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特開2024-67759搬送装置、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067759
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/08 20060101AFI20240510BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240510BHJP
   B65H 7/10 20060101ALI20240510BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65H7/08
H04N1/00 567H
H04N1/00 567J
B65H7/10
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178079
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正円 大雅
(72)【発明者】
【氏名】戸坂 彰彦
【テーマコード(参考)】
2H270
3F048
5C062
【Fターム(参考)】
2H270LA44
2H270LA70
2H270LC10
2H270LD03
2H270MC55
2H270MD02
2H270RA14
2H270RB01
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB05
3F048AB10
3F048BA11
3F048BA21
3F048BB08
3F048BB09
3F048CC03
3F048CC04
3F048DA06
3F048DB04
3F048DB06
3F048DB11
3F048DB18
3F048DC05
3F048DC13
3F048DC14
3F048EA02
3F048EB22
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC58
5C062AC69
5C062AC70
(57)【要約】
【課題】被搬送体に予め情報を記録したり、搬送系に情報を読み取るスキャナを設けたりすることなく、種々の形状の被搬送体を搬送することができる。
【解決手段】シート状の被搬送体を搬送する搬送部と、搬送中の被搬送体を検知する第1の検知部と、第1の検知部からの出力に基づいて被搬送体の搬送異常を検知する第2の検知部と、被搬送体の形状に関する入力情報に基づいて、第1の検知部からの出力のうち、搬送異常の検知に用いる出力タイミングを決定する決定部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被搬送体を搬送する搬送部と、
搬送中の前記被搬送体を検知する第1の検知部と、
前記第1の検知部からの出力に基づいて前記被搬送体の搬送異常を検知する第2の検知部と、
前記被搬送体の形状に関する入力情報に基づいて、前記第1の検知部からの出力のうち、前記搬送異常の検知に用いる出力タイミングを決定する決定部と、を備える、
搬送装置。
【請求項2】
前記入力情報に基づいて、前記被搬送体の搬送可否を判定する判定部と、
前記判定部が、前記被搬送体の搬送が不可であると判定すると、前記被搬送体の搬送が不可であることの通知を出力する通知部と、を更に備える、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記判定部が前記被搬送体の搬送が可能であると判定すると、前記入力情報に基づいて、前記搬送部への前記被搬送体の推奨されるセット方向を、前記出力タイミングとともに決定し、
前記通知部は、
前記決定部が決定した前記セット方向を案内する通知を出力する、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2の検知部は、
前記第1の検知部からの出力に基づいて、前記被搬送体の搬送方向における先端側の縁部と、前記被搬送体の搬送方向に直交する方向における前記第1の検知部の配置位置と、の交点を前記被搬送体の先端部として検出する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の検知部は、
前記第1の検知部からの出力に基づいて、前記被搬送体の搬送方向における後端側の縁部と、前記被搬送体の搬送方向に直交する方向における前記第1の検知部の配置位置と、の交点を前記被搬送体の後端部として検出する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第2の検知部は、
前記被搬送体の搬送方向における前記後端部より手前の第1の位置から、前記第1の検知部からの出力のモニタリングを少なくとも開始し、前記第1の検知部からの出力がオフしてから所定期間が経過すると、前記被搬送体の前記後端側の縁部が前記第1の検知部の検知位置を通過したと判定する、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第2の検知部は、
前記被搬送体の搬送方向における先端部より後方であって前記第1の位置より手前の第2の位置から、前記第1の位置までの間の部分が、前記第1の検知部の検知位置を通過中は、前記第1の検知部からの出力のモニタリングを行わない、
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記入力情報は、
前記被搬送体の前記後端側の縁部のうち、前記被搬送体の搬送方向において最後方となる部分の、前記後端部に対する位置情報を含み、
前記第2の検知部は、
前記被搬送体の搬送方向における前記後端部より手前の第1の位置から、前記第1の検知部からの出力のモニタリングを開始し、前記第1の検知部からの出力がオフすると、前記被搬送体の搬送速度と、前記第1の検知部により検知される前記後端部の位置と、前記入力情報に含まれる前記最後方となる部分の前記位置情報と、により算出される第1の期間を超えて、前記第1の検知部からの出力がオフの期間が継続した場合には、前記最後方となる部分が前記第1の検知部の検知位置を通過したと判定する、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記入力情報は、
前記被搬送体の前記後端側の縁部のうち、前記被搬送体の搬送方向において最後方となる部分の、前記後端部に対する位置情報と、
前記被搬送体の搬送方向における前記後端部より手前の第1の位置から、前記最後方となる部分までの区間と少なくとも一部が重なる第2の位置に、前記第1の検知部により検知されない穴部を有することの情報と、を含み、
前記第2の検知部は、
前記被搬送体の前記第1の位置から前記第1の検知部からの出力のモニタリングを開始し、前記第1の検知部からの出力がオフすると、
前記被搬送体の搬送速度と、前記第1の検知部により検知される前記後端部の位置と、前記入力情報に含まれる前記最後方となる部分の前記位置情報と、により算出される第1の期間と、
前記被搬送体の搬送速度および前記入力情報に含まれる前記穴部の搬送方向の幅により算出される第2の期間と、のうち、
いずれか長い方の期間を超えて、前記第1の検知部からの出力がオフの期間が継続した場合には、前記最後方となる部分が前記第1の検知部の検知位置を通過したと判定する、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項10】
所定の画像データに基づいて、前記被搬送体に画像を形成する画像形成部を更に備え、
前記画像データは前記入力情報に含まれており、
前記被搬送体はシート状の印刷媒体であり、
前記搬送部は、前記画像形成部を経由させて前記印刷媒体を搬送する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項11】
シート状の被搬送体を搬送する搬送装置と、
前記被搬送体の形状に関する入力情報を前記搬送装置に入力する情報処理装置と、を備え、
前記搬送装置は、
前記被搬送体を搬送する搬送部と、
搬送中の前記被搬送体を検知する第1の検知部と、
前記第1の検知部からの出力に基づいて前記被搬送体の搬送異常を検知する第2の検知部と、を有しており、
前記第1の検知部からの出力のうち前記搬送異常の検知に用いる出力タイミングが、前記入力情報に基づいて決定される、
搬送システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、
前記入力情報を生成するホスト装置であり、
前記搬送装置は、
前記入力情報に基づいて、前記搬送異常の検知に用いる前記出力タイミングを決定する決定部を更に有する、
請求項11に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記情報処理装置は、
ホスト装置が生成した前記入力情報に基づいて、前記搬送異常の検知に用いる前記出力タイミングを決定する決定部を有する、
請求項11に記載の搬送システム。
【請求項14】
シート状の被搬送体を搬送し、
搬送中の前記被搬送体を検知する第1の検知部からの出力に基づいて前記被搬送体の搬送異常を検知し、
前記搬送異常は、
前記第1の検知部からの出力のうち、前記被搬送体の形状に関する入力情報に基づいて決定された出力タイミングに基づいて検知される、
搬送方法。
【請求項15】
コンピュータに、
シート状の被搬送体を搬送させ、
搬送中の前記被搬送体を検知する第1の検知部からの出力に基づいて前記被搬送体の搬送異常を検知させ、
前記被搬送体の形状に関する入力情報に基づいて、前記第1の検知部からの出力のうち、前記搬送異常の検知に用いる出力タイミングを決定させる、
搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
