(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068285
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】操作表示装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240513BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240513BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240513BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G06F3/041 662
G06F3/044
G09F9/00 366A
B41J29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178609
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】小島 玲央
【テーマコード(参考)】
2C061
5G435
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061CQ04
2C061CQ24
5G435AA06
5G435BB12
5G435EE02
5G435EE03
5G435EE05
5G435EE13
5G435EE49
5G435GG43
5G435HH02
5G435KK02
5G435LL12
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの浮き上がりを抑制しつつ、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔を小さくする。
【解決手段】前面に操作体が接近又は接触する操作面45aを有する透明基材45の背面に、操作面45aに対する操作体の接近又は接触を検知する静電容量式のセンサシート47が設けられるタッチパネル40と、タッチパネル40の背面側に配置される液晶パネル46と、タッチパネル40の前面を除く部分を覆う外装カバー41と、タッチパネル40と液晶パネル46との間を封止する封止部材50と、を備える操作表示装置9であって、外装カバー41は、タッチパネル40と液晶パネル46との間に介在するスペーサ部51を有し、センサシート47は、透明基材45とスペーサ部51との間には介在しないように配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に操作体が接近又は接触する操作面を有する透明基材の背面に、前記操作面に対する前記操作体の接近又は接触を検知する静電容量式のセンサシートが設けられるタッチパネルと、
前記タッチパネルの背面側に配置される液晶パネルと、
前記タッチパネルの前面を除く部分を覆う外装カバーと、
前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間を封止する封止部材と、
を備える操作表示装置であって、
前記外装カバーは、前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間に介在するスペーサ部を有し、
前記センサシートは、前記透明基材と前記スペーサ部との間には介在しないように配置されることを特徴とする操作表示装置。
【請求項2】
前記センサシートは、前記外装カバーの互いに反対側の縁に設けられる前記スペーサ部同士の間隔よりも小さく形成される請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項3】
前記センサシートは、前記液晶パネルの表示領域よりも大きく形成される請求項1又は2に記載の操作表示装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、前記スペーサ部に対して固定される請求項1又は2に記載の操作表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルは、前記スペーサ部に対して押し付けられるように前記外装カバーに締結される締結部を有する請求項1又は2に記載の操作表示装置。
【請求項6】
画像形成部と、
請求項1又は2に記載の操作表示装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作表示装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機などに搭載される操作表示装置として、タッチパネル式の操作表示装置が知られている。
【0003】
タッチパネル式の操作表示装置は、タッチパネルと、その背面に配置される液晶パネルなどを備えており、これらを貼り合わせる方式として、ダイレクトボンディング方式とエアギャップ方式とがある。ダイレクトボンディング方式は、タッチパネルと液晶パネルとが全面的に貼り合わされる方式であるのに対し、エアギャップ方式は、タッチパネルと液晶パネルとがこれらの間に空間を介在させて部分的に貼り合わされる方式である。
