(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066620
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】伸縮性を有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240509BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240509BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176118
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幹司
(72)【発明者】
【氏名】中田 充
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA52
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD24
5F142CD25
5F142CD32
5F142CD44
5F142CD49
5F142DB24
5F142FA03
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】伸縮自在な伸縮性樹脂基板2と、伸縮性樹脂基板2の上に配置された非伸縮性樹脂基板3と、非伸縮性樹脂基板3の上に配置された半導体素子4と、伸縮性樹脂基板2の非伸縮性樹脂基板3と対向する面側に伸縮自在に設けられた配線層13a,13bと、非伸縮性樹脂基板3を貫通した状態で設けられた貫通電極9a,9bとを備え、貫通電極9a,9bは、配線層13a,13bと電気的に接続された状態で、配線層13a,13bの伸縮に追従して弾性変形可能に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の上に配置された非伸縮性樹脂基板と、
前記非伸縮性樹脂基板の上に配置された半導体素子と、
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた配線層と、
前記非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で設けられた貫通電極とを備え、
前記貫通電極は、前記配線層と電気的に接続された状態で、前記配線層の伸縮に追従して弾性変形可能に設けられていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
【請求項2】
前記配線層は、前記伸縮性樹脂基板に埋め込まれた状態で、前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面と面一に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項3】
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた絶縁層を備え、
前記配線層は、前記絶縁層に埋め込まれた状態で、前記絶縁層と面一に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項4】
前記配線層と前記貫通電極とは、互いに一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項5】
前記伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の粘着力により前記伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項6】
前記伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた密着層を備え、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板に前記密着層を介して貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項7】
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の面内に複数並んで配置され、
前記半導体素子は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置され、
前記伸縮性樹脂基板は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、伸縮性を有する半導体装置がある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。このような伸縮性を有する半導体装置は、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能な有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイや、感圧センサなどの電子デバイスの駆動に必要である。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、支持表面を有するフレキシブル基板と、曲面状内表面を有する半導体構造とを備え、曲面状内表面の少なくとも一部がフレキシブル基板の支持表面に結合されている伸縮性半導体素子が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、樹脂基板上に1つ又は複数の半導体素子を形成し、半導体素子を内側封止層で覆って構成した半導体搭載基材が、エラストマーからなる伸縮性樹脂フィルムに1つ又は複数埋設され、伸縮性樹脂フィルムに半導体素子に接続される導電回路が形成され、半導体搭載基材の周囲が外側封止層で覆われた伸縮性デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-281406号公報
【特許文献2】特開2015-149364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した伸縮性を有する半導体装置では、伸縮性を有する基板の上に薄膜トランジスタ(TFT)などの半導体素子を形成している。しかしながら、従来の半導体装置では、基板を伸縮させた際に、伸縮部となる基板と、非伸縮部となる半導体素子との間で剥離が生じ易く、半導体素子の特性が不安定となることがあった。
【0007】
また、基板を伸縮させた際に、伸縮する基板側の配線と、半導体素子側の電極との間で電気的な接続を維持することが困難となり、断線してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の上に配置された非伸縮性樹脂基板と、
前記非伸縮性樹脂基板の上に配置された半導体素子と、
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた配線層と、
前記非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で設けられた貫通電極とを備え、