定型から外れた規格の印刷媒体に画像形成を行うこと等を目的として、シート状の被搬送体を搬送する搬送装置が知られている。例えば特許文献1には、印刷媒体に予め記録した情報を利用して、印刷媒体の搬入姿勢を検知することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、印刷媒体等の被搬送体に、予め所定の情報を記録しておく必要がある。この場合、搬送装置の搬送系には所定の情報を読み取るスキャナ等を設けることも必要となる。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被搬送体に予め情報を記録したり、搬送系に情報を読み取るスキャナを設けたりすることなく、種々の形状の被搬送体を搬送することができる搬送装置、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、シート状の被搬送体を搬送する搬送部と、搬送中の前記被搬送体を検知する第1の検知部と、前記第1の検知部からの出力に基づいて前記被搬送体の搬送異常を検知する第2の検知部と、前記被搬送体の形状に関する入力情報に基づいて、前記第1の検知部からの出力のうち、前記搬送異常の検知に用いる出力タイミングを決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被搬送体に予め情報を記録したり、搬送系に情報を読み取るスキャナを設けたりすることなく、種々の形状の被搬送体を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかる画像形成システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかるホスト装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかるホスト装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態にかかる画像形成装置が備えるコントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態にかかる画像形成装置が備える検知センサの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態にかかる画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態にかかるホスト装置において、画像処理プログラムにより表示される画面の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態にかかるホスト装置において生成される版データの構造の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態にかかるホスト装置において生成される版データの他の例を示す図である。
図11図11は、実施形態にかかる画像形成装置が搬送パラメータを決定する方法について説明する模式図である。
図12図12は、実施形態にかかるホスト装置における印刷ジョブの生成処理の手順の一例を示すフロー図である。
図13図13は、実施形態にかかる画像形成装置における画像形成処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための最良の形態を、図面に従って詳細に説明する。
【0009】
(画像形成システムの構成例)
図1は、実施形態にかかる画像形成システム1の構成を示す図である。図1に示すように、実施形態の画像形成システム1は、搬送システムの一例であり、用紙その他の印刷対象の媒体であって、長方形以外の外形を有していたり、穴等を有していたりする定型外の媒体を含む印刷媒体を搬送して印刷することが可能に構成されている。
【0010】
画像形成システム1は、ホスト装置10、DFE(Digital Front End)20、画像形成装置30、及びサーバ40を有する。
【0011】
ホスト装置10は、例えばユーザが使用するクライアントPC(Personal Computer)等であり、ユーザが印刷したい印刷ジョブを作成し、DFE20またはサーバ40へ印刷ジョブを送信する。印刷ジョブには、例えばAdobe(旧Adobe Systems)社製Illustrator(登録商標)等のソフトウェアを用いて作成された印刷データ等が含まれる。
【0012】
DFE20は、ホスト装置10またはサーバ40から印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに基づいて、RIP(Raster Image Processer)エンジンにより描画データを作成し、画像形成装置30へ描画データを送信する。RIPエンジンは、ホスト装置10が作成した印刷ジョブに含まれる印刷データ等を、画像形成装置30で処理が可能なデータに変換する。
【0013】
なお、ホスト装置10及びDFE20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されており、情報処理装置の一例である。
【0014】
また、ホスト装置10で生成される印刷データ、及びDFE20で印刷データから変換される描画データは、画像形成装置30により形成される画像の原版となる描画オブジェクトを含む。このように、描画オブジェクトを含むデータを、データの形式等を問わない場合等に、画像データとも呼ぶことがある。
【0015】
ホスト装置10により上記のように生成された印刷ジョブは、DFE20またはサーバ40を介して画像形成装置30に入力される。印刷ジョブは、画像形成装置30に入力される入力情報の一例であり、上述のように、形状版データ等の印刷媒体の形状に関する情報、及び描画オブジェクトを含む画像データを有する。
【0016】
画像形成装置30は、DFE20から受け取った描画データに基づいて、印刷等の画像形成を行う。一例として、画像形成装置30は、DFE20により制御される商用印刷機器または産業用印刷機器等でありうる。
【0017】
商用印刷機器は、例えばポスター、冊子、広告、ダイレクトメール等の印刷物を印刷する、高画質かつ高生産性の印刷機器である。産業用印刷機器は、例えばプラスチックの商品パッケージ、Tシャツなどの布地、あるいは陶器もしくは金属等、紙以外を含む様々な媒体に印刷する印刷機器である。
【0018】
ただし、画像形成装置30が、DFE等を介さずホスト装置10により直接制御されてもよく、また、画像形成装置30が、印刷その他の機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)等の商用ではない印刷機器であってもよい。
【0019】
画像形成装置30は搬送装置の一例であり、画像形成装置30の印刷対象となる種々の媒体は、シート状の被搬送体の一例である。
【0020】
サーバ40は、ホスト装置10から受け取った印刷ジョブを管理する。また、サーバ40は、DFE2か0らの要求により、印刷ジョブをDFE20へ送信する。
【0021】
(ホスト装置の構成例)
次に、図2及び図3を用いて、実施形態のホスト装置10の構成例について説明する。
【0022】
図2は、実施形態にかかるホスト装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ホスト装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶装置14、I/F15、入力装置16、及び表示装置17を備える。
【0023】
CPU11は、ホスト装置10の全体を制御する。ROM12は、ホスト装置10における保存領域として機能する。ROM12に記憶された情報は、ホスト装置10の電源が切られても保持される。RAM13は、1次記憶装置として機能し、CPU11の作業領域となる。
【0024】
CPU11が、例えばROM12に格納される制御プログラム、または画像処理プログラム等をRAM13に展開して実行することで、ホスト装置10の以下に説明する各種機能が実現される。
【0025】
記憶装置14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であり、CPU11の補助記憶装置として機能する。
【0026】
I/F15は、DFE20、DFE20を介しての画像形成装置30、及びサーバ40と、ホスト装置10とを通信可能にするインターフェースである。I/F15は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブル、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、USB記憶装置等から構成されていてよい。
【0027】
入力装置16は、ユーザが各種の入力操作を行うための入力デバイスであり、例えばキーボード及びマウスなどで構成される。
【0028】
表示装置17は、各種画面を表示するための表示デバイスであり、例えば液晶パネルなどで構成される。
【0029】
なお、上述のDFE20もまた、ホスト装置10と同様のハードウェア構成を有していてよい。
【0030】
図3は、実施形態にかかるホスト装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、ホスト装置10は、制御部110、記憶部140、I/F部150、入力部160、及び表示部170を、機能構成として備える。
【0031】
記憶部140は各種のデータを記憶する。記憶部140の上記機能は、例えば制御プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する上記のROM12、RAM13、及び記憶装置14等により実現される。
【0032】
I/F部150は、DFE20及びサーバ40等との間で通信を行うためのインターフェース装置である。I/F部150の上記機能は、例えば制御プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する上記のI/F15等により実現される。
【0033】
入力部160は、ユーザが各種の入力操作を行うことが可能に構成される。入力部160の上記機能は、例えば制御プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する入力装置16等により実現される。
【0034】
表示部170は、各種画面を表示することが可能に構成される。表示部170の上記機能は、例えば制御プログラムを実行中の上記CPU11の制御下で動作する表示装置17等により実現される。
【0035】
制御部110は、ホスト装置10全体を制御する。制御部110は、入力制御部111、画像処理部112、表示制御部113、版データ生成部114、及び印刷ジョブ生成部115を備えている。
【0036】
これらのうち、入力制御部111と表示制御部113とは、上述のCPU11が制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。また、画像処理部112と印刷データ生成部115とは、CPU11が画像処理プログラムを読み出して実行することにより実現される。版データ生成部114は、例えば、画像処理プログラムへのプラグインによる拡張機能として提供される。
【0037】
なお、これらの各部のうちの少なくとも一部を回路等の個別のハードウェアで実現することも可能である。
【0038】
入力制御部111は、入力部160からの各種入力を受け付ける。ユーザは、例えば入力部160を操作することにより、記憶部140に記憶された写真、文字、図形、これらを合成した画像等の各種画像データを指定する入力を行うことができる。
【0039】
画像処理部112は、指定された画像等に対して、ユーザからの入力部160を介した指示に基づいて、各種画像処理を行う。画像処理としては、ガンマ補正、及びトナーの総量規制等がある。
【0040】
ガンマ値はコントラスト及び濃度等の発色特性を表す値であり、ガンマ補正では、画像におけるこれらの発色特性が補正される。総量規制とは、用紙等の印刷媒体上の1画素に対し、画像形成装置30でのせることが可能なトナー量に限界があるため、ガンマ補正後の画像データを制限する処理である。
【0041】
表示制御部113は、表示部170における各種情報の表示を制御する。表示制御部113は、例えば入力制御部111で画像データの指定を受け付けた場合、指定された画像データを記憶部140から読み出し、読み出した画像を画面上に表示するように表示部170を制御する。ユーザは、表示部170に表示された対象画像を確認しながら、入力部160を操作することにより、画像に各種の加工および設定を行うことができる。
