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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066782
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】伸縮性を有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240509BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20240509BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240509BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L25/04 Z
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176469
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幹司
(72)【発明者】
【氏名】中田 充
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA52
5F142BA32
5F142CB11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD24
5F142CD25
5F142CD32
5F142CD44
5F142CD49
5F142FA03
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ると共に、半導体素子の実装密度を高めることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の伸縮性樹脂基板2A及び第2の伸縮性樹脂基板2Bは、互いに積層された状態で、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aの隣り合うもの同士の間及び複数の第2の非伸縮性樹脂基板3Bの隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされており、第1の半導体素子4Aと第2の半導体素子4Bとは、平面視において互いに重ならない位置に配置されると共に、第1の半導体素子4Aと第2の半導体素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12は、第1の半導体素子4Aの隣り合うもの同士の間隔D11及び第2の半導体素子4Bの隣り合うもの同士の間隔D22よりも狭くなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な第1の伸縮性樹脂基板と、
前記第1の伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の第1の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の第1の半導体素子と、
前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の上に配置された伸縮自在な第2の伸縮性樹脂基板と、
前記第2の伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の第2の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の第2の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の第2の半導体素子とを備え、
前記第1の伸縮性樹脂基板及び前記第2の伸縮性樹脂基板は、互いに積層された状態で、前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間及び前記複数の第2の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされており、
前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子とは、平面視において互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
【請求項2】
前記平面視において、前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子との隣り合うもの同士の間隔は、前記第1の半導体素子の隣り合うもの同士の間隔及び前記第2の半導体素子の隣り合うもの同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項3】
前記第1の非伸縮性樹脂基板と前記第2の非伸縮性樹脂基板とは、平面視において互いに隣り合った状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項4】
前記第1の非伸縮性樹脂基板と前記第2の非伸縮性樹脂基板とは、平面視において互いの一部が重なり合った状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1の伸縮性樹脂基板及び前記第2の伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記第1の非伸縮性樹脂基板は、前記第1の伸縮性樹脂基板の粘着力により前記第1の伸縮性樹脂基板に貼着され、
前記第2の非伸縮性樹脂基板は、前記第2の伸縮性樹脂基板の粘着力により前記第2の伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項6】
前記第1の非伸縮性樹脂基板は、前記第1の伸縮性樹脂基板との間に設けられた第1の密着層を介して前記第1の伸縮性樹脂基板に貼着され、
前記第2の非伸縮性樹脂基板は、前記第2の伸縮性樹脂基板との間に設けられた第2の密着層を介して前記第2の伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項7】
前記第1の伸縮性樹脂基板の前記第1の非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた第1の配線層と、
前記第1の非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で、前記第1の配線層と電気的に接続された第1の貫通電極と、
前記第2の伸縮性樹脂基板の前記第2の非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた第2の配線層と、
