報800cにおいて、リサイクル方法は「分離可」を示しており、すなわち、「PEs1」と「PEs2」と「PEs3」とに分離してリサイクル可能であることを示している。また、タグ第1製品情報800cにおいて、「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、「β」を示している。
【0072】
このため、タグ第1製品情報800cから、波長スペクトルプロファイル「β」に関連付けられる製品情報(タグ第1製品情報800b)を得ることが可能になっている。さらに、タグ第1製品情報800bから、波長スペクトルプロファイル「β」に関連付けられる製品情報(タグ第1製品情報800a)を得ることによって、「加工前の波長スペクトルプロファイル」の「α」に関連付けられる製品情報(タグ第1製品情報800a)を得ることも可能である。タグ第1製品情報800cにおいて、製品に対するクレームが「ffff」であることを示している。なお、「ffff」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。製品の銘柄は、「C」であることが示されている。なお、「C」は説明のための便宜的なもので、銘柄を示す文字列が記憶される。また、製品に含まれる規制物質は「a,b」であることが示されている。この場合、aとbの2つの物質が含まれることが示されている。
【0073】
なお、図示では、タグ第1情報に「加工前の波長スペクトルプロファイル」を含ませるようにし、「加工前の波長スペクトルプロファイル」に基づいて、当該工程以前のタグ第1情報を得るようにしているが、これに限らない。例えば、タグ第1情報には、当該工程以前までのタグ第1情報をそのまま含ませるようにしてもよい。
【0074】
このように、タグ第1情報DBは、過去の工程に遡って製品情報を得ることが可能になっている。また、タグ第1情報DBは、最終製品に近付くにしたがって、加工後の波長スペクトルプロファイルに多くの製品情報が付加されるようになっている。
【0075】
次に、図8Bについて説明する。図8Bに示すように、タグ第2情報DBは、「加工後のID」と、「タグ第2情報」とを含む。「加工後のID」は、各製造工程における加工後に付されたRFタグのIDを示す。「タグ第2情報」は、各製造工程において加工後に入力された情報と、その前の工程までに入力された情報とを含む。なお、図8Bでは、ある一の製品について、原料工程11から部材工程13まで進んだ際のタグ第2情報の遷移について説明する。
【0076】
「タグ第2情報」は、「加工後の波長スペクトルプロファイル」、「メーカー」、「ロット番号」、「クレーム」、「加工前のID」、「加工前の波長スペクトルプロファイル」などを含む。
「加工後の波長スペクトルプロファイル」は、各製造工程における加工後に読み取られた波長スペクトルプロファイルを示す。
「メーカー」は、加工を行ったメーカーを示す。
「ロット番号」は、製品のロット番号を示す。
「クレーム」は、製品に対するクレームを示す。
「加工前のID」は、加工前のRFタグのIDであり、例えば、製品を納入した段階で作業スタッフの読取操作によって得られる。
「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、当該素材メーカーによる工程における加工前の波長スペクトルプロファイルであり、例えば、製品を納入した段階で作業スタッフの読取操作によって得られる。
【0077】
ここで、タグ第1情報のクレームと、タグ第2情報のクレームとの違いについて、例えばタグ第1情報のクレームは、製品の組成物など、製品の物性に対するクレームとし、タグ第2情報のクレームは、製品の使い勝手など、物性以外に対するクレームとしてもよい。
【0078】
図8Bにおいて、タグ第2製品情報800dは、「加工後のID」が「0001」であり、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「α」であり、「メーカー」が「素材メーカーA」であり、「ロット番号」が「1000」であることを示している。タグ第2製品情報800dにおいて、製品に対するクレームが「gggg」であることを示している。なお、「gggg」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。また、製造段階の最初の工程である原料工程11であることから、タグ第2製品情報800dにおいて、「加工前のID」および「加工前の波長スペクトルプロファイル」についての情報は記録されていない。
【0079】
次に、タグ第2製品情報800eについて説明する。図8Bにおいて、タグ第2製品情報800eは、「加工後のID」が「0002」であり、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「β」であり、「メーカー」が「素材メーカーA」であり、「ロット番号」が「1105」であることを示している。また、タグ第2製品情報800eにおいて、製品に対するクレームが「hhhh」であることを示している。なお、「hhhh」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。また、タグ第2製品情報800eにおいて、「加工前のID」が「0001」であり、「加工前の波長スペクトルプロファイル」が「α」である。
【0080】