【0004】
スマートフォン、タブレット端末などにおいては、ダイレクトボンディング方式が主流であるが、ダイレクトボンディング方式の場合、タッチパネル又は液晶パネルに不具合が生じた場合、タッチパネルと液晶パネルを一緒に交換する必要があり、交換コストが高くなる。これに対して、エアギャップ方式の場合、タッチパネルと液晶パネルを個別に交換できるため、交換コストを低減できる利点がある。しかしながら、エアギャップ方式の場合、タッチパネルと液晶パネルとの間への異物侵入を防止するため、これらの間をスポンジなどの封止部材によって封止する必要がある。
【0005】
ところで、このような封止部材を必要とするエアギャップ方式においては、部品の寸法誤差あるいは取付誤差などにより、タッチパネルと液晶パネルとの間隔が所定の間隔より小さくなると、封止部材が過度に圧迫されるため、タッチパネルが封止部材の弾性力により押し出されて、外装カバーに対してタッチパネルが浮き上がることがある。特に、タッチパネルの前面全体が露出する、いわゆるフルフラット構造においては、タッチパネルの前面が外装カバーによって保持されていないため、タッチパネルの浮き上がりが生じやすい。
【0006】
斯かる問題に対して、特許文献1(特開2022-30026号公報)においては、封止部材を、タッチパネルと液晶パネルとの間ではなく、液晶パネルの側面と外装カバーとの間に介在させることにより、異物侵入を防止しつつ、タッチパネルの浮き上がりを抑制する方法が提案されている。
【0007】
また、タッチパネルの浮き上がりを抑制する別の対策として、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔を大きくすることにより、部品の寸法誤差あるいは取付誤差などの影響を低減する方法も考えられる。しかしながら、静電容量の変化を利用して操作する静電容量方式の操作表示装置においては、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔が大きくなると、操作性の低下、及び、視差の影響による視認性の低下が懸念される。
【0008】
特許文献1においては、タッチパネルの浮き上がりを抑制する方法について提案されているが、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔に起因する操作性及び視認性については検討されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明においては、タッチパネルの浮き上がりを抑制しつつ、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔を小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、前面に操作体が接近又は接触する操作面を有する透明基材の背面に、前記操作面に対する前記操作体の接近又は接触を検知する静電容量式のセンサシートが設けられるタッチパネルと、前記タッチパネルの背面側に配置される液晶パネルと、前記タッチパネルの前面を除く部分を覆う外装カバーと、前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間を封止する封止部材と、を備える操作表示装置であって、前記外装カバーは、前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間に介在するスペーサ部を有し、前記センサシートは、前記透明基材と前記スペーサ部との間には介在しないように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチパネルの浮き上がりを抑制しつつ、タッチパネルと液晶パネルとの間の間隔を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る操作パネルの外観斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る操作パネルの分解斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る操作パネルの概略断面図である。
【
図6】タッチパネルの浮き上がりを抑制する作用を説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係る操作パネルの詳細な構成を示す断面図である。
【
図8】従来例に係る操作パネルの概略断面図である。
【
図9】比較例に係る操作パネルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図、
