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特開2024-6800テープリール、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープドライブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006800
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】テープリール、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープドライブ
(51)【国際特許分類】
   G11B 23/107 20060101AFI20240110BHJP
   G11B 23/087 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G11B23/107
G11B23/087 508A
G11B23/087 508F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108036
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 廉
(57)【要約】
【課題】ハブに巻き回された磁気テープに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形を低減可能なテープリール、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープドライブを提供する。
【解決手段】テープが巻き回される円筒形状のハブと、ハブの内周側に設けられる補強部材と、を有し、補強部材は、ハブの中心軸方向に沿って長手方向を有する軸部材と、長手方向に沿って設けられ、かつ軸部材の外周面からハブの内周面に向かって拡がる円環状を有する複数のリブとを有し、複数のリブは、長手方向における中央領域に設けられた第1リブを含むテープリール。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープが巻き回される円筒形状のハブと、
前記ハブの内周側に設けられる補強部材と、
を有し、
前記補強部材は、
前記ハブの中心軸方向に沿って長手方向を有する軸部材と、前記長手方向に沿って設けられ、かつ前記軸部材の外周面から前記ハブの内周面に向かって拡がる円環状を有する複数のリブとを有し、
前記複数のリブは、前記長手方向における中央領域に設けられた第1リブを含む
テープリール。
【請求項2】
前記複数のリブは、前記中央領域以外の領域に設けられた第2リブを含む
請求項1に記載のテープリール。
【請求項3】
前記第2リブは、前記中央領域と前記軸部材の一端との間の領域及び前記中央領域と前記軸部材の他端との間の領域にそれぞれ設けられる
請求項2に記載のテープリール。
【請求項4】
前記第1リブの軸剛性は、前記第2リブの軸剛性よりも高い
請求項2に記載のテープリール。
【請求項5】
前記第1リブは、複数設けられている
請求項2に記載のテープリール。
【請求項6】
前記第1リブ同士の間隔は、前記第2リブと前記第1リブとの間隔に比べて狭くなっている
請求項5に記載のテープリール。
【請求項7】
前記リブの外縁部は、前記内周面に当接している
請求項1に記載のテープリール。
【請求項8】
前記リブは、連続した円環状を有する
請求項1に記載のテープリール。
【請求項9】
前記補強部材は、前記ハブに対して圧入されている
請求項1に記載のテープリール。
【請求項10】
前記補強部材は、前記ハブに対して接合されている
請求項1に記載のテープリール。
【請求項11】
前記ハブの底部には、前記テープリールを回転させる回転軸が固定又は吸着される支持面が設けられている
請求項1に記載のテープリール。
【請求項12】
前記テープとして磁気テープが巻き回される請求項1から請求項11の何れか一項に記載のテープリールと、
前記磁気テープ及び前記テープリールが収容されるケースと、
を備える
磁気テープカートリッジ。
【請求項13】
前記テープとして磁気テープが巻き回される請求項1から請求項11の何れか一項に記載のテープリールと、
前記磁気テープを既定経路に沿って走行させる走行機構によって前記磁気テープを走行させた状態で前記既定経路上で前記磁気テープを読み取る磁気ヘッドと、
を備える磁気テープドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、テープリール、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内側表面とテープ巻取表面とを画定しているハブを有し、前記ハブの少なくとも一部がプラスチックでできており、前記テープ巻取表面が2GPaより大きい有効ラジアルモジュラスを有している、記憶テープの巻取巻出用テープリールアセンブリが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-116163号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、ハブに巻き回された磁気テープに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープの幅の不均一な変形を低減可能なテープリール、磁気テープカートリッジ、及び磁気テープドライブの提供を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る第1の態様は、テープが巻き回される円筒形状のハブと、ハブの内周側に設けられる補強部材と、を有し、補強部材は、ハブの中心軸方向に沿って長手方向を有する軸部材と、長手方向に沿って設けられ、かつ軸部材の外周面からハブの内周面に向かって拡がる円環状を有する複数のリブとを有し、複数のリブは、長手方向における中央領域に設けられた第1リブを含むテープリールである。
【0006】
本開示の技術に係る第2の態様は、複数のリブが、中央領域以外の領域に設けられた第2リブを含む、第1の態様に係るテープリールである。
【0007】
本開示の技術に係る第3の態様は、第2リブが、中央領域と軸部材の一端との間の領域及び中央領域と軸部材の他端との間の領域にそれぞれ設けられる第2の態様に係るテープリールである。
【0008】
本開示の技術に係る第4の態様は、第1リブの軸剛性が、第2リブの軸剛性よりも高い
第2の態様又は第3の態様に係るテープリールである。
【0009】
本開示の技術に係る第5の態様は、第1リブが、複数設けられている第1の態様から第3の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0010】
本開示の技術に係る第6の態様は、第1リブ同士の間隔が、第2リブと第1リブとの間隔に比べて狭くなっている第5の態様に係るテープリールである。
【0011】
