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特開2024-66875ストレス対策提示装置、ストレス対策提示方法、ストレス対策提示プログラム、ストレス対策提示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066875
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ストレス対策提示装置、ストレス対策提示方法、ストレス対策提示プログラム、ストレス対策提示システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240509BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240509BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240509BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240509BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/16 110
A61B5/00 102A
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176649
(22)【出願日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三好 彩香
(72)【発明者】
【氏名】田川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 朋子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 瑞紀
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PS00
4C117XB18
4C117XC11
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE73
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの状態に応じたストレス対策を提示することを目的としている。
【解決手段】ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出する算出部と、前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定する状態判定部と、前記状態判定部による判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を端末装置に出力する出力部と、を有する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出する算出部と、
前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定する状態判定部と、
前記状態判定部による判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を端末装置に出力する出力部と、を有するストレス対策提示装置。
【請求項2】
前記状態判定部は、
前記ストレス値が前記レジリエンス値よりも大きく、かつ、前記ストレス値と前記レジリエンス値との差分が所定の値以上となる場合に、前記ユーザのストレスが大きい状態であると判定する、請求項1記載のストレス対策提示装置。
【請求項3】
前記ストレス値は、
前記ユーザの生体情報から取得される心拍の変動時系列データを用いて算出され、
前記レジリエンス値は、
前記ユーザの嗜好に関する質問文を含むアンケートに対する、前記ユーザの回答の内容を示す回答内容情報に基づき算出される、請求項1又は2記載のストレス対策提示装置。
【請求項4】
前記ユーザのストレスが大きい状態であると判定された場合に、
前記ストレス値と、前記レジリエンス値と、前記回答内容情報と、前記ユーザの嗜好を示す嗜好情報とが対応付けられて格納された第一の記憶部と、嗜好情報とストレス対策情報とが対付けられて格納された第二の記憶部とを参照し、前記端末装置に対して出力するストレス対策情報を特定する対策特定部を有する、請求項3記載のストレス対策提示装置。
【請求項5】
前記ストレス対策情報は、前記ユーザの五感に作用する内容を含む、請求項4記載のストレス対策提示装置。
【請求項6】
前記出力部は、
前記生体情報に基づき特定された、前記ユーザが活動する時間帯において、前記端末装置に前記ストレス対策情報を出力する、請求項5記載のストレス対策提示装置。
【請求項7】
ストレス対策提示装置によるストレス対策提示方法であって、前記ストレス対策提示装置が、
ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出し、
前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定し、
判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を端末装置に出力する、ストレス対策提示方法。
【請求項8】
ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出し、
前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定し、
判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を端末装置に出力する、処理をストレス対策提示装置に実行させる、ストレス対策提示プログラム。
【請求項9】
ストレス対策提示装置と、前記ストレス対策提示装置とネットワークを介して通信を行う端末装置と、を含むストレス対策提示システムであって、
前記ストレス対策提示装置は、
ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出する算出部と、
前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定する状態判定部と、
前記状態判定部による判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を前記端末装置に出力する出力部と、を有し、
前記端末装置は、
前記ストレス対策提示装置から出力された前記ストレス対策情報を受信する通信部と、
