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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066449
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145702
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2022174139
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 史朗
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730CC01
5H730EE59
5H730FD31
5H730FG05
5H730FG07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】直流電源に接続される負荷を無負荷とすることなく、負荷に印加される電圧に基づく電力を効率的に最大化できる制御装置、制御方法及びシステムを提供する。
【解決手段】システムにおいて、制御装置は、負荷装置を第1負荷量に設定した場合に印加される入力電圧の大きさを示す第1入力電圧値Vinを分母とし、負荷装置を第1負荷量に予め定められた第1係数を乗じた第2負荷量に設定した場合に負荷装置に印加される入力電圧の大きさに基づく第2入力電圧値を分子とする電圧比と、前記第1係数に応じた判定値とを比較して、比較結果に基づいて、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きいまたは小さい新たな第1負荷量に設定する負荷量設定処理を予め定められた条件を満たすまで実行する設定部を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から出力される電力の供給を受ける負荷装置の負荷量を制御する制御装置であって、
前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第1入力電圧値を分母とし、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量に予め定められた第1係数を乗じた第2負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第2入力電圧値を分子とする電圧比と、前記第1係数に応じた判定値とを比較して、比較結果に基づいて、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きいまたは小さい新たな第1負荷量に設定する負荷量設定処理を予め定められた条件を満たすまで実行する設定部を備える、制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記負荷量設定処理を予め定められた回数繰り返した場合、前記予め定められた条件が満たされたと判断して、前記負荷量設定処理を終了する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定し、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定し、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記第1入力電圧値に予め定められた第2係数を乗じた第1値と、前記第2入力電圧値に予め定められた第3係数を乗じた第2値を比較し、前記判定値は、前記第2係数と前記第3係数との比である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1値は、前記第1入力電圧値に前記第1係数に応じた第2係数を乗じた値であり、前記第2値は、前記第2入力電圧値である、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1係数をα、前記第2係数をK、前記第1入力電圧値をVin、前記第2入力電圧値をVin'とした場合、
前記設定部は、
(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0である場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定し、
(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0でない場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1値は、前記第1入力電圧値であり、前記第2値は、前記第2入力電圧値に前記第1係数に応じた第3係数を乗じた値である、請求項5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第1係数をα、前記第3係数を1/K、前記第1入力電圧値をVin、前記第2入力電圧値をVin'とした場合、
前記設定部は、
(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0である場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定し、
(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0でない場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記負荷装置は、前記負荷装置に入力される電流の大きさを示す入力電流値を変更することで負荷量を変更可能であり、
Kは、2-αである、請求項7または9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記負荷装置は、前記負荷装置で電力を消費する抵抗の大きさを示す抵抗値を変更することで負荷量を変更可能であり、
Kは、2/(α+1)である、請求項7または9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記負荷装置は、消費する電力値を変更可能であり、
Kは、1+√(1-α)以下である、請求項7または9に記載の制御装置。
【請求項13】
前記直流電源は、太陽電池である、
請求項1から9のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項14】
前記負荷装置は、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置である、請求項1から9のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項15】
前記電圧変換装置は、前記直流電源からの直流電流が流れるインダクタと、前記インダクタに流れる直流電流を制御するためにオンまたはオフするスイッチと、前記設定部により設定された負荷量に対応する目標入力電流値の電流が前記直流電源から入力されるように前記スイッチのオンオフを制御するスイッチ制御部とを含む、請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
請求項1から9のいずれか1つに記載の制御装置と、
前記直流電源からの直流電流が流れるインダクタと、前記インダクタに流れる直流電流を制御するためにオンまたはオフするスイッチと、前記設定部により設定された負荷量に対応する目標入力電流値の電流が前記直流電源から入力されるように前記スイッチのオンオフを制御するスイッチ制御部とを有し、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置とを備え、
前記スイッチ制御部は、
前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が、前記設定部が前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行した後に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値である基準電圧値以上の場合、前記スイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記スイッチのオンオフの制御を実行しない、システム。
【請求項17】
前記直流電源から前記負荷装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第1スイッチと、
前記直流電源から前記電圧変換装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第2スイッチと
を備え、
前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記設定部は、前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行し、
前記スイッチ制御部は、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記基準電圧値を取得した後、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンした状態で、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値以上の場合、前記スイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記スイッチのオンオフの制御を実行しない、という条件処理を、予め定められた期間、繰り返す、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
直流電源から出力される電力の供給を受ける負荷装置の負荷量を制御する制御方法であって、
前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定する段階と、前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第1入力電圧値を取得する段階と、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量に予め定められた第1係数を乗じた第2負荷量に設定する段階と、前記負荷装置の負荷量を前記第2負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第2入力電圧値を取得する段階と、前記第1入力電圧値を分母とし、前記第2入力電圧値を分子とする電圧比と、前記第1係数に応じた判定値とを比較する段階と、比較結果に基づいて、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きいまたは小さい新たな第1負荷量に設定する段階とを含む負荷量設定処理を予め定められた条件を満たすまで実行する設定段階を備える、制御方法。
【請求項19】
前記設定段階は、前記直流電源から前記負荷装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第1スイッチをオン、前記直流電源から、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第2スイッチをオフした状態で、前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行する段階を含み、
