(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068133
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】タングステン研磨用CMPスラリー組成物及びこれを用いたタングステン研磨方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240510BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240510BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550E
C09G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181786
(22)【出願日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0145499
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】張 根三
(72)【発明者】
【氏名】金 元中
(72)【発明者】
【氏名】朴 泰遠
(72)【発明者】
【氏名】李 知虎
(72)【発明者】
【氏名】李 義▲郎▼
(72)【発明者】
【氏名】金 眞▲教▼
(72)【発明者】
【氏名】李 東▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 昌錫
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA28
5F057AA34
5F057BB34
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA16
5F057EA29
5F057EA32
(57)【要約】
【課題】研磨速度が高く、エロージョンなどが低いことから、研磨後の平坦度を改善する、タングステン研磨用CMPスラリー組成物を提供する。
【解決手段】極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒;研磨剤;及び化学式3の化合物又はその錯化合物を含んでタングステン研磨用CMPスラリー組成物を構成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒;研磨剤;及び下記化学式3の化合物又はその錯化合物を含むものである、タングステン研磨用CMPスラリー組成物:
【化1】
(前記化学式3において、
R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して単一結合又は置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
M
1、M
2、M
3は、それぞれ独立してOH又はO
-M
+(M
+は、1価の陽イオン))。
【請求項2】
前記化学式3の化合物は、下記化学式3-1の化合物又はそのアルカリ金属の陽イオンとの塩である、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物 :
【化2】
。
【請求項3】
前記錯化合物は、前記化学式3の化合物と金属イオンが配位結合したものである、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項4】
前記金属イオンは、鉄2価の陽イオン(Fe2+)又は鉄3価の陽イオン(Fe3+)である、請求項3に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項5】
前記錯化合物は、下記化学式4で表される錯化合物である、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物:
【化3】
。
【請求項6】
前記化学式3の化合物又はその錯化合物は、前記CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%で含まれる、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項7】
前記研磨剤は、非改質の研磨剤、及び改質された研磨剤のうち1種以上を含むものである、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項8】
前記改質された研磨剤は、窒素の個数が1個乃至5個であるアミノシランで改質されたシリカを含むものである、請求項7に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項9】
前記組成物は、酸化剤、アミノ酸、及び有機酸のうち1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項10】
前記組成物は、前記研磨剤0.001重量%乃至20重量%、前記化学式3の化合物又はその錯化合物0.001重量%乃至10重量%、前記有機酸0.001重量%乃至10重量%、前記アミノ酸0.001重量%乃至10重量%、及び前記溶媒30重量%乃至99重量%を含むものである、請求項9に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項11】
