(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066672
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/35 20060101AFI20240509BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240509BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240509BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20240509BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61K8/35
A61K8/44
A61K8/67
A61K8/368
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176239
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 美優
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB472
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、カンフルを含みながらも、苦味が抑制された口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】本発明の口腔用組成物は、(A)カンフル、(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カンフル、(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、口腔用組成物。
【請求項2】
前記(B)成分は、トラネキサム酸である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記(C)成分は、酢酸トコフェロールである、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
さらに、(D)サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記口腔用組成物は、液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液、又は口中清涼剤である、請求項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンフルを含む口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンフルは、血行促進作用、鎮痛作用、消炎作用、清涼化作用などの作用を有する成分であり、歯磨剤や洗口剤などの口腔用組成物に広く使用されている。例えば、特許文献1では、カンフル0.05~5質量%、フェノール系抗菌剤0.0005~2質量%、及びベタイン系界面活性剤0.01~20質量%を含む口腔用組成物が提案されており、当該口腔用組成物は、バイオフィルムに対して、高い浸透殺菌作用を備えるものであることが記載されている。
【0003】
しかし、カンフルを含む口腔用組成物は、苦味があり、使用感を低下させるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、カンフルを含みながらも、苦味が抑制された口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、口腔用組成物において、カンフルと共に、トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有させることにより、カンフルに起因する苦味を抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1.(A)カンフル、(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、口腔用組成物。
項2.前記(B)成分は、トラネキサム酸である、項1に記載の口腔用組成物。
項3.前記(C)成分は、酢酸トコフェロールである、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4.さらに、(D)サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5.前記口腔用組成物は、液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液、又は口中清涼剤である、項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、口腔用組成物にカンフルと共に、トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有させることにより、カンフルに起因する苦味を効果的に抑制でき、口腔用組成物に優れた使用感を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.口腔用組成物
本発明の口腔用組成物は、(A)カンフル(以下、(A)成分と表記することがある。)、(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(B)成分と表記することがある。)、及び(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、(C)成分と表記することがある。)を含有することを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
【0010】
[カンフル]
本発明の口腔用組成物は、(A)成分としてカンフルを含有する。
【0011】
カンフルは、血行促進作用、鎮痛作用、消炎作用、清涼化作用などの作用を有する成分である。カンフルとしては、d-カンフル、及びdl-カンフルが挙げられる。なお、(A)成分は、カンフルを含む精油であってもよい。これらは1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されず、当該口腔用組成物に付与すべき薬効、及び当該口腔用組成物の製剤形態などに応じて適宜設定すればよい。本発明の口腔用組成物は、(A)成分に起因する苦味が抑制されているため、(A)成分の含有量は、本来的に苦味を生じさせるような量であってもよい。本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量は、例えば、0.01~5質量%であり、好ましくは0.05~4質量%、より好ましくは0.1~3質量%、更に好ましくは0.2~2質量%、より更に好ましくは0.3~1質量%である。なお、本発明の口腔用組成物がカンフルを含む精油を含有する場合には、精油中のカンフルの含有量に基づいて前記(A)成分の含有量を求める。
【0013】
[(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩]
本発明の口腔用組成物は、(B)成分としてトラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。(A)成分であるカンフルと(B)成分と(C)成分とを共存させることにより、カンフルに起因する苦味を効果的に抑制することができる。
【0014】
トラネキサム酸は、トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸とも称される化合物である。
【0015】
トラネキサム酸の誘導体としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、トラネキサム酸二量体、トラネキサム酸エステル、トラネキサム酸ビタミンエステル、トラネキサム酸アルキルアミド、及びN,N-マレオイルミノトラネキサム酸などが挙げられる。トラネキサム酸エステルの具体例としては、炭素原子数1~30のアルキルエステル;炭素原子数1~30のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基などが置換していてもよいフェニルエステルなどが挙げられる。トラネキサム酸アルキルアミドの具体例としては、トラネキサム酸メチルアミド、トラネキサム酸エチルアミドなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
