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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006576
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H05K3/46 E
H05K1/02 C
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H05K3/42 630
H05K3/18 H
H05K3/10 E
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107610
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雄太
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316DD16
5E316DD17
5E316DD25
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE33
5E316FF04
5E316FF07
5E316FF15
5E316FF17
5E316GG15
5E316GG22
5E316GG23
5E316GG28
5E316HH26
5E317AA24
5E317BB03
5E317BB12
5E317CC25
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317GG14
5E317GG16
5E338BB14
5E338BB19
5E343AA07
5E343AA18
5E343AA36
5E343BB24
5E343CC62
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER26
5E343GG08
(57)【要約】
【課題】微細配線層を形成することが容易な配線基板を提供する。
【解決手段】本配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層を被覆する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面に形成された配線パターン、及び前記第1絶縁層を貫通し前記配線パターンと前記第1配線層とを接続するビア配線、を含む第2配線層と、前記第1絶縁層上に積層された第2絶縁層と、を有し、前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層の上面に積層された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上面に積層された第2絶縁膜と、を含み、前記配線パターンは、前記ビア配線上に位置する上面に凹部を有し、前記第1絶縁膜は、前記配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に前記凹部を埋め込み、前記第1絶縁膜の上面は前記配線パターンの上面より平坦である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層と、
前記第1配線層を被覆する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面に形成された配線パターン、及び前記第1絶縁層を貫通し前記配線パターンと前記第1配線層とを接続するビア配線、を含む第2配線層と、
前記第1絶縁層上に積層された第2絶縁層と、を有し、
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層の上面に積層された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上面に積層された第2絶縁膜と、を含み、
前記配線パターンは、前記ビア配線上に位置する上面に凹部を有し、
前記第1絶縁膜は、前記配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に前記凹部を埋め込み、前記第1絶縁膜の上面は前記配線パターンの上面より平坦である、配線基板。
【請求項2】
前記第1絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも薄い、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜は、感光性樹脂を主成分とする、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記配線パターンの配線幅は1μm以上5μm以下であり、前記配線パターンの配線間隔は1μm以上5μm以下である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記配線パターンの厚さは、1μm以上3μm以下である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1絶縁膜の上面の粗度は、Ra20nm以下である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記ビア配線は、前記第1絶縁層を貫通し前記第1配線層の上面を露出するビアホール内に充填され、
前記ビアホールは、前記第2絶縁層側に開口されている開口部の径が前記第1配線層の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部であり、
前記ビアホールの開口部の径は、15μm以上20μm以下である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