前記ストレス対策情報を表示装置に表示させる表示制御部と、を有する、ストレス対策提示システム。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス対策提示装置、ストレス対策提示方法、ストレス対策提示プログラム、ストレス対策提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、生体情報から得られるストレス情報に基づきユーザのストレスレベルを推定し、推定されたストレスレベルに合致しているストレス対策候補を選択し、ユーザの端末装置の画面上に提示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/260835号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストレスの感じ方は、人それぞれ異なっており、ストレスに対する耐性には個人差が存在する。このため、上述した従来の手法で推定したストレスレベルでは、実際にユーザのストレスが大きい状態であるか否かを把握することは困難であり、個々のユーザの状態に応じたストレス対策を提示することができない。
【0005】
開示の技術では、ユーザの状態に応じたストレス対策を提示することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス値と、前記ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス値と、を算出する算出部と、前記レジリエンス値と、前記ストレス値と基づき、前記ユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定する状態判定部と、前記状態判定部による判定結果に応じて、前記ユーザのストレスを緩和させるためのストレス対策情報を端末装置に出力する出力部と、を有するストレス対策提示装置である。
【発明の効果】
【0007】
ユーザの状態に応じたストレス対策を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ストレス対策提示システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】ストレス対策提示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】ユーザデータベースの一例を示す図である。
図4】ストレス対策データベースの一例を示す図である。
図5】第一の実施形態のストレス対策提示システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
図6】ストレス対策提示システムの動作を説明する第一のシーケンス図である。
図7】ストレス対策提示システムの動作を説明する第二のシーケンス図である。
図8】ストレス対策提示装置の処理を説明するフローチャートである。
図9】端末装置の表示例を示す図である。
図10】第二の実施形態のストレス対策提示システムの有する各装置の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、本実施形態について説明する。図1は、ストレス対策提示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0010】
本実施形態のストレス対策提示システム100は、ストレス対策提示装置200と、端末装置300と、ウェアラブル端末400とを含む。ストレス対策提示システム100において、ストレス対策提示装置200と端末装置300とは、インターネット等のネットワークを介して接続される。
【0011】
また、ストレス対策提示システム100において、端末装置300とウェアラブル端末400とは、例えば、Bluetooth(登録商標)等による無線通信を行ってもよい。
【0012】
本実施形態のウェアラブル端末400は、端末装置300のユーザに装着されており、ユーザの生体情報を検出する。そして、ウェアラブル端末400は、検出した生体情報を端末装置300へ送信する。
【0013】
本実施形態の生体情報は、例えば、ウェアラブル端末400を装着しているユーザの心拍数、脈拍、血圧、体温等であってよい。本実施形態では、生体情報として、ユーザの心拍数の変動を示すデータを取得してもよい。
【0014】
本実施形態の端末装置300は、例えば、ストレス対策提示装置200が提供するサービスを利用するユーザが所持するものであってよい。言い換えれば、端末装置300は、ストレス対策提示装置200によってストレス対策が提示されるユーザが利用するものである。端末装置300は、ウェアラブル端末400から生体情報を受信すると、この生体情報をストレス対策提示装置200へ送信する。また、端末装置300は、ストレス対策提示装置200からストレス対策情報を受信すると、受信したストレス対策情報を表示させる。
【0015】
本実施形態における端末装置300は、例えば、スマートフォン等であってよく、ウェアラブル端末400は、腕時計型のスマートウォッチ等であってよい。
【0016】
なお、図1の例では、端末装置300とウェアラブル端末400とを別々の装置としたが、これに限定されない。端末装置300は、ウェアラブル端末400の機能を有していてもよいし、ウェアラブル端末400が端末装置300を兼ねていてもよい。
【0017】
本実施形態のストレス対策提示装置200は、アンケートデータベース210、ユーザデータベース220、ストレス対策データベース230、対策提示部240を有する。
【0018】
アンケートデータベース210は、端末装置300のユーザに対して行われるアンケートの内容を示すアンケート情報が格納される。
【0019】
ユーザデータベース220は、ウェアラブル端末400及び端末装置300のユーザに関するユーザ情報が格納される。ユーザ情報には、例えば、アンケートに対する回答の内容を示す回答内容情報、ユーザの生体情報、ユーザが感じているストレスの度合いを示す情報、ユーザのストレス耐性の度合いを示す情報等を含む。
【0020】
ストレス対策データベース230は、ストレス対策としてユーザに提示されるストレス対策情報が格納される。各データベースの詳細は、後述する。
【0021】
対策提示部240は、端末装置300から受信する生体情報と、ユーザデータベース220に格納されたユーザ情報とを用いて、ユーザの状態が、ストレスが大きい状態であるか否かを判定する。また、対策提示部240は、ユーザの状態が、ストレスが大きい状態と判定された場合に、ユーザに応じたストレス対策情報を端末装置300に対して出力する。
【0022】
本実施形態では、このように、アンケートに対する回答内容情報、ユーザに対するストレスの度合いを示す情報、ユーザのストレス耐性の度合いを示す情報を用いて、ユーザの状態を判定し、判定結果に応じて、ユーザに適したストレス対策情報を提示する。
