(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066174
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】麺類または麺皮類用品質改良剤、麺類または麺皮類の品質改良方法、および麺類または麺皮類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20240508BHJP
A23L 7/104 20160101ALI20240508BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/109 D
A23L7/104
A23L7/109 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175553
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000103840
【氏名又は名称】オリエンタル酵母工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 渚
(72)【発明者】
【氏名】荒井 努
【テーマコード(参考)】
4B023
4B046
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE26
4B023LG06
4B046LA02
4B046LA05
4B046LA09
4B046LB04
4B046LB05
4B046LC01
4B046LE11
4B046LG02
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4B046LP03
4B046LP14
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4B046LP33
4B046LP38
4B046LP41
4B046LP51
(57)【要約】
【課題】粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類および麺皮類に付与することができる麺類または麺皮類用品質改良剤、並びにそれを用いた麺類または麺皮類の品質改良方法、および麺類または麺皮類の製造方法を提供する。
【解決手段】β-アミラーゼと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、死滅酵母粉末とを含有する麺類または麺皮類用品質改良剤、並びに前記麺類または麺皮類用品質改良剤を用いる麺類または麺皮類の製造方法、および麺類または麺皮類の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-アミラーゼと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、死滅酵母粉末とを含有することを特徴とする麺類または麺皮類用品質改良剤。
【請求項2】
麺類または麺皮類の製造に用いる小麦粉を主体とする穀粉類に対して、β-アミラーゼ8~90ppm、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ25~400ppm、および死滅酵母粉末0.03~0.4質量%で用いられる請求項1に記載の品質改良剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の麺類または麺皮類用品質改良剤を用いることを特徴とする麺類または麺皮類の品質改良方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の麺類または麺皮類用品質改良剤を用いることを特徴とする麺類または麺皮類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類または麺皮類用品質改良剤、並びにそれを用いた麺類または麺皮類の品質改良方法、および麺類または麺皮類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類および麺皮類は、小麦粉や米粉等の穀粉類や澱粉類から調製された食品である。麺類は水とともに加熱調理された後、スープとともに通常摂取される。麺皮類は、畜肉類、魚介類、野菜類、ソース類等を組み合わせた餡を麺皮類で包んで成形した包餡食品の形で食され、包餡食品を焼く、煮る、蒸す等の加熱調理に供して、これをそのままで、または調味液とともに喫食する。
【0003】
近年、麺類および麺皮類の嗜好性を高めるため、種々の品質改良方法が検討されている。
【0004】
例えば、保存中にほぐれ性や食感が劣化するなどの品質低下が抑制された穀類加工食品の製造方法で用いられるほぐれ改良剤として、G4生成アミラーゼを有効成分として含有する穀類加工食品のほぐれ改良剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
茹で上げた麺類が硬化することにより特有の食感を喪失させることなく、その品質を長期間保持し得る麺類の老化防止方法として、麺類にデンプン分解酵素を添加する工程;および該デンプン分解酵素の反応を停止させる工程;を包含する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