前記貫通電極は、前記配線層と電気的に接続された状態で、前記配線層の伸縮に追従して弾性変形可能に設けられていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
〔2〕 前記配線層は、前記伸縮性樹脂基板に埋め込まれた状態で、前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面と面一に設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔3〕 前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた絶縁層を備え、
前記配線層は、前記絶縁層に埋め込まれた状態で、前記絶縁層と面一に設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔4〕 前記配線層と前記貫通電極とは、互いに一体に形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔5〕 前記伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の粘着力により前記伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔6〕 前記伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた密着層を備え、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板に前記密着層を介して貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔7〕 前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の面内に複数並んで配置され、
前記半導体素子は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置され、
前記伸縮性樹脂基板は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1中に示す線分A-Aによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図3】
図1中に示す線分B-Bによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図4】
図2に示す半導体装置の伸張時の状態を示す断面図である。
【
図5】
図3に示す半導体装置の伸張時の状態を示す断面図である。
【
図6】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図7】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図8】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図9】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図10】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図11】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図12】
図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、
図1中に示す線分A-Aに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、
図1中に示す線分B-Bに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
【
図15】実施例において半導体装置の特性を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとし、Y軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとは直交する第2の方向Yとし、Z軸方向を電磁波センサの面内に対して直交する第3の方向Zとして示すものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
(半導体装置)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図5に示す伸縮性を有する半導体装置1Aの構成について説明する。
なお、
図1は、半導体装置1Aの構成を示す平面図である。
図2は、
図1中に示す線分A-Aによる半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。
図3は、
図1中に示す線分B-Bによる半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。
図4は、
図2に示す半導体装置1Aの伸張時の状態を示す断面図である。
図5は、
図3に示す半導体装置1Aの伸張時の状態を示す断面図である。
【0015】
本実施形態の半導体装置1Aは、
図1~
図3に示すように、伸縮性樹脂基板2と、伸縮性樹脂基板2の面内に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板3と、非伸縮性樹脂基板3の各々の面上に配置された複数の半導体素子4とを備えている。
【0016】
本実施形態の半導体装置1Aでは、半導体素子4の一例として、発光ダイオード(LED)素子(以下、必要に応じて「LED素子4」という。)を伸縮性樹脂基板2の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並べて配置した構成を例示している。
【0017】
伸縮性樹脂基板2は、粘着性を有するアクリル系粘着組成物を含むフィルム基板であり、その中でも、透明性や耐候性、耐熱性に優れ、凹凸面に対する追従性や曲面接着力及び保持力に優れたアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
伸縮性樹脂基板2には、例えば、粘着性を有するアクリル系粘着組成物として、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有するモノマーを50質量%以上の割合で含む粘着性を有するアクリル系ポリマーを用いることができる。また、伸縮性樹脂基板2は、粘着付与樹脂として、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂などを含む構成としてもよい。また、伸縮性樹脂基板2は、フィルム基板を構成する樹脂材料として、引張伸び率が100%以上の樹脂であり、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレンブタジエン樹脂などを用いることができる。また、伸縮性樹脂基板2の厚さは、0.005~1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.05~1mmである。