前記第2の非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で、前記第2の配線層と電気的に接続された第2の貫通電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項8】
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子は、発光素子であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項9】
伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の半導体素子とを含む積層ユニットが少なくとも2層以上積層された構造を有し、
前記伸縮性樹脂基板は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされており、
前記複数の半導体素子は、平面視において互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、伸縮性を有する半導体装置がある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。このような伸縮性を有する半導体装置は、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能な有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイや、感圧センサなどの電子デバイスの駆動に必要である。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、支持表面を有するフレキシブル基板と、曲面状内表面を有する半導体構造とを備え、曲面状内表面の少なくとも一部がフレキシブル基板の支持表面に結合されている伸縮性半導体素子が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、樹脂基板上に1つ又は複数の半導体素子を形成し、半導体素子を内側封止層で覆って構成した半導体搭載基材が、エラストマーからなる伸縮性樹脂フィルムに1つ又は複数埋設され、伸縮性樹脂フィルムに半導体素子に接続される導電回路が形成され、半導体搭載基材の周囲が外側封止層で覆われた伸縮性デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-281406号公報
【特許文献2】特開2015-149364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した伸縮性を有する半導体装置では、伸縮性を有する基板の上に薄膜トランジスタ(TFT)などの半導体素子を形成している。しかしながら、従来の半導体装置では、基板を伸縮させた際に、伸縮部となる基板と、非伸縮部となる半導体素子との間で剥離が生じ易く、半導体素子の特性が不安定となることがあった。
【0007】
また、基板を伸縮させた際に、伸縮する基板側の配線と、半導体素子側の電極との間で電気的な接続を維持することが困難となり、断線してしまうおそれがある。特に、基板が伸張するほど、基板と共に配線が伸張されるものの、配線の伸張率には自ずと限界がある。
【0008】
さらに、半導体素子の実装密度と配線の伸張率とはトレードオフの関係があり、非伸縮部となる半導体素子の実装間隔が狭くなるほど、隣り合う半導体素子の間で伸張する配線の伸張率が限界に達してしまうため、半導体素子の実装密度を高めることが困難となる。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ると共に、半導体素子の実装密度を高めることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 伸縮自在な第1の伸縮性樹脂基板と、
前記第1の伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の第1の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の第1の半導体素子と、
前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の上に配置された伸縮自在な第2の伸縮性樹脂基板と、
前記第2の伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の第2の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の第2の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の第2の半導体素子とを備え、
前記第1の伸縮性樹脂基板及び前記第2の伸縮性樹脂基板は、互いに積層された状態で、前記複数の第1の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間及び前記複数の第2の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされており、
前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子とは、平面視において互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
〔2〕 前記平面視において、前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子との隣り合うもの同士の間隔は、前記第1の半導体素子の隣り合うもの同士の間隔及び前記第2の半導体素子の隣り合うもの同士の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔3〕 前記第1の非伸縮性樹脂基板と前記第2の非伸縮性樹脂基板とは、平面視において互いに隣り合った状態で配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔4〕 前記第1の非伸縮性樹脂基板と前記第2の非伸縮性樹脂基板とは、平面視において互いの一部が重なり合った状態で配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔5〕 前記第1の伸縮性樹脂基板及び前記第2の伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記第1の非伸縮性樹脂基板は、前記第1の伸縮性樹脂基板の粘着力により前記第1の伸縮性樹脂基板に貼着され、
