(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067022
(43)【公開日】2024-05-16
(54)【発明の名称】戦略的リコメンデーション、実行可能なタスクへのリンク、パフォーマンスプランニング、及びワークフロー内の測定の提供
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q10/0633
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187908
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】17/978970
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコール ブローム
(72)【発明者】
【氏名】マーリン エバンス
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ パテル
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】戦略的リコメンデーション、実行タスクへのリンク、パフォーマンスプランニング、及びワークフロー内の測定方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、オンラインデジタルサービスにより管理される複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントを受信し、電子ドキュメントの処理に基づきアイテムのワークフローデータを記憶する。ワークフローデータは、複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは複数のアイテムのうち対応するアイテムのステータスを示す。方法はまた、コンピューティングデバイスから複数のアイテムのうち特定アイテムに関連したアイテムデータの要求を受信し、要求に応答してアイテムデータを読み出し、他のコンピュータシステムによって生成される追加データを読み出す。追加データは記述データ、規範データ又は予測データのうちの1つである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークフローにおいてインテリジェントインサイトを供給する装置であって、
命令を記憶しているメモリを有し、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、
オンラインデジタルサービスによって管理される複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントを受信することと、
前記電子ドキュメントの処理に基づいて、前記複数のアイテムのワークフローデータ、前記ワークフローデータは複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは、前記複数のアイテムのうちの対応するアイテムのステータスを示す、を記憶することと、
コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの特定のアイテムに関連したアイテムデータの要求を受信することと、
前記要求の受信に応答して、前記アイテムデータを読み出し、当該装置から分離しているコンピュータシステムによって生成される追加データを読み出すことであり、前記追加データは、他のアイテムに対する前記特定のアイテムの属性を記述する記述データ、実行すべきアクションを示す規範データ、又は前記特定のアイテムに関連した状態データに基づき将来のイベントの予測を示す予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記アイテムデータ及び前記追加データを前記コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を引き起こす、装置。
【請求項2】
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
当該装置に対して遠くにあるサードパーティコンピュータシステムから、サードパーティデータを受信することと、
前記サードパーティデータと前記特定のアイテムとの間の関連付けを記憶することと
を引き起こし、
前記追加データは、前記サードパーティデータに基づいても生成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記要求の受信に応答して、前記特定のアイテムとは別個の複数のアイテムの解析を実行し、該解析に基づいて前記追加データを生成することを引き起こす、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記追加データは、前記記述データ、前記規範データ、又は前記予測データのうちの2つ以上を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、サードパーティサービスによってホストされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記追加データは規範データであり、
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記コンピューティングデバイスから、前記規範データを選択する入力を受信することと、
前記入力を受信することに応答して、当該装置に対して遠くにあるコンピューティングシステムによって前記アクションが実行されるようにすることと
を引き起こす、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスの第1ユーザは第1ペルソナに関連し、
前記追加データは、前記第1ペルソナに関連する第1タイプのデータに属し、
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記第1ペルソナとは異なる第2ペルソナに関連する第2ユーザの第2コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの第2アイテムに関連した第2アイテムデータの第2要求を受信することと、
前記第2要求の受信に応答して、前記第2アイテムデータを読み出し、前記第2ユーザが前記第2ペルソナに関連していることに基づいて、前記第2ペルソナに関連する第2タイプのデータに属する第2追加データを読み出すことであり、前記第2追加データは、他のアイテムに対する前記第2アイテムの属性を記述する第2記述データ、実行すべき第2アクションを示す第2規範データ、又は前記第2アイテムに関連した第2状態データに基づき第2の将来のイベントの第2予測を示す第2予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記第2アイテムデータ及び前記第2追加データを前記第2コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を引き起こす、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
命令を記憶する1つ以上の記憶媒体であって、
前記命令は、装置の1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、
オンラインデジタルサービスによって管理される複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントを受信することと、
前記電子ドキュメントの処理に基づいて、前記複数のアイテムのワークフローデータ、前記ワークフローデータは複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは、前記複数のアイテムのうちの対応するアイテムのステータスを示す、を記憶することと、
コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの特定のアイテムに関連したアイテムデータの要求を受信することと、
前記要求の受信に応答して、前記アイテムデータを読み出し、当該装置から分離しているコンピュータシステムによって生成される追加データを読み出すことであり、前記追加データは、他のアイテムに対する前記特定のアイテムの属性を記述する記述データ、実行すべきアクションを示す規範データ、又は前記特定のアイテムに関連した状態データに基づき将来のイベントの予測を示す予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記アイテムデータ及び前記追加データを前記コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を引き起こす、1つ以上の記憶媒体。
【請求項9】
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
当該装置に対して遠くにあるサードパーティコンピュータシステムから、サードパーティデータを受信することと、
前記サードパーティデータと前記特定のアイテムとの間の関連付けを記憶することと
を引き起こし、
前記追加データは、前記サードパーティデータに基づいても生成される、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項10】
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記要求の受信に応答して、前記特定のアイテムとは別個の複数のアイテムの解析を実行し、該解析に基づいて前記追加データを生成することを引き起こす、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項11】
前記追加データは、前記記述データ、前記規範データ、又は前記予測データのうちの2つ以上を含む、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項12】
前記コンピュータシステムは、サードパーティサービスによってホストされる、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項13】
前記追加データは規範データであり、
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記コンピューティングデバイスから、前記規範データを選択する入力を受信することと、
