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特開2024-67459校正装置およびこれを備えたベルトコンベア設備ならびにその校正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067459
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】校正装置およびこれを備えたベルトコンベア設備ならびにその校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/14 20060101AFI20240510BHJP
   G01G 23/01 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01G11/14 A
G01G23/01 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177551
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】青木 公佑
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造が単純で、容易に校正できる校正装置およびこれを備えたベルトコンベア設備ならびに該設備の校正方法を提供する。
【解決手段】校正装置100は、テストチェーン30と、第1および第2のレール40A、40Bと、第1および第2の吊上げ手段としての第1および第2吊上げ装置50A、50Bとを備える。第1のレール40Aは、計量装置20より高所であって、搬送方向CDにおける計量装置20の上流側に配置され、搬送方向CDに交差して延在している。第2のレール40Bは、計量装置20より高所であって、計量装置20の下流側に配置され、搬送方向CDに交差して延在している。第1の吊上げ装置50Aは、第1のレール40Aに沿って移動し、テストチェーン30の上流側端部31を吊り上げる。第2の吊上げ装置50Bは、第2のレール40Bに沿って移動し、テストチェーン30の下流側端部33を吊り上げる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の質量を計量する計量装置を備えたコンベアの前記計量装置を校正する際に前記コンベア上にその搬送方向に沿って載置される1または複数本のテストチェーンと、
前記搬送方向における前記計量装置の上流側および下流側において、前記計量装置よりも高所で且つ前記搬送方向に交差するようにそれぞれ配置された第1のレールおよび第2のレールと、
前記第1のレールおよび前記第2のレールに沿ってそれぞれ移動すると共に、前記1または複数本のテストチェーンの上流側端部および下流側端部をそれぞれ吊り上げる第1の吊上げ手段および第2の吊上げ手段とを備えることを特徴とする校正装置。
【請求項2】
前記第1の吊上げ手段および前記第2の吊上げ手段は、それぞれ前記第1のレールおよび前記第2のレールに沿って移動するローラを有し、
前記第1のレールおよび前記第2のレールは、それぞれ、前記第1のレールに設けられた前記ローラが走行する第1の走行面に垂直な第1の方向と、前記第2のレールに設けられた前記ローラが走行する第2の走行面に垂直な第2の方向とが、鉛直方向に対して30°以上60°以下の角度で互いに外側に傾くように、前記第1の走行面と前記第2の走行面が傾けて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記テストチェーンが複数本であり、前記第1の吊上げ手段および前記第2の吊上げ手段は、前記複数本のテストチェーンを同時に吊り上げることが可能な吊り天秤をそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の校正装置。
【請求項4】
前記テストチェーンが複数本であり、前記第1の吊上げ手段は、前記複数本のテストチェーンの上流側端部をそれぞれ吊り上げる複数の装置で構成され、
前記第2の吊上げ手段は、前記複数本のテストチェーンの下流側端部をそれぞれ吊り上げる複数の装置で構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の校正装置。
【請求項5】
搬送物を搬送方向に搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送される前記搬送物の質量を計量する計量装置と、
前記搬送方向における前記計量装置の上流側および下流側において、前記計量装置より高所で且つ前記搬送方向に交差するように配置された第1のレールおよび第2のレールと、
前記第1のレールおよび前記第2のレールに沿ってそれぞれ移動すると共に、前記コンベア上にその搬送方向に沿って載置することで前記計量装置を校正する1または複数本のテストチェーンの上流側端部および下流側端部をそれぞれ吊り上げる第1の吊上げ手段および第2の吊上げ手段とを備えることを特徴とするベルトコンベア設備。