第1配線層を被覆する第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の上面に形成された配線パターン、及び前記第1絶縁層を貫通し前記配線パターンと前記第1配線層とを接続するビア配線、を含む第2配線層を形成する工程と、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を積層する工程と、を有し、
前記第2配線層を形成する工程では、前記ビア配線上に位置する前記配線パターンの上面に凹部が形成され、
前記第2絶縁層を形成する工程は、
前記第1絶縁層の上面に、前記配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に前記凹部を埋め込み、かつ前記凹部に沿った窪みを備えた第1絶縁膜を積層する工程と、
前記窪みがなくなるまで前記第1絶縁膜を研磨し、前記第1絶縁膜の上面を前記配線パターンの上面より平坦にする工程と、
前記第1絶縁膜の上面に第2絶縁膜を積層する工程と、を含む、配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記研磨の前の記第1絶縁膜の厚さは、前記凹部の深さに対して250%以上300%以下である、請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記研磨の後の前記第1絶縁層の上面の粗度は、Ra20nm以下である、請求項8又は9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交互に積層された複数の配線層と複数の絶縁層とを有する配線基板が知られている。このような配線基板において、隣接する配線層同士は、絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続される。この種の配線基板の中には、微細配線層を有するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ビアホール上に形成された配線層の上面に凹部が形成される場合がある。凹部が形成されると、それに追従して配線層を被覆する絶縁層の上面にも窪みが形成され、絶縁層の上面は平坦にならない。このような窪みは、比較的配線密度の低い配線層では問題にならない。しかし、配線層が微細化するほど窪みが形成された絶縁層上面への配線層の形成が困難となる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、微細配線層を形成することが容易な配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層を被覆する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面に形成された配線パターン、及び前記第1絶縁層を貫通し前記配線パターンと前記第1配線層とを接続するビア配線、を含む第2配線層と、前記第1絶縁層上に積層された第2絶縁層と、を有し、前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層の上面に積層された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上面に積層された第2絶縁膜と、を含み、前記配線パターンは、前記ビア配線上に位置する上面に凹部を有し、前記第1絶縁膜は、前記配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に前記凹部を埋め込み、前記第1絶縁膜の上面は前記配線パターンの上面より平坦である。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、微細配線層を形成することが容易な配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
図6】第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する部分断面図である。図1(a)は全体図であり、図1(b)は図1(a)のA部の拡大図である。
【0011】
図1を参照すると、配線基板1は、絶縁層11と、配線層12と、絶縁層13と、配線層14と、絶縁層15と、配線層16とを有している。
【0012】
なお、本実施形態では、便宜上、配線基板1の絶縁層15側を上側又は一方の側、絶縁層11側を下側又は他方の側とする。又、各部位の絶縁層15側の面を上面又は一方の面、絶縁層11側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置できる。又、平面視とは対象物を絶縁層15の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層15の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
絶縁層11は、例えば、多層配線の層間絶縁層として、ビルドアップ工法等を用いて形成できる絶縁層である。従って、絶縁層11の下層として他の配線層や他の絶縁層が積層されていてもよい。この場合、絶縁層11や他の絶縁層に適宜ビアホールを設け、ビアホールを介して配線層同士を接続できる。また、絶縁層11は、最下層の絶縁層であってもよい。
【0014】
絶縁層11は、感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。絶縁層11は、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性の感光性樹脂を主成分とすることができる。絶縁層11は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。なお、感光性樹脂を主成分とする絶縁層は、露光及び現像により、開口部の径が15μm以上20μm以下程度の小型のビアホールを容易に形成できるため、微細配線層の形成に適している。