前記入力を受信することに応答して、当該装置に対して遠くにあるコンピューティングシステムによって前記アクションが実行されるようにすることと
を引き起こす、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項14】
前記コンピューティングデバイスの第1ユーザは第1ペルソナに関連し、
前記追加データは、前記第1ペルソナに関連する第1タイプのデータに属し、
前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、更に、
前記第1ペルソナとは異なる第2ペルソナに関連する第2ユーザの第2コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの第2アイテムに関連した第2アイテムデータの第2要求を受信することと、
前記第2要求の受信に応答して、前記第2アイテムデータを読み出し、前記第2ユーザが前記第2ペルソナに関連していることに基づいて、前記第2ペルソナに関連する第2タイプのデータに属する第2追加データを読み出すことであり、前記第2追加データは、他のアイテムに対する前記第2アイテムの属性を記述する第2記述データ、実行すべき第2アクションを示す第2規範データ、又は前記第2アイテムに関連した第2状態データに基づき第2の将来のイベントの第2予測を示す第2予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記第2アイテムデータ及び前記第2追加データを前記第2コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を引き起こす、
請求項8に記載の1つ以上の記憶媒体。
【請求項15】
装置によって実行される方法であって、
オンラインデジタルサービスによって管理される複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントを受信することと、
前記電子ドキュメントの処理に基づいて、前記複数のアイテムのワークフローデータ、前記ワークフローデータは複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは、前記複数のアイテムのうちの対応するアイテムのステータスを示す、を記憶することと、
コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの特定のアイテムに関連したアイテムデータの要求を受信することと、
前記要求の受信に応答して、前記アイテムデータを読み出し、当該装置から分離しているコンピュータシステムによって生成される追加データを読み出すことであり、前記追加データは、他のアイテムに対する前記特定のアイテムの属性を記述する記述データ、実行すべきアクションを示す規範データ、又は前記特定のアイテムに関連した状態データに基づき将来のイベントの予測を示す予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記アイテムデータ及び前記追加データを前記コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を有する方法。
【請求項16】
当該装置に対して遠くにあるサードパーティコンピュータシステムから、サードパーティデータを受信することと、
前記サードパーティデータと前記特定のアイテムとの間の関連付けを記憶することと
を更に有し、
前記追加データは、前記サードパーティデータに基づいても生成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記要求の受信に応答して、前記特定のアイテムとは別個の複数のアイテムの解析を実行し、該解析に基づいて前記追加データを生成することを更に有する、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記追加データは、前記記述データ、前記規範データ、又は前記予測データのうちの2つ以上を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記追加データは規範データであり、
前記方法は、
前記コンピューティングデバイスから、前記規範データを選択する入力を受信することと、
前記入力を受信することに応答して、当該装置に対して遠くにあるコンピューティングシステムによって前記アクションが実行されるようにすることと
を更に有する、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記コンピューティングデバイスの第1ユーザは第1ペルソナに関連し、
前記追加データは、前記第1ペルソナに関連する第1タイプのデータに属し、
前記方法は、
前記第1ペルソナとは異なる第2ペルソナに関連する第2ユーザの第2コンピューティングデバイスから、前記複数のアイテムのうちの第2アイテムに関連した第2アイテムデータの第2要求を受信することと、
前記第2要求の受信に応答して、前記第2アイテムデータを読み出し、前記第2ユーザが前記第2ペルソナに関連していることに基づいて、前記第2ペルソナに関連する第2タイプのデータに属する第2追加データを読み出すことであり、前記第2追加データは、他のアイテムに対する前記第2アイテムの属性を記述する第2記述データ、実行すべき第2アクションを示す第2規範データ、又は前記第2アイテムに関連した第2状態データに基づき第2の将来のイベントの第2予測を示す第2予測データ、のうちの1つである、ことと、
前記第2アイテムデータ及び前記第2追加データを前記第2コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示させることと
を更に有する、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複数のアイテムの電子ワークフロー処理に関係があり、より具体的には、複数のシステムからのデータを単一のユーザインターフェースに統合し、ユーザがアイテムのワークフローの問題を解決するための実行可能な手順を実行できるように支援するシステムに関係がある。
【背景技術】
【0002】
このセクションで記載されるアプローチは、追求され得るアプローチであるが、必ずしも以前に考案又は追求されたアプローチである必要はない。従って、別段の指示がない限り、このセクションで記載されるアプローチは、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではない可能性があり、このセクションに含めることによって先行技術であるとは認められない。
【0003】
多くの組織は、しばしば異なるプロバイダを使用して、多数の異なるソフトウェアサービスを利用している。例として、メールサービス、支払いサービス、チャットインターフェース、請求管理サービス、及び会社の効率的な運営を可能にするその他のサービスがある。会社が使用するサービスの多くは類似した又は関連した情報を利用しているが、それらのサービスはしばしば、相互作用がなく異なるものである。実際、企業は一般的に大幅にサイロ化されており、各機能分野が時間の経過とともに独自のITシステムを開発している。これにより、サービス間の通信を手動で実行する必要があるため、計算効率が低下し、重要な情報の処理に遅れが生じ、最適でない決定が行われる可能性が高まる。異なるサービスプロバイダによって提供されるサービス、又は単一のプロバイダによって提供されるサービスは実装においてモジュール化されており、ユーザがどのサービスをアクティブ化するかを選択できるため、ソフトウェアサービス間の接続の欠如がしばしば存在する。
【発明の概要】
【0004】
戦略的リコメンデーション、実行可能なタスクへのリンク、パフォーマンスプランニング、及びワークフロー内の測定をもたらす技術が提供される。1つの技術において、オンラインデジタルサービスによって管理される複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントが受信される。電子ドキュメントの処理に基づいて、アイテムのワークフローデータが記憶される。ワークフローデータは複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは、複数のアイテムのうちの対応するアイテムのステータスを示す。コンピューティングデバイスから、複数のアイテムのうちの特定のアイテムに関連したアイテムデータの要求が受信される。要求の受信に応答して、アイテムデータが読み出され、装置から分離しているコンピュータシステムによって生成される追加データが読み出される。追加データは、記述データ、規範データ、又は予測データのうちの1つである。アイテムデータ及び追加データは、コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施形態において、ドキュメントを取り込み、インテリジェントインサイトを、ドキュメント内に反映されているデータと統合するためのシステムアーキテクチャの例を表すブロック図である。
【
図2】実施形態において、インサイトジェネレータの入力及び出力の例を表すブロック図である。
【
図3A】実施形態において、インサイトをアイテム関連データと結合するユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図3B】実施形態において、インサイトをアイテム関連データと結合するユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図4A】実施形態において、係属中の請求の詳細を表示するユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図4B】実施形態において、請求の詳細とともにインサイトを表示するユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図5A】実施形態において、マネージャのチームレベルのデータとともにインサイトを表示するユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図5B】実施形態において、ワークロードカルキュレータを表示するポップアップウィンドウを含むユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。
【
図6】実施形態において、インサイトをワークフローに関係があるアイテムデータと統合するプロセスの例を表すフロー図である。
【
図7】本発明の実施形態が実施され得るコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面の図中、同じ参照番号は、類似した要素を参照する。