トラネキサム酸及びその誘導体の塩としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの有機アミン塩;アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本発明の口腔用組成物において、(B)成分として、トラネキサム酸、トラネキサム酸の塩、トラネキサム酸の誘導体、トラネキサム酸の誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
これらの(B)成分の中でも、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、トラネキサム酸を用いることが好ましい。
【0019】
本発明の口腔用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、使用する(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、(B)成分の含有量は、(A)成分1質量部当たり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.03~0.5質量部、更に好ましくは0.04~0.3質量部、より更に好ましくは0.05~0.2質量部である。
【0020】
本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分及び(C)成分の含有量や使用する(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量としては、例えば、0.0001~5質量%であり、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、好ましくは0.001~3質量%、より好ましくは0.01~1質量%、更に好ましくは0.05~0.5質量%、より更に好ましくは0.05~0.2質量%、特に好ましくは0.05~0.1質量%である。
【0021】
[(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩]
本発明の口腔用組成物は、(C)成分としてトコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。(A)成分であるカンフルと(B)成分と(C)成分とを共存させることにより、カンフルに起因する苦味を効果的に抑制することができる。
【0022】
トコフェロールとしては、例えば、d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
トコフェロールの誘導体としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、トコフェロールの有機酸とのエステルが挙げられる。前記有機酸としては、例えば、酢酸、ニコチン酸、コハク酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0024】
トコフェロールの誘導体としては、具体的には、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール等の酢酸トコフェロール;ニコチン酸d-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等のニコチン酸トコフェロール、コハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のコハク酸トコフェロール、リノレン酸d-α-トコフェロール、リノレン酸dl-α-トコフェロール等のリノレン酸トコフェロールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
トコフェロールの誘導体の塩としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、コハク酸トコフェロールのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
本発明の口腔用組成物において、(C)成分として、トコフェロール、トコフェロールの誘導体、トコフェロールの誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
これらの(C)成分の中でも、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、酢酸トコフェロールを用いることが好ましい。
【0028】
本発明の口腔用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の比率については、使用する(C)成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、(C)成分の含有量は、(A)成分1質量部当たり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.03~0.6質量部、更に好ましくは0.04~0.5質量部、より更に好ましくは0.05~0.4質量部である。
【0029】
本発明の口腔用組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の含有量や使用する(C)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。本発明の口腔用組成物における(C)成分の含有量としては、例えば、0.0001~5質量%であり、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、好ましくは0.001~3質量%、より好ましくは0.01~1質量%、更に好ましくは0.05~0.5質量%、より更に好ましくは0.05~0.2質量%、特に好ましくは0.05~0.1質量%である。
【0030】
本発明の口腔用組成物における(C)成分に対する(B)成分の質量比((B)成分/(C)成分)は、使用する(B)成分及び(C)成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、好ましくは0.1~5、より好ましくは0.2~3、更に好ましくは0.3~2、より更に好ましくは0.4~1.5、特に好ましくは0.5~1である。
【0031】
[(D)サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩]
本発明の口腔用組成物は、さらに、(D)サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。(A)~(C)成分と、さらに(D)成分とを共存させることにより、カンフルに起因する苦味を一層効果的に抑制することができる。
【0032】
サリチル酸は、C6H4(OH)COOHで表わされる化合物である。
【0033】
サリチル酸の誘導体としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、アセチルサリチル酸、スルホサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸チタン、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミドなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
サリチル酸の塩としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、例えば、サリチル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
サリチル酸の誘導体の塩としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、アセチルサリチル酸やスルホサリチル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