前記制御方法は、
前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行した後に、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値を基準電圧値として取得する段階と、
前記基準電圧値を取得した後、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンした状態で、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値以上の場合、前記電圧変換装置が有するスイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記電圧変換装置が有するスイッチのオンオフの制御を実行しない、という条件処理を、予め定められた期間、繰り返す段階とをさらに備える、請求項18に記載の制御方法。
【請求項20】
前記設定段階は、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定する段階と、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する段階とを含む、
または、
前記設定段階は、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定する段階と、
前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する段階とを含む、請求項18または19に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パワーマネジメントICを使用するエナジーハーベスティングシステムが開示されており、特許文献2,3にはDCDCコンバータを使用するエナジーハーベスト端末またはエナジーハーベスティングシステムが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 米国特許第11157032号公報
[特許文献2] 特許第6152919号公報
[特許文献3] 特許第5921447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直流電源に接続される負荷を無負荷とすることなく、負荷に印加される電圧に基づく電力を効率的に最大化できる制御装置、制御方法、およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記直流電源から出力される電力の供給を受ける負荷装置の負荷量を制御する制御装置を提供する。前記制御装置は、前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第1入力電圧値を分母とし、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量に予め定められた第1係数を乗じた第2負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第2入力電圧値を分子とする電圧比と、前記第1係数に応じた判定値を比較し、比較結果に基づいて、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きいまたは小さい新たな第1負荷量に設定する負荷量設定処理を予め定められた条件を満たすまで実行する設定部を備える。
【0005】
前記制御装置において、前記設定部は、前記負荷量設定処理を予め定められた回数繰り返した場合、前記予め定められた条件が満たされたと判断して、前記負荷量設定処理を終了してよい。
【0006】
いずれかの前記制御装置において、前記設定部は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定してよい。前記設定部は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定してよい。
【0007】
いずれかの前記制御装置において、前記設定部は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定してよい。前記設定部は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定してよい。
【0008】
いずれかの前記制御装置において、前記設定部は、前記第1入力電圧値に予め定められた第2係数を乗じた第1値と、前記第2入力電圧値に予め定められた第3係数を乗じた第2値を比較し、前記判定値は、前記第2係数と前記第3係数との比であってよい。
【0009】
いずれかの前記制御装置において、前記第1値は、前記第1入力電圧値に前記第1係数に応じた第2係数を乗じた値であってよい。前記第2値は、前記第2入力電圧値であってよい。
【0010】
いずれかの前記制御装置において、前記第1係数をα、前記第2係数をK、前記第1入力電圧値をVin、前記第2入力電圧値をVin'とした場合、前記設定部は、(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0である場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定してよい。前記設定部は、(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0でない場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定してよい。
【0011】
いずれかの前記制御装置において、前記第1値は、前記第1入力電圧値であってよい。前記第2値は、前記第2入力電圧値に前記第1係数に応じた第2係数を乗じた値であってよい。
【0012】
いずれかの前記制御装置において、前記第1係数をα、前記第3係数を1/K、前記第1入力電圧値をVin、前記第2入力電圧値をVin'とした場合、前記設定部は、(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0である場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定してよい。前記設定部は、(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0でない場合、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定してよい。
【0013】
いずれかの前記制御装置において、前記負荷装置は、前記負荷装置に入力される電流の大きさを示す入力電流値を変更することで負荷量を変更可能であってよい。Kは、2-αであってよい。
【0014】
いずれかの前記制御装置において、前記負荷装置は、前記負荷装置で電力を消費する抵抗の大きさを示す抵抗値を変更することで負荷量を変更可能であってよい。Kは、2/(α+1)であってよい。
【0015】
いずれかの前記制御装置において、前記負荷装置は、消費する電力値を変更可能であってよい。Kは、1+√(1-α)以下であってよい。
【0016】
いずれかの前記制御装置において、前記直流電源は、太陽電池であってもよい。
【0017】
いずれかの前記制御装置において、前記負荷装置は、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置であってよい。
【0018】
いずれかの前記制御装置において、前記電圧変換装置は、前記直流電源からの直流電流が流れるインダクタと、前記インダクタに流れる直流電流を制御するためにオンまたはオフするスイッチと、前記設定部により設定された負荷量に対応する目標入力電流値の電流が前記直流電源から入力されるように前記スイッチのオンオフを制御するスイッチ制御部とを含んでよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、いずれかの前記制御装置と、前記直流電源からの直流電流が入力されるインダクタと、前記インダクタに流れる直流電流を制御するためにオンまたはオフするスイッチと、前記設定部により設定された負荷量に対応する目標入力電流値の電流が前記直流電源から入力されるように前記スイッチのオンオフを制御するスイッチ制御部とを有し、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置とを備えるシステムを提供する。また、前記スイッチ制御部は、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記設定部が前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行した後に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値基準電圧値以上の場合、前記スイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記スイッチのオンオフの制御を実行しない。
【0020】
前記システムは、前記直流電源から前記負荷装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第1スイッチと、前記直流電源から前記電圧変換装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第2スイッチとを備えてよい。前記システムにおいて、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記設定部は、前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行してよい。前記システムにおいて、前記スイッチ制御部は、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記基準電圧値を取得した後、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンした状態で、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値以上の場合、前記スイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記スイッチのオンオフの制御を実行しない、という条件処理を、予め定められた期間、繰り返してよい。
【0021】
本発明の第3の態様においては、前記直流電源から出力される電力の供給を受ける負荷装置の負荷量を制御する制御方法を提供する。前記制御方法は、前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定する段階と、前記負荷装置の負荷量を第1負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第1入力電圧値を取得する段階と、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量に予め定められた第1係数を乗じた第2負荷量に設定する段階と、前記負荷装置の負荷量を前記第2負荷量に設定した場合に前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す第2入力電圧値を取得する段階と、前記第1入力電圧値を分母とし、前記第2入力電圧値を分子とする電圧比と、前記第1係数に応じた判定値とを比較する段階と、比較結果に基づいて、前記負荷装置の負荷量を前記第1負荷量より大きいまたは小さい新たな第1負荷量に設定する段階とを含む負荷量設定処理を予め定められた条件を満たすまで実行する設定段階を備える。