【0007】
以下の記載中、説明を目的として、多数の具体的な詳細が、本発明の完全な理解をもたらすために示されている。なお、当業者には明らかなように、本発明は、それらの具体的な詳細によらずとも実施されてもよい。他の事例では、よく知られている構造及びデバイスは、本発明を不必要に不明りょうにしないように、ブロック図形式で示されている。本発明の様々な側面が、以下のセクションで後述される。
【0008】
[一般的な概要]
インテリジェントインサイトを、デジタルサービスによって管理される複数のアイテムに関係があるワークフローに組み込むシステム及び方法が、提供される。デジタルサービスの例には、請求処理サービス、インボイス処理サービス、印刷管理サービス、及び返送メール処理サービスがある。よって、アイテムは、請求、インボイス、電子ドキュメント、又は返送メールを指し得る。
【0009】
1つのアプローチで、アイテムに関係がある電子ドキュメントが受け取られて処理される。処理に基づいて、ワークフローデータがアイテムについて生成され記憶される。各ワークフローデータアイテムは、対応するアイテムのステータスを示す。後に、特定のアイテムに関連したアイテムデータに対するコンピューティングデバイスからの要求が受け取られる。要求に応答して、アイテムデータは、遠隔のコンピュータシステムによって生成された追加データとともに読み出される。追加データは、他のアイテムに対する特定のアイテムの属性を記述する記述データ、実行すべきアクションを示す規範データ、又は特定のアイテムに関連した状態データに基づき将来のイベントの予測を示す予測データ、のうちの1つである。アイテムデータ及び追加データは、コンピューティングデバイスのスクリーン上に表示される。
【0010】
実施形態は、アイテム関連データを生成し、そのようなデータを単一のビューで複数のデータソースからのインサイトと結合することによって、コンピュータ関連技術を改善する。この単一のビューは、企業のデータエコシステム外のデータソースも活用しながら、企業のデータエコシステム全体のエンドツーエンドのビューを提供する。インサイトの一部は、ユーザがワークフロー内のアイテムをより効率的に処理できるようにする実用的なものであってもよい。いくつかの実施形態は、チームマネージャ及びチームメンバーが各自の役割に関係する適切なレベルの情報にアクセスできるようにするユーザインターフェースを含む。
【0011】
[システム概要]
図1は、実施形態において、ドキュメントを取り込み、インテリジェントインサイトを、ドキュメント内に反映されているデータと統合するための、例示的なシステムアーキテクチャ100を表すブロック図である。システムアーキテクチャ100は、ユーザクライアントデバイス110、企業ペルソナAデバイス120、企業ペルソナBデバイス122、企業ペルソナCデバイス124、ドキュメント取り込みサービス130、サードパーティシステム140、コンピュータネットワーク150、及びインサイト統合システム160を有し、インサイト統合システム160は、ポータル162、インサイト統合部164、及びデータリポジトリ166を含む。
【0012】
要素130~150の夫々の単一要素のみが表されているが、システムアーキテクチャ100はこれらの要素を複数含んでもよい。例えば、複数のユーザクライアントデバイス110、複数の企業ペルソナBデバイス122、及び複数のサードパーティシステム140が、コンピュータネットワーク150を通じて互いに及び/又はインサイト統合部164に通信可能に結合されてよい。
【0013】
企業ペルソナデバイス120~124、ドキュメント取り込みサービス130、及びインサイト統合システム160は全て同じ企業又は組織に属してよい。組織は、保険契約を持つ人などのエンドユーザ及び/又は他の組織へ1つ以上のデジタルサービスを提供する。デジタルサービスの例には、請求処理サービス、インボイス処理サービス、印刷管理サービス、及び返送メール処理サービスがある。
【0014】
コンピュータネットワーク150の例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、Ethernet(登録商標)、インターネット、又は1つ以上の地上、衛星若しくは無線リンクがある。システムアーキテクチャ100内の異なる要素は、コンピュータネットワーク150を介して互いと通信する。
【0015】
[ユーザクライアントデバイス]
ユーザクライアントデバイス110の例には、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、スキャニングマシン、ファクシミリマシン、プリンタ、及び多機能周辺機器(MFP)がある。ユーザクライアントデバイス110は、インサイト統合システム160又はドキュメント取り込みサービス130へ通信可能に結合されているアプリケーションを実行する。アプリケーションは、ユーザクライアントデバイス110にインストールされているネイティブアプリケーションであってよい。代替的に、アプリケーションは、ユーザクライアントデバイス110にインストールされているウェブブラウザ内で実行されるウェブアプリケーションであってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態で、ユーザクライアントデバイス110は、自分自身を代表している個々のエンドユーザによって操作される。他の実施形態では、ユーザクライアントデバイス110は、組織を代表して行動しているユーザによって操作される。例えば、(保険)請求処理シナリオにおいて、ユーザクライアントデバイス110は、請求を作成し提出するために、デジタル画像、ウェブフォーム、及び/又は他のタイプの電子データを送信する。他の例として、インボイス処理シナリオにおいて、ユーザクライアントデバイス110は、インサイト統合システム160をホストする企業によって提供されるインボイス処理サービスを使用する組織に代わってインボイスを提出する。
【0017】
[企業ペルソナデバイス]
企業ペルソナデバイス120~124は、コンピュータネットワーク150などの1つ以上のコンピュータネットワークを介してインサイト統合システム160へ通信可能に結合されているコンピューティングデバイスである。企業ペルソナAデバイス120は、企業ペルソナBデバイス122及び企業ペルソナCデバイス124にはアクセス不可能なデータリポジトリ166内のデータへのアクセスを有してよい。同様に、企業ペルソナBデバイス122は、企業ペルソナCデバイス124にはアクセス不可能なデータリポジトリ166内のデータへのアクセスを有してよい。
【0018】
例えば、請求処理コンテキストにおいて、企業ペルソナAデバイス120は、請求処理サービスを提供する企業のオーナー又は理念のコンピューティングデバイスに相当し、企業ペルソナBデバイス122は、複数の請求査定者を管理するマネージャのコンピューティングデバイスに相当し、企業ペルソナCデバイス124は、それらの請求査定者のうちの1人のコンピューティングデバイスに相当する。各マネージャは、彼らのチームの要員計画及び現在のスタッフ数、彼らのチームに関するチーム性能測定基準(例えば、フェーズ、請求のタイプ、誤り、及び支払いによる)、彼らのチームに対する顧客満足度、及びエスカレーションに関するデータへのアクセスを有する。対照的に、各請求査定者は、彼らに割り当てられているケース、各請求の次のステップ、各請求のリスク評価、請求の組み立て、及び欠落データに関するデータへのアクセスを有する。しかし、企業ペルソナBデバイス122は、特定の企業ペルソナCデバイス124がアクセスを有するあらゆることにアクセスし得る。
【0019】
企業ペルソナデバイス120~124は、固定されたコンピューティングデバイスでなくてもよい。例えば、企業ペルソナデバイス120~124インサイト統合システム160又は別の身元認証システムによって認証される場合にのみ、そのように動作し得る。例えば、ペルソナAステータスの人物の有効なユーザ名及びパスワードを入力した後にのみ、ユーザは自身のデバイスを企業ペルソナAデバイス120として操作することができる。同様に、ペルソナBステータスの人物の有効なユーザ名及びパスワードを入力した後にのみ、ユーザは自身のデバイスを企業ペルソナBデバイス122として操作することができる。よって、コンピューティングデバイスは、有効な証明書が受け取られて照合されると、信頼され得る個人のコンピューティングデバイスであってよい。
【0020】
システムアーキテクチャ100は、企業ペルソナデバイス120~124がアクセス可能なデータを記憶する企業データ記憶システム(図示せず)も含んでよい。そのような記憶システムは、現場にあってよく、あるいは、サードパーティのクラウドホスティングサービスによって提供されるクラウドにおいて遠隔でホストされてもよい。請求処理に関連して、保険は3つのコアシステム又はデータベース:保険契約者データベース、製品データベース(異なる保険製品に関連したコードを記憶する)、及び活動中の請求を管理する請求管理システム(活動していない請求に関するデータを記憶してもよい)を有する。これらのシステム又はデータベースの夫々における記録は、本明細書でさらい詳細に記載されるように、インサイトにより補完され得る。そのような記憶システムは、(a)過去にアイテムに対して実行されたアクションを記述するアクションデータ、(b)どんなデータがアイテムに対して受け取られたか及び/又はどんなアクションがアイテムに対して実行されたかに基づいてアイテムが割り当てられるステージ(ワークフロー内,以下で更に詳細に記載する)を示すステージデータ、並びに(c)完了又は終了ステータスになるまでにアイテムに対してどんなステップ又はアクションが残っているかを示す次ステップデータ、を記憶してよい。
【0021】
[ドキュメント取り込みサービス]
ドキュメント取り込みサービス130は、電子ドキュメントを処理するデジタルサービスである。ドキュメント取り込みサービス130は、プリンタ、スキャナ、ファクシミリマシン、及び/又は多機能周辺機器(MFP)などの1つ以上のコンピューティングデバイスを有するドキュメント取り込みシステムの部分であってもよい。ドキュメント取り込みサービス130は、インサイト統合システム160をホストする企業によって、又はサードパーティエンティティによって提供されてよい。ドキュメント取り込みサービス130は、デジタル画像、スキャンされたドキュメント、PDFドキュメント、ワード処理ドキュメント、又は他のタイプの電子データを表す電子データを受け入れる。そのような電子データは、ユーザクライアントデバイス110、企業ペルソナデバイス、又は他のコンピューティングデバイスから起こってよい。例えば、ユーザクライアントデバイス110のユーザは、デバイス110に組み込まれているカメラにより写真を撮影し、そのデジタル画像をドキュメント取り込みサービス130へ(直接又は間接に)送信されるようにする。他の例として、ユーザクライアントデバイス110のユーザは、ドキュメント取り込みサービス130によって自動処理される1つ以上の添付付き電子メールを送る。他の例として、ユーザクライアントデバイス110のユーザは、印刷されたドキュメントをスキャンし、ユーザクライアントデバイス110にスキャンデータをドキュメント取り込みサービス130に送信させる。
