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特開2024-65772液体を吐出する装置および液体を吐出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065772
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置および液体を吐出する方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240508BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240508BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B41J2/01 203
B41J2/01 109
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174791
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】三浦 翔吾
【テーマコード(参考)】
2C056
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC31
2C056EC69
2C056FA04
2C056FA10
2C056FB01
2C056HA05
2C056HA11
2C056HA38
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB07
4D075DC12
4D075DC21
4D075DC24
4D075EA05
4D075EA06
4D075EA33
4D075EA45
4D075EC11
4D075EC17
4D075EC30
4D075EC35
4F041AA07
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042BA21
4F042CA01
4F042CB08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】液体の種類にかかわらず被塗布物に対する隠蔽性を確保する。
【解決手段】
被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッドと、前記ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備える液体を吐出する装置であって、前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体のうちの一の液体を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、前記制御手段は、前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体に変更された場合に、変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更手段と、前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更手段と、を備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッドと、
前記ヘッドの動作を制御する制御手段と、
を備える液体を吐出する装置であって、
前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体のうちの一の液体を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、
前記制御手段は、
前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体に変更された場合に、
変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更手段と、
前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更手段と、
を備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記第一変更手段は、前記ノズル孔から前記被塗布物に向けて液体が吐出される方向と平行な軸を支点に前記ヘッドの角度を変更することを特徴とする請求項1記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記第二変更手段は、前記第二方向への前記ヘッドの移動速度を変更することを特徴とする請求項1または2記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記第二変更手段は、前記ノズル孔からの吐出同期信号の周波数を変更することを特徴とする請求項1または2記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記種類の異なる二以上の液体の情報を格納する記憶部を備えることを特徴とする請求項1記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記一の液体から前記別の液体に変更する液体変更手段を備えることを特徴とする請求項1記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記被塗布物に塗布された液滴を測定する測定手段を備え、前記測定手段の測定値を、前記変更後の液体の情報として用いることを特徴とする請求項1記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッドを有した装置における液体を吐出する方法であって、
前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体のうちの一の液体を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、
前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体に変更された場合に、
変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更ステップと、
前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更ステップと、
を実行し、
