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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067813
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】操作拡張ユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240510BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 104
B41J29/00 T
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178157
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】小島 玲央
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS04
2C061AS11
2C061AS13
2C061BB10
2C061BB30
2C061BB35
2C061CQ03
2C061CQ06
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA28
2H171GA12
2H171HA19
2H171HA23
2H171HA31
2H171KA02
2H171KA15
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA26
2H171WA01
2H171WA17
2H171WA26
(57)【要約】
【課題】操作拡張ユニットの簡易な着脱性を確保しつつ、不正又は不要な取り外しを防止できるようにする。
【解決手段】画像形成装置の本体側操作部に対して着脱可能な操作拡張ユニット20であって、操作拡張ユニット20は、本体側操作部に設けられる本体側係合部に係合可能なユニット側係合部23と、本体側係合部に対する係合を解除するようにユニット側係合部23を操作可能な解除部25と、解除部25を覆うように設けられるカバー70と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の本体側操作部に対して着脱可能な操作拡張ユニットであって、
前記本体側操作部に設けられる本体側係合部に係合可能なユニット側係合部と、
前記本体側係合部に対する係合を解除するように前記ユニット側係合部を操作可能な解除部と、
前記解除部を覆うように設けられるカバーと、
を備えることを特徴とする操作拡張ユニット。
【請求項2】
前記カバーは、前記ユニット側係合部の係合が解除されないように前記解除部の動きを規制する解除規制部を有する請求項1に記載の操作拡張ユニット。
【請求項3】
軸支部を中心に回転可能に支持され、前記軸支部を挟んで一端側に前記ユニット側係合部を有し、他端側に前記解除部を有する操作レバーと、
前記本体側操作部に設けられた少なくとも一対の位置決め孔に挿入可能な少なくとも一対の突起部と、
を備える請求項1又は2に記載の操作拡張ユニット。
【請求項4】
前記本体側操作部に対する前記操作拡張ユニットの取付方向の前後両側から前記本体側係合部を挟んで把持する把持部を備え、
前記把持部は、前記ユニット側係合部と、前記ユニット側係合部と協働して前記本体側係合部を挟むように前記本体側係合部と嵌合可能な受け部を有する請求項1又は2に記載の操作拡張ユニット。
【請求項5】
画像形成部と、
本体側操作部と、
請求項1又は2に記載の操作拡張ユニットと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記操作拡張ユニットが前記本体側操作部に取り付けられた状態において、前記カバーを固定するために前記カバーの背面に取り付けられるねじと前記画像形成装置本体の前面との間の最大の間隔が、126mm未満に設定される請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像が形成された記録媒体を排出する記録媒体排出部をさらに備え、
前記操作拡張ユニットは、前記本体操作部の記録媒体排出部側とは反対側に取り付けられる請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作拡張ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機などの画像形成装置においては、テンキー装置などの操作拡張ユニットが着脱可能に構成されているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2021-86035号公報)に開示される画像形成装置においては、画像形成装置の前面上部に配置された操作パネルに対して、テンキー装置が着脱可能に構成されている。
