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特開2024-67017圧力保持装置およびそれを含むバッテリシステム
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  • 特開-圧力保持装置およびそれを含むバッテリシステム 図1
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  • 特開-圧力保持装置およびそれを含むバッテリシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067017
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】圧力保持装置およびそれを含むバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20240509BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M50/289
H01M50/242
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187645
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0144581
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】洪 赫秀
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AY06
5H040CC22
(57)【要約】
【課題】本開示が解決しようとする技術的課題は、バッテリセルの体積変化にもバッテリ構造物の内部圧力を一定に維持させるための圧力保持装置、およびそれを含むバッテリシステムを提供することにある。
【解決手段】本開示による圧力保持装置は、複数のバッテリセルと共にバッテリモジュールのハウジング内部に位置し、前記複数のバッテリセルの変形による前記ハウジング内部の圧力変化を相殺させるために体積が変わる油圧装置、流体を貯蔵し、配管を介して前記油圧装置と連結され、前記油圧装置の体積変化に応じて前記配管に流体を吐出するか前記配管から流入した流体を貯蔵するアキュムレータ、前記アキュムレータを加熱するヒータ、そして外気温度に応じて前記ヒータを制御する制御器を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルと共にバッテリモジュールのハウジング内部に位置し、前記複数のバッテリセルの変形による前記ハウジング内部の圧力変化を相殺させるために体積が変わる油圧装置、
流体を貯蔵し、配管を介して前記油圧装置と連結され、前記油圧装置の体積変化に応じて前記配管に流体を吐出するか前記配管から流入した流体を貯蔵するアキュムレータ、
前記アキュムレータを加熱するヒータ、そして
外気温度に応じて前記ヒータを制御する制御器を含む、圧力保持装置。
【請求項2】
前記油圧装置は、前記複数のバッテリセルが膨張すると収縮して前記配管に流体を吐出し、前記複数のバッテリセルが収縮すると前記配管から流体が流入して膨張する、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項3】
前記油圧装置は、油圧シリンダまたは油圧バッグである、請求項2に記載の圧力保持装置。
【請求項4】
前記外気温度を検出する温度センサをさらに含む、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項5】
前記配管に連結され、開放時に前記配管に流体を補充する保持弁をさらに含む、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項6】
前記配管に連結され、前記配管内の圧力が所定値を超えると開放されて前記配管から流体を吐出させる減圧弁をさらに含む、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項7】
補充配管、
前記配管と前記補充配管の間に連結され、開放時に前記補充配管の流体を前記配管に供給するソレノイド弁、そして
流体を貯蔵し、前記ソレノイド弁の開放により前記補充配管の内部圧力が低くなると前記補充配管に流体を吐出する補助アキュムレータをさらに含み、
前記ソレノイド弁は、前記配管の内部圧力が前記補充配管の内部圧力より所定値以上低くなると開放される、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項8】
前記補充配管に連結され、開放時に前記補充配管に流体を補充する保持弁をさらに含む、請求項7に記載の圧力保持装置。
【請求項9】
前記配管に結合されて前記配管の内部圧力を検出する第1圧力センサ、そして
前記補充配管に結合されて前記補充配管の内部圧力を検出する第2圧力センサをさらに含み、
前記制御器は前記第1圧力センサにより検出された第1圧力が前記第2圧力センサにより検出された第2圧力より低いと、前記ソレノイド弁を開放させる、請求項7に記載の圧力保持装置。
【請求項10】
前記アキュムレータに結合されて前記アキュムレータの内部圧力を検出する第1圧力センサ、そして
前記補助アキュムレータに結合されて前記補助アキュムレータの内部圧力を検出する第2圧力センサをさらに含み、