前記CMPスラリー組成物は、pHが2乃至7である、請求項1に記載のタングステン研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項のタングステン研磨用CMPスラリー組成物を用いてタングステンを研磨する段階を含むものである、タングステン研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステン研磨用CMPスラリー組成物及びこれを用いたタングステン研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面を研磨(又は平坦化)するための化学的機械的研磨(CMP)組成物及び方法は、関連技術分野に広く公知となっている。
【0003】
CMP組成物を用いて金属層を研磨する工程は、初期金属層のみを研磨する段階と、金属層及びバリア層を研磨する段階と、金属層、バリア層及び酸化膜を研磨する段階とで進められる。このうち、金属層、バリア層及び酸化膜を研磨する段階でタングステンパターンウェハー研磨組成物が使用されるが、金属層と酸化膜が適切な研磨速度で研磨されたときに優れた研磨平坦化を達成することができる。
【0004】
半導体基板上の金属層(例えば、タングステン)を研磨するための研磨組成物は、水溶液中に懸濁された研磨剤粒子及び化学的促進剤、例えば、酸化剤、触媒などを含むことができる。このうち、触媒は、タングステンの研磨速度を高める役割をし、CMP分野で使用可能であると知られている触媒として数個の種類が知られている。ところが、触媒によっては、研磨速度を高めることは可能であっても、研磨後の平坦度を悪化させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、研磨速度が高く、エロージョンなどが低いことから、研磨後の平坦度を改善する、タングステン研磨用CMPスラリー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.一具現例によると、前記タングステン研磨用CMPスラリー組成物は、極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒;研磨剤;及び下記化学式3の化合物又はその錯化合物(complex)を含む:
【0007】
【化1】
(前記化学式3において、
R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して単一結合又は置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
M
1、M
2、M
3は、それぞれ独立してOH又はO
-M
+(M
+は、1価の陽イオン)である)。
【0008】
2.1において、前記化学式3の化合物は、下記化学式3-1の化合物又はそのアルカリ金属の陽イオンとの塩であってもよい:
【0009】
【0010】
3.1-2において、前記錯化合物は、前記化学式3の化合物と金属イオンが配位結合したものであってもよい。
【0011】
4.1-3において、前記金属イオンは、鉄2価の陽イオン(Fe2+)又は鉄3価の陽イオン(Fe3+)であってもよい。
【0012】
5.1-4において、前記錯化合物は、下記化学式4で表される錯化合物であってもよい:
【0013】
【0014】
6.1-5において、前記化学式3の化合物又はその錯化合物は、前記CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%で含まれてもよい。
【0015】
7.1-6において、前記研磨剤は、非改質の研磨剤、及び改質された研磨剤のうち1種以上を含むことができる。
【0016】
8.7において、前記改質された研磨剤は、窒素の個数が1個乃至5個であるアミノシランで改質されたシリカを含むことができる。
【0017】
9.1-8において、前記組成物は、酸化剤、アミノ酸、及び有機酸のうち1種以上をさらに含むことができる。
【0018】
10.9において、前記組成物は、前記研磨剤0.001重量%乃至20重量%、前記化学式3の化合物又はその錯化合物0.001重量%乃至10重量%、前記有機酸0.001重量%乃至10重量%、前記アミノ酸0.001重量%乃至10重量%、及び前記溶媒30重量%乃至99重量%を含むことができる。
【0019】
11.1-10において、前記CMPスラリー組成物は、pHが2乃至7であってもよい。
【0020】
12.一具現例によると、前記タングステン研磨方法は、前記タングステン研磨用CMPスラリー組成物を用いてタングステンを研磨する段階を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、研磨速度が高く、エロージョンなどが低いことから、研磨後の平坦度を改善する、タングステン研磨用CMPスラリー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで使用される用語は、例示的な各具現例を説明するために使用されたものに過ぎなく、本発明を限定するためのものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0023】
本明細書において、「置換又は非置換の」における「置換」は、該当の官能基のうち1個以上の水素原子が、水酸基、炭素数1乃至20のアルキル基又はハロアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基又はハロアルケニル基、炭素数2乃至20のアルキニル基又はハロアルキニル基、炭素数3乃至20のシクロアルキル基、炭素数3乃至20のシクロアルケニル基、炭素数6乃至20のアリール基、炭素数7乃至20のアリールアルキル基、炭素数1乃至20のアルコキシ基、炭素数6乃至20のアリールオキシ基、アミノ基、ハロ基、シアノ基及びチオール基のうちいずれか一つに置換されたことを意味する。