本開示の技術に係る第7の態様は、リブの外縁部が、内周面に当接している第1の態様から第6の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0012】
本開示の技術に係る第8の態様は、リブが、連続した円環状を有する第1の態様から第7の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0013】
本開示の技術に係る第9の態様は、補強部材が、ハブに対して圧入されている第1の態様から第8の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0014】
本開示の技術に係る第10の態様は、補強部材が、ハブに対して接合されている第1の態様から第9の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0015】
本開示の技術に係る第11の態様は、ハブの底部には、テープリールを回転させる回転軸が固定又は吸着される支持面が設けられている第1の態様から第10の態様の何れか一つの態様に係るテープリールである。
【0016】
本開示の技術に係る第12の態様は、テープとして磁気テープが巻き回される第1の態様から第11の態様の何れか一項の態様に係るテープリールと、磁気テープ及びテープリールが収容されるケースと、を備える磁気テープカートリッジである。
【0017】
本開示の技術に係る第13の態様は、テープとして磁気テープが巻き回される第1の態様から第11の態様の何れか一つの態様に係るテープリールと、磁気テープを既定経路に沿って走行させる走行機構によって磁気テープを走行させた状態で既定経路上で磁気テープを読み取る磁気ヘッドと、を備える磁気テープドライブである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る磁気テープカートリッジの概略構成の一例を示す外観斜視図である。
図2】本実施形態に係る磁気テープカートリッジの概略構成の一例を示す分解斜視図である。
図3】比較例として従来既知のカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図4】比較例として従来既知のカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図5】本実施形態に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す分解斜視図である。
図6】本実施形態に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図7】本実施形態に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図8】本実施形態に係る磁気テープドライブのハードウェア構成の一例を示す概念図である。
図9】本実施形態に係るマシンリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図10】変形例に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図11】変形例に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
図12】変形例に係るカートリッジリールの概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0020】
NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。PLCとは、“Programmable Logic Controller”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。RFIDとは、“Radio Frequency Identifier”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。WANとは、“Wide Area Network”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。
【0021】
[第1実施形態]
図1及び図2を参照しながら、磁気テープカートリッジ12の構成の一例について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ12の磁気テープドライブ70(図8参照)への装填方向を矢印Aで示し、矢印A方向を磁気テープカートリッジ12の前方向とし、磁気テープカートリッジ12の前方向の側を磁気テープカートリッジ12の前側とする。以下に示す構造の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ12の前側を指す。
【0022】
また、以下の説明では、説明の便宜上、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ12の右方向の側を磁気テープカートリッジ12の右側とする。以下に示す構造の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ12の右側を指す。
【0023】
また、以下の説明では、説明の便宜上、矢印B方向と逆の方向を左方向とし、磁気テープカートリッジ12の左方向の側を磁気テープカートリッジ12の左側とする。以下に示す構造の説明において、「左」とは、磁気テープカートリッジ12の左側を指す。
【0024】
また、以下の説明では、説明の便宜上、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ12の上方向とし、磁気テープカートリッジ12の上方向の側を磁気テープカートリッジ12の上側とする。以下に示す構造の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ12の上側を指す。
【0025】
また、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ12の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ12の後方向とし、磁気テープカートリッジ12の後方向の側を磁気テープカートリッジ12の後側とする。以下に示す構造の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ12の後側を指す。
【0026】
また、以下の説明では、説明の便宜上、磁気テープカートリッジ12の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ12の下方向とし、磁気テープカートリッジ12の下方向の側を磁気テープカートリッジ12の下側とする。以下に示す構造の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ12の下側を指す。