【0022】
前記制御方法において、前記設定段階は、前記直流電源から前記負荷装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第1スイッチをオン、前記直流電源から、前記直流電源からの直流電圧を昇圧または降圧して蓄電装置に供給する電圧変換装置への直流電流の入力をオンまたはオフする第2スイッチをオフした状態で、前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行する段階を含んでよい。前記制御方法は、前記負荷量設定処理を前記予め定められた条件を満たすまで実行した後に、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフした状態で、前記負荷装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値を基準電圧値として取得する段階と、前記基準電圧値を取得した後、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンした状態で、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値以上の場合、前記電圧変換装置が有するスイッチのオンまたはオフの制御を実行し、前記直流電源から前記電圧変換装置に印加される入力電圧の大きさを示す入力電圧値が前記基準電圧値より小さい場合、前記電圧変換装置が有するスイッチのオンオフの制御を実行しない、という条件処理を、予め定められた期間、繰り返す段階とをさらに備えてよい。
【0023】
いずれかの前記制御方法において、前記設定段階は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定する段階と、前記第2負荷量が前記第1負荷量より大きく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する段階とを含んでよい。
【0024】
いずれかの前記制御方法において、前記設定段階は、前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より小さい場合、前記第1負荷量より大きい前記新たな第1負荷量に設定する段階と、前記第2負荷量が前記第1負荷量より小さく、前記電圧比が前記判定値より大きい場合、前記第1負荷量より小さい前記新たな第1負荷量に設定する段階とを含んでよい。
【0025】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1B】システム100の構成の別例を示すブロック図である。
図2】システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】電源10aおよび負荷装置110bの構成の一例を示す回路図である。
図4】負荷装置110cの構成の一例を示す回路図である。
図5】負荷装置110dの構成の一例を示す回路図である。
図6】負荷装置110bの抵抗Rk(Ω)を変化した場合の電圧比Vo(Rk/α)/Vo(Rk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。
図7】電源10aおよび負荷装置110eの構成の一例を示す回路図である。
図8】負荷装置110eの電流Ik(A)を変化した場合の電圧比Vo(α×Ik)/Vo(Ik)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。
図9】電源10aおよび負荷装置110fの構成の一例を示す回路図である。
図10】負荷装置110fの電力Pk(W)を変化した場合の電圧比Vo(α×Pk)/Vo(Pk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。
図11】電源10bとして太陽電池を用いた場合の電源10bおよび負荷装置110bの構成の一例を示す回路図である。
図12】電源10bに任意の負荷を接続した場合の、出力電圧Voに対する出力電流Iおよび負荷で消費される電力Poの一例を示すグラフである。
図13】電源10bに負荷装置110bを接続した場合の電圧比Vo(Rk/α)/Vo(Rk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。
図14】システム100の構成の更なる別例を示すブロック図である。
図15図14に係るシステム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図16A】システム300の構成の一例を示すブロック図である。
図16B】システム300の構成の別例を示すブロック図である。
図17】システム400の構成の一例を示すブロック図である。
図18A】システム400の動作シーケンスの前半の一例を示すフローチャートである。
図18B】システム400の動作シーケンスの後半の一例を示すフローチャートである。
図19】サンプリング装置120およびスケーリング装置130の構成の一例を示す回路図である。
図20】サンプリング装置120およびスケーリング装置130の動作の一例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0028】
様々な電源から電力を取り出し、所望の出力電圧または出力電流で負荷を駆動し、キャパシタおよびリチウムイオンバッテリ(LIB)を始めとする蓄電池を充電する装置が知られている。このような装置には、昇圧または降圧を含むDCDCコンバータおよびパワーマネジメントIC(PMIC:Power Management Integrated Circuit)がある。
【0029】
このような用途に使用される電源の中にはソーラー発電、振動発電、または電磁波給電など電源の出力抵抗が小さくないものがある。出力抵抗の大きい電源から最大電力が得られる負荷量(以下、「最大電力点」と称する。)を超えて電流を引き出す際に、出力電圧が急激に低下し、電力を効率よく取り出すことができない場合がある。
【0030】
そこで、電力を効率よく取り出す機能として、最大電力追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を備えた、DCDCコンバータおよびPMICが知られている。MPPTを実現する方式の一つとして、山登り法(Hill Climbing Method)がある。山登り法では、電源から流入する電流と電力を測定して、電流制御によって電流を増やして出力電力が増加すればさらに電流を増やし、逆に電流を増やしたにもかかわらず出力電力が低下すれば、電流を減らす制御が行われる。山登り法は、これにより、常に最大電力点(MPP)に到達させる制御である。
【0031】
山登り法は、電力を直接観測しているため精度よくMPPTを実現できるが、電力の測定とMPPの算出に複雑な電気回路を要し、多くの電力を消費する。したがって、山登り法は、比較的出力電力の大きい太陽光発電のパワーコンディショナ等で適用される。
【0032】
一方、出力電力の小さい小型ソーラー発電、熱発電、振動発電、電磁波給電のようなエナジーハーベスト分野における、MPPTを実現する方式の一つとして、無負荷状態の開放電圧(Vs)を測定する方式がある。この方式では、電源の出力電圧が測定した開放電圧の50%または80%になるようにコンバータの出力が制御される。この方式を用いた多くのICが市販されている。
【0033】
しかし、このようなICには以下の問題が生じる場合がある。第1に、振動発電および電磁波給電などの一部は発電中に無負荷状態にすると、電圧上昇により素子を破壊する恐れがある。
【0034】
第2に、マイクロ波を整流して直流電力を生成する場合には、トランジスタまたはダイオードなどの半導体素子で構成された整流器が使用される。これらの半導体素子は内部抵抗を持つので、半導体素子は、素子に電流が流れると、電流の二乗に比例する電力を消費する。このような消費電力を低減すべく、このような分野では、高周波回路のインピーダンスを高く設計し、高い出力電圧かつ低い出力電流で動作させるようにアンテナおよび整合回路を設計する。しかし、半導体素子にはその耐圧以上の電圧を印加することはできないので、開放電圧を測定するMPPT方式では、耐圧の50%以下でしか動作させることができず、効率の最もよい領域を使用することができなくなる。
【0035】
そこで、特許文献1では、コンバータを無効にして開放電圧を測定する代わりに、エネルギー源のダミー負荷として機能するように構成されたインピーダンスを用いるエネルギーハーベストシステムが提案されている。このエネルギーハーベストシステムは、インピーダンスを接続してMPPを実現する最適入力電圧値を測定し、インピーダンスを切断したのちコンバータを有効にして、測定した最適入力電圧値と入力電圧が等しくなるようにコンバータを制御する。
【0036】
しかし、MPPを実現する最適インピーダンス(または電源インピーダンス)は電波強度、気温などの電源の置かれた環境により大きく変化する。上述のエネルギーハーベストシステムでは、接続するインピーダンスが電源インピーダンスの変化に追従できない。したがって、上述のエネルギーハーベストシステムは、MPPを実現する最適入力電圧値を常に与えることができない。
【0037】
以下では、開放電圧を測定することなく最大電力点推定を実現し、外部環境変化に伴うインピーダンスの変化にも追従可能な最大電力追従制御を実現するシステムについて説明する。また、説明されるシステムは、電源から負荷装置に出力される電力を増加させ、最大電力点以外の目標電力値を達成するシステムとしても使用可能である。さらに、説明されるシステムは、簡易な構成を有し、エネルギーハーベストに適用可能である。また、同様の制御方法が、DCDCコンバータにも適用可能であることも説明される。
【0038】
本明細書において「接続」とは、電気的に接続されることをいい、直接的に接続されること、および回路素子を介して間接的に接続されることを含む。また、本明細書では、信号の論理レベルがハイレベルである場合に、"H"レベルとして参照され、信号の論理レベルがローレベルである場合に、"L"レベルとして参照される。
【0039】
図1Aは、システム100の構成の一例を示すブロック図である。システム100は、システム100内の後述の負荷装置110aの負荷を制御して、電源10aから負荷装置110aに印加される電圧Voに基づく電力を調整するシステムである。
【0040】
電源10aは、システム100に直流電圧を供給する。電源10aは、電圧源12と、抵抗14aとを含む。
【0041】
電圧源12aは、直流電圧Vsを供給する電圧源である。例えば、電圧源12aは、バッテリである。別例として、電磁波をアンテナで受電し、整流回路でAC-DC変換するレクテナであってよく、受電する電磁波の強度により、レクテナの直流出力電圧Vsは変化する。
【0042】