変更前の液体による前記被塗布物表面の隠蔽状態と、変更後の液体による前記被塗布物表面の隠蔽状態とが同等になるようにすることを特徴とする液体を吐出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置および液体を吐出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被印字材上にドット状の塗料を吐出する塗料吐出部と、塗料吐出部を複数個線状に配列した印字ヘッドと、被印字材を塗料吐出部の配列方向と交差する方向に沿って移動させる移動手段と、複数の塗料吐出部のそれぞれに塗料を供給する塗料供給手段と、移動手段による被印字材の移動距離と入力された印字情報に基づいて、塗料吐出部の吐出動作を制御する制御手段とを備え、印字ヘッドは、移動手段の移動方向と塗料吐出部の配列方向との交差角度が変更自在になるように回転自在に軸支され、制御手段は、印字ヘッドの回転角度に応じて塗料吐出部の吐出タイミングを制御する印字装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2013/024551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、使用する液体(インク、塗料等)を変更した場合に、変更前の液体と変更後の液体とで被塗布物に対する隠蔽性が異なってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッドと、前記ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備える液体を吐出する装置であって、前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体のうちの一の液体を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、前記制御手段は、前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体に変更された場合に、変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更手段と、前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液体の種類にかかわらず被塗布物に対する隠蔽性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す全体概略図。
図2】実施形態に係る液体を吐出する装置の他の例を示す全体概略図。
図3】ヘッドユニットの一例を示す全体斜視図。
図4】ヘッドの一例を示す内部構成図。
図5】制御装置のハードウエア構成の一例を示す説明図。
図6】実施形態に係る塗装システムの機能構成の一例を示す説明図。
図7】液滴間隔情報管理テーブルの一例を示す概念図。
図8】速度・周波数情報管理テーブルの一例を示す概念図。
図9】情報管理テーブルの他の例を示す概念図。
図10】情報管理テーブルの他の例を示す概念図。
図11】液体吐出動作の説明図。
図12】液体吐出動作の一例を示すタイミングチャート。
図13】塗料の特性例を示す説明図。
図14】隠蔽性を確保する方法の一例を示す説明図。
図15】塗料変更時の制御例を示すフローチャート。
図16】塗料変更時の別の制御例を示すフローチャート。
図17】実施形態に係る塗装システムの機能構成の他の例を示す説明図。
図18】塗料切替機構の一例を示す概略構成図。
図19】変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
<液体を吐出する装置の概略>
図1は、実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す全体概略図である。例示した液体を吐出する装置は、塗装装置を用いて、例えば自動車の車体である被塗布物を塗装する塗装システムである。
【0010】
図1において、塗装システムS1は、塗装装置2000と制御手段の一例である制御装置5000を備える。塗装装置2000は、一対のフレーム部材210a,210bと、フレーム部材210a,210bに対し矢印b方向へ往復移動可能に支持されたヘッド搬送デバイス220とを備える。
【0011】
ヘッド搬送デバイス220は、フレーム部材210aとフレーム部材210bとの間で矢印a方向に往復移動するヘッドユニット1000を備える。また、ヘッドユニット1000は、ヘッド搬送デバイス220に対し矢印c方向へ回動可能に設けられている。ヘッド搬送デバイス220はヘッド移動装置の一例である。
【0012】
塗装装置2000は、フレーム部材210a,210bとヘッド搬送デバイス220とが形成する空間内に置かれた被塗布物Wに対してヘッドユニット1000を矢印a方向および矢印b方向へ動かし、ヘッドユニット1000が有する後述のヘッドから被塗布物Wに向けて液体の一例である塗料を吐出し、被塗布物Wに塗料を塗布する。
【0013】
ヘッド搬送デバイス220の矢印b方向の移動およびヘッドユニット1000の矢印a方向の移動は、制御装置5000からの指示に基づいて行われる。これにより、ヘッドユニット1000は、被塗布物Wに対してXY方向への移動が可能となる。なお、ヘッドユニット1000の移動方向は一例であり、XY方向に限るものではない。例えば、ヘッドユニット1000をZ方向へ移動させる機構を追加し、ヘッドユニット1000をXYZ方向で移動可能な構成としてもよい。
【0014】
制御装置5000は、ヘッドユニット1000および塗装装置2000に電気的に接続されており、制御装置5000は、被塗布物Wの表面形状に応じてヘッドユニット1000が移動するように塗装装置2000に指示を送る。塗装装置2000は、制御装置5000からの指示に従いヘッドユニット1000を動かす。制御装置5000からの指示に従いヘッドユニット1000は移動し、この移動に伴うヘッドユニット1000の位置を示す位置情報は、塗装装置2000を通して制御装置5000に送信される。
【0015】
制御装置5000は、塗装装置2000からヘッドユニット1000の位置情報を受信し、その位置情報に基づき塗料の吐出開始および吐出終了を判断する。また、吐出開始時には、制御装置5000はヘッドユニット1000に対して吐出同期信号を送信する。ヘッドユニット1000は、制御装置5000から吐出同期信号を受信したならば駆動信号(駆動波形)を生成し、駆動信号に基づきヘッドから塗料を吐出させる。
【0016】
図2は、実施形態に係る液体を吐出する装置の他の例を示す全体概略図である。例示した液体を吐出する装置は、塗装ロボットを用いて、例えば自動車の車体である被塗布物を塗装する塗装システムである。
【0017】
図2において、塗装システムS2は、塗装ロボット3000と制御手段の一例である制御装置5000を備える。塗装ロボット3000は、例えば多関節ロボットであり、ロボットアームの先端にヘッドユニット1000が装着されている。塗装ロボット3000は、被塗布物Wに対してヘッドユニット1000を自由に動かし、ヘッドユニット1000が有する後述のヘッドを、被塗布物Wの塗装を施す位置へ正確に配置させることができる。
【0018】
塗装ロボット3000は、ベース部310、多関節アームデバイス330およびヘッドユニット1000を備える。ベース部310は、多関節アームデバイス330を支持する。多関節アームデバイス330は、第一アーム331、第二アーム332、第三アーム333、エンドエフェクタ334、第一関節部335、第二関節部336および第三関節部337を備える。多関節アームデバイス330は、ヘッド移動装置の一例である。
【0019】
第一アーム331は、一方の端部がベース部310に対して矢印r1の方向に回転(旋回)可能に支持され、もう一方の端部が第一関節部335を介して第二アーム332の一方の端部に接続されている。第二アーム332は、その一方の端部が第一関節部335を介して第一アーム331に接続され、矢印r2の方向に回動可能に設けられている。第二アーム332のもう一方の端部は、第二関節部336を介して第三アーム333の一方の端部に接続される。
【0020】
第三アーム333は、その一方の端部が第二関節部336を介して第二アーム332に接続され、矢印r3の方向に回動可能に設けられている。第三アーム333のもう一方の端部は、第三関節部337を介してエンドエフェクタ334の一方の端部に接続される。エンドエフェクタ334は、その一方の端部が第三関節部337を介して第三アーム333に接続され、矢印r4の方向に回動可能に設けられている。エンドエフェクタ334のもう一方の端部には、ヘッドユニット1000が装着されている。
