IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大陽日酸株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-予備凍結装置 図1
  • 特開-予備凍結装置 図2
  • 特開-予備凍結装置 図3
  • 特開-予備凍結装置 図4
  • 特開-予備凍結装置 図5
  • 特開-予備凍結装置 図6
  • 特開-予備凍結装置 図7
  • 特開-予備凍結装置 図8
  • 特開-予備凍結装置 図9
  • 特開-予備凍結装置 図10
  • 特開-予備凍結装置 図11
  • 特開-予備凍結装置 図12
  • 特開-予備凍結装置 図13
  • 特開-予備凍結装置 図14
  • 特開-予備凍結装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068286
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】予備凍結装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240513BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 1/04 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
F25D23/02 303A
C12M1/00 A
C12N1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178611
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 真由子
(72)【発明者】
【氏名】青田 周樹
(72)【発明者】
【氏名】多畑 英治
【テーマコード(参考)】
3L102
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
3L102JA09
3L102KA09
4B029AA12
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029DD01
4B029GA06
4B029GB04
4B029GB09
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BD09
4B065BD24
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】収容空間に収容された複数の凍結保存用ラックの中から凍結保存用ラックを取り出す際に、収容空間にある凍結保存用ラックが昇温することを抑制した予備凍結装置を提供する。
【解決手段】凍結保存用ラック50に収納された試料を予備凍結させる予備凍結装置1であって、凍結保存用ラック50を収容する収容空間Kを有する装置本体2と、装置本体2の収容空間Kに臨む上部開口部2aを開閉する蓋体7と、上部開口部2aを部分的に開閉する少なくとも2つ以上の内蓋8とを備える。内蓋8は、収容空間Kに収容される凍結保存用ラック50毎に、凍結保存用ラック50の出入範囲を開閉するように設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保存用ラックに収納された試料を予備凍結させる予備凍結装置であって、
前記凍結保存用ラックを収容する収容空間を有する装置本体と、
前記装置本体の前記収容空間に臨む上部開口部を開閉する蓋体と、
前記上部開口部を部分的に開閉する少なくとも2つ以上の内蓋とを備えることを特徴とする予備凍結装置。
【請求項2】
前記内蓋は、前記収容空間に収容される前記凍結保存用ラック毎に、前記凍結保存用ラックの出入範囲を開閉するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の予備凍結装置。
【請求項3】
前記凍結保存用ラックの出入範囲を区画するように、前記装置本体の上部開口部の周囲に取り付けられたフレームを備え、
前記内蓋は、前記フレームより区画された開口領域を開閉するように取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の予備凍結装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記装置本体の上部開口部を格子状に区画する枠材により構成され、
前記枠材は、前記装置本体の上部開口部の周囲に懸架した状態で取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の予備凍結装置。
【請求項5】
前記フレームは、前記開口領域に対応した開口部が設けられた板材により構成され、
前記板材は、前記装置本体の上部開口部の周囲に嵌め込んだ状態で取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の予備凍結装置。
【請求項6】