抵抗14aは、電源10aの有する内部抵抗である。抵抗14aは、抵抗値Rsを有する。抵抗14aの抵抗値Rsがゼロである場合には、電源10aからは電圧Vsが供給されるが、電圧Vsは、この意味で開放電圧と称される。一例として、抵抗14aは、電圧源12aがバッテリである場合には、バッテリの内部抵抗である。別の例として、抵抗14aは、電圧源12aがレクテナである場合は、レクテナの出力抵抗である。
【0043】
システム100の内部構成について説明する。システム100は、負荷装置110aと、サンプリング装置120と、スケーリング装置130と、比較器140と、制御装置150とを含む。
【0044】
負荷装置110aは、制御装置150の制御に応じて負荷量が変動する可変負荷である。負荷装置110aは、電源10aに接続され、電源10aより供給されたエネルギー(電力)を消費する。
【0045】
ここで、負荷装置110aの「負荷量」とは、負荷装置で消費する電力の大きさを変化させる電気的な指標である。例えば、負荷量は、負荷装置110aに入力される電流の大きさを示す入力電流値、負荷装置110aで電力を消費する抵抗の大きさを示す抵抗値、負荷装置110aに印加される電圧の大きさを示す入力電圧値、または負荷装置110aで消費する電力の大きさを示す電力値である。負荷量が大きいことは、負荷装置110aで消費される電力が大きいことを表し、負荷量が小さいことは、負荷装置110aで消費される電力が小さいことを表す。
【0046】
負荷装置110aは、負荷装置で消費される電力を変動可能であればよく、負荷装置110aは、可変抵抗であっても、可変電流源であっても、可変電力負荷であってもよい。負荷装置110aの具体的な構成例は図3図5図7、および図9等を参照して後述する。
【0047】
本明細書においては、負荷装置110aの負荷量が、最大電力量を示す負荷量よりも大きいことを「過負荷」と称することがある。逆に、負荷装置110aの負荷量が、最大電力量を示す負荷量よりも小さいことを「軽負荷」と称することがある。
【0048】
サンプリング装置120は、負荷装置110aの負荷量が所定値に設定された場合の電圧Voをサンプリングする。具体的には、サンプリング装置120は、負荷装置110aの負荷量が後述の値L(n)を有する場合の電圧Voをサンプリングし、その電圧Voを電圧Vinとしてスケーリング装置130へと供給する。サンプリング装置120は、電源10aに対し、負荷装置110aと並列に接続される。
【0049】
スケーリング装置130は、負荷装置110aから供給される電圧Vinを予め定められた係数K倍のスケーリングをした電圧K×Vinを出力する。係数Kは、予め設定される正の実数である。スケーリング装置130は、サンプリング装置120に接続される。
【0050】
比較器140は、スケーリング装置130から供給される電圧K×Vinと、負荷装置110aが負荷α×L(n)を有する場合の電圧Vin'とを比較する。比較器140は、電圧K×Vinと、電圧Vin'との比較結果に応じて、異なる論理レベルの信号Vcompを出力する。ここで、係数αは、図2を参照して後述する通り、制御装置150により設定されるα≠1を満たす正の実数である。
【0051】
比較器140は、少なくとも2つの入力端を有する。比較器140の入力端のうちの一端は、スケーリング装置130に接続され、比較器140の入力端のうちの他端は、負荷装置110aと並列に、電源10aに接続される。
【0052】
制御装置150は、信号Vcompの論理レベルに応じて、負荷装置110aの負荷量を変更し、電源10aから負荷装置110aに出力される電力を増加させるように負荷装置110aの負荷量を制御する。または、制御装置150は、電源10aから負荷装置110aに出力される電力が最大に近づくように負荷装置110aの負荷量を制御してもよい。制御装置150は、比較器140に接続される。また、制御装置150は、設定部152を含む。
【0053】
設定部152は、負荷装置110aが負荷量L(n)を有する場合に、係数αの値と、信号Vcompの論理レベルとに基づいて、新たな負荷量L(n+1)を設定する。例えば、設定部152は、(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0である場合、負荷装置110aの負荷量を負荷量L(n)より大きい負荷量L(n+1)に設定する。一方、設定部152は、(Vin'-K×Vin)×(α-1)<0である場合、負荷装置110aの負荷量を負荷量L(n)より小さい負荷量L(n+1)に設定してよい。
【0054】
ここで、負荷量L(n)から次の負荷量L(n+1)への変化の割合は、MPPTの追従性を高めるために十分小さくすることが望ましい。L(n)からα×L(n)への変化の割合は、比較器140の動作を容易にするために、負荷量L(n)から次の負荷量L(n+1)への変化の割合よりも大きくしてもよい。
【0055】
制御装置150は、nの値をインクリメントして、nの値が予め定められた数に達するまで負荷装置110aの負荷量L(n)を変更する処理を繰り返す。これにより、負荷L(n)に印加される電圧Voと、負荷を流れる電流とが変動し、電圧Voが印加されるノードから取り出される電力が最大値へと近づく。以下では、図1Aのシステム100が負荷装置110aの負荷量を設定する処理について、図2のフローチャートを参照して詳述する。
【0056】
ここで、電源10aから負荷装置110aに印加される電圧Voは「入力電圧」に相当する。また、負荷装置110aの負荷量L(n)は、「第1負荷量」に相当し、負荷量α×L(n)は、「第2負荷量」に相当する。さらに、負荷装置110aの負荷量L(n+1)は、「新たな第1負荷量」に相当する。
【0057】
さらに、負荷装置110aが負荷量L(n)である場合に、負荷装置110aに印加される電圧Voの示す値Vinは「第1入力電圧値」に相当する。また、負荷装置110aが負荷量α×L(n)である場合に、負荷装置110aに印加される電圧Voの示す値Vin'は「第2入力電圧値」に相当する。ここで、係数αは「第1係数」の一例であり、係数Kは「第2係数」の一例である。
【0058】
図2は、システム100の動作の一例を示すフローチャートである。システム100の動作により、最大電力点を実現するように、電源10aから出力される電力の供給を受ける負荷装置110aの負荷量を制御する制御方法が実装される。フローチャートのSTARTからENDまでを1シーケンスとして、シーケンスは一回のみ実施されてよく、複数回連続して実施されてもよい。図中のシーケンスで表される制御方法は、S100A~S118Aのステップを含む。
【0059】
まず、制御装置150は、負荷装置110aの負荷量L(n)について、n=0の場合の負荷L(0)を設定する(S100A)。次に、制御装置150は、負荷装置110aの負荷量を負荷量L(n)に設定する(S102A)。ここで、nは0以上の整数である。シーケンスの実行回数が1回目である場合、制御装置150は、負荷装置110aの負荷量をL(0)に設定してよい。2回目以降のシーケンスにおいては、制御装置150は、負荷L(n)として前回のシーケンスの最終値を用いる。
【0060】
次いで、サンプリング装置120は、負荷装置110aが負荷量L(n)を有する場合の電圧Voをサンプリングし、その電圧Voを電圧Vinとしてスケーリング装置130へと供給する。さらに、スケーリング装置130は、電圧Vinに係数K倍のスケーリングを行った電圧K×Vinを比較器140の入力端の一端に供給する(S104A)。
【0061】
さらに、制御装置150は、負荷装置110aの負荷量を負荷α×L(n)に設定する(S106A)。負荷装置110aの負荷量がα×L(n)の場合の電圧Voを電圧Vin'とする。この場合に、負荷装置110aの負荷量がL(n)ではなくなるので、サンプリング装置120は、サンプリング動作を停止してよい。
【0062】
次いで、比較器140は、電圧K×Vinおよび電圧Vin'を比較して、電圧K×Vinおよび電圧Vin'の大小に応じて、異なる論理レベルの信号Vcompを出力する(S108A)。例えば、比較器140は、(K×Vin-Vin')>0である場合に、"H"レベルの信号Vcompを出力する。一方、比較器140は、(K×Vin-Vin')<0である場合に、"L"レベルの信号Vcompを出力する。ここで、比較器140の出力する信号Vcompの論理レベルは例示であり、本実施形態の逆の論理レベルであってもよい。
【0063】
S104AおよびS106Aが行われた後に、S108Aが行われればよく、S104AおよびS106Aを行う順番は上述の順番に限定されない。したがって、S106Aを行った後に、S102AおよびS104Aを行い、その後にS108Aを行ってもよい。
【0064】
次に、設定部152は、不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされるか否かを判定する(S110A)。具体的には、設定部152は、αの値と、信号Vcompの論理レベルとに基づいた判定を行う。
【0065】
例えばα>1の場合、設定部152は、"H"レベルの信号Vcompに応じて、不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていると判定する。一方、"L"レベルの信号Vcompに応じて、不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていないと判定する。
【0066】
あるいは、0<α<1の場合には、設定部152は、"L"レベルの信号Vcompに応じて、不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていると判定する。一方、"設定部152は、"H"レベルの信号Vcompに応じて、不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていないと判定する。
【0067】
不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていると判定された場合、設定部152は、負荷装置110aの負荷量をL(n)より大きい(即ち、L(n+1)>L(n)を満たす)負荷量L(n+1)に設定する(S112A)。この後、処理はS116Aに送られる。
【0068】
したがって、α>1(即ち、α×L(n)>L(n))、且つ電圧値Vin'が電圧値K×Vinがより大きい場合に、負荷装置110aの負荷量をL(n)より大きい負荷量L(n+1)に設定する。一方、0<α<1(即ち、α×L(n)<L(n))、且つ電圧値Vin'が電圧値K×Vinより小さい場合に、負荷装置110aの負荷量をL(n)より大きい負荷量L(n+1)に設定する。
【0069】
不等式(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0が満たされていないと判定された場合、設定部152は、負荷装置110aの負荷量をL(n)より小さい(即ち、L(n+1)<L(n)を満たす)負荷量L(n+1)に設定する(S114A)。この後、処理はS116Aに送られる。
【0070】
したがって、α>1(即ち、α×L(n)>L(n))、且つ電圧値Vin'が電圧値 K×Vinより小さい場合に、負荷装置110aの負荷量をL(n)より小さい負荷量L(n+1)に設定する。一方、0<α<1(即ち、α×L(n)<L(n))、且つ電圧値Vin'が電圧値K×Vinがより大きい場合に、負荷装置110aの負荷量をL(n)より小さい負荷量L(n+1)に設定する。
【0071】
