(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065737
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240508BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20240508BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B65H41/00 Z
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174746
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】榊原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】野内 雄太
(72)【発明者】
【氏名】宮地 雄司
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB10
3F108HA02
3F108HA32
3F108JA05
(57)【要約】
【課題】圧着手段及び引き剥がし手段とを備える媒体処理装置において、媒体の詰まりを防止すると共に装置の小型化及び軽量化を実現する技術を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、積載手段に積載された複数の媒体の厚み方向の一方側の第一綴じ歯と、厚み方向の他方側において、第一綴じ歯とによって複数の媒体を挟持する挟持位置、及び挟持位置から退避した退避位置の間を移動可能な第二綴じ歯と、積載手段に積載された複数の媒体から第一綴じ歯側に離間した第一離間位置、及び積載手段に積載された複数の媒体を第一綴じ歯から引き剥がす第一剥がし位置に移動可能な第一引き剥がし手段と、単一の駆動源の駆動力によって、挟持位置及び退避位置の間で第二綴じ歯を移動させると共に、第二綴じ歯が挟持位置から退避位置に移動するのに連動して、第一引き剥がし手段を第一離間位置から第一剥がし位置に移動させる駆動力伝達機構とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された複数の前記媒体を積載可能な積載手段と、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる圧着手段とを備え、
前記圧着手段は、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体の厚み方向の一方側の第一綴じ歯と、
前記厚み方向の他方側において、前記第一綴じ歯とによって複数の前記媒体を挟持する挟持位置、及び前記挟持位置から退避した退避位置の間を移動可能な第二綴じ歯と、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体から前記第一綴じ歯側に離間した第一離間位置、及び前記積載手段に積載された複数の前記媒体を前記第一綴じ歯から引き剥がす第一剥がし位置に移動可能な第一引き剥がし手段と、
単一の駆動源の駆動力によって、前記挟持位置及び前記退避位置の間で前記第二綴じ歯を移動させると共に、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動するのに連動して、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動させる駆動力伝達機構とを備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記圧着手段は、前記積載手段に積載された複数の前記媒体から前記第二綴じ歯側に離間した第二離間位置、及び前記積載手段に積載された複数の前記媒体を前記第二綴じ歯から引き剥がす第二剥がし位置に移動可能な第二引き剥がし手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記駆動力伝達機構は、単一の前記駆動源の駆動力によって、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動するのに連動して、前記第二引き剥がし手段を前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記駆動力伝達機構は、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させる前に、前記第二引き剥がし手段を前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に移動開始させることを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記第二綴じ歯は、前記駆動源の駆動力によって回動する回動アームに取り付けられて、前記挟持位置及び前記退避位置の間を回動し、
前記回動アームは、前記第二引き剥がし手段に接離する突起を備え、
前記第二引き剥がし手段は、
前記第二綴じ歯が前記退避位置から前記挟持位置に移動する間は前記突起から離間して、前記回動アームの回動によって前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に向けて回動し、
前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動する過程で前記突起に当接されて、前記第二剥がし位置に保持されることを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記駆動力伝達機構は、
周方向の一部に突出部が形成され、前記駆動源の駆動力によって回転するカムと、
前記カムの回転に連動して、前記挟持位置及び前記退避位置の間で前記第二綴じ歯を移動させるリンクとを備え、
前記第一引き剥がし手段は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動する過程で前記カムの前記突出部に押圧されて、前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記圧着手段は、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置に向けて付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記第一引き剥がし手段は、前記搬送手段による前記媒体の搬送方向の上流側の端部に、前記第一綴じ歯及び前記第二綴じ歯の間に前記媒体を案内する案内面を有することを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記第一引き剥がし手段は、
前記第一綴じ歯が出没可能な開口を有する板状であり、
前記第一離間位置において、前記開口を通じて前記第一綴じ歯を前記積載手段に積載された複数の前記媒体に向けて突出させ、
