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  • 特開-口腔用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067936
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20240510BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240510BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q11/00
A61K8/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178366
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC622
4C083AC641
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD302
4C083AD352
4C083AD551
4C083AD552
4C083AD662
4C083BB05
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性が向上している口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】(A)アズレンスルホン酸及び/又はその塩、並びに(B)フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を含有する、口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アズレンスルホン酸及び/又はその塩、並びに(B)フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を含有する、口腔用組成物。
【請求項2】
前記(B)フッ素化合物が、アルカリ金属のフッ化物である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
更に、(C)アニオン性界面活性剤及び/又は(D)ヒノキチオールを含有する、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記(C)アニオン性界面活性剤がN-アシルアミノ酸塩である、請求項3に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記(C)アニオン性界面活性剤がN-ラウロイルサルコシン塩である、請求項3又は4に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
液体歯磨剤、練歯磨剤、又は洗口液である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性が向上している口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アズレンスルホン酸及びその塩は、抗炎症作用、上皮組織修復作用等があることが知られており、歯磨剤や洗口剤等の口腔用組成物に広く使用されている。しかしながら、アズレンスルホン酸及びその塩は、光暴露により分解され易いという欠点がある。アズレンスルホン酸及びその塩は、溶解した状態では青~青紫色を呈するため、アズレンスルホン酸及びその塩が光暴露によって分解されると、所望の作用が減弱されるだけでなく、外観性状の悪化を招き、審美的価値まで損ねてしまう。
【0003】
そこで、従来、アズレンスルホン酸及びその塩の光安定性を向上させる製剤技術について種々検討されている。例えば、特許文献1には、アズレン誘導体を含有する組成液のpH緩衝剤として、有機酸から選ばれる1種以上およびアミノ酸類より選ばれる1種以上を含有する水性液剤は、アズレン誘導体の光安定性を向上させ得ることが記載されている。また、特許文献2には、(A)アズレン類と(C)ポリビニルピロリドン及び/又はコンドロイチン類を含有する水性液剤に(B)ベルベリン類を含有させることにより、アズレン類の光安定性を向上させ得ることが記載されている。近年、消費者の口腔用組成物に対する消費者の要望は多様化しており、それに伴って多様な製剤処方の開発が望まれているので、製剤処方も多様化に対応するために、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性を向上させる製剤技術の更なる開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-298452号公報
【特許文献2】特開2005-298364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性が向上している口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、口腔用組成物において、アズレンスルホン酸及び/又はその塩と共に、フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を含有させることにより、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性が向上することを見出した。更に、本発明者は、口腔用組成物において、ズレンスルホン酸及び/又はその塩と共に、フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物とアニオン性界面活性剤を含有させることにより、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性がより一層向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)アズレンスルホン酸及び/又はその塩、並びに(B)フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を含有する、口腔用組成物。
項2. 前記(B)フッ素化合物が、アルカリ金属のフッ化物である、項1に記載の口腔用組成物。
項3. 更に、(C)アニオン性界面活性剤及び/又は(D)ヒノキチオールを含有する、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4. 前記(C)アニオン性界面活性剤がN-アシルアミノ酸塩である、項3に記載の口腔用組成物。
項5. 前記(C)アニオン性界面活性剤がN-ラウロイルサルコシン塩である、項3又は4に記載の口腔用組成物。
項6. 液体歯磨剤、練歯磨剤、又は洗口液である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光暴露によるアズレンスルホン酸及び/又はその塩の分解を抑制できるので、アズレンスルホン酸及び/又はその塩を含む口腔用組成物の保存安定性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例1において、日光曝露の実施例3~5及び比較例3の口腔用組成物の外観を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.口腔用組成物
本発明の口腔用組成物は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩、並びにフッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を含有することを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
【0011】
[(A)アズレンスルホン酸及び/又はその塩]
本発明の口腔用組成物は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩((A)成分と表記することもある)を含有する。
【0012】
アズレンスルホン酸は、1,4-ジメチル-7-イソプロピルアズレン-3-スルホン酸とも称される公知の抗炎症成分である。アズレンスルホン酸の塩の種類については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等の有機スルホン酸塩;メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩等の有機アミン塩;塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩等が挙げられる。