【0024】
本明細書において、「1価の脂肪族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数1乃至20の線状又は分岐状のアルキル基、好ましくは炭素数1乃至10、さらに好ましくは炭素数1乃至5のアルキル基になってもよい。
【0025】
本明細書において、「1価の脂環族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数3乃至20のシクロアルキル基、好ましくは炭素数3乃至10、さらに好ましくは炭素数3乃至5のシクロアルキル基になってもよい。
【0026】
本明細書において、「1価の芳香族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基又は置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基、好ましくは、炭素数6乃至10のアリール基又は炭素数7乃至10のアリールアルキル基になってもよい。
【0027】
本明細書において、「2価の脂肪族炭化水素基」、「2価の脂環族炭化水素基」又は「2価の芳香族炭化水素基」は、上述した「1価の脂肪族炭化水素基」、「1価の脂環族炭化水素基」、及び「1価の芳香族炭化水素基」がそれぞれ2価の形態に変形したものを意味する。
【0028】
例えば、「2価の脂肪族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数 1乃至20の線状又は分岐状のアルキレン基、好ましくは炭素数 1乃至10、さらに好ましくは炭素数 1 乃至5のアルキレン基に;「2価の脂環族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数3乃至20のシクロアルキレン基、好ましくは炭素数3乃至10、さらに好ましくは炭素数3乃至5のシクロアルキレン基に;「2価の芳香族炭化水素基」は、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリーレン基又は置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキレン基、好ましくは、炭素数6乃至10のアリーレン基、炭素数7乃至10のアリールアルキレン基になってもよい。
【0029】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下を意味する。
【0030】
本発明は、タングステン研磨用CMPスラリー組成物に関する。前記組成物は、研磨速度が高いだけでなく、エロージョンなどが低いことから、研磨後の平坦度を改善するという効果を提供した。特に、本発明のタングステン研磨用CMPスラリー組成物は、タングステンパターンウェハー研磨用として使用され、酸化膜の研磨速度が高く、エロージョンなどが低いことから、研磨後の平坦度を改善するという効果を提供することができる。
【0031】
本発明のタングステン研磨用CMPスラリー組成物(以下、「CMPスラリー組成物」と言う)は、極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒;研磨剤;及び下記化学式3の化合物又はその錯化合物を含む。
【0032】
溶媒
【0033】
極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒は、タングステン又はタングステンパターンウェハーを研磨剤で研磨したときの摩擦を減少させることができる。極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上は、水(例えば、超純水又は脱イオン水)、有機アミン、有機アルコール、有機アルコールアミン、有機エーテル、有機ケトンなどであってもよい。好ましくは、溶媒は、超純水又は脱イオン水を含むことができる。極性溶媒及び非極性溶媒のうち1種以上の溶媒は、CMPスラリー組成物のうち残量、例えば、30重量%乃至99重量%で含まれてもよい。
【0034】
研磨剤
【0035】
研磨剤は、絶縁層膜(例:シリコン酸化膜)とタングステンパターンウェハーを高い研磨速度で研磨することができる。
【0036】
研磨剤は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどを含むシリカ、セリア、アルミナなどの金属酸化物のうち1種以上を含むことができる。好ましくは、研磨剤は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、さらに好ましくはコロイダルシリカを含むことができる。
【0037】
研磨剤は、球形又は非球形の粒子であって、1次粒子の平均粒径(D50)が10nm乃至200nm、具体的には20nm乃至180nm、さらに具体的には30nm乃至150nmになってもよい。前記範囲で、本発明の研磨対象である絶縁層膜とタングステンパターンウェハーに対する研磨速度を高めることができる。前記「平均粒径(D50)」は、当業者に知られている通常の粒径を意味し、研磨剤を、体積を基準にして最小から最大の順に分布させたとき、50体積%に該当する粒子の粒径を意味する。
【0038】
研磨剤は、非改質の研磨剤、及び改質された研磨剤のうち1種以上を含むことができる。好ましくは、組成物は、改質された研磨剤を含むことによって、非改質の研磨剤に比べて絶縁層膜の研磨速度を改善することができ、且つスクラッチを低下させることができ、従来の強酸性に比べてpHが高い弱酸性のpH範囲でも高いタングステンパターンウェハーの研磨速度を出すことができる。