設定部152は、nの値をn=n+1にインクリメントする(S116A)。次いで、設定部152は、nと予め定められた閾値とを比較し、nの値が予め定められた閾値(規定回数)以上になった否かを判定する(S118A)。
【0072】
nが規定回数に到達した場合には、設定部152は、負荷量L(n)の処理を終了する(S118A)。nが規定回数に到達していない場合には、設定部152は、処理をS102Aに返し、システム100は、S102AからS118Aの処理を再び行う。
【0073】
以上の通り、S102A~S118Aの処理は、nが規定回数に到達するまで繰り返される。nが規定回数に達するまでのSTARTからENDまでの処理を一つのシーケンスとした場合、このシーケンスを通じて負荷装置110aの負荷量L(n)が増減し、最大電力量を実現するL(n)へと近づいていく。この近づいていく値が、最大電力点のL(n)であることについては、負荷装置110aの負荷が可変抵抗である例、可変電流源である例、および可変電力負荷である例について図3図10を参照して後述する。
【0074】
ここで、規定回数が大きい場合には、設定部152は、1回のシーケンスで最大電力点となる負荷量L(n)を設定できる。一方で、規定回数が小さい場合には、システム100がこのシーケンスを予め定められた回数繰り返すことにより、負荷量L(n)が最大電力点となる負荷量に追従するように変化する。シーケンス間の時間間隔と、規定回数とにより追従速度は変化するので、時間間隔および規定回数は、環境および条件の変化に合わせて設定されてよい。
【0075】
設定部152は、このシーケンスを予め定められた回数繰り返した場合、負荷装置110aの負荷量設定処理を行うための予め定められた条件が満たされたものとして、負荷量設定処理を終了する。なお、設定部152がシーケンスを停止する予め定められた条件としては、回数以外の(例えば、繰り返す時間を定める等の)別の条件を用いてもよい。
【0076】
図中で、「第2係数」の一例として、係数Kを用いたが、「第3係数」の一例として、係数1/Kを用いてもよい。第2係数または第3係数は、第1係数に応じた値でよい。さらに、サンプリングする電圧Voとして、負荷装置110aの負荷量をα×L(n)とした場合の電圧Vinをサンプリングしてもよい(S104Aの変形例)。この場合、以降のステップとして、設定部152は、負荷装置110aの負荷量をL(n)に設定し(S106Aの変形例)、比較器140は、電圧(1/K)×Vin'および電圧Vinを比較する(S108Aの変形例)。
【0077】
次いで、設定部152は、不等式(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0が満たされるか否かを判定し(S110Aの変形例)、(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0である場合、負荷装置110aの負荷量をL(n)より大きいL(n+1)に設定し(S112Aの変形例)、(1/K×Vin'-Vin)×(α-1)>0でない場合、負荷装置110aの負荷量をL(n)より小さいL(n+1)に設定する(S114Aの変形例)。S104A~S114Aに関して、このような変形例を用いた場合にも、同様の制御方法が実現される。
【0078】
なお、図1B図1Aにおけるサンプリング装置120および比較器140の間にあるスケーリング装置を第1のスケーリング装置170とし、電圧Voおよびサンプリング装置180と、比較器140の間に新たに第2のスケーリング装置190を配置した実施形態である。
【0079】
図1Bに係るシステム100の説明においては、図1Aと共通の構成についての説明は省略する。以下では、図1Aに係る実施形態と、図1Bに係る実施形態との構成の差異に注目して説明する。
【0080】
スケーリング装置170は、サンプリング装置120がサンプリングした電圧VnをA×Vinにスケーリングする。一方で、スケーリング装置190は、サンプリング装置180がサンプリングした電圧Vin'をB×Vin'にスケーリングする。
【0081】
ここで、A,Bのそれぞれは、予め定められた係数であってよい。A/B=KとなるAが第2係数の一例であり、Bが第3係数の一例である。例えば、第3係数B=1の場合には、第2係数A=Kとなる。他の例として、第2係数A=1の場合は、第3係数B=1/Kとなる。
【0082】
比較器140は、第1のスケーリング装置170の出力A×Vinと、第2のスケーリング装置190の出力B×Vin'とを比較する。第2係数Aおよび第3係数BをA/B=Kを満たす条件の下で変動させた場合にも、同様の制御方法を実現することができる。
【0083】
ここで、「第1入力電圧値」の一例であるVinに、「第2係数」の一例であるAを乗じたA×Vinは、「第1値」の一例である。また、「第2入力電圧値」の一例であるVin'に、「第3係数」の一例であるBを乗じたB×Vin'は、「第2値」の一例である。さらに、K=A/Bとなる比A/Bは、「判定値」の一例である。
【0084】
なお、サンプリング装置180を用いず、Vin'を直接スケーリング装置190に入力しても同様の動作となることは明らかであろう。したがって、図1Bのシステム100においては、サンプリング装置180を省略して構成することもできる。
【0085】
次に、負荷装置110aの可変負荷の具体例と、それらの負荷に対し、図2の制御方法で最大電力点が実現されることとに関して、より詳細に説明する。図3は、電源10aおよび負荷装置110bの構成の一例を示す回路図である。
【0086】
負荷装置110bは、可変負荷として可変抵抗112bを含む負荷装置110aの一例である。図3以降の図面において、別の図において符号を付して参照された構成要素と、同じ符号を付して参照される構成要素とは、同じ構成を有する。
【0087】
図3においては、電源10aおよび負荷装置110bを除く他の部分に関しては省略されている。ただし、電源10aおよび負荷装置110bは、図1Aに記載のシステム100に含まれるものと同様の他の構成に接続されてよい。これは、図7図9図11等においても同様である。
【0088】
可変抵抗112bは、抵抗値Riを有し、可変抵抗112bの一端は、電源10aに接続され、可変抵抗112bの他端は接地される。可変抵抗112bは、一例として、図4の負荷装置110c、または図5の負荷装置110dである。あるいは、可変抵抗112bは、MOSのオン抵抗で構成されてもよい。
【0089】
図4は、負荷装置110cの構成の一例を示す回路図である。負荷装置110cは、抵抗Rc1,Rc2,Rc3,Rc4と、スイッチSWc1,SWc2,SWc3とを含む。
【0090】
抵抗Rc1,Rc2,Rc3,Rc4は、電圧Voが印加されるノードと、接地されるノードとの間に直列に接続される。さらに、スイッチSWc1は、Rc1およびRc2との間に接続され、スイッチSWc2は、Rc2およびRc3の間に接続され、スイッチSWc3は、Rc3およびRc4の間に接続される。
【0091】
負荷装置110cは、スイッチSWc1~SWc3を排他的にオンすることにより、負荷装置110cの有する合成抵抗を段階的に変化させることができる。スイッチSWc1~SWc3全てをオフすれば、負荷装置110cの有する抵抗は、抵抗Rc1,Rc2,Rc3,Rc4全体の合成抵抗となる。また、負荷装置110cは、スイッチSWc1~SWc3のうち、複数をオンにした場合の合成抵抗を用いてもよい。
【0092】
図5は、負荷装置110dの構成の一例を示す回路図である。負荷装置110dは、負荷装置110cは、抵抗Rd1,Rd2,Rd3,Rd4と、スイッチSWd1,SWd2,SWd3,SWd4とを含む。
【0093】
抵抗Rd1,Rd2,Rd3,Rd4は、電圧Voが印加されるノードと、接地されるノードとの間に並列に接続される。スイッチSWd1は、Rd1と接地されるノードとの間に接続される。同様に、スイッチSWd2は、Rd2と接地されるノードとの間に接続され、スイッチSWd3は、Rd3と接地されるノードとの間に接続され、スイッチSWd4は、Rd4と接地されるノードとの間に接続される。
【0094】
抵抗Rd1,Rd2,Rd3,Rd4のそれぞれが異なる抵抗を有する場合には、スイッチSWd1,SWd2,SWd3,SWd4を排他的に切り替えることにより、負荷装置110dの有する抵抗を段階的に変化させることができる。また、抵抗Rd1,Rd2,Rd3,Rd4が同一または異なる抵抗を有する場合、スイッチSWd1,SWd2,SWd3,SWd4を選択的に切り替えることにより、負荷装置110dの有する合成抵抗を段階的に変化させることができる。
【0095】
図示される負荷装置110c,110dは、それぞれ4つの抵抗を含むが、負荷装置110c,110dの含む抵抗の数は、例示であり、4つに限定されるものではなく任意の数の抵抗が含まれてよい。その場合、負荷装置110cは、(抵抗の数)-1個のスイッチSWcを含み、負荷装置110dは、(抵抗の数)と同数のスイッチSWdを含む。負荷装置110bは、負荷装置110cに含まれるような直列に接続された1または複数の抵抗と、負荷装置110dに含まれるような並列に接続された1または複数の抵抗との組み合わせによって実現されてもよい。
【0096】
ここで、再び図3を参照して、最大電力点を実現する場合の可変抵抗Riの値について説明する。可変抵抗Ri=Rkのときに加わる電圧Vo(Rk)は次式で示され、
【数1】
一方、負荷をα倍、即ち抵抗Ri=Rk/αのときは、
【数2】
となる。式(2)の各辺を式(1)の各辺で除することにより、
【数3】
が得られる。
【0097】
本実施形態の回路は、Ri=Rsの場合に、最大電力点を実現できる。この場合、
【数4】
が満たされる。Rk>Rs(過負荷)の場合、αと1との大小により不等号の向きが異なり、
【数5a】
【数5b】
となる。一方、Rk<Rs(軽負荷)の場合、
【数6a】
【数6b】
となる。
【0098】
係数αに応じた係数Kを用いる場合、K=2/(α+1)となる係数Kを用いると、[Vo(Ri=Rk/α)-Vo(Ri=Rk)]×(α-1)>0、即ち(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0の場合には、最大電力点よりも軽負荷となる。一方で、Vo(Ri=Rk/α)-Vo(Ri=Rk)]×(α-1)<0、即ち(Vin'-K×Vin)×(α-1)<0の場合には、最大電力点よりも過負荷となる。
【0099】
負荷装置110aとして、可変抵抗112bを用いることは、図2のフローチャートにおいて、L(n)=1/Rkとした場合に相当する。この場合に、αとKを適切に設定することにより、Rkを最大電力点を得るRsに近づけることができる。
【0100】
図6は、負荷装置110bの抵抗Rk(Ω)を変化した場合の電圧比Vo(Ri=Rk/α)/Vo(Ri=Rk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。電力比Pi/Poptは、負荷装置110bが消費する電力の最大電力点電力との比である。図中では、例示として、Vs=10V,Rs=10Ω,α=2に設定されている。
【0101】
図中、Rk=10Ωでは、電圧比がK=2/3=0.667となる場合に、最大電力点が実現されている。したがって、図2のフローチャートにおいて、αおよびKを適切に設定すれば、システム100は、フローチャートに従って最大電力点を得る抵抗RsにRkを近づけられる。