前記内蓋は、少なくとも一部が前記開口領域に嵌め込まれた状態で、前記フレームに取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の予備凍結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備凍結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、新薬の開発や医療の基礎研究では、血液、実験動物の精子、受精卵、細胞などの生物学的試料(以下、単に「試料」という。)が用いられている。試料は、常温では生物学的作用により劣化する。このため、凍結保存装置などにより試料を凍結保存するのが一般的である。凍結保存装置としては、液体窒素を用いた凍結保存装置が、長期間安定して保存できるため、広く用いられている。
【0003】
上述した試料を例えば-150℃以下の低温下で凍結保存する場合、常温の試料を-150℃まで急冷させると、細胞の生存率が低下することが知られている。このため、試料を凍結保存する前に、例えばプログラムフリーザや凍結コンテナに収納された試料を凍結する機械式冷凍機などの予備凍結装置を用いて、常温から所定の温度(例えば-80℃)まで冷却速度を制御しながら、試料を予備凍結させることが行われている(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0004】
また、試料を予備凍結させる際は、先ず、試料を培地と共にバイアル等の凍結保存用チューブに充填した後、その内側が升目状に区画された凍結保存用ボックスの保存空間に凍結保存用チューブを収納する。
【0005】
さらに、凍結保存用ボックスは、凍結保存用ラックに収納される。凍結保存用ラックは、ラック部が上下方向に複数段に亘って設けられたラック本体を備え、ラック部毎に凍結保存用ボックスを収納する。
【0006】
そして、試料を予備凍結させる際は、複数の凍結保存用ラックが収容可能なプログラムフリーザ等の予備凍結装置を用いて、凍結保存用ラックのラック部毎に収納された凍結保存用ボックスを冷却する。
【0007】
プログラムフリーザは、温度調節計により設定された温度制御プログラムに従い、液体窒素等からなる冷媒の噴出量又は冷凍機の出力等を調節することによって、凍結保存用ラックを収容する収容空間の温度を適切に冷却制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-183846号公報
【特許文献2】特開2017-203597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したプログラムフリーザ等の予備凍結装置では、収容空間に収容された複数の凍結保存用ラックの中から1つの凍結保存用ラックを取り出す際に、残りの凍結保存用ラックが外気に曝されることから、収容空間にある凍結保存用ラックが昇温してしまうことがあった。
【0010】
予備凍結装置では、上述した凍結保存用ラックを収容する収容空間の温度を適切に冷却制御する必要があることから、凍結保存用ラックの冷却状態をきちんと管理し、凍結保存される試料の品質を維持することが求められている。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、収容空間に収容された複数の凍結保存用ラックの中から凍結保存用ラックを取り出す際に、収容空間にある凍結保存用ラックが昇温することを抑制した予備凍結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 凍結保存用ラックに収納された試料を予備凍結させる予備凍結装置であって、
前記凍結保存用ラックを収容する収容空間を有する装置本体と、
前記装置本体の前記収容空間に臨む上部開口部を開閉する蓋体と、
前記上部開口部を部分的に開閉する少なくとも2つ以上の内蓋とを備えることを特徴とする予備凍結装置。
〔2〕 前記内蓋は、前記収容空間に収容される前記凍結保存用ラック毎に、前記凍結保存用ラックの出入範囲を開閉するように設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の予備凍結装置。
〔3〕 前記凍結保存用ラックの出入範囲を区画するように、前記装置本体の上部開口部の周囲に取り付けられたフレームを備え、
前記内蓋は、前記フレームより区画された開口領域を開閉するように取り付けられていることを特徴とする前記〔2〕に記載の予備凍結装置。
〔4〕 前記フレームは、前記装置本体の上部開口部を格子状に区画する枠材により構成され、
前記枠材は、前記装置本体の上部開口部の周囲に懸架した状態で取り付けられていることを特徴とする前記〔3〕に記載の予備凍結装置。
〔5〕 前記フレームは、前記開口領域に対応した開口部が設けられた板材により構成され、
前記板材は、前記装置本体の上部開口部の周囲に嵌め込んだ状態で取り付けられていることを特徴とする前記〔3〕に記載の予備凍結装置。