前記第一剥がし位置において、前記開口を通じて前記第一綴じ歯を前記積載手段に積載された複数の前記媒体と反対側に没入させることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記駆動力伝達機構は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動開始する前に、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記駆動力伝達機構は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動開始した後に、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記搬送手段による前記媒体の搬送方向及び前記厚み方向に直交する主走査方向に沿って、前記圧着手段をスライドさせるスライド手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記積載手段に積載された複数の前記媒体に綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置から前記媒体が供給される供給口を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項15】
前記媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体を処理する請求項1に記載の媒体処理装置とを備える画像形成装置。
【請求項16】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体を処理する請求項1に記載の媒体処理装置とを備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の一対の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着手段を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じは、一対の綴じ歯で用紙束を挟持することによって、用紙の繊維を絡めて綴じる方法である。そのため、用紙の繊維が綴じ歯に張り付いて、用紙束から綴じ歯が離間しない可能性がある。そこで、このよう課題を解決するために、用紙束を綴じ歯から離間させる離間手段を備える媒体処理装置が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の媒体処理装置では、可動側の綴じ歯の可動範囲内に離間手段が設けられているので、一対の綴じ歯の間の用紙が進入する隙間が狭くなって、用紙が詰まるという課題がある。また、特許文献2の媒体処理装置では、一対の綴じ歯を接離させる駆動源と、離間手段を駆動する駆動源とが独立して設けられているので、装置の大型化や重量増加が課題となる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数の媒体を圧着綴じする圧着手段と、圧着綴じされた複数の媒体を綴じ歯から引き剥がす引き剥がし手段とを備える媒体処理装置において、媒体の詰まりを防止すると共に装置の小型化及び軽量化を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された複数の前記媒体を積載可能な積載手段と、前記積載手段に積載された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる圧着手段とを備え、前記圧着手段は、前記積載手段に積載された複数の前記媒体の厚み方向の一方側の第一綴じ歯と、前記厚み方向の他方側において、前記第一綴じ歯とによって複数の前記媒体を挟持する挟持位置、及び前記挟持位置から退避した退避位置の間を移動可能な第二綴じ歯と、前記積載手段に積載された複数の前記媒体から前記第一綴じ歯側に離間した第一離間位置、及び前記積載手段に積載された複数の前記媒体を前記第一綴じ歯から引き剥がす第一剥がし位置に移動可能な第一引き剥がし手段と、単一の駆動源の駆動力によって、前記挟持位置及び前記退避位置の間で前記第二綴じ歯を移動させると共に、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動するのに連動して、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動させる駆動力伝達機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の媒体を圧着綴じする圧着手段と、圧着綴じされた複数の媒体を綴じ歯から引き剥がす引き剥がし手段とを備える媒体処理装置において、媒体の詰まりを防止すると共に装置の小型化及び軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】一対の綴じ歯及び引き剥がしプレートの位置関係を示す図。
【
図10】比較例に係る圧着手段の主走査方向の移動可能範囲を示す図。
【
図11】本実施形態に係る圧着手段の主走査方向の移動可能範囲を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(シート状の媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成手段とを主に備える。画像形成手段は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束(以下、「用紙束Pb(媒体束)」と表記する。)を綴じる綴じ処理である。より詳細には、本実施形態に係る綴じ処理は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを加圧変形させる所謂「圧着綴じ」である。また、綴じ処理は、用紙束Pbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央を綴じる中綴じ処理と含む。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送手段)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0013】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口9から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて排出トレイ30に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ36に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサ(
図2に▲で示す)を備える。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを支持する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0016】