【0102】
図7は、電源10aおよび負荷装置110eの構成の一例を示す回路図である。負荷装置110eは、可変負荷として可変電流源114eを含む負荷装置110eの一例である。
【0103】
可変電流源114eは、電流値Iiの電流を供給する。可変電流源114eの一端は、電源10aに接続され、可変電流源114eの他端は接地される。可変電流源114eは、一例として、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、抵抗等で構成される電流出力DACである。
【0104】
電流Ii=Ikの場合に、負荷装置110eに印加される電圧Vo(Ik)は、
【数7】
を満たす。負荷をα倍、即ちIi=α×Ikの場合には、
【数8】
となる。したがって、式(8)の両辺を式(7)の両辺で除することにより、
【数9】
を得る。
【0105】
本実施形態の回路は、Ik=Vs/(2×Rs)の場合に、最大電力点を実現できる。この場合、
【数10】
が満たされる。Ik>Vs/(2×Rs)(過負荷)の場合、αと1との大小により不等号の向きが異なり、
【数11a】
【数11b】
となる。一方、Ik<Vs/(2×Rs)(軽負荷)の場合、
【数12a】
【数12b】
となる。
【0106】
係数αに応じた係数Kを用いる場合、K=2-αとなる係数Kを用いると、[Vo(Ii=α・Ik)-Vo(Ii=Ik)]×(α-1)>0、即ち(Vin'-K×Vin)×(α-1)>0の場合には、最大電力点よりも軽負荷となる。一方で、Vo(Ii=α・Ik)-Vo(Ii=Ik)]×(α-1)<0、即ち(Vin'-K×Vin)×(α-1)<0の場合には、最大電力点よりも過負荷となる。
【0107】
図8は、負荷装置110eの電流Ik(A)を変化した場合の電圧比Vo(α×Ik)/Vo(Ik)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。図中では、例示として、Vs=10V,Rs=10Ω,α=1.2に設定されている。
【0108】
図中、Ik=0.5Aでは、電圧比がK=2-1.2=0.8となる場合に、最大電力点が実現されている。したがって、図2のフローチャートにおいて、L(n)=Ikとして、αおよびKを適切に設定すれば、システム100は、フローチャートに従って最大電力点を得る抵抗RsにRkを近づけられる。
【0109】
図9は、電源10aおよび負荷装置110fの構成の一例を示す回路図である。負荷装置110fは、可変負荷として可変電力負荷116fを含む負荷装置110fの一例である。
【0110】
可変電力負荷116fは、電力値Piの電力を消費する。可変電力負荷116fの一端は、電源10aに接続され、可変電力負荷116fの他端は接地される。可変電力負荷116fから、例えばリチウムイオンバッテリ(LIB)等の蓄電装置にCC充電(定電流充電)を行う場合、蓄電装置の電圧変化は非常に緩やかとなる。したがって、ある時間内のCC充電は定電圧または定電力とみなされ、CC充電は、一定電力で蓄電装置を充電するのと等価となる。また、CC充電を実現するDCDCコンバータは高効率であり、CC充電を行うDCDCコンバータを負荷とみなせば、充電電流により電力を可変にできる可変電力負荷とみなせる。
【0111】
電力Pi=Pkの場合に、負荷装置110fに印加される電圧Vo(Pk)は、
【数13】
を満たす。負荷をα倍、即ちPi=α×Pkの場合には、
【数14】
となる。したがって、式(14)の両辺を式(13)の両辺で除することにより、
【数15】
を得る。
【0112】
本実施形態の回路は、Pk=(Vs^2)/(2×Rs)の場合に、最大電力点を実現できる。この場合、
【数16】
が満たされる。Pk<(Vs^2)/(2×Rs)(軽負荷)の場合に、
【数17】
となる。電源はPk>(Vs^2)/(2×Rs)となる電力を供給できないので、過負荷となる動作点は存在しない。また、Pk=(Vs^2)/(2×Rs)の最大電力点は、不安定動作点である。したがって、Kは1+√(1-α)以下であることが望ましい。すなわち、Kは1+√(1-α)に設定されてよく、1+√(1-α)より小さい安定動作点を与える値に設定されてもよい。
【0113】
図10は、負荷装置110fの電力Pk(W)を変化した場合の電圧比Vo(α×Pk)/Vo(Pk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。図中では、例示として、Vs=10V,Rs=10Ω,α=0.6に設定されている。
【0114】
図中、最大電力Pk=2.5Wでは、電圧比が1.63となる場合に、最大電力点が実現されている。しかしこれは不安定点であり、それより若干小さいK=1.4程度が望ましい。図2のフローチャートにおいて、L(n)=Pkとして、αおよびKを適切に設定すれば、システム100は、フローチャートに従って最大電力点を得る抵抗RsにRkを近づけられる。
【0115】
図11は、電源10bとして太陽電池を用いた場合の電源10bおよび負荷装置110bの構成の一例を示す回路図である。電源10bが太陽電池(sollar cell)である場合、電源10bは、受光によって生じる定電流源16bと、定電流源16bに並列に接続されたダイオード18bとを含む。
【0116】
図中、負荷装置110bの有する可変抵抗は、可変抵抗118bとして示した。可変抵抗118bは、図2の可変抵抗112bとは、異なる抵抗値を有してよいが、電源10bから出力される電流に応じて、可変抵抗112bと同じ抵抗値を有するように設定されてもよい。したがって、可変抵抗118bの抵抗値の変動域は、可変抵抗112bの抵抗値の変動域と重複してよい。
【0117】
電源10b内部の内部抵抗は、負荷に依存するので、図11の回路における消費電力等の満たす式は、図10までに示した計算式とは異なる振る舞いとなる。このような電源10bを用いた場合であっても、既に説明した実施形態と同様の最大電力推定が有効であることについて説明する。
【0118】
電源10bから出力される電流は、
【数18】
を満たす。ここで、Iは、受光によって生じる定電流源16bからの電流値であり、Isは、ダイオード18bの逆方向飽和電流の電流値である。kはダイオード固有の定数であり、Vは太陽電池の出力電圧値であり、Tは絶対温度である。
【0119】
図12は、電源10bに任意の負荷を接続した場合の、出力電圧Voに対する出力電流Iおよび負荷で消費される電力Poの一例を示すグラフである。図1Aから図10で示した電圧源12aおよび抵抗14aを含む電源10aでは、開放電圧の50%の動作電圧となる負荷において最大電力が得られる。一方、太陽電池では、図12に示される通り、開放電圧の約80%の動作電圧となる負荷において最大電力が得られる。
【0120】
図13は、電源10bに負荷装置110bを接続した場合の電圧比Vo(Rk/α)/Vo(Rk)および電力比Pi/Poptの変化を示すグラフである。図中では、例示として、α=1.414に設定されている。
【0121】
図中、電圧比Vo(Ri=Rk/α)/Vo(Ri=Rk)が0.78となる場合に、最大電力点が実現されている。以上の通り、α=1.414およびK=0.78とすることで、これまでと同様に最大電力点が実現できる。
【0122】
以上、負荷装置110における負荷として抵抗負荷、電流負荷、または電力負荷を用いた場合に、本発明の方法により最大動作電力点を実現できることをフローチャートおよび数式を用いて説明した。負荷が軽負荷であるか、または過負荷であるかの判定の方法は図2に基づかなくても、式(5a)、(5b)、(6a)、(6b)、(11a)、(11b)、(12a)、(12b)、(16,17)から導かれるように、任意の負荷量L(n)を接続した場合の電圧Vinを分子とし、α倍の負荷量α・L(n)を接続したときの電圧Vin'を分母とする電圧比と、係数Kとの間で行われる判定処理によってもよい。この場合に用いられるシステム100の構成について、図14を参照して説明し、その動作を図15のフローチャートを参照して説明する。
【0123】
ここで、図14図1Aにおけるサンプリング装置120、スケーリング装置130および比較器140の代わりに、A/Dコンバータ192、第1のメモリ194、第2のメモリ196、および判定部198を備えるシステム100の実施形態である。その他の構成として、図14のシステム100は、図1Aの構成と同様に、負荷装置110aおよび制御装置150を含み、電源10aに接続される。A/Dコンバータ192、第1のメモリ194、第2のメモリ196、および判定部198の機能については、図15を参照して詳細に説明される。
【0124】
図15は、図14におけるシステム100の動作を示すフローチャートである。システム100の動作により、最大電力点を実現するように、電源10から出力される電力の供給を受ける負荷装置110の負荷量を制御する制御方法が実装される。フローチャートのSTARTからENDまでを1シーケンスとして、シーケンスは一回のみ実施されてよく、複数回連続して実施されてもよい。図中のシーケンスで表される制御方法は、S100B~S118Bのステップを含む。
【0125】
まず、制御装置150は、負荷装置110の負荷量L(n)について、n=0の場合の負荷L(0)を設定する(S100B)。次に、制御装置150は、負荷装置110の負荷量を負荷量L(n)に設定する(S102B)。ここで、nは0以上の整数である。シーケンスの実行回数が1回目である場合、制御装置150は、負荷装置110の負荷量をL(0)に設定してよい。2回目以降のシーケンスにおいては、制御装置150は、負荷L(n)として前回のシーケンスの最終値を用いる。
【0126】
次いで、A/Dコンバータ192は、負荷装置110が負荷量L(n)を有する場合の測定対象の電圧Voをデジタル値Vinに変換する。第1のメモリ194は、デジタル値Vinを測定値として格納する(S104B)。
【0127】
さらに、制御装置150は、負荷装置110の負荷量を負荷α×L(n)に設定する(S106B)。A/Dコンバータ192は負荷装置110の負荷量がα×L(n)の場合の測定対象の電圧Voをデジタル値Vin'に変換する。第2のメモリ196は、デジタル値Vin'を測定値として格納する(S108B)。
【0128】
次いで、判定部198は、不等式Vin'/Vin・(α-1)>(α-1)・Kが満たされるか否かを判定し、判定結果をVcompとして設定部152に出力する(S110B)。
【0129】
判定部198により、不等式Vin'/Vin・(α-1)>(α-1)・Kが満たされていると判定された場合、設定部152は、負荷装置110の負荷量をL(n)より大きい(即ち、L(n+1)>L(n)を満たす)負荷量L(n+1)に設定する(S112B)。この後、処理はS116Aに送られる。
【0130】
判定部198により、不等式Vin'/Vin・(α-1)>(α-1)・Kが満たされていないと判定された場合、設定部152は、負荷装置110の負荷量をL(n)より小さい(即ち、L(n+1)<L(n)を満たす)負荷量L(n+1)に設定する(S114B)。この後、処理はS116Bに送られる。
【0131】
設定部152は、nの値をn=n+1にインクリメントする(S116B)。次いで、設定部152は、nと予め定められた閾値とを比較し、nの値が予め定められた閾値(規定回数)以上になった否かを判定する(S118B)。
【0132】