【0015】
配線層12は、絶縁層11の上面に形成されている配線パターンである。配線層12の厚さは、例えば、1μm以上3μm以下程度とすることができる。配線層12のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~5μm/5μm程度とすることができる。
【0016】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが1μm/1μm~5μm/5μmと記載されていた場合、配線幅が1μm以上5μm以下で、かつ隣り合う配線同士の配線間隔が1μm以上5μm以下であることを表す。必ずしも配線幅と配線間隔とを等しくしなくてもよい。
【0017】
配線層12は、例えば、シード層12a上に電解めっき層12bが積層された構造とすることができる。シード層12aは、例えば、厚さが100~350nm程度の銅層である。シード層12aとして、厚さが20~50nm程度のチタン層の上に、厚さが100~300nm程度の銅層が積層された積層膜を用いてもよい。電解めっき層12bは、例えば、厚さが1μm以上3μm程度の銅層である。なお、シード層12aの厚さが極めて薄いため、電解めっき層12bの厚さを配線層12の全体の厚さとみなしてもよい。他の配線層についても同様である。
【0018】
絶縁層13は、絶縁層11の上面に、配線層12を被覆するように形成されている。絶縁層13の材料は、例えば、絶縁層11と同様とすることができる。絶縁層13の厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。絶縁層13は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有してもよい。なお、絶縁層13は、本発明に係る第1絶縁層の代表的な一例である。
【0019】
絶縁層13には、絶縁層13を貫通し配線層12の上面を露出するビアホール13xが形成されている。ビアホール13xは、絶縁層15側に開口されている開口部の径が配線層12の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール13xの開口部の径は、例えば、15μm以上20μm以下程度とすることができる。
【0020】
配線層14は、絶縁層13の一方の側に形成されており、配線層12と電気的に接続されている。配線層14は、絶縁層13の上面に形成された配線パターン、及び絶縁層13を貫通し配線層14を構成する配線パターンと配線層12とを接続するビア配線を含む。ビア配線は、ビアホール13x内に充填されている。配線層14を構成する配線パターンの厚さT1は、例えば、配線層12と同様に1μm以上3μm以下程度とすることができる。配線層14を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
【0021】
配線層14は、例えば、シード層14a上に電解めっき層14bが積層された構造とすることができる。シード層14aの材料や厚さは、例えば、シード層12aと同様とすることができる。電解めっき層14bの材料や厚さは、例えば、電解めっき層12bと同様とすることができる。
【0022】
ビアホール13x上に位置する配線層14の配線パターンは、上面中央部に周縁部より窪んだ凹部14rを有している。凹部14rは、例えば、椀型である。ここで、椀型とは、周縁部から中央部に向かって深さが徐々に深くなり内壁面がR形状となる型である。凹部14rの深さD1は、例えば、0.3μm以上1μm以下程度である。凹部14rの一部が、ビアホール13x内に位置する場合もあり得る。なお、深さD1は、配線層14の上面から凹部14rの最深部までの距離である。
【0023】
絶縁層15は、絶縁層13上に積層されている。絶縁層15は、第1絶縁膜15aと、第2絶縁膜15bとを含む。なお、絶縁層15は、本発明に係る第2絶縁層の代表的な一例である。
【0024】
第1絶縁膜15aは、絶縁層13の上面に積層されている。第1絶縁膜15aは、配線層14を構成する配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に凹部14rを埋め込んでいる。第1絶縁膜15aの上面は、配線層14を構成する配線パターンの上面より平坦である。ここで、平坦とは、対象となる面に凹部や凸部が全く形成されていないか、凹部や凸部が形成されていたとしても凹部の最大深さ及び凸部の最大高さが0.1μm以下であることをいう。第1絶縁膜15aの厚さT2は、例えば、0.5~1μm程度とすることができる。なお、厚さT2は、配線層14の上面から第1絶縁膜15aの上面までの距離である。
【0025】
第1絶縁膜15aは、シリカ(SiO)等のフィラーを含有してもよい。第1絶縁膜15aの上面の粗度は、例えば、Ra20nm以下程度とすることができる。
【0026】
第2絶縁膜15bは、第1絶縁膜15aの上面に積層されている。第1絶縁膜15aの上面は平坦であるため、第1絶縁膜15aの上面に積層される第2絶縁膜15bの上面もそれに追従して平坦となる。また、第1絶縁膜15aの上面の粗度がRa20nm以下と小さいため、第1絶縁膜15aの上面に積層される第2絶縁膜15bの上面の粗度も、それに追従して小さくなる。そのため、第2絶縁膜15bの上面に、微細配線層を形成することが容易となる。
【0027】
第2絶縁膜15bの厚さは、例えば、6~8μm程度とすることができる。第1絶縁膜15aの厚さと第2絶縁膜15bの厚さの合計は、例えば、絶縁層13の厚さと同じであってよい。第1絶縁膜15a及び第2絶縁膜15bの材料は、例えば、絶縁層11や絶縁層13と同様に感光性樹脂を主成分とすることができる。第2絶縁膜15bは、シリカ(SiO)等のフィラーを含有してもよい。
