(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067852
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】揚げ作業管理装置、フライヤー及び揚げ作業管理方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A47J37/12 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178223
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井手 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】生稲 淳一
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AB02
4B059AD14
4B059DA01
4B059DA06
4B059DA08
4B059DA09
(57)【要約】
【課題】揚げ作業を精度良く行うことができる揚げ作業管理装置、フライヤー及び揚げ作業管理方法を提供する。
【解決手段】揚げ物Fの揚げ作業における揚げ温度及び揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御部31と、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定部33と、揚上状態判定部33によって判定した揚げ上がり状態に基づいて、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定部34と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライヤーを用いた揚げ物の揚げ作業を管理する揚げ作業管理装置であって、
前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御部と、
前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定部と、
前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定部と、を備えたことを特徴とする揚げ作業管理装置。
【請求項2】
前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の種類及び/又は大きさを判定する揚げ物判定部を、更に備え、
前記揚げ条件設定部は、前記揚げ物判定部によって判定した前記揚げ物の種類及び/又は大きさと、前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態と、に基づいて、前記揚げ物の種類及び/又は大きさ毎の前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新することを特徴とする請求項1に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項3】
前記揚げ作業を行う前の前記揚げ物の種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上を判定する揚げ物判定部を、更に備え、
前記揚げ条件設定部は、前記揚げ物判定部によって判定した前記揚げ作業を行う前の前記揚げ物の種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上と、前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態と、に基づいて、前記揚げ物の種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上毎の前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新することを特徴とする請求項1に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項4】
前記揚げ物の前記揚げ上がり状態は、前記揚げ物の色、前記揚げ物の表面温度及び/又は前記揚げ物の表面状態であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の揚げ作業管理装置。
【請求項5】
揚げ油を貯留し、揚げ物の揚げ作業を行う油槽と、
前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御部と、
前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定部と、
前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定部と、を備えたことを特徴とするフライヤー。
【請求項6】
フライヤーを用いた揚げ物の揚げ作業を管理する揚げ作業管理方法であって、
前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御工程と、
前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定工程と、