次に、タグ第2製品情報800fについて説明する。図8Bにおいて、タグ第2製品情報800fは、「加工後のID」が「0003」であり、「加工後の波長スペクトルプロファイル」が「γ」であり、「メーカー」が「素材メーカーB」であり、「ロット番号」が「1238」であることを示している。また、タグ第2製品情報800fにおいて、製品に対するクレームが「jjjj」であることを示している。なお、「jjjj」は説明のための便宜的なもので、クレームを示す文字列が記憶される。また、タグ第2製品情報800eにおいて、「加工前のID」が「0002」であり、「加工前の波長スペクトルプロファイル」が「β」である。
【0081】
(製造工程で用いられる工場端末装置130、131の機能的構成の一例)
図9は、製造工程で用いられる工場端末装置130(130a、130b)、131(131a~131c)の機能的構成の一例を示すブロック図である。工場端末装置130、131は、情報生成装置の一例である。図9において、工場端末装置130、131は、入力部901と、生成部902と、登録部903と、取得部904と、算出部905と、出力部906とを備える。各部は901~906はCPU301によって実現される。すなわち、CPU301が情報生成プログラムを実行することにより、各部901~906の機能を実現する。
【0082】
リサイクルシステム1では、化学タグが付されたプラスチック物品を含む製品を製造する。入力部901は、製品情報を入力する。入力部901は、入力デバイス303が作業スタッフから受け付けた製品情報を入力する。製品情報は、製造された製品のリサイクルに係る情報である。具体的には、製品情報は、図8A図8Bに示したように、「工程」、「メーカー」、「化学タグの導入の有無」、「組成物」、「用途」、「リサイクル方法」、「加工前の波長スペクトルプロファイル」、「銘柄」、「加工後のID」、「ロット番号」、「クレーム」などの情報を含む。
【0083】
生成部902は、製品から読み取り可能な化学タグの波長スペクトルプロファイルや、RFタグのIDに、製品情報を関連付けたタグ製品情報を生成する。
【0084】
登録部903は、タグ製品情報を登録する。本実施形態において、登録部903は、ブロックチェーン100を用いたシステムによってタグ製品情報をノードサーバ120に登録する。ただし、登録部903は、クライアントサーバシステムにおけるサーバにタグ製品情報を登録してもよい。また、登録部903は、自装置にタグ製品情報を登録してもよい。
出力部906は、タグ製品情報を出力する。具体的には、出力部906は、通信I/F305を介して、ノードサーバ120へタグ製品情報を送信する。
【0085】
また、リサイクルシステム1では、最終製品に至るまでに複数の工程を含む。生成部902は、最終製品に至るまでの各工程が行われるごとに、波長スペクトルプロファイルに新たな製品情報を関連付けたタグ製品情報を生成する。なお、リサイクルシステム1では、最終製品に至るまでに一工程のみを含むものとしてもよい。例えば、最終製品は、原料工程のみを終えた成形前の製品であってもよい。
【0086】
(化学タグの読取りについて)
取得部904は、製造された製品から読み取った波長スペクトルプロファイルと、RFタグからIDを取得する。取得部904は、化学タグリーダー304によって読み取られた波長スペクトルプロファイルを取得する。製造工程において、化学タグの読み取りは、自動で行われる。具体的には、製造工程において、化学タグリーダー304は、例えば、工場のライン上に固定配置される。例えば、製造された製品をライン上に流すようにした場合、化学タグリーダー304は、流れてきた製品の化学タグを読み取る。
【0087】
なお、製造工程において、化学タグの読み取りは、手動で行われてもよい。具体的には、作業スタッフが化学タグリーダー304を手に持って、手作業で製品の化学タグを読み取るようにしてもよい。この場合、化学タグリーダー304は、スマートフォン501やタブレット端末(不図示)であってもよい。当該スマートフォン501やタブレット端末に、化学タグを読み取ることができるアプリをインストールし、アプリを使用して化学タグを読み取るようにしてもよい。
【0088】
化学タグリーダー304による波長スペクトルプロファイルの読取りは、製造された製品単位で行うようにすればよい。製品単位とは、例えば、製品のロット単位や、製品の種類(型番)単位である。なお、製品単位とは、製造した一の製品単位としてもよい。なお、同じ種類の製品の場合、同種の化学タグが付されているため、同様の波長スペクトルプロファイルを有するが、化学タグの波長スペクトルには製品ごとに個体差がある。
【0089】
また、同じ製造工程で製造される製品の波長スペクトルプロファイルがわかっている場合には、例えば、波長スペクトルプロファイルの平均データ(製品と波長スペクトルプロファイルの平均とを対応付けたデータ)が蓄積されている場合には、化学タグリーダー304による波長スペクトルプロファイルの読取りを省略してもよい。この場合、取得部904は、蓄積されているデータから、製品に対応する波長スペクトルプロファイルの平均を取得すればよい。
【0090】
また、化学タグリーダー304による読取りは、波長スペクトルプロファイルについて一定量のデータが蓄積されるまで行うようにし、一定量のデータが蓄積された後は、その平均を用いることで、省略するようにしてもよい。