【0021】
各アーム331,332,333およびエンドエフェクタ334の回動動作は、制御装置5000からの指示に基づいて各関節部335,336,337に設けられた駆動モータを制御することで行われる。これにより、ヘッドユニット1000は、被塗布物Wに対してXYZ方向への移動が可能となる。なお、第二アーム332,第三アーム333およびエンドエフェクタ334の回動方向は一例であり、上述の回動方向に限るものではない。例えば、各回動方向r2,r3,r4の回動軸と直交する軸を追加し、当該軸を回動軸として回動させるようにしてもよい。塗装位置に配置されたヘッドは、被塗布物Wに向けて液体の一例である塗料を吐出し、被塗布物Wに塗料を塗布する。
【0022】
制御装置5000は、ヘッドユニット1000および塗装ロボット3000に電気的に接続されており、制御装置5000は、被塗布物Wの表面形状に応じてヘッドユニット1000が移動するように塗装ロボット3000に指示を送る。塗装ロボット3000は、制御装置5000からの指示に従いヘッドユニット1000を動かす。制御装置5000からの指示に従いヘッドユニット1000は移動し、この移動に伴うヘッドユニット1000の位置を示す位置情報は、塗装ロボット3000を通して制御装置5000に送信される。
【0023】
制御装置5000は、塗装ロボット3000からヘッドユニット1000の位置情報を受信し、その位置情報に基づき塗料の吐出開始および吐出終了を判断する。また、吐出開始時には、制御装置5000はヘッドユニット1000に対して吐出同期信号を送信する。ヘッドユニット1000は、制御装置5000から吐出同期信号を受信したならば駆動信号(駆動波形)を生成し、駆動信号に基づきヘッドから塗料を吐出させる。
【0024】
<ヘッドユニット構成>
次に、図3を用いてヘッドユニットの概略構成を説明する。図3は、ヘッドユニットの一例を示した全体斜視図である。
【0025】
図3において、ヘッドユニット1000は液体噴射方式のヘッドである。ヘッドユニット1000は、ハウジング103に1つ以上(本例では3つ)のヘッド180を備え、ヘッド180には複数のノズル孔102が形成されたノズル板101が設けられている。ノズル板101は、ハウジング103の一つの面に露出するように設けられている。
【0026】
ノズル孔102は、後述の駆動モジュール100によって開閉可能に構成された微小開口であり、ノズル孔102が開放されるとノズル孔102から液体が吐出される。駆動モジュール100は、ハウジング103に内蔵されている。なお、ノズル孔102の数や配列は、図3に示された構成に限るものではない。また、ノズル孔102の配列は、複数列ではなく1列であってもよい。
【0027】
<ヘッド構成>
次に、図4を参照してヘッドの構成を説明する。図4は、ヘッドの一例を示す内部構成図である。
【0028】
図4に示すように、ヘッド180は、筐体181に複数(本例では8つ)の駆動モジュール100を備える。筐体181は、筐体181内に液体の一例である塗料Fを供給する供給口182と、供給口182と液入口113とをつなぐ供給路183と、液室114を挟んで液入口113の反対側に設けられた液出口115を有する。また、筐体181は、筐体181内の塗料Fを排出する排出口185と、液出口115と排出口185とをつなぐ排出路184を有する。
【0029】
筐体181の一端部に設けられたノズル板101には、複数のノズル孔102が一方向(図4では左右方向)に略等間隔で配列されるように設けられている。ノズル板101は、塗料Fを吐出するノズル孔102が形成された板状の部材である。各ノズル孔102の位置には、駆動モジュール100が設けられており、8つの駆動モジュール100の配列方向の一方側(図4では左側)から他方側(図4では右側)に塗料Fが流れるように、各駆動モジュール100の液室114は連通して設けられている。駆動モジュール100は、弁体および駆動体を備える。
【0030】
液室114は、概略としてノズル板101と、筐体181内に設けた封止部材135との間に形成される空間によって形成される。液室114内には、駆動モジュール100を構成する弁体の一例であるニードル131が設けられる。ニードル131は、ノズル板101が位置する側の先端部に、ノズル孔102と対向するように弁部材130が接合されている。弁部材130は、例えばゴム等の弾性体からなる。ニードル131の先端部に弁部材130を設けることによりノズル孔102に対する密着性がよくなり、ノズル孔102をより確実に閉鎖することができるようになる。なお、ニードル131の構成は上記に限るものではない。例えば、弁部材130を設けずに、ニードル131の先端部でノズル孔102を直接閉鎖する構成であってもよい。
【0031】
封止部材135は、例えばゴム等の弾性体からなる。本実施形態では、封止部材135としてゴム製のOリングが用いられ、筐体181の内面とニードル131の外周面との間の隙間を封止するように、ニードル131にOリングが嵌められている。これにより、封止部材135は液室114の塗料Fが圧電素子132側へ流入することを防止する。
【0032】
駆動モジュール100を構成する駆動体の一例である圧電素子132は、封止部材135を境に液室114の隣(図4では上方)に形成された空間内に設置される。圧電素子132は、後述の駆動制御部12からの駆動信号(駆動波形)に応じて、ノズル孔102を閉鎖する位置と、ノズル孔102を開放する位置との間でニードル131を移動させる。ノズル孔102を閉鎖する位置では、弁部材130がノズル板101に当接した状態となり、ノズル孔102を開放する位置では、弁部材130がノズル板101から離間した状態となる。なお、弁部材130を設けない構成の場合は、ノズル孔102を閉鎖する位置では、ニードル131がノズル板101に当接した状態となり、ノズル孔102を開放する位置では、ニードル131がノズル板101から離間した状態となる。
【0033】
圧電素子132は、ジルコニアセラミックス等を用いて形成されたピエゾ素子であり、圧電素子132の形状等は、ノズル孔102から吐出させる液滴の量などに応じて適宜設定される。
【0034】
上記の構成において、駆動制御部から圧電素子132に対して駆動信号が印加された場合、圧電素子132に閉鎖電圧が印加された状態では弁部材130はノズル板101に当接した位置にあり、弁部材130はノズル孔102を閉鎖する。このため、液室114内の塗料Fはノズル孔102から吐出されない。
【0035】
圧電素子132に開放電圧が印加された状態では、圧電素子132は収縮し、圧電素子132はニードル131を図において上方へ動かす。このニードル131の移動により、ニードル131に接合された弁部材130はノズル板101から離間する位置に移動し、弁部材130の先端部とノズル孔102との間に隙間が形成される。塗料Fは、所定の圧力が加えられた状態でヘッド180内に供給されているため、上記隙間の形成とともに液室114内の塗料Fはノズル孔102から液滴となって吐出される。
【0036】
このように弁部材130は、圧電素子132に駆動信号が印加された場合、ノズル板101に当接する位置と離間する位置との間で移動し、弁部材130はノズル孔102を開閉する。
【0037】
<制御装置のハードウエア構成>
続いて、図5を用いて、実施形態に係る塗装システムを構成する制御装置のハードウエア構成について説明する。なお、図5に示されている制御装置のハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加または削除されてもよい。
