(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066767
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】測定装置、加工装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
H01L21/78 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176435
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA02
5F063AA48
5F063BB16
5F063DE12
5F063DE17
5F063DE23
5F063DE32
(57)【要約】
【課題】ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定することができる測定装置、加工装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定する測定装置は、ウェーハ上のチップの少なくとも1箇所の角部を含む範囲を測定する測定部と、測定部が測定した測定結果に基づき、チップの形状又は寸法に関するチップ情報を算出する算出部と、算出部が算出したチップ情報を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後の前記ウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定する測定装置であって、
前記ウェーハ上のチップの少なくとも1箇所の角部を含む範囲を測定する測定部と、
前記測定部が測定した測定結果に基づき、前記チップの形状又は寸法に関するチップ情報を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記チップ情報を出力する出力部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記チップの複数の角部のうち、1つの角部を含む範囲と、前記1つの角部の対角にある他の角部を含む範囲と、をそれぞれ個別に測定し、
前記算出部は、前記測定部がそれぞれ個別に測定した測定結果に基づき、前記チップ情報を算出する、
請求項1に記載に測定装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記ダイシング加工により互いに交差する溝の交差部で対角に位置する2つのチップのそれぞれの角部を含む範囲を一括して測定し、
前記算出部は、前記測定部が一括して測定した測定結果に基づき、前記チップ情報を算出する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、走査型白色干渉計を含み、前記チップの少なくとも1箇所の角部における3次元形状データを取得可能である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置を備える加工装置であって、
ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工部と、
前記ダイシング加工部を制御する加工制御部と、
を備える加工装置。
【請求項6】
ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後の前記ウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定する測定方法であって、
前記ウェーハ上のチップの少なくとも1箇所の角部を含む範囲を測定し、
測定された測定結果に基づき、前記チップの形状は寸法又に関するチップ情報を算出し、
算出された前記チップ情報を出力する、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、加工装置及び測定方法に関し、特に、ウェーハをダイシングした後のチップの形状又は寸法を測定する測定装置、その測定装置を備える加工装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置によりウェーハをダイシングした後、形成された加工溝の3次元画像から、溝の形状、寸法又は位置のデータを取得し、加工状態を検証する加工装置が知られている(たとえば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加工装置の使用者にとって、ウェーハをダイシングした後の溝の形状、寸法及び位置のデータから、加工後のチップの形状又は寸法を把握することは難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウェーハをダイシングした後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定できる測定装置、加工装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の測定装置は、ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定する測定装置であって、ウェーハ上のチップの少なくとも1箇所の角部を含む範囲を測定する測定部と、測定部が測定した測定結果に基づき、チップの形状又は寸法に関するチップ情報を算出する算出部と、算出部が算出したチップ情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