【0022】
ドキュメント取り込みサービス130は、電子ドキュメントを受け入れて処理する。処理には、各電子ドキュメントをユーザ及び/又は組織と関連付けることが含まれ得る。そのような関連付けには、ユーザ名、発信元電子メールアドレス、ユーザ識別子、請求番号、若しくは任意の他の識別子、又は電子ドキュメント内の若しくは電子ドキュメントに添付しているデータの組み合わせを識別することが含まれ得る。そのような識別情報は、データリポジトリ166内のユーザ識別子にマッピングされ、そのユーザ識別子と関連付けて記憶される。例えば、ドキュメント取り込みサービス130は、写真添付を含む電子メール内の発信元電子メールアドレスを識別する。ドキュメント取り込みサービス130は、発信元電子メールアドレスと関連付けられている一意のユーザ識別子を識別し、写真添付を、一意のユーザ識別子と関連付けられている記録に記憶されるようにする。同様に、電子ドキュメント転送と関連付けられたユーザ識別データの組み合わせは、データリポジトリ166内の記録から、データの組み合わせの大部分(又は全て)に一致する記録を検索することを引き起こしてもよい。代替的に、ドキュメント取り込みサービス130が記録参照を行うことに代えて、ドキュメント取り込みサービス130は、ユーザ識別データを(1つ以上の電子ドキュメントとともに)インサイト統合システム160へ送信し、インサイト統合システム160は記録参照及び最終的な記憶を実行する。
【0023】
[サードパーティシステム]
サードパーティシステム140は、インサイト統合システム160をホストする企業へサードパーティサービス又はデータソースを提供する。サードパーティシステム140は、コンピュータネットワーク150を介してインサイト統合システム160へ通信可能に結合されている。サードパーティシステム140が提供するサードパーティサービスの例には、リスク評価、予測キャスティング、傾向分析、及び/又は企業が管理するアイテム(例えば、保険金請求処理における請求)に対する予測がある。サードパーティデータソースの例には、自動車価値評価サービス(例えば、Kelly Blue Book)、不動産価値データベース、NCOA(National Change Of Addoress)、又はPCOA(Proprietary Change Of Address)がある。他のデータソースには、保険契約情報、ステータス、保険契約限度額データ、活動中の請求などの顧客の記録システムが含まれ得る。
【0024】
サードパーティシステム140は、アイテムに関するデータを追加情報で補完し得る。そのような追加情報は、不正スコアの生成などのアイテムの予測又は評価を行うために使用されてよい。例えば、サードパーティシステム140が自動車価値評価サービスである場合に、インサイト統合システム160(又は企業の他のシステム)は、自動車のメーカー、モデル、年式、及び他の特徴などの、請求に関連した自動車に関するデータを自動車価値評価サービスへ送信し得る。それに応答して、自動車価値評価サービスは、自動車の自動車価値の範囲をインサイト統合システム160へ提供する。そのような範囲は、請求に関連した如何なる異常も検出するためにインサイト統合システム160によって使用され得る。
【0025】
サードパーティシステム140は、1つ以上の機械学習モデルを生成するよう1つ以上の機械学習技術を実装してよい。機械学習モデルは、入力が与えられると、機械学習モデルの従属変数に応じて、スコア又は予測を表す出力を生成する。例えば、請求に関する情報(例えば、事件の発生場所、自動車の価値、最初の報告からの日付、自動車の写真の有無、他の情報の欠落の有無、保険契約者の年齢、支払い推定)が与えられると、機械学習モデルは、保険契約者が支払い推定を受け入れるかどうかの予測を示すスコアを生成する。
【0026】
サードパーティシステム140は、インサイト統合システム160をホストする企業からのデータに基づいて、又は他のソースからのデータに基づいて、又は両方のソースに基づいて、1つ以上の機械学習モデルを生成してよい。後者2つの場合に、サードパーティシステム140は大量の情報へのアクセスを有するので、1つ以上の機械学習モデルによって生成された出力が適切であって企業にとって価値がある可能性を高めることができる。
【0027】
[インサイト統合システム]
インサイト統合システム160は、アイテム(例えば、請求、返送メール、電子ドキュメント)に関するデータを、それらのアイテムに関係があるインサイトとともに供給する。アイテムに関するデータは、データリポジトリ166に記憶されている。アイテムに関するデータ(又は「アイテムデータ」)は、対応する値を持った1つ以上の属性を有する。返送メール処理に関連して、アイテムは、返送されたメールであり、アイテムは、エンティティの(例えば、人又は組織の)名称、エンティティのカテゴリ(重要か又は重要でないか)、エンティティのステータス(例えば、企業によって管理されているワークフロー又はパイプライン内)、エンティティのメールあて先アドレス、エンティティの電話番号(存在する場合)、及びエンティティの電子メールアドレス(存在する場合)を有する。
【0028】
企業ペルソナデバイス120~124は、ポータル162を用いてコンピュータネットワーク150を介してインサイト統合システム160へデータ要求を送信する。ポータル162は、企業ペルソナデバイス120~124で実行される(ウェブ又はネイティブ)アプリケーションへエンドポイントを提供するウェブサーバアプリケーションを含んでよい。ポータル162はデータ要求を受信し処理する。データ要求の処理には、データリポジトリ166内の1つ以上の記録にアクセスすることが含まれてよく、各記録はアイテムに対応する。データ要求は、単一のアイテムに対する又は複数のアイテムに対する要求であってよい。データ要求の結果の例は、本明細書で更に詳細に記載される
図3A~3B、4A~4B及び5A~5Bに表されている。
【0029】
[ワークフロー]
各アイテムはワークフローとの関連で処理される。ワークフローは複数の処理段階を含む。アイテムはワークフロー内の段階に割り当てられる。例えば、請求処理に関連して、アイテムは請求に対応し、請求は発生段階、ドキュメント取り込み段階、パケット組み立て段階、データ妥当性検証段階、裁定段階、又は履行段階にあってよい。異なる請求は同時に異なる段階にある可能性がある。返送メール処理に関連して、アイテムはメールに対応し、未送信段階、送信済み段階、返送受け取り段階、電話による受取人への連絡段階、再送段階、又は応答確認段階にあってよい。先と同じく、異なるメール(又はメールアイテム)は同時に異なる段階にある可能性がある。一部のアイテムは、他のアイテムよりもワークフローを速く通過する。
【0030】
請求をワークフロー内で1つの段階から他の段階へ動かす(又は前進させる)ために、1つ以上のアクションが実行される必要がある。そのようなアクションは、(a)企業ペルソナデバイス(例えば、企業ペルソナCデバイス124)のユーザ、(b)アイテムを始めるユーザ(又はアイテムが対象とするユーザ)(例えば、請求処理との関連では保険契約者又はメールアイテムの受取人、例えばユーザクライアントデバイス110のユーザ)、(c)サードパーティエンティティ、又は(d)これら3つのエンティティの組み合わせなどの1つ以上のエンティティによって実行される必要があり得る。
【0031】
アイテムを1つの段階から他の段階へ前進させるために実行される必要があり得るアクションは、提供されているデジタルサービスに応じて変化する。例えば、請求処理に関連して、保険契約者(例えば、ユーザクライアントデバイス110のユーザ)は、請求(つまり、アイテム)がドキュメント取り込み段階からパケット組み立て段階へ進むことができる前に、2種類の電子ドキュメントを提供する必要があり得る。他の例として、請求査定者(又は企業ペルソナCデバイス124のユーザ)は、保険契約者の請求をデータ妥当性検証段階から裁定段階へ進める前に、保険契約者と音声で接触し、保険契約者から質問に対する1つ以上の回答を受け取る必要があり得る。
【0032】
[インサイト統合部]
インサイト統合部164は、企業によって管理されているアイテムに関するインサイトを、それらのアイテムに関するデータと統合(又は結合)する。統合は、企業ペルソナCデバイス124などのコンピューティングデバイスで提示されるユーザインターフェースで見ることができる。よって、ユーザインターフェースは、(1)アイテムに関するデータ、及び(2)アイテムに関する1つ以上のインサイトの両方を同時に含む。このようにして、ユーザインターフェースを提示されているユーザは、特定のアイテムのインサイトを得るために、他のコンピュータ、ウィンドウ、又はツールと相互作用する必要がない。インサイトは、インサイトが容易に実行できるように、ユーザに提供される。ユーザインターフェースの例は、本明細書で更に詳細に記載される。
【0033】
ポータル162のように、インサイト統合部164は、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの任意の組み合わせで実施されてよい。インサイトは、インサイト統合システム160をホストする企業によって、及び/又はサードパーティシステム140などの1つ以上のサードパーティエンティティによって、生成されてよい。
【0034】
インサイトは、アイテムデータとは別の追加データと見なされる。インサイト(又は追加データ)の例には、記述データ、規範データ、及び予測データが含まれる。よって、インサイトは、複数のタイプのうちの1つであってよい。インサイト統合部164は、(同じタイプの及び/又は異なるタイプの)複数のインサイトを、単一のアイテムに関するアイテムデータと結合してよい。例えば、請求に関するデータは、記述データ、規範データ、及び予測データとともに提示されてもよい。
【0035】
アイテムに関する記述データは、他のアイテムに対するアイテムの属性を記述する。例えば、特定の属性(例えば、地理的位置、重要度、月の始まり)についてアイテムの同じ値と関連付けられているアイテムのパーセンテージが計算され、そのアイテムに関するデータとともに表示される。