麺質の改良された麺類を調製することのできる麺質改良剤として、増粘剤および脱苦味処理された酵母を含んでなる麺質改良剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、従来の技術では近年の要望に十分に応えられる食感を提供することができず、さらなる技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-170982号公報
【特許文献2】特開2002-253151号公報
【特許文献3】特開2014-121315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類および麺皮類に付与することができる麺類または麺皮類用品質改良剤、並びにそれを用いた麺類または麺皮類の品質改良方法、および麺類または麺皮類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、β-アミラーゼ、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ、および死滅酵母粉末の3成分を有効成分として用いることで、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食べ応えのある食感の麺類および麺皮類が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> β-アミラーゼと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、死滅酵母粉末とを含有することを特徴とする麺類または麺皮類用品質改良剤である。
<2> 麺類または麺皮類の製造に用いる小麦粉を主体とする穀粉類に対して、β-アミラーゼ8~90ppm、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ25~400ppm、および死滅酵母粉末0.03~0.4質量%で用いられる前記<1>に記載の品質改良剤である。
<3> 前記<1>または<2>に記載の麺類または麺皮類用品質改良剤を用いることを特徴とする麺類または麺皮類の品質改良方法である。
<4> 前記<1>または<2>に記載の麺類または麺皮類用品質改良剤を用いることを特徴とする麺類または麺皮類の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類および麺皮類に付与することができる麺類または麺皮類用品質改良剤、並びにそれを用いた麺類または麺皮類の品質改良方法、および麺類または麺皮類の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(麺類または麺皮類用品質改良剤)
本発明の麺類または麺皮類用品質改良剤(以下、「品質改良剤」と称することがある)は、β-アミラーゼと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、死滅酵母粉末とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0014】
本発明においては、食品や食品添加物としての使用実績があり、食経験が豊富な、β-アミラーゼ、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ、および死滅酵母粉末の3成分を麺類または麺皮類用品質改良剤の有効成分として使用する。
【0015】
<麺類、麺皮類>
本発明における麺類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、中華麺、うどん、パスタなどが挙げられる。これらの中でも、中華麺、うどんが好ましい。
【0016】
本発明における麺皮類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、餃子の皮、焼売の皮、小龍包の皮、ワンタンの皮、ラビオリ等のフィリング入りパスタの皮などが挙げられる。
【0017】
麺類または麺皮類の状態としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、生、半乾燥、乾燥、茹でなどが挙げられる。前記麺類または麺皮類は、冷蔵品、チルド品、冷凍品、または常温品とすることができる。
【0018】
<β-アミラーゼ>
β-アミラーゼとしては、食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記β-アミラーゼは市販されており、市販品を適宜使用することができる。
【0019】
前記β-アミラーゼの前記品質改良剤における含有量としては、特に制限はなく、前記品質改良剤の他の成分の含有量、麺類または麺皮類の製造に用いる小麦粉を主体とする穀粉類(以下、「小麦粉を主体とする穀粉原料」と称することがある。)に対する前記品質改良剤の添加量(以下、「配合量」と称することもある。)などに応じて適宜選択することができる。
【0020】
<エキソマルトテトラオヒドロラーゼ>
エキソマルトテトラオヒドロラーゼは、G4アミラーゼ、G4生成アミラーゼとも呼ばれ、澱粉の非還元末端からマルトテトラオース単位でオリゴ糖を切り出すエキソ型のアミラーゼである。
【0021】
前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼとしては、食品用途に使用できるもの(グレード)であれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼ市販されており、市販品を適宜使用することができる。
【0022】