【0023】
したがって、本実施形態によれば、ユーザの状態に応じたストレス対策を提示することができる。
【0024】
なお、図1の例では、ストレス対策提示システム100に含まれる端末装置300を1台としているが、ストレス対策提示システム100に含まれる端末装置300の数はこれに限定されず、任意であってよい。
【0025】
また、図1の例では、ストレス対策提示装置200が、アンケートデータベース210、ユーザデータベース220、ストレス対策データベース230を有するものとしたが、これに限定されない。アンケートデータベース210、ユーザデータベース220、ストレス対策データベース230は、一部又は全部がストレス対策提示装置200以外の装置に設けられていてもよい。
【0026】
また、図1の例では、ストレス対策提示装置200は1台の装置としたが、これに限定されない。ストレス対策提示装置200は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。言い換えれば、対策提示部240の機能は、複数の情報処理装置によって実現されてよい。
【0027】
次に、図2を参照して、本実施形態のストレス対策提示装置200のハードウェア構成について説明する。図2は、ストレス対策提示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0028】
本実施形態のストレス対策提示装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、演算処理装置26及びインターフェース装置27を含むコンピュータである。
【0029】
入力装置21は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えば、タッチパネル等により実現される。出力装置22は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ(表示装置)等により実現される。インターフェース装置27は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0030】
ストレス対策提示装置200が有する対策提示部240を実現させるストレス対策提示プログラムは、ストレス対策提示装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。ストレス対策提示プログラムは、例えば、記録媒体28の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。ストレス対策提示プログラムを記録した記録媒体28は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0031】
記録媒体28に記録されたストレス対策提示プログラムは、ストレス対策提示プログラムを記録した記録媒体28がドライブ装置23にセットされると、記録媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたストレス対策提示プログラムは、インターフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0032】
ストレス対策提示装置200の有する補助記憶装置24は、ストレス対策提示装置200にインストールされたストレス対策提示プログラムを格納すると共に、ストレス対策提示装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、ストレス対策提示装置200の起動時に補助記憶装置24からストレス対策提示プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26はメモリ装置25に格納されたストレス対策提示プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0033】
なお、端末装置300のハードウェア構成は、演算処理装置と、メモリ装置と、入力装置(タッチパネル)と、出力装置(ディスプレイ)とを有する情報処理端末であり、基本的な構成は、ストレス対策提示装置200と同様であるから、説明を省略する。
【0034】
次に、本実施形態のストレス対策提示装置200の有する各データベースについて説明する。始めに、アンケートデータベース210について説明する。
【0035】
アンケートデータベース210は、予めストレス対策提示装置200に設けられたものであってよく、アンケート情報は、予めアンケートデータベース210に格納されている。
【0036】
本実施形態のアンケート情報は、端末装置300のユーザに対する質問文と、質問文に対する回答として選択される複数の選択肢とが対応付けられた情報であってよい。
【0037】
本実施形態の質問文は、例えば、疲弊感に関する質問文、仕事に対する精神的距離を示す質問文、集中力の維持に関する質問文、感情的な反応に関する質問文、心理的苦痛に関する質問文、心身の不調に関する質問文が含まれてよい。また、本実施形態の質問文には、ユーザの嗜好に関する質問文が含まれてよい。
【0038】
具体的には、質問文は、例えば「こんな仕事はもうやめたいと思うことがある」、「われを忘れるほど仕事に熱中することがある」、「こまごまと気配りすることが面倒に感じることがある」、「音楽を聴くことでリラックスできることがある」、「身体を動かすと気分が良くなることがある」等のようなものである。
【0039】
本実施形態において、回答として選択される選択肢は、「いつもある」、「しばしばある」、「時々ある」、「まれにある」、「ない」等であり、各選択肢と数値とが対応付けられていてもよい。この数値は、後述するレジリエンス値の算出に用いられてもよい。
【0040】
次に、図3を参照して、本実施形態のユーザデータベース220について説明する。図3は、ユーザデータベースの一例を示す図である。
【0041】
本実施形態では、端末装置300において各種の情報が入力され、ストレス対策提示装置200において各種の処理が実行されると、ユーザ情報がユーザデータベース220に格納される。ユーザデータベース220は、第一の記憶部の一例である。ユーザ情報がユーザデータベース220に格納されるまでの動作の詳細は後述する。
【0042】
本実施形態のユーザデータベース220は、情報の項目として、ユーザID、回答内容、レジリエンス値、嗜好、ストレス値等を含み、項目「ユーザID」と、その他の項目とが対応付けられている。本実施形態のユーザ情報とは、ユーザデータベース220において、項目「ユーザID」の値と、その他の項目の値と、を含む情報である。