【0013】
本発明の口腔用組成物は、(A)成分として、アズレンスルホン酸及びその塩の中から1種の成分を単独で使用してもよく、また2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
(A)成分の中でも、好ましくはアズレンスルホン酸の塩、より好ましくはアズレンスルホン酸のアルカリ金属塩、更に好ましくはアズレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0015】
本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量については、口腔用組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.0001~1重量%、好ましくは0.001~0.5重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%が挙げられる。
【0016】
[(B)フッ素化合物]
本発明の口腔用組成物は、更にフッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物((B)成分と表記することもある)を含有する。従来、口腔用組成物において、フッ素化合物は、通常、フッ素原子量換算で1000ppm未満の含有量で使用されているが、このような低含有量では、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性を十分に向上させることができない。これに対して、本発明では、前記高含有量のフッ素化合物を使用することにより、口腔用組成物におけるアズレンスルホン酸及び/又はその誘導体の光安定性を高めることができる。
【0017】
本発明の口腔用組成物で使用されるフッ素化合物の種類については、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属のフッ化物、フルオロリン酸、及びフルオロリン酸の塩等が挙げらる。
【0018】
アルカリ金属のフッ化物の種類については、口腔内に適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等が挙げられる。
【0019】
フルオロリン酸の種類については、口腔内に適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、モノフルオロリン酸、ジフルオロリン酸等が挙げられる。
【0020】
フルオロリン酸の塩の種類については、口腔内に適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、前記フルオロリン酸のアルカリ金属塩、より具体的には、前記フルオロリン酸のナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0021】
これらのフッ素化合物は、1種のものを選択して単独で使用してもよく、また2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
【0022】
アズレンスルホン酸及び/又はその誘導体の光安定性をより一層効果的に向上させるという観点から、(B)成分の中でも、好ましくはアルカリ金属のフッ化物、より好ましくはフッ化ナトリウムが挙げられる。
【0023】
本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量は、フッ素原子量換算で1000ppm以上である。このような含有量を満たすことにより、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性を向上させることが可能になる。アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性をより一層効果的に向上させるという観点から、(B)成分がフッ素原子量換算で、好ましくは1400ppm以上、より好ましくは1490ppm以上、更に好ましくは7000ppm以上、特に好ましくは8500ppm以上が挙げられる。(B)成分の含有量の上限値については、特に制限されないが、例えば、フッ素原子量換算で40000ppm以下、20000ppm以下、又は15000ppm以下が挙げられる。本発明の口腔用組成物における(B)成分の含有量の具体的範囲としては、例えば、フッ素原子量換算で、1000~40000ppm、好ましくは1400~20000ppm、より好ましくは1490~20000ppm、更に好ましくは7000~20000ppm、特に好ましくは8500~15000ppmが挙げられる。本発明において、フッ素化合物のフッ素原子量換算とは、フッ素化合物の含有量を、当該フッ素化合物に含まれるフッ素原子の量に換算した値を指す。例えば、分子量がX、1分子当たりに含まれるフッ素原子がY個であるフッ素化合物の含有量がZ重量%である場合には、フッ素原子量換算量(ppm)は、式:(Z/X)×19×Y×10000によって算出される。
【0024】
[(C)アニオン性界面活性剤]
本発明の口腔用組成物は、前記(A)及び(B)成分に加えて、アニオン性界面活性剤((C)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の口腔用組成物が、アニオン性界面活性剤を含む場合には、アズレンスルホン酸及び/又はその誘導体の光安定性をより一層効果的に向上させることが可能になる。
【0025】
本発明で使用されるアニオン性界面活性剤の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に限定されないが、例えば、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸エステル塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0026】
N-アシルアミノ酸塩を構成するアシル基の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20が挙げられる。N-アシルアミノ酸塩として、具体的には、N-ラウロイルサルコシン等のN-アシルサルコシンの塩;N-ミリストイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ステアロイルグルタミン酸等のN-アシルグルタミン酸の塩;ココイルグリシン等のN-アシルグリシンの塩等が挙げられる。N-アシルアミノ酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0027】
N-アシルメチルタウリン塩を構成するアシル基の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20が挙げられる。N-アシルメチルタウリン塩として、具体的には、N-ラウロイルメチルタウリン塩、N-ミリストイルメチルタウリン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩、N-ラウリルメチルタウリン塩等が挙げられる。N-アシルメチルタウリン塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0028】
アルキル硫酸エステル塩を構成するアルキル基の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20が挙げられる。アルキル硫酸エステル塩として、具体的には、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、セチル硫酸塩、ドデシル硫酸塩等が挙げられる。アルキル硫酸エステル塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0029】
αオレフィンスルホン酸塩の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20、より好ましくは14~16が挙げられる。αオレフィンスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0030】