【0038】
図5は、制御装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。図1に示した塗装システムS1は、塗装装置2000の処理または動作を制御する制御装置5000を備える。また、図2に示した塗装システムS2は、塗装ロボット3000の処理または動作を制御する制御装置5000を備える。
【0039】
制御装置5000は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)507、ネットワークI/F508、キーボード509、ポインティングデバイス510、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ512、メディアI/F514、タイマ515およびバスライン516を備える。
【0040】
CPU501は、塗装装置2000または塗装ロボット3000の全体の制御を行う。CPU501は、ROM502またはHD(Hard Disk)504等に格納された、プログラムもしくはデータをRAM503上に読み出し、処理を実行することで、塗装装置2000または塗装ロボット3000の各機能を実現する演算装置である。
【0041】
ROM502は、電源を切ってもプログラムまたはデータを保持することができる不揮発性のメモリである。RAM503は、CPU501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し、または書き込みを制御する。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。なお、ディスプレイ506は、入力手段を備えたタッチパネルディスプレイであってもよい。外部機器接続I/F507は、制御装置5000に他の装置を接続するためのインターフェースである。
【0042】
また、ネットワークI/F508は、他の通信ネットワークを経由して、他の機器または装置との通信(接続)を行う通信インターフェースである。ネットワークI/F508は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。キーボード509は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス510は、各種指示の選択もしくは実行、処理対象の選択、またはカーソルの移動等を行う入力手段の一種である。なお、入力手段は、キーボード509およびポインティングデバイス510のみならず、タッチパネルまたは音声入力装置等であってもよい。DVD-RWドライブ512は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW511に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、着脱可能な記録媒体は、DVD-RWに限らず、DVD-RまたはBlu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等であってもよい。
【0043】
メディアI/F514は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、光学ディスクまたはフラッシュメモリ等の記録メディア513に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。タイマ515は、時間計測機能を有する計測装置である。タイマ515は、コンピュータによるソフトタイマであってもよい。バスライン516は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、および各種制御信号等を伝送する。CPU501、ROM502、RAM503、HDDコントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F507、ネットワークI/F508、キーボード509、ポインティングデバイス510、DVD-RWドライブ512、メディアI/F514、およびタイマ515は、バスライン516を介して相互に接続されている。
【0044】
<機能構成>
続いて、図6を用いて、実施形態に係る塗装システムの機能構成について説明する。図6は、実施形態に係る塗装システムの機能構成の一例を示す説明図である。なお、図6は、図1および図2に示されている装置のうち、後述の処理または動作に関連しているものを示す。
【0045】
[制御装置の機能構成]
まず、図6を用いて、ヘッド移動装置220(330)、ヘッドユニット1000および塗料タンク250(350)の処理または動作を制御する制御装置5000の機能構成について説明する。制御装置5000は、送受信部51、入力部52、判断部53、記憶・読出部54、同期制御部56および算出部57を有している。これら各部は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、RAM503上に展開された制御装置用プログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能、または機能する手段である。また、制御装置5000は、図5に示されているROM502、HD504または記録メディア513によって構築される記憶部55を有している。
【0046】
送受信部51は、外部機器接続I/F507に対するCPU501の処理、またはネットワークI/F508に対するCPU501の処理によって実現され、各I/Fまたは通信ネットワークを介して、他の装置または端末との間で各種データまたは情報の送受信を行う。
【0047】
入力部52は、キーボード509、ポインティングデバイス510等によって実現され、文字、数値、各種指示等の入力を行う。判断部53は、CPU501の処理によって実現され、各種判断を行う。記憶・読出部54は、主に、CPU501の処理によって実現され、記憶部55に、各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部55から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0048】
同期制御部56は、主に、CPU501の処理によって実現され、ヘッド移動装置220(330)から受信したヘッドユニット1000の現在位置、移動速度等の情報に応じて、吐出開始位置および吐出終了位置を判定する。そして、ヘッドユニット1000が吐出開始位置に配置されると、その時の移動速度に応じて吐出同期信号(図12(a))を生成する。さらに、同期制御部56は、吐出同期信号の周期よりも十分に小さい周期(例えば、吐出同期信号の1/10の周期)を有するとともに、吐出同期信号に同期している制御周期信号(図12(b))を生成する。同期制御部56は第二変更手段の一例である。
【0049】
算出部57は、主に、CPU501の処理によって実現され、記憶・読出部54が記憶部55から読み出した情報に基づいて、ヘッドユニット1000の角度(設定角)、移動速度、吐出同期信号の周波数等を算出する。
【0050】
[ヘッド移動装置の機能構成]
次に、図6を用いて、ヘッド移動装置220(330)の機能構成について説明する。ヘッド移動装置は、図1に示された塗装システムS1ではヘッド搬送デバイス220に相当し、図2に示された塗装システムS2では多関節アームデバイス330に相当する。以降、ヘッド搬送デバイス220を構成する部材には20番台の符号を付し、多関節アームデバイス330を構成する部材には30番台の符号を付して説明する。
【0051】