前記制御器は前記第1圧力センサにより検出された第1圧力が前記第2圧力センサにより検出された第2圧力より低いと、前記ソレノイド弁を開放させる、請求項7に記載の圧力保持装置。
【請求項11】
前記配管に結合し、前記配管に流体を追加で供給するポンプ、そして
前記ポンプを駆動するモータをさらに含み、
前記制御器は前記配管の内部圧力が所定値以下に低くなると、前記モータを制御して前記ポンプを駆動させる、請求項1に記載の圧力保持装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の圧力保持装置、そして
前記バッテリモジュールを含み、
前記バッテリモジュールは、
互いに積層される前記複数のバッテリセル、そして
内部に前記複数のバッテリセルおよび前記油圧装置が位置する気密空間が形成された前記ハウジングを含む、バッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は圧力保持装置、およびそれを含むバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(secondary battery)は充電および放電が繰り返され得る点で、化学物質の電気エネルギへの非可逆的変換のみを提供する一次電池(primary battery)と異なる。低容量の二次電池は携帯電話、ノートブックコンピュータ、およびカムコーダのような小型電子装置の電源装置として使用され、高容量の二次電池はハイブリッド自動車などの電源装置として使用される。
【0003】
一般に、二次電池セルは正極、負極、および正極と負極の間に介在するセパレータを含む電極組立体、電極組立体を収容するケース、そして電極組立体と電気的に連結されている電極端子を含む。正極、負極、および電解質溶液の電気化学的反応によりバッテリセルの充放電を可能にするために、ケースに電解液が注入される。円筒状または直六面体のようなケースの形状はバッテリセルの用途によって異なる。
【0004】
二次電池セルは充放電が繰り返されるにつれて収縮と膨張を繰り返して、バッテリ構造物に直接的な疲労荷重が加えられる。また、二次電池セルは劣化が進行するにつれて持続的に膨張し、このような持続的な膨張により寿命後期には寿命初期に比べて構造物に加えられる圧力が増加して性能低下と構造変形による安全性問題が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示が解決しようとする技術的課題は、バッテリセルの体積変化にもバッテリ構造物の内部圧力を一定に維持させるための圧力保持装置、およびそれを含むバッテリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための一実施形態による圧力保持装置は、複数のバッテリセルと共にバッテリモジュールのハウジング内部に位置し、前記複数のバッテリセルの変形による前記ハウジング内部の圧力変化を相殺させるために体積が変わる油圧装置、流体を貯蔵し、配管を介して前記油圧装置と連結され、前記油圧装置の体積変化に応じて前記配管に流体を吐出するか前記配管から流入した流体を貯蔵するアキュムレータ、前記アキュムレータを加熱するヒータ、そして外気温度に応じて前記ヒータを制御する制御器を含み得る。
【0007】
前記油圧装置は、前記複数のバッテリセルが膨張すると収縮して前記配管に流体を吐出し、前記複数のバッテリセルが収縮すると前記配管から流体が流入して膨張し得る。
【0008】
前記油圧装置は、油圧シリンダまたは油圧バッグであり得る。
【0009】
前記圧力保持装置は、前記外気温度を検出する温度センサをさらに含み得る。
【0010】
前記圧力保持装置は、前記配管に連結され、開放時に前記配管に流体を補充する保持弁をさらに含み得る。
【0011】
前記圧力保持装置は、前記配管に連結され、前記配管内の圧力が所定値を超えると開放されて前記配管から流体を吐出させる減圧弁をさらに含み得る。
【0012】
前記圧力保持装置は、補充配管、前記配管と前記補充配管の間に連結され、開放時に前記補充配管の流体を前記配管に供給するソレノイド弁、そして流体を貯蔵し、前記ソレノイド弁の開放により前記補充配管の内部圧力が低くなると前記補充配管に流体を吐出する補助アキュムレータをさらに含み得る。前記ソレノイド弁は、前記配管の内部圧力が前記補充配管の内部圧力より所定値以上低くなると開放され得る。
【0013】
前記圧力保持装置は、前記補充配管に連結され、開放時に前記補充配管に流体を補充する保持弁をさらに含み得る。
【0014】
前記圧力保持装置は、前記配管に結合されて前記配管の内部圧力を検出する第1圧力センサ、そして前記補充配管に結合されて前記補充配管の内部圧力を検出する第2圧力センサをさらに含み得る。前記制御器は前記第1圧力センサにより検出された第1圧力が前記第2圧力センサにより検出された第2圧力より低いと、前記ソレノイド弁を開放させ得る。
【0015】
前記圧力保持装置は、前記アキュムレータに結合されて前記アキュムレータの内部圧力を検出する第1圧力センサ、そして前記補助アキュムレータに結合されて前記補助アキュムレータの内部圧力を検出する第2圧力センサをさらに含み得る。前記制御器は前記第1圧力センサにより検出された第1圧力が前記第2圧力センサにより検出された第2圧力より低いと、前記ソレノイド弁を開放させ得る。
【0016】