【0027】
一例として図1に示すように、磁気テープカートリッジ12は、平面視略矩形であり、かつ、箱状のケース14を備えている。本実施形態において、磁気テープカートリッジ12は、本開示の技術に係る「磁気テープカートリッジ」の一例であり、ケース14は、本開示の技術に係る「ケース」の一例である。ケース14には、磁気テープTが収容されている。ケース14は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース22及び下ケース24を備えている。
【0028】
磁気テープカートリッジ12は、平面視で略矩形状のケース14内に、情報記録再生媒体である記録テープとしての磁気テープTを巻き回したカートリッジリール10を収容している。本実施形態において、磁気テープTは、本開示の技術に係る「テープ」及び「磁気テープ」の一例であり、カートリッジリール10は、本開示の技術に係る「テープリール」の一例である。
【0029】
ケース14の右側壁14Aの前端部には、磁気テープTをケース14外に引き出すための開口16が設けられている。開口16は、磁気テープカートリッジ12の不使用時にはドア18によって閉塞される。また、開口16は、磁気テープカートリッジ12の使用時には磁気テープドライブ70(図8参照)内で開放される。
【0030】
一例として図2に示すように、磁気テープTの先端には、リーダ部材であるリーダピン20が取り付けられている。リーダピン20は、円柱状に形成されており、磁気テープTの幅方向端部よりも上下に突出する長手方向両端にフランジ部20Aが設けられている。フランジ部20Aが磁気テープドライブ70(図8参照)の引出部材(図示省略)に引掛けられることにより、磁気テープTがケース14から引き出される。
【0031】
ケース14において、上ケース22と下ケース24とが接合されている。上ケース22には、平面視矩形状の天板22Aの外縁に沿って枠状の周壁22Bが立設されており、下ケース24には、天板22Aに対応した形状の底板24Aの外縁に沿って周壁24Bが立設されている。そして、ケース14は、周壁22Bの開口端と周壁24Bの開口端とを突き当てた状態で超音波溶着によって上ケース22と下ケース24とが接合されることにより、箱状に形成されている。なお、ここでは、上ケースと22と下ケース24との接合方法として超音波溶着を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、上ケースと22と下ケース24との接合方法は、ビス止め等の機械的接合であってもよい。
【0032】
開口16は、側面視で矩形状に形成され、ケース14における矢印A方向に沿う右側壁14A(すなわち、周壁22Bと周壁24Bとで構成されるケース14の右向き壁)における前端で右向きに開口している。天板22A及び底板24Aには、それぞれ直立したリーダピン20のフランジ部20Aを収容するピン受け凹部26が設けられている。各ピン受け凹部26は、開口16の前端近傍で右向きにも開口しており、開口16を経由したリーダピン20のケース14に対する出入りを可能としている。
【0033】
また、ケース14の前端近傍には、板ばね28が取り付けられており、板ばね28には上下一対のアーム28Aが設けられている。板ばね28は、各アーム28Aの先端をリーダピン20のフランジ部20Aに係合させてリーダピン20をケース14に対し保持するようになっている。この保持状態は、リーダピン20を予め定められた値以上の力で右方に引張ることで解除される。
【0034】
ドア18は、開口16を閉塞可能な略矩形平板状に形成されている。ドア18の上下の端部は、開口16の開放面及び右側壁14Aに沿って天板22A及び底板24Aに設けられたガイド溝30に摺動可能に入り込んでいる。
【0035】
これにより、ドア18は、ガイド溝30に案内されつつ前後方向にスライドすることで、開口16を閉塞する閉塞位置と、開口16を開放する開放位置とを移動する。図2に示す例では、ドア18は、ケース14に設けられた付勢部材であるコイルばね32によって前方に付勢されている。ドア18は、付勢力によって閉塞位置に位置するようになっている。ドア18の前端には、操作部18Aが右方に張り出して設けられており、操作部18Aが後方に押圧されることにより、コイルばね32の付勢力に抗してドア18が開放位置に移動する。
【0036】
また、ケース14の底板24Aの中央部には、カートリッジリール10の後述するリールギヤ49(図3参照)を露出するためのギヤ開口34が設けられている。カートリッジリール10は、リールギヤ49に噛み合わされた磁気テープドライブ70(図8参照)の回転軸60(図7参照)が回転することで、ケース14内において回転駆動される。
【0037】
さらに、ケース14は、誘導規制壁36を備えている。誘導規制壁36は、ギヤ開口34と同軸な円周に沿って形成されている。誘導規制壁36は、天板22A及び底板24Aから部分的に立設されている。誘導規制壁36は、カートリッジリール10のガタつきを抑える。また、誘導規制壁36は、その端部を周壁22B、及び24Bに連続させることにより、カートリッジリール10の設置領域に塵芥等が進入することを防止する。
【0038】
下ケース24にはカートリッジメモリMが設けられている。具体的には、下ケース24の右後端部に、カートリッジメモリMが収容されている。カートリッジメモリMには、NVMを有するICチップが搭載されている。本実施形態では、いわゆるパッシブ型のRFIDタグがカートリッジメモリMとして採用されており、カートリッジメモリMに対しては非接触で各種情報の読み書きが行われる。
【0039】
カートリッジメモリMには、磁気テープカートリッジ12を管理する管理情報が記憶されている。管理情報には、例えば、カートリッジメモリMに関する情報(例えば、磁気テープカートリッジ12を特定可能な情報)、磁気テープTに関する情報(例えば、磁気テープTの記録容量を示す情報、磁気テープTに記録されているデータの概要を示す情報、磁気テープTに記録されているデータの項目を示す情報、及び磁気テープTに記録されているデータの記録形式を示す情報など)、及び磁気テープドライブ70(図8参照)に関する情報(例えば、磁気テープドライブ70の仕様を示す情報、及び磁気テープドライブで用いられる信号)等が含まれている。
【0040】
一例として図3に示すように、カートリッジリール10は、ハブ40、上フランジ48、及び下フランジ46を備えている。ハブ40は、円筒形状を有し、ハブ40の外周面に磁気テープTが巻き回される。ハブ40は、円筒部42と、円筒部42の下端に形成された底面部44とを有している。本実施形態において、ハブ40は、本開示の技術に係る「ハブ」の一例である。
【0041】
上フランジ48は、ハブ40の上端側からハブ40中心軸の径方向に沿って張り出した円環形状を有している。上フランジ48は、ハブ40とは別体の部品として形成されている。上フランジ48は、ハブ40の上端部40Aに取り付けられている。図3に示す例では、上フランジ48の中心軸CL側の開口縁に設けられた突出部48Aがハブ40の内周側に挿入されることにより、上フランジ48が、ハブ40に対して取り付けられている。