【0019】
伸縮性樹脂基板2の粘着力は、「JIS Z 0237」に基づいて測定される180°引き剥がし粘着力において、例えば、5N/2mm以上であることが好ましく、より好ましくは7N/20mm以上である。伸縮性樹脂基板2の粘着力の高さは、非伸縮性樹脂基板3との剥離を抑制し、一体化するために必要な要素であり、粘着力の上限については特に制限されるものではない。
【0020】
伸縮性樹脂基板2は、長寿命化及び耐久性の向上を図るため、伸縮させた後に元の形状への復元性があることが好ましい。具体的には、100%伸張させた後の復元率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。復元率が低いと耐久性が得られにくくなる。復元率の調整は、アクリル系ポリマーの架橋度や平均分子量により調整することが知られており、この手法により調整が可能である。
【0021】
複数の非伸縮性樹脂基板3は、可撓性を有する樹脂(プラスチック)製のフィルム基板であり、伸縮性樹脂基板2の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。また、各非伸縮性樹脂基板3は、上述した伸縮性樹脂基板2が有する粘着力によって、伸縮性樹脂基板2の一方の面(表面)側に貼着可能となっている。
【0022】
非伸縮性樹脂基板3には、例えば、ポリイミド(PI)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ナノセルロースなどを用いることができる。その中でも、半導体素子等の形成時に必要や熱焼成や薬液処理などに対する耐熱性や耐薬品性に優れたPIを用いることが好ましい。また、非伸縮性樹脂基板3の厚さは、0.1~100μmであることが好ましく、より好ましくは1~10μmである。
【0023】
また、非伸縮性樹脂基板3は、伸縮性樹脂基板2に密着層5を介して貼着されていることが好ましい。密着層5は、伸縮部となる伸縮性樹脂基板2と、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3との間の密着性を向上させるための層であり、非伸縮性樹脂基板3の伸縮性樹脂基板2と対向する面上に形成されている。
【0024】
密着層5には、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜や窒化シリコン(SiNx)膜などの無機酸化膜、又はこれらの積層膜を用いることができる。また、密着層5の厚さは、5~200nmであることが好ましく、より好ましくは10~20nmである。
【0025】
LED4素子は、非伸縮性樹脂基板3の一方の面(上面)上に配置された第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されている。第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7には、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属又はそれらの合金、若しくはそれらの金属を2種類以上積層した導電膜を用いることができる。
【0026】
第1の上部電極層6と第2の上部電極層7とは、非伸縮性樹脂基板3の面上において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとに延在しながら、互いに立体的に交差するように配置されている。
【0027】
このため、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との互いに交差する位置には、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との間を電気的に絶縁する絶縁層8が設けられている。絶縁層8には、例えば、窒化シリコン(SiNx)膜や酸化シリコン(SiO2)などを用いることができる。
【0028】
LED素子4の一端は、第1の上部電極層6から幅方向に突出した電極部6aを介して第1の上部電極層6と電気的に接続されている。LED素子4の他端は、第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0029】
第1の上部電極層6の両端は、非伸縮性樹脂基板3を貫通して設けられた一対の第1の貫通電極9a,9bと電気的接続されている。一対の第1の貫通電極9a,9bは、非伸縮性樹脂基板3を貫通する一対の第1の孔部10a,10bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0030】
また、第2の上部電極層7の両端は、非伸縮性樹脂基板3を貫通して設けられた一対の第2の貫通電極11a,11bと電気的接続されている。一対の第2の貫通電極11a,11bは、非伸縮性樹脂基板3を貫通する一対の第2の孔部12a,12bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0031】
第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bは、第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに、例えば、弾性のあるエラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を埋め込むことによって形成されている。
【0032】
エラストマーとしては、柔軟性を付与することから、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることができる。
【0033】
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、金属ナノフレークなどを用いることができる。
【0034】
伸縮性樹脂基板2の一方の面(上面)上には、伸縮性を有する一対の第1の配線層13a,13b及び一対の第2の配線層14a,14bが設けられている。第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bには、例えば、弾性のあるエラストマーに導電性フィラーを分散させて導電性を持たせた導電性弾性材料や、金などの金属配線を蛇腹状に湾曲形状をさせたものなどの伸縮性を有する導電層を用いることができる。
【0035】
エラストマーとしては、柔軟性を付与することから、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることができる。
【0036】
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、金属ナノフレークなどを用いることができる。また、伸縮時に導電性を損なわないためには、ワイヤー状やフレーク状のものを用いることが好ましく、伸張時にネットワーク状の構造を形成することが可能であり、導電性パスを維持することが可能である。
【0037】
一対の第1の配線層13a,13bは、一対の第1の貫通電極9a,9bと一体に形成されることによって、これら一対の第1の貫通電極9a,9bと電気的に接続されている。