前記第2の非伸縮性樹脂基板は、前記第2の伸縮性樹脂基板の粘着力により前記第2の伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔6〕 前記第1の非伸縮性樹脂基板は、前記第1の伸縮性樹脂基板との間に設けられた第1の密着層を介して前記第1の伸縮性樹脂基板に貼着され、
前記第2の非伸縮性樹脂基板は、前記第2の伸縮性樹脂基板との間に設けられた第2の密着層を介して前記第2の伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔7〕 前記第1の伸縮性樹脂基板の前記第1の非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた第1の配線層と、
前記第1の非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で、前記第1の配線層と電気的に接続された第1の貫通電極と、
前記第2の伸縮性樹脂基板の前記第2の非伸縮性樹脂基板と対向する面側に伸縮自在に設けられた第2の配線層と、
前記第2の非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で、前記第2の配線層と電気的に接続された第2の貫通電極とを備えることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔8〕 前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子は、発光素子であることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔9〕 伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の上に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の半導体素子とを含む積層ユニットが少なくとも2層以上積層された構造を有し、
前記伸縮性樹脂基板は、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在とされており、
前記複数の半導体素子は、平面視において互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ると共に、半導体素子の実装密度を高めることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図2図1中に示す半導体装置の断面図である。
図3図1中に示す線分A-Aによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図4図1中に示す線分B-Bによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図5図1に示す半導体装置の伸張時の状態を示す平面図である。
図6図2に示す半導体装置の伸張時の状態を示す断面図である。
図7図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図8図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図9図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図10図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図11図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図12図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図13図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図14】第1の積層ユニットの構成を示す平面図である。
図15】第2の積層ユニットの構成を示す平面図である。
図16】非伸縮部と伸縮部との寸法を示す平面図である。
図17】非伸縮部と伸縮部との寸法割合に対する素子間の伸張率と配線層の伸張率との関係をグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとし、Y軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとは直交する第2の方向Yとし、Z軸方向を半導体装置の面内に対して直交する第3の方向Zとして示すものとする。
【0015】
(半導体装置)
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1図6に示す伸縮性を有する半導体装置1の構成について説明する。
なお、図1は、半導体装置1の構成を示す斜視図である。図2は、図1中に示す半導体装置1の断面図である。図3は、図1中に示す線分A-Aによる半導体装置1の要部を拡大した断面図である。図4は、図1中に示す線分B-Bによる半導体装置1の要部を拡大した断面図である。図5は、図1に示す半導体装置1の伸張時の状態を示す平面図である。図6は、図2に示す半導体装置1の伸張時の状態を示す断面図である。なお、図2では、便宜上、第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bの断面との図1中に示す線分A-Aに対応した断面をまとめて示している。
【0016】
本実施形態の半導体装置1は、図1図3に示すように、伸縮自在な第1の伸縮性樹脂基板2Aと、第1の伸縮性樹脂基板2Aの面内に並んで配置された複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aと、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aの各々の面上に配置された複数の第1の発光素子4Aと、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aの上に配置された伸縮自在な第2の伸縮性樹脂基板2Bと、複数の第2の伸縮性樹脂基板2Bの面内に並んで配置された複数の第2の非伸縮性樹脂基板3Bと、複数の第2の非伸縮性樹脂基板3Bの各々の面上に配置された複数の第2の発光素子4Bとを備えている。
【0017】