第2態様の測定装置において、測定部は、チップの複数の角部のうち、1つの角部を含む範囲と、1つの角部の対角にある他の角部を含む範囲と、をそれぞれ個別に測定し、算出部は、測定部がそれぞれ個別に測定した測定結果に基づき、チップ情報を算出する。
【0008】
第3態様の測定装置において、測定部は、ダイシング加工により互いに交差する溝の交差部で対角に位置する2つのチップのそれぞれの角部を含む範囲を一括して測定し、算出部は、測定部が一括して測定した測定結果に基づき、チップ情報を算出する。
【0009】
第4態様の測定装置において、測定部は、走査型白色干渉計を含み、チップの少なくとも1箇所の角部における3次元形状データを取得可能である。
【0010】
第5態様の上記測定装置を備える加工装置は、ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工部と、ダイシング加工部を制御する加工制御部と、を備える。
【0011】
第6態様の測定方法は、ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定する測定方法であって、ウェーハ上のチップの少なくとも1箇所の角部を含む範囲を測定し、測定された測定結果に基づき、チップの形状は寸法又に関するチップ情報を算出し、算出されたチップ情報を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウェーハを個々のチップに切断するダイシング加工が施された後のウェーハ上のチップの形状又は寸法を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図3は走査型白色干渉計の模式的な断面図である。
【
図5】
図5は第1実施形態におけるチップ測定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6はダイシング後のウェーハ上のチップの平面図である。
【
図7】
図7は測定部によるチップの角部の測定を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は測定部によるチップの角部の対角にある他の角の測定を説明するための説明図である。
【
図9】
図9はチップ情報を算出する方法を説明するための説明図である。
【
図10】
図10はチップ情報を算出する方法を説明するための説明図である。
【
図11】
図11はチップ情報の出力を説明するための図である。
【
図12】
図12は第2実施形態におけるチップ測定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は第2実施形態におけるチップ測定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る測定装置、加工装置及び測定方法の実施形態について説明する。
【0015】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。ここでは、測定装置がダイシング装置に備えられている場合を例に説明する。
図1は、ダイシング装置10の斜視図である。なお、図中のXYZ軸は互いに直交する軸であり、XY軸が水平方向に平行な軸であり、Z軸が水平方向に直交する軸である。
【0016】
<ダイシング装置>
このダイシング装置10は、ロードポート12と搬送機構14と加工部16と洗浄部18とを備える。ダイシング装置10は、本発明の加工装置の一例に相当するものであり、加工部16が本発明のダイシング加工部の一例に相当する。
【0017】
ロードポート12には、フレームFにマウントされたウェーハWを多数枚収納したカセットが載置される。搬送機構14はウェーハWを搬送する。加工部16はウェーハWのダイシング加工を行う。洗浄部18はダイシング加工済みのウェーハWをスピン洗浄する。また、ダイシング装置10の筐体10Aの内部には、ダイシング装置10の各部の動作を制御する制御部60(
図4参照)等が設けられている。なお、制御部60が筐体10Aの外部に設けられていてもよい。
【0018】
ロードポート12に載置されたカセット内に収納されている未加工(未切削)のウェーハWは、搬送機構14により加工部16に搬送され、個々のチップに分断するために加工部16にて切断あるいは溝入れ加工等の切削加工が施される。そして、加工部16による加工済みのウェーハWは搬送機構14により洗浄部18に搬送され、洗浄部18により洗浄された後、搬送機構14によりロードポート12に搬送されてカセット内に収納される。
【0019】
<加工部>
図2は、加工部16の構成を示す斜視図である。
図2は、加工部16の外観斜視図である。
図2及び既述の
図1に示すように、加工部16は、既述のツインスピンドルダイサであり、一対のブレード21A、21Bと、ブレードカバー(不図示)と、一対のスピンドル22A、22Bと、顕微鏡23と、走査型白色干渉計24(以下、単に白色干渉計24)と、テーブル31と、を備える。
【0020】