【0036】
アイテムに関する規範データは、アイテムに対して実行されるアクションを示す。アクションは、アイテムに関連した負の問題を是正することであってよく、あるいは、アイテムをワークフロー内のその後の段階へ進めることであってよい。例えば、アクションは、ワークフロー段階を完了するために電話で担当者に連絡することであってよい。規範データは、アイテムの責任を誰に割り当てるか及び/又は当該アイテムを含むアイテムに割り当てられている1人以上の人の作業率を調整するためにユーザ(例えば、企業ペルソナBデバイス122のユーザ)が相互作用するワークロードカルキュレータを含んでもよい。
【0037】
アイテムに関する予測データは、アイテムに関連した状態データに基づいた将来のイベントの予測を示す。予測は、他のアイテムに関する傾向分析、及び/又はロジスティック回帰、勾配ブースティング決定木、及びサポートベクターマシンなどの1つ以上の機械学習手法を使用して訓練されている1つ以上の機械学習モデルからの出力に基づいてよい。予測データの例は、アイテムが不正として分類されるかどうかである。例えば、請求処理に関連して、請求に関する電子ドキュメントを処理することは、(a)運転免許証の名が、請求を提出した保険契約者の名とは異なること、(b)申し立てによると月曜日に盗まれた財産の写真が、同じ週の金曜日に記録されていること、(c)請求が1万ドルを要求している財産物が、信頼できる遠隔データソースでは5千ドルの値が付けられていること、を露わにし得る。これらの要因は個別に、不正と分類された過去のアイテムに関するデータに基づいて、対応する請求が不正と分類される可能性を高める場合がある。予測データはまた、請求を提出したユーザ又はメール送信のあて先であるユーザに電話を掛けることなどの特定のアクションを従業員が行う場合に特定の結果の可能性も示し得る。
【0038】
[データリポジトリ]
データリポジトリ166は、企業が管理する複数のアイテムに関するアイテムデータ167を記憶する。アイテムデータは、1つ以上のリレーショナルテーブル内の記録又は行の形で記憶されてよい。例えば、アイテムデータ167の各記録は、異なるアイテムに対応し、複数の属性値を含み、各属性値は、アイテムの異なる属性に対応する。アイテムの属性はコンテキストに依存する。請求処理に関連して、アイテムは請求に対応し、請求の属性は、保険契約者の名前、保険契約者の連絡先情報、請求のワークフロー内の段階、請求において検出されたゼロ個以上の異常のリスト、請求の不正評価、請求の解決予定時間、及び請求に対して実行すべき推奨された次のアクションを含んでよい。インボイス処理に関連して、アイテムはインボイスに対応し、インボイスの属性は、インボイスの発行者の組織名、組織の連絡先情報、インボイスの量、インボイスのステータス(又はインボイスのワークフロー内の段階)、インボイスの重複決定、インボイスの無効な決定、インボイスにおいて検出されたゼロ個以上の異常のリスト、インボイスの不正評価、及びインボイスの発行者への支払い予定時間を含んでよい。
【0039】
データリポジトリ166はまた、企業の従業員(例えば、請求査定者)の1つ以上のチームに関するチームデータ168も記憶してよい。先と同じく、チームデータは、1つ以上のリレーショナルテーブル内の記録又は行の形で記憶されてよい。例えば、チームデータ168の各記録は、チームの異なるメンバーに対応してよく、複数の属性値を含み、各属性値は、チームメンバーの異なる属性に対応する。チームメンバーの属性はコンテキストに依存する。請求処理に関連して、チームメンバー(又は請求査定者)の属性は、請求査定者の氏名、週ごとの請求される請求の数、熟練度、ワークフロー内の夫々のとり得る段階に割り当てられている現在の請求の数(例えば、保留段階にある請求の数、検討段階にある請求の数、調査段階にある請求の数、及び交渉段階にある請求の数)、最も最近に割り当てられた請求の請求数を含んでよい。
【0040】
他の例として、チームデータ168の各記録は、異なるチームに対応してもよく、複数の属性を含み、各属性は異なる属性に対応する。チームの属性はコンテキストに依存する。請求処理に関連して、請求査定者のチームの属性は、チームの総ワークロード(又は全てのチームメンバーに割り当てられている請求の総数)、チームの平均ワークロード、各請求を解決するためにかかった平均時間、及び不正評価が特定の閾値を上回っている(チームに割り当てられている)請求の数を含んでよい。
【0041】
[ルールロジック]
インサイト統合システム160及び/又は他の企業コンピューティングデバイスは、(1)アイテムデータに基づいて(及びサードパーティエンティティからの任意の補足情報に基づいて)アイテムに対して異常を検出し、及び(2)企業の特定のメンバーへの又はアイテムに関連したエンドユーザへの通知(例えば、電子メール又はテキストメッセージ)を構成及び/又は送信することなどのアイテムに対する1つ以上のアクションを開始し、グラフィカルユーザインターフェース内でアイテムデータに隣接して特定の選択的なアイコン(異常を示す)を表示し、サードパーティシステム140と相互作用し、かつ/あるいは表示されているアイテムデータに関連した追加データ(規範データ)を生成及び/又は提示するためのルールロジックを実装してよい。ルールは、1つ以上のアクションに関連した1つ以上の条件を、それらのアクションがコンピュータシステムによって自動的に実行されようと又はユーザによって手動で実行されようと、含む。ルールの1つ以上の条件が満足される場合に、関連する1つ以上のアクションが実行されるか、又は少なくとも、ユーザインターフェース内のオプションとして提示される。
【0042】
例えば、返送メールサービスに関連して、企業は、企業の複数の顧客の夫々のアドレス情報を含む顧客データベースをホストし得る。企業が返送メールを受信したことに応答して、企業の従業員は、返送メールをスキャンし、スキャンデータをドキュメント取り込みサービス130へ送信されるようにし、ドキュメント取り込みサービス130は、スキャンデータに対して光学文字認識(OCR)を実行する。ドキュメント取り込みサービス130は、スキャンデータ内の顧客名及びあて先アドレスを認識し、情報をインサイト統合システム160へ送る。インサイト統合システム160は、顧客名及び/又はあて先アドレスに一致する顧客データベース内の記録を見つける。記録に基づいて、インサイト統合システム160は、返送メールをどのように処理すべきかを指示する複数のルールを実施する。ルールは、顧客が割り当てられている段階及び/又は顧客に最後に送られたメールのタイプに関する情報を必要とする。段階が初期段階にあるか、又はメールのタイプが重要でないと見なされた場合には、インサイト統合システム160は、サードパーティCOAデータベースで見つけられたあて先アドレスが異なる場合に、そこで見つけられたあて先アドレスであて先アドレスを自動的に更新する。段階が後の段階にあるか、又はメールのタイプが若干重要と見なされる場合には、企業は、何かを新しいアドレスに送る前に、特定のレターを古いあて先アドレスへ送る。メールタイプが非常に重要と見なされる場合には、メールを新しいアドレスへ再送しようと試みる前に、顧客に電話を掛ける必要がある。この場合に、インサイト統合システム160は、返送されたメールに関するアイテムデータに(GUI内で)隣接してグラフィカル電話ボタンを含んでもよい。電話ボタンのユーザ選択は、直ちに電話を掛けることをトリガし得る。夫々のとり得るアクションについて、インサイト統合システム160は、(a)返送メール及び顧客の属性(例えば、1つ以上の機械学習モデルを使用する)又は(b)企業への返送メールを含んだ過去のシナリオに基づいて、メールが顧客の適切なあて先アドレスへ配信される成功の確率を決定し得る。例えば、更新されたアドレスのみに基づいた過去の再送メールの53%は、再送メールに成功した(メールは返送されなかった)。あるいは、顧客への過去の電話の75%は、正確なアドレスの取得をもたらした(メールは再送信され、返送されなかった)。
【0043】
企業の1人以上の代表者は、インサイト統合システム160を提供するエンティティによって定義されたデフォルトのルールに依存するではなく、機械により読み取り可能なコードで彼ら自身のルールを定義してもよい。よって、ルールは容易に符号化され得る。代替的に、企業の代表者は、1つ以上のルールの説明を、インサイト統合システム160を提供するエンティティである代表者に伝えてもよく、エンティティである代表者は、1つ以上のルールを機械により読み取り可能なコードに書き込む。
【0044】
[インサイト統合システムの入力及び出力]
図2は、実施形態において、インサイト生成部250の例示的な入力210及び出力260を表すブロック図である。この例で、入力210及び出力260は請求処理に関係があるが、実施形態はそのように制限されない。インサイト生成部250は、インサイト統合システム160の部分であってよく、1つ以上の外部コンピュータシステム及び/又はデータソースと一体化されている単一の使い勝手のよい(easy-to-consume)サービスとして動作する。
【0045】
入力210は、新しい請求212、査定者情報214、サービスレベルに関する合意(SLA)216、予測傾向データ218、理想的な次ステップ222、係属中の請求の詳細224、サードパーティ統合データ226、請求者の保険契約及び履歴228、支払者/アジャスタネットワーク232を含む。入力210の一部は、毎回出力260の異なる1つを生成するために、複数回使用される場合がある。
【0046】
新しい請求212は、(例えば、ユーザクライアントデバイス110を操作している)保険契約者から直接に、又は請求データベース内に新しい請求を作成する電話窓口を通じて保険契約者から間接に発生し得る。
【0047】
査定者情報214は、名前、開始日、監督者名、担当部署、及び熟練度などの請求査定者の組に関する情報を含む。査定者情報214は企業自体からのものであってよい。
【0048】
SLA216は、ある期間内に請求を処理するための合意などの、企業と1つ以上の規制機関との間の合意に関係がある。SLA216は、規制機関によって指示される場合があるが、電子システムが知っている必要があるビジネスルールとして企業によって定義されてもよい。
【0049】
予測傾向データ218は、請求全般の傾向データを含んでよい。例えば、過去の傾向に基づいて、フロリダ州での保険金請求はハリケーンの季節に70%増加する。他のタイプの傾向は、処理済みの請求の数及び未処理の請求の変化(増加/減少)やそれらのタイプ及び複雑さなどの過去のデータを解析することによって発見される場合がある。過去のデータには、サードパーティデータが含まれてもよい。