前記圧力保持装置は、前記配管に結合し、前記配管に流体を追加で供給するポンプ、そして前記ポンプを駆動するモータをさらに含み得る。前記制御器は前記配管の内部圧力が所定値以下に低くなると、前記モータを制御して前記ポンプを駆動させ得る。
【0017】
一実施形態によるバッテリシステムは、前述した圧力保持装置、そして前記バッテリモジュールを含み得る。前記バッテリモジュールは、互いに積層される前記複数のバッテリセル、そして内部に前記複数のバッテリセルおよび前記油圧装置が位置する気密空間が形成された前記ハウジングを含み得る。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、バッテリセルのスウェリングが発生してもバッテリ構造物の内部圧力を一定に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
図2】他の実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
図3】また他の実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に添付する図面を参照して実施形態の効果および特徴、そしてその実現方法を詳細に説明する。図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を示し、それに係る重複する説明は省略する。しかし、本発明は多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。かえって、これらの実施形態は本開示が徹底的かつ完全になるように例として提供され、通常の技術者に本発明の態様および特徴を十分に伝えるであろう。
【0021】
したがって、本発明の態様および特徴の完全な理解のために当業者には必要でないと考えられるプロセス、要素、および技術は説明しない。図面で、素子、層、および領域の相対的大きさは明確性のために誇張することができる。
【0022】
本発明で「および/または」という用語は、関連して列挙された複数の項目のすべての組み合わせまたは任意の組み合わせを含む。本発明の実施形態を記述する際、「~することができる」、「~であり得る」を使用するのは「本発明の一つ以上の実施形態」を意味する。本発明で単数形の用語は文脈上特に示さない限り複数形を含むことができる。
【0023】
本発明で「第1」、「第2」、「第3」などの序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこの用語によって限定されない。これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れない限り、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよく、同様に第1構成要素も第2構成要素と名付けられてもよい。
【0024】
本発明で一つの構成要素または層が他の構成要素または層に対して「上に」、「連結された」、または「結合された」と記載される場合において、「上に」、「連結された」および「結合された」とは、直接または一つ以上の他の構成要素または層を介在して形成されることをすべて含む。また、一つの構成要素または層が2個の構成要素または層の「間」にあると記載される場合、2個の構成要素または層の間の唯一の構成要素または層であるか、一つ以上の介在する他の要素または層が存在するものとして理解されなければならない。
【0025】
本発明で2個の構成要素を電気的に連結することは、2個の構成要素を直接(directly)連結する場合だけでなく、2個の構成要素の間に他の構成要素を経て連結する場合も含むことができる。他の構成要素はスイッチ、抵抗、キャパシタなどを含むことができる。実施形態の説明において、連結するという表現は、直接連結するという表現がない場合、電気的に連結することを意味する。
【0026】
以下、必要な図面を参照して実施形態による圧力保持装置、およびそれを含むバッテリシステムについて詳細に説明する。
【0027】
図1は一実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
【0028】
図1を参照すると、一実施形態によるバッテリシステム1aはバッテリモジュールおよびバッテリモジュールの圧力保持装置を含むことができる。
【0029】
バッテリモジュールは互いに直列または並列に連結される複数のバッテリセル11と、複数のバッテリセル11を収容する構造物であるモジュールハウジング12を含むことができる。複数のバッテリセル11はモジュールハウジング12の内部で積層された形状に配置されることができる。
【0030】
モジュールハウジング12の内部には気密状態の空間(または隔室)14が形成される。モジュールハウジング12の内部空間14には複数のバッテリセル11と、後述する圧力保持装置20の油圧装置21が収容される。モジュールハウジング12の内部空間14で油圧装置21とバッテリセル11の間には緩衝プレート13がさらに位置し得る。緩衝プレート13はバッテリセル11の体積変化に応じて変形するかまたは位置が移動され得る。緩衝プレート13はバッテリセル11の収縮時に油圧装置21の膨張圧力によってバッテリセル11側に移動するか変形され得る。緩衝プレート13はバッテリセル11の膨張時のバッテリセル11の膨張圧力によって油圧装置21側に移動するか変形され得る。
【0031】