【0039】
一具体例において、改質された研磨剤は、窒素の個数が1個以上であるシラン単独によって改質されており、研磨剤の表面に正電荷を備えている。具体的には、改質された研磨剤は、+10mV乃至+100mV、具体的には、+20mV乃至+60mVの表面ゼータ電位を有することができる。前記範囲で、絶縁層膜の研磨速度を改善することを促進することができる。
【0040】
一具体例において、改質された研磨剤は、非改質の研磨剤に窒素の個数が1個以上であるアミノシランを、非改質の研磨剤に対して0.02乃至1のモル比で酸性条件にて添加した後、50℃乃至80℃で10時間乃至30時間にわたって撹拌することによって製造され得る。前記酸性条件は、塩酸、フッ酸、酢酸、硝酸、硫酸などの酸を添加することによって行われ得る。前記非改質の研磨剤としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、さらに好ましくはコロイダルシリカなどを使用できるが、これに制限されない。
【0041】
一具体例において、研磨剤は、窒素の個数が1個以上、例えば、1個乃至5個であるアミノシランで改質されてもよい。好ましくは、研磨剤は、後述する窒素の個数が2個であるアミノシラン、及び窒素の個数が3個であるアミノシランのうち1種以上で改質されてもよい。
【0042】
窒素の個数が2個であるシラン
【0043】
窒素の個数が2個であるシランは、下記化学式1の化合物、下記化学式1の化合物から由来する陽イオン又は下記化学式1の化合物の塩を含むことができる:
【0044】
【化4】
(前記化学式1において、
X
1、X
2、X
3は、それぞれ独立して水素、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基、置換又は非置換の炭素数3乃至20のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基、置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリールオキシ基で、
X
1、X
2、及びX
3のうち少なくともいずれか一つは、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリールオキシ基で、
Y
1、Y
2は、それぞれ独立して単一結合、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環族炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基で、
R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して水素、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3乃至20の1価の脂環族炭化水素基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20の1価の芳香族炭化水素基である)。
【0045】
一具体例において、研磨剤は、前記化学式1の化合物で改質された研磨剤を含むことができる。
【0046】
好ましくは、前記化学式1において、X1、X2、X3は、それぞれ独立して水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基で、X1、X2、及びX3のうち少なくとも一つは、水酸基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基である。さらに好ましくは、前記化学式1において、X1、X2、X3は、水酸基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基である。これを通じて、研磨剤に化学式1の化合物がさらに安定的に結合されることによって、研磨剤の寿命を延ばすことができる。
【0047】
好ましくは、Y1、Y2は、それぞれ独立して2価の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは炭素数 1乃至5のアルキレン基になってもよい。
【0048】
好ましくは、前記化学式1において、R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素になり、前記化学式1は、アミノ基(-NH2)含有シランになってもよい。
【0049】
例えば、前記化学式1の化合物は、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、及びアミノエチルアミノメチルメチルジエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0050】
他の具体例において、研磨剤は、前記化学式1の化合物から由来した陽イオンで改質された研磨剤を含むことができる。
【0051】
前記化学式1の化合物から由来した陽イオンは、前記化学式1で2個の窒素のうち一つ以上に水素又は置換基がさらに結合されることによって形成される陽イオンを意味する。前記陽イオンは、1価の陽イオン又は2価の陽イオンになってもよい。例えば、前記陽イオンは、下記化学式1-1乃至下記化学式1-3のうちいずれか一つで表され得る:
【0052】
【0053】
【0054】
【化7】
(前記化学式1-1乃至1-3において、X
1、X
2、X
3、Y
1、Y
2、R
1、R
2、R
3は、それぞれ前記化学式1で定義した通りであって、
R
4、R