〔6〕 前記内蓋は、少なくとも一部が前記開口領域に嵌め込まれた状態で、前記フレームに取り付けられていることを特徴とする前記〔3〕に記載の予備凍結装置。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、収容空間に収容された複数の凍結保存用ラックの中から凍結保存用ラックを取り出す際に、収容空間にある凍結保存用ラックが昇温することを抑制した予備凍結装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る予備凍結装置の構成を示す正面図である。
図2図1に示す予備凍結装置の構成を示す上面図である。
図3】凍結保存用ラックの構成を示す正面図である。
図4】凍結保存用ラックの構成を示す側面図である。
図5】枠材により構成されたフレームを備えた予備凍結装置の構成を示す上面図である。
図6図5に示すフレームに内蓋が取り付けられた状態を示す上面図である。
図7図5中に示す線分A-Aによる予備凍結装置の断面図である。
図8図7に示す予備凍結装置の要部を拡大した断面図である。
図9図5に示すフレームを備えた予備凍結装置の変形例を示す断面図である。
図10図9に示すフレームに内蓋が取り付けられた状態を示す上面図である。
図11】開口部が設けられた板材により構成されたフレームを備えた予備凍結装置の構成を示す上面図である。
図12図11に示すフレームに内蓋が取り付けられた状態を示す上面図である。
図13図11に示すフレームを備えた予備凍結装置の構成を示す断面図である。
図14図11に示すフレームの開口部の周囲に段差部が設けられた構成を示す上面図である。
図15図11に示すフレームを備えた予備凍結装置の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0016】
(予備凍結装置)
先ず、本発明の一実施形態として、例えば図1及び図2に示す予備凍結装置1の構成について説明する。
なお、図1は、予備凍結装置1の構成を示す正面図である。図2は、予備凍結装置1の構成を示す上面図である。
【0017】
本実施形態の予備凍結装置100は、図1及び図2に示すように、複数(本実施形態では3つ)の凍結保存用ラック50を収容する方形状の収容空間Kを有して、温度調節計により設定された温度制御プログラムに従い、液体窒素からなる冷媒の噴出量を調節することによって、凍結保存用ラック50を収容する収容空間Kの温度を適切に冷却制御するプログラムフリーザである。
【0018】
具体的に、この予備凍結装置1は、複数(本実施形態では6つ)の凍結保存用ラック50を収容する収容空間Kを有する装置本体2と、収容空間Kに冷媒となる液体窒素を供給する供給口3と、供給口3を介して供給された液体窒素を噴出する噴出口4と、噴出口4から噴射された液体窒素を拡散させるファン5と、収容空間Kにおいて気相状態となった液体窒素を排気する排気口6と、収容空間Kに臨む上部開口部2aを開閉する蓋体7と、上部開口部2aを部分的に開閉する少なくとも2つ以上(本実施形態では6つ)の内蓋8と、各部の制御を行う制御部9とを備えている。
【0019】
本実施形態では、収容空間Kに配置される凍結保存用ラック50の背面側の中央部にファン5が配置されている。噴出口4は、このファン5の近傍に位置して、ファン5に向けて液体窒素を噴出する。排気口6は、収容空間Kの側方に配置されている。
【0020】
装置本体2と蓋体7とは、断熱構造を有しており、装置本体2に対して蓋体7が回動自在に取り付けられている。
【0021】
(凍結保存用ラック)
次に、上記凍結保存用ラック50の具体的な構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0022】
なお、図3は、凍結保存用ラック50の構成を示す正面図である。図4は、凍結保存用ラック50の構成を示す側面図である。
【0023】
本実施形態の凍結保存用ラック50は、図3及び図4に示すように、ラック部51が上下方向に複数段(本実施形態では7段)に亘って設けられたラック本体52を備えている。
【0024】
ラック本体52は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属や、耐低温性に優れたステンレス鋼などの金属などからなり、ラック部51の各々の底面を構成する複数(本実施形態では7つ)の底板53と、その最上段に位置するラック部の上面を構成する天板54と、その側面を構成する4つの支柱55とを有している。
【0025】
ラック本体52は、これら複数の底板53、天板54及び4つの支柱55をネジ止めや溶接等(本実施形態ではネジ止め)により接合することによって、全体として上下方向に延びる略直方体形状を有している。また、4つの支柱55は、複数の底板53及び天板54の四隅を支持している。さらに、天板54には、一対の取手部56が回動自在に取り付けられている。
【0026】
これにより、凍結保存用ラック50では、ラック部51の各々に対して、凍結保存用ボックス(図示せず。)をラック本体52の正面側から前後方向にスライド自在に出入することが可能となっている。
(凍結保存用ボックス及び凍結保存用チューブ)
【0027】
凍結保存用ボックスは、例えば樹脂製又は金属製の箱体からなり、上部が開口した方形状を為すと共に、その内側に収納される凍結保存用チューブ毎に、升目状に区画された複数の保存空間を有している。
【0028】