【0004】
特許文献1に開示されるテンキー装置は、一対の挿入ピンと、各挿入ピンの間に設けられる1つのフックとを有している。一対の挿入ピンを、操作パネルに設けられた一対のピン挿入孔に挿入すると共に、フックを、操作パネル内部の被係合部に係合することにより、テンキー装置が操作パネルに対して取り付けられる。
【0005】
ここで、画像形成装置本体から操作拡張ユニットを容易に取り外せるようにするには、上記フックなどの係合を外部から解除できる操作レバーを設けるとよい。しかしながら、このような操作レバーを設けると、操作拡張ユニットを容易に取り外せるようになる一方で、ユーザーなどが不意に操作レバーに触れた場合に、操作拡張ユニットが誤って外れて落下する虞がある。また、操作拡張ユニットを簡単に取り外せるようにすると、盗難又はいたずらなどの被害が発生する虞もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の事情から、本発明においては、操作拡張ユニットの簡易な着脱性を確保しつつ、不正又は不要な取り外しを防止できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、画像形成装置の本体側操作部に対して着脱可能な操作拡張ユニットであって、前記本体側操作部に設けられる本体側係合部に係合可能なユニット側係合部と、前記本体側係合部に対する係合を解除するように前記ユニット側係合部を操作可能な解除部と、前記解除部を覆うように設けられるカバーと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作拡張ユニットの簡易な着脱性を確保しつつ、不正又は不要な取り外しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図である。
図3】操作パネルの斜視図である。
図4】操作パネルに対するテンキー装置の取り付け前の状態を示す斜視図である。
図5】テンキー装置を取り付けるための第1金具と第2金具の斜視図である。
図6】第1金具と第2金具がテンキー装置の本体部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図7】把持部の側面図である。
図8】把持部が有するフック部を拡大して示す拡大側面図である。
図9】テンキー装置を背面側から見た斜視図である。
図10】操作レバーの構成を示す断面側面図である。
図11】テンキー装置とその背面に取り付けられるカバーの斜視図である。
図12】カバーが取り付けられた状態を示す断面側面図である。
図13】本発明の他の実施形態に係るテンキー装置とカバーの斜視図である。
図14】カバーが取り付けられた状態を示す断面側面図である。
図15】カバーの背面に取り付けられるねじと画像形成装置本体の前面との間の間隔について説明するための図である。
図16】テンキー装置が取り付けられた画像形成装置の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。ここで、本明細書中における「画像形成装置」には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、又は、これらのうちの二つ以上を組み合わせた複合機などが含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字及び図形などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を形成することも意味する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0012】
図1に示される画像形成装置1は、プリンタ、ファクシミリ、複写装置などの機能を備える複合機である。具体的に、画像形成装置1は、給紙トレイなどを備える給紙部4と、原稿読取部5と、排紙トレイ61などを備える排紙部6とを備えている。また、画像形成装置1の装置本体内には、表面に画像を担持する像担持体を備える画像形成部、画像を記録媒体に転写する転写部、及び記録媒体に画像を定着させる定着装置などが設けられている。
【0013】