本発明の口腔用組成物において、(D)成分として、サリチル酸、サリチル酸の塩、サリチル酸の誘導体、サリチル酸の誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
これらの(D)成分の中でも、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、サリチル酸メチル及び/又はサリチル酸エチルを用いることが好ましく、より好ましくはサリチル酸メチルである。
【0038】
本発明の口腔用組成物において、(A)成分に対する(D)成分の比率については、使用する(D)成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、(D)成分の含有量は、(A)成分1質量部当たり、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.3~4質量部、更に好ましくは0.3~3質量部、より更に好ましくは0.3~2質量部である。
【0039】
本発明の口腔用組成物における(D)成分の含有量は、(A)~(C)成分の含有量や使用する(D)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。本発明の口腔用組成物における(D)成分の含有量としては、例えば、0.001~5質量%であり、カンフルに起因する苦味をより効果的に抑制する観点から、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.1~2質量%、更に好ましくは0.3~2質量%、より更に好ましくは0.3~1質量%である。
【0040】
[1価低級アルコール]
本発明の口腔用組成物は、更に1価低級アルコールを含んでいてもよい。1価低級アルコールとは、炭素数5以下の1価アルコールを意味する。1価低級アルコールとしては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、炭素数2~5の1価アルコール、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの1価低級アルコールの中でも、好ましくはエタノールである。これらの1価低級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の口腔用組成物に1価低級アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、口腔用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.01~50質量%、好ましくは0.1~45質量%、より好ましくは1~45質量%、更に好ましくは1~40質量%、より更に好ましくは1~25質量%、特に好ましくは1~10質量%である。
【0042】
[多価アルコール]
本発明の口腔用組成物は、更に多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールについては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコール等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンである。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本発明の口腔用組成物に多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、口腔用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.01~50質量%、好ましくは0.1~45質量%、より好ましくは1~40質量%、更に好ましくは2~35質量%、より更に好ましくは2~30質量%である。
【0044】
[水]
本発明の口腔用組成物は、基剤として水が含まれていることが好ましい。本発明の口腔用組成物における水の含有量については、添加する成分を除いた残部であればよく、口腔用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、10~99.9質量%、好ましくは15~99質量%、より好ましくは25~98質量%、更に好ましくは30~95質量%、より更に好ましくは35~90質量%である。
【0045】
[その他の含有成分]
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、局所麻酔剤、血行促進剤、増粘剤、湿潤剤、賦形剤、界面活性剤、油脂、甘味剤、清涼化剤、香料、色素、消臭剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0046】
[剤型・形態]
本発明の口腔用組成物の剤型については、口腔内への適用が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、液状又は半固形状(ゲル状、ペースト状)が挙げられる。
【0047】
本発明の口腔用組成物の形態については、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り特に制限されないが、例えば、液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液(液体歯磨剤、洗口液は、一般にマウスリンス、マウスウォッシュ、デンタルリンス等と呼称されることがある)、口中清涼剤(マウススプレー等)、口腔用軟膏剤等の口腔衛生剤が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液、口中清涼剤である。
【0048】
2.苦味抑制方法
本発明の苦味抑制方法は、(A)カンフルを含む口腔用組成物の苦味を抑制する方法であって、
前記口腔用組成物に、(B)トラネキサム酸、その誘導体及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)トコフェロール、その誘導体及びその誘導体の塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする。
【0049】
本発明の苦味抑制方法において、(A)~(C)成分の種類や配合量、配合できるその他の成分や配合量、口腔剤型、形態等については、前記「1.口腔用組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0050】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
試験例
表1に示す組成の液剤を常法に従って調製した(表1中の数値の単位は質量%である)。味覚試験に関して訓練されている評価者5名の口に、得られた液剤500μlを含ませ、下記の判定基準に従って苦味を評価し、その平均値を求めた。参考例1の液剤は、強い苦味を感じるものであった。
<苦味の判定基準>
5:苦味を感じない。
4:参考例1の液剤に比べて苦味が非常に緩和されている。
3:参考例1の液剤に比べて苦味が十分に緩和されている。
2:参考例1の液剤に比べて苦味がやや緩和されている。
1:参考例1の液剤と同等の強い苦味を感じる。
【0052】
結果を表1に示す。カンフルと共にトラネキサム酸及び酢酸トコフェロールを含む液剤(実施例1)は、参考例1の液剤に比べて苦味が十分に緩和されていた。また、カンフルと共にトラネキサム酸、酢酸トコフェロール及びサリチル酸メチルを含む液剤(実施例2)は、参考例1の液剤に比べて苦味が非常に緩和されていた。これに対して、カンフルと共にトラネキサム酸及び酢酸トコフェロールの両方を含んでいない液剤(比較例1~8)は、参考例1の液剤と同等の強い苦味を感じ、苦味が全く緩和されていなかった。これらの結果から、カンフルと共にトラネキサム酸及び酢酸トコフェロールを含有させることにより、カンフルに起因する苦味を効果的に抑制できることがわかった。
【0053】
【0054】
製造例
表2~4に示す組成の練歯磨剤、表5~7に示す組成の洗口液、表8~10に示す組成の液体歯磨剤、表11及び12に示す組成のマウススプレーを調製した。これらを使用して、前記試験方法にて苦味を確認したところ、いずれもカンフルに起因する苦味が低減されていた。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】