加工部16は、Xベース32と、Xベース32に設けられたXガイド34、34と、Xガイド34、34でガイドされたX駆動部35と、X駆動部35によって図のX-Xで示すX軸方向に駆動されるXキャリッジ36とを有する。Xキャリッジ36にはα方向に回転する回転ユニット37を介してテーブル31が設けられている。Xキャリッジ36は、図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(X軸方向の位置)が検出される。位置センサは、例えば、リニアスケールで構成される。
【0021】
Yベース41がX駆動部35を跨ぐように設けられている。Yベース41の側面には、Yガイド42、42でガイドされ、図示しないステッピングモータとボールネジ等からなるY駆動部によって
図2にY-Yで示すY軸方向に駆動されるYキャリッジ43、43が設けられている。Yキャリッジ43、43は、それぞれ図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(Y軸方向の位置)が検出される。位置センサは、例えば、リニアスケールで構成される。
【0022】
また、Yキャリッジ43、43には各々図示しないZ駆動部によってZ軸方向に駆動されるZキャリッジ44、44が設けられている。Zキャリッジ44、44は、それぞれ図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(Z軸方向の位置)が検出される。位置センサは、例えば、リニアスケールで構成される。Zキャリッジ44、44のうち、一方のZキャリッジ44にはスピンドル22A及び顕微鏡23が設けられ、且つ他方のZキャリッジ44にはスピンドル22B及び白色干渉計24が設けられている。スピンドル22Aとスピンドル22Bとは互いに対向した状態で固定されている。スピンドル22A、22Bの各々の先端(回転軸)にブレード21A、21Bが取り付けられ、ブレード21Aとブレード21Bとが対向配置されている。
【0023】
図3は、白色干渉計24の模式的な断面図である。
図3に示すように、白色干渉計24は、所謂ミラウ型白色干渉計であり、ハウジング50と、白色光源51と、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、撮像ユニット56と、を備える。
【0024】
ハウジング50は、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、を収納する。このハウジング50内において、Z軸方向の下方側から上方側に向かって第2ビームスプリッタ55、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52が設けられている。また、ハウジング50の側面で且つ第1ビームスプリッタ52の側方側には、白色光源51が取り付けられている。さらに、ハウジング50の上側で且つ第1ビームスプリッタ52の上側には、撮像ユニット56が取り付けられている。
【0025】
白色光源51は、白色干渉計24が1垂直走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52に向けて白色光L1(可視光線の各波長域の光が混ざった光)を出射する。第1ビームスプリッタ52は、白色光源51から入射した白色光L1の一部を対物レンズ53に向けて反射する。また、第1ビームスプリッタ52は、対物レンズ53から入射した干渉光信号L4の一部を透過してこの一部を撮像ユニット56に向けて出射する。
【0026】
対物レンズ53は、第1ビームスプリッタ52から入射した白色光L1をウェーハWの集光点Pに集光させる。集光点P(集光スポット)の直径については特に限定はされない。
【0027】
ガラスプレート54は、その中央部に参照面として機能するミラー54Aを備える。ガラスプレート54(ミラー54Aを除く)は、対物レンズ53から入射した白色光L1をそのまま透過して第2ビームスプリッタ55に向けて出射する。
【0028】
第2ビームスプリッタ55は、対物レンズ53によって集光された白色光L1を測定光L2と参照光L3とに分割し、測定光L2を透過してウェーハWに照射すると共に参照光L3をミラー54Aに向けて反射する。ウェーハWに照射された測定光L2は、ウェーハWにて反射されて第2ビームスプリッタ55に入射する。また、ミラー54Aで反射された参照光L3は、第2ビームスプリッタ55に入射し且つこの第2ビームスプリッタ55にてその一部が反射される。これにより、測定光L2と参照光L3との干渉光信号L4(干渉光)が生成される。この干渉光信号L4は、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52を経て撮像ユニット56に入射する。
【0029】
参照光L3の光路長は一定であるが、測定光L2の光路長は白色干渉計24の垂直走査に応じて変化する。なお、公知のように、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロ(ほぼゼロを含む)となる場合に、可視光線の全ての波長域における測定光L2及び参照光L3の干渉が強め合うため、干渉光信号L4の信号強度が最大となる(例えば特開2017-106860号公報参照)。
【0030】