ヘッド移動装置220(330)は、送受信部21(31)、移動制御部22(32)、角度設定部23(33)および位置検知部24(34)を有している。
【0052】
送受信部21(31)は、制御装置5000の送受信部51と接続され、相互で各種データまたは情報の送受信を行う。
【0053】
移動制御部22(32)は、制御装置5000からの指示に基づき、ヘッドユニット1000を所定の移動速度で塗装経路に沿って移動させる。なお、塗装経路は、例えば、被塗布物Wに対するヘッドユニット1000の移動経路の情報を記憶部55に予め格納しておき、移動経路情報を記憶・読出部54で読み出すことによって設定される。移動制御部22(32)もまた第二変更手段の一例である。
【0054】
角度設定部23(33)は、制御装置5000の算出部57で算出されたヘッドユニット1000の角度情報に基づき、ヘッドユニット1000を回動させる。角度設定部23(33)は第一変更手段の一例である。
【0055】
位置検知部24(34)は、ヘッド移動装置220(330)内に適宜設置されたセンサ(例えばエンコーダ)の出力に基づき、ヘッドユニット1000の現在位置等の情報を生成し、生成した位置情報を制御装置5000の同期制御部56へ送信する。
【0056】
[ヘッドユニットの機能構成]
次に、図6を用いて、ヘッドユニット1000の機能構成について説明する。
【0057】
ヘッドユニット1000は、送受信部11、駆動制御部12および駆動波形生成部13を有している。
【0058】
送受信部11は、制御装置5000の送受信部51と接続され、相互で各種データまたは情報の送受信を行う。
【0059】
駆動制御部12は、駆動波形生成部13で生成された駆動信号(図12(c))に基づきヘッド180の圧電素子132を駆動する。
【0060】
駆動波形生成部13は、制御装置5000からの制御周期信号と吐出データとに基づき駆動信号(駆動波形)を生成する。
【0061】
[塗料タンクの機能構成]
次に、図6を用いて、塗料タンク250(350)の機能構成について説明する。
【0062】
塗料タンク250(350)は、送受信部25(35)および温度検知部26(36)を有している。
【0063】
送受信部25(35)は、制御装置5000の送受信部51と接続され、相互で各種データまたは情報の送受信を行う。
【0064】
温度検知部26(36)は、塗料タンク250(350)に収容された塗料の温度を検知する温度センサを備える。温度センサの出力は制御装置5000に送信され、算出部57での各値(ヘッドユニット1000の設定角、移動速度、吐出同期信号の周波数等)の算出に用いられる。
【0065】
<液滴間隔情報管理テーブル>
図7は、液滴間隔情報管理テーブルの一例を示す概念図である。制御装置5000の記憶部55には、図7に示されるような液滴間隔情報管理テーブルによって構成されるデータベースが構築されている。
【0066】
液滴間隔情報管理テーブルは、ヘッドユニット1000で使用される全ての塗料を識別する塗料コードに対して、温度別の液滴間隔を関連づけて管理している。例えば、図7の液滴間隔情報管理テーブルは、温度30°Cの状態の塗料コードAの塗料を使用する場合は、被塗布物Wの第一方向における液滴の間隔(液滴の中心間距離)が354μmになるようにヘッドユニット1000の角度を設定することを表している。このように、塗料毎の理想の液滴間隔をテーブルとして構築しておくことで、ヘッドユニット1000を的確な角度に設定することができる。
【0067】
なお、記憶部55に構築されるテーブルは上記に限るものではない。例えば、理想の液滴間隔の値ではなく、ヘッドユニット1000を回動させる角度をテーブルとして構築させておいてもよい。また、テーブルに構築する数値は、事前に測定した数値に限らず、ノズル孔102から吐出させた液滴を画像センサやカメラ等の測定手段で測定し、測定値に基づきリアルタイムに算出された数値を記憶部55に構築させるようにしてもよい。
【0068】
<速度・周波数情報管理テーブル>
図8は、速度・周波数情報管理テーブルの一例を示す概念図である。制御装置5000の記憶部55には、さらに図8に示されるような速度・周波数情報管理テーブルによって構成されるデータベースが構築されている。
【0069】
速度・周波数情報管理テーブルは、理想の液滴間隔(b)とヘッドユニット1000の移動速度と吐出同期信号の周波数とを関連づけて管理している。図8(a)に示された速度・周波数情報管理テーブルでは、例えば、図7の液滴間隔情報管理テーブルによって液滴間隔(b)が255μmに特定されると、ヘッドユニット1000の移動速度がVaに設定されることを表している。この場合、吐出同期信号の周波数はTで一定である。また、上記とは逆にヘッドユニット1000の移動速度を一定とし、吐出同期信号の周波数を変更するようにしてもよい。それを示したのが図8(b)である。
【0070】
図8(b)に示された速度・周波数情報管理テーブルでは、例えば、図7の液滴間隔情報管理テーブルによって液滴間隔(b)が255μmに特定されると、吐出同期信号の周波数がT1に設定されることを表している。この場合、ヘッドユニット1000の移動速度はVで一定である。上記のテーブルを構築しておくことで、後述の第二方向の液滴間隔を変更することが可能になる。
【0071】
なお、記憶部55に構築されるテーブルは上記に限るものではない。例えば、液滴間隔(b)とヘッドユニット1000の移動速度との関係は図9に示した管理テーブルのように、液滴の吐出量に応じて移動速度をより細分化して制御を行うようにしてもよい。なお、この場合の吐出同期信号の周波数は一定値(T)でもよいし、または移動速度毎に異なる値(T1,T2,T3,...)が設けられてもよい。
【0072】
また、液滴間隔(b)と吐出同期信号の周波数との関係は図10に示した管理テーブルのように、液滴の吐出量に応じて周波数をより細分化して制御を行うようにしてもよい。なお、この場合のヘッドユニットの移動速度は一定値(V)でもよいし、または周波数毎に異なる値(Va,Vb,Vc,...)が設けられてもよい。なお、図9および図10の管理テーブルを用いる場合、吐出量は、図6に示された制御装置5000の入力部52からユーザーが、使用する塗料の指定と併せて指定するようにしてもよい。
【0073】
<実施形態の処理または動作>
続いて、図11乃至図16を用いて、実施形態に係るヘッドユニットの処理または動作について説明する。まず、図11および図12を用いてヘッドユニット1000を構成するヘッド180の動作について説明する。図11は、液体吐出動作の説明図であり、図11(a)はノズル孔を閉鎖した状態、図11(b)はノズル孔を開放した状態を示している。図12は、液体吐出動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0074】
ヘッド180の筐体181内には、ニードル131と、ニードル131の一方の端部に接合された圧電素子132が設けられている。ニードル131と圧電素子132は、1つのノズル孔102に対して1組のニードル131と圧電素子132が備わるように設けられる。
【0075】
筐体181は、断面中空状の空間181aを有し、ノズル孔102の近傍には液入口113を備える。液入口113は、外部で加圧した状態で供給される塗料を液室114へ供給する。ニードル131は、空間181aに配置され、封止部材135等を介して軸方向へ移動可能に圧電素子132によって保持される。
【0076】