前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼの前記品質改良剤における含有量としては、特に制限はなく、前記品質改良剤の他の成分の含有量、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する前記品質改良剤の添加量などに応じて適宜選択することができる。
【0023】
<死滅酵母粉末>
本発明における死滅酵母粉末は、酵母を死滅処理して製造される死滅酵母の乾燥粉末である。
前記死滅酵母粉末としては、食品に使用し得る酵母から製造される死滅酵母粉末であれば、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記食品に使用し得る酵母としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、味噌醤油酵母などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パン酵母、ビール酵母が好ましく、パン酵母がより好ましい。
前記死滅酵母粉末は、前記酵母を死滅処理して製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0024】
前記死滅酵母粉末の前記品質改良剤における含有量としては、特に制限はなく、前記品質改良剤の他の成分の含有量、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する前記品質改良剤の添加量などに応じて適宜選択することができる。
【0025】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、賦形剤・分散剤、色素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を適宜使用することができる。
前記その他の成分の前記品質改良剤における含有量としては、特に制限はなく、前記品質改良剤の他の成分の含有量、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する前記品質改良剤の添加量などに応じて適宜選択することができる。
【0026】
-賦形剤・分散剤-
賦形剤・分散剤としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、澱粉、穀粉類、糖類、デキストリン、セルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記賦形剤・分散剤は、市販品を使用することができる。
前記賦形剤・分散剤の前記品質改良剤における含有量としては、特に制限はなく、前記品質改良剤の他の成分の含有量、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する前記品質改良剤の添加量などに応じて適宜選択することができる。
【0027】
前記品質改良剤は、生地の調製の前に予め小麦粉を主体とする穀粉原料に添加しておいてもよく、あるいは生地の調製の際に、小麦粉を主体とする穀粉原料に添加してもよい。
【0028】
<態様>
前記品質改良剤は、前記β-アミラーゼと、前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、前記死滅酵母粉末と、必要に応じて前記その他の成分とを同一の包材に含む態様であってもよいし、前記各成分を別々の包材に入れ、使用時に混合する態様であってもよい。
【0029】
<添加量>
前記品質改良剤の小麦粉を主体とする穀粉原料に対する添加量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
なお、本発明において、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する添加量は、ベーカーズパーセントで表したものである。
【0030】
-β-アミラーゼ-
前記β-アミラーゼの配合量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する濃度として、8~90ppmが好ましく、30~70ppmがより好ましい。前記配合量が、8ppm未満であると、粘りやソフト性が得られない可能性があり、90ppmを超えるとソフトな食感になりすぎる可能性がある。
【0031】
-エキソマルトテトラオヒドロラーゼ-
前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼの配合量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する濃度として、25~400ppmが好ましく、50~200ppmがより好ましい。前記配合量が、25ppm未満であると、粘りと弾力が得られない可能性があり、400ppmを超えると過度な粘りが出る可能性がある。
【0032】
-死滅酵母粉末-
前記死滅酵母粉末の配合量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する濃度として、0.03~0.4質量%が好ましく、0.05~0.2質量%がより好ましい。前記配合量が、0.03質量%未満であると、弾力が不十分な可能性があり、0.4質量%を超えると弾力が強くなりすぎる可能性がある。
【0033】
前記β-アミラーゼと、前記エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、前記死滅酵母粉末との配合比としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