撮像ユニット56は、例えば、複数の画素(受光素子)がXY軸方向に2次元配列されたCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の2次元撮像素子を備える。この撮像ユニット56は、白色干渉計24が1回垂直走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52から入射した干渉光信号L4を画素ごとに検出(取得)する。
【0031】
[制御部の機能]
図4は、ダイシング装置10の制御部60の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御部60は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御部60の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0032】
制御部60は、既述のスピンドル22A、22B、顕微鏡23、白色干渉計24、相対移動機構49などの他に、操作部62、記憶部64、及び表示部66等と接続されている。
【0033】
操作部62は、キーボード、マウス、操作パネル、及び操作ボタン等が用いられ、使用者による各種操作の入力を受け付ける。記憶部64は、ダイシング装置10の制御プログラム(図示は省略)を記憶すると共に、後述の測定部により測定された測定結果、算出部76により算出されたチップの形状又は寸法に関するチップ情報などを記憶する。表示部66は、例えば液晶ディスプレイ等の公知の各種モニタが用いられる。この表示部66は、ダイシング装置10の各種の設定画面、又は算出部76によるチップ情報などを表示する。
【0034】
制御部60は、記憶部64に記憶されている不図示の制御プログラムを実行することで加工制御部70、顕微鏡制御部72、白色干渉計制御部74、算出部76、及び出力部78として機能する。
【0035】
加工制御部70は、スピンドル22A、22Bによるブレード21A、21Bの回転駆動を制御する。また、加工制御部70は、X駆動部35(Xキャリッジ36)、Y駆動部(Yキャリッジ43)、及びZ駆動部(Zキャリッジ44)を含む相対移動機構49を駆動することで、テーブル31及びウェーハWに対してブレード21A、21Bを相対移動させる。加工制御部70による制御によって、ウェーハWが個々のチップにダイシング加工される。
【0036】
顕微鏡制御部72は、顕微鏡23によるウェーハWの観察及び/又は撮影を制御する。顕微鏡制御部72は、顕微鏡23の位置調整後に、顕微鏡23によるウェーハWの観察及び/又は撮影を実行させる。また、顕微鏡制御部72は、顕微鏡23から入力されたウェーハWの撮影画像に基づき、この撮影画像内のアライメントマーク(
図6参照)を公知の画像認識法で検出し、ウェーハWの分割予定ラインの位置を検出するアライメント検出を行う。そして、顕微鏡制御部72は、アライメント検出結果を加工制御部70へ出力する。アライメント検出結果に基づいて加工制御部70は、上述したように、スピンドル22A、22B及び相対移動機構49を駆動し、ウェーハWを個々のチップにダイシングする。
【0037】
白色干渉計制御部74は、白色干渉計24及び相対移動機構49の動作を制御する。例えば、白色干渉計制御部74は、測定対象位置において、白色光源51及び撮像ユニット56を作動させて、白色干渉計24をZ軸方向に走査する間、白色干渉計24による測定光L2の照射及び画素ごとの干渉光信号L4を所定撮影間隔毎に検出し、干渉縞パターンを繰り返し撮像する。
【0038】
また、白色干渉計制御部74は、演算部としても機能し、Z軸方向に走査する間に、繰り返し検出した測定光L2の照射及び画素ごとの干渉光信号に基づいて同一XY座標の画素ごとの干渉光信号L4の輝度値等から3次元形状データを取得することができる。
【0039】
白色干渉計24、相対移動機構49及び白色干渉計制御部74は、本発明の測定部の一例に相当する。相対移動機構49が白色干渉計24に備えられている場合でもよい。
【0040】
算出部76は、上述した白色干渉計制御部74による制御によって測定された測定結果に基づき、チップの寸法又は形状に関するチップ情報を算出する。算出部76の機能については、後述する。
【0041】
出力部78は、算出部76が算出したチップ情報を、表示部66に出力する。出力部78は、チップ情報を表示部66に出力する以外に、チップ情報を印刷装置に出力してもよいし、各種のデータ形式の電子データとして出力してもよい。出力部78は、使用者が利用しやすい形態でチップ情報を出力できればよい。
【0042】
<チップ測定方法>
次に、第1実施形態のダイシング装置10(測定装置の一例)において行われるチップ測定方法について説明する。なお、本発明の測定装置は、ダイシング装置10に含まれる構成要素(白色干渉計24、相対移動機構49、白色干渉計制御部74、算出部76、出力部78)により実現されるものである。
【0043】
図5は、第1実施形態におけるチップ測定方法の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず、測定対象となるダイシング加工後のウェーハWが準備される(ステップS1)。ステップS1では、ウェーハWが、加工部16で、加工制御部70の制御下、相対移動機構49及びスピンドル22A、22Bの駆動により、ダイシング加工される。
【0045】