前記揚上状態判定工程によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定工程と、を実行することを特徴とする揚げ作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ作業管理装置、フライヤー及び揚げ作業管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フライヤーとして、予め設定した設定揚げ温度や設定揚げ時間によって、食材の揚げ作業を行うものがある(特許文献1参照)。このフライヤーは、油槽と、油槽内に貯留される食用の調理油を加熱するためのヒータユニットと、食材が入れられたカゴを油槽内に出し入れするためのオートリフト機構と、を備え、ヒータユニットによって調理油の温度を設定揚げ温度にした状態で、オートリフト機構によって、揚げ物が入れられたカゴを油槽内に搬入し、搬入後、設定揚げ時間だけ時間が経過したら、揚げ物が入れられたカゴを搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、揚げ作業においては、揚げ物の温度、又は揚げ物の大きさによって、揚げ物の揚げ上がりが異なり、また、揚げ作業において揚げ物の量(水分量、品温)等によって、揚げ温度が著しく低下することがあった。また、従来のフライヤーでは、揚げ作業の作業環境(例えば油槽の大きさや揚げ作業の頻度等)を加味した設定揚げ温度や設定揚げ時間の設定を行うことができないため、揚げ物が過度に加熱される、あるいは揚げ物が十分加熱されないなど、揚げ作業を精度良く行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、揚げ作業を精度良く行うことができる揚げ作業管理装置、フライヤー及び揚げ作業管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、フライヤーを用いた揚げ物の揚げ作業を管理する揚げ作業管理装置であって、前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御部と、前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定部と、前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定部と、を備えたことを特徴とする揚げ作業管理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、揚げ油を貯留し、揚げ物の揚げ作業を行う油槽と、前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御部と、前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定部と、前記揚上状態判定部によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定部と、を備えたことを特徴とするフライヤーを提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、フライヤーを用いた揚げ物の揚げ作業を管理する揚げ作業管理方法であって、前記揚げ作業における揚げ温度及び/又は揚げ時間を、設定揚げ温度及び/又は設定揚げ時間に制御する揚げ作業制御工程と、前記揚げ作業によって揚げ上がった前記揚げ物の揚げ上がり状態を判定する揚上状態判定工程と、前記揚上状態判定工程によって判定した前記揚げ上がり状態に基づいて、前記設定揚げ温度及び/又は前記設定揚げ時間を更新する揚げ条件設定工程と、を実行することを特徴とする揚げ作業管理方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る揚げ作業管理装置、フライヤー及び揚げ作業管理方法は、揚げ作業を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーの構成例を示した構成図である。
【
図2】(a)は、揚げ条件データベースを示した図であり、(b)は、良品範囲データベースを示した図である。
【
図3】揚げ作業管理動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る揚げ作業管理装置、これを備えたフライヤー及び揚げ作業管理方法について説明する。このフライヤーは、揚げ物の揚げ作業を行う調理装置である。特に、本フライヤーは、揚げ作業で揚げ上がった揚げ物の揚げ上がり状態を判定し、これをフィードバックして揚げ条件の設定を更新することで、揚げ作業の精度を向上させたものである。なお、本実施形態では、揚げ物として、例えば、コロッケ、メンチカツ、とんかつ、天ぷら、から揚げ、素揚げ等を調理することを想定し、フライヤーは、例えば、レストラン、揚げ物専門店、コンビニ、ファーストフード店等に設置されるものを想定している。
【0012】
(フライヤーの構成)
図1に示すように、フライヤー1は、揚げ油を貯留し、揚げ物Fの揚げ作業を行う油槽11と、油槽11に貯留された揚げ油を加熱するヒータ12と、油槽11に貯留された揚げ油の温度を検出する温度センサ13と、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fを置く揚げ物トレイ14と、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fを撮像する撮像カメラ15と、各種操作を行う操作パネル16と、各種データベースを記憶する記憶部17と、フライヤー1の各部を制御する制御部18と、を備えている。なお、フライヤー1を用いた揚げ物Fの揚げ作業を管理する揚げ作業管理装置は、撮像カメラ15、記憶部17及び制御部18によって構成されている。すなわち、撮像カメラ15、記憶部17及び制御部18は、揚げ作業管理装置の一例である。