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。ここで、本明細書中における「画像形成装置」には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、又は、これらのうちの二つ以上を組み合わせた複合機などが含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字及び図形などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を形成することも意味する。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置100は、原稿を搬送する原稿搬送部1と、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、記録媒体に画像を形成する画像形成部3と、画像を記録媒体に定着させる定着部4と、記録媒体を供給する記録媒体供給部5と、記録媒体を排出する記録媒体排出部6を備えている。
【0016】
原稿搬送部1には、原稿を載置する原稿供給トレイ25と、原稿供給トレイ25から画像読取部2のコンタクトガラス32に向けて原稿を搬送する複数の搬送ローラ26と、原稿が排出される原稿排出トレイ27が設けられている。
【0017】
画像読取部2には、コンタクトガラス32と、コンタクトガラス32上の原稿の画像を読み取る光学走査ユニット31が設けられている。光学走査ユニット31は、原稿に光を照射する光源のほか、原稿に照射された光の反射光から画像を読み取るCCD(電荷結合素子)などを備えている。なお、画像を読み取る手段として、CCDに代えて密着型イメージセンサ(CIS)などの他のイメージセンサを用いてもよい。光学走査ユニット31は、駆動装置としてのキャリアによって
図1中の矢印方向(副走査方向)に移動し、レンズを介して結像素子に像を結び原稿の画像を撮像する。また、画像読取部2は、画像形成装置100に搭載されるものではなく、画像形成装置100とは離れた別の場所に設置され、有線又は無線によって画像形成装置100との間で通信可能なものであってもよい。
【0018】
画像形成部3には、4つの作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkと、各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkが備える感光体11に静電潜像を書き込む画像書き込み装置7と、記録媒体に画像を転写する転写装置8が設けられている。
【0019】
各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。具体的に、各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkは、表面に画像を担持する像担持体としての感光体11と、感光体11の表面を帯電させる帯電部材と、感光体11の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置と、感光体11の表面を清掃するクリーニング装置などを有している。
【0020】
画像書き込み装置7は、感光体11の表面に光(レーザビーム)を照射するLD(レーザダイオード)などを有している。画像書き込み装置7は、画像データに応じてLDの駆動信号を変調し、LDから照射される光によって感光体11上に静電潜像を書き込む。
【0021】
転写装置8は、中間転写ベルト15と、一次転写ローラ16と、二次転写ローラ17を有している。中間転写ベルト15は、無端状のベルトによって構成され、複数のローラによって張架されている。一次転写ローラ16は、中間転写ベルト15の内側に4つ設けられている。各一次転写ローラ16が中間転写ベルト15を介して各感光体11に接触することにより、中間転写ベルト15と各感光体11との間に一次転写部(一次転写ニップ)が形成されている。二次転写ローラ17は、中間転写ベルト15の外周面に接触し、二次転写部(二次転写ニップ)を形成している。
【0022】
定着部4には、ヒータなどの加熱源によって加熱される定着回転体21と、定着回転体21に圧接して定着ニップを形成する加圧回転体22が設けられている。
【0023】
記録媒体供給部5には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット18と、給紙カセット18から用紙を送り出す給紙ローラ19が設けられている。以下、「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は、紙(用紙)だけでなくOHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0024】
記録媒体排出部6には、用紙を排出する一対の排紙ローラ23と、排出された用紙が載置される排紙トレイ24が設けられている。
【0025】
続いて、
図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
【0026】
画像形成の指示があると、まず、画像読取部2において原稿上の画像が読み取られる。この原稿は、原稿供給トレイ25からコンタクトガラス32へ搬送される原稿、あるいは、コンタクトガラス32上に載置された原稿であり、コンタクトガラス32上を通過する原稿又は載置される原稿の画像が画像読取部2の光学走査ユニット31によって読み取られ、読み取られた画像データが画像形成部3へ送られる。