【0038】
また、一対の第1の配線層13a,13bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第1の方向Xにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第1の方向Xに延在して設けられている。すなわち、一対の第1の配線層13a,13bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第1の方向Xにおいて隣り合うもの同士の間で共有されている。
【0039】
一対の第2の配線層14a,14bは、一対の第2の貫通電極11a,11bと一体に形成されることによって、これら一対の第2の貫通電極11a,11bと電気的に接続されている。
【0040】
また、一対の第2の配線層14a,14bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第2の方向Yにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第2の方向Yに延在して設けられている。すなわち、一対の第2の配線層14a,14bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第2の方向Yにおいて隣り合うもの同士の間で共有されている。
【0041】
なお、本実施形態の半導体装置1Aでは、非伸縮性樹脂基板3の上に、LED素子4の少なくとも一部を覆う保護層(図示せず。)が設けられた構成としてもよい。保護層は、非伸縮性樹脂基板3の上に形成されるLED素子4の歪みを抑制し、LED素子4の特性を安定化させる効果を有している。
【0042】
保護層には、例えばエポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの有機膜を用いることができる。その中でも、1μm以上の厚膜化が可能であり、光によるパターン形成が可能な光反応性のエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ネガ型のフォトレジスト材料であるSU-8などを用いることができる。また、保護層の厚みは、0.1~5μmであることが好ましく、より好ましくは1~2μmである。
【0043】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1Aでは、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮性樹脂基板2が伸縮自在とされている。本実施形態の半導体装置1Aでは、上述した密着層5を介して各非伸縮性樹脂基板3が伸縮性樹脂基板2と強固に貼着されている。
【0044】
これにより、本実施形態の半導体装置1Aでは、伸縮性樹脂基板2を第1の方向Xと第2の方向Yとに伸縮させた際に、伸縮部となる伸縮性樹脂基板2と、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3との間で剥離することを防止することが可能である。また、LED素子4は、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3の上に設けられているため、伸縮性樹脂基板2による伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0045】
また、本実施形態の半導体装置1Aでは、
図2及び
図4に示すように、上述した伸縮性樹脂基板2の第1の方向Xにおける伸縮に対して、第1の配線層13a,13bの伸縮に追従して第1の貫通電極9a,9bが弾性変形可能に設けられている。これにより、伸縮性樹脂基板2の第1の方向Xに伸縮させた場合でも、各第1の配線層13a,13bと各第1の貫通電極9a,9bとの間の電気的な接続を維持することが可能である。
【0046】
一方、本実施形態の半導体装置1Aでは、
図3及び
図5に示すように、上述した伸縮性樹脂基板2の第2の方向Yにおける伸縮に対して、第2の配線層14a,14bの伸縮に追従して第2の貫通電極11a,11bが弾性変形可能に設けられている。これにより、伸縮性樹脂基板2の第2の方向Yに伸縮させた場合でも、各第2の配線層14a,14bと各第2の貫通電極11a,11bとの間の電気的な接続を維持することが可能である。
【0047】
したがって、本実施形態の半導体装置1Aでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
【0048】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置1Aの製造方法について、
図6~
図12を参照しながら説明する。
なお、
図6~
図12は、半導体装置1Aの製造工程を順に説明するための断面図である。また、
図6~
図12では、
図1中に示す線分A-Aに対応した断面図を示している。
【0049】
上記半導体装置1Aを製造する際は、先ず、
図6に示すように、第1の支持基板21の上に、複数の非伸縮性樹脂基板3となる非伸縮性樹脂基材30を形成する。具体的には、第1の支持基板21にガラス基板を用い、この第1の支持基板21の上に、上述した非伸縮性樹脂基板3となるPIを含む塗液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥させることによって、PIフィルムからなる非伸縮性樹脂基材30を形成する。
【0050】
次に、
図7に示すように、非伸縮性樹脂基材30の各非伸縮性樹脂基板3となる部分の周囲と、各非伸縮性樹脂基板3の第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとなる部分とを、フォトリソグラフィー技術を用いたドライエッチングにより除去することによって、複数の非伸縮性樹脂基板3と、各非伸縮性樹脂基板3を貫通する第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとを形成する。
【0051】
次に、
図8に示すように、各非伸縮性樹脂基板3の第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bを埋め込み形成する。
【0052】
第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bは、ディスプレンサによる吐出法などを用いて、第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに導電性弾性材料を埋め込んだ後、必要に応じて焼成することによって形成される。
【0053】
その後、各非伸縮性樹脂基板3の上に、第1の上部電極層6、絶縁層8及び第2の上部電極層7を形成する。
【0054】
次に、
図9に示すように、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に再剥離用フィルムテープ22を介して第2の支持基板23を貼り付ける。
【0055】
次に、