【請求項6】
前記コンベアは下流側が上流側よりも高くなるように傾斜しており、前記第2のレールは前記第1のレールより高所に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のベルトコンベア設備。
【請求項7】
前記コンベアは下流側が上流側よりも低くなるように傾斜しており、前記第1のレールは前記第2のレールより高所に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のベルトコンベア設備。
【請求項8】
搬送物の質量を計量する計量装置を備えたコンベアに対して、その搬送方向に沿って1または複数本のテストチェーンを載置することで前記計量装置を校正する方法であって、
前記1または複数本のテストチェーンの上流側端部および下流側端部をそれぞれ第1の吊上げ手段および第2の吊上げ手段を用いて吊り上げ、前記第1の吊上げ手段および前記第2の吊上げ手段を前記計量装置より高所で且つ前記搬送方向に交差するようにそれぞれ配置された第1のレールおよび第2のレールに沿って移動する移動工程と、
前記第1の吊上げ手段および前記第2の吊上げ手段を用いて前記1または複数本のテストチェーンの上流側端部および下流側端部をそれぞれ降下させ、前記1または複数本のテストチェーンを前記計量装置の上に裁置する校正工程とを備えることを特徴とする校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正装置および該校正装置を備えたベルトコンベア設備ならびに該ベルトコンベア設備の校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送物の質量を計量する計量装置を備えたコンベアが知られている。この計量装置を校正するために、テストチェーンが用いられている。計量装置を校正する際、テストチェーンをコンベアスケールの上に裁置する必要があり、テストチェーンの全体重量が重いため、テストチェーンを分割してコンベアの計量装置上まで運搬して再度組み立てている。また、組み立てた後、コンベアを運転して計量装置を校正する際にテストチェーンが動かないように固定するために両端を鉄骨に固定する必要がある。また、計量装置の校正の際には、搬送物の運搬ができなくなるため、生産量が低下する。生産量への影響を小さくするためには校正の時間を短縮する必要がある。
【0003】
特許文献1は、校正の時間を短縮するために、搬送される搬送物の重量を計量する計量装置を校正するテストチェーンをコンベアベルトの上方で収納する収納部を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-130690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコンベアは、コンベアベルトの上方に複雑な構造を有する収納部を設置するため、コンベアの上方に十分なスペースが必要である。テストチェーンの重量に応じて収納部の強度を確保する必要があり、コストがかかる。また、収納部が設置されている環境が腐食環境である場合、テストチェーンが腐食する虞がある。
【0006】
本発明は、上記のような計量装置を備えたコンベアが抱える問題点に鑑みてなされたものであり、単純な構造で容易に校正可能な校正装置および該校正装置を備えたベルトコンベア設備ならびに該ベルトコンベア設備の校正方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る校正装置は、搬送物の質量を計量する計量装置を備えたコンベアの前記計量装置を校正する際に前記コンベア上にその搬送方向に沿って載置される1または複数本のテストチェーンと、前記搬送方向における前記計量装置の上流側および下流側において、前記計量装置よりも高所で且つ前記搬送方向に交差するようにそれぞれ配置された第1のレールおよび第2のレールと、前記第1のレールおよび前記第2のレールに沿ってそれぞれ移動すると共に、前記1または複数本のテストチェーンの上流側端部および下流側端部をそれぞれ吊り上げる第1の吊上げ手段および第2の吊上げ手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、計量装置を備えたコンベアに対して、単純な構造であるにもかかわらず容易に該計量装置を校正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る校正装置の上面図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る校正装置の側面図である。
図2】(A)は、本発明の第1の実施形態に係るテストチェーンの側面図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係るテストチェーンの上面図である。