【0027】
画像形成部3においては、各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkの感光体11が回転を開始し、帯電部材によって、感光体11の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、画像読取部2によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、画像書き込み装置7が、各感光体11の表面(帯電面)に光を照射する。これにより、光が照射された部分の電位が低下して各感光体11の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置がトナーを供給し、各感光体11上にトナー画像が形成される。
【0028】
各感光体11上に形成されたトナー画像は、各感光体11の回転に伴って一次転写部(一次転写ローラ16の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト15上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト15上にフルカラーのトナー画像が形成される。なお、各作像ユニット10Y,10M,10C,10Bkのいずれか一つを使用して単色画像を形成したり、いずれか2つ又は3つを用いて2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、感光体11から中間転写ベルト15へトナー画像が転写された後は、クリーニング装置によって感光体11上の残留トナーなどが除去される。
【0029】
中間転写ベルト15上のトナー画像は、中間転写ベルト15の回転に伴って二次転写部(二次転写ローラ17の位置)へ搬送され、二次転写部において用紙上に転写される。この用紙は、給紙カセット18から供給された用紙であり、給紙ローラ19が回転することにより給紙カセット18から用紙が送り出される。送り出された用紙は、一対のタイミングローラ20によって一旦静止された後、中間転写ベルト15上のトナー画像が二次転写部へ到達するタイミングに合わせてタイミングローラ20により搬送される。
【0030】
そして、用紙は、定着部4へ搬送され、定着回転体21と加圧回転体22によって用紙上のトナー画像が加熱及び加圧され、トナー画像が用紙に定着される。その後、用紙は排紙ローラ23によって装置外に排出され、排紙トレイ24上に載置される。これにより、一連の画像形成動作が終了する。
【0031】
以下、本実施形態に係る画像形成装置1が備える操作表示装置の構成について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置1においては、ユーザーなどの操作者が印刷動作(画像形成動作)に関わる種々の操作を行ったり、印刷動作に関わる情報が表示されたりする操作表示装置としての操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、画像形成装置1の前面上部に設けられている。なお、ここでいう画像形成装置1の「前面」とは、操作者が通常の操作を行うときに立つ側の面である。なお、以下の説明において用いられる画像形成装置及び各種構成部材の「前面」も同じ側の面を意味する。また、操作パネル9は、操作者が任意の角度で操作パネル9を視認できるように、チルト機構によって角度変更可能に構成されている。
【0033】
図3は、本実施形態に係る操作パネル9の外観斜視図、
図4は、その操作パネル9の分解斜視図である。
【0034】
図3に示されるように、本実施形態に係る操作パネル9は、扁平な直方体状に形成されており、操作パネル9が備える外装カバー41の前面には、タッチパネル40の操作面45aが露出する矩形の窓部41aが設けられている。
【0035】
図4に示されるように、操作パネル9は、外装カバー41と、タッチパネル40と、液晶パネル46と、封止部材50と、ブラケット48と、基板(PCB)49を備えている。
【0036】
外装カバー41は、前カバー42と、後カバー43と、背面カバー44により構成される。前カバー42、後カバー43、背面カバー44は、いずれも樹脂材料などにより構成されている。前カバー42は、タッチパネル40の操作面45aを露出させる上記窓部41aを有する枠状の部材である。本実施形態においては、タッチパネル40の操作面45aを含む前面全体が前カバー42の前面と同一面上に配置されるフルフラット構造となっている。
【0037】
また、前カバー42は、タッチパネル40の前面を除く部分を覆うほか、センサシート47、封止部材50、液晶パネル46、ブラケット48、基板49の各種内部部材を覆うように保持する。これらの内部部材が前カバー42によって保持された状態において、前カバー42の後方に後カバー43が嵌合され、さらに後カバー43の背面を覆うように背面カバー44が取り付けられることにより、各種内部部品が外装カバー41内に収容される。
【0038】