図10に示すように、第1の支持基板21を剥離する。具体的には、レーザーリフトオフを用いて、第1の支持基板21側からレーザー光を照射し、複数の非伸縮性樹脂基板3と第1の支持基板21との界面をアブレーションすることによって、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離した第1の支持基板21を除去する。
【0056】
次に、
図11に示すように、伸縮性樹脂基板2の上に、エラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を用いて、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成した後、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に密着層5を介して伸縮性樹脂基板2を貼着する。
【0057】
第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bのパターン形成には、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィー印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、エアロゾルジェット印刷、ステンシル印刷などの印刷法や、ディスプレンサによる吐出法などを用いて、導電性弾性材料を第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bの形状にパターン形成する。
【0058】
その後、必要に応じて、導電性弾性材料を焼成することで伸縮性を有する第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成することが可能である。また、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bは、第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bと一体に形成された状態となる。
【0059】
なお、導電性弾性材料の焼成については、第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bを形成する導電性弾性材料と、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成する導電性弾性材料とを別々に焼成してもよく、これらの導電性弾性材料を同時に焼成してもよい。
【0060】
次に、
図12に示すように、第2の支持基板23を再剥離用フィルムテープ22と共に、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離して除去する。その後、各非伸縮性樹脂基板3の第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されるように、各非伸縮性樹脂基板3の上にLED素子4を実装する。
以上の工程を経ることによって、上記
図1に示す半導体装置1Aを作製することが可能である。
【0061】
本実施形態の半導体装置1Aの製造方法では、上述した伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることを可能とした半導体装置1Aを歩留まり良く製造することが可能である。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図13及び
図14に示す半導体装置1Bについて説明する。
【0063】
なお、
図13は、半導体装置1Bの構成を示し、
図1中に示す線分A-Aに対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。
図14は、半導体装置1Bの構成を示し、
図1中に示す線分B-Bに対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記半導体装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0064】
本実施形態の半導体装置1Bは、
図13及び
図14に示すように、伸縮性樹脂基板2に形成された一対の第1の溝部15a,15bに、一対の第1の配線層13a,13bが埋め込まれた状態で、伸縮性樹脂基板2の非伸縮性樹脂基板3と対向する面と面一となるように設けられた構成である。
【0065】
また、本実施形態の半導体装置1Bは、伸縮性樹脂基板2に形成された一対の第2の溝部16a,16bに、一対の第2の配線層14a,14bが埋め込まれた状態で、伸縮性樹脂基板2の非伸縮性樹脂基板3と対向する面と面一となるように設けられた構成である。
【0066】
第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bは、第1の溝部15a,15b及びに第2の溝部16a,16bに埋め込まれることよって、伸縮性を有しながら、その形状を第1の溝部15a,15b及び第2の溝部16a,16bの形状に合わせて保持することが可能である。
【0067】
さらに、本実施形態の半導体装置1Bは、上記半導体装置1Aの構成のうち、密着層5を省略し、上述した粘着性を有する伸縮性樹脂基板2の粘着力によって、複数の非伸縮性樹脂基板3が伸縮性樹脂基板2に貼着された構成である。
【0068】
本実施形態の半導体装置1Bは、それ以外は、上記半導体装置1Aと基本的に同じ構成を有し、上記半導体装置1Aと基本的に同じ製造方法を用いて作製することが可能である。
【0069】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1Bでは、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮性樹脂基板2が伸縮自在とされている。本実施形態の半導体装置1Bでは、上述した粘着性を有する伸縮性樹脂基板2の粘着力によって、各非伸縮性樹脂基板3が伸縮性樹脂基板2と強固に貼着されている。
【0070】
これにより、本実施形態の半導体装置1Bでは、伸縮性樹脂基板2を第1の方向Xと第2の方向Yとに伸縮させた際に、伸縮部となる伸縮性樹脂基板2と、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3との間で剥離することを防止することが可能である。また、LED素子4は、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3の上に設けられているため、伸縮性樹脂基板2による伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0071】
また、本実施形態の半導体装置1Bでは、上述した伸縮性樹脂基板2の第1の方向Xにおける伸縮に対して、第1の配線層13a,13bの伸縮に追従して第1の貫通電極9a,9bが弾性変形可能に設けられている。これにより、伸縮性樹脂基板2の第1の方向Xに伸縮させた場合でも、各第1の配線層13a,13bと各第1の貫通電極9a,9bとの間の電気的な接続を維持することが可能である。
【0072】