【0043】
項目「ユーザID」の値は、端末装置300のユーザを特定するための識別情報を示す。言い換えれば、項目「ユーザID」の値は、端末装置300を特定するための識別情報であり、端末装置300がスマートフォンである場合には、端末装置300の電話番号等であってもよい。
【0044】
項目「回答内容」の値は、アンケート情報に含まれる各質問文に対する回答の内容を示す。本実施形態において、項目「回答内容」の値は、アンケートに対する回答の内容を示す回答内容情報の一例である。
【0045】
項目「レジリエンス値」の値は、回答内容情報を用いて算出される値であり、端末装置300のユーザのストレス耐性の度合いを示す。ストレス耐性とは、ストレスに耐えられる力であり、個々のユーザによって異なる。項目「レジリエンス値」の値は、ユーザのストレス耐性の度合いを示すレジリエンス情報の一例である。
【0046】
項目「嗜好」の値は、端末装置300のユーザの嗜好を示す。項目「嗜好」の値は、項目「回答内容」に応じて抽出されてもよいし、端末装置300においてユーザから入力されてもよい。項目「嗜好」の値は、ユーザの嗜好を示す嗜好情報の一例である。
【0047】
項目「ストレス値」の値は、生体情報から算出される値であり、ユーザが感じているストレスの度合いを示す。本実施形態のストレス値は、例えば、生体情報の一部である心拍数の変動を用いて算出される値であってよい。項目「ストレス値」の値は、ユーザが感じるストレスの度合いを示すストレス情報の一例である。
【0048】
このように、本実施形態のユーザ情報は、ユーザ毎の回答内容情報、レジリエンス情報、嗜好情報、ストレス情報を含む。
【0049】
なお、ユーザ情報に含まれる項目(情報の種類)は、図3に示す例に限定されない。ユーザ情報には、図3に示す項目以外の項目が含まれてもよい。具体的には、例えば、ユーザ情報には、ユーザの活動時間帯を示す情報等が含まれていてよい。また、ユーザ情報には、ユーザがストレス対策提示システム100にログインするためのアカウント情報が含まれてよい。
【0050】
次に、図4を参照して、本実施形態のストレス対策データベース230について説明する。図4は、ストレス対策データベースの一例を示す図である。
【0051】
本実施形態のストレス対策データベース230は、第二の記憶部の一例であり、情報の項目として、嗜好と対策とを含み、両者が対応付けられている。本実施形態のストレス対策情報は、ストレス対策データベース230において、項目「嗜好」の値と対応付けられた、項目「対策」の値である。
【0052】
本実施形態のストレス対策情報は、予めストレス対策提示システム100の管理者等によって作成されて、ストレス対策データベース230に格納されていてよい。
【0053】
項目「嗜好」の値は、ユーザの嗜好を示し、アンケート情報に含まれる質問文と関連付けられていてもよい。具体的には、アンケート情報に、運動が好きか否かを問う質問文が含まれる場合には、項目「嗜好」の値に、「運動」が含まれる。項目「対策」の値は、嗜好と対応付けられたストレス対策を示すストレス対策情報である。
【0054】
このように、本実施形態のストレス対策データベース230では、嗜好毎に、ストレス対策情報が対応付けられて、格納されている。
【0055】
なお、図4は、ストレス対策情報の一例であり、本実施形態のストレス対策情報は、図4に示す例に限定されない。
【0056】
また、本実施形態のストレス対策情報は、例えば、ユーザの五感に対して作用する内容のものであってよい。五感とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚である。
【0057】
例えば、視覚に作用するストレス対策情報の一例として、「緑色の自然を眺める」、「花や星空をみる」等が挙げられる。聴覚に作用するストレス対策情報の一例として、「音楽を聴く」、「波の音を聴く」等が挙げられる。
【0058】
触覚に作用するストレス対策情報の一例とし、「特定のキャラクターのぬいぐるみをなでる」、「特定のアイテムを握る」等が挙げられる。味覚に作用するにストレス対策情報の一例とし、「甘いものを食べる」、「好きな飲み物を飲む」等が挙げられる。嗅覚に作用するストレス対策情報の一例とし、「ラベンダーの香りを嗅ぐ」、「好きな臭いを嗅ぐ」等が挙げられる。
【0059】
本実施形態では、このように、五感に対して作用する内容を含むストレス対策情報を提示することで、ユーザの緊張を和らげ、ストレスの緩和に貢献することができる。
【0060】
次に、図5を参照して、本実施形態のストレス対策提示システム100の有する各装置の機能構成について説明する。図5は、第一の実施形態のストレス対策提示システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
【0061】
始めに、端末装置300の機能について説明する。本実施形態の端末装置300は、通信部310、入力受付部320、表示制御部330を有する。
【0062】
なお、本実施形態の端末装置300の有する各機能部は、端末装置300のメモリ装置に格納されたアプリケーションプログラムを、端末装置300の演算処理装置が読み出して実行することで実現される。このアプリケーションプログラムは、例えば、ストレス対策提示装置200から端末装置300に対して配信されてもよい。
【0063】
通信部310は、端末装置300とウェアラブル端末400との情報の送受信や、端末装置300とストレス対策提示装置200との情報の送受信を行う。
【0064】
入力受付部320は、端末装置300に対する各種の入力を受け付ける。具体的には、例えば、入力受付部320は、アンケートに対する回答の入力等を受け付ける。
【0065】
表示制御部330は、端末装置300の有する表示装置(ディスプレイ)における表示を制御する。具体的には、表示制御部330は、端末装置300に表示装置にアンケート情報やストレス対策情報を表示させる。
【0066】
次に、ストレス対策提示装置200の機能について説明する。本実施形態のストレス対策提示装置200は、対策提示部240を有する。
【0067】
対策提示部240は、アンケート出力部241、情報取得部242、ストレス値算出部243、レジリエンス値算出部244、格納制御部245、状態判定部246、対策特定部247、対策出力部248を有する。
【0068】
アンケート出力部241は、アンケートデータベース210に格納されたアンケート情報を端末装置300に送信する。情報取得部242は、ストレス対策提示装置200が受信する各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部242は、生体情報、アンケート情報に対する回答内容情報等を取得する。