【0050】
理想的な次ステップ222は、特定の順序で請求ごとに行われるべきである線形なステップの組又は有向非巡回グラフ(DAG)内のステップなどのステップの組を説明する。理想的な次ステップ222は、企業の代表者によって定義されてよい。
【0051】
係属中の請求の詳細224は、係属中であり、従って完了又は解決されていない各請求に関する詳細をリストアップする。請求が完了すると、企業はもはや、その請求に対して如何なるアクションも行う必要がない。係属中の請求の詳細は、保険契約者(請求を提出した者)の名前、保険契約者の保険契約を識別する保険契約識別子、請求の査定された価値、提出日、保険金請求の場所又は請求の原因となった事件、請求が当局に報告されているかどうか、事件に人々が関与したかどうか、などを含んでよい。
【0052】
サードパーティ統合データ226は、サードパーティシステム140などの1つ以上のサードパーティシステムからのデータである。インサイト生成部250は、処理済みのデータに基づいて出力を生成する前に、そのようなデータソースからのデータを処理してよい。処理の例には、データタイプ変換、切り捨て、ステミング、及び当該データと他のデータソースからのデータとの結合が含まれる。
【0053】
請求者の保険契約及び履歴228は、以前に請求を提出した保険契約者、及びそれらの提出された請求の時点で保険契約者が持っていた各自の保険契約に関するデータを含む。
【0054】
支払者/アジャスタネットワーク232は、保険契約者に保険金を支払ったエンティティ(複数のエンティティ)、及び保険金の支払い前に保険金請求額を調整したエンティティに関するデータを含む。
【0055】
入力210はインサイト生成部250への入力であり、インサイト生成部250は、ワークロード計算部252、チーム解析部254、請求解析部256、及び請求傾向258を含む複数のコンポーネントを有する。インサイト生成部250の各コンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実施されてよい。
【0056】
ワークロード計算部252は、査定者情報214及び理想的な次ステップ222に基づいて、従業員(例えば、請求査定者)ごとのスループット(例えば、週ごとの、完了まで正常に処理された請求の数、各請求の平均係属期間、など)及び品質(例えば、エスカレーションの数(例えば、別の査定者への請求の再割り当て、特定の請求に関する請求査定者への連絡)、顧客満足度スコア)並びにチームごとのスループット及び品質などの、1つ以上の性能測定基準を計算する。ワークロード計算部252は、チームの訓練及び改善の機会を特定するために、段階ごとにチームに対するベンチマークを用いて請求パイプラインの段階ごとの性能測定基準を計算してもよい。
【0057】
ワークロード計算部252はまた、査定者情報214、SLA216、及び係属中の請求の詳細224に基づいて、要員計画を生成してもよい。要員計画262は、SLA216を達成するために適時に現在の請求の組を処理するための十分な人数の請求査定者がいることを確かにする。要員計画262はまた、時間にわたって受け取られる請求の数及び/又は時間に対する現在の請求査定者の効率(時間に対する効率は、時間にわたる各請求査定者のスループットの変化を指し得る。)に関係がある予測傾向データ218を考慮することによって、将来を見据えたものとなる。
【0058】
チーム解析部254は、査定者情報214、SLA216、請求者の保険契約及び履歴228、及び/又は支払者/アジャスタネットワーク232に基づいて、チーム性能測定基準を生成する。チーム性能測定基準264は、チームメンバーに割り当てられている各請求の各段階の長さ、チームメンバーによって扱われている請求のタイプ、各チームメンバーに起因する誤り、及びチームメンバーごとの支払いに基づいた個々のチームメンバーのパフォーマンスを含んでよい。
【0059】
請求解析部256は、請求に関する情報、査定者情報214、査定者情報214で示されている各請求査定者に割り当てられている現在の請求に影響を及ぼす可能性があるSLA216、利用可能な請求査定者の厳密なサブセットが保持している特殊技能又は属性を必要とする可能性がある請求の速度及び請求のタイプを示す予測傾向データ218、係属中の請求の詳細224(例えば、(各査定者に現在割り当てられている)請求がどれくらい完了に近いかを示す)、並びに請求者の保険契約及び履歴228(問題の保険契約の属性を示し、かつ、保険金請求の請求者が過去に企業とどのように対応し、協力的だったかを示す)に基づいて、新しい請求212のケース割り当て270を生成する(割り当ては、企業のシステムに入ってくる新しい請求ごとに一度に1つの請求割り当てを含んでよい)。
【0060】
請求解析部256は、係属中の請求の詳細224、理想的な次ステップ222、サードパーティ統合データ226、及び/又は予測傾向データ218に基づいて、係属中の請求ごとにインサイト次ステップ272を生成する。
【0061】
請求解析部256は、係属中の請求の詳細224、サードパーティ統合データ226、及び/又は予測傾向データ218に基づいて、係属中の請求ごとにリスク評価274を生成する。請求解析部256は、係属中の請求に対して変化が起きるといつでも、係属中の請求のリスク評価を更新するようトリガされ得る。
【0062】
請求解析部256は、特定の請求に対して請求組み立て274を生成する。請求は、通常、裁定が行われ得る前にいくつかの書類を完成させて完全に提出される必要がある。請求組み立てのプロセスは、それらの書類を見つけ、それらをデジタル的にグループ化することである。そのようなグループ化は、請求タイプ、状態(又は場所)、請求のサイズに基づいて行われ、書類がオリジナルかそれとも複製かを決定することを含む。
【0063】
請求解析部256は、請求内のどんな情報が不足しているかを示す欠落データ278を生成する。請求解析部256は、新しい請求212に含まれる各請求を解析し、請求組み立て276に関係がある。欠落データ278を生成するプロセスは、当事者間の通信のシステム内で接触して監査証跡を保持する方法を含め、どの書類が請求において不足しているかと、誰がそれらの書類を提供する必要があるか(例えば、保険契約者、又はサードパーティの医療提供者)とを決定することを含む。
【0064】
請求傾向258は、特定の請求に関するデータよりむしろ、企業視点のデータを生成する。請求傾向258の出力は、チームパフォーマンス及び人員配置レベルと結び付けられてよく、また、X日/月にわたって予想されるボリューム、複雑さ、タイプの予測も含んでよい。
【0065】
図2に表されるように、インサイト生成部250の出力260は2組の出力を含み、1つは1つのペルソナのユーザ(例えば、マネージャ又はチームリーダー)用であり、もう1つは他のペルソナのユーザ(例えば、請求査定者)用である。
【0066】
[インサイト統合の例]
実施形態の1つの目標は、ユーザが実行する又は実行しないアクションを前倒しすることである。もう1つの目標は、インサイトをアイテム関連データと組み合わせて、これまで記述的でなかったデータを強化することである。ユーザインターフェースの以下のスクリーンショット(インサイト統合部164によって生成される)は、これらの目標の両方を実施した結果を表す。
【0067】
図3A~3Bは、実施形態における、インサイト312をアイテム関連データと組み合わせたユーザインターフェースの例のスクリーンショットである。ユーザインターフェース310~320は、請求管理サービス(保険金請求を管理する)、配信サービス(物理的な及び/又はデジタルのメールを配信する)、捕捉及び変換サービス(例えば、ドキュメントの一部に対してOCRを実行することを含む、ドキュメントのスキャン及び処理)、及び返送メールサービス(メールの発信元である企業へメールが戻ったときに使用されてよい)を含む複数のデジタルサービスを利用する企業のオーナー又はマネージャによって利用される(サービスの)単一のダッシュボードビューを構成する。よって、ユーザインターフェース310は、請求管理のためのセクション314と、インテリジェント配信のためのセクション316とを含み、一方、ユーザインターフェース320は、捕捉及び変換のためのセクション322と、返送メール管理のためのセクション324とを含む。
【0068】
ユーザインターフェース310に含まれるインサイト312は、4つの異なるインサイト:請求管理により生成される返送メールのパーセンテージ、自動アシスタントが今月中に節約した労働時間数、否定的な顧客感情を伴ったやりとりの数、及び今月中に請求管理に関連したタスクに自動アシスタントが費やした時間のパーセンテージの指示、を含む。第1インサイト及び第2インサイトは、問題となっているサービス又は通信に関する更なる情報を見るためのリンクを含む。例えば、第3インサイトの選択により、ユーザインターフェースは、否定的な顧客感情を有する7つのやりとりの少なくとも一部に関するデータを表示するよう更新される。
【0069】
図4Aは、実施形態における、係属中の請求の詳細を表示する例示的なユーザインターフェース410のスクリーンショットである。ユーザインターフェース410は、複数の請求と、請求412~414に関するものを含む、各請求に関する情報とをリストアップする。ユーザインターフェース410は、請求査定者などの特定のタイプのユーザ又はペルソナのために生成されてよい。各請求は、優先順位、請求番号、受領日、保険契約者(又はメンバー)名、請求タイプ、SLA期限、段階インジケータ、ステータス、及びプランマーケット位置を有してもよい。ユーザインターフェース410が示すように、請求412~414は異なる請求タイプを有するだけでなく、請求412~414は異なる段階に割り当てられている。更に、請求412は、相対的に高い優先度を有し(3つの炎アイコンを有する)、請求414は、1つの炎アイコンによって示されるように、より低い優先度(少なくとも412に対する)を有する。請求414の唯一の炎アイコンを選択すること(又は唯一の炎アイコンの上にカーソル制御ポインタを置くこと)により、何が優先順位の原因であるかに関するデータが提示される。この例では、請求414のSLA期限が迫っており、アクションがその請求に対して直ぐに行われるべきであることを示している。
【0070】