一実施形態による圧力保持装置は、油圧装置21、アキュムレータ(accumulator,22)、流体配管23、保持弁24、減圧弁25、ヒータ26、温度センサ27、および制御器28を含むことができる。
【0032】
油圧装置21はバッテリセル11の変形(体積変化)によるモジュールハウジング12内部の圧力変化を相殺させてモジュールハウジング12の疲労荷重を最小化することができる。油圧装置21は、バッテリセル11が収縮すると、膨張して緩衝プレート13をバッテリセル11側に移動させるか変形させ得る。油圧装置21は、バッテリセル11が膨張すると、緩衝プレート13を介してバッテリセル11から伝達される膨張圧力によって収縮し得る。
【0033】
油圧装置21は油圧バッグ(Hydraulic bag)、油圧シリンダ(cylinder)などのように油圧によって膨張と収縮が可能な装置を含むことができる。油圧装置21は流体(例えば、オイル(oil))の流入と排出により膨張または収縮し得る。油圧装置21の収縮時には油圧装置21から流体が排出され得る。油圧装置21の膨張時には油圧装置21に流体が流入し得る。
【0034】
アキュムレータ22は加圧された流体を貯蔵し、油圧装置21の膨張と収縮により発生する油圧変化を相殺させる。すなわち、アキュムレータ22は油圧装置21の膨張と収縮により流体配管23内部の油圧変化が発生すると、流体配管23に流体を排出するか、流体配管23からアキュムレータ22の内部に流体を流入させて流体配管23内の油圧変化を相殺させることができる。バッテリセル11が収縮して油圧装置21が膨張すると、アキュムレータ22は流体配管23に流体を排出して油圧減少を防止することができる。バッテリセル11が膨張して油圧装置21が収縮すると、アキュムレータ22は油圧装置21からアキュムレータ22内に流体を流入させて油圧増加を防止することができる。したがって、アキュムレータ22の内部圧力はバッテリセル11の内部圧力の変化に比例して変化することができる。すなわち、アキュムレータ22はバッテリセル11の内部圧力が上昇(膨張)すると、流体流入により圧力が上昇し、バッテリセル11の内部圧力が減少(収縮)すると、流体排出により圧力が減少し得る。
【0035】
流体配管23はモジュールハウジング12に貫通して結合され、油圧装置21およびアキュムレータ22の流体出入口(図示せず)とそれぞれ連結され得る。流体配管23は油圧装置21とアキュムレータ22の間の流体交換のための通路として使用できる。
【0036】
保持弁24は流体配管23の流体投入口(図示せず)に連結されて流体配管23の内部に流体を補充する。保持弁24は手動または自動で作動する。
【0037】
保持弁24はユーザの手動操作によって開放されて流体配管23の内部に流体を供給する。
【0038】
保持弁24は制御器28により開閉が制御されることもできる。この場合、制御器28は流体配管23内部の圧力が所定値以下に下がるかまたは設定された周期になると、保持弁24を開放して流体タンク(図示せず)に貯蔵された流体を流体配管23内部に供給することができる。このために、圧力保持装置は流体配管23またはアキュムレータ22の内部圧力を検出するための圧力センサ(図2の図面符号34参照)をさらに含むこともできる。制御器28は圧力センサにより検出された流体配管23またはアキュムレータ22の内部圧力が所定値以下に低くなると保持弁24を開放させて流体配管23に流体を追加で供給することができる。
【0039】
減圧弁25は流体配管23の流体排出口(図示せず)に連結されて流体配管23内部の流体を流体配管23の外部に排出させる。減圧弁25は流体配管23内部の圧力が所定値を超えると開放されて流体配管23内部の流体を外部に排出させ得る。減圧弁25は流体配管23内部の圧力が所定値以下に低くなると閉鎖して流体排出を中断することもできる。
【0040】
流体配管23は保持弁24が開放されて流体配管23の内部に流体が供給されるか、減圧弁25が開放されて流体配管23内部の流体が外部に吐出される場合を除いては気密状態を保持することができる。したがって、保持弁24および減圧弁25が閉鎖された状態で、流体配管23内部の流体は油圧装置21およびアキュムレータ22との交換のみ許容される。
【0041】
ヒータ26はアキュムレータ22を加熱する。
【0042】
温度センサ27はアキュムレータ22外部の外気温度を測定する。
【0043】
制御器28は温度センサ27により外気温度を検出し、ヒータ26に流れる電流を調節してアキュムレータ22を加熱する。制御器28はアキュムレータ22内部の温度変化によりアキュムレータ22内部の圧力変化が発生することを防止するために、検出された外気温度に応じてヒータ26の作動を制御することによってアキュムレータ22の内部温度変化を最小化することができる。アキュムレータ22の内部に窒素が充填された場合、200barで加圧された1L窒素を30度上昇させるために必要なエネルギが概ね2Whであるため、少ないエネルギでアキュムレータ22内部の温度変化を最小化することができる。
【0044】
前述した実施形態によれば、バッテリセル11の変位が圧力保持装置によって吸収されて充放電によりモジュールハウジング12に加えられる疲労荷重を最小化することができる。また、バッテリセル11の寿命劣化によってスウェリング(swelling)が発生しても寿命初期と比較してモジュールハウジング12内部の圧力が一定に維持されることができ、モジュールハウジング12の構造変形を最小化することができる。また、バッテリモジュールの設置時に圧力保持装置を用いてバッテリセル11を加圧することによってバッテリセル11の締結力を向上させることができる。また、アキュムレータ22およびヒータ26などを用いて外気温度変数、流体漏出などに対応することができる。