後処理装置3は、内部トレイ22(積載手段)と、叩きコロ23と、戻しコロ24と、エンドフェンス25(搬送方向揃え手段)と、サイドフェンス26L、26R(幅方向揃え手段)と、圧着手段27と、針綴じ手段28と、放出爪29と、排出トレイ30と、フィラー31とを備える。内部トレイ22、叩きコロ23、戻しコロ24、エンドフェンス25、サイドフェンス26L、26R、圧着手段27、針綴じ手段28、及び放出爪29は、第二搬送路Ph2を搬送される用紙Pに端綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0017】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス25に向かう方向を、「搬送方向」と定義する。また、搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0018】
内部トレイ22は、搬送ローラ対15より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22は、第二搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に支持(積載)する。本実施形態に係る内部トレイ22は、搬送方向の下流側に向かって下り傾斜している。叩きコロ23は、内部トレイ22の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ23は、回動アームが回動することによって、内部トレイ22に支持された一番上の用紙Pに接離する。戻しコロ24は、叩きコロ23より搬送方向の下流側において、内部トレイ22の上方に配置されている。
【0019】
叩きコロ23を内部トレイ22から離間させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって搬送方向に搬送された用紙Pが内部トレイ22上に進入する。この状態で、叩きコロ23を内部トレイ22に近接させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって内部トレイ22上に搬送された用紙Pに対して叩きコロ23が上方から当接する。叩きコロ23に当接された用紙Pは、搬送ローラ対15から離脱して内部トレイ22に支持される。戻しコロ24は、内部トレイ22に支持された用紙Pの上面に当接して回転することによって、当該用紙Pをエンドフェンス25に向けて案内する。
【0020】
エンドフェンス25は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、エンドフェンス25は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に当接して、用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22の主走査方向の両側に配置されている。サイドフェンス26L、26Rは、主走査方向に移動可能に構成されている。そして、サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの主走査方向の両端部に当接して、当該用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。
【0021】
圧着手段27は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの綴じ位置を、厚み方向の両側から凹凸状の一対の綴じ歯41、42(
図4参照)で挟持する。これにより、用紙束Pbが加圧変形されて圧着綴じされる。針綴じ手段28は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段28の構成は周知なので、詳細な説明は省略する。また、針綴じ手段28は省略可能である。
【0022】
放出爪29は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。放出爪29は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に当接して、搬送方向の上流側(すなわち、搬送ローラ対15側)に向かって移動可能に構成されている。搬送方向の上流側に移動する放出爪29は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを、内部トレイ22に沿って搬送方向の上流側に移動させる。これにより、端綴じ処理が施された用紙束Pbが内部トレイ22から放出されて、搬送ローラ対15の間に進入する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0023】
排出トレイ30は、後処理装置3の筐体の外側面に上下動可能に支持されている。フィラー31は、排出トレイ30の上方に回動可能に支持されている。フィラー31の先端は、排出トレイ30に支持された用紙束Pbに当接する。フィラー31は、排出トレイ30に積載された用紙束Pbの高さ(厚さ)が閾値に達したことを検知して、後述するコントローラ100(
図6参照)に出力する。コントローラ100は、用紙束Pbの高さが閾値に達したことがフィラー31によって検知されたことに応じて、排出トレイ30を所定量だけ下降させる。
【0024】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス32と、綴じ処理部33と、用紙折りブレード34と、穿孔処理部35と、排出トレイ36とを備える。エンドフェンス32、綴じ処理部33、及び用紙折りブレード34は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pに中綴じ処理を施す。排出トレイ36には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0025】
エンドフェンス32は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス32は、用紙束Pbの中央を、綴じ処理部33に対面させる中綴じ領域と、用紙折りブレード34に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。綴じ処理部33は、中綴じ領域のエンドフェンス32によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード34は、折り位置のエンドフェンス32に支持された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ36に排出する。穿孔処理部35は、搬送ローラ対18、19によって搬送される用紙束Pbに貫通孔を穿つ。
【0026】
図3は、内部トレイ22を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図3に示すように、圧着手段27及び針綴じ手段28は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着手段27及び針綴じ手段28は、内部トレイ22に支持された用紙Pの表面に沿って主走査方向にスライド可能に構成されている。
【0027】
より詳細には、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール37が主走査方向に延設されている。圧着手段27は、スライドモータ38(