アルキルベンゼンスルホン酸塩を構成するアルキル基の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20、より好ましくは10~14が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩を構成するアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0031】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数としては、例えば1~20、好ましくは1~10が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を構成するアルキル基の炭素数としては、例えば、6~22、好ましくは8~20が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であればよい。
【0032】
これらのアニオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
(C)成分の中でも、アズレンスルホン酸及び/又はその誘導体の光安定性をより一層効果的に向上させるという観点から、好ましくはN-アシルアミノ酸塩、より好ましくはN-アシルサルコシン塩、特に好ましくはN-ラウロイルサルコシン塩が挙げられる。
【0034】
本発明の口腔用組成物に(C)成分を含有させる場合、その含有量については、口腔用組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.1~1重量%が挙げられる。
【0035】
[(D)ヒノキチオール]
本発明の口腔用組成物は、前記(A)及び(B)成分に加えて、ヒノキチオール((D)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。本発明の口腔用組成物が、ヒノキチオールを含む場合には、アズレンスルホン酸及び/又はその誘導体の光安定性をより一層効果的に向上させることが可能になる。ヒノキチオールは殺菌剤として公知の成分である。
【0036】
本発明の口腔用組成物に(D)成分を含有させる場合、その含有量については、口腔用組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.0001~1重量%、好ましくは0.001~0.2重量%、より好ましくは0.01~0.05重量%が挙げられる。
【0037】
[多価アルコール]
本発明の口腔用組成物は、更に多価アルコールを含んでいてもよい。多価アルコールとしては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、例えば、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
これらの多価アルコールの中でも、好ましくは2価アルコール、より好ましくはプロピレングリコールが挙げられる。
【0039】
本発明の口腔用組成物に多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、更に好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0040】
[水]
本発明の口腔用組成物は、基剤として水が含まれる。本発明の口腔用組成物における水の含有量については、添加する成分を除いた残部であればよく、口腔用組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定すればよい。
【0041】
[その他の含有成分]
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、局所麻酔剤、血行促進剤、増粘剤、界面活性剤(アニオン性界面活性剤以外)、1価低級アルコール、湿潤剤、甘味剤、色素、消臭剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0042】
[pH]
本発明の口腔用組成物のpHについては、口腔内への適用が許容される範囲であることを限度として特に制限されないが、例えば、pH4.0~9.5、好ましくはpH6.0~9.5が挙げられる。
【0043】
[剤型・形態]
本発明の口腔用組成物の剤型については、口腔内への適用が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、液状又は半固形状(ゲル状、ペースト状)が挙げられる。
【0044】
本発明の口腔用組成物の形態については、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り特に制限されないが、例えば、液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液(液体歯磨剤、洗口液は、一般にマウスリンス、マウスウォッシュ、デンタルリンス等と呼称されることがある)、口中清涼剤(マウススプレー等)、口腔用軟膏剤等の口腔衛生剤が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液が挙げられる。
【0045】
また、本発明の口腔用組成物を収容する容器については、特に制限されず、例えば、チューブ容器、ボトル容器等を使用できる。また、本発明の口腔用組成物を収容する容器の一形態として、光を透過する透明容器が挙げられる。ここで、透明容器には、無色透明容器、有色透明容器の双方が包含される。本発明の口腔用組成物は、アズレンスルホン酸及び/又はその塩が光安定性を備えているので、透明容器に収容された状態で光暴露を受けても、アズレンスルホン酸及び/又はその塩の分解を抑制することができる。
【0046】
2.アズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性の向上方法
本発明は、更に、口腔用組成物におけるアズレンスルホン酸及び/又はその塩の光安定性を向上させる方法であって、口腔用組成物に、(A)アズレンスルホン酸及び/又はその塩と、(B)フッ素原子量換算で1000ppm以上のフッ素化合物を配合する、光安定性の向上方法を提供する。
【0047】
本発明の光安定性の向上方法において、アズレンスルホン酸及び/又はその種類や配合量、フッ素化合物の種類や配合量、配合できる他の成分やその配合量、pH、口腔用組成物の剤型や形態等については、前記「1.口腔用組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0048】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
試験例1
表1及び2に示す口腔用組成物を調製した。得られた口腔用組成物5mlを、20ml容の透明ガラス容器に充填し、室内で直射日光があたる場所に1日間保存した。保存前後の口腔用組成物の外観を観察し、以下の判定基準に従って、アズレンスルホン酸ナトリウムの光安定性を評価した。
・判定基準
S:保存後の口腔用組成物の退色が殆ど認められない。
A:保存後の口腔用組成物がやや退色しているが、青紫の色調を呈している。
B:保存後の口腔用組成物が退色しており、薄い青紫の色調を呈している。
C:保存後の口腔用組成物が著しく退色しており、透明に近くなっている。
【0050】
得られた結果を表1及び2に示す。また、日光曝露の実施例3~5及び比較例3について、外観を撮影した写真を図1に示す。アズレンスルホン酸ナトリウムと、フッ化物イオン換算で905ppmのフッ化ナトリウムを含む場合(比較例1~3)には、日光曝露によって著しい分解(退色)が生じていた。これに対して、アズレンスルホン酸ナトリウムと、フッ化物イオン換算で1000ppm以上のフッ化ナトリウムを含む場合(実施例1~5)には、日光曝露による分解(退色)を抑制できていた。特に、フッ化物イオン換算で1000ppm以上のフッ化ナトリウムとN-ラウロイルサルコシンナトリウムを含む場合(実施例2)、フッ化物イオン換算で1000ppm以上のフッ化ナトリウムとヒノキチオールを含む場合(実施例5)、並びにフッ化物イオン換算で1400ppm以上のフッ化ナトリウムを含む場合(実施例3)には、アズレンスルホン酸ナトリウムの光安定性が格段顕著に向上していた。なお、詳細な結果は割愛するが、実施例1~5の口腔用組成物を、室内で直射日光があたる場所で更に長期間保存しても、アズレンスルホン酸ナトリウムの分解(退色)を抑制できることが確認された。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
処方例
表3及び4に示す組成の液体歯磨剤及び練歯磨剤を調製した。得られた液体歯磨剤及び練歯磨剤について、前記試験例1と同様の方法で評価したところ、いずれも、アズレンスルホン酸ナトリウムの光安定性が向上していることが確認できた。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
図1