【0028】
なお、第1絶縁膜15aは、凹部14rを埋め込むと共に上面を平坦にするために設けられた絶縁層である。これに対して、第2絶縁膜15bは、絶縁層15が層間絶縁層として正常に機能するための所定の厚さを確保するために設けられた絶縁層である。そのため、第1絶縁膜15aは、第2絶縁膜15bよりも薄くてよい。
【0029】
絶縁層15には、第1絶縁膜15a及び第2絶縁膜15bを貫通し配線層14の上面を露出するビアホール15xが形成されている。ビアホール15xは、絶縁層15の上面側に開口されている開口部の径が配線層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール15xの開口部の径は、例えば、15~20μm程度とすることができる。
【0030】
なお、第1絶縁膜15a及び第2絶縁膜15bに同じ材料を使用した場合でも、光学顕微鏡により両者の境界を確認することができる。
【0031】
配線層16は、絶縁層15の一方の側に形成されており、配線層14と電気的に接続されている。配線層16は、絶縁層15の上面に形成された配線パターン、及び絶縁層15を貫通し配線層16を構成する配線パターンと配線層14とを接続するビア配線を含む。ビア配線は、ビアホール15x内に充填されている。配線層16を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
【0032】
配線層16は、例えば、シード層16a上に電解めっき層16bが積層された構造とすることができる。シード層16aの材料や厚さは、例えば、シード層12aと同様とすることができる。電解めっき層16bの材料や厚さは、例えば、電解めっき層12bと同様とすることができる。
【0033】
ビアホール15x上に位置する配線層16の配線パターンは、上面中央部に周縁部より窪んだ凹部16rを有している。凹部16rの形状は、例えば、凹部14rと同様の椀型である。凹部16rの深さは、例えば、凹部14rと同様に、0.3μm以上1μm以下程度である。凹部16rの一部が、ビアホール15x内に位置する場合もあり得る。
【0034】
このように、配線基板1では、配線層14に凹部14rが形成される場合でも、凹部14rは第1絶縁膜15aで埋め込まれると共に第1絶縁膜15aの上面が平坦化されている。そのため、第2絶縁膜15bの上面も第1絶縁膜15aの上面に従って平坦である。そのため、第2絶縁膜15b上に微細配線層である配線層16を安定して形成できる。これにより、微細配線層を有する配線基板1の信頼性を向上することができる。
【0035】
なお、従来のように微細配線層を形成しない配線基板では、配線層の上面に深さが1μm程度の凹部が形成され、それに追従して配線層を被覆する絶縁層の上面に1μm程度の窪みが形成されても問題とはならなかった。絶縁層の上面に、窪みの深さに対して十分厚く、かつライン/スペースの比較的大きな配線層を形成するからである。
【0036】
これに対して、微細配線層を有する配線基板の場合には、配線層の上面に1μm程度の凹部が形成され、それに追従して配線層を被覆する絶縁層の上面に1μm程度の窪みが形成されると、微細配線層を形成することが困難となる。例えば、配線パターンの厚さが1μm以上3μm以下であり、かつライン/スペースが1μm/1μm~5μm/5μmであるような微細配線層では、配線パターンの厚さやライン/スペースが凹部の深さと同程度となるからである。
【0037】
そのため、配線層14の凹部14rを第1絶縁膜15aで埋め込むと共に第1絶縁膜15aの上面を平坦化し、その結果として第2絶縁膜15bの上面も平坦化する技術は、配線基板1のような微細配線層を有する配線基板に極めて有効である。
【0038】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2図5は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0039】
まず、図2(a)に示す工程では、配線層12が設けられた絶縁層11を準備する。絶縁層11は、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性の感光性樹脂を主成分とする。配線層12は、例えば、セミアディティブ法により絶縁層11上に形成できる。この場合、配線層12は、例えば、銅の無電解めっき膜やスパッタ膜等からなるシード層12a上に、銅からなる電解めっき層12bが積層された構造になる。
【0040】
次に、図2(b)に示す工程では、絶縁層11の上面に、配線層12を被覆する絶縁層13を形成する。具体的には、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性の感光性樹脂を主成分とする液状又はペースト状の絶縁性樹脂を準備し、配線層12を覆うように絶縁層11の上面にスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した絶縁性樹脂を加熱して、半硬化状態の絶縁層13を形成する。
【0041】
次に、図2(c)に示す工程では、絶縁層13に、絶縁層13を貫通し配線層12の上面を露出させるビアホール13xを形成する。ビアホール13xは、例えば、フォトリソグラフィ法により形成できる。すなわち、感光性樹脂を主成分とする絶縁層13を露光及び現像することでビアホール13xを形成できる。その後、半硬化状態の絶縁層13を加熱して硬化させる。ビアホール13xは、絶縁層15が形成される側に開口されている開口部の径が配線層12の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部となる。ビアホール13xの開口部の径は、例えば、15μm以上20μm以下程度となる。