図4Bは、実施形態における、請求の詳細とともにインサイトを表示する例示的なユーザインターフェース420のスクリーンショットである。ユーザインターフェース420は、ユーザインターフェース410において請求412を選択することに応答して提示されてよい(よって、ユーザインターフェース420は、ユーザインターフェース410のユーザのペルソナと同じペルソナのユーザに向けられ得る。)。そのような選択は、請求412の請求番号を選択することを伴う。ユーザインターフェース420は、単一の請求の詳細とともにインサイト422~428を含む。インサイト422~428の夫々は、選択可能なグラフィカル要素であってよい。インサイト422~428のうちの1つ以上の内容は、オン・ザ・フライで、又はユーザインターフェース420における請求412の選択に応答して、生成されてよい。追加的に、又は代替的に、インサイト422~428のうちの1つ以上の内容は、請求の段階の変化など、請求に関する詳細が変化する場合、新しい書類がその請求に対して受け取られる場合、又は関連するSLA期限に近づいた日に、など、請求412のユーザ選択よりも少し前の時点で、選択された請求と関連付けて生成及び記憶されていてもよい。
【0071】
インサイト422は、選択された請求に関する予測データの例であり、不正の可能性を示す。インサイト422はまた、アクションと関連付けられている。インサイト422のユーザ選択により、請求は手動レビューにサブミットされる。これは、請求に関するデータが、1人以上の検閲者によって手動でレビューされる待ち行列に置かれ得る、ことを意味することができる。
【0072】
インサイト424は、選択された請求に対して行われる特定のアクションの例である。インサイト424のユーザ選択により、請求は、支払われるか又は裁定され得る。
【0073】
インサイト426~428は、他の請求に関連して選択された請求に関する更なるコンテキスト情報を供給する記述データの例である。具体的に、インサイト426は、自動アシスタントツールにより、時間又は労働時間の削減などの何らかの指標が29%向上したことを示す。インサイト428は、選択された請求の請求額が類似の請求より25%高いことを示す。類似の請求とは、同じタイプの請求(例えば、医療請求、住宅請求、自動車請求)、又は場所、家の平方フィート、車のメーカーなどの共通した1つ以上の他の属性を共有する請求であってよい。
【0074】
図5Aは、実施形態における、マネージャのためにチームレベルデータとともにインサイトを表示する例示的なユーザインターフェース510のスクリーンショットである。ユーザインターフェース510はインサイト512~518を含み、インサイト512~518の夫々は、記述データの例である。インサイト512は、過去のチームのパフォーマンスに対するチームのパフォーマンスを記述する。具体的に、インサイト512は、チーム請求処理時間が前月又は他の期間に対して今月は9%減少したことを示す。インサイト514は、待ち行列内のアイテムの現在の待ち時間(すなわち、4.2日)を示す。インサイト514は、選択される場合に、ワークロードカルキュレータが提示されるようにするリンクを含み、これは
図5Bに表されている。
【0075】
インサイト516は、チームがSLA期限に間に合わない危険がある12件の請求を抱えていることを示す。インサイト516のユーザ選択により、それらの12件の請求が表示されるよう、ユーザインターフェース510が更新され得る。インサイト518は、チームが今月最高の顧客満足度スコアを獲得したことを示す。インサイト518のユーザ選択により、他のチームの顧客満足度スコア及び/又はチームの個々のメンバーの顧客満足度スコアの内訳とともに顧客満足度スコアが表示されるよう、ユーザインターフェース510が更新され得る。
【0076】
図5Bは、実施形態における、ワークロードカルキュレータを表示するポップアップウィンドウを含む例示的なユーザインターフェース520のスクリーンショットである。これは、企業のマネージャ又はオーナーが、割り当てられていないアイテム、又はこの例では請求のバックログを減らすために、1つ以上の作業関連パラメータを調整することを可能にする。作業関連パラメータには、待ち行列内の割り当てられていない請求の数、請求査定者の数、1日の勤務時間数、時間外労働時間、及び請求の処理にかかる平均時間(分)が含まれる。ただし、1つ以上の作業関連パラメータ値を調整すると、バックログをクリアするための異なる時間が計算される場合がある。例えば、請求査定者の数が13人に増加した場合、4.2日は異なる見積もりに短縮される可能性がある。
【0077】
[プロセスの例]
図6は、実施形態における、インサイトをワークフローに関係があるアイテムデータと統合する例示的なプロセス600を表すフロー図である。プロセス600は、インサイト統合システム160の種々のコンポーネントによって実行されてよい。
【0078】
ブロック610で、複数のアイテムに関係がある電子ドキュメントが受け取られる。アイテムは、請求処理、インボイス処理、又はメール処理などのオンラインデジタルサービスによって管理される。
【0079】
ブロック620で、電子ドキュメントの処理に基づいて、アイテムのワークフローデータが記憶される。ワークフローデータは複数のワークフローデータアイテムを含み、各ワークフローデータアイテムは、複数のアイテムのうちの対応するアイテムの段階を示す。例えば、アイテムは請求であり、請求は、6つのとり得る段階のうちの1つにあってよい。
【0080】
ブロック630で、特定のアイテムに関連したアイテムデータの要求が受け取られる。要求は、企業ペルソナデバイス120~124のうちの1つから発せられてよい。ブロック630はポータル162によって実行されてよい。要求は、インサイト統合システム160において特定のアイテムを一意に識別するアイテム識別子を含んでもよい。要求は、追加的に、又は代替的に、企業が利用する複数のデジタルサービスに関する情報をリストアップするダッシュボードビューのためのものであってもよい。要求は、代わりに、ユーザクライアントデバイス110から発せられてもよい。このような要求は、コンテキストに応じて、ユーザのアイテムが迅速に処理される可能性を高めるために、又はユーザが興味を持つ可能性のある別の指標に従ってユーザが実行する可能性のあるアクションに関する情報をユーザに提供してもよい。例えば、ユーザは、自身の請求のステータスを知りたい場合があり、その結果、インサイト統合システム160は、処理を加速させる可能性があるどの書類が不足しているかと、類似の請求がどれくらい速く処理されているかとに関するインサイトとともに、ユーザの請求の詳細を提供するユーザインターフェースを生成する。
【0081】
ブロック640で、要求を受け取ることに応答して、アイテムデータが読み出される。例えば、インサイト統合部164は、特定のアイテムのアイテム識別子を用いて、データリポジトリ166内の記録を調べる。
【0082】
ブロック650で、追加データも読み出される。例えば、インサイト統合部164は、データリポジトリ166から追加データを読み出す。ブロック640~650は、インサイト統合部164からの単一の読み出し要求の結果であってよい。インサイト統合システム160は、他のアイテムに関するデータに基づいて、及び/又はサードパーティシステム140からのデータに基づいて、追加データを生成している場合がある。代替的に、追加データは、サードパーティシステム140から全体として発せられたものであってもよい。追加データは、記述データ、規範データ、又は予測データのうちの1つである。
【0083】
ブロック660で、アイテムデータ及び追加データは、コンピューティングデバイスのスクリーンに同時に表示される。ブロック660は、インサイト統合部164が、単一のビュー又はウィンドウにアイテムデータ及び追加データの両方を含めるユーザインターフェースデータを生成することを含んでもよい。ポータル162は次いで、ブロック630~660をトリガした要求を送信したコンピュータデバイスへコンピュータネットワーク150を介してユーザインターフェースデータを転送する。
【0084】
[実施メカニズム]
本発明の一実施形態に従って、本明細書で記載される技術は、1つ以上の特別目的のコンピューティングデバイスによって実施される。特別目的のコンピューティングデバイスは、技術を実行するようハードワイヤード接続されてよく、あるいは、技術を実行するよう持続的にプログラミングされている1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのデジタル電子デバイスを含んでもよく、あるいは、ファームウェア、メモリ、他のストレージ、又は組み合わせにおけるプログラム命令に従って技術を実行するようプログラムされている1つ以上の汎用のハードウェアプロセッサを含んでもよい。そのような特別目的のコンピューティングデバイスは、技術を達成するために、カスタムハードワイヤード接続ロジック、ASIC、又はFPGAをカスタムプログラミングと組み合わせてもよい。特別目的のコンピューティングデバイスは、技術を実装するようハードワイヤード接続及び/又はプログラムロジックを組み込むデスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルドデバイス、ネットワーキングデバイス、又は任意の他のデバイスであってよい。
【0085】
図7は、本発明の実施形態が実施され得る例示的なコンピュータシステム700を表すブロック図である。コンピュータシステム700は、情報を通信するためのバス702又は他の通信メカニズムと、情報を処理するための、バス702と結合されたプロセッサ704とを含む。コンピュータシステム700は、情報及びプロセッサ704によって実行される命令を記憶するための、バス702へ結合されたメインメモリ706、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶デバイスも含む。メインメモリ706は、プロセッサ704によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するためにも使用されてよい。コンピュータシステム700は、プロセッサ704のための静的な情報及び命令を記憶するための、バス702へ結合されたリードオンリーメモリ(ROM)708又は他の静的記憶デバイスを更に含む。磁気ディスク又は光ディスクなどの記憶デバイス710が、情報及び命令を記憶するために設けられてバス702へ結合される。
【0086】
コンピュータシステム700は、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ712へバス702を介して結合されてもよい。バス702は単一のバスとして表されているが、バス702は1つ以上のバスを有してもよい。例えば、バス702は、プロセッサ704がコンピュータシステム700内の他のデバイスを制御するための制御バス、プロセッサ704が実行のための命令のメモリ位置を指定するためのアドレスバス、又はコンピュータシステム700のコンポーネント間でデータ若しくは信号を転送するための任意の他のタイプのバスを制限なしに含んでもよい。