第1の伸縮性樹脂基板2A及び第2の伸縮性樹脂基板2Bは、粘着性を有するアクリル系粘着組成物を含むフィルム基板であり、その中でも、透明性や耐候性、耐熱性に優れ、凹凸面に対する追従性や曲面接着力及び保持力に優れたアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bには、例えば、粘着性を有するアクリル系粘着組成物として、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有するモノマーを50質量%以上の割合で含む粘着性を有するアクリル系ポリマーを用いることができる。また、第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bは、粘着付与樹脂として、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂などを含む構成としてもよい。また、第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bは、フィルム基板を構成する樹脂材料として、引張伸び率が100%以上の樹脂であり、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレンブタジエン樹脂などを用いることができる。また、第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bの厚さは、0.005~1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.05~1mmである。
【0019】
第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bの粘着力は、「JIS Z 0237」に基づいて測定される180°引き剥がし粘着力において、例えば、5N/2mm以上であることが好ましく、より好ましくは7N/20mm以上である。第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bの粘着力の高さは、第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bとの剥離を抑制し、一体化するために必要な要素であり、粘着力の上限については特に制限されるものではない。
【0020】
第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bは、長寿命化及び耐久性の向上を図るため、伸縮させた後に元の形状への復元性があることが好ましい。具体的には、100%伸張させた後の復元率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。復元率が低いと耐久性が得られにくくなる。復元率の調整は、アクリル系ポリマーの架橋度や平均分子量により調整することが知られており、この手法により調整が可能である。
【0021】
第1の非伸縮性樹脂基板3A及び第2の非伸縮性樹脂基板3Bは、可撓性を有する樹脂(プラスチック)製のフィルム基板であり、各伸縮性樹脂基板2A,2Bの面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。また、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bは、上述した各伸縮性樹脂基板2A,2Bが有する粘着力によって、各伸縮性樹脂基板2A,2Bの一方の面(表面)側に貼着可能となっている。
【0022】
第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bには、例えば、ポリイミド(PI)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ナノセルロースなどを用いることができる。その中でも、半導体素子等の形成時に必要や熱焼成や薬液処理などに対する耐熱性や耐薬品性に優れたPIを用いることが好ましい。また、第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bの厚さは、0.1~100μmであることが好ましく、より好ましくは1~10μmである。
【0023】
また、各第1の非伸縮性樹脂基板3Aは、各第1の伸縮性樹脂基板2Aに第1の密着層5Aを介して貼着されていることが好ましい。一方、各第2の非伸縮性樹脂基板3Bは、各第2の伸縮性樹脂基板2Bに第2の密着層5Bを介して貼着されていることが好ましい。
【0024】
第1及び第2の密着層5A,5Bは、伸縮部となる各伸縮性樹脂基板2A,2Bと、非伸縮部となる各非伸縮性樹脂基板3A,3Bとの間の密着性を向上させるための層であり、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの各伸縮性樹脂基板2A,2Bと対向する面上に形成されている。
【0025】
第1及び第2の密着層5A,5Bには、例えば、酸化シリコン(SiO)膜や窒化シリコン(SiN)膜などの無機酸化膜、又はこれらの積層膜を用いることができる。また、各密着層5A,5Bの厚さは、5~200nmであることが好ましく、より好ましくは10~20nmである。
【0026】
複数の第1の発光素子4Aは、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aと共に、第1の伸縮性樹脂基板2Aの面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。
【0027】
複数の第2の発光素子4Bは、複数の第2の非伸縮性樹脂基板3Bと共に、第2の伸縮性樹脂基板2Bの面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。
【0028】
各発光素子4A,4Bは、発光ダイオード(LED)素子であり、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bに実装されることによって、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの一方の面(上面)上に配置された第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0029】
第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7には、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属又はそれらの合金、若しくはそれらの金属を2種類以上積層した導電膜を用いることができる。
【0030】
第1の上部電極層6と第2の上部電極層7とは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの面上において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとに延在しながら、互いに立体的に交差するように配置されている。
【0031】