タッチパネル40は、操作者の手指あるいはタッチペンなどの操作体が操作面45aに対して接近又は接触した際の静電容量の変化を利用して操作位置(タッチ位置)を検知する静電容量方式のタッチパネルである。具体的に、タッチパネル40は、前面に操作面45aを有する透明基材45と、その透明基材45の前面(操作面45a)とは反対の背面に貼り付けられるセンサシート47を備えている。透明基材45は、透明な矩形のガラス板などにより構成される。一方、センサシート47は、例えば、電極が互いに直交するように配列される2枚のシート(投影型静電容量方式のセンサシート)により構成される。センサシート47は、操作体が透明基材45の操作面45aに対して接近又は接触した際、その接近又は接触に伴う静電容量の変化を検知する。
【0039】
液晶パネル46は、薄型及び軽量化されていて単体では取り付けが困難なLCD(液晶パネル本体)を固定フレームに嵌め込んでユニット化されたものである。液晶パネル46は、タッチパネル40の操作面45a(前面)とは反対の背面側に対向するように配置され、液晶パネル46の前面には、画像を表示する表示領域46aを有している。また、タッチパネル40と液晶パネル46との間には、スポンジなどの弾性部材から成る封止部材50が配置される。封止部材50は、タッチパネル40と液晶パネル46との間に異物が侵入するのを防止するため、タッチパネル40及び液晶パネル46の外周全体に沿って連続するように配置される。
【0040】
また、液晶パネル46の背面側には、支持部材としてのブラケット48と、電気信号のやり取りなどを行うための基板49が配置される。基板49は、液晶パネル46と共にブラケット48によって支持される。ブラケット48は、ねじなどにより前カバー42に締結され、これにより、液晶パネル46及び基板49がブラケット48を介して前カバー42に保持される。
【0041】
ここで、
図8に示される従来例の構成に基づき、タッチパネルの浮き上がりの問題について説明する。
【0042】
図8に示されるように、従来例においては、透明基材450の背面にセンサシート470が貼り付けられたタッチパネル400が、両面粘着テープ600を介して前カバー420に貼り付けられている。また、タッチパネル400の背面側には間隔をあけて液晶パネル460が配置されており、タッチパネル400と液晶パネル460との間にはこれらの間を封止する封止部材500が介在している。
【0043】
タッチパネル400と液晶パネル460との間の間隔(空気層の厚さ)Dは、操作性及び視認性を考慮して所定の間隔(大きさ)に設定されている。しかしながら、部品の寸法誤差あるいは取付誤差などにより、タッチパネル400と液晶パネル460との間隔Dが所定の間隔より小さくなることがある。例えば、
図8中の二点鎖線にて示されるように、液晶パネル460の厚さがあらかじめ設定されている厚さよりも厚くなった場合、液晶パネル460がタッチパネル400の背面に近づくため、タッチパネル400と液晶パネル460との間の間隔Dが小さくなる。これにより、封止部材500が過度に圧迫されることになり、タッチパネル400が封止部材500の弾性力により二点鎖線にて示されるように押し出されて前カバー420に対して浮き上がる。特に、
図8に示されるような、タッチパネル400の前面全体が露出する、いわゆるフルフラット構造の場合は、タッチパネル400の前面が前カバー420によって保持されていないため、タッチパネルの浮き上がりが生じやすい。
【0044】
これに対して、本発明の実施形態に係る操作パネルにおいては、タッチパネルの浮き上がりを抑制するため、次のような構成を採用している。以下、本実施形態に係る操作パネルの構成について詳しく説明する。
【0045】
図5は、本実施形態に係る操作パネル9の概略断面図である。
【0046】
図5に示されるように、本実施形態に係る操作パネル9においては、外装カバー41を構成する前カバー42が、タッチパネル40と液晶パネル46との間に介在し、これらの間隔Dを保持するスペーサ部51を有している。スペーサ部51は、前カバー42の矩形枠状の縁から内側へ突出する突起である。スペーサ部51は、前カバー42の縁全周に渡って連続して設けられていてもよいし、一部の縁に部分的に設けられていてもよい。
【0047】
スペーサ部51の前面には、両面粘着テープ60を介してタッチパネル40の背面が貼り付けられ固定される。一方、スペーサ部51の背面には、液晶パネル46の前面が接触するように配置される。なお、
図5においては、タッチパネル40が、両面粘着テープ60を介してスペーサ部51の前面から少し離れた状態(非接触状態)で配置されているが、タッチパネル40はスペーサ部51の前面に直接接触するように配置されてもよい。また、
図5に示されるように、タッチパネル40は、スペーサ部51の背面に対して直接接触するように配置されるほか、両面粘着テープなどを介してスペーサ部51に対して間接的に接触するように配置されてもよい。
【0048】