5は、それぞれ独立して水素、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3乃至20の1価の脂環族炭化水素基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20の1価の芳香族炭化水素基である)。
【0055】
更に他の具体例において、研磨剤は、前記化学式1の化合物の塩で改質された研磨剤を含むことができる。前記化学式1の化合物の塩は、上述した化学式1の化合物から由来した陽イオンと陰イオンの中性塩を意味する。
【0056】
前記陽イオンは、上述した化学式1-1乃至化学式1-3のうちいずれか一つで表され得る。前記陰イオンとしては、ハロゲン陰イオン(例:F-、Cl-、Br-、I-);炭酸陰イオン(例:CO3
2-、HCO3
-)、硝酸陰イオン(CH3COO-)、クエン酸陰イオン(HOC(COO-)(CH2COO-)2)などの有機酸陰イオン;窒素含有陰イオン(例:NO3
-、NO2
-);リン含有陰イオン(例:PO4
3-、HPO4
2-、H2PO4
-);硫黄含有陰イオン(例:SO4
2-、HSO4
-);シアン化物陰イオン(CN-)などを挙げることができる。
【0057】
窒素の個数が3個であるシラン
【0058】
窒素の個数が3個であるシランは、下記化学式2の化合物、下記化学式2の化合物から由来する陽イオン又は下記化学式2の化合物の塩を含むことができる:
【0059】
【化8】
(前記化学式2において、
X
1、X
2、X
3は、前記化学式1で定義した通りであって、
Y
3、Y
4、Y
5は、それぞれ独立して単一結合、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環族炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基で、
R
6、R
7、R
8、R
9は、それぞれ独立して水素、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3乃至20の1価の脂環族炭化水素基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20の1価の芳香族炭化水素基である)。
【0060】
一具体例において、研磨剤は、前記化学式2の化合物で改質された研磨剤を含むことができる。
【0061】
好ましくは、前記化学式2において、X1、X2、X3は、それぞれ独立して水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基で、X1、X2、及びX3のうち少なくとも一つは、水酸基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基である。さらに好ましくは、前記化学式2において、X1、X2、X3は、水酸基、又は置換又は非置換の炭素数1乃至20のアルコキシ基である。これを通じて、シリカに化学式2の化合物がさらに安定的に結合されることによって、研磨剤の寿命を延ばすことができる。
【0062】
好ましくは、前記化学式2において、Y3、Y4、Y5は、それぞれ独立して2価の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数1乃至5のアルキレン基になってもよい。
【0063】
好ましくは、前記化学式2において、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立して水素になり、前記化学式2は、アミノ基(-NH2)含有シランになってもよい。
【0064】
例えば、前記化学式2の化合物は、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジエトキシシラン、及びジエチレントリアミノメチルメチルジエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0065】
他の具体例において、研磨剤は、前記化学式2の化合物から由来した陽イオンで改質された研磨剤を含むことができる。
【0066】
前記化学式2の化合物から由来した陽イオンは、前記化学式2において、窒素に水素又は置換基が結合されることによって形成される陽イオンを意味する。前記陽イオンは、1価乃至3価の陽イオンになってもよい。例えば、前記陽イオンは、下記化学式2-1乃至下記化学式2-7のうちいずれか一つで表され得る:
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【化15】
(前記化学式2-1乃至2-7において、X
1、X
2、X
3、Y
3、Y
4、Y
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、それぞれ前記化学式2で定義した通りであって、
R
10、R
11、R
12は、それぞれ独立して水素、水酸基、置換又は非置換の炭素数1乃至20の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3乃至20の1価の脂環族炭化水素基、又は置換又は非置換の炭素数6乃至20の1価の芳香族炭化水素基である)。
【0074】
更に他の具体例において、研磨剤は、前記化学式2の化合物の塩で改質された研磨剤を含むことができる。前記化学式2の化合物の塩は、上述した化学式2の化合物から由来した陽イオンと陰イオンの中性塩を意味する。
【0075】
前記陽イオンは、上述した化学式2-1乃至化学式2-7のうちいずれか一つで表され得る。前記陰イオンは、前記化学式1の塩部分で上述した通りであってもよい。