【0091】
取得部904は、RFリーダライタ308によって読み取られたIDを取得する。製造工程において、RFタグの読み取りは、自動で行われる。具体的には、製造工程において、RFリーダライタ308は、例えば、工場のライン上に固定配置される。例えば、製造された製品をライン上に流すようにした場合、RFリーダライタ308は、流れてきた製品のRFタグを読み取る。
【0092】
なお、製造工程において、RFタグの読み取りは、手動で行われてもよい。具体的には、作業スタッフがRFリーダライタ308を手に持って、手作業で製品のRFタグを読み取るようにしてもよい。この場合、RFリーダライタ308は、スマートフォン501やタブレット端末(不図示)であってもよい。当該スマートフォン501やタブレット端末に、RFタグを読み取ることができるアプリをインストールし、アプリを使用してRFタグを読み取るようにしてもよい。
【0093】
RFリーダライタ308によるIDの読取りは、製造された製品単位で行うようにすればよい。製品単位とは、例えば、製品のロット単位や、製品の種類(型番)単位である。なお、製品単位とは、製造した一の製品単位としてもよい。
【0094】
生成部902は、取得部904によって取得された波長スペクトルプロファイルとIDに、製品情報を関連付けたタグ製品情報を生成する。
【0095】
(二酸化炭素の排出削減量の算出について)
算出部905は、再生プラスチック製品の原料の量に基づいて、二酸化炭素の排出削減量を算出する。具体的には、製造される製品に含まれる対象原料の単位質量あたりの二酸化炭素の排出量について、リサイクル原料を用いて製品を製造した場合と、新品(非リサイクル製品)の原料を用いて製品を製造した場合との比較データを用意しておく。そして、算出部は、製造される製品に含まれるリサイクル原料の質量と、比較データとに基づいて、二酸化炭素の排出削減量の合計を算出する。
【0096】
なお、比較データは、製品(例えば、プラスチックの種類)ごとに用意される。このため、算出部905は、製品ごとに二酸化炭素の排出削減量を算出することが可能である。算出部905は、製造工程ごとの二酸化炭素の排出削減量を算出する。また、算出部905は、自装置が用いられる製造工程までの合計の二酸化炭素の排出削減量を算出することも可能である。
【0097】
生成部902は、波長スペクトルプロファイルに、二酸化炭素の排出削減量を関連付けたタグ製品情報を生成する。
【0098】
(分別工程17で用いられる工場端末装置132の機能的構成の一例)
図10は、分別工程17で用いられる工場端末装置132の機能的構成の一例を示すブロック図である。工場端末装置132は、リサイクル装置の一例である。図10において、工場端末装置132は、第1取得部1001と、第2取得部1002と、出力部1003とを備える。各部は1001~1003はCPU301によって実現される。すなわち、CPU301がリサイクルプログラムを実行することにより、各部1001~1003の機能を実現する。
【0099】
第1取得部1001は、化学タグが付された製品を分解して得られた廃プラスチック物品から読み取った波長スペクトルプロファイルを取得する。分別会社154において、化学タグの読み取りは、自動で行われる。具体的には、分別会社154において、化学タグリーダー304は、例えば、工場のライン上に固定配置される。例えば、分解された廃プラスチック物品をライン上に流すようにした場合、化学タグリーダー304は、流れてきたプラスチック物品の化学タグを読み取る。
【0100】
なお、分別会社154において、化学タグの読み取りは、手動で行われてもよい。具体的には、作業スタッフが化学タグリーダー304を手に持って、手作業で廃プラスチック物品の化学タグを読み取るようにしてもよい。この場合、化学タグリーダー304は、スマートフォン501やタブレット端末(不図示)であってもよい。当該スマートフォン501やタブレット端末に、化学タグを読み取ることができるアプリをインストールし、アプリを使用して化学タグを読み取るようにしてもよい。
【0101】
第2取得部1002は、第1取得部1001によって取得された波長スペクトルプロファイルに関連付けられている、廃プラスチック物品のリサイクルに係る製品情報を取得する。具体的には、第2取得部1002は、ノードサーバ120に対して、第1取得部1001によって取得された波長スペクトルプロファイルを含むタグ製品情報の送信要求を行う。
【0102】
送信要求には、波長スペクトルプロファイルが含まれる。ノードサーバ120は、工場端末装置132から送信要求を受信すると、送信要求に含まれる波長スペクトルとの類似度が最も高い波長スペクトルプロファイルを検索し、検索結果に応じた波長スペクトルプロファイルを含むタグ製品情報を抽出する。そして、ノードサーバ120は、抽出したタグ製品情報を工場端末装置132へ送信する。
【0103】
そして、第2取得部1002は、ノードサーバ120からタグ製品情報を受信し、受信したタグ製品情報の中から製品情報を抽出して、廃プラスチック物品の製品情報を取得する。製品情報は、例えば、図8Aに示した各項目の情報を含む。
【0104】
出力部1003は、第2取得部1002によって取得された製品情報に基づいて、廃プラスチック物品を分別するための情報を出力する。分別するための情報は、例えば、廃棄、分離可能、分離不可能、プラスチック物品の種別など、分別に用いる情報である。当該情報を用いることにより、工場のライン上で、廃プラスチック物品を振り分けることができる。