このため、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との互いに交差する位置には、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との間を電気的に絶縁する絶縁層8が設けられている。絶縁層8には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜や酸化シリコン(SiO)などを用いることができる。
【0032】
各発光素子4A,4Bの一端は、第1の上部電極層6から幅方向に突出した電極部6aを介して第1の上部電極層6と電気的に接続されている。各発光素子4A,4Bの他端は、第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0033】
第1の上部電極層6の両端は、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bを貫通して設けられた一対の第1の貫通電極9a,9bと電気的接続されている。一対の第1の貫通電極9a,9bは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bを貫通する一対の第1の孔部10a,10bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0034】
また、第2の上部電極層7の両端は、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bを貫通して設けられた一対の第2の貫通電極11a,11bと電気的接続されている。一対の第2の貫通電極11a,11bは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bを貫通する一対の第2の孔部12a,12bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0035】
第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bは、第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに、例えば、弾性のあるエラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を埋め込むことによって形成されている。
【0036】
エラストマーとしては、柔軟性を付与することから、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることができる。
【0037】
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、金属ナノフレークなどを用いることができる。
【0038】
第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bの一方の面(上面)上には、伸縮性を有する一対の第1の配線層13a,13b及び一対の第2の配線層14a,14bが設けられている。第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bには、例えば、弾性のあるエラストマーに導電性フィラーを分散させて導電性を持たせた導電性弾性材料や、金などの金属配線を蛇腹状に湾曲形状をさせたものなどの伸縮性を有する導電層を用いることができる。
【0039】
エラストマーとしては、柔軟性を付与することから、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることができる。
【0040】
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、金属ナノフレークなどを用いることができる。また、伸縮時に導電性を損なわないためには、ワイヤー状やフレーク状のものを用いることが好ましく、伸張時にネットワーク状の構造を形成することが可能であり、導電性パスを維持することが可能である。
【0041】
一対の第1の配線層13a,13bは、一対の第1の貫通電極9a,9bと一体に形成されることによって、これら一対の第1の貫通電極9a,9bと電気的に接続されている。また、一対の第1の配線層13a,13bは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの第1の方向Xにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第1の方向Xに延在して設けられている。
【0042】
一対の第2の配線層14a,14bは、一対の第2の貫通電極11a,11bと一体に形成されることによって、これら一対の第2の貫通電極11a,11bと電気的に接続されている。また、一対の第2の配線層14a,14bは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの第2の方向Yにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第2の方向Yに延在して設けられている。
【0043】
なお、本実施形態の半導体装置1では、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に、各発光素子4A,4Bの少なくとも一部を覆う保護層(図示せず。)が設けられた構成としてもよい。保護層は、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に形成される各発光素子4A,4Bの歪みを抑制し、各発光素子4A,4Bの特性を安定化させる効果を有している。
【0044】
保護層には、例えばエポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの有機膜を用いることができる。その中でも、1μm以上の厚膜化が可能であり、光によるパターン形成が可能な光反応性のエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ネガ型のフォトレジスト材料であるSU-8などを用いることができる。また、保護層の厚みは、0.1~5μmであることが好ましく、より好ましくは1~2μmである。
【0045】
本実施形態の半導体装置1は、第1の伸縮性樹脂基板2A、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3A及び複数の第1の発光素子4Aを含む第1の積層ユニット50Aと、第2の伸縮性樹脂基板2B、複数の第2の非伸縮性樹脂基板3B及び複数の第2の発光素子4Bを含む第2の積層ユニット50Bとが順次積層された構造を有している。