nが規定回数に到達した場合には、設定部152は、負荷量L(n)の処理を終了する(S118B)。nが規定回数に到達していない場合には、設定部152は、処理をS102Bに返し、システム100は、S102BからS118Bの処理を再び行う。
【0133】
以上の通り、S102B~S118Bの処理は、nが規定回数に到達するまで繰り返される。nが規定回数に達するまでのSTARTからENDまでの処理を一つのシーケンスとした場合、このシーケンスを通じて負荷装置110の負荷量L(n)が増減し、最大電力量を実現するL(n)へと近づいていく。この近づいていく値が、最大電力点のL(n)である。
【0134】
なお、図14および図15における、第1のメモリ194、第2のメモリ196および判定部198は、論理ゲート回路またはマイクロプロセッサを使用して構成してもよい。
【0135】
図16Aは、負荷装置としてDCDCコンバータ200aを用いたシステム300の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のシステム300は、図1Aのシステム100において、負荷装置110aをDCDCコンバータ200aに置き換えたシステムに相当する。したがって、システム300は、サンプリング装置120、スケーリング装置130、比較器140、および制御装置150を備え、負荷装置110aに代えてDCDCコンバータ200aを備える。また、DCDCコンバータ200aの出力には、蓄電装置350が接続されている。
【0136】
蓄電装置350は、一例として、LIBを含む。DCDCコンバータ200aが蓄電装置350にCC充電を行う場合、既に図9を参照して説明した通り、ある時間内のCC充電は定電圧または定電力とみなされる。DCDCコンバータ200aは、ある時間内に一定電力で蓄電装置を充電する、可変電力負荷とみなすことができる。
【0137】
DCDCコンバータ200aは、蓄電装置350に目標レベルの電流値を有する電流を流入させる、直流電圧を供給する降圧型のDCDCコンバータである。DCDCコンバータ200aの入力端子(不図示)は、電源10aに接続され、DCDCコンバータ200aの出力端子(不図示)は、蓄電装置350に接続される。さらに、DCDCコンバータ200aは、DCDCコンバータ200aの動作を制御するための目標電流値が入力される端子を備え、この端子は、設定部152に接続される。
【0138】
DCDCコンバータ200aは、スイッチ202、ダイオード204、インダクタ206、スイッチ制御部210を含む。本実施形態においては、DCDCコンバータ200aとして、降圧型のDCDCコンバータを用いているが、代替的な実施形態において、DCDCコンバータとして、後述の昇圧型のDCDCコンバータ200bを用いてもよい。DCDCコンバータ200aおよびDCDCコンバータ200bは、「電圧変換装置」に相当する。
【0139】
スイッチ202は、インダクタ206に流れる直流電流を制御する。本実施形態では、スイッチ202は、後続の回路への入力を制御する。具体的には、スイッチ202は、電源10aからインダクタ206に入力される直流電流をオンまたはオフする。スイッチ202の一端は、DCDCコンバータ200aの端子のうちの1つを介して、電源10aに接続される。
【0140】
スイッチ202、ダイオード204およびインダクタ206は、降圧チョッパ回路を構成する。ダイオード204のカソードおよびインダクタ206は、スイッチ202の他端に接続される。ダイオード204のアノードは、接地される。
【0141】
インダクタ206には、電源10aにより供給される直流電流が流れる。本実施形態の降圧型のDCDCコンバータ200aの場合、インダクタ206には、スイッチ202を介して直流電流が入力される。インダクタ206は、スイッチ制御部210を介してDCDCコンバータ200aの出力端子に接続される。
【0142】
降圧チョッパ回路の具体的動作として、スイッチ202がオンである場合には、インダクタ206にエネルギーが蓄積される。一方、スイッチ202がオフである場合に、インダクタ206からエネルギーが放出される。放出されたエネルギーは、ダイオード204を介して接地(GND)からインダクタ206を通して蓄電装置350へと流れて、蓄電装置350を充電する。蓄電装置350へと流入する電流量は、スイッチ202のオン時間と、スイッチ202のオンオフにより形成されるパルスのパルス周波数とに依存する。スイッチ202のオン時間が長く、かつパルス周波数が高い場合に、バッテリに流入する電流が増加する。
【0143】
スイッチ制御部210は、インダクタ206から流入する電流と、設定部152からの入力とに基づいて、スイッチ202のオンオフのタイミングを制御する。スイッチ制御部210は、D/Aコンバータ212、検出装置214、加算器215、積分器216、およびパルス発生器218を含む。
【0144】
D/Aコンバータ212は、設定部152からの電流の目標値に関する信号をD/A変換して、加算器215へと入力する。図1A図10を参照して説明した通り、設定部152は、負荷の軽重に応じて、DCDCコンバータ200aの負荷量を設定する信号を出力する。DCDCコンバータ200aの負荷量の調整は、DCDCコンバータ200aから出力される電力の調整に対応する。したがって、スイッチ制御部210は、設定部152の信号をDCDCコンバータ200aのインダクタ206を流れる電流値の目標値に関する信号として利用できる。
【0145】
検出装置214は、インダクタ206を流れる電流を検出し、検出結果に基づく信号を出力する。次いで、加算器215は、インダクタ206を流れる電流と、インダクタ206を流れる電流値の目標値との差分をとり、差分に基づく信号を積分器216へと出力する。次いで、積分器216は、加算器215の計算した差分に対し、時間積分を計算して、積分結果に応じた信号をパルス発生器218へと出力する。
【0146】
パルス発生器218は、積分器216の積分結果に応じて、スイッチ202のオンオフを制御するパルスを発生させる。パルス発生器218の発生させるパルスのパルス幅がスイッチ202のスイッチングオン時間の幅に相当する。これにより、スイッチ202から出力されるパルスのパルス幅と、パルス周波数とが制御される。
【0147】
以上の通り、スイッチ制御部210は、スイッチ202から出力されてインダクタ206を流れる電流量に基づいて、スイッチ202から出力される電流を制御する。したがって、この制御は、フィードバックループを形成する。フィードバックループが検出装置214の検出した電流値と、電流の目標値とが等しくなるように動作する。したがって、DCDCコンバータ200aは、D/Aコンバータ212が出力する目標値に応じた電流値により蓄電装置350を充電できる。
【0148】
充電中の蓄電装置350は、充電電流により電圧が上昇していく。しかし、充電時間が短い場合には電圧変化が小さくなり、ほぼ定電圧による充電とみなすことができる。したがって、このフィードバックループによる充電は、電流の目標値に応じた電力値での充電となる。さらに、高効率のDCDCコンバータにおいては、入力電力および出力電力がほぼ等しくなるので、DCDCコンバータ200aが高効率DCDCコンバータである場合には、DCDCコンバータ200aは、可変電力負荷とみなすことができる。
【0149】
したがって、システム300は、図9および図10で説明した実施形態と同様に、最大電力点を実現する負荷制御を実行できる。以上の通り、システム300は、最大電力点に近い電力で蓄電装置350を充電できる。
【0150】
図16Bは、負荷装置としてDCDCコンバータ200bを用いたシステム300の構成の別例を示すブロック図である。図16Bでは、システム300は、降圧型のDCDCコンバータ200aを用いる図16Aの例と異なり、昇圧型のDCDCコンバータ200bを用いている。
【0151】
DCDCコンバータ200bにおいては、スイッチ202、ダイオード204、およびインダクタ206の接続関係がDCDCコンバータ200aと相違する。これにより、DCDCコンバータ200bのスイッチ202、ダイオード204、およびインダクタ206は、昇圧型のチョッパ回路を構成している。
【0152】
昇圧型のチョッパ回路は、降圧型のチョッパ回路と接続関係が相違するので、スイッチ202をオンまたはオフとしたそれぞれの場合に、電源10aまたは接地と、インダクタ206を介して回路出力との間に構成される回路の構成は相違する。一方で、スイッチ202が、インダクタ206に流れる直流電流を制御する点においては、降圧型のDCDCコンバータ200aも、昇圧型のDCDCコンバータ200bと同様である。
【0153】
DCDCコンバータ200bのインダクタ206の一端は、電源10Aに接続される。一方、インダクタ206の他端には、ダイオード204のカソードとスイッチ202の一端とが接続される。また、スイッチ202の他端は接地され、ダイオード204のアノードは、スイッチ制御部210に接続される。
【0154】
昇圧型のDCDCコンバータ200bを用いた場合でも、降圧型のDCDCコンバータ200aと同様に、蓄電装置350をほぼ定電圧によって充電できる。高効率のDCDCコンバータ200bを用いた場合には、DCDCコンバータ200bを可変電力負荷とみなすことができる。
【0155】
したがって、システム300は、DCDCコンバータ200bを用いた場合であっても、図9および図10で説明した実施形態と同様に、最大電力点を実現する負荷制御を実行できる。以上の通り、システム300は、最大電力点に近い電力で蓄電装置350を充電できる。
【0156】
図17は、システム400の構成の一例を示すブロック図である。システム400は、システム100に対応する構成として、スイッチ160、負荷装置110a、サンプリング装置120、スケーリング装置130、比較器140、および制御装置150を備える。さらに、システム400は、スイッチ220、サンプリング装置222、比較器224、およびDCDCコンバータ250を備える。
【0157】
システム400の負荷装置110aは、ダミー負荷として機能する。負荷装置110aは、スイッチ220を介して電源10aに接続され、スイッチ220がオンの場合に電源10aから供給されるエネルギーを消費する。システム400の負荷装置110aの負荷は、システム100と同様、可変抵抗であっても、可変電流源であっても、可変電力負荷であってもよい。
【0158】
スイッチ160は、電源10aから負荷装置110aへの直流電流の入力をオンまたはオフする。まず、スイッチ160をオンし、スイッチ220をオフした場合に、サンプリング装置120、スケーリング装置130、比較器140、および制御装置150が、図1Aおよび図2のシステム100と同様に負荷装置110aの可変負荷を調整する。
【0159】
設定部152は、比較器140が出力する信号Vcomp1に基づいて、負荷装置110aの可変負荷を設定する。これにより、設定部152は、nが規定回数以上となるまで、負荷装置110aの可変負荷について、最大電力点推定を行う。なお、比較器140の出力する信号Vcomp1は、システム100の信号Vcompに対応するが、後述の信号Vcomp2と区別するために、システム400では信号Vcomp1として参照される。
【0160】
次に、サンプリング装置222は、可変負荷が最大電力点を与える場合の電圧Voを電圧VMPPとしてサンプリングする。その後、スイッチ160がオフし、スイッチ220がオンすると、システム400は、DCDCコンバータ250の動作を制御する。
【0161】