【0105】
なお、例えば、組成物が3つの素材(例えば、A、B、C)から成る場合に、「A」、「B」、「C」の3つに分離できるものもあれば、3つに分離できないものもある。例えば、物質によっては、「A+B」と「C」との2つにしか分離できないものもあるし、「A+B+C」のまま分離できないものもある。「A+B」や「A+B+C」のようにそれ以上分離できないものは、「A+B」や「A+B+C」の状態でリサイクルに用いられる。
【0106】
また、「A」、「B」、「C」の3つに分離できる場合でも、「A+B」で再利用できることもある。具体的には、例えば、プラスチックフィルム(素材A)に機能層(素材B)が積層された製品を再利用する場合、機能層を除去せずに再利用することが可能なものもある。一方で、機能層の組成によっては、機能層を分離・除去しなければならないものもある。このため、製品情報は、各製品について、どの程度まで分離・除去できるかといった情報や、どの程度分離・除去した段階で再利用できるかといった情報を含むようにする。
【0107】
なお、分別会社154においてもRFタグからIDを読み取ってもよい。この場合、第1取得部1001は、RFタグが付された製品の分解前にRFタグから読み取ったIDを取得する。分別会社154において、RFタグの読み取りは、自動で行われる。具体的には、分別会社154において、RFリーダライタ308は、例えば、工場のライン上に固定配置される。例えば、分解前のプラスチック物品をライン上に流すようにした場合、RFリーダライタ308は、流れてきたプラスチック物品のRFタグを読み取る。
【0108】
なお、分別会社154において、RFタグの読み取りは、手動で行われてもよい。具体的には、作業スタッフがRFリーダライタ308を手に持って、手作業でプラスチック物品のRFタグを読み取るようにしてもよい。この場合、RFリーダライタ308は、スマートフォン501やタブレット端末(不図示)であってもよい。当該スマートフォン501やタブレット端末に、RFタグを読み取ることができるアプリをインストールし、アプリを使用してRFタグを読み取るようにしてもよい。
【0109】
第2取得部1002は、第1取得部1001によって取得されたIDに関連付けられている、廃プラスチック物品のリサイクルに係る製品情報を取得する。具体的には、第2取得部1002は、ノードサーバ120に対して、第1取得部1001によって取得されたIDを含むタグ製品情報の送信要求を行う。
【0110】
送信要求には、IDが含まれる。ノードサーバ120は、工場端末装置132から送信要求を受信すると、送信要求に含まれるIDが含まれるタグ製品情報を検索し、検索結果に応じたタグ製品情報を抽出する。そして、ノードサーバ120は、検索したタグ製品情報を工場端末装置132へ送信する。
【0111】
そして、第2取得部1002は、ノードサーバ120からタグ製品情報を受信し、受信したタグ製品情報の中から製品情報を抽出して、廃プラスチック物品の製品情報を取得する。製品情報は、例えば、図8Bに示した各項目の情報を含む。
【0112】
出力部1003は、第2取得部1002によって取得された製品情報に基づいて、廃プラスチック物品を分別するための情報を出力する。分別するための情報は、例えば、素材メーカーなど、分別に用いる情報である。当該情報を用いることにより、工場のライン上で、廃プラスチック物品を振り分けることができる。
【0113】
(製造工程において各工場端末装置130が行う処理の一例)
次に、図11図13を用いて、製造工程において各工場端末装置130が行う処理について説明する。なお、図11では最初の工程(原料工程11)の処理について説明し、図12および図13では原料工程を終えた後の工程(成形工程12、部材工程13、最終製品工程14)の処理について説明する。
【0114】
(原料工程11において工場端末装置130が行う処理)
図11は、素材メーカー151の原料工程11において工場端末装置130(130a、130b)が行う処理の一例を示すフローチャートである。図11において、工場端末装置130は、所定のアプリケーションが起動し、タグ製品情報の登録開始となったか否かを判断する(ステップS1101)。タグ製品情報の登録開始は、自動または手動で行われる。自動とは、例えば、製造が完了したタイミングや、所定時間が経過したタイミングで、当該登録開始とすることである。手動とは、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイス303が作業スタッフから所定の操作を受け付けることにより、タグ製品情報の登録開始を示す入力を受け付けることである。
【0115】
工場端末装置130は、タグ製品情報の登録開始になるまで待機する(ステップS1101:NO)。タグ製品情報の登録開始になると(ステップS1101:YES)、工場端末装置130は、化学タグリーダー304によって読み取られた原料段階における製品の波長スペクトルプロファイルと、RFリーダライタ308によって読み取られたIDとを取得する(ステップS1102)。なお、作業スタッフによる化学タグやRFタグの手動での読み取りを行う場合、工場端末装置130は、ステップS1101の後に、化学タグやRFタグの読み取りを催促してもよい。当該催促は、例えば、ディスプレイ307やスピーカ等に、化学タグリーダー304やRFリーダライタ308を用いた読み取りを促す旨を出力することである。