【0045】
図2は他の実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
【0046】
図2のバッテリシステム1bにおいて、前述した図1のバッテリシステム1aと同じ参照符号は同じ構成要素を示し、それに係る重複する説明は省略する。
【0047】
図1と比較すると、バッテリシステム1bは補充配管31、補助アキュムレータ32、ソレノイド(solenoid)弁33、および圧力センサ34,35をさらに含むことができる。
【0048】
補充配管31はソレノイド弁33、補助アキュムレータ32、および保持弁24の間の流体通路として使用できる。
【0049】
補助アキュムレータ32は加圧された状態で流体を貯蔵する。補助アキュムレータ32は保持弁24を介して補充配管31に流体が供給されると供給された流体を内部に貯蔵する。補助アキュムレータ32はソレノイド弁33が開放されて補充配管31内部の油圧が低くなると補助アキュムレータ32の内部に貯蔵された流体を排出して補充配管31に流体を供給する。
【0050】
ソレノイド弁33は制御器28の制御によって開度が制御され、流体配管23と補充配管31の間の流体の流れを制御する。
【0051】
圧力センサ34は流体配管23に結合されて流体配管23の内部油圧P1を検出する。圧力センサ35は補充配管31に結合されて補充配管31の内部油圧P2を検出する。
【0052】
制御器28は、圧力センサ34,35から検出された圧力を比較して流体配管23の内部油圧P1が補充配管31の内部油圧P2より低くなる場合、ソレノイド弁33を開放して補充配管31の流体が流体配管23に流入するようにする。補充配管31から流体配管23に流体が供給されると補充配管31内部の油圧が低くなり、これにより補助アキュムレータ32に貯蔵された流体が補充配管31に排出されることができる。
【0053】
一方、上では流体配管23および補充配管31に結合された圧力センサ34,35を用いてソレノイド弁33の開放を決めることを例にあげて説明したが、ソレノイド弁33の開放を決めるための圧力センサ34,35がアキュムレータ22,32にそれぞれ結合されることもできる。この場合、圧力センサはアキュムレータ22と補助アキュムレータ32それぞれの内部圧力を検出し、制御器28はこれらの圧力を比較してソレノイド弁33の開放を決めることができる。すなわち、制御器28はアキュムレータ22の内部圧力が補助アキュムレータ32の内部圧力より低くなる場合、ソレノイド弁33を開放して補充配管31の流体が流体配管23に流入するようにすることができる。
【0054】
この実施形態によれば、メインアキュムレータ22の圧力低下時に補助アキュムレータ32を用いて流体を補充することができ、メンテナンス周期が増加し得る。
【0055】
図3はまた他の実施形態による圧力保持装置を含むバッテリシステムを概略的に示す図である。
【0056】
図3のバッテリシステム1cにおいて、前述した図1のバッテリシステム1aと同じ参照符号は同じ構成要素を示し、それに係る重複する説明は省略する。
【0057】
図1と比較すると、バッテリシステム1cは、保持弁24の代わりに流体配管23に流体を補充するためのポンプ41およびポンプ41を駆動させるためのモータ42をさらに含むことができる。
【0058】
制御器28は流体配管23内部の圧力が所定値以下に低くなるかまたは設定された周期になると、モータ42によりポンプ41を駆動させて流体タンク(図示せず)に貯蔵された流体を流体配管23内部に供給する。このために、圧力保持装置は流体配管23またはアキュムレータ22の内部圧力を検出するための圧力センサ(図2の図面符号34参照)をさらに含むこともできる。制御器28は圧力センサにより検出された流体配管23またはアキュムレータ22の内部圧力が所定値以下に低くなるとポンプ41を駆動して流体配管23に流体を追加で供給することができる。
【0059】
この実施形態によれば、圧力保持装置は流体補充が必要であると判断されると、走行中でもポンプ41を駆動して自動でアキュムレータ22に流体を補充することができる。
【0060】
以上、参照した図面と記載された発明の詳細な説明は単に本発明を例示するものであって、これは単に本発明を説明するための目的で使用されるものであり、意味限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使用されるものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者は、これより多様な変形および均等の他実の施形態が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的思想により定められるべきである。
【符号の説明】
【0061】
1a、1b、1c バッテリシステム
11 バッテリセル
12 モジュールハウジング
13 緩衝プレート
21 油圧装置
22 アキュムレータ
23 流体配管
24 保持弁
25 減圧弁
26 ヒータ
27 温度センサ
28 制御器
31 補充配管
32 補助アキュムレータ
33 ソレノイド弁
34,35 圧力センサ
41 ポンプ
42 モータ
図1
図2
図3