【0042】
次に、図2(d)~図4(a)に示す工程では、絶縁層13上に配線層14を形成する。まず、図2(d)に示す工程では、無電解めっき法又はスパッタ法により、ビアホール13xの内壁を含む絶縁層13の表面及びビアホール13x内に露出する配線層12の表面に、シード層14aを形成する。シード層14aの材料や厚さは、前述のとおりである。
【0043】
次に、図3(a)に示す工程では、シード層14a上に配線層14の配線パターンの形状に合わせた開口部300xを有するめっきレジストパターン300を形成する。次に、図3(b)に示す工程では、シード層14aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン300の開口部300xに露出するシード層14a上に電解めっき層14bを析出する。次に、図3(c)に示す工程では、めっきレジストの剥離液を用いて、めっきレジストパターン300を除去する。図3(b)に示す工程において、ビアホール13x上に位置する配線層14の配線パターンの上面中央部に周縁部より窪んだ凹部14rが形成される。凹部14rは、例えば、深さが0.3μm以上1μm以下程度の椀型となる。
【0044】
次に、図4(a)に示す工程では、電解めっき層14bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層14bから露出するシード層14aを除去し配線層14を形成する。これにより、絶縁層13の上面に形成された配線パターン、及び絶縁層13を貫通し配線パターンと配線層12とを接続するビア配線を含む配線層14が形成される。
【0045】
次に、図4(b)~図5(a)に示す工程では、絶縁層13上に絶縁層15を積層する。まず、図4(b)に示す工程では、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性の感光性樹脂を主成分とする液状又はペースト状の絶縁性樹脂を準備し、配線層14を覆うように絶縁層13の上面にスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した絶縁性樹脂を加熱して、半硬化状態の第1絶縁膜15aを形成する。これにより、絶縁層13の上面に、配線層14の配線パターンの上面及び側面を被覆すると共に凹部14rを埋め込み、かつ凹部14rに沿った窪み15rを備えた第1絶縁膜15aが積層される。
【0046】
第1絶縁膜15aの厚さは、凹部14rの深さに対して250%以上300%以下であることが好ましい。第1絶縁膜15aの厚さを凹部14rの深さに対して250%以上とすることで、第1絶縁膜15aにより凹部14rを充分に埋め込むことができる。また、第1絶縁膜15aの厚さを凹部14rの深さに対して300%以下とすることで、第1絶縁膜15aが不要に厚くなって後述の研磨工程において研磨時間が長くなることを抑制できる。
【0047】
次に、図4(c)に示す工程では、窪み15rがなくなるまで第1絶縁膜15aを研磨し、第1絶縁膜15aの上面を、配線層14を構成する配線パターンの上面より平坦にする。研磨には、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)を用いることができる。研磨後の第1絶縁膜15aの厚さは、例えば、0.5~1μm程度とすることができる。研磨後の第1絶縁膜15aの上面の粗度は、例えば、Ra20nm以下程度とすることができる。
【0048】
次に、図5(a)に示す工程では、第1絶縁膜15aの上面に第2絶縁膜15bを積層する。具体的には、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性の感光性樹脂を主成分とする液状又はペースト状の絶縁性樹脂を準備し、第1絶縁膜15aの上面にスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した絶縁性樹脂を加熱して、半硬化状態の第2絶縁膜15bを形成する。これにより、絶縁層13上に、半硬化状態の絶縁層15が形成される。絶縁層15の厚さは、例えば、6~8μm程度とすることができる。第1絶縁膜15aの上面が平坦化されているため、第2絶縁膜15bの上面も第1絶縁膜15aの上面に従って平坦となる。
【0049】
次に、図5(b)に示す工程では、絶縁層15に、絶縁層15を貫通し配線層14の上面を露出させるビアホール15xを形成する。ビアホール15xは、例えば、図2(c)に示す工程と同様にフォトリソグラフィ法により形成できる。その後、半硬化状態の絶縁層15を加熱して硬化させる。ビアホール15xは、絶縁層15の上面側に開口されている開口部の径が配線層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部となる。ビアホール15xの開口部の径は、例えば、15μm以上20μm以下程度となる。
【0050】
次に、図5(c)に示す工程では、図2(d)~図4(a)と同様にして、絶縁層15の上面に形成された配線パターン、及び絶縁層15を貫通し配線パターンと配線層14とを接続するビア配線を含む配線層16を形成する。配線層16は、シード層16a上に電解めっき層16bが積層された構造となる。以上の工程で、配線基板1が完成する。なお、図5(c)に示す工程の後、必要に応じ、所定の層数の絶縁層と配線層とを、さらに積層してもよい。この際、配線層を覆う絶縁層を絶縁層15と同様の2層構造とすることにより、絶縁層上に微細配線層を形成することが可能となる。
【0051】
〈第1実施形態の応用例1〉
第1実施形態の応用例1では、微細配線層を有する配線基板をベース基板上に実装した積層型配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の応用例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0052】