【0069】
ストレス値算出部243は、生体情報から、心拍の変動時系列データ(RRI(R-R Interval)データ)を取得し、RRIデータを用いてストレス値を算出する。以下に、ストレス値の算出について説明する。
【0070】
本実施形態のストレス値算出部243は、RRIデータに対して高速フーリエ変換処理を行い、RRIデータから、パワースペクトル密度を計算する。そして、ストレス値算出部243は、LF(Low-Frequency)成分とHF(High-Frequency)成分を抽出し、各成分の大きさを求める。
【0071】
LF成分とは、交感神経が緊張しているときも、副交感神経が緊張しているときも心拍変動に現れる成分であり、血圧変動に対応する0.05Hz~0.15Hzまでの低周波数成分である。HF成分とは、副交感神経が緊張(活性化)している場合にのみ現れる成分であり、呼吸変動に対応する0.15Hz~0.40Hzまでの高周波成分である。
【0072】
本実施形態では、LF成分とHF成分との比であるLF/HF比を、ストレス指標(交感神経の活性度)として用いる。LF/HF比は、小さいほど、リラックスしたストレスの小さい状態を示し、大きいほど、緊張してストレスが大きい状態を示す。
【0073】
本実施形態では、ストレス値算出部243は、RRIデータから取得したパワースペクトルのLF成分の領域の強度を合計し、LF成分の大きさとする。また、ストレス値算出部243は、RRIデータから取得したパワースペクトルのHF成分の領域の強度を合計し、HF成分の大きさとする。
【0074】
続いて、ストレス値算出部243は、LF/HF比を算出し、LF/HF比に基づき、ストレス値を取得する。ストレス値は、0~100の値として出力されるように、LF/HF比に対する閾値を設定してもよい。また、本実施形態では、ストレス値が大きいほど、ユーザが強くストレスを感じているものとする。
【0075】
また、本実施形態のストレス値算出部243は、端末装置300から生体情報を受信する度に、ストレス値を更新してよい。
【0076】
さらに、本実施形態では、心拍の変動時系列データを用いてストレス値を算出するため、ある一瞬のストレスではなく、時間の経過と共に蓄積されたストレスをストレス値として表すことができる。
【0077】
なお、本実施形態のストレス値は、上述したように、LF/HF比を用いて算出するものとしたが、これに限定されない。本実施形態のストレス値は、生体情報に含まれる値の変動の傾向を示すデータであればよい。
【0078】
レジリエンス値算出部244は、回答内容情報に基づき、レジリエンス値を算出する。具体的には、例えば、レジリエンス値算出部244は、回答内容情報に含まれる、選択肢と対応する数値に対して、統計処理等を行った結果をレジリエンス値としてもよい。また、本実施形態では、レジリエンス値算出部244は、レジリエンス値が、0~100の値となるようにしてもよい。
【0079】
このように、本実施形態のストレス値算出部243とレジリエンス値算出部244は、ストレス値とレジリエンス値とを算出する算出部を実現する。
【0080】
ここで、本実施形態の回答内容情報には、ユーザの嗜好に関する質問文に対する回答が含まれる。したがって、本実施形態のレジリエンス値は、ユーザの嗜好が考慮された値となる。
【0081】
本実施形態では、レジリエンス値が大きいほど、ストレス耐性がある(ストレスに耐える力が強い)ものとする。
【0082】
また、本実施形態では、例えば、回答内容情報において、嗜好に関する質問文への回答として選択された選択肢と対応する数値が大きいほど、レジリエンス値が大きくなるようにしてもよい。嗜好に関する質問文への回答として選択された選択肢と対応する数値が大きい場合とは、ユーザが好むものが明確に示されていることを示す。
【0083】
状態判定部246は、レジリエンス値とストレス値とに基づき、ユーザの状態を判定する。具体的には、状態判定部246は、レジリエンス値よりもストレス値の方が大きく、且つ、ストレス値とレジリエンス値の差分が、所定の値以上となった場合に、ユーザの状態が、ストレスが大きい状態と判定する。
【0084】
なお、上述した判定方法は、一例であり、状態判定部246による状態の判定方法は、これに限定されない。状態判定部246は、ストレス値とレジリエンス値とを用いて方法であれば、どのような方法でユーザの状態を判定してもよい。
【0085】
対策特定部247は、状態判定部246により、ユーザの状態が、ストレスが大きい状態と判定された場合に、このユーザの嗜好情報と、ストレス対策データベース230とを参照して、ユーザに提示すべきストレス対策情報を特定する。
【0086】
具体的には、対策特定部247は、ストレスが大きい状態と判定されたユーザのユーザ情報に含まれる項目「嗜好」の値を抽出する。そして、対策特定部247は、ストレス対策データベース230を参照し、ストレス対策データベース230において、項目「嗜好」の値が、のユーザ情報に含まれる項目「嗜好」の値と一致するストレス対策情報を、ユーザに提示すべきストレス対策情報に特定する。
【0087】
対策出力部248は、対策特定部247により特定されたストレス対策情報を、端末装置300に出力する。また、対策出力部248は、対策特定部247により特定されたストレス対策情報を、端末装置300に出力する際のタイミングを決定する。
【0088】
例えば、対策出力部248は、ユーザ情報にユーザが活動する時間帯が含まれる場合には、ユーザの活動する時間帯に、ストレス対策情報が端末装置300に表示されるように、ストレス対策情報を端末装置300に出力してもよい。なお、ユーザが活動する時間帯は、例えば、端末装置300から取得される生体情報に基づき特定されてよい。
【0089】
また、より具体的には、対策出力部248は、ユーザが活動する時間帯から、ユーザが起床してから自宅を出発するのでの間の時間帯や、ユーザが帰宅してから就寝するまでの時間帯等を特定し、特定された時間帯に、ストレス対策情報を出力するようにしてもよい。
【0090】
また、対策出力部248は、例えば、対策特定部247に特定されたストレス対策情報の内容に応じて、ストレス対策情報を出力するタイミングを決定してもよい。
【0091】
例えば、ストレス対策情報が、運動を促す情報である場合には、ユーザが自由に時間を使える時間帯に、ストレス対策情報を出力してもよい。ユーザが自由に時間を使える時間帯とは、例えば、休日や休憩時間等であってよい。
【0092】
また、例えば、ストレス対策情報が、音楽を聴くことを促す情報である場合には、ユーザが通勤時間の前や、公共交通機関で移動する時間帯の前等に、ストレス対策情報を出力してもよい。
【0093】