印刷動作が開始されると、給紙部4から画像形成装置1内部へ記録媒体としての用紙が供給される。なお、記録媒体としては、用紙(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔などであってもよい。そして、原稿読取部5によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、画像形成部の作像プロセスにより像担持体に画像が形成される。
【0014】
像担持体上に形成された画像は、転写部において供給された用紙に対し転写される。その後、用紙は、定着装置へ運ばれ、定着装置によって用紙上の画像のトナーが定着され、排紙トレイ61に排出される。
【0015】
図1に示されるように、画像形成装置1の前面上部には、本体側操作部としての操作パネル10が設けられている。操作パネル10は、印刷指令などを操作者が入力するための操作部分である。本実施形態においては、操作パネル10として、タッチパネル方式のものが採用されている。ただし、操作パネル10は、タッチパネル式である場合に限らず、例えばボタン式のものであってもよい。
【0016】
そして、操作パネル10に対して、操作拡張ユニットあるいは機能拡張装置としてのテンキー装置20が着脱可能に設けられる。近年の操作パネル10は、例えばタッチパネル方式が多い。しかしながら、タッチパネル方式は十分な操作感が得られなかったり、パネル上に数字を表示して入力可能な状態に到達するまでに数段階の操作を要したりすることがある。
【0017】
このようなタッチパネル方式に馴染めない操作者は、むしろ物理スイッチであるテンキー装置20を好むことがある。従って、テンキー装置20を操作パネル10にオプション装着することにより、画像形成装置1の操作パネル10の操作性を向上させることができる。
【0018】
テンキー装置20は、操作パネル10とその上下方向の幅(テンキー装置20の長手方向の幅)が略同じに設けられる。そして、操作パネル10にテンキー装置20が装着された状態で、操作パネル10のパネル表面とテンキー装置20の本体部の表面が略同じ高さになる。これらにより、あるいは、これらのうちいずれか一方により、テンキー装置20を装着した状態で、画像形成装置1の本体前面部に設けられた操作部分の意匠性を向上させることができる。
【0019】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の制御ブロック図である。
【0020】
図2に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置1は、給紙部4の給紙動作、排紙部6の排紙動作、画像形成部2の画像形成動作、転写部7の転写動作、定着装置8の定着動作などを制御する制御部9を備えている。制御部9は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースなどを包含するマイクロコンピュータなどにより構成される。制御部9は、操作者が操作パネル10又はテンキー装置20を用いて入力した情報又は印刷指令などに基づいて、給紙部4、排紙部6、画像形成部2、転写部7、定着装置8の各種動作を制御する。また、制御部9は、原稿読取部5によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報から画像データを生成する。そして、画像形成部2において、制御部9から送られてきた画像データに基づき像担持体の表面に画像が形成される。
【0021】
続いて、操作パネル10に対するテンキー装置20の着脱構造について説明する。
【0022】
図3に示されるように、操作パネル10の側面10c(テンキー装置20が取り付けられる取付面)には、一対の位置決め孔11と、横長の開口13とが設けられている。また、操作パネル10の同じ側面10cには、その他にUSB挿入孔などが設けられている。なお、ここでいう操作パネル10の「側面」とは、タッチパネル方式などの操作画面が表示される前面10aとは交差する方向に配置される面を意味する。本実施形態においては、操作パネル10が、扁平な直方体形状に形成されているため、この直方体形状を形成する4つの側面のうち、前面側から見て右側の側面に、一対の位置決め孔11と開口13とが設けられている。
【0023】
また、操作パネル10の前面10aとは反対側の背面10bには、操作パネル10の角度を調整するための角度調整機構30が設けられている。角度調整機構30は、一対のアーム部31を有している。操作パネル10を、各アーム部31に設けられた回転軸32を中心に回転させることにより、操作パネル10を操作者が操作しやすい向き(角度)に調整できる。
【0024】