【0013】
油槽11は、図外のハウジング又は設置台の上部に配設され、揚げ作業を行うための揚げ油を貯留する。フライヤー1の作業者(オペレータ)が、ヒータ12によって加熱された揚げ油に、揚げ物Fを投入し浸漬させることで、揚げ物Fを調理する。以下、この揚げ油に揚げ物Fを浸漬させることで揚げ物Fを調理する作業を「揚げ作業」と呼称する。
【0014】
ヒータ12は、油槽11に貯留された揚げ油を加熱する。なお、ヒータ12は、油槽11内に設置してもよいし、油槽11の外壁中又は外壁に設置されていてもよい。また、ヒータ12に代えて、例えば、ガスバーナー、電磁誘導加熱等の他の加熱手段を用いる構成であってもよい。
【0015】
温度センサ13は、一部が油槽11に貯留された揚げ油に浸漬されるように配設され、当該揚げ油の温度を検出する。
【0016】
揚げ物トレイ14は、例えば、トレイ、油切りができるスリット付きの板、網付きのトレイ等で構成されており、油槽11による揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fを置く載置部である。本実施形態では、揚げ物トレイ14は、複数の揚げ物Fを置くことが可能な大きさを有している。
【0017】
撮像カメラ15は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成されており、揚げ物トレイ14の上方又は斜め上方に配設されている。そして、撮像カメラ15は、揚げ物トレイ14の上方又は斜め上方から、揚げ物トレイ14の全域を撮像して、揚げ物トレイ14に載置された1又は複数の揚げ物Fを撮像する。すなわち、油槽11による揚げ作業によって揚げ上がった1又は複数の揚げ物Fを撮像する。詳細は後述するが、撮像カメラ15による撮像画像は、揚げ物Fの種類及び揚げ上がり状態の判定に用いられる。
【0018】
操作パネル16は、揚げ作業を行う揚げ物Fの種類を選択するための操作部であり、例えば、揚げ物Fの種類を対応する複数のメニューボタンを有している。作業者は、操作パネル16を操作して、揚げ作業を行う揚げ物Fの種類を選択した状態で揚げ物Fの揚げ作業を行う。
【0019】
記憶部17は、例えば、フラッシュROM等で構成されている。また、記憶部17は、揚げ作業の管理に用いられる揚げ条件データベース21及び良品範囲データベース22を有している。
【0020】
図2(a)に示すように、揚げ条件データベース21は、揚げ物Fの種類と、設定揚げ温度と、設定揚げ時間と、を対応付けて記憶する。すなわち、揚げ条件データベース21は、揚げ物Fの種類毎の設定揚げ温度及び設定揚げ時間を記憶したものである。設定揚げ温度は、揚げ作業に用いる揚げ温度、すなわち油槽11に貯留された揚げ油の温度である。揚げ物Fの揚げ作業を行う場合、揚げ条件データベース21に記憶された揚げ物Fの種類毎の設定揚げ温度に、揚げ温度を制御して揚げ作業を行う。詳細は後述するが、揚げ条件データベース21に記憶された設定揚げ温度は、撮像カメラ15の撮像画像から得られた揚げ物Fの揚げ上がり状態に基づいて更新される。
【0021】
図2(b)に示すように、良品範囲データベース22は、揚げ物Fの種類と、揚げ物Fの色の濃淡度における良品範囲の上限値と、揚げ物Fの色の濃淡度における良品範囲の下限値と、を対応付けて記憶する。すなわち、予め設定した揚げ物Fの種類毎の、揚げ物Fの色の濃淡度における良品範囲をデータベース化したものである。詳細は後述するが、良品範囲データベース22は、揚げ物Fの揚げ上がり状態の良否判定に用いられる。なお、本実施形態では、良品範囲データベース22が、揚げ物Fの色の濃淡度(濃さ)の良品範囲を記憶し、揚げ物Fの色の濃淡度に基づいて、揚げ上がり状態の良否判定を行う構成であるが、良品範囲データベース22が、濃淡度に代えて、揚げ物Fの色の明度及び/又は彩度を記憶し、揚げ物Fの色の明度及び/又は彩度に基づいて、揚げ上がり状態の良否判定を行う構成であってもよい。
【0022】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されている。また、
図1に示すように、制御部18は、所定のプログラムを実行することで、揚げ作業制御部31、揚げ物判定部32、揚上状態判定部33、揚げ条件設定部34として機能する。
【0023】
揚げ作業制御部31は、揚げ作業における揚げ条件として、揚げ温度を制御する。具体的には、操作パネル16で選択された揚げ物Fの種類に対応する設定揚げ温度を揚げ条件データベース21から抽出し、温度センサ13の検出結果に基づき、油槽11に貯留された揚げ油の温度が、抽出した設定揚げ温度となるように、ヒータ12を制御する。これによって、揚げ作業における揚げ温度を、揚げ物Fの種類毎の設定揚げ温度に制御する。
【0024】
揚げ物判定部32は、撮像カメラ15による撮像画像を解析して、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの種類を判定する。揚げ物判定部32は、例えば、撮像画像から、揚げ物トレイ14に置かれている揚げ物Fの形状や大きさ、色、衣の有無等の情報を取得し、当該揚げ物Fの形状や大きさ、色、衣の有無等の情報に基づいて、当該揚げ物Fの種類を判定する。これにより、揚げ物判定部32は、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの種類を判定する。あるいは、揚げ物判定部32は、操作パネル16で入力された、揚げ作業を行う揚げ物Fの種類に基づき、揚げ上がった揚げ物Fの種類を判定してもよい。