図8参照)の駆動力が伝達されることによって、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール37)に沿って、主走査方向にスライドする。ガイドレール37及びスライドモータ38は、スライド手段の一例である。針綴じ手段28についても同様である。
【0028】
圧着手段27は、
図3(A)に示す待機位置と、
図3(B)に示す綴じ位置に対面する位置とにスライドする。待機位置は、内部トレイ22に支持された用紙Pから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pb上の位置である。但し、綴じ位置の具体的な位置は、
図3の例に限定されず、用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置でよい。
【0029】
圧着手段27は、一対の綴じ歯41、42と、引き剥がしプレート43(第一引き剥がし手段)と、駆動源の一例である駆動モータ44(
図6及び
図8参照)と、駆動力伝達機構45(
図6参照)とを主に備える。すなわち、圧着手段27の構成部品41~45は、一体となってスライドする。
【0030】
図4は、一対の綴じ歯41、42の構成を示す模式図である。
図4に示すように、一対の綴じ歯41、42は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。綴じ歯41は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの厚み方向の一方側(本実施形態では、下側)に配置された第一綴じ歯の一例である。綴じ歯42は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの厚み方向の他方側(本実施形態では、上側)に配置された第二綴じ歯の一例である。但し、綴じ歯42を第一綴じ歯とし、綴じ歯41を第二綴じ歯としてもよい。また、綴じ歯41、42の具体的な形状は、
図4の例に限定されない。
【0031】
内部トレイ22に支持された用紙束Pbの厚み方向から一対の綴じ歯41、42を平面視すると、一対の綴じ歯41、42は長方形の外形を呈する。一対の綴じ歯41、42の互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯41、42は、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、一対の綴じ歯41、42は、駆動力伝達機構45を介して駆動モータ44の駆動力が伝達されることによって接離する。
【0032】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図4(A)に示すように、一対の綴じ歯41、42の少なくとも一方は離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に支持されると、
図4(B)に示すように、駆動モータ44が駆動されることによって、一対の綴じ歯41、42が噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から挟持する。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束Pbが加圧変形されて圧着綴じされる。
【0033】
図5は、引き剥がしプレート43の斜視図である。
図6は、駆動力伝達機構45の模式図である。
図7は、一対の綴じ歯41、42及び引き剥がしプレート43の位置関係を示す図である。
【0034】
図6に示すように、綴じ歯41は、圧着手段27のフレームに固定されている。一方、綴じ歯42は、主走査方向に延びる支軸46によって圧着手段27のフレームに回動可能に支持された回動アーム47に取り付けられている。そして、回動アーム47に取り付けられた綴じ歯42は、駆動力伝達機構45を介して駆動モータ44の駆動力が伝達されることによって、
図6(A)に示す退避位置と、
図6(B)に示す挟持位置との間を移動(回動)する。
【0035】
挟持位置は、綴じ歯41とで用紙束Pbを挟持して圧着綴じする位置である。退避位置は、挟持位置から退避した位置である。より詳細には、退避位置は、挟持位置より綴じ歯41から離間して、用紙束Pbの挟持を解除した位置である。さらに換言すれば、退避位置は、綴じ歯41、42の間隔が挟持位置より広くなる位置である。
【0036】
引き剥がしプレート43は、用紙束Pbを挟持した一対の綴じ歯41、42が離間する際に、圧着綴じされた用紙束Pbを綴じ歯41から引き剥がす役割を担う。引き剥がしプレート43は、例えば、平板を曲げ加工することによって形成される。
図5に示すように、引き剥がしプレート43は、引き剥がし部48と、リンクアーム49とを備える。
【0037】
図6に示すように、引き剥がしプレート43は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを挟んで綴じ歯42と反対側に配置されている。また、引き剥がしプレート43は、主走査方向に延びる支軸51によって圧着手段27のフレームに回動可能に支持されている。そして、引き剥がしプレート43は、駆動力伝達機構45を介して駆動モータ44の駆動力が伝達されることによって、
図7(A)~
図7(D)に示す第一離間位置と、
図7(F)に示す第一剥がし位置との間を移動(回動)する。
【0038】
第一離間位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbから引き剥がし部48が綴じ歯41側に離間した位置である。第一剥がし位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを綴じ歯42に向けて押圧することによって、用紙束Pbを綴じ歯41から引き剥がす位置である。
【0039】
引き剥がし部48は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbに接離する板状の部分である。
図5に示すように、引き剥がし部48には、厚み方向に貫通する開口52が形成されている。この開口52は、綴じ歯41が出没可能な大きさに設定されている。
図7(A)~
図7(D)に示すように、引き剥がしプレート43が第一離間位置のとき、綴じ歯41は、開口52を通じて内部トレイ22に支持された用紙束Pbに向けて突出する。また、
図7(F)に示すように、引き剥がしプレート43が第一剥がし位置のとき、綴じ歯41は、開口52を通じて内部トレイ22に支持された用紙束Pbと反対側に没入する。
【0040】
また、
図5に示すように、引き剥がし部48の先端(圧着手段27に取り付けられたときに、搬送方向の上流側の端部)には、案内面53が形成されている。
図6に示すように、案内面53は、内部トレイ22に支持された用紙Pに対面する面である。また、案内面53は、内部トレイ22に支持された用紙Pとの間隔が、搬送方向の上流側に向かって徐々に広がるように傾斜している。引き剥がし部48が第一離間位置のとき、案内面53は、搬送ローラ対15及び叩きコロ23によって内部トレイ22に向けて搬送される用紙Pを、一対の綴じ歯41、42の間に案内する役割を担う。