【0034】
本発明の品質改良剤によれば、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類および麺皮類に付与することができる。
【0035】
(麺類または麺皮類の製造方法)
本発明の麺類または麺皮類の製造方法は、本発明の品質改良剤を使用する限り、特に制限はなく、常法を適宜選択することができる。
【0036】
例えば、小麦粉を主体とする穀粉原料に、本発明の品質改良剤、水、および必要に応じてその他の副原料を加えた後にミキシングして生地を得る。前記ミキシングは、常法に従って、常圧下又は減圧下で行うことができる。得られた生地を、ロール等の通常の手段により圧延し、または必要に応じて複合と圧延を繰り返して、麺帯を得る。その後、該麺帯を切出し等の通常の成形手段により成形して、生の麺類または麺皮類を得ることができる。あるいは、生地を押出機等により押出して生麺類を得ることができる。これらの工程は、当該分野の通常の技術に従って、または通常用いられる製麺装置を用いて行うことができる。
得られた麺類および麺皮類は、生麺または生麺皮の状態で、あるいは乾燥処理して半乾燥麺若しくは半乾燥麺皮、または乾燥麺若しくは乾燥麺皮として流通又は販売することができる。また、生麺または生麺皮に茹で処理又は蒸し処理を施した後、冷蔵若しくはチルド状態の茹で麺若しくは茹で麺皮として、または冷凍麺若しくは冷凍麺皮の形態で流通又は販売することもできる。更に、茹で処理または蒸し処理を施した後に殺菌処理などの所定の処理を施し、常温品として流通又は販売してもよい。
【0037】
<小麦粉を主体とする穀粉原料>
本発明において、小麦粉を主体とする穀粉原料は、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、デュラム小麦粉)を主体とし、必要に応じて更に米粉、ソバ粉、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、各種澱粉を添加してもよい。前記小麦粉を主体とする穀粉原料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記澱粉としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉などが挙げられ、それらの加工澱粉を用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記加工澱粉としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、熱処理澱粉、α化澱粉、酸処理澱粉、架橋澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉などが挙げられる。また、複数の加工処理を施された澱粉、例えば、エーテル化架橋澱粉やエステル化架橋澱粉であってもよい。
【0039】
<副原料>
前記副原料としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、食塩;キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸エステル、寒天、ゼラチン、ペクチンなどの増粘剤;かんすい;油脂類;エチルアルコールなどが挙げられる。
前記副原料の配合量としては、特に制限はなく、使用目的などに応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記品質改良剤および品質改良剤における各成分の添加量(以下、「配合量」、「使用量」と称することもある。)は、上記した本発明の品質改良剤の<添加量>の項目に記載したものと同様である。
【0041】
前記麺類または麺皮類としては、上記した本発明の品質改良剤の<麺類、麺皮類>の項目に記載したものと同様である。
【0042】
本発明の麺類または麺皮類の製造方法によれば、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を有する麺類または麺皮類を製造することができる。
【0043】
(麺類または麺皮類の品質改良方法)
本発明の麺類または麺皮類の品質改良方法は、麺類または麺皮類の製造の際に本発明の品質改良剤を使用する。
【0044】
前記麺類または麺皮類の製造方法は、上記した本発明の麺類または麺皮類の製造方法と同様である。
また、前記麺類の品質改良方法における前記品質改良剤および品質改良剤における各成分の添加量は、上記した本発明の品質改良剤の<添加量>の項目に記載したものと同様である。
【0045】
前記麺類または麺皮類としては、上記した本発明の品質改良剤の<麺類、麺皮類>の項目に記載したものと同様である。
【0046】
本発明の麺類または麺皮類の品質改良方法によれば、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類または麺皮類に付与することができる。
【実施例0047】
以下、試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(試験例1:中華麺の製造及び評価)
下記の配合に下記表1に記載の成分を加えた原料を用い、下記工程で中華麺を製造した。
<配合>
・ 小麦粉 ・・・ 100質量部
・ 粉末かんすい ・・・ 1質量部
・ 食塩 ・・・ 1質量部
・ アルコール ・・・ 2質量部
・ 水 ・・・ 32質量部