【0025】
揚上状態判定部33は、撮像カメラ15による撮像画像を解析して、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの揚げ上がり状態を判定する。本実施形態では、揚上状態判定部33は、揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの色の濃淡度(色の濃さ)を判定する。これにより、揚げ物判定部32は、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの色の濃淡度を判定する。なお、詳細は後述するが、揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの表面温度や表面状態を判定する構成であってもよい。
【0026】
揚げ条件設定部34は、揚げ物判定部32によって判定した揚げ物Fの種類と、揚上状態判定部33によって判定した揚げ物Fの色の濃淡度と、良品範囲データベース22と、に基づいて、揚げ条件データベース21に記憶された種類毎の設定揚げ温度を更新する。具体的には、良品範囲データベース22から揚げ物Fの種類に対応した上限値を抽出し、揚げ物Fの色の濃淡度が当該上限値以下であるか否かを判定する。判定の結果、揚げ物Fの色の濃淡度が当該上限値以下でないと判定された場合、判定した揚げ物Fの種類の設定揚げ温度を所定量(例えば、1℃)分減少させる。また、判定した揚げ物Fの種類に対応した下限値を抽出し、揚げ物Fの色の濃淡度が当該下限値以上であるか否かを判定する。判定の結果、揚げ物Fの色の濃淡度が当該下限値以上でないと判定された場合、判定した揚げ物Fの種類の設定揚げ温度を所定量(例えば、1℃)分増加させる。すなわち、揚げ物Fの色が濃い場合には、揚げ温度が高すぎるため、設定揚げ温度を下げ、揚げ物Fの色が薄い場合には、揚げ温度が低すぎるため、設定揚げ温度を上げる。このように、揚げ物Fの揚げ上がり状態に基づいて、揚げ条件の設定を更新することで、次回以降、良好な揚げ上がり状態の揚げ物Fを作成することができる。
【0027】
(揚げ作業管理動作)
ここで
図3を参照して、制御部18による揚げ作業管理動作について説明する。この揚げ作業管理動作は、揚げ作業における揚げ条件を管理すると共に、揚げ条件の更新処理を行う動作である。なお、揚げ作業管理動作は、フライヤー1を用いた揚げ物Fの揚げ作業を管理する揚げ作業管理方法の一例である。
【0028】
図3に示すように、揚げ作業管理動作では、まず、制御部18は、作業者による操作パネル16を用いた揚げ物Fの種類の選択(S1)を受け付ける(S2)。揚げ物Fの種類の選択を受け付けたら、揚げ作業制御部31によって、選択された揚げ物Fの種類に対応する設定揚げ温度を揚げ条件データベース21から抽出し(S3)、油槽11に貯留された揚げ油の温度が、抽出した設定揚げ温度となるように、ヒータ12を制御する(S4)(揚げ作業制御工程)。これにより、揚げ作業における揚げ温度を、揚げ条件データベース21に記憶された揚げ物Fの種類毎の設定揚げ温度に調整する。
【0029】
揚げ温度が設定揚げ温度に調整されたら、作業者が、揚げ物Fを油槽11に浸漬させる(S5)。その後、揚げ物Fを油槽11に浸漬させた時点から、予め設定された設定揚げ時間分、時間が経過したら、揚げ物Fを油槽11から取り出し、揚げ上がった揚げ物Fを揚げ物トレイ14に置く(S6)。
【0030】
揚げ上がった揚げ物Fが揚げ物トレイ14に置かれたら、制御部18は、揚げ物判定部32によって、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの種類を判定する(S7)(揚げ物判定工程)。具体的には、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fを撮像カメラ15によって撮像し、撮像カメラ15による撮像画像を解析して、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの種類を判定する。これにより、揚げ作業(S5及びS6)によって揚げ上がった揚げ物Fの種類を判定する。
【0031】
揚げ物Fの種類を判定したら、揚上状態判定部33によって、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの色の濃淡度を判定する(S8)(揚上状態判定工程)。すなわち、撮像カメラ15による撮像画像を解析して、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの色の濃淡度を判定する。これにより、揚げ作業(S5及びS6)によって揚げ上がった揚げ物Fの色の濃淡度を判定する。
【0032】
揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物Fの種類及び色の濃淡度を判定したら、揚げ条件設定部34によって、判定した揚げ物Fの種類及び色の濃淡度に基づいて、設定揚げ温度の更新処理(S9~S14)を行う(揚げ条件設定工程)。すなわち、まず、判定した揚げ物Fの種類に対応した上限値を良品範囲データベース22から抽出し(S9)、判定した揚げ物Fの色の濃淡度が当該上限値以下であるか否かを判定する(S10)。判定の結果、揚げ物Fの色の濃淡度が良品範囲の上限値以下でないと判定された場合(S10:No)、揚げ条件データベース21において、判定した揚げ物Fの種類に対応する設定揚げ温度を、一定値(例えば、1℃)分減少させる(S11)。