図3】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る第1のレールと第1の吊上げ装置を示す図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る第2のレールと第2の吊上げ装置を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る校正方法を示すフローチャート
図5】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る校正方法を説明する上面図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る校正方法を説明する側面図である。
図6】(A)は、本発明の第1の実施形態に係る校正方法を説明する上面図であり、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る校正方法を説明する側面図である。
図7】本発明の第1の実施形態の変形例に係る校正装置を示す側面図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る校正装置を示す上面図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る校正装置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る校正装置および該校正装置を備えたベルトコンベア設備ならびに該ベルトコンベア設備の校正方法について図面を参照して詳細に説明する。この本発明の第1の実施形態に係る校正装置100は、図1(A)および図1(B)に示すように、コンベア10によって搬送方向CDに搬送される搬送物の質量を計量する計量装置20を校正する装置であり、計量装置20を校正するテストチェーン30と、搬送方向CDに交差する方向に延びる第1のレール40Aおよび第2のレール40Bと、テストチェーン30を吊り上げる第1の吊上げ手段としての第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ手段としての第2の吊上げ装置50Bとを備える。また、ベルトコンベア設備200は、搬送物を搬送方向CDに搬送するコンベア10と、コンベア10によって搬送される搬送物の質量を計量する計量装置20と、搬送方向CDに交差する方向に延びる第1のレール40Aおよび第2のレール40Bと、テストチェーン30を吊り上げる第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bと、を備える。
【0011】
理解を容易にするために、搬送物Rが搬送される搬送方向CDをx方向、x方向に直交し、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bが延在する方向をy方向、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。なお、-z方向は鉛直方向である。
【0012】
コンベア10は、駆動ローラ11と、従動ローラ12と、駆動ローラ11と従動ローラ12との間に掛け渡されて循環走行する無端状のコンベアベルト13と、駆動ローラ11を駆動するモータ14とを有し、搬送方向CDであるx方向に搬送物を搬送するベルトコンベアである。搬送物は、例えば、粉体または粒体を含み、具体的にはニッケル酸化鉱石の粉体または粒体を含む。粉体または粒体を含む搬送物は、単位時間あたりの搬送量が一定せず、個数で計量することが困難であるので、搬送量を計測するためには、後述する計量装置20により搬送量が計測される。
【0013】
計量装置20は、コンベアベルト13の下において搬送方向CDに走行する部分の裏面側に配置され、コンベア10によって搬送方向CDに搬送される搬送物の質量を計量するものである。また、計量装置20は、計量した質量を示すデータを外部の機器に出力する。
【0014】
テストチェーン30は、単位長さあたり基準質量を有し、コンベアベルト13上に搬送方向CDに沿って載置することで計量装置20を校正するものであり、図2(A)および図2(B)に示すように、上流側端部31と、複数の重り32と、下流側端部33と、上流側端部31と複数の重り32と下流側端部33とを連結する連結部34と、を備える。上流側端部31および下流側端部33は、それぞれフック穴35、36を有する。また、テストチェーン30が、単位長さあたり基準質量を有することで、コンベア10により搬送される単位長さあたりの搬送物の質量を再現でき、計量装置20の校正に用いることができる。テストチェーン30の単位長さあたり基準質量は、計量装置20により測定可能な質量により定まり、好ましくは、3mあたり20kg以上100kg以下である。再度図1(A)および図1(B)に戻ると、テストチェーン30の複数の重り32が配置されている部分の長さL1は、計量装置20の搬送方向CDにおける長さL2より長いことが好ましい。また、テストチェーン30は、組み立てエリア60において、組み立ておよび分解される。組み立てエリア60は、コンベアベルト13に隣接して配置され、テストチェーン30を組み立ておよび分解する場所である。