【0042】
下フランジ46は、ハブ40下端側からハブ40の径方向(すなわち、中心軸CLと直交する方向)に沿って張り出した円環形状を有している。下フランジ46は、ハブ40と一体に形成されている。
【0043】
ところで、ハブ40の円筒部42には、磁気テープTが巻き回される。磁気テープTによって締め付けられることにより、円筒部42には、磁気テープTから曲げ荷重Fが生じることになる。ハブ40の上端部40A及び下端部40Bには、それぞれ上フランジ48及び下フランジ46が設けられている。これにより、ハブ40の上端部40A及び下端部40Bでは、ハブ40の上下方向における中央部分と比較して剛性(例えば、曲げ剛性)が高くなる。これは、円周方向に連続した上フランジ48及び下フランジ46が、ハブ40に対して支持部材として機能し、剛性の向上に寄与するためである。
【0044】
この結果、円筒部42において磁気テープTの締め付けによる変形が生じる際、その変形量が、ハブ40の中心軸CLに沿った方向(以下、単に「軸方向」とも称する)において不均一となる。従って、円筒部42に巻き付けられた磁気テープTにおける幅方向の応力分布も不均一となる。磁気テープTをカートリッジリール10に巻いた状態で長期間保管すると、磁気テープTに生じた応力に起因した変形(例えば、クリープ変形)が生じる。そのため、磁気テープTにおいて幅方向の応力分布が不均一となる場合、応力分布に起因した磁気テープTの幅の変形も不均一となる。すなわち、磁気テープTにおいて、芯側の幅が保管前と比較して広くなり、外側の幅が保管前と比較して狭くなる。磁気テープTにおける幅の不均一な変形は、磁気ヘッドの位置を磁気テープTに対して精度よく位置させることが困難にする。この結果、磁気テープTにおけるデータの記録不良、又は読取不良の原因となる。磁気テープTの記録密度の高容量化に伴ってデータトラック幅が狭くなると、この問題は、さらに顕著となる。
【0045】
また、比較例として図4に示すように、従来既知の補強部材50Aにおいて、中央領域52Aに一つのリブ54のみが形成されている場合を考える。この場合、中央領域52Aにおいて、一か所のみでハブ40からの圧縮力を支持することになる。従って、上端部40A側及び下端部40B側においては、変形が生じる。この結果、磁気テープTが円筒部42に巻き付けられると、ハブ40の上下方向における中央部分と、上端部40A側及び下端部40B側との変形量の差に起因して、磁気テープTにおける幅方向の応力分布が不均一となる。すなわち、補強部材50Aがハブ40の円筒部42の内周側に設けられていない場合(図3参照)と同様に、磁気テープTにおける幅方向の応力分布が不均一となる問題が生じる。
【0046】
そこで、一例として図5に示すように、本実施形態におけるカートリッジリール10には、補強部材50が設けられている。補強部材50は、ハブ40の内周側に設けられている。補強部材50は、軸部材52と、複数のリブ54とを備えている。本実施形態において、補強部材50は、本開示の技術に係る「補強部材」の一例であり、複数のリブ54は、本開示の技術に係る「複数のリブ」の一例であり、軸部材52は、本開示の技術に係る「軸部材」の一例である。
【0047】
補強部材50の材質としては、例えば、ガラスファイバーを体積含有率で40%程度含んだポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。補強部材50は、例えば、射出成型により成形される。すなわち、軸部材52と複数のリブ54とは一体に成形されている。
【0048】
軸部材52は、棒状部材である。軸部材52の長手方向は、ハブ40の中心軸CLに沿っている。なお、図5に示す例では、軸部材52として中空円柱状の棒状部材が示されている。
【0049】
複数のリブ54は、軸部材52の長手方向に沿って設けられている。複数のリブ54は、円筒部42の内周側に設けられた状態において、軸部材52の外周面からハブ40の円筒部42の内周面42Aに向かって拡がる円環状を有している。また、複数のリブ54は、連続した円環状を有している。図5に示す例では、5つのリブ54が設けられた例が示されている。
【0050】
一例として図6に示すように、複数のリブ54において、外縁部54Aは、ハブ40の円筒部42の内周面42Aに当接している。例えば、補強部材50は、円筒部42の内周側に圧入されている。これにより、複数のリブ54の外縁部54Aは、内周面42Aに当接している。圧入の場合、複数のリブ54の長さ(すなわち、軸部材52の外周面から軸部材52の径方向に沿った距離)は、軸部材52の外周面からハブ40の内周面42Aまでの距離よりも0.1~0.2mm程度長い距離とされてもよい。これにより、複数のリブ54の外縁部54Aがハブ40の内周面42Aに当接されやすくなる。
【0051】
複数のリブ54は、軸部材52の長手方向における中央領域52Aに第1リブ56を含んでいる。ここで、中央領域52Aとは、軸部材52の長手方向の長さをLとしたとき、軸部材52の長手方向の中点CEから-0.25L~0.25Lの範囲を指す。第1リブ56は、複数設けられている。図6に示す例では、3つの第1リブ56が、中央領域52Aに設けられているが、これはあくまでも一例に過ぎない。第1リブ56は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。本実施形態において、第1リブ56は、本開示の技術に係る「第1リブ」の一例である。
【0052】
また、複数のリブ54は、軸部材52の長手方向において、中央領域52A以外の領域に設けられた第2リブ58を含んでいる。本実施形態において、第2リブ58は、本開示の技術に係る「第2リブ」との一例である。具体的には、第2リブ58は、長手方向における上端側領域52B及び下端側領域52Cにそれぞれ設けられている。
【0053】
第1リブ56の軸剛性は、第2リブ58の軸剛性と比較して、高く設定されている。図6に拡大して示すように、第1リブ56は、中央領域52Aに3つ設けられている。一方、第2リブ58は、上端側領域52B及び下端側領域52Cにそれぞれ一つ設けられている。これにより、第1リブ56の軸剛性が、第2リブ58の軸剛性と比較して高くなっている。換言すれば、ハブ40の円筒部42から第1リブ56及び第2リブ58が受ける圧縮力に対して、第1リブ56の方が、第2リブ58よりも変形しにくくなっている。
【0054】
さらに、複数の第1リブ56同士の間隔d1は、第2リブ58と第1リブ56との間隔d2に比べて狭くなっている。換言すれば、複数のリブ54において、隣接するリブ54同士の間隔は、中央領域52Aの方が上端側領域52B及び下端側領域52Cと比較して、密になっている。これにより、第1リブ56の軸剛性が、第2リブ58の軸剛性と比較してより高くなっている。
【0055】