【0116】
そして、工場端末装置130は、製品情報の入力を受け付ける(ステップS1103)。所定の入力欄に製品情報が入力されて、入力内容が確定すると、工場端末装置130は、波長スペクトルプロファイルとIDに製品情報を関連付けてタグ製品情報を生成する(ステップS1104)。次に、工場端末装置130は、タグ製品情報をノードサーバ120のタグ製品情報DB121に登録し(ステップS1105)、一連の処理を終了する。
【0117】
(原料工程の後の製造工程において工場端末装置131が行う処理)
図12および図13は、工場端末装置131(131a、131b、131c)が行う処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、1つ前の製造工程で製造された製品の波長スペクトルプロファイルとIDを取得するための処理であり、例えば、当該製品が納入された際に行われる処理である。
【0118】
図12において、工場端末装置131は、所定のアプリケーションが起動し、作業スタッフから加工前の波長スペクトルプロファイルとIDの取得開始となったか否かを判断する(ステップS1201)。加工前の波長スペクトルプロファイルとIDの取得開始は、自動または手動で行われる。自動とは、例えば、製造を開始する前の所定のタイミングで、当該登録開始とすることである。手動とは、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイス303が作業スタッフから所定の操作を受け付けることにより、加工前の波長スペクトルプロファイルとIDの取得開始を示す入力を受け付けることである。
【0119】
工場端末装置131は、加工前の波長スペクトルプロファイルとIDの取得開始になるまで待機する(ステップS1201:NO)。加工前の波長スペクトルプロファイルとIDの取得開始になると(ステップS1201:YES)、工場端末装置130は、化学タグリーダー304によって読み取られた加工前の製品の波長スペクトルプロファイルとRFリーダライタ308によって読み取られたIDを取得する(ステップS1202)。そして、工場端末装置131は、加工前の波長スペクトルプロファイルとIDを、加工後の製品情報に含ませるために、メモリ302に記憶し(ステップS1203)、一連の処理を終了する。
【0120】
図13に示す処理は、工場端末装置131が配置される各工程において加工が施された製品のタグ製品情報を登録する際の処理である。図13において、工場端末装置131は、所定のアプリケーションが起動し、作業スタッフからタグ製品情報の登録開始となったか否かを判断する(ステップS1301)。
【0121】
工場端末装置131は、タグ製品情報の登録開始になるまで待機する(ステップS1301:NO)。タグ製品情報の登録開始になると(ステップS1301:YES)、工場端末装置131は、化学タグリーダー304によって読み取られた製品の波長スペクトルプロファイルとRFリーダライタ308によって読み取られたIDを取得する(ステップS1302)。そして、工場端末装置131は、製品情報の入力を受け付ける(ステップS1303)。
【0122】
次に、所定の入力欄に製品情報が入力されて、入力内容が確定すると、工場端末装置131は、メモリ302に記憶した加工前の波長スペクトルプロファイルとID(図12のステップS1203参照)を製品情報に含ませる(ステップS1304)。そして、工場端末装置131は、波長スペクトルプロファイルとIDに製品情報を関連付けてタグ製品情報を生成する(ステップS1305)。次に、工場端末装置131は、生成したタグ製品情報をノードサーバ120のタグ製品情報DB121に登録し(ステップS1306)、一連の処理を終了する。
【0123】
(各工場端末装置130が行う二酸化炭素の削減量に係る算出処理の一例)
図14は、製造工程において各工場端末装置130が二酸化炭素の削減量に係る算出処理の一例を示すフローチャートである。図14において、工場端末装置130は、所定のアプリケーションが起動し、二酸化炭素の削減量の算出開始となったか否かを判断する(ステップS1401)。二酸化炭素の削減量の算出開始は、自動または手動で行われる。自動とは、例えば、製造が完了したタイミングや、所定時間が経過したタイミングで、当該算出の開始とすることである。手動とは、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイス303が作業スタッフから所定の操作を受け付けることにより、二酸化炭素の削減量の算出開始を示す入力を受け付けることである。
【0124】
工場端末装置130は、二酸化炭素の削減量の算出開始になるまで待機する(ステップS1401:NO)。二酸化炭素の削減量の算出開始になると(ステップS1401:YES)、工場端末装置130は、再生プラスチック製品中のリサイクル原料の質量を取得する(ステップS1402)。そして、工場端末装置130は、取得した質量と、新品の原料を用いて当該製品を製造した場合の比較データとに基づいて、二酸化炭素の削減量を算出する(ステップS1403)。なお、工場端末装置130は、算出した二酸化炭素の削減量をディスプレイ307等に出力することも可能である。
【0125】