一方、テンキー装置20は、図4に示されるように、本体部29と、一対の突起部21と、一対の把持部Gと、テンキー24とを備えている。突起部21と把持部Gは、第1金具40に一体に設けられ、第2金具50を介して本体部29の一側面から突出するように取り付けられる。2つの金具40、50を使用する理由は、第2金具50の後端部形状を変更することで様々な型式のテンキー24を操作パネル10に容易に連結するためである。
【0025】
本体部29の上面には、テンキー24が配置されており、この上面がテンキー装置20の操作面である。操作者は、押下方向Bにテンキー24を押下する。
【0026】
一対の突起部21は、断面円形のピンであり、操作パネル10に対するテンキー装置20の取付方向Aに延在している。特に、本実施形態においては、各突起部21が、本体部29のテンキー24が設けられている前面29aと平行な方向で、かつ、本体部29の長手方向と交差する方向に延在している。
【0027】
また、一対の突起部21は、本体部29の長手方向に並設されており、本体部29の長手方向の中央位置に対して、それぞれ一方側と他方側とに対称的に設けられている。特に、本実施形態においては、各突起部21が、本体部29の長手方向の一方側端部の近傍、及び他方側端部の近傍に設けられる。
【0028】
図4に示されるように、一対の突起部21の先端が操作パネル10の取付面の方向を向いた状態で、テンキー装置20を操作パネル10に対して取付方向Aへ接近させると、各突起部21が操作パネル10の各位置決め孔11に挿入される。また、本実施形態においては、各突起部21が、長手方向の一方側端部の近傍、及び他方側端部の近傍に設けられているため、各突起部21が各位置決め孔11に挿入されたとき、操作パネル10に対するテンキー装置20の位置決め精度が向上する。
【0029】
また、各突起部21の先端部には、当該先端部へ向けて縮径するテーパ面21aが形成されている。このテーパ面21aによって、位置決め孔11に対する突起部21の挿入が容易となる。
【0030】
また、各突起部21は、導体である金属材料により構成される。突起部21が導体であるため、各突起部21が操作パネル10の各位置決め孔11に挿入されると、テンキー装置20と操作パネル10とが電気的に接続され、突起部21を通じてアースが確保される。
【0031】
図4に示されるように、一対の把持部Gは、操作パネル10の内部に設けられる本体側係合部としての係合ピン15を、取付方向Aの前後両側から挟んで把持する部分である。各把持部Gは、一対の突起部21の間であって、本体部29の長手方向の中央位置に対して互いに離れた対称位置に設けられている。また、各把持部Gは、一対の突起部21の先端部を越えて取付方向Aに延びるように設けられている。本実施形態においては、把持部Gが一対設けられているが、本体部29の長手方向中央部(一対の突起部21の中間部)に1つの把持部Gが設けられていてもよい。本実施形態のように、一対の把持部Gが設けられている場合は、操作パネル10に対するテンキー装置20の結合力を高めることができる。
【0032】
図5は、第1金具40と第2金具50のそれぞれの斜視図、図6は、第1金具40と第2金具50がテンキー装置20の本体部29に取り付けられた状態を示す斜視図である。図6おいては、把持部Gによって操作パネル10の係合ピン15を把持した状態が示されている。なお、見やすいように、図6においては、操作パネル10のうち、外装フレームなどが省略され、突起部21を支持するフレーム部19、位置決め孔11、係合ピン15などの周辺構造だけが表示されている。
【0033】
図5に示されるように、一対の突起部21及び一対の把持部Gは、第1金具40に設けられている。第1金具40は、横長の板金製であり、第1金具40の長手方向両端に一対の突起部21が固定されている。
【0034】
また、第1金具40の一対の突起部21の間には、略T字状に形成された第2金具50の先端部56が挿入される開口48が形成されている。この開口48に第2金具50の先端部56が図5中の矢印方向に挿入され、第1金具40に設けられたねじ孔43~45と第2金具50に設けられたねじ孔53~55とが位置合わせされた状態で、各ねじ孔43~45,53~55にねじが取り付けられることにより、両金具40,50が結合される。また、第2金具50の先端部56が第1金具40の開口48に挿入された際、先端部56が第1金具40の立上げ部42に当接することにより、第1金具40と第2金具50のそれぞれのねじ孔43~45,53~55の位置が合うように構成されている。このため、ねじ孔同士の位置合わせが容易である。
【0035】