【0041】
リンクアーム49は、後述するカム54の突出部58に接離されることによって、引き剥がしプレート43を回動させる。
図7(A)~
図7(D)に示すように、突出部58がリンクアーム49から離間しているとき、引き剥がしプレート43は、第一離間位置に配置されている。また、
図7(E)及び
図7(F)に示すように、突出部58がリンクアーム49に当接した状態でカム54が回転すると、引き剥がしプレート43は、第一離間位置から第一剥がし位置に向けて回動(移動)する。
【0042】
駆動力伝達機構45は、駆動モータ44の駆動力によって、挟持位置及び退避位置の間で綴じ歯42を移動させる。また、駆動力伝達機構45は、駆動モータ44の駆動力によって、綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動するのに連動して、引き剥がしプレート43を第一離間位置から第一剥がし位置に移動させる。すなわち、綴じ歯42及び引き剥がしプレート43は、単一の駆動モータ44の駆動力によって連動して移動する。
図6に示すように、駆動力伝達機構45は、カム54と、外側リンク55と、内側リンク56とを主に備える。
【0043】
カム54は、駆動モータ44の出力軸に接続されている。また、カム54は、主走査方向に延びる支軸57によって圧着手段27のフレームに回動可能に支持されている。そして、カム54は、駆動モータ44の駆動力によって一方方向(
図6の時計回り)に回転する。さらに、カム54は、周方向の一部(一箇所)に径方向外向きに突出する突出部58を有する。
【0044】
外側リンク55は、一端がカム54に接続され、他端が内側リンク56に接続されている。内側リンク56は、一端が外側リンク55に接続され、他端が回動アーム47に接続されている。そして、外側リンク55及び内側リンク56(リンク)は、カム54の回転を回動アーム47に伝達する。より詳細には、外側リンク55及び内側リンク56は、カム54の回転に連動して、回動アーム47に取り付けられた綴じ歯42を挟持位置及び退避位置の間で移動させる。
【0045】
例えば、カム54が
図7(A)の位置から時計回りに180°回転することによって、綴じ歯42は、退避位置から挟持位置に移動する。また、カム54がさらに180°回転して
図7(A)の位置に戻ることによって、綴じ歯42は、挟持位置から退避位置に移動する。すなわち、綴じ歯42は、カム54が時計回りに一回転する間に、退避位置と挟持位置の間を一往復する。なお、挟持位置及び退避位置の間の綴じ歯42の移動を実現できれば、駆動モータ44の駆動力を綴じ歯42に伝達する具体的な構成は、特に限定されない。
【0046】
また、
図7(A)~
図7(C)に示すように、綴じ歯42が退避位置から挟持位置に移動している間、カム54の突出部58は、リンクアーム49から離間している。すなわち、引き剥がしプレート43は、綴じ歯42が退避位置から挟持位置に移動している間、第一離間位置に配置されている。これにより、
図7(C)に示すように、開口52を通じて用紙束Pb側に突出した綴じ歯41と、挟持位置の綴じ歯42とによって、用紙束Pbが挟持されて圧着綴じされる。
【0047】
また、
図7(D)に示すように、綴じ歯42が挟持位置から離間位置に移動開始した後、カム54の突出部58は、リンクアーム49に当接する。そして、
図7(D)~
図7(F)に示すように、突出部58がリンクアーム49に当接した状態でカム54が時計回りに回転すると、引き剥がしプレート43は、リンクアーム49が突出部58に押圧されて、第一離間位置から第一剥がし位置に移動する。すなわち、引き剥がしプレート43は、綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動するのに連動して、第一離間位置から第一剥がし位置に移動する。さらに、
図7(F)の状態からカム54がさらに回転して突出部58がリンクアーム49から離間すると、第一剥がし位置の引き剥がしプレート43は、自重によって第一離間位置に戻る。
【0048】
図8は、後処理装置3のハードウェア構成図である。
図8に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0049】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0050】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0051】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、スライドモータ38、駆動モータ44、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、スライドモータ38、及び駆動モータ44を動作させる。なお、
図8には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0052】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0053】
図9は、綴じ処理のフローチャートである。コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ指示」と表記する。)を取得したタイミングで、
図9に示す綴じ処理を開始する。綴じ指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「綴じ枚数」と表記する。)、用紙束Pb上の綴じ位置等を含む。なお、
図3(A)に示すように、綴じ処理の開始時点において、圧着手段27は、待機位置に位置しているものとする。
【0054】
まず、コントローラ100は、スライドモータ38を駆動して綴じ位置に対面し得る位置に圧着手段27をスライドさせる(S901)。次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S902)。また、コントローラ100は、サイドフェンス26L、26Rを移動させることによって、内部トレイ22に支持された用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)。
【0055】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が、綴じ指示で指示された綴じ枚数に達したか否かを判定する(S903)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が綴じ枚数に達していないと判定した場合に(S903:No)、ステップS902の処理を再び実行する。
【0056】
一方、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が綴じ枚数に達したと判定した場合に(S903:Yes)、駆動モータ44を駆動してカム54を時計回りに一回転させる(S904)。これにより、
図6及び
図7を参照して説明したように、一対の綴じ歯41、42が噛み合って用紙束Pbが圧着綴じされ、一対の綴じ歯41、42が離間するのに連動して引き剥がしプレート43が用紙束Pbから綴じ歯41を引き剥がす。