【0046】
このため、第1の伸縮性樹脂基板2Aと第2の伸縮性樹脂基板2Bとは、互いに積層された状態で一体化された伸縮性樹脂基板20を構成している。また、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aは、第2の伸縮性樹脂基板2Bに埋め込まれた状態で配置されている。一方、各第1の発光素子4Aは、第2の伸縮性樹脂基板2Bの一方の面(上面)から露出している。
【0047】
なお、各第1の発光素子4Aについては、必ずしも第2の伸縮性樹脂基板2Bの一方の面(上面)から露出している必要はなく、第2の伸縮性樹脂基板2Bが透明樹脂からなる場合には、第2の伸縮性樹脂基板2Bの一方の面(上面)から露出していなくてもよい。
【0048】
第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとは、伸縮性樹脂基板20の面内に対して直交する第3の方向Zにおいて異なる位置に配置されている。また、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとは、伸縮性樹脂基板20の平面視において互いに重ならない位置に配置されている。具体的に、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとは、第1の方向Xと第2の方向Yとにおいて、千鳥状に交互にずらして配置されている。
【0049】
第1の非伸縮性樹脂基板3Aと第2の非伸縮性樹脂基板3Bとは、平面視において互いに隣り合った状態で配置されている。また、第1の非伸縮性樹脂基板3Aと第2の非伸縮性樹脂基板3Bとは、平面視において互いの一部が重なり合った状態で配置されている。
【0050】
これにより、第1の方向Xと第2の方向Yとにおいて、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12は、第1の発光素子4Aの隣り合うもの同士の間隔D11及び第2の発光素子4Bの隣り合うもの同士の間隔D22よりも狭くなっている。
【0051】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1では、上述した第1及び第2の密着層5A,5Bを介して各非伸縮性樹脂基板3A,3Bが各伸縮性樹脂基板2A,2Bと強固に貼着されている。
【0052】
これにより、伸縮性樹脂基板20を伸縮させた際に、各伸縮性樹脂基板2A,2Bと各非伸縮性樹脂基板3A,3Bとの間で剥離することを防止することが可能である。また、各発光素子4A,4Bは、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に設けられているため、各伸縮性樹脂基板2A,2Bによる伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0053】
本実施形態の半導体装置1では、上述した伸縮性樹脂基板20を伸縮させた際に、複数の第1の非伸縮性樹脂基板3Aの隣り合うもの同士の間で第1の伸縮性樹脂基板2Aと、複数の第2の非伸縮性樹脂基板3Bの隣り合うもの同士の間で第2の伸縮性樹脂基板2Bとが伸縮自在とされている。
【0054】
ところで、本実施形態の半導体装置1では、上述した第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとが平面視において互いに重ならないように、これら第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12を狭めて配置することで、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの実装間隔を狭めて、これら発光素子4A,4Bの実装密度を実質的に高めることが可能である。
【0055】
また、本実施形態の半導体装置1では、上述した第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12よりも、第1の発光素子4Aの隣り合うもの同士の間隔D11及び第2の発光素子4Bの隣り合うもの同士の間隔D22が広くなっている。
【0056】
この場合、伸縮性樹脂基板20の伸張時に、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12が広がる割合よりも、第1の発光素子4Aの隣り合うもの同士の間隔D11及び第2の発光素子4Bの隣り合うもの同士の間隔D22が広がる割合を小さくすることが可能である。
【0057】
これにより、伸縮性樹脂基板20の伸張時に、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12が広がる割合に対して、第1の伸縮性樹脂基板2A及び第2の伸縮性樹脂基板2Bと共に伸張される第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bの伸張率を低く抑えて、これら第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bの断線を防ぐことが可能である。
【0058】
さらに、伸縮性樹脂基板20を伸縮させた際の、各第1の配線層13a,13bと各第1の貫通電極9a,9bとの間の電気的な接続を維持すると共に、各第2の配線層14a,14bと各第2の貫通電極11a,11bとの間の電気的な接続を維持することが可能である。
【0059】
したがって、本実施形態の半導体装置1では、伸縮性樹脂基板20の伸縮による各発光素子4A,4Bへの影響を軽減し、各発光素子4A,4Bの動作の安定化を図ると共に、各発光素子4A,4Bの実装密度を高めることが可能である。
【0060】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置1の製造方法について、図7図15を参照しながら説明する。
なお、図7図13は、半導体装置1の製造工程を順に説明するための断面図である。図14は、第1の積層ユニット50Aの構成を示す平面図である。図15は、第2の積層ユニット50Bの構成を示す平面図である。また、図7図13では、図1中に示す線分A-Aに対応した断面図を示している。
【0061】
上記半導体装置1を製造する際は、上述した第1の積層ユニット50A及び第2の積層ユニット50Bを作製する。具体的には、先ず、図7に示すように、第1の支持基板21の上に、複数の第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bとなる非伸縮性樹脂基材30を形成する。具体的には、第1の支持基板21にガラス基板を用い、この第1の支持基板21の上に、上述した各非伸縮性樹脂基板3A,3BとなるPIを含む塗液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥させることによって、PIフィルムからなる非伸縮性樹脂基材30を形成する。