次に、図6を参照して、本実施形態のストレス対策提示システム100の動作について説明する。図6は、ストレス対策提示システムの動作を説明する第一のシーケンス図である。図6では、端末装置300のユーザのユーザ情報がユーザデータベース220に格納されるまでの動作を示している。
【0094】
本実施形態のストレス対策提示システム100において、端末装置300は、入力受付部320により、ストレス対策提示装置200が提供するサービスの利用を開始するための操作を受け付ける(ステップS601)。
【0095】
具体的には、端末装置300は、ユーザによるユーザIDの入力や、ストレス対策提示システム100にログインするためのアカウント情報の入力等を受け付ける。
【0096】
続いて、端末装置300は、通信部310により、ストレス対策提示装置200に対してアンケート情報の表示要求を送信する(ステップS603)。なお、この表示要求には、端末装置300を特定するためのユーザIDが含まれてよい。
【0097】
ストレス対策提示装置200の対策提示部240は、アンケート情報の表示要求を受け付けると、情報取得部242により、アンケートデータベース210に格納されたアンケート情報を取得する(ステップS603)。
【0098】
続いて、対策提示部240は、アンケート出力部241により、表示要求に含まれるユーザIDによって特定される端末装置300に対し、アンケート情報を送信する(ステップS604)。このとき、アンケート出力部241は、端末装置300に対して、生体情報の取得要求を送信する。
【0099】
端末装置300は、通信部310により、アンケート情報と、生体情報の取得要求とを受信すると、表示制御部330により、アンケート情報に基づくアンケート画面を表示させる(ステップS605)。
【0100】
続いて、端末装置300は、入力受付部320により、アンケートに対する回答の入力を受け付ける(ステップS606)。言い換えれば、端末装置300は、回答内容情報の入力を受け付ける。
【0101】
続いて、端末装置300は、通信部310により、回答内容情報をストレス対策提示装置200へ送信する(ステップS607)。
【0102】
なお、ステップS605で端末装置300に表示されるアンケート画面には、ユーザの嗜好を入力する入力欄が含まれてよい。端末装置300は、この入力欄に入力された情報を取得し、回答内容情報と共に、ユーザの嗜好情報として、ストレス対策提示装置200に送信してよい。
【0103】
また、端末装置300は、通信部310により、ウェアラブル端末400に対して生体情報の取得要求を送信する(ステップS608)。ウェアラブル端末400は、この取得要求を受け付けると、端末装置300に対して、生体情報を送信する(ステップS609)。端末装置300は、通信部310により、生体情報を受信すると、この生体情報をストレス対策提示装置200へ送信する(ステップS610)。
【0104】
なお、ステップS608からステップS610に示す処理は、ステップS605からステップS607に示す処理の前や、ステップS605からステップS607に示す処理の間に行われてもよい。
【0105】
ストレス対策提示装置200の対策提示部240は、情報取得部242により、受信した回答内容情報を取得する(ステップS611)。
【0106】
続いて、対策提示部240は、情報取得部242により、端末装置300から生体情報を取得すると、ストレス値算出部243により、ストレス値を算出する(ステップS612)。
【0107】
続いて、対策提示部240は、レジリエンス値算出部244により、回答内容情報を用いてレジリエンス値を算出する(ステップS613)。
【0108】
続いて、対策提示部240は、格納制御部245により、ステップS601で入力されたユーザIDと、ステップS611で取得した回答内容情報および嗜好情報、ステップS612で算出したストレス値、ステップS613で算出したレジリエンス値を対応付けたユーザ情報とし、ユーザデータベース220に格納する(ステップS614)。
【0109】
以上が、ユーザデータベース220にユーザ情報を格納する際のストレス対策提示システム100の動作である。
なお、図6に示すシーケンス図は、ストレス対策提示システム100の動作の一例であり、図6に示す各処理が実行されるタイミング等は、図6に示す例に限定されない。例えば、ストレス対策提示システム100では、回答内容情報および嗜好情報、生体情報が同時に取得されてもよい。
【0110】
次に、図7を参照して、端末装置300にストレス対策情報が表示されるまでのストレス対策提示システム100の動作を説明する。図7は、ストレス対策提示システムの動作を説明する第二のシーケンス図である。
【0111】
なお、図7では、状態判定部246により、ユーザのストレスが大きい状態と判定された場合の動作を示している。
【0112】
本実施形態のストレス対策提示システム100において、ウェアラブル端末400は、一定間隔毎に、生体情報を端末装置300に送信する(ステップS701)。端末装置300は、通信部310により、ウェアラブル端末400から受信した生体情報を、ストレス対策提示装置200に送信する(ステップS702)。なお、このとき端末装置300は、端末装置300を特定するユーザIDと、生体情報とを紐付けてストレス対策提示装置200に送信してよい。
【0113】
ストレス対策提示装置200の対策提示部240は、情報取得部242により、生体情報を取得すると、ユーザデータベース220を参照し、生体情報と共に受信したユーザIDと対応付けられたストレス値を、ストレス値算出部243により更新する(ステップS703)。
【0114】
続いて、対策提示部240は、状態判定部246により、ユーザの状態を判定する(ステップS704)。ステップS704において、ユーザのストレスが大きい状態と判定されると、対策提示部240は、対策特定部247により、ユーザに提示すべきストレス対策情報を特定する(ステップS705)。ステップS704とステップS705の処理の詳細は、後述する。
【0115】
続いて、対策提示部240は、対策出力部248により、ステップS705で特定されたストレス対策情報を端末装置300に送信する(ステップS706)。
【0116】
端末装置300は、通信部310により、ストレス対策情報を受信すると、表示制御部330により、端末装置300の有するディスプレイに、ストレス対策情報を表示させる(ステップS707)。端末装置300は、ストレス対策情報を受信すると、ストレス対策情報を含むポップアップ画面をディスプレイに表示させてもよい。
【0117】