一例として図7に示すように、ハブ40の底面部44には、支持面44Aが設けられている。支持面44Aには、カートリッジリール10を回転させる回転軸60が吸着される。本実施形態において、底面部44は、本開示の技術に係る「底面」の一例であり、支持面44Aは、本開示の技術に係る「支持面」の一例であり、回転軸60は、本開示の技術に係る「回転軸」の一例である。回転軸60は、磁気テープドライブ70(図8参照)に設けられて、送出モータ86(図8参照)からの駆動力を受けて回転する。例えば、回転軸60は、磁気的作用によって底面部44に吸着する。具体的には、回転軸60は、磁石62を介して、支持面44Aに吸着する。回転軸60は、さらに回転軸ギヤ64を備えている。回転軸ギヤ64は、リールギヤ49と噛み合うことにより、回転軸60の駆動力をカートリッジリール10へ伝達する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係るカートリッジリール10では、磁気テープTが巻き回されるハブ40の内周側には補強部材50が設けられている。補強部材50は、軸部材52の長手方向に沿って複数の円環状のリブ54を有している。複数のリブ54は、軸部材52の長手方向の中央領域52Aに設けられた第1リブ56を含んでいる。ハブ40の中心軸方向の中央は、ハブ40の中心軸方向の上端部及び下端部と比較して、曲げ剛性が低い。なぜなら、ハブ40の上端部及び下端部は、他部材(例えば、上フランジ48及び下フランジ46)により支持されるためである。そこで、第1リブ56によってハブ40の内周面42Aが支持されることで、ハブ40において、中心軸方向の中央における曲げ剛性が向上する。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。これにより、ハブ40に磁気テープTが巻き回された状態において、磁気テープTに生じる幅方向応力分布の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。例えば、ハブ40の内周側に補強部材50が設けられていない場合と比較して、ハブ40において中心軸方向における曲げ剛性分布が均一化するので、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる応力分布も均一化する。この結果、磁気テープTにおける不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0057】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、複数のリブ54は、中央領域52A以外に設けられた第2リブ58を含んでいる。これにより、ハブ40において、中央領域52A以外の領域においても曲げ剛性が向上するので、ハブ40における中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0058】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、第2リブ58は、上端側領域52B及び下端側領域52Cにそれぞれ設けられる。これにより、上端側領域52B及び下端側領域52Cにおいても曲げ剛性が向上するので、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0059】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、第1リブ56の軸剛性は、第2リブ58の軸剛性よりも高く設定されている。ハブ40において、中心軸方向の中央に行くほど曲げ剛性が低下する。また、ハブ40を支持するリブ54には、ハブ40の曲げ変形により圧縮方向の軸力(すなわち、リブ54に対する半径方向の力)が生じる。そのため、補強部材50の中央領域52Aの第1リブ56を第2リブ58よりも高い軸剛性とすることで、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0060】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、第1リブ56が複数設けられることで、補強部材50の中央領域52Aの軸剛性が向上する。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0061】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、第1リブ56の同士の間隔は、第2リブ58と第1リブ56との間隔に比べて狭くなっている。これにより、補強部材50の中央領域52Aの軸剛性が、中央領域52A以外の領域における軸剛性よりも高く設定される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0062】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、複数のリブ54の外縁部54Aは、ハブ40の内周面42Aに当接している。これにより、補強部材50のリブ54によって変形当初からハブ40が支持される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0063】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、複数のリブ54は連続した円環状を有する。これにより、補強部材50のリブ54によって、ハブ40の内周面42Aの周方向に亘ってハブ40が支持される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0064】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、補強部材50がハブ40に圧入されている。これにより、補強部材50のリブ54によって変形当初からハブ40が支持される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0065】
また、本実施形態に係るカートリッジリール10では、ハブ40の底面部44にカートリッジリール10を回転させる回転軸60が吸着される支持面44Aが設けられている。支持面44Aが設けられていることで、ハブ40において、支持面44A付近のハブ40の曲げ剛性が局所的に高くなる。このため、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性が不均一化する。本実施形態では、補強部材50が設けられているので、ハブ40の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0066】
また、本実施形態に係る磁気テープカートリッジ12では、補強部材50を備えるカートリッジリール10が設けられ、さらに、カートリッジリール10がケース14に収容されている。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0067】
[第2実施形態]