【0042】
版データ生成部114は、入力制御部111で、対象画像に対するユーザによる各種の加工および設定を受け付けると、ユーザからの指示に基づいて、印刷版データ、及び形状版データを生成する。
【0043】
印刷版データは、対象画像等のユーザにより指定された画像データに基づき生成される版データであり、用紙等の印刷媒体に印刷される描画オブジェクトの情報を含む。印刷版データは、点の座標、それを結ぶ線または面の方程式のパラメータ、及び塗り潰しや特殊効果などを示す描画オブジェクトの集合として表現されるベクタ形式のデータであってよい。
【0044】
形状版データは、用紙等の印刷媒体が定型外の形状を有する場合に、その印刷媒体の形状に基づき生成される版データであり、印刷媒体の外形、並びに印刷媒体が有する穴等の形状、数、及び位置等の情報を含む。
【0045】
形状版データは、点の座標、及びそれを結ぶ線または面の方程式のパラメータ等の、印刷媒体の形状を解析幾何学的な図形の集合として表現されるベクタ形式のデータであってよい。
【0046】
あるいは、形状版データは、形状版データの領域中、印刷媒体が存在しない領域を所定の色で塗り潰したり所定パターンの線で囲んだり、あるいは、印刷媒体が存在しない領域に所定のパターンを配置したりして表現される画像データであってもよい。この場合、形状版データを印刷版データと統合して、1つの版データとして、版データ生成部114により生成してもよい。
【0047】
このように、版データ生成部114により生成され、印刷版データ及び形状版データを含む版データ、または印刷版データ及び形状版データが統合された版データを印刷データとも呼ぶ。
【0048】
印刷ジョブ生成部115は、版データ生成部114が生成した印刷データに基づいて印刷ジョブを生成する。印刷ジョブは、対象画像の画像データに基づく印刷版データと、印刷媒体の形状を指定する形状版データと、画像形成装置30における各種設定、集約の設定、及び両面の設定などを画像形成装置30に対して指定するジョブコマンドとを含んで構成される。
【0049】
印刷ジョブ生成部115は、I/F部150によって、生成した印刷ジョブをDFE20またはサーバ40へと送信する。
【0050】
(画像形成装置の構成例)
次に、図4図7を用いて、実施形態の画像形成装置30の構成例について説明する。
【0051】
図4は、実施形態にかかる画像形成装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。実施形態の画像形成装置30は、被搬送体の一例としての用紙を搬送し、トナー像を定着させることにより画像を形成する。なお、画像形成装置40における用紙は印刷媒体の一例でもある。
【0052】
図4に示すように、画像形成装置30は、コントローラ31、操作パネル34、給紙部35F、排紙部35E、作像部37P、転写部37R、定着部37S、及びスキャナ38を備える。
【0053】
コントローラ31は、例えばCPU、ROM、RAM、記憶装置、及びI/F等を備えるコンピュータとして構成されている。コントローラ31の詳細構成については後述する。
【0054】
操作パネル34は、パネル表示部341及び入力部342を有している。パネル表示部341は、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等であり、設定値および選択画面等を表示する。入力部342は、画像形成に関する諸条件を受け付けるテンキー、複写開始指示を受け付けるスタートキー等、ユーザが入力操作を行うことが可能な構成を有している。
【0055】
スキャナ38は、用紙等の読み取り対象媒体に表記された画像等のオブジェクトを光学的に読み取ることにより、画像データを生成可能に構成されている。具体的には、スキャナ38は、コンタクトガラス387及び読み取りセンサ382を有する。コンタクトガラス381には、オブジェクトが表記された用紙等が載置される。読取センサ382は、コンタクトガラス381に載置された用紙上のオブジェクトを読み取る。
【0056】
このとき、スキャナ38は、用紙等に光を当てて、その反射光をCCD(Charge Coupled Devices)、または、CIS(Contact Image Sensor)等の読み取りセンサ382で受光することによって画像データを読み取る。スキャナ38が読み取った画像データは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて表される。
【0057】
作像部37Pは、スキャナ38によって読み取られた画像データ、またはDFE20等から受信した印刷データに基づいて、転写部37Rの中間転写ベルト373rの表面にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0058】
具体的には、作像部37Pは、画像形成ユニット37C、画像形成ユニット37M、画像形成ユニット37Y、画像形成ユニット37K、及び画像形成ユニット37Tを備えている。画像形成ユニット37C,37M,37Y,37K,37Tは、各色のトナーを有する現像剤を用いてトナー像を形成する。
【0059】
画像形成ユニット37Cは、シアン(C)色のトナーを有する現像剤を用いてトナー像を形成する。画像形成ユニット37Mは、マゼンタ(M)色のトナーを用いてトナー像を形成する。画像形成ユニット37Yは、イエロー(Y)色のトナーを用いてトナー像を形成する。画像形成ユニット37Kは、ブラック(K)色のトナーを用いてトナー像を形成する。画像形成ユニット37Tは、クリア(T)トナーを用いてトナー像を形成する。
【0060】
これらのうち、C色トナー、M色トナー、Y色トナー、K色トナーは、顔料や染料等の色材を含有した帯電性をもった樹脂粒子であって、有色のトナーである。クリアトナーは、無色透明のトナーであり、用紙に付着された有色トナーに種々の視覚的効果を与える。
【0061】
ただし、作像部37Pが備える画像形成ユニット37C,37M,37Y,37K,37Tの上記組み合わせはあくまでも一例であって、作像部37Pは、上記以外にも種々の組み合わせの画像形成ユニットを備えることができる。
【0062】
画像形成ユニット37Cは、トナー供給部371C、感光体ドラム372C、帯電部373C、露光部374C、現像部375C、除電部376C、及び清掃部377Cを備えている。
【0063】
トナー供給部371Cは、C色のトナーを収容しており、現像部375Cに対してC色のトナーを供給する。トナー供給部371Cに収容されているトナーは、トナー供給部371C内の搬送スクリューが駆動することによって所定の量だけ現像部375Cに供給される。
【0064】
感光体ドラム372Cは、中間転写ベルト373rに接するように設けられ、中間転写ベルト373rとの接点で中間転写ベルト373rの移動方向と同じ方向に回転するように設けられている。
【0065】
帯電部373Cは、感光体ドラム372Cの表面を一様に帯電させる。
【0066】
露光部374Cは、帯電部373Cによって帯電された感光体ドラム372Cの表面に、コントローラ31から受け取った画像データまたは印刷データ等に基づき、感光体ドラム372Cの表面に静電潜像を形成する。より具体的には、コントローラ31によって決定されたC色の網点面積率に基づいて露光部374Cが光を照射することで、露光部374Cにより静電潜像が形成される。
【0067】
現像部375Cは、露光部374Cによって感光体ドラム372Cの表面に形成された静電潜像に対して、トナー供給部371Cに収容されているC色のトナーを付着させることによって現像し、トナー像を形成する。
【0068】
このようにトナー像が表面に形成された感光体ドラム372Cが、中間転写ベルト373rと接触しつつ回転することで、中間転写ベルト373rにC色の画像が転写される。
【0069】
除電部376Cは、中間転写ベルト373rに画像が転写された後の感光体ドラム372Cの表面を除電する。
【0070】
清掃部377Cは、除電部376Cによって除電された感光体ドラム372Cの表面に残った転写残トナーを除去する。
【0071】
画像形成ユニット37M,37Y,37K,37Tは、画像形成ユニット37Cと同様の構成を備え、画像形成ユニット37Cと同様の動作を行う。
【0072】
すなわち、画像形成ユニット37Mは、M色のトナーが収容されるトナー供給部371M、感光体ドラム372M、帯電部373M、露光部374M、現像部375M、除電部376M、及び清掃部377Mを備えている。このように構成される画像形成ユニット37Mにより、中間転写ベルト373rにY色の画像が転写される。
【0073】
画像形成ユニット37Yは、Y色のトナーが収容されるトナー供給部371Y、感光体ドラム372Y、帯電部373Y、露光部374Y、現像部375Y、除電部376Y、及び清掃部377Yを備えている。このように構成される画像形成ユニット37Yにより、中間転写ベルト373rにY色の画像が転写される。
【0074】
画像形成ユニット37Kは、K色のトナーが収容されるトナー供給部371K、感光体ドラム372K、帯電部373K、露光部374K、現像部375K、除電部376K、及び清掃部377Kを備えている。このように構成される画像形成ユニット37Kにより、中間転写ベルト373rにK色の画像が転写される。
【0075】
画像形成ユニット37Tは、クリアトナーが収容されるトナー供給部371T、感光体ドラム372T、帯電部373T、露光部374T、現像部375T、除電部376T、及び清掃部377Tを備えている。このように構成される画像形成ユニット37Tにより、中間転写ベルト373rに透明な画像が転写される。
【0076】
転写部37Rは、作像部37Pによって感光体ドラム372(372C,372M,372Y,372K,372T)に形成された画像を中間転写ベルト373rに転写し、中間転写ベルト373rに転写された画像を用紙に転写する。感光体ドラム372から中間転写ベルト373rへの画像の転写を1次転写ともいう。中間転写ベルト373rから用紙への転写を2次転写ともいう。
【0077】
具体的には、転写部37Rは、駆動ローラ371r、従動ローラ372r、中間転写ベルト373r、1次転写ローラ374C,374M,374Y,374K,374T,2次転写ローラ375r、及び2次対向ローラ376rを備えている。
【0078】
駆動ローラ371rと従動ローラ372rとには、中間転写ベルト373rが掛け渡されている。駆動ローラ371rが駆動し回転することによって、掛け渡された中間転写ベルト373rが移動する。従動ローラ372rは、駆動ローラ371rが回転し、中間転写ベルト373rが移動するのに伴って回転する。
【0079】
中間転写ベルト373rは、駆動ローラ371r及び従動ローラ372rに掛け渡され、駆動ローラ371rの回転とともに感光体ドラム372に接しながら移動する。中間転写ベルト373rが感光体ドラム372に接しながら移動することによって、感光体ドラム372に形成された画像が中間転写ベルト373rの表面に転写される。