図6に示すように、X軸方向に平行な横溝91とY軸方向に平行な縦溝92とによりチップ81、82、83及び84がウェーハW上に形成される。横溝91及び縦溝92が本発明の溝に相当する。
【0046】
アライメントマーク85がウェーハW上(チップ81)に形成されている。アライメントマーク85を基準に分割予定ラインが検出され、分割予定ラインに沿って横溝91及び縦溝92が形成される。また、ウェーハWにはパターン情報を得るためのマーク86等も形成されている。ダイシング加工後のウェーハWがテーブル31の上に準備される。
【0047】
次に、白色干渉計制御部74が、チップの1つの角部又はチップの2つの辺を含む範囲を測定する制御を行う(ステップS2)。具体的には、最初に、白色干渉計制御部74が相対移動機構49を駆動して、白色干渉計24を、チップ81の複数の角部のうち1つの角部又はチップ81の交差する2つの辺を含む範囲を測定可能な位置に移動させる。白色干渉計24は、高い分解能を有し、微細形状を測定できる。白色干渉計24の視野範囲は、例えば、チップ81の全体の大きさより小さくなる。なお、白色干渉計24の視野範囲は、チップ81の全体の大きさよりも大きくてもよい。
図7の7-1に示すように、白色干渉計制御部74は、チップ81の1つの角部又は交差する2つの辺を含む範囲を白色干渉計24の視野範囲V
1に収める。なお、白色干渉計制御部74は、顕微鏡制御部72によるアライメント検出した際の検出結果を利用することができる。白色干渉計制御部74は、チップ81の角部又は交差する2つの辺を、白色干渉計24の視野範囲V
1に速く収めることができる。なお、実施形態では、チップ81の角部又は交差する2つの辺と、横溝91及び縦溝92の一部とが視野範囲V
1に収められている。ここで、交差する2つの辺は、実際に交差していてもよいし、実際に交差せずに互いに交差し得る角度に配置された2つの辺であってもよい。
【0048】
白色干渉計24の視野範囲V1にチップ81の1つの角部を含む範囲を収めた後、白色干渉計制御部74は、白色干渉計24をZ軸方向に走査させる。白色干渉計24は、Z軸方向への走査の間、角部又は交差する2つ辺を含む領域における複数の干渉光信号を検出し、複数の干渉縞パターンを撮像する。白色干渉計制御部74は、チップ81の複数の干渉光信号から視野範囲V1における角部の3次元形状データを取得する。取得された3次元形状データは記憶部64に記憶されてもよい。
【0049】
3次元形状データは、チップ81の表面形状データ、チップ81の横溝91に沿う側面の形状データ、及びチップ81の縦溝92に沿う側面の形状データを含んでもよい。チップ81の表面形状データと側面形状データとを取得することで、例えば、
図7の7-2に示すように、側面の角度βを測定することができる。
図7-2では1つの側面の角度βを示したが、4つの側面の角度βを測定することができる。
【0050】
次に、白色干渉計制御部74が、1つの角部又は2つの辺の対角にある他の角部又は他の辺を含む範囲を測定する制御を行う(ステップS3)。具体的には、白色干渉計制御部74が相対移動機構49を駆動して、白色干渉計24を、ステップS2で測定を終えた角部又は交差する2つの辺と対角にある他の角部又は他の交差する2つの辺を含む範囲を測定可能な位置に移動させる。これにより、
図8に示すように、白色干渉計制御部74は、白色干渉計24の視野範囲V
2のみをチップ81の他の角部又は他の交差する2つの辺を含む範囲に収める。ステップS2と同様に、白色干渉計制御部74は、顕微鏡制御部72によるアライメント検出した際の検出結果を利用することができる。
【0051】
白色干渉計24の視野範囲V2にチップ81の他の角部を含む範囲を収めた後、白色干渉計制御部74は、白色干渉計24をZ軸方向に走査させる。白色干渉計24は、Z軸方向への走査の間、他の角部における複数の干渉光信号を検出し、複数の干渉縞パターンを撮像する。白色干渉計制御部74は、複数の干渉光信号又は複数の干渉縞パターンから視野範囲V2における他の角部又は他の交差する2つの辺の3次元形状データを取得する。ステップS2と同様に、取得された3次元形状データは記憶部64に記憶される。
【0052】
なお、ステップS2における視野範囲V1と、ステップS3における視野範囲V2とは測定対象とするチップ81の角部又は交差する2つの辺の位置が異なるだけで、視野の範囲は同じである。
【0053】
次に、算出部76が、チップ情報を算出する(ステップS4)。具体的には、算出部76が、白色干渉計制御部74による制御によって個別に測定された2つの角部(チップ81の1つ角部若しくは2つの交差する2つの辺、及びこの角部と対角に位置する他の角部若しくは他の2つの交差する2つの辺)の測定結果に基づき、チップ情報を算出する。
【0054】
図9に基づいて、チップ情報の一つである寸法の算出方法を説明する。
図9の9-1は、チップ81と、2つの角部を測定した際の白色干渉計24の視野範囲V
1、V
2との位置関係を示す図である。既述したように、視野範囲V
1は、ステップS2でチップ81の角部(又は交差する2つの辺)を測定した範囲であり、視野範囲V
2は、ステップS3でチップ81の対角に位置する他の角部(又は他の交差する2つの辺)を測定した範囲である。視野範囲V
1と視野範囲V
2とは、一定の距離だけ離れている。視野範囲V
1の中心座標をC
1(X
1,Y
1)とし、視野範囲V
2の中心座標をC
2(X
2,Y
2)とすると、中心座標C