このように、タッチパネル40と液晶パネル46とがスペーサ部51を挟むように配置され、スペーサ部51がタッチパネル40と液晶パネル46との間に介在することにより、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔(空気層の厚さ)Dが保持される。すなわち、スペーサ部51は、ある程度剛性が高い(例えば封止部材50よりも剛性が高い)材料から成る前カバー42の一部により構成されているので、圧縮などの弾性変形が生じにくく、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dの変化を抑制できる。
【0049】
また、前カバー42がこのようなスペーサ部51を有しているため、本発明の実施形態においては、液晶パネル46の厚さが所定の厚さよりも厚くなったとしても、前カバー42に対するタッチパネル40の浮き上がりを抑制できる。
【0050】
すなわち、本実施形態においては、
図6中の二点鎖線にて示されるように、液晶パネル46の厚さが所定の厚さよりも厚くなった結果、液晶パネル46の前面の位置が
図6における上方へ変位したとしても、このときの液晶パネル46の変位に伴ってスペーサ部51も押し上げられるので、タッチパネル40もスペーサ部51と一緒に押し上げられる。
【0051】
これに対して、
図8に示される従来例においては、液晶パネル460が厚くなった場合、タッチパネル40が液晶パネル460によって押し上げられる一方で、前カバー420は液晶パネル460の厚みの変化に追従しない。このため、前カバー420は押し上げられることがなく、タッチパネル400が前カバー420に対して前方へ突出する浮き上がりが発生する。
【0052】
上記のように、本発明の実施形態の場合は、液晶パネル46が厚くなった場合に、前カバー42が液晶パネル46の厚みの変化に追従してタッチパネル40と一緒に押し上げられるので、タッチパネル40だけが前方へ突出するのを防止でき、前カバー42に対するタッチパネル40の浮き上がりを抑制できる。また、このような本発明の実施形態の構成によれば、フルフラット構造の操作パネルにおいてもタッチパネルの浮き上がりを抑制できるようになる。
【0053】
図7は、本実施形態に係る操作パネル9の詳細な構成を示す断面図である。
【0054】
図7に示されるように、本発明の実施形態においては、液晶パネル46をスペーサ部51に対して精度良く位置決めするため、液晶パネル46に、前カバー42(外装カバー41)に締結される締結部61を設けている。締結部61は、例えば、液晶パネル46の表示領域46aの周囲に配置される枠状のフレーム(ベゼル)52から突出するように設けられた突片により構成される。締結部61を前カバー42の背面側に配置し、ねじ70によって締結部61を前カバー42に締結することにより、液晶パネル46が前カバー42に固定される。また、このとき、液晶パネル46がねじ70の締め付け力を受けてスペーサ部51の背面に対して押し付けられることにより、液晶パネル46がスペーサ部51に対して精度良く位置決めされる。これにより、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dの精度が向上するので、安定した操作性及び視認性が得られるようになる。なお、
図7に示される例においては、締結部61がブラケット48と一緒に前カバー42に対して締結されているが、締結部61とブラケット48はそれぞれ別のねじにより締結されてもよい。
【0055】
ところで、本発明の実施形態のような静電容量方式の操作パネル9において、さらなる操作性及び視認性の向上を図るには、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dを小さくすることが好ましい。この間隔Dを小さくする方法としては、例えば、スペーサ部51の厚さTa(
図5参照)を薄くする方法が挙げられる。しかしながら、スペーサ部51の厚さTaを薄くすると、スペーサ部51の強度が低下したり、スペーサ部51の加工難易度が上がったりするなどの問題が生じる。
【0056】
そのため、本発明の実施形態においては、スペーサ部51の厚さTaを確保しつつ、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dを小さくするため、
図5に示されるように、センサシート47を、タッチパネル40の透明基材45とスペーサ部51との間に介在させないようにしている。
【0057】
一般的に、センサシートは、タッチパネルを構成する透明基材の背面全体に渡って貼り付けられることが多い。従って、本発明の実施形態のようなスペーサ部51を有する構成において、仮に、センサシート47を透明基材45の背面全体に渡って貼り付けると、
図9に示されるように、センサシート47が、透明基材45とスペーサ部51との間に介在する。この場合、液晶パネル46の前面から透明基材45の背面までの間隔X2は、スペーサ部51の厚さTaと、両面粘着テープ60の厚さTbと、センサシート47の厚さTcの合計値となる。
【0058】
これに対して、本発明の実施形態においては、
図5に示されるように、センサシート47を透明基材45の背面全体ではなく、スペーサ部51と対向する部分を除く中央側の部分のみに貼り付け、センサシート47が透明基材45とスペーサ部51との間に介在しないようにしている。この場合、液晶パネル46の前面から透明基材45の背面までの間隔X1は、は、スペーサ部51の厚さTaと、両面粘着テープ60の厚さTbの合計値となる。すなわち、本発明の実施形態においては、センサシート47が透明基材45とスペーサ部51との間に介在していないため、