上記第1実施形態において、カートリッジリール10が、磁気テープカートリッジ12のケース14内に収容されて使用される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第2実施形態では、磁気テープドライブ70内に設けられたマシンリール88において、カートリッジリール10と同様の構成が適用される場合について説明する。本実施形態において、磁気テープドライブ70は、本開示の技術に係る「磁気テープドライブ」の一例である。
【0068】
一例として図8に示すように、磁気テープドライブ70は、搬送装置72、磁気ヘッド73、制御装置74、ストレージ76、UI系装置78、及び通信インタフェース80を備えている。磁気テープドライブ70には、矢印A方向に沿って磁気テープカートリッジ12が装填される。磁気テープドライブ70では、磁気テープTが磁気テープカートリッジ12から引き出されて用いられる。
【0069】
磁気テープドライブ70は、磁気テープカートリッジ12から磁気テープTを引き出し、引き出した磁気テープTの表面Sに対して磁気ヘッド73を用いてデータを記録したり、引き出した磁気テープTの表面Sから磁気ヘッド73を用いてデータを読み取ったりする。
【0070】
制御装置74は、磁気テープドライブ70の全体を制御する。本実施形態において、制御装置74は、ASICによって実現されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、制御装置74は、FPGA及び/又はPLCによって実現されるようにしてもよい。また、制御装置74は、CPU、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM、及び/又は、SSD等)、及びRAMを含むコンピュータによって実現されるようにしてもよい。
【0071】
ストレージ76は、制御装置74に接続されており、制御装置74は、ストレージ76に対する各種情報の書き込み、及びストレージ76からの各種情報の読み出しを行う。ストレージ76の一例としては、フラッシュメモリ及び/又はHDDが挙げられる。
【0072】
UI系装置78は、ユーザからの指示を示す指示信号を受け付ける受付機能と、ユーザに対して情報を提示する提示機能とを有する装置である。受付機能は、例えば、タッチパネル、ハードキー(例えば、キーボード)、及び/又はマウス等によって実現される。提示機能は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、及び/又はスピーカ等によって実現される。UI系装置78は、制御装置74に接続されている。制御装置74は、UI系装置78によって受け付けられた指示信号を取得する。UI系装置78は、制御装置74の制御下で、ユーザに対して各種情報を提示する。
【0073】
通信インタフェース80は、制御装置74に接続されている。また、通信インタフェース80は、WAN及び/又はLAN等の通信網(図示省略)を介して外部装置82に接続されている。通信インタフェース80は、制御装置74と外部装置82との間の各種情報(例えば、磁気テープTに対する記録用データ、磁気テープTから読み取られたデータ、及び/又は制御装置74に対して与えられる指示信号等)の授受を司る。なお、外部装置82としては、例えば、パーソナル・コンピュータ又はメインフレーム等が挙げられる。
【0074】
磁気ヘッド73は、磁気素子ユニット73A及びホルダ73Bを備えている。磁気素子ユニット73Aは、走行中の磁気テープTに接触するようにホルダ73Bによって保持されている。磁気素子ユニット73Aは、複数の磁気素子を有する。本実施形態において、磁気ヘッド73は、本開示の技術に係る「磁気ヘッド」の一例である。
【0075】
磁気素子ユニット73Aは、搬送装置72によって搬送される磁気テープTにデータを記録したり、搬送装置72によって搬送される磁気テープTからデータを読み取ったりする。
【0076】
磁気テープドライブ70は、非接触式読み書き装置84を備えている。非接触式読み書き装置84は、磁気テープカートリッジ12が装填された状態の磁気テープカートリッジ12の下側にてカートリッジメモリMに正対するように配置されており、カートリッジメモリMに対して非接触で情報の読み書きを行う。
【0077】
搬送装置72は、磁気テープTを既定経路に沿って順方向及び逆方向に選択的に搬送する装置であり、送出モータ86、マシンリール88、巻取モータ90、及び複数のガイドローラGRを備えている。なお、ここで、順方向とは、磁気テープTの送り出し方向を指し、逆方向とは、磁気テープTの巻き戻し方向を指す。本実施形態において、搬送装置72は、本開示の技術に係る「走行機構」の一例である。
【0078】
送出モータ86は、制御装置74の制御下で、磁気テープカートリッジ12内のカートリッジリール10を回転させる。制御装置74は、送出モータ86を制御することで、カートリッジリール10の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0079】
巻取モータ90は、制御装置74の制御下で、マシンリール88を回転させる。制御装置74は、巻取モータ90を制御することで、マシンリール88の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
【0080】
磁気テープTがマシンリール88によって巻き取られる場合には、制御装置74は、磁気テープTが既定経路に沿って順方向に走行するように送出モータ86及び巻取モータ90を回転させる。送出モータ86及び巻取モータ90の回転速度及び回転トルク等は、マシンリール88に対して磁気テープTを巻き取らせる速度に応じて調整される。また、送出モータ86及び巻取モータ90の各々の回転速度及び回転トルク等が制御装置74によって調整されることで、磁気テープTに対して張力が付与される。また、磁気テープTに付与される張力は、送出モータ86及び巻取モータ90の各々の回転速度及び回転トルク等が制御装置74によって調整されることによって制御される。
【0081】
なお、磁気テープTをカートリッジリール10に巻き戻す場合には、制御装置74は、磁気テープTが既定経路に沿って逆方向に走行するように送出モータ86及び巻取モータ90を回転させる。
【0082】
複数のガイドローラGRの各々は、磁気テープTを案内するローラである。既定経路、すなわち、磁気テープTの走行経路は、複数のガイドローラGRが磁気テープカートリッジ12とマシンリール88との間において磁気ヘッド73を跨ぐ位置に分けて配置されることによって定められている。
【0083】
一例として図9に示すように、マシンリール88は、ハブ40、上フランジ48、及び下フランジ46を備えている。ハブ40は、円筒形状を有し、ハブ40の外周面に磁気テープTが巻き回される。ハブ40は、円筒部42と、円筒部42の下端に形成された底面部44とを有している。ハブ40の内周側には、補強部材50が設けられている。補強部材50は、複数のリブ54が設けられている。