凍結保存用チューブは、バイアルと呼ばれる有底円筒状のキャップ付き容器であり、その内側に試料を細胞凍結保存液(凍結保存培地)と共に充填した後、凍結保存用ボックスの保存空間に収納される。なお、凍結保存用チューブについては、上述したバイアルに限らず、試料を保存可能なものであればよい。
【0029】
(予備凍結方法)
試料を予備凍結させる際は、先ず、試料を凍結保存培地と共に凍結保存用チューブに充填した後、凍結保存用ボックスの各保存空間に凍結保存用チューブを収納する。また、凍結保存用ラック50のラック部51毎に凍結保存用ボックスを収納する。
【0030】
そして、図1及び図2に示すように、予備凍結装置1の収容空間Kに凍結保存用ラック50を収容した後、温度調節計により設定された温度制御プログラムに従い、液体窒素の噴出量を調節しながら、凍結保存用ラック50を収容する収容空間Kの冷却温度を制御する。これにより、各凍結保存用チューブに充填された試料を予備凍結させることが可能である。
【0031】
ところで、本実施形態の予備凍結装置1は、図5及び図6に示すように、凍結保存用ラック50の出入範囲を区画するように、装置本体2の上部開口部2aの周囲に取り付けられたフレーム10を備えている。
【0032】
(枠材により構成されたフレーム)
具体的に、このフレーム10は、例えば図5図8に示すような枠材20により構成されている。
【0033】
なお、図5は、枠材20により構成されたフレーム10を備えた予備凍結装置1の構成を示す上面図である。図6は、図5に示す枠材20(フレーム10)に内蓋8が取り付けられた状態を示す上面図である。図7は、図6中に示す線分A-Aによる予備凍結装置1の断面図である。図8は、図7に示す予備凍結装置1の要部を拡大した断面図である。
【0034】
枠材20は、装置本体2の上部開口部2aの周囲を囲む矩形枠状の外枠21と、外枠21の内側に位置して互いに直交する棒状の縦枠22及び横枠23とを有している。外枠21、縦枠22及び横枠23は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属や、耐低温性に優れたステンレス鋼などの金属などからなる。
【0035】
外枠21は、装置本体2の上部開口部2aの内側に嵌め込まれた状態で、上部開口部2aの周囲に沿って設けられた段差部2bの上に設置されている。
【0036】
外枠21の内周部には、縦枠22の両端と横枠23の両端とが嵌め込まれる複数の切欠凹部21a,21bが設けられている。複数の切欠凹部21a,21bは、互いに向かい合った状態で外枠21の周囲に並んで設けられている。
【0037】
縦枠22と横枠23とは、互いに向かう切欠凹部21a,21bの間で、それぞれの両端が切欠凹部21a,21bに嵌め込まれることによって、外枠21の周囲に懸架した状態で取り付けられている。
【0038】
また、縦枠22と横枠23との交差部分には、溝部22a,23aが設けられ、互いの溝部22a,23a同士を嵌合させることによって、縦枠22と横枠23との交差部分に段差が生じることを防止している。
【0039】
これにより、枠材20は、装置本体2の上部開口部2aを格子状に区画するフレーム10を構成している。また、枠材20は、収容空間Kに収容される凍結保存用ラック50毎に、凍結保存用ラック50の出入範囲を区画している。
【0040】
内蓋8は、例えばウレタンフォームやポリスチレンフォームなどの断熱性に優れた樹脂などからなる平板により構成されている。内蓋8は、収容空間Kに収容される凍結保存用ラック50毎に、凍結保存用ラック50の出入範囲を開閉するように取り付けられている。内蓋8は、断熱性に優れた材質のものを使用することが好ましいものの、少なくとも収容空間Kの気体の流出を防ぐことができればよいため、断熱性が低い材質のものを使用することも可能である。
【0041】
すなわち、この内蓋8は、枠材20により構成されるフレーム10より区画された複数(本実施形態では6つ)の開口領域Eを開閉するように取り付けられている。また、内蓋8は、少なくとも一部が開口領域Eに嵌め込まれた状態で、フレーム10に取り付けられている。本実施形態では、枠材20を構成する外枠21の内側に内蓋8が嵌め込まれた状態で取り付けられている。
【0042】
以上のような構成を有する本実施形態の予備凍結装置1では、上述した収容空間Kに収容された複数の凍結保存用ラック50の中から1つの凍結保存用ラック50を取り出す際に、この凍結保存用ラック50を出し入れする内蓋8のみを取り外して、装置本体2の上部開口部2aを部分的に開口させる。
【0043】
これにより、本実施形態の予備凍結装置1では、収容空間Kに収容された複数の凍結保存用ラック50の中から1つの凍結保存用ラック50を取り出す際に、残りの凍結保存用ラック50が外気に曝されることを防止し、収容空間Kにある凍結保存用ラック50が昇温することを抑制することが可能である。
【0044】
なお、上記フレーム10を構成する枠材20では、例えば図9に示すように、縦枠22と横枠23との切欠凹部21a,21bに嵌め込まれる位置を変更することによって、枠材20により区画される出入範囲(開口領域E)を変更することが可能である。具体的に、図9に示す構成では、収容空間Kに収容される4つの凍結保存用ラック50の配置に合わせて、枠材20により装置本体2の上部開口部2aが4つの開口領域Eに区画されている。