図6は、第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。図6を参照すると、半導体装置5は、積層型配線基板3と、半導体チップ80と、アンダーフィル樹脂95とを有する。積層型配線基板3には、複数の半導体チップ80がフリップチップ実装されている。
【0053】
積層型配線基板3は、ベース基板2上に配線基板1Aが実装された多層配線基板である。積層型配線基板3は、例えば、周知のビルドアップ工法により作製できる。
【0054】
ベース基板2は、コア層50の一方の側に第1積層体51が積層され、他方の側に第2積層体52が積層された多層配線基板である。第1積層体51及び第2積層体52の各々において、コア層50側から配線層及び絶縁層が順次積層され、最外層にソルダーレジスト層が形成されている。
【0055】
配線基板1Aは、ベース基板2上に接着層60により固定されている。配線基板1Aの配線層は、ベース基板2の配線層とはんだバンプ65により電気的に接続されている。接着層60は、配線基板1Aの下面とベース基板2の上面との間に充填されると共に、配線基板1Aの側面の一部を被覆し、配線基板1Aとベース基板2とを接着している。
【0056】
配線基板1Aは、第1配線構造21と、第1配線構造21上に配置された第2配線構造22とを有している。第1配線構造21は、補強部材を有しており、第2配線構造22を形成するためのベースとなる。第2配線構造22は、複数の配線層及び複数の絶縁層が積層された配線構造である。
【0057】
第2配線構造22を構成する各配線層の配線幅及び配線間隔は、ベース基板2を構成する各配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。つまり、第2配線構造22を構成する各配線層は、ベース基板2を構成する各配線層のライン/スペースよりも配線密度の高い微細配線層である。
【0058】
ベース基板2を構成する各配線層のライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~20μm/20μm程度とすることができる。第2配線構造22を構成する各配線層のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~5μm/5μm程度とすることができる。
【0059】
第2配線構造22の破線で囲んだB部には、第1実施形態に係る配線基板1のA部(図1参照)と同様の構造が採用されている。すなわち、第2配線構造22を構成する絶縁層は2層構造とされており、第1絶縁膜がビアホール上に位置する配線層の上面に形成された凹部を埋めて平坦化し、その上に第2絶縁膜が積層されている。これにより、第2絶縁膜の上面は平坦な面となるため、微細配線層の形成が可能となる。
【0060】
ベース基板2の上面の外周部には、スティフナ―70が固着されている。スティフナ―70は、例えば平面形状が枠状であり、積層型配線基板3全体の強度を補強すると共に、積層型配線基板3をマザーボード等に実装する際に生じる反りを低減するために設けられている。スティフナ―70の材料としては、例えば、SUS304(CrとNiを主成分とするステンレス鋼:0.08C-18Cr-8Ni)等を用いことができる。スティフナ―70の材料として、銅や銅合金等の金属板や、ガラスエポキシ基板等の樹脂板を用いてもよい。スティフナ―70は、必要に応じて設けることができる。
【0061】
積層型配線基板3には、複数の半導体チップ80がフリップチップ実装されている。
【0062】
半導体チップ80は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板81に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板81の回路形成面には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド82が形成されている。
【0063】
半導体チップ80の電極パッド82は、バンプ90を介して、配線基板1Aの最上の配線層と電気的に接続されている。アンダーフィル樹脂95は、半導体チップ80の回路形成面と配線基板1Aの上面との間に充填され、半導体チップ80の側面を被覆している。バンプ90は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えば、SnBiはんだ等を用いることができる。
【0064】
このように、配線密度の低い配線層を有するベース基板2上に配線密度の高い配線層を有する配線基板1Aを実装することで、半導体チップ80を搭載可能な積層型配線基板3を容易に作製することができる。そして、積層型配線基板3に半導体チップ80を搭載することにより、半導体装置5を実現できる。
【0065】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1,1A 配線基板
2 ベース基板
3 積層型配線基板
5 半導体装置
11,13,15 絶縁層
12,14,16 配線層
12a,14a,16a シード層
12b,14b,16b 電解めっき層
13x,15x ビアホール
14r,16r 凹部
15r 窪み
21 第1配線構造
22 第2配線構造
50 コア層
51 第1積層体
52 第2積層体
60 接着層
65 はんだバンプ
70 スティフナ―
80 半導体チップ
81 半導体基板
82 電極パッド
90 バンプ
95 アンダーフィル樹脂
300 めっきレジストパターン
300x 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6