【0087】
英数字キー及び他のキーを含む入力デバイスが、情報及びコマンド選択をプロセッサ704へ送るために、バス702へ結合されている。他のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ704へ送るための、及びディスプレイ712上でカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソルコントロール716である。この入力デバイスは、通常、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする2つの軸、つまり、第1軸(例えば、x)及び第2軸(例えば、y)での2自由度を有する。
【0088】
コンピュータシステム700は、コンピュータシステムと組み合わせて、コンピュータシステム700を専用のマシンにならしめるか又はそのようにプログラムするカスタマイズされたハードワイヤード接続ロジック、1つ以上のASIC若しくはFPGA、ファームウェア及び/又はプログラムロジック若しくはコンピュータソフトウェアを用いて、本明細書で記載される技術を実施してよい。本発明の一実施形態に従って、これらの技術は、プロセッサ704がメインメモリ706に含まれている1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム700によって実行される。このような命令は、記憶デバイス710などの他のコンピュータ可読媒体からメインメモリ706に読み出されてよい。メインメモリ706に含まれている命令のシーケンスの実行は、プロセッサ704に、本明細書で記載されるプロセスステップを実行させる。代替の実施形態で、ハードワイヤード接続ロジックが、本発明を実施するようソフトウェア命令の代わりに又はそれと組み合わせ使用されてもよい。よって、本発明の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに制限されない。
【0089】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、特定の方法でコンピュータを作動させるデータを供給することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータシステム700を用いて実施される実施形態では、様々なコンピュータ可読媒体が、例えば、実行のためにプロセッサ704へ命令を供給することに関与する。このような媒体は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含むがこれらに限られない多くの形をとり得る。不揮発性媒体には、例えば、記憶デバイス710などの光又は磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には、メインメモリ706などの動的メモリが含まれる。コンピュータ可読媒体の一般的な形式には、例えば、フロッピー(登録商標)、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、若しくは任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、RAM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはメモリカートリッジ、又はコンピュータが読み出すことができる任意の他の媒体がある。
【0090】
様々な形態のコンピュータ可読媒体は、実行のためにプロセッサ704へ1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを伝達することに関与し得る。例えば、命令は最初に、遠隔のコンピュータの磁気ディスクに担持されてよい。遠隔のコンピュータの磁気ディスクは、その動的メモリに命令をロードし、モデムを用いて電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム700のローカルにあるモデムは、電話回線上のデータを受信し、赤外線送信機を用いて、データを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器は、赤外線信号で伝達されるデータを受信することができ、適切な回路が、データをバス702に置くことができる。バス702はデータをメインメモリ706へ伝達し、メインメモリ706からプロセッサ704は命令を読み出し、そして実行する。メインメモリ706から受け取られた命令は、任意に、プロセッサ704による実行の前又は後に、記憶デバイス710に記憶されてもよい。
【0091】
コンピュータシステム700は、バス702へ結合された通信インターフェース718も含む。通信インターフェース718は、ローカルエリアネットワーク722へ接続されているネットワークリンク720への双方向のデータ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェース718は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するよう総合デジタルサービス網(ISDN)カード又はモデムであってよい。他の例として、通信インターフェース718は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するようローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクも実装されてよい。任意のこのような実施で、通信インターフェース718は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝達する電気、電磁気又は光信号を送信及び受信する。
【0092】
ネットワークリンク720は、通常、1つ以上のネットワークを通じた他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク720は、ローカルエリアネットワーク722を通じたホストコンピュータ724への又はインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)726によって操作されるデータ設備への接続を提供してもよい。ISP726は、現在一般的に「インターネット」728と呼ばれるワールドワイドパケットデータ通信網を通じたデータ通信サービスを提供する。ローカルエリアネットワーク722及びインターネット728はいずれも、デジタルデータストリームを伝達する電気、電磁気又は光信号を使用する。
【0093】
コンピュータシステム700は、ネットワーク、ネットワークリンク720、及び通信インターフェース718を通じて、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットを例として、サーバ730は、インターネット728、ISP726、ローカルエリアネットワーク722、及び通信インターフェース718を通じて、要求されているアプリケーションプログラム用のコードを伝送し得る。受信されたコードは、それが受信され、及び/又は後の実行のために記憶デバイス710若しくは他の不揮発性ストレージに記憶されると、プロセッサ704によって実行されてよい。
【0094】
上記の明細書中、本発明の実施形態は、実施ごとに様々であり得る多数の具体的な詳細を参照して記載されてきた。よって、本発明が何であるか、そして出願人が何を意図しているかという唯一かつ排他的な指標は、その後の修正を含む、そのような請求項が発行する特定の形式で、本出願から発行される請求項の組である。従って、請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点、又は属性は、如何なる形であってもそのような請求項の範囲を制限するものではない。然るに、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味として見なされるべきである。
【0095】
本願は、2021年3月9日付けで「SOFTWARE SERVICE INTEGRATION IN A CENTRAL SOFTWARE PLATFORM」との発明の名称で出願された米国特許出願第17/196,503号に関係があり、この米国特許出願の内容は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【符号の説明】
【0096】
100 システムアーキテクチャ
110 ユーザクライアントデバイス
120 企業ペルソナAデバイス
122 企業ペルソナBデバイス
124 企業ペルソナCデバイス
130 ドキュメント取り込みサービス
140 サードパーティシステム
150 コンピュータネットワーク
160 インサイト統合システム
162 ポータル
164 インサイト統合部
166 データリポジトリ
167 アイテムデータ
168 チームデータ
210 入力
212,412,414 請求
214 査定者情報
216 サービスレベルに関する合意(SLA)
218 予測傾向データ
222 理想的な次ステップ
224 係属中の請求の詳細
226 サードパーティ統合データ
228 請求者の保険契約及び履歴
232 支払者/アジャスタネットワーク
250 インサイト生成部
252 ワークロード計算部
254 チーム解析部
256 請求解析部
258 請求傾向
260 出力
262 要員計画
264 チーム性能測定基準
270 ケース割り当て
272 インサイト次ステップ
274 リスク評価
276 請求組み立て
278 欠落データ
310,312,320,410,420、510,520 ユーザインターフェース
314,316、322,324 セクション
422,424,426,428、512,514,516,518 インサイト
600 プロセス
700 コンピュータシステム
702 バス
704 プロセッサ
706 メインメモリ
708 リードオンリーメモリ(ROM)
710 記憶デバイス
712 ディスプレイ
714 入力デバイス
716 カーソルコントロール
718 通信インターフェース
720 ネットワークリンク
722 ローカルエリアネットワーク
724 ホストコンピュータ
726 インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)
728 インターネット
730 サーバ