【0076】
研磨剤は、CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至20重量%、好ましくは0.01重量%乃至15重量%、さらに好ましくは0.05重量%乃至10重量%、最も好ましくは0.1重量%乃至5重量%、0.5重量%乃至3重量%で含まれてもよい。前記範囲で、絶縁層膜とタングステンパターンウェハーを高い研磨速度で研磨することができる。
【0077】
化学式3の化合物又はその錯化合物
【0078】
化学式3の化合物は、組成物に含まれて触媒を形成することができる。前記触媒は、前記化学式3の化合物と金属イオンとの間の錯化合物であってもよい。
【0079】
【化16】
(前記化学式3において、
R
1、R
2、R
3は、それぞれ独立して単一結合又は置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1乃至3のアルキレン基で、
M
1、M
2、M
3は、それぞれ独立してOH又はO
-M
+(M
+は、1価の陽イオン))。
【0080】
化学式3の化合物は、3個の窒素を有する閉環構造を有する。また、化学式3の化合物は、窒素のそれぞれに-C(=O)M1(M2又はM3)が連結され、合計3個の-C(=O)M1(M2又はM3)を有する。よって、化学式3の化合物が金属イオンと共に錯化合物を形成する場合、化学式3の化合物のうち3個の-C(=O)M1(M2又はM3)が金属イオンに全て結合され、金属イオンに結合せずに残っている-C(=O)M1(M2又はM3)がなく、化学式3のうち3個の窒素も金属イオンに結合することによって触媒の安定性を著しく高めることができる。これを通じて、本発明の組成物は、タングステンパターンウェハーの研磨速度を高め、研磨後の平坦度も改善することができる。
【0081】
一具体例において、前記化学式3において、R1、R2、R3は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数2乃至3のアルキレン基で、R4、R5、R6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1乃至2のアルキレン基で、M1、M2、M3は、それぞれ独立してOHであってもよい。
【0082】
一具体例において、前記化学式3における前記1価の陽イオンは、アルカリ金属の陽イオンであって、例えば、Li+、Na+、K+などになってもよい。
【0083】
例えば、前記化学式3の化合物は、下記化学式3-1の化合物又はそのアルカリ金属の陽イオンとの塩であってもよい:
【0084】
【0085】
化学式3の化合物の錯化合物は、化学式3の化合物と金属イオンが配位結合した錯化合物であってもよい。前記金属イオンは、鉄イオン、例えば、鉄2価の陽イオン(Fe2+)又は鉄3価の陽イオン(Fe3+)であってもよい。化学式3の化合物が錯化合物を形成する場合、化学式3の化合物は、M1、M2、及びM3からH又はM+が脱離することによって金属イオンに結合することもできる。
【0086】
一具体例において、化学式3の化合物の錯化合物の一例は、下記化学式4で表される錯化合物であってもよい:化学式4に示すように、3個の窒素及び3個の-C(=O)M1(M2又はM3)がFeに結合されている:
【0087】
【0088】
前記金属イオンは、鉄2価の陽イオン含有化合物、鉄3価の陽イオン含有化合物又はその水和物から由来してもよい。このような化合物としては、塩化鉄(FeCl3)、硝酸鉄(Fe(NO3)3)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)又はその水和物のうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0089】
化学式3の化合物の錯化合物は、化学式3の化合物と鉄3価の陽イオン含有化合物又はその水和物との間のキレート結合形成反応によって形成されてもよい。
【0090】
化学式3の化合物又はその錯化合物は、CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%、好ましくは0.001重量%乃至1重量%、さらに好ましくは0.001重量%乃至0.5重量%、例えば、0.001重量%乃至0.1重量%、0.001重量%乃至0.01重量%で含まれてもよい。前記範囲で、タングステン膜の研磨速度を高めることができ、研磨平坦度を改善することができる。
【0091】
CMPスラリー組成物は、酸化剤、アミノ酸、及び有機酸のうち1種以上をさらに含むことができる。
【0092】
酸化剤は、タングステンパターンウェハーを酸化させ、タングステンパターンウェハーの研磨を容易にすることができる。
【0093】
酸化剤は、無機過化合物、有機過化合物、臭素酸又はその塩、硝酸又はその塩、塩素酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ヨウ素酸又はその塩、鉄又はその塩、銅又はその塩、稀土類金属酸化物、遷移金属酸化物、及び重クロム酸カリウムのうち一つ以上を含むことができる。前記「過化合物」は、一つ以上の過酸化基(-O-O-)を含んだり、最高の酸化状態の元素を含む化合物である。好ましくは、酸化剤として過化合物を使用することができる。例えば、過化合物は、過酸化水素、過ヨウ素酸カリウム、過硫酸カルシウム、及びフェリシアン化カリウムのうち一つ以上、好ましくは過酸化水素であってもよい。
【0094】