第1金具40と第2金具50が結合された後、第1金具40と第2金具50に設けられる本体部取付用のねじ孔41、51、52にねじを挿入し、そのねじを本体部29に締結することにより、一対の突起部21と一対の把持部Gが、第1金具40及び第2金具50を介して本体部29に取り付けられる(図6参照)。
【0036】
また、図5に示されるように、第1金具40は、前方(取付方向A)に突き出た左右一対の延伸部46を有し、当該延伸部46に把持部Gが設けられている。把持部Gは、上記操作パネル10内に設けられた係合ピン15(図6参照)と係合可能なユニット側係合部としてのフック部23と、フック部23と協働して係合ピン15を挟む受け部46aとを有している。
【0037】
フック部23は、延伸部46に回転可能に取り付けられる操作レバー22の先端部に設けられている。操作レバー22は、延伸部46に設けられている軸支部47を中心に回転可能に取り付けられており、操作レバー22が回転すると、その回転動作に伴ってフック部23が図5における上下方向に変位する。
【0038】
受け部46aは、延伸部46の先端部に設けられた凹部49の一部により構成される。詳しくは、凹部49のうち、底部に相当する半円弧状の部分が、受け部46aである。受け部46aは、フック部23よりも後方(取付方向Aとは反対方向)に配置されている。また、受け部46aよりも前方(取付方向A)には、傾斜部46bが設けられている。傾斜部46bは、受け部46aと連続するように形成されており、この傾斜部46bによって、係合ピン15を受け部46aまで円滑にガイドすることができる。
【0039】
図7は、把持部Gの側面図、図8は、把持部Gが有するフック部23を拡大して示す拡大側面図である。
【0040】
図7及び図8に示されるように、フック部23は、三角形状に形成され、前方に配置される第1傾斜部23aと、第1傾斜部23aよりも後方に配置される第2傾斜部23bとを有している。第1傾斜部23aは、図8に示される取付方向Aに向かって緩い前下がり傾斜の面であり、第2傾斜部23bは、取付方向Aに向かって急な前上がり傾斜の面である。第1傾斜部23aと第2傾斜部23bは、取付方向Aにおいて互いに隣接するように配置され、第1傾斜部23aと第2傾斜部23bの境目がフック部23の頂点23cとなっている。
【0041】
上記の如く構成されたテンキー装置20を、図4に示される取付方向Aへ移動させ、操作パネル10に対して接近させると、一対の突起部21が操作パネル10の各位置決め孔11に挿入される。また、一対の把持部Gが操作パネル10の開口13を通して操作パネル10内に挿入される。
【0042】
一対の突起部21が各位置決め孔11に挿入されると、各突起部21が操作パネル10内部のフレーム部19(図6参照)に当接することにより、テンキー装置20の荷重が操作パネル10によって支持される。
【0043】
また、一対の把持部Gが操作パネル10内に挿入されると、操作パネル10内の一対の係合ピン15が、各延伸部46に設けられた凹部49内に進入すると共に、フック部23の第1傾斜部23a(図8参照)に接触する。そして、テンキー装置20の取付方向Aへの移動に伴って、係合ピン15が、フック部23を押し上げる付勢部材の付勢力に抗してフック部23を押し下げ、さらに凹部49の奥側へ進入する。そして、係合ピン15が第1傾斜部23a(頂点23c)を乗り越えると、フック部23が付勢部材の付勢力によって上方へ復帰する。そして、図8に示されるように、係合ピン15が受け部46aに当接すると、係合ピン15が受け部46aと復帰したフック部23の第2傾斜部23bによって前後方向から挟まれた状態となる(図8参照)。これにより、テンキー装置20は、操作パネル10に対して取外し方向(取付方向Aとは反対方向)へ移動不能になる。
【0044】
このように、本実施形態においては、係合ピン15がフック部23と受け部46aによって前後両側から挟まれて保持されることにより、テンキー装置20と操作パネル10の高品質な結合状態が得られ、特に取付方向Aでのテンキー装置20のガタつきを防止することができる。また、係合ピン15が半円弧状の受け部46aに嵌合し、さらに、一対の突起部21が各位置決め孔11に挿入されて嵌合することにより、テンキー装置20の上下左右方向のガタつきも防止される。従って、本実施形態に係る構成によれば、突起部21を位置決め孔11内に挿入し、フック部23と受け部46aとを操作パネル10内に挿入して係合ピン15を把持するだけで、テンキー装置20を操作パネル10に対してガタつきなく高品質に装着することができる。また、ねじ止めなどの作業が不要であり、操作パネル10に対するテンキー装置20の取り付けを容易に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態に係る構成によれば、突起部21の取付方向Aの長さを、特許文献1(特開2021-86035号公報)に記載の挿入ピンに比べて大幅に短くできる。特許文献1に開示される構成においては、挿入ピンがテンキー装置20の取付方向Aへ長く延び、しかも挿入ピンの基端部がテンキー装置20の内部深くまで延ばす必要があった。このため、特許文献1に記載の挿入ピンの長さは、全長が少なくとも12~15cmもあった。