このとき、端末装置300は、ストレス対策情報が端末装置300に表示されたことを示す通知をウェアラブル端末400に対して送信してもよい。具体的には、端末装置300は、ストレス対策情報が表示されたことを示す通知として、ウェアラブル端末400を振動させるための要求をウェアラブル端末400に対して出力してもよい。
なお、図7に示すシーケンス図は、ストレス対策提示システム100の動作の一例であり、図7に示す各処理が実行されるタイミング等は、図7に示す例に限定されない。
【0118】
本実施形態では、このように、ユーザが装着しているウェアラブル端末400を振動させることで、例えば、ユーザが端末装置300のディスプレイを視認できない状態であっても、ユーザに対し、端末装置300にストレス対策情報が表示されたことを把握させることができる。
【0119】
また、端末装置300がウェアラブル端末400を兼ねる場合には、端末装置300の演算処理装置は、ストレス対策情報を受信すると、端末装置300の有する振動発生器に対して、振動の発生指示を出力してもよい。振動発生器とは、例えば、端末装置300に搭載された偏心モータ等によって実現されてよい。
【0120】
また、本実施形態の端末装置300は、表示させるストレス対策情報に応じて、端末装置300にインストールされたアプリケーション等を起動させてもよい。
【0121】
例えば、端末装置300は、ストレス対策情報が表示されると、ストレス対策情報の内容に応じて、音楽再生機能を有するアプリケーションや、運動の仕方を案内するアプリケーション等を起動させてもよい。
【0122】
本実施形態では、このように、端末装置300が、ストレス対策情報が表示されることに応じた制御を行うことで、ユーザに対して、積極的にストレス対策の実行を促すことができる。
【0123】
なお、図6図7の例では、ストレス対策提示装置200がストレス値算出部243を有するものとして説明したが、ストレス値算出部243は、端末装置300やウェアラブル端末400に設けられていてもよい。
【0124】
例えば、ウェアラブル端末400にストレス値算出部243が設けられている場合には、ウェアラブル端末400は、生体情報の代わりに、ウェアラブル端末400において算出されたストレス値を、端末装置300を介してストレス対策提示装置200に送信すればよい。
【0125】
また、端末装置300がストレス値算出部243を有している場合には、端末装置300は、ウェアラブル端末400から生体情報を受信すると、生体情報を用いてストレス値を算出し、算出したストレス値をストレス対策提示装置200に送信すればよい。
【0126】
次に、図8を参照して、図7のステップS704とステップS705の処理の詳細について説明する。図8は、ストレス対策提示装置の処理を説明するフローチャートである。
【0127】
本実施形態のストレス対策提示装置200において、対策提示部240の状態判定部246は、ユーザデータベース220から、生体情報と共に受信したユーザIDと対応するレジリエンス値と、ステップS703で更新されたストレス値とを取得する(ステップS801)。
【0128】
続いて、状態判定部246は、取得したレジリエンス値とストレス値とを比較し、ユーザの状態が、ストレスの大きい高ストレス状態であるか否かを判定する(ステップS802)。
【0129】
具体的には、状態判定部246は、レジリエンス値とストレス値との大小関係を比較し、ストレス値のほうが、レジリエンス値よりも大きい場合に、ストレス値とレジリエンス値との差分を算出する。そして、差分が所定の値以上である場合に、ユーザの状態が高ストレス状態である、と判定する。
【0130】
ステップS802において、高ストレス状態ではないと判定された場合、対策提示部240は、処理を終了する。
【0131】
ステップS802において、高ストレス状態と判定された場合、対策特定部247は、生体情報と共に受信したユーザIDと対応する嗜好情報を抽出する(ステップS803)。言い換えれば、対策特定部247は、生体情報と共に受信したユーザIDを含むユーザ情報に含まれる項目「嗜好」の値を抽出する。
【0132】
続いて、対策特定部247は、ストレス対策データベース230を参照し、項目「嗜好」の値が、抽出された項目「嗜好」の値と一致するストレス対策情報を特定し(ステップS804)、処理を終了する。ステップS804で特定されたストレス対策情報は、対策出力部248により、端末装置300へ送信される。
【0133】
ここで、図3に示すユーザデータベース220と、図4に示すストレス対策データベース230を参照して、図8に示す処理について具体的に説明する。
【0134】
はじめに、ユーザID「101」で特定される端末装置300のユーザの状態を判定する場合を説明する。
【0135】
図3において、ユーザID「101」と対応するレジリエンス値は「75」であり、ストレス値は「50」である。この場合、レジリエンス値のほうがストレス値よりも大きいため、状態判定部246は、このユーザの状態は、高ストレス状態ではない、と判定する。
【0136】
これに対し、ユーザID「102」と対応するレジリエンス値は「35」であり、ストレス値は「50」である。この場合、ストレス値のほうがレジリエンス値よりも大きいため、状態判定部246は、ストレス値とレジリエンス値との差分を算出する。
【0137】
ここで、差分に対する閾値となる所定の値が、「10」に設定されていたとする。なお、所定の値は、ストレス対策提示システム100の管理者によって任意の値に設定されてよい。
【0138】
ユーザID「102」と対応するレジリエンス値とストレス値との差分は、15であり、所定の値「10」よりも大きい。したがって、状態判定部246は、このユーザの状態は、高ストレスの状態である、と判定する。高ストレスの状態とは、ユーザが大きなストレスを感じている状態を示す。
【0139】
言い換えれば、図3の例では、ユーザID「101」で特定されるユーザは、ストレス耐性が高く、ストレス値「50」という状態に、大きなストレスと感じないと推定される。つまり、ストレス値「50」という状態は、ユーザID「101」で特定されるユーザにとって、高ストレスの状態ではない、と言える。
【0140】
これに対し、ユーザID「102」で特定されるユーザは、ユーザID「101」で特定されるユーザよりもストレス耐性が低く、ストレス値「50」という状態に大きなストレスと感じると推定される。つまり、ストレス値「50」という状態は、ユーザID「102」で特定されるユーザにとって、高ストレスの状態と言える。
【0141】
対策特定部247は、ユーザID「102」で特定されるユーザの状態が、高ストレスの状態であるため、このユーザに対して提示するストレス対策情報を特定する。
【0142】
対策特定部247は、ユーザデータベース220から、ユーザID「102」を含むユーザ情報に含まれる項目「嗜好」の値「音楽鑑賞」を抽出する。