【0015】
第1のレール40Aは、搬送方向CDに直交するy方向に延び、計量装置20より高所であって、搬送方向CDにおける計量装置20の上流側に配置される。第2のレール40Bは、計量装置20より高所であって、搬送方向CDに直交するy方向に延び、搬送方向CDにおける計量装置20の下流側に配置される。第1のレール40Aおよび第2のレール40Bは、それぞれ、テストチェーン30を吊り上げる強度を有し、H形状の断面を有する。第1のレール40Aおよび第2のレール40Bは、それぞれ、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bに設けられた後述するローラ51A、51Bが走行する第1の走行面41A、第2の走行面41Bを有する。第1のレール40Aおよび第2のレール40Bは、第1の走行面41Aおよび第2の走行面41Bにそれぞれ垂直な第1の方向D1および第2の方向D2が鉛直方向である-z方向に対して30°以上60°以下の角度θ1、θ2に傾くように、第1の走行面41Aおよび第2の走行面41Bが傾けて配置されることが好ましい。
【0016】
第1の吊上げ装置50Aは、第1のレール40Aに沿って移動し、図示しない巻上げ装置を備え、テストチェーン30の上流側端部31を吊り上げるものである。第2の吊上げ装置50Bは、第2のレール40Bに沿って移動し、図示しない巻上げ装置を備え、テストチェーン30の下流側端部33を吊り上げるものである。第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bは、図3(A)および図3(B)に示すように、それぞれ、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bをy方向に移動するためのローラ51A、51Bを有する。第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bは、手動によりy方向に移動してもよく、ローラ51A、51Bを回転する図示しないモータを有し、モータによりy方向に移動してもよい。また、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bは、好ましくは、第1の方向D1および第2の方向D2が鉛直方向である-z方向に対して30°以上60°以下の角度で外側に傾けて配置される。この場合、第1のレール40Aの延びるy方向とローラ51Aの回転軸AX1とに垂直な方向は、第1の方向D1となる。また、第2のレール40Bの延びるy方向とローラ51Bの回転軸AX2とに垂直な方向は、第2の方向D2となる。テストチェーン30を吊り上げる際、テストチェーン30を両側から引いて持ち上げるため、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bの負荷は鉛直方向ではなく、斜め方向となる。このため、第1の方向D1および第2の方向D2が鉛直方向である-z方向に対して30°以上60°以下の角度で互いに外側に傾くように、第1の走行面41Aおよび第2の走行面41Bが傾けて配置されることが好ましい。これにより、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bのローラ51A、51Bの負荷を均一にしてテストチェーン30をy方向にスライドさせる際に第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bがスムーズに動く。また、第1の吊上げ装置50Aは、上流側端部31に設けられたフック穴35に引っ掛けるフック52Aと、図示しない巻上げ装置により巻き上げられるスリング53Aとを備える。第2の吊上げ装置50Bは、下流側端部33に設けられたフック穴36に引っ掛けるフック52Bと、図示しない巻上げ装置により巻き上げられるスリング53Bとを備える。スリング53A、53Bには、それぞれフック52A、52Bが取り付けられる。
【0017】
つぎに、以上の構成を有する校正装置100が、搬送物の質量を計量する計量装置20を校正する例について、校正装置100が実行する校正方法を説明する。校正方法は、図4に示すように、組み立て工程(ステップS101)と、移動工程(ステップS102)と、校正工程(ステップS103)と、撤去工程(ステップS104)と、ばらし工程(ステップS104)とを備える。以下、校正装置100が実行する校正方法をフローチャートを用いて説明する。
【0018】
組み立て工程(ステップS101)では、図5(A)および図5(B)に示すように、組み立てエリア60において、上流側端部31と複数の重り32と下流側端部33とを、複数の重り32に配置されたボルトを連結部34に配置された穴に挿通してナットを用いて連結し、テストチェーン30を組み立てる。この後、テストチェーン30の上流側端部31に配置されたフック穴35に、第1の吊上げ装置50Aのスリング53Aに取り付けられたフック52Aを引っ掛ける。また、テストチェーン30の下流側端部33に配置されたフック穴36に、第2の吊上げ装置50Bのスリング53Bに取り付けられたフック52Bを引っ掛ける。