【0062】
次に、図8に示すように、非伸縮性樹脂基材30の各非伸縮性樹脂基板3A,3Bとなる部分の周囲と、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとなる部分とを、フォトリソグラフィー技術を用いたドライエッチングにより除去することによって、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bと、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bを貫通する第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bとを形成する。
【0063】
次に、図9に示すように、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bを埋め込み形成する。
【0064】
第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bは、ディスプレンサによる吐出法などを用いて、第1の孔部10a,10b及び第2の孔部12a,12bに導電性弾性材料を埋め込んだ後、必要に応じて焼成することによって形成される。
【0065】
その後、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に、第1の上部電極層6、絶縁層8及び第2の上部電極層7を形成する。
【0066】
次に、図10に示すように、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に再剥離用フィルムテープ22を介して第2の支持基板23を貼り付ける。
【0067】
次に、図11に示すように、第1の支持基板21を剥離する。具体的には、レーザーリフトオフを用いて、第1の支持基板21側からレーザー光を照射し、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bと第1の支持基板21との界面をアブレーションすることによって、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bから剥離した第1の支持基板21を除去する。
【0068】
次に、図12に示すように、第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bの上に、エラストマーに導電性フィラーを分散させた導電性弾性材料を用いて、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成した後、複数の第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に第1及び第2の密着層5A,5Bを介して第1及び第2の伸縮性樹脂基板2A,2Bを貼着する。
【0069】
第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bのパターン形成には、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィー印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、エアロゾルジェット印刷、ステンシル印刷などの印刷法や、ディスプレンサによる吐出法などを用いて、導電性弾性材料を第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bの形状にパターン形成する。
【0070】
その後、必要に応じて、導電性弾性材料を焼成することで伸縮性を有する第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成することが可能である。また、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bは、第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bと一体に形成された状態となる。
【0071】
なお、導電性弾性材料の焼成については、第1の貫通電極9a,9b及び第2の貫通電極11a,11bを形成する導電性弾性材料と、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bを形成する導電性弾性材料とを別々に焼成してもよく、これらの導電性弾性材料を同時に焼成してもよい。
【0072】
次に、図13に示すように、第2の支持基板23を再剥離用フィルムテープ22と共に、複数の第1及び第2の非伸縮性樹脂基板3A,3Bから剥離して除去する。その後、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されるように、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上に各発光素子4A,4Bを実装する。
【0073】
以上の工程を経ることによって、図14に示すような第1の積層ユニット50Aと、図15に示すような第2の積層ユニット50Bとを作製することが可能である。
【0074】
次に、第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとを積層し、第1の伸縮性樹脂基板2Aと第2の伸縮性樹脂基板2Bとを一体化した伸縮性樹脂基板20を形成する。
【0075】
第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとの積層には、上記各伸縮性樹脂基板2A,2Bと同じ材料を用いた層間密着層(図示せず。)を介して第1の伸縮性樹脂基板2Aと第2の伸縮性樹脂基板2Bとを貼着する。
【0076】
また、第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとを貼着する際は、第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとの互いに対向する面とは反対側の面に、再剥離用フィルムテープを介して支持基板を貼り付けた後に、アライメント装置を用いて、第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとを貼着することが好ましい。
【0077】
その後、支持基板を再剥離用フィルムテープと共に剥離して除去する。以上の工程を経ることによって、上記図1に示すような半導体装置1を作製することが可能である。