【0045】
この構成の場合、図10に示すように、枠材20により区画される出入範囲(開口領域E)に合わせた内蓋8を開閉自在に取り付けて、装置本体2の上部開口部2aを部分的に開閉することが可能である。
【0046】
これにより、例えば、凍結保存用ラック50の大きさを変更する場合や異なる大きさの凍結保存用ラック50を収容する場合であっても、枠材20により区画される出入範囲(開口領域E)に合わせた内蓋8を新たに作製するだけで、予備凍結装置1に凍結保存用ラック50を収容することが可能である。
【0047】
(開口部が設けられた板材により構成されたフレーム)
また、本実施形態の予備凍結装置1は、フレーム10として、上記枠材20の代わりに、例えば図11図14に示すような開口部30aが設けられた板材30を備えた構成であってもよい。
【0048】
なお、図11は、開口部30aが設けられた板材30により構成されたフレーム10を備えた予備凍結装置1の構成を示す上面図である。図12は、板材30(フレーム10)に内蓋8が取り付けられた状態を示す上面図である。図13は、開口部30aが設けられた板材30により構成されたフレーム10を備えた予備凍結装置1の構成を示す断面図である。図14は、開口部30aの周囲に段差部30bが設けられた構成を示す上面図である。
【0049】
板材30は、例えば、ウレタンフォームやポリスチレンフォームなどの断熱性に優れた樹脂からなる平板により構成されている。板材30は、装置本体2の上部開口部2aの内側に嵌め込まれた状態で、上部開口部2aの周囲に沿って設けられた段差部2bの上に設置されている。板材30は、断熱性に優れた材質のものを使用することが好ましいものの、少なくとも収容空間Kの気体の流出を防ぐことができればよいため、断熱性が低い材質のものを使用することも可能である。
【0050】
板材30には、収容空間Kに収容される凍結保存用ラック50毎に、凍結保存用ラック50の出入範囲(開口領域E)を区画する複数(本実施形態では6つ)の開口部30aが設けられている。また、板材30には、開口部30aの周囲に沿って段差部30bが設けられている。
【0051】
内蓋8は、これら複数の開口部30aを開閉するように取り付けられている。また、内蓋8は、少なくとも一部が開口部30a(開口領域E)に嵌め込まれた状態で、板材30(フレーム10)に取り付けられている。本実施形態では、開口部30aの内側に内蓋8が嵌め込まれた状態で、段差部30bの上に設置されている。
【0052】
以上のような構成を有する本実施形態の予備凍結装置1では、上述した収容空間Kに収容された複数の凍結保存用ラック50の中から1つの凍結保存用ラック50を取り出す際に、この凍結保存用ラック50を出し入れする内蓋8のみを取り外して、板材30の開口部30aを部分的に開口させる。
【0053】
これにより、本実施形態の予備凍結装置1では、収容空間Kに収容された複数の凍結保存用ラック50の中から1つの凍結保存用ラック50を取り出す際に、残りの凍結保存用ラック50が外気に曝されることを防止し、収容空間Kにある凍結保存用ラック50が昇温することを抑制することが可能である。
【0054】
なお、上記フレーム10を構成する板材30では、例えば図15に示すように、上述した収容空間Kに収容される凍結保存用ラック50の配置や数、大きさなどに合わせて、開口部30aの配置や数、大きさなどを適宜変更することが可能である。
【0055】
これにより、例えば、凍結保存用ラック50の大きさを変更する場合や異なる大きさの凍結保存用ラック50を収容する場合であっても、開口部30aに合わせた内蓋8を新たに作製するだけで、予備凍結装置1に凍結保存用ラック50を収容することが可能である。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明が適用される予備凍結装置については、上述した凍結保存用チューブに必ずしも限定されるものではなく、試料が充填されたバックなどであってもよい。また、上記凍結保存用ラックを用いた予備凍結方法により、試料を予備凍結させるものであればよい。バックを使用する場合は、金属製のケースに入ったバックを上記凍結保存用ラックに収納してもよく、バックの大きさに応じた収納空間を有する凍結保存用ラックにバックを直接収納してもよい。
【0057】
また、本発明が適用される予備凍結装置については、上述したプログラムフリーザに必ずしも限定されるものではなく、例えば機械式冷凍機などであってもよく、上記凍結保存用ラックを用いた予備凍結方法により、試料を予備凍結させるものであればよい。
【符号の説明】
【0058】
1…予備凍結装置 2…装置本体 2a…上部開口部 3…供給口 4…噴出口 5…ファン 6…排気口 7…蓋体 8…内蓋 9…制御部 10…フレーム 20…枠材 21…外枠 21a,21b…切欠凹部 22…縦枠 23…横枠 30…板材 30a…開口部 K…収容空間 50…凍結保存用ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15