次に、工場端末装置131は、算出した二酸化炭素の排出削減量を製品情報に含ませる(ステップS1404)。そして、工場端末装置131は、化学タグリーダー304によって読み取られた製品の波長スペクトルプロファイルを取得する(ステップS1405)。次に、工場端末装置130は、波長スペクトルプロファイルに製品情報を関連付けてタグ製品情報を生成する(ステップS1406)。次に、工場端末装置131は、生成したタグ製品情報をノードサーバ120のタグ製品情報DB121に登録し(ステップS1407)、一連の処理を終了する。
【0126】
(分別工程において工場端末装置132が行う処理)
図15は、分別会社154に配置される工場端末装置132が行う処理の一例を示すフローチャートである。なお、図15に示す処理では、前提として最終製品が分解されて、製品は、廃プラスチック物品になっているものとする。
【0127】
図15において、工場端末装置132は、分解されたプラスチック物品の化学タグが化学タグリーダー304によって読み取られたか否かを判断する(ステップS1501)。工場端末装置132は、化学タグが化学タグリーダー304によって読み取られるまで待機する(ステップS1501:NO)。
【0128】
化学タグが化学タグリーダー304によって読み取られると(ステップS1501:YES)、工場端末装置132は、波長スペクトルプロファイルを取得する(ステップS1502)。そして、工場端末装置132は、ノードサーバ120に対して、取得した波長スペクトルプロファイルを含むタグ製品情報の送信要求を行う(ステップS1503)。
【0129】
そして、工場端末装置132は、当該送信要求に応じて、ノードサーバ120からタグ製品情報を受信する(ステップS1504)。次に、工場端末装置132は、タグ製品情報からリサイクル方法に関する情報を抽出する(ステップS1505)。そして、工場端末装置132は、抽出したリサイクル方法に関する情報を出力し(ステップS1506)、一連の処理を終了する。
【0130】
なお、ステップS1503では、タグ製品情報の送信要求を行うことに限らず、取得した波長スペクトルプロファイルに関連付けられている製品情報の送信要求を行うようにしてもよい。また、ステップS1504では、タグ製品情報を受信することに限らず、製品情報を受信するようにしてもよい。
【0131】
ここで、上述した処理について具体例を挙げて補足する。例えば、ステップS1502において取得した波長スペクトルプロファイルが「β」(図8A参照)であったとすると、これに関連付けられるリサイクル方法に関する情報は、「分離可」であり、組成が「PEs1」、「PEs2」であることから、「PEs1」と「PEs2」とに分離できることが判明する。このため、分別会社154において分解されたプラスチック物品をライン上に流すようにした場合、当該プラスチック物品を「PEs1」と「PEs2」とに分離する工程に移行させるための振り分けを行ったり、「PEs1」と「PEs2」とに分離することを促したりすることができる。
【0132】
また、例えば、ステップS1502において取得した波長スペクトルプロファイルが「α」(図8A参照)であったとすると、これに関連付けられるリサイクル方法に関する情報は、「分離不可」であり、組成が「PEs1」であることから、「PEs1」で再利用できることが判明する。このため、分別会社154において分解されたプラスチック物品をライン上に流すようにした場合、「PEs1」を再利用する工程に移行させるための振り分けを行ったり、これ以上分解できないことを通知したりすることができる。
【0133】
以上説明したように、化学タグとRFタグとを併用することで、好適に製品に関する情報管理を行うことができる。
【0134】
(変形例)
以上説明した実施形態において、ユーザに権限を付与し、権限に応じてユーザが閲覧可能な情報を制限してもよい。具体的に図16A図16B図16Cを用いて説明する。図16Aは、ユーザに付与された権限等を含むユーザDB示す図である。図16AのユーザDBは、一例として3名分のユーザの権限例を示す。ユーザDBは、「ユーザ識別子」、「パスワード」、および「権限」で構成される。「ユーザ識別子」は、ユーザを一意に識別する識別子である。本実施形態では、ユーザ識別子の例として「yata」、「yano」、「hisa」が示されている。パスワードは、ユーザを認証するための文字列である。
【0135】
権限は、一例として3段階(X、Y、Z)設けられる。本実施形態では、権限Z、Y、Xの順に閲覧可能な情報が増加する。権限Zは、権限Zに対応する情報を閲覧可能な権限である。権限Yは、権限Z、Yに対応する情報を閲覧可能な権限である。権限Xは、権限Z、Y、Xに対応する情報を閲覧可能な権限である。例えば、ユーザ識別子が「yata」のユーザは、その権限がXであることから、全情報を閲覧可能である。この権限の付与方法として、例えば素材を製造するメーカーがX、加工するメーカーがY、エンドユーザがZなどというように、下流に位置するユーザほど閲覧可能な情報が制限されるような付与方法が挙げられる。
【0136】