酸化剤は、CMPスラリー組成物のうち0.01重量%乃至20重量%、好ましくは0.05重量%乃至10重量%、さらに好ましくは0.1重量%乃至5重量%で含まれてもよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの研磨速度を向上させることができる。
【0095】
アミノ酸は、上述した研磨剤を含むCMPスラリー組成物に含まれ、タングステンの研磨速度をさらに高めることができる。
【0096】
アミノ酸は、グリシン、リジン、アラニン、ヒスチジン、セリン、グルタミン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、プロリンなどを含むことができる。好ましくは、アミノ酸は、グリシン、リジン、アラニン、及びヒスチジンのうち1種以上、さらに好ましくはグリシンを含むことができる。
【0097】
アミノ酸は、CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%、好ましくは0.005重量%乃至5重量%、さらに好ましくは0.01重量%乃至1重量%、最も好ましくは0.02重量%乃至0.5重量%で含まれてもよい。前記範囲で、タングステン膜の研磨速度を高めることができる。
【0098】
有機酸は、タングステンパターンウェハーの研磨速度を高めることができる。
【0099】
有機酸は、カルボキシル基が1個以上である有機酸、好ましくは、カルボキシル基が1個である有機酸を含むことができる。例えば、有機酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、及び吉草酸のうち1種以上を含むことができる。
【0100】
有機酸は、CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%、好ましくは0.002重量%乃至5重量%、さらに好ましくは0.005重量%乃至3重量%、最も好ましくは0.01重量%乃至1重量%で含まれてもよい。前記範囲で、研磨剤の分散安定性を高め、製造した後で長期間が経過したとしても、研磨剤の固まり及び/又は凝集の発生をなくすことができる。
【0101】
CMPスラリー組成物は、pHが2乃至7になってもよい。本発明は、上述した改質されたシリカを研磨剤として使用することによって、従来の強酸性に比べて弱酸性のpHでも高いタングステンパターンウェハーの研磨速度を具現することができる。一具体例において、CMPスラリー組成物は、pHが2乃至6、3乃至6、4乃至6、5乃至6になってもよい。
【0102】
CMPスラリー組成物は、鉄3価の陽イオン含有化合物又はその水和物をさらに含むことができる。具体的には、塩化鉄(FeCl3)、硝酸鉄(Fe(NO3)3)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)又はその水和物のうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0103】
鉄3価の陽イオン含有化合物又はその水和物は、CMPスラリー組成物のうち0.001重量%乃至10重量%、好ましくは0.01重量%乃至1重量%、さらに好ましくは0.1重量%乃至0.5重量%で含まれてもよい。前記範囲で、触媒活性安定性が向上し、研磨性能を極大化できるという効果があり得る。
【0104】
CMPスラリー組成物は、前記pHを合わせるためにpH調節剤をさらに含むこともできる。
【0105】
pH調節剤は、無機酸、例えば、硝酸、リン酸、塩酸、及び硫酸のうち一つ以上を含むことができる。pH調節剤は、塩基、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムのうち1種以上を含むことができる。
【0106】
CMPスラリー組成物は、殺生物剤、界面活性剤、分散剤、改質剤などの通常の添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、前記組成物のうち0.001重量%乃至5重量%、好ましくは0.002重量%乃至1重量%、さらに好ましくは0.005重量%乃至0.5重量%で含まれてもよい。前記範囲で、研磨速度に影響を与えないと共に、添加剤の効果を具現することができる。
【0107】
本発明のタングステンの研磨方法は、本発明のタングステン研磨用CMPスラリー組成物を用いてタングステンを研磨する段階を含む。一具体例において、本発明は、タングステンパターンウェハーの研磨方法であって、本発明のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を用いてタングステンパターンウェハーを研磨する段階を含む。
【0108】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈することはできない。
【0109】
製造例1
【0110】
平均粒径が70nmであるコロイダルシリカ(PL3、Fuso)に、下記化学式5の化合物(Momentive社、EDPS)を酸性条件で0.04molの比で滴加し、pH3.8及び65℃で8時間にわたって反応させ、下記化学式5の化合物で改質されたシリカ(ゼータ電位:+25mV、平均粒径:70nm)を製造した。ゼータ電位は、ゼータサイザー(Zetasizer)ZS(Malvern社)を用いて測定された。
【0111】
【0112】
実施例1
【0113】
前記化学式3-1の化合物0.5mmolと塩化鉄(FeCl3)0.5mmolを混合して還流(reflux)させた後、24時間にわたって反応させることによって前記化学式4の錯化合物を形成した。CMPスラリー組成物の総重量に対して、研磨剤としての前記製造例1の改質されたシリカ1.2重量%、化学式4の錯化合物0.001重量%、有機酸としての酢酸300ppm、及びグリシン0.16重量%を含有し、残りには脱イオン水を含ませて組成物を製造した。pH調節剤として硝酸又はアンモニア水を用いて、CMPスラリー組成物のpHをpH5.6に調節することによってCMPスラリー組成物を製造した。