【0080】
1次転写ローラ374C,374M,374Y,374K,374Tは、中間転写ベルト373rを挟んで、それぞれ感光体ドラム372C,372M,372Y,372K,372Tと対向して備えられ、中間転写ベルト373rを移動させるように回転する。
【0081】
2次転写ローラ375rは、2次対向ローラ376rとの間に中間転写ベルト373rと用紙とを挟みこんで回転する。2次対向ローラ376rは、2次転写ローラ375rとの間に中間転写ベルト373rと用紙とを挟みこんで回転する。
【0082】
定着部37Sは、転写部37Rによって用紙に転写されたトナーを定着させる。定着とは、トナーに熱と圧力とを同時に加えることによって、トナーの樹脂成分を用紙の表面に溶着させることである。転写部37Rによって用紙に転写されたトナーに定着処理が行われることによって、用紙上のトナーの状態が安定する。
【0083】
具体的には、定着部37Sは、搬送ベルト371s、定着ベルト372s、定着ローラ373s、定着ベルト搬送ローラ374s、定着対向ローラ375s、及び発熱部376sを有している。
【0084】
搬送ベルト371sは、転写部37Sによってトナーが転写された用紙を定着ローラ373s、定着対向ローラ375sに向けて搬送する。
【0085】
定着ベルト372sは、定着ローラ373sと定着ベルト搬送ローラ374sとに掛け渡され、それらのローラが回転することによって移動する。
【0086】
定着ローラ373sは、対向して設置されている定着対向ローラ375sとの間で、搬送ベルト371sに搬送された用紙を挟みこんで加熱し加圧する。
【0087】
定着ベルト搬送ローラ374sには、定着ローラ373sとともに定着ベルト372sが掛け渡されており、定着ベルト搬送ローラ374sが回転することによって定着ベルト372sが移動する。
【0088】
定着対向ローラ375sは、定着ローラ373sに対向して設置され、定着ローラ373sとの間に搬送された用紙を挟みこむ。
【0089】
発熱部376sは、定着ローラ373sの内部に設置され、発熱部376sが発熱することにより定着ローラ373sを介して用紙を加熱する。
【0090】
給紙部35Fは、転写部37Rに対して用紙の印刷媒体を供給する。給紙部35Fは、用紙収容部351、給紙ローラ352、グリップローラ353、給紙ベルト354、及びレジストローラ355を備えている。
【0091】
用紙収容部351は、印刷媒体の一例である用紙を収容する。
【0092】
給紙ローラ352は、回転可能に構成され、用紙収容部351に収容されている用紙のうち最上段にある用紙を1枚ずつ取り出し、グリップローラ353の方へ移動させる。グリップローラ353は、給紙ローラ352により取り出された用紙を1枚ずつ給紙ベルト354に載置する。
【0093】
給紙ベルト354は、給紙ローラ352によって取り出された用紙を転写部37Rに搬送する。
【0094】
レジストローラ355は、用紙が斜交している場合、用紙の斜交を補正するスキュー補正を行う。より詳細には、搬送された用紙が、停止しているレジストローラ355に突き当てられることで用紙の斜交が補正される。また、レジストローラ355が駆動されることにより、中間転写ベルト373rのトナー像が形成されている部分が転写部37Rに到達するタイミングで、給紙ベルト354によって搬送された用紙が送り出される。
【0095】
排紙部35Eは、定着部37Sでトナーが定着された用紙を、画像形成装置30の本体から排出する。具体的には、排紙部35Eは、排紙ベルト355、排紙ローラ356、排紙口357、及び用紙収容部358を有している。
【0096】
排紙ベルト355は、定着部37Sによって定着処理された用紙を排紙口357に向けて搬送する。排紙ローラ356は、排紙ベルト355によって搬送された用紙を排紙口357から排出し、用紙収容部358に収容する。用紙収容部358は、排紙ローラ356によって排出された用紙を収容する。
【0097】
図5は、実施形態にかかる画像形成装置30が備えるコントローラ31のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0098】
図5に示すように、画像形成装置30は、CPU3110、メインメモリ(MEM-P)3120、ノースブリッジ(NB)3130、サウスブリッジ(SB)3140、ネットワークI/F3150、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)3160、ローカルメモリ(MEM-C)3170、HD(Hard Disk)3180、及びHDD3190を備える。
【0099】
CPU3110は、メインメモリ3120に記憶されたプログラムにしたがって、画像形成装置30の全体を制御する。また、CPU3110は、同様のプログラムにしたがって、データを加工し、また、演算を行う。
【0100】
メインメモリ3120は、CPU3110の記憶領域であり、ROM3121、及びRAM3122を有している。ROM3121は、CPU3110の各機能を実現させるプログラム及びデータの格納用メモリである。
【0101】
ROM3121に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk,Floppy Disk)、CD-R(Compact Disc-Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(登録商標)、半導体メモリ等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることができる。
【0102】
また、上記のプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記プログラムをダウンロードさせることなく、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0103】
RAM3122は、プログラム及びデータの展開場所として、また、メモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いられる。
【0104】
NB3130は、CPU3110と、メインメモリ3120、SB3140、及びAGP(Accelerated Graphics Port)バスとを接続するブリッジである。AGPバスは、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースである。
【0105】
SB3140は、NB3130と周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。周辺デバイスは、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを介して接続されるASIC3160等の機器である。
【0106】
ASIC3160は、PCIターゲット、AGPマスタ、ASIC3160の中核をなすアービタ(Arbiter)、ローカルメモリ3170を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データまたは印刷データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)からなる。
【0107】
ASIC3160は、PCIバスを介してUSB(Universal Serial Bus)、またはIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)等のインターフェースに接続されている。
【0108】
ローカルメモリ3170は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いられる。HD3180は、画像データ、印刷データ、印刷時に用いるフォントデータ、及びフォーム等の蓄積を行うストレージである。HDD3190は、CPU3110の制御にしたがってHD3180に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御する。
【0109】
ネットワークI/F3150は、通信ネットワークを介してDFE20等の外部機器と情報を送受信する。
【0110】
図6は、実施形態にかかる画像形成装置30が備える検知センサ361~366の一例を示す図である。図6に示すように、検知センサ361~366は、例えば画像形成装置30の給紙部35Fに設けられている。
【0111】
より具体的には、検知センサ361~366は、被搬送体である印刷媒体の搬送方向に直交して、給紙部35Fの給紙ローラ352と並ぶ位置に配置されている。図6の例では、給紙ローラ352上流側の用紙収容部351には、長方形の外形を有する定型用紙Mが収容されている。給紙ローラ352の下流側には複数のグリップローラ353が配置されている。
【0112】
検知センサ361~366のうち、検知センサ361,362は、印刷媒体の搬送方向に直交する方向に給紙ローラ352を挟んで配置される。ここで、図6に示す中心線CLは、搬送中の定型用紙Mにおける搬送方向に直交する幅の中心を通る線であり、この中心線CL上に、いずれかの検知センサが配置されていることが理想的ではある。しかし、図6の例のように、給紙ローラ352等の他の構成が中心線CL上に配置されていることなどにより、検知センサ361,362等が、必ずしも中心線CL上に配置されていなくともよい。
【0113】
検知センサ361~366のうち、検知センサ363,364は、検知センサ361に対して給紙ローラ352から離れていく方向にそれぞれ配置されている。検知センサ361~366のうち、検知センサ365,366は、検知センサ362に対して給紙ローラ352から離れていく方向にそれぞれ配置されている。
【0114】
これらの検知センサ361~366は、例えば透過型フォトインタラプタ、もしくは反射型フォトインタラプタ等のフォトインタラプタ、その他の機械的検知装置等でありうる。フォトインタラプタは、物体の有無および位置等を光学的に検出するフォトセンサ等である。
【0115】
このようなフォトインタラプタのうち、透過型フォトインタラプタは、定型用紙Mまたは定型外用紙等の印刷媒体の搬送経路を介して互いに対向する発光素子と受光素子とを備える。発光素子からの光が印刷媒体によって遮られ、受光素子により受光されないことで印刷媒体が検知される。反射型フォトインタラプタは、印刷媒体の搬送経路の片側に並んで配置される発光素子と受光素子とを備える。発光素子からの光が印刷媒体によって反射され、受光素子により受光されることで印刷媒体が検知される。
【0116】
これらの検知センサ361~366の少なくとも幾つかを用いることで、印刷媒体の搬送方向の先端部、後端部、及び搬送方向に直交する方向の幅等を検知することができる。例えば、印刷媒体の幅が狭い場合には、専ら検知センサ361,362を用いて印刷媒体の検知を行ってよい。印刷媒体の幅が広くなるにしたがって、検知センサ361,362に加えて検知センサ363,365、更には検知センサ364,366を用いて、印刷媒体の検知を行うことができる。
【0117】