図16Bは、タグ第1情報権限DBを示す図である。タグ第1情報権限DBは、タグ第1情報などの項目ごとに設定された権限を示すDBである。権限Zが設定された項目は、権限Z、Y、Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。権限Yが設定された項目は、権限Y、Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。権限Xが設定された項目は、権限Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。
【0137】
図16Bにおいて、「加工後の波長スペクトルプロファイル」は、権限Yが設定されている。「工程」は、権限Yが設定されている。「ID」は、権限Xが設定されている。「化学タグの導入の有無」は、権限Zが設定されている。「組成物」は、権限Yが設定されている。「用途」は、権限Zが設定されている。「リサイクル方法」は、権限Zが設定されている。「二酸化炭素の排出削減量」は、権限Zが設定されている。「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、権限Yが設定されている。「クレーム」は、権限Xが設定されている。「銘柄」は、権限Zが設定されている。「規制物質」は、権限Yが設定されている。
【0138】
図16Cは、タグ第2情報権限DBを示す図である。タグ第2情報権限DBは、タグ第2情報などの項目ごとに設定された権限を示すDBである。タグ第1情報権限DBと同様に、権限Zが設定された項目は、権限Z、Y、Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。権限Yが設定された項目は、権限Y、Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。権限Xが設定された項目は、権限Xが付与されたユーザが閲覧可能な項目である。
【0139】
図16Cにおいて、「加工後のID」は、権限Yが設定されている。「加工後の波長スペクトルプロファイル」は、権限Yが設定されている。「メーカー」は、権限Zが設定されている。「ロット番号」は、権限Zが設定されている。「クレーム」は、権限Xが設定されている。「加工前のID」は、権限Yが設定されている。「加工前の波長スペクトルプロファイル」は、権限Yが設定されている。
【0140】
このように、権限を用いた場合の処理の流れについて説明する。図17は、権限を用いた場合の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、工場端末装置130、131、132などのいずれの装置によっても実行可能である。ここでは、工場端末装置130が実行するものとして説明する。また、以下の説明では、ユーザに付与された権限を「ユーザ権限」と表現し、項目に設定された権限を「項目権限」と表現することがある。タグ第1情報権限DBとタグ第2情報権限DBとをまとめて「タグ情報権限DB」と表現することがある。
【0141】
工場端末装置130は、ユーザ認証を行う(ステップS1601)。このユーザ認証は、ユーザ識別子とパスワードを用いて行われる。なお、ユーザ認証が失敗した場合には、処理を終了する。ユーザ認証を終えると、工場端末装置130は、ユーザDBを参照して、認証されたユーザに付与されたユーザ権限を取得する(ステップS1602)。次いで、工場端末装置130は、波長スペクトルプロファイルまたはIDを取得する(ステップS1603)。ここでは、蛍光X線リーダーなどの読取装置が用いられた場合には、波長スペクトルプロファイルが取得され、RFリーダライタが用いられた場合にはIDが取得される。
【0142】
工場端末装置130は、タグ情報権限DBを参照して項目権限を取得し、ユーザ権限と項目権限から、表示可能な項目を抽出し(ステップS1604)、抽出された項目を表示して(ステップS1605)、処理を終了する。
【0143】
変形例で示したように、ユーザに権限を付与し、項目に権限を設定することで、より好適に製品に関する情報管理を行うことができる。なお、上記変形例において、権限Xは権限Y、Zを包含するものであったが、これに限るものではない。例えば、権限Xは項目A、Bを閲覧可能であり、権限Yは、項目A、Cを閲覧可能とするなど必ずしも包含関係としなくてもよい。
【0144】
以上説明したように、本実施形態では、化学タグが付されたプラスチック物品を含む製造した製品のリサイクルに係る製品情報と、波長スペクトルプロファイルとを関連付けて登録する。これにより、化学タグの波長スペクトルプロファイルを読み取ることで、読み取った波長スペクトルプロファイルに関連付けられている製品情報を得ることができる。具体的には、廃プラスチック製品の製造会社の情報や組成物の情報を得ることができる。また、製品から化学タグが切り離されたり破損したりすることがないため、製品の認証・識別・追跡を確実に行うことができる。これにより、廃材を精度よく分別することができるため、リサイクル製品に使用するリサイクル原料を適切に選択できるようになる。また、分別した廃材を適切な方法で精製することができるようにもなり、品質管理がしやすくなる。したがって、リサイクル製品の品質の向上を図ることができる。
【0145】
また、本実施形態では、製造工程における各工程が行われるごとに、波長スペクトルプロファイルに新たな製品情報を関連付けたタグ製品情報を生成する。これにより、各工程において加工された内容を適切に登録しておくことができる。したがって、化学タグの波長スペクトルプロファイルを読み取ることで、各工程において加工された内容を容易に把握することが可能になる。また、工程ごとに製品の認証・識別・追跡を確実に行うことができる。