比較器224は、電圧VMPPと、DCDCコンバータ250を負荷として電源10aから印加される電圧Voとを比較する。このように、比較器224は、電圧VMPPの値を基準電圧値として、基準電圧値を電圧Voと比較して、比較結果に応じて異なる論理レベルを有する信号Vcomp2を出力する。
【0162】
DCDCコンバータ250は、DCDCコンバータ200aまたはDCDCコンバータ200bと同様の構成を含んでよい。また、DCDCコンバータ250内のスイッチ制御部(不図示)は、信号Vcomp2に基づいて、電圧Voの値が電圧VMPPの値以上の場合、DCDCコンバータ250の入力に接続されたスイッチ(不図示)のオンまたはオフの制御を実行する。一方、スイッチ制御部は、電圧Voが電圧VMPPより小さい場合、スイッチのオンオフの制御を実行しない。
【0163】
スイッチ160は、「第1スイッチ」に相当する。また、スイッチ220は、「第2スイッチ」に相当する。
【0164】
図18Aは、システム400の動作シーケンスの前半の一例を示すフローチャートである。図中示される動作シーケンスは、S200~S226のステップを含む。図18Aの一部は、図2と共通するので、以下では主に図2との相違点に着目して説明する。
【0165】
まず、システム400は、ダミー負荷である負荷装置110aの負荷を設定すべくスイッチ160をオンする(S200)。一方、システム400は、DCDCコンバータ250側はオフしておく。このために、システム400は、スイッチ220をオフする(S202)。S200およびS202は、同時に行われてよく、順番を逆にして行われてもよい。
【0166】
この後に行われるS204からS222までは、負荷装置110aの負荷がダミー負荷となることを除き、図2のS100AからS118Aまでと同様であるので説明を省略する。S204からS222までが規定回数行われることにより、規定回数を十分大きく取っていれば、最大電力点が実現される。ここで、S204からS222までのシーケンスを一回行っただけで、最大電力点に達しない場合には、S204からS222までのシーケンスは複数回繰り返されてもよい。
【0167】
次いで、設定部152は、負荷装置110aの負荷量を最大電力点が実現される場合の負荷量L(n)に設定する(S224)。この場合に、サンプリング装置222は、可変負荷が最大電力点を与える場合の電圧Voを電圧VMPPとしてサンプリングする。以降の制御は図18Bへと引き継がれる。
【0168】
図18Bは、システム400の動作シーケンスの後半の一例を示すフローチャートである。S224から引き継がれたシステム400が行う制御が示される。図中示される動作シーケンスは、S228~S244のステップを含む。
【0169】
まず、システム400は、DCDCコンバータ250側をオンすべく、スイッチ220をオンする(S228)。一方、システム400は、ダミー負荷である負荷装置110a側を切断すべくスイッチ220をオフする(S230)。
【0170】
次に、システム400は、タイマー(不図示)をオンする(S230)。タイマーは、以下のS234~S242のステップを行う期間を計時する。タイマーは、システム400の内部に設けられてよく、システム400の外部に設けられてもよい。
【0171】
次いで、比較器224は、電圧VMPPと、DCDCコンバータ250を負荷とした場合の電圧Voとを比較する(S234)。比較器224は、Vo>VMPPが成立するか否かに応じて異なる論理レベルの信号Vcomp2を出力する(S236)。
【0172】
DCDCコンバータ250内のスイッチ制御部は、信号Vcomp2の論理レベルに基づいて、Vo>VMPPが成立する場合に、DCDCコンバータ250のスイッチのオンまたはオフの制御を実行する。このように、システム400は、DCDCコンバータ250を起動する(S238)。次いで、システム400は、制御をS242に引き渡す。
【0173】
一方、Vo≦VMPPである場合、スイッチ制御部は、スイッチのオンオフの制御を実行しない。これにより、システム400は、DCDCコンバータ250を停止する(S240)。次いで、システム400は、制御をS242に引き渡す。
【0174】
次いで、タイマーは、経過時間を計時し(S242)、タイマーの計時時間が規定時間に達したかが判定され(S244)、規定時間に達した場合には処理が終了し、規定時間に達していない場合には、処理がS234に返される。S234~S242では、電圧Voが最大電力点を実現する入力電圧値VMPPと等しくなるように、DCDCコンバータ250の起動または停止が繰り返される。つまり、タイマーの計時時間が規定時間に達するまで、S236の条件が満たされるか否かに基づいて、スイッチ制御部は、S236~S242までの条件処理を繰り返す。これにより、システム400は、電源10aから最大電力点でDCDCコンバータ250から電力を取り出せる。
【0175】
S230,S242,S244のタイマーに関連する処理により、DCDCコンバータ250は、タイマーの規定時間だけ最大電力点で動作する。タイマーの規定時間は、サンプリング装置222の電圧保持特性と、電源の開放電圧と、出力抵抗の時間的変化の速度等と、を勘案して決定されてよい。
【0176】
ここで、図18Aおよび図18Bに示されるステップS200~S244の全体を通したステップを一回のシーケンスとすることができる。S204からS222までにおける、nの規定回数を増やすと、1回のシーケンスで到達する最大電力点の精度が高まる。一方で、nの規定回数の増大は最大電力点推定に使用する時間の増大を招く。
【0177】
したがって、最大電力点の推定精度と、推定効率とがトレードオフの関係になる。シーケンスを連続して繰り返す場合には、一回のシーケンスで最大電力点に到達しなくても、複数回のシーケンスで最大電力点に到達できるので、一回のシーケンスで最大電力点に到達しなくてもよくなる。システム400のユーザは、所望に応じて、規定回数とシーケンス繰り返し回数とを設定することにより、推定精度および推定効率のバランスの最適化を図ることができる。
【0178】
本実施形態では、サンプリング装置120およびスケーリング装置130と、比較器140とを同時に動作させ、サンプリング装置222および比較器224を同時に動作させる場合が説明された。ただし、サンプリング装置120の行うサンプリング、サンプリング装置222の行うサンプリング、比較器140の比較、比較器224の比較のそれぞれは、同時に行われる必要はない。即ち、これらの組み合わせのうちのいずれかが時分割で行われてもよい。
【0179】
図19は、サンプリング装置120およびスケーリング装置130の構成の一例を示す回路図である。サンプリング装置120は、スイッチ122およびコンデンサ124を含む。スケーリング装置130は、スイッチ132、スイッチ134、およびコンデンサ136を含む。
【0180】
スイッチ122は、負荷装置110aが負荷量L(n)となった場合にオンする。スイッチ122の一端は、電源10a,10bに接続されており、電源10a,10bからは、電圧Voが供給される。したがって、電源10a,10bからの電圧Voは、スイッチ122を介して、スケーリング装置130の出力となる電圧Vsampに接続される。
【0181】
コンデンサ124は、スイッチ122から供給される電荷を蓄積されるコンデンサである。コンデンサ124の電極のうち一方は、スイッチ122の他端に接続され、コンデンサ124の電極のうち他方は接地される。
【0182】
スケーリング装置130には、コンデンサ124に蓄積された電荷に基づく電圧が入力され、スイッチ132以降の回路の動作によりスケーリングされた電圧が出力される。したがって、スイッチ132の一端は、スケーリング装置130の入力および出力の間のノードに接続される。
【0183】
コンデンサ136は、スイッチ132がオンであり、スイッチ134がオフである場合に、電荷を蓄積し、これにより、スケーリング装置130から出力される電圧をスケーリングするためのコンデンサである。スイッチ134と、コンデンサ136の電極のうち一方とは、スイッチ132の他端に接続される。コンデンサ136の電極のうち他方は、接地される。
【0184】
以下では、図20を参照して、図19のサンプリング装置120およびスケーリング装置130の動作について説明する。図20は、サンプリング装置120およびスケーリング装置130の動作の一例を示すタイミング図である。
【0185】
時刻t0において、スイッチ122,132,134はオフである。図中、スイッチ122,132,134のそれぞれをオンにする場合、"H"レベルに対応する電圧が印加され、スイッチ122,132,134のそれぞれをオフにする場合、"L"レベルに対応する電圧が印加されることが示されている。
【0186】
時刻t1において、負荷装置の負荷がL(n)に設定され、電圧Voが電圧値Vinを示す。これに応じて、スイッチ122がオンし、コンデンサ124に電圧Vinが充電される。また、スイッチ134がオンし、コンデンサ136の電圧が放電されて、0V(接地電圧)となる。
【0187】
次いで、時刻t2において、スイッチ122がオフし、スイッチ134がオフする。これにより、コンデンサ124には、時刻t2での入力電圧である電圧値Vinがサンプリングされ、コンデンサ136には0Vがサンプリングされる。
【0188】
時刻t3において、スイッチ132がオンする。これにより、コンデンサ124にサンプリングされていた電圧Vinは、コンデンサ124,136に再分配され、スケーリング装置130は、(2/3)×Vinを電圧Vsampとして出力する。これにより、K=2/3の場合のサンプリングおよびスケーリングが実行される。サンプリングおよびスケーリングの処理を終えた後、時刻t4において、スイッチ132がオフされる。
【0189】
コンデンサ124および136の容量比を選ぶことにより、K<1を満たす異なるKの値に対するサンプリングおよびスケーリングを実現できる。サンプリング装置120およびスケーリング装置130が、コンデンサおよびスイッチの組み合わせ(不図示)、またはスイッチおよびオペアンプの組み合わせ(不図示)を含むことにより、K>1の構成とすることもできる。
【0190】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0191】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0192】
10 電源
12 電圧源
14 抵抗
16 定電流源
18,204 ダイオード
100,300,400 システム
110 負荷装置
112,118 可変抵抗
114 可変電流源
116 可変電力負荷
118 可変抵抗
120,180,222 サンプリング装置
124,136 コンデンサ
130,170,190 スケーリング装置
122,132,134,160,202,220 スイッチ
140,224 比較器
150 制御装置
152 設定部
192 A/Dコンバータ
194 第1のメモリ
196 第2のメモリ
198 判定部
200,250 DCDCコンバータ
204 ダイオード
206 インダクタ
210 スイッチ制御部
212 D/Aコンバータ
214 検出装置
215 加算器
216 積分器
218 パルス発生器
250 DCDCコンバータ
350 蓄電装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20