【0084】
底面部44は、支持面44Aを有している。支持面44Aは、カートリッジリール10を回転させる回転軸60が固定される。例えば、回転軸60は、支持面44Aに設けられた嵌合部44Bに回転軸60の一端が挿入された状態で、締結部材66(例えば、ねじ)によって底面部44に固定されている。回転軸60は、駆動力をカートリッジリール10へ伝達する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係るマシンリール88では、ハブ40の底面部44にマシンリール88を回転させる回転軸60が固定される支持面44Aが設けられている。支持面44Aが設けられていることで、ハブ40において、支持面44A付近のハブ40の曲げ剛性が局所的に高くなる。このため、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性が不均一化する。本実施形態では、補強部材50が設けられているので、ハブ40の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0086】
また、本実施形態に係る磁気テープドライブ70では、補強部材50を備えるマシンリール88が設けられている。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0087】
また、上記第2実施形態では、磁気テープカートリッジ12が装填される磁気テープドライブ70を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープカートリッジ12に収容されていないそのままの状態の磁気テープTが、送り出しリールに巻き掛けられた磁気テープドライブ70、すなわち磁気テープTが交換不可に据え置きされた磁気テープドライブ70であってもよい。この場合において、送り出しリールについてもマシンリール88と同様の構成が適用され得る。
【0088】
(第1変形例)
上記各実施形態において、補強部材50が、ハブ40に対して圧入される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第1変形例では、補強部材50は、ハブ40に対して接合されている。補強部材50がハブ40に対して挿入された後、例えば、超音波溶着によって複数のリブ54の外縁部54Aとハブ40の内周面42Aとが溶着されることにより、補強部材50とハブ40とが接合される。なお、ここでは、接合方法として超音波溶着を挙げたが、これはあくまでも一例に過ぎない。接合方法として、圧着、ろう付け、熱溶着、又は機械的接合(例えば、ビス止め)であってもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係るカートリッジリール10では、補強部材50がハブ40に対して接合されている。これにより、補強部材50のリブ54によって変形当初からハブ40が支持される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0090】
(第2変形例)
上記各実施形態において、ハブ40の内周面42Aが、ハブ40の中心軸方向に沿った面である形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第2変形例では、ハブ40の円筒部42にテーパが設けられている。
【0091】
一例として図10に示すように、ハブ40の円筒部42の径方向の厚みは、円筒部42の上端部に行くほど小さくなっている。すなわち、ハブ40の円筒部42の内周面42Aは、ハブ40の中心軸方向に対して斜面となっている。内周面42Aの斜面の角度α(すなわち、中心軸CLに対する斜面の角度)は、例えば、0.5~1度である。図10に示す例では、角度αを視覚的に把握し易くするために、角度αが誇張して示されている。
【0092】
補強部材50のリブ54の長さ(すなわち、軸部材52の外周面から軸部材52の径方向に沿った距離)は、ハブ40のテーパの角度αに応じた長さとなっている。図10に示す例では、リブ54の長さは、開口側(すなわち、上端部40A側)に行くほど長く設定されている。また、リブ54の外縁部54Aは、ハブ40のテーパの角度αに応じた角度の斜面となっている。
【0093】
補強部材50は、ハブ40に対して圧入される(図中矢印D参照)。この際、補強部材50は、ハブ40に設けられたテーパによって位置決めされながら圧入される。すなわち、ハブ40の円筒部42の内径が、開口側(すなわち、上端部40A側)の方が下端部40B側と比較して広くなっている。このため、補強部材50の圧入開始時、ハブ40内に補強部材50が挿入されやすく、圧入完了時には、補強部材50がハブ40内において予め定められた位置となっている。
【0094】
さらに、補強部材50において、複数のリブ54の軸剛性は、ハブ40に設けられたテーパに応じて変更されていてもよい。すなわち、ハブ40の円筒部42の径方向の厚みは、ハブ40の上端部40Aに行くほど小さくなっている。従って、ハブ40の上端部40Aに行くほど、ハブ40の曲げ剛性が低下する。補強部材50のリブ54の軸剛性は、ハブ40の上端部40Aに対応した位置に行くほど高くなるように設定されてもよい。例えば、補強部材50のリブ54の厚み(すなわち、軸部材52の長手方向に沿った距離)が、上端部40Aに対応した位置に行くほど、大きくなるように設定される。
【0095】
以上説明したように、補強部材50がハブ40に圧入されている。また、ハブ40の円筒部42には、テーパが設けられている。これにより、補強部材50のハブ40によって変形当初からハブ40が支持される。これは、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0096】
(第3変形例)
上記各実施形態において、補強部材50では、第1リブ56同士の間隔d1と、第2リブ58と第1リブ56との間隔d2を変える形態例を示したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第3変形例では、補強部材50において、複数のリブ54が、軸部材52の長手方向に沿って等間隔に配置されている。なお、本実施形態において、「等間隔」とは、完全な等間隔の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの等間隔を指す。
【0097】
一例として図11に示すように、中央領域52Aにおいて、3つの第1リブ56が設けられている。また、上端側領域52B及び下端側領域52Cにおいて、それぞれ1つの第2リブ58が設けられている。さらに、複数の第1リブ56同士の間隔d1は、第2リブ58と第1リブ56との間隔d2と等間隔となるように設定されている。
【0098】