【0033】
一方、判定の結果、揚げ物Fの色の濃淡度が良品範囲の上限値以下であると判定された場合(S10:Yes)、判定した揚げ物Fの種類に対応した下限値を良品範囲データベース22から抽出し(S12)、判定した揚げ物Fの色の濃淡度が当該下限値以上であるか否かを判定する(S13)。判定の結果、揚げ物Fの色の濃淡度が良品範囲の下限値以上でないと判定された場合(S13:No)、揚げ条件データベース21において、判定した揚げ物Fの種類に対応する設定揚げ温度を、一定値(例えば、1℃)分増加させる(S14)。これにより、本揚げ作業管理動作を終了する。
【0034】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、実際にフライヤー1で揚げ上げた揚げ物Fの揚げ上がり状態(揚げ物Fの色の濃淡度)を判定し、これをフィードバックして揚げ条件(設定揚げ温度)の設定を更新する構成であるため、実際の揚げ環境に適用した揚げ条件に設定を更新することができ、実際の揚げ環境に適用した揚げ条件で揚げ物Fの揚げ作業を行うことができる。これにより、揚げ物Fの揚げ作業を精度良く行うことができ、揚げ物Fの揚げ状態を一定に保つことができる。
【0035】
また、揚げ上がった揚げ物Fの種類を判定し、揚げ物Fの種類毎の揚げ条件を更新することで、同じフライヤー1で複数種類の揚げ物Fを調理する場合にも、揚げ物Fの揚げ作業を精度良く行うことができる。
【0036】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態においては、作業者に、操作パネル16を操作させ、揚げ作業を行う揚げ物Fの種類を選択させる構成であったが、揚げ作業を行う前の揚げ物Fをカメラで撮影し、揚げ物Fの種類を判定する構成でもよい。あるいは、予め揚げ物Fの揚げ作業スケジュールをデータベース上に設定し、その情報に基づき、揚げ物Fの種類を判定する構成であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、揚げ条件設定部34が、揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態に基づいて、設定揚げ温度を更新する構成であったが、設定揚げ温度を更新するのに代えて、設定揚げ時間を更新する構成であってもよい。かかる場合、揚げ作業制御部31は、揚げ作業における揚げ時間を設定揚げ時間に制御する。揚げ作業における揚げ時間を設定揚げ時間に制御する方法としては、例えば、設定揚げ時間を作業者に報知(例えば表示)する方法や、タイマー機能によって、設定揚げ時間に基づく残り揚げ時間や揚げ上がり時点を、作業者に報知する方法がある。また、フライヤー1が、油槽11の揚げ油に対し揚げ物Fを自動的に投入し取り出すオートリフト機構を更に備え、揚げ作業制御部31が、設定揚げ時間に基づくオートリフト機構の制御を行う構成であってもよい。なお、揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態に基づいて、設定揚げ温度及び設定揚げ時間の両方を更新する構成であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、揚上状態判定部33が、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの色を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの色に基づいて、揚げ条件(設定揚げ温度又は設定揚げ時間)の設定を更新する構成であったが、揚上状態判定部33が、揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの表面温度を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの表面温度に基づいて、揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。かかる場合、フライヤー1が、揚げ物トレイ14に置かれた揚げ物F(揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物F)の表面温度を検出する赤外線温度センサを更に備え、揚上状態判定部33が、赤外線温度センサの検出結果に基づいて、揚げ物Fの表面温度を判定する。なお、油槽11から取り出して直ぐの揚げ物Fの表面温度では、揚げ物Fの内部まで熱が伝わっているか否かを判定することができないため、油槽11から取り出してから所定時間(例えば、30秒間から1分間)経過した後の表面温度を判定し、所定時間経過した後の表面温度、又は表面温度の低下率に基づいて、揚げ条件の設定を更新することが好ましい。
【0040】