【0046】
これに対して、本発明の実施形態においては、突起部21の全長が長くても2~3cmで済む。この長さ(2~3cm)は、特許文献1に記載の挿入ピンの長さ(12~15cm)の約5分の1である。このように、本発明の実施形態においては、突起部21の全長が極めて短くて済むから、突起部21による操作パネル10側のデッドスペースは殆ど生じない。さらに、突起部21の基端部をテンキー装置20の内部まで延ばす必要がなく、テンキー装置20の内部スペースも犠牲にならない。また、突起部21が不測に作用する外力により曲がったり傾斜したりする虞もない。
【0047】
ここで、上記本発明の実施形態においては、操作パネル10に対するテンキー装置20の取り外しも容易に行えるように構成されている。
【0048】
具体的には、図9及び図10に示されるように、フック部23を有する操作レバー22の一部(解除部25)が本体部29の外装フレームから外側へ露出しており、フック部23を外側から操作可能に構成されている。すなわち、操作レバー22は、係合ピン15に対するフック部23の係合を外側から解除可能な解除部25を有している。
【0049】
解除部25は、テンキー装置20の本体部29を構成する外装フレームのうち、上記テンキー24が設けられている前面29aとは反対側の背面29bにおいて外側へ露出するように設けられている。詳しくは、本体部29の背面29bに、内部と連通する凹部29cが設けられており、この凹部29c内に解除部25が配置されている。
【0050】
また、図10に示されるように、解除部25は、操作レバー22の回転中心である軸支部47を挟んでフック部23が設けられる一端側とは反対側(他端側)に設けられている。図10において符号59により示される部材は、操作レバー22を付勢する上記付勢部材としてのコイルばねである。操作レバー22は、コイルばね59によって、フック部23が係合ピン15に対して係合するように(図10において操作レバー22が軸支部47を中心に反時計回りに回転するように)付勢されている。なお、コイルばね59に代えて、軸支部47に設けられる捩じりばねを用いてもよい。
【0051】
フック部23の係合を解除する場合は、解除部25を図10における下方へ押し下げればよい。これにより、図10の二点鎖線にて示されるように、操作レバー22が軸支部47を中心に図10における時計回りに回転するので、フック部23が上方へ変位し、係合ピン15に対するフック部23の係合が解除される。
【0052】
そして、各解除部25を押し下げたまま(フック部23の係合解除が維持されたまま)、テンキー装置20を操作パネル10に対して引き抜く方向(取付方向Aとは反対方向)へ移動させることにより、テンキー装置20を取り外すことができる。このように、本実施形態においては、操作レバー22(フック部23)が外部から操作可能に構成されていることにより、テンキー装置20の取り外しを容易に行うことができる。
【0053】
しかしながら、本実施形態のように、解除部25を露出させ、外側から操作レバー22を操作可能にすると、ユーザーなどが不意に解除部25に触れた場合に、テンキー装置20が外れて落下する虞がある。また、テンキー装置20を簡単に取り外せるようにすると、盗難又はいたずらなどの被害が発生する虞もある。
【0054】
そこで、本実施形態においては、テンキー装置20の簡易な着脱性を確保しつつ、不正又は不要な取り外しを防止できるように、次のような対策を講じている。
【0055】
図11及び図12に示されるように、本実施形態においては、解除部25の不要な操作を防止するため、テンキー装置20に解除部25を覆うカバー70を設けている。カバー70は、本体部29の背面29bに対して着脱可能に構成されている。そのために、カバー70には、本体部29に係合する一対の引っ掛け部71と、固定用のねじ33が挿通されるねじ挿通孔72が設けられている。一方、本体部29の背面29bには、カバー70の各引っ掛け部71が係合する係合凹部27と、固定用のねじ33が締結されるねじ孔28が設けられている。係合凹部27は、図12に示されるような本体部29の外装フレームを貫通する孔であってもよいし、貫通しない凹部であってもよい。
【0056】