上記の構成において、図12(c)に示されるように、駆動信号がレベルH(High)のときは、圧電素子132はニードル131の先端部がノズル孔102を閉じる方向に伸長しており、液室114に供給された塗料はノズル孔102から吐出されない。駆動信号がレベルL(Low)になると圧電素子132の放電を行い、圧電素子132はニードル131の先端部がノズル孔102を開く方向(図11(b)の矢印p方向)に収縮する。この収縮に伴いニードル131も矢印p方向に移動してノズル孔102は開放状態となり、液室114とノズル孔102とが連通することで塗料がノズル孔102から液滴Dとなって吐出される。なお、図12に示された駆動信号は一例であり、駆動信号の波形の論理は反対でもよい。
【0077】
図12において、駆動信号(c)は、吐出同期信号(a)によって吐出タイミングが管理され、吐出同期信号(a)の周波数を上げることでノズル孔102からの液滴の吐出間隔を狭めることができる。ヘッドユニット1000が複数のノズル孔102を備えている場合は、ノズル孔102毎に個別に駆動信号(c)を形成することで、ノズル孔102からの塗料の吐出タイミングをノズル孔102毎に個別で調整することが可能になる。
【0078】
また、駆動信号(c)の幅(開閉の割合)を変えることで、ノズル孔102を開放しておく時間を変更することができるようになり、この時間を制御することで1回にノズル孔102から吐出させる塗料の量(吐出量)を調整することが可能になる。ただし、駆動信号(レベルH,L)の切り替えは、吐出同期信号の1周期の中で行う必要があるため、駆動信号による吐出量調整には限界がある。
【0079】
次に、図13を用いてヘッドユニット1000で使用される塗料について説明する。図13は、塗料の特性例を示す説明図である。ヘッドユニット1000は、使用する塗料を切り替え(入れ替え)て、1つのヘッドユニット1000で複数の塗料に対応することが可能である。例えば、複数の塗料は、図13に示されたような特性の異なる塗料A,B,Cでもよく、ヘッドユニット1000は、塗料A,B,Cから選ばれた1つの塗料をノズル孔102から吐出することが可能である。
【0080】
図13は、塗料A,B,Cを同一の駆動信号でノズル孔102から吐出させたときの吐出量を比較したものである。図13に示されるように、塗料A,B,Cは、同じ条件で吐出した場合であっても、それぞれの物性の違いから吐出量に差が生じる。例えば、塗料Aは、塗料B,Cよりも吐出量が常に大きい。また、塗料Bと塗料Cとの関係において、塗料Bは、温度20°C以下では塗料Cよりも吐出量が小さいが、温度20°Cよりも高温では塗料Cよりも吐出量が大きくなる。
【0081】
このような吐出量の差は、被塗布物において液滴の大きさ(ドット径)、あるいは塗膜の膜厚の違いとなって現れ、被塗布物の表面を塗料で塗り隠したい(隠蔽したい)場合などに問題となる。例えば、ドット径の違いは、隣接する液滴の間に不要な隙間を生じさせてしまい、不要な隙間から被塗布物の表面を露出させてしまう。また、膜厚の違いは、被塗布物に塗布された塗料の吐出量が少なかった場合に、下地が透けて見えてしまう。本発明は、上記のような液滴間の不要な隙間の発生による被塗布物の隠蔽性の低下や、吐出量不足による下地の透けによる被塗布物の隠蔽性の低下を低減するものである。隠蔽性を確保する方法の一例を以下に説明する。
【0082】
図14は、隠蔽性を確保する方法の一例を示す説明図であり、図14(a)は、ヘッド180のノズル孔102から図13に示された塗料Aを吐出させたときの被塗布物W上における液滴の様子を示す。図14(b)は、ノズル孔102から図13に示された塗料Bを吐出させたときの被塗布物W上における液滴の様子を示す。
【0083】
図14(a)に示された9つ(3×3)の液滴において、縦方向を第一方向とし、この第一方向と直交する横方向を第二方向とする。第一方向は、図1に示された塗装システムS1、および図2に示された塗装システムS2においては、概ねX方向であり、第二方向は概ねY方向である。
【0084】
ノズル孔102から塗料Aを吐出させた場合は、図14(a)に示されるように被塗布物W上に塗布した液滴は、隣り合う液滴と重なる部分を有しながら形成されており、被塗布物Wの表面は塗料(塗膜)によって隠される。これに対し、塗料Aと同じ条件でノズル孔102から塗料Bを吐出させた場合は、図14(b-1)に示されるように、被塗布物W上に塗布した液滴の周囲には不要な隙間が生じてしまい、塗料Aのような隠蔽性を確保することができなくなる。
【0085】
そこで、不要な隙間が生じてしまう場合は、図14(b-2)に示されるように複数のノズル孔102の中心を結ぶ線と、第二方向とが角度θをなす位置にヘッド180を回動させる。これにより、第一方向の液滴間隔を、間隔Naから、間隔Naよりも小さい値の間隔Nbに変更する。ここで、ヘッド180の回動は、ノズル孔102が被塗布物Wに向けて塗料を吐出する方向(図14において紙面に直交する方向)、つまり概ね図1および図2のZ方向と平行をなす軸を支点として行なわれる。なお、ヘッド180の回動は、ヘッド自体ではなく、ヘッド180を保持したヘッドユニット1000を回動させる構成としてもよい。
【0086】
角度θは、ノズル孔102の間隔をNa、隠蔽性を確保するための理想の液滴間隔をNbとした場合、次式(数1)で表すことができる。この液滴間隔Nbを示す情報を上述の液滴間隔情報管理テーブルに構築しておくことで、塗料が変更された場合にも第一方向の隠蔽性を確保できるようになる。
【0087】
【数1】
【0088】
さらに、ヘッド180の第二方向への移動速度を、塗料Aの場合よりも低速にすることで、図14(b-3)に示されるように第二方向の隠蔽性を確保することができるようになる。なお、第二方向の隠蔽性は、ヘッド180の移動速度の変更ではなく、吐出同期信号の周波数を塗料Aの場合よりも高い値に変更することによっても確保することができる。
【0089】
上述のように本実施形態は、被塗布物Wに複数の液滴を吐出する複数のノズル孔102が配列されたヘッド180と、ヘッド180の動作を制御する制御装置5000と、を備える塗装システムS1(S2)であって、ヘッド180は、種類の異なる二以上の塗料A,B,Cのうちの一の塗料(例えば塗料A)を複数のノズル孔102から吐出することが可能であり、制御装置5000は、一の塗料(例えば塗料A)が二以上の塗料のうちの別の塗料(例えば塗料B)に変更された場合に、変更後の塗料(例えば塗料B)の情報に基づき、被塗布物Wの第一方向における液滴の間隔を変更する角度設定部23(33)と、変更後の塗料(例えば塗料B)の情報に基づき、第一方向と直交する方向である第二方向における液滴の間隔を変更する移動制御部22(32)(または同期制御部56)と、を備える。
【0090】
また、上述のように、角度設定部23(33)は、ノズル孔102から被塗布物Wに向けて塗料が吐出される方向と平行な軸を支点にヘッド180の角度を変更する。
【0091】
また、上述のように、移動制御部22(32)は、第二方向へのヘッド180の移動速度を変更する。
【0092】
また、上述のように、同期制御部56は、ノズル孔102からの吐出同期信号の周波数を変更する。
【0093】
さらに、上述のように、制御装置5000は、種類の異なる二以上の塗料A,B,Cの情報を格納する記憶部55を備える。
【0094】
これらにより、使用する塗料を変更した場合も、変更前の塗料と変更後の塗料とで、被塗布物に対して同等の隠蔽性を確保することができる。
【0095】
次に、図15を用いて塗料変更時に実行される制御について説明する。図15は、塗料変更時の制御例を示すフローチャートである。
【0096】