また、上記実施形態においては、揚上状態判定部33が、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの色を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの色に基づいて、揚げ条件(設定揚げ温度又は設定揚げ時間)の設定を更新する構成であったが、揚上状態判定部33が、揚げ物Fの揚げ上がり状態として、揚げ物Fの表面状態を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの表面状態に基づいて、揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。例えば、揚上状態判定部33が、撮像カメラ15による撮像画像を解析して、揚げ物Fの衣の花咲性(衣の突起の数や形状)を判定し、揚げ物Fの衣の花咲性に基づいて、揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。あるいは、揚げ物Fの衣の表面の光沢性を判定し、光沢性に基づいて、揚げ物条件の設定を更新する構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、揚げ物判定部32が、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの種類を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの種類毎の揚げ条件(設定揚げ温度又は設定揚げ時間)の設定を更新する構成であったが、揚げ物判定部32が、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの大きさを判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの大きさ毎の揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。あるいは、揚げ物判定部32が、揚げ作業を行う前の揚げ物Fの大きさを判定し、揚げ条件設定部34が、当該揚げ物Fの大きさ毎の揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。また、揚げ物判定部32が、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの種類及び大きさを判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物Fの種類及び大きさ毎の揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。さらに言えば、揚げ物判定部32が、揚げ作業を行う前の揚げ物Fの種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上を判定し、揚げ条件設定部34が、揚げ物判定部32によって判定した揚げ作業を行う前の揚げ物Fの種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上と、揚上状態判定部33によって判定した揚げ上がり状態と、に基づいて、揚げ作業を行う前の揚げ物Fの種類、大きさ、温度から選ばれる1つ以上毎の揚げ条件の設定を更新する構成であってもよい。この場合、揚げ物Fの種類、大きさ、表面温度等を操作パネル16から入力する、及び/又は、揚げ作業を行う前の揚げ物Fの種類、大きさ、表面温度等を検出する撮影カメラ、赤外線温度センサ等をフライヤー1が更に備える。
【0042】
また、上記実施形態においては、揚げ物Fの種類毎に揚げ条件を設定する構成であったが、冷凍状態から調理される揚げ物Fと、冷凍状態でない状態から調理される揚げ物Fとに別々の揚げ条件を設定可能としてもよい。例えば、冷凍状態から調理されるコロッケと、冷凍状態でない状態から調理されるコロッケとを別の種類の揚げ物Fとして、揚げ条件を管理する構成であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態が良品範囲内であるか否かを判定し、良品範囲内でないと判定された場合、揚げ条件を一定値増減させて、揚げ条件(設定揚げ温度又は設定揚げ時間)の設定を更新する構成であったが、これに限るものはない。例えば、揚げ上がり状態の値が設定揚げ温度又は設定揚げ時間にどの程度影響を与えるかを示す影響度合いデータ(係数)を予め記憶しておき、判定した揚げ上がり状態の値と目標の揚げ上がり状態の値との差と、影響度合いデータとに基づいて、設定揚げ温度又は設定揚げ時間を増減させて更新する構成であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、揚げ作業によって揚げ上がった揚げ物Fの揚げ上がり状態が良品範囲内であるか否かの判定は、良品範囲の上限値以下、良品範囲の下限値以上の順に判定する構成であったが、良品範囲の上限値以下、良品範囲の下限値以上を逆の順に判定してもよく、また、同時に判定してもよい。
【0045】
また、制御部18、揚げ作業制御部31、揚げ物判定部32、揚上状態判定部33及び揚げ条件設定部34の全部又は一部が、フライヤー1に備えられている必要はなく、これらの全部又は一部が、フライヤー1の外部に備えられているであってもよい。これら制御部18、揚げ作業制御部31、揚げ物判定部32、揚上状態判定部33及び揚げ条件設定部34の全部又は一部が、外部に備えられたものである場合、有線、無線、及び/又はネットワークを通じで単一のフライヤー1又は複数のフライヤー1と接続されている。これらの制御部18、揚げ作業制御部31、揚げ物判定部32、揚上状態判定部33及び揚げ条件設定部34の全部又は一部が、複数のフライヤー1に接続され、複数のフライヤー1を制御することもできる。その場合、複数のフライヤー1の状態を比較し、異常が見いだされた場合、警報を出すことができる。
【符号の説明】
【0046】
1:フライヤー、 11:油槽、 15:撮像カメラ、 17:記憶部、 18:制御部、 31:揚げ作業制御部、 33:揚上状態判定部、 34:揚げ条件設定部、 F:揚げ物