【0019】
移動工程(ステップS102)では、図6(A)および図6(B)に示すように、テストチェーン30がコンベア10より高い位置に配置されるまで、第1の吊上げ装置50Aによりスリング53Aを巻き上げて、テストチェーン30の上流側端部31を吊り上げ、第2の吊上げ装置50Bによりスリング53Bを巻き上げて、テストチェーン30の下流側端部33を吊り上げる。この後、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bをy方向に移動する。これにより、テストチェーン30は、コンベアベルト13の下に配置された計量装置20の上に移動する。
【0020】
校正工程(ステップS103)では、図1(A)および図1(B)に示すように、第1の吊上げ装置50Aによりスリング53Aを伸ばして、テストチェーン30の上流側端部31を降下させると共に、第2の吊上げ装置50Bによりスリング53Bを伸ばして、テストチェーン30の下流側端部33を降下させる。これにより、テストチェーン30は、計量装置20が配置されたコンベアベルト13の上に裁置される。この時点で、計量装置20が計量した第1の質量の値を読み取る。別途、コンベア10に搬送物およびテストチェーン30が載せられていない状態で計量装置20が計量した第2の質量の値を読み取る。第1の質量の値および第2の質量の値を用いて、第1の質量をテストチェーンの質量、第2の質量を0(ゼロ)に調整して計量装置20の校正を行う。
【0021】
撤去工程(ステップS104)では、テストチェーン30をコンベア10より高い位置に配置するまで、図6(A)および図6(B)に示すように、第1の吊上げ装置50Aによりスリング53Aを巻き上げて、テストチェーン30の上流側端部31を吊り上げ、第2の吊上げ装置50Bによりスリング53Bを巻き上げて、テストチェーン30の下流側端部33を吊り上げる。この後、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bを-y方向に移動する。これにより、テストチェーン30は、組み立てエリア60の上に移動する。第1の吊上げ装置50Aによりテストチェーン30の上流側端部31を下げ、第2の吊上げ装置50Bによりテストチェーン30の下流側端部33を下げる。これにより、テストチェーン30は、組み立てエリア60に裁置される。
【0022】
分解工程(ステップS105)では、組み立てエリア60に裁置されたテストチェーン30の上流側端部31に配置されたフック穴35に引っ掛けられたフック52Aを外す。また、テストチェーン30の下流側端部33に配置されたフック穴36に引っ掛けられたフック52Bを外す。その後、連結部34により連結された上流側端部31と複数の重り32と下流側端部33と分解して、テストチェーン30を分解する。
【0023】
以上のように、本発明の第1の実施形態のベルトコンベア設備200ならびにこれを用いた校正装置100および校正方法によれば、単純な構造で容易に計量装置20を校正できる。詳細には、組み立て工程(ステップS101)および、ばらし工程(ステップS105)では、組み立てエリア60において、組み立ておよびばらすことができるため、コンベア10によって搬送物を搬送することが可能である。このため、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bにより、テストチェーン30を計量装置20の上に裁置してから撤去するまでの期間を除いて、コンベア10によって搬送物を搬送することが可能となり、計量装置20の校正に要する時間を実質的に短縮することが可能である。また、テストチェーン30をコンベア10の付近に保管する必要が無く、構造が単純で第1のレール40Aおよび第2のレール40Bの強度を確保すればよいためコスト面で有利である。また、コンベア10の上部に必要なスペースが先行技術よりも小さくても設置可能であり、1本のテストチェーン30を用いて、複数のコンベア10の計量装置20を校正することができる。また、テストチェーン30をコンベア10の付近で保管する必要が無いため、コンベア10の付近の環境に左右されることなく適切な環境下で保管することができる。
【0024】
(変形例)
上述の第1の実施形態では、コンベア10が搬送物を水平方向に搬送する例について説明したが、コンベア10は、図7に示すように、下流側が上流側よりも高くなるように傾斜していてもよい。このようにすることで、搬送物を低い位置から高い位置に搬送することができる。この場合、コンベア10の上に配置されるテストチェーン30は、下流側が上流側よりも高くなるコンベア面に沿って傾斜して配置されるため、第2のレール40Bを第1のレール40Aより高所に配置することが好ましい。逆にコンベア10は、下流側が上流側よりも低くなるように傾斜していてもよい。この場合、コンベア10の上に配置されるテストチェーン30は、下流側が上流側よりも低くなるコンベア面に沿って傾斜して配置されるため、第1のレール40Aを第2のレール40Bより高所に配置することが好ましい。