1と中心座標C
2とのX軸方向の距離x
0、及びY軸方向の距離y
0は以下式で求めることができる。
(x
0,y
0)=(|X
1-X
2|,|Y
1-Y
2|)…(1)
なお、中心座標C
1及び中心座標C
2は、上述した各軸方向の位置を検出する位置センサの検出結果から取得可能である。
【0055】
図9の9-2は視野範囲V
1の拡大図であり、
図9の9-3は視野範囲V
2の拡大図である。
図9の9-2に示すように、白色干渉計制御部74による制御によってチップ81の角部を測定することで、中心座標C
1から縦溝92に沿う辺Aまでの距離x
1を求めることができる。また、中心座標C
1から横溝91に沿う辺Bまでの距離y
1を求めることができる。距離x
1は、中心座標C
1と、中心座標C
1から横溝91に平行に引いた仮想線と辺Aとの交点との間の長さである。また、距離y
1は、中心座標C
1と、中心座標C
1から縦溝92に平行に引いた仮想線と辺Bとの交点と、の間の長さである。
【0056】
同様に、
図9の9-3に示すように、白色干渉計制御部74による制御によってチップ81の他の角部を測定することで、中心座標C
2から縦溝92に沿う辺Cまでの距離x
2を求めることができ、また中心座標C
2から横溝91に沿う辺Dまでの距離y
2を求めることができる。
【0057】
横方向(X軸方向)のチップ81の長さLx、及び縦方向(Y軸方向)のチップ81の長さLyは以下式で求めることができる。なお、長さLx及び長さLyは、チップ81の表面の寸法を示す。
Lx=x
0+x
1+x
2…(2)
Ly=y
0+y
1+y
2…(3)
図9では、横溝91と縦溝92とが直交する場合を説明したが、横溝91と縦溝92とが直交しない場合がある。次に、
図10に基づいて、横溝91と縦溝92とが角度γで交差している場合のチップ情報の算出方法を説明する。
【0058】
図10の10-1に示すように、横溝91と縦溝92とが角度γで交差している。視野範囲V
1の中心座標をC
1(X
1,Y
1)とし、視野範囲V
2の中心座標をC
2(X
2,Y
2)とすると、中心座標C
1と中心座標C
2との横溝91に平行方向の距離x
0、及び縦溝92に平行方向の距離y
0は以下式で求めることができる。
【0059】
【0060】
図10の10-2は視野範囲V
1の拡大図であり、
図10の10-3は視野範囲V
2の拡大図である。
図10の10-2に示すように、白色干渉計制御部74による制御によってチップ81の角部(又は交差する2つの辺)を測定することで、中心座標C
1から縦溝92に沿う辺Aまでの距離x
1を求めることができ、また中心座標C
1から横溝91に沿う辺Bまでの距離y
1を求めることができる。距離x
1は、中心座標C
1と、中心座標C
1から横溝91に平行に引いた仮想線と辺Aとの交点との間の長さである。また、距離y
1は、中心座標C
1と、中心座標C
1から縦溝92に平行に引いた仮想線と辺Bとの交点と、の間の長さである。
【0061】
同様に、
図10の10-3に示すように、白色干渉計制御部74による制御によってチップ81の他の角部(又は他の交差する2つの辺)を測定することで、中心座標C
2から縦溝92に沿う辺Cまでの距離x
2を求めることができ、また中心座標C
2から横溝91に沿う辺Dまでの距離y
2を求めることができる。
【0062】
横溝91に平行な方向のチップ81の長さLx、及び縦溝92に平行な方向のチップ81の長さLyは以下式で求めることができる。
Lx=x
0+x
1+x
2・・・(5)
Ly=y
0+y
1+y
2・・・(6)
上述の算出手順(
図9及び
図10)では、チップ情報としてチップ81の表面の寸法(長さLx及び長さLy)を算出する場合を説明したが、実施形態では溝の形状(角度β)を測定でき、且つウェーハの厚みtが切断条件として設定されているので、チップ81の裏面の横方向のエッジ(辺)と縦方向のエッジ(辺)の位置、その位置に対応する横方向の長さ及び縦方向の長さを測定することができる。この測定を4辺で実施することにより、チップ81の裏面の寸法(裏面の横方向の長さ及び縦方向の長さ)を算出できる。
【0063】
次に、チップ情報としてチップ81の形状を算出する場合について説明する。
【0064】
算出部76は、白色干渉計制御部74による制御によって測定された視野範囲V1に含まれる辺Aと辺B、及び辺Aと辺BとからZ軸方向に延びる側面の形状と、視野範囲V2に含まれる辺Cと辺D、及び辺Cと辺DとからZ軸方向に延びる側面の形状とを、チップ81の各辺の代表形状とし、第1のチップ情報として算出する。さらに、算出部76は、4つの代表形状を、それぞれの視野範囲(V1及びV2)外に延長し、辺Bと辺Cとの交差部、辺Aと辺Dとの交差部、及び視野外の辺の形状を第2のチップ情報として算出することができる。算出部76は、最終的に、第1のチップ情報と第2のチップ情報と含めチップ81のチップ情報として算出する。
【0065】
次に、出力部78が、チップ情報を出力する(ステップS5)。具体的には、出力部78が、算出部76により算出されたチップ情報を、表示部66に出力する。
図11はチップ情報の出力を説明するための図である。