上述のコントローラ31は、印刷媒体の先端部を検知後に後端部が検知されるタイミングにより、印刷媒体に滞留等の印刷異常が発生したか否かを判定することができる。また、印刷媒体の搬送方向の幅を検知することで、上述のコントローラ31が、搬送方向に直交する方向における印刷媒体の搬送位置に偏りがあるか否か、また、搬送方向に対して用紙が斜交しているか否か等を判定することができる。
【0118】
なお、図6に示す検知センサ361~366はあくまでも一例であって、画像形成装置30が備える検知センサ361~366の設置位置、数、及び互いの位置関係は、任意に決定されうる。このとき、印刷媒体の搬送方向に直交する方向に、より多くの検知センサ361~366を配列することで、様々なサイズの印刷媒体に対応することが可能となる。
【0119】
図7は、実施形態にかかる画像形成装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、画像形成装置30は、制御部310、記憶部320、I/F部330、操作部340、搬送部350、検知部360、画像形成部370、及び読み取り部380を、機能構成として備える。
【0120】
記憶部320は、読み取り部380によって読み取られた画像データ、またはDFE20等から受信した印刷データ等の各種のデータを記憶する。記憶部320の上記機能は、例えばプログラムを実行中の上述のCPU3110の制御下で動作するメインメモリ3120、及びASIC3160の制御下で動作するローカルメモリ3170等により実現される。
【0121】
I/F部330は、DFE20との間で通信を行うためのインターフェース装置である。I/F部330の上記機能は、例えばプログラムを実行中のCPU3110及びASIC3160の制御下で動作する上記のネットワークI/F3150等により実現される。
【0122】
操作部340は、ユーザに各種画面を表示し、また、ユーザが各種の操作を行うことが可能に構成される。操作部340の上記機能は、例えばプログラムを実行中のCPU3110の制御下で動作する操作パネル34等により実現される。
【0123】
搬送部350は、画像形成部370による画像形成処理が可能となるよう、画像形成装置30内において、印刷対象となる用紙等のシート状の被搬送体を搬送する。搬送部350の上記機能は、例えばプログラムを実行中のCPU3110の制御下で動作する、給紙部35F及び排紙部35Eに含まれる各構成、転写部37Rに含まれ搬送に関わる各種ローラ及び各種ベルト、並びに定着部37Sに含まれ搬送に関わる各種ローラ及び各種ベルト等により実現される。
【0124】
このように、搬送部350により印刷媒体の搬送を行わせる上記プログラムは、搬送プログラムの一例である。
【0125】
検知部360は、搬送部350が搬送中の印刷媒体を検知する。検知部360の上記機能は、例えばプログラムを実行中のCPU3110の制御下で動作する検知センサ361~366等により実現される。なお、検知部360は第1の検知部の一例である。
【0126】
画像形成部370は、読み取り部380が読み取った画像データ、または上述のDFE20等から受信した印刷データを用紙等のシート状の被搬送体上に印刷するなどして画像を形成する。画像形成部370の上記機能は、例えばプログラムを実行中のCPU3110の制御下で動作する作像部37P、転写部37R、及び定着部37S等により実現される。
【0127】
読み取り部380は、画像形成装置30のコンタクトガラス381上に載置された用紙等のオブジェクトを読み取って画像データを生成する。
【0128】
制御部310は、画像形成装置30全体を制御する。制御部310は、入力制御部311、表示制御部312、入力受け付け部313、判定部314、決定部315、搬送制御部316、画像形成制御部317、及び読み取り制御部318を備えている。
【0129】
これらのうち、入力制御部311、表示制御部312、判定部314、決定部315、及び搬送制御部316は、上述のCPU3110がプログラムを読み出して実行することにより実現される。ただし、これらの各部のうちの少なくとも一部を回路等の個別のハードウェアで実現することも可能である。また、入力受け付け部313、画像形成制御部317、及び読み取り制御部318は、例えば上述のASIC3160等により実現される。
【0130】
入力制御部311は、操作部340からの各種入力を受け付ける。ユーザは、例えば操作部340を操作することにより、画像形成装置30に画像形成処理、画像の読み取り処理等の各種処理を行わせることができる。
【0131】
表示制御部312は、操作部340における各種情報の表示を制御する。表示制御部312は、例えば画像形成処理、画像の読み取り処理における各種条件の設定、及びこれらの処理の開始または停止の指示入力等が可能な画面、並びにこれらの処理の進捗状況を示す画面等を操作部340に表示させる。表示制御部312は、例えば操作部340への表示を行って、ユーザに各種情報を通知する通知部の一例である。
【0132】
入力受け付け部313は、例えばI/F部330を制御して、DFE20またはサーバ40からの印刷ジョブの入力を受け付ける。印刷ジョブには、例えばホスト装置10で生成された印刷版データ、及び形状版データ等の印刷データが含まれている。入力受け付け部313は、DFE20またはサーバ40から入力された印刷データを例えば記憶部320に格納する。
【0133】
判定部314は、入力受け付け部313によって、定型外の印刷媒体の版データを含む印刷ジョブが受け付けられると、その印刷媒体の形状版データ等に基づいて、画像形成装置30の搬送部350によってその印刷媒体を搬送することが可能か否かを判定する。
【0134】
決定部315は、入力受け付け部313が定型外の印刷媒体の印刷ジョブを受け付けた場合であって、判定部314によって、その印刷媒体の搬送が可能であると判定されると、検知部360からの出力のうち、その印刷媒体の搬送状況をモニタリングするために用いる出力タイミング等を含む搬送パラメータを決定する。
【0135】
定型外の印刷媒体は、例えば穴部等を含みうる。決定部315は、検知部360の検知位置を穴部が通過中であるような場合に、検知部360からのその間の出力を、印刷媒体の搬送状況のモニタリング値に含めない決定をすることができる。
【0136】
また、印刷媒体の外形、穴部の位置等によって、その印刷媒体を横向きとするか縦向きとするか等の搬送部350への適正なセット方向が変わり得る。決定部315が決定する搬送パラメータには、印刷媒体の推奨されるセット方向の情報が含まれる。
【0137】
搬送制御部316は、検知部360からの出力を参照しつつ、搬送部350を制御する。上述のように、検知部360からの出力によって、搬送部350を搬送中の印刷媒体の搬送方向の先端部、後端部、及び幅等を検出することが可能である。搬送制御部316は、これらのデータに基づいて、搬送部350による搬送動作を適宜制御することで、印刷媒体を適正に搬送することができる。
【0138】
また、搬送制御部316は、検知部360の出力から得られる上記データに基づいて、印刷媒体に滞留等が発生していないか、搬送方向に直交する方向における印刷媒体の搬送位置に偏りが生じていないか等、印刷媒体の搬送異常を検出することができる。印刷媒体に何らかの搬送異常が生じた場合には、搬送制御部316は搬送を停止させる。搬送制御部316は、印刷媒体の搬送異常を検知する第2の検知部の一例である。
【0139】
画像形成制御部317は、画像形成部370を制御する。具体的には、画像形成制御部317は、例えば読み取り部380が読み取り、またはDFE20等から受信して、記憶部320に格納された画像データまたは印刷データ等に基づいて、画像形成部370に画像形成処理を行わせる。
【0140】
読み取り制御部318は、読み取り部380を制御して、コンタクトガラス381上に載置された用紙等のオブジェクトの読み取りを行わせる。読み取り制御部318は、読み取り部380が読み取った画像データを、例えば記憶部320に格納する。
【0141】
(画像形成システムの機能例)
次に、図8図11を用いて、実施形態の画像形成システム1の機能例について説明する。図8図11では、画像形成システム1による、定型外の印刷媒体に画像を形成する機能の例を主体に説明する。
【0142】
図8は、実施形態にかかるホスト装置10において、画像処理プログラムにより表示される画面の一例を示す図である。
【0143】
定形外の用紙等の印刷媒体に印刷を行うにあたって、ユーザは、例えばホスト装置10上で上述の版データを生成することができる。この場合、ユーザは、画像処理プログラムを立ち上げて、例えば図8に示す画面を表示させる。図8は、Adobe社製Illustrator(登録商標)にプラグインを組み込んだ場合に表示される画面の例である。
【0144】
ユーザは、例えばホスト装置10の記憶部140に格納された所望の画像データを指定して、画面に表示させることができる。また、ユーザは、所望の画像データを表示させた状態で、例えば入力部160を介して各種操作を行うことができる。
【0145】
図8(a)に示すように、ユーザの上記操作により印刷版データDTpが生成される。上述のように、印刷版データDTpは、描画オブジェクトの集合として表現されるベクタ形式のデータ等である。図8(a)の例では、長方形の定型用紙の領域内に描画オブジェクトOBdが配置された印刷版データDTpが生成されている。
【0146】
また、ユーザは、定型外の印刷媒体の形状を表すデータをホスト装置10に入力する。このとき、ユーザは、印刷媒体の外形、並びに印刷媒体が有する穴等の形状、数、及び位置等を示す座標データを入力することができる。
【0147】
図8(b)に示すように、ユーザの上記操作により形状版データDTsが生成される。上述のように、形状版データDTsは、印刷媒体の形状を解析幾何学的な図形の集合として表現されるベクタ形式のデータ等である。あるいは、形状版データDTsは、上述のように、印刷媒体が存在しない領域を所定の色で塗り潰したりした画像データ等であってもよい。
【0148】
図8(b)の例では、丸みを帯びた先端側の縁部と後端側の縁部との近傍にスリット状の穴部HLsと、先端側および後端側の縁部部の中央付近に幅方向に並ぶ複数の穴部HLcと、が配置された形状版データDTsが生成されている。
【0149】
図9は、実施形態にかかるホスト装置10において生成される印刷データDTeの構造の一例を示す図である。図9に示すように、印刷データDTeは、例えば上記のように生成された印刷版データDTpと形状版データDTsとを含んで構成される。印刷データDTeは、複数の印刷版データDTp中に、定型外の印刷媒体についての1つの形状版データDTsを含む構成を有することができる。
【0150】
あるいは、形状版データを印刷版データに統合して、1つの版データとして印刷データを生成してもよい。
【0151】
図10は、実施形態にかかるホスト装置10において生成される版データDTmの他の例を示す図である。図8及び図9の例では、描画オブジェクトOBdを含む印刷版データDTpと、印刷媒体の形状を指定する形状版データDTsとが個別に生成されていたのに対し、図10の例では、これらの印刷版データDTpと形状版データDTsとが統合された版データDTmが生成されている。