図9に示される比較例と比べて、センサシート47の厚さTc分、透明基材45と液晶パネル46との間の間隔X1を小さくできる。
【0059】
このように、本発明の実施形態においては、透明基材45と液晶パネル46との間の間隔X1をセンサシート47の厚さTc分だけ小さくできるので、センサシート47を液晶パネル46に対して近づけることができ、結果的に、
図9に示される比較例よりもタッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dを小さくできる。従って、本発明の実施形態によれば、スペーサ部51の厚さTaを確保したまま、タッチパネル40と液晶パネル46との間の間隔Dを小さくすることができるので、スペーサ部51の強度と加工性を維持しつつ、操作性及び視認性の向上を図れるようになる。
【0060】
また、本発明の実施形態においては、透明基材45とスペーサ部51との間にセンサシート47を介在させないようにするため、センサシート47の寸法を次のように設定している。すなわち、
図5に示されるように、センサシート47の幅Waを、前カバー42の互いに反対側の縁に設けられるスペーサ部51同士の間隔Wbよりも小さくしている(Wa<Wb)。また、センサシート47は、液晶パネル46の表示領域46aよりも大きく形成される必要があるため、
図5に示されるように、センサシート47の幅Waは、表示領域46aの幅Wcよりも大きく設定されている(Wc<Wa)。なお、ここでいうセンサシート47の幅Wa、スペーサ部51同士の間隔Wb、表示領域46aの幅Wcは、いずれもタッチパネル40の操作面45aと平行な方向における幅又は間隔を意味する。
【0061】
以上のように、本発明の実施形態によれば、前カバー42(外装カバー)がタッチパネル40と液晶パネル46との間に介在するスペーサ部51を有し、さらに、センサシート47をタッチパネル40の透明基材45とスペーサ部51との間に介在させないようにすることにより、タッチパネル40の浮き上がりを抑制しつつ、操作性及び視認性の向上を実現できるようになる。
【0062】
上記実施形態においては、本発明に係る操作表示装置(操作パネル9)を電子写真方式の画像形成装置に搭載した場合を例に説明したが、本発明に係る操作表示装置は、電子写真方式の画像形成装置に限らない。本発明に係る操作表示装置は、例えばインクジェット方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0063】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える操作拡張ユニット及び画像形成装置が含まれる。
【0064】
[第1の構成]
第1の構成は、前面に操作体が接近又は接触する操作面を有する透明基材の背面に、前記操作面に対する前記操作体の接近又は接触を検知する静電容量式のセンサシートが設けられるタッチパネルと、前記タッチパネルの背面側に配置される液晶パネルと、前記タッチパネルの前面を除く部分を覆う外装カバーと、前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間を封止する封止部材と、を備える操作表示装置であって、前記外装カバーは、前記タッチパネルと前記液晶パネルとの間に介在するスペーサ部を有し、前記センサシートは、前記透明基材と前記スペーサ部との間には介在しないように配置される操作表示装置である。
【0065】
[第2の構成]
第2の構成は、前記第1の構成において、前記センサシートは、前記外装カバーの互いに反対側の縁に設けられる前記スペーサ部同士の間隔よりも小さく形成される操作表示装置である。
【0066】
[第3の構成]
第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、前記センサシートは、前記液晶パネルの表示領域よりも大きく形成される操作表示装置である。
【0067】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第1から第3のいずれか1つの構成において、前記タッチパネルは、前記スペーサ部に対して固定される操作表示装置である。
【0068】
[第5の構成]
第5の構成は、前記第1から第4のいずれか1つの構成において、前記液晶パネルは、前記スペーサ部に対して押し付けられるように前記外装カバーに締結される締結部を有する操作表示装置である。
【0069】
[第6の構成]
第6の構成は、画像形成部と、前記第1から第5のいずれか1つの構成の操作表示装置と、を備える画像形成装置である。
【符号の説明】
【0070】
3 画像形成部
9 操作パネル(操作表示装置)
40 タッチパネル
41 外装カバー
45 透明基材
45a 操作面
46 液晶パネル
46a 表示領域
47 センサシート
50 封止部材
51 スペーサ部
61 締結部
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】