図11に示すように、表示部66は、チップ情報として、3次元形状データに基づきチップの3次元形状の画像IMを表示する。また、表示部66は、チップの寸法に関する情報として、例えば、チップの表面の寸法(X軸方向に平行の長さLx及びY軸方向に平行な長さLy)、4つの側面の角度β1~β4、チップの厚みt、及びチップの裏面の寸法(裏面のX軸方向に平行の長さLx1及びY軸方向に平行な長さLy1)等を表示することができる。なお、
図11では、画像IMに長さLx、長さLy、長さLx1及び長さLy1を表示している。
【0066】
以上説明したように、第1実施形態によれば、チップの対角に位置する2つ角部の範囲を個別に測定することで、ダイシング加工後のチップ情報(寸法又は形状)を容易に取得することができ、使用者に提供できる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、チップの1つ角部(又は交差する2つの辺)と、1つ角部の対角にある他の角部(又は他の交差する2つの辺)を測定していたのに対し、第2実施形態では、互いに交差する溝の交差部で対角に位置する2つのチップのそれぞれの角部(又は交差する2つの辺)を含む範囲を一括して測定する。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様のダイシング装置10を用いてチップに対する測定が行われる。以下、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明を行う。
【0068】
<チップ測定方法>
図12は、第2実施形態におけるチップ測定方法の一例を示すフローチャートである。
図13は、第2実施形態におけるチップ測定方法を説明するための図である。
【0069】
まず、測定対象となるダイシング加工後のウェーハWが準備される(ステップS11)。第1実施形態のステップS1と同様、ウェーハWが加工部16で、加工制御部70の制御下、相対移動機構49及びスピンドル22A、22Bにより、ダイシング加工される。ダイシング加工後のウェーハWがテーブル31の上に準備される。
【0070】
次に、白色干渉計制御部74が、ダイシング加工により互いに交差する溝の交差部で対角に位置する2つのチップのそれぞれの角部又は交差する2つの辺を含む範囲を一括して測定する制御を行う(ステップS12)。
【0071】
具体的には、
図13の13-1に示すように、白色干渉計制御部74が相対移動機構49を駆動して、白色干渉計24を、横溝91と縦溝92との交差部に移動させる。白色干渉計24は、交差部に位置するチップ81の角部(又は交差する2つの辺)、チップ82の角部(又は交差する2つの辺)、チップ83の角部(又は交差する2つの辺)、及びチップ84の角部(又は交差する2つの辺)を視野範囲Vnに収める。白色干渉計24は、
図13の13-2に示すように、チップ81の角部(又は交差する2つの辺)と、交差部でチップ81の角部(又は交差する2つの辺)と対角に位置するチップ83の角部(又は交差する2つの辺)とを、一括して測定する。第1実施形態と同様に、白色干渉計制御部74は顕微鏡制御部72によるアライメント検出した際の検出結果を利用することができる。
【0072】
上記測定において、白色干渉計制御部74は、白色干渉計24をZ軸方向に走査させる制御を行う。白色干渉計24は、Z軸方向への走査の間、チップ81の角部及びチップ83の角部(又は交差する2つの辺)における複数の干渉光信号を一括して検出し、複数の干渉縞パターンを一括して撮像する。白色干渉計制御部74は、複数の干渉光信号から視野範囲Vnにおけるチップ81の角部(又は交差する2つの辺)及びチップ83の角部(又は交差する2つの辺)の3次元形状データを取得する。取得された3次元形状データは記憶部64に記憶されてもよい。
【0073】
3次元形状データは、チップ81の表面形状データ、チップ81の側面の形状データ、チップ83の表面形状データ、及びチップ83の側面の形状データを含んでもよい。
【0074】
次に、算出部76が、チップ情報を算出する(ステップS13)。具体的には、算出部76が、白色干渉計制御部74による制御によって一括して測定された角部又は交差する2つの辺(チップ81の角部若しくは交差する2つの辺、及びチップ83の角部若しくは交差する2つの辺)の測定結果に基づき、チップ情報を算出する。
【0075】
図13に基づいて、チップ情報の算出方法を説明する。
図13の13-1に示すように、白色干渉計24は1箇所の交差部を視野範囲Vnに収める。既述したように視野範囲Vnはチップ81の角部(又は交差する2つの辺)、チップ82の角部(又は交差する2つの辺)、チップ83の角部(又は交差する2つの辺)、及びチップ84の角部(又は交差する2つの辺)を含んでいる。ここで、白色干渉計24が、視野範囲Vnに含まれるチップ81の角部と対角に位置する角部を含む交差部を、仮想視野範囲Vdに収めて測定したと仮定する。仮想視野範囲Vdは、チップ81の角部、チップ87の角部、チップ88の角部、及びチップ89の角部を含んでいる。
【0076】