【0152】
図10に示すように、この場合、長方形の定型用紙の領域内に描画オブジェクトOBdが配置され、丸みを帯びた先端側および後端側の縁部部のそれぞれの近傍にスリット状の穴部HLsと、先端側および後端側の縁部部の中央付近に幅方向に並ぶ複数の穴部HLcと、が配置された版データDTmが生成されている。
【0153】
ホスト装置10上では、このように生成された印刷データを含む印刷ジョブが更に生成される。印刷ジョブは、例えば上述の印刷データDTe、版データDTm等とともに、片面/両面印刷等の集約設定、印刷枚数、ステープル有り/無し等の仕上がり設定等を指定するジョブコマンドを含んで生成される。
【0154】
ジョブコマンドには、例えばJDF(Job Definition Format)等を用いることができる。また、印刷データDTm等は、Adobe社製PostScript(登録商標)のようなページ記述言語(PDL:Page Description Language)に変換されてもよいし、DFE20が対応していれば、PDF形式のままであってもよい。
【0155】
印刷ジョブは、ホスト装置10から、例えばDFE20を介して画像形成装置30へと送信される。画像形成装置30の判定部314は、定型外の印刷媒体の形状を指定する印刷ジョブが受信されると、印刷ジョブに含まれる形状版データDTs、または版データDTmに基づいて、指定された印刷媒体を画像形成装置30の搬送部350で搬送して印刷処理を行うことが可能か否かを判定する。
【0156】
判定部314は、印刷媒体の先端側の縁部に、搬送に用いるローラでピックアップ可能な充分な幅が無い、搬送に用いるローラ間の距離よりも大きな穴を印刷媒体が有している等、搬送部315による搬送が不可と判定した場合、例えば表示制御部312を介して、搬送不可の通知を操作部340等に表示させる。
【0157】
判定部314が、その印刷媒体を搬送可能と判定した場合、決定部315は、印刷ジョブに含まれる形状版データDTs、または版データDTmに基づいて、印刷媒体の搬送状況をモニタリングする際に用いる検知部360の出力タイミングを含む搬送パラメータを決定する。
【0158】
図11は、実施形態にかかる画像形成装置30が搬送パラメータを決定する方法について説明する模式図である。図11では、上述の図8で示した定型外の印刷媒体の搬送パラメータを決定する例について説明する。
【0159】
図11に示すように、定型外の印刷媒体の一例である印刷媒体Mnsは、具体的に、略矩形の外形を有し、図11の紙面左右方向両側の縁部は丸みを帯びている。また、紙面左右方向の両短側の縁部近傍には、紙面垂直方向にスリット状に延びる穴部HLsがそれぞれ設けられている。また、紙面左右方向両側の縁部の中央付近には、複数の円形の穴部HLcが紙面垂直方向に配列されている。
【0160】
上述の印刷ジョブに含まれる形状版データDTs、または版データDTmには、印刷媒体Mnsのこのような形状が示されている。決定部315は、形状版データDTsまたは版データDTmに基づいて、搬送部350への印刷媒体Mnsの推奨されるセット方向、及び搬送中の印刷媒体Mnsをモニタリングする際に使用する検知部360の出力等を含む搬送パラメータを決定する。
【0161】
例えば、略矩形の外形を有する印刷媒体Mnsのいずれかの縁部が、給紙ローラ352等によりピックアップができない形状を有している場合等には、決定部315は、その縁部以外の縁部が搬送方向の先端側の縁部となるよう、印刷媒体Mnsの推奨されるセット方向を決定することができる。
【0162】
また例えば、図11の例のように、印刷媒体Mnsの図11における紙面垂直方向を搬送部350における搬送方向に合わせようとすると、紙面垂直方向に連なる複数の穴部HLcによって正常な搬送が妨げられる懸念が生じうる。この場合、決定部315は、例えば印刷媒体Mnsの紙面左右方向を搬送部350における搬送方向に一致させるよう、印刷媒体Mnsの推奨されるセット方向を決定することができる。
【0163】
これにより、例えば印刷媒体Mnsの紙面左右方向両側の縁部が搬送方向の先端側および後端側の縁部に相当することとなる。以下、図11の紙面左側の印刷媒体Mnsの縁部が搬送方向の先端側の縁部と決定され、紙面右側の印刷媒体Mnsの縁部が搬送方向の後端側の縁部と決定されたものとして説明を進める。
【0164】
印刷媒体Mnsの推奨するセット方向が定まると、決定部315は、検知部360を構成する上述の複数の検知センサ361~366のそれぞれで、モニタリングすべき項目を決定する。
【0165】
例えば、紙面上方側に位置する2つの検知センサ363,364の少なくともいずれかを用いることで、印刷媒体Mnsの搬送方向における両側の縁部のうち、紙面上方側の縁部を検知することができる。また、紙面下方側に位置する2つの検知センサ365,366の少なくともいずれかを用いることで、印刷媒体Mns搬送方向に直交する両側の縁部のうち、紙面下方側の縁部を検知することができる。
【0166】
決定部315は、これらの検知センサ363~366の少なくとも幾つかを用いて、印刷媒体Mns搬送方向に直交する両側の縁部の位置をモニタリングすることを決定する。これにより、搬送方向に直交する方向における印刷媒体Mnsの偏り及び斜交等の搬送異常を検知することができる。
【0167】
また、決定部315は、複数の検知センサ361~366のうち、中心線CL寄りの2つの検知センサ361,362を用いて、印刷媒体Mnsの搬送方向における先端部を検知することを決定する。
【0168】
ここで、印刷媒体Mnsの先端側の縁部は丸みを帯びた形状を有しており、厳密には搬送方向に沿う中心線CLと重なるポイントが、印刷媒体Mnsの先端側の縁部において、最も前方側に突出した先端部Efに相当する。より詳細には、搬送方向に沿う中心線CLと、印刷媒体Mnsの先端側の縁部における位置L0との交点が、印刷媒体Mnsの搬送方向における先端部Efに相当する。
【0169】
しかし、このような厳密な意味での先端部Efは、検知センサ361,362の検知位置を通過せず、印刷媒体Mnsをモニタリングする際、印刷媒体Mnsの搬送方向における先端部Efの位置をそのまま適用すると、搬送異常が生じたものと判定されてしまう恐れがある。
【0170】
そこで、決定部315は、形状版データDTsまたは版データDTmに基づいて、搬送方向と直交する方向における検知センサ361の検知位置を示す検知線DL1と、印刷媒体Mnsの先端側の縁部における位置L1との交点を、印刷媒体Mnsの便宜的な先端部Efpと定義する。
【0171】
また、上述のように、例えば印刷媒体Mnsが斜交して用紙収容部351から搬出された場合等には、画像形成装置30の給紙部35Fが備えるレジストローラ355に印刷媒体Mnsの先端部を突き当てて、スキュー補正が行われる。このとき、レジストローラ355の停止タイミングを計るため、印刷媒体Mnsの先端基準確定制御が行われる。決定部315は、先端基準確定制御のパラメータとして(L1-L0)を設定する。
【0172】
また、印刷媒体Mnsの先端側の縁部の直線部分が短い場合、先端部をレジストローラ355に突き当ててスキュー補正を行う方式では、印刷媒体Mnsの斜交が却って悪化してしまうことがある。そこで、決定部315が、印刷媒体Mnsが先端側の縁部に有する直線部分の長短に応じて突き当て量のパラメータ変更を行ってもよい。
【0173】
また、決定部15が、印刷媒体Mnsの後端部を検知する決定を行ってもよい。この場合も、印刷媒体Mnsの後端側の縁部は丸みを帯びた形状を有しており、厳密には搬送方向に沿う中心線CLと、印刷媒体Mnsの後端側の縁部における位置L9との交点が、印刷媒体Mnsの搬送方向において、最も後方側に突出した後端部Erに相当する。
【0174】
このような厳密な意味での後端部Erもまた、検知センサ361,362の検知位置を通過しないため、決定部315は、上記の先端部Efpの場合と同様に、搬送方向と直交する方向における検知センサ362の検知位置を示す検知線DL2と、印刷媒体Mnsの後端側の縁部における位置L8との交点を、印刷媒体Mnsの便宜的な後端部Erpと定義することができる。
【0175】
ここで、上記厳密な意味での先端部Efと後端部Erとの距離は、印刷媒体Mnsの搬送方向における最長幅となる。一方で、上記のように便宜上の先端部Efpと後端部Erpとを定めた場合、印刷媒体Mnsをモニタリングする際に、印刷媒体Mnsの搬送方向における最長幅をそのまま適用すると、搬送異常が生じたものと判定されてしまう恐れがある。
【0176】
また、印刷媒体Mnsの後端部Erp近傍、つまり、印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L6から位置L7に亘る位置には、スリット状の穴部HLsが設けられている。このため、検知センサ361,362の検知位置を、印刷媒体Mnsの位置L6から位置L7までが通過中、印刷媒体Mnsが検知されずに搬送異常が生じたものと判定されてしまう恐れもある。
【0177】
そこで、決定部315は、これらの位置L7~L9と、印刷媒体Mnsの搬送速度Vと、搬送誤差の許容値αとから、印刷媒体Mnsの後端部Er近傍で、(L7-L6)/V+αの期間、及び(L9-L8)/V+αの期間のいずれか長い方の期間を超えて、検知センサ361,362の出力がオフ、つまり、印刷媒体Mnsが検知されない状態が継続した場合に、印刷媒体Mnsの後端部Erが検知センサ361,362の検知位置を通過しきったものと判定されるよう、搬送パラメータを決定する。
【0178】
このように搬送パラメータを決定することで、例えば印刷媒体Mnsの位置L6から位置L7の穴部HLsが設けられていない部分が検知センサ361,362の検知位置を通過した場合であっても、印刷媒体Mnsの搬送方向の後端部Erが検知センサ361,362を通過しきったタイミングを適切に計ることができる。
【0179】
なお、印刷媒体Mnsの搬送方向の後端部Erpの検知は必ずしも行われなくともよいが、印刷媒体Mnsの後端部Erp検知することで、印刷媒体Mnsの滞留を検出したり、複数の印刷媒体Mnsを連続的に搬送する場合に、給紙部35Fから次の印刷媒体Mnsを搬出するタイミングを計ったりすることが可能となる。
【0180】
また、印刷媒体Mnsにおいて、上記のように定めた便宜上の先端部Efpと後端部Erpとの間には、複数の穴部HLs,HLcが設けられている。つまり、印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L2から位置L3、及び位置L6から位置L7に亘る位置には、それぞれスリット状の穴部HLsが設けられている。また、印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L4から位置L5に亘る位置には、円形の複数の穴部HLcが設けられている。
【0181】
これらの穴部HLs,HLcがが検知センサ361,362の検知位置を通過すると、印刷媒体Mnsが検知できずに搬送異常が生じたものと判定されてしまう恐れがある。
【0182】