【0146】
また、本実施形態に係る製造工程では、原料の段階で付された化学タグと同一の化学タグが付された最終製品を製造する(図5参照)。これにより、廃材から同一の化学タグの廃プラスチック物品を簡単に取り出すことができるとともに、当該廃プラスチック物品を適切に精製することができる。したがって、リサイクル製品の品質の向上を図ることができる。
【0147】
また、本実施形態に係る製造工程では、原料の段階で付された化学タグとは異なる化学タグが付された最終製品を製造する(図6参照)。これにより、最終製品に至るまでに化学タグが変わる場合でも、各工程において化学タグに製品情報を関連付けることができる。したがって製造工程ごとの製品の追跡を精度よく行うことができる。
【0148】
また、本実施形態に係る製造工程では、製造工程における一の工程において二種類以上の化学タグを付すことを可能にする(図7参照)。これにより、一の工程において二種類以上の化学タグが付される加工が行われる場合でも、各工程において化学タグに製品情報を関連付けることができる。したがって、製造工程ごとの製品の追跡を精度よく行うことができる。
【0149】
また、本実施形態に係る製造工程では、製品から読み取った波長スペクトルプロファイルに、製品情報を関連付けたタグ製品情報を生成する。これにより、各製造工程において読み取った波長スペクトルプロファイルに製品情報を関連付けて登録することができる。したがって、製造工程ごとの製品の追跡を精度よく行うことができる。
【0150】
また、本実施形態では、ブロックチェーンを用いたシステムによってタグ製品情報をノードサーバ120に登録する。これにより、タグ製品情報DB121に記憶されるタグ製品情報の改ざんを困難にできるため、セキュリティ性を高めることができる。また、各工程において作業スタッフは、製品情報を容易に確認することができるため、タグ製品情報の透明性を高めることができる。
【0151】
また、本実施形態では、化学タグが付された再生プラスチック物品を含む再生プラスチック製品を製造し、再生プラスチック製品のリサイクルに係る製品情報を入力する。これにより、化学タグの波長スペクトルプロファイルを読み取ることで、読み取った波長スペクトルプロファイルに関連付けられている再生プラスチック製品の製品情報を得ることができる。具体的には、再生プラスチック製品の製造会社の情報や組成物の情報を得ることができるため、再生プラスチック物品から成る廃材を精度よく分別することができる。これにより、分別した廃材を適切に精製することができる。したがって、再度のリサイクル製品についても、品質の向上を図ることができ、プラスチック資源のリサイクルに向けた循環プラットフォーム構築に貢献できる。
【0152】
また、本実施形態では、再生プラスチック製品の原料の量に基づいて算出した二酸化炭素の排出削減量を波長スペクトルプロファイルに関連付けてタグ製品情報を生成する。これにより、各製造工程において、作業スタッフは、再生プラスチック製品の製造によって削減される二酸化炭素の排出削減量を把握することができる。したがって、二酸化炭素の排出削減量の増加を促すことができるため、環境保全に貢献することができる。
【0153】
また、本実施形態では、製品を分解して得られたプラスチック物品から読み取った波長スペクトルプロファイルに関連付けられている製品情報に基づいて、プラスチック物品を分別するための情報を出力する。これにより、分別工程17において、廃プラスチック物品をさらに分離・除去させることを通知したり、これ以上分離・除去できないことを通知したりすることができるため、廃材を精度よく分別することができる。したがって、分別した廃材を適切な方法で精製することができる。このため、リサイクル製品の品質の向上を図ることができる。
【0154】
本実施形態では、化学タグとRFタグとを併用することにより、同じ組成物で製造された製品であるが、製造メーカー等が異なるなどして異なる製品となった場合であっても区別することが可能となる。これは化学タグのみで運用する場合では実現できなかった効果である。これにより、同じ組成物で製造された製品のトレーサビリティも容易に実現することが可能となる。
【0155】
さらに、図8A図8Bに示されるように、波長スペクトルプロファイルとIDとを関連付けているため、波長スペクトルプロファイルからIDを取得でき、逆にIDから波長スペクトルプロファイルを取得できることから、一方から他方の情報を取得することができる。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0157】
なお、以上に説明した工場端末装置130を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0158】
1…リサイクルシステム、100…ブロックチェーン、120…ノードサーバ、121…タグ情報DB、130…工場端末装置、301…CPU、302…メモリ、303…入力デバイス、304…化学タグリーダー、305…通信I/F、307…ディスプレイ、901…入力部、902…生成部、903…登録部、904…取得部、905…算出部、906…出力部、1001…第1取得部、1002…第2取得部、1003…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17