図6に示された制御装置5000の入力部52よりユーザーが塗料を指定すると、入力部52は塗料が指定されたことを受け付ける。入力部52は、受け付けた塗料の情報を判断部53へ送信する。入力部52から塗料の情報を受信した判断部53は、使用中の塗料の情報と、入力部52から受信した塗料の情報とを比較し、塗料が変更されたか否かを判断する(ステップS1)。
【0097】
ステップS1において判断部53が、塗料変更あり(Yes)と判断した場合は、算出部57によって補正値の算出が行われる(ステップS2)。補正値の算出は、入力部52が受け付けた塗料に対応する塗料コードと、温度検知部26(36)から受信する温度情報とを検索キーとして、記憶・読出部54が、記憶部55の液滴間隔情報管理テーブルを参照し、理想の液滴間隔(b)の情報を読み出す。記憶・読出部54は、記憶部55から読み出した理想の液滴間隔(b)の情報を算出部57へ送信する。算出部57は、受信した液滴間隔(b)の情報を用いて上述の式からヘッド180(ヘッドユニット1000)の設定角θを算出する。
【0098】
次に、記憶部55から読み出した液滴間隔(b)の情報を検索キーとして、記憶・読出部54は、記憶部55に記憶されている速度・周波数情報管理テーブルを参照し、ヘッドユニットの移動速度を割り出す。
【0099】
上記のようにしてヘッド180(ヘッドユニット1000)の設定角θと移動速度が求まる。このうち設定角θの情報は、制御装置5000からヘッド移動装置220(330)の角度設定部23(33)に送信される。角度設定部23(33)は、受信した設定角θの情報に基づき、ヘッド180(ヘッドユニット1000)の角度を変更する(ステップS3)。ステップS3は第一変更ステップの一例である。
【0100】
また、移動速度の情報は、制御装置5000からヘッド移動装置220(330)の移動制御部22(32)に送信され、移動制御部22(32)によるヘッド180(ヘッドユニット1000)の移動速度の値が変更される(ステップS4)。ステップS4は第二変更ステップの一例である。設定角と移動速度の変更が完了したならば、ヘッド180(ヘッドユニット1000)は変更後の塗料による動作が開始されるまで待機する(ステップS5)。
【0101】
ステップS1において判断部53が、塗料変更なし(No)と判断した場合は、ステップS5へ進み、次の動作が開始されるまで待機する。なお、ステップS3とステップS4は、順序を入れ替えて実行してもよい。
【0102】
図16は、塗料変更時の別の制御例を示すフローチャートである。
【0103】
ステップS1については、図15に示されたフローチャートの場合と同様であるため、説明を省略する。ステップS1において判断部53が、塗料変更あり(Yes)と判断した場合は、算出部57によって補正値の算出が行われる(ステップS2´)。補正値の算出は、入力部52が受け付けた塗料に対応する塗料コードと、温度検知部26(36)から受信する温度情報とを検索キーとして、記憶・読出部54が、記憶部55の液滴間隔情報管理テーブルを参照し、理想の液滴間隔(b)の情報を読み出す。記憶・読出部54は、記憶部55から読み出した理想の液滴間隔(b)の情報を算出部57へ送信する。算出部57は、受信した液滴間隔(b)の情報を用いて上記の式(数1)からヘッド180(ヘッドユニット1000)の設定角θを算出する。
【0104】
次に、記憶部55から読み出した液滴間隔(b)の情報を検索キーとして、記憶・読出部54は、記憶部55に記憶されている速度・周波数情報管理テーブルを参照し、吐出同期信号の周波数を割り出す。
【0105】
上記のようにしてヘッド180(ヘッドユニット1000)の設定角θと吐出同期信号の周波数が求まる。このうち設定角θの情報は、図15に示されたフローチャートの場合と同様、制御装置5000からヘッド移動装置220(330)の角度設定部23(33)に送信される。角度設定部23(33)は、受信した設定角θの情報に基づき、ヘッド180(ヘッドユニット1000)の角度を変更する(ステップS3)。ステップS3は第一変更ステップの一例である。
【0106】
また、吐出同期信号の周波数の情報は、制御装置5000の同期制御部56に送信されるとともに、制御装置5000からヘッドユニット1000の駆動制御部12に送信され、駆動制御部12では駆動波形の周波数が変更される(ステップS4´)。ステップS4´もまた第二変更ステップの一例である。設定角と吐出同期信号の周波数の変更が完了したならば、ヘッド180(ヘッドユニット1000)は変更後の塗料による動作が開始されるまで待機する(ステップS5)。
【0107】
ステップS1において判断部53が、塗料変更なし(No)と判断した場合は、ステップS5へ進み、次の動作が開始されるまで待機する。なお、本例においてもステップS3とステップS4´は、順序を入れ替えて実行してもよい。
【0108】
上述のように、本実施形態は、被塗布物Wに複数の液滴を吐出する複数のノズル孔102が配列されたヘッド180を有した装置における塗料を吐出する方法であって、ヘッド180は、種類の異なる二以上の塗料A,B,Cのうちの一の液体(例えば塗料A)を複数のノズル孔102から吐出することが可能であり、一の塗料(例えば塗料A)が二以上の塗料のうちの別の液体(例えば塗料B)に変更された場合に、変更後の塗料(例えば塗料B)の情報に基づき、被塗布物Wの第一方向における液滴の間隔を変更する第一変更ステップS3と、変更後の塗料(例えば塗料B)の情報に基づき、第一方向と直交する方向である第二方向における液滴の間隔を変更する第二変更ステップS4,S4´と、を実行し、変更前の塗料による被塗布物表面の隠蔽状態と、変更後の塗料による被塗布物表面の隠蔽状態とが同等になるようにする。
【0109】
図17は、実施形態に係る塗装システムの機能構成の他の例を示す説明図である。図17に示された機能構成は、図6に示された機能構成に対してさらに塗料切替機構4000が追加された点が異なっている。それ以外の構成は図6と同じであるため、同一符号を付し、説明は省略する。塗料切替機構4000は液体変更手段の一例である。
【0110】
塗料切替機構4000は、送受信部41および塗料変更制御部42を有している。
【0111】
送受信部41は、制御装置5000の送受信部51と接続され、相互で各種データまたは情報の送受信を行う。
【0112】
塗料変更制御部42は、制御装置5000の入力部52が受け付けた塗料の情報に基づき判断部53が塗料変更と判断した場合は、後述の切替弁やバルブ等を動作させてヘッドユニット1000へ供給する塗料を変更する。
【0113】
図18を用いて、塗料切替機構4000の構成例について説明する。図18は、塗料切替機構の一例を示す概略構成図である。
【0114】
塗料切替機構4000は、複数の塗料タンク250A,250B,250C(350A,350B,350C)および洗浄液タンク250X(350X)を切り替える切替弁44を備える。また、塗料切替機構4000は、各タンクと切替弁44とをつなぐ供給路上に、供給路を開閉するバルブ43a,43b,43c,43xを備える。切替弁44とヘッドユニット1000とは、各タンク共通で用いられる供給路によって接続されている。また、塗料切替機構4000は、ヘッドユニット1000に対し供給方向下流側に、排出路を開閉するバルブ45を備えている。
【0115】
上記の構成において、ヘッドユニット1000で使用する塗料を塗料タンク250Aの塗料(塗料Aという)から塗料タンク250Bの塗料(塗料Bという)に変更する場合を例に説明する。この場合は、まず図17の塗料変更制御部42によってバルブ43aが閉じられ、ヘッドユニット1000への塗料Aの供給が停止する。次に、塗料変更制御部42は、塗料タンク250Aの供給路に位置合わせされていた切替弁44を駆動し、切替弁44を洗浄液タンク250Xの供給路に位置合わせする。次に、塗料変更制御部42によってバルブ43xが開かれ、ヘッドユニット1000への洗浄液の供給が開始され、ヘッドユニット1000の内部を洗浄する。洗浄時は、バルブ45は開かれており、塗料Aを含んだ洗浄液は排出路から外部に排出される。なお、バルブ45の開閉も塗料変更制御部42によって行われる。