<工程>
・ ミキシング ・・・ 15分間(高速6分間低速9分間)
・ 真空引き ・・・ なし
・ 複合回数 ・・・ 1回
・ 熟成時間 ・・・ 60分間
・ 麺の厚み、切刃 ・・・ 1.6mm、#18角
・ 蒸し ・・・ 麺700gを下記のように処理した。
蒸し(98℃で3分間)→中間シャワー(40℃で1分間)→蒸し(98℃で3分間)→冷却(60秒間)
【0049】
<評価>
上記で製造した中華麺(ストレート麺)を一晩冷蔵保管した後、下記のようにして炒め調理をした。これを喫食し、麺の食感について下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。なお、評価は、10名の評価者により行い、最も多かった評価の点数を表1に示した。
-炒め調理-
油5gをフライパンに入れ加熱し、1分間後に麺を投入した。麺を投入した2分間後にソースを投入し、さらに2分間炒めて調理を終了した。
【0050】
-麺の食感の評価基準-
5点 : 粘りと弾力のバランスが極めて良く、非常に良好な食感である。
4点 : 粘りと弾力のバランスが良く、良好な食感である。
3点 : 粘りと弾力のバランスがやや悪く、やや不良な食感である。
2点 : 粘りと弾力のバランスが悪く、不良な食感である。
1点 : 柔らかすぎる又は硬すぎる不良な食感である。
【0051】
【表1】
表1中の各成分の量は、小麦粉を主体とする穀粉原料に対する量を表す(後述する表2~7も同様)。
【0052】
(試験例2:中華麺の製造及び評価)
下記の表2に記載の成分を加えた原料を用いた以外は、試験例1と同様にして中華麺を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0053】
【0054】
(試験例3:中華麺の製造及び評価)
下記の表3~5に記載の成分を加えた原料を用いた以外は、試験例1と同様にして中華麺を製造し、評価した。結果を表3~5に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
(試験例4:うどんの製造及び評価)
下記の配合に下記表6に記載の成分を加えた原料を用い、下記工程でうどんを製造した。
<配合>
・ 小麦粉 ・・・ 80質量部
・ 加工澱粉 ・・・ 20質量部
・ 食塩 ・・・ 4質量部
・ アルコール ・・・ 2質量部
・ 水 ・・・ 40質量部
<工程>
・ ミキシング ・・・ 15分間(高速6分間低速9分間)
・ 真空引き ・・・ あり
・ 複合回数 ・・・ 3回
・ 熟成時間 ・・・ 60分間
・ 麺の厚み、切刃 ・・・ 2.7mm、#10角
【0059】
<評価>
上記で製造したうどん(生麺)を一晩冷蔵保管した。これを4分間茹でたものを喫食し、麺の食感および麺の外観について下記の評価基準で評価した。なお、評価は、10名の評価者により行い、最も多かった評価の点数を表6に示した。
【0060】
-麺の食感の評価基準-
5点 : 粘りと弾力のバランスが極めて良く、非常に良好な食感である。
4点 : 粘りと弾力のバランスが良く、良好な食感である。
3点 : 粘りと弾力のバランスがやや悪く、やや不良な食感である。
2点 : 粘りと弾力のバランスが悪く、不良な食感である。
1点 : 柔らかすぎる又は硬すぎる不良な食感である。
【0061】
-麺の外観の評価基準-
5点 : なめらかなつやが全体にある極めて良好な外観である。
4点 : つやがある良好な外観である。
3点 : ややつやがある外観である。
2点 : 表面がやや荒れていてやや不良な外観である。
1点 : 表面がざらざらしているか、又は表面が溶けだしている不良な外観である。
【0062】
【0063】
(試験例5:餃子の皮の製造及び評価)
下記の配合に下記表7に記載の成分を加えた原料を用い、下記工程で餃子の皮を製造した。
<配合>
・ 小麦粉 ・・・ 100質量部
・ 食塩 ・・・ 1質量部
・ 水 ・・・ 38質量部
<工程>
・ ミキシング ・・・ 15分間(高速6分間低速9分間)
・ 真空引き ・・・ なし
・ 複合回数 ・・・ 1回
・ 熟成時間 ・・・ 60分間
・ 皮の厚み ・・・ 10mm
・ 皮の直径 ・・・ 8cm
【0064】
<評価>
上記で製造した餃子の皮を生の状態で一晩冷蔵保管した。これを用いて、常法により餃子を作製し、加熱後に喫食し、皮の食感について下記の評価基準で評価した。なお、評価は、10名の評価者により行い、最も多かった評価の点数を表7に示した。
【0065】
-皮の食感の評価基準-
5点 : 粘りと弾力のバランスが極めて良く、非常に良好な食感である。
4点 : 粘りと弾力のバランスが良く、良好な食感である。
3点 : 粘りと弾力のバランスがやや悪く、やや不良な食感である。
2点 : 粘りと弾力のバランスが悪く、不良な食感である。
1点 : 柔らかすぎる又は硬すぎる不良な食感である。
【0066】
【0067】
上記試験例の結果から、本発明によれば、粘りと弾力のバランスが良く、もちもちとした食感を麺類および麺皮類に付与することができることが確認された。
【0068】
上記試験例で使用した各成分の詳細は、以下のとおりである。なお、下記の製品は、各成分の一例である。
・ β-アミラーゼ : ビオザイムMD(天野エンザイム株式会社製)
・ エキソマルトテトラオヒドロラーゼ : POWERFresh Special 8100 GF(DuPont Nutrition Biosciences ApS.社製)
・ 死滅酵母粉末 : イーストパウダーHA(オリエンタル酵母工業株式会社製)