カバー70を本体部29の背面29bに取り付けるには、まず、カバー70を、本体部29の背面29bに設けられる凹状段差部29dに一致するように配置し、カバー70の各引っ掛け部71を本体部29の各係合凹部27に係合させる。次いで、固定用のねじ33をカバー70のねじ挿通孔72を通して本体部29のねじ孔28に挿入し締結する。これにより、カバー70が本体部29の背面29bに取り付けられる。カバー70が取り付けられた状態においては、図12に示されるように、解除部25がカバー70によって覆われた状態となる。また、カバー70が取り付けられる凹状段差部29dが、カバー70の厚み程度の段差に形成されているため、カバー70が本体部29に取り付けられた状態においては、カバー70が本体部29の背面29bから突出しないようになっている。
【0057】
このように、本実施形態においては、解除部25を覆うカバー70がテンキー装置20(本体部29の背面29b)に取付可能に構成されていることにより、ユーザーなどが不意に解除部25に触れたり、盗難又はいたずらなどの目的で解除部25に触れたりするのを防止できる。また、上記取付手順とは反対側の手順でカバー70を取り外せば、解除部25を再度露出状態にすることができ、解除部25を操作してテンキー装置20の取り外しが可能である。従って、本実施形態によれば、テンキー装置20の簡易な着脱性を確保しつつ、不正又は不要な取り外しを防止できるようになる。
【0058】
また、本実施形態においては、カバー70がテンキー装置20に取り付けられていても、操作パネル10に対するテンキー装置20の取り付けが可能である。すなわち、テンキー装置20を操作パネル10に対して取付方向へ接近させた際、操作パネル10の係合ピン15が操作レバー22のフック部23を押すことにより、操作レバー22が回転するので、係合ピン15がフック部23を乗り越えて係合状態となることができる。従って、カバー70が取り付けられた状態のまま、テンキー装置20を操作パネル10に取り付けることができる。
【0059】
続いて、図13及び図14に、本発明の他の実施形態の構成を示す。
【0060】
図13及び図14に示される実施形態においては、カバー70が、解除部25の動きを規制する解除規制部73を有している。解除規制部73は、カバー70の裏面(解除部25と対向する面)から突出し、略L字状又は略Z字状に屈曲する一対の突片である。一方、各解除部25には、一対の解除規制部73が挿入される開口26が形成されている。その他の構成は、上記実施形態と同じである。
【0061】
このように、他の実施形態においては、カバー70に一対の解除規制部73が設けられているため、カバー70が本体部29に取り付けられることにより、解除部25の係合解除動作が規制される。すなわち、カバー70が本体部29に取り付けられる際に、図14に示されるように、解除規制部73を解除部25の開口26から解除部25の下方へ入り込むように配置することにより、解除部25が下方へ変位することができなくなる。これにより、操作レバー22が、図14における時計回りの方向、すなわち係合ピン15に対するフック部23の係合を解除する方向に回転することができなくなるので、テンキー装置20の不正又は不要な取り外しをより確実に防止できるようになる。
【0062】
また、テンキー装置20の不正な取り外しを防止するため、図15に示されるカバー取付用のねじ33(ねじの頭部)と画像形成装置本体の前面(この場合、原稿読取部5の前面)との間の間隔Dを次のように設定してもよい。
【0063】
図15に示されるように、カバー70が本体部29に対してねじ33によって取り付けられる構成においては、このねじ33をドライバーなどの工具を用いて回転させ、ねじ33の締結を緩めれば、誰でもカバー70の取り外しが可能となる。反対に、このねじ33の回転操作を通常の工具では行えないようにすれば、盗難又はいたずらを目的とするカバー70の取り外しが行えなくなる。
【0064】
具体的に、本実施形態おけるねじ33の回転操作には、例えば代表的なものとしてJIS規格(JIS B4633)にて規定される2番のプラスドライバーが使用されるので、ねじ33(ねじの頭部)とこれが対向する画像形成装置本体の前面(原稿読取部5の前面)との間の間隔Dの最大値を、2番のプラスドライバーのグリップ部分を含めた一般的な長さである180mm(ドライバー軸部のJIS規定長さ100mm+グリップ部の長さ)よりも小さい間隔である126mm未満に設定する。これにより、一般的なドライバー(2番のプラスドライバー)を用いてねじ33を回して外すことができなくなる(特殊なサイズのドライバーを用意する必要がある)ので、盗難又はいたずらなどの被害の発生をより確実に防止できるようになる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