【0057】
次に、コントローラ100は、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。より詳細には、コントローラ100は、放出爪29を主走査方向の上流側に移動させることによって、用紙束Pbを搬送ローラ対15に挟持させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、用紙束Pbを排出トレイ30に排出する(S905)。さらに、コントローラ100は、
図3(A)に示すように、圧着手段27を待機位置に移動させる。
【0058】
上記の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0059】
上記の実施形態によれば、引き剥がしプレート43を離間位置に配置することによって、特許文献1の構成と比較して、一対の綴じ歯41、42の間の隙間を広くすることができる。これにより、搬送ローラ対15及び叩きコロ23によって内部トレイ22に向けて搬送される用紙Pを、一対の綴じ歯41、42の間にスムーズに進入させることができる。その結果、一対の綴じ歯41、42の間に多くの用紙Pを受け入れても、用紙Pの詰まりを防止することができる。また、引き剥がしプレート43に案内面53を設けることによって、用紙Pの詰まりをさらに防止できる。
【0060】
また、上記の実施形態によれば、綴じ歯42及び引き剥がしプレート43を単一の駆動モータ44で移動させることによって、特許文献2の構成と比較してモータの数を削減することができる。これにより、圧着手段27(換言すれば、後処理装置3)の小型化及び軽量化を実現できる。その結果、後処理装置3の製造コストの削減に寄与する。
【0061】
また、上記の実施形態によれば、スライドモータ38によって圧着手段27を主走査方向にスライドさせることによって、用紙束Pbの主走査方向の任意の綴じ位置を圧着綴じすることができる。
図10は、比較例に係る圧着手段27’の主走査方向の移動可能範囲を示す図である。
図11は、本実施形態に係る圧着手段27の主走査方向の移動可能範囲を示す図である。
【0062】
図10(A)に示すように、綴じ歯42’及び引き剥がしプレート43’の間隔G1が狭いと、圧着手段27’が主走査方向にスライドする際に、エンドフェンス25や放出爪29に干渉する。そのため、
図10(B)に示すように、比較例に係る圧着手段27’の主走査方向の移動範囲は、待機位置から直近のエンドフェンス25までの間に制限される。
【0063】
これに対して、引き剥がしプレート43を離間位置に移動可能にすることによって、
図11(A)に示すように、綴じ歯42及び引き剥がしプレート43の間隔G2を、
図10(A)の場合と比較して広くすることができる。これにより、圧着手段27が主走査方向にスライドする際に、エンドフェンス25や放出爪29に干渉するのを防止できる。そのため、
図11(B)に示すように、本実施形態に係る圧着手段27の主走査方向の移動範囲は、内部トレイ22に支持された用紙Pの主走査方向の全域にまで広がる。
【0064】
また、上記の実施形態によれば、圧着手段27が軽量化されることによって、スライドモータ38の負荷を低減することができる。一例として、同一の電力量でより速く圧着手段27をスライドさせることができるので、綴じ処理の生産性が向上する。他の例として、圧着手段27を同一の速度でスライドさせる場合の電力量が削減されるので、消費電力を抑えることができる。さらに、消費電力を抑えて動作可能になることで、駆動モータ44の劣化が抑制できるので、後処理装置3の寿命が延伸される。
【0065】
また、上記の実施形態によれば、第一離間位置及び第一剥がし位置の間で引き剥がしプレート43を移動させる際に、開口52を通じて綴じ歯41を出没させることによって、例えば綴じ歯41を避けた位置に引き剥がしプレート43を設けるのと比較して、圧着手段27をシンプル化及び小型化することができる。その結果、後処理装置3の製造コストがさらに削減される。
【0066】
また、綴じ歯42及び引き剥がしプレート43の動作をカム54で連動させることによって、ソフトウェア制御によって連動させるのと比較して、シンプルな構成で安定した連動を実現することができる。また、カム54の形状や位相を変更することによって、綴じ歯42及び引き剥がしプレート43の動作タイミングを容易に変更することができる。
【0067】
一例として、上記の実施形態に係る駆動力伝達機構45は、綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動開始した後に、引き剥がしプレート43を第一離間位置から第一剥がし位置に移動開始させる。これにより、綴じ歯41、42による用紙束Pbの挟持が解除されてから引き剥がしプレート43が第一剥がし位置に移動するので、用紙束Pbを綴じ歯41から確実に引き剥がすことができる。
【0068】
他の例として、駆動力伝達機構45は、綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動開始する前に、引き剥がしプレート43を第一離間位置から第一剥がし位置に移動開始させてもよい。これにより、用紙束Pbを綴じ歯41から引き剥がす時間が短縮されるので、綴じ処理の生産性が向上する。
【0069】
なお、上記の実施形態では、画像形成装置2及び後処理装置3で構成される画像形成システム1の例を説明した。しかしながら、本発明は、後処理装置3単体としても実現できる。また、本発明は、搬送手段及び画像形成手段を備える画像形成装置2に、内部トレイ22及び圧着手段27を搭載することによっても実現できる。
【0070】
[変形例1]
図12は、変形例1に係る圧着手段27Aを示す図である。
図12を参照して、変形例1に係る圧着手段27Aを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図12に示すように、変形例1に係る圧着手段27Aは、コイルバネ59(付勢部材)をさらに備える点が圧着手段27と相違し、その他の点が圧着手段27と共通する。
【0071】
コイルバネ59は、一端が圧着手段27Aのフレームに接続され、他端が引き剥がしプレート43に接続されている。そして、コイルバネ59は、引き剥がしプレート43を第一離間位置に向けて付勢する。すなわち、突出部58がリンクアーム49に当接した状態でカム54が回転すると、引き剥がしプレート43は、コイルバネ59の付勢力に抗して、第一離間位置から第一剥がし位置に移動する。一方、突出部58がリンクアーム49から離間すると、引き剥がしプレート43は、コイルバネ59の付勢力によって、第一剥がし位置から第一離間位置に戻る。
【0072】
変形例1によれば、引き剥がしプレート43を自重で第一剥がし位置から第一離間位置に戻す場合と比較して、戻り速度を速くすることができると共に、確実に第一離間位置まで戻すことができる。
【0073】
[変形例2]
図13は、変形例2に係る圧着手段27Bを示す図である。