【0114】
実施例2乃至実施例3
【0115】
実施例1において、化学式4の化合物の含量を下記表1のように変更した点を除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。下記表1において、「-」は、該当の成分が含まれないことを意味する。
【0116】
比較例1
【0117】
実施例1において、化学式4の錯化合物の代わりに錯化合物Fe-EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)0.002重量%を含ませた点を除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0118】
比較例2
【0119】
実施例1において、化学式4の錯化合物の代わりに錯化合物Fe-EDTA 0.006重量%を含ませた点を除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0120】
比較例3
【0121】
実施例1において、化学式4の錯化合物の代わりに錯化合物Fe-DTPA(diethylenetriamine pentaacetic acid)0.002重量%を含ませた点を除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0122】
比較例4
【0123】
実施例1において、化学式4の錯化合物の代わりに錯化合物Fe-DTPA 0.006重量%を含ませた点を除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0124】
実施例及び比較例で製造したCMPスラリー組成物に対して、下記の研磨評価条件で研磨評価を行った。その結果を下記表1に示した。
【0125】
[研磨評価条件]
【0126】
1.研磨機:Reflexion LK 300mm(AMAT社)
【0127】
2.研磨条件
-研磨パッド:VP3100/Rohm and Haas社
-ヘッド(Head)速度:35rpm
-プラテン(Platen)速度:33rpm
-研磨圧力:1.5psi
-リテーナリング圧力(Retainer Ring Pressure):8psi
-スラリー流量:250ml/分
-研磨時間:60秒
【0128】
3.研磨対象
-タングステンパターンウェハー(MIT854、300mm)
-タングステン研磨用CMPスラリーSTARPLANAR7000(サムスンSDI社)と脱イオン水を1:2の重量比で混合した後で作られた混合液に対して、前記混合液の重量の2%に該当する過酸化水素を追加した混合液を用いて、前記タングステンパターンウェハーを、Reflexion LK300mm研磨機にIC1010/SubaIV Stacked(Rodel社)研磨パッドでヘッド速度101rpm、プラテン速度100rpm、研磨圧力2.0psi、リテーナリング圧力8psi、混合液の流量240ml/分の条件下で60秒間1次研磨した。これを通じて、タングステン金属膜層を除去し、酸化膜/金属パターンが現れるようにした。
【0129】
4.酸化膜の研磨速度(単位:Å/分):前記研磨条件で評価した後、研磨前後の膜厚の差を光干渉式膜厚測定機(Reflectometer)で換算し、酸化膜の研磨速度を求めた。
【0130】
5.エロージョン(単位:Å):前記研磨条件で評価した後、パターンのプロファイルをInSight CAP Compact Atomic Profiler(bruker社)で測定した。エロージョンは、研磨したウェハーの0.18/0.18μmのパターン領域でペリオキシド(peri oxide)とセルオキシド(cell oxide)との高さの差に基づいて計算した。スキャン速度は、100μm/秒にし、スキャン長さは2mmにした。
【0131】
6.△エロージョン(単位:Å):前記研磨条件で評価した後、0.18/0.18μmのパターン領域におけるライン(line)/スペース(space)領域は、中心を基準にして左右1mmずつ合計2mmをコンタクト(contanct)方式で1回スキャンした後、タングステンとセルオキシドとの高さの差に基づいて計算した。
【0132】
7.プロトルージョン(単位:Å):前記研磨条件で評価した後、2μm*2μmのパターン領域をスキャンして3Dイメージ化し、高さの差に基づいて計算した。
【0133】
【0134】
前記表1のように、本発明のCMPスラリー組成物は、化学式3の閉環型リガンドを含有した鉄錯化合物を含むことによって、既存の開環型リガンドを含有した鉄錯化合物を使用したときと比較すると、研磨速度とプロトルージョンにおいては類似性を帯びる一方で、エロージョン改善効果を示すという効果があった。
【0135】
前記表1のように、同一の使用含量で比較すると、閉環型リガンドを有する鉄錯化合物の場合、Fe-EDTA又はFe-DTPAなどの開環型リガンドを有する鉄錯化合物よりも、△エロージョンが約20nm乃至50nm改善されながらエロージョン改善効果を提供した。また、含量別に評価したとき、低含量でも酸化膜の研磨速度は維持しながら、エロージョン改善効果を示すことが分かった。
【0136】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものとして見なすことができる。