この場合でも、ハブ40の円筒部42の変形を複数のリブ54が抑制するので、中央領域52A及び中央領域52A以外の領域においても曲げ剛性が向上する。この結果、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本第3変形例によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0099】
(第4変形例)
上記各実施形態において、複数のリブ54が、第1リブ56及び第2リブ58を含む形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。本第4変形例では、複数のリブ54が、第1リブ56のみを含んでいる。
【0100】
一例として図12に示すように、補強部材50において、複数のリブ54は、3つの第1リブ56を含んでいる。3つの第1リブ56は、中央領域52Aに設けられている。3つの第1リブ56同士の間隔d1は、等間隔とされている。
【0101】
この場合でも、ハブ40の円筒部42の変形を複数のリブ54が支持するので、中央領域52Aにおいて曲げ剛性が向上する。この結果、ハブ40において、中心軸方向の曲げ剛性の均一化に寄与する。従って、本構成によれば、ハブ40に巻き回された磁気テープTに生じる不均一な応力分布に起因した磁気テープTの幅の不均一な変形(例えば、不均一なクリープ変形)が低減される。
【0102】
(その他の変形例)
なお、上記各実施形態において、第2リブ58が、上端側領域52B及び下端側領域52Cにそれぞれ一つ設けられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、第2リブ58が、上端側領域52B及び下端側領域52Cにそれぞれ複数設けられてもよいし、第2リブ58が、上端側領域52B及び下端側領域52Cの何れか一方のみに設けられてもよい。
【0103】
また、上記各実施形態において、第1リブ56と第2リブ58との間に軸剛性の差を設ける形態例として、第1リブ56同士の間隔と、第2リブ58と第1リブ56との間隔を変える形態例を挙げて説明したが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、第1リブ56を第2リブ58よりも軸剛性の高い材質することで軸剛性に差を設けてもよい。また、第1リブ56の厚み(すなわち、軸部材52の長手方向に沿った距離)を第2リブ58の厚みよりも大きくすることで、軸剛性に差を設けてもよい。
【0104】
また、上記各実施形態において、複数のリブ54は、連続な円環状である形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。複数のリブ54は、不連続な円環状であってもよい。例えば、複数のリブ54のうちの一部又は全部が、周方向の一部に切り欠きを有する形状(例えば、リブ54を軸部材52の長手方向から見てC字形状)であってもよい。
【0105】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態及び/又は種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。
【0106】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0107】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0108】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0109】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0110】
(付記1)
テープが巻き回される円筒形状のハブと、
上記ハブの内周側に設けられる補強部材と、
を有し、
上記補強部材は、
上記ハブの中心軸方向に沿って長手方向を有する軸部材と、上記長手方向に沿って設けられ、かつ上記軸部材の外周面から上記ハブの内周面に向かって拡がる円環状を有する複数のリブとを有し、
上記複数のリブは、上記長手方向における中央領域に設けられた第1リブを含む
テープリール。
(付記2)
上記複数のリブは、上記中央領域以外の領域に設けられた第2リブを含む
付記1に記載のテープリール。
(付記3)
上記第2リブは、上記中央領域と上記軸部材の一端との間の領域及び上記中央領域と上記軸部材の他端との間の領域にそれぞれ設けられる
付記2に記載のテープリール。
(付記4)
上記第1リブの軸剛性は、上記第2リブの軸剛性よりも高い
付記2又は付記3に記載のテープリール。
(付記5)
上記第1リブは、複数設けられている
付記1から付記3の何れか一つに記載のテープリール。
(付記6)
上記第1リブ同士の間隔は、上記第2リブと上記第1リブとの間隔に比べて狭くなっている
付記5に記載のテープリール。
(付記7)
上記リブの外縁部は、上記内周面に当接している
付記1から付記6の何れか一つに記載のテープリール。
(付記8)
上記リブは、連続した円環状を有する
付記1から付記7の何れか一つに記載のテープリール。
(付記9)
上記補強部材は、上記ハブに対して圧入されている
付記1から付記8の何れか一つに記載のテープリール。
(付記10)
上記補強部材は、上記ハブに対して接合されている
付記1から付記9の何れか一つに記載のテープリール。
(付記11)
上記ハブの底部には、上記テープリールを回転させる回転軸が固定又は吸着される支持面が設けられている
付記1から付記10の何れか一つに記載のテープリール。
【符号の説明】
【0111】
10 カートリッジリール
12 磁気テープカートリッジ
14 ケース
14A 右側壁
16 開口
18 ドア
18A 操作部
20 リーダピン
20A フランジ部
22 上ケース
22A 天板
22B 周壁
24 下ケース
24A 底板
24B 周壁
26 凹部
28A 各アーム
28A アーム
30 ガイド溝
34 ギヤ開口
36 誘導規制壁
40 ハブ
40A 上端部
40B 下端部
42 円筒部
42A 内周面
44 底面部
44A 支持面
44B 嵌合部
46 下フランジ
48 上フランジ
48A 突出部
49 リールギヤ
50,50A 補強部材
52 軸部材
52A 中央領域
52B 上端側領域
52C 下端側領域
54 リブ
54A 外縁部
56 第1リブ
58 第2リブ
60 回転軸
62 磁石
64 回転軸ギヤ
66 締結部材
70 磁気テープドライブ
72 搬送装置
73 磁気ヘッド
73A 磁気素子ユニット
73B ホルダ
74 制御装置
76 ストレージ
78 UI系装置
80 通信インタフェース
82 外部装置
84 非接触式読み書き装置
86 送出モータ
88 マシンリール
90 巻取モータ
α 角度
A,B,C,D 矢印
CL 中心軸
CE 中点
F 荷重
GR ガイドローラ
M カートリッジメモリ
S 表面
T 磁気テープ
d1,d2 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
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図12