そこで、決定部315は、形状版データDTsまたは版データDTmに基づいて、例えば印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L2から位置L5までの位置が、検知センサ361,362の検知位置を通過中、これらの検知センサ361,362からの出力を、印刷媒体Mnsの搬送異常判定に用いないことを決定することができる。印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L2から位置L5までの位置は、印刷媒体Mnsの搬送制御に関与しないからである。
【0183】
一方で、決定部315は、印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L6から位置L7までの位置が検知センサ361,362の検知位置を通過中、これらの検知センサ361,362からの出力を無視しないこととする。印刷媒体Mnsの搬送方向両側の縁部間の位置L6から位置L7に亘って配置される穴部HLsは、印刷媒体Mnsの搬送方向の後端部Erpに近く、検知センサ361,362のこの間の出力は、上述のように後端部Erpの検知に用いられうるためである。
【0184】
以上のように、判定部314による印刷媒体Mnsの搬送可否判定、及び決定部315による各種搬送パラメータの決定が行われた後、画像形成装置30により印刷媒体Mnsへの印刷が行われる際には、画像形成装置30の各部により以下の動作が行われる。
【0185】
まず、表示制御部312が、決定部315により決定された、印刷媒体Mnsの推奨されるセット方向を操作部340に表示させる。操作部340の表示にしたがって、ユーザが印刷媒体Mnsを画像形成装置30にセットすると、決定部315により決定された搬送パラメータにしたがって、搬送制御部316が印刷媒体Mnsの搬送を開始する。
【0186】
すなわち、搬送制御部316は、上記の搬送パラメータにしたがって、検知部360を構成する検知センサ361~366からの出力をモニタリングしつつ、搬送部350を制御する。
【0187】
これにより、検知センサ361,362からの出力に基づいて印刷媒体Mnsの先端部Efpが検知され、検知センサ363~366からの出力の少なくとも幾つかに基づいて印刷媒体Mnsの搬送方向に直交する両側の縁部が検知される。
【0188】
また、印刷媒体Mnsの先端部Efpが検知された後、印刷媒体Mnsの位置L2~L5が検知センサ361,362の検知位置を通過中は、搬送制御部316は、この間の検知センサ361,362からの出力を無視する。
【0189】
また、必要に応じて、検知センサ361,362からの出力に基づいて印刷媒体Mnsの後端部Erpが検知される。このとき、搬送制御部316は、印刷媒体Mnsの後端部Erpより手前の位置から、再び検知センサ361,362からの出力のモニタリングを開始する。
【0190】
搬送制御部316によるモニタリング開始位置は、例えば位置L5から位置L8に至るまでの間の位置とすることができる。上述の例では、搬送制御部316によるモニタリング開始位置は、印刷媒体Mnsの位置L5である。
【0191】
この場合、搬送制御部316は、例えば印刷媒体Mnsの便宜上の後端部Erpの後端側の縁部における位置L8が検知センサ361,362の検知位置に到達し、これらの検知センサ361,362からの出力がオフしてから、印刷媒体Mnsの厳密な意味での後端部Erの後端側の縁部における位置L9が検知センサ361,362の検知位置を通過しきるまでに要する期間+αの期間を超えて、検知センサ361,362の出力オフ状態が継続した場合に、印刷媒体Mnsの後端部Erが検知センサ361,362の検知位置を通過しきったものと判定する。このときの判定に用いる期間は、例えば上述の(L9-L8)/V+αの期間である。
【0192】
また、例えば印刷媒体Mnsの位置L6~L7に設けられた穴部HLsのように、搬送制御部316によるモニタリング開始位置から、印刷媒体Mnsの後端部Erpまでの間に穴部が存在する場合には、その穴部の搬送方向の幅分、印刷媒体Mnsが搬送されるのに要する期間+αの期間が、上記判定に用いられる場合もある。この期間は、例えば上述の(L7-L6)/V+αの期間である。
【0193】
つまり、印刷媒体Mnsの後端部Erp近傍に穴部HLs等が設けられている場合、上述のように、(L9-L8)/V+αの期間、及び(L7-L6)/V+αの期間のうち、いずれか長い方の期間を超えて、検知センサ361,362の出力オフ状態が継続した場合に、印刷媒体Mnsの後端部Erが検知センサ361,362の検知位置を通過しきったものと判定される。
【0194】
また、印刷媒体Mnsが斜交して給紙部35Fから搬出された場合には、決定部315により決定された先端基準確定制御のパラメータ(L1-L0)、及び決定部315により決定された突き当て量のパラメータ等にしたがって、搬送制御部316がレジストローラ355を制御してスキュー補正が行われる。
【0195】
この間、検知センサ361~366からの出力のいずれかが正常値から外れた場合等には、搬送制御部316は、印刷媒体Mnsに搬送異常が生じたものと判定し、例えば印刷媒体Mnsの搬送を停止する。また、搬送制御部316により搬送異常の判定が行われた場合には、表示制御部312は、搬送異常が発生したことの通知を操作部340に表示する。
【0196】
搬送異常が発生しなかった場合には、印刷媒体Mnsは、画像形成部370へと搬送され、画像形成装置30に入力され記憶部320に格納された印刷データに基づいて、画像形成制御部317が画像形成部370を制御して、印刷媒体Mnsに所望の描画オブジェクトが印刷される。
【0197】
搬送制御部316は、その後も上記の搬送パラメータにしたがって、印刷媒体Mnsの搬送を継続し、印刷媒体Mnsは排紙部35Eへと排出される。
【0198】
(画像形成システムの処理例)
次に、図12及び図13を用いて、実施形態の画像形成システム1による処理例について説明する。
【0199】
図12は、実施形態にかかるホスト装置10における印刷ジョブの生成処理の手順の一例を示すフロー図である。図12には、ホスト装置10が定型外の印刷媒体を対象とする印刷ジョブを生成する例を示す。
【0200】
図12に示すように、ホスト装置10の入力制御部111は、ユーザにより入力部160から、ホスト装置10の記憶部140に格納された画像データのうち、所定の画像データを指定する入力が行われるのを待ち受ける(ステップS101)。画像データを指定する入力がない場合(ステップS101:No)、ホスト装置10は待機する。
【0201】
入力制御部111が画像データを指定する入力を受け付けると(ステップS101:Yes)、表示制御部113は、指定された画像データを記憶部140から読み出して表示部170に表示する(ステップS102)。ユーザは、表示部170に表示された画像データを確認しながら入力部160を操作することにより、画像に各種の加工および設定を行う。画像処理部112は、このようなユーザからの入力にしたがって、指定された画像データの各種画像処理を行う。
【0202】
また、入力制御部111は、ユーザにより入力部160から、定型外の印刷媒体の形状に関する情報が入力されるのを待ち受ける(ステップS103)。印刷媒体の形状情報の入力がない場合(ステップS103:No)、ホスト装置10は待機する。
【0203】
入力部160からの入力があると(ステップS103:Yes)、版データ生成部114は、印刷版データ及び形状版データを生成する(ステップS104)。印刷版データは、ユーザにより各種の加工および設定が施された画像データに基づいて、上述のように、描画オブジェクトを含んで生成される。形状版データは、ユーザにより入力された印刷媒体の形状情報に基づいて生成される。
【0204】
ただし、上述のように、印刷版データと形状版データとをそれぞれ生成するのではなく、描画オブジェクトを含み、印刷場体の形状を指定する版データが生成されてもよい。
【0205】
印刷ジョブ生成部115は、版データ生成部114により生成された印刷データを含む印刷ジョブを生成する(ステップS105)。また、印刷ジョブ生成部115は、生成した印刷ジョブを、ユーザの指示にしたがって、DFE20またはサーバ40へと出力する(ステップS106)。
【0206】
以上により、実施形態のホスト装置10における印刷ジョブの生成処理が終了する。
【0207】
図13は、実施形態にかかる画像形成装置30における画像形成処理の手順の一例を示すフロー図である。図13には、画像形成装置30が定型外の印刷媒体に画像形成処理を行う例を示す。なお、実施形態の画像形成装置30における画像形成処理は、画像形成装置30による印刷媒体の搬送処理を含む。
【0208】
図13に示すように、画像形成装置30の入力制御部311は、DFE20またはサーバ40から、ホスト装置10において生成され、定型外の印刷媒体を対象とする印刷ジョブが入力されるのを待ち受ける(ステップS201)。印刷ジョブの入力がない場合(ステップS201:No)、画像形成装置30は待機する。
【0209】
入力制御部311が印刷ジョブの入力を受け付けると(ステップS201:Yes)、判定部314は、印刷ジョブに含まれる形状版データ等に基づいて、印刷ジョブの対象となっている印刷媒体が、画像形成装置30の搬送部350により搬送可能か否かを判定する(ステップS202)。
【0210】
搬送部350による搬送が不可である場合(ステップS202:No)、表示制御部312が、印刷媒体の搬送が不可であることの通知を操作部340に表示し(ステップS204)、画像形成装置30は処理を終了する。
【0211】
搬送部350による搬送が可能である場合(ステップS202:Yes)、決定部315は、印刷ジョブに含まれる形状版データ等に基づいて搬送パラメータを決定する(ステップS203)。搬送パラメータは、上述のように、例えば搬送部350への印刷媒体の推奨されるセット方向、印刷媒体の搬送状況をモニタリングする際に用いる検知部360の出力タイミング、並びにスキュー補正時の先端基準確定制御のパラメータ及び突き当て量のパラメータ等を含む。
【0212】
表示制御部312は、決定部315により決定された印刷媒体の推奨されるセット方向を操作部340に表示する(ステップS205)。
【0213】
搬送制御部316は、操作部340の表示にしたがって、ユーザにより印刷媒体がセットされるのを待ち受ける(ステップS206)。印刷媒体のセットが完了しない場合(ステップS206:No)、画像形成装置30は待機する。
【0214】
印刷媒体のセットが完了すると(ステップS206:Yes)、搬送制御部316は、印刷媒体の搬送を開始する(ステップS207)。このとき、搬送制御部316は、決定部315により決定された搬送パラメータに含まれる検知部360の出力タイミングにしたがって、印刷媒体の搬送状況をモニタリングし、搬送異常が発生したか否かを監視する(ステップS208)。
【0215】
印刷媒体に搬送異常が発生した場合には(ステップS208:Yes)、搬送制御部316は印刷媒体の搬送を停止する(ステップS210)。また、表示制御部312が搬送異常の発生通知を操作部340に表示し(ステップS211)、画像形成装置30は処理を終了する。