【0078】
本実施形態の半導体装置1の製造方法では、上述した伸縮性樹脂基板20の伸縮による各発光素子4A,4Bへの影響を軽減し、各発光素子4A,4Bの動作の安定化を図ると共に、各発光素子4A,4Bの実装密度を高めることを可能とした半導体装置1を歩留まり良く製造することが可能である。
【0079】
(配線層の伸張率)
次に、配線層の伸張率について説明する。
なお、以下の説明では、第1の配線層13a,13b及び第2の配線層14a,14bをまとめて「配線層」として扱うものとする。
【0080】
図16に示すように、非伸縮部となる各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの寸法(以下、「非伸縮部の寸法」という。)Rと、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの隣り合うもの同士の間に位置する伸縮部となる各伸縮性樹脂基板2A,2Bの寸法(以下、「伸縮部の寸法」という。)Sとしたときに、1画素分の寸法(以下、「画素ピッチ」という。)は、「R+S」である。
【0081】
また、配線層は、伸縮部と共に伸縮することから、伸縮部の伸張時における配線層の寸法をS’とした場合、配線層の伸張率[%]は、下記式(1)で表される。
配線層の伸張率={(R+S’)/(R+S)}×100 …(1)
【0082】
ここで、非伸縮部と伸縮部との寸法割合(R:S)を「4:1」、「2:1」、「1:1」、「1:2」、「1:3」とした場合について、伸縮部の伸張時に、各発光素子4A,4Bの隣り合うもの同士の間隔D11,D22が広がる割合(以下、「素子間の伸張率」という。)と、配線層の伸張率との関係を図17に示す。
【0083】
また、各寸法割合(R:S)に対して、伸縮部の伸張時に、素子間の伸張率を40%とするのに必要な配線層の伸張率を下記表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
図17及び表1に示すように、非伸縮部と伸縮部との寸法割合(R:S)を「1:1」とした場合、伸縮部の伸張時に、素子間の伸張率を40%とするのに必要な配線層の伸張率は80%である。
【0086】
本実施形態の半導体装置1では、上述した第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとを積層することで、伸縮性樹脂基板20の伸張時に、第1の発光素子4Aと第2の発光素子4Bとの隣り合うもの同士の間隔D12が広がる割合を、第1の発光素子4Aの隣り合うもの同士の間隔D11及び第2の発光素子4Bの隣り合うもの同士の間隔D22が広がる割合の1/2とすることが可能である。
【0087】
したがって、本実施形態の半導体装置1では、伸縮部の伸張時に、素子間の伸張率を40%とするのに必要な配線層の伸張率を40%に低く抑えることが可能である。
【0088】
(積層ユニットの積層)
次に、積層ユニットの積層について説明する。
上記半導体装置1では、上述した第1の積層ユニット50Aと第2の積層ユニット50Bとを積層した2層構造となっている。一方、積層ユニットの積層数については、少なくとも2層以上であればよく、3層以上とすることも可能である。
【0089】
複数の積層ユニットの積層する場合、各積層ユニットの発光素子が平面視において互いに重ならないように、発光素子の隣り合うもの同士の間隔を狭めて配置することで、発光素子の実装間隔を狭めて、発光素子の実装密度を実質的に高めることが可能である。
【0090】
また、各積層ユニットの発光素子を平面視において互いに重ならないようにずらして配置する場合、発光素子の隣り合うもの同士の間隔は、R/(R+S)画素ピッチ以上、1画素ピッチ未満の範囲でずらして配置することが好ましい。
【0091】
例えば、非伸縮部と伸縮部との寸法割合(R:S)を「1:1」とした場合は、0.5画素ピッチ以上、1画素ピッチ未満の範囲で、発光素子の隣り合うもの同士の間隔をずらして配置することが好ましい。
【0092】
さらに、積層ユニットの最大積層数は、(R/R+S)-2枚以下となる範囲で、積層ユニットを積層することが可能である。
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各伸縮性樹脂基板2A,2Bは、上述した粘着性を有するものに必ずしも限定されるものではなく、粘着性を持たないものであってよい。この場合、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bは、各伸縮性樹脂基板2A,2Bに各密着層5A,5Bを介して貼着すればよい。
【0094】
なお、本実施形態の半導体装置1は、半導体素子の一例として、上記発光素子4A,4Bを備えた構成となっているが、各非伸縮性樹脂基板3A,3Bの上にTFT等を形成し、各積層ユニット50A,50Bが1つの画素デバイスを構成することによって、伸縮自在なストレッチャブルディスプレイを実現すると共に、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能なディスプレイを形成することが可能である。なお、画素デバイスを構成する場合、上述したLED素子の代わりに、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光素子を用いることも可能である。
【0095】
また、3層の画素デバイスを積層した場合、各画素デバイスが備える発光素子が発する光を赤色光(R)と緑色光(G)と青色光(B)との3原色とすることで、カラー表示を行うことが可能である。
【0096】
また、本発明が適用される半導体装置については、上述した発光素子を備えた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、受光素子、歪みセンサ、圧力センサなどの半導体素子を備えた電子デバイスとすることも可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…半導体装置 2A…第1の伸縮性樹脂基板 2B…第2の伸縮性樹脂基板 3A…第1の非伸縮性樹脂基板 3B…第2の非伸縮性樹脂基板 4A…第1の発光素子(半導体素子) 4B…第2の発光素子(半導体素子) 5A…第1の密着層 5B…第2の密着層 6…第1の上部電極層 7…第2の上部電極層 8…絶縁層 9a,9b…第1の貫通電極 10a,10b…第1の孔部 11a,11b…第2の貫通電極 12a,12b…第2の孔部 13a,13b…第1の配線層 14a,14b…第2の配線層 20…伸縮性樹脂基板 50A…第1の積層ユニット 50B…第2の積層ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17