【0143】
続いて、対策特定部247は、ストレス対策データベース230を参照し、項目「嗜好」の値が「音楽鑑賞」と一致するストレス対策情報を特定する。図4の例では、ストレス対策情報として、「音楽を聴いてみましょう」、「コンサートにでかけましょう」が特定される。
【0144】
なお、このように、複数のストレス対策情報が特定された場合には、回答内容情報から、嗜好性の強さを判定し、嗜好性の強さに応じて、複数のストレス対策情報から、ユーザに提示するストレス対策情報を選択してもよい。また、複数のストレス対策情報を端末装置300に表示させてもよい。
【0145】
本実施形態では、このように、生体情報から導出されるストレス値が同じであっても、個々のユーザのレジリエンス値に応じて、ユーザの状態が判定される。したがって、本実施形態によれば、ユーザの状態に応じたストレス対策を提示することができる。
【0146】
また、本実施形態では、高ストレス状態において、ユーザの嗜好と対応し、且つ、五感に作用するストレス対策情報を特定する。したがって、本実施形態によれば、ユーザのストレスが緩和される可能性を向上させることができる。
【0147】
次に、図9を参照して、本実施形態の端末装置300の表示例について説明する。図9は、端末装置の表示例を示す図である。
【0148】
図9(A)は、端末装置の表示例を示す第一の図であり、図9(B)は、端末装置の表示例を示す第二の図である。
【0149】
図9(A)に示す画面301は、ポップアップウィンドウ301aが表示されている。ポップアップウィンドウ301aは、表示領域301b、301cを含む。
【0150】
表示領域301bは、端末装置300のユーザの状態を示す情報が表示される。具体的には、図9(A)の例では、表示領域301bに、「高ストレスの状態です」と表示されている。
【0151】
また、表示領域301cは、運動を提案するストレス対策情報が表示される。具体的には、図9(A)の例では、表示領域301cに、「散歩をしてみましょう」と表示されている。
【0152】
本実施形態では、このように、ユーザの状態と、ストレス対策情報とを共に表示させることで、ユーザに対し、自身が大きなストレスを感じていることを把握させることができる。また、本実施形態では、ユーザの嗜好性に応じたストレス対策情報を表示させることができる。
【0153】
図9(B)に示す画面302には、ポップアップウィンドウ302aが表示されている。ポップアップウィンドウ302aは、表示領域302b、302cを含む。表示領域302bには、ユーザの状態が表示され、表示領域302cには、ストレス対策情報が表示される。
【0154】
図9(B)の例では、表示領域302bに、「ストレスがたまっているようです」と表示されており、表示領域302cに、「ぬいぐるみを触ってみましょう」と表示されている。
【0155】
本実施形態では、このように、ユーザの嗜好に合わせて、ユーザの五感に作用するストレス対策情報を表示させることができ、ストレスの緩和を促進させることができる。
【0156】
以上のように、本実施形態では、ユーザ個々のストレス耐性を示すレジリエンス値を用いて、ユーザの状態を判定するため、実際にユーザのストレスが大きい状態であるか否かを判定することができ、個々のユーザの状態に応じたストレス対策を提示することができる。
【0157】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、ユーザ情報が入力されると、ストレス対策情報を出力する対策特定モデルを有する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0158】
図10は、第二の実施形態のストレス対策提示システムの有する各装置の機能を説明する図である。
【0159】
本実施形態のストレス対策提示システム100Aは、端末装置300、ウェアラブル端末400、ストレス対策提示装置200Aを含む。
【0160】
本実施形態のストレス対策提示装置200Aは、アンケートデータベース210、ユーザデータベース220、ストレス対策データベース230、対策提示部240Aを有する。
【0161】
対策提示部240Aは、アンケート出力部241、情報取得部242、ストレス値算出部243、レジリエンス値算出部244、格納制御部245、対策特定モデル記憶部247A、対策出力部248、モデル更新部249を有する。本実施形態の対策特定モデル記憶部247Aは、対策特定モデル350を格納する。
【0162】
本実施形態の対策特定モデル350は、ユーザ情報を入力とし、ストレス対策情報を出力とする学習モデルである。
【0163】
本実施形態の対策特定モデル350は、Deep Learning等のニューラルネットワークを用いた機械学習モデルであってもよいし、他の機械学習モデルであってもよい。例えば、機械学習モデルは、Random Forest、Genetic Programming等を用いた機械学習モデルであってもよい。
【0164】
また、本実施形態の対策特定モデル350に入力される入力データは、ユーザ情報の一部であってもよい。具体的には、例えば、ユーザのストレス値、レジリエンス値、嗜好情報が入力データとされてもよい。
【0165】
また、本実施形態のストレス対策提示装置200Aは、ストレス対策情報を端末装置300に対して出力した後に、端末装置300から、ストレスが緩和されたか否かを示す結果データを取得する。
【0166】
本実施形態のモデル更新部249は、端末装置300から結果データを取得すると、結果データに応じて対策特定モデル350のパラメータを調整し、対策特定モデル350を更新する。本実施形態では、このように、端末装置300から取得した結果データに基づき対策特定モデル350を更新することで、ユーザの個々の状態に合わせて、ユーザの状態により適したストレス対策情報を出力できるようになる。
【0167】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0168】
100、100A ストレス対策提示システム
200、200A ストレス対策提示装置
210 アンケートデータベース
220 ユーザデータベース
230 ストレス対策データベース
240、240A 対策提示部
241 アンケート出力部
242 情報取得部
243 ストレス値算出部
244 レジリエンス値算出部
245 格納制御部
246 状態判定部
247 対策特定部
247A 対策特定モデル記憶部
248 対策出力部
249 モデル更新部
300 端末装置
350 対策特定モデル
400 ウェアラブル端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10