【0216】
印刷媒体に搬送異常が発生しなければ(ステップS208:No)、搬送制御部316は、印刷媒体を画像形成部370に搬送し、画像形成制御部317が、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて画像形成部370を制御し、印刷媒体に画像形成処理を行う(ステップS209)。搬送制御部316は、画像が形成された印刷媒体を排出する(ステップS212)。
【0217】
以上により、実施形態の画像形成装置30における画像形成処理が終了する。
【0218】
(概括)
画像形成装置において、定型外の印刷媒体を搬送して画像形成処理を行う技術が知られている。この場合、画像形成装置の搬送部には、印刷媒体の形状を読み取る読み取りセンサが設けられ、読み取った印刷媒体の形状に応じて搬送が行われる。また、搬送部での読み取りが可能なように、印刷媒体には予め、印刷媒体の形状を示す画像を印刷したり、特定パターンの穴を開けておいたりといった前処理がなされる場合もある。
【0219】
例えば特許文献1には、印刷媒体の搬入姿勢を判定する目的で、印刷媒体に予め記録された情報を読み取り、その読み取りのタイミングに基づいて、印刷媒体の搬入姿勢を判定する構成が開示されている。
【0220】
しかしながら、特許文献1のような技術によれば、搬送部に読み取りセンサを設ける必要があり、また、印刷媒体に予め画像印刷等の前処理を施しておく必要があり、画像形成装置が高コストとなってしまうほか、定型外の印刷媒体の印刷に手間を要してしまう。また、描画オブジェクトが、印刷媒体の所望の位置に適切に印刷されるまで、複数回の試行が必要となる場合もある。
【0221】
実施形態の画像形成装置30によれば、印刷媒体の形状に関する形状版データ等の入力がなされ、この形状版データ等に基づいて、検知部360からの出力のうち、印刷媒体の搬送異常の検知に用いる出力タイミングを決定する。
【0222】
これにより、例えば印刷媒体の形状を読み取る読み取りセンサ等を搬送部350に設ける必要が無く、画像形成装置30のコストを削減することができる。また、予め、印刷媒体に所定画像の印刷、穴の形成等の前処理を施しておく必要もなく、何度も試行を重ねる必要もない。このため、定型外の印刷媒体への画像形成処理を容易に行うことができ、また、画像形成処理が可能な印刷媒体の種類を増やすことも可能である。
【0223】
実施形態の画像形成装置30によれば、入力された形状版データ等に基づいて、印刷媒体の搬送可否を判定し、印刷媒体の搬送が不可であると判定すると、搬送が不可であることの通知を出力する。これにより、実際に印刷媒体の搬送を開始する前に、搬送の可否を判定し、また、ユーザに知らせることができる。
【0224】
実施形態の画像形成装置30によれば、印刷媒体の搬送が可能であると判定すると、入力された形状版データ等に基づいて、搬送部350への印刷媒体の推奨されるセット方向を決定し、決定されたセット方向を案内する通知を出力する。これにより、ユーザは、適切なセット方向に、印刷媒体をセットすることができる。
【0225】
実施形態の画像形成装置30によれば、搬送制御部316は、検知部360からの出力に基づいて、印刷媒体の搬送方向における先端側の縁部と、印刷媒体の搬送方向に直交する方向における検知部360の配置位置と、の交点を印刷媒体の便宜上の先端部として検出する。
【0226】
印刷媒体の先端側の縁部が丸みを帯びている場合など、搬送方向に直交する方向に沿う形状ではない場合でも、上記のように、印刷媒体の便宜上の先端部を、検知部360の配置位置に基づいて決定するので、このような印刷媒体であっても、搬送異常が発生したと判定されることなく搬送することができる。
【0227】
実施形態の画像形成装置30によれば、搬送制御部316は、検知部360からの出力に基づいて、印刷媒体の搬送方向における後端側の縁部と、印刷媒体の搬送方向に直交する方向における検知部360の配置位置と、の交点を印刷媒体の便宜上の後端部として検出する。
【0228】
これにより、印刷媒体の後端側の縁部が搬送方向に直交する方向に沿う形状ではない場合でも、滞留等の搬送異常が発生したと判定されることなく、このような印刷媒体を搬送することができる。
【0229】
実施形態の画像形成装置30によれば、搬送制御部316は、印刷媒体の搬送方向における後端部より手前の所定位置から、検知部360からの出力のモニタリングを少なくとも開始し、検知部360からの出力がオフしてから所定期間が経過すると、印刷媒体の後端側の縁部が検知部360の検知位置を通過したと判定する。
【0230】
印刷媒体の後端部より手前から、検知部360からの出力のモニタリングを開始することで、ある程度の搬送誤差が生じても、より的確に印刷媒体の後端部を検出することができる。なお、印刷媒体の後端部より手前の所定位置とは、上述の図11の例で言えば、位置L5にあたる。
【0231】
また、検知部360からの出力がオフしてから所定期間が経過した後に、印刷媒体の後端側の縁部が検知部360の検知位置を通過しきったと判定することで、例えば印刷媒体の後端側の縁部が搬送方向に直交する方向に沿う形状ではない場合でも、後端側の縁部が検知部360の検知位置を通過しきるタイミングをより的確に捉えることができる。
【0232】
実施形態の画像形成装置30によれば、搬送制御部316は、印刷媒体の搬送方向における先端部より後方であって上記のモニタリング開始位置より手前の所定位置から、上記モニタリング開始位置までの間の部分が、検知部360の検知位置を通過中は、検知部360からの出力のモニタリングを行わない。
【0233】
このように、搬送制御に影響を及ぼさない印刷媒体の中央部分を検知中の検知部360からの出力をモニタリングしないことで、例えば中央部分に穴部HLc等を有する印刷媒体であっても、搬送異常が発生したと判定されることなく搬送することができる。なお、上記モニタリング開始位置を上述の図11の例における位置L5とすれば、上記モニタリング開始位置より手前の所定位置とは、上述の図11の例で言えば、位置L2にあたる。
【0234】
実施形態の画像形成装置30によれば、搬送制御部316は、印刷媒体の搬送方向における上記モニタリング開始位置から、検知部360からの出力のモニタリングを開始し、検知部360からの出力がオフすると、印刷媒体の搬送速度と、検知部360により検知される後端部の位置と、入力された形状版データ等に含まれる、印刷媒体の後端側の縁部のうち、印刷媒体の搬送方向において最後方となる部分の、便宜上の後端部に対する位置情と、により算出される期間を超えて、検知部360からの出力がオフの期間が継続した場合には、印刷媒体の最後方となる部分が検知部360の検知位置を通過したと判定する。
【0235】
これにより、例えば印刷媒体の後端側の縁部が搬送方向に直交する方向に沿う形状ではない場合でも、後端側の縁部が検知部360の検知位置を通過しきるタイミングをより的確に捉えることができる。
【0236】
実施形態の画像形成装置30によれば、印刷媒体の上記のモニタリング開始位置から、印刷媒体の最後方となる部分までの区間と少なくとも一部が重なる位置に、印刷媒体が穴部を有することの情報が、入力された形状版データ等に含まれる場合には、搬送制御部316は、印刷媒体の搬送方向における上記モニタリング開始位置から、検知部360からの出力のモニタリングを開始し、検知部360からの出力がオフすると、印刷媒体の搬送速度および上記穴部の搬送方向の幅により算出される期間と、印刷媒体の搬送速度と、検知部360により検知される便宜上の後端部の位置と、印刷媒体の搬送方向において最後方となる部分の、便宜上の後端部に対する位置情報と、により算出される期間のうち、いずれか長い方の期間を超えて、検知部360からの出力がオフの期間が継続した場合には、印刷媒体の最後方となる部分が検知部360の検知位置を通過したと判定する。
【0237】
これにより、例えば印刷媒体の後端側の縁部に近接する位置に、印刷媒体が穴部を有する場合であっても、穴部の通過タイミングを印刷媒体の後端側の縁部と誤検知することを抑制して、印刷媒体の後端側の縁部が検知部360の検知位置を通過しきるタイミングをより的確に捉えることができる。
【0238】
実施形態の画像形成装置30によれば、入力された印刷データに含まれる印刷版データ等の画像データに基づいて、印刷媒体に画像を形成する画像形成部370を更に備え、搬送部350は、画像形成部370を経由させて印刷媒体を搬送する。このように、画像形成装置30に、上記の搬送方法を適用することで、種々の形状を有する印刷媒体を搬送して、画像を形成することができる。
【0239】
なお、上述の実施形態では、画像形成装置30が決定部315を備えることとした。しかし、画像形成装置30に替えて、DFE20が決定部を備えていてもよい。すなわち、DFE20が、各種の搬送パラメータの決定を行い、決定した搬送パラメータを画像形成装置30に送信してもよい。この場合、画像形成装置30は、DFE20によって決定された搬送パラメータにしたがって、定型外の印刷媒体を搬送し、また、印刷媒体の搬送異常を検出してもよい。
【0240】
また、上述の実施形態では、搬送装置の一例として画像形成装置30を挙げたが、画像形成装置30以外の種々の装置に対しても、上記のような搬送方法を適用可能である。そのような装置としては、例えば器物、布、紙等の媒体に金銀箔、銀箔、色箔等を熱圧着する箔押し装置、種々の形状を有するプリント配線基板に配線を描画する装置または部品を実装する装置、その他所定の媒体に液体を吐出する液体吐出装置等が挙げられる。
【0241】
以上、実施形態について説明したが、その各部の具体的な構成、処理の内容等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
【符号の説明】
【0242】
1 画像形成システム
10 ホスト装置
20 DFE
30 画像形成装置
31 コントローラ
34 操作パネル
35F 給紙部
35E 排紙部
37P 作像部
37R 転写部
37S 定着部
38 スキャナ
40 サーバ
110 制御部
114 版データ生成部
115 印刷ジョブ生成部
310 制御部
311 入力制御部
312 表示制御部
313 入力受け付け部
314 判定部
315 決定部
316 搬送制御部
317 画像形成制御部
318 読み取り制御部
320 記憶部
330 I/F部
340 操作部
350 搬送部
360 検知部
370 画像形成部
380 読み取り部
361~366 検知センサ
3110 CPU
3120 メインメモリ
3160 ASIC
3170 ローカルメモリ
3180 HD
3190 HDD
DTe 印刷データ
DTm 版データ
DTp 印刷版データ
DTs 形状版データ
Ef,Efp 先端部
Er,Erp 後端部
Mns 印刷媒体
OBd 描画オブジェクト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0243】
【特許文献1】特開2005-074806号公報
図1
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