一方、本実施形態の半導体装置1Bでは、上述した伸縮性樹脂基板2の第2の方向Yにおける伸縮に対して、第2の配線層14a,14bの伸縮に追従して第2の貫通電極11a,11bが弾性変形可能に設けられている。これにより、伸縮性樹脂基板2の第2の方向Yに伸縮させた場合でも、各第2の配線層14a,14bと各第2の貫通電極11a,11bとの間の電気的な接続を維持することが可能である。
【0073】
したがって、本実施形態の半導体装置1Bでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記伸縮性樹脂基板2は、上述した粘着性を有するものに必ずしも限定されるものではなく、粘着性を持たないものであってよい。この場合、非伸縮性樹脂基板3は、伸縮性樹脂基板2に密着層5を介して貼着すればよい。
【0075】
また、上記第1の配線層13a,13b及び上記第2の配線層14a,14bについては、伸縮性樹脂基板2に形成された絶縁層に埋め込まれた状態で、伸縮性樹脂基板2の非伸縮性樹脂基板3と対向する面と面一となるように設けられた構成としてもよい。
【0076】
また、本実施形態の半導体装置1A,1Bは、半導体素子としてLED素子4を備えた構成となっているが、各非伸縮性樹脂基板3の上にTFT等を形成し、各非伸縮性樹脂基板3が1つの画素デバイスを構成することによって、伸縮自在なストレッチャブルディスプレイを実現すると共に、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能なディスプレイを形成することが可能である。なお、画素デバイスを構成する場合、上述したLED素子4の代わりに、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光素子を用いることも可能である。
【0077】
また、本発明が適用される半導体装置については、上述した発光素子を備えた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、受光素子、歪みセンサ、圧力センサなどの半導体素子を備えた電子デバイスとすることも可能である。
【実施例0078】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0079】
本実施例では、先ず、第1の支持基板21となるガラス基板の上に、非伸縮性樹脂基材30となるPIフィルムを形成する。PIフィルムフィルムの形成には、ポリイミドワニス(宇部興産社製)をスピンコートにより成膜した後、窒素雰囲気中において400℃、1時間の熱処理を行った。これにより、約15μmの厚みを有するPIフィルムを形成した。
【0080】
次に、PIフィルムの各非伸縮性樹脂基板3となる部分の周囲と、各非伸縮性樹脂基板3の第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとなる部分とを、フォトリソグラフィー技術を用いたドライエッチングにより除去することによって、複数の非伸縮性樹脂基板3と、各非伸縮性樹脂基板3を貫通する第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとを形成した。
【0081】
次に、各非伸縮性樹脂基板3の第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに、エラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を埋め込むことによって、第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bを形成した。その後、各非伸縮性樹脂基板3の上に、シリコン酸化膜からなる絶縁層8と、モリブデン合金膜からなる第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7とをパターン形成した。
【0082】
次に、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に再剥離用フィルムテープ22を介して第2の支持基板23となるガラス基板を貼り付けた。
【0083】
次に、レーザーリフトオフを用いて、第1の支持基板21側からレーザー光を照射し、複数の非伸縮性樹脂基板3と第1の支持基板21との界面をアブレーションすることによって、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離した第1の支持基板21を除去した。
【0084】
次に、アクリル系粘着フィルムからなる伸縮性樹脂基板2の上に、エラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を用いて、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bをパターン形成した後に、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に塗布した密着層5に対して、伸縮性樹脂基板2を加熱圧着することによって、複数の非伸縮性樹脂基板3に対して伸縮性樹脂基板2を貼着した。
【0085】
次に、第2の支持基板23を再剥離用フィルムテープ22と共に、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離して除去した。その後、各非伸縮性樹脂基板3の第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されるように、各非伸縮性樹脂基板3の上にLED素子4を実装した。
以上の工程を経ることによって、伸縮性を有する半導体装置1Aを作製した。
【0086】
この伸縮性を有する半導体装置1Aについて、伸縮性樹脂基板2を伸張したときの伸縮性樹脂基板2の伸張率(%)に対するLED素子4に流れる電流の抵抗値(Ω)の変化を測定した。その測定結果を
図15に示す。
【0087】
なお、本測定では、伸縮性樹脂基板2の両端を互いに離間する方向に伸張したときの伸張率を0~50%の範囲で10%毎に変化させ、各伸張率での測定を行い、伸張後についても測定を行った。
【0088】
図15に示すように、伸縮性樹脂基板2の伸張に対して、LED素子4に流れる電流の抵抗値の変化が低く抑えられ、良好な特性を示していることがわかる。
【0089】
また、
図15には示されていないが、同様の測定を繰り返しても、ばらつきが極めて小さく、何れも良好な特性が得られたため、再現性に優れていることも確認した。
【0090】
さらに、伸縮したときのTFTの特性の安定化についても、伸張率が0%の場合と伸張率が50%の場合との比較において同じ良好な特性を確認した。
【0091】
したがって、本実施例の半導体装置1Aでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
1A,1B…半導体装置 2…伸縮性樹脂基板 3…非伸縮性樹脂基板 4…半導体素子(LED素子) 5…密着層 6…第1の上部電極層 7…第2の上部電極層 8…絶縁層 9a,9b…第1の貫通電極 10a,10b…第1の孔部 11a,11b…第2の貫通電極 12a,12b…第2の孔部 13a,13b…第1の配線層 14a,14b…第2の配線層 15a,15b…第1の溝部 16a,16b…第2の溝部