【0025】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、1本のテストチェーン30を用いて計量装置20を校正する例について説明したが、これに限定されるものではなく図8に示す第2の実施形態のように複数本のテストチェーン30(図8では2本が例示されている)を用いて、計量装置20を校正してもよい。これにより、1本のテストチェーン30では質量が足りない場合に計量装置20を校正することが可能となる。この場合、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bは、それぞれ、吊り天秤54A、54Bを備える。吊り天秤54Aには、フック52A、52Cが取り付けられている。また、吊り天秤54Bには、フック52B、52Dが取り付けられている。第1のテストチェーン30Aの上流側端部31に設けられたフック穴35にフック52Aを引っ掛ける。また、第1のテストチェーン30Aの下流側端部33に設けられたフック穴36にフック52Bを引っ掛ける。第2のテストチェーン30Bの上流側端部31に設けられたフック穴35にフック52Cを引っ掛ける。また、第2のテストチェーン30Bの下流側端部33に設けられたフック穴36にフック52Dを引っ掛ける。これにより、第1の吊上げ装置50Aおよび第2の吊上げ装置50Bにより第1のテストチェーン30Aおよび第2のテストチェーン30Bを同時に吊り上げてそのまま移動することで、計量装置20に裁置することができる。
【0026】
(第3の実施形態)
また、図9に示す第3の実施形態のように、吊り天秤54A、54Bを備える代わりに、第1の吊上げ手段を第1の吊上げ装置50Aおよび第3の吊上げ装置50Cで構成し、第2の吊上げ手段を第2の吊上げ装置50Bおよび第4の吊上げ装置50Dで構成してもよい。この場合、第1の吊上げ装置50Aは、第1のレール40Aに沿って移動し、第1のテストチェーン30Aの上流側端部31を吊り上げる。第2の吊上げ装置50Bは、第2のレール40Bに沿って移動し、第1のテストチェーン30Aの下流側端部33を吊上げる。また、第3の吊上げ装置50Cは、上流側端部31に設けられたフック穴35に引っ掛けるフック52Cを有するスリング53Cを備える。第4の吊上げ装置50Dは、下流側端部33に設けられたフック穴36に引っ掛けるフック52Dを有するスリング53Dを備える。これにより、第3の吊上げ装置50Cは、第1のレール40Aに沿って移動し、第2のテストチェーン30Bの上流側端部31を吊り上げる。第4の吊上げ装置50Dは、第2のレール40Bに沿って移動し、第2のテストチェーン30Bの下流側端部33を吊り上げる。これにより、第1から4の吊上げ装置50Aから50Dにより第1のテストチェーン30Aおよび第2のテストチェーン30Bを吊り上げ、移動することで、計量装置20に裁置することができる。
【0027】
上述の第1~第3の実施形態では、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bが、搬送方向CDに直交するy方向に延びる例について説明した。第1のレール40Aおよび第2のレール40Bは、搬送方向CDに交差する方向に延びてもよい。このようにすることで、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bが、搬送方向CDに直交するy方向に設置することが困難な場合であっても、第1のレール40Aおよび第2のレール40Bを設置することが可能である。
【0028】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0029】
10 コンベア
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 コンベアベルト
14 モータ
20 計量装置
30 テストチェーン
30A 第1のテストチェーン
30B 第2のテストチェーン
31 上流側端部
32 複数の重り
33 下流側端部
34 連結部
35、36 フック穴
40A 第1のレール
40B 第2のレール
41A、41B 走行面
50A 第1の吊上げ装置
50B 第2の吊上げ装置
50C 第3の吊上げ装置
50D 第4の吊上げ装置
51A、51B ローラ
52A、52B、52C、52D フック
53A、53B、53C、53D スリング
54A、54B 吊り天秤
60 組み立てエリア
100 校正装置
200 べルトコンベア設備
AX1、AX2 回転軸
CD 搬送方向
D1 第1の方向
D2 第2の方向
L1、L2 長さ
θ1、θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9