上記実施形態においては、図16に示されるように、テンキー装置20が操作パネル10の右側面に取り付けられているが、テンキー装置20の取付位置はこの位置に限るものではない。なお、図16に示されるレイアウトの画像形成装置においては、操作パネル10の図の下方及び左側に記録媒体排出部としての排紙部6があるので、テンキー装置20が排紙部6とは反対側(操作パネル10の右側)に取り付けられることにより、排紙部6からの用紙の取り出し作業が行いやすくなる。
【0067】
また、本発明に係る操作拡張ユニットは、電子写真方式の画像形成装置に取り付けられるテンキー装置に限らず、インクジェット方式の画像形成装置などに取り付けられるテンキー装置であってもよい。また、操作拡張ユニットは、ボタン式のテンキー装置に限らず、タッチパネル式の数値入力装置であってもよいことは勿論である。
【0068】
また、本発明は、テンキー装置に適用される場合に限らず、例えばICカードリーダーなどの認証装置、あるいはキーボードなどの他の操作拡張ユニットにも適用可能である。
【0069】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える操作拡張ユニット及び画像形成装置が含まれる。
【0070】
[第1の構成]
第1の構成は、画像形成装置の本体側操作部に対して着脱可能な操作拡張ユニットであって、前記本体側操作部に設けられる本体側係合部に係合可能なユニット側係合部と、前記本体側係合部に対する係合を解除するように前記ユニット側係合部を操作可能な解除部と、前記解除部を覆うように設けられるカバーと、を備える操作拡張ユニットである。
【0071】
[第2の構成]
第2の構成は、前記第1の構成において、前記カバーは、前記ユニット側係合部の係合が解除されないように前記解除部の動きを規制する解除規制部を有する操作拡張ユニットである。
【0072】
[第3の構成]
第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、軸支部を中心に回転可能に支持され、前記回転軸支部を挟んで一端側に前記ユニット側係合部を有し、他端側に前記解除部を有する操作レバーと、前記本体側操作部に設けられた少なくとも一対の位置決め孔に挿入可能な少なくとも一対の突起部と、を備える操作拡張ユニットである。
【0073】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第1から第3のいずれか1つの構成において、前記本体側操作部に対する前記操作拡張ユニットの取付方向の前後両側から前記本体側係合部を挟んで把持する把持部を備え、前記把持部は、前記ユニット側係合部と、前記ユニット側係合部と協働して前記本体側係合部を挟むように前記本体側係合部と嵌合可能な受け部を有する操作拡張ユニットである。
【0074】
[第5の構成]
第5の構成は、画像形成部と、本体側操作部と、前記第1から第4のいずれか1つの構成の操作拡張ユニットと、を備える画像形成装置である。
【0075】
[第6の構成]
第6の構成は、前記第5の構成において、前記操作拡張ユニットが前記本体側操作部に取り付けられた状態において、前記カバーを固定するために前記カバーの背面に取り付けられるねじと前記画像形成装置本体の前面との間の最大の間隔が、126mm未満に設定される画像形成装置である。
【0076】
[第7の構成]
第7の構成は、前記第5又は第6の構成において、画像が形成された記録媒体を排出する記録媒体排出部をさらに備え、前記操作拡張ユニットは、前記本体操作部の記録媒体排出部側とは反対側に取り付けられる画像形成装置である。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
2 画像形成部
6 排紙部(記録媒体排出部)
10 操作パネル(本体側操作部)
15 係合ピン(本体側係合部)
20 テンキー装置(操作拡張ユニット)
21 突起部
22 操作レバー
23 フック部(ユニット側係合部)
25 解除部
46a 受け部
47 軸支部
70 カバー
73 解除規制部
G 把持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2021-86035号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図15
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