図13を参照して、変形例2に係る圧着手段27Bを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図13に示すように、変形例2に係る圧着手段27Bは、引き剥がしプレート43A(第二引き剥がし手段)及びカム54’をさらに備える点が圧着手段27と相違し、その他の点が圧着手段27と共通する。
【0074】
引き剥がしプレート43Aは、内部トレイ22に支持された用紙束Pbより綴じ歯42側において、主走査方向に延びる支軸60によって回動アーム47に回動可能に支持されている。引き剥がしプレート43Aは、
図13に示す第二離間位置と、第二剥がし位置とに移動可能に構成されている。第二離間位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbから離間した位置である。第二剥がし位置は、内部トレイ22に支持された用紙束Pbを押圧して、用紙束Pbを綴じ歯42から引き剥がす位置である。引き剥がしプレート43Aは、表裏が反転されて綴じ歯42側に配置されている点を除いて、具体的な構成は引き剥がしプレート43と共通する。
【0075】
また、カム54’は、駆動モータ44の駆動力を引き剥がしプレート43Aに伝達することによって、第二離間位置及び第二剥がし位置の間で引き剥がしプレート43Aを移動させる。駆動モータ44の駆動力は、ギヤ、プーリ、タイミングベルト等を介して、カム54、54’に分配される。すなわち、変形例2に係る駆動力伝達機構は、単一の駆動モータ44の駆動力によって、綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動するのに連動して、引き剥がしプレート43を第一離間位置から第一剥がし位置に移動させると共に、引き剥がしプレート43Aを第二離間位置から第二剥がし位置に移動させる。
【0076】
また、引き剥がしプレート43、43Aの動作タイミングは、カム54、54’の形状や位相によって調整することができる。例えば、変形例2に係る駆動力伝達機構は、引き剥がしプレート43を第一離間位置から第一剥がし位置に移動開始させる前に、引き剥がしプレート43Aを第二離間位置から第二剥がし位置に移動開始させてもよい。但し、引き剥がしプレート43、43Aの動作タイミングは、前述の例に限定されない。
【0077】
変形例2によれば、用紙束Pbから綴じ歯41、42を確実に引き剥がすことができる。また、単一の駆動モータ44の駆動力で引き剥がしプレート43、43Aを動作させることによって、圧着手段27Bの小型化及び軽量化を実現することができる。
【0078】
[変形例3]
図14は、変形例3に係る圧着手段27Cを示す図である。
図14を参照して、変形例3に係る圧着手段27Cを説明する。なお、変形例2との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図14に示すように、変形例3に係る圧着手段27Cは、カム54’に代えて突起61を備える点が圧着手段27Bと相違し、その他の点が圧着手段27Bと共通する。
【0079】
突起61は、回動アーム47に取り付けられている。そして、突起61は、回動アーム47が回動するのに伴って、引き剥がしプレート43Aに接離する。より詳細には、突起61は、綴じ歯42が退避位置から挟持位置に移動する間、引き剥がしプレート43Aから離間している。これにより、
図14(A)及び
図14(B)に示すように、引き剥がしプレート43Aは、回動アーム47の回動によって、第二離間位置から第二剥がし位置に向けて回動する。
【0080】
また、
図14(B)に示すように、突起61は、綴じ歯42が挟持位置に到達した時点で引き剥がしプレート43Aに当接する。この状態で綴じ歯42が挟持位置から退避位置に移動すると、
図14(C)に示すように、突起61に当接された引き剥がしプレート43Aは、回動アーム47の回動に抗って、第二剥がし位置に保持される。さらに、突起61は、綴じ歯42が退避位置に到達した時点で引き剥がしプレート43Aから離間する。これにより、引き剥がしプレート43Aは、第二剥がし位置から第二離間位置に向けて回動する。なお、変形例3に係る圧着手段27Cは、変形例1のように、引き剥がしプレート43Aを第二離間位置に向けて付勢する付勢手段を備えていてもよい。
【0081】
変形例3によれば、変形例2によりさらにシンプルな構成で引き剥がしプレート43Aを動作させることができる。これにより、圧着手段27Cの部品点数が削減されるので、製造コスト及び部品の管理コストを削減することができる。なお、変形例3に係る突起61は、引き剥がしプレート43を動作させるために設けられてもよい。
【0082】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する圧着手段27のみならず、中綴じ処理を実行する綴じ処理部33にも適用することができる。
【0083】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0084】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0085】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された複数の前記媒体を積載可能な積載手段と、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる圧着手段とを備え、
前記圧着手段は、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体の厚み方向の一方側の第一綴じ歯と、
前記厚み方向の他方側において、前記第一綴じ歯とによって複数の前記媒体を挟持する挟持位置、及び前記挟持位置から退避した退避位置の間を移動可能な第二綴じ歯と、
前記積載手段に積載された複数の前記媒体から前記第一綴じ歯側に離間した第一離間位置、及び前記積載手段に積載された複数の前記媒体を前記第一綴じ歯から引き剥がす第一剥がし位置に移動可能な第一引き剥がし手段と、
単一の駆動源の駆動力によって、前記挟持位置及び前記退避位置の間で前記第二綴じ歯を移動させると共に、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動するのに連動して、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動させる駆動力伝達機構とを備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記圧着手段は、前記積載手段に積載された複数の前記媒体から前記第二綴じ歯側に離間した第二離間位置、及び前記積載手段に積載された複数の前記媒体を前記第二綴じ歯から引き剥がす第二剥がし位置に移動可能な第二引き剥がし手段をさらに備えることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記駆動力伝達機構は、単一の前記駆動源の駆動力によって、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動するのに連動して、前記第二引き剥がし手段を前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に移動させることを特徴とする前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記駆動力伝達機構は、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させる前に、前記第二引き剥がし手段を前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に移動開始させることを特徴とする前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5> 前記第二綴じ歯は、前記駆動源の駆動力によって回動する回動アームに取り付けられて、前記挟持位置及び前記退避位置の間を回動し、