図13の13-2と13-3のそれぞれ交差部は、13-1に示すように、ウェーハWに連続して加工される横溝91、91・・・と、縦溝92、92・・・とにより構成される。13-2と13-3に示すように、視野範囲Vnと仮想視野範囲Vdとは、上述したように測定する交差部の位置が異なっているが、それぞれ4つの角部(又は交差する2つの辺)を含んでいる。横溝91、91・・と、縦溝92、92・・とは、予め定められた間隔で形成されるため、視野範囲Vnに含まれる交差部の4つ角部(又は交差する2つの辺)は、交差部の位置に関係なく、視野範囲Vn内の対応する位置において同じ形状となる。すなわち、13-2の視野範囲Vnにおいて測定されたチップ83の角部(又は交差する2つの辺)は、13-3の仮想視野範囲Vdにおいて測定されたチップ81の角部(又は交差する2つの辺)と推定することができる。したがって、13-2の視野範囲Vnにおいてチップ81の角部(又は交差する2つの辺)とチップ83の角部(又は交差する2つの辺)とを測定することは、チップ81の1つの角部(又は交差する2つの辺)と、1つの角部(又は交差する2つの辺)の近くに位置する他の角度(又は交差する2つの辺)とを測定することと見なすことができる。その結果、13-2の視野範囲Vnにより、チップ81の形状が推定できる。
【0077】
次に、
図13に基づいて、チップ情報の1つである寸法の算出方法を説明する。視野範囲Vnの交差部と、仮想視野範囲Vdの交差部とのX軸方向の距離をx
0、及びY軸方向の距離をy
0とし、加工品種で設定されたX軸方向のインデックスをIx、及びY軸方向のインデックスをIyとすると、距離x
0及び距離y
0は以下式で求めることができる。
(x
0,y
0)=(Ix,Iy)・・・(7)
ここで、インデックスIxは、予め設定された隣接する縦溝92の距離であり、縦溝92を形成する際の加工機の送り量であり、インデックスIyは、予め設定された隣接する横溝91の距離であり、横溝91を形成する際の加工機の送り量である。
【0078】
図13の13-2に示すように、白色干渉計24により視野範囲Vnに収めれた交差部を測定することで、視野範囲Vnの視野中心Cnからチップ81の辺Aまでの距離x
1、辺Bまでの距離y
1、チップ83の辺Cまでの距離x
2、及び辺Dまでの距離y
2を求めることができる。
【0079】
横方向(X軸方向)のチップ81の長さLx、及び縦方向(Y軸方向)のチップ81の長さLyは以下式で求めることができる。
Lx=x
0-x
1-x
2…(8)
Ly=y
0-y
1-y
2…(9)
上述の算出手順(
図13)では、チップ81の寸法をチップ情報として算出する場合を説明した。
【0080】
次に、チップ情報としてチップ81の形状を算出する場合について説明する。
【0081】
算出部76は、白色干渉計24により測定された視野範囲Vnに含まれるチップ81の辺Aと辺B、及び辺Aと辺BからZ軸方向に延びる側面の形状と、チップ83の辺Cと辺D、及び辺Cと辺DからZ軸方向に延びる側面の形状とを、チップ81の各辺の代表形状とし、第1のチップ情報として算出する。さらに、算出部76は、4つの代表形状を、それぞれの視野範囲(Vn)外に延長し、辺Bと辺Cとの交差部、辺Aと辺Dとの交差部、及び視野外の辺の形状を第2のチップ情報として算出する。算出部76は、最終的に、第1のチップ情報と第2のチップ情報と含めチップ81のチップ情報として算出する。
【0082】
次に、出力部78が、チップ情報を出力する(ステップS14)。具体的には、出力部78が、算出部76が算出したチップ情報を、例えば、
図11に示す第1実施形態と同様に表示部66に出力する。
【0083】
なお、第2実施形態では、チップの寸法及び形状の測定は、横溝91及び縦溝92ではなく、各チップの辺A、B、C及びDに対して実行される。測定が不要な領域は、マスクした状態で測定してもよいし、又は測定後に寸法及び形状の算出前に除外してもよい。また、横溝91と縦溝92とが直交しない場合でも、第1実施形態と同様にチップの形状を測定することができる。
【0084】
以上説明したように、第2実施形態によれば、縦溝と横溝の交差部で対角に位置する2つのチップの角部を一括して測定することで、第1実施形態のようにチップの測定位置を変更する必要がないので、ダイシング加工後のチップ情報(寸法又は形状)を容易且つ効率的に取得することができ、例えば、
図11に示すように、チップ情報を表示部66に出力することで、使用者に提供できる。
【0085】
[変形例]
上記実施の形態では、測定装置をブレードダイサに適用した場合を例に説明したが、本実施形態の測定装置の適用は、これに限定されるものではない。その他の加工装置にも適用できる。また、ダイシング装置については、レーザで溝を加工する装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0086】
10 ダイシング装置
10A 筐体
12 ロードポート
14 搬送機構
16 加工部
18 洗浄部
21A ブレード
21B ブレード
22A スピンドル
22B スピンドル
23 顕微鏡
24 白色干渉計
31 テーブル
32 Xベース
33 Xテーブル
34 Xガイド
35 X駆動部
36 Xキャリッジ
37 回転ユニット
41 Yベース
42 Yガイド
43 Yキャリッジ
44 Zキャリッジ
49 相対移動機構
50 ハウジング
51 白色光源
52 第1ビームスプリッタ
53 対物レンズ
54 ガラスプレート
54A ミラー
55 第2ビームスプリッタ
56 撮像ユニット
60 制御部
62 操作部
64 記憶部
66 表示部
70 加工制御部
72 顕微鏡制御部
74 白色干渉計制御部
76 算出部
78 出力部
81、82、83、84、87、88、89 チップ
85 アライメントマーク
86 マーク
91 横溝
92 縦溝