【0116】
洗浄が終了したならば、バルブ43xが閉じられ、ヘッドユニット1000への洗浄液の供給が停止する。次に、塗料変更制御部42は、洗浄液タンク250Xの供給路に位置合わせされていた切替弁44を駆動し、切替弁44を塗料タンク250Bの供給路に位置合わせする。次に、塗料変更制御部42によってバルブ43bが開かれ、ヘッドユニット1000への塗料Bの供給が開始される。この時はバルブ45は閉じられており、ヘッドユニット1000は、ノズル孔から被塗布物に向けて塗料Bの吐出が可能な状態となる。
【0117】
上述のように、本実施形態は、一の塗料(例えば塗料A)から別の塗料(例えば塗料B)に変更する塗料切替機構4000を備える。これにより、塗料の切り替えを自動で行うことができる。
【0118】
<変形例>
図19は、変形例を示す説明図である。上述の実施形態では予め記憶部55に記憶させた各種テーブルの情報を用いてヘッドユニットの設定角、移動速度等を変更したが、情報は予め記憶させた情報のみに限るものではない。
【0119】
例えば、図19(a)に示されるように、ヘッドユニット1000は測定手段の一例である画像センサ340を備えている。この画像センサ340により、被塗布物Wに塗布した液滴の幅xを測定し、測定値からヘッドユニット1000の設定角、移動速度等の制御値を算出するようにしてもよい。また、画像センサ340は、図19(a)に示される構成の他、図19(b)のように画像センサ340を専用のロボット3000´に搭載させる構成としてもよい。
【0120】
上述のように、本実施形態は、被塗布物Wに塗布された液滴を測定する画像センサ340を備え、画像センサ340の測定値を、変更後の塗料の情報として用いる。これにより、リアルタイムに算出される値を用いて、より精度のよい塗装を行うことが可能になる。
【0121】
<補足>
本発明において、液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどが挙げられる。
【0122】
これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0123】
上記で説明した各実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、処理回路とは、電子回路により実装されるCPUのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。例えば、制御装置5000の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。一の回路において、複数の制御部が構成されてもよい。
【0124】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0125】
[第1態様]
第1態様は、被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッド(例えばヘッド180)と、前記ヘッドの動作を制御する制御手段(例えば制御装置5000)と、を備える液体を吐出する装置(例えば塗装システムS1,S2)であって、前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体(例えば塗料A,B,C)のうちの一の液体(例えば塗料A)を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、前記制御手段は、前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体(例えば塗料B)に変更された場合に、変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更手段(例えば角度設定部23,33)と、前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更手段(例えば移動制御部22,32、同期制御部56)と、を備えることを特徴とするものである。
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記第一変更手段(例えば角度設定部23,33)は、前記ノズル孔から前記被塗布物に向けて液体が吐出される方向と平行な軸を支点に前記ヘッド(例えばヘッド180)の角度を変更することを特徴とするものである。
[第3態様]
第3態様は、第1または第2態様において、前記第二変更手段(例えば移動制御部22,32)は、前記第二方向への前記ヘッド(例えばヘッド180)の移動速度を変更することを特徴とするものである。
[第4態様]
第4態様は、第1または第2態様において、前記第二変更手段(例えば同期制御部56)は、前記ノズル孔からの吐出同期信号の周波数を変更することを特徴とするものである。
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記制御手段(例えば制御装置5000)は、前記種類の異なる二以上の液体の情報を格納する記憶部(例えば記憶部55)を備えることを特徴とするものである。
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記一の液体(例えば塗料A)から前記別の液体(例えば塗料B)に変更する液体変更手段(塗料切替機構4000)を備えることを特徴とするものである。
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記被塗布物に塗布された液滴を測定する測定手段(例えば画像センサ340)を備え、前記測定手段の測定値を、前記変更後の液体の情報として用いることを特徴とするものである。
[第8態様]
第8態様は、被塗布物に複数の液滴を吐出する複数のノズル孔が配列されたヘッド(例えばヘッド180)を有した装置(例えば塗装システムS1,S2)における液体を吐出する方法であって、前記ヘッドは、種類の異なる二以上の液体(例えば塗料A,B,C)のうちの一の液体(例えば塗料A)を前記複数のノズル孔から吐出することが可能であり、前記一の液体が前記二以上の液体のうちの別の液体(例えば塗料B)に変更された場合に、変更後の液体の情報に基づき、前記被塗布物の第一方向における前記液滴の間隔を変更する第一変更ステップ(例えば図15および図16のステップS3)と、前記変更後の液体の情報に基づき、前記第一方向と直交する方向である第二方向における前記液滴の間隔を変更する第二変更ステップ(例えば図15のステップS4、図16のステップS4´)と、を実行し、変更前の液体による前記被塗布物表面の隠蔽状態と、変更後の液体による前記被塗布物表面の隠蔽状態とが同等になるようにすることを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0126】
S1 塗装システム
S2 塗装システム
1000 ヘッドユニット
100 駆動モジュール
101 ノズル板
102 ノズル孔
180 ヘッド
2000 塗装装置
3000 塗装ロボット
5000 制御装置
W 被塗布物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図16
図17
図18
図19