前記回動アームは、前記第二引き剥がし手段に接離する突起を備え、
前記第二引き剥がし手段は、
前記第二綴じ歯が前記退避位置から前記挟持位置に移動する間は前記突起から離間して、前記回動アームの回動によって前記第二離間位置から前記第二剥がし位置に向けて回動し、
前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動する過程で前記突起に当接されて、前記第二剥がし位置に保持されることを特徴とする前記<3>または前記<4>に記載の媒体処理装置である。
<6> 前記駆動力伝達機構は、
周方向の一部に突出部が形成され、前記駆動源の駆動力によって回転するカムと、
前記カムの回転に連動して、前記挟持位置及び前記退避位置の間で前記第二綴じ歯を移動させるリンクとを備え、
前記第一引き剥がし手段は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動する過程で前記カムの前記突出部に押圧されて、前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動することを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<7> 前記圧着手段は、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置に向けて付勢する付勢手段を備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8> 前記第一引き剥がし手段は、前記搬送手段による前記媒体の搬送方向の上流側の端部に、前記第一綴じ歯及び前記第二綴じ歯の間に前記媒体を案内する案内面を有することを特徴とする前記<1>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9> 前記第一引き剥がし手段は、
前記第一綴じ歯が出没可能な開口を有する板状であり、
前記第一離間位置において、前記開口を通じて前記第一綴じ歯を前記積載手段に積載された複数の前記媒体に向けて突出させ、
前記第一剥がし位置において、前記開口を通じて前記第一綴じ歯を前記積載手段に積載された複数の前記媒体と反対側に没入させることを特徴とする前記<1>乃至前記<8>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<10> 前記駆動力伝達機構は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動開始する前に、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させることを特徴とする前記<1>乃至前記<9>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<11> 前記駆動力伝達機構は、前記第二綴じ歯が前記挟持位置から前記退避位置に移動開始した後に、前記第一引き剥がし手段を前記第一離間位置から前記第一剥がし位置に移動開始させることを特徴とする前記<1>乃至前記<9>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<12> 前記搬送手段による前記媒体の搬送方向及び前記厚み方向に直交する主走査方向に沿って、前記圧着手段をスライドさせるスライド手段を備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<13> 前記積載手段に積載された複数の前記媒体に綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ手段をさらに備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<12>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<14> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置から前記媒体が供給される供給口を備えることを特徴とする前記<1>乃至前記<13>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<15> 前記媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体を処理する前記<1>乃至前記<13>のいずれか1つに記載の媒体処理装置とを備える画像形成装置である。
<16> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された前記媒体を処理する前記<1>乃至前記<13>のいずれか1つに記載の媒体処理装置とを備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0086】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
9 :供給口
10-19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21,30,36 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23 :叩きコロ
24 :戻しコロ
25,32 :エンドフェンス
26L,26R :サイドフェンス
27,27’,27A,27B,27C :圧着手段
28 :針綴じ手段
29 :放出爪
31 :フィラー
33 :綴じ処理部
34 :用紙折りブレード
35 :穿孔処理部
37 :ガイドレール
38 :スライドモータ
41,42,42’ :綴じ歯
43,43’,43A :引き剥がしプレート
44 :駆動モータ
45 :駆動力伝達機構
46,51,57,60 :支軸
47 :回動アーム
48 :引き剥がし部
49 :リンクアーム
52 :開口
53 :案内面
54,54’ :カム
55 :外側リンク
56 :内側リンク
58 :突出部
59 :コイルバネ
61 :突起
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
P :用紙
Pb :用紙束
Ph1 :第一搬送路
Ph2 :第二搬送路
Ph3 :第三搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2015-067407